説明

三次元位置情報生成装置、方法及びプログラム

【課題】建物の所望のフロアに存在する対象物に関する情報をそのフロアの三次元位置情報に関連付けるときに、三次元位置情報を生成するための手間と時間の短縮、及び建物周辺の環境に無関係な三次元位置情報の生成を可能にする。
【解決手段】建物内に存在する対象物の住所情報を取得し(ステップS11)、その住所情報の内の建物住所情報からその建物の緯度情報及び経度情報を取得する(ステップS12)。緯度情報及び経度情報から、その建物が存在する位置の標高情報を取得する(ステップS13)。対象物の住所情報の内の階数情報と一階当たりの高さ情報とに基づいて、前記対象物が位置するフロアの高さ情報を取得する(ステップS14)。そのフロアの高さ情報に建物の標高情報を加算することで、対象物の標高情報を算出する(ステップS15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の所望のフロアの三次元位置情報を生成する装置、方法及びプログラムに関し、さらに詳しくは、携帯端末装置の位置及び向きに応じて、その位置及び向きに対応する位置に存在する建物内の店舗などに関する情報をその携帯端末装置に提供するシステムに用いて好適な三次元位置情報生成装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなシステムとして、カメラ付携帯電話機などのカメラ付携帯端末装置と、通信ネットワークを介してカメラ付携帯端末装置と通信可能なサーバとを有し、カメラ付携帯端末装置は建物の撮影中に位置情報及び向き情報をサーバへ送信し、サーバは受信した位置情報及び向き情報に対応する位置に存在する建物内の店舗などに関する情報をカメラ付携帯端末装置へ送信し、カメラ付携帯端末装置では受信した情報を撮影中の建物の画像に付加してディスプレイに表示することで、拡張現実感を実現するシステムがある(特許文献1参照)。
【0003】
このシステムでは、サーバのデータベースには、建物内に存在する店舗などの対象物(オブジェクト)に関する情報がその対象物の存在するフロアの三次元位置情報(緯度情報、経度情報、標高情報)に対応付けられて保存されており、サーバは、携帯端末装置から送信された位置情報及び向き情報を受信し、それらの情報に対応する位置に存在する建物を特定するとともに、その建物内に存在する対象物に関する情報をデータベースから検索して携帯端末装置へ送信する。携帯端末装置のディスプレイには、撮影中の建物内に存在する対象物に関する情報が対象物の存在するフロアを識別できるように表示される。
【0004】
ここで、対象物が存在するフロアの三次元位置情報を生成するために、特許文献1に記載されているシステムでは、携帯端末装置の三次元位置(緯度、経度、標高)をGPS受信機などにより測定し、次にその三次元位置に対する建物の所望のフロアの方向を方位センサ(地磁気センサや加速度センサ)により測定するとともに、そのフロア迄の距離を超音波やレーザ光の反射による距離計測方法などを用いて測定することにより、対象物が存在するフロアの三次元位置情報を生成している(特許文献1の「0068」〜「0070」)。
【0005】
このように、携帯端末装置の三次元位置を基準位置とし、その基準位置に対する建物の所望のフロアの方位及び距離を求めることで、建物の所望のフロアの三次元位置情報を生成することにより、実際にその建物のフロアに入ることなく、そのフロアに存在する対象物に関する情報をそのフロアの三次元位置に関連付けることができる。
【0006】
しかしながら、この位置測定方法では、携帯端末装置のユーザが建物の所望のフロアを撮影可能な場所へ行き、そのフロアが画面の中央に位置するように携帯端末装置のカメラを向けることが必要となるだけでなく、携帯端末装置から建物の所望のフロア迄の距離測定も必要であるため、手間と時間がかかる。また、撮影、携帯端末装置の位置測定、或いは携帯端末装置から建物の所望のフロア迄の距離測定が不可能な環境に建物が位置していることも有り得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−355058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、建物の所望のフロアに存在する対象物に関する情報をそのフロアの三次元位置情報に関連付けるときに、そのフロアの三次元位置情報を生成するための手間と時間を短縮できるようにするとともに、建物周辺の環境にかかわらず三次元位置情報を生成できