説明

三次元表面パターンを有するユニットを形成する方法および同方法の使用

【課題】三次元表面パターンを有するユニットを形成する方法及びこの方法の使用の提供。
【解決手段】ベース層3上に、第1処理ステップにてフォトレジストを適用。第2処理ステップにて、予め定められたマスキング露光13をフォトレジスト層9に施す。第3処理ステップにて、フォトレジスト層9の一部を現像除去し、犠牲層領域25を有する初期表面パターンを得る。第4処理ステップにて、初期表面パターンを覆うコーティング29、31を、好ましくは交代層システムとして、特にスパッタリング法で適用。第5処理ステップにて、犠牲層領域25を不安定化させるため初期表面パターンにエネルギーを適用。第6処理ステップにて、初期表面パターンに予め定められた処理温度にて高圧液体ジェット33を作用させ、それにて犠牲層領域25を覆うコーティング29の少なくとも一部を最終表面パターンを得るために機械的に除去、又は少なくともこじ開ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1に記載の三次元表面パターンを有するユニットを形成する方法(「リフト−オフ−方法」)および特許請求項13に記載のこの方法の使用に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、高価で取扱いが難しい溶剤を使用する必要なしに、三次元表面パターンを発生させることのできる方法を提供することである。パターンの表面構造は、好ましくはマイクロメートルおよびサブマイクロメートル領域にある。しかしこの方法は、さらに微細なパターン化にも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
課題の解決は、特許請求項1の特徴によって行われる。
【0004】
本発明によれば、ベース層上に三次元表面パターンを有するユニットを形成するために、第1の処理ステップにおいて、フォトレジスト層を形成するためにフォトレジストが塗布される。それに続く第2の処理ステップにおいて、予め定められた表面パターンに適合された、フォトレジスト層のマスキングされた露光が行われる。第3の処理ステップにおいて、現像によってフォトレジスト層の一部が除去され、犠牲層領域を有する表面初期パターンが得られる。犠牲層領域の材料は、残留しているフォトレジストである。第4の処理ステップにおいて、このようにして得られた表面初期パターンを覆うコーティングが塗布される。この表面初期パターンの特性は、大体においてユニットを使用する場合の要請に従う。コーティングは、単独の層とすることも、交代層とすることもできる。適用は、スプレー法、CVD方法またはPVD方法を用いて行うことができる。好ましくはこのコーティングは、スパッタリング形成される。第4の処理ステップに続いて第5の処理ステップが行われ、そこでユニットは、コーティングによって覆われた残りの犠牲層領域を不安定化させるためにエネルギー供給を受ける。エネルギー供給は、ユニットのフォトレジスト層側から、そのベース層側から、あるいは両側から行うことができる。好ましくは、ユニットのベース層側からエネルギー供給が行われる。
【0005】
ベース層側は、後述のエネルギー供給に対し、通常、ユニットのフォトレジスト層側よりもアクセスしやすい。これは、ユニットのフォトレジスト層側は、パターンを形成するために連続して処理されるためである。第6の処理ステップにおいて、フォトレジスト層側に高圧液体ジェットが供給される。コーティングの下の犠牲層領域はエネルギー供給によって不安定化されているので、高圧液体ジェットがこの犠牲層領域をその上にあるコーティングと共に機械的に除去し、かつ/または少なくとも犠牲層領域上のコーティングをこじ開ける。高圧液体ジェットの液体による化学的および/または物理的な溶融速度は、選択された処理温度においては無視でき、すなわち測定限界下にある。従ってユニットの材料と処理装置の流体シール手段は、処理の間高圧液体ジェットによっては証明できるほど腐食されない。流体シール手段というのは、たとえば本発明に基づく方法を実施する装置内でシールするために流体導管内で使用される、材料である。流体シール手段は、たとえばOリング、シールディスクなどである。
【0006】
エネルギー供給によって、犠牲層領域は「脆く」されている。従って高圧液体ジェットは犠牲層領域上のコーティングを引裂いて、犠牲層領域内へ侵入する。「こじ開け」ないし「侵入」は、結果として犠牲層領域が完全に除去される(放り出される)ように行うこともできる。しかしまた、該領域を部分的にのみこじ開けることもできる。しかしこのこじ開けは、たとえば経済的に許容し得る時間内に超音波浴内で洗浄することによって得られるよりも、空間的にずっと大きい傷をもたらす。
