説明

三環アリールアミンポリマーを含む電子デバイス

【課題】低い電圧での改善された伝導性及びより高いデバイス効率を有する、エレクトロルミネセンスデバイスを提供する。
【解決手段】印加電圧の下で、フィルムがデバイスの透明な外部部分を通して透過する可視光を放射するように、アノードとカソードの間に配設されたエレクトロルミネセンスデバイスであって、該フィルムが、下記式Iのフルオレン、三環アリールアミン及びフルオレンの繰り返し単位を有する骨格を含むポリマーを含むエレクトロルミネセンスデバイスである。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三環アリールアミンモノマー及びそれから生成したポリマー及び組成物、並びにそれらのポリマーと組成物のフィルムを含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フルオレンに基づく共役ポリマーは、光電子特性を有することが知られている。いくつかの報告、例えば、A.W.Grice、D.D.C.Bradley、M.T.Bernius、M.Ibasekaran、W.Wu、E.P.Woo、Appl.Prep.Lett.、1998、73、Y.Young and Q.Pei、J.Appl.Pre.81、3294(1997)はフルオレンホモポリマーからの青色発光を提示した。
【0003】
フルオレン含有ポリマーを修飾してデバイスの効率を高める試みが行われた。また、ポリフルオレンに基づくデバイスの発光における望ましくない赤色シフトを制御する試みが行われた。
【0004】
国際公開第01/81294A1号は、電荷輸送性三環アリールアミンで末端をキャッピングしたフルオレンポリマーを教示している。この文献は、少なくとも1個の電荷輸送部分で末端キャッピングすることが優位性を与えると述べている。意図された優位性は、ポリフルオレンポリマー主鎖の電気的特性を変化させない、より高い効率と色の安定性を含む。また、この文献は、ポリフルオレン主鎖の中に化学種を組み込むことを含むアプローチ、又は他のモノマーとの共重合を含むアプローチは主鎖の本質的な特性を必然的に変化させると述べている。
【0005】
米国特許第5,874,179号(Kreuder等)は窒素含有コモノマーのポリフェニレンビニレンに基づく光電子ポリマーを教示している。さらに、Kreuderは、フルオレンがポリフェニレンビニレンに基づくポリマー中の、窒素含有縮環構造の部分であり得ることを教示している。
【0006】
米国特許第5,879,821号(Hsieh)は、互いに結合した、又は二価の原子若しくは「G」部分の両側にビス構造で配置された、2個の三環アリールアミンの繰り返し単位を含むポリマーを教示している。Gは、O、S、N−フェニル、ビニレン、アセチレン、p−フェニレン、m−フェニレン、o−フェニレン、又は−CH=CH−フェニル−CH=CH−とすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
良好な伝導性と向上した効率を呈し、様々な着色光を放射し、かつ低い駆動電圧で高い輝度を有する光電子材料及びデバイスの必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、本発明は、フルオレンに基づく光電子ポリマーの主鎖に三環アリールアミンを含むことにより、非環式アリールアミンなどの他の電荷輸送基を有するポリフルオレンに比べて、低い電圧で改善された伝導性、並びにより高いデバイス効率が提供されることを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
したがって、第1の実施形態において、本発明は式Iの繰り返し単位を含むポリマーである。
【化1】


式中、Rは各々独立に、H、C1〜40のヒドロカルビル、又は1個又は複数のS、N、O、P、若しくはSi原子を含むC3〜40のヒドロカルビル、又は両方のRはフルオレン上の9−炭素と共に1個又は複数のS、N、若しくはO原子を含むC5〜20環構造を形成し、
は各々独立に、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、又はシアノであり、
aは各々独立に0又は1であり、
XはO、S、SO、C(R、N−R、Si(R(Rは置換又は非置換のC〜C40のアリール、C〜C24のアラルキル、又はC〜C24のアルキルである)である。RはC〜C24のアリール基であることが好ましく、RはC〜C24アラルキル基であることがさらに好ましい。
【0010】
Arは置換又は非置換のC〜C40のアリール又はヘテロアリール基であり、C〜C24であることが好ましく、C〜C14であることが最も好ましい。
【0011】
他の態様において、本発明は、フィルムが印加電圧の下でデバイスの透明な外部を通して透過する可視光を放射するようにアノードとカソードの間に配設された、本発明のポリマーのフィルムを含むエレクトロルミネセンスデバイスである。
【0012】
他の態様において、本発明は、電界効果トランジスタの半導体層として配設された本発明のポリマーを含むデバイスである。
【0013】
他の態様において、本発明は、式、
【化2】


の組成物である。
式中、XはO、S、SO、C(R、N−R、又はSi(R(Rは置換又は非置換のC〜C40のアリール、C〜C24のアラルキル、又はC〜C24のアルキルである)であり、Arは置換又は非置換のC〜C40のアリール又はヘテロアリール基であり、HalはBr、Cl、又はIである。HalはCl、又はBrであることが好ましく、Brであることがさらに好ましい。
【0014】
好ましい実施形態において、本発明は式Iの繰り返し単位を含むポリマーである。
【化3】


式中、Rは各々独立に、H、C1〜40のヒドロカルビル、又は1個若しくは複数のS、N、O、P、若しくはSi原子を含むC3〜40のヒドロカルビルである。代わりに、両方のRは、フルオレン上の9−炭素と共に、C5〜20の脂肪族若しくは芳香族環構造、又は1個又は複数のS、N、若しくはOのヘテロ原子を含むことのできるC4〜20の脂肪族若しくは芳香族環構造を形成することができる。RはC1〜12アルキル、C6〜10アリール、C6〜40ヒドロカルビルオキシアリール若しくはアルキル置換アリール、C4〜16ヒドロカルビルカルボキシラート若しくはC9〜16アリールトリアルキルシロキサン部分であることが好ましい。Rはn−ヘキシル、n−オクチル、n−ヘキシルオキシフェニル、4−エトキシエトキシフェニル、フェニル若しくはビフェニルであることがさらに好ましく、Rはn−ヘキシル、n−オクチル、n−ヘキシルオキシフェニル若しくは4−エトキシエトキシフェニルであることが最も好ましい。
【0015】
2個のRがフルオレン環の9−炭素原子で環構造を形成する実施形態において、形成された環構造は、C5〜20の直鎖若しくは分岐鎖の環構造、又は1個又は複数のS、N、Oのヘテロ原子を含むC4〜20の直鎖若しくは分岐鎖の環構造であることが好ましく、C5〜10の脂肪族若しくは芳香族環構造、又は1個又は複数のS若しくはOを含むC4〜10の脂肪族若しくは芳香族環構造であることがさらに好ましく、C5〜10のシクロアルキル若しくは酸素を含むC4〜10のシクロアルキルが最も好ましい。
【0016】
は各々独立に、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルボキシルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、又はシアノである。RはC1〜12アルキル、C6〜10アリール若しくはアルキル−置換アリール、C6〜10アリールオキシ若しくはアルキル−置換アリールオキシ、C1〜12アルコキシカルボニル、C6〜10アリールオキシカルボニル若しくはアルキル−置換アリールオキシカルボニル、C1〜12アルコキシ、C1〜12アルキルカルボニルオキシ、C6〜10アリールカルボニルオキシ若しくはアルキル−置換アリールカルボニルオキシ、シアノ又はC1〜20アルキルチオであることが好ましい。
【0017】
「a」は各々独立に0〜1である。aは0であることが好ましい。
【0018】
用語「ヒドロカルビル」は、本明細書において、一価の芳香族、脂肪族、若しくは環状脂肪族基又はその組み合わせを指すのに用いられる。
【0019】
Xは、O、S、SO、C(R、N−R、又はSi(Rであることが好ましい。
【0020】
は置換又は非置換のC〜C40のアリール、C〜C24のアラルキル、又はC〜C24のアルキルである。RはC〜C24のアリール基であることが好ましく、RはC〜C24のアラルキル基であることがさらに好ましい。
【0021】
Arは置換又は非置換のC〜C40のアリール若しくはヘテロアリール基である。適切なAr基の例には、フェニル、アルキル化フェニル、9,9−ジアルキル−2−フルオレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ピリジニル、イソキノリニル、キノリニル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、又はフェナントリジニルが含まれる。
【0022】
好ましい実施形態において、ホール輸送部位、電子輸送部位、及び/又は発光部位を含む追加の共役単位が存在する。追加の単位は、電荷注入、電荷輸送、蛍光発光デバイスの効率と寿命の1つ又は複数を最適化するのに使用される。追加の単位は、以下のものを含む。
【化4−1】


