説明

三次元画像取得装置

【課題】透明に近い細胞などの生体材料を非染色状態で試料とし、コントラストの低い試料を可視化する顕微鏡などの観察装置に最適な三次元画像取得装置およびその方法とこれを利用した加工装置の提供。
【解決手段】試料空間内の計測点に集光する光束を照射し、透過光量を計測する。透過光信号と参照信号から微弱な光吸収量を測定する。三次元走査しながら光吸収量を立体画素とする三次元マップを得る。この三次元マップに、計測点付近の光強度分布像をコンボリューション・カーネルとするデコンボリューション処理を行ない、非染色状態で透明に近い試料の三次元画像を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞や微生物、または薄く切り出した臓器組織標本など光の吸収率が低く透明に近い生体材料の試料(以下、生体試料と称す)を立体像として可視化する三次元画像取得装置とその方法とそれを利用した加工装置に関し、特に、顕微鏡装置および加工装置、或いは生物医学関連計測装置の一部分をなす観察モジュールとして適応可能な三次元画像取得装置とその方法とそれを利用した加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料として、細胞などの三次元画像(立体像)を蛍光色素などを用いずに非染色で得たいという需要が存在する。細胞の外形だけでなく細胞内の核などの細胞器官を観察者が目で見られるようにしたいという要求である。
上記生体試料は、光の吸収率と散乱率が低く透明に近いので透過光を観察する顕微鏡ではコントラストがつかない。生体試料にコントラストをつけて顕微鏡観察するために、位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡が利用されている。しかし、これらの顕微鏡は二次元の投影像が得られるだけで、生体試料の三次元の立体像を得ることはできない。また、従来ある投影像を得る透過観察型の顕微鏡で焦点面を変えた多数の画像を得て透過光量の三次元マップを作成し、デコンボリューション処理を行なっても、光吸収量が微小であることと、コンボリューション・カーネルが位置により異なるために、透明に近い生体試料の立体像は得られない。従来、透過光から立体像を得る際にはコーンビームを利用したコンピュータ断層撮影法(CT)が利用されているが、撮影角度を変えて複数回撮影することが必要で、回転機構を設置しなければならなかった。
近年、レーザー共焦点顕微鏡が開発された。特許文献1には共焦点レーザー走査顕微鏡およびその光学的断層像表示方法が開示されている。共焦点レーザー走査顕微鏡は蛍光染色を併用すると三次元像を得ることができるが、非染色状態では三次元像を得ることができない。また特許文献2には透過型レーザー顕微鏡による特定物質撮像方法が開示されており、三次元の立体像を得ることができる。しかし、これら顕微鏡でも透明に近い生体試料を非染色で撮像することができない。
また、特許文献3には入力した光強度の影響を受けない高確度な測定を目標とした透光率測定技術が開示されている。二つの受光器の電気信号に重みをつけて減算することによって零になる透光率測定出力を得るものである。この技術は潜在的に透明に近い試料全体の平均透光率を測定できる可能性があるが、開示された技術は被透光物質に平行光束を通し、通過領域全体の平均値を得るものであって、特許文献3に記載の装置に走査機能を付加しても、得られるのは投影像であり、三次元の立体像は得られない。
特許文献4には黒レベルを補正した二次元の走査型画像入力装置及び走査型プローブ顕微鏡が開示されている。しかし、透明に近い試料は透過観察できない。
【0003】
【特許文献1】特開平7−199073号
【特許文献2】特開平9−179037号
【特許文献3】特開平9−304178号
【特許文献4】特開平9−297269号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、透明に近い細胞などの生体材料を非染色状態で試料とし、コントラストの低い試料を可視化する顕微鏡などの観察装置に最適な三次元画像取得装置および方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記三次元画像取得装置を利用して可視化した透明に近い生体試料の試料観察領域における三次元の任意点の経時変化観察・光刺激・光加工を施す装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は透明に近い生体材料を試料とし、試料透過光の減衰量から立体像を得る三次元画像取得装置であって、
光束を射出する光源と、光束を試料中の計測点に集光し、前記計測点付近に局所的光強度三次元分布を生成する手段と、試料と計測点とを相対的に走査する三次元走査手段と、試料の光透過量から光束の光減衰量を計測する手段と、走査する計測点の位置座標に対応した光減衰量の三次元マップを作成する手段と、計測点付近の局所的光強度三次元分布像から得られたコンボリューション・カーネルを用いたデコンボリューション、またはコンボリューション・カーネルを初期設定しないブラインドデコンボリューションのいずれかによって、三次元マップから試料の立体像を作成する手段と、からなることを特徴としている。