【0007】
コーティングによって覆われた犠牲層領域は、犠牲層領域の不安定化によって除去され、犠牲層領域のないコーティング領域、すなわちコーティングによって覆われているベース層は、所定位置に残る。初期表面パターンの高さは、最終表面パターンの深さとなる。
【0008】
犠牲層領域を、液体をフラッシングすることによって膨潤させて、化学的および/または物理的に溶解させて除去することが知られている。それに対して本発明は、化学的および/または物理的な溶解を必要としない。なぜなら本発明においては、方法で使用される処理温度において、ユニットの材料および処理装置内で使用される流体シール手段とについて、その化学的および/または物理的な溶融速度が、適用の間測定限界を下回る、液体が使用されるからである。シールリングおよびシールディスクのような流体シール手段は、通常、有機材料からなる。本発明は、さらに、周囲空気と反応する材料を使用しない。従って特に、既知の溶剤、アセトン、アルコールなどにおけるような、特別な安全技術的対策(爆発の危険回避、廃棄困難、発ガン性物質、など)を行う必要がない。機械的な構造も、単純かつ安価に形成することができる。というのは、使用すべき、高圧液体ジェットの液体は、方法に使用すべき装置の材料も、そのシール手段も攻撃しないからである。従ってシール手段として、たとえばハウスサニタリー領域で使用されるような、シール、Oリング、皿状シールなどの安価な量産品を使用することができる。
【0009】
補足的に説明すると、「Roempp」、第9版、2539ページによれば、物理的溶解と化学的溶解は区別される。たとえば食塩または砂糖を水に溶かす場合には、溶液を蒸発または乾燥した後に、その前に溶解された物質の全量が形を変えずに回収される。溶解操作に際し、食塩ないし砂糖に実質的な変化はないので、これを物理的溶解という。
【0010】
それに対して化学的な溶解は、固体物質の、溶剤との化学反応と結びついている。蒸発によって溶剤を除去した場合に残るのは、新しい物質である。たとえば鉄に塩酸を注ぐと、鉄はガスを発生し、緑色を呈して溶解する。ここでは鉄ではなく、化学的なプロセスに基づいて形成された塩化鉄(II)が溶解している。
【0011】
高圧液体ジェットというのは、ジェットを成形するノズルから流出する前に、圧力が数十バールになるジェットである。圧力は、構造、層厚、平面的寸法、1つまたは複数の材料および除去すべきパターン構造における被覆の性質に依存する。高圧液体ジェットの圧力は、所望の表面パターン構造を形成するためには、約100バールから180バールである。
【0012】
フォトレジスト層の特性は、可視領域の光線ないし近紫外線領域の光線の照射によって変化する。フォトレジスト層は、感光性のポリマー材料からなる。ポジティブな感光材料とネガティブな感光材料並びにいわゆるイメージ反転レジストもある。露光後のフォトレジスト層の現像は、使用される層材料、層厚および露光強度に従う。
【0013】
フォト層は、たとえば1.5μmから10μmの層厚を有するイメージ反転レジストからなることができる。選択される層厚とその材料は、形成すべきパターン化されたコーティングの使用に依存する。たとえばパターン化された、光学的なカラーフィルタを形成する場合には、3μmから5μmの層厚が使用され、層の現像は、0.8%よりも高い濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液NaOHによって行われる。イメージ反転レジストにおいては、好ましくはほぼ1.2%の水酸化ナトリウム水溶液によって処理される。
【0014】
ここで好適に使用されるイメージ反転レジストは、ポジティブレジストの利点をネガティブレジストの利点と結びつける。イメージ反転レジストは、ここでは2回露光され、その場合に第2の露光は300mJ/cm2より大きい照射線量により紫外線領域で行われる。2つの露光の間に、好ましくは加熱、たとえば110℃と130℃の間の温度で「ベーキング」が行われる。加熱のためのパラメータは、使用されるレジスト材料に依存する。ここでは、たとえば、マイクロケミカル社の名称Ti35Eを有するフォトレジストが使用される。好ましくは、フォトレジストがまだ流動し始めない、できるだけ高い温度が使用される。というのはその場合にはベーキングの時間が短くなるからである。従ってここに記載されている例においては、130℃の温度が典型例として使用される。
【0015】
