説明

三環式6−アルキリデンペネムβ−ラクタマーゼ阻害剤およびβ−ラクタム抗生物質の組み合わせ:広範なスペクトルの抗生物質

本発明は、セフェピム及び化学式Iの化合物等のβ−ラクタム系抗生物質、薬学的組成物、及び処置を必要とする患者における細菌性感染又は疾患の処置のためのそれらの使用を提供する。一実施形態において、化学式Iの化合物が、(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩;又は(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願全体を通して、種々の刊行物が参照されている。本明細書において記載及び請求した本発明の日付の時点で当業者に既知である最先端技術をより詳細に記載するため、これらの刊行物の開示内容全体を本出願で参考として援用する。
【0002】
本特許の開示内容には、著作権保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、米国特許商標局の特許ファイル又は記録に記載の通りに、本特許の文書又は本特許の開示内容を如何なる者がファクシミリにより複製しても異議を唱えないが、それとは別に何れの著作権についても全て留保する。
【0003】
発明の分野
本発明は、特定の三環式6−アルキリデンペネムに関し、これらのペネムは、セフェピム等の「第4世代」セファロスポリン系抗生物質、ペニシリン系抗生物質又はカルバペネム系抗生物質を含めたβ−ラクタム系抗生物質と併用する場合に、広域β−ラクタマーゼ阻害剤として作用する。β−ラクタマーゼは、β−ラクタム系抗生物質を加水分解することから、細菌耐性の第1の原因となる。本発明の化合物は、セフェピム等のβ−ラクタム系抗生物質と併用する場合に、致命的な細菌性感染に対して有効な処置を提供する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ペニシリン及びセファロスポリンは、診療所で最も高頻度且つ広範に使用されているβ−ラクタム系抗生物質である。しかし、種々の病原体によるβ−ラクタム系抗生物質に対する耐性の進化により、細菌性感染の有効な処置を維持する上で悪影響が及んでいる(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。β−ラクタム系抗生物質に対する細菌耐性の進化に関連する最も重大な既知の機序は、クラスA型、クラスB型及びクラスC型セリンβラクタマーゼの生成である。これらの酵素は、β−ラクタム系抗生物質を分解し、抗菌作用を低下させる。クラスA型酵素は、ペニシリン系を優先して加水分解し、クラスC型ラクタマーゼは、セファロスポリン加水分解に有利な基質特性を有する(非特許文献4)。今日まで、250種以上のβ−ラクタマーゼが報告されており(非特許文献5)、新しい世代の広域β−ラクタマーゼ阻害剤が必要とされている。これらの抗生物質に対する細菌耐性は、これらの酵素を阻害する化合物と併用してβ−ラクタム系抗生物質を投与することによりかなり低減できると考えられる。
【0005】
セフェピムは、非経口のアミノチアゾリルアセトアミドセファロスポリン系抗生物質である(非特許文献6)。セフェピムは、院内肺炎及びその他の重度の感染を発症する多くの病原体に対して良好な活性を有することが示されているにもかかわらず、Enterococcus faecalis、Clostridium difficile及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対しては活性を有さない(非特許文献7;非特許文献8)。セフェピムは又、Enterobacteriaceaeの幾つかのメンバーにより生成される基質特異性拡張型β−ラクタマーゼ(ESBL)により加水分解される。
【0006】
クラブラン酸、スルバクタム及びタゾバクタム等の市販のβ−ラクタマーゼ阻害剤は全て、クラスA型生成病原体に対して有効である。臨床において、クラブラン酸はアモキシリン及びチカルシリンと、同様にスルバクタムはアンピシリンと、タゾバクタムはピペラシリンと併用して使用される。しかし、これらの化合物は、クラスC型生成微生物に対しては有効でない。クラスA型β−ラクタマーゼ(例えば、PCI及びTEM−1)の不活性の機序については既に解明されている(非特許文献9;非特許文献10)。
【0007】
近年、以下の一般化学式(II)の6−メチリデン誘導体は、特定のβ−ラクタム系抗生物質と併用する場合に有効な広域β−ラクタマーゼ阻害剤であることが示されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4)。
【0008】
【化6】

