説明

三角測距方式の光電スイッチ

【課題】 受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に調整することができるとともにその値を容易に認識することができる三角測距方式の光電スイッチを提供することである。
【解決手段】 三角測距方式の光電スイッチ1aのケーシング10の前面部に投受光部20が設けられ、背面部13に表示部30および調整スイッチが設けられる。例えば、ベルトコンベア501により検出対象物500が矢印Xの方向に搬送され、ベルトコンベア501の上方にケーシング10の背面部13が上を向くように配置されている場合にも、光電スイッチ1aは、表示灯60がケーシング10の端面部11と背面部13との間の角部に設けられているので、表示灯60の視認性が良い設置ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場の生産ライン等で物体の有無を検出するために光電スイッチが用いられている。光電スイッチは、物体の検出領域に光を投射し、物体からの帰還光を受光することにより、物体の有無を判定するものである。
【0003】
このような光電スイッチの1つとして、三角測量の原理を応用した三角測距方式の光電スイッチが開発されている。三角測距方式の光電スイッチは距離設定型光電スイッチと呼ばれている。
【0004】
図16は従来の三角測距方式の光電スイッチの主要部の構成を示す模式図である。
【0005】
図16において、光電スイッチ800は、発光ダイオード801、投光レンズ802、受光レンズ803およびPSD(光位置検出素子)804を備える。発光ダイオード801から出射された光は、投光レンズ802を通して検出対象物900に照射される。検出対象物900からの反射光は、受光レンズ803を通してPSD804により受光される。それにより、PSD804の受光面上に光スポットが形成される。
【0006】
PSD804の受光面上での光スポットの位置は、光電スイッチ800と検出対象物900との間の距離により変化する。検出対象物900が光電スイッチ800に近づくと、光スポットはPSD804の受光面の一端部e1側に形成され、検出対象物900が光電スイッチ800から離れると、光スポットはPSD804の受光面上の他端部e2側に形成される。
【0007】
PSD804は、受光面上での光スポットの位置に応じた2つの受光信号N,Fを出力する。一方の受光信号NはPSD804の受光面の一端部e1から光スポットまでの距離に略比例したレベル(電流値)を有し、他方の受光信号Fは受光面の他端部e2から光スポットまでの距離に略比例したレベル(電流値)を有する。したがって、2つの受光信号N,Fを用いて光電スイッチ800から検出対象物900までの距離を検出することができる。
【0008】
発光ダイオード801からの投射光の光軸上において、検出対象物からの反射光がPSD804の受光面上に入射可能な範囲が検出領域となる。検出領域内に予め設定位置STが設定され、設定位置STに対して光電スイッチ800に近い側が検出可能範囲となり、設定位置STに対して光電スイッチ800から離れた側が非検出範囲となる。光電スイッチ800は、検出可能範囲からの反射光をPSD804が受光した場合に検出対象物900が存在すると判定する。
【0009】
図17はPSD804から出力される受光信号N,Fを用いた判定処理を説明するための図である。受光信号Nと受光信号Fとの差(N−F)が検出領域内での検出対象物900の位置に対応する。実際の処理では、受光信号の差(N−F)を全受光量に相当する(N+F)で除算することにより正規化を行い、位置信号{(N−F)/(N+F)}を得る。
【0010】
図17(a)に示すように、位置信号のレベルが予め設定されたしきい値THよりも高い場合に検出可能範囲内に検出対象物900が存在すると判定し、図17(b)に示すように、位置信号のレベルがしきい値THよりも低い場合に検出可能範囲内に検出対象物900が存在しないと判定する。このしきい値THを調整することにより検出領域内の設定位置STを移動させることができる。
【0011】
図18は従来の光電スイッチにおけるしきい値の設定方法を説明するための模式図である。光電スイッチ800には、しきい値調整用のトリマスイッチ810、検出結果を表示する検出表示灯811および検出の安定性を示す安定性表示灯812が設けられている。
【0012】
まず、図18(a)に示すように、検出対象物900を光電スイッチ800の前方の所定の位置に配置し、検出表示灯811が点灯するまでトリマスイッチ810を右に回す。
【0013】
次に、図18(b)に示すように、検出対象物900を取り除き、背景物体901に光が投射される状態で検出表示灯811が点灯するまでトリマスイッチ810をさらに右に回す。背景物体901がない場合には、トリマスイッチ810を最大位置に設定する。
【0014】
さらに、図18(c)に示すように、トリマスイッチ810を左に戻し、図18(a)の位置と図18(b)の位置との中間位置に設定する。それにより、検出対象物900の位置と背景物体901の位置との中間に設定位置STが設定される。
【0015】
この状態で、検出対象物900が存在する場合に検出表示灯811および安定性表示灯812が点灯し、検出対象物900が存在しない場合に検出表示灯811が消灯し、安定性表示灯812が点灯することを確認する。安定性表示灯812が点灯しない場合には、設定位置STと検出対象物900の位置との間または設定位置STと背景物体901との間の余裕度が小さいため、再調整を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のように、従来の光電スイッチ800においては、検出表示灯811および安定性表示灯812を見ながらトリマスイッチ810を回すことにより設定位置STを設定および調整するので、設定された設定位置STを正確に把握することができず、設定位置STを微調整することが困難である。また、検出対象物900と設定位置STとの間の余裕度および設定位置STと背景物体901との間の余裕度を把握することも困難である。
【0017】
本発明の目的は、受光信号の処理に関する値を容易にかつ正確に調整することができるとともにその値を容易に認識することができる光電スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)第1の発明第1の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を少なくとも内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、受光手段から出力される受光信号を処理する処理手段と、ケーシングの複数の外面のうちいずれかに設けられ、処理手段の処理に関する複数種類の値を切り換え表示可能な表示手段と、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面に設けられ、表示手段に表示された値を処理手段において調整するための調整手段と、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面と異なる第2の外面に設けられ、処理手段の処理に関する複数種類の値のうち表示手段に表示させる値の種類を選択するための選択手段とを備えたものである。
【0019】
本発明に係る光電スイッチにおいては、受光手段により検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号が出力され、処理手段により受光信号が処理される。また、処理手段の処理に関する複数種類の値が表示手段に切り換え表示される。