上記の構成により、デコンボリュ−ション処理によって、独立した一点である計測点だけの光吸収量が求められ、計測点以外の周辺部の光吸収に与える寄与が除外されて、計測点だけの光吸収量による立体像が得られる。光束は計測点の一点に集光されており、計測点付近に局所的な光強度三次元分布を生じさせ、三次元試料像と生成させた局所的な光強度三次元分布とのコンボリューションが透過光の減衰量から得られる三次元マップになるように構成されている。立体画素を細かく設定すれば、回折限界を超えた空間分解能を得ることができる。
【0006】
上記請求項1の発明は、次の構成を特徴としている。
(1)光吸収三次元像を位置座標と対応させてディスプレイに表示するとともに、表示像のガンマを補正し再表示する手段、ならびに表示像の視点角度を変えて再表示する手段を備えた表示制御器を含むこと。
(2)デコンボリューションは三次元デコンボリューション・コンピュータソフトウエアを搭載したコンピュータ、またはDSPを含んで構成され電子回路、またはFPGAを含んで構成された電子回路のいずれかによって行われること。
(3)三次元走査手段の態様として、試料を搭載したXYZの三次元ステージで構成されていること、または試料を搭載したX軸の一次元ステージと、Y軸およびZ軸の二次元に走査可能な可動対物レンズとから構成されていること、或いは光束をXYZの三次元に走査する光束三次元走査手段で構成されていること。
【0007】
請求項7の発明は透明に近い生体材料を試料とし、試料透過光の減衰量から立体像を得る三次元画像取得装置であって、
光強度が所定の周波数で振幅変調された光束を射出する光源と、光束を試料中の計測点に集光し、前記計測点付近に局所的強度分布を生成する対物レンズと、試料がないときの光束の透過光量に相当する参照信号電圧と、試料があるときの光束の透過光量に相当する試料透過信号電圧との差を算出し、走査する計測点の位置座標に対応した光束の微小光減衰量に相当する変調信号電圧を出力する微小変調信号処理部と、計測点の位置座標に対応した変調信号電圧を用いて三次元マップを作成する手段と、前記計測点付近の光強度分布像から得られたコンボリューション・カーネルを用いたデコンボリューション、またはコンボリューション・カーネルを初期設定しないブラインドデコンボリューションのいずれかによって、前記三次元マップから試料の立体像を作成する手段と、からなることを特徴としている。
【0008】
上記請求項7の発明は、次の構成を特徴としている。
(1)微小変調信号処理部の態様として、試料透過信号電圧と参照信号電圧との差信号電圧を前記参照信号電圧で除算し正規化するよう構成されていること、またはロックインアンプを含んで構成されていること、またはボックスカー積分器を含んで構成されていること。
(2)参照信号電圧は光源から射出された光束から分岐された、試料を透過しない光束の光検出出力であること。
(3)光源が半導体レーザーからなり、参照信号電圧が前記半導体レーザーに搭載されているモニタ・ダイオードから生成されること。
【0009】
請求項13の発明は、透明に近い生体試料を非染色状態で立体像を得る三次元画像取得方法であって、光源から射出され、光強度が所定の周波数で振幅変調された光束を透明に近い生体試料の試料空間内の計測点に集光し、前記計測点付近に局所的強度分布を生成する工程と、試料と光束とを相対的に三次元走査する工程と、光束が試料を透過した後の試料透過光を検出し、試料透過信号電圧を得る工程と、試料のないときの光束の透過光量に相当する参照信号電圧を得る工程と、参照信号電圧と試料透過信号電圧との差から試料空間内を通過し減衰した光束の減衰量に相当する変調信号電圧を抽出し、計測点の位置座標と対応させた変調信号電圧を用いて三次元マップを作成する工程と、計測点付近の局所的光強度三次元分布像から得られたコンボリューション・カーネルを用いたデコンボリューション、またはコンボリューション・カーネルを初期設定しないブラインドデコンボリューションのいずれかによって、前記三次元マップから試料の立体像を得る工程とからなることを特徴とする。
【0010】
上記請求項13の発明は、次の構成を特徴としている。
(1)試料の立体像を計測点の位置座標と対応させてディスプレイに表示すると共に、表示像のガンマを補正して再表示する処理ならびに表示像の視点の角度を変えて再表示する工程をさらに含むこと。
(2)試料透過信号電圧と参照信号電圧との差信号電圧を前記参照信号電圧で除し正規化する工程を含むこと。
【0011】
請求項16の発明に係る三次元加工装置は、請求項1〜12のいずれかの項に記載の三次元画像取得装置を利用し、透明に近い生体試料の試料空間内における任意点の位置座標を指定し、前記任意点を光刺激および/または光加工することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、透明に近い細胞などの生体材料を非染色状態で試料とし、コントラストの低い試料を可視化する顕微鏡などの観察装置に最適な三次元画像を得る装置が提供できる。
【0013】
請求項7の発明によれば、試料空間内の計測点に集光する光束の透過光量から参照信号を利用した微弱信号処理により、計測点を含む光路に沿った微小光減衰量から三次元マップを作成し、この三次元マップをデコンボリュ−ションすることによって、非染色状態で透明に近い試料の三次元画像を得ることができる。