【特許文献1】国際公開第03/093280号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/093279号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/093277号パンフレット
【特許文献4】米国特許公開第2004/132708号明細書
【非特許文献1】Coleman, K. Expert Opin. Invest. Drugs 1995, 4, 693
【非特許文献2】Sutherland, R. Infection 1995, 23(4) 191
【非特許文献3】Bush, K, Cur. Pharm. Design 1999, 5, 839−845
【非特許文献4】Bush, K.;Jacoby, G.A.;Medeiros, A.A. Antimicrob. Agents Chemother. 1995, 39, 1211
【非特許文献5】Payne, D.J.:Du, W and Bateson, J.H. Exp. Opin. Invest. Drugs 2000, 247
【非特許文献6】Sanders, C.C. 1993. Cefepime:the next generation? Clin. Infect. Dis. 17:369−379
【非特許文献7】Jones, R.N. 2001. Resistance patterns among nosocomial pathogens:trends over the past few years. Chest 119:397S−404S
【非特許文献8】Okamoto, M.P., R.K. Nakahiro, A. Chin, A. Bedikian, and M.V. Gill. 1994. Cefepime: a new fourth−generation cephalosporin. Am. J. Hosp. Pharm. 41:463−477
【非特許文献9】Bush, K.;Antimicrob. Agents Chemother. 1993, 37, 851
【非特許文献10】Yang, Y.;Janota, K.;Tabei, K.;Huang, N.;Seigal, M.M.;Lin, Y.I.;Rasmussen, B.A. and Shlaes, D.M. J. Biol. Chem. 2000, 35, 26674−26682
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、致命的な細菌性感染に対して有効な処置は、依然として必要とされている。本発明は、これらの及びその他の重要な目的を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、低分子量の広域β−ラクタム系化合物、及び具体的には、セフェピム、ペニシリン系抗生物質又はカルバペネム系抗生物質等の「第4世代」セファロスポリン系抗生物質を含めたβ−ラクタム系抗生物質と併用する場合にβ−ラクタマーゼ阻害特性を有する1つのクラスの三環式ヘテロアリール置換6−アルキリデンペネムに関する。
【0011】
一実施形態において、本発明は、細菌性感染または疾患を処置するための方法に関し、この方法は、それを必要とする患者に、有効量のセフェピム又はその薬学的に許容される塩と、本明細書中で定義される一般式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはin vivoで加水分解可能なエステルとを投与する手順を含む。一実施形態において、一般式Iの化合物は、(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩;又は(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩である。
【0012】
一実施形態において、本発明は、薬学的に許容される担体と;セフェピム又はその薬学的に受容可能な塩と;本明細書中に定義される一般式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはin vivoで加水分解可能なエステルとを含む組成物に関する。一実施形態において、一般式Iの化合物は、(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩;又は(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩である。
【0013】
一実施形態において、本発明は、細菌性感染または疾患の処置のための医薬の製造のための、セフェピム又はその薬学的に許容される塩と;本明細書中に定義される一般式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはin vivoで加水分解可能なエステルとを含む組成物の使用に関する。
【0014】
一実施形態において、本発明は、セフェピムと併用されたときに、患者における抗菌性感染の処置において有用な、本明細書中で定義される一般式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはin vivoで加水分解可能なエステルに関する。
【0015】
一実施形態において、本発明は、セファロスポリン系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、又はカルバペネム系抗生物質を含むβ−ラクタム系抗生物質と併用されたときに、患者における抗菌性感染の処置において有用な、本明細書中で定義される一般式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはin vivoで加水分解可能なエステルに関する。
【0016】
一実施形態において、本発明は、薬学的に許容される担体と、セフェピム又はその薬学的に許容される塩と、本明細書中で定義される化学式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはin vivoで加水分解可能なエステルと、指示書とを含むパッケージに関し、その指示書は、細菌性感染または疾患を処置するための指示を含む。
【0017】
一実施形態において、本発明は、細菌性感染又は疾患の処置のために個別に、同時に又は逐次的に投与するための混合調製物として、セフェピム又はその薬学的に許容される塩と、本明細書中に定義される化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルとを含む生成物に関する。
【0018】
一実施形態において、本発明は、細菌性感染又は疾患を処置するための医薬品の調製における、セフェピム又はその薬学的に許容される塩と、本明細書中に定義される化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルとの使用に関する。
【0019】
別の実施形態において、化学式Iの化合物及びβ−ラクタム系抗生物質の本発明は、患者の抗菌感染の処置において有用なデヒドロペプチダーゼ(DHP)阻害剤(例えば、シラスタチン)を含むがこれに限定されないその他の化合物と更に併用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
化学的定義
本明細書で使用されるRは、H、場合により置換される−C−Cアルキル、場合により置換される−アリール、場合により置換される−ヘテロアリール又は単環式若しくは二環式飽和複素環、場合により置換される−C−Cシクロアルキル、場合により置換される−C−Cアルケニル、場合により置換される−C−Cアルキニル(但し、二重結合及び三重結合が何れも、Nに直接結合する炭素原子において存在しないことを条件とする);場合により置換される−C−Cペルフルオロアルキル、−S(O)の場合により置換されるアルキル若しくはアリール(式中、pは2である)、場合により置換される−C=Oヘテロアリール、場合により置換される−C=Oアリール、場合により置換される−C=O(C−C)アルキル、場合により置換される−C=O(C−C)シクロアルキル、場合により置換される−C=O単環式若しくは二環式飽和複素環、場合により置換される−C−Cアルキルアリール、場合により置換される−C−Cアルキルヘテロアリール、場合により置換されるアリール−C−Cアルキル、場合により置換されるヘテロアリール−C−Cアルキル、場合により置換される−C−Cアルキル単環式若しくは二環式飽和複素環、場合により置換される8個〜16個の炭素原子のアリールアルケニル、−CONR、−SONR、場合により置換されるアリールアルキルオキシアルキル、場合により置換される−アルキル−O−アルキル−アリール、場合により置換される−アルキル−O−アルキル−ヘテロアリール、場合により置換されるアリールオキシアルキル、場合により置換されるヘテロアリールオキシアルキル、場合により置換されるアリールオキシアリール、場合により置換されるアリールオキシヘテロアリール、場合により置換されるC−Cアルキルアリールオキシアリール、場合により置換されるC−Cアルキルアリールオキシヘテロアリール、場合により置換されるアルキルアリールオキシアルキルアミン、場合により置換されるアルコキシカルボニル、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニルである。一実施形態において、Rは、H、場合により置換されるアルキル、場合により置換されるアリール、−C=O(C−C)アルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、場合により置換されるシクロアルキル、SOアルキル、SOアリール、場合により置換される複素環、−CONR又は場合により置換されるヘテロアリールである。
【0021】
は、H、場合により置換されるC−Cアルキル、場合により置換される1〜2個の二重結合を有するC−Cアルケニル、場合により置換される1〜2個の三重結合を有するC−Cアルキニル、ハロゲン、シアノ、N−R、場合により置換される−C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるヘテロアリール、COOR、場合により置換されるアルキルアリールオキシアルキルアミン、場合により置換されるアリールオキシ、場合により置換されるヘテロアリールオキシ、場合により置換されるC−Cアルケニルオキシ、場合により置換されるC−Cアルキニルオキシ、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルコキシ、アルキレンジオキシ、場合により置換されるアリールオキシ−C−Cアルキルアミン、C−Cペルフルオロアルキル、−S(O)−場合により置換されるC−Cアルキル、−S(O)−場合により置換されるアリール(式中、qは0、1若しくは2である)、CONR、グアニジノ若しくは環式グアニジノ、場合により置換されるC−Cアルキルアリール、場合により置換されるアリールアルキル、場合により置換されるC−Cアルキルヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリール−C−Cアルキル、場合により置換されるC−Cアルキル単環式若しくは二環式飽和複素環、場合により置換される8〜16個の炭素原子のアリールアルケニル、SONR、場合により置換されるアリールアルキルオキシアルキル、場合により置換されるアリールオキシアルキル、場合により置換されるヘテロアリールオキシアルキル、場合により置換されるアリールオキシアリール、場合により置換されるアリールオキシヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシアリール、場合により置換されるC−Cアルキルアリールオキシアリール、場合により置換されるC−Cアルキルアリールオキシヘテロアリール、場合により置換されるアリールオキシアルキル、場合により置換されるヘテロアリールオキシアルキル、場合により置換されるアルキルアリールオキシアルキルアミン、場合により置換されるC−Cシクロアルキル、場合により置換されるC−C飽和若しくは部分飽和複素環である。一実施形態において、Rは、H、場合により置換されるアルキル、場合により置換されるアルコキシ、場合により置換されるヘテロアリール、ハロゲン、CN、ヒドロキシ、場合により置換される複素環、−CONR、COOR、場合により置換されるアリール、S(O)−アルキル又はS(O)−アリールである。
【0022】
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるヘテロアリールである。一実施形態において、Rは、H又はC−Cアルキルである。
【0023】
は、H、場合により置換されるC−Cアルキル、Rの1つは、OH、C−Cアルコキシ、−S−C−Cアルキル、COOR、−NR、−CONRであるか;又はRは、一緒になって=Oである場合もあれば、Rは結合する炭素と一緒になって、N、O、S=(O)(式中、nは0〜2である)、N−Rから選択されるヘテロ原子の有無にかかわらず、5〜8員のスピロ系を形成する場合もある。一実施形態において、Rは、H、C−Cアルキル、NRであり、又はRは結合する炭素と一緒になって、5〜8員のスピロ系を形成する。
【0024】
及びRは、独立して、H、場合により置換されるC−Cアルキル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるC−Cアルキルアリール、場合により置換されるアリールアルキル、場合により置換されるヘテロアリールアルキル、場合により置換されるC−Cアルキルヘテロアリールであり、R及びRは、結合する窒素と一緒になって、1個又は2個のヘテロ原子、例えば、N−R、O、S=(O)n(式中、nは0〜2)を場合により有する3〜7員飽和環系を形成してもよい。一実施形態において、R及びR基は、H、C−Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルであり、又はR及びRは結合する窒素と一緒になって、3〜7員飽和環系を形成する。
【0025】
用語「アルキル」は、特に特定されていなければ1〜12個の炭素の;一実施形態においては1〜8個の炭素原子の;一実施形態においては1〜6個の炭素原子の;そして一実施形態においては1〜4個の炭素原子の、直鎖及び分岐鎖の両アルキル部分を指す。代表的な(C−C)−アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびネオヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「シクロアルキル」とは、特に特定されていなければ3〜7個の炭素原子を;一実施形態においては7個の炭素原子を;一実施形態においては6個の炭素原子を;一実施形態においては5個の炭素原子を;一実施形態においては4個の炭素原子を、そして一実施形態においては3個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基を指す。
【0027】
アリールとは、例えば6〜14個の炭素原子の芳香族炭化水素部分を指し、例えば、以下の基から選択される芳香族炭化水素部分を指す:フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インダニル、ビフェニルエニル、アセナフテニル基。一実施形態において、アリール基は、フェニル又はビフェニルである。
【0028】
ヘテロアリールとは、例えば5〜10個の環のメンバーと、O、N及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子とを有する芳香族複素環系(単環式又は二環式)を指し、ヘテロアリール部分は以下から選択される:(1)フラン、チオフェン、インドール、アザインドール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、N−メチルピロール、ピラゾール、N−メチルピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンズイソキサゾール、ベンズイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾール、アザベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノリン及びイソキノリン;(2)フェニル、ピリジン、ピリミジン又はピリジジン環が:(a)1個の窒素原子を有する6員芳香族(不飽和)複素環式環に縮合;(b)2個の窒素原子を有する5又は6員芳香族(不飽和)複素環式環に縮合;(c)1個の窒素原子を有する5員芳香族(不飽和)複素環式環に1個の酸素原子又は1個の硫黄原子のどちらかを一緒になって縮合;或いは(d)O、N又はSから選択される1個のヘテロ原子を有する5員芳香族(不飽和)複素環式環に縮合する二環式芳香族複素環。一実施形態において、ヘテロアリール基は、フラン、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、N−メチルピロール、ピラゾール、N−メチルピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、キノリン、イソキノリン又はナフチリジンである。
【0029】
「縮合三環式ヘテロアリール基」という用語は、少なくとも1つの環が芳香族特性を有する3つの縮合環を含む基を指す(即ち、Huckelの式(4n+2)に適合)。縮合三環式ヘテロアリール基は、O、S、N及びN−Rからなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子を含む。縮合三環式ヘテロアリールを、少なくとも1つの芳香族環の1つの炭素を介して化学式Iの化合物の残りに結合してもよい。縮合三環式ヘテロアリール基は、芳香族環1〜3個及び非芳香族環0〜2個を含んでもよい。
【0030】
縮合三環式ヘテロアリール基の各(1つ以上の)芳香族環は、CR、O、S、N及びN−Rから選択される5〜7個の環原子(橋頭原子等)を含む場合がある。縮合三環式ヘテロアリール基の各(1つ以上の)芳香族環は、O、S、N及びN−Rから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む場合がある。縮合三環式ヘテロアリール基の(1つ以上の)非芳香族環がある場合は、5〜8個の環原子(橋頭原子等)及びN、N−R、O又はS(O)n(式中、nは0〜2である)から選択される0〜4個のヘテロ原子を含む場合がある。縮合三環式ヘテロアリール基の各非芳香族環において、1個又は2個の非橋頭炭素原子は、場合により1つ又は2つのRとそれぞれ置換される場合があり、Rは、それぞれ独立して同じである場合もあれば、異なる場合もある。縮合三環式ヘテロアリールの例は、場合により置換される環系、例えば、場合により、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ又はハロ(例えば、クローリン若しくはフローリン)により置換されるイミダゾ[2,1−b][1,3]ベンゾチアゾール;イミダゾ[1,2−a]キノリン;6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール;イミダゾ[1,2−a]キナキサリン;場合により、例えばベンジル等のアリールアルキルにより置換される5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンジベンゾ[b,f][1,4]−オキサゼピン−11(10H)−オン;場合により、C−Cアルコキシにより置換される7,8−ジヒドロ−6H−3,4,8b−トリアザ−as−インダセン;場合により、例えばC−Cアルコキシにより置換される4H,10H−ピラゾロ[5,1−c][1,4]ベンゾキサゼピン;5H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール;5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール;イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール;[1,3]チアゾロ[3,2−a]ベンズイミダゾール;7,8−ジヒドロ−6H−シクロペンタ[3,4]ピラゾロ[5,1−b][1,3]チアゾール;5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b][1,3]−ベンゾチアゾール;場合により、例えばC−Cアルキルにより置換される9H−イミダゾ[1,2−a]ベンズイミダゾール;4H−チエノ[2’,3’:4,5]チオピラノ[2,3−b]ピリジン;場合により、例えばC−Cアルキルにより置換される7,8−ジヒドロ−6H−シクロペンタ[e][1,2,4]−トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン;場合により、例えばC2−C7アルコキシカルボニルにより置換される6,7,8,9−テトラヒドロピリド[3,4−e][1,2,4]−トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン;8’,9’−ジヒドロ−6’H−スピロ[1,3−ジオキソラン−2,7’−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]−キナゾリン;場合により、例えばC−Cアルキルにより置換される6,7,8,9−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]キナゾリン;場合により、例えばC−Cアルコキシにより置換される7,8−ジヒドロ−6H−シクロペンタ[e]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン;場合により、例えばアリールアルキルオキシアルキルオキシにより置換される7,8−ジヒドロ−6H−シクロペンタ[e]イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル;3−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[3,2−a]−ベンズイミダゾール;2,3−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[3,2−a]ベンズイミダゾール;4−ジヒドロ−2H−[1,3]チアジノ[3,2−a]−ベンズイミダゾール;[1,3]チアゾロ[3,2−a]ベンズイミダゾール;7,8−ジヒドロ−5H−ピラノ[4,3−d]ピラゾロ[5,1−b][1,3]−オキサゾール;5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5,1−b][1,3]ベンゾキサゾール;及び場合により、例えばC2−C7アルコキシカルボニルにより置換される5,6,7,8−テトラヒドロピラゾロ[5’,1’:2,3][1,3]オキサゾロ[5,4−c]ピリジンに置換される。
【0031】
縮合三環式ヘテロアリール基は、場合により置換される環系、例えば、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール、及び5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール部分を含む。
【0032】
アリール又はヘテロアリールが「場合により置換される」場合、以下の内の1つ又は2つが、可能な置換基となる:ニトロ、−アリール、−ヘテロアリール、アルコキシカルボニル−、−アルコキシ、−アルコキシ−アルキル、アルキル−O−C2−C4アルキル−O−、−シアノ、−ハロゲン、−ヒドロキシ、−N−R、−トリフルオロメチル、−トリフルオロメトキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、RN−アルキル−、HO−C−C−アルキル−、アルコキシアルキル−、アルキル−S−、−SON−R、−SONHR、−COH、CONR、アリール−O−、ヘテロアリール−O−、−S(O)s−アリール(式中、s=0〜2)、−アルキル−O−アルキル−NR、−アルキル−アリール−O−アルキルN−R、C−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ−アルキル−O−、RN−アルキル−、及び−S(O)s−ヘテロアリール(式中、s=0〜2)。一実施形態において、アリール及びヘテロアリールの置換基は、アルキル、ハロゲン、−N−R、トリフルオロメチル、−トリフルオロメトキシ、アリールアルキル及びアルキルアリールを含む。
【0033】
アリールアルキルとは、アリール−C−Cアルキル−を示し、アリールアルキル部分は、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル等を含む。「場合により置換される」という用語は、上に定義した通り、アルキル又はアリール部分上の1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0034】
アルキルアリールとは、C−Cアルキル−アリール−を指す。「場合により置換される」という用語は、上に定義した通り、アリール又はアルキル部分上の1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0035】
ヘテロアリール−C−C−アルキルとは、アルキル鎖(直鎖又は分岐鎖)が1〜6個の炭素原子であるヘテロアリール置換アルキル部分を指す。アルキルヘテロアリール部分は、ヘテロアリール−(CH1−6−等を含む。「場合により置換される」という用語は、上に定義した通り、アルキル又はヘテロアリール部分上の1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0036】
−C−アルキルヘテロアリールとは、ヘテロアリール部分に結合する1〜6個の炭素原子の(直鎖又は分岐鎖の)アルキル鎖を指し、これは、分子の残りに結合する。例えば、C−C−アルキル−ヘテロアリール−である。「場合により置換される」という用語は、上に定義した通り、アルキル又はヘテロアリール部分上の1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0037】
飽和又は部分飽和複素環基とは、以下の部分から選択される複素環式環を指す:アジリジニル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンズオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロ−1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロイソキノリニル。一実施形態において、飽和又は部分飽和複素環は、以下を含む:アジリジニル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロイミダゾリル及びジヒドロイソオキサゾリル。
【0038】
−Cアルキル単環式若しくは二環式飽和又は部分飽和複素環とは、炭素原子若しくは窒素原子及び分子の残りに結合するアルキル鎖のもう一方の端部を介して(前記に定義されている)複素環に結合するC−Cの(直鎖若しくは分岐鎖の)アルキル基を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル又は分子の複素環部位上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0039】
アリールアルキルオキシアルキルとは、アリール−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル−を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル及び/又はアリール部位上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0040】
アルキルオキシアルキルとは、C−Cアルキル−O−C−Cアルキル−を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0041】
アリールオキシアルキルは、アリール−O−C−Cアルキル−として定義される。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル又はアリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0042】
ヘテロアリールアルキルオキシアルキルとは、ヘテロアリール−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル−を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル又はヘテロアリール部分上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0043】
アリールオキシアリールとは、アリール−O−アリール−を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アリール部分上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0044】
アリールオキシヘテロアリールとは、アリール−O−ヘテロアリール−又は−アリール−O−ヘテロアリールを指す。この定義において、アリール部分又はヘテロアリール部分のどちらかを、分子の残りの部位に結合してもよい。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アリール部分又はヘテロアリール部分上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0045】
アルキルアリールオキシアリールとは、アリール−O−アリール−C−Cアルキル−を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0046】
アルキルアリールオキシヘテロアリールとは、ヘテロアリール−O−アリール−C−Cアルキル−を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アリール部分又はヘテロアリール部分上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0047】
アルキルアリールオキシアルキルアミンとは、RN−C1−C6アルキル−O−アリール−C1C6アルキル−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル又はアリール部分上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指し;R及びRは先に定義した通りである。
【0048】
アルコキシカルボニルとは、C−Cアルキル−O−C=O−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルコキシ部分のアルキル部位上に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0049】
アリールオキシカルボニルとは、アリール−O−C=O−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0050】
ヘテロアリールオキシカルボニルとは、ヘテロアリール−O−C=O−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、ヘテロアリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0051】
アルコキシとは、C−Cアルキル−O−を指し;「場合により置換される」とは、先に定義した通り、アルキル部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0052】
アリールオキシとは、アリール−O−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0053】
ヘテロアリールオキシとは、ヘテロアリール−O−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、ヘテロアリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0054】
アルケニルオキシとは、C−Cアルケン−O−;例えば、アリル−O−、ブタ−2−エン−O−等の部分を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルケン部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指すが、但し、O、S又はN−R等のヘテロ原子が二重結合に結合する炭素原子上に存在しないことを条件とする。
【0055】
アルキニルオキシとは、C−Cアルキン−O−;例えば、CH≡C−CH−O−等の部分を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキン部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指すが、但し、O、S又はN−R等のヘテロ原子が二重又は三重結合に結合する炭素原子上に存在しないことを条件とする。
【0056】
アルキルアミノアルコキシとは、酸素に結合する末端アルキル基が分子の残りに連結される、RN−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル−を指し;「R」及び「R」という用語は先に定義されており;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0057】
アルキレンジオキシとは、−O−CH−O−、又は−O−(CH−O−を指す。
【0058】
アリールオキシアルキルアミンとは、アリールが分子の残りに結合する、RN−C−Cアルキル−O−アリール−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルキル又はアリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0059】
アリールアルケニルとは、アリール−C2−C8アルケン−を指すが、但し、O、S又はN−R等のヘテロ原子が二重結合に結合する炭素原子上に存在しないことを条件とし;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、アルケン又はアリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0060】
ヘテロアリールオキシアルキルとは、ヘテロアリール−O−C−Cアルキル−を指す。「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、ヘテロアリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0061】
ヘテロアリールオキシアリールとは、アリール部分が分子の残りに結合するヘテロアリール−O−アリール−を指し;「場合により置換される」という用語は、先に定義した通り、ヘテロアリール部分又はアリール部分に存在する1つ又は2つの置換基で置換されないか又は置換されることを指す。
【0062】
アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルキルオキシ及びアルキルチオアルキルオキシとは、アルキル鎖(直鎖又は分岐鎖)が1〜6個の炭素原子である部分を指す。アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールチオ及びヘテロアリールチオは、アリール及びヘテロアリール基が本明細書に先に定義した通りである部分である。アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、アリールアルキルチオ及びヘテロアリールアルキルチオは、アリール及びヘテロアリール基が本明細書に先に定義した通りであり、アルキル鎖(直鎖又は分岐鎖)が1〜6個の炭素原子である部分である。アリールオキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、アリールオキシアルキルオキシ及びヘテロアリールオキシアルキルオキシは、アルキルラジカルが1〜6個の炭素原子である置換基である。モノアルキルアミノ及びジアルキルアミノとは、アルキル鎖が炭素1〜6個であり、アルキル基が同じである場合もあれば、異なる場合もある1つ又は2つのアルキル基を有する部分を指す。モノアルキルアミノアルキル及びジアルキルアミノアルキルという用語は、1〜3個の炭素原子のアルキル基に結合する窒素原子に結合する(同じ又は異なる)1つ又は2つのアルキル基を有するモノアルキルアミノ及びジアルキルアミノ部分を指す。
【0063】
薬学的に許容される塩は、温血動物に投与又は提供され得る塩であり、これにはナトリウム塩、カリウム塩又はアルカリ土類金属カルシウム塩が含まれる。
【0064】
本明細書で使用される患者という用語には、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒ又はアカゲザルが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、患者は温血動物である。別の実施形態において、患者はヒトである。
【0065】
本明細書で使用される有効量とは、患者に投与する場合に患者の苦痛又は苦痛と思われる状態を予防、少なくとも部分的に緩和又は治癒するために有効な化合物又は化合物の薬学的に許容される塩の量を指す。
【0066】
本明細書で使用される、「対応する反対側の鏡像異性体を実質的に含有しない」という用語は、化合物が、対応する反対側の鏡像異性体を約10重量%以下含むことを意味する。別の実施形態において、対応する反対側の鏡像異性体を実質的に含有しない化合物は、対応する反対側の鏡像異性体を約5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、又は約0.1重量%以下含む。対応する反対側の鏡像異性体を実質的に含有しない鏡像異性体には、分離及び精製された、又は対応する反対側の鏡像異性体を実質的に含有せずに調製された化合物が含まれる。
【0067】
本明細書で使用される「分離及び精製された」という用語は、反応混合物又は天然源のその他の構成要素とは分離した分離株を指す。特定の実施形態において、分離株は、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%又は少なくとも約98重量%の分離株を含む。
【0068】
本明細書で使用される「互変体」という用語は、分子の1原子の1陽子が他の原子に移動する現象により生成される化合物を指す。Jerry March, Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms and Structures, Fourth Edition, John Wiley & Sons 1992, 69−74を参照されたい。
【0069】
化学式Iの化合物
本発明において有用な化合物には、以下の化学式Iの化合物であって:
【0070】
【化7】