【0020】
ユーザは、選択手段を用いて処理手段に関する複数種類の値のうち表示手段に表示させる値の種類を選択することができるとともに、調整手段を用いて表示手段に表示された調整可能な値を処理手段において調整することができる。
【0021】
この場合、調整手段と選択手段とがケーシングの異なる外面に設けられているので、調整手段および選択手段の誤操作が防止される。また、表示手段に表示される値を見ながらその値を調整することができるので、受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。
【0022】
(2)第2の発明第2の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を少なくとも内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、受光手段から出力される受光信号を処理する処理手段と、ケーシングの複数の外面のうちいずれかに設けられ、処理手段の処理に関するとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を表示可能な表示手段と、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面に設けられ、表示手段に表示された調整可能な値を調整するための調整手段と、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面と異なる第2の外面に設けられ、調整手段により調整された値を処理手段の処理に関する値として決定するための決定手段とを備えたものである。
【0023】
本発明に係る光電スイッチにおいては、受光手段により検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号が出力され、処理手段により受光信号が処理される。また、処理手段の処理に関するとともに物体の有無を検出するために調整可能な値が表示手段に表示される。
【0024】
ユーザは、調整手段を用いて表示手段に表示された値を調整することができるとともに、決定手段を用いて調整手段により調整された値を処理手段の処理に関する値として決定することができる。
【0025】
この場合、調整手段と決定手段とがケーシングの異なる外面に設けられているので、調整手段および決定手段の誤操作が防止される。また、表示手段に表示される値を見ながらその値を調整することができるので、受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。
【0026】
(3)第3の発明第3の発明に係る光電スイッチは、第2の発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、処理手段の処理に関する複数種類の値を切り換え表示可能に構成されたものである。
【0027】
この場合、ユーザは、処理手段の処理に関する複数種類の値を表示手段により容易に認識することができる。
【0028】
(4)第4の発明第4の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を少なくとも内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、受光手段から出力される受光信号を処理する処理手段と、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面に設けられ、処理手段の処理に基づき生成されるとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を処理手段の処理に関する値として設定するための設定手段と、ケーシングの複数の外面のうちいずれかに設けられ、設定手段により設定された調整可能な値を表示可能な表示手段と、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面と異なる第1の外面に設けられ、表示手段に表示された調整可能な値を処理手段において調整する調整手段とを備えたものである。
【0029】
本発明に係る光電スイッチにおいては、受光手段により検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号が出力され、処理手段により受光信号が処理される。
【0030】
ユーザは、処理手段の処理に基づき生成されるとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を設定手段を用いて処理手段の処理に関する値として設定することができる。設定手段により設定された調整可能な値は表示手段に表示される。ユーザは、調整手段を用いて表示手段に表示された調整可能な値を調整することができる。
【0031】
この場合、調整手段と設定手段とがケーシングの異なる外面に設けられているので、調整手段および設定手段の誤操作が防止される。また、表示手段に表示される値を見ながらその値を調整することができるので、受光信号の処理に関する値を容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。
【0032】
(5)第5の発明第5の発明に係る光電スイッチは、第4の発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、処理手段の処理に関する複数種類の値を切り換え表示可能に構成されたものである。
【0033】
この場合、ユーザは、処理手段の処理に関する複数種類の値を表示手段により容易に認識することが可能となる。
【0034】
(6)第6の発明第6の発明に係る光電スイッチは、第1〜第5のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、ケーシングの第1の外面に設けられ、調整手段により調整される値を数字で表示するものである。
【0035】
この場合、表示手段がケーシングの調整手段と同じ外面に設けられているので、表示手段に数字で表示される値を見ながら調整手段によりその値をさらに容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値をさらに容易に認識することができる。
【0036】
(7)第7の発明第7の発明に係る光電スイッチは、第6の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングは処理手段を内蔵し、処理手段は、受光手段から出力される受光信号を処理することにより検出領域における物体の有無を検出する検出処理を行い、検出状態に関する情報を出力線を介して出力し、出力線は、ケーシングの第2の外面と異なる部分からケーシングの外部に延びるものである。
【0037】
この場合、処理手段において受光信号を処理することにより検出領域における物体の有無を検出する検出処理が行われ、検出状態に関する情報が出力線を介して出力される。特に、ケーシングの選択手段、決定手段または設定手段が設けられた第2の外面と異なる部分から出力線がケーシングの外部に延びているので、選択手段、決定手段または設定手段の大きさを確保することができるとともに、出力線が選択手段、決定手段または設定手段の操作を妨げることが防止される。
【0038】
(8)第8の発明第8の発明に係る光電スイッチは、第7の発明に係る光電スイッチの構成において、出力線は、ケーシングの第2の外面に対向する外面と第1の外面との間の角部からケーシングの外部に延びるものである。
【0039】
