三次元地図システム
【課題】起伏物が存在しても視点から注視点を常に見ることができるように、より適切な視点位置を設定可能な三次元地図システムを提供する。
【解決手段】基準となる視点位置Bから注視点位置Aへの視線を遮る山や丘などの起伏物7が存在するかどうかを起伏物判定手段4aによって判定し、そのような起伏物7が存在する場合、視点位置変更手段4bによって視点位置Bよりもさらに上方に位置すると共に、注視点位置Aとを結ぶ視線が起伏物7によって遮られない視点位置B´を求め、この新たな視点位置B´に基づく表示を行う。
【解決手段】基準となる視点位置Bから注視点位置Aへの視線を遮る山や丘などの起伏物7が存在するかどうかを起伏物判定手段4aによって判定し、そのような起伏物7が存在する場合、視点位置変更手段4bによって視点位置Bよりもさらに上方に位置すると共に、注視点位置Aとを結ぶ視線が起伏物7によって遮られない視点位置B´を求め、この新たな視点位置B´に基づく表示を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な視点位置を設定するのに好適な三次元地図システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置で使用されている三次元地図システムでは、注視点の高さに応じて視点の高さを変更したり、また、視点の高さを変更可能とし視点の高さの変更に応じて注視点を追従させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−143066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の三次元地図システムでは、視点と注視点の間に山などの大きな起伏部が存在すると、その起伏物が視線を遮って視点から注視点が見えない状態が発生し、この状態では場所を確認するという地図本来の目的が達成できなくなってしまう。
【0004】
本発明の目的は、起伏物が存在しても視点から注視点を常に見ることができるように、より適切な視点位置を設定可能な三次元地図システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、地図データベースからの三次元地図データを読み込み、注視点位置設定手段と視点位置設定手段に基づいて注視点位置および視点位置を設定して三次元地図を表示する三次元地図システムにおいて、視点位置設定手段は、注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを検出する起伏物検出手段と、この起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき起伏物を避けた視線となるように上部に位置する新たな視点位置に変更する視点位置変更手段とを有して構成したことを特徴とする。
【0006】
また請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき、上記注視点位置と上記視点位置を結ぶ上記視線が水平線と成す角度を徐々に大きくしながら上記起伏物検出手段にによる起伏物の検出を行い、起伏物の検出が無くなったときの上記角度に基づく上記視線上に上記新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする。
【0007】
さらに請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記注視点位置からの距離が、上記視点位置までとほぼ等しい距離を持つ新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の三次元地図システムによれば、注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを起伏物検出手段によって検出し、この起伏物検出手段によって起伏物の存在を検出したときは、視点位置変更手段によって視点位置をさらに上方へ移動して起伏物を避けた新たな視点位置となるように変更することができ、起伏物が存在しても、それに遮られることなく視点位置から注視点位置を常に見ることができるようにより適切な視点位置の設定が可能となる。
【0009】
また請求項2に記載の本発明の三次元地図システムによれば、視点位置変更手段は、起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき、注視点位置と視点位置を結ぶ視線が水平線と成す角度を徐々に大きくしながら起伏物検出手段による起伏物の検出を行い、起伏物の検出が無くなったときの角度に基づく視線上に新たな視点位置を設定することができ、視線を遮る起伏物が存在しても、この起伏物を避けると共に初期に設定した視線位置近くの見易い位置に新たな視点位置を設定することができる。
【0010】
さらに請求項3に記載の本発明の三次元地図システムによれば、起伏物が存在するとき注視点位置と視点位置間の距離を変えないで新たな視点位置を設定するようにしたため、奥行き方向の距離感が視点位置の変更前後でも変わらないので、表示画面を見る利用者に違和感を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による三次元地図システムのブロック構成図である。
