説明

三次元光回路

【課題】光導波路の端部で光接続することができる三次元光回路。
【解決手段】シングルモード光導波路を有する光回路を垂直方向に2層以上積層した積層光回路と、該積層光回路の前記光導波路と光接続するマルチモードコア光導波路と全反射鏡とを有する光反転回路とを備えた三次元光回路であって、前記光反転回路のマルチモードコア光導波路を、一端が、前記積層された光回路のシングルモード光導波路の光入出力端に光接続され、他端が、前記全反射鏡で覆われるように構成して、当該マルチモードコア光導波路の高さと導波路長を、光信号を入力したシングルモード光導波路の光入出力端とは異なるシングルモード光導波路の光入出力端へと光が出力されるように設定することにより、前記2層以上のシングルモード光導波路をそれぞれの光入出力端において垂直方向に光接続することを特徴とする三次元光回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元光回路に関し、さらに詳細には、2層以上の光導波路をそれぞれの導波路端部において垂直方向に光接続して構成される三次元光回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の三次元光回路としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この三次元光回路は、図4に示すように、光導波路11、12が設けられた互いに異なる材質の基板21、22を積層して構成されている。また、2つの光導波路11、12には、それぞれを伝搬する光を結合するために、光導波路11、12が垂直方向において互いに重なる部位に45度ミラー23、24が設けられている。この45度ミラーによって光線光学の手法によりそれぞれの光導波路11、12を光接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−121008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された三次元光回路による光接続方式では、光接続手段である45度ミラー23、24を、基板21、22に設けられた光導波路11、12上に設けなければならない。すなわち、従来の三次元光回路では、基板端面で光接続を行うことができず、基板21、22内での光導波路の接合技術に限定されている。
【0005】
一方、基板の面積全てを光導波路として使用して光回路を形成したい場合、複数の基板上に備えられた光導波路同士の光接続は、基板端部において行われることが望ましいが、従来の三次元光回路では、実現不可能な構成であった。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の課題は、光導波路の端部で光接続することができる三次元光回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、シングルモード光導波路を有する光回路を垂直方向に2層以上積層した積層光回路と、該積層光回路の前記光導波路と光接続するマルチモードコア光導波路と全反射鏡とを有する光反転回路とを備えた三次元光回路であって、前記光反転回路のマルチモードコア光導波路を、一端が、前記積層された光回路のシングルモード光導波路の光入出力端に光接続され、他端が、前記全反射鏡で覆われるように構成して、当該マルチモードコア光導波路の高さと導波路長を、光信号を入力したシングルモード光導波路の光入出力端とは異なるシングルモード光導波路の光入出力端へと光が出力されるように設定することにより、前記2層以上のシングルモード光導波路をそれぞれの光入出力端において垂直方向に光接続することを特徴とする三次元光回路である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の三次元光回路において、前記2層以上の光回路におけるシングルモード光導波路の入出力端は、垂直方向に一定の間隔D_coreで配列され、前記光接続される2つのシングルモード光導波路が属する2つの光回路の層の間に存在する他の光回路の層の数をnとし、前記マルチモードコアは中空コアであり、該中空コアの屈折率n1、クラッドの屈折率n0であり、マルチモードコアが比屈折率nr=sqrt(n1^2―n0^2)であり、光接続される光信号波長がλであるとき、