この場合、出力線が第1の外面の調整手段および第2の外面の選択手段、決定手段または設定手段の操作を妨げることが防止される。
【0040】
(9)第9の発明第9の発明に係る光電スイッチは、第7または第8の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングの第2の外面に設けられ、処理手段の検出状態に関する情報を表示する表示部をさらに備えたものである。
【0041】
この場合、表示部がケーシングの選択手段、決定手段または設定手段と同じ外面に設けられているので、表示部に表示される検出状態に関する情報を見ながら選択手段、決定手段または設定手段を操作することができる。
【0042】
(10)第10の発明第10の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を少なくとも内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、ケーシングの複数の外面のうちいずれかに設けられ、受光手段からの受光信号に基づき生成される複数種類の値を切り換え表示可能な表示手段と、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面に設けられ、表示手段に表示させる値の種類を選択するための選択手段と、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面と異なる第1の外面に設けられ、選択手段によって選択されることにより表示手段に表示された値を調整するための調整手段とを備えたものである。
【0043】
本発明に係る光電スイッチにおいては、受光手段により検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号が出力され、受光信号に基づき生成される複数種類の値が表示手段に切り換え表示される。
【0044】
ユーザは、選択手段を用いて表示手段に表示させる値の種類を選択することができるとともに、調整手段を用いて表示手段に表示された値を調整することができる。
【0045】
この場合、表示手段に表示される値を見ながらその値を調整することができるので、表示手段に表示される値を容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。
【0046】
(11)第11の発明第11の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を少なくとも内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、受光手段から出力される受光信号を処理する処理手段と、処理手段によって生成される値を記憶する記憶部と、ケーシングの複数の外面のうちいずれかに設けられ、処理手段の処理に関するとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を表示可能な表示手段と、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面に設けられ、表示手段に表示された調整可能な値を調整するための調整手段と、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面と異なる第2の外面に設けられ、調整手段によって調整された値を基準値として記憶部に記憶させるための決定を行う決定手段とを備えたものである。
【0047】
本発明に係る光電スイッチにおいては、受光手段により検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号が出力され、処理手段により受光信号が処理される。そして、処理手段によって生成される値が記憶部に記憶される。また、処理手段の処理に関するとともに物体の有無を検出するために調整可能な値が表示手段に表示される。
【0048】
ユーザは、調整手段を用いて表示手段に表示された調整可能な値を調整することができるとともに、決定手段を用いて調整手段によって調整された値を基準値として記憶部に記憶させることができる。
【0049】
この場合、調整手段と決定手段とがケーシングの異なる外面に設けられているので、調整手段および決定手段の誤操作が防止される。また、表示手段に表示された値を見ながらその値を調整することができるので、記憶部に記憶させる基準値を容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。
【0050】
(12)第12の発明第12の発明に係る光電スイッチは、第11の発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、受光手段からの受光信号に基づき生成される複数種類の値を切り換え表示可能に構成されたものである。
【0051】
この場合、ユーザは、受光手段からの受光信号に基づき生成される値を表示手段により容易に認識することが可能となる。
【0052】
(13)第13の発明第13の発明に係る光電スイッチは、第3または第12の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面に設けられ、表示手段に表示させる値の種類を選択するための選択手段をさらに備えたものである。
【0053】
この場合、ユーザは、選択手段を用いて表示手段に表示させる値の種類を選択することができる。特に、選択手段がケーシングの調整手段と異なる外面に設けられているので、選択手段および調整手段の誤操作が防止される。
【0054】
(14)第14の発明第14の発明に係る光電スイッチは、第13の発明に係る光電スイッチの構成において、決定手段および選択手段は共通の手段により構成されたものである。
【0055】
これにより、ケーシングの小型化を図りつつ決定手段および選択手段の大きさを確保することができ、操作性が向上する。
【0056】
(15)第15の発明第15の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を少なくとも内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、受光手段から出力される受光信号を処理する処理手段と、処理手段によって生成される値を記憶する記憶部と、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面に設けられ、処理手段の処理に基づき生成されるとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を基準値として記憶部に記憶させるための設定を行う設定手段と、ケーシングの複数の外面のうちいずれかに設けられ、設定手段により記憶部に記憶された調整可能な値を表示可能な表示手段と、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面と異なる第1の外面に設けられ、表示手段に表示された調整可能な値を調整するための調整手段とを備えたものである。
【0057】
本発明に係る光電スイッチにおいては、受光手段により検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号が出力され、処理手段により受光信号が処理される。そして、処理手段によって生成される値が記憶部に記憶される。
【0058】
ユーザは、処理手段の処理に基づき生成されるとともに物体の有無を検出するために調整可能な値を設定手段を用いて基準値として記憶部に記憶させることができる。記憶部に記憶された調整可能な値は表示手段に表示される。ユーザは、調整手段を用いて表示手段に表示された調整可能な値を調整することができる。