【化4−2】


【化4−3】


【化4−4】


式中、共役単位は、置換基を保持することができ、それらの置換基は各々独立にC1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルボキシルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルボキシカルボキシル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、シアノ、又はフルオロ基である。
はO又はSであり、
QはR又はArであり、
RはC〜C20アルキルであり、
Arは置換又は非置換のC〜C40のアリール又はヘテロアリール基であり、
は各々独立に、H、C1〜40のヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P、若しくはSi原子を含むC3〜40のヒドロカルビルであり、又は両方のRは、両方のRが結合する炭素と共に、1個又は複数のS、N、若しくはO原子を含むことのできるC5〜20環構造を形成することができる。Rは独立にC1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、又はシアノである。
【0023】
本発明のポリマーは10,000ダルトン以上の重量平均分子量を有することが好ましく、20,000ダルトン以上がさらに好ましく、50,000ダルトン以上がさらに好ましく、1,000,000ダルトン以下が好ましく、500,000ダルトン以下がさらに好ましく、400,000ダルトンが最も好ましい。分子量は内部標準としてポリスチレンを用い、ゲル浸透クロマトグラフを使用して測定される。
【0024】
ポリマーは10以下の多分散性(polydispersity)(Mw/Mn)を示すことが好ましく、5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、3以下が最も好ましい。
【0025】
本発明のポリマーとコポリマーの混合物は、希釈溶液中又は固体状態で強いホトルミネセンスを示す。それらの材料は360〜500ナノメートル(nm)の波長の光に曝されると、材料は400〜700nmの領域の波長の光を放射する。それらの材料は380〜450nmの波長の光を吸収し、420〜680nmの波長の光を放射することがさらに好ましい。
【0026】
本発明のポリマーは芳香族化合物を作製する任意の公知のカップリング反応によって組み立てることができる。Suzukiカップリング反応を用いることが好ましい。Suzuki反応は二ホウ素化芳香族部分と二ハロゲン化芳香族部分を用いて芳香族化合物を結合する。反応は長鎖で高分子量のポリマーの形成を可能にする。さらに、添加の順序を制御することによって、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーのいずれかを製造することができる。
【0027】
Suzuki反応は、二ホウ素化フルオレンモノマー又は二ホウ素化置換フルオレンモノマー及び式、
【化5】