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の三次元位置情報生成装置は、建物内に存在する対象物の住所情報が保存されている住所情報記憶部から、該対象物の住所情報の内、該建物の位置を示す建物位置情報を取得する建物位置情報取得手段と、住所情報と緯度情報及び経度情報とが対応付けられて保存されている住所対二次元位置記憶部から、前記建物位置情報取得手段で取得された建物位置情報に対応する緯度情報及び経度情報を取得する二次元位置情報取得手段と、土地の緯度情報及び経度情報と標高情報とが対応付けられて保存されている二次元位置対標高記憶部から、前記二次元位置情報取得手段で取得された緯度情報及び経度情報に対応する標高情報を取得する標高情報取得手段と、前記住所情報記憶部から、前記対象物の住所情報の内、前記対象物が存在するフロアの階数を示す階数情報を取得する階数情報取得手段と、該階数情報取得手段で取得された階数情報と、予め設定されている一階当たりの高さ情報とに基づいて、前記対象物が存在するフロアの高さ情報を取得するフロア高さ情報取得手段と、該フロア高さ情報取得手段で取得されたフロアの高さ情報を前記標高情報取得手段で取得された標高情報に加算することで、前記対象物が存在するフロアの標高情報を取得する対象物標高情報取得手段とを有することを特徴とする三次元位置情報生成装置である。
本発明の三次元位置情報生成方法は、建物内に存在する対象物の住所情報が保存されている住所情報記憶部から、該対象物の住所情報の内、該建物の位置を示す建物位置情報を取得する建物位置情報取得工程と、住所情報と緯度情報及び経度情報とが対応付けられて保存されている住所対二次元位置記憶部から、前記建物位置情報取得工程で取得された建物位置情報に対応する緯度情報及び経度情報を取得する二次元位置情報取得工程と、土地の緯度情報及び経度情報と標高情報とが対応付けられて保存されている二次元位置対標高記憶部から、前記二次元位置情報取得工程で取得された緯度情報及び経度情報に対応する標高情報を取得する標高情報取得工程と、前記住所情報記憶部から、前記対象物の住所情報の内、前記対象物が存在するフロアの階数を示す階数情報を取得する階数情報取得工程と、該階数情報取得工程で取得された階数情報と、予め設定されている一階当たりの高さ情報とに基づいて、前記対象物が存在するフロアの高さ情報を取得するフロア高さ情報取得工程と、該フロア高さ情報取得工程で取得されたフロアの高さ情報を前記標高情報取得工程で取得された標高情報に加算することで、前記対象物が存在するフロアの標高情報を取得する対象物標高情報取得工程とを有することを特徴とする三次元位置情報生成方法である。
【0010】
[作用]
本発明によれば、建物内に存在する対象物の住所情報の内の建物住所情報からその建物の緯度情報及び経度情報を取得し、その緯度情報及び経度情報から、その建物が存在する土地の標高情報を取得し、前記対象物の住所情報の内の階数情報と一階当たりの高さ情報とに基づいて、前記対象物が存在するフロアの高さ情報を取得し、そのフロアの高さ情報に前記建物の標高情報を加算することで、前記対象物が存在するフロアの標高情報を取得する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、建物の所望のフロアに存在する対象物に関する情報をそのフロアの三次元位置情報に関連付けるときに、そのフロアの三次元位置情報を生成するための手間と時間を短縮することができ、かつ建物周辺の環境にかかわらず三次元位置情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の高さ情報生成装置を含むシステムを示す図である。
【図2】図1における位置関連情報提供装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態におけるデータ構造を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における位置関連情報の格納手順を示すフローチャートである。
【図5】図4における三次元位置情報取得手順の内容を示すフローチャートである。
【図6】図4における三次元位置情報取得手順の概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
〈システム構成〉