【0059】
この場合、調整手段と設定手段とがケーシングの異なる外面に設けられているので、調整手段および設定手段の誤操作が防止される。また、表示手段に表示された値を見ながらその値を調整することができるので、記憶部に記憶させる基準値を容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。
【0060】
(16)第16の発明第16の発明に係る光電スイッチは、第15の発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、受光手段からの受光信号に基づき生成される値を切り換え表示可能に構成されたものである。
【0061】
この場合、ユーザは、受光手段からの受光信号に基づき生成される値を表示手段により容易に認識することが可能となる。
【0062】
(17)第17の発明第17の発明に係る光電スイッチは、第5または第16の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングの複数の外面のうち第2の外面に設けられ、表示手段に表示させる値の種類を選択するための選択手段をさらに備えたものである。
【0063】
この場合、ユーザは、選択手段を用いて表示手段に表示させる値の種類を選択することができる。特に、選択手段がケーシングの調整手段と異なる外面に設けられているので、選択手段および調整手段の誤操作が防止される。
【0064】
(18)第18の発明第18の発明に係る光電スイッチは、第17の発明に係る光電スイッチの構成において、設定手段および選択手段は共通の手段により構成されたものである。
【0065】
これにより、ケーシングの小型化を図りつつ設定手段および選択手段の大きさを確保することができ、操作性が向上する。
【0066】
(19)第19の発明第19の発明に係る光電スイッチは、第10〜第18のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は第1の外面に設けらたものである。
【0067】
この場合、表示手段がケーシングの調整手段と同じ外面に設けられるので、表示手段に表示される値を見ながらその値を容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。
【0068】
(20)第20の発明第20の発明に係る光電スイッチは、第10〜第19のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングの複数の外面のうち第1および第2の外面と異なる第3の外面に設けられ、検出領域からの帰還光を受光して受光手段に供給する受光部をさらに備えたものである。
【0069】
この場合、調整手段、選択手段、決定手段または設定手段がケーシングの受光部と異なる外面に設けられるので、ケーシングの小型化を図りつつ調整手段、選択手段、決定手段または設定手段の大きさを確保することができ、操作性が向上する。
【0070】
(21)第21の発明第21の発明に係る光電スイッチは、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する光電スイッチであって、検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号を出力する受光手段を少なくとも内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、受光手段から出力される受光信号を処理する処理手段と、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面に設けられ、処理手段の処理に関する値を表示する表示手段と、ケーシングの第1の外面に設けられ、表示手段に表示される値を処理手段において調整するための調整手段と調整手段と、ケーシングとの間をシールするシール手段とを備えたものである。
【0071】
本発明に係る光電スイッチにおいては、受光手段により検出領域からの帰還光の受光状態に応じた受光信号が出力され、処理手段により受光信号が処理される。また、処理手段の処理に関する値が表示手段に表示される。ユーザは調整手段を用いて表示手段に表示される値を処理手段において調整することができる。
【0072】
表示手段および調整手段がケーシングの同じ外面に設けられているので、表示手段に表示される値を見ながら処理手段に処理に関する値を調整手段により容易かつ正確に調整することが可能になるとともに、その値を容易に認識することができる。また、調整手段とケーシングとの間がシール手段によりシールされているので、ケーシング内の気密性が確保される。
【0073】
(22)第22の発明第22の発明に係る光電スイッチは、第21の発明に係る光電スイッチの構成において、調整手段は押圧式スイッチからなるものである。
【0074】
それにより、ケーシングの小型化を図りつつ表示手段の表示面積を十分に確保することができ、かつ調整手段の操作性を向上させることができる。
【0075】
(23)第23の発明第23の発明に係る光電スイッチは、第22の発明に係る光電スイッチの構成において、ケーシングは、第1の外面にスイッチ取り付け用孔を有し、押圧式スイッチは押圧部材を有し、シール手段は、押圧部材の周囲に薄肉部を介して一体的に設けられた環状シール部材を含み、押圧部材がケーシングのスイッチ取り付け用孔に挿入されるとともに環状シール部材がケーシングの内面に密接されたものである。
【0076】
この場合、押圧部材の周囲の環状シール部材により押圧スイッチとケーシングとの間がシールされる。それにより、簡単なシール構造でかつケーシングの小型化を保ちつつ、表示手段の表示面積を十分に確保することができるとともに、調整手段の操作性の向上を図ることができ、かつケーシングの気密性を確保することができる。
【0077】
(24)第24の発明第24の発明に係る光電スイッチは、第21〜第23のいずれかの発明に係る光電スイッチの構成において、表示手段は、処理手段の処理に関する複数種類の値を切り換え表示可能に構成され、ケーシングの複数の外面のうち第1の外面と異なる第2の外面に設けられ、処理手段の処理に関する複数種類の値のうち表示手段に表示させる値の種類を選択するための選択手段をさらに備え、ケーシングは、光を発生する発光手段をさらに内蔵し、ケーシングの複数の外面のうち第1および第2の外面と異なる第3の外面に、発光手段により発生された光を検出領域に投射するとともに検出領域からの帰還光を受けて受光装置に導く投受光部が設けられたものである。この場合、発光手段により発生される光が投受光部を通して検出領域に投射されるとともに、検出領域からの帰還光が投受光部を通して受光手段に導かれる。ユーザは、選択手段を用いて処理手段の処理に関する複数種類の値のうち表示手段に表示させる値の種類を選択することができる。選択手段はケーシングの調整手段と異なる外面に設けられているので、選択手段および調整手段の誤操作が防止される。
【0078】
(25)第25の発明第25の発明に係る光電スイッチは、第24の発明に係る光電スイッチの構成において、選択手段は押圧式スイッチからなるものである。この場合、ケーシングの小型化を図りつつ、選択手段の操作性を向上することができる。
【発明の効果】
【0079】
以上説明したように、本発明によれば、受光信号の処理に関する値を容易にかつ正確に調整することができるとともにその値を容易に認識することができる
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施例における三角測距方式の光電スイッチを一方向から見た外観斜視図である。