前記マルチモードコアの高さWe_nは、We_n=(n+1)×D_Core+2×Δ・・・式(1)(式(1)においてΔはシングルモード光導波路端面でのシングルモード電磁界分布に依存する誤差)に基づいて設定され、導波路長Lは、L=3×(2s+1)×L1・・・式(2)(式(2)においてs≧0)、L1=(2×nr×We_n^2)/(3×λ)・・・式(3)に基づいて設定されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の三次元光回路において、積層光回路は、前記前記光接続される2つのシングルモード光導波路の導波路ペアを複数有し、前記マルチモードコア光導波路は、複数の導波路ペアのうち、光接続しようとする導波路ペアのシングルモード光導波路について前記式(1)基づいて決定される前記マルチモードコアの高さWe_nに変更できるよう構成され、前記マルチモードコア光導波路の導波路長は、前記積層光回路に含まれるシングルモード光導波路の導波路ペアに対応して式(2)、(3)に基づいて決定される導波路長の最小公倍数に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光導波路の端部で光接続することができる三次元光回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の三次元光回路の全体構成を説明するための図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の三次元光回路中の光導波路を選択的に光接続可能とした三次元光回路の側面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の三次元光回路中の光導波路を選択的に光接続可能とした三次元光回路の側面図である。
【図4】従来の三次元光回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態にかかる三次元光回路の全体構成を説明する図である。本発明の三次元光回路は、積層光回路6と光反転回路8、9とを対向密着接合して構成される。図1に示す例では、説明を簡易にするために、積層光回路6と光反転回路8または光反転回路9との密着面を分離して示している。
【0013】
積層光回路6は、シングルモード光導波路を有する光回路の層を垂直方向に2層以上積層して構成されている。図示の例では、基板60上に、第1の層1、第2の層2、第3の層3、第4の層4が積層されて積層光回路6が構成されている。各第1の層1、第2の層2、第3の層3、第4の層4には、垂直方向に並列して、シングルモードの光導波路1−1、2−1、3−1、4−1が設けられている。第1の層1と第4の層4には、垂直方向に並列して、それぞれもう1本のシングルモードの光導波路1−2、4−2が設けられている。各層1、2、3、4のシングルモード導波路は、クラッド材料10、20、30、40で保持されている。シングルモード導波路の光入出力端の間隔D_Coreは、一定値となるよう構成されている。シングルモード導波路の光入出力端の数は光導波路の数と同じである。
【0014】
光反転回路8、9は、積層光回路6の端部において光導波路1−1、2−1、3−1、4−1、1−2、4−2と光接続するマルチモードコア光導波路を備えて構成されている。具体的には、光反転回路8、9は、積層光回路6の光導波路の光入出力端1−1R、2−1R、3−1R、4−1R、1−2R、4−2Rとの接合面(紙面左側)のみが開放された中空のマルチモードコア構造を有する筐体84、93によって構成されている。光反転回路8、9の筐体84、92内部には、側面(紙面手前と紙面奥)と端面(紙面右側)に金などの金属が設けられており、全反射構造となっている。また、筐体84、93内部の上下にはクラッドとして機能する反射鏡としての反射材料83、92が設けられて構成されている。反射材料83、92は、例えば光信号波長の1/4の厚みを備えた薄膜を異なる屈折率材料で多層積層した構成とすることができる。この光反転回路8、9の比屈折率nrは、空気の屈折率n0=1、反射材料の屈折率がn0であるとき、nr=sqrtnr=sqrt(n1^2―n0^2)と表せる。
【0015】
また、本発明のマルチモードコア光導波路の高さと導波路長は、光信号を入力したシングルモード光導波路の光入出力端とは異なるシングルモード光導波路の光入出力端へと光が出力されるように設定されている。すなわち、例えば図1に示す三次元光回路においては、光反転回路8のマルチモードコア81は、所定の高さと導波路長に設定することで、光導波路1−1と光導波路2−1との光接続を行い、マルチモードコア82は光導波路3−1と光導波路4−1との光接続を行うよう構成されている。また、光反転回路9のマルチモードコア91は、所定の高さと導波路長に設定することで、光導波路1−2と光導波路4−2との光接続を行うよう構成されている。
【0016】