高圧液体ジェットによって、コーティングで覆われた残りの犠牲層領域がこじ開けられるが、完全には除去されないことが多い。その場合にはまだ残っている、場合によっては部分的に覆われた犠牲層領域を完全に除去するために、および/または第7の処理ステップにおいて、高圧液体ジェットから独立した他の供給システムによって、溶剤、典型的には1%と20%の間、好ましくは9.5%と10.5%の間、特に10%の濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液が適用される。好ましくは、溶剤は、高圧液体ジェットの直後に適用される。独立した供給システムを使用することによって、溶剤のための供給システムのパイプ導管材料とそのシールは、その溶剤の特性に合わせて特別設計することができる。高圧液体ジェットとは異なり、溶剤は低い圧力で(「スプラッシュジェット」)適用される。従って圧力的には、溶剤の導管システムへは特別な要請はなされない。
【0016】
第5の処理ステップにおける、上側の層によって覆われている残りの犠牲層領域の不安定化は、コーティング全体にエネルギーをかけることによって行われる。使用される層材料、特にすべての被覆するコーティングの材料に応じて、次の方法を使用することができる:
・4から10分の間、たとえば500から1500mJ/cm2でUVフラッド露光;
・攻撃しない液体(たとえば水)の中で煮沸(典型的には1から2時間);
・無視できる化学反応速度による過熱蒸気(たとえば2.5バールにおいて127℃を有する水蒸気);
・典型的には100Wと5分の長さを有する、加熱するマイクロ波照射
【0017】
現像されたフォトレジスト層上のコーティングは、具体的用途に応じて選択される。たとえば光学的な用途の場合、パターン化された誘電体フィルム(たとえばカラーフィルタ)用となる。コーティングは、周期律のグループIVA、IVB、VBからの少なくとも2つの異なる酸化物または酸窒化物からなる、たとえば光学的に高屈折率層と低屈折率層の連続からなる、交代層システムとして形成することができる。高屈折率材料として、たとえばTiO2、Ta25、Nb25、HfO2、ZrO2、SiOxy、…、低屈折率材料として、たとえばSiO2、Al23、SiOxy、…を使用することができる。この場合において、上方の層は0.5μmと5μmの間、好ましくは1μmと2μmの間の厚みで形成される。第4の処理ステップにおけるこの交代層の塗布ないしスパッタリング形成は、特に120℃より下のユニットの温度において行われる。他の材料が使用される場合には、他の温度も用いられる。この種のコーティングを形成するための方法は、たとえばDE−A4410258に記載されている。
【0018】
フォトレジストの露光は、上方の層上にクロムマスクを結像させることによって行われる。クロムマスクは、好ましくは水銀蒸気ランプ(365nmにおける放出線;強度160mJ/cm2)によって行われる。しかしまた、レーザービームを使用することもでき、そのレーザービームが上方の層上で所望のパターンに従って移動される。レーザービームを使用する場合には、その合焦点を、フォトレジスト上方、上またはその中にあるように、調節することができる。短焦点の合焦点が、たとえばフォトレジスト層上にある場合には、レーザービームはフォトレジスト内で著しく拡散する。その場合にフォトレジストの比較的低い位置にある領域は、表面直近にある領域よりも、少なく露光される。この拡散する露光が、形成すべきパターンにおけるオーバーハング側壁の形成を支援する。オーバーハング壁は、上述した不安定化と共に、上方の層によって覆われている残りの犠牲層領域を高圧液体ジェットによってこじ開け又は除去することを容易にする構造をもたらす。
【0019】
高圧液体ジェットのための液体としては、標準温度においてユニットの材料および流体シール手段との関係で化学的および物理的溶解速度が適用の間測定限界より下にある、ほぼすべての液体を使用することができる。しかし、高圧液体ジェット用の液体としてDI水(脱塩濾過水)が100バールと180バールの間の圧力で使用される場合には、パターン化されたフォトレジスト層側が同時に洗浄され、従ってすでに後の処理ステップのため、たとえばリソグラフィープロセスのための準備ができる。これは、既知の方法に比較して、効率をさらに向上させる。
【0020】
本発明の他の好ましい実施形態および特徴の組合わせが、以下の詳細な説明および特許請求項全体から明らかにされる。
【0021】
図面を用いて実施例を説明する。
【0022】
原則的に、図面において等しい部分およびユニットは、同一の参照符号を有している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】マスキングして露光されたフォトレジスト層で覆われたベース層を有するユニットを示す断面図である。
【図2】図1に示すユニットを、フォトレジスト層の現像とそれに続くコーティングの後に示す断面図である。
【図3】エネルギー供給によって不安定にされた、コーティングによって覆われた犠牲層領域(現像されたフォトレジスト層領域)を、本発明に基づいて除去することを概略的に説明している。