【図2】図1の光電スイッチを他方向から見た外観斜視図である。
【図3】図1の光電スイッチの構成を示すブロック図である。
【図4】位置情報およびしきい値情報を説明するための模式図である。
【図5】図1の光電スイッチにおける表示部および表示灯を示す図である。
【図6】図1の光電スイッチにおける選択/決定/設定スイッチによる設定操作の具体例を示す模式図である。
【図7】図1の光電スイッチにおける選択/決定/設定スイッチによる設定操作の具体例を示す模式図である。
【図8】図1の光電スイッチにおける選択/決定/設定スイッチによる設定操作の具体例を示す模式図である。
【図9】図1の光電スイッチの側面部に平行な方向の断面図である。
【図10】図1の光電スイッチの端面部に平行な方向の断面図である。
【図11】図1の光電スイッチの一部の分解斜視図である。
【図12】選択/決定/設定スイッチの他の例を示す模式図である。
【図13】それぞれ独立に設けられた選択スイッチおよび決定スイッチを示す図である。
【図14】本発明の他の実施例における三角測距方式の光電スイッチの外観斜視図である。
【図15】図14の光電スイッチの使用例を示す斜視図である。
【図16】従来の三角測距方式の光電スイッチの主要部の構成を示す模式図である。
【図17】PSDから出力される受光信号を用いた判定処理を説明するための図である。
【図18】従来の光電スイッチにおけるしきい値の設定方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は本発明の一実施例における三角測距方式の光電スイッチを一方向から見た外観斜視図、図2は図1の光電スイッチを他方向から見た外観斜視図である。
【0082】
図1および図2の光電スイッチ1において、ケーシング10は、互いに対向する端面部11,12、互いに対向する背面部13および前面部14、ならびに互いに対向する側面部15,16を有する直方体形状に形成されている。例えば、ケーシング10の縦の長さLは30mmであり、横の長さDは20mmであり、幅Wは10.8mmである。
【0083】
図2に示すように、ケーシング10の前面部14には、検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受ける投受光部20が設けられている。図1に示すように、ケーシング10の背面部13には、表示部30および2つのプッシュ式の調整スイッチ50が設けられている。ケーシング10の一方の端面部11には、プッシュ式の選択/決定/設定スイッチ40および表示灯60が設けられている。ケーシング10の背面部13と他方の端面部12との間の角部には出力ケーブル70が接続されている。ケーシング10の側面部15,16は、光電スイッチ1を固定するために用いられる。
【0084】
図3は図1の光電スイッチの構成を示すブロック図である。図3に示すように光電スイッチ1は、投光レンズ21、LED(発光ダイオード)22、受光レンズ23、PSD(光位置検出素子)24、制御回路81、増幅器82,83、LED(発光ダイオード)駆動回路84、表示部30、選択/決定/設定スイッチ40、調整スイッチ50および表示灯60を備える。制御回路81はメモリ88を内蔵する。
【0085】
投光レンズ21および受光レンズ23が投受光部20を構成する。また、LED22、PSD24、制御回路81、増幅器82,83およびLED駆動回路84は図1のケーシング10に内蔵される。
【0086】
LED駆動回路84は、制御回路81の制御によりLED22を駆動する。それにより、LED22が光を出射する。LED22から出射された光は、投光レンズ21を通して検出領域における検出対象物500に投射される。検出対象物500からの反射光は、受光レンズ23を通してPSD24の受光面上に光スポットとして受光される。
【0087】
PSD24は、受光面上での光スポットの位置に応じた2つの受光信号N,Fを出力する。一方の受光信号NはPSD24の受光面の一端部e1から光スポットまでの距離に略比例したレベル(電流値)を有し、他方の受光信号Fは受光面の他端部e2から光スポットまでの距離に略比例したレベル(電流値)を有する。PSD24から出力される受光信号E,Fは、それぞれ増幅器82,83を介して制御回路81に与えれられる。
【0088】
制御回路81は、図17を用いて説明したように、受光信号N,Fおよび予め設定されたしきい値を用いた判定処理を行う。すなわち、制御回路81は、PSD24の受光面上での現在の光スポットの位置に応じた受光信号N,Fに基づいて位置信号{(N−F)/(N+F)}を算出し、その位置信号の値をしきい値と比較することにより検出領域における検出対象物500の有無を検出する。
【0089】
また、制御回路81は、検出結果および検出の安定性を表示灯60に表示させるとともに、検出結果を示す検出信号DTを出力ケーブル70を通して外部に出力する。ここで、検出領域の検出可能範囲内に検出対象物が存在すると判定した場合をオン状態と呼び、検出領域の検出可能範囲内に検出対象物が存在しないと判定した場合をオフ状態と呼ぶ。また、検出の安定性とは、検出領域の検出可能範囲内に検出対象物が存在する場合および存在しない場合において位置信号の値としきい値との差で表わし、その差が所定値以上のときに安定状態と呼び、その差が所定値よりも小さいときに不安定状態と呼ぶ。
【0090】
さらに、制御回路81は、検出対象物の位置を示す後述する位置情報(現在の位置信号の値を示す情報)しきい値を示すしきい値情報、検出対象物の検出結果を示す検出情報、位置信号の最大値を示す最大位置情報、位置信号の最小値を示す最小位置情報、エラー情報等の各種情報をメモリ88に記憶させる。
【0091】
また、制御回路81は、メモリ88に記憶された位置情報、しきい値情報、検出情報、安定性情報、最大位置情報、最小位置情報、エラー情報等の各種情報を表示部30に切り換え表示させる。
【0092】
選択/決定/設定スイッチ40は、表示部30に表示させる情報の種類を選択するための選択操作に用いられるとともに、位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値を制御回路81の処理に関する設定値(基準値)として設定するための設定操作に用いられ、さらに表示部30に表示されかつ後述する調整スイッチ50により調整された情報の値を制御回路81の処理に関する新たな設定値(基準値)として決定するための決定操作に用いられる。ここで、位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値とは、ある期間またはある状態での位置信号の値を用いて算出される値または位置信号自体の値であり、例えば、ある期間における位置信号の最大値と最小値との中間の値、2つの状態での位置信号の値の中間の値、ある状態での位置信号の値等である。
【0093】
制御回路81は、選択/決定/設定スイッチ40の選択操作に応答して表示部30に表示させる情報の種類を切り換え、選択/決定/設定スイッチ40の設定操作に応答して上記の位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値を設定値としてメモリ88に記憶させ、かつ選択/決定/設定スイッチ40の決定操作に応答して表示部30に表示された情報の値を新たな設定値としてメモリ88に記憶させる。
【0094】
調整スイッチ50は、制御回路81の処理に関する種々の値のうち表示部30に表示された情報の値を調整するために用いられる。
【0095】
