説明

上下2段充填装置

【課題】高能力をコンパクトに実現した上下2段充填装置を提供する。
【解決手段】回転体26と、回転体26の外周部に所定間隔で設けられ、回転体26の回転の間に所定の充填区間で容器Pに液体を充填する複数の充填バルブ22a,22bと、回転体26に充填バルブ22a,22bのそれぞれに対応して設けられた容器Pを保持する複数の容器保持手段21a,21bと、容器保持手段21a,21bに空容器Pを供給する容器供給手段と、容器保持手段21a,21bから充填バルブ22a,22bにより充填された充填済容器Pを排出する容器排出手段とを上下2段に設けた回転式の上下2段充填装置において、前記上段の充填バルブ22a群と前記下段の充填バルブ22b群の配置を平面上で位置をずらした構成としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、びん、缶等の容器に飲料等の液体を充填する回転式充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
びん、缶等の容器に飲料等の液体を充填する回転式充填装置において、充填能力を高める場合には、一般的に、充填装置の回転体に円周等分に設けられる充填バルブおよびそれに対応して設けられる容器保持手段の個数を増やすこと、即ち、前記回転体の直径を大きくすることで対応すること、更には、上流から供給されてくる空容器を2列に振分けた後並列に並べた2台の充填装置で充填することが多い。また、前記回転体の回転中に容器へ充填する時間を極力長くする技術や、前記容器保持手段に空容器を供給する場合に2列の空容器供給装置で供給して1台の充填装置で充填する技術が開示されている。(特許文献1および2)
【0003】
また、回転式充填装置に円周等分で設けられる充填要素(充填バルブ)および容器支持体(容器保持手段)を上下2段に設けて、充填能力を高める工夫もなされている。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−335689号公報(図1)
【特許文献2】特開平7−41088号公報(図1)
【特許文献3】特表2009−543739号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1によれば、回転体に円周等分に設けた充填バルブの開閉に電磁弁を用い、充填開始のタイミングを電気的に制御するようにした回転式充填装置において、回転体の絶対回転位置を検出する回転位置検出手段と、回転体の回転速度を検出する速度検出手段を設けて、回転体の回転速度が速くなった場合には、充填バルブに開指令を出力する回転位置を回転方向上流側に変更するとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、充填装置の充填区間となる回転位置を上流側に延長して、充填に有効な時間を確保することによって充填能力を向上させることができるが、能力向上の効果には限界があるという恐れがある。
【0006】
また、前記特許文献2によれば、容器に液体を充填するロータリー式(回転式)フィラーに空容器を供給するに当って、2列の空容器供給コンベヤで供給するとしている。
しかしながら、前記特許文献2の技術では、空容器供給コンベヤを2列にし、フィラーの充填バルブの個数を増やして充填能力を向上させることができるが、フィラーが大きくなってフィラーの設置面積が大幅に増加してしまうという恐れがある。
【0007】
さらに、前記特許文献3によれば、上流から2列で供給される容器を、上下2段から成る輸送星形配列部(スターホイール)を経由して、上下2段の充填要素(充填バルブ)から成る充填機械で充填後、輸送星形配列部を経て2台の閉鎖機械で容器口を閉鎖するとしている。
しかしながら、前記特許文献3の技術では、上下2段の充填要素を同じ同心円で、平面上から見て同じ配置としているために、上下2段から成る充填要素の上下間隔が大きくなってしまって、充填機械の高さが高くなってしまうという恐れがあり、また、上段での充填において充填液が充填要素または容器から漏れた場合に漏れた充填液により下段の充填要素または容器が汚されてしまうという恐れがある。さらに、上流から2列で容器を供給するとしているために、上流から容器が1列で供給されてくる場合の対応技術が開示されておらず、また、2台の閉鎖機械で充填後容器の容器口閉鎖をおこなっているために、その後工程が2列になってしまって複雑になり、設置面積が大きくなってしまうという恐れがある。
【0008】