地図データベース1には三次元地図データが格納されており、三次元地図データ読み込み手段2は、この地図データベース1から三次元地図データを読み込むことができる。三次元地図データ読み込み手段2によって読み込んだ三次元地図データに対して、注視点位置設定手段3は注視点の位置設定を行い、また視点位置設定手段4は視点の位置設定をそれぞれ行う。この視点位置設定手段4は、詳細を後述するように注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを検出する起伏物検出手段4aと、この起伏物検出手段4aによって起伏物を検出したとき起伏物を避けた視点となるように視点位置を上方へ変更する視点位置変更手段4bとを有している。三次元地図表示手段5は、上述した注視点位置設定手段3および視点位置設定手段4の設定に基づいて三次元地図をモニタ6に表示する。
【0012】
図2は、上述した三次元地図システムの処理動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS1の三次元地図データ読み込み処理では、三次元地図データ読み込み手段2によって地図データベース1から三次元地図データを読み込む。次に、ステップS2の注視点位置設定処理では、注視点位置設定手段3によって三次元地図データ中の一点を注視点として設定する。この三次元地図システムは、起動時における注視点位置を初期値として保持しており、三次元地図データ読み込み手段2によって地図データベース1から三次元地図データを読み込んだとき、この初期値の注視点位置が設定される。しかし、システム起動後は三次元地図データ読み込み手段2によってユーザがGUIやマウスなどを利用して任意の位置を設定可能である。
【0013】
続くステップS3の視点位置設定処理では、視点位置設定手段4によって視点から注視点を見る視線ベクトルが地形に遮られることが無いように適切な視点位置を設定する。つまり、図3に示すように基準となる注視点位置Aと視点位置Bの関係は、注視点位置Aから距離D、また注視点位置Aよりも高さHだけ上方に視点位置Bが位置しているとすると、このとき、視点位置Bから注視点位置Aへの視線を遮る山や丘などの起伏物が存在するかどうかを起伏物判定手段4aによって判定する。この起伏物判定手段4aは、例えば2001年7月25日発行の「Game Programming Gems」の376〜387ページに示された「3D衝突検出」に示された起伏物検出手段あるいはその他の起伏物検出手段などを利用して構成する。この起伏物判定手段4aによって、図4に示すように起伏物7によって注視点位置Aと視点位置B間を結ぶ視線が遮られると判定した場合には、視点位置変更手段4bによって視点位置Bよりもさらに上方に位置すると共に、注視点位置Aとを結ぶ視線が起伏物7によって遮られない視点位置B´を求める。
【0014】
この起伏物判定手段4aは、視点位置Bから注視点位置Aへ向かう視線ベクトルVを求め、次に、視線ベクトルVと三次元地図データとの交点を求める。交点が存在する場合、視点位置Bと注視点位置Aの間に視線を遮る起伏物7が存在することになる。その場合、視点位置変更手段4bは次のようにして新たな視点位置B´を求める。まず、視線ベクトルVと水平のなす角θを少しずつ大きくしながら、視線ベクトルVと三次元地図データとの交点を求め、交点が無くなる各θ´を求める。そのときの新しい視線ベクトルV´を決定する。その後、視線ベクトルV´の線上で注視点位置Aから同じ距離Dの位置を視点位置B´とする。
【0015】
例えば、図5のように注視点位置Aを(Xa,Ya,Za)=(0,0,0)、視点位置Bを(Xb,Yb,Zb)=(√3,1,0)としたとき、視線ベクトルVは(Vx,Vy,Vz)=(−√3,−1,0)となり、この視線ベクトルと水平のなす角θ=30度、視点位置B´と注視点位置Aの距離D=2となる。ここで、視線を遮る起伏物7がX=1の位置に高さ√3で存在し、角θを1度ずつ増やしていくと、角θ=60度を超えたときに視線ベクトルと起伏部7の交点が無くなる。ここでは説明を簡単にするため、角θ=60度で交点が無くなるとする。従って、角θ=60度で注視点位置Aからの距離D=2の位置(X,Y,Z)=(1,√3,0)が視点位置B´となる。
【0016】
次に、図2に示したステップS4の三次元地図表示処理では、三次元地図表示手段5によって新たな視点位置B´から注視点位置Aを見たときの三次元地図データをモニタ6に表示する。ここで視点位置変更手段4bは、起伏物7が存在するとき注視点位置Aと視点位置B間の距離Dを変えないで新たな視点位置B´を設定するようにしたが、単に起伏物7を避けるだけであれば視点位置Bを垂線に沿って上方へ移動した新たな視点位置B´を設定することも可能である。
【0017】
図6は、上述した三次元地図システムの表示例を示す表示画面の正面図である。
初期値の視点位置Bから注視点位置Aが見えており、地図データに基づく視点位置Bおよび注視点位置Aの側面図である図7に示すように注視点位置Aよりも奥行き方向に山などの起伏物7が見えており、この起伏物7は視点位置Bから注視点位置Aへの視線を遮ってはいない。利用者はマウスなどを用いて注視点位置Aを移動することが可能であり、注視点位置Aの移動に伴い視点位置Bの移動を行う。
【0018】