光反転回路8、9のマルチモードコア81、82、91の高さ81H、82H、91Hは、マルチモードコア光導波路の屈折率nrと光接続される2つのシングルモード光導波路(導波路ペアともいう)が属する2つの光回路の層の間に存在する他の光回路の層の数n(ただし、nは0以上の整数)とビーム径に基づいて設定される。具体的には、式(1)に基づいて設定される。ただし式(1)において、Δはシングルモード光導波路でのコア1−1、2−1、3−1、4−1とクラッド1、2、3、4の比屈折率差によって決定される光閉じ込めと、端面におけるそれぞれのコア間の距離から決定される値であり、すなわちシングルモード光導波路端面でのシングルモード電磁界分布に依存する誤差を示している。
We_n=(n+1)×D_Core+2×Δ・・・式(1)
【0017】
また、マルチモードコア81、82、91の導波路長8L、9Lは、光反転回路基本長さLと他の光回路の層の数nに基づいて設定されている。光反転回路基本長さLとは、光接続される光信号波長と、マルチモードコア光導波路の比屈折率nrと、上記式(1)で設定されるマルチモードコアの高さWe_nとに基づいて決定される値である。光接続される光信号波長をλとすると、具体的には、マルチモードコアの導波路長は式(2)、式(3)に示す値Lに決定される。
L =3×(2s+1)×L1・・・・式(2)
L1=(2×nr×We_n^2)/(3×λ)・・・式(3)
【0018】
なお、光反転回路8、9におけるマルチモードコアの導波路長の2倍の長さが、2本以上のシングルモード光導波路を対向接続可能な多モード干渉光結合器の長さと等価になる。一般に、多モード干渉光結合器(MMI)では、ある特定のシングルモード光導波路から出力されたシングルモード光が、多モード干渉光結合器を構成するマルチモード導波路のコア内で伝搬する際、伝搬定数の異なる高次モードが多数励振される。このとき、マルチモード導波路のコア内の長手方向における周期的な所定の位置で、光結合箇所が周期的に現れる。多モード干渉光結合器においては、周期的に出現する光結合箇所LMMI(s)は以下の式(4)、式(5)で表現される。
LMMI(s)=3×(2s+1)×Lπ s≧0 ・・・・式(4)
Lπ=(4×nr×We_n^2)/(3×λ)・・・・式(5)
【0019】
本発明の光反転回路8、9のマルチモードコアの導波路長は、上記MMIの半分の長さに相当するため、式(2)が成り立つ。
【0020】
ここで本実施形態の三次元光回路の具体的構成の一例について説明する。図1の三次元光回路において、積層光回路6の光導波路1−1、2−1、3−1、4−1、1−2、4−2を、2〜10μm角の断面形状を有し、屈折率1.46を備えるGeが添加されたSiO2をコア材料で構成し、各層1、2、3、4のクラッド材料は、屈折率1.44を備えるSiO2を用いて構成する。また、光反転回路8、9は、中空構造を備えるコア形状を備えた筐体内部の上下に、光信号波長の1/4の厚みを備えた薄膜を異なる屈折率材料で多層積層して得られる反射鏡からなるクラッド82、93を設けて構成する。筐体内部の側面、端面には、金などの金属が設けられており、全反射構造となっている。この光反転回路8、9の比屈折率はnr=1.0であると考えられる。また、光信号波長λは、λ=1.55μmのものを用いることとする。
【0021】
この三次元光回路の光導波路の光入出力端1−1R、2−1R、3−1R、4−1Rそれぞれの間隔D1、D2、D3は4.5μm〜10μmであり、Δは1.75〜10μmであるので、マルチモードコアの高さ81H、82Hは8μm〜30μmとし、マルチモードコアの導波路長8Lは、約80μm〜500μmとすることができる。具体的には、各パラメータλ=1.55μm、nr=1.0、s=0、We_n=8μm、30μmを式(2)、(3)に代入して得られる値、L=82μm、499μmに基づいて導波路長8Lが決定される。
【0022】
また、光導波路の光入出力端1−2R、4−2Rの間隔D4が13.5μm〜30μmであるので、マルチモードコアの高さ91Hは17μm〜50μmであり、マルチモードコアの導波路長9Lは約320μm〜3500μmとすることができる。具体的には、各パラメータλ=1.55μm、nr=1.0、s=0、We_n=17μm、50μmを式(2)、(3)に代入して得られる値、L=372.9μm、3225.8μmに基づいて導波路長9Lが決定される。
【0023】
