説明

三角定規

【課題】 この発明は、折り畳み可能としてかつ段差が生じることのない三角定規を得ることを課題とするものである。
【解決手段】 この発明の三角定規は、二等辺三角形をなし、等長の斜辺を構成する二つの斜辺体1,2と底辺を構成する底辺体3とを連結して構成する。
前記二つの斜辺体1,2の対向面、各斜辺体と底辺体との対向面はいずれも各頂角を二等分する直線と一致させ、前記底辺体3は底辺の中点を通る垂線で2分割する。前記斜辺体同士の対向部にはそれぞれ一対のヒンジ装着座5,5aを凸設し、ヒンジ装着座に形成した係止部にヒンジ4を係止させて斜辺体同士を回動可能に連結する。前記各斜辺体と底辺体との対向面及び2分割された底辺体同士の対向面にはそれぞれヒンジ4を係止させて斜辺体と底辺体及び2分割された底辺体同士を回動可能に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折り畳み可能な三角定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三角定規は生徒の必携文房具であるが、筆入れに入りにくく、携帯に不便である。係る課題を解決するために折り畳み可能とした三角定規として、意匠登録第1220759号の発明が提案されている。
【特許文献1】意匠登録第1220759号公報
【0003】
上記意匠登録第1220759号の発明は、二つの斜辺を構成する左定規と右定規とをヒンジで連結し、左右の定規と底辺を構成する定規、及び2分割された底辺同士とを回転軸で連結した構成としたものである。
この発明においては、折り畳み可能で携帯に便利ではあるが、斜辺を構成する定規と底辺を構成する定規とを重ね合わせて回転軸で連結する構造であるから、斜辺と底辺との間に段差が生じるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、折り畳み可能としてかつ段差が生じることのない三角定規を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の三角定規は、二等辺三角形をなし、等長の斜辺を構成する二つの斜辺体と底辺を構成する底辺体とを連結して構成する。
前記二つの斜辺体の対向面、各斜辺体と底辺体との対向面はいずれも各頂角を二等分する直線と一致させ、前記底辺体は底辺の中点を通る垂線で2分割する。
前記斜辺体同士の対向部にはそれぞれ一対のヒンジ装着座を凸設し、このヒンジ装着座の対向面にはそれぞれヒンジとの係止部を形成し、この係止部にヒンジを係止させて斜辺体同士を回動可能に連結する。
前記各斜辺体と底辺体との対向面及び2分割された底辺体同士の対向面にはそれぞれヒンジ装着用の凹部を形成し、各凹部の対向面にはヒンジとの係止部を形成し、この係止部にヒンジを係止させて斜辺体と底辺体及び2分割された底辺体同士を回動可能に連結する。
【0006】
前記ヒンジとの係止部は、突起又は凹部とし、係止部を突起とした場合はヒンジにこの突起が嵌る凹部を設け、係止部を凹部としたときはヒンジにこの凹部に嵌る突起を設ける。
前記斜辺体及び底辺体はいずれも細長い帯状の板とすることが折り畳みの容易性からは好ましいが、各辺体の長さと幅の比率は折り畳み可能である限り制約はない。また、その材質は合成樹脂、木、竹、金属など適宜使用することができる。
【0007】
請求項2の発明は、斜辺体と底辺体との連結部裏面及び2分割された底辺体同士の連結部表面には、それぞれ回動を阻止するための係止片を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明において、各辺体の対向面同士をヒンジによって連結してあるので、辺体間に段差が生じることがない。そして、2分割された底辺体の連結部を上に持ち上げると各辺体が連結部のヒンジを中心に回動し、底辺体を斜辺体に重ね合わせて折り畳むことができる。このとき、斜辺体同士の連結部は凸設されたヒンジ座を有しているので、底辺体は2枚の斜辺体の間に無理なく収まる。
請求項2の発明によれば、回動を阻止する係止片を設けたので、各辺体が上記とは逆方向に回動することがなく、三角定規として使用する際の安定性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
直角二等辺三角形の直角を挟む等長の斜辺を構成する左斜辺体1と右斜辺体2と、底辺を構成する底辺体3とをヒンジ4a、4b、4c、4d(以下まとめて「ヒンジ4」と表現する場合がある。)で連結してこの発明の三角定規を構成している。
前記左右の斜辺体1,2及び底辺体3はいずれも帯状の合成樹脂板であって、その両端はいずれも斜切してある。すなわち、左斜辺体1と右斜辺体2の対向面、左右の斜辺体1,2と底辺体3との対向面はいずれも各頂角を二等分する直線と一致させてある。また、前記底辺体3は底辺の中点を通る垂線で2分割し、左底辺体3aと右底辺体3bをなしている。
【0010】
前記左右の斜辺体1,2の対向部表面側端縁にはそれぞれ一対のヒンジ装着座5、5aが凸設してある。このヒンジ装着座5、5aの高さは底辺体3の厚さと同程度としてあり、折り畳んだときに左右の斜辺体1,2の間に左右の底辺体3a,3bが収まるようにしてある。
前記ヒンジ装着座5,5aの対向面にはそれぞれヒンジとの係止部となる突起6が形成してあり、この突起6にヒンジ4aを係止させて左右の斜辺体1,2が回動可能に連結してある。