を有する二ハロゲン化共役モノマーから出発することが好ましい。
式中、XはO、S、SO、C(R、N−R、Si(Rであり、O又はSが好ましく、Arは前に定義した通りであり、4−アルキルフェニル、4−アルコキシフェニル、4−アミノフェニルであることが好ましい。Arは4−n−ブチルフェニル、(9,9−ジブチル)−2−フルオレニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、又は4−ジトリルアミノフェニルであることがさらに好ましい。
【0028】
任意選択的に、追加の二ハロゲン化共役モノマーを使用することができる。ポリマー構造は、フルオレン−共役モノマー、フルオレン−共役モノマー等の構造を有するであろう。
【0029】
任意選択的に、フェニレンジアミン、置換フェニレンジアミン、ベンジジン、置換ベンジジン、トリアリールアミン、置換トリアリールアミン、ベンゾチアジアゾール、チオフェン、ビス−チオフェン−ベンゾチアジアゾール、ジシアノビニレンピラン又はチオピランの二ハロゲン化物などの共役二ハロゲン化部分も使用することができる。
【0030】
Suzuki法は米国特許第5,777,070号に教示されており、本明細書に参照により明瞭に組み込まれている。
【0031】
トルエン又はキシレンは、本発明のポリマーを調製するSuzuki反応の好ましい溶媒である。水中の炭酸ナトリウムは好ましい塩基であり、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムは好ましい触媒であり、短時間に高分子量を達成するために、反応を加速するために相転移触媒、好ましくは第四アンモニウム塩が使用される。
【0032】
窒素上で置換されていない三環アミンはAldrich Chemical Companyを含んで多くの供給者から市場で入手可能である。アリール置換三環アミンは、N−非置換前躯体と臭素化若しくはヨウ素化したアリール若しくは置換アリール化合部との反応によって製造される。臭素化アリール若しくはヨウ素化アリール又は置換された臭素化アリール若しくはヨウ素化アリールに対するジアリールアミンの割合は1.2〜2である。材料は触媒の存在下で反応する。触媒は、好ましくは、酢酸パラジウム及びトリ−o−トリホスフィンである。好ましくは、ナトリウムtert−ブトキシドを塩基として使用できる。材料はトルエン中80〜110℃で15時間加熱及び還流される。溶液は冷却される。三環アミンを単離し、さらに当業者に知られている臭素化技術でさらに臭素化される。最も好ましい臭素化剤は、DMFやメチレンクロリド等の溶媒中のN−ブロモサクシンイミドである。
【0033】
本発明の他の態様はポリマーブレンドに関する。ブレンドは、少なくとも1種の他の共役ポリマーとブレンドされた、式I又は式Iと式IIの繰り返し単位を含むポリマーを含む。本明細書に使用される用語「共役ポリマー」は、重なり合うpi軌道の骨格を有するポリマーを意味する。ブレンドに使用することのできる共役ポリマーは、ポリフルオレン、ポリ(アリーレンビニレン)、ポリフェニレン、ポリインデノフルオレン(polyindenofluorene)、及びポリチオフェンを含み、これらはホモポリマー、コポリマー、又はこれらの任意の共役ポリマーの置換ホモポリマー及び/若しくはコポリマーを含む。
【0034】
ポリマーブレンドは、式I又は式Iと式IIの単位を含むポリマー少なくとも10%と、他の共役ポリマー90%とから構成されることが好ましい。共役ポリマーのバンドギャップは、式I又は式Iと式IIの単位を含むポリマーのバンドギャップよりも狭いことが好ましい。最も好ましいポリマーブレンドは、高いフォトルミネッセンスとエレクトロルミネッセンスの効率を有する。粘度修正剤、酸化防止剤、コーティング改良剤などの他の添加剤を任意選択的に加えることができる。さらに、類似の組成物であるが異なる分子量を有する2種以上の低い多分散性ポリマーのブレンドを処方することもできる。
【0035】
本発明の他の態様は本発明のポリマーから形成されたフィルムである。それらのフィルムは、ポリマー性発光ダイオード、光電池セル、及び電界効果トランジスタに使用することができる。それらのフィルムは発光層又は電荷キャリア輸送層として使用することが好ましい。また、フィルムは電子デバイスの保護コーティングとして、及び蛍光コーティングとしても使用することができる。フィルム又はコーティングの厚さは用途による。
【0036】
一般に、それらの厚さは0.005〜200ミクロンである。コーティングが蛍光コーティングとして使用されるとき、コーティング又はフィルムの厚さは50〜200ミクロンである。コーティングが電子的保護層として使用されるとき、コーティングの厚さは5〜20ミクロンとすることができる。コーティングがポリマー性発光ダイオードに使用されるとき、形成される層の厚さは0.005〜0.2ミクロンである。本発明のポリマーはピンホール及び欠陥のない良好なフィルムを形成する。
【0037】
フィルムは、組成物がポリマー及び少なくとも1種の有機溶媒を含む、本発明の他の実施形態からのポリマー組成物をコーティングすることによって容易に形成される。好ましい溶媒は、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル、及びその混合物である。使用することのできる追加の溶媒は、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メシチレン、クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロ−メチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、エチルベンゾアート、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、N−メチルピロリジノン、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、4−イソプロピルビフェニル、フェニルエーテル、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン又はo−、m−、及びp−異性体の混合物を含む。それらの溶媒は比較的低い極性を有することが好ましい。高い沸点の物と溶媒の混合物がインクジェットにはより良好であるが、キシレン及びトルエンはスピンコーティングに最善である。溶液は、式Iの繰り返し単位及び/又は式Iの繰り返し単位と式IIの繰り返し単位を含むポリマーを1〜5%含むことが好ましい。
【0038】
フィルムは、スピン−コーティング、噴霧−コーティング、浸漬−コーティング、ロール−コーティング、オフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スタンプコーティング又はドクターブレードを含む当技術分野に周知の手段によって調製することができる。
【0039】
好ましい実施形態において、本発明は、溶媒中に本発明のポリマー又はポリマーブレンドを含む組成物である。使用することのできる溶媒は、トルエン、キシレン、キシレンのo、m、及びp異性体の混合物、メシチレン、ジエチルベンゼン、エチルベンゼン、又はベンゼン誘導体又はより高度の置換レベルを含む。溶液は組成物を0.1〜10重量%含むことが好ましい。薄いコーティングには、組成物は組成物を0.5〜5.0重量%含むことが好ましい。組成物は適切な基板に望ましい方法によって塗布し、溶媒は蒸発させる。望ましい溶媒は真空、熱、及び/又は窒素などの不活性ガスで吹き飛ばすことによって除去することができる。
【0040】
本発明のポリマーは、フォトルミネセンスに加えて強いエレクトロルミネセンスを示す。したがって、本発明の他の態様は本発明のポリマーを含むフィルムを有する有機エレクトロルミネセンス(EL)デバイスに関する。本発明のポリマーに基づくELデバイスは、エレクトロルミネセンスポリマーフィルムが三環アミンを含む繰り返し単位を含まないデバイスよりも改善された効率を示す。本発明のELデバイスは、20ボルト以下、好ましくは10ボルト以下、最も好ましくは6ボルト以下の印加電圧を受けるとき、光を放射することが好ましい。
【0041】
有機ELデバイスは、典型的には、アノードとカソードに挟まれた有機フィルムからなる。デバイスに正のバイアスが加わると、アノードから有機フィルムにホールが注入され、カソードから有機フィルムに電子が注入される。ホールと電子の組み合わせは励起をもたらし、フォトンを放出することによって基底状態への放射性減衰を行う。
【0042】
実際に、アノードはその伝導性と透明性のため、通常スズとインジウムの混合酸化物である。混合酸化物(ITO)はガラス又はプラスチックなどの透明基板上に堆積されるので、有機フィルムによって放射された光を観察することができる。有機フィルムは各々別個の機能のために設計された、数種の個々の層の複合体とすることができる。ホールはアノードから注入されるので、アノードに隣接する層はホールを輸送する機能をもたなければならない。同様に、カソードに隣接する層は電子を輸送する機能をもたなければならない。多くの場合、電子又はホール輸送層は発光層としても働くことができる。ある場合には、単層はホールと電子の輸送及び発光の結合された機能を行うことができる。
【0043】
金属カソードは熱蒸発又はスパッタのいずれかによって堆積することができる。カソードの厚さは1nm〜1000nmとすることができる。好ましい金属はカルシウム、マグネシウム、インジウム、アルミニウム、及びバリウムである。例えば、LiF、NaF、CsF、又はRbFなどのハロゲン化アルカリ又はアルカリ金属の薄い層(1〜10nm)は、発光ポリマーとカソード、カルシウム、バリウム、又はマグネシウムの間の緩衝層として使用することができる。これらの金属の合金も使用することができる。1〜5%のリチウムを含むアルミニウム合金、及び少なくとも80%のマグネシウムを含むマグネシウム合金が好ましい。
【0044】
好ましい実施形態において、エレクトロルミネセンスデバイスは、デバイスに順方向のバイアスを掛けたとき、印加電圧の下でホール注入ポリマーフィルムを経由してアノード材料から発光ポリマーへホールが注入され、カソード材料からは発光ポリマーフィルムへ電子が注入されて発光層からの光放射が得られるように、アノード材料とカソード材料の間に配置された、少なくとも1種のホール注入ポリマーフィルム(例えば、PEDOTフィルム)と本発明の組成物から構成される発光ポリマーフィルムを含む。他の好ましい実施形態において、ホール輸送ポリマーの層は、アノードに最も近い層が最も低い酸化電位を有し、隣接層が逐次的により高い酸化電位を有するように配置される。これらの方法によって、単位ボルトあたり比較的高い光出力を有するエレクトロルミネセンスデバイスを調製することができる。
【0045】
本発明の他の実施形態は、1種又は複数の本発明のポリマーを含む光電セルに関し、ポリマーは単層フィルムとして又は複数層のフィルムとして存在し、組み合わせた全体の厚さは10nm〜1000nmの範囲、好ましくは25nm〜500nmの範囲、最も好ましくは50nm〜300nmの範囲である。2種又はそれ以上のポリマーを使用するとき、それらは個別の層として別々に堆積することができ、又は望ましいポリマーのブレンドを含む溶液から1層として堆積することができる。
【0046】
「光電セル」は、入射光エネルギーを電気エネルギーに変換することのできる光電子デバイスの1種を意味する。光電セルの例は、光電池デバイス、太陽電池、光ダイオード、光検出器である。光電セルは一般に透明な基板上に堆積された透明な又は半透明な第1電極を含む。次いでポリマーフィルムが第1電極の上に形成され、次にそれが第2の電極によってコーティングされる。基板及び第1電極を透過した入射光はポリマーフィルムによって励起子へ変換され、これは適切な環境の下で電子とホールに分離することができ、したがって電流を発生する。
【0047】
本発明の他の実施形態は、半導体ポリマーとして働く本発明のポリマーを1種又は複数含む金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタに関する。電界効果トランジスタは5個の要素を含む。第1要素は絶縁体層である。絶縁体層は電気的な絶縁体であり、第1の側と第2の側を有する。第2要素はゲートである。ゲートは電気的な導体である。ゲートは絶縁体層の第1の側に配置される。
【0048】
第3の要素は半導体層である。半導体層は、三環アリールアミンに結合し、次いでフルオレン若しくは置換フルオレンに結合し、次いで共役部分に結合したフルオレン若しくは置換フルオレンの繰り返し単位を含むポリマーを含む。半導体層は第1の側と、第2の側と、第1及び第2の末端部とを有し、半導体層の第2の側は絶縁体層の第2の側に隣接する。ポリマーは絶縁体の上へ堆積され、ポリマーは単層フィルム又は多層フィルムとして存在し、その組み合わされた厚さは10nm〜1000nmの範囲であり、好ましくは25nm〜500nmの範囲であり、最も好ましくは50nm〜300nmの範囲である。
【0049】
電界効果トランジスタの第4の要素はソースである。ソースは電気的導体である。ソースは半導体層の第1の末端部と電気的に接触している。第5の要素はドレンである。ドレンは電気的な導体である。ドレンは半導体層の第2の末端部と電気的に接触している。ゲートに印加された負の電圧バイアスはソースをドレンに接続する半導体層の中にホール伝導チャンネルを形成させる。ゲートに印加された正のバイアスは半導体層の中に電子伝導チャンネルを形成させる。
【0050】
エレクトロルミネセンスデバイスのように、半導体層を含むポリマーフィルムは、スピン−コーティング、ローラー−コーティング、浸漬−コーティング、噴霧−コーティング、ドクターブレード塗工、インクジェット印刷などの溶媒ベースの加工技術によって形成することができる。2種又はそれ以上のポリマーを使用するとき、それらは個別の層として別々に堆積することができ、又は望ましいポリマーのブレンドを含む溶液から1層として堆積することができる。
【0051】
2個の電極(ソースとドレン)は半導体ポリマーに取り付けられ、第3の電極(ゲート)は絶縁体の反対側の面に取り付けられる。半導体ポリマーがホール輸送性(すなわち大部分のキャリアが正のホールである)であれば、ゲート電極に負のDC電圧を印加することによって、ポリマー−絶縁体の界面近くにホールが蓄積され、伝導チャンネルを形成してそこを通って電流がソースとドレンの間を流れることができる。トランジスタは「オン」の状態である。ゲート電圧を逆転することによって、蓄積ゾーン中のホールが欠乏し、電流は停止する。トランジスタは「オフ」の状態である。
【0052】
以下の実施例は例示の目的だけのために含まれ、請求項の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0053】
二臭素化三環アリールアミンの合成
【化6】

