説明

三次元入力装置

【課題】三次元の位置情報を非接触で正確に入力することができる三次元入力装置を提供する。
【解決手段】三次元入力装置1は、ユーザによって操作され、ユーザの操作に応じた向きにレーザ光Lを射出する操作ペン10と、操作ペン10からのレーザ光Lを受光する複数の受光セル21bが配列形成された受光面21aと、操作ペン10からのレーザ光Lを受光した受光セルの受光面21a上における位置に基づいて受光面21a上における操作ペン10の平面位置を示す平面位置情報を検出するとともに、その受光セル21bから出力される受光信号の強度に基づいて受光面21aに対する操作ペン10の高さ位置を示す高さ位置情報を検出する検出部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元の位置情報を検出して入力可能な三次元入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの入力インターフェイスは、快適な操作感をユーザに与え、或いはユーザの入力作業効率を向上させる上で極めて重要である。現在、PC(パーソナルコンピュータ)等では、入力インターフェイスとしてマウスが一般的に用いられている。このマウスは、画面上に表示されるポインタやアイコンを操作するためのポインティングデバイスの一種であり、ユーザによって把持された状態で操作され、平面上(例えば、卓上)の位置を検出し、その検出結果を二次元の位置情報(X方向及びY方向の位置情報)としてPC等に入力する入力装置である。
【0003】
また、以下の特許文献1には、平面上の位置のみならず高さ位置を検出し、その検出結果を三次元の位置情報(X方向、Y方向、及びZ方向の位置情報)として入力可能な入力装置が開示されている。具体的に、この入力装置は、矩形状の表示部の上端及び左端に複数の発光部及び受光部を配置し、表示部に対するユーザの指の近接度に応じて受光部で検出される受光強度が変化することを利用して、表示部を基準とした場合の指の平面位置及び高さを検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−146386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したマウスは、基本的にはユーザによって把持された状態で操作される接触式の入力装置であり、非接触での入力が要求される特定の用途では用いることができないという問題がある。また、マウスは、特殊なものを除いて、基本的には二次元の位置情報の入力に限られ、三次元の位置情報の入力はできないという問題がある。更に、マウスは、基本的には卓上等の平面上で使用されるのを前提としているため、使用場所が制限されるという問題がある。
【0006】
他方、上述した特許文献1に開示された入力装置は、ユーザの指が表示部に接触していない状態であっても、その指の三次元の位置情報を入力することが可能である。しかしながら、例えば発光部で発光された光が指の一定場所に照射されずに手の他の部位に照射された場合、或いは障害物に照射された場合には、誤った位置情報が入力されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、三次元の位置情報を非接触で正確に入力することができる三次元入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の三次元入力装置は、三次元の位置情報を検出して入力可能な三次元入力装置(1)であって、ユーザによって操作され、ユーザの操作に応じた向きにレーザ光(L)を射出する操作装置(10)と、前記操作装置からのレーザ光を受光する複数の受光素子(21b)が配列形成された受光面(21a)と、前記操作装置からのレーザ光を受光した受光素子の前記受光面上における位置に基づいて前記受光面上における前記操作装置の平面位置を示す第1位置情報を検出するとともに、当該受光素子から出力される受光信号の強度に基づいて前記受光面に対する前記操作装置の高さ位置を示す第2位置情報を検出する検出部(22)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の三次元入力装置は、前記検出部が、前記受光信号が複数の受光素子から出力されている場合には、各々の受光信号を加算して得られる強度に基づいて前記第2位置情報を検出することを特徴としている。