式中:
A及びBの一方が水素を示し、A及びBの他方が場合により置換される縮合三環式ヘテロアリール基を示し;
XがS又はOであり;
が、H、例えばC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、CHROCOC−C等のin vivoで加水分解可能なエステル、又は例えばNa、K若しくはCa等の塩であり;
が、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、場合により置換されるアリール、又は場合により置換されるヘテロアリールである、
化合物;及びそれらの薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルが含まれる。
【0071】
一実施形態において、XはSである。
【0072】
一実施形態において、RはH又は塩である。
【0073】
一実施形態において、RはH又はC−Cアルキルである。
【0074】
一実施形態において、Aは、場合により置換される三環式ヘテロアリール基を示し、Bは水素を示す。
【0075】
一実施形態において、化学式Iの化合物は、以下の立体化学を有する:
【0076】
【化8】


【0077】
三環式ヘテロアリール基の例には、以下の化学式16−Aが含まれる:
【0078】
【化9】


【0079】
化学式16−Aにおいて、YはO又はCHであり、nは0又は1である。本明細書で使用される
【0080】
【化10】

は、三環式ヘテロアリール基が分子の残りに結合する点を示す。
【0081】
一実施形態において、YがOである場合に、nは1である。別の実施形態において、YがCHである場合に、nは0である。
【0082】
一実施形態において、化学式Iの化合物は:(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩である。
【0083】
一実施形態において、化学式Iの化合物は:(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩である。
【0084】
一実施形態において、化学式Iの化合物は:(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸である。
【0085】
一実施形態において、化学式Iの化合物は:(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸である。
【0086】
場合により置換される三環式ヘテロアリール基A及びBの更なる例には、以下の化学式が含まれる:
環の大きさ及び配列:(5−5−5)
【0087】
【化11】

化学式1−A及び1−Bの何れにおいても、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである場合がある。
【0088】
環の大きさ及び配列:(5−5−6)
【0089】
【化12】

