三次元仮想空間上での取引方法、プログラム及びそのサーバシステム
【課題】三次元仮想空間において安全に取引を行う方法が、施設を運営する管理者及びユーザのいずれ側からも要望されている。さらに、三次元仮想空間での取引の秘匿性及びフィッシング詐欺等の問題を解決することが要望されている。
【解決手段】本発明では、三次元仮想空間上の施設のオリジナル空間のコピー空間を作る。該コピー空間には該コピー空間に入ることを許されたアバターだけが入ることができるので、施設とユーザアバターとの間で安全に取引をすることが可能になる。
【解決手段】本発明では、三次元仮想空間上の施設のオリジナル空間のコピー空間を作る。該コピー空間には該コピー空間に入ることを許されたアバターだけが入ることができるので、施設とユーザアバターとの間で安全に取引をすることが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元仮想空間(ネットワークとコンピュータを使って実現する社会、所謂サイバースペース)上の施設において安全に取引を行うための方法、プログラム及びそのサーバシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セカンドライフ(Second Life)に代表されるような三次元仮想空間上において、ユーザは、アバターと呼ばれるユーザの代わりに行動するユーザの分身を介して、商品の提供又はサービスの提供を含む様々な取引を行うことができる。しかし、例えば上記セカンドライフでは誰でもログインID及びパスワードを入手することが可能であるので、原則として誰でもセカンドライフの三次元仮想空間上に入ることが可能である。よって、該三次元仮想空間上で店舗を運営する管理者側にとって、店舗を訪れたユーザ(顧客である)が悪意のないユーザであるかどうかを判断することは難しい。一方、三次元仮想空間上では三次元仮想空間の管理人から土地を借りることによって誰でも店舗を運営すること可能であるので、ユーザ側にとって、店舗(店舗を運営する管理者と同視できる)又は店舗を管理するサーバシステム(該サーバシステムを運営する管理者と同視できる)が真正なものであるかどうかを判断することは難しい。
【0003】
また、三次元仮想空間上では、ユーザは、自身のアバター(以下、ユーザアバターという)を介して店舗の店員アバターとコミュニケーションをしているつもりでも、意図せずに、関係のない第三者アバターに聞こえるようにコミュニケーションしていたり或いは取引内容が該第三者アバターにわかってしまったりすることがある。さらに、店員アバターとのコミュニケーション内容が店舗中にアナウンスされていたりすることがある。そのために、取引内容の秘匿性に問題がある。また、悪意のある第三者アバターが店員アバターのふりをしている場合がある。このような場合、ユーザアバターは悪意のある第三者アバターに話しかけてしまう可能性がある。結果として、ユーザは、悪意のある第三者から間違った情報を教えられたり或いは高い価格で商品等を購入させられたりといったフィッシング詐欺まがいのことが生じる可能性もある。さらには、店舗そのものがフィッシング詐欺をしている可能性もある。
【0004】
従来技術として、三次元仮想空間上に既存のウェブサイトへのリンクを設け、商品を購入する際には該ウェブサイト上で取引をすることが出来るようにしたサイトがある。該ウェブサイト上での取引では、取引者間の情報を暗号化して送受信するプロトコル、例えばSSL(Secure Socket Layer)を使用して、取引の安全性を図っている。しかし、該ウェブサイト上での取引では、三次元仮想空間上での取引と異なり、ユーザは商品を三次元で見ることができない。また、三次元仮想空間上での取引では、ユーザは、ユーザアバターを介して店員アバターとリアルタイムでチャットし或いは音声によるコミュニケーションをすることができるので、現実世界(リアルライフ)の取引で行われるやりとりと同様の様式で取引をすることができる。一方、該ウェブサイト上での取引では、ユーザはリアルタイムに店員から直接話を聞くことができない。さらに、該ウェブサイト上での取引では、ユーザは三次元仮想空間からウェブサイトに一旦出なければいけないので、操作上煩わしい。
【0005】
特開2004-192451号公報は、仮想空間遠隔操作システムを開示する。該仮想空間遠隔システムは、宅内ネットワークに接続されている家電機器を、仮想空間という遊技性を持ったユーザインタフェースを用いて制御することを可能にし、且つプライベートな仮想空間を限定したメンバーだけで共有する。しかし、該プライベートな仮想空間では、利用者の個人ID及びパスワードを使用してアクセス制御しているにすぎない。
【0006】
特開2002-312612号公報は、仮想生活を実現する仮想空間提供方法を開示する。該仮想空間提供方法では、仮想的な街空間をネットワーク経由でアクセス可能なサーバ上に予め形成し、該街空間の中にユーザを象徴するキャラクタの仮想的な部屋を開設する。従って、該仮想的な部屋は、仮想空間内に建物の一部として部屋を新たに設けたにすぎない。
【0007】
特開2001-154966号公報は、共有仮想空間上で複数ユーザが参加可能な仮想会話を支援するための会話支援システムを開示する。該会話支援システムでは、通信相手が同一の共有仮想空間上に存在していなくても、アバターが持つ仮想携帯電話に、実世界上の電話、あるいは別の仮想空間上の電話を接続する。従って、該仮想携帯電話は、別に存在する仮想空間間に存在するアバター同士が通信できるようにしたにすぎない。
【0008】
特開平10-240966号公報は、三次元仮想空間におけるオブジェクトの動作確認方法を開示する。該動作確認方法では、オブジェクトの動作確認を行うためにリハーサル空間を表示する。該リハーサル空間では、オブジェクトの動作の際に接触すべき対象となる他オブジェクトやユーザを簡略化したオブジェクトにより表現する。しかし、該リハーサル空間は、オブジェクトの動作を確認するために設けられたものであって、取引とは何ら関係ない。
【0009】
別の技術として、三次元仮想空間上に商談室を設けている例がある。しかし、商談室の数には限りがある上、商品を並べるような様式で陳列しておく店舗には適用することができない。
【0010】
【特許文献1】特開2004-192451号公報
【特許文献2】特開2002-312612号公報
【特許文献3】特開2001-154966号公報
【特許文献4】特開平10-240966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
三次元仮想空間において安全に取引を行う方法が、施設を運営する管理者及びユーザのいずれ側からも要望されている。さらに、三次元仮想空間での取引における上記秘匿性及びフィッシング詐欺等の問題を解決することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムにおいて、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上でクライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うための方法を提供する。該方法は、
上記サーバシステムが、施設内に上記第1のアバターが入るためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、該サーバシステムの記憶装置に格納された、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて上記施設に関連付けられた第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信するステップと、
上記サーバシステムが、上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、上記記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認するステップと、
上記入ることができる場合に、上記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信するステップと
を含む。上記ステップの実行によりコピー空間を作成することによって、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる。
上記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて上記施設に関連付けられた第2のアバターデータが上記クライアントシステムに送信されることに応じて、上記クライアントシステムは、上記施設のオリジナル空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを受信して、該クライアントシステムに接続された表示装置上に表示することが可能になる。
上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信されることに応じて、上記クライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを受信して、該受信したデータを該クライアントシステムに接続された表示装置上に表示することが可能になる。
上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができない場合、上記サーバシステムは、上記クライアントシステムに対して、コピー空間を作成できないエラーメッセージを送信する。そして、該クライアントシステムに接続された表示措置上に該エラーメッセージが表示されるか、或いは音声メッセージとしてユーザに伝えられる。
【0013】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信するステップをさらに含む。クライアント側システムからすれば、本発明はまた、上記クライアントシステムが、上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するための上記ユーザ要求に応じて、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するステップをさらに提供する。
【0014】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターが上記施設のコピー空間に入るための第2のユーザ要求を他のクライアントシステムから受信することに応じて、上記記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第3のアバターが上記コピー空間内に入ることが出来るかどうかを確認するステップと、
上記第3のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、上記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ、第2のアバターデータ及び第3のアバターデータを上記他のクライアントシステムに送信し、且つ上記施設のコピー空間のための第3のアバターデータを上記クライアントシステムに送信するステップと
をさらに含む。上記ステップの実行により、上記他のクライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ、上記第2のアバターデータ及び上記第3のアバターデータを受信して、該他のクライアントシステムに接続された表示装置上に表示し、さらに上記クライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記第3のアバターデータを受信して、該クライアントシステムに接続された上記表示装置上に表示することが可能になる。
【0015】
上記取引を行うための方法は、コンピュータ読み取り可能なプログラムによって実施される。該プログラムは、クライアントシステム用或いはサーバシステム用として別個に配布されてもよく、或いはクライアントシステム用及びサーバシステム用が同梱され頒布されてもよい。いずれにしても、該プログラムは、クライアントシステム或いはサーバシステムによって実行されうる。一つの態様として、該プログラムは、記録媒体、例えばCD−ROM、DVD−ROM内にコンピュータ読み取り可能な様式で記録されて、頒布される。他の態様として、該プログラムは、サーバシステムから通信回線を介してダウンロード可能なようにサーバシステムの記憶装置内に記憶され、そしてクライアントシステム或いはサーバシステムの要求に応じて頒布される。
【0016】
本発明はまた、少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムであって、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上で、クライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うためのサーバシステムを提供する。
上記サーバシステムは、
施設内に上記第1のアバターが入るためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて上記施設に関連付けられた第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信する手段と、
上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認する手段と、
上記入ることができる場合に、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信する手段と、
上記施設のオリジナル空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータと、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータと、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストとを記憶する記憶装置と
を含む。上記コピー空間を作成することによって、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる。
上記クライアントシステムは表示装置に接続され、上記クライアントシステムは、上記サーバシステムから送信される上記オリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータ、及び/又は上記サーバシステムから送信される上記コピー空間のためのオブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを上記表示装置上に表示する手段を含む。
上記サーバシステムは、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができない場合、上記クライアントシステムに対して、コピー空間を作成できないエラーメッセージを送信する手段をさらに含む。該エラーメッセージを受信したクライアントシステムはさらに、該クライアントシステムに接続された表示措置上に該エラーメッセージを表示する手段、或いは該エラーメッセージを音声メッセージとしてユーザに伝える手段をさらに含む。
【0017】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信する手段をさらに提供する。クライアントシステム側からすれば、本発明はまた、上記クライアントシステムが、上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するための上記ユーザ要求に応じて、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認する手段をさらに提供する。
【0018】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターが上記施設のコピー空間に入るための第2のユーザ要求を他のクライアントシステムから受信することに応じて、上記記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第3のアバターが上記コピー空間内に入ることが出来るかどうかを確認する手段と、
上記第3のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、上記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ、第2のアバターデータ及び第3のアバターデータを上記他のクライアントシステムに送信し、且つ上記施設のコピー空間のための第3のアバターデータを上記クライアントシステムに送信する手段と
をさらに含む。上記コピー空間に第3のアバターが入ることができることによって、上記他のクライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ、上記第2のアバターデータ及び上記第3のアバターデータを受信して、該他のクライアントシステムに接続された表示装置上に該データを表示することが可能になる。さらに上記クライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記第3のアバターデータを受信して、該クライアントシステムに接続された上記表示装置上に該データを表示することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、三次元仮想空間上の施設のオリジナル空間のコピー空間を作る。該コピー空間には該コピー空間に入ることを許されたアバターだけが入ることができるので、施設(施設を運営する管理者と同視できる)とユーザアバター(ユーザと同視できる)との間で安全に取引をすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明では、三次元仮想空間上の施設のオリジナル空間についてコピー空間を作る。以下に、オリジナル空間及びコピー空間について夫々説明するとともに、オリジナル空間及びコピー空間の表示装置上での表示方法について説明する。
【0021】
オリジナル空間とは、三次元仮想空間に入った際にデフォルトで表示装置上に表示される空間である。クライアントシステムに接続された表示装置上でのオリジナル空間の表示は、サーバシステムから、クライアントシステムに表示情報を送ることによって行われる。また、オリジナル空間の表示情報は、サーバシステム及びクライアントシステムの各記憶装置に格納される。
【0022】
オリジナル空間には、オブジェクトに加えてアバターが表示される。施設のオリジナル空間においても、オブジェクトに加えてアバターが表示される。アバターとして、ユーザアバター、店員アバターに加えて、第三者アバター、例えば悪意のあるアバターを含む。
【0023】
コピー空間とは、ユーザの要求によって作成される新たな空間であって、或る時点におけるオリジナル空間のコピーと同じである。コピー空間は、サーバシステムにおいて、主記憶のメモリ領域をアロケートして、そこに、アバター及びオブジェクトをコピーすることによって、実現される。
【0024】
コピー空間が一旦作成されると、コピー空間はオリジナル空間と独立して存在する。ただし、コピー空間は、三次元仮想空間上に一時的に存在し、永久的には保持されない空間である。コピー空間には、オブジェクトに加えてアバターが表示される。しかし、下記で述べるように、コピー空間に入れるアバターはアクセス権リストによって制限されている点で、オリジナル空間と異なる。