また、本発明の三次元入力装置は、前記操作装置が、前記受光面に照射されたレーザ光から前記受光面との間の距離を測定する測距部(16)と、前記測距部の測定結果を前記検出部に向けて送信する送信部(17)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の三次元入力装置は、前記操作装置から送信されてくる測定結果を受信して前記検出部に出力する受信部(23)を備えることを特徴としている。
また、本発明の三次元入力装置は、前記検出部が、前記操作装置から送信されてきた測定結果を用いて前記第2位置情報を校正することを特徴としている。
或いは、本発明の三次元入力装置は、前記検出部が、前記受光信号の強度に基づいて求めた前記第2位置情報に代えて、前記操作装置から送信されてきた測定結果を前記第2位置情報として用いることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザによって操作される操作装置から射出されるレーザ光を、複数の受光素子が配列形成された受光面で受光し、レーザ光を受光した受光素子の受光面上における位置に基づいて受光面上における操作装置の平面位置を示す第1位置情報を検出するとともに、その受光素子から出力される受光信号の強度に基づいて受光面に対する操作装置の高さ位置を示す第2位置情報を検出するようにしているため、三次元の位置情報を非接触で正確に入力することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による三次元入力装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による三次元入力装置の一部をなす操作ペンの内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による三次元入力装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による三次元入力装置を示す斜視図である。図1に示す通り、三次元入力装置1は、操作ペン10(操作装置)と受光装置20とからなり、ユーザによる操作ペン10の操作によって指示される三次元の位置情報(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の位置情報)を受光装置20で検出して、PC(パーソナルコンピュータ)等に入力する。尚、三次元入力装置1から入力される三次元の位置情報をPCで活用するには、例えば三次元出力に対応するディスプレイ装置又は平面ディスプレイ装置に三次元的(空間的)な表示が可能なソフトウェアが必要になる。
【0012】
操作ペン10は、ユーザによって把持された状態で操作されるペン型の操作子であり、ユーザの操作に応じた向きにレーザ光Lを射出するとともに、ユーザの指示に応じて受光装置20が備える受光パネル21の受光面21a(詳細は後述する)との間の距離を測定する。操作ペン10から射出されるレーザ光Lとしては、任意の波長のものを用いることができるが、受光装置20に設けられる受光素子21b(詳細は後述する)で受光可能であり、且つ、ユーザの視認性の良い波長のレーザ光(例えば、おおよそ635〜690nm程度の波長を有する赤色のレーザ光)を用いるのが望ましい。また、レーザ光Lは、スポット径の広がりが殆どないものが望ましい。尚、操作ペン10の詳細については後述する。
【0013】
受光装置20は、受光パネル21、検出部22、及び無線受信部23(受信部)を備えており、PC等に接続されて操作ペン10の操作によって指示される三次元の位置情報を検出してPC等に入力する。受光パネル21は、操作ペン10から射出されるレーザ光Lが照射されるパネルであって、複数の受光セル21b(受光素子)が配列形成された受光面21aを有する。
【0014】
この受光パネル21は、例えばガラス等の基板上にフォトダイオードが受光セル21bとして配列形成され、操作ペン10からのレーザ光Lの減衰率がほぼ零である保護フィルタが表面に設けられた基板である。ここで、受光セル21bの大きさ(面積)は、必要とされる検出精度、受光面21aの面積、及び受光セル21bの数に応じて適宜設定可能であるが、例えば操作ペン10から射出されるレーザ光Lのスポット径と同程度の大きさに設定される。
【0015】
検出部22は、受光パネル21に設けられた受光セル21bの各々から出力される受光信号に基づいて、ユーザによる操作ペン10の操作によって指示される三次元の位置情報を検出する。具体的に、検出部22は、レーザ光Lを受光した受光セル21bの受光面21a上における位置に基づいて、受光面21a上における操作ペン10の平面位置を示す平面位置情報(第1位置情報)を検出する。また、検出部22は、レーザ光Lを受光した受光セル21bから出力される受光信号の強度に基づいて、受光面21aに対する操作ペン10の高さ位置(正確には、操作ペン10の先端部13(図2参照)の高さ位置)を示す高さ位置情報(第2位置情報)を検出する。