例えば、図8に示した表示画面の正面図のように、図6に示した注視点位置Aをさらに奥行き方向に移動し、注視点位置Aが山などの起伏物7の上に位置したとする。このときの位置関係は、地図データに基づく視点位置Bおよび注視点位置Aの側面図である図9に示すように視点位置Bが注視点位置Aに合わせて高さが高くなっているが、両者間の距離Dや高さHの相対位置関係は変わっていない。
【0019】
しかしながら、図10に示した表示画面の正面図のように、図8に示した注視点位置Aをさらに奥行き方向に移動すると、注視点位置Aが山などの起伏物7の頂上よりもさらに奥側に位置することになる。注視点位置Aが起伏物7の頂上より奥側へ移動したことにより視点位置Bからの視線が遮られるが、上述したように視点位置変更手段4bは、視線ベクトルと水平のなす角θを視線ベクトルと三次元地図データとの交点が無くなるまで大きくして行き、新たな角θ´を決定する。従って、図11に示した位置関係のように視点位置Bよりも上方に位置した新たな視点位置B´から起伏物7によって遮られることなく注視点位置Aを見ることができる。
【0020】
このようにして上述した三次元地図システムによれば、注視点位置Aと視点位置Bを結ぶ視線上に起伏物7が存在するか否かを起伏物検出手段4aによって検出し、この起伏物検出手段4aによって起伏物7の存在を検出したときは、視点位置変更手段4bによって視点位置Bをさらに上方へ移動して起伏物7を避けた視点位置B´となるように視点位置を変更するようにしたため、起伏物7が存在しても、視点位置から注視点位置を常に見ることができるようにより適切な視点位置の設定が可能となる。また、視点位置変更手段4bは、起伏物検出手段4aによって起伏物7を検出したとき、注視点位置Aと視点位置Bを結ぶ視線が水平線と成す角度θを徐々に大きくしながら起伏物検出手段4aによる起伏物7の検出を行い、起伏物7の検出が無くなったときの角度θ´に基づく視線上に新たな視点位置B´を設定することができ、視線を遮る起伏物7が存在しても、この起伏物7を避けると共に初期に設定した視線位置Bの近くの見易い位置に新たな視点位置B´を設定することができる。さらに、起伏物7が存在するとき注視点位置Aと視点位置B間の距離Dを変えないで新たな視点位置B´を設定するようにしたため、奥行き方向の距離感が視点位置の変更前後でも変わらないので、表示画面を見る利用者に違和感を与えることがない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、上述した三次元地図システムに限らず、その他の三次元地図システムにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による三次元地図システムを示すブロック構成図である。
【図2】図1に示した三次元地図システムの処理動作を示すフローチャートである。
【図3】図2に示した視点位置設定処理における基準となる注視点位置と視点位置の関係を示す説明図である。
【図4】図2に示した視点位置設定処理における視線を遮られない視点位置の求め方を示す説明図である。
【図5】図2に示した視点位置設定処理における具体的な視点位置の求め方を示す説明図である。
【図6】図1に示した三次元地図システムにおける表示画面の一表示例を示す正面図である。
【図7】図6に示した表示画面における注視点と視点の位置関係を示す側面図である。
【図8】図1に示した三次元地図システムにおける他の表示画面を示す正面図である。
【図9】図8に示した表示画面における注視点と視点の位置関係を示す側面図である。
【図10】図1に示した三次元地図システムにおけるさらに他の表示画面を示す正面図である。
【図11】図10に示した表示画面における注視点と視点の位置関係を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 地図データベース
2 三次元地図データ読み込み手段
3 注視点位置設定手段
4 視点位置設定手段
4a 起伏物判定手段
4b 視点位置変更手段
5 三次元地図表示手段
6 モニタ
A 注視点位置
B,B´ 視点位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な視点位置を設定するのに好適な三次元地図システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置で使用されている三次元地図システムでは、注視点の高さに応じて視点の高さを変更したり、また、視点の高さを変更可能とし視点の高さの変更に応じて注視点を追従させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−143066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の三次元地図システムでは、視点と注視点の間に山などの大きな起伏部が存在すると、その起伏物が視線を遮って視点から注視点が見えない状態が発生し、この状態では場所を確認するという地図本来の目的が達成できなくなってしまう。
【0004】