以上の構造を備えることにより、光導波路の光入出力端1−1Rからの光信号はマルチモードコア81を長さ8L伝搬し、マルチモードコア81の図示右側に設けられる反射面で全反射されて折り返し、再びマルチモードコア81を長さ8L伝搬し、光導波路の光入出力端2−1Rへと導波される。同様に、光導波路の光入出力端3−1Rからの光信号はマルチモードコア82を長さ8Lだけ伝搬し、全反射面で全反射されて折り返し、再びマルチモードコア82を長さ8L伝搬し、光導波路の光入出力端4−1Rへと導波される。さらに、光導波路1−2からの光信号はマルチモードコア91を長さ9L伝搬し、反射面で全反射されて折り返し、再びマルチモードコア91を長さ9L伝搬し、光導波路4−2へと導波される。このように、本実施形態によれば、三次元光回路のシングルモード導波路が設けられた積層光回路の基板の面積全てを光導波路として使用して光回路を形成することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態においてある1つの決まった導波路ペアを光接続していた光反転回路に変えて、複数の導波路ペアを選択的に光接続可能とした光反転回路を用いた態様である。図2(a)、(b)は第2の実施形態にかかる三次元光回路の積層光回路6と光反転回路90の対応関係を示す図であり、図2(a)は第1の層1と第4の層4とを光接続するときの構成を示し、図2(b)は第1の層1と第2の層2とを光接続するときの構成を示している。なお、図2に示す例では説明を簡易にするために、三次元光回路は、積層光回路6と光反転回路90との密着面を分離して示している。
【0025】
本実施形態の三次元光回路にかかる光反転回路90は、第1の実施形態の光反転回路90と異なり、マルチモードコア91のクラッドとして機能する反射材料94が、複数の位置に移動可能に構成されている。反射材料94が移動可能な位置は、導波路ペアに対応して設定される。具体的には、複数の導波路ペアについて実施形態1と同様に式(1)に基づいて算出される複数の位置に設定される。
【0026】
また、マルチモードコア91の導波路長9Lは、光接続の対象となるシングルモード光導波路のペアに対応して設定される。具体的には、光接続の対象となるシングルモード光導波路のペアそれぞれについて、式(2)、(3)に基づいて必要な導波路長を求め、複数求められた導波路長の最小公倍数である長さに設定される。
【0027】
ここで本実施形態の三次元光回路の構成の一例について説明する。光導波路1−1、2−1、3−1、4−1が1μm角の断面形状を持ち、屈折率1.6を備えるGeが添加されたSiO2をコア材料とし、屈折率1.44を備えるSiO2をクラッド材料として備えた積層光回路6を用いて構成され、中空構造を備えるマルチモードコア91を備える光反転回路90で光接続を行う。光反転回路90は、中空構造を備えるコア形状を備えた筐体内部の上下に、光信号波長の1/4の厚みを備えた薄膜を異なる屈折率材料で多層積層して得られる反射鏡からなるクラッド92、94を設けて構成する。筐体内部の側面、端面には、金などの金属が設けられており、全反射構造となっている。この光反転回路8、9の比屈折率はnr=1.0であると考えられる。また、光信号波長λは、λ=1.55μmのものを用いることとする。
【0028】
また、光導波路1−1、2−1、3−1、4−1それぞれの間隔D1、D2、D3が4.5μm〜10μmであり、Δは1.75〜10μmであるので、マルチモードコア91の高さを17μm〜50μmのうちで(91hよりも低い)所定の高さ91H、8μm〜30μmのうちで(91Hよりも高い)所定の高さ91hとの2つの可変的な位置に設定する。
【0029】
またこの光反転回路90は、マルチモードコアの導波路長9Lが320μm〜3500μmに設定される。これは、光導波路1−1と光導波路4−1とを光接続する場合に設定されるべきマルチモードコアの導波路長と、光導波路1−1と光導波路2−1とを光接続する場合に設定されるべきマルチモードコアの導波路長との最小公倍数である。
【0030】
図2(a)の状態においては、コアの高さ91Hは、例えば40μmに設定される。光導波路1−1からの光信号は中空マルチモードコア91を長さ9L伝搬し、全反射機能を備える反射面95で折り返し、再び中空マルチモードコア91を長さ9L伝搬し、光導波路4−1へと導波される。
【0031】
一方、高さ位置可変となるクラッド94を低い位置となる高さ91h(例えば20μm)に移動させて図2(b)の状態にする。この光反転回路90においては、光導波路1−1からの光信号は中空マルチモードコア91を長さ9L伝搬し、全反射機能を備える反射面95で折り返し、再び中空マルチモードコア91を長さ9L伝搬し、光導波路2−1へと導波される。
【0032】
この実施形態によれば、2層以上に積層された基板に設けられた光導波路を任意の層間で光接続を可能とした三次元光回路を提供することができる。
【0033】
以上の実施形態において積層光回路のクラッド材をシリコン基板、導波路をガラス光導波路として図示しているが、これに限ることなくガラス基板とガラス導波路、アクリル基板とポリイミド光導波路などの組み合わせで適用可能であることは言うまでもない。
【0034】
(第3の実施形態)