【0016】
つまり、本実施形態では、受光面21a上において操作ペン10からのレーザ光Lが照射されている位置を平面位置情報として検出している。また、受光面21aに対する操作ペン10の距離が短くなると受光信号の強度が高くなり、受光面21aに対する操作ペン10の距離が長くなると受光信号の強度が低くなるという性質を利用して、受光信号の強度に応じて高さ位置を検出している。
【0017】
ここで、操作ペン10から射出されたレーザ光Lが複数の受光セル21bに跨って照射され、複数の受光セル21bから受光信号が出力される場合がある。このような場合には、検出部22は、例えば最も強度が高い受光信号を出力する受光セル21bの受光面21a上における位置に基づいて平面位置情報を検出し、それら複数の受光セル21bの各々から出力される受光信号を加算して得られる強度に基づいて高さ位置情報を検出する。
【0018】
また、検出部22は、操作ペン10から送信されてくる測定結果(操作ペン10と受光面21aとの間の距離の測定結果)に基づいて上記の高さ位置情報を校正する。或いは、上記の高さ位置情報に代えて、操作ペン10から送信されてくる測定結果を高さ位置情報として用いる。つまり、本実施形態で検出される高さ位置情報は、以下の(1)〜(3)に示す3種類がある。
(1)受光セル21bからの受光信号の強度に基づいて求められる高さ位置情報
(2)操作ペン10の測定結果を用いて上記(1)を校正した高さ位置情報
(3)操作ペン10の測定結果を用いた高さ位置情報
【0019】
上記(1)〜(3)に示す高さ位置情報のうち、最も精度が低い高さ位置情報は(1)に示す高さ位置情報であり、次いで精度が低い高さ位置情報は(2)に示す高さ位置情報であり、最も精度が高い高さ位置情報は(3)に示す高さ位置情報である。このため、必要となる精度に応じて、上記の(1)〜(3)に示す高さ位置情報をユーザが選択可能に構成するのが望ましい。例えば、CAD(Computer Aided Design)に用いる場合には(3)に示す精度の高い高さ位置情報を選択し、ブラウジングに用いる場合には(1)に示す精度の低い高さ位置情報を選択するといった具合である。
【0020】
尚、三次元入力装置1をCADに用いる場合には、ユーザによって操作ペン10が操作される距離とPCに設けられるディスプレイ装置に表示されるポインタの移動距離とが同じである必要は必ずしも無く、比例関係にあれば良い。例えば、ユーザが操作ペン10を1cmずつ動かす度に、ポインタが1cmずつ移動するのではなく一定量ずつ移動するものであればよい。無線受信部23は、操作ペン10から送信されてくる測定結果を受信して検出部22に出力する。
【0021】
次に、操作ペン10の詳細について説明する。図2は、本発明の一実施形態による三次元入力装置の一部をなす操作ペンの内部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、操作ペン10は、半導体レーザ発振器11、ハーフミラー12、先端部13、反射ミラー14,15、測距部16、無線送信部17(送信部)、及び操作スイッチ18a,18bを備えており、ユーザの操作に応じてレーザ光Lを射出し、或いは、受光装置20が備える受光パネル21との間の距離を測定する。
【0022】
半導体レーザ発振器11は、例えばおおよそ635〜690nm程度の波長を有する赤色のレーザ光を射出する半導体レーザ素子を備えており、操作スイッチ18aが押下された場合にレーザ光Lを射出する。ここで、半導体レーザ発振器11から射出されるレーザ光Lは、連続光でもパルス光でも良いが、消費電力を抑えるとともに測距を行う観点からはパルス光であることが望ましい。尚、操作スイッチ18aが押下された場合には連続光のレーザ光Lが射出され、操作スイッチ18bが押下されて測距指示がなされた場合にのみパルス光のレーザ光Lが射出されるようにしても良い。このとき、操作スイッチ18bが押下された時点における操作ペン10の位置を原点として認識し、操作ペン10が原点から移動した距離(操作ペン10の高さ情報)を、無線送信部17を経由して受光装置20に送信するようにしても良い。
【0023】
