説明

三次元形状造形物の製造方法

【課題】固化層形成時の沈み込みに好適に対処した「三次元形状造形物の製造方法」を提供すること。
【解決手段】(i)造形プレート上に設けた粉末層の所定箇所に光ビームを照射して前記所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および、(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、前記新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程を繰り返して行い、粉末層の形成は、造形テーブルを下降変位させた後、スキージング・ブレードを造形テーブル上にてスライド移動させることにより行っており、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」とは異なるように変更する、あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」とは異なるように変更することを特徴とする、三次元形状造形物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状造形物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、粉末層の所定箇所に光ビームを照射して固化層を形成することを繰り返し実施することによって複数の固化層が積層一体化した三次元形状造形物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉末材料に光ビームを照射して三次元形状造形物を製造する方法(一般的には「粉末焼結積層法」と称される)が知られている。かかる方法では、「(i)粉末層の所定箇所に光ビームを照射することよって、かかる所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成し、(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を敷いて同様に光ビームを照射して更に固化層を形成する」といったことを繰り返して三次元形状造形物を製造している(特許文献1または特許文献2参照)。粉末材料として金属粉末やセラミック粉末などの無機質の粉末材料を用いた場合では、得られた三次元形状造形物を金型として用いることができ、樹脂粉末やプラスチック粉末などの有機質の粉末材料を用いた場合では、得られた三次元形状造形物をモデルとして用いることができる。このような製造技術によれば、複雑な三次元形状造形物を短時間で製造することが可能である。
【0003】
粉末材料として金属粉末を用い、得られる三次元形状造形物を金型として用いる場合を例にとると、図1に示すように、まず、所定の厚みt1の粉末層22を造形プレート21上に形成した後(図1(a)参照)、光ビームを粉末層22の所定箇所に照射して、造形プレート21上において固化層24を形成する。そして、形成された固化層24の上に新たな粉末層22を敷いて再度光ビームを照射して新たな固化層を形成する。このように固化層を繰り返し形成すると、複数の固化層24が積層一体化した三次元形状造形物を得ることができる(図1(b)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平1−502890号公報
【特許文献2】特開2000−73108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者らは、粉末焼結積層法の複数の粉末層のうち、ある層と別の層とでは同一条件で光ビーム照射を行っているにも拘わらず焼結密度に差が生じるといった現象を見出した(特に、一定の層厚みとなるように制御しているにも拘わらず、そのような現象が見られた)。そして、鋭意検討した結果、図10に示すように、粉末材料のかさ密度や材料の濡れ性,溶融時の表面張力などと固化層形成時の沈み込み量との間には相関関係があることを本願発明者らは見出した。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の課題は、固化層形成時の沈み込みに好適に対処した「三次元形状造形物の製造方法」を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、
(i)造形プレート上に形成した粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、前記新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程
を繰り返して行い、
粉末層の形成は、造形テーブルとスキージング・ブレードとの間隔を相対的に広げた後、スキージング・ブレードを造形テーブル上にスライド移動させることにより行っており、かかる粉末層形成に際しては各粉末層の厚みを相互に一定にすることを特徴とする三次元形状造形物の製造方法が提供される。特に本発明は、“相互に一定の厚み”を形成するために粉末供給厚みを変えるといった特徴を有している。
【0008】
ある好適な態様では、粉末層形成のために供される粉末量につき、「第1層目のための粉末供給量」を「第2層目以降の各粉末層のための粉末供給量」よりも多くする。
【0009】
ある好適な態様では、第2層目以降の各粉末層の粉末供給厚みは、第1層目で固化された高さ分に相当する厚みとする。
【0010】
このような本発明の実現する1つの手法としては、造形テーブルの下降程度またはスキージング・ブレードの上昇程度を調整することが考えられる。つまり、造形テーブルを下降変位させた後またはスキージング・ブレードを上昇変位させた後にスキージング・ブレードを造形テーブル上にてスライド移動させて粉末層を形成する場合を想定してみると、かかる造形テーブルの下降変位幅またはスキージング・ブレードの上昇変位幅を調整して各粉末層の厚みを相互に一定にすることが好ましい。
【0011】
ある好適な態様では、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」とは異なるように変更する。あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」とは異なるように変更する。
【0012】