【0054】
N−(4−n−ブチルフェニル)フェノチアジン(1:X=S)
上部攪拌機、還流凝縮器、窒素ラインを備えた2Lの三口丸底フラスコに、0.948g(4.216ミリモル)の酢酸パラジウムと2.647g(8.746ミリモル)のトリ−o−トリルホスフィンと50mlのトルエンを装填した。混合物を赤橙色の溶液が形成されるまで環境温度で20分間攪拌した。そのとき、フェノチアジン(19.93g、100ミリモル)、1−ブロモ−4−ブチルベンゼン(23.6g、110ミリモル)、ナトリウムt−ブトキシド(10.71g、100ミリモル)を1000mLのトルエンと一緒に加えた。反応液をオイル浴中に置き、加熱して15時間還流した。サンプルをHPLC用に取り出し、全ての出発材料がなくなったことが示された。8.6分の滞留時間で主要ピークが見られた。溶液を冷却した。15mLの濃HClを加えた。溶液を追加で1時間攪拌した。次いで溶液を中性のアルミナカラム(750g)に通した。カラムはトルエンで洗った。溶媒をロータリーエバポレータを用いて除去し、黄色の固体を得た。固体をトルエン/MeOHから再結晶化した。19.6gの白色固体を99%の純度で得た。収率は60.6%であった。MS:331、HNMR(DMSO)δ0.92(t、3H)、1.36(m、2H)、1.62(m、2H)、2.73(t、2H)、6.13(d、2H)、6.87(m、4H)、7.05(d、2H)、7.30(d、2H)、7.47(d、2H)。
【0055】
N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジン(2:X=O)
この化合物は本質的に1を調製するための上記手順によって調製した。粗製品をトルエン/MeOHから再結晶化し、8.1gの輝く白色固体を約100%の純度で得た。収率は51.24%であった。
【0056】
3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノチアジン(3:X=S)
上部攪拌機、還流凝縮器、窒素ラインを備えた500mLの三口丸底フラスコに、1(9.1g、27.5ミリモル)と140mLのメチレンクロリドを装填した。溶液を氷浴中に保持した。混合溶液に、20mLのジメチルホルムアミド(「DMF」)中のN−ブロモスクシイミド(10.26g、57.0ミリモル)溶液を、注射筒によって10分間かけて滴下して加えた。反応混合物を室温にし、2時間攪拌した。サンプルをHPLC用に取り出して、全ての出発材料(8.6分)がなくなったことが示され、10.3分の滞留時間で主要ピークが見られた。反応混合物を2NのHCl200mLで3回洗い、次いで水層が中性になるまで200mLで2回洗った。有機部分をNaSOで乾燥した。NaSOを濾過して取り除き、次いで溶液を中性のアルミナカラムに通した。カラムはトルエンですすいだ。溶媒をロータリーエバポレータを用いて除去し、明るい黄色の固体を96.7%の純度で得た。ヘキサンから3回の再結晶化の後、5.6g(41.2%)の最終製品を99.5%の純度で得た。MS:487、HNMR(DMSO):δ0.95(t、3H)、1.36(m、2H)、1.62(m、2H)、2.75(t、2H)、5.97(d、2H)、7.08(dd、2H)、7.26(m4H)、7.48(d、2H)。
【0057】
3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジン(4:X=O)
この化合物は本質的に3を調製するための手順によって調製した。粗製品をトルエン/メタノールから再結晶化し、5.1gの輝く白色固体を99.8%の純度で得た。収率は85%であった。
【実施例2】
【0058】
【化7】