【0025】
最初に、オリジナル空間の表示について、施設のオリジナル空間の表示を例として、下記に説明する。
施設のオリジナル空間の表示のために、施設のソース空間のデータを作成する。施設のソース空間のデータは、施設を運営する管理者が任意の時点における施設のオリジナル空間のデータ、すなわちオブジェクト及びアバターの各データをコピーする指示を該管理者のコンピュータシステムからサーバシステムに、或いは該サーバシステムに直接命令することによって作成される。よって、オリジナル空間のデータをコピーした時点において、コピー元であるオリジナル空間におけるオブジェクトデータ及びアバターデータは、コピー先であるソース空間におけるオブジェクトデータ及びアバターデータと同じでありうる。該ソース空間のデータは、定期的に或いは任意の時間で自動更新されるようにサーバシステムに設定しうる。該ソース空間のデータ及びオリジナル空間のデータは、サーバシステムの記憶装置、例えばハードディスク(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)内に格納される。ソース空間のデータが作成されると、以後、オリジナル空間のデータは、ソース空間のデータとの差分データで表される。よって、オリジナル空間の表示のために、ソース空間のデータ(下記に述べるオブジェクトのポリゴンデータ及びアバターのポリゴンデータである)と上記差分データ、例えばオブジェクトの位置及び向きのデータ並びにアバターの位置及び向きのデータを使用する。該差分データを使用することによって、サーバシステムからクライアントシステムに送信するオリジナル空間の表示のためのデータ通信量を削減することができる。
【0026】
ソース空間のデータとして、オブジェクトデータ及びアバターデータが含まれうる。
ソース空間のためのオブジェクトデータは、例えば下記に示すようなオブジェクト表で表すことができる。ソース空間のためのオブジェクト表(下記表1)は、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号、該オブジェクト番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータ並びに該オブジェクト番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。
ソース空間のアバターデータは、例えば下記に示すようなアバター表で表すことができる。ソース空間のためのアバター表(下記表2)は、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号及び該アバター番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有する。ソース空間のためのアバター表は、アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有していない。アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータは、下記に述べるように、オリジナル空間のためのアバター表が有している。
ソース空間のデータは、施設を管理するサーバシステム、他のサーバシステム及びユーザのクライアントシステムにおいて、グローバルに共有されうる。施設のソース空間のデータは、例えばユーザが施設内に入ることをサーバシステムに要求することに応じて、他のサーバシステム及び/又は少なくとも1のクライアントシステムに送信されうる。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
オリジナル空間のデータとして、オブジェクトデータ及びアバターデータが含まれうる。
オリジナル空間のデータとしてさらに、オリジナル空間のためのアクセス権リストが含まれうる。該アクセス権リストは、オリジナル空間のデータとして含まれていても含まれていなくてもよい。
オリジナル空間のためのオブジェクトデータは、例えば下記に示すようなオブジェクト表で表すことができる。オリジナル空間のためのオブジェクト表(下記表3)は、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号、並びに該オブジェクト番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。オリジナル空間のためのオブジェクト表は、ソース空間のためのオブジェクト表と異なり、オブジェクト番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、オリジナル空間の表示において、オブジェクトのポリゴンデータとして、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータが用いられるからである。オリジナル空間のためのオブジェクト表の位置及び向きのデータが、ソース空間のためのオブジェクトデータとの差分データである。よって、オリジナル空間においてオブジェクトが表示されるために、各オブジェクトについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、オリジナル空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
オリジナル空間のアバターデータは、例えば下記に示すようなアバター表で表すことができる。オリジナル空間のためのアバター表(下記表4)は、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号及び該アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。オリジナル空間のアバター表は、ソース空間のアバター表と異なり、アバター番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、オリジナル空間の表示において、アバターのポリゴンデータとして、ソース空間のためのアバター表のポリゴンデータが用いられるからである。オリジナル空間のためのアバター表の位置及び向きのデータが、ソース空間のアバターデータとの差分データである。よって、オリジナル空間においてアバターが表示されるために、各アバターについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、オリジナル空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
オリジナル空間のためのアクセス権リスト(下記表5)は、アバター番号と、該アバター番号に関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を有する。一つのアバターに対して、該一つのアバターに固有のアバター番号が付される。アバターの種類によって、すなわちユーザ(顧客)アバターと店員アバターによって、許可されている動作項目と許可されていない動作項目の内容を異ならせることができる。動作項目として、施設への進入、取引、スクリプトの動作などをあげることができるが、これらに限定されない。例えば、アクセス制御として、店員アバターには三次元仮想空間のためのスクリプトの動作を許可するが、ユーザアバターにはスクリプトの動作を制限し或いは許可しない。なぜならば、オリジナル空間内においてユーザアバターによるスクリプトの動作の制限をしないと、オリジナル空間のオブジェクト或いはオリジナル空間のためのアクセス権リストが書き換えられる恐れがあり、オリジナル空間の安全が維持されない場合があるからである。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
次に、施設のコピー空間の表示について、下記に説明する。
施設のコピー空間の表示のために、上記した施設のソース空間のデータを使用する。コピー空間のデータは、ソース空間のデータとの差分データで表される。よって、コピー空間の表示のために、ソース空間のデータ(上記したオブジェクトのポリゴンデータ及びアバターのポリゴンデータである)と上記差分データ、例えばオブジェクトの位置及び向きのデータ並びにアバターの位置及び向きのデータを使用する。該差分データを使用することによって、サーバシステムからクライアントシステムに送信するコピー空間の表示のためのデータ通信量を削減することができる。
また、コピー空間の表示のためにソース空間を用いない場合、オリジナル空間上で動いたオブジェクトがコピー空間上でも同時に動いてしまう。そのために、コピー空間上でオブジェクトが勝手に動いてしまうという現象、言い換えれば透明人間がオブジェクトを動かしているようなミステリー的な現象がおきてしまう。なぜならば、コピー空間のオブジェクト表示のためにオリジナル空間のためのオブジェクトデータを直接的に参照している場合、オリジナル空間のオブジェクトの移動、すなわちオブジェクトデータの変更が直接的にコピー空間のオブジェクトデータに反映されてしまうからである。しかし、ソース空間を導入することによって、オリジナル空間上で移動したオブジェクトがコピー空間上でも移動するということを防ぐことができる。
【0034】
コピー空間のデータとして、オブジェクトデータ、アバターデータ及びアクセス権リストが含まれうる。
コピー空間のためのオブジェクトデータは、例えば下記に示すようなオブジェクト表で表すことができる。コピー空間のためのオブジェクト表(下記表6)は、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号、並びに該オブジェクト番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。コピー空間のためのオブジェクト表は、ソース空間のためのオブジェクト表と異なり、オブジェクト番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、コピー空間の表示において、オブジェクトのポリゴンデータとして、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータが用いられるからである。コピー空間のためのオブジェクト表の位置及び向きのデータが、ソース空間のためのオブジェクトデータとの差分データである。よって、コピー空間においてオブジェクトが表示されるために、各オブジェクトについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、コピー空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
コピー空間のアバターデータは、例えば下記に示すようなアバター表で表すことができる。コピー空間のためのアバター表(下記表7)は、アバター夫々に関連付けられたアバター番号及び該アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。コピー空間のアバター表は、ソース空間のアバター表と異なり、アバター番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、コピー空間の表示において、アバターのポリゴンデータとして、ソース空間のためのアバター表のポリゴンデータが用いられるからである。コピー空間のためのアバター表の位置及び向きのデータが、ソース空間のアバターデータとの差分データである。よって、コピー空間においてアバターが表示されるために、各アバターについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、コピー空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
コピー空間のためのアクセス権リスト(下記表8)は、アバター番号と、該アバター番号に関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を有する。上記したオリジナル空間のためのアクセス権リストとコピー空間のためのアクセス権リストは、同じ表にまとめられていてもよく、或いは異なる表であってもよい。動作項目として、コピー空間の作成、コピー空間への進入、取引、友達アバターのコピー空間への進入、スクリプトの動作などをあげることができるが、これらに限定されない。コピー空間の作成として、施設を運営する管理者がコピーを作成することを認めた施設以外の施設をコピーできないように設定できる。アバターの種類によって、すなわちユーザ(顧客)アバター、店員アバター、下記に述べるユーザアバターの友達アバター及び第三者アバターによって、許可されている動作項目と許可されていない動作項目の内容を異ならせることができる。例えば、アクセス制御として、店員アバターには三次元仮想空間のためのスクリプトの動作を許可するが、ユーザアバター(及びその友達アバター)にはスクリプトの動作を制限し或いは許可しない。なぜならば、コピー空間内においてユーザアバター(及びその友達アバター)によるスクリプトの動作の制限をしないと、コピー空間のオブジェクト或いはコピー空間のためのアクセス権リストが書き換えられる恐れがあり、コピー空間の安全が維持されない場合があるからである。
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】
上記したように、オリジナル空間及びコピー空間の表示において、いずれもソース空間のデータを用いる。このことによって、両方の空間がユーザのクライアントシステム或いは施設を運営する管理者のサーバシステムの表示装置上において同時に表示される場合であっても、クライアントシステム或いはサーバシステムのメモリペナルティが最小限ですむ点で有利である。
【0039】
コピー空間は、下記の特徴を有する。
コピー空間へは、コピー空間のためのアクセス権リスト(表8)で許可されたアバターしか入ることができない。原則として、一つのコピー空間には、コピー空間を作ることを要求したユーザアバター一人及び施設を運営する管理者が認めた店員アバターしか入ることができないようにアクセス権リストを設定する。このような制限を設けることで、第三者アバターがコピー空間へ入ることを制限できる。
また、ユーザアバターについて許可されている行動は、コピー空間のためのアクセス権リストの動作項目によって定められている。よって、ユーザアバターのとりうる行動はコピー空間上では制限されており、施設を運営する管理者が認めた行動しか取ることが出来ない。
さらに、オリジナル空間とコピー空間とは、独立して存在するのでオリジナル空間に居るアバターからコピー空間をのぞき見することは出来ない。従って、オリジナル空間のアバターは、コピー空間での取引を知ることはできない。
以上の通り、本発明では、上記のコピー空間において取引を行うことによって、上記秘匿性及びフィッシング詐欺の問題を解決することできるので、三次元仮想空間での取引の安全性が確保される。
【0040】
コピー空間は、ユーザアバター、すなわち顧客アバターの要求に応じていくつでも作ることができるので、コピー空間の数は原則として制限されない。よって、三次元仮想空間で安全に取引可能な空間の数は、従来の商談室のように制限されることはない。ただし、施設を運営する管理者は、現実世界の店員が店員アバターを制御しうる数を考慮して、コピー空間の数を制限することも可能である。
【0041】
以下では、ユーザが三次元仮想空間に入ってから、施設において取引をおこなうまでの方法を、図1〜図9を参照しながら、順次説明をする。
【0042】
三次元仮想空間上でのユーザの行為は、ユーザアバターを介して行われる。以下の説明において、ユーザの行為は、ユーザアバターの三次元仮想空間上での行為でもある場合がある。
【0043】
ユーザは、クライアントシステム上でウェブブラウザ或いは三次元仮想空間のための専用ソフトを起動して、三次元仮想空間にログインする。ログイン方法は、慣用的な方法を用いて行われる。例えば、ユーザは、ログインする際にユーザに関連付けられたユーザID及びパスワードを上記ウェブブラウザ或いは上記専用ソフトの所定の欄に入力装置、例えばキーボードを介して手動で入力する。或いは、クライアントシステムの記憶装置、例えばハードディスク(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)内に格納されたユーザID及びパスワードが、自動で上記ウェブブラウザ或いは上記専用ソフトに入力されるように制御(例えば、スクリプト制御)してもよい。該ユーザID及びパスワードは、好ましくは暗号化して、上記クライアントシステムの記憶装置内に保存されている。入力したユーザID及びパスワードが三次元仮想空間への進入(ログイン)を管理するサーバシステムによって承認されることによって、ユーザは、三次元仮想空間に自身のアバターを進入(表示)させることができる。該進入した際の三次元仮想区間が、オリジナル空間である。該三次元仮想空間は、ユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に表示される。クライアントシステムは、パーソナルコンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、ゲーム機、携帯電話を含むが、これらに限定されない。
【0044】
ユーザが三次元仮想空間上の施設において取引を望む場合に、ユーザアバターを施設内の空間(施設のオリジナル空間)に進める。施設には、商品の提供を行う小売業、例えば小売店、スーパーマーケット、百貨店、及びサービスの提供を行う講演会場、オークション会場、美術館、映画館、銀行などを挙げることができるがこれらに限定されない。取引には、三次元仮想空間或いは現実世界に存在する商品の提供、或いは三次元仮想空間或いは現実世界に存在する講演、オークション、美術館、映画館、銀行、場所(例えば、会議室、体育館、踊りのための練習場)の提供などのサービスの提供を含みうる。三次元仮想空間上で提供される場所の提供では、その提供数は制限されない。
【0045】
ユーザアバターが施設内に入ると、施設内にオブジェクト、ユーザアバター及び該施設に所属する店員アバターが表示される。店員アバターは、ユーザアバターが施設内に入った直後に施設内に存在しなくともよい。ユーザアバターが店員アバターを呼び出すことに応じて店員アバターが施設内に呼び出されて、表示されるようにしてもよい。施設内には、上記ユーザアバター以外に、第三者アバターが存在してもよい。第三者アバターは、他のユーザアバターを含む。店員アバターは一人に限られず、複数の店員アバターが存在するようにしてもよい。施設内のオブジェクトには、施設の家具、電化製品、取引のための商品、取引のための商品及びサービスに関連したグッズ、例えばパンフレットなどの施設の内部を構成しうる全てのオブジェクトが含まれる。
【0046】
施設のオリジナル空間の表示は、例えば図1に示されているステップに従い行われる。
クライアントシステムが、ユーザからの施設に入るための要求の入力を受信することに応じて、施設を管理するサーバシステムに該要求を送信する(ステップ101)。上記サーバシステムは、該要求を受信することに応じて、施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び必要に応じて店員アバターデータを、施設に入ってきたユーザアバターに関連付けられたクライアントシステムに送信する(ステップ102)。上記したように、店員アバターユーザアバターが施設内に入った直後に施設内に存在しない場合があるので、上記サーバシステムは、ユーザからの上記要求に応じて店員アバターデータを上記クライアントシステムに送信する必要はない。ユーザアバターが店員アバターを呼び出すことの上記クライアントシステムからの要求に応じて、上記サーバシステムは、ユーザからの上記要求に応じて店員アバターデータを上記クライアントシステムに送信する。上記クライアントシステムは、送信されてきた上記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のオリジナル空間を再構築し、上記クライアントシステムに接続された表示装置上に施設のオリジナル空間を表示する(ステップ103)。