好ましくは、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」よりも小さくする。あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」よりも小さくする
【0013】
ここで、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」と「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」との差、あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」と「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」との差は、三次元形状造形物製造に際して形成される粉末層のかさ密度に主に基づいて導出することができる。好ましくは、かかる導出に際しては、粉末層のかさ密度と共に、粉末層の層厚さおよびその粉末層から得られる固化層の層厚さ(即ち、光ビームの照射によって得られるメルティング層の厚さ)などが用いられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法では、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」よりも小さくすることを通じて、あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」よりも小さくすることを通じて、粉末層厚みを各層ごとに一定にすることができる。より具体的には、図10に示すように材料のかさ密度と沈み量との間には相関があるので、材料のかさ密度から沈み込み量を算出し、それに基づいて、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」または「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を決定することができる。つまり、上記相関から決定された下降変位幅または上昇変位幅に基づいて、所望の一定厚みとなる粉末量を追加供給できる。
【0015】
本願発明に従って“真に一定の厚み”を各粉末層において実現できると、「同一条件の光ビーム照射にもかかわらず焼結密度に差が生じる」といった不都合を回避することができ、結果的に、品質の点で望ましい三次元形状造形物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光造形複合加工機の動作を模式的に示した断面図
【図2】粉末焼結積層法が行われる態様を模式的に示した斜視図(図2(a):切削機構を備えた複合装置、図2(b):切削機構を備えていない装置)。
【図3】粉末焼結積層法が実施される光造形複合加工機の構成を模式的に示した斜視図
【図4】粉末焼結積層法が行われる態様を模式的に示した斜視図
【図5】光造形複合加工機の動作のフローチャート
【図6】光造形複合加工プロセスを経時的に表した模式図
【図7】従来の粉末層形成態様および本発明の粉末層形成態様を示した模式図
【図8】本発明の粉末層形成態様を示した模式図および本発明で得られる粉末厚みを示したグラフ図
【図9】“粉末供給厚み”を説明するための図
【図10】従来の粉末層形成態様を示した模式図、および本発明で見出した「粉末材料のかさ密度と固化層形成時の沈み込み量との相関関係」を示したグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0018】
本明細書において「粉末層」とは、例えば「金属粉末から成る金属粉末層」または「樹脂粉末から成る樹脂粉末層」などを指している。また「粉末層の所定箇所」とは、製造される三次元形状造形物の領域を実質的に意味している。従って、かかる所定箇所に存在する粉末に対して光ビームを照射することによって、その粉末が焼結又は溶融固化して三次元形状造形物の形状を構成することになる。更に「固化層」とは、粉末層が金属粉末層である場合には「焼結層」を実質的に意味しており、粉末層が樹脂粉末層である場合には「硬化層」を実質的に意味している。
【0019】
[粉末焼結積層法]
まず、本発明の製造方法の前提となる粉末焼結積層法について説明する。説明の便宜上、材料粉末タンクから材料粉末を供給し、スキージング・ブレードを用いて材料粉末を均して粉末層を形成する態様を前提として粉末焼結積層法を説明する。また、粉末焼結積層法に際しては造形物の切削加工をも併せて行う複合加工の態様を例に挙げて説明する(つまり、図2(b)ではなく図2(a)に表す態様を前提とする。尚、本発明では、複合加工するための切削機構が光造形複合加工機に必ずしも備わっている必要はない点付言しておく)。1,3および4には、粉末焼結積層法と切削加工とを実施できる光造形複合加工機の機能および構成が示されている。光造形複合加工機1は、「金属粉末および樹脂粉末などの粉末を所定の厚みで敷くことによって粉末層を形成する粉末層形成手段2」と「外周が壁27で囲まれた造形タンク29内において上下に昇降する造形テーブル20」と「造形テーブル20上に配され造形物の土台となる造形プレート21」と「光ビームLを任意の位置に照射する光ビーム照射手段3」と「造形物の周囲を削る切削手段4」とを主として備えている。粉末層形成手段2は、図1に示すように、「外周が壁26で囲まれた材料粉末タンク28内において上下に昇降する粉末テーブル25」と「造形プレート上に粉末層22を形成するためのスキージング・ブレード23」とを主として有して成る。光ビーム照射手段3は、図3および図4に示すように、「光ビームLを発する光ビーム発振器30」と「光ビームLを粉末層22の上にスキャニング(走査)するガルバノミラー31(スキャン光学系)」とを主として有して成る。必要に応じて、光ビーム照射手段3には、光ビームスポットの形状を補正するビーム形状補正手段(例えば一対のシリンドリカルレンズと、かかるレンズを光ビームの軸線回りに回転させる回転駆動機構とを有して成る手段)やfθレンズなどが具備されている。切削手段4は、「造形物の周囲を削るミーリングヘッド40」と「ミーリングヘッド40を切削箇所へと移動させるXY駆動機構41(41a,41b)」とを主として有して成る(図3および図4参照)。
【0020】