【図4】図1に示すユニットを、全処理ステップ後に、形成された最終表面パターンと共に示す断面図であって、その場合に簡単にするために、パターンの多くの可能な隆起領域のうちの1つだけが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ベース層(3)を有するユニット1を示しており、そのベース層上にフォトレジスト層9が塗布されている。フォトレジスト層9は、3μm〜5μmの厚みを有している。
【0025】
レジスト層9を形成するために使用すべきフォトレジストの選択は、極めて重要である。ネガティブレジストの特性を有するフォトレジストは、表面をパターン化する場合にネガティブな勾配を有する側壁、すなわちオーバーハングする壁をもたらす。これは、露光に使用される光(放射)の強度は、その放射がフォトレジスト内に深く進入するほど、それだけ吸収量が増すことによって、もたらされる。このオーバーハングする壁は、「リフト−オフ法」においては望ましい。というのは、その場合にはパターン構造端縁部のコーティングが不連続性を有しており、その不連続性が、後述するように、コーティングを有する、現像されたフォトレジスト層領域(犠牲層領域)の除去を容易にするからである。この論拠は、ネガティブレジストの使用を支持するものである。
【0026】
しかし、ネガティブレジストを使用する場合の欠点は、スピン塗布する際に糸を引く傾向があることであって、それが塗布された層の劣ったレジスト均質性をもたらす可能性がある。それに対してポジティブレジストは、簡単にスピン塗布されるが、上述したように、オーバーハングする側壁をもたらさない。パターンにオーバーハングする側壁が設けられない場合には、パターン構造端縁部におけるコーティングは連続し、後の「リフト−オフ」ステップを困難にする。
【0027】
たとえば、マイクロケミカル(Micro Chemicals)社の名称Ti35Eを有するフォトレジストが使用される。これは、いわゆるイメージ反転レジスト(IRR)である。このフォトレジストは、実験によって求められたように、所望の表面パターンに従って局所的に溶解するように露光し、次に加熱した後に、再度露光することができる、という特別な性質を有している。通常、激しい強度を有する均質な露光(フラッド露光)として実施される、この第2の露光によって、フォトレジストは後続の現像のためにネガティブレジストの特性を得て、それによってパターンのオーバーハングする側壁が得られる。
【0028】
第2の処理ステップのフォトレジスト層9の、予め定められた最終表面パターンに適合された、マスキングされた露光13は、図1に概略的に示すように、フォトマスク23を使用して行われる。そのためにたとえば、いわゆるグレー階調マスクを使用することができる。しかしまた、適切な光源と組み合わせて位相シフトマスクを使用することもできる。
【0029】
ここで説明する例においては、フォトマスクとしてクロムマスク23が使用される。ユニット1のベース層3上にあるフォトレジスト9が、水銀蒸気ランプの放射13によって照射される。放射13は、365nmの強い放出線を有している。強度は、約160mJ/cm2である。
【0030】
必要とされる露光時間は、一般に所望のパターン、使用される放射源(光源)および場合によっては使用されるフォトマスクに依存する。
【0031】
「パターン化する」露光(第1の露光)の後に、層3上にある露光されたフォトレジスト9を有するユニット1は、110℃〜130℃で「ベークされる」。次に、水銀蒸気ランプの放射(実質的に365nmの放射の波長を有する)と約400mJ/cm2の強度を有する他の露光が行われる。ここで使用されるフォトレジストTi35Eは、この第2の露光(放射)によって、ネガティブレジストの特性を得る。
【0032】
この第2の露光に続いて、第3の処理ステップとしての現像ステップが行われる。そのために、1.2%のNaOH溶液を作用させる。この作用において、フォトレジスト層9の、第1の露光において露光された領域25はそのまま残り、従って表面初期パターンを形成する。ここに記載された1.2%の溶液の濃度は、単に標準値とみなすべきであり、たとえばフォトレジスト厚みと露光強度のような、与えられた状況に適合される。
【0033】
それに続く、図2に示す、第4の処理ステップにおいて、残っている領域25を有する表面初期パターンと、現像によって除去された領域27に、コーティングが設けられる。同じ1つの材料であるが、領域25上のコーティング領域は符号29で、そして領域27内のコーティング領域は符号31で示されている。たとえばここで、約1μm〜2μmの厚みの交代層システムがスパッタリング形成される。使用される材料については、すでに冒頭で挙げられている。スパッタリングは、他の可能なコーティング方法に比較してずっと適している。というのは、ユニット1において、ここではたとえば120℃より下の、低い駆動温度を維持することができ、それにもかかわらずコーティングが安定した、特に温度安定した交代層システムをもたらすからである。