本発明は、びん、缶等の容器に飲料等の液体を充填する充填バルブが上下2段に設けられる充填装置において、充填装置の高さを低くでき、下段の充填バルブまたは容器が上段の充填バルブまたは容器からの液体の漏れによって汚されないようにガードし、また、充填装置の設置スペースを節約でき、かつ、設備費を節約でき、さらに、上流から1列で搬送されてくる容器を上下2段の充填バルブに対応するように容器振分け、容器間隔変換等の技術を解決して、高能力をコンパクトに実現した上下2段充填装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の上下2段充填装置は、回転体と、該回転体の外周部に所定間隔で設けられ、前記回転体の回転の間に所定の充填区間で容器に液体を充填する複数の充填バルブと、前記回転体に前記充填バルブのそれぞれに対応して設けられた前記容器を保持する複数の容器保持手段と、該容器保持手段に空容器を供給する容器供給手段と、該容器保持手段から前記充填バルブにより充填された充填済容器を排出する容器排出手段とを上下2段に設けた回転式の上下2段充填装置において、前記上段の充填バルブ群と前記下段の充填バルブ群の配置を平面上で位置をずらした構成としたことを特徴とする。
【0010】
(2)第2の手段の上下2段充填装置は、前記第1の手段の上下2段充填装置において、前記上下2段の充填バルブの内上段の充填バルブの下部または側方近辺に、前記上段の充填バルブまたは容器から液体が漏れた場合に、漏れた液体が下段の充填バルブまたは容器を汚さないように漏れた液体を受ける漏れ防止ガードを設けるように構成したことを特徴とする。
【0011】
(3)第3の手段の上下2段充填装置は、前記第1または第2の手段の上下2段充填装置において、上流から1列で搬送されてくる容器を、前記上下2段の容器供給手段に対応するように振分ける容器振分け装置を設ける構成としたことを特徴とする。
【0012】
(4)第4の手段の上下2段充填装置は、前記第3の手段の上下2段充填装置において、前記容器振分け装置を、上流から搬送されてくる容器の内、先行の容器と後続の容器の何れか一方が前記上段の容器供給手段に、他方が前記下段の容器供給手段に対応するように交互に振分けられる構成としたことを特徴とする。
【0013】
(5)第5の手段の上下2段充填装置は、前記第4の手段の上下2段充填装置において、前記容器振分け装置を、回転体に円周等分に設けた複数の容器保持手段が昇降用と非昇降用に交互に配置されて、前記回転体の回転に伴って、前記昇降用と非昇降用の何れか一方が前記上段の容器供給手段に対応するように、他方が前記下段の容器供給手段に対応するように容器が振分けられる構成としたことを特徴とする。
【0014】
(6)第6の手段の上下2段充填装置は、前記第1から第5の手段ののうちいずれか一の上下2段充填装置において、前記容器振分け装置から搬送されてきた容器の容器間隔を縮小変換する容器間隔縮小変換装置を前記上下2段の容器供給手段に対応して設けて、縮小された容器間隔で容器がそれぞれ前記上下2段の容器供給手段へ供給されるように構成したことを特徴とする。
【0015】
(7)第7の手段の上下2段充填装置は、前記第6の手段の上下2段充填装置において、前記容器間隔縮小変換装置を、回転体の外周部に設けた複数の容器保持手段が回転体の回転中心に対してそれぞれ前後進できるように前記回転体に設けられたスライダーに取付けられるとともに、前記それぞれの容器保持手段に取付けられたカムフォロアが固定のカムと係合するようにして、前記容器保持手段が前記回転体の回転に伴って前記容器間隔を縮小変換するように構成したことを特徴とする。
【0016】
(8)第8の手段の上下2段充填装置は、前記第1または第2の手段の上下2段充填装置において、前記上下2段の容器排出手段から排出搬送されてきた容器を1段に集合する容器集合装置を設けるように構成したことを特徴とする。
【0017】
(9)第9の手段の上下2段充填装置は、前記第8の手段の上下2段充填装置において、前記容器集合装置を、前記上段の容器排出手段から搬送されてきた容器と、前記下段の容器排出手段から搬送されてきた容器が交互に集合され、前記上段の容器排出手段から搬送されてきた容器と、前記下段の容器排出手段から搬送されてきた容器の高さ位置を同じにして1段となるように構成されたことを特徴とする。
【0018】
(10)第10の手段の上下2段充填装置は、前記第9の手段の上下2段充填装置において、前記容器集合装置を、回転体に円周等分に設けた複数の容器保持手段が昇降用と非昇降用に交互に配置されて、前記回転体の回転に伴って、前記昇降用と非昇降用の何れか一方が前記上段の容器排出手段に対応するように、他方が前記下段の容器排出手段に対応するように構成したことを特徴とする。
【0019】