本実施例では、LED22が発光手段に相当し、PSD24が受光手段に相当し、投光レンズ21が投光部に相当し、受光レンズ23が受光部に相当する。また、表示部30が表示手段に相当し、調整スイッチ50が調整手段に相当し、選択/決定/設定スイッチ40が選択手段、決定手段および設定手段に相当する。さらに、制御回路81が処理手段に相当し、メモリ88が記憶部に相当する。また、表示灯60が表示部に相当し、出力ケーブル70が出力線に相当する。
【0096】
図4は位置情報およびしきい値情報を説明するための模式図である。LED22からの投射光の光軸上において、検出対象物からの反射光がPSD24の受光面上に入射可能な範囲が検出領域D0となる。検出領域D0内に予め設定位置STが設定される。この設定位置STは、検出領域D0からの反射光に基づく検出結果がオン状態とオフ状態とに変化する位置を意味する。
【0097】
検出領域D0において光電スイッチ1に最も近い端部P1と設定位置STとの間が検出可能範囲D1となり、光電スイッチ1から最も離れた端部P2と設定位置STとの間が非検出範囲D2となる。図3の制御回路81は、検出可能範囲D1からの反射光をPSD24が受光した場合に、検出対象物が存在すると判定する。
【0098】
検出領域D0内の検出対象物の位置は、検出領域D0の端部P1を原点とする位置情報により表される。例えば、検出領域D0の端部P1の位置情報が0に設定され、端部P2の位置情報が999に設定される。また、設定位置STは、位置情報と同様に、検出領域D0の端部P1を原点とするしきい値情報により表される。設定位置STが検出領域D0の端部P1に設定された場合にはしきい値情報は0となり、設定位置STが検出領域D0の端部P2に設定された場合にはしきい値情報は999となる。このような位置情報およびしきい値情報により検出領域D0内での検出対象物の位置および設定位置STならびに検出対象物の位置と設定位置STとの相対的な関係を容易に把握することができる。
【0099】
図5は図1の光電スイッチ1における表示部30および表示灯60を示す図である。
【0100】
図5(a)に示すように、表示部30には、位置情報、しきい値情報等の各種の情報が数字、文字等のキャラクタで表示される。また、図5(b)に示すように、表示灯60には、検出結果を表示する検出表示用LED(発光ダイオード)62aおよび検出の安定性を表示する安定性表示用LED(発光ダイオード)62bが内蔵される。
【0101】
検出結果がオン状態のときには検出表示用LED62aが点灯し、検出結果がオフ状態のときには検出表示用LED62aが消灯する。また、検出の安定性が安定状態の場合には安定性表示用LED62bが点灯し、検出の安定性が不安定状態の場合には安定性表示用LED62bが消灯する。
【0102】
本実施例の光電スイッチ1においては、上記のように、図1の選択/決定/設定スイッチ40の選択操作により表示部30に表示させる情報の種類を切り換えることができる。例えば、選択/決定/設定スイッチ40を押して離すごとに、表示部30の表示内容が位置情報、しきい値情報、検出情報、安定性情報、最大位置情報、最小位置情報、エラー情報等の順に切り換えられる。
【0103】
また、選択/決定/設定スイッチ40の設定操作により上記の位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値を設定値として設定することができる。この場合、設定値は表示部30に表示されるとともに、設定操作の所定時間後にメモリ88に記憶される。
【0104】
図6、図7および図8は選択/決定/設定スイッチ40の設定操作の具体例を示す図である。図6(c)、図7(c)および図8(b)では、選択/決定/設定スイッチ40を押している状態をハイレベルで示し、選択/決定/設定スイッチ40を押していない状態をローレベルで示している。
【0105】
第1の方法として、図6(a)に示すように、移動する検出対象物500に基づいてしきい値の設定を行う場合には、図6(c)に示すように、選択/決定/設定スイッチ40を所定時間(図6の例では3秒間)以上押し続けた後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離す。これにより、図6(b)に示すように、選択/決定/設定スイッチ40を押している期間において受光信号N,Fを用いて算出された位置信号{(N−F)/(N+F)}の最大値と最小値との中間の値がしきい値thとして自動的に設定される。このようにして設定されたしきい値thが表示部30に表示される。
【0106】
第2の方法として、静止した検出対象物500に基づいてしきい値の設定を行う場合には、図7(a),(c)に示すように、まず背景物体501の前に検出対象物500がない状態で選択/決定/設定スイッチ40を短く押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離し、次に背景物体501の前に検出対象物500を置いた状態で選択/決定/設定スイッチ40を再度短く押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離す。これにより、図7(b)に示すように、上記の2つの状態での受光信号N,Fを用いて算出される位置信号{(N−F)/(N+F)}の値の中間の値がしきい値thとして自動的に設定される。このようにして設定されたしきい値thが表示部30に表示される。
【0107】
第3の方法として、所定の位置に存在する検出対象物500に基づいてしきい値の設定を行う場合には、図8(a)に示すように、まず背景物体501の前に検出対象物500がない状態で選択/決定/設定スイッチ40を短く押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離し、次に検出対象物500を所定の位置に置いた状態で選択/決定/設定スイッチ40を所定時間(図8の例では3秒間)以上押した後、選択/決定/設定スイッチ40から手を離す。これにより、検出対象物500を所定の位置に置いた状態での受光信号N,Fを用いて算出された位置信号{(N−F)/(N+F)}の値がしきい値thとして自動的に設定される。このようにして設定されたしきい値thが表示部30に表示される。
【0108】
また、図1の調整スイッチ50の操作により表示部30に表示された情報の値を調整することができる。例えば、表示部30にしきい値情報が表示されている場合には、一方の調整スイッチ50を押すと、しきい値情報の値が増加し、他方の調整スイッチ50を押すと、しきい値情報の値が減少する。
【0109】
さらに、調整スイッチ50の操作により表示部30に表示させる情報を位置情報としきい値情報とで切り換えることができる。例えば、表示部30に位置情報の値が表示されている状態において、調整スイッチ50のいずれかを短く押すと、それまでに設定されているしきい値情報の値が表示部30に表示され、続けて調整スイッチ50のいずれかを短く押すと、表示部30に表示されるしきい値情報の値が1ずつ変化する。これに伴って、メモリ88に記憶されるしきい値も自動的に更新される。また、しきい値の調整後、所定時間調整スイッチ50の操作を行わなければ表示部30の表示が自動的に位置情報に切り換わる。
【0110】
また、図1の選択/決定/設定スイッチ40の決定操作により表示部30に表示された情報の値を新たな設定値として決定することができる。例えば、表示部30にしきい値情報の値が表示されている場合に、選択/決定/設定スイッチ40を所定時間以上押し続けると、表示部30に表示されたしきい値情報の値が新たなしきい値としてメモリ88に記憶される。
【0111】
図9は図1の光電スイッチ1の側面部15,16に平行な方向の断面図、図10は図1の光電スイッチ1の端面部11,12に平行な方向の断面図である。また、図11は図1の光電スイッチ1の一部の分解斜視図である。