【0034】
コーティング後に、ベース層3上にはコーティング29で覆われたフォトレジストサブ領域25とコーティング31のみで覆われたベース層領域3からなる領域が設けられており、コーティング31の組成は、コーティング29の組成と同一である。表面プロフィールは、実質的に表面初期パターンに相当する。
【0035】
このコーティングに続いて、ユニット1のエネルギー供給がベース層側32から行われる。エネルギー供給は、冒頭ですでに述べたように、500mJ〜1500mJ/cm2を有するUV光放射、いわゆるフラッド放射によって、4〜10分の間行われる。この処理は、それぞれのフォトレジストサブ領域25とその上にあるコーティング29からなる層システムの、少なくとも部分的な不安定化をもたらす。
【0036】
第6の処理ステップ、いわゆる「リフト−オフ−プロセス」において、コーティング29を有するフォト層サブ領域25が除去される。エネルギー供給によってすでに不安定化されているこの領域を除去するために、図3に示すように、表面初期パターンに高圧ノズル33から流出する高圧水ジェット35が作用される。この作用によって、驚くべきことに、フォトレジストのない領域内のコーティング31が攻撃されることなしに、コーティング29をフォトレジストサブ領域25から除去することができる。従ってフォトレジストサブ領域25は、犠牲層領域として作用する。高圧ノズル33は、市場で一般的なノズルである。100バール〜180バールの領域内の圧力で処理される。100バールより低い圧力においては、除去効果は弱すぎ、180バールを越える圧力においては場合によっては高すぎる温度が生じる。
【0037】
高圧液体ジェットとして、多数の液体を使用することができる。しかし、DI水(脱塩濾過水)の特性が好ましいことにより、好ましくはこのDI水が使用される。というのは、高い品質において安価に提供することができ、使用する場合に残滓が残らないからである。さらに技術的に、DI水による高圧ノズルの駆動を維持することが容易である。というのは、方法を実施するための機械的な構成部品は、攻撃されず、あるいはほとんど攻撃されないからである。補足的に述べると、DI水の使用は環境技術的に何ら問題をもたらさない。
【0038】
高圧液体ジェット35の適用後に、フォトレジストサブ領域25とコーティング29の残りの部分を除去するために、たとえばNaOH溶液のような、単純な溶剤37を、図3に示すように、攻撃された表面初期パターン上に塗布することができる。この除去後には、表面最終パターンが存在している。溶剤37は、図3においては高圧液体ジェット33から分離された供給システム39によって供給されるが、その供給システムは高圧液体ジェット33と一緒に供給することもできる。溶剤37の供給は、高圧液体と同時に、あるいは時間的に高圧液体の直後に行うことができる。高圧液体ジェットは、フォトレジストのための溶剤であるが、ユニット1[処理ステップ2に基づくユニット(図2:後続の、たとえば交代層コーティング29/31を有する、現像されたフォトレジスト層)]とパターン化装置を有意には攻撃しないような液体を含んでもよい。
【0039】
最後の処理ステップにおいて−場合によっては表面パターンの側壁の一部が残っていることがある−、再度高圧水ジェット33によって表面パターンすなわち最終表面パターンを洗うことができる。それによって、場合によってはまだ残っている、望ましくないコーティング残滓のクリーニングが行われる。残るのは、図4に示すように、パターン化されたユニット(最終表面パターンを有し、その場合に高いところと低いところが初期表面パターンと逆になっている)である。DI水の使用によって、ユニットは次のプロセスステップの前にすでに浄化されており、そのプロセスステップは全く他のリソグラフィープロセスとすることができる。クリーニングの後に、乾燥スポットの形成を防止するために、ユニットを湿らせておき、後になって初めて乾燥させるべきである。
【0040】
構造の大きさは、上方へ向かっては、ユニットおよび露光のためのマスクの大きさによってのみ制限されている。マイクロメートル領域内の比較的大きい構造大きさは、グレー階調マスクおよび/またはクロムマスクによって実現される。比較的小さい構造のためには、たとえば位相シフトマスクによる、干渉効果が使用される。下は10nm未満に至るまでの構造大きさのためには、電子ビーム書込みを使用することができる。
【0041】