化学式2−A及び2−Bの何れにおいても、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである場合がある。
【0090】
環の大きさ及び配列:(5−6−5)
【0091】
【化13】

化学式3−A及び3−Bの何れにおいても、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、C又はNである場合がある。
【0092】
環の大きさ及び配列:(5−6−6)
【0093】
【化14】

化学式4−A、4−B及び4−Cにおいて、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである場合がある。
【0094】
環の大きさ及び配列:[5−5−(非芳香族)]
【0095】
【化15】

化学式5−A及び5−Bの何れにおいても、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである場合がある。W、W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O、N−Rから選択されるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないを条件とし;t=1〜3である。
【0096】
環の大きさ及び配列:[5−6−(非芳香族)]
【0097】
【化16】

化学式6−A、6−B及び6−Cにおいて、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y及びYは、独立してC又はNである。W、W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O、又はN−Rであるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=1〜3である。
【0098】
環の大きさ及び配列:[5−(非芳香族)−5]
【0099】
【化17】

化学式7−A及び7−Bにおいて、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され;Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである。W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O、N−Rから選択されるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=1〜3である。
【0100】
環の大きさ及び配列:[5−(非芳香族)−6]
【0101】
【化18】

化学式8−A及び8−Bにおいて、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S及びN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである。W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O又はN−Rであるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=0〜3である。
【0102】
環の大きさ及び配列:[5−(非芳香族)−(非芳香族)]
【0103】
【化19】

化学式9−A及び9−Bにおいて、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され;Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y及びYは、独立してC又はNであり;Y及びYは、独立してCH又はNであり;W、W、W、W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O又はN−Rであるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=0〜2及びu=1〜3である。
【0104】
環の大きさ及び配列:(6−5−6)
【0105】
【化20】

化学式10−A及び10−Bにおいて、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rから選択され、上述の通り、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである。
【0106】
環の大きさ及び配列:(6−6−6)
【0107】
【化21】

化学式11−A、11−B及び11−Cにおいて、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZ10は、独立してCR、N、O、S又はN−Rであり;Z〜Z10の1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNである。
【0108】
環の大きさ及び配列:[6−5−(非芳香族)]
【0109】
【化22】

化学式12−A及び12−Bにおいて、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rであるが、但し、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNであり;W、W及びWは、独立してCR、O、N−R又はS(O)(r=0〜2)であるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=1〜4である。
【0110】
環の大きさ及び配列:[6−6−(非芳香族)]
【0111】
【化23】

化学式13−A、13−B及び13−Cにおいて、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rであり;Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNであり;W、W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O又はN−Rであるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=1〜3である。
【0112】
環の大きさ及び配列:[6−(非芳香族)−6]
【0113】
【化24】

化学式14−A、14−B及び14−Cにおいて、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rであり、Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNであり;W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O又はN−Rであるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=1〜2である。
【0114】
環の大きさ及び配列:[6−(非芳香族)−(非芳香族)]
【0115】
【化25】