【0112】
図9に示すように、ケーシング10の前面部14および端面部12の一部を構成する素子ホルダ27に2つの孔部28A,28Bが形成されている。素子ホルダ27の孔部28A,28Bの外側開口端に、投光レンズ21および受光レンズ23がそれぞれ嵌め込まれ、レンズカバー25で押え込まれている。素子ホルダ27の内側開口端には、LED22およびPSD24がそれぞれ取り付けられている。LED22およびPSD24は、素子押さえ29A,29Bにより素子ホルダ27に固定されている。
【0113】
一方、ケーシング10の背面部13の中央部には、透明な窓部35が一体的に形成されている。背面部13の窓部35の両側にスイッチ取り付け用孔18がそれぞれ形成されている。図11に示すように、スイッチ取り付け用孔18に円柱状の押圧部材51がそれぞれ挿入される。押圧部材51の外周部の下端には、薄肉部を介してOリング51aが設けられている。また、押圧部材51の下面には棒状の押圧部51bが設けられている。押圧部材51、Oリング51aおよび押圧部51bは樹脂により一体的に形成される。
【0114】
窓部35の内側には拡散シート34が配置されている。さらに、拡散シート34の内側には7セグメントユニット33が配置されている。7セグメントユニット33には、3組のキャラクタを構成するセグメントに対応する複数のスリット33bが形成されている。この7セグメントユニット33の複数のスリット33bの両側には、それぞれ貫通孔33aが形成されている。
【0115】
さらに、ケーシング10内の7セグメントユニット33の内側には、7セグメントカバー32を介して回路基板100が配置されている。7セグメントカバー32には、3組のキャラクタを構成するセグメントに対応する複数のスリット32bが形成されている。
【0116】
回路基板100上には、キャラクタの発光パターンを生成するための複数のLED(発光ダイオード)31が取り付けられている。また、回路基板100上の複数のLED31の両側には、スイッチボタン52がそれぞれ取り付けられている。
【0117】
また、7セグメントカバー32の両側部には、下方に突出するように係止部32aが設けられている。一方、回路基板100の両側部には、7セグメントカバー32の係止部32aに対応する位置に切欠き部100aが設けられている。7セグメントカバー32の係止部32aを回路基板100の切欠き部100aに嵌合させることにより、回路基板100上の複数のLED31が7セグメントカバー32のスリット32bに位置決めされるとともに、7セグメントカバー32が回路基板100に固定される。
【0118】
プッシュ式の調整スイッチ50は、Oリング51aおよび押圧部51bを有する押圧部材51とスイッチボタン52とから構成される。押圧部材51がケーシング10の内側からスイッチ取り付け用孔18に挿入されるとともに押圧部51bが貫通孔33aに挿入された状態で7セグメントユニット33がケーシング10の背面部13の内側に拡散シート34を介して取り付けられる。この場合、図7に示すように、7セグメントユニット33は、ケーシング10の側面部15,16の内側に設けられたリブ17により固定される。それにより、7セグメントユニット33により押圧部材51のOリング51aがケーシング10の背面部13の内面に押圧され、Oリング51aとケーシング10とが密接する。
【0119】
また、7セグメントカバー32が7セグメントユニット33に当接しかつ押圧部材51の押圧部51bがスイッチボタン52に当接するように回路基板100がケーシング10内に固定される。それにより、7セグメントカバー32のスリット32bが7セグメントユニット33のスリット33bに位置決めされるとともに、回路基板100上の複数のLED31が7セグメントユニット33の複数のスリット33bに位置決めされる。
【0120】
複数のLED31、7セグメントカバー32、7セグメントユニット33、拡散シート34および窓部35が表示部30を構成する。
【0121】
図9に示すように、ケーシング10の端面部11には、スイッチ取り付け用孔19が形成されている。また、端面部11には、透明な表示灯カバー61が設けられている。スイッチ取り付け用孔19に円柱状の押圧部材41が挿入される。押圧部材41は、押圧部材51と同様に、Oリング41aおよび押圧部41bを有する。ケーシング10の端面部11の内側には、貫通孔を有するベース部材43が配置されている。ベース部材43の内側には回路基板103が配置されている。
【0122】
回路基板103上には、スイッチボタン42が取り付けられるとともに、検出表示用LED62aおよび安定性表示用LED62b(図5参照)が取り付けられている。
【0123】
プッシュ式の選択/決定/設定スイッチ40は、Oリング41aおよび押圧部41bを有する押圧部材41とスイッチボタン42とから構成される。また、表示灯60は、表示灯カバー61、検出表示用LED62aおよび安定性表示用LED62bにより構成される。
【0124】
ベース部材43により押圧部材41のOリング41aがケーシング10の端面部11の内面に押圧される。押圧部材41がケーシング10の内側からスイッチ取り付け用孔19に挿入されるとともに押圧部41bがベース部材43の貫通孔を通してスイッチボタン42に当接し、かつ検出表示用LED62aおよび安定性表示用LED62bが表示灯カバー61の内側に位置するように、回路基板103がケーシング10内に固定される。
【0125】
回路基板100の背面には、図3の制御回路81および増幅器82,83を構成する集積回路(IC)81aが取り付けられている。図10に示すように、回路基板100の背面側には、回路基板100と垂直に回路基板101および回路基板102が取り付けられている。回路基板101には、主として電源回路が設けられている。また、回路基板102には、主として図3のLED駆動回路84が設けられている。
【0126】
本実施例の光電スイッチ1においては、選択/決定/設定スイッチ40がケーシング10の端面部11に設けられ、調整スイッチ50がケーシング10の背面部13に設けられているので、選択/決定/設定スイッチ40および調整スイッチ50の誤操作を防止することができる。また、表示部30および調整スイッチ50がケーシング10の背面部13に設けられているので、表示部30の表示を見ながら調整スイッチ50を操作することによりしきい値情報等の各種情報の値を容易かつ正確に調整することができる。
【0127】
また、調整スイッチ50がプッシュ式スイッチからなり、かつ押圧部材51にOリング51aが一体的に設けられているので、ケーシング10の小型化を図りつつ表示部30の表示面積を十分に確保することができ、かつケーシング10内の気密性を確保することができる。また、調整スイッチ50の押圧部材51を十分な大きさにすることができるので、調整の操作性を向上させることができる。さらに、選択/決定/設定スイッチ40がプッシュ式スイッチからなり、かつ押圧部材41にOリング41aが一体的に設けられているので、ケーシング10の小型化を図りつつ、表示灯60の大きさを十分に確保することができ、かつケーシング10内の気密性を確保することができる。また、選択/決定/設定スイッチ40の押圧部材41を十分な大きさにすることができるので、選択、決定および設定の操作性を向上させることができる。
【0128】
さらに、出力ケーブル70を端面部11に対向する端面部12と背面部13との間の角部に設けることにより、ケーシング10の小型化を保ちつつ、端面部11に十分な大きさの選択/決定/設定スイッチ40および表示灯60を設けることができるとともに、背面部13に十分な大きさの表示部30および調整スイッチ50を設けることができる。また、出力ケーブル70が前面部14の投受光部20を妨げることも防止される。なお、出力ケーブル70を端面部12に取り付けてもよい。