【0014】
請求項13の発明によれば、透明に近い細胞などの生体材料を非染色状態で試料とし、コントラストの低い試料を可視化する顕微鏡などの観察装置に最適な三次元画像を得る方法が提供できる。
【0015】
請求項16の発明によれば、従来では光の吸収率の差が微少で判別することが困難であった特定の細胞器官などを選択的に刺激すること、ならびに加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は蛍光染色などの染色を利用しない生体試料に対して試料空間の一点に光束を集光させ計測点とし、計測点付近に局所的光強度三次元分布像を生成し、この計測点を試料空間内で走査し、光透過量から試料の各点の透過光信号を得ると共に、各点における透過光信号と参照信号との差を基に光減衰量の三次元マップを作成し、当該三次元マップからデコンボリューション処理によって当該生体試料の三次元画像を得る。
【0017】
先ず、本発明の概念を説明する。
透過光の減衰は試料の吸収および/または散乱によって起こる。透明に近い生体試料を観察する場合、前述の透過光の減衰は微小である。この微小な光減衰量の相違を明瞭なコントラストをつけて観察する。簡潔に表現するために、以下の説明で使用する「光吸収」は光吸収に光散乱からの寄与も含めて表現してある。
【0018】
図1は、本発明で最終的に取得する三次元画像と、デコンボリューションを行う前の途中の計測データである光減衰量の三次元マップの説明図である。
光源から照射された観測用光束を生体試料空間内に設定された計測点(X,Y,Z)に集光させ、計測点付近の局所的光強度三次元分布を生成させる。この計測点を透過してきた観察用光束から生体試料内で光吸収された光減衰量を計測する。生体試料全体を三次元走査しながら、各計測点における光減衰量の計測値を求める。この計測値を計測点(X,Y,Z)の三次元位置座標と対応させた三次元マップを得る(図1A参照)。三次元マップに対して、計測点付近の局所的光強度三次元分布像から得られたコンボリューション・カーネルを用いたデコンボリューション処理を施し、生体試料の三次元像を取得する。
【0019】
以下に三次元マップをさらに詳しく説明する。
図2は拡大した計測点付近の光束を示す。対物レンズを通った光束は入射側から徐々に集光して光強度が上がり、ビームウエストのところで最大値に達し、その後拡散して光強度が下がる。光束は計測点の一点に集光せず、ある太さを持ったビームウエストを形成する。ビームウエストがあるためXY面内で広がりを生じXY面内の分解能は低い。このビームウエストの太さは対物レンズの開口数(NA)で決定される。また、計測点の上下(Z方向)にも光強度の高い領域が存在する。光束の試料透過後の光吸収量は計測点と計測点付近の光強度の高い領域での吸収量が加算されて測定されるので、Z方向は計測点以外に上下とも深い範囲の吸収が加算されている。上記光吸収量を三次元走査による立体画素とする三次元マップを表示しても、計測点だけの光吸収量ではないので分解能が低過ぎてボケた画像しか得られない(図1A参照)。たとえば細胞を試料として観察しても内部の細胞器官などは観察することができない。
【0020】
ここで、真の画像、すなわち目標とする試料の立体像と三次元マップとの関係を詳しく説明する。「真の画像」は図1Bに示す画像である。
作成された三次元マップは真の画像と装置関数である計測点付近の局所的光強度の三次元分布像とのコンボリューション(畳み込み積分)で与えられる。この近似は透明に近い試料に限り満足する。
【0021】
以下、コンボリューションによる近似について詳述する。
一般に、試料を透過した光はランベルト・ベールの法則に従い、光が吸収によって減衰する。しかし、試料が透明に近くほとんど吸収がない場合には光の強度分布が場所に寄らず一定と考えてよい。そのため、計測点を透過した信号電圧と参照信号電圧との差である吸光量を計測点に対応させて得られた三次元マップ(計測された像)は、試料の吸光物質の三次元分布(真の像)と、計測点付近の局所的光強度三次元分布をコンボリューション・カーネルとして利用したコンボリュ−ションになっていると近似することができる。
【0022】
計測点付近のビームウエストとその上下の部分からコンボリューション・カーネルを設定する。図3はコンボリューション・カーネルの例を示す。X,Y,Zが3*3*5の合計45個の三次元画素からなるコンボリューション・カーネルである。それぞれの三次元画素には、その位置の光強度に比例する重みがつけられている。図3においては、見やすくするため、重みがゼロである三次元画素は省略してある。
【0023】
コンボリューション・カーネルは装置関数であって、計測点付近の光強度の三次元分布像である。図2の計測点付近の拡大図から理解されるように、ビームウエスト部分の光強度が高く、その上下部分は計測点から離れるにつれて光強度が減少している。ほぼ計測点からの距離の二乗で減衰するので、計測点とその周辺部だけをコンボリューション・カーネルとし、周辺部以外の光強度をゼロとしても誤差は少ない。
【0024】