ハーフミラー12は、半導体レーザ発振器11と先端部13との間に設けられ、半導体レーザ発振器11から射出されたレーザ光を通過させるとともに、先端部13から操作ペン10の内部に入射したレーザ光を反射ミラー14に向けて反射する。尚、ハーフミラー12は、例えば半導体レーザ発振器11から射出されたレーザ光が通過できる透過率を有するとともに外部で反射されたレーザ光(操作ペン10の内部に入射したレーザ光)を反射ミラー14に向けて反射できる構造であるか、或いは、操作スイッチ18bが押下された場合にハーフミラーの反射面の角度を調整して反射ミラー14に向けてレーザ光を反射できる構造である。先端部13は、操作ペン10のペン先部の部位であって、半導体レーザ発振器11からのレーザ光がレーザ光Lとして外部に射出されるとともに、反射されたレーザ光Lが操作ペン10の内部に入射する部位である。
【0024】
反射ミラー14は、ハーフミラー12からのレーザ光(ハーフミラー12で反射されたレーザ光)を反射ミラー15に向けて反射し、反射ミラー15は反射ミラー14からのレーザ光を測距部15に向けて反射する。測距部16は、操作スイッチ18bが押下されて測距指示がなされた場合に、ハーフミラー12及び反射ミラー14,15を順に介して入力されるレーザ光に基づいて、受光装置20の受光パネル21との間の距離を測定する。この測距部16は、例えばTOF(Time of Flight)方式によって受光パネル21との間の距離を測定する。ここで、TOF方式とは、操作ペン10の先端部13から射出されたパルス光のレーザ光Lが受光パネル21によって反射されて先端部13に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を測定する方式である。
【0025】
無線送信部17は、測距部16で受光パネル21との間の距離が測定された場合に、その測定結果を電波で送信する。操作スイッチ18aは、レーザ光Lの射出を指示する場合に、操作ペン10を操作するユーザによって操作されるスイッチである。これに対し、操作スイッチ18bは、測距を指示する場合に、操作ペン10を操作するユーザによって操作されるスイッチである。
【0026】
次に、上記構成における三次元入力装置1の動作について説明する。三次元入力装置1の動作は、前述した(1)〜(3)の高さ位置情報のうちの何れの高さ位置情報を用いるか(選択するか)に応じて、第1〜第3動作モードに大別される。つまり、第1動作モードは最も精度が低い高さ位置情報を用いる動作モードであり、第2動作モードは次いで精度が低い高さ位置情報を用いる動作モードであり、第3動作モードは最も精度が高い高さ位置情報を用いる動作モードである。以下、これら第1〜第3動作モードの詳細について順に説明する。
【0027】
〈第1動作モード〉
まず、ユーザが操作ペン10を手に取って鉛筆やペンを把持するのと同様に操作ペン10を把持し、操作ペン10に設けられた操作スイッチ18aを押下する。操作スイッチ18aが押下されると半導体レーザ発振器11からレーザ光が射出され、このレーザ光がハーフミラー12を介して先端部13からレーザ光Lとして射出される。
【0028】
ユーザが操作ペン10を操作して先端部13を受光パネル21の受光面21aに向けると、操作ペン10から射出されたレーザ光Lが受光パネル21の受光面21aに照射される。すると、受光面21aに配列形成された複数の受光セル21aのうちのレーザ光Lが照射された位置に配列されている受光セル21aから受光信号が出力される。尚、受光セル21aから出力される受光信号の強度は、受光面21aに照射されたレーザ光Lの強度に応じたものである。
【0029】
受光セル21aからの受光信号は受光装置20の検出部22に出力され、検出部22においてユーザによる操作ペン10の操作によって指示される三次元の位置情報が検出される。具体的に、受光信号を出力した受光セル21bの受光面21a上における位置に基づいて、受光面21a上における操作ペン10の平面位置を示す平面位置情報が検出されるとともに、受光信号の強度に基づいて受光面21aに対する操作ペン10の先端部13の高さ位置を示す高さ位置情報が検出される。
【0030】
ここで、複数の受光セル21bから受光信号が出力された場合には、例えば最も強度が高い受光信号を出力する受光セル21bの受光面21a上における位置に基づいて平面位置情報が検出されるとともに、それら複数の受光セル21bの各々から出力される受光信号を加算して得られる強度に基づいて高さ位置情報が検出される。検出された三次元情報は、検出部22から出力されて、例えばPC等に入力される。
【0031】
いま、ユーザが操作ペン10の傾き及び高さ位置を変えることなく、操作ペン10を受光面21aに沿って平行移動させる操作をした場合を考える。かかる場合には、ユーザによる操作ペン10の操作に伴って、受光信号を出力する受光セル21bが変わる。このため、検出部22で検出される操作ペン10の平面位置を示す平面位置情報も、ユーザによる操作ペン10操作に伴って変化する。このとき、操作ペン10の傾き及び高さ位置が変わらないため、検出部22で検出される操作ペン10の先端部13の高さ位置を示す高さ位置情報は変化しない。