【0047】
ユーザは、施設との間で安全な取引が必要になった場合に、施設のオリジナル空間をコピーしてコピー空間を作成することを施設、すなわち施設を管理するサーバシステムに要求できる。コピー空間は、オリジナル空間と同様に、オブジェクトに加えてアバターがいる空間である。しかし、コピー空間には、アクセス権リストにおいて許可されたアバターしか存在しない点で、オリジナル空間と異なる。アクセス権リストにおいて許可されたアバターとは、施設を運営する管理者が認めたアバター(例えば、店員アバター等)、及びコピー空間を作成することを要求したユーザが認めたアバター(例えば、ユーザアバターおよびその友達アバター等)である。
【0048】
施設のコピー空間を表示するための一つの態様を、図2に示されているステップに従い説明する。
ユーザが施設との間で取引をしたい場合、ユーザは施設のコピー空間を作成することをサーバシステムに要求する(ステップ201)。一つの態様として、該要求は、ユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に表示されるメニュー表示、例えば「コピー空間の作成」を入力装置、たとえばマウスによって選択することによって行われる。別の態様として、該要求は、ユーザの音声によるクライアントシステムへの指示、例えば「コピー空間を作成」によって行われる。ユーザの該要求は、上記クライアントシステムから施設を管理するサーバシステムに送信される。該ユーザの要求に応じて、サーバシステムは、ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかをコピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する(ステップ202)。コピー空間にコピーされる店員アバターは、施設を運営する管理者が予め決めておいてもよい。或いは、施設のコピー空間を作成することを要求する前に、ユーザがコミュニケーションをしていた店員アバターであってもよい。いずれの場合においても、店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかをコピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する。ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有する場合、サーバシステムは、コピー空間のデータを作成する(ステップ203)。コピー空間のデータは、サーバシステムの記憶装置に記憶される。一方、ユーザアバター及び店員アバターの一方或いは両方がコピー空間に入ることができる権利を有していない場合、サーバシステムはコピー空間の作成を拒否する。該許否のメッセージがサーバシステムからクライアントシステムに送信され、上記クライアントシステムに接続された表示装置上にメッセージとして表示されるか、或いは音声としてユーザに知らされる。ステップ203に戻り、コピー空間のデータが作成されると、サーバシステムが、施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータを、施設に入ってきたユーザアバターに関連付けられたクライアントシステムに送信する(ステップ204)。該クライアントシステムは、送信されてきた上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のコピー空間を再構築し、該クライアントシステムに接続された表示装置上に施設のコピー空間を表示する(ステップ205)。
上記方法によって、施設を運営する管理者は、取引をするユーザの権限に制御を設けることができるために、安全な取引をすることが可能になる。
【0049】
施設のコピー空間を表示するための別の態様を、図3に示されているステップに従い説明する。
ユーザが施設との間で取引をしたい場合、ユーザは施設のコピー空間を作成することをサーバシステムに要求する(ステップ301)。該要求の態様は、上記で述べたとおりである。該ユーザの要求に応じて、クライアントシステムは、施設、或いは施設を管理するサーバシステムが真正であるかどうかを確認する(ステップ302)。このことによって、施設、或いは施設を管理するサーバシステムが真正(本物)であるかどうかの認証を行うことが可能となるので、施設そのものがフィッシング詐欺をしている場合に有効である。施設が真正であるかどうかの確認には、認証システム、例えば公開鍵暗号方式を使用することができる。その一例は、下記の通りである。
1.クライアントシステムのブラウザが、施設を管理するサーバシステムに、認証することを要求する;
2.該要求を受信したサーバシステムは、認証機関のシステムに証明書の発行の申請を送信する。
3.認証機関(CA)のシステムが、上記サーバシステムからの申請を受けて、認証機関の秘密鍵で暗号化された証明書をサーバシステムに発行する;
4.上記サーバシステムが、上記証明書及び該サーバシステムの公開鍵を上記クライアントシステムに送信する;
5.上記クライアントシステムのブラウザは、認証機関の公開鍵を使って、上記証明書を復号化し、上記サーバシステムが信頼できる相手かどうかを判断する。
なお、任意であるが、施設が真正である場合、上記クライアントシステムと施設を管理する上記サーバシステムとの間でSSL通信を行うことの出来るチャネルを同時に張り、通信内容を暗号化することができる。具体的には、上記1〜5の手順に引き続き、下記手順が行われる。
6.上記クライアントシステムが共通鍵をランダムに生成する;
7.上記クライアントシステムが、生成した共通鍵を上記サーバシステムの公開鍵で暗号化して上記サーバシステムに送信する;
8.上記サーバシステムが、上記クライアントシステムからの上記暗号化された共通鍵を、上記サーバシステムの秘密鍵で復号化する;
9.上記サーバシステム及び上記クライアントシステムが、上記共通鍵を暗号化鍵として用い、通信内容を暗号化して通信する。
次に、施設が真正である場合、上記サーバシステムは、ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかをコピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する(ステップ303)。一方、施設が真正でないことに応じて、すなわち施設が偽の施設である場合、コピー空間は作成されない。上記クライアントシステムは、施設が真正でないためにコピー空間が作成されないことをユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に(警告として)表示するか、或いは音声としてユーザに知らせる。
ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有する場合、サーバシステムは、コピー空間のデータを作成する(ステップ304)。コピー空間のデータは、サーバシステムの記憶装置に記憶される。一方、ユーザアバター及び店員アバターの一方或いは両方がコピー空間に入ることができる権利を有していない場合、サーバシステムはコピー空間の作成を拒否する。該許否のメッセージがサーバシステムからクライアントシステムに送信され、上記クライアントシステムに接続された表示装置上にメッセージとして表示されるか、或いは音声としてユーザに知らされる。ステップ304に戻り、コピー空間のデータが作成されると、サーバシステムが、施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータを、施設に入ってきたユーザアバターに関連付けられたクライアントシステムに送信する(ステップ305)。該クライアントシステムは、送信されてきた上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のコピー空間を再構築し、該クライアントシステムに接続された表示装置上に施設のコピー空間を表示する(ステップ306)。
上記方法によって、施設を運営する管理者は、取引をするユーザの権限に制御を設けることができるので、ユーザとの間で安全な取引をすることが可能になる。一方、ユーザは、取引をする施設が真正であるかを確認できるので、施設によるフィッシング詐欺等の問題を心配しなくてすむ。
【0050】
コピー空間におけるオブジェクト表示は、例えば図4に示されているステップに従い行われる。
サーバシステムが、ソース空間のデータ及びコピー空間のデータをその記憶装置からクライアントシステムに送信する(ステップ401)。クライアントシステムは、上記データを受信し、夫々のオブジェクトデータについて差分データがあるかどうかをコピー空間のための各データから確認する。差分データがある場合(ステップ402)、ソース空間のオブジェクトのポリゴンデータ並びにコピー空間のオブジェクトの位置及び向きのデータを用いて、オブジェクトをクライアントシステムに接続された表示装置上に表示する(ステップ403)。一方、差分データがない場合(ステップ402)、ソース空間のオブジェクトのポリゴンデータ並びにコピー空間のオブジェクトの位置及び向きのデータを用いて、オブジェクトをクライアントシステムに接続された表示装置上に表示する(ステップ404)。以後、全てのオブジェクトが表示されるまで、ステップを繰り返す(ステップ405)。
オリジナル空間におけるオブジェクトの表示も、上記したコピー空間におけるオブジェクト表示と同様の方法に従い行われる。
【0051】
コピー空間におけるアバターの表示は、下記に説明するステップに従い行われる。
サーバシステムが、ソース空間のデータ及びコピー空間のデータをその記憶装置からクライアントシステムに送信する。クライアントシステムは、上記データを受信し、ソース空間のアバターのポリゴンデータ並びにコピー空間のアバターの位置及び向きのデータを用いて、アバターをクライアントシステムに接続された表示装置上に表示する。
オリジナル空間におけるアバターの表示も、上記したコピー空間におけるアバター表示と同様の方法に従いに行われる。
【0052】
オリジナル空間とコピー空間との関係について、以下に説明する。
図5に見られるように、コピー空間が作成されている場合、コピー空間を作成することを要求したユーザアバターは、コピー空間にのみ存在し、オリジナル空間には存在しない。一方、店員アバターは、オリジナル空間及びコピー空間の両方に存在することができる。
オリジナル空間で起きた事象のうち、アバターに関する事象はコピー空間及びソース空間のデータに影響を及ぼさない。例えば、オリジナル空間に第三者アバターが表れたとしてもコピー空間に該第三者のアバターは表示されない。なぜならば、該第三者のアバターは、コピー空間に入るアクセス権限を有しないためである。しかし、オリジナル空間で起きた事象のうち、例えば商品が品切れして表示されないというオブジェクトに関する事象はコピー空間に反映されうる。そうしないと、商品がないにもかかわらず、コピー空間での取引がおこなわれてしまうという不都合があるためである。また、コピー空間で起きた事象のうち、アバターに関連する事象もオリジナル空間及びソース空間のデータに影響を及ぼさない。しかし、コピー空間で起きた事象のうち、例えば商品が品切れして表示されないというオブジェクトに関する事象はオリジナル空間に反映されうる。そうしないと、商品がないにもかかわらず、オリジナル空間で該商品が表示され、取引がおこなわれてしまうという不都合があるためである。
また、コピー空間上でオブジェクトが作成された場合、ソース空間のデータとして該オブジェクトに関連付けられた番号及び該オブジェクトのポリゴンデータが追加され、且つコピー空間のデータとして該オブジェクトに関連付けられた番号並びに該オブジェクトの位置及び向きのデータが追加される。しかし、コピー空間上で作成されたオブジェクトはオリジナル空間上に反映されないので、オリジナル空間のデータは変更されない。
【0053】
アクセス権リストは、施設を運営する管理者によって予め設定されうる。また、施設を運営するサーバシステムが、コピー空間を作成することを要求したユーザが所謂ブラックリストに掲載されているかどうかを所定のサーバシステム格納されたブラックリスト・データベースを使用して確認し、それによってコピー空間のためのアクセス権リストを変更してもよい。例えば、コピー空間を作成することを要求したユーザが所謂ブラックリストに掲載されていれば、施設を運営するサーバシステムは、コピー空間へ入ることを許可しないようにコピー空間のためのアクセス権リストを動的に変更可能であるようにできる。コピー空間には、オリジナル空間とは異なるアクセス制御をかけることができる。
【0054】
コピー空間のためのアクセス権リストの動作項目として、コピー空間の作成、コピー空間への進入、取引、ユーザアバターに関連付けられた他のアバター、例えばユーザアバターの友達アバターのコピー空間への進入、スクリプトの動作等をあげることができるがこれらに制限されない。
【0055】
コピー空間において、ユーザアバターは、現実世界と同様に店員アバターとコミュニケーションをし、取引を進めることができる。コミュニケーションの方法として、表示装置上でのチャット形式、或いは音声入力装置及び出力装置を介する形式をとりうる。
【0056】
ユーザアバターが作成したコピー空間に、該ユーザアバターの友達アバターが入ることを可能にすることができる。友達アバターが、ユーザアバターによって作成されたコピー空間に入る方法を、図6Aに従い説明する。
友達アバターが施設に訪れる(ステップ601)。友達アバターはユーザアバターとともに施設に入ってもよく、或いはユーザアバターに遅れて入ってもよい。しかし、友達アバターはユーザアバターがコピー空間を作成すること又はコピー空間を作成していることを、何らかの手段、例えばメール、現実世界の電話等により予め知っている必要がある。友達は、ユーザアバターによって既に作成されたコピー空間に入ることをサーバシステムに要求する(ステップ602)。一つの態様として、該要求は、友達のクライアントシステムに接続された表示装置上に表示されるメニュー表示(図6Bを参照)、例えば「空間1に入る」を入力装置、たとえばマウスによって選択することによって行われる。別の態様として、該要求は、友達の音声によるクライアントシステムへの指示、例えば「コピー空間1に入る」によって行われる。友達の該要求は、友達のクライアントシステムから施設を管理するサーバシステムに送信される。該友達の要求に応じて、サーバシステムは、友達アバターが、友達アバターによって要求されたコピー空間、すなわちユーザによって既に作成されているコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかを、コピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する(ステップ603)。ユーザアバターは、自身が作成したコピー空間に友達アバターを入ることが出来ることを施設に予め伝えておくことによって、施設はアクセス権リストの友達アバターに関する動作項目を更新することができる。或いは、施設を運営するサーバシステムの管理者は、友達アバターがコピー空間に入ることができることをデフォルトでアクセス権リストに設定でき、そしてコピー空間に入ることを要求した友達が上記したブラックリストに掲載されているかどうかを所定のサーバシステム格納されたデータベースを使用して確認し、それによってコピー空間のためのアクセス権リストの上記動作項目を変更してもよい。このようにすることによって、ユーザアバターがコピー空間に友達アバターを勝手に連れ込むこと、或いは友達アバターがユーザアバターの作成したコピー空間に勝手に入ることを防ぐことができる。友達アバターがコピー空間に入ることができる権利を有する場合、サーバシステムは、施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに加えて、コピー空間のための友達アバターデータを友達のクライアントシステムに送信する(ステップ605)。一方、友達アバターが、友達アバターによって要求されたコピー空間に入ることができる権利を有しない場合、サーバシステムはコピー空間に入ることを拒否する。該許否のメッセージがサーバシステムから友達のクライアントシステムに送信され、友達のクライアントシステムの表示装置上にメッセージとして表示されるか、或いは音声として友達に知らされる。ステップ605では、友達のクライアントシステムは、送信されてきた上記コピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ、友達アバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のコピー空間を再構築し、友達のクライアントシステムに接続された表示装置上に施設の該コピー空間を表示する。友達のクライアントシステムに接続された表示装置上に施設の該コピー空間が表示されると、コピー空間内にユーザアバターの友達アバターも表示される。また、上記ユーザアバターのクライアントシステムに接続された表示上のコピー空間内にも、友達アバターが表示される。なお、ユーザアバターと友達アバターのアクセス権リストの許可されている動作項目及び許可されていない動作項目は異なりうる。例えば、ユーザアバターは取引の動作項目を許可されているが、友達アバターは取引の動作項目を許可されないように設定することができる。
【0057】
コピー空間における施設の店員アバターについて、下記に説明する。
オリジナル空間の店員アバターをコピー空間に移動させてしまうと、オリジナル空間に店員がいなくなってしまう。そこで、店員アバターは、ユーザアバターと異なり、施設のオリジナル空間とコピー空間との間を自由に行き来できるようにすることが好ましい。さらには、施設内に複数のユーザアバターが存在し、そのために施設のコピー空間が複数存在する場合、店員アバターは、施設のオリジナル空間と複数のコピー空間との間を必要に応じて自由に行き来できるようにすることが好ましい。そのために、店員アバターは、オリジナル空間及び1以上のコピー空間に表示されうる。現実世界の店員は、オリジナル空間の店員アバターと1以上のコピー空間の店員アバターの全てを取り扱うが、複数の空間上の店員アバターを同時に取り扱うことは困難である。そこで、店員アバターの属する一つ空間にフォーカスをあて、他の空間には店員アバターを表示するが、該空間にフォーカスをあてないようにすることができる。フォーカスのある空間に属する店員アバターは、該空間上で話しかけられたユーザアバターとコミュニケーションをすることができる。しかし、フォーカスのない空間に属する店員アバターは、該空間上で話しかけられたユーザアバターとコミュニケーションをすることができない。
【0058】
同一の店員アバターが施設のオリジナル空間と複数のコピー空間とに存在する場合、オリジナル空間上だけでなく、コピー空間上においても、ユーザアバターから話しかけられる。このような場合、話しかけられた店員アバターの属する空間にフォーカスをうつす必要がある場合がある。以下に、同一の店員アバターが複数の空間に存在する場合に、話しかけられた店員アバターの属する空間にフォーカスをうつす方法を、図7に従い説明する。