本発明の目的は、起伏物が存在しても視点から注視点を常に見ることができるように、より適切な視点位置を設定可能な三次元地図システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、地図データベースからの三次元地図データを読み込み、注視点位置設定手段と視点位置設定手段に基づいて注視点位置および視点位置を設定して三次元地図を表示する三次元地図システムにおいて、視点位置設定手段は、注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを検出する起伏物検出手段と、この起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき起伏物を避けた視線となるように上部に位置する新たな視点位置に変更する視点位置変更手段とを有して構成したことを特徴とする。
【0006】
また請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき、上記注視点位置と上記視点位置を結ぶ上記視線が水平線と成す角度を徐々に大きくしながら上記起伏物検出手段にによる起伏物の検出を行い、起伏物の検出が無くなったときの上記角度に基づく上記視線上に上記新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする。
【0007】
さらに請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記注視点位置からの距離が、上記視点位置までとほぼ等しい距離を持つ新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の三次元地図システムによれば、注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを起伏物検出手段によって検出し、この起伏物検出手段によって起伏物の存在を検出したときは、視点位置変更手段によって視点位置をさらに上方へ移動して起伏物を避けた新たな視点位置となるように変更することができ、起伏物が存在しても、それに遮られることなく視点位置から注視点位置を常に見ることができるようにより適切な視点位置の設定が可能となる。
【0009】
また請求項2に記載の本発明の三次元地図システムによれば、視点位置変更手段は、起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき、注視点位置と視点位置を結ぶ視線が水平線と成す角度を徐々に大きくしながら起伏物検出手段による起伏物の検出を行い、起伏物の検出が無くなったときの角度に基づく視線上に新たな視点位置を設定することができ、視線を遮る起伏物が存在しても、この起伏物を避けると共に初期に設定した視線位置近くの見易い位置に新たな視点位置を設定することができる。
【0010】
さらに請求項3に記載の本発明の三次元地図システムによれば、起伏物が存在するとき注視点位置と視点位置間の距離を変えないで新たな視点位置を設定するようにしたため、奥行き方向の距離感が視点位置の変更前後でも変わらないので、表示画面を見る利用者に違和感を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による三次元地図システムのブロック構成図である。
地図データベース1には三次元地図データが格納されており、三次元地図データ読み込み手段2は、この地図データベース1から三次元地図データを読み込むことができる。三次元地図データ読み込み手段2によって読み込んだ三次元地図データに対して、注視点位置設定手段3は注視点の位置設定を行い、また視点位置設定手段4は視点の位置設定をそれぞれ行う。この視点位置設定手段4は、詳細を後述するように注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを検出する起伏物検出手段4aと、この起伏物検出手段4aによって起伏物を検出したとき起伏物を避けた視点となるように視点位置を上方へ変更する視点位置変更手段4bとを有している。三次元地図表示手段5は、上述した注視点位置設定手段3および視点位置設定手段4の設定に基づいて三次元地図をモニタ6に表示する。
【0012】
図2は、上述した三次元地図システムの処理動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS1の三次元地図データ読み込み処理では、三次元地図データ読み込み手段2によって地図データベース1から三次元地図データを読み込む。次に、ステップS2の注視点位置設定処理では、注視点位置設定手段3によって三次元地図データ中の一点を注視点として設定する。この三次元地図システムは、起動時における注視点位置を初期値として保持しており、三次元地図データ読み込み手段2によって地図データベース1から三次元地図データを読み込んだとき、この初期値の注視点位置が設定される。しかし、システム起動後は三次元地図データ読み込み手段2によってユーザがGUIやマウスなどを利用して任意の位置を設定可能である。
【0013】
続くステップS3の視点位置設定処理では、視点位置設定手段4によって視点から注視点を見る視線ベクトルが地形に遮られることが無いように適切な視点位置を設定する。つまり、図3に示すように基準となる注視点位置Aと視点位置Bの関係は、注視点位置Aから距離D、また注視点位置Aよりも高さHだけ上方に視点位置Bが位置しているとすると、このとき、視点位置Bから注視点位置Aへの視線を遮る山や丘などの起伏物が存在するかどうかを起伏物判定手段4aによって判定する。この起伏物判定手段4aは、例えば2001年7月25日発行の「Game Programming Gems」の376〜387ページに示された「3D衝突検出」に示された起伏物検出手段あるいはその他の起伏物検出手段などを利用して構成する。この起伏物判定手段4aによって、図4に示すように起伏物7によって注視点位置Aと視点位置B間を結ぶ視線が遮られると判定した場合には、視点位置変更手段4bによって視点位置Bよりもさらに上方に位置すると共に、注視点位置Aとを結ぶ視線が起伏物7によって遮られない視点位置B´を求める。