光造形複合加工機1の動作を図1、図5および図6を参照して詳述する。図5は、光造形複合加工機の一般的な動作フローを示しており、図6は、光造形複合加工プロセスを模式的に簡易に示している。
【0021】
光造形複合加工機の動作は、粉末層22を形成する粉末層形成ステップ(S1)と、粉末層22に光ビームLを照射して固化層24を形成する固化層形成ステップ(S2)と、造形物の表面を切削する切削ステップ(S3)とから主に構成されている。粉末層形成ステップ(S1)では、最初に造形テーブル20をΔt1下げる(S11)。次いで、粉末テーブル25をΔt1上げた後、図1(a)に示すように、スキージング・ブレード23を、矢印A方向に移動させ、粉末テーブル25に配されていた粉末(例えば「平均粒径5μm〜100μm程度の鉄粉」または「平均粒径30μm〜100μm程度のナイロン、ポリプロピレン、ABS等の粉末」)を造形プレート21上へと移送させつつ(S12)、所定厚みΔt1に均して粉末層22を形成する(S13)。次に、固化層形成ステップ(S2)に移行し、光ビーム発振器30から光ビームL(例えば炭酸ガスレーザ(500W程度)、Nd:YAGレーザ(500W程度)、ファイバレーザ(500W程度)または紫外線など)を発し(S21)、光ビームLをガルバノミラー31によって粉末層22上の任意の位置にスキャニングし(S22)、粉末を溶融させ、固化させて造形プレート21と一体化した固化層24を形成する(S23)。光ビームは、空気中を伝達させることに限定されず、光ファイバーなどで伝送させてもよい。
【0022】
固化層24の厚みがミーリングヘッド40の工具長さ等から求めた所定厚みになるまで粉末層形成ステップ(S1)と固化層形成ステップ(S2)とを繰り返し、固化層24を積層する(図1(b)参照)。尚、新たに積層される固化層は、焼結又は溶融固化に際して、既に形成された下層を成す固化層と一体化することになる。
【0023】
積層した固化層24の厚みが所定の厚みになると、切削ステップ(S3)へと移行する。図1および図6に示すような態様ではミーリングヘッド40を駆動させることによって切削ステップの実施を開始している(S31)。例えば、ミーリングヘッド40の工具(ボールエンドミル)が直径1mm、有効刃長さ3mmである場合、深さ3mmの切削加工ができるので、Δt1が0.05mmであれば、60層の固化層を形成した時点でミーリングヘッド40を駆動させる。XY駆動機構41(41a,41b)によってミーリングヘッド40を矢印X及び矢印Y方向に移動させ、積層した固化層24から成る造形物の表面を切削加工する(S32)。そして、三次元形状造形物の製造が依然終了していない場合では、粉末層形成ステップ(S1)へ戻ることになる。以後、S1乃至S3を繰り返して更なる固化層24を積層することによって、三次元形状造形物の製造を行う(図6参照)。
【0024】
固化層形成ステップ(S2)における光ビームLの照射経路と、切削ステップ(S3)における切削加工経路とは、予め三次元CADデータから作成しておく。この時、等高線加工を適用して加工経路を決定する。例えば、固化層形成ステップ(S2)では、三次元CADモデルから生成したSTLデータを等ピッチ(例えばΔt1を0.05mmとした場合では0.05mmピッチ)でスライスした各断面の輪郭形状データを用いる。
【0025】
尚、上記説明では、造形テーブルを下降変位させた後、スキージング・ブレードを造形テーブル上にスライド移動させることによって粉末層形成を行う態様を前提に説明してきたが、造形テーブルとスキージング・ブレードとの相対的変位関係は逆でもよい。つまり、テーブルが固定され,スキージング・ブレードの位置が上昇する態様であっても粉末層形成を行うことができる(特開2009−007669号参照)。
【0026】
[本発明の製造方法]
本発明は、上述した粉末焼結積層法のなかでも、粉末層の形成態様に特徴を有している。具体的には、図7〜図9に示すように、各粉末層の厚みを相互に一定にすべく粉末供給厚みを変える(“粉末供給厚み”については図9を参照のこと)。これは、粉末層に空隙が存在しているところ、光ビーム照射のメルティングによる固化層形成に際しては厚みが減じられるといった現象(沈み込み現象)に鑑みている。特に、本発明においては、主に“粉末層のかさ密度”と“沈み込み量”との間に相関があることを見出しており、かかる相関関係に着目している。
【0027】
“沈み込み”を考慮せずに、一定ピッチでテーブルを下降変位またはブレードを上昇変位させる制御を考えてみると(従来技術)、沈み込みに起因して、後刻の粉末層が想定厚みよりも大きくなってしまう。そこで、本発明では、そのような沈み込み現象に対して好適に対処すべく、造形テーブルの下降変位幅またはスキージング・ブレードの上昇変位幅を調整して各粉末層の厚みを相互に一定にする。
【0028】
特に、本発明においては、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」とは異なるように変更する。あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」とは異なるように変更する。「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」と「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」との差、あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」と「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」との差は、三次元形状造形物製造に際して形成される粉末層のかさ密度から主に導出することができる(図10参照)。好ましくは、かかる導出に際しては、粉末層のかさ密度と共に、粉末層の層厚さおよびそれから得られる固化層の層厚さ(即ち、光ビームの照射によって得られるメルティング層の厚さ)などが用いられる。
【0029】
好ましくは、図7および図8に示すように、「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」よりも小さくする。あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」よりも小さくする。換言すれば、粉末層形成のために供される粉末量につき、「第2層目以降の各粉末層のための粉末供給量」を「第1層目のための粉末供給量」よりも少なくする。逆に捉えると、「第1層目のための粉末供給量」が「第2層目以降の各粉末層のための粉末供給量」よりも多いことを意味している(図7および図8参照)。