【0011】
前記左斜辺体1と左底辺体3aとの対向部端面、右斜辺体2と右底辺体3bとの対向部端面及び左右の底辺体3a、3bの対向部端面にはそれぞれヒンジ装着用の凹部として切欠部7が形成してある。各切欠部7の対向面にはヒンジ4との係止部となる突起8が形成してあり、この突起8にヒンジ4b、4c、4dを係止させて左右の斜辺体1,2と底辺体3及び2分割された底辺体3a、3bが回動可能に連結してある。
【0012】
前記ヒンジ4は、略円柱状で装着時に裏面側となる部分はやや扁平として各辺体の裏面から突出しない大きさとしてある。このヒンジ4の両端面にはそれぞれ2つの凹部9が左右に並べて形成してあり、左右2つの凹部9がそれぞれ異なる辺体の突起に係止することにより、二つの辺体が連結されている。
なお、ヒンジ4の両端部には環状の溝10が形成してあり、ヒンジ4の凹部9を辺体の突起6,8に係止する際に弾性変形が容易なようにしてある。
【0013】
前記左右の底辺体3a、3bの連結部表面において、底辺体3aから底辺体3bに向けて係止片11が突設してあり、底辺体3bには係止片11の対応位置に係止片11の厚さに対応する凹部が形成してある。また、前記左右の斜辺体1,2と左右の底辺体3a、3bの連結部裏面において、底辺体3a及び底辺体3bから左右の斜辺体1,2に向けて係止片12が突設してあり、左右の斜辺体1,2には係止片12の対応位置に係止片12の厚さに対応する凹部が形成してあり、係止片12が裏面に突出しないようにしてある。
【0014】
上記のように構成された三角定規は、左右の斜辺体1,2と左右の底辺体3a、3bがいずれも端面を突き合わせた状態でヒンジ4によって連結されている。したがって、三角定規としての使用状態において、裏面は面一の平面をなすので、裏面を全面に亘り紙面などに当接させることができ、安定良く使用することができる。
折り畳む際には、左右の底辺体3a、3bの連結部を斜め上方へ持ち上げる。そうすると、左右の底辺体3a、3bがヒンジ4dを中心に回動する。同時に左右の底辺体3a、3bはヒンジ4b、4cを中心に回動し、左右の斜辺体1,2はヒンジ4aを中心に回動する。したがって、左右の底辺体3a、3bはヒンジ4dを中心に折り畳まれ、左右の斜辺体1,2はヒンジ4aを中心に折り畳まれる。
その結果、左右の底辺体3a、3bの裏面同士が当接し、左底辺体3aと左斜辺体1及び右底辺体3bと右斜辺体2の表面同士が当接し、折り畳まれる。ここで、左右の斜辺体1,2はヒンジ装着座5,5aを備えており、これらヒンジ装着座の高さは底辺体の厚さと同等としてあるので、折り畳まれた底辺体3は無理なく左右の斜辺体1,2に挟まれる。
また、係止片11,12を設けてあるので、上記と逆方向への回動は阻止される。
【産業上の利用可能性】
【0015】
この発明は、三角定規を折り畳み可能とすることにより携帯性が向上し、かつヒンジ結合としたので構成辺体間に段差が生ずることがなく裏面が平面となり、使用しやすいものであるなど、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明実施形態の正面図
【図2】同じく背面図
【図3】同じく左右の斜辺体の結合部の分解斜視図
【図4】同じく左斜辺体と底辺体の結合部を示す分解斜視図
【図5】ヒンジを省略した正面図中央縦断面図
【図6】折り畳み途中を示す斜視図
【図7】ほぼ折り畳まれた状態の斜視図
【符号の説明】
【0017】
1 左斜辺体
2 右斜辺体
3 底辺体
3a 左底辺体
3b 右底辺体
4、4a、4b、4c、4d ヒンジ
5,5a ヒンジ装着座
6 突起
7 切欠部
8 突起
9 凹部
10 溝
11,12 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二等辺三角形をなし、等長の斜辺を構成する二つの斜辺体と底辺を構成する底辺体とを連結して構成された三角定規において、
前記二つの斜辺体の対向面、各斜辺体と底辺体との対向面はいずれも各頂角を二等分する直線と一致させてあり、前記底辺体は底辺の中点を通る垂線で2分割してあり、
前記斜辺体同士の対向部にはそれぞれ一対のヒンジ装着座が凸設され、このヒンジ装着座の対向面にはそれぞれヒンジとの係止部が形成され、この係止部に係止するヒンジによって斜辺体同士が回動可能に連結され、
前記各斜辺体と底辺体との対向面及び2分割された底辺体同士の対向面にはそれぞれヒンジ装着用の凹部が形成され、この凹部の対向面にはヒンジとの係止部が形成され、この係止部に係止するヒンジによって斜辺体と底辺体及び2分割された底辺体同士が回動可能に連結された、
三角定規
【請求項2】
斜辺体と底辺体との連結部裏面及び2分割された底辺体同士の連結部表面には、それぞれ回動を阻止するための係止片が設けられた、請求項1記載の三角定規

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−44986(P2007−44986A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231579(P2005−231579)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】