要請される表面パターンに応じてクロムマスク23を使用してフォトレジストを水銀蒸気ランプによって照射する代わりに、予め定められたパターンに応じてフォトレジスト層の上方で移動するレーザービームを使用することもできる。その場合には、クロムマスク23は省くことができる。レーザービームによって、同様にパターンの、上述したオーバーハングする壁を得ることができる。そのためにレーザービームに、ビーム断面にわたる適切な強度プロフィールを与えることができる。ビーム断面にわたって強度推移を与えることは、それに応じた部分透過するマスク、レーザービームの選択されたモード構造ないし合焦光学系の選択された合焦深度によって得ることができる。
【0042】
たとえばレーザービームがフォトレジストの上方の領域上に小さい被写界深度で合焦された場合には、このレーザービームはフォトレジスト内で著しく分散して広がる。それによって深いところにある領域は、フォトレジスト上側に近い領域ほど強くは露光されない。その場合にパターン構造のオーバーハングした側壁が現像後に得られる。
【0043】
レーザービームによる代わりに、電子ビームによっても予め定められたパターンを書き込むことができる。フォトレジスト層の露光に、いわゆる2ビーム干渉を使用することができる。
【0044】
不安定化するために、ユニット1のベース層側32からUV光によってエネルギー供給を行う代わりに、もちろん、フォトレジスト層側から照射することもできる。ベース層側から照射する利点は、他のエネルギー供給と同様に、すでに冒頭で詳しく述べてある。
【0045】
エネルギー供給するためにユニットが「煮沸され」あるいは水蒸気内で加熱される場合には、不安定化の強化において、冷たい水で後から急冷を行うと効果的であることが明らかにされている。その場合に、マイクロケミカルのイメージリバーサルレジストの広がり効果は、標準的なネガティブレジスト(たとえばクラリアント−Clariant−のAzlof2035)のそれよりも高いことが明らかにされた。従って選択されたマイクロケミカルのフォトレジストは、より良い作用を示している。
【0046】
上述したように、まだ残っている、場合によっては部分コーティング(29の一部)を有する、フォトレジスト部分領域を除去するために、単純な溶剤(NaOH溶液)を供給することは、特に効果的な変形例においては、すでに「こじ開ける」高圧液体ジェット33の一部として、あるいはそれがオフにされた直後に、行うことができる。するとフォトレジストサブ領域は、少なくとも部分的に露出しているので、フォトレジストはNaOH溶液と接触した場合に迅速に溶解する。
【0047】
既知の方法とは異なり、ここでは、「リフト−オフ法」において高圧液体ジェットを使用する場合、攻撃的溶剤が不要となり、単に弱い溶剤または特に水だけが使用される。さらに、機械的にこじ開けるために、フォト層サブ領域によって形成される「犠牲層」の除去ないし溶解のためとは異なる液体を使用することができる。機械的なこじ開けは、もちろん、上述したように、前もって不安定化が行われている場合にのみ許容し得る手間によって可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層上に三次元最終表面パターンを有するユニットを形成する方法(「リフト−オフ法」)であって、第1の処理ステップにおいて、該ベース層上にフォトレジスト層を発生させるためにフォトレジストを適用し、第2の処理ステップにおいて、予め定められた最終表面パターンに適合されたマスキング露光を該フォトレジスト層に施し、第3の処理ステップにおいて、該フォトレジスト層の一部を現像除去することで、犠牲層領域としてのフォトレジストサブ領域を有する初期表面パターンを得、第4の処理ステップにおいて、得られた初期表面パターンを覆うコーティングを、好ましくは交代層システムとして、特にスパッタリング法で適用し、第5の処理ステップにおいて、犠牲層領域を不安定化させるために該初期表面パターンにエネルギーを適用し、第6の処理ステップにおいて、予め定められた処理温度において該初期表面パターンに高圧液体ジェットを作用させ、該犠牲層領域を覆うコーティングの少なくとも一部を、該最終表面パターンを形成するために機械的に除去し、又は少なくともこじ開け、該第6の処理ステップにおいて、該高圧液体ジェットの液体は、操作温度において、適用中、該ユニットの材料および/または特に有機の流体シール手段に対し、測定限界未満の無視し得る化学反応速度および/または物理溶解速度を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