三次元マップ図1Aは、最終的に表示することを目標とする試料の立体像図1Bとコンボリューション・カーネルとのコンボリュ−ションであると見なすことができる。よって、コンボリュ−ションの逆演算であるデコンボリュ−ションによって、試料の立体像が得られる。すなわち、試料の立体像は、三次元マップをコンボリューション・カーネルでデコンボリューションすることによって求められる。
【0025】
デコンボリューション処理の前提になった近似は試料が透明に近く、光吸収量が少ないときに成り立つ。光吸収量が大きい場合はコンボリューション・カーネルが場所によって変化し誤差が大きくなる。透明に近い試料を可視化する場合に、高精度な吸収率の測定は不要である。即ち、透明に近い試料を可視化するとき上述の誤差は問題にならない。図1Bは計測点を走査して得られる三次元マップをデコンボリューションした処理後の立体像(真の画像)を示す。
【0026】
ここで、比較のため、集光していない細い光束を二次元に走査し、その透過光から三次元画像を取得することを仮に想定すると、従来の透過像観察に近い状況である。細い光束が試料を串刺しにし、試料空間の各三次元画素の吸収率に従い光が吸収される。透過光から得られる吸収量は各三次元画素による吸収量の加算値である。試料の厚さも位置によって異なり、透過光から得られる吸収量から各点の吸収率を求めることはできない。
【0027】
局所的な光強度三次元分布は試料空間内の局所に独立して形成され、試料空間内で位置によらず一定である必要がある。この三次元分布が試料空間内を走査できれば良いわけである。光束を計測点の一点に集光して局所的な光強度三次元分布を作成する方法は完全に独立した局所的な強度分布を作成する方法ではない。光束が計測点に至る前後に光強度は減衰するもののテーリングが生じる。しかし,光強度の高い部分を抽出し、コンボリュ-ションカーネルを大きく設定することによって、誤差を小さくすることができる。このテーリングの影響を少なくするには光束が急激に集光し急激に拡散するNAの大きな光学系を利用することが望ましい。
【実施例1】
【0028】
図4は生体試料の三次元画像を取得する為の実施例の構成を示し、生物医学関連計測装置の一部分をなす観察モジュールの模式図である。観察モジュールとして利用する場合には、本発明で取得したデジタル三次元画像を利用して後段の計測が行なわれる。
生体試料1は三次元に駆動可能なXYZステージ2のステージ部2Aに載置される。ステージ部2Aは高い光透過率の透明材料で作製されている。XYZステージ2は三次元マップ作成手段10からの指令で動作する走査制御器3によって制御される。光源4は、例えば波長405ナノメートルのLEDによって構成されており、光源変調制御器5によって所定の周波数たとえば20Kヘルツで振幅変調され、観察用光束を照射する。
【0029】
観察用光束は対物レンズ7を経て生体試料1内に設定された計測点1aに集光され、当該生体試料を透過し、試料透過信号検出器8に入射される。試料透過信号検出器8は観察用光束を光電変換し試料透過信号電圧を出力する。参照信号生成部15はあらかじめ所定の電圧に設定された電圧源であり、試料がまったく光を吸収しない場合の試料透過信号に相当する参照信号電圧を出力するように設定されている。
【0030】
微小変調信号処理部14は減算器12で得た試料透過信号電圧と参照信号電圧の差信号電圧をロックインアンプ13により光源4の変調周波数(20Kヘルツ)に同期した信号だけを増幅し、試料吸収によって生じた光減衰量に相当する変調信号電圧を得る。ロックインアンプ13にはロックイン参照信号として、光源を変調した所定の周波数を持つ光源変調信号が入力される。ロックインアンプは位相調整機能が内蔵されている。位相調整機能はロックイン参照信号と減算器12の出力である差信号との位相を合致させる。
【0031】
三次元マップ作成手段10は、XYZステージ2のステージ部の位置情報を生成し走査制御器3に出力すると同時に、その位置情報に対応した微小変調信号処理部14からの変調信号電圧をデジタル値に変換して取り込み、三次元マップを作成する。また、後述する正規化などの信号処理を実行する。
【0032】
デコンボリューション処理手段20の機能について説明する。
図3に示すように、計測点付近のビームウエストとその上下の部分に45個の三次元画素を設定し、それぞれの三次元画素にその位置の光強度に比例する重みを付けたものをコンボリューション・カーネルとした。このコンボリューション・カーネルは対物レンズのNAにより決定される。三次元マップは、吸収物質の三次元分布である真の画像とコンボリューション・カーネルとのコンボリューションであると近似される。
【0033】
コンボリューションの逆演算であるデコンボリューションをサイエンティフィックボリュームイメージング社のソフトウエアHuygens Essentialを搭載したコンピュータによって計算した。このコンピュータソフトに限定されるものではない。デコンボリューションの処理には公知の数々のアルゴリズムが存在する。
コンボリューション・カーネルを対物レンズのNAや媒質の屈折率から算出する方法、微小なビーズを試料としてコンボリューション・カーネルを実測する方法、
コンボリューション・カーネルの設定を要しないブラインド・デコンボリューションなど、いずれのデコンボリューション算出方法も利用可能である。