現実世界の店員が操作していない店員アバターが、オリジナル空間或いはコピー空間においてユーザアバターから話しかけられる又は話をすることを要求される場合がある(ステップ701)。この場合、店員アバターを操作する現実世界の店員は、表示装置上でフォーカスをあてたい空間、すなわちオリジナル空間又はコピー空間のいずれか、或いはオリジナル空間又は複数のコピー空間のうちの一つのいずれかを選択することによって、フォーカスのある空間を切り替えることができる。フォーカスのある空間に属する店員アバターは、該空間上で話しかけられたユーザアバターとコミュニケーションをすることができる。話しかけられた又は話をすることを要求された空間が、現実世界の店員が現在操作している店員アバターが存在する空間(すなわちフォーカスのある空間)である場合(ステップ702)、該空間はすでにフォーカスされている。よって、店員アバターは、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターとそのままコミュニケーションをすることができる(ステップ703)。一方、話しかけられた又は話をすることを要求された空間が、現実世界の店員が現在操作している店員アバターが存在しない空間(すなわちフォーカスのない空間)である場合(ステップ702)、店員アバターが該ユーザアバターと他の空間で既に話をしているかどうかを確認する(ステップ704)。店員アバターが該ユーザアバターと他の空間で既に話をしている場合、話しかけられた他の空間にフォーカスをうつし(ステップ705)、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターと話をする(ステップ703)。一方、店員アバターが該ユーザアバターと他の空間で既に話をしていない場合、店員アバターは話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターを待たせるかどうかを選択する(ステップ706)。該選択は、現実世界の店員が見ている表示装置の画面上に表示される選択メニューで選択することができる。該ユーザアバターを待たせない場合、店員アバターは現在話をしているユーザアバターを待たせ(ステップ707)、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターと話をする(ステップ703)。一方、該ユーザアバターを待たせる場合、店員アバターは、現在話をしているユーザアバターと話を続け、該ユーザアバターとの話が終わり次第、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターの存在する空間にフォーカスを移動する(ステップ608)。そして、店員アバターは、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターと話をする(ステップ703)。
【0059】
図8に、現実世界の店員が見ている表示装置の画面を示す。現実世界の店員が見ている表示装置は、サーバシステムに直接接続された表示装置、或いは、該サーバシステムにコンピュータネットワークを介して接続された店員用のクライアントシステムに接続された表示装置でありうる。
図8では、該表示装置上に、オリジナル空間、2つのコピー空間(コピー空間1、コピー空間2)、及びチャットスペースが表示されている。コピー空間1は、ユーザ1によって作成されたコピー空間である。コピー空間2は、ユーザ2によって作成されたコピー空間である。現在、オリジナル空間にフォーカスがあたっているので、該オリジナル空間は2つのコピー空間に比べて大きく表示されている。現実世界の店員は、チャットスペースを介してフォーカスの当たっている空間(図8ではオリジナル空間)に存在するユーザアバターとコミュニケーションをすることができる。現実世界の店員は、フォーカスの当たっていない空間のユーザアバターから話しかけられた又は話をすることを要求されたことを表示装置の画面上に表示されるメッセージ(アラート)により知ることができる。現実世界の店員は、フォーカスを当てたい空間が表示されている画面上の領域を入力装置、例えばマウスでのクリックにより選択することによって或いはメニューからフォーカスを当てたい空間の番号、例えばコピー空間1を選択することによって、フォーカスの当たっている空間を変更することができる。そして、現実世界の店員は、フォーカスの当たっている空間の店員アバターを操作することができるようになる。このようにして、同一の店員アバターが複数の空間に存在していても、現実世界の店員は、該店員アバターを夫々の空間で操作することが可能になる。
なお、現実世界のユーザが見ている表示装置の画面も、現実世界の店員が見ている表示装置の画面とほぼ同じように構成される。すなわち、該ユーザのクライアントに接続された表示装置上には、オリジナル空間、コピー空間及びチャットスペースが表示される。ただし、該ユーザが見ている表示装置の画面では、コピー空間として、該ユーザが作成したコピー空間、或いは友達が作成したコピー空間であって且つ該コピー空間内に該ユーザが入っているコピー空間しか表示されない。
【0060】
取引の対象が三次元仮想空間上での商品又はサービスである場合に、コピー空間において取引が成立すると、施設を管理するサーバシステムは、コピー空間での取引内容を三次元仮想空間のオリジナル空間に反映することができる。例えば、ユーザアバターが、コピー空間において三次元仮想空間上に存在する商品を購入した場合、該商品は、コピーされてユーザアバターの所有物となる。或いは、ユーザアバターが、コピー空間において三次元仮想空間上で提供されるサービスを購入した場合、ユーザアバターは、オリジナル空間上又は該サービスが提供されるコピー空間上で該サービスの提供を受けることができる。一方、取引の対象が現実の商品又はサービスである場合、施設は、現実の商品又はサービスをユーザに配送し又は提供するために、現実の店舗(を管理するサーバシステム)に取引内容を伝える。
【0061】
ユーザアバターが施設から出ること、すなわち施設のコピー空間における施設から出ることに応じて又はコピー空間からオリジナル空間へ戻るためのユーザの要求をクライアントシステムから受信することに応じて、施設を管理するサーバシステムは、コピー空間のデータ、すなわちコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターのデータ及び店員アバターのデータを削除する。そして、ユーザのクライアントシステム及び施設のクライアントシステムは、夫々に接続された表示装置上からコピー空間の表示を削除する。或いは、上記サーバシステムは、コピー空間から、ユーザアバター、店員アバターなどのアバターが誰もいなくなった場合に、コピー空間を消滅させることができる。一つの態様として、該要求は、ユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に表示されるメニュー表示、例えば「コピー空間の消滅」を入力装置、たとえばマウスによって選択することによって行われる。別の態様として、該要求は、ユーザの音声によるクライアントシステムへの指示、例えば「コピー空間を消滅」によって行われる。ユーザの該要求は、施設を管理するサーバシステムに送信される。
【0062】
本発明において、本発明を実現するための取引システムは、図9に示すように、三次元仮想空間、施設を実現するための少なくとも1のサーバシステム、及び該サーバシステムに接続されたユーザの少なくとも1のクライアントシステムを含む。該サーバシステムと該クライアントシステムとは、コンピュータネットワーク、例えば有線によるネットワーク、無線によるネットワークを介して接続される。ネットワークには、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)などが含まれる。
サーバシステムは典型的には、CPU、メインメモリを有し、これらはバスに接続されている。該バスに、ディスプレイ・コントローラを介して、LCDモニタなどの表示装置が接続されている。また、該バスに、IDEまたはSATAコントローラを介して、記憶装置、例えばハードディスク、CD又はDVDの各種ドライブが接続されている。クライアントシステムも、サーバシステムと同様の内部構成を有する。
【0063】
サーバシステムの記憶装置は、三次元仮想世界を提供する仮想空間構成アプリケーションと、三次元仮想空間を実現するためのデータベースを記憶している。該仮想世界構成アプリケーションは、クライアントシステムからの種々の要求に応じて、必要なデータを該データベースから取得する。データベースは、施設の外観を表示するためのデータ、並びに上記に述べたソース空間のデータ、オリジナル空間のデータ、及びコピー空間のデータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】施設のオリジナル空間の表示のフローチャートである。
【図2】施設のコピー空間の表示のフローチャートである。
【図3】施設のコピー空間におけるオブジェクトの表示のフローチャートである。
【図4】施設のコピー空間の表示のフローチャートである。
【図5】オリジナル空間とコピー空間との関係を示す図である。
【図6A】友達アバターがコピー空間に入るフローチャートである。
【図6B】コピー空間に入るためのメニューを示す図である。
【図7】話しかけられた店員アバターの空間にフォーカスをうつすフローチャートである。
【図8】現実世界の店員が見ている表示装置の画面である。
【図9】本発明の取引システムの図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元仮想空間(ネットワークとコンピュータを使って実現する社会、所謂サイバースペース)上の施設において安全に取引を行うための方法、プログラム及びそのサーバシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セカンドライフ(Second Life)に代表されるような三次元仮想空間上において、ユーザは、アバターと呼ばれるユーザの代わりに行動するユーザの分身を介して、商品の提供又はサービスの提供を含む様々な取引を行うことができる。しかし、例えば上記セカンドライフでは誰でもログインID及びパスワードを入手することが可能であるので、原則として誰でもセカンドライフの三次元仮想空間上に入ることが可能である。よって、該三次元仮想空間上で店舗を運営する管理者側にとって、店舗を訪れたユーザ(顧客である)が悪意のないユーザであるかどうかを判断することは難しい。一方、三次元仮想空間上では三次元仮想空間の管理人から土地を借りることによって誰でも店舗を運営すること可能であるので、ユーザ側にとって、店舗(店舗を運営する管理者と同視できる)又は店舗を管理するサーバシステム(該サーバシステムを運営する管理者と同視できる)が真正なものであるかどうかを判断することは難しい。
【0003】
また、三次元仮想空間上では、ユーザは、自身のアバター(以下、ユーザアバターという)を介して店舗の店員アバターとコミュニケーションをしているつもりでも、意図せずに、関係のない第三者アバターに聞こえるようにコミュニケーションしていたり或いは取引内容が該第三者アバターにわかってしまったりすることがある。さらに、店員アバターとのコミュニケーション内容が店舗中にアナウンスされていたりすることがある。そのために、取引内容の秘匿性に問題がある。また、悪意のある第三者アバターが店員アバターのふりをしている場合がある。このような場合、ユーザアバターは悪意のある第三者アバターに話しかけてしまう可能性がある。結果として、ユーザは、悪意のある第三者から間違った情報を教えられたり或いは高い価格で商品等を購入させられたりといったフィッシング詐欺まがいのことが生じる可能性もある。さらには、店舗そのものがフィッシング詐欺をしている可能性もある。
【0004】
従来技術として、三次元仮想空間上に既存のウェブサイトへのリンクを設け、商品を購入する際には該ウェブサイト上で取引をすることが出来るようにしたサイトがある。該ウェブサイト上での取引では、取引者間の情報を暗号化して送受信するプロトコル、例えばSSL(Secure Socket Layer)を使用して、取引の安全性を図っている。しかし、該ウェブサイト上での取引では、三次元仮想空間上での取引と異なり、ユーザは商品を三次元で見ることができない。また、三次元仮想空間上での取引では、ユーザは、ユーザアバターを介して店員アバターとリアルタイムでチャットし或いは音声によるコミュニケーションをすることができるので、現実世界(リアルライフ)の取引で行われるやりとりと同様の様式で取引をすることができる。一方、該ウェブサイト上での取引では、ユーザはリアルタイムに店員から直接話を聞くことができない。さらに、該ウェブサイト上での取引では、ユーザは三次元仮想空間からウェブサイトに一旦出なければいけないので、操作上煩わしい。
【0005】
特開2004-192451号公報は、仮想空間遠隔操作システムを開示する。該仮想空間遠隔システムは、宅内ネットワークに接続されている家電機器を、仮想空間という遊技性を持ったユーザインタフェースを用いて制御することを可能にし、且つプライベートな仮想空間を限定したメンバーだけで共有する。しかし、該プライベートな仮想空間では、利用者の個人ID及びパスワードを使用してアクセス制御しているにすぎない。
【0006】
特開2002-312612号公報は、仮想生活を実現する仮想空間提供方法を開示する。該仮想空間提供方法では、仮想的な街空間をネットワーク経由でアクセス可能なサーバ上に予め形成し、該街空間の中にユーザを象徴するキャラクタの仮想的な部屋を開設する。従って、該仮想的な部屋は、仮想空間内に建物の一部として部屋を新たに設けたにすぎない。
【0007】
特開2001-154966号公報は、共有仮想空間上で複数ユーザが参加可能な仮想会話を支援するための会話支援システムを開示する。該会話支援システムでは、通信相手が同一の共有仮想空間上に存在していなくても、アバターが持つ仮想携帯電話に、実世界上の電話、あるいは別の仮想空間上の電話を接続する。従って、該仮想携帯電話は、別に存在する仮想空間間に存在するアバター同士が通信できるようにしたにすぎない。
【0008】
特開平10-240966号公報は、三次元仮想空間におけるオブジェクトの動作確認方法を開示する。該動作確認方法では、オブジェクトの動作確認を行うためにリハーサル空間を表示する。該リハーサル空間では、オブジェクトの動作の際に接触すべき対象となる他オブジェクトやユーザを簡略化したオブジェクトにより表現する。しかし、該リハーサル空間は、オブジェクトの動作を確認するために設けられたものであって、取引とは何ら関係ない。
【0009】
別の技術として、三次元仮想空間上に商談室を設けている例がある。しかし、商談室の数には限りがある上、商品を並べるような様式で陳列しておく店舗には適用することができない。
【0010】
【特許文献1】特開2004-192451号公報
【特許文献2】特開2002-312612号公報
【特許文献3】特開2001-154966号公報
【特許文献4】特開平10-240966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
三次元仮想空間において安全に取引を行う方法が、施設を運営する管理者及びユーザのいずれ側からも要望されている。さらに、三次元仮想空間での取引における上記秘匿性及びフィッシング詐欺等の問題を解決することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムにおいて、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上でクライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うための方法を提供する。該方法は、
上記サーバシステムが、施設内に上記第1のアバターが入るためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、該サーバシステムの記憶装置に格納された、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて上記施設に関連付けられた第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信するステップと、
上記サーバシステムが、上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、上記記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認するステップと、
上記入ることができる場合に、上記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信するステップと
を含む。上記ステップの実行によりコピー空間を作成することによって、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる。
上記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて上記施設に関連付けられた第2のアバターデータが上記クライアントシステムに送信されることに応じて、上記クライアントシステムは、上記施設のオリジナル空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを受信して、該クライアントシステムに接続された表示装置上に表示することが可能になる。
上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信されることに応じて、上記クライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを受信して、該受信したデータを該クライアントシステムに接続された表示装置上に表示することが可能になる。
上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができない場合、上記サーバシステムは、上記クライアントシステムに対して、コピー空間を作成できないエラーメッセージを送信する。そして、該クライアントシステムに接続された表示措置上に該エラーメッセージが表示されるか、或いは音声メッセージとしてユーザに伝えられる。
【0013】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信するステップをさらに含む。クライアント側システムからすれば、本発明はまた、上記クライアントシステムが、上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するための上記ユーザ要求に応じて、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するステップをさらに提供する。
【0014】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターが上記施設のコピー空間に入るための第2のユーザ要求を他のクライアントシステムから受信することに応じて、上記記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第3のアバターが上記コピー空間内に入ることが出来るかどうかを確認するステップと、