(11)第11の手段の上下2段充填装置は、前記第8から第10の手段ののうちいずれか一の上下2段充填装置において、前記容器集合装置の前工程に前記上下2段の容器排出手段から搬送されてきた容器の容器間隔を拡大変換する容器間隔拡大変換装置を、前記上下2段の容器排出手段に対応して設けるように構成したことを特徴とする。
【0020】
(12)第12の手段の上下2段充填装置は、前記第11の手段の上下2段充填装置において、前記容器間隔拡大変換装置を、回転体に設けた複数の容器保持手段が回転体の回転中心に対してそれぞれ前後進できるように前記回転体に設けられたスライダーに取付けられるとともに、前記それぞれの容器保持手段に取付けられたカムフォロアが固定のカムと係合するようにして、前記容器保持手段が前記回転体の回転に伴って前記容器間隔を拡大変換するように構成したことを特徴とする。
【0021】
(13)第13の手段の上下2段充填装置は、前記第8の手段の上下2段充填装置において、前記容器集合装置の後工程に、1台のキャップ巻き締め等の容器口封栓装置を配置するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係わる本発明は、回転体と、該回転体の外周部に所定間隔で設けられ、前記回転体の回転の間に所定の充填区間で容器に液体を充填する複数の充填バルブと、前記回転体に前記充填バルブのそれぞれに対応して設けられた前記容器を保持する複数の容器保持手段と、該容器保持手段に空容器を供給する容器供給手段と、該容器保持手段から前記充填バルブにより充填された充填済容器を排出する容器排出手段とを上下2段に設けた回転式の上下2段充填装置において、前記上段の充填バルブ群と前記下段の充填バルブ群の配置を平面上で位置をずらした構成としたことにより、上段と下段の充填バルブとそれに対応する容器および容器保持装置の配置を平面上で見て所謂千鳥配置とすることができるため、充填バルブを上下方向でラップさせることができ、これにより充填装置の高さを低くでき、しかも、安価な装置コストで、能力を大幅に増やした上下2段充填装置を提供できるという効果を有する。
【0023】
請求項2に係わる本発明は、前記請求項1に記載する上下2段充填装置において、前記上下2段の充填バルブの内上段の充填バルブの下部または側方近辺に、漏れ防止ガードを設けるように構成したことにより、上段の充填バルブまたは容器から漏れた液体が下段の充填バルブまたは容器を汚さないという効果を有する。
【0024】
請求項3から5のうちいずれか一項に係わる本発明は、前記請求項1または2に記載する上下2段充填装置において、上流から1列で搬送されてくる容器を、前記上下2段の容器供給手段に対応するように振分ける容器振分け装置を設け、また、前記容器振分け装置を、上流から搬送されてくる容器の内、先行の容器と後続の容器の何れか一方が前記上段の容器供給手段に、他方が前記下段の容器供給手段に対応するように交互に振分けられるようにし、また、前記容器振分け装置を、回転体に円周等分に設けた複数の容器保持手段が昇降用と非昇降用に交互に配置されて、前記回転体の回転に伴って、前記昇降用と非昇降用の何れか一方が前記上段の容器供給手段に対応するように、他方が前記下段の容器供給手段に対応するように容器が振分けられる構成としたことにより、上流から1列で供給されてくる容器を前記上下2段の容器供給手段に振分けて供給できるという効果を有する。
【0025】
請求項6または7に係わる本発明は、前記請求項1から5のうちいずれか一項に記載する上下2段充填装置において、前記容器振分け装置から搬送されてきた容器の容器間隔を縮小変換する容器間隔縮小変換装置を前記上下2段の容器供給手段に対応して設け、また、前記容器間隔縮小変換装置を、回転体の外周部に設けた複数の容器保持手段が回転体の回転中心に対してそれぞれ前後進できるように前記回転体に設けられたスライダーに取付けられるとともに、前記それぞれの容器保持手段に取付けられたカムフォロアが固定のカムと係合するようにして、前記容器保持手段が前記回転体の回転に伴って前記容器間隔を縮小変換するように構成したことにより、もし前記容器間隔を縮小変換しない場合には後工程のフィラーの充填バルブ間の間隔が冗長になってしまうという問題を解決して、上下2段充填装置の充填バルブ間の間隔を必要最小限にでき、充填装置の設置スペースを効率的にできるという効果を有する。
【0026】
請求項8から10のうちいずれか一項に係わる本発明は、前記請求項1または2に記載する上下2段充填機において、前記上下2段の容器排出手段から排出搬送されてきた容器を1段に集合する容器集合装置を設け、また、前記容器集合装置を、前記上段の容器排出手段から搬送されてきた容器と、前記下段の容器排出手段から搬送されてきた容器が交互に集合され、前記上段の容器排出手段から搬送されてきた容器と、前記下段の容器排出手段から搬送されてきた容器の高さ位置を同じにして1段となるようにし、また、前記容器集合装置を、回転体に円周等分に設けた複数の容器保持手段が昇降用と非昇降用に交互に配置されて、前記回転体の回転に伴って、前記昇降用と非昇降用の何れか一方が前記上段の容器排出手段に対応するように、他方が前記下段の容器排出手段に対応するように構成したことにより、充填済容器の上下2段の容器搬送を1段に集合して、後工程の容器搬送を簡素化できるという効果を有する。