図1に、本発明の実施形態の高さ情報生成装置を含むシステムを示す。このシステムは、それぞれがインターネット等のネットワーク1に接続される位置関連情報提供装置2、住所情報サーバ3、二次元位置情報サーバ4、標高情報サーバ5、及びフロア高さ情報サーバ6、並びに基地局7経由でネットワーク1に接続される携帯端末装置8からなる。ここで、各サーバが別のコンピュータにより構成されていてもよいし、複数のサーバが一つのコンピュータにより構成されていてもよい。
【0014】
携帯端末装置8は撮影機能、位置測定機能、及び通信機能を有する携帯機器であれば何でもよく、例えばデジタルカメラ、カメラ付の、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Personal Navigation Device)、携帯ゲーム機などである。携帯端末装置8と位置関連情報提供装置2とは、基地局7及びネットワーク1を介して通信可能である。
【0015】
携帯端末装置8はカメラの撮影動作中に位置情報及び向き情報を位置関連情報提供装置2へ送信し、位置関連情報提供装置2は受信した位置情報及び向き情報に対応する位置に存在する建物内の対象物に関する情報を携帯端末装置8へ送信し、携帯端末装置8ではその対象物に関する情報を撮影中の建物の画像に付加した画像をディスプレイに表示することで、拡張現実感を実現することができる
【0016】
位置関連情報提供装置2は、位置関連情報、即ち前述した対象物に関する情報を対象物の三次元位置に関連付けて保存するDB(データベース)を有する。また、その位置関連情報を生成する機能を有する。さらに、この位置関連情報を生成する過程で、対象物の三次元位置情報(緯度情報、経度情報、高さ情報)を生成する機能を有する。つまり、位置関連情報提供装置2が、本実施形態の高さ情報生成装置として機能する。
【0017】
住所情報サーバ3、二次元位置情報サーバ4、標高情報サーバ5、フロア高さ情報サーバ6は、それぞれ住所情報DB、二次元位置情報DB、標高情報DB、フロア高さ情報テーブルを備えており、位置関連情報提供装置2が建物内の対象物の三次元位置情報を生成するときに、位置関連情報提供装置2の要求に応じて、必要な情報を提供する。提供する情報の詳細については後述する。
【0018】
〈位置関連情報提供装置の構成〉
図2は位置関連情報提供装置2のブロック図である。位置関連情報提供装置2は、制御部21と、それぞれが制御部21に接続された操作部22、表示部23、通信部24、及び記憶部25を備えている。
【0019】
制御部21はCPU211、ROM212、及びRAM213を含み、この位置関連情報提供装置全体の制御等を行う。CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムをRAM213にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。
【0020】
操作部22は、この位置関連情報提供装置2をオペレータが操作するための各種ボタンからなる。表示部23は、この位置関連情報提供装置2の動作状態や、操作部22からオペレータが入力した情報等を表示するための液晶表示装置などからなる。
【0021】
通信部24はネットワーク1を介して住所情報サーバ3、二次元位置情報サーバ4、標高情報サーバ5、フロア高さ情報サーバ6と通信を行う。また、ネットワーク1及び基地局7を介して携帯端末装置8と通信を行う。記憶部25はHDD(ハードディスク装置)からなり、位置関連情報DB251が設けられている。
【0022】
〈データ構造〉
位置関連情報DB251には、建物内に存在する対象物に関する情報とその三次元位置が相互に関連付けられて保存されている。この位置関連情報は、図3Aに示すように、位置関連情報ID、名称情報、三次元位置情報(緯度情報、経度情報、標高情報)、及び内容情報から構成されている。
【0023】
位置関連情報IDは位置関連情報の識別情報である。名称情報は位置関連情報の名称を示す情報である。三次元位置情報(緯度情報、経度情報、標高情報)は対象物の緯度、経度、及び標高を示す情報である。対象物が建物の一階以外、即ち二階以上或いは地下に位置する場合は、標高情報は対象物の位置するフロアの標高を示す。内容情報は対象物の内容、即ち対象物が店舗や施設等であれば営業時間、商品等である。
【0024】
住所情報サーバ3内の住所情報DBに保存されている情報は、図3Bに示すように、住所情報ID、対象物名称情報、及び住所情報から構成されている。住所情報IDは住所情報の識別情報である。対象物名称情報は対象物の名称を示す情報である。住所情報は対象物の住所を示す情報である。対象物が建物の内部に位置する場合は、住所情報は建物の住所(住居表示や地番)を示す建物住所情報に加えて、建物内の階数情報を持っている。階数情報には階数を示す情報(○○ビル一階、○○ビル二階、○○ビル地下一階等)や、階数を示す数字を含む情報(○○ビル301号、○○ビル508号等)等がある。