【0034】
三次元のデコンボリューション処理には多数回の積和演算が必要になる。本実施例で利用したコンピューターソフトウエアを搭載したコンピュータによる方法以外にも、積和演算が高速に実行可能なデジタルシグナルプロセッサ(DSP)デバイスを含んで構成された電子回路、同様にフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)デバイスを含んで構成された電子回路で処理することも可能である。またグラフィックプロセッサユニット(GPU)を利用して処理速度を高速化することも可能である。
【0035】
本実施例では45個の三次元画素からなるコンボリューション・カーネルを設定したが、光強度のより低いところまでを含めた多数の三次元画素からなるコンボリューション・カーネルを設定すれば、処理がより完全になることは言うまでもない。また、三次元画素を回折限界よりも細かく設定すると回折限界を超えた分解能が得られる。しかし処理時間が増えてしまう。要求する画質に見合ったコンボリューション・カーネルを設定することが望ましい。
【0036】
光源が変動すると、微小な差信号に影響する。三次元マップ作成手段10に設置されている信号処理機能を利用し、差信号電圧を参照信号電圧で除して光源の変動をキャンセルする。これは光吸収量を表す差信号電圧を、光吸収がない場合の光透過量を表す参照信号電圧で正規化することである。この正規化処理によって、光源の変動の影響を受けない三次元画像が得られる。
【0037】
本実施例ではXYZステージを利用して走査を行った。走査は試料と計測点が相対的に移動できればよいので、他の装置構成が選択できる。一つは生体試料を固定し計測点を走査、すなわちガルバノミラーやポリゴンミラーを利用して光束を振り走査する構成であり、もう一方は計測点を固定し、試料をXYZの三次元ステージに搭載して走査する構成である。また、両者の方法を組み合わせることも可能である。各走査軸ごとに駆動方法を選択し、三軸を走査して試料と計測点が相対的に移動できればよい。
【0038】
光源はLEDランプに限定されない。ハロゲンランプ、水銀ランプなどの顕微鏡で光源として利用されているランプが利用可能である。観察したい物質の吸収がある波長を選択すればよい。例を挙げれば、淡白質の分布を画像化したいときには、構成するアミノ酸のトリフトファンとチロシンとが吸収する波長280nmを射出する光源を選択すればよい。光源によっては光源変調制御器5として、電子回路ではなく物理的に光を断続する光チョッパーを利用することもある。
【実施例2】
【0039】
図5は他の実施例の構成を示し、顕微鏡ならびに加工装置の模式図である。本実施例は参照信号電圧を得る構成と表示する部分の増設が実施例1と相違するだけなので、ここでは図4に示す実施例の構成部と同じ機能を有する構成部については同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。図には示していないが、三次元マップ作成手段10やデコンボリューション処理手段20を統括するコンピュータと、ポインティング・デバイスなどが設置される。
【0040】
生体試料1は三次元に駆動可能なXYZステージ2のステージ部2Aに載置される。ステージ部2Aは高い光透過率の透明材料で作製されている。XYZステージ2は三次元マップ作成手段10からの指令で動作する走査制御器3によって制御される。
【0041】
光源から照射された光束はビームスプリッタ6によって試料観察用光束(以下、第1の光束と称す)と参照用光束(以下、第2の光束と称す)に分岐される。第1の光束は対物レンズ7で試料1の試料空間内の一点(計測点)1aに集光される。試料1を通過した光束は試料透過信号検出器8で試料透過信号電圧に光電変換される。第2の光束を検出する参照信号検知器11は第1の光束の光学系に並列設置された対物レンズ9、参照信号検知の為に延長したXYZステージ2のステージ部2A、参照信号検出器11で構成されている。第2の光束は試料が存在しないところを通過して参照信号検出器11で参照信号電圧に光電変換される。以下の処理は実施例1と同様である。
【0042】
取得した三次元画像を表示するために、画像のガンマを補正する機能、視点角度を変更表示する機能を実現するための表示制御器30、ディスプレイ40が設置されている。
画像のガンマを補正して表示する機能、視点角度を変更表示する機能について説明する。微小な吸収率の差を観察者が認識できるようにコントラストを増強してディスプレイに表示する。コントラストの増強には公知の画像処理技術が利用される。例えば、白黒の階調表示またはカラーを割り当てることによって、肉眼で見るとほとんど透明にしか見えない生体試料の立体像を微小な吸収率の差にコントラストの大きな差をつけてディスプレイ上に表示する。さらに観察者が部分的にコントラストをつけて観察する場合には、データと表示コントラストとの関係を示すガンマ値を補正し、再表示できるよう構成される。また、アフィン変換やレンダリング機能を利用し、生体試料の立体像を回転させて、所望の視点から見た像を再表示するよう構成される。
【0043】