化学式15−A、15−B及び15−Cにおいて、Z、Z、Z及びZは、独立してCR、N、O、S又はN−Rであり;Z〜Zの1つは、分子の残りが結合する炭素原子である。Y、Y、Y及びYは、独立してC又はNであり;W、W、W、W及びWは、独立してCR、S(O)(r=0〜2)、O又はN−Rであるが、但し、S−S、S−O又はO−Oの何れの結合形成によっても飽和環を形成できないことを条件とし;t=1〜3及びu=1〜3である。
【0116】
場合により置換される三環式ヘテロアリール基A及びBの更なる例については、国際特許公開第WO 03/093280 A1号、第WO 03/093277 A1号、及び米国特許公開第US 2004 132708 A1号に記載されている。
【0117】
本発明において有用な化合物には、それらの薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルが含まれることから、本明細書で使用される「化合物」という用語には、その薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルが含まれる。化合物の構造式には又、任意の互変体、任意の立体異性体(立体化学が明記されている場合を除く)、及び任意の結晶形態が含まれる。
【0118】
化学式Iの化合物は、不斉炭素原子を含んでもよく、化学式Iの化合物の幾つかは、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、従って、光学異性体及びジアステレオマーを生成してもよい。幾つかの場合では、化学式Iの化合物の立体化学に関係なく示されているが、本発明には、このような光学異性体及びジアステレオマー、並びにラセミ化合物の及び分解した、鏡像異性的に純粋なR及びS型立体異性体、更にはR及びS型立体異性体のその他の混合物、及びそれらの薬学的に許容される塩も含まれる。立体異性体が提供される場合は、幾つかの実施形態において、その対応する反対側の鏡像異性体を実質的に含まずに提供されてもよい。
【0119】
更に、化学式Iの化合物は、互変体として存在してもよい。このような互変体は、一過性であってもよければ、安定した生成物として分離可能であってもよい。これらの互変体は、本発明の適用範囲内に含まれる。
【0120】
化学式Iの化合物のプロドラッグも又、本発明の適用範囲内に含まれる。
【0121】
化学式Iの化合物の作製方法
化学式Iの化合物は、市販の化合物、既知の化合物、又は既知の方法により調製した化合物から出発する種々の方法を使用して調製することができる。これらの多くの化合物の一般的な合成経路は、以下の図式に含まれる。図式に示されていない保護及び脱保護手順がこれらの合成に必要とされる場合があり、手順の順は標的分子の機能性に適応して変更される場合があることが、当業者により理解される。
【0122】
例えば、化学式Iの化合物は、国際特許公開第WO 03/093280 A1号、第WO 03/093277 A1号、及び米国特許公開第US 2004 132708 A1号に概説した手法に従い合成することができる。
【0123】
治療目的の投与
一実施形態において、化学式Iの化合物は、β−ラクタマーゼ阻害及び抗菌特性を有し、セフェピムと併用する場合、患者の感染の処置において有用である。本発明の一実施形態において、セフェピムと併用する化学式Iの化合物は、細菌性感染又は疾患の有効な処置を提供する。
【0124】
一実施形態において、化学式Iの化合物は、β−ラクタマーゼ阻害及び抗菌特性を有し、β−ラクタム系抗生物質と併用する場合、患者の感染の処置において有用である。本発明の一実施形態において、β−ラクタム系抗生物質と併用する化学式Iの化合物は、細菌性感染又は疾患の有効な処置を提供する。
【0125】
本明細書で使用されるβ−ラクタム系抗生物質は、ペニシリン系抗生物質、セファロスポリン系抗生物質及びカルバペネム系抗生物質を含む。例えば、カルベニシリン、アズロシリン、メズロシリン、メシリナム、ナフシリン及びオキサシリン等のペニシリン系抗生物質;セファクロル、セファマンドール、セフジニル、セフジトレン、セフェタメト、セフィキシム、セフメタゾール、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシム、セフチブテン、セフチゾキシム及びセフロキシム等のセファロスポリン系抗生物質;及びロラカルベフ、イミペネム、メロペネム及びエルタペネム等のカルバペネム系抗生物質は、化学式Iの化合物と併用する場合、患者の感染の処置において有用である。
【0126】
一実施形態において、セフェピムと併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスA型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。一実施形態において、セフェピムと併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスB型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。一実施形態において、セフェピムと併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスC型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。一実施形態において、セフェピムと併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスD型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。別の実施形態において、セフェピムと併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスA型及びクラスC型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。更に別の実施形態において、セフェピムと併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスA型、クラスC型及びクラスD型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。
【0127】
一実施形態において、β−ラクタム系抗生物質と併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスA型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。一実施形態において、β−ラクタム系抗生物質と併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスB型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。一実施形態において、β−ラクタム系抗生物質と併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスC型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。一実施形態において、β−ラクタム系抗生物質と併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスD型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。別の実施形態において、β−ラクタム系抗生物質と併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスA型及びクラスC型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。更に別の実施形態において、β−ラクタム系抗生物質と併用する場合、化学式Iの化合物は、クラスA型、クラスC型及びクラスD型生成微生物に対して抗菌活性を高める(相乗効果)。
【0128】
一実施形態において、化学式Iの化合物の投与は、セフェピムと併せて、その前に、それと同時に、又はその後に提供される(「共投与」)。「提供される」には、直接投与、並びにin vivoでの、例えばプロドラッグとしての投与が含まれる。化学式Iの化合物をセフェピムと共投与する場合、セフェピム量に対する化合物量の比率は、広い範囲で変化する場合がある。化学式Iの化合物に対するセフェピムの比率は、1:1〜100:1の間で変化する場合がある。一実施形態において、化学式Iの化合物に対するセフェピムの比率は、10:1未満である。
【0129】
一実施形態において、化学式Iの化合物の投与は、β−ラクタム系抗生物質と併せて、その前に、それと同時に、又はその後に提供される(「共投与」)。化学式Iの化合物をβ−ラクタム系抗生物質と共投与する場合、β−ラクタム系抗生物質量に対する化合物量の比率は、広い範囲で変化する場合がある。化学式Iの化合物に対するβ−ラクタム系抗生物質の比率は、1:1〜100:1の間で変化する場合がある。一実施形態において、化学式Iの化合物に対するβ−ラクタム系抗生物質の比率は、10:1未満である。
【0130】
一実施形態において、本発明の組成物は、経口(PO)、静脈内(IV)又は局所投与に好適な形態である。一実施形態において、本発明の組成物は、錠剤、カプセル、クリーム、シロップ、懸濁液及び注射又は輸液に好適な無菌液の形態である。
【0131】
一実施形態において、化学式Iの化合物及びセフェピムは、このような薬剤を細菌性感染又は疾患の処置に個別に使用する場合に一般的に使用される用量にて投与される。
【0132】
一実施形態において、化学式Iの化合物及びβ−ラクタム系抗生物質は、このような薬剤を細菌性感染又は疾患の処置に個別に使用する場合に一般的に使用される用量にて投与される。
【0133】
別の実施形態において、化学式Iの化合物及びセフェピムは、相乗的に作用し、このような薬剤を細菌性感染又は疾患の処置に個別に使用する場合に一般的に使用される用量未満の用量にて投与される。
【0134】
別の実施形態において、化学式Iの化合物及びβ−ラクタム系抗生物質は、相乗的に作用し、このような薬剤を細菌性感染又は疾患の処置に個別に使用する場合に一般的に使用される用量未満の用量にて投与される。
【0135】
本明細書で使用されるセフェピムには、その薬学的に許容される塩が含まれる。
【0136】
セフェピムは、投与当たり約250mg〜約2gの用量にて患者に投与してもよい。一実施形態において、セフェピムの用量は、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1g、約1.1g、約1.2g、約1.25g、約1.3g、約1.4g、約1.5g、約1.6g、約1.7g、約1.75g、約1.8g又は約1.9gである。セフェピムは、8時間毎〜48時間毎に投与してもよい。一実施形態において、セフェピムを、12時間毎、16時間毎、20時間毎、24時間毎、28時間毎、32時間毎、36時間毎、40時間毎又は44時間毎に投与される。セフェピムは、約7日間〜約10日間にわたり投与してもよい。特定の実施形態において、セフェピムは、約8日間又は約9日間投与される。
【0137】
本明細書で使用されるβ−ラクタム系抗生物質には、その薬学的に許容される塩が含まれる。
【0138】
患者に投与する場合、化合物(例えば、化学式Iの化合物、セフェピム又はβ−ラクタム系抗生物質)は、単独で、或いは生理学的に許容される担体又はビヒクルを含む組成物の構成要素として投与してもよい。本発明の組成物は、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩及び生理学的に許容される担体、賦形剤若しくは希釈剤を添加する手順を含む方法を使用して調製することができる。添加は、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩及び生理学的に許容される担体、賦形剤若しくは希釈剤を添加する既知の方法を使用して行うことができる。
【0139】
一実施形態において、本発明は、セフェピム又はその薬学的に許容される塩及び化学式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩及びin vivoで加水分解可能なエステルを含む組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを含む組成物、並びにセフェピム又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。
【0140】
一実施形態において、本発明は、β−ラクタム系抗生物質又はその薬学的に許容される塩及び式Iの化合物或いはそれらの薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを含む組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、化学式Iの化合物或いはそれらの薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを含む組成物、及びβ−ラクタム系抗生物質又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。
【0141】
化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を含む本発明の組成物は、経口投与してもよい。本発明の組成物は又、その他何れかの簡便な経路、例えば、持続輸液又はボーラス注射、上皮又は粘膜皮膚の内膜層(例えば、口腔、直腸、膣及び腸の粘膜等)を介した吸収により投与してもよく、別の治療剤と合わせて投与してもよい。投与は、全身又は局所であってよい。リポソーム、微粒子、マイクロカプセル及びカプセルの封入を含む種々の既知の送達系を使用してもよい。
【0142】
投与方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入により、又は局所、特に耳、鼻、目若しくは皮膚が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの例において、投与により、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩が血流に放出される。投与の様式は、実施者の判断に任される。
【0143】
一実施形態において、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は経口投与される。
【0144】
一実施形態において、セフェピムは経口投与される。
【0145】
一実施形態において、β−ラクタム系抗生物質は経口投与される。
【0146】
一実施形態において、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は静脈内投与される。
【0147】
一実施形態において、セフェピムは静脈内投与する。
【0148】
一実施形態において、β−ラクタム系抗生物質は静脈内投与される。
【0149】
別の実施形態においては、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩を局所投与することが望ましい場合がある。これは、例えば術中の局所輸液、例えば術後の創傷包帯と併せた局所塗布、注射、カテーテルの使用、座剤又は浣腸剤の使用又は埋め込み体の使用により行ってもよく、前記埋め込み体は、膜、例えばシラスティック膜若しくは線維等の多孔性、無孔性又はゼラチン質材料である。
【0150】
特定の実施形態においては、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩を中枢神経系、循環系又は消化管に、好適な経路、例えば心室内、クモ膜下注射、傍脊椎注射、硬膜外注射、浣腸剤及び末梢神経の隣接に注射することに導入することが望ましい。心室内注射は、心室内カテーテル、例えばOmmayaリザーバー等のリザーバーを取り付けることにより容易となる。
【0151】
経肺投与も又、例えば吸入器又は噴霧器の使用及びエアロゾル剤を含む配合物、又はフッ化炭素若しくは合成肺界面活性剤の潅流により利用してもよい。特定の実施形態において、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、従来の結合剤及び賦形剤、例えばトリグリセライドを含む座剤として配合してよい。
【0152】
別の実施形態において、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、ベシクル、具体的にはリポソームとして送達してよい(Langer, Science 1990, 249, 1527−1533 and Treat, et al., Liposomes in the Therapy of Infectious Diseases and Cancer 1989, 317−327 and 353−365を参照)。
【0153】
更に別の実施形態において、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、制御放出性又は持続放出性系において送達してよい(Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, vol. 2, 1984, 115−138を参照)。Langer, Science 1990, 249, 1527 1533のレビューで考察されているその他の制御放出性又は持続放出性系を使用してもよい。一実施形態においては、ポンプを使用してよい(Langer, Science 1990, 249, 1527−1533;Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 1987, 14, 201;Buchwald, et al., Surgery 1980, 88, 507;and Saudek, et al., N. Engl. J Med. 1989, 321, 574)。別の実施形態においては、ポリマー材料を使用してよい(Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise eds., 1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball eds., 1984);Ranger and Peppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 1983 2, 61;Levy, et al., Science 1935, 228, 190;During, et al., Ann. Neural. 1989, 25, 351;and Howard, et al., J. Neurosurg. 1989, 71, 105を参照)。
【0154】
更に別の実施形態においては、制御放出性又は持続放出性系を化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩の標的の近位に設置してよく、従って、少量の全身用量のみが必要となる。
【0155】
本組成物は、場合により好適な量の生理学的に許容される賦形剤を含んでもよい。
【0156】
このような生理学的に許容される賦形剤は、液体、例えば水及び油(例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等の石油、動物、植物若しくは合成由来油を含む)であってよい。生理学的に許容される賦形剤は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、スターチペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等であってよい。更に、補助剤、安定剤、濃化剤、潤滑剤及び着色剤を使用してもよい。一実施形態において、患者に投与する場合、生理学的に許容される賦形剤は無菌である。生理学的に許容される賦形剤は、製造及び保存条件下で安定し、微生物の汚染作用から保護されるものとする。水は、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を静脈内投与する場合、特に有用な賦形剤である。生理食塩水溶液及び水性デキストロース並びにグリセロール溶液も又、液体賦形剤、特に注射溶液として使用してもよい。好適な生理学的に許容される賦形剤は又、スターチ、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、粉末スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等も含まれる。所望の場合、本組成物は、少量の湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝液を含有してもよい。
【0157】
液体担体は、溶液、懸濁液、乳液、シロップ及びエリキシル剤の調製に使用される場合がある。化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、水、有機溶媒、その両方の混合物等の薬学的に許容される液体担体又は薬学的に許容される油若しくは脂肪に溶解又は懸濁してよい。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味剤、香料添加剤、懸濁剤、濃化剤、着色、粘度調整剤、安定剤又は浸透圧調整剤等のその他の好適な医薬品添加剤を含有してもよい。経口及び非経口投与の液体担体の好適な例には、水(特に上記の添加剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液等のセルロース誘導体を含有)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例えばグリコール等)及びこれらの誘導体並びに油(例えば、ヤシ油及びラッカセイ油)が含まれる。非経口投与において、担体は又、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピル等の油性エステルであってもよい。無菌液体担体は、非経口投与の無菌液体形態の組成物に使用される。加圧型組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素又はその他の薬学的に許容される推進薬(propellant)であってよい。