【0059】
N−(9,9−ジ−n−ブチルフルオレン)フェノチアジン(5:X=S)
酢酸パラジウム(180mg、0.81ミリモル)と、トリ−o−トリルホスフィン(530mg、1.74ミリモル)と、トルエン(12mL)との混合物を均一な黄色溶液が形成されるまで環境温度で30分間攪拌した。反応混合物を窒素で覆った。フェノチアジン(3.99g、20ミリモル)と、2−ブロモ−9,9−ジブチルフルオレン(7.85g、22ミリモル)、ナトリウムtert−ブトキシド(2.88g、30ミリモル)及びさらにトルエン(175mL)をこの混合物に加えた。反応容器をオイル浴中に置き、加熱して一夜還流した。HPLCは反応が未完であることを示した。追加で800mgの2−ブロモ−9,9−ジブチルフルオレンを反応フラスコに加えた。混合物をさらに6時間還流した。次いで、混合物を環境温度まで冷却し、塩酸(10mL)で処理し、中性アルミナのカラム(Brockman Activity I)に通し、トルエンで溶出した。溶媒を減圧下でロータリーエバポレータで除去した。粗製品をトルエン/エタノールから再結晶化した。最終的に、4.75g(50%)の製品が得られた。HPLC分析は製品が98%の純度であることを示した。HNMRは構造と一致した。HNMR(THF)δ8.02(d、1H)、7.82(m、1H)、7.5〜7.3(m、5H)、6.98(m、2H)、6.79(m、4H)、6.25(m、2H)、2.07(m、4H)、1.12(m、4H)、0.69(m、10H)。
【0060】
N−(9,9−ジ−n−ブチルフルオレン)フェノキサジン(6:X=O)
化合物は本質的に5を調製するための手順によって調製した。フェノチアジンの代わりにフェノキサジンを使用した。14.9g(64%)の製品6が得られた。HPLC分析は製品が98%の純度であることを示した。NMRは構造と一致した。HNMR(THF)δ8.00(d、1H)、7.82(m、1H)、7.5〜7.3(m、5H)、6.62(m、6H)、6.00(m、2H)、2.07(m、4H)、1.10(m、4H)、0.69(m、10H)。
【0061】
3,7−ジブロモ−N−(9,9−ジ−n−ブチルフルオレン)フェノチアジン(7:X=S)
4.28g(9ミリモル)の5と、40mLのDMFと、40mLのテトラヒドロフラン(「THF」)を攪拌棒を備える500mLのフラスコに装填した。混合物を窒素で覆った。この混合物に、10mLのDMF中の3.20g(18ミリモル)のNBSを0℃でゆっくり加えた。混合物を室温まで暖め、6時間攪拌した。200mLのHO/EtOH(1:1)を反応混合物に加えた。白色の固体が沈澱した。得られた混合物を濾過した。固体を熱イソ−プロパノールとCHCNで洗った。粗製品をCHCl/CHCNから2回再結晶化した。2g(35%)の製品が明るい黄色固体として得られた。HPLC分析は製品が99%の純度であることを示した。HNMR及び質量スペクトルは構造と一致した。HNMR(THF)δ8.02(d、1H)、7.84(m、1H)、7.5〜7.3(m、6H)、7.18(m、2H)、6.74(m、2H)、6.10(m、2H)、2.07(m、4H)、1.12(m、4H)、0.69(m、10H)。
【0062】
3,7−ジブロモ−N−(9,9−ジ−n−ブチルフルオレン)フェノキサジン(8:X=O)
この化合物は本質的に7で述べた手順によって調製した。フェノチアジンの代わりにフェノキサジンを使用した。12.2g(66%)の製品が得られた。HPLC分析は製品が99%の純度であることを示した。NMR及び質量スペクトルは構造と一致した。HNMR(THF)δ8.02(d、1H)、7.83(m、1H)、7.5〜7.3(m、6H)、6.88(m、1H)、6.75(m、2H)、5.90(d、2H)、2.06(m、4H)、1.12(m、4H)、0.69(m、10H)。
【実施例3】
【0063】
青色光発光ポリマー1の調製
2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジヘキシルフルオレン(3.554g、7.4857ミリモル)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(3.074g、6.2381ミリモル)と、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノチアジン(0.193g、0.3669ミリモル)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジビフェニルフルオレン(0.231g、0.3669ミリモル)と、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)フェニレンジアミン(0.253g、0.3669ミリモル)と、Aliquat336(登録商標)相間移動剤(1.21g)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(10.9mg)と、50mLのトルエンを攪拌棒とガラスストッパー及び還流凝縮器を備えた250mLの三口丸底フラスコに加えた。固体をトルエンに溶解させ、次いで2MのNaCO溶液15.5mLを加えた。混合物の総容量は65.5mLであった。反応時間を通して窒素の動的な覆いが溶液の上にあるように、系全体を還流凝縮器を経由して窒素ラインに接続した。全ての固体は4時間5分で溶液になった。重合は100℃で5時間25分かかった。反応は重合の後、0.202gのフェニルボロン酸、続いて20mLのトルエンを加えることによって停止した。100℃で一夜攪拌の後、反応容器を84℃まで冷却し、3gのジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩三水和物をポリマー溶液に直接加え、続いて30mLの水を加えた。反応液は5時間攪拌し、次いでオイル浴から取り出して冷却した。ポリマー溶液を2Lの分離漏斗に移し、15分間静置した。水層がポリマー溶液から分離した後、ポリマー溶液を2%の酢酸(100mL)で2回洗い、水(100mL)で2回洗った。次いで、ポリマー溶液をセライト、シリカゲル、塩基性アルミナ及びセライトのカラムに通した。次いで、カラムを暖かいトルエン(ポリマー溶液の2倍の体積)で溶出した。単離したポリマーを55℃の真空炉に置き、一夜乾燥した。粗ポリマーをトルエン(3重量/溶液体積%)に再溶解し、過剰のメタノールから再沈澱させた。ポリマーを濾過によって収集し、真空炉中で55℃で一夜乾燥した。収集した総ポリマーは3.95gであり、ηinh=2.07dL/g(THF、25℃、0.5g/dL)、Mw=234,723、PDI(多分散性指数)=3.182であった。
【0064】
青色光発光ポリマー2の調製
9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ボロン酸エチレングリコールエステル(約99.9%、3.518g、7.408ミリモル)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(約99.9%、3.043g、6.174ミリモル)と、N,N’−ビス(4−n−ブチルベンゼン)−N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(約98.8%、0.251g、0.363ミリモル)と、3,7−ジブロモ−N−(9,9’−ジ−n−ブチルフルオレン)フェノチアジン(約99%、0.233g、0.363ミリモル)と、2,7−ジブロモ−9,9’−ジビフェニルフルオレン(約100%、0.228g、0.363ミリモル)と、トルエン(50mL)と、Aliquat336相間移動剤(1.07g、2.600ミリモル)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.6mg、0.007ミリモル)と、2Mの炭酸ナトリウム水溶液(15mL)とを、上部攪拌機と凝縮器を備えた250mLの三口フラスコに装填した。系を窒素でパージした。混合物を一夜穏やかに攪拌した。重合の終わりに、粘性のある混合物が観察された。重合を停止するために、0.2gのベンゼンボロン酸(2mLのTHFに溶解された)と50mLのトルエンを加え、反応をさらに8時間継続させた。冷却の後、混合物をトルエンで希釈し、分離漏斗に移した。水性相を取り除き、有機相を水で洗った。次いで、トルエン層を500mLの三口フラスコに移し、ジエチルジチオカルバマートナトリウム三水和物(DDC、30水中の3g)の水溶液を加えた。混合物を約88℃で一夜攪拌した。水性層を取り除いた。有機相を2%の酢酸(AcOH)と水で洗い、次いでセライト、シリカゲル、塩基性アルミナのカラムに通し、トルエンで溶出した。溶出物をロータリーエバポレータで濃縮した。ポリマーは最初にメタノール/水から沈澱させ、真空下で45℃で乾燥した。粗ポリマーを加熱しながらトルエンに再溶解し、次いでメタノールから沈澱させた。ポリマーを濾過し、メタノールで洗った。真空下で45℃で一夜乾燥した後、3.8g(76%)のポリマーが得られた。ηinh=2.93dL/g(THF、25℃、0.5g/dL)。
【0065】
青色光発光ポリマー3の調製
9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ボロン酸エチレングリコールエステル(3.089g、5.8186ミリモル)と、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノキサジン(0.545g、4.6088ミリモル)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(4−ヘキシルオキシフェニル)フルオレン(3.134g、4.6088ミリモル)とAliquot336(1.14g、2.0619ミリモル)と、35mLのトルエンを、攪拌棒とガラスストッパー及び還流凝縮器を備えた250mLの三口丸底フラスコに加えた。固体をトルエンに溶解させ、2MのNaCO溶液14mLを加えた。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(6.9mg、0.0056ミリモル)を加え、15mLのトルエンで洗った。次に、反応時間を通して窒素の動的な覆いが溶液の上にあるように、系全体を還流凝縮器を経由して窒素ラインに接続した。攪拌によって反応を開始した。攪拌棒の曲がりのため、攪拌は滑らかでなく、固体はフラスコの至るところに撥ねた。攪拌棒を取り換えた。固体のいくらかを押し下げ、110℃で640RPMで攪拌した。4時間50分の後、固体のいくらかは溶液の中へ還流されて落ちた。スパチュラを用いていくらかの固体をさらに押し戻した。次いで、35mgの9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ボロン酸エチレングリコールエステルと、2mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムと、10mLのトルエンを加えた。