【0027】
請求項11または12に係わる本発明は、請求項8から10のうちいずれか一項に記載する上下2段充填装置において、前記容器集合装置の前工程に前記上下2段の容器排出手段から搬送されてきた容器の容器間隔を拡大変換する容器間隔拡大変換装置を、前記上下2段の容器排出手段に対応して設け、また、前記容器間隔拡大変換装置を、回転体に設けた複数の容器保持手段が回転体の回転中心に対してそれぞれ前後進できるように前記回転体に設けられたスライダーに取付けられるとともに、前記それぞれの容器保持手段に取付けられたカムフォロアが固定のカムと係合するようにして、前記容器保持手段が前記回転体の回転に伴って前記容器間隔を拡大変換するように構成したことにより、容器集合装置での容器集合が効率的に行えるという効果を有する。
【0028】
請求項13に係わる本発明は、請求項8に記載する上下2段充填装置において、前記容器集合装置の後工程に、1台のキャップ巻き締め等の容器口封栓装置を配置するように構成したことにより、2台の容器口封栓装置を設置する場合と対比して、容器口封栓装置の設備費、および、容器口封栓装置以降の設置スペースが少なくてすむという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係わる上下2段充填装置を示した平面図である。
【図2】図1の上下2段充填装置のフィラーを拡大した正面断面図である。
【図3】図2のV2−V2断面図で、一部を更なる断面図としてある。
【図4】容器振分け装置の平面図である。
【図5】図4の容器振分け装置の正面断面図である。
【図6】容器間隔縮小変換装置の部分的に図示を省略した平面図である。
【図7】図6の容器間隔縮小変換装置の正面断面図である。
【図8】図7のV7−V7断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
(発明の実施の形態)
【0031】
本発明の実施の形態を図1から図8に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わる上下2段充填装置を示した平面図である。
図2は、図1の上下2段充填装置のフィラーを拡大した正面断面図である。
図3は、図2のV2−V2断面図で、一部を更なる断面図としてある。
図4は、容器振分け装置の平面図である。
図5は、図4の容器振分け装置の正面断面図である。
図6は、容器間隔縮小変換装置の平面図である。
図7は、容器間隔縮小変換装置の部分的に図示を省略した平面図である。
図8は、図7のV7−V7断面図である。
【0032】
上下2段充填装置1の構成は次のようになっている。
図1において、矢印g方向へ上流から1列(1段)で搬送されてくる空容器(以下空容器を容器と称することがある)Pは、入口スターホイール装置3を経由して受渡し位置3pで、図4および図5に示すような容器振分け装置4に円周等分で交互に備えられた容器保持手段41aまたは容器保持手段41bに高さ位置Haで受渡されて、前記容器保持手段41aおよび容器保持手段41bが矢印4fの方向へ回転する間に、容器保持手段41aに保持された容器Pが昇降されなくてそのままの高さ位置Ha(下段に相当する位置。以下同様。)で受渡し位置4paへ搬送され、容器保持手段41bに保持された容器Pが、容器保持手段41bの高さ位置Hb(上段に相当する位置。以下同様。)までの上昇を伴って受渡し位置4pbへ搬送される。
なお、前記容器保持手段41aおよび容器保持手段41bは、所定位置で容器Pの首部Pcを図示しない開閉機構により解放および保持するようになっている。
【0033】
前記容器振分け装置4は、図示しない駆動装置で矢印4fの方向に回転する回転軸49と一体回転する回転体47に取付けられたリング形状の円板46と、前記回転軸49と一体回転する回転体48に、円周等分で軸45と一対の軸43が設けられており、該軸45と一対の軸43には容器保持手段41aおよび容器保持手段41bが交互に備えられ、前記容器保持手段41aは前記軸45と一対の軸43に固定して取付けられ、前記容器保持手段41bは、前記一対の軸43に摺動しながら昇降する筒42に取付けられているとともに前記軸45にガイドされて昇降するようになっている。
【0034】