【0158】
本組成物は、溶液、懸濁液、乳液、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、粉末、持続放出性配合物、座剤、乳液、エアロゾル、噴霧剤、懸濁液の形態、又は使用に好適なその他何れかの形態をとってよい。一実施形態において、組成物は、カプセルの形態である。好適な生理学的に許容される賦形剤のその他の例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447 1676 (Alfonso R. Gennaro, ed., 19th ed. 1995)に記載されている。
【0159】
一実施形態において、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、ヒトへの経口投与に適応した組成物として一般的な手法に従って配合される。経口送達のための組成物は、例えば、錠剤、ドロップ、舌下剤、トローチ、水性若しくは油性懸濁液又は溶液、顆粒、粉末、乳液、カプセル、シロップ或いはエリキシル剤の形態であってよい。経口投与の組成物は、医薬品として口に合う調製物を提供するために、例えばフルクトース、アスパルテーム又はサッカリン等の甘味剤;ペパーミント、冬緑油又はチェリー等の香料添加剤;着色剤及び防腐剤の1つ以上の添加剤を含有してよい。粉末において、担体は、微細の固体であってよく、これは微細の化合物又は化合物の薬学的に許容される塩との混合物である。錠剤において、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩は、好適な割合で必要な圧縮特性を有する担体と混合され、所望の形状及び大きさに圧縮されている。粉末及び錠剤は、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を約99%以下含有してよい。
【0160】
カプセルは、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩と不活性充填剤及び/又は希釈剤、例えば薬学的に許容されるスターチ(例えば、トウモロコシ、シャガイモ又はタピオカスターチ)、糖、人工甘味剤、粉末セルロース(例えば、結晶性及び微結晶性セルロース)、小麦粉、ゼラチン、ゴム等の混合物を含有する場合がある。
【0161】
錠剤配合物は、通常の圧縮、湿式造粒又は乾式造粒法により作製してよく、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤等)、懸濁若しくは安定剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、スターチ、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリジン、アルギン酸、アラビアゴム、キサンタンゴム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸錯体、炭酸カルシウム、グリシン、スクロース、ソルビトール、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウムを含むがこれらに限定されない)、低融点ワックス及びイオン交換樹脂を使用してよい。好適な表面改質剤には、非イオン及び陰イオン表面改質剤が含まれる。表面改質剤の代表的な例には、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴル乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム及びトリエタノールアミンが含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
更に、錠剤又はピル形態の場合、組成物を被覆して、消化管での崩壊及び吸収を遅らせ、それによってより長時間にわたり持続作用を提供してもよい。浸透圧作用を促進する化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を囲む選択性透過性膜も又、経口投与組成物に好適である。これらの塩の基本骨格において、カプセルの周囲に存在する液体は促進化合物により吸収してよく、これは、肥大して孔より薬剤又は薬剤組成物を移動させる。これらの送達基本骨格は、即放性配合物のスパイク特性とは反対に、本来のゼロ次送達特性を提供することができる。モノステアリン酸グリセロール又はステアリン酸グリセロール等の時間遅延型材料も使用してよい。経口組成物には、標準的な賦形剤、例えばマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース及び炭酸マグネシウムが含まれてもよい。一実施形態において、賦形剤は、医学品グレードのものである。
【0163】
別の実施形態においては、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩を静脈内投与用に配合してよい。一般的に、静脈内投与の組成物は、無菌等張性緩衝水溶液を含む。必要な場合、組成物は又、可溶化剤を含んでもよい。静脈内投与の組成物は、場合により、注射部位において疼痛を緩和するためにリグノカイン等の局所麻酔剤を含んでよい。一般的にこれらの成分は、別々に、又は単位剤形、例えば、活性剤の量を示すアンプル又はサシェ等の密封容器中の凍結乾燥粉末又は水分非含有濃縮物として、一緒に混合した状態のどちらかで供給される。化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、輸液により投与される場合、例えば無菌の医薬品グレードの水又は生理食塩水を含有する輸液ボトルにて分注してよい。化合物又は化合物の薬学的に許容される塩が注射により投与される場合は、成分を投与前に混合できるように、注射用滅菌水のアンプル又は生理食塩水を準備してよい。
【0164】
別の実施形態においては、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩を経皮パッチの使用により経皮投与してもよい。経皮投与には、体表面並びに内皮及び粘膜組織等の体内経路の内膜層を通過する投与が含まれる。このような投与は、本発明の化合物又は化合物の薬学的に許容される塩をローション、クリーム、フォーム、パッチ、懸濁液、溶液及び座剤(例えば、直腸用及び膣用)の形態で使用して行ってよい。
【0165】
経皮投与は、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を含有する経皮パッチの使用により行ってよく、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩に不活性な担体は、皮膚に対して非毒性であり、皮膚から血流に薬剤を送達して、全身に吸収させる。担体は、クリーム若しくは軟膏、ペースト、ゲル又は閉塞デバイス等の何れの形態もとる場合がある。クリーム又は軟膏は、水中油型又は油中水型のどちらかの粘稠液又は半固体の乳液である場合がある。石油又は有効成分を含有する親水性の石油中に分散する吸収性粉末からなるペーストが好適な場合もある。化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を血流に放出するには、種々の閉塞デバイスが使用される場合があり、例えば、担体の有無にかかわらず、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を含有するリザーバーを被覆する半透過性膜、又は有効成分を含有するマトリックスがある。
【0166】
化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、通常の座剤の形態で直腸又は膣に投与される場合がある。座剤配合物は、座剤の融点を変化させるワックス及びグリセリンの追加の有無にかかわらず、例えばココアバター等の従来の材料から作製される場合がある。水溶性座剤基剤、例えば、種々の分子量のポリエチレングリコールも使用される場合がある。
【0167】
化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、制御放出性若しくは持続放出性手段又は当業者に既知である送達デバイスにより投与してよい。種々の割合の所望の放出特性を得るために、このような剤形は、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層被覆、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア又はその組み合わせを使用した1つ以上の有効成分の制御放出又は持続放出を提供するために使用してよい。本明細書に記載のものを含め、当業者に既知の好適な制御放出性又は持続放出性配合物は、本発明の有効成分と併用するために容易に選択することができる。従って、本発明は、経口投与に好適な単回の剤形を包含し、これには、例えば制御放出又は持続放出に適応した錠剤、カプセル、ジェルキャップ及びカプレットが含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
一実施形態において、制御放出性又は持続放出性組成物は、最短時間で細菌性感染又は疾患を処置又は予防するに、最少量の化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩を含む。制御放出性又は持続放出性組成物の利点には、薬剤の活性の延長、投与回数の削減、処置を受ける患者の順守の向上が含まれる。更に、制御放出性又は持続放出性組成物は、作用発現時間又はその他の特性、例えば、化合物又は化合物の薬学的に許容される塩の血中濃度に有利に影響する可能性があり、従って、副作用事象の発生を減少させる可能性がある。
【0169】
制御放出性又は持続放出性組成物は、最初に一定量の化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩を放出して、これが即座に所望の治療及び予防効果を示し、更に徐々に及び連続して更なる量の化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を放出して、長時間にわたり治療又は予防効果のあるこの濃度を維持する。体内で化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩の一定濃度を維持するために、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩を、体内から代謝又は排泄される化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩の量を補う速度で剤形から放出してもよい。有効成分の制御放出又は持続放出は、種々の条件によって刺激されてもよく、これらの条件には、pHの変化、温度変化、酵素の濃度若しくはアベイラビリティー、水の濃度若しくはアベイラビリティー又は他の生理学的状態若しくは化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
特定の実施形態において、本発明は、化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩のプロドラッグを対象とする。例えば以下で考察されている通り、種々の形態のプロドラッグが当該技術分野で既知である:Bundgaard (ed.), Design of Prodrugs, Elsevier 1985;Widder, et al. (ed.), Methods in Enzymology, vol. 4, Academic Press 1985;Kgrogsgaard−Larsen, et al. (ed.);“Design and Application of Prodrugs”, Textbook of Drug Design and Development, 1991, Chapter 5, 113−191;Bundgaard, et al., Journal of Drug Delivery Reviews, 1992, 8, 1−38;Bundgaard, et al., J. Pharmaceutical Sciences, 1988, 77, 285 et seq. ;and Higuchi and Stella (eds.), Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, American Chemical Society (1975)。
【0171】
化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩の量は、細菌性感染又は疾患の処置に有効な量である。更には、in vitro又はin vivoでの検定を場合により使用して、最適な用量範囲を特定するのに役立ってもよい。使用する正確な用量は又、投与経路、健康状態、処置する病態の重症度、並びに処置する個体に関連する種々の物理的因子によっても異なる可能性があり、医師の判断に従って決定してもよい。種々の期間にわたり等価用量が投与される場合があり、この期間には、例えば約2時間毎、約6時間毎、約8時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約36時間毎、約48時間毎、約72時間毎、約1週間毎、約2週間毎、約3週間毎、約1ヶ月間毎及び約2ヶ月間毎が含まれるが、これらに限定されない。全体の治療経過に対応して投与の回数及び頻度は、医師の判断に従って決定される。本明細書に記載の有効用量とは、投与される総量を指し、即ち、2つ以上の化合物又は化合物の薬学的に許容される塩を投与する場合、有効用量は投与される総量に対応する。
【0172】
細菌性感染又は疾患の処置に有効な化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩の量は、一般的に約0.001mg/kg〜約250mg/体重kg/日、一実施形態において約1mg/kg〜約250mg/体重kg/日、別の実施形態において約1mg/kg〜約50mg/体重kg/日、及び別の実施形態において約1mg/kg〜約20mg/体重kg/日となる。
【0173】
一実施形態において、薬学的組成物は、単位剤形、例えば錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、乳液、顆粒又は座剤である。このような形態において、組成物を、適当な量の有効成分を含有する単位用量に分量し、単位剤形を、包装した組成物、例えば包装粉末、バイアル、アンプル、プレフィルシリンジ又は液体含有サシェにしてよい。単位剤形を、例えばカプセル又はその錠剤にしてもよければ、適当な数のこのような包装形態の組成物にしてもよい。このような単位剤形は、約1mg/kg〜約250mg/kgを含有する場合があり、単回用量又は2回以上の分量にて投与される場合がある。
【0174】
化合物又は化学式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、ヒトに使用する前に、所望の治療又は予防活性に関してin vitro又はin vivoにて検定してよい。動物試験系を使用して安全性及び有効性を実証してもよい。
【0175】
治療目的の使用
一実施形態において、本発明は、細菌性感染又は疾患を処置する方法であって、有効量のセフェピム又はその薬学的に許容される塩、及び化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを、処置を必要とする患者に提供する手順を含む、方法を提供する。
【0176】
一実施形態において、本発明は、細菌性感染又は疾患を処置する方法であって、有効量のβ−ラクタム系抗生物質又はその薬学的に許容される塩、及び化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを、処置を必要とする患者に提供する手順を含む、方法を提供する。
【0177】
別の実施形態において、細菌性感染又は疾患を処置する方法は、セフェピム又はその薬学的に許容される塩、及び化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを共投与する手順を含む。例えば、化学式Iの化合物は、セフェピムと併せて、その前に、それと同時に、又はその後に提供してよい。
【0178】
別の実施形態において、細菌性感染又は疾患を処置する方法は、β−ラクタム系抗生物質又はその薬学的に許容される塩、及び化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルを共投与する手順を含む。例えば、化学式Iの化合物は、β−ラクタム系抗生物質と併せて、その前に、それと同時に、又はその後に提供してよい。
【0179】
一実施形態において、化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するセフェピム又はその薬学的に許容される塩の比率は、約1:1〜約100:1(w/w)である。
【0180】
一実施形態において、化学式Iの化合物或いはそれらの薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するβ−ラクタム系抗生物質又はその薬学的に許容される塩の比率は、約1:1〜約100:1(w/w)である。
【0181】
一実施形態において、化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するセフェピム又はその薬学的に許容される塩の比率(w/w)は、約1:1〜約80:1、1:1〜約70:1、1:1〜約60:1、約1:1〜約50:1、1:1〜約40:1、約1:1〜約30:1、約1:1〜約20:1、約1:1〜約15:1、1:1〜約14:1、1:1〜約13:1、約1:1〜約12:1、約1:1〜約11:1、約1:1〜約10:1、約1:1〜約9:1、約1:1〜約8:1、約1:1〜約7:1、約1:1〜約6:1、約1:1〜約5:1、約1:1〜約4:1、約1:1〜約3:1又は約1:1〜約2:1である。
【0182】
一実施形態において、化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するβ−ラクタム系抗生物質又はその薬学的に許容される塩の比率(w/w)は、約1:1〜約80:1、1:1〜約70:1、1:1〜約60:1、約1:1〜約50:1、1:1〜約40:1、約1:1〜約30:1、約1:1〜約20:1、約1:1〜約15:1、1:1〜約14:1、1:1〜約13:1、約1:1〜約12:1、約1:1〜約11:1、約1:1〜約10:1、約1:1〜約9:1、約1:1〜約8:1、約1:1〜約7:1、約1:1〜約6:1、約1:1〜約5:1、約1:1〜約4:1、約1:1〜約3:1又は約1:1〜約2:1である。
【0183】
一実施形態において、化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するセフェピム又はその薬学的に許容される塩の比率は、約10:1(w/w)未満である。
【0184】
一実施形態において、化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するβ−ラクタム系抗生物質又はその薬学的に許容される塩の比率は、約10:1(w/w)未満である。
【0185】
一実施形態において、本方法は、患者に経口投与する手順を含む。
【0186】
別の実施形態において、本方法は、患者に静脈内投与する手順を含む。
【0187】
一実施形態において、本発明の方法は、セフェピムに対して耐性を有する細菌性感染又は疾患の処置において有用である。
【0188】
一実施形態において、本発明の方法は、β−ラクタム系抗生物質に対して耐性を有する細菌性感染又は疾患の処置において有用である。
【0189】
一実施形態において、本発明の方法は、皮膚感染、皮膚組織感染、腹腔内感染、糖尿病性足病変感染、院内肺炎、院内肺炎又は発熱性好中球減少症から選択される細菌性感染又は疾患の処置において有用である。
【0190】
一実施形態において、本発明の方法は、腸内細菌、非腸内細菌グラム陰性桿菌、緑膿菌、ブドウ球菌又は連鎖球菌により生じる細菌性感染又は疾患の処置において有用である。
【実施例】
【0191】
(実施例1) 化学式Iの化合物のIC50の測定
ペネム系阻害剤のβ−ラクタマーゼ阻害活性を、Bush, et al., [Bush, K., Macalintal, C., Rasmussen, B.A., Lee, V. and Yang, Y. Antimicrobial Agents and Chemotherapy 1993, 37, 851]に記載の通り、分光光度計により測定した。均質に精製したクラスA型のβ−ラクタマーゼである、大腸菌由来のTEM−1型及びエンテロバクター・クロアカ由来のlmi−1型、クラスB型の酵素である、バクテロイデス・フラギリス由来のCcrA型、及びクラスC型の酵素である、エンテロバクター・クロアカ由来のAmpC型を、分析に使用した。TEM−1型、lmi−1型、CcrA型及びAmpC型の酵素濃度は、それぞれ4.3nM、7.1nM、1.2nM及び2.1nMであった。広範囲の阻害剤濃度を、推定IC50値を含むように50mM PO、pH7.0において調製した。酵素反応の開始に使用する基質は、阻害剤と同様の緩衝剤中のニトロセフィン50μg/mLであった。ニトロセフィン160μLを添加する前に、最初に酵素及び阻害剤(各20μL)を、25℃で、10分間プレインキュベートした。加水分解の初速度を、Molecular Devices社のSpectra Max250のSoftMax Programの反応速度プロトコルを使用して、495nmにて5分間監視した。Spectra Max250の読み取りをデータ転送し、Microsoft Excelに移した。各阻害剤濃度の阻害率は、対照酵素活性に基づき算出した。酵素活性が50%に減少する阻害剤濃度(IC50)を、グラフによって決定した。
【0192】
【化26】