本実施例の顕微鏡で立体像を取得した後、画像中の1点を指定すると走査手段が指定点を中心とした狭い空間領域を走査するようになっているので、指定点を経時的に計測することができる。狭い空間領域とはデコンボリューションに最低必要な領域であって、利用したコンボリューション・カーネルの大きさを考慮して設定する。必要に応じて、横軸に時間をとり縦軸に指定点の光吸収をとったグラフが得られる。また複数の指定点を定期的に巡回測定することも可能である。
【0044】
本装置の応用として、刺激または加工など物理的または光化学的に強制的に変化を与える装置が実現できる。図6は物理的または光化学的に変化を与えるための光源を併設した光源を示す。光源以外の構成は図4と同様である。本装置は計測用の光源4Aと物理的または光化学的に強制的に変化を与えるための光源4Bとを光源切換えミラー16を図5のビームスプリッタ6と対物レンズ7間の光路中に挿入し、光路中に挿入した光源切換えミラー16により切換えるよう構成される。
【0045】
応用装置によれば、画像取得時よりも位置分解能が劣るが、強度の高い光による加熱などの物理的変化や、波長の異なる光、たとえば紫外線の照射で光化学的に生体試料の任意の場所に変化を起こすことができる。
【0046】
あらかじめ観察光で三次元画像を取得後に、その画像上の任意の点をポインティング・デバイスによって指定すると、その三次元座標が走査制御器に送られXYZステージのステージ部が指定位置に移動し、光束の集光位置(計測点)を試料の指定位置に一致させることができる。従来では光の吸収率の差が微少で判別することが困難であった特定の細胞器官などを選択的に刺激すること、ならびに加工することができる。
【0047】
加工の例を挙げると試料中の特定位置の色素をクエンチングすることができる。また遺伝子操作に必要な核酸の連結・開裂が、従来用いられてきた酵素法(リガーゼによる連結、制限酵素による開裂)に代わって本装置を用いてカルボキシウラシル分子と波長366nmの光と波長302nmの光を利用して特定位置で核酸の連結・開裂を実行できる。
【実施例3】
【0048】
図7は他の実施例を示すもので、顕微鏡ならびに加工装置のブロック図である。
ここで、加工装置の場合は、図6の光源切換手段を適用する。本実施例は前述の実施例2と比べると参照信号電圧を得る手段が異なる。参照信号電圧を得る手段だけを説明し、他の部分の説明を省略する。
光源からの光束はビームスプリッタ6によって試料計測用と参照用の二つの光束に分岐される。参照用の光束は参照信号検出器11で光電変換・増幅される。参照信号検出器11の出力は減衰器(レベル調整器)15を介して減算器12に入力される。
観察に先立ち、試料1を搭載しない状態で減算器12のプラス入力とマイナス入力が等しくなるように減衰器15の減衰率を調整する。この作業で観察に利用する参照信号電圧が得られる。
【0049】
本実施例はXYZステージ2を利用した。試料1と光束が集光した計測点が相対的に移動し、走査されればよいので、この方式に限定されない。試料1を固定し、ガルバノミラーなどを利用し光束を振って走査する方式や、コンパクトデスクのピックアップに採用されているような移動可能な対物レンズを利用しYZに走査する方式などをも採用することができる。
【実施例4】
【0050】
図8は他の実施例の構成を示すもので、顕微鏡ならびに加工装置のブロック図である。ここで、加工装置の場合は、図6の光源切換手段を適用する。
三次元走査がYZに移動する可動対物レンズとXステージにより実現され、また参照信号電圧は青紫半導体レーザーに搭載されているモニタ・ダイオードから生成されている。
【0051】
三次元画像取得装置を適用したコンパクトな顕微鏡ならびに加工装置である。他の応用例としては、(ES)細胞の分化過程を追跡する装置や細胞培養装置の監視装置など、生物医学関連計測装置の一要素である画像取得部分を構成する観察モジュールに利用できる。
【0052】
生体試料1は一次元に駆動可能なXステージ21に搭載されている。半導体レーザー60はレーザー射出ダイオード61とモニターダイオード62が単一の素子の中に搭載されている。レーザー射出ダイオード61から後ろ側に射出された第2の光束は内部でモニターダイオード62に導かれ、前面に射出される第1の光束の光強度がモニターされる。
【0053】
レーザー射出ダイオード61は三次元マップ作成手段10とレーザー変調制御器50によって制御され、所定の周波数で振幅変調された第1の光束を照射する。第1の光束は可動対物レンズ70によって生体試料1に集光される。可動対物レンズ70は非球面のプラスチックレンズが組みつけられているボイスコイル71によって可動可能に構成され、三次元マップ作成手段10からの指令によってY駆動制御器22とZ駆動制御器23を介して二次元に走査可能な対物レンズである。
【0054】
本実施例では可動対物レンズ70をZ軸とY軸の二次元の走査に利用したが、負帰還をかけた制御でないため直線性が劣る。Z駆動制御器23とY駆動制御器22の直線性を補正する機構を搭載した。
生体試料1に集光された光束は主検出器として試料透過信号検出器8により光電変換・増幅される。参照信号電圧は半導体レーザー60に組み入れられているモニターダイオード62から得る。モニターダイオード62は本来、レーザー射出ダイオード61からの射出光をモニターし、レーザー射出ダイオード61が安定して発振するようにフィードバックをかけて制御するために設けられている。