【0014】
この起伏物判定手段4aは、視点位置Bから注視点位置Aへ向かう視線ベクトルVを求め、次に、視線ベクトルVと三次元地図データとの交点を求める。交点が存在する場合、視点位置Bと注視点位置Aの間に視線を遮る起伏物7が存在することになる。その場合、視点位置変更手段4bは次のようにして新たな視点位置B´を求める。まず、視線ベクトルVと水平のなす角θを少しずつ大きくしながら、視線ベクトルVと三次元地図データとの交点を求め、交点が無くなる各θ´を求める。そのときの新しい視線ベクトルV´を決定する。その後、視線ベクトルV´の線上で注視点位置Aから同じ距離Dの位置を視点位置B´とする。
【0015】
例えば、図5のように注視点位置Aを(Xa,Ya,Za)=(0,0,0)、視点位置Bを(Xb,Yb,Zb)=(√3,1,0)としたとき、視線ベクトルVは(Vx,Vy,Vz)=(−√3,−1,0)となり、この視線ベクトルと水平のなす角θ=30度、視点位置B´と注視点位置Aの距離D=2となる。ここで、視線を遮る起伏物7がX=1の位置に高さ√3で存在し、角θを1度ずつ増やしていくと、角θ=60度を超えたときに視線ベクトルと起伏部7の交点が無くなる。ここでは説明を簡単にするため、角θ=60度で交点が無くなるとする。従って、角θ=60度で注視点位置Aからの距離D=2の位置(X,Y,Z)=(1,√3,0)が視点位置B´となる。
【0016】
次に、図2に示したステップS4の三次元地図表示処理では、三次元地図表示手段5によって新たな視点位置B´から注視点位置Aを見たときの三次元地図データをモニタ6に表示する。ここで視点位置変更手段4bは、起伏物7が存在するとき注視点位置Aと視点位置B間の距離Dを変えないで新たな視点位置B´を設定するようにしたが、単に起伏物7を避けるだけであれば視点位置Bを垂線に沿って上方へ移動した新たな視点位置B´を設定することも可能である。
【0017】
図6は、上述した三次元地図システムの表示例を示す表示画面の正面図である。
初期値の視点位置Bから注視点位置Aが見えており、地図データに基づく視点位置Bおよび注視点位置Aの側面図である図7に示すように注視点位置Aよりも奥行き方向に山などの起伏物7が見えており、この起伏物7は視点位置Bから注視点位置Aへの視線を遮ってはいない。利用者はマウスなどを用いて注視点位置Aを移動することが可能であり、注視点位置Aの移動に伴い視点位置Bの移動を行う。
【0018】
例えば、図8に示した表示画面の正面図のように、図6に示した注視点位置Aをさらに奥行き方向に移動し、注視点位置Aが山などの起伏物7の上に位置したとする。このときの位置関係は、地図データに基づく視点位置Bおよび注視点位置Aの側面図である図9に示すように視点位置Bが注視点位置Aに合わせて高さが高くなっているが、両者間の距離Dや高さHの相対位置関係は変わっていない。
【0019】
しかしながら、図10に示した表示画面の正面図のように、図8に示した注視点位置Aをさらに奥行き方向に移動すると、注視点位置Aが山などの起伏物7の頂上よりもさらに奥側に位置することになる。注視点位置Aが起伏物7の頂上より奥側へ移動したことにより視点位置Bからの視線が遮られるが、上述したように視点位置変更手段4bは、視線ベクトルと水平のなす角θを視線ベクトルと三次元地図データとの交点が無くなるまで大きくして行き、新たな角θ´を決定する。従って、図11に示した位置関係のように視点位置Bよりも上方に位置した新たな視点位置B´から起伏物7によって遮られることなく注視点位置Aを見ることができる。
【0020】
このようにして上述した三次元地図システムによれば、注視点位置Aと視点位置Bを結ぶ視線上に起伏物7が存在するか否かを起伏物検出手段4aによって検出し、この起伏物検出手段4aによって起伏物7の存在を検出したときは、視点位置変更手段4bによって視点位置Bをさらに上方へ移動して起伏物7を避けた視点位置B´となるように視点位置を変更するようにしたため、起伏物7が存在しても、視点位置から注視点位置を常に見ることができるようにより適切な視点位置の設定が可能となる。また、視点位置変更手段4bは、起伏物検出手段4aによって起伏物7を検出したとき、注視点位置Aと視点位置Bを結ぶ視線が水平線と成す角度θを徐々に大きくしながら起伏物検出手段4aによる起伏物7の検出を行い、起伏物7の検出が無くなったときの角度θ´に基づく視線上に新たな視点位置B´を設定することができ、視線を遮る起伏物7が存在しても、この起伏物7を避けると共に初期に設定した視線位置Bの近くの見易い位置に新たな視点位置B´を設定することができる。さらに、起伏物7が存在するとき注視点位置Aと視点位置B間の距離Dを変えないで新たな視点位置B´を設定するようにしたため、奥行き方向の距離感が視点位置の変更前後でも変わらないので、表示画面を見る利用者に違和感を与えることがない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、上述した三次元地図システムに限らず、その他の三次元地図システムにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による三次元地図システムを示すブロック構成図である。