前記容器保持手段41aは、前記受渡し位置3pにおいて高さ位置Haで容器Pの首部Pcを保持して(以下容器Pを保持してと称する)、前記回転体47の回転により受渡し位置4paに達すると、高さ位置Haで図6に示すような容器間隔縮小変換装置5aの容器保持手段51aに容器Pを受渡すようになっている。
また、前記容器保持手段41bは、前記筒42に取付けられたカムフォロア42cが固定のフレーム44fに取付けられた溝カム44の溝部と係合することによって昇降し、前記受渡し位置3pにおいて高さ位置Haで容器Pを保持した後、回転体47の回転と前記溝カム44のカム軌跡により上昇して、受渡し位置4pbに達すると、高さ位置Hbで図1に示す容器間隔縮小変換装置5bの図示しない容器保持手段に容器Pを受渡すようになっている。
【0035】
前記容器間隔縮小変換装置5aは、図6、図7、図8に示すように、固定の軸56に押え具56tによって固定された溝カム55と、該溝カム55の溝55gと係合するカムフォロア51cが取付けられた保持体51dを有する容器保持手段51aと、前記軸56の周りを図示しない駆動装置で矢印5afの方向に回転する回転体57と一体になった支持板57mに取付けられ、前記容器保持手段51aを軸56の方向にスライドさせるスライダー54によって構成されており、前記容器保持手段51aが前記受渡し位置4paで受取った容器Pを、容器間隔L1から前記矢印5afの方向の回転により受渡し位置5paでは容器間隔L2に縮小するようになっている。
なお、前記容器保持手段51aは、所定位置で図示しない開閉機構により容器Pを解放または保持するようになっている。
前記容器間隔縮小変換装置5bは、高さ位置Hbで受渡された容器Pを容器間隔L1から容器保持手段21bに保持される容器Pの容器間隔L3(容器間隔縮小変換装置5aの容器間隔L2相当するもので図示は省略。以下同様。)に縮小するようになっており、その構造は前記容器間隔縮小変換装置5aと同様であるので、重複する説明は省略する。
【0036】
前記容器間隔縮小変換装置5aおよび前記容器間隔縮小変換装置5bにより容器間隔を縮小された容器Pは、図1に示すように、それぞれ受渡し位置5paおよび受渡し位置5pbに達すると、それぞれ容器供給手段6aおよび容器供給手段6bの図示しない容器保持手段に、それぞれ高さ位置Haおよび高さ位置Hbで受渡され、次いで、容器供給手段6aおよび容器供給手段6bのそれぞれの受渡し位置6paおよび受渡し位置6pbに達すると、回転式フィラー2のそれぞれ容器保持手段21aおよび容器保持手段21bに受渡されるようになっている。
【0037】
前記フィラー2は、図2および図3に示すように、図示しない駆動装置によりY−Y軸を中心軸として回転する回転体26の外周側で、内側に円周等分で設けられた複数の充填バルブ22aおよび外側に円周等分で設けられた複数の充填バルブ22bと、前記回転体26と一体に回転する回転体27と前記回転体26を連結している段差のある筒体28に、前記充填バルブ22aおよび前記充填バルブ22bに対応して設けられた容器Pを保持する容器保持手段21aおよび容器保持手段21bと、前記回転体26の上方に設けられ、前記回転体26と一体に回転するフィラーボウル23と、該フィラーボウル23内の液体23qを前記充填バルブ22aおよび前記充填バルブ22bに送る配管24aおよび配管24bによって主に構成されている。
【0038】
なお、前記容器保持手段21aおよび容器保持手段21bは、所定位置で図示しない開閉機構により容器Pを解放または保持するようになっているとともに、図示のように、容器Pをそれぞれ高さ位置Haおよび高さ位置Hbで前記受渡しをするようになっている。
また、前記フィラー2は、前記回転体26が回転している間に所定の充填区間で前記充填バルブ22aおよび前記充填バルブ22bから前記液体23qが容器Pに充填されるようになっている。
さらに、前記フィラー2は、前記充填バルブ22aと充填バルブ22bの配置が、図3に示すように、平面上の位置をずらしてあり、充填バルブ22aと充填バルブ22bの高さ位置が、図2に示すように、一部ラップした配置となっている。
【0039】
また、前記充填バルブ22bの側方近辺で前記充填バルブ22aの充填部近辺には、前記充填バルブ22bまたはこれに対応する容器Pから液体が漏れた場合に、漏れた液体を受けて前記充填バルブ22aの充填部およびこれに対応する容器Pを汚さないようにガードする漏れ防止ガード29が取り付けられており、該漏れ防止ガード29で受けた液体は配管29pを介して外部に排出されるようになっている。
【0040】
前記フィラー2で液体を充填された充填済容器(以下充填済容器を容器と称することがある)Pは、図1に示すように、それぞれ受渡し位置2paおよび受渡し位置2pbでそれぞれ前記容器保持