(実施例2) 抗菌感受性試験
抗生物質のin vitro活性を、米国臨床検査標準化協議会(NCCLS)が推奨すれるマイクロブロス希釈法により測定した(NCCLS. 2000. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically;Approved Standards: M7−A5, vol. 19. National Committee for Clinical Laboratory Standards, Villanova, PA)。Mueller−Hinton II培養液(MHBII)(BBL[米国メリーランド州コッキーズビル])を試験法として使用した。β−ラクタマーゼ阻害剤の一定量(4μg/mL)と混合したセフェピム2倍系列希釈液50μL/ウェルを含有するマイクロタイタープレート(最終濃度)を、100μL中の適当な密度(10CFU/mL)になるように、接種材料50μLで接種した。プレートを大気中で35℃にて18〜22時間インキュベートした。全ての分離株の最少発育阻止濃度(MIC)は、肉眼により検出した場合の微生物の発育を完全に阻止する抗菌剤の最少濃度として定義した。前記手法により得られたMICデータを表2に記載する。
【0193】
【化27】

【0194】
【化28】

【0195】
【化29】

(実施例3) In Vivoの抗菌保護
材料:
動物:
CD−1種雌マウス、およそ18〜22gを、例えばCharles River Laboratoriesから入手し、使用7日前に隔離する。更に、特定の試験において、マウスにシトキサンを使用して好中球減少症にすることができる。
【0196】
感染:
マウスの感染に適応している臨床的分離株を実験に使用する。これには、大腸菌、肺炎桿菌、モルガン菌、エンテロバクター・クロアカ、霊菌、シトロバクター・フロインディ、ブドウ球菌、連鎖球菌、緑膿菌及び淋菌種の感染が含まれる。
【0197】
調製:NIHガイドラインに準拠し、試験動物を5匹毎にケージに収容し、食餌及び水を自由に摂取させる。
【0198】
実験プロトコル:
マウスに、培養液、生理食塩水又はブタの胃粘素に懸濁した所定の細菌接種材料を腹腔内0.5mL又は鼻腔内0.05mLを投与することによりチャレンジする(淋菌においては乾燥ウシヘモグロビンを補充)。細菌接種材料は、特異的に感染する種のLD50値10〜100に等しく、未処置の対照動物では7日間以内に死亡をもたらす。抗菌用量(抗生物質の2倍系列希釈により調製した投与濃度)を、0.2%寒天水溶液若しくはメトセル、リン酸緩衝生理食塩水又はアジュバントに溶解又は懸濁し、以下の様式により経口、皮下又は静脈内投与する:
a)経口又は皮下:0.5mL用量を感染0.5時間後に投与した。より病原性の強い微生物の感染処置では、2回目の投与が感染3時間後に行われる場合がある。
b)静脈内:0.2mL用量を感染0.5時間後に投与した。より病原性の強い微生物の感染処置では、より多い用量が48時間以内に投与される場合がある(静脈内投与は、24時間当たり3用量を超えない)。
c)経口前処置:特別な環境下では、胃内での抗生物質の安定性を向上させるために胃のpHを調整する必要がある。この目的のために、リン酸緩衝生理食塩水0.5mL(pH7.8、0.06M)(又は特定の認可されたアジュバント)を感染0.5時間後に経口投与し、その5分後にリン酸緩衝生理食塩水(pH7.8、0.06M)中に含有する抗生物質0.5mL(これも経口)を投与する。
【0199】
動物種
in vivoの有効性の測定に必要な動物数に関する詳細な説明は、以下の通りである:
A)化合物を3つの投与経路(経口、皮下及び静脈内)それぞれにおいて、投与濃度当たりマウス5匹を使用して5種類の投与濃度にて試験する。最初に、薬剤が経口にて吸収されているか及び/又は最も有効な経路はどれであるかを判定するために、3つの投与経路を検討した。これには一般的に、1経路当たりマウス25匹で、1化合物当たり3経路、即ち1試験化合物当たりマウス75匹が必要となる。1実験につき1〜2種の化合物を試験する(マウス75〜150匹)。
【0200】
B)化合物の有効性を標準物質、又は既知の有効性を有する抗生物質のものと比較する。既知又は以前に試験した抗生物質を単一投与経路による投与濃度当たりマウス5匹を使用して5種類の投与濃度、合計で1抗生物質当たりマウス25匹を試験した。一般的に、1実験につき3〜6種の抗生物質を試験する(マウス75〜150匹)。
【0201】
C)未処置対照動物:上記の各試験において、未処置動物を、1濃度当たりマウス10匹を使用して、3種類の濃度の細菌接種材料で感染させる(各試験において合計マウス30匹)。これらの未処置対照動物は、試験毎の比較及び妥当性のために必要とされる、LD50値10〜100の間の感染濃度の測定および維持のために使用する。
【0202】
(実施例4) In Vivoの抗菌保護
材料:
動物:
CD−1種雌マウス、およそ18〜22gを、Charles River Laboratoriesから入手し、使用7日前に隔離した。
【0203】
感染:
マウスの感染に適応している臨床的分離株を実験に使用した。これには、大腸菌およびエンテロバクター・クロアカの感染を含んだ。
【0204】
調製:NIHガイドラインに準拠し、試験動物を5匹毎にケージに収容し、食餌及び水を自由に摂取させた。
【0205】
実験プロトコル:
マウスに、5%ブタの胃粘素に懸濁した所定の細菌接種材料を腹腔内0.5mL注入することによりチャレンジした。細菌接種材料は、特異的に感染する種のLD50値10〜100に等しく、未処置の対照動物では7日間以内に死亡をもたらすように設計した。抗菌用量(抗生物質または抗生物質/化合物の組み合わせの2倍系列希釈により調製した投与濃度)を、0.2%寒天水溶液(皮下投与)若しくはリン酸緩衝生理食塩水(静脈内投与)に溶解又は懸濁し、以下の様式により静脈内又は皮下投与した:
a)皮下:0.5mL用量を感染0.5時間後に投与した。エンテロバクター・クロアカモデルでは、その生物の毒性増加に起因して、2回目の投与は感染2.5時間後に行った。
b)静脈内:0.2mL用量を感染0.5時間後に投与した。エンテロバクター・クロアカモデルでは、その生物の毒性増加に起因して、2回目の投与は感染2.5時間後に行った。
【0206】
動物種
in vivoの有効性の測定に必要な動物数に関する詳細な説明は、以下の通りである:
A)ラクタマーゼ阻害剤化合物/セフェピムの組み合わせの有効性を、セフェピム対照に対して評価した。このセフェピム対照は、単一の投与経路により、1用量レベル当たり5匹のマウスで、5つの用量レベル(大腸菌モデルでは、0.12mg/kg、0.06mg/kg、0.03mg/kg、0.015mg/kg及び0.008mg/kg、そしてエンテロバクター・クロアカモデルでは、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、0.25mg/kg、および0.12mg/kg)にて試験した。
【0207】
B)セファピム/ラクタマーゼの組み合わせうぃ、各々3つの投与経路(皮下および静脈内)にて、1用量レベル当たり5匹のマウスで、5つの異なる用量レベル(上述のセフェピム対照に基づいて、4:1セフェピム:阻害剤比率(w/w))で試験した。
【0208】
C)未処置対照:上記の各試験において、未処置動物を、1濃度当たりマウス10匹を使用して、3種類の濃度の細菌接種材料で感染させた(これは、この未処置の対照に、48時間以内に死亡をもたらすのに十分であった)。これらの未処置対照動物は、試験毎の比較及び妥当性のために必要とされる、LD50値10〜100の間の感染濃度の測定および維持のために使用した。
【0209】
抗菌剤の保護効果の測定:
抗菌剤の保護効果を、処置動物と比べた未処置感染動物の生存率により測定した。この測定では、試験動物を処置後7日間観察した。生存動物の調査を1日2回、並びに死亡動物及び瀕死状態の動物の除去時に行った。3つの異なる試験の7日間生存率を、プロビット(probit)分析用コンピュータプログラムによる中間有効量(ED50)の推定用に保存した(Cleeland, R. and E. Squires. 1991. Evaluation of New Antimicrobials in Vitro and in Experimental Animal Infections. In Antibiotics in Laboratory Medicine, 3rd. ed., edited by Victor Lorian. Williams and Wilkins Baltimore, Maryland. pp.752−783)。統計的に有効な動物数を得るため、そして1日毎及び試験毎の試験結果の変動を最小限にするために、試験は別々の日に3回行った。
【0210】
大腸菌及びエンテロバクター・クロアカに対するセファピム及び化合物1の組み合わせについての結果を、表3に示す。
【0211】
【化30】