【0032】
これに対し、ユーザが操作ペン10の傾き及び受光面21aに対するレーザ光Lの照射位置を変えることなく、操作ペン10を軸方向に平行移動させる操作をした場合を考える。かかる場合には、ユーザによる操作ペン10の操作に伴って、レーザ光Lが照射されている受光セル21bから出力される受光信号の強度が変化する。このため、検出部22で検出される操作ペン10の先端部13の高さ位置を示す高さ位置情報も、ユーザによる操作ペン10操作に伴って変化する。このとき、操作ペン10の傾き及び受光面21aに対するレーザ光Lの照射位置が変わらないため、検出部22で検出される操作ペン10の先端部13の平面位置を示す平面位置情報は変化しない。
【0033】
〈第2動作モード〉
第1動作モードと同様に、ユーザが操作ペン10を把持して操作ペン10に設けられた操作スイッチ18aを押下し、操作ペン10の先端部13からレーザ光Lを射出させて受光パネル21の受光面21aに照射させる操作を行う。すると、受光装置20の検出部22において、平面位置情報及び高さ位置情報が第1動作モードと同様に検出されて、三次元情報としてPC等に入力される。
【0034】
操作ペン10からのレーザ光Lが受光パネル21の受光面21aに照射されている状態で、ユーザが操作ペン10に設けられている操作スイッチ18bを押下すると、操作ペン10の先端部13と受光面21aとの間の距離が測定される。つまり、測距部16において、操作ペン10の先端部13から射出されたパルス光のレーザ光Lが受光パネル21の受光面21aで反射されて先端部13に戻ってくるまでの時間が測定され、この測定された時間に基づいて先端部13と受光面21aとの間の距離が測定される。
【0035】
尚、受光面21aに対する操作ペン10の傾きが大きすぎる場合には、先端部13を介して操作ペン10に入射する反射光の光量不足により距離の測定ができなくなることが想定される。また、受光面21aに対する操作ペン10の傾きが大きすぎる場合には、操作ペン10の先端部13と受光面31a上におけるレーザ光Lの照射位置との距離が長くなり、受光面21aに対する操作ペン10の高さ位置を正確に測定できなくなる可能性がある。このため、操作ペン10の先端部13と受光面21aとの間の距離を測定する場合には、受光面21aに対して操作ペン10が極力垂直となるように操作ペン10を操作するのが望ましい。
【0036】
測距部16の測定結果は、無線送信部17に出力されて電波で送信される。操作ペン10から送信された測定結果は、受光装置20に設けられた無線受信部23で受信されて検出部22に出力される。すると、検出部22は、無線受信部23からの測定結果を用いて、受光セル21bから出力される受光信号から検出された高さ位置情報を校正する。例えば、受光セル21bから出力される受光信号から検出された高さ位置情報が3mmであって、操作ペン10に設けられた測距部16の測定結果が3.3mmである場合には、検出された高さ位置情報が測距部16の測定結果に一致するよう、検出された高さ位置情報を1.1倍する処理を行う。以上の校正が行われた後は、校正された高さ位置情報(検出された高さ位置情報を1.1倍したもの)がPC等に入力される。
【0037】
尚、本動作モードにおいても、ユーザが操作ペン10を受光面21aに沿って平行移動させる操作をすれば平面位置情報が変化する。また、ユーザが操作ペン10を軸方向に平行移動させる操作をすれば、校正された高さ位置情報が変化する。
【0038】
〈第3動作モード〉
第1,2動作モードと同様に、ユーザが操作ペン10を把持して操作ペン10に設けられた操作スイッチ18aを押下し、操作ペン10の先端部13からレーザ光Lを射出させて受光パネル21の受光面21aに照射させる操作を行う。但し、本動作モードにおいては、動作スイッチ18aとともに操作スイッチ18bも押下した状態にする。すると、受光装置20の検出部22において、平面位置情報及び高さ位置情報が第1動作モードと同様に検出される。これと並行して、操作ペン10の測距部16において、先端部13と受光面21aとの間の距離が測定され、その測定結果が無線送信部17によって電波で送信される。
【0039】
操作ペン10から送信された測定結果は、受光装置20に設けられた無線受信部23で受信されて検出部22に出力される。すると、検出部22は、検出した高さ位置情報に代えて、操作ペン10から送信されてきた測定結果を高さ位置情報として用いる。そして、検出された平面位置情報と、操作ペン10から送信されてきた測定結果(高さ位置情報)とが、三次元位置情報としてPC等に入力される。