上記第3のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、上記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ、第2のアバターデータ及び第3のアバターデータを上記他のクライアントシステムに送信し、且つ上記施設のコピー空間のための第3のアバターデータを上記クライアントシステムに送信するステップと
をさらに含む。上記ステップの実行により、上記他のクライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ、上記第2のアバターデータ及び上記第3のアバターデータを受信して、該他のクライアントシステムに接続された表示装置上に表示し、さらに上記クライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記第3のアバターデータを受信して、該クライアントシステムに接続された上記表示装置上に表示することが可能になる。
【0015】
上記取引を行うための方法は、コンピュータ読み取り可能なプログラムによって実施される。該プログラムは、クライアントシステム用或いはサーバシステム用として別個に配布されてもよく、或いはクライアントシステム用及びサーバシステム用が同梱され頒布されてもよい。いずれにしても、該プログラムは、クライアントシステム或いはサーバシステムによって実行されうる。一つの態様として、該プログラムは、記録媒体、例えばCD−ROM、DVD−ROM内にコンピュータ読み取り可能な様式で記録されて、頒布される。他の態様として、該プログラムは、サーバシステムから通信回線を介してダウンロード可能なようにサーバシステムの記憶装置内に記憶され、そしてクライアントシステム或いはサーバシステムの要求に応じて頒布される。
【0016】
本発明はまた、少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムであって、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上で、クライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うためのサーバシステムを提供する。
上記サーバシステムは、
施設内に上記第1のアバターが入るためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて上記施設に関連付けられた第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信する手段と、
上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信することに応じて、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認する手段と、
上記入ることができる場合に、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを上記クライアントシステムに送信する手段と、
上記施設のオリジナル空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータと、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータと、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストとを記憶する記憶装置と
を含む。上記コピー空間を作成することによって、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる。
上記クライアントシステムは表示装置に接続され、上記クライアントシステムは、上記サーバシステムから送信される上記オリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータ、及び/又は上記サーバシステムから送信される上記コピー空間のためのオブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ及び上記第2のアバターデータを上記表示装置上に表示する手段を含む。
上記サーバシステムは、上記第1のアバター及び上記第2のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができない場合、上記クライアントシステムに対して、コピー空間を作成できないエラーメッセージを送信する手段をさらに含む。該エラーメッセージを受信したクライアントシステムはさらに、該クライアントシステムに接続された表示措置上に該エラーメッセージを表示する手段、或いは該エラーメッセージを音声メッセージとしてユーザに伝える手段をさらに含む。
【0017】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を上記クライアントシステムから受信する手段をさらに提供する。クライアントシステム側からすれば、本発明はまた、上記クライアントシステムが、上記施設のオリジナル空間をコピーして上記施設のコピー空間を生成するための上記ユーザ要求に応じて、上記施設又は上記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認する手段をさらに提供する。
【0018】
本発明はまた、上記サーバシステムが、上記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターが上記施設のコピー空間に入るための第2のユーザ要求を他のクライアントシステムから受信することに応じて、上記記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、上記第3のアバターが上記コピー空間内に入ることが出来るかどうかを確認する手段と、
上記第3のアバターが上記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、上記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ、第2のアバターデータ及び第3のアバターデータを上記他のクライアントシステムに送信し、且つ上記施設のコピー空間のための第3のアバターデータを上記クライアントシステムに送信する手段と
をさらに含む。上記コピー空間に第3のアバターが入ることができることによって、上記他のクライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記オブジェクトデータ並びに上記第1のアバターデータ、上記第2のアバターデータ及び上記第3のアバターデータを受信して、該他のクライアントシステムに接続された表示装置上に該データを表示することが可能になる。さらに上記クライアントシステムが、上記施設のコピー空間のための上記第3のアバターデータを受信して、該クライアントシステムに接続された上記表示装置上に該データを表示することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、三次元仮想空間上の施設のオリジナル空間のコピー空間を作る。該コピー空間には該コピー空間に入ることを許されたアバターだけが入ることができるので、施設(施設を運営する管理者と同視できる)とユーザアバター(ユーザと同視できる)との間で安全に取引をすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明では、三次元仮想空間上の施設のオリジナル空間についてコピー空間を作る。以下に、オリジナル空間及びコピー空間について夫々説明するとともに、オリジナル空間及びコピー空間の表示装置上での表示方法について説明する。
【0021】
オリジナル空間とは、三次元仮想空間に入った際にデフォルトで表示装置上に表示される空間である。クライアントシステムに接続された表示装置上でのオリジナル空間の表示は、サーバシステムから、クライアントシステムに表示情報を送ることによって行われる。また、オリジナル空間の表示情報は、サーバシステム及びクライアントシステムの各記憶装置に格納される。
【0022】
オリジナル空間には、オブジェクトに加えてアバターが表示される。施設のオリジナル空間においても、オブジェクトに加えてアバターが表示される。アバターとして、ユーザアバター、店員アバターに加えて、第三者アバター、例えば悪意のあるアバターを含む。
【0023】
コピー空間とは、ユーザの要求によって作成される新たな空間であって、或る時点におけるオリジナル空間のコピーと同じである。コピー空間は、サーバシステムにおいて、主記憶のメモリ領域をアロケートして、そこに、アバター及びオブジェクトをコピーすることによって、実現される。
【0024】
コピー空間が一旦作成されると、コピー空間はオリジナル空間と独立して存在する。ただし、コピー空間は、三次元仮想空間上に一時的に存在し、永久的には保持されない空間である。コピー空間には、オブジェクトに加えてアバターが表示される。しかし、下記で述べるように、コピー空間に入れるアバターはアクセス権リストによって制限されている点で、オリジナル空間と異なる。
【0025】
最初に、オリジナル空間の表示について、施設のオリジナル空間の表示を例として、下記に説明する。
施設のオリジナル空間の表示のために、施設のソース空間のデータを作成する。施設のソース空間のデータは、施設を運営する管理者が任意の時点における施設のオリジナル空間のデータ、すなわちオブジェクト及びアバターの各データをコピーする指示を該管理者のコンピュータシステムからサーバシステムに、或いは該サーバシステムに直接命令することによって作成される。よって、オリジナル空間のデータをコピーした時点において、コピー元であるオリジナル空間におけるオブジェクトデータ及びアバターデータは、コピー先であるソース空間におけるオブジェクトデータ及びアバターデータと同じでありうる。該ソース空間のデータは、定期的に或いは任意の時間で自動更新されるようにサーバシステムに設定しうる。該ソース空間のデータ及びオリジナル空間のデータは、サーバシステムの記憶装置、例えばハードディスク(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)内に格納される。ソース空間のデータが作成されると、以後、オリジナル空間のデータは、ソース空間のデータとの差分データで表される。よって、オリジナル空間の表示のために、ソース空間のデータ(下記に述べるオブジェクトのポリゴンデータ及びアバターのポリゴンデータである)と上記差分データ、例えばオブジェクトの位置及び向きのデータ並びにアバターの位置及び向きのデータを使用する。該差分データを使用することによって、サーバシステムからクライアントシステムに送信するオリジナル空間の表示のためのデータ通信量を削減することができる。
【0026】
ソース空間のデータとして、オブジェクトデータ及びアバターデータが含まれうる。
ソース空間のためのオブジェクトデータは、例えば下記に示すようなオブジェクト表で表すことができる。ソース空間のためのオブジェクト表(下記表1)は、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号、該オブジェクト番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータ並びに該オブジェクト番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。
ソース空間のアバターデータは、例えば下記に示すようなアバター表で表すことができる。ソース空間のためのアバター表(下記表2)は、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号及び該アバター番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有する。ソース空間のためのアバター表は、アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有していない。アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータは、下記に述べるように、オリジナル空間のためのアバター表が有している。
ソース空間のデータは、施設を管理するサーバシステム、他のサーバシステム及びユーザのクライアントシステムにおいて、グローバルに共有されうる。施設のソース空間のデータは、例えばユーザが施設内に入ることをサーバシステムに要求することに応じて、他のサーバシステム及び/又は少なくとも1のクライアントシステムに送信されうる。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
オリジナル空間のデータとして、オブジェクトデータ及びアバターデータが含まれうる。
オリジナル空間のデータとしてさらに、オリジナル空間のためのアクセス権リストが含まれうる。該アクセス権リストは、オリジナル空間のデータとして含まれていても含まれていなくてもよい。
オリジナル空間のためのオブジェクトデータは、例えば下記に示すようなオブジェクト表で表すことができる。オリジナル空間のためのオブジェクト表(下記表3)は、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号、並びに該オブジェクト番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。オリジナル空間のためのオブジェクト表は、ソース空間のためのオブジェクト表と異なり、オブジェクト番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、オリジナル空間の表示において、オブジェクトのポリゴンデータとして、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータが用いられるからである。オリジナル空間のためのオブジェクト表の位置及び向きのデータが、ソース空間のためのオブジェクトデータとの差分データである。よって、オリジナル空間においてオブジェクトが表示されるために、各オブジェクトについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、オリジナル空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
オリジナル空間のアバターデータは、例えば下記に示すようなアバター表で表すことができる。オリジナル空間のためのアバター表(下記表4)は、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号及び該アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。オリジナル空間のアバター表は、ソース空間のアバター表と異なり、アバター番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、オリジナル空間の表示において、アバターのポリゴンデータとして、ソース空間のためのアバター表のポリゴンデータが用いられるからである。オリジナル空間のためのアバター表の位置及び向きのデータが、ソース空間のアバターデータとの差分データである。よって、オリジナル空間においてアバターが表示されるために、各アバターについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、オリジナル空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
オリジナル空間のためのアクセス権リスト(下記表5)は、アバター番号と、該アバター番号に関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を有する。一つのアバターに対して、該一つのアバターに固有のアバター番号が付される。アバターの種類によって、すなわちユーザ(顧客)アバターと店員アバターによって、許可されている動作項目と許可されていない動作項目の内容を異ならせることができる。動作項目として、施設への進入、取引、スクリプトの動作などをあげることができるが、これらに限定されない。例えば、アクセス制御として、店員アバターには三次元仮想空間のためのスクリプトの動作を許可するが、ユーザアバターにはスクリプトの動作を制限し或いは許可しない。なぜならば、オリジナル空間内においてユーザアバターによるスクリプトの動作の制限をしないと、オリジナル空間のオブジェクト或いはオリジナル空間のためのアクセス権リストが書き換えられる恐れがあり、オリジナル空間の安全が維持されない場合があるからである。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
次に、施設のコピー空間の表示について、下記に説明する。
施設のコピー空間の表示のために、上記した施設のソース空間のデータを使用する。コピー空間のデータは、ソース空間のデータとの差分データで表される。よって、コピー空間の表示のために、ソース空間のデータ(上記したオブジェクトのポリゴンデータ及びアバターのポリゴンデータである)と上記差分データ、例えばオブジェクトの位置及び向きのデータ並びにアバターの位置及び向きのデータを使用する。該差分データを使用することによって、サーバシステムからクライアントシステムに送信するコピー空間の表示のためのデータ通信量を削減することができる。
また、コピー空間の表示のためにソース空間を用いない場合、オリジナル空間上で動いたオブジェクトがコピー空間上でも同時に動いてしまう。そのために、コピー空間上でオブジェクトが勝手に動いてしまうという現象、言い換えれば透明人間がオブジェクトを動かしているようなミステリー的な現象がおきてしまう。なぜならば、コピー空間のオブジェクト表示のためにオリジナル空間のためのオブジェクトデータを直接的に参照している場合、オリジナル空間のオブジェクトの移動、すなわちオブジェクトデータの変更が直接的にコピー空間のオブジェクトデータに反映されてしまうからである。しかし、ソース空間を導入することによって、オリジナル空間上で移動したオブジェクトがコピー空間上でも移動するということを防ぐことができる。
【0034】
コピー空間のデータとして、オブジェクトデータ、アバターデータ及びアクセス権リストが含まれうる。
コピー空間のためのオブジェクトデータは、例えば下記に示すようなオブジェクト表で表すことができる。コピー空間のためのオブジェクト表(下記表6)は、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号、並びに該オブジェクト番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。コピー空間のためのオブジェクト表は、ソース空間のためのオブジェクト表と異なり、オブジェクト番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、コピー空間の表示において、オブジェクトのポリゴンデータとして、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータが用いられるからである。コピー空間のためのオブジェクト表の位置及び向きのデータが、ソース空間のためのオブジェクトデータとの差分データである。よって、コピー空間においてオブジェクトが表示されるために、各オブジェクトについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、コピー空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