本実施形態は、積層光回路のシングルモード光導波路が、可塑性の材料で構成されている場合の三次元光回路を示している。本実施形態の三次元光回路では図3に示すように、積層光回路のシングルモード光導波路は、その長さ方向において平行に揃って設けられていない。すなわち、第1の層71と、第4の層74とが可塑性の材料で構成されており、それぞれ上下に撓んでいる。一方で、各層の光導波路の光入出力端71−1R、72−1R、73−1R、74−1Rは垂直方向に並列して一定の間隔D5で設けられている。
【0035】
本実施形態の三次元光回路でも、光反転回路の構成は、積層光回路のシングルモード光導波路形状によらず、第1の実施形態と同様に、光反転回路のマルチモードコアの高さと導波路長を決定することができる。また、図3(a)、(b)に示すように、第2の実施形態と同様に、任意の光導波路を選択的に光接続する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0036】
1、71:第1の層
2、72:第2の層
3、73:第3の層
4、74:第4の層
6、7:積層光回路
8、9、90:光反転回路
10、20、30、40:クラッド材料
60:基板
11、12:光導波路
1−1、1−2、2−1、2−2、3−1、4−1:光導波路
81、82、91:マルチモードコア
83、92、94:マルチモードクラッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルモード光導波路を有する光回路を垂直方向に2層以上積層した積層光回路と、該積層光回路の前記光導波路と光接続するマルチモードコア光導波路と全反射鏡とを有する光反転回路とを備えた三次元光回路であって、
前記光反転回路のマルチモードコア光導波路を、一端が、前記積層された光回路のシングルモード光導波路の光入出力端に光接続され、他端が、前記全反射鏡で覆われるように構成して、当該マルチモードコア光導波路の高さと導波路長を、光信号を入力したシングルモード光導波路の光入出力端とは異なるシングルモード光導波路の光入出力端へと光が出力されるように設定することにより、前記2層以上のシングルモード光導波路をそれぞれの光入出力端において垂直方向に光接続することを特徴とする三次元光回路。
【請求項2】
前記2層以上の光回路におけるシングルモード光導波路の入出力端は、垂直方向に一定の間隔D_coreで配列され、前記光接続される2つのシングルモード光導波路が属する2つの光回路の層の間に存在する他の光回路の層の数をnとし、前記マルチモードコアは中空コアであり、該中空コアの屈折率n1、クラッドの屈折率n0であり、マルチモードコアが比屈折率nr=sqrt(n1^2―n0^2)であり、光接続される光信号波長がλであるとき、
前記マルチモードコアの高さWe_nは、
We_n=(n+1)×D_Core+2×Δ・・・式(1)
(式(1)においてΔはシングルモード光導波路端面でのシングルモード電磁界分布に依存する誤差)
に基づいて設定され、導波路長Lは、
L=3×(2s+1)×L1・・・式(2)
(式(2)においてs≧0)、
L1=(2×nr×We_n^2)/(3×λ)・・・式(3)
に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の三次元光回路。
【請求項3】
積層光回路は、前記前記光接続される2つのシングルモード光導波路の導波路ペアを複数有し、
前記マルチモードコア光導波路は、複数の導波路ペアのうち、光接続しようとする導波路ペアのシングルモード光導波路について前記式(1)に基づいて決定される前記マルチモードコアの高さWe_nに変更できるよう構成され、
前記マルチモードコア光導波路の導波路長は、前記積層光回路に含まれるシングルモード光導波路の導波路ペアに対応して式(2)、(3)に基づいて決定される導波路長の最小公倍数に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の三次元光回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−53233(P2012−53233A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195096(P2010−195096)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年3月3日 社団法人応用物理学会発行の「2010年春季<第57回>応用物理学関係連合講演会[講演予稿集](DVD−ROM)」に発表
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】