【0040】
尚、本動作モードにおいても、ユーザが操作ペン10を受光面21aに沿って平行移動させる操作をすれば平面位置情報が変化する。また、ユーザが操作ペン10を軸方向に平行移動させる操作をすれば、高さ位置情報(操作ペン10から送信されてきた測定結果)が変化する。
【0041】
以上の通り、本実施形態では、上述した第1〜第3動作モードの何れにおいても、ユーザが操作ペン10を受光面21aに沿って平行移動させる操作をすれば平面位置情報が変化し、ユーザが操作ペン10を軸方向に平行移動させる操作をすれば高さ位置情報が変化する。このようにして、ユーザが操作ペン10を操作するだけで、三次元の位置情報を非接触で入力することが可能となる。ここで、操作ペン10の位置情報の検出は、操作ペン10から照射される視認性の高いレーザ光Lを受光パネル21の受光面21aに照射することで行われるため、ユーザの意図に反して誤った位置情報が入力されてしまうということを極力防止することができる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態による三次元入力装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、操作ペン10に設けられた測距部16の測定結果を電波で送信する例について説明したが、赤外線や可視光を用いて送信するようにしても良い。また、上記実施形態では、ユーザによって操作される操作装置として、ペン型の操作子である操作ペン10を例に挙げて説明したが、操作装置の形状はペン型のものに限られず、任意の形状のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 三次元入力装置
10 操作ペン
16 測距部
17 無線送信部
21a 受光面
21b 受光セル
22 検出部
23 無線受信部
L レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元の位置情報を検出して入力可能な三次元入力装置であって、
ユーザによって操作され、ユーザの操作に応じた向きにレーザ光を射出する操作装置と、
前記操作装置からのレーザ光を受光する複数の受光素子が配列形成された受光面と、
前記操作装置からのレーザ光を受光した受光素子の前記受光面上における位置に基づいて前記受光面上における前記操作装置の平面位置を示す第1位置情報を検出するとともに、当該受光素子から出力される受光信号の強度に基づいて前記受光面に対する前記操作装置の高さ位置を示す第2位置情報を検出する検出部と
を備えることを特徴とする三次元入力装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記受光信号が複数の受光素子から出力されている場合には、各々の受光信号を加算して得られる強度に基づいて前記第2位置情報を検出することを特徴とする請求項1記載の三次元入力装置。
【請求項3】
前記操作装置は、前記受光面に照射されたレーザ光から前記受光面との間の距離を測定する測距部と、
前記測距部の測定結果を前記検出部に向けて送信する送信部と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の三次元入力装置。
【請求項4】
前記操作装置から送信されてくる測定結果を受信して前記検出部に出力する受信部を備えることを特徴とする請求項3記載の三次元入力装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記操作装置から送信されてきた測定結果を用いて前記第2位置情報を校正することを特徴とする請求項4記載の三次元入力装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記受光信号の強度に基づいて求めた前記第2位置情報に代えて、前記操作装置から送信されてきた測定結果を前記第2位置情報として用いることを特徴とする請求項4記載の三次元入力装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−89114(P2013−89114A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230703(P2011−230703)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】