【0025】
二次元位置情報サーバ4内の二次元位置情報DBに保存されている情報は、図3Cに示すように、二次元位置情報ID、住所情報、及び二次元位置情報から構成されている。二次元位置情報IDは二次元位置情報の識別情報である。住所情報は二次元位置情報IDにより特定される住所を示す情報である。この住所は土地の住居表示や地番のみであり、建物内の階数情報を含んでいない場合がある。
【0026】
標高情報サーバ5内の標高情報DBに保存されている情報は、図3Dに示すように、標高情報ID、二次元位置情報、及び標高情報から構成されている。標高情報IDは標高情報の識別情報である。この識別情報は所定の領域、例えば50m四方(50m×50mのメッシュ)毎に作成される。二次元位置情報は標高情報IDにより特定される所定の領域の中央に位置する土地の経度情報及び緯度情報である。標高情報は二次元位置情報の示す領域の標高の平均値情報である。
【0027】
フロア高さ情報サーバ6内のフロア高さ情報テーブルに保存されている情報は、図3Eに示すように、階数情報ID、階数情報、及びフロア高さ情報から構成されている。階数情報IDは階数情報の識別情報である。この識別情報は建物のフロアの階数毎に作成される。階数情報は階数情報IDにより特定される階数(二階、三階、地下一階、屋上)等を示す情報である。フロア高さ情報は階数情報により特定されるフロアの高さを示す情報である。
【0028】
フロア高さ情報は高さ係数(一階当たりの高さ)と、フロアの階数とに基づいて算出されたものである。即ち高さ係数をh、フロアの階数をNとすると、フロア高さ情報はh×(N−1)となる。ここで、高さ係数は既存の建物の統計的な平均値を用いる。ただし、より正確なフロア高さ情報を取得するために、各建物の高さを実測し、それをフロア数で割った値を高さ係数としてもよい。
【0029】
〈位置関連情報提供装置に位置関連情報を登録する手順〉
以上の構成を有するシステムにおいて、位置関連情報提供装置2が位置関連情報を登録する手順について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。この図のフローは、位置関連情報提供装置2のCPU211がROM212に格納されているプログラムを実行することにより実現される。
【0030】
位置関連情報提供装置2のオペレータが操作部22を用いて、対象物名及びその対象物に関連付ける内容情報を入力すると、CPU211により位置関連情報IDが生成されるとともに、入力された対象物名及びその対象物に関連付ける内容情報が関連付けられてRAM213に書き込まれる(ステップS1)。このステップにより、図3Aにおける位置関連情報ID、名称情報、及び内容情報がRAM213に保持された状態になる。
【0031】
次いでCPU211は住所情報サーバ3、二次元位置情報サーバ4、標高情報サーバ5、及びフロア高さ情報サーバ6から、ステップS1で入力された対象物の三次元位置情報(緯度情報、経度情報、標高情報)を取得し、RAM213に保持されている位置関連情報ID、名称情報、及び内容情報に対応付けてRAM213に書き込む(ステップS2)。このステップにより、図3Aにおける各情報がRAM213に保持された状態になる。
【0032】
次にCPU211は、RAM213に保持されている各情報を位置関連情報DB251に保存する(ステップS3)。このステップにより、図3Aにおける各情報が位置関連情報DB251に保存される。
【0033】
〈三次元位置情報を取得する手順〉
図4のステップS2の詳細を図5に示す。なお、この図のステップはCPU211が実行するが、以下の説明では便宜上、位置関連情報提供装置2の動作とする。
【0034】
まず位置関連情報提供装置2は、住所情報サーバ3から、対象物の住所情報を取得する(ステップS11)。即ち位置関連情報提供装置2が住所情報サーバ3へ対象物の名称情報を送信すると、住所情報サーバ3は対象物の名称情報を受信し、住所情報DBを参照することで、その名称情報の示す対象物の住所情報を検索して読み出し、位置関連情報提供装置2へ送信する。ここで、対象物が建物のフロアの所定の階数に存在する場合は、住所情報は建物の住所(例、東京都千代田区有楽町一丁目1番1号)を示す建物住所情報に加えて、建物内の階数情報(例、有楽町ビル7F、銀座ビル301号)を持っているので、住所情報サーバ3は建物住所情報及び階数情報を位置関連情報提供装置2へ送信する。