混合物を700RPMで110℃で攪拌した。30分後、反応はゲル化するのが見えた。0.52gのブロモベンゼン、次いで25mLのトルエンと40mLのTHFを加えることによって重合を停止した。色は茶色から青色に変わった。次いで、340RPM、110℃で反応を攪拌し一夜行った。翌朝、反応サンプルをGPCで分析した。Mwは560,000であった。0.58gのフェニルボロン酸、次いで20mLのテトラヒドロフランを加えて反応を停止した。次いで反応を300RPMで攪拌した。105℃で14時間攪拌の後、反応容器を84℃に冷却し、5gのジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩三水和物をポリマーに直接加えた。次いで、40mLの水を加えた。反応を一夜攪拌した。100mLのトルエンを加えた後、反応をオイル浴から取り出して冷却した(有機体積全体は200mLである)。次いでポリマー溶液を2Lの分離漏斗へ移し、15分間静置した。水層をポリマー溶液から分離した後、ポリマー溶液を2%の酢酸(4×250mL)、水(4×250mL)で洗い、次いで2.5Lのメタノール中に沈澱させた。ファイバー状のポリマーを濾取し、一夜乾燥した。ポリマーを150mLのトルエンに溶解し、次いで塩基性酸化アルミニウム(3インチ(7.6cm))−シリカゲル(3インチ(7.6cm))カラムに通した(カラムは使用する前に1Lのトルエンですすいだ)。カラムを1.5Lのトルエンですすいだ。沈澱したポリマーを収集し、60℃のロータリーエバポレータで1時間乾燥した。次いでそれを150mLのトルエンに再溶解し、2.5Lのメタノール中に3回沈澱させた。ファイバー状のポリマーを55℃の炉で一夜乾燥した。収集されたポリマー全体は4.3g、ηinh=2.52dL/g(THF、25℃、0.5g/dL)、Mw=669,000、PDI(多分散性指数)は3.40であった。
【0066】
青色光発光ポリマー4の調製
上部攪拌機及び窒素ラインに接続された還流凝縮器を備えた500mLの三口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジヘキシルフルオレン(6.037g、12.73ミリモル、2モル%過剰)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(4.914g、9.98ミリモル)と、POZ(0.591g、1.25ミリモル)と、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン(0.339g、1.25ミリモル)と、Aliquat336相間移動剤(1.5g)と、トルエン(125mL)を装填した。混合物を均一な溶液が観察されるまで攪拌した。溶液に炭酸ナトリウム水溶液(2M、30mL)を加え、系を攪拌し、10分間窒素でパージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(14.7mg、0.1モル%)を加え、反応をオイル浴中で95℃で6時間攪拌して加熱し、非常に粘性のある黄色混合物を得た。混合物を100mLのトルエンで希釈し、15mLのTHFに溶解した1.0gのフェニルボロン酸を加え、混合物を一夜攪拌した。混合物を250mLのトルエンで希釈し、1Lのフラスコに移し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩三水和物の水溶液(15g/300mL)と80℃で24時間攪拌した。水性層を分離し、トルエン相を熱い希釈した酢酸(2%、3×300mL)と温水(1×300mL)で洗った。ポリマーをメタノール(3.0L)から沈澱させ、濾過によって収集し、メタノールで洗った。製品を2Lの丸底フラスコに移し、残るメタノールをロータリーエバポレータで真空で除去した。固体を800mLのトルエン中に溶解し、シリカゲル(4×8cm)と塩基性アルミナ(1×8cm)を緊密に装填して上部に濾紙を置いたカラムに通した。ポリマーを含む分画を収集し、体積は約400mLに減少した。ポリマーをメタノールから沈澱させ、メタノールで洗った。溶解と沈澱工程をもう一度行い、ポリマーを真空炉中で一夜乾燥し、6.3g(79%)の明るい黄色ファイバー状材料を得た。ηinh=2.15dL/g(THF、25℃、0.5g/dL)、Mw=250,900、Mn=92,800、PDI(多分散性指数)=2.7、Tg=117.64℃であった。
【0067】
黄色光発光ポリマー5の調製
上部攪拌機及び窒素ラインに接続された還流凝縮器を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(99.7%、7.26ミリモル、3.864g)と、4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(99.8%、5.69ミリモル、1.678g)と、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノチアジン(99.0%、1.42ミリモル、0.704g)と、炭酸ナトリウム水溶液(2M、15mL)と、Aliquat336相間移動剤(1g、Aldrich)と、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム触媒(7.7mg、0.10モル%、Strem)と、トルエン(40mL、Fisher HPLCグレード)を装填した。反応液をオイル浴中で105℃で15時間攪拌及び加熱還流した。10mLのトルエンを加え、反応液は1時間さらに加熱した。赤橙色の粘性の高い溶液が観察された。このとき、フェニルボロン酸(0.6g、Aldrich)と、トルエン(10mL)と、THF(10mL)を加え、攪拌を93℃でさらに8時間継続した。60℃に冷却した後、有機層を分離し、水(2×100mL)で洗った。次いで、溶液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩三水和物の水性溶液(5%、60mL)と、82℃で18時間攪拌した。冷却の後、水性相を分離し、有機溶液を2%の酢酸(3×200mL)と水(2×200mL)で洗った。有機層をトルエンで溶出したセライト(1インチ(2.5cm))−塩基性アルミナ(1インチ(2.5cm)−シリカゲル(3インチ(7.6cm))−セライト(1インチ(2.5cm))の緊密に装填したカラムに通した。(カラムは使用の前に1Lのトルエンで溶出してある)ポリマーを含む分画を収集し、溶液の体積を回転蒸発器で約100mLに濃縮した。ポリマーをメタノール/水(2L/100mL)から沈澱させ、濾過によって収集し、55℃の真空炉中で4時間乾燥した。ポリマーをトルエン(150mL)中に再溶解し、メタノール(2L)から沈澱させた。製品を収集し、メタノールで洗い、55℃の真空炉中で一夜乾燥し、橙黄色のファイバー状材料を形成した。3.2g(80%)のポリマーが得られた。ηinh=1.31dL/g(THF、25℃、0.5g/dL)、Mw=143,000、PDI(多分散性指数)=2、DSC測定によってTg=129℃であることが明らかになった。
【0068】
赤色光発光ポリマー6の調製
上部攪拌機及び窒素ラインに接続された還流凝縮器を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(99.7%、6.59ミリモル、3.506g)と、4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(99.8%、3.83ミリモル、1.128g)と、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)フェノチアジン(99.0%、0.479ミリモル、0.236g)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(100%、1.915ミリモル、1.049g)と、4,7−ビス(2−ブロモ−5−チオフェニル)ベンゾチアジアゾール(99.4%、0.2394ミリモル、0.111g)と、炭酸ナトリウム水溶液(2M、14mL)と、Aliquat336(登録商標)相間移動剤(Henkelの商標、0.95g、Aldrich)と、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム触媒(7.4mg、0.10モル%、Strem)と、トルエン(40mL、Fisher HPLCグレード)を装填した。反応液をオイル浴中で102℃で15時間攪拌及び加熱還流した。20mLのトルエンを加え、反応液は1時間45分間さらに加熱した。赤橙色の粘性の高い溶液が観察された。このとき、フェニルボロン酸(0.68g、Aldrich)と、THF(20mL)を加え、攪拌を93℃でさらに8時間継続した。60℃に冷却した後、有機層を分離し、水(2×100mL)で洗った。次いで、溶液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩三水和物の水溶液(5%、60mL)と81℃で18時間攪拌した。冷却の後、水性相を分離し、有機溶液を2%の酢酸(3×200mL)と水(2×200mL)で洗った。有機層をトルエンで溶出したセライト(1インチ(2.5cm))−塩基性アルミナ(1インチ(2.5cm))−シリカゲル(3インチ(7.6cm))−セライト(1インチ(2.5cm))の緊密に装填したカラムに通した。(カラムは使用の前に1Lのトルエンで溶出しておいた。)ポリマーを含む分画を収集し、溶液の体積をロータリーエバポレータで約150mLに濃縮した。ポリマーをメタノール/水(2L/100mL)から沈澱させ、濾過によって収集し、55℃の真空炉中で4時間乾燥した。ポリマーをトルエン(150mL)中に再溶解し、メタノール(2L)から沈澱させた。製品を収集し、メタノールで洗い、55℃の真空炉中で一夜乾燥し、橙赤色のファイバー状材料を形成した。3.31g(83%)のポリマーが得られた。ηinh=2.35dL/g(THF、25℃、0.5g/dL)、Mw=333,000、PDI(多分散性指数)=2.58、DSC測定によってTg=106℃であることが明らかになった。
【0069】
緑色光発光ポリマー7の調製