コピー空間のアバターデータは、例えば下記に示すようなアバター表で表すことができる。コピー空間のためのアバター表(下記表7)は、アバター夫々に関連付けられたアバター番号及び該アバター番号の夫々に関連付けられた位置及び向きのデータを有する。コピー空間のアバター表は、ソース空間のアバター表と異なり、アバター番号の夫々に関連付けられたポリゴンデータを有していない。これは、コピー空間の表示において、アバターのポリゴンデータとして、ソース空間のためのアバター表のポリゴンデータが用いられるからである。コピー空間のためのアバター表の位置及び向きのデータが、ソース空間のアバターデータとの差分データである。よって、コピー空間においてアバターが表示されるために、各アバターについて、ソース空間のためのオブジェクト表のポリゴンデータと、コピー空間のための位置及び向きのデータとを少なくとも必要とする。
コピー空間のためのアクセス権リスト(下記表8)は、アバター番号と、該アバター番号に関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を有する。上記したオリジナル空間のためのアクセス権リストとコピー空間のためのアクセス権リストは、同じ表にまとめられていてもよく、或いは異なる表であってもよい。動作項目として、コピー空間の作成、コピー空間への進入、取引、友達アバターのコピー空間への進入、スクリプトの動作などをあげることができるが、これらに限定されない。コピー空間の作成として、施設を運営する管理者がコピーを作成することを認めた施設以外の施設をコピーできないように設定できる。アバターの種類によって、すなわちユーザ(顧客)アバター、店員アバター、下記に述べるユーザアバターの友達アバター及び第三者アバターによって、許可されている動作項目と許可されていない動作項目の内容を異ならせることができる。例えば、アクセス制御として、店員アバターには三次元仮想空間のためのスクリプトの動作を許可するが、ユーザアバター(及びその友達アバター)にはスクリプトの動作を制限し或いは許可しない。なぜならば、コピー空間内においてユーザアバター(及びその友達アバター)によるスクリプトの動作の制限をしないと、コピー空間のオブジェクト或いはコピー空間のためのアクセス権リストが書き換えられる恐れがあり、コピー空間の安全が維持されない場合があるからである。
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】
上記したように、オリジナル空間及びコピー空間の表示において、いずれもソース空間のデータを用いる。このことによって、両方の空間がユーザのクライアントシステム或いは施設を運営する管理者のサーバシステムの表示装置上において同時に表示される場合であっても、クライアントシステム或いはサーバシステムのメモリペナルティが最小限ですむ点で有利である。
【0039】
コピー空間は、下記の特徴を有する。
コピー空間へは、コピー空間のためのアクセス権リスト(表8)で許可されたアバターしか入ることができない。原則として、一つのコピー空間には、コピー空間を作ることを要求したユーザアバター一人及び施設を運営する管理者が認めた店員アバターしか入ることができないようにアクセス権リストを設定する。このような制限を設けることで、第三者アバターがコピー空間へ入ることを制限できる。
また、ユーザアバターについて許可されている行動は、コピー空間のためのアクセス権リストの動作項目によって定められている。よって、ユーザアバターのとりうる行動はコピー空間上では制限されており、施設を運営する管理者が認めた行動しか取ることが出来ない。
さらに、オリジナル空間とコピー空間とは、独立して存在するのでオリジナル空間に居るアバターからコピー空間をのぞき見することは出来ない。従って、オリジナル空間のアバターは、コピー空間での取引を知ることはできない。
以上の通り、本発明では、上記のコピー空間において取引を行うことによって、上記秘匿性及びフィッシング詐欺の問題を解決することできるので、三次元仮想空間での取引の安全性が確保される。
【0040】
コピー空間は、ユーザアバター、すなわち顧客アバターの要求に応じていくつでも作ることができるので、コピー空間の数は原則として制限されない。よって、三次元仮想空間で安全に取引可能な空間の数は、従来の商談室のように制限されることはない。ただし、施設を運営する管理者は、現実世界の店員が店員アバターを制御しうる数を考慮して、コピー空間の数を制限することも可能である。
【0041】
以下では、ユーザが三次元仮想空間に入ってから、施設において取引をおこなうまでの方法を、図1〜図9を参照しながら、順次説明をする。
【0042】
三次元仮想空間上でのユーザの行為は、ユーザアバターを介して行われる。以下の説明において、ユーザの行為は、ユーザアバターの三次元仮想空間上での行為でもある場合がある。
【0043】
ユーザは、クライアントシステム上でウェブブラウザ或いは三次元仮想空間のための専用ソフトを起動して、三次元仮想空間にログインする。ログイン方法は、慣用的な方法を用いて行われる。例えば、ユーザは、ログインする際にユーザに関連付けられたユーザID及びパスワードを上記ウェブブラウザ或いは上記専用ソフトの所定の欄に入力装置、例えばキーボードを介して手動で入力する。或いは、クライアントシステムの記憶装置、例えばハードディスク(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)内に格納されたユーザID及びパスワードが、自動で上記ウェブブラウザ或いは上記専用ソフトに入力されるように制御(例えば、スクリプト制御)してもよい。該ユーザID及びパスワードは、好ましくは暗号化して、上記クライアントシステムの記憶装置内に保存されている。入力したユーザID及びパスワードが三次元仮想空間への進入(ログイン)を管理するサーバシステムによって承認されることによって、ユーザは、三次元仮想空間に自身のアバターを進入(表示)させることができる。該進入した際の三次元仮想区間が、オリジナル空間である。該三次元仮想空間は、ユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に表示される。クライアントシステムは、パーソナルコンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、ゲーム機、携帯電話を含むが、これらに限定されない。
【0044】
ユーザが三次元仮想空間上の施設において取引を望む場合に、ユーザアバターを施設内の空間(施設のオリジナル空間)に進める。施設には、商品の提供を行う小売業、例えば小売店、スーパーマーケット、百貨店、及びサービスの提供を行う講演会場、オークション会場、美術館、映画館、銀行などを挙げることができるがこれらに限定されない。取引には、三次元仮想空間或いは現実世界に存在する商品の提供、或いは三次元仮想空間或いは現実世界に存在する講演、オークション、美術館、映画館、銀行、場所(例えば、会議室、体育館、踊りのための練習場)の提供などのサービスの提供を含みうる。三次元仮想空間上で提供される場所の提供では、その提供数は制限されない。
【0045】
ユーザアバターが施設内に入ると、施設内にオブジェクト、ユーザアバター及び該施設に所属する店員アバターが表示される。店員アバターは、ユーザアバターが施設内に入った直後に施設内に存在しなくともよい。ユーザアバターが店員アバターを呼び出すことに応じて店員アバターが施設内に呼び出されて、表示されるようにしてもよい。施設内には、上記ユーザアバター以外に、第三者アバターが存在してもよい。第三者アバターは、他のユーザアバターを含む。店員アバターは一人に限られず、複数の店員アバターが存在するようにしてもよい。施設内のオブジェクトには、施設の家具、電化製品、取引のための商品、取引のための商品及びサービスに関連したグッズ、例えばパンフレットなどの施設の内部を構成しうる全てのオブジェクトが含まれる。
【0046】
施設のオリジナル空間の表示は、例えば図1に示されているステップに従い行われる。
クライアントシステムが、ユーザからの施設に入るための要求の入力を受信することに応じて、施設を管理するサーバシステムに該要求を送信する(ステップ101)。上記サーバシステムは、該要求を受信することに応じて、施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び必要に応じて店員アバターデータを、施設に入ってきたユーザアバターに関連付けられたクライアントシステムに送信する(ステップ102)。上記したように、店員アバターユーザアバターが施設内に入った直後に施設内に存在しない場合があるので、上記サーバシステムは、ユーザからの上記要求に応じて店員アバターデータを上記クライアントシステムに送信する必要はない。ユーザアバターが店員アバターを呼び出すことの上記クライアントシステムからの要求に応じて、上記サーバシステムは、ユーザからの上記要求に応じて店員アバターデータを上記クライアントシステムに送信する。上記クライアントシステムは、送信されてきた上記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のオリジナル空間を再構築し、上記クライアントシステムに接続された表示装置上に施設のオリジナル空間を表示する(ステップ103)。
【0047】
ユーザは、施設との間で安全な取引が必要になった場合に、施設のオリジナル空間をコピーしてコピー空間を作成することを施設、すなわち施設を管理するサーバシステムに要求できる。コピー空間は、オリジナル空間と同様に、オブジェクトに加えてアバターがいる空間である。しかし、コピー空間には、アクセス権リストにおいて許可されたアバターしか存在しない点で、オリジナル空間と異なる。アクセス権リストにおいて許可されたアバターとは、施設を運営する管理者が認めたアバター(例えば、店員アバター等)、及びコピー空間を作成することを要求したユーザが認めたアバター(例えば、ユーザアバターおよびその友達アバター等)である。
【0048】
施設のコピー空間を表示するための一つの態様を、図2に示されているステップに従い説明する。
ユーザが施設との間で取引をしたい場合、ユーザは施設のコピー空間を作成することをサーバシステムに要求する(ステップ201)。一つの態様として、該要求は、ユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に表示されるメニュー表示、例えば「コピー空間の作成」を入力装置、たとえばマウスによって選択することによって行われる。別の態様として、該要求は、ユーザの音声によるクライアントシステムへの指示、例えば「コピー空間を作成」によって行われる。ユーザの該要求は、上記クライアントシステムから施設を管理するサーバシステムに送信される。該ユーザの要求に応じて、サーバシステムは、ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかをコピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する(ステップ202)。コピー空間にコピーされる店員アバターは、施設を運営する管理者が予め決めておいてもよい。或いは、施設のコピー空間を作成することを要求する前に、ユーザがコミュニケーションをしていた店員アバターであってもよい。いずれの場合においても、店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかをコピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する。ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有する場合、サーバシステムは、コピー空間のデータを作成する(ステップ203)。コピー空間のデータは、サーバシステムの記憶装置に記憶される。一方、ユーザアバター及び店員アバターの一方或いは両方がコピー空間に入ることができる権利を有していない場合、サーバシステムはコピー空間の作成を拒否する。該許否のメッセージがサーバシステムからクライアントシステムに送信され、上記クライアントシステムに接続された表示装置上にメッセージとして表示されるか、或いは音声としてユーザに知らされる。ステップ203に戻り、コピー空間のデータが作成されると、サーバシステムが、施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータを、施設に入ってきたユーザアバターに関連付けられたクライアントシステムに送信する(ステップ204)。該クライアントシステムは、送信されてきた上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のコピー空間を再構築し、該クライアントシステムに接続された表示装置上に施設のコピー空間を表示する(ステップ205)。
上記方法によって、施設を運営する管理者は、取引をするユーザの権限に制御を設けることができるために、安全な取引をすることが可能になる。
【0049】
施設のコピー空間を表示するための別の態様を、図3に示されているステップに従い説明する。
ユーザが施設との間で取引をしたい場合、ユーザは施設のコピー空間を作成することをサーバシステムに要求する(ステップ301)。該要求の態様は、上記で述べたとおりである。該ユーザの要求に応じて、クライアントシステムは、施設、或いは施設を管理するサーバシステムが真正であるかどうかを確認する(ステップ302)。このことによって、施設、或いは施設を管理するサーバシステムが真正(本物)であるかどうかの認証を行うことが可能となるので、施設そのものがフィッシング詐欺をしている場合に有効である。施設が真正であるかどうかの確認には、認証システム、例えば公開鍵暗号方式を使用することができる。その一例は、下記の通りである。
1.クライアントシステムのブラウザが、施設を管理するサーバシステムに、認証することを要求する;
2.該要求を受信したサーバシステムは、認証機関のシステムに証明書の発行の申請を送信する。
3.認証機関(CA)のシステムが、上記サーバシステムからの申請を受けて、認証機関の秘密鍵で暗号化された証明書をサーバシステムに発行する;
4.上記サーバシステムが、上記証明書及び該サーバシステムの公開鍵を上記クライアントシステムに送信する;
5.上記クライアントシステムのブラウザは、認証機関の公開鍵を使って、上記証明書を復号化し、上記サーバシステムが信頼できる相手かどうかを判断する。
なお、任意であるが、施設が真正である場合、上記クライアントシステムと施設を管理する上記サーバシステムとの間でSSL通信を行うことの出来るチャネルを同時に張り、通信内容を暗号化することができる。具体的には、上記1〜5の手順に引き続き、下記手順が行われる。
6.上記クライアントシステムが共通鍵をランダムに生成する;
7.上記クライアントシステムが、生成した共通鍵を上記サーバシステムの公開鍵で暗号化して上記サーバシステムに送信する;
8.上記サーバシステムが、上記クライアントシステムからの上記暗号化された共通鍵を、上記サーバシステムの秘密鍵で復号化する;
9.上記サーバシステム及び上記クライアントシステムが、上記共通鍵を暗号化鍵として用い、通信内容を暗号化して通信する。
次に、施設が真正である場合、上記サーバシステムは、ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかをコピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する(ステップ303)。一方、施設が真正でないことに応じて、すなわち施設が偽の施設である場合、コピー空間は作成されない。上記クライアントシステムは、施設が真正でないためにコピー空間が作成されないことをユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に(警告として)表示するか、或いは音声としてユーザに知らせる。
ユーザアバター及び店員アバターがコピー空間に入ることができる権利を有する場合、サーバシステムは、コピー空間のデータを作成する(ステップ304)。コピー空間のデータは、サーバシステムの記憶装置に記憶される。一方、ユーザアバター及び店員アバターの一方或いは両方がコピー空間に入ることができる権利を有していない場合、サーバシステムはコピー空間の作成を拒否する。該許否のメッセージがサーバシステムからクライアントシステムに送信され、上記クライアントシステムに接続された表示装置上にメッセージとして表示されるか、或いは音声としてユーザに知らされる。ステップ304に戻り、コピー空間のデータが作成されると、サーバシステムが、施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータを、施設に入ってきたユーザアバターに関連付けられたクライアントシステムに送信する(ステップ305)。該クライアントシステムは、送信されてきた上記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のコピー空間を再構築し、該クライアントシステムに接続された表示装置上に施設のコピー空間を表示する(ステップ306)。
上記方法によって、施設を運営する管理者は、取引をするユーザの権限に制御を設けることができるので、ユーザとの間で安全な取引をすることが可能になる。一方、ユーザは、取引をする施設が真正であるかを確認できるので、施設によるフィッシング詐欺等の問題を心配しなくてすむ。
【0050】
コピー空間におけるオブジェクト表示は、例えば図4に示されているステップに従い行われる。
サーバシステムが、ソース空間のデータ及びコピー空間のデータをその記憶装置からクライアントシステムに送信する(ステップ401)。クライアントシステムは、上記データを受信し、夫々のオブジェクトデータについて差分データがあるかどうかをコピー空間のための各データから確認する。差分データがある場合(ステップ402)、ソース空間のオブジェクトのポリゴンデータ並びにコピー空間のオブジェクトの位置及び向きのデータを用いて、オブジェクトをクライアントシステムに接続された表示装置上に表示する(ステップ403)。一方、差分データがない場合(ステップ402)、ソース空間のオブジェクトのポリゴンデータ並びにコピー空間のオブジェクトの位置及び向きのデータを用いて、オブジェクトをクライアントシステムに接続された表示装置上に表示する(ステップ404)。以後、全てのオブジェクトが表示されるまで、ステップを繰り返す(ステップ405)。
オリジナル空間におけるオブジェクトの表示も、上記したコピー空間におけるオブジェクト表示と同様の方法に従い行われる。
【0051】
コピー空間におけるアバターの表示は、下記に説明するステップに従い行われる。
サーバシステムが、ソース空間のデータ及びコピー空間のデータをその記憶装置からクライアントシステムに送信する。クライアントシステムは、上記データを受信し、ソース空間のアバターのポリゴンデータ並びにコピー空間のアバターの位置及び向きのデータを用いて、アバターをクライアントシステムに接続された表示装置上に表示する。
オリジナル空間におけるアバターの表示も、上記したコピー空間におけるアバター表示と同様の方法に従いに行われる。
【0052】
オリジナル空間とコピー空間との関係について、以下に説明する。