【0035】
次に位置関連情報提供装置2は、二次元位置情報サーバ4から、対象物が存在する建物の経度情報及び緯度情報を取得する(ステップS12)。即ち位置関連情報提供装置2が二次元位置情報サーバ4へ、ステップS11で取得された建物住所情報を送信すると、二次元位置情報サーバ4は建物住所情報を受信し、二次元位置情報DBを参照することで、その建物住所情報の示す土地の緯度情報及び経度情報を検索して読み出し、位置関連情報提供装置2へ送信する。
【0036】
次に位置関連情報提供装置2は、標高情報サーバ5から、対象物が存在する建物の標高情報を取得する(ステップS13)。即ち位置関連情報提供装置2が標高情報サーバ5へ、ステップS12で取得された緯度情報及び経度情報を送信すると、標高情報サーバ5は緯度情報及び経度情報を受信し、標高情報DBを参照することで、その緯度情報及び経度情報の示す土地の標高情報を検索して読み出し、位置関連情報提供装置2へ送信する。
【0037】
次いで位置関連情報提供装置2は、フロア高さ情報サーバ6から、対象物が存在する建物のフロア高さ情報を取得する(ステップS14)。即ち位置関連情報提供装置2がフロア高さ情報サーバ6へ、ステップS11で取得された階数情報を送信すると、フロア高さ情報サーバ6は階数情報を受信し、フロア高さ情報テーブルを参照することで、その階数のフロア高さ情報を読み出し、位置関連情報提供装置2へ送信する。
【0038】
次に位置関連情報提供装置2は、ステップS13で取得された標高情報にステップS14で取得されたフロアの高さ情報を加算することにより、対象物が存在する建物内のフロアの標高情報を算出する(ステップS15)。
【0039】
ステップS12で取得された緯度情報及び経度情報と、ステップS15で取得された標高情報が、図3Aに示す三次元位置情報となる。
【0040】
図6は三次元位置情報取得手順の概念を示す図である。図示のように、住所の内、建物の住所を示す部分“○○県○○市○○町○○丁目○○番○○号”、“△△県△△市△△町△△丁目△△番△△号”から、その建物が位置する地点の二次元位置情報“(Xa,Ya)”、“(Xb,Yb)”を取得し、その二次元位置情報から建物が位置する地点の標高情報“Za”、“Zb”を取得する。また、住所の内、建物内のフロアを示す部分“10F”、“4F”と高さ係数から、フロアの高さ情報“Ha”、“Hb”を取得する。さらに、標高情報“Za”、“Zb”にフロアの高さ情報“Ha”、“Hb”を足すことで、フロアの標高情報を取得する。図6には、ビル内の階数が異なる(10F、4F)ものの、ビルの建っている土地の標高も異なる(Za、Zb)ため、フロアの標高が同じとなり、ユーザには同じ高さに見える場合を示している。
【0041】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態によれば、建物内に存在する対象物の住所情報を取得し、その住所情報の内の建物住所情報からその建物が存在する土地の緯度情報及び経度情報を取得し、その緯度情報及び経度情報から、その建物が存在する土地の標高情報を取得し、前記対象物の住所情報の内の階数情報と高さ係数とに基づいて、前記対象物が位置するフロアの高さ情報を取得し、そのフロアの高さ情報に前記建物が位置する土地の標高情報を加算することで、前記対象物が存在するフロアの標高情報を取得するので、対象物が存在する建物の周辺の環境にかかわらず、対象物が存在するフロアの三次元位置情報(緯度情報、経度情報、及び標高情報)を生成することができる。
【0042】
また、携帯端末装置の三次元位置を基準位置とし、その基準位置に対する建物の所望のフロアの方位及び距離を求めることで、建物の所望のフロアの三次元位置情報を生成する従来装置と比べると、三次元位置情報を生成するための手間と時間が大幅に短縮される。
【0043】
なお、以上の実施形態は、一台の携帯端末装置8に対するリアルタイム処理として説明したが、実際には複数の携帯端末装置に対するバッチ処理で行われる。また、以上の実施形態では、図3Aに示す全ての情報を生成する手順について説明したが、まず図3Aに示す情報の一部(例えば標高情報以外の情報)を作成し、位置関連情報DB251に保存しておき、その後に残りの情報(例えば標高情報)のみを生成して、追加保存することもできる。さらに、図4のステップS1の処理を音声認識により行うこともできる。また、店舗などの名称は分からないが住所は分かる場合は、図4のステップS1において対象物の住所を入力し、図5のステップS11を省略するフローにすることもできる。