上部攪拌機及び窒素ラインに接続された還流凝縮器を備えた500mLの三口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.84g、3.44ミリモル)と、4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(1.01g、3.44ミリモル)と、炭酸ナトリウム水溶液(2M、5.0mL)と、DI水(3.0mL)と、Aliquat336(登録商標)相間移動剤(0.3g)と、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(3.0mg)と、トルエン(40mL)を装填した。反応をオイル浴中で95℃で16時間攪拌及び加熱した。赤橙色の溶液が観察された。反応液に、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジヘキシルフルオレン(7.43g、15.7ミリモル)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(5.78g、11.73ミリモル)と、N−(4−ブチルフェニル)−3,7−ジブロモフェノチアジン(1.78g、3.63ミリモル)と、炭酸ナトリウム水溶液(2M、31mL)と、Aliquat336(登録商標)相間移動剤(2.5g)と、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(14mg)と、トルエン(100mL)を装填した。反応液を8時間継続させ、非常に粘性の高い材料が観察された。ブロモベンゼン(0.32g)とトルエン(50mL)を加えた。攪拌を4時間継続した。次いで、フェニルボロン酸(1.22g)を加え、攪拌をさらに14時間継続した。冷却の後、混合物をトルエン(200mL)で希釈し、2Lの三口丸底フラスコに移した。水性層を分離し、有機層を三口丸底フラスコに移した。次いで、溶液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩三水和物の水溶液(5%、250mL)と80℃で8時間攪拌した。冷却の後、水性相を分離し、有機溶液を水(3×300mL)、次いで1%の酢酸(3×300mL)で洗った。水の残りをロータリーエバポレータで共沸した。溶液の体積を350mLに調節し、ポリマーをメタノール(3L)から沈澱させ、濾過によって収集した。粗ポリマーを緩やかに加熱してトルエン(500mL)中に溶解した。次いで、溶液をトルエンで溶出したシリコンゲルカラムに通した。ポリマーを含む分画を収集し、溶液の体積を350mLに濃縮した。ポリマーをメタノール(3L)から沈澱させ、濾過によって収集した。ポリマーをトルエン(300mL)中に再溶解し、メタノール(3L)から再び沈澱させた。製品をメタノールで洗い、60℃の真空炉中で一夜乾燥し、黄色ファイバー状材料を11.88g(99%)を得た。固有粘度ηinh=3.52dL/g(THF、25℃、0.5g/dL)、Tg=120.30℃であった。
【0070】
白色光発光ポリマー8の調製
還流凝縮器及び上部攪拌機を備えた1Lの三口丸底フラスコに次のモノマー、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ボロン酸エチレングリコールエステル(13.627g、25.692ミリモル)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(12.403g、22.615ミリモル)、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)−フェノキサジン(0.595g、1.256ミリモル)、4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(8.2mg、0.028ミリモル)、4,7−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(1.2mg、0.003ミリモル)、N,N’−ジ(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス−(9,9−ジブチル)フルオレン−1,4−フェニレンジアミン(1.220g、1.256ミリモル)、及びビス(4−ブロモフェニル)−4−メチルフェニルアミン(1.1mg、0.003ミリモル)を加えた。トルエン中の0.74MのAliquat336相間移動剤(登録商標)溶液(10.8mL)を加え、続いて190mLのトルエンを加えた。Pd(PPh触媒を添加した後、混合物を全てのモノマーが溶解するまでオイル浴(105℃)で15分間攪拌した。炭酸ナトリウムの水溶液(2.0M、48mL)を加え、反応液をオイル浴(105℃)中で16.5時間攪拌した。次いで、フェニルボロン酸(1.0g)を加え、反応を7時間攪拌した。水性層を除去し、有機層を水(100mL)で洗った。有機層を反応フラスコに戻し、5.0gのジエチルジチオ−カルバミン酸ナトリウムと50mLの水を加えた。反応をオイル浴(85℃)中で16時間攪拌した。水性層を除去し、有機層を水(3×100mL)で洗い、次いでシリカゲルと塩基性アルミナのカラムに通した。次いで、トルエン/ポリマー溶液をメタノール中へ沈澱させ(2回)、ポリマーを真空下で60℃で乾燥した。収率=10.37g(56.1%)、M=167,000、M/M=2.4であった。
【0071】
白色光発光ポリマー9の調製
還流凝縮器及び上部攪拌機を備えた1Lの三口丸底フラスコに次のモノマー、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ボロン酸エチレングリコールエステル(3.541g、6.677ミリモル)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(2.7786g、5.066ミリモル)、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)−フェノチアジン(0.6969g、1.473ミリモル)、4,7−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(3.0mg、0.007ミリモル)を加えた。トルエン中0.74MのAliquat336(登録商標)相間移動剤溶液(2.9mL)を加え、続いて100mLのトルエンを加えた。Pd(PPh触媒(7.6mg)を添加した後、混合物を全てのモノマーが溶解するまでオイル浴(105℃)で15分間攪拌した。炭酸ナトリウムの水溶液(2.0M、13mL)を加え、反応液をオイル浴(105℃)中で22時間攪拌した。次いで、フェニルボロン酸(0.5g)を加え、反応液を7時間攪拌した。水性層を除去し、有機層を水(100mL)で洗った。有機層を反応フラスコに戻し、2.0gのジエチルジチオ−カルバミン酸ナトリウムと50mLの水を加えた。反応をオイル浴(85℃)中で15時間攪拌した。水性層を除去し、有機層を水(3×100mL)で洗い、次いでシリカゲルと塩基性アルミナのカラムを通した。次いで、トルエン/ポリマー溶液をメタノール中へ沈澱させ(2回)、ポリマーを真空下で60℃で乾燥した。収率=3.01g(60.2%)、M=80,455、M/M=2.4であった。
【0072】
青色光発光ポリマー10の調製
上部攪拌機及び凝縮器を備えた250mLの三口フラスコに、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ボロン酸エチレングリコールエステル(99.9%、3.105g、5.850ミリモル)と、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(4’−エトキシエトキシフェニル)フルオレン(99.6%、3.415g、5.213ミリモル)と、3,7−ジブロモ−N−(4−n−ブチルフェニル)−フェノキサジン(99.9%、0.274g、0.5792ミリモル)と、トルエン(50mL)と、Aliquat336(登録商標)相間移動剤(0.86g)と、トランス−ジクロロビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(3.8mg)と、2Mの炭酸ナトリウム水溶液(12mL)を装填した。系を窒素でパージした。粘性のある混合物が観察されるまで、混合物を約2.5時間穏やかに還流した(105℃)。重合を停止するために、THF中の0.2gのフェニルボロン酸と10mLのトルエンを加えた。混合物を16時間還流した。ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物の水溶液(DDC、35mLの水中3.5g)を加えた。混合物を窒素下で約84℃で5時間攪拌した。混合物を分離漏斗に移し、水性層を取り除いた。有機相を2%の酢酸(水溶液)で2回洗い、温蒸留水で3回洗い、セライト(約1インチ(2.5cm))、シリカゲル(約3インチ(7.6cm))、塩基性アルミナ(1インチ(2.5cm))のカラムに通し、トルエンで溶出した。抽出したポリマー溶液を回転蒸発器で約2重量%溶液まで濃縮した。ポリマーをメタノール/水から沈澱させ、真空下で55℃で乾燥した。粗ポリマーを加熱しながらトルエン(CMOSグレード)に再溶解し、メタノール(CMOSグレード)から2回目の沈澱を行った。ポリマーを濾過し、メタノール(CMOSグレード)で洗い、55℃の真空炉中で一夜乾燥した。3.5g(70%)のポリマーが得られた。Mw=281,000、PDI(多分散性指数)=2.2であった。
【0073】
エレクトロルミネセンスデバイスの製造及び性能
エレクトロルミネセンスデバイスを次の手順で調製した。ITO(インジウムスズ酸化物)でコーティングされたガラス基板を洗浄し、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と発光ポリマーの適切なキシレン溶液をコーティングした。乾燥後、ルミネセンスポリマーフィルムの上にカソード金属(カルシウム)を真空蒸着した。
【0074】
輝度1000Cd/mでのデバイスの動作パラメーターを、式L/(10J)(Lは1000Cd/m)によって得た光効率Cd/Aと一緒に表1に示す。バイアス電圧(V)は1000Cd/mの輝度が得られるときの電圧であり、同様に、電流密度(J)は1000Cd/mでのデバイスの面積あたりの電流であり、mA/cmで与えられる。Cd/mでの最大輝度、効率、及びCIE(1931)色度座標を表2に示す。
【0075】
表3、4、5、及び6は、本発明のポリマーを含むデバイスの電流密度を、三環アミンではなくトリアリールアミンの繰り返し単位を有する類似のポリマーを含むデバイスと比較している。表3、4、5、及び6に示すデータは、繰り返し単位に三環アリールアミンを含むポリマーが、トリアリールアミンを含むが三環アリールアミンを含まないポリマーに比べて、より高い伝導性と改善されたデバイス効率を有することを示す。
【0076】
慣例的に、表3、4、5、及び6に示すポリマーは他の共役部分に結合したフルオレン単位を示す。この慣例はフルオレンベースの部分が繰り返し単位の一部として示された任意の共役部分の両側に存在することを意味するものと解釈すべきである。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加電圧の下で、フィルムがデバイスの透明な外部部分を通して透過する可視光を放射するように、アノードとカソードの間に配設されたエレクトロルミネセンスデバイスであって、
該フィルムが、式Iの繰り返し単位を有する骨格を含むポリマーを含むエレクトロルミネセンスデバイス。
【化1】