【0055】
本実施例においてもレーザー変調制御器50に接続され、変動を抑える目的で利用されている。さらに本実施例においては参照信号電圧を得るために利用され、モニターダイオード62が位相シフト器80を介して減算器12に接続される。
【0056】
観察に先立って試料1をステージに搭載しない状態でゲインと位相シフト量を調整し、減算器12のプラス入力とマイナス入力が振幅、位相ともに等しくなるようにする。本実施例では試料透過信号検出器8とモニターダイオード62との回路構成の違いによって生ずる位相差を位相シフト器80によって調整するよう構成されている。
【0057】
本実施例によれば、軽量・コンパクトに構成されているので、スタンドアロンな顕微鏡や加工装置以外にも、生物医学関連計測装置の一部分をなす観察モジュールとしても適応可能である。
【0058】
本発明を構成する手段は上述の実施例に限定されない。以下に、代替可能な手段について説明する。
【0059】
(1)計測点付近に局所的光強度分布を作成する手段としては対物レンズによって計測点に集光する以外にも、凹面鏡によって光束を計測点に集光しても良い。また、半導体の露光に利用される位相シフトマスクの技術を利用しても、計測点に局所的光強度三次元分布を作成することができる。中心部は透明体からなり、半波長分だけ位相をシフトする部材で中心部を輪帯状に取り囲んだ構造体をマスク上に設置し、このマスクを照明し、結像レンズで計測点に縮小結像すると、計測点に微細な局所的光強度三次元分布が得られる。計測点付近に二重構造の光強度分布が生成されるが、この強度分布をコンボリューション・カーネルとして利用することができる。
(2)試料透過信号検出器並びに参照信号検出器の前にレンズを設置し、光束を絞ると、小さな検出器で光電変換することができる。さらに光散乱体を設置し、光束を均一化して光電変換しても良い。
【0060】
本発明は特異的な構造体を選択的に強調して観察したいとき、観察光を吸収する色素を標識した抗体や核酸、ある構造体を選択的に染色する色素を利用して実施することが可能であるから、このような態様は本発明の実施に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(A)計測点の三次元位置座標と対応させた変調信号電圧の三次元マップ、(B)三次元マップからデコンボリューション処理後の三次元画像、の説明図である。
【図2】拡大した計測点付近の光束を示す図である。
【図3】コンボリューション・カーネルの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例1の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2の構成を示すブロック図である。
【図6】物理的または光化学的に変化を与えるための光源を併設した光源部を示す図である。
【図7】本発明の実施例3の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施例4の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1 生体試料
2 ステージ
3 走査制御器
4 光源
5 光源変調制御器
6 ハーフミラー
7,9 対物レンズ
8 試料透過信号検出器
10 三次元マップ作成手段
11 参照信号検出器
12 減算器
13 ロックインアンプ
14 微小変調信号処理部
15 参照信号生成部
20 デコンボリューション処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明に近い生体材料を試料とし、試料透過光の減衰量から立体像を得る三次元画像取得装置であって、
光束を射出する光源と、
前記光束を試料中の計測点に集光し、前記計測点付近に局所的光強度三次元分布を生成する手段と、
前記試料と前記計測点とを相対的に三次元走査する手段と、
前記試料の光透過量から前記光束の光減衰量を計測する手段と、
走査する計測点の位置座標に対応した前記光減衰量の三次元マップを作成する手段と、
前記計測点付近の局所的光強度三次元分布像から得られたコンボリューション・カーネルを用いたデコンボリューション、またはコンボリューション・カーネルを初期設定しないブラインドデコンボリューションのいずれかによって、前記三次元マップから試料の立体像を作成する手段と、
からなることを特徴とする三次元画像取得装置。
【請求項2】
前記試料の立体像をディスプレイに表示するとともに、前記立体像のガンマを補正し再表示する手段、ならびに前記立体像の視点角度を変えて再表示する手段を備えた表示制御器を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の三次元画像取得装置。
【請求項3】
前記デコンボリューションは、三次元デコンボリューション・コンピュータソフトウエアを搭載したコンピュータ、またはDSPを含んで構成され電子回路、またはFPGAを含んで構成された電子回路のいずれかによって行われることを特徴とする請求項1に記載の三次元画像取得装置。
【請求項4】