第7の処理ステップにおいて、1%〜20%の間、好ましくは9.5%〜10.5%の間、特に10%の濃度を有する溶剤、典型的には水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)を、該犠牲層領域のアクセスできる部分から材料を除去するために適用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該溶剤を該高圧液体ジェットと同時に適用することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該溶剤を該高圧液体ジェットの直後に、好ましくは該高圧液体ジェットから独立した供給システムによって適用することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第5の処理ステップにおいて適用される不安定化エネルギーが、UV−フラッド露光であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第5の処理ステップにおける不安定化エネルギー適用として、無視できる化学反応速度を有する過熱蒸気、特に水蒸気を好ましくは加圧状態で使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第5の処理ステップにおける不安定化エネルギー適用のために、該ユニットをこのユニットを攻撃しない液体、特に水によって煮沸することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第5の処理ステップにおける不安定化エネルギー適用のために、加熱するマイクロ波放射を使用することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
不安定化エネルギー適用後に急冷を行うことを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
フォトレジストとして、好ましくは0.1μm〜10μm、特に3μm〜5μmの間の層厚を有する、いわゆるイメージ反転レジストを使用し、第2の処理ステップにおいてマスキング露光の後に、該フォトレジスト層を加熱し、好ましくは110℃〜130℃の間の温度でベークし、次に中間ステップにおいて、2回目として、好ましくは300mJ/cm2より大きい近紫外領域の強い露光で均質に露光することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該フォトレジストを露光するために、光ビーム、特にレーザービームが使用され、フォトレジスト層のより深い位置にある領域を、表面近傍の領域よりも局所的により少なく露光するように、前記光ビームの強度推移がフォトレジスト層の内部で、光ビームがフォトレジスト層の上側上に合焦されることによりフォトレジスト内で著しく発散して広がるように、変形されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
交代層システムとしてのコーティングが、周期律のグループIVA、IVB、VBからなる群の少なくとも2つの異なる酸化物または酸窒化物を含む少なくとも1つの高屈折率材料と低屈折率材料を含み、0.5μm〜5μmの間、好ましくは1μm〜2μmの間の厚みを有し、かつ第4の処理ステップの間該ユニットの温度が120℃より低く維持されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
パターン化されたフォトレジスト層側が同時に洗浄され、従って次の処理ステップのため、たとえばリソグラフィープロセスのための準備ができるように、高圧液体ジェットのための液体として、DI水(脱塩濾過水)を、好ましくは100バール〜180バールの間の圧力と、特に60℃より高い温度で、使用することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
パターン化された光学カラーフィルタ、特にカラーホィールのような光学ユニット上にパターン化された誘電体フィルムを形成するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−272877(P2010−272877A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152462(P2010−152462)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2004−504051(P2004−504051)の分割
【原出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【出願人】(507317351)エルリコン トレーディング アクチェンゲゼルシャフト,トリューブバハ (7)
【Fターム(参考)】