図5に見られるように、コピー空間が作成されている場合、コピー空間を作成することを要求したユーザアバターは、コピー空間にのみ存在し、オリジナル空間には存在しない。一方、店員アバターは、オリジナル空間及びコピー空間の両方に存在することができる。
オリジナル空間で起きた事象のうち、アバターに関する事象はコピー空間及びソース空間のデータに影響を及ぼさない。例えば、オリジナル空間に第三者アバターが表れたとしてもコピー空間に該第三者のアバターは表示されない。なぜならば、該第三者のアバターは、コピー空間に入るアクセス権限を有しないためである。しかし、オリジナル空間で起きた事象のうち、例えば商品が品切れして表示されないというオブジェクトに関する事象はコピー空間に反映されうる。そうしないと、商品がないにもかかわらず、コピー空間での取引がおこなわれてしまうという不都合があるためである。また、コピー空間で起きた事象のうち、アバターに関連する事象もオリジナル空間及びソース空間のデータに影響を及ぼさない。しかし、コピー空間で起きた事象のうち、例えば商品が品切れして表示されないというオブジェクトに関する事象はオリジナル空間に反映されうる。そうしないと、商品がないにもかかわらず、オリジナル空間で該商品が表示され、取引がおこなわれてしまうという不都合があるためである。
また、コピー空間上でオブジェクトが作成された場合、ソース空間のデータとして該オブジェクトに関連付けられた番号及び該オブジェクトのポリゴンデータが追加され、且つコピー空間のデータとして該オブジェクトに関連付けられた番号並びに該オブジェクトの位置及び向きのデータが追加される。しかし、コピー空間上で作成されたオブジェクトはオリジナル空間上に反映されないので、オリジナル空間のデータは変更されない。
【0053】
アクセス権リストは、施設を運営する管理者によって予め設定されうる。また、施設を運営するサーバシステムが、コピー空間を作成することを要求したユーザが所謂ブラックリストに掲載されているかどうかを所定のサーバシステム格納されたブラックリスト・データベースを使用して確認し、それによってコピー空間のためのアクセス権リストを変更してもよい。例えば、コピー空間を作成することを要求したユーザが所謂ブラックリストに掲載されていれば、施設を運営するサーバシステムは、コピー空間へ入ることを許可しないようにコピー空間のためのアクセス権リストを動的に変更可能であるようにできる。コピー空間には、オリジナル空間とは異なるアクセス制御をかけることができる。
【0054】
コピー空間のためのアクセス権リストの動作項目として、コピー空間の作成、コピー空間への進入、取引、ユーザアバターに関連付けられた他のアバター、例えばユーザアバターの友達アバターのコピー空間への進入、スクリプトの動作等をあげることができるがこれらに制限されない。
【0055】
コピー空間において、ユーザアバターは、現実世界と同様に店員アバターとコミュニケーションをし、取引を進めることができる。コミュニケーションの方法として、表示装置上でのチャット形式、或いは音声入力装置及び出力装置を介する形式をとりうる。
【0056】
ユーザアバターが作成したコピー空間に、該ユーザアバターの友達アバターが入ることを可能にすることができる。友達アバターが、ユーザアバターによって作成されたコピー空間に入る方法を、図6Aに従い説明する。
友達アバターが施設に訪れる(ステップ601)。友達アバターはユーザアバターとともに施設に入ってもよく、或いはユーザアバターに遅れて入ってもよい。しかし、友達アバターはユーザアバターがコピー空間を作成すること又はコピー空間を作成していることを、何らかの手段、例えばメール、現実世界の電話等により予め知っている必要がある。友達は、ユーザアバターによって既に作成されたコピー空間に入ることをサーバシステムに要求する(ステップ602)。一つの態様として、該要求は、友達のクライアントシステムに接続された表示装置上に表示されるメニュー表示(図6Bを参照)、例えば「空間1に入る」を入力装置、たとえばマウスによって選択することによって行われる。別の態様として、該要求は、友達の音声によるクライアントシステムへの指示、例えば「コピー空間1に入る」によって行われる。友達の該要求は、友達のクライアントシステムから施設を管理するサーバシステムに送信される。該友達の要求に応じて、サーバシステムは、友達アバターが、友達アバターによって要求されたコピー空間、すなわちユーザによって既に作成されているコピー空間に入ることができる権利を有するかどうかを、コピー空間のためのアクセス権リストに従い確認する(ステップ603)。ユーザアバターは、自身が作成したコピー空間に友達アバターを入ることが出来ることを施設に予め伝えておくことによって、施設はアクセス権リストの友達アバターに関する動作項目を更新することができる。或いは、施設を運営するサーバシステムの管理者は、友達アバターがコピー空間に入ることができることをデフォルトでアクセス権リストに設定でき、そしてコピー空間に入ることを要求した友達が上記したブラックリストに掲載されているかどうかを所定のサーバシステム格納されたデータベースを使用して確認し、それによってコピー空間のためのアクセス権リストの上記動作項目を変更してもよい。このようにすることによって、ユーザアバターがコピー空間に友達アバターを勝手に連れ込むこと、或いは友達アバターがユーザアバターの作成したコピー空間に勝手に入ることを防ぐことができる。友達アバターがコピー空間に入ることができる権利を有する場合、サーバシステムは、施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ及び店員アバターデータに加えて、コピー空間のための友達アバターデータを友達のクライアントシステムに送信する(ステップ605)。一方、友達アバターが、友達アバターによって要求されたコピー空間に入ることができる権利を有しない場合、サーバシステムはコピー空間に入ることを拒否する。該許否のメッセージがサーバシステムから友達のクライアントシステムに送信され、友達のクライアントシステムの表示装置上にメッセージとして表示されるか、或いは音声として友達に知らされる。ステップ605では、友達のクライアントシステムは、送信されてきた上記コピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターデータ、友達アバターデータ及び店員アバターデータに基づいて施設のコピー空間を再構築し、友達のクライアントシステムに接続された表示装置上に施設の該コピー空間を表示する。友達のクライアントシステムに接続された表示装置上に施設の該コピー空間が表示されると、コピー空間内にユーザアバターの友達アバターも表示される。また、上記ユーザアバターのクライアントシステムに接続された表示上のコピー空間内にも、友達アバターが表示される。なお、ユーザアバターと友達アバターのアクセス権リストの許可されている動作項目及び許可されていない動作項目は異なりうる。例えば、ユーザアバターは取引の動作項目を許可されているが、友達アバターは取引の動作項目を許可されないように設定することができる。
【0057】
コピー空間における施設の店員アバターについて、下記に説明する。
オリジナル空間の店員アバターをコピー空間に移動させてしまうと、オリジナル空間に店員がいなくなってしまう。そこで、店員アバターは、ユーザアバターと異なり、施設のオリジナル空間とコピー空間との間を自由に行き来できるようにすることが好ましい。さらには、施設内に複数のユーザアバターが存在し、そのために施設のコピー空間が複数存在する場合、店員アバターは、施設のオリジナル空間と複数のコピー空間との間を必要に応じて自由に行き来できるようにすることが好ましい。そのために、店員アバターは、オリジナル空間及び1以上のコピー空間に表示されうる。現実世界の店員は、オリジナル空間の店員アバターと1以上のコピー空間の店員アバターの全てを取り扱うが、複数の空間上の店員アバターを同時に取り扱うことは困難である。そこで、店員アバターの属する一つ空間にフォーカスをあて、他の空間には店員アバターを表示するが、該空間にフォーカスをあてないようにすることができる。フォーカスのある空間に属する店員アバターは、該空間上で話しかけられたユーザアバターとコミュニケーションをすることができる。しかし、フォーカスのない空間に属する店員アバターは、該空間上で話しかけられたユーザアバターとコミュニケーションをすることができない。
【0058】
同一の店員アバターが施設のオリジナル空間と複数のコピー空間とに存在する場合、オリジナル空間上だけでなく、コピー空間上においても、ユーザアバターから話しかけられる。このような場合、話しかけられた店員アバターの属する空間にフォーカスをうつす必要がある場合がある。以下に、同一の店員アバターが複数の空間に存在する場合に、話しかけられた店員アバターの属する空間にフォーカスをうつす方法を、図7に従い説明する。
現実世界の店員が操作していない店員アバターが、オリジナル空間或いはコピー空間においてユーザアバターから話しかけられる又は話をすることを要求される場合がある(ステップ701)。この場合、店員アバターを操作する現実世界の店員は、表示装置上でフォーカスをあてたい空間、すなわちオリジナル空間又はコピー空間のいずれか、或いはオリジナル空間又は複数のコピー空間のうちの一つのいずれかを選択することによって、フォーカスのある空間を切り替えることができる。フォーカスのある空間に属する店員アバターは、該空間上で話しかけられたユーザアバターとコミュニケーションをすることができる。話しかけられた又は話をすることを要求された空間が、現実世界の店員が現在操作している店員アバターが存在する空間(すなわちフォーカスのある空間)である場合(ステップ702)、該空間はすでにフォーカスされている。よって、店員アバターは、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターとそのままコミュニケーションをすることができる(ステップ703)。一方、話しかけられた又は話をすることを要求された空間が、現実世界の店員が現在操作している店員アバターが存在しない空間(すなわちフォーカスのない空間)である場合(ステップ702)、店員アバターが該ユーザアバターと他の空間で既に話をしているかどうかを確認する(ステップ704)。店員アバターが該ユーザアバターと他の空間で既に話をしている場合、話しかけられた他の空間にフォーカスをうつし(ステップ705)、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターと話をする(ステップ703)。一方、店員アバターが該ユーザアバターと他の空間で既に話をしていない場合、店員アバターは話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターを待たせるかどうかを選択する(ステップ706)。該選択は、現実世界の店員が見ている表示装置の画面上に表示される選択メニューで選択することができる。該ユーザアバターを待たせない場合、店員アバターは現在話をしているユーザアバターを待たせ(ステップ707)、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターと話をする(ステップ703)。一方、該ユーザアバターを待たせる場合、店員アバターは、現在話をしているユーザアバターと話を続け、該ユーザアバターとの話が終わり次第、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターの存在する空間にフォーカスを移動する(ステップ608)。そして、店員アバターは、話しかけてきた又は話をすることを要求したユーザアバターと話をする(ステップ703)。
【0059】
図8に、現実世界の店員が見ている表示装置の画面を示す。現実世界の店員が見ている表示装置は、サーバシステムに直接接続された表示装置、或いは、該サーバシステムにコンピュータネットワークを介して接続された店員用のクライアントシステムに接続された表示装置でありうる。
図8では、該表示装置上に、オリジナル空間、2つのコピー空間(コピー空間1、コピー空間2)、及びチャットスペースが表示されている。コピー空間1は、ユーザ1によって作成されたコピー空間である。コピー空間2は、ユーザ2によって作成されたコピー空間である。現在、オリジナル空間にフォーカスがあたっているので、該オリジナル空間は2つのコピー空間に比べて大きく表示されている。現実世界の店員は、チャットスペースを介してフォーカスの当たっている空間(図8ではオリジナル空間)に存在するユーザアバターとコミュニケーションをすることができる。現実世界の店員は、フォーカスの当たっていない空間のユーザアバターから話しかけられた又は話をすることを要求されたことを表示装置の画面上に表示されるメッセージ(アラート)により知ることができる。現実世界の店員は、フォーカスを当てたい空間が表示されている画面上の領域を入力装置、例えばマウスでのクリックにより選択することによって或いはメニューからフォーカスを当てたい空間の番号、例えばコピー空間1を選択することによって、フォーカスの当たっている空間を変更することができる。そして、現実世界の店員は、フォーカスの当たっている空間の店員アバターを操作することができるようになる。このようにして、同一の店員アバターが複数の空間に存在していても、現実世界の店員は、該店員アバターを夫々の空間で操作することが可能になる。
なお、現実世界のユーザが見ている表示装置の画面も、現実世界の店員が見ている表示装置の画面とほぼ同じように構成される。すなわち、該ユーザのクライアントに接続された表示装置上には、オリジナル空間、コピー空間及びチャットスペースが表示される。ただし、該ユーザが見ている表示装置の画面では、コピー空間として、該ユーザが作成したコピー空間、或いは友達が作成したコピー空間であって且つ該コピー空間内に該ユーザが入っているコピー空間しか表示されない。
【0060】
取引の対象が三次元仮想空間上での商品又はサービスである場合に、コピー空間において取引が成立すると、施設を管理するサーバシステムは、コピー空間での取引内容を三次元仮想空間のオリジナル空間に反映することができる。例えば、ユーザアバターが、コピー空間において三次元仮想空間上に存在する商品を購入した場合、該商品は、コピーされてユーザアバターの所有物となる。或いは、ユーザアバターが、コピー空間において三次元仮想空間上で提供されるサービスを購入した場合、ユーザアバターは、オリジナル空間上又は該サービスが提供されるコピー空間上で該サービスの提供を受けることができる。一方、取引の対象が現実の商品又はサービスである場合、施設は、現実の商品又はサービスをユーザに配送し又は提供するために、現実の店舗(を管理するサーバシステム)に取引内容を伝える。
【0061】
ユーザアバターが施設から出ること、すなわち施設のコピー空間における施設から出ることに応じて又はコピー空間からオリジナル空間へ戻るためのユーザの要求をクライアントシステムから受信することに応じて、施設を管理するサーバシステムは、コピー空間のデータ、すなわちコピー空間のためのオブジェクトデータ並びにユーザアバターのデータ及び店員アバターのデータを削除する。そして、ユーザのクライアントシステム及び施設のクライアントシステムは、夫々に接続された表示装置上からコピー空間の表示を削除する。或いは、上記サーバシステムは、コピー空間から、ユーザアバター、店員アバターなどのアバターが誰もいなくなった場合に、コピー空間を消滅させることができる。一つの態様として、該要求は、ユーザのクライアントシステムに接続された表示装置上に表示されるメニュー表示、例えば「コピー空間の消滅」を入力装置、たとえばマウスによって選択することによって行われる。別の態様として、該要求は、ユーザの音声によるクライアントシステムへの指示、例えば「コピー空間を消滅」によって行われる。ユーザの該要求は、施設を管理するサーバシステムに送信される。
【0062】
本発明において、本発明を実現するための取引システムは、図9に示すように、三次元仮想空間、施設を実現するための少なくとも1のサーバシステム、及び該サーバシステムに接続されたユーザの少なくとも1のクライアントシステムを含む。該サーバシステムと該クライアントシステムとは、コンピュータネットワーク、例えば有線によるネットワーク、無線によるネットワークを介して接続される。ネットワークには、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)などが含まれる。
サーバシステムは典型的には、CPU、メインメモリを有し、これらはバスに接続されている。該バスに、ディスプレイ・コントローラを介して、LCDモニタなどの表示装置が接続されている。また、該バスに、IDEまたはSATAコントローラを介して、記憶装置、例えばハードディスク、CD又はDVDの各種ドライブが接続されている。クライアントシステムも、サーバシステムと同様の内部構成を有する。
【0063】
サーバシステムの記憶装置は、三次元仮想世界を提供する仮想空間構成アプリケーションと、三次元仮想空間を実現するためのデータベースを記憶している。該仮想世界構成アプリケーションは、クライアントシステムからの種々の要求に応じて、必要なデータを該データベースから取得する。データベースは、施設の外観を表示するためのデータ、並びに上記に述べたソース空間のデータ、オリジナル空間のデータ、及びコピー空間のデータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】施設のオリジナル空間の表示のフローチャートである。
【図2】施設のコピー空間の表示のフローチャートである。
【図3】施設のコピー空間におけるオブジェクトの表示のフローチャートである。
【図4】施設のコピー空間の表示のフローチャートである。
【図5】オリジナル空間とコピー空間との関係を示す図である。
【図6A】友達アバターがコピー空間に入るフローチャートである。
【図6B】コピー空間に入るためのメニューを示す図である。
【図7】話しかけられた店員アバターの空間にフォーカスをうつすフローチャートである。
【図8】現実世界の店員が見ている表示装置の画面である。
【図9】本発明の取引システムの図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムにおいて、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上でクライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うための方法において、
前記サーバシステムが、施設内に前記第1のアバターが入るためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、該サーバシステムの記憶装置に格納された、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて前記施設に関連付けられた第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信するステップと、
前記サーバシステムが、前記施設のオリジナル空間をコピーして前記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、前記記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認するステップと、
上記入ることができる場合に、前記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信するステップと