前記三次元走査手段は試料を搭載したXYZの三次元ステージで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の三次元画像取得装置。
【請求項5】
前記三次元走査手段は試料を搭載したX軸の一次元ステージと、Y軸およびZ軸の二次元に走査可能な可動対物レンズとから構成されていることを特徴とする請求項4に記載の三次元画像取得装置。
【請求項6】
前記三次元走査手段は光束をXYZの三次元に走査する光束三次元走査手段であることを特徴とする請求項1に記載の三次元画像取得装置。
【請求項7】
透明に近い生体材料を試料とし、試料透過光の減衰量から立体像を得る三次元画像取得装置であって、
光強度が所定の周波数で振幅変調された光束を射出する光源と、
前記光束を試料中の計測点に集光し、前記計測点付近に局所的強度分布を生成する対物レンズと、
試料がないときの光束の透過光量に相当する参照信号電圧と、試料があるときの前記光束の透過光量に相当する試料透過信号電圧との差を算出し、走査する計測点の位置座標に対応した光束の微小光減衰量に相当する変調信号電圧を出力する微小変調信号処理部と、
前記計測点の位置座標に対応した前記変調信号電圧を用いて三次元マップを作成する手段と、
前記計測点付近の光強度分布像から得られたコンボリューション・カーネルを用いたデコンボリューション、またはコンボリューション・カーネルを初期設定しないブラインドデコンボリューションのいずれかによって、前記三次元マップから試料の立体像を作成する手段と、
からなることを特徴とする三次元画像取得装置。
【請求項8】
前記微小変調信号処理部は試料透過信号電圧と参照信号電圧との差信号電圧を前記参照信号電圧で除算し正規化することを特徴とする請求項7に記載の三次元画像取得装置。
【請求項9】
前記微小変調信号処理部はロックインアンプを含んで構成されていることを特徴とする請求項7に記載の三次元画像取得装置。
【請求項10】
前記微小変調信号処理部はボックスカー積分器を含んで構成されていることを特徴とする請求項7に記載の三次元画像取得装置。
【請求項11】
参照信号電圧は光源から射出された光束から分岐された、試料を透過しない光束の光検出出力であることを特徴とする請求項7に記載の三次元画像取得装置。
【請求項12】
光源が半導体レーザーからなり、参照信号電圧が前記半導体レーザーに搭載されているモニタ・ダイオードから生成されることを特徴とする請求項7に記載の三次元画像取得装置。
【請求項13】
透明に近い生体試料を非染色状態で立体像を得る三次元画像取得方法であって、
光源から射出され、光強度が所定の周波数で振幅変調された光束を透明に近い生体試料の試料空間内の計測点に集光し、前記計測点付近に局所的強度分布を生成する工程と、
前記試料と前記光束とを相対的に三次元走査する工程と、
前記光束が試料を透過した後の試料透過光を検出し、試料透過信号電圧を得る工程と、
前記試料がないときの光束の透過光量に相当する参照信号電圧を得る工程と
前記参照信号電圧と前記試料透過信号電圧との差から試料空間内を通過し減衰した前記光束の減衰量に相当する変調信号電圧を抽出し、前記計測点の位置座標と対応させた変調信号電圧を用いて三次元マップを作成する工程と、
前記計測点付近の局所的光強度三次元分布像から得られたコンボリューション・カーネルを用いたデコンボリューション、またはコンボリューション・カーネルを初期設定しないブラインドデコンボリューションのいずれかによって、前記三次元マップから試料の立体像を作成する工程とからなることを特徴とする三次元画像取得方法。
【請求項14】
試料の立体像を計測点の位置座標と対応させてディスプレイに表示するとともに、前記立体像のガンマを補正して再表示する処理ならびに表示像の視点の角度を変えて再表示する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の三次元画像取得方法。
【請求項15】
前記試料透過信号電圧と参照信号電圧との差信号電圧を前記参照信号電圧で除し正規化する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の三次元画像取得方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれかの項に記載の三次元画像取得装置を利用し、透明に近い生体試料の試料空間内における任意点の位置座標を指定し、前記任意点を光刺激および/または光加工することを特徴とする三次元加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−264752(P2009−264752A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110769(P2008−110769)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【特許番号】特許第4236123号(P4236123)
【特許公報発行日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(502325904)株式会社林創研 (5)
【Fターム(参考)】