【図2】図1に示した三次元地図システムの処理動作を示すフローチャートである。
【図3】図2に示した視点位置設定処理における基準となる注視点位置と視点位置の関係を示す説明図である。
【図4】図2に示した視点位置設定処理における視線を遮られない視点位置の求め方を示す説明図である。
【図5】図2に示した視点位置設定処理における具体的な視点位置の求め方を示す説明図である。
【図6】図1に示した三次元地図システムにおける表示画面の一表示例を示す正面図である。
【図7】図6に示した表示画面における注視点と視点の位置関係を示す側面図である。
【図8】図1に示した三次元地図システムにおける他の表示画面を示す正面図である。
【図9】図8に示した表示画面における注視点と視点の位置関係を示す側面図である。
【図10】図1に示した三次元地図システムにおけるさらに他の表示画面を示す正面図である。
【図11】図10に示した表示画面における注視点と視点の位置関係を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 地図データベース
2 三次元地図データ読み込み手段
3 注視点位置設定手段
4 視点位置設定手段
4a 起伏物判定手段
4b 視点位置変更手段
5 三次元地図表示手段
6 モニタ
A 注視点位置
B,B´ 視点位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データベースからの三次元地図データを読み込み、注視点位置設定手段と視点位置設定手段に基づいて注視点位置および視点位置を設定して三次元地図を表示する三次元地図システムにおいて、視点位置設定手段は、注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを検出する起伏物検出手段と、この起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき起伏物を避けた視線となるように上部に位置する新たな視点位置に変更する視点位置変更手段とを有して構成したことを特徴とする三次元地図システム。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき、上記注視点位置と上記視点位置を結ぶ上記視線が水平線と成す角度を徐々に大きくしながら上記起伏物検出手段による起伏物の検出を行い、起伏物の検出が無くなったときの上記角度に基づく上記視線上に上記新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする三次元地図システム。
【請求項3】
請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記注視点位置からの距離が、上記視点位置までとほぼ等しい距離を持つ新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする三次元地図システム。
【請求項1】
地図データベースからの三次元地図データを読み込み、注視点位置設定手段と視点位置設定手段に基づいて注視点位置および視点位置を設定して三次元地図を表示する三次元地図システムにおいて、視点位置設定手段は、注視点位置と視点位置を結ぶ視線上に起伏物が存在するか否かを検出する起伏物検出手段と、この起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき起伏物を避けた視線となるように上部に位置する新たな視点位置に変更する視点位置変更手段とを有して構成したことを特徴とする三次元地図システム。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記起伏物検出手段によって起伏物を検出したとき、上記注視点位置と上記視点位置を結ぶ上記視線が水平線と成す角度を徐々に大きくしながら上記起伏物検出手段による起伏物の検出を行い、起伏物の検出が無くなったときの上記角度に基づく上記視線上に上記新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする三次元地図システム。
【請求項3】
請求項1に記載のものにおいて、上記視点位置変更手段は、上記注視点位置からの距離が、上記視点位置までとほぼ等しい距離を持つ新たな視点位置を設定するように構成したことを特徴とする三次元地図システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−145680(P2006−145680A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333276(P2004−333276)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】
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