【0044】
さらに、例えば東京タワーの大展望台一階などのような著名な建物内の対象物については、ホームページに高さ情報が公開されているので、対象物名を入力することで、直ちにフロア高さ情報を得ることができる。同様に、図3Fに示すデータ構造を有するDBを設けておき、ユーザが名称情報を入力することにより、そのDBから直ちにフロア高さ情報を得られるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
2…位置関連情報提供装置、3…住所情報サーバ、4…二次元位置情報サーバ、5…標高情報サーバ、6…フロア高さ情報サーバ、8…携帯端末装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に存在する対象物の住所情報が保存されている住所情報記憶部から、該対象物の住所情報の内、該建物の位置を示す建物位置情報を取得する建物位置情報取得手段と、
住所情報と緯度情報及び経度情報とが対応付けられて保存されている住所対二次元位置記憶部から、前記建物位置情報取得手段で取得された建物位置情報に対応する緯度情報及び経度情報を取得する二次元位置情報取得手段と、
土地の緯度情報及び経度情報と標高情報とが対応付けられて保存されている二次元位置対標高記憶部から、前記二次元位置情報取得手段で取得された緯度情報及び経度情報に対応する標高情報を取得する標高情報取得手段と、
前記住所情報記憶部から、前記対象物の住所情報の内、前記対象物が存在するフロアの階数を示す階数情報を取得する階数情報取得手段と、
該階数情報取得手段で取得された階数情報と、予め設定されている一階当たりの高さ情報とに基づいて、前記対象物が存在するフロアの高さ情報を取得するフロア高さ情報取得手段と、
該フロア高さ情報取得手段で取得されたフロアの高さ情報を前記標高情報取得手段で取得された標高情報に加算することで、前記対象物が存在するフロアの標高情報を取得する対象物標高情報取得手段と
を有することを特徴とする三次元位置情報生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された三次元位置情報生成装置において、
前記一階当たりの高さは、既存の建物の統計的な平均値であることを特徴とする三次元位置情報生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載された三次元位置情報生成装置において、
前記一階当たりの高さは、前記建物の高さの実測値を前記建物のフロア数で割った値であることを特徴とする三次元位置情報生成装置。
【請求項4】
建物内に存在する対象物の住所情報が保存されている住所情報記憶部から、該対象物の住所情報の内、該建物の位置を示す建物位置情報を取得する建物位置情報取得工程と、
住所情報と緯度情報及び経度情報とが対応付けられて保存されている住所対二次元位置記憶部から、前記建物位置情報取得工程で取得された建物位置情報に対応する緯度情報及び経度情報を取得する二次元位置情報取得工程と、
土地の緯度情報及び経度情報と標高情報とが対応付けられて保存されている二次元位置対標高記憶部から、前記二次元位置情報取得工程で取得された緯度情報及び経度情報に対応する標高情報を取得する標高情報取得工程と、
前記住所情報記憶部から、前記対象物の住所情報の内、前記対象物が存在するフロアの階数を示す階数情報を取得する階数情報取得工程と、
該階数情報取得工程で取得された階数情報と、予め設定されている一階当たりの高さ情報とに基づいて、前記対象物が存在するフロアの高さ情報を取得するフロア高さ情報取得工程と、
該フロア高さ情報取得工程で取得されたフロアの高さ情報を前記標高情報取得工程で取得された標高情報に加算することで、前記対象物が存在するフロアの標高情報を取得する対象物標高情報取得工程と
を有することを特徴とする三次元位置情報生成方法。
【請求項5】
コンピュータを請求項1〜3のいずれかに記載された三次元位置情報生成装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175447(P2011−175447A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38869(P2010−38869)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】