【0129】
図12は選択/決定/設定スイッチの他の例を示す模式図である。図12の例では、図1のケーシング10の端面部11に複数の選択/決定/設定スイッチ40a,40b,40c,40d,40eが設けられる。例えば、選択/決定/設定スイッチ40aを押すと、図1の表示部30に位置情報が表示される。選択/決定/設定スイッチ40bを押すと、表示部30にしきい値情報が表示される。選択/決定/設定スイッチ40cを押すと、表示部30に検出情報が表示される。選択/決定/設定スイッチ40dを押すと、表示部30に安定性情報が表示される。選択/決定/設定スイッチ40eを押すと、表示部30にエラー情報が表示される。
【0130】
また、選択/決定/設定スイッチ40a〜40eのうち所定の2つを同時に押すと、上記の位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値が設定値として設定され、メモリ88に記憶される。さらに、選択/決定/設定スイッチ40a〜40eのうち他の所定の2つを同時に押すと、表示部30に表示された情報の値が新たな設定値として決定され、メモリ88に記憶される。
【0131】
図13はそれぞれ独立に設けられた選択スイッチおよび決定/設定スイッチの模式図である。図13の例では、図1のケーシング10の端面部11に選択スイッチ40Aおよび決定/設定スイッチ40Bが別々に設けられる。選択スイッチ40Aを押して離すことにより、表示部30に表示させる情報の種類を切り換えることができる。また、決定/設定スイッチ40Bを押して離すことにより、上記の位置信号に基づいて生成されかつ調整可能な値を設定値として設定し、メモリ88に記憶させることができ、または表示部30に表示された情報の値を新たな設定値として決定し、メモリ88に記憶させることができる。
【0132】
さらに、決定スイッチと設定スイッチとをケーシング10の端面部11に別々に設けてもよい。
【0133】
なお、上記実施例の光電スイッチ1においては、表示部30に表示された情報の値を調整スイッチ50を用いて調整した後、選択/決定/設定スイッチ40を用いて決定操作を行うことにより表示部30に表示された情報の値が新たな設定値としてメモリ88に記憶されるが、表示部30に表示された値を調整スイッチ50を用いて調整した場合、調整後の値がメモリ88に自動的に記憶されるように構成してもよい。
【0134】
図14は本発明の他の実施例における三角測距方式の光電スイッチの外観斜視図である。
【0135】
図14の光電スイッチ1aが図1の光電スイッチ1と異なるのは、表示灯60がケーシング10の端面部11と背面部13との間の角部に設けられている点である。図14の光電スイッチ1aの他の部分の構成は、図1の光電スイッチ1の構成と同様である。
【0136】
図15は図14の光電スイッチ1aの使用例を示す斜視図である。図15に示すように、ベルトコンベア501により検出対象物500が矢印Xの方向に搬送され、ベルトコンベア501の上方に光電スイッチ1aが設置されている。この場合、光電スイッチ1aは、ケーシング10の背面部13が上を向くように配置される。
【0137】
本実施例の光電スイッチ1aにおいては、表示灯60がケーシング10の端面部11と背面部13との間の角部に設けられているので、矢印で示すように、表示灯60を光電スイッチ1aの上方、前方、両側方および斜め下方から見ることができる。このように、本実施例の光電スイッチ1aにおいては、表示灯60の視認性が向上している。
【0138】
なお、上記実施例では、本発明に係る光電スイッチを三角測距方式の光電スイッチに適用した場合を説明したが、本発明は、三角測距方式の光電スイッチに限らず、検出対象物からの反射光または透過光の受光量に基づいて検出対象物の有無を検出するとともに、受光量と調整可能なしきい値とを表示部に表示する光電スイッチ、ならびに検出対象物からの反射光または透過光の受光量に基づいて算出されるしきい値とこのしきい値に対する余裕度とを表示部に表示する光電スイッチにも同様に適用することができる。なお、余裕度とは、しきい値と検出時または非検出時の受光量と差に相当する。
【符号の説明】
【0139】
1,1a 光電スイッチ
10 ケーシング
11,12 端面部
13 背面部
14 前面部
15,16 側面部
18,19 スイッチ取り付け用孔
20 投受光部
21 投光レンズ
22 LED
23 受光レンズ
24 PSD
30 表示部
31 LED
32 7セグメントカバー
33 7セグメントユニット
35 窓部
40,40a,40b,40c,40d,40e 選択/決定/設定スイッチ
40A 選択スイッチ
40B 決定/設定スイッチ
41,51 押圧部材
41a,51a Oリング
50 調整スイッチ
60 表示灯
62a 検出表示用LED
62b 安定性表示用LED
70 出力ケーブル
500 検出対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域に光を投射するとともに検出領域からの帰還光を受光することにより検出領域における物体の有無を検出する三角測距方式の光電スイッチであって、
光を発生する発光手段と、該光の検出領域における反射光を受光する受光手段と、前記受光手段からの受光信号により位置情報を算出し該位置情報としきい値情報とにより検出領域における物体の有無を検出処理する処理手段と、を内蔵するとともに、複数の外面を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記複数の外面のうち第1の外面に設けられ、前記位置情報と前記しきい値情報とを切り換えて表示可能な表示手段と、
前記ケーシングの前記複数の外面のうち前記第1の外面と隣接する第2の外面と前記第1の外面との間の角部に設けられ、前記処理手段の検出状態に関する情報を表示する表示灯と、
前記第1の外面であって前記表示等に対し前記表示手段よりも遠方に設けられ、前記しきい値情報を調整するための調整手段と、
前記ケーシングの前記複数の外面のうち前記第2の外面と対向する第3の外面又は該第3の外面と前記第1の外面との間の角部を介し前記処理手段による検出処理の結果を出力するための出力線と、
前記ケーシングの前記複数の外面のうち前記第1および第2の外面と異なり、前記第1の外面と対向する第4の外面に、前記第3の外面側に設けられた前記発光手段により発生された光を前記検出領域に投射するとともに前記検出領域からの帰還光を受けて前記第2の外面側に前記受光手段に導く投受光部と、
を備えることを特徴とする光電スイッチ。
【請求項2】
前記表示灯は、前記検出処理の結果を表示する検出表示用LED及び検出の安定性を表示する安定性表示用LEDを内蔵することを特徴とする請求項1に記載の光電スイッチ。
【請求項3】
前記しきい値を自動的に設定するための設定スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−119335(P2012−119335A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−26461(P2012−26461)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【分割の表示】特願2010−59433(P2010−59433)の分割
【原出願日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】