(実施例5) (5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸の合成(化合物1)
エチル6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボキシレートの調製:
2−クロロシクロペンタノン(11.8g、100mmol)及びチオ尿素(8.0g、101mmol)の混合物をエタノール:THF(1:2)に16時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、分離した白色固体を濾過した(9.0g分離)。白色固体を無水エタノール(100mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(2.7g、51mmol)を添加した。15分後、ブロモピルビン酸エチル(10.0g)を溶液に添加し、室温にて2時間撹拌後、48時間還流した。得られた反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。残留物をクロロホルムで抽出し、水で十分洗浄し、濃縮した。生成物を、酢酸エチル:ヘキサン50%で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。赤色半固体;収率:3.0g;M+H237。
【0212】
エステルをLiAlHで環元し、得られたアルコールを活性MnOで酸化した。得られたアルデヒドを次の手順に使用した。
【0213】
4−ニトロベンジル(5R)−6−[(アセチルオキシ)(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イル)]−6−ブロモ−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシレートの調製:
2−ホルミル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール(600mg、3.1mmol)及び(5R、6S)−6−ブロモ−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸4−ニトロ−ベンジルエステル(1.2g、3mmol)を含む乾燥THF溶液(20mL)を、室温のアルゴン雰囲気下にてMgBr:O(Et)無水物(1.2g、3.0mmol)を含む乾燥アセトニトリル(15mL)溶液に連続して添加した。−20℃に冷却後、EtN(2.0mL)を一度に添加した。反応管をホイルで被覆し、遮光した。反応混合物を−20℃にて6時間撹拌し、無水酢酸(1.04mL)で一度に処理した。反応混合物を0℃まで加温し、0℃にて15時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム及びブラインで洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)し、セライトのパッドを介して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに使用後、カラムを酢酸エチル:ヘキサン(1:1)で溶出した。収集した分画を減圧濃縮し、ジアステレオマー混合物を次の手順に使用した。淡黄色の非晶性固体;収率:850mg、45%;M+H620。
【0214】
(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩の調製:
4−ニトロベンジル(5R)−6−[(アセチルオキシ)(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イル)]−6−ブロモ−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシレート(850mg、1.37mmol)をTHF(20mL)及びアセトニトリル(10mL)に溶解した。新たに活性化したZnダスト(5.2g)を0.5Mリン酸緩衝液(pH6.5、28mL)に迅速に添加した。反応管をホイルで被覆し、遮光した。反応混合物を室温にて2時間激しく撹拌した。反応混合物を濾過し、3℃に冷却し、0.1N NaOHを添加してpH8.5に調節した。濾液を酢酸エチルで洗浄し、水性層を分離した。水性層を35℃、高真空下にて濃縮し、黄色の析出物を得た。生成物をHP21樹脂逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。最初に、カラムを脱イオン水(2L)で溶出し、脱イオン水はアセトニトリル:水10%を含む。生成物含有分画を収集し、室温にて減圧濃縮した。得られた黄色固体をアセトンで洗浄し、濾過し、乾燥させた。収率:138mg、29%;黄色結晶;融点192℃;
【0215】
【化31】

或いは、4−ニトロベンジル(5R)−6−[(アセチルオキシ)(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダソ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イル)]−6−ブロモ−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシレートを、アセトニトリル及び0.5Mリン酸緩衝液(pH6.5、10mL)中で3時間、40psiにて水素化した。得られた反応混合物を濾過し、3℃に冷却し、0.1N NaOHを添加し、pH8.5に調節した。濾液を酢酸エチルで洗浄し、水性層を分離した。水性層を35℃、高高真空下にて濃縮し、黄色の析出物を得た。生成物をHP21樹脂逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。最初に、カラムを脱イオン水(2L)で溶出し、脱イオン水は、アセトニトリル:水10%を含む。生成物含有分画を収集し、室温、減圧濃縮した。黄色固体をアセトンで洗浄し、濾過し、乾燥させた。所望の材料(黄色固体)を24%の収率にて得た。融点189℃。
【0216】
【化32】

(実施例6) (5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸の合成(化合物2)
エチル5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−カルボキシレートの調製:
SOCl(7.4g、55mmol)を0℃にて、CCl(100mL)中テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(5.0g、50mmol)の混合物に緩徐に添加した。添加後、反応混合物を室温にて4時間撹拌し、氷冷水を使用して慎重に急冷した。反応混合物を十分に洗浄し、無水MgSO上にて乾燥させた。有機層を濾過し、濃縮した。得られた無色油をチオ尿素含有THF/EtOH(4.0g、52mmol)中に溶解し、8時間還流した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、分離した6,7−ジヒドロ−4H−ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−アミン塩酸塩の白色固体を濾過した。収率4.5g(47%);融点115℃、(M+H)157。
【0217】
6,7−ジヒドロ−4H−ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−アミン塩酸塩(4.0g、20.8mmol)を、無水エタノール(100mL)中に溶解し、ナトリウムメトキシド(1.1g、21mmol)を添加した。反応混合物を室温にて30分間撹拌後、エチルブロモプルベート(10.0g)を添加し、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を48時間還流し、続いて室温に冷却し、濃縮した。残留物をクロロホルムで抽出し、水で十分に洗浄した。生成物を、酢酸エチル:ヘキサン50%で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。赤色半固体;収率:3.1g、(59%)M+H253。
【0218】
エステルをLiBHで環元し、得られたアルコールを活性MnOで酸化した。得られたアルデヒドを次の手順に使用した。
【0219】
4−ニトロベンジル(5R)−6−[(アセチルオキシ)(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b][1,3]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イル)]−6−ブロモ−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシレートの調製:
2−ホルミル−5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール(208mg、1.0mmol)及び(5R、6S)−6−ブロモ−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸4−ニトロ−ベンジルエステル(400mg、1.1mmol)を含む乾燥THF溶液(20mL)を、室温のアルゴン雰囲気下にてMgBr:O(Et)無水物(1.2g、3.0mmol)を含む乾燥アセトニトリル(15mL)溶液に連続して添加した。−20℃に冷却後、EtN(2.0mL)を一度に添加した。反応管をホイルで被覆し、遮光した。反応混合物を−20℃にて6時間撹拌し、無水酢酸(1.04mL)で一度に処理した。反応混合物を0℃まで加温し、0℃にて15時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和重炭酸ナトリウム及びブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、セライトのパッドを介して濾過した。パッドを酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムに使用し、カラムを酢酸エチル:ヘキサン(1:1)で溶出した。収集した分画を減圧濃縮し、ジアステレオマー混合物を次の手順に使用した。淡黄色の非晶性固体;収率:400mg、62%;融点78℃;M+H636。
【0220】
(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩の調製:
4−ニトロベンジル(5R)−6−[(アセチルオキシ)(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b][1,3]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イル)]−6−ブロモ−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボキシレート(500mg、0.79mmol)を、THF(20mL)及びアセトニトリル(10mL)に溶解した。新たに活性化したZnダスト(5.2g)を0.5Mリン酸緩衝液(pH6.5、28mL)に迅速に添加した。反応管をホイルで被覆し、遮光した。反応混合物を室温にて2時間激しく撹拌した。反応混合物を濾過し、3℃に冷却し、0.1N NaOHを添加して、pH8.5に調節した。濾液を酢酸エチルで洗浄し、水性層を分離した。水性層を35℃、高高真空下にて濃縮し、黄色の析出物を得た。生成物をHP21樹脂逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。最初に、カラムを脱イオン水(2L)で溶出し、次いでアセトニトリル:水10%を含む。生成物含有分画を収集し、室温にて減圧濃縮した。黄色固体をアセトンで洗浄し、濾過し、乾燥させた。収率:85mg、30%;黄色結晶;融点205℃;
【0221】
【化33】

本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び適用範囲を逸脱することなくその他種々の変更及び修正を行うことができることが、当業者に明らかである。従って、本発明の範囲内に含まれるこのような変更及び修正全てが、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌性感染又は疾患を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、有効量のセフェピム又はその薬学的に許容される塩と、以下の化学式Iの化合物であって:
【化1】

式中、A及びBの一方が水素を示し、A及びBの他方が場合により置換される縮合三環式ヘテロアリール基を示し;
XがS又はOであり;
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、又はCHROCOC−Cアルキルであり;
が水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、場合により置換されるアリール、又は場合により置換されるヘテロアリールである、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルと
を提供する手順を含む、方法。
【請求項2】
前記三環式ヘテロアリール基が以下の化学式16−Aを有し:
【化2】

式中、YがO又はCHであり;nが0又は1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
YがOであり、nが1である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
YがCHであり、nが0である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記化学式Iの化合物が、(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩;又は(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
セフェピム又はその薬学的に許容される塩と、化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルとを共投与する手順を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するセフェピム又はその薬学的に許容される塩の比率が、約1:1〜約100:1(w/w)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対する前記セフェピム又はその薬学的に許容される塩の比率が約10:1(w/w)未満である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
患者に経口投与する手順を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
患者に静脈内投与する手順を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
薬学的に許容される担体、セフェピム又はその薬学的に許容される塩と、以下の化学式Iの化合物であって:
【化3】

式中、A及びBの一方が水素を示し、A及びBの他方が場合により置換される縮合三環式ヘテロアリール基を示し;
X、R及びRは請求項1において定義される通りである、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルと
を含む、組成物。
【請求項12】
前記三環式ヘテロアリール基が、請求項2において定義される以下の化学式16−Aである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
YがOであり、nが1である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
YがCHであり、nが0である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記化学式Iの化合物が、(5R),(6Z)−6−(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩;又は(5R),(6Z)−6−(5,8−ジヒドロ−6H−イミダゾ[2,1−b]ピラノ[4,3−d][1,3]チアゾール−2−イルメチレン)−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタ−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム塩である、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対するセフェピム又はその薬学的に許容される塩の比率が約1:1〜約100:1w/wである、請求項11〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
化学式Iの化合物或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルに対する該セフェピム又はその薬学的に許容される塩の比率が約10:1w/w未満である、請求項11〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
細菌性感染又は疾患の処置のために個別に、同時に又は逐次的に投与するための混合調製物として、セフェピム又はその薬学的に許容される塩と、化学式Iの化合物であって:
【化4】

式中、A及びBの一方が水素を示し、A及びBの他方が場合により置換される縮合三環式ヘテロアリール基を示し;
X、R及びRが、請求項1に定義された通りである、化合物;或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルと
を含む、生成物。
【請求項19】
細菌性感染又は疾患を処置するための医薬品の調製における、セフェピム又はその薬学的に許容される塩と、化学式Iの化合物であって:
【化5】

式中、A及びBの一方が水素を示し、A及びBの他方が場合により置換される縮合三環式ヘテロアリール基を示し;
X、R及びRが、請求項1に定義された通りである、化合物;或いはその薬学的に許容される塩又はin vivoで加水分解可能なエステルと
の使用。

【公表番号】特表2009−502932(P2009−502932A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524076(P2008−524076)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/028883
【国際公開番号】WO2007/027323
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】