を含み、
それによって前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる、前記方法。
【請求項2】
前記サーバシステムが、前記施設又は前記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクセス権リストが、前記第1のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目、並びに前記第2のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サーバシステムが、前記第1のアバターが前記施設のコピー空間における施設から出ることに応じて又は前記コピー空間から前記オリジナル空間へ戻るためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、前記施設のコピー空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータを前記記憶装置内から削除するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のオリジナル空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含み、
前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のコピー空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サーバシステムが、前記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターが前記施設のコピー空間に入るための第2のユーザ要求を他のクライアントシステムから受信することに応じて、前記記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、前記第3のアバターが前記コピー空間内に入ることが出来るかどうかを確認するステップと、
前記第3のアバターが前記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、前記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ、第2のアバターデータ及び第3のアバターデータを前記他のクライアントシステムに送信し、且つ前記施設のコピー空間のための第3のアバターデータを前記クライアントシステムに送信するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記施設のコピー空間が前記施設のオリジナル空間とともに前記クライアントシステムに接続された前記表示装置上に表示され、該表示装置上に表示された前記施設のコピー空間の表示又は前記施設のオリジナル空間の表示を選択することによって、フォーカスされる空間を切り替えることが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のアバターが前記クライアントシステムに接続された前記表示装置上に表示された前記施設のコピー空間内及び前記施設のオリジナル空間内のいずれにも表示され、フォーカスされる空間の前記切り替えによって、フォーカスのある空間において前記第2のアバターが前記第1のアバターとコミュニケーションすることが可能になる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムであって、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上で、クライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うためのサーバシステムにおいて、
施設内に前記第1のアバターが入るためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて前記施設に関連付けられた第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信する手段と、
前記施設のオリジナル空間をコピーして前記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認する手段と、
上記入ることができる場合に、前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信する手段と、
前記施設のオリジナル空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータと、前記施設のコピー空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータと、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストとを記憶する記憶装置と
を含み、
それによって前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる、前記サーバシステム。
【請求項10】
前記サーバシステムが、前記施設又は前記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信する手段をさらに含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項11】
前記アクセス権リストが、前記第1のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目、並びに前記第2のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項12】
前記サーバシステムが、前記施設のコピー空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータを前記記憶装置内から削除する手段をさらに含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項13】
前記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のオリジナル空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含み、
前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のコピー空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含む、
請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項14】
前記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターデータについて、前記記憶装置が、前記施設のオリジナル空間のための第3のアバターデータと、前記施設のコピー空間のための第3のアバターデータとをさらに記憶し、前記アクセス権リストが、前記第3のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目をさらに含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項15】
前記第3のアバターが前記アクセス権リストに従い前記第1のアバターによって作成された前記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、前記表示する手段が、前記クライアントシステムに接続された前記表示装置上に表示された前記施設のコピー空間内に前記第3のアバターをさらに表示する、請求項14に記載のサーバシステム。
【請求項16】
少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムにおいて、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上でクライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うためのプログラムであって、前記サーバシステムに請求項1〜8のいずれか一項に記載のステップを実行させる、前記プログラム。
【請求項1】
少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムにおいて、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上でクライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うための方法において、
前記サーバシステムが、施設内に前記第1のアバターが入るためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、該サーバシステムの記憶装置に格納された、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて前記施設に関連付けられた第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信するステップと、
前記サーバシステムが、前記施設のオリジナル空間をコピーして前記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、前記記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認するステップと、
上記入ることができる場合に、前記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信するステップと
を含み、
それによって前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる、前記方法。
【請求項2】
前記サーバシステムが、前記施設又は前記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクセス権リストが、前記第1のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目、並びに前記第2のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サーバシステムが、前記第1のアバターが前記施設のコピー空間における施設から出ることに応じて又は前記コピー空間から前記オリジナル空間へ戻るためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、前記施設のコピー空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータを前記記憶装置内から削除するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のオリジナル空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含み、
前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のコピー空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サーバシステムが、前記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターが前記施設のコピー空間に入るための第2のユーザ要求を他のクライアントシステムから受信することに応じて、前記記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、前記第3のアバターが前記コピー空間内に入ることが出来るかどうかを確認するステップと、
前記第3のアバターが前記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、前記サーバシステムが、該サーバシステムの記憶装置に格納された、前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ、第2のアバターデータ及び第3のアバターデータを前記他のクライアントシステムに送信し、且つ前記施設のコピー空間のための第3のアバターデータを前記クライアントシステムに送信するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記施設のコピー空間が前記施設のオリジナル空間とともに前記クライアントシステムに接続された前記表示装置上に表示され、該表示装置上に表示された前記施設のコピー空間の表示又は前記施設のオリジナル空間の表示を選択することによって、フォーカスされる空間を切り替えることが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のアバターが前記クライアントシステムに接続された前記表示装置上に表示された前記施設のコピー空間内及び前記施設のオリジナル空間内のいずれにも表示され、フォーカスされる空間の前記切り替えによって、フォーカスのある空間において前記第2のアバターが前記第1のアバターとコミュニケーションすることが可能になる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムであって、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上で、クライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うためのサーバシステムにおいて、
施設内に前記第1のアバターが入るためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、該要求された施設内の空間(以下、施設のオリジナル空間という)のためのオブジェクトデータ並びに第1のアバターデータ及び必要に応じて前記施設に関連付けられた第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信する手段と、
前記施設のオリジナル空間をコピーして前記施設のコピー空間を生成するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信することに応じて、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストに従い、前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記コピー空間内に入ることができるかどうかを確認する手段と、
上記入ることができる場合に、前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータを前記クライアントシステムに送信する手段と、
前記施設のオリジナル空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータと、前記施設のコピー空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータと、前記施設のコピー空間のためのアクセス権リストとを記憶する記憶装置と
を含み、
それによって前記第1のアバター及び前記第2のアバターが前記施設のコピー空間上で取引をすることが可能になる、前記サーバシステム。
【請求項10】
前記サーバシステムが、前記施設又は前記施設を提供するサーバシステムが真正であるかどうかを確認するためのユーザ要求を前記クライアントシステムから受信する手段をさらに含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項11】
前記アクセス権リストが、前記第1のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目、並びに前記第2のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目を含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項12】
前記サーバシステムが、前記施設のコピー空間のための前記オブジェクトデータ並びに前記第1のアバターデータ及び前記第2のアバターデータを前記記憶装置内から削除する手段をさらに含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項13】
前記施設のオリジナル空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のオリジナル空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含み、
前記施設のコピー空間のためのオブジェクトデータが、オブジェクトの夫々に関連付けられたオブジェクト番号並びにオブジェクトの夫々の位置及び向きのデータを含み、前記施設のコピー空間のためのアバターデータが、アバターの夫々に関連付けられたアバター番号並びにアバターの夫々の位置及び向きのデータを含む、
請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項14】
前記第1のアバターに関連付けられた第3のアバターデータについて、前記記憶装置が、前記施設のオリジナル空間のための第3のアバターデータと、前記施設のコピー空間のための第3のアバターデータとをさらに記憶し、前記アクセス権リストが、前記第3のアバターに関連付けられた許可されている動作項目及び許可されていない動作項目をさらに含む、請求項9に記載のサーバシステム。
【請求項15】
前記第3のアバターが前記アクセス権リストに従い前記第1のアバターによって作成された前記施設のコピー空間内に入ることができる場合に、前記表示する手段が、前記クライアントシステムに接続された前記表示装置上に表示された前記施設のコピー空間内に前記第3のアバターをさらに表示する、請求項14に記載のサーバシステム。
【請求項16】
少なくとも1のクライアントシステムがコンピュータネットワークを介して接続された少なくとも1のサーバシステムにおいて、該サーバシステムによって提供される三次元仮想空間上でクライアントシステムのユーザに関連付けられた第1のアバターとサーバシステムによって提供される施設との間で取引を行うためのプログラムであって、前記サーバシステムに請求項1〜8のいずれか一項に記載のステップを実行させる、前記プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−129154(P2009−129154A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302801(P2007−302801)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
【復代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
【復代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
【Fターム(参考)】
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