【0030】
尚、図9に示すような“粉末供給厚み”で考えてみると、第2層目以降の各粉末層の粉末供給厚みは、第1層目で固化された高さ分に相当する厚みとすることが好ましい(図10も併せて参照のこと)。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したにすぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
【0032】
例えば、第1層目の固化層形成は、造形プレートとの密着性を向上させるためのプロセスとして行ってもよく、かかる場合、薄い膜の形成も考えられる。
【符号の説明】
【0033】
1 光造形複合加工機
2 粉末層形成手段
3 光ビーム照射手段
4 切削手段
19 粉末/粉末層(例えば金属粉末/金属粉末層または樹脂粉末/樹脂粉末層)
20 造形テーブル
21 造形プレート
22 粉末層(例えば金属粉末層または樹脂粉末層)
23 スキージング用ブレード
24 固化層(例えば焼結層または硬化層)またはそれから得られる三次元形状造形物
25 粉末テーブル
26 粉末材料タンクの壁部分
27 造形タンクの壁部分
28 粉末材料タンク
29 造形タンク
30 光ビーム発振器
31 ガルバノミラー
32 反射ミラー
33 集光レンズ
40 ミーリングヘッド
41 XY駆動機構
41a X軸駆動部
41b Y軸駆動部
42 ツールマガジン
50 チャンバー
52 光透過窓
L 光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)造形プレート上に形成した粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、前記新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程
を繰り返して行う三次元形状造形物の製造方法であって、
粉末層の形成は、造形テーブルとスキージング・ブレードとの間隔を相対的に広げた後、スキージング・ブレードを造形テーブル上にてスライド移動させることにより行っており、各粉末層の厚みを相互に一定にすることを特徴とする、三次元形状造形物の製造方法。
【請求項2】
前記一定の粉末層厚みを形成するために、粉末供給厚みを変えることを特徴とする、請求項1に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項3】
粉末層形成のために供される粉末量につき、第1層目のための粉末供給量が第2層目以降の各粉末層のための粉末供給量よりも多いことを特徴とする、請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項4】
前記第2層目以降の各粉末層の粉末供給厚みは、第1層目で固化された高さ分に相当する厚みとする、請求項3に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項5】
(i)造形プレート上に形成した粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程、および
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、前記新たな粉末層の所定箇所に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程
を繰り返して行う三次元形状造形物の製造方法であって、
粉末層の形成は、造形テーブルを下降変位させた後又はスキージング・ブレードを上昇変位させた後、スキージング・ブレードを造形テーブル上にてスライド移動させることにより行っており、
「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」とは異なるように変更する、あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」とは異なるように変更することを特徴とする、三次元形状造形物の製造方法。
【請求項6】
「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」よりも小さくする、あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」を「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」よりも小さくすることを特徴とする、請求項5に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項7】
「第2層目以降の各粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」と「第1層目の粉末層を形成するための造形テーブルの下降変位幅」との差、あるいは、「第2層目以降の各粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」と「第1層目の粉末層を形成するためのスキージング・ブレードの上昇変位幅」との差は、三次元形状造形物製造に際して形成される粉末層のかさ密度に基づいて導出されることを特徴とする、請求項5または6に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項8】
前記導出に際しては、粉末層のかさ密度と共に、粉末層の層厚さおよび該粉末層から得られる固化層の層厚さ(光ビームの照射により得られるメルティング層の厚さ)が用いられることを特徴とする、請求項7に記載の三次元形状造形物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−241261(P2012−241261A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114989(P2011−114989)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】