(式中、Rは各々独立に、H、C1〜40のヒドロカルビル、又は1個又は複数のS、N、O、P、若しくはSi原子を含むC3〜40のヒドロカルビル、又は両方のRはフルオレン上の9−炭素と共に1個又は複数のS、N、若しくはO原子を含むC5〜20環構造を形成し、
は各々独立に、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、又はシアノであり、
aは各々独立に0又は1であり、
XはO又はSであり、
Arは置換又は非置換のC〜C40のアリール又はヘテロアリール基である)。
【請求項2】
フィルムに含まれるポリマーが、下記群Aから選ばれる1種以上の繰り返し単位をさらに含む、請求項1に記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
群A
【化2−1】


【化2−2】


【化2−3】


【化2−4】



(群A中の繰り返し単位は、置換基を保持することができ、それらの置換基は各々独立にC1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルボキシルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルボキシカルボキシル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、シアノ、又はフルオロ基であり、
aは各々独立に0又は1であり、
XはO又はSであり、
はO又はSであり、
QはR又はArであり、
RはC〜C20アルキル基であり、
Arは置換又は非置換のC〜C40のアリール又はヘテロアリール基であり、
は各々独立に、H、C1〜40のヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P、若しくはSi原子を含むC3〜40のヒドロカルビルであり、又は両方のRは、両方のRが結合する炭素と共に、1個又は複数のS、N、若しくはO原子を含むことのできるC5〜20環構造を形成することができる。Rは独立にC1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、又はシアノである。)
【請求項3】
aは0であり、Rは各々独立に、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ヘキシルオキシフェニル、4−エトキシエトキシフェニル、フェニル、又はビフェニルであり、XはS又はOであり、Arは4−アルキルフェニル、4−アルコキシフェニル、又は4−アミノフェニルである請求項1又は2に記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項4】
フィルムに含まれるポリマーが、次式の繰り返し単位をさらに含む請求項1から3までのいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【化3】


(式中、QはR又はArである。RはC〜C20アルキル基であり、Arは置換又は非置換のC〜C40のアリール又はヘテロアリール基である)
【請求項5】
フィルムに含まれるポリマーが、次式の繰り返し単位をさらに含む請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【化4】

【請求項6】
ポリマーが、ベンゾチアジアゾール、ジチオフェンベンゾチアジアゾール、又は両方の繰り返し単位をさらに含む請求項1から5までのいずれかに記載のフィルム。
【請求項7】
フィルムに含まれるポリマーが、以下の構造のトリアリールアミンの繰り返し単位をさらに含む請求項1から6までのいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイスフィルム。
【化5】

【請求項8】
Arは4−n−ブチルフェニル、(9,9−ジブチル)−2−フルオレニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、又は4−ジトリルアミノフェニルである請求項1から7までのいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項9】
フィルムに含まれるポリマーが、ブロックコポリマーである請求項1から8までのいずれかに記載のエレクトロルミネセンスデバイス。

【公開番号】特開2013−30800(P2013−30800A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224299(P2012−224299)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2011−50069(P2011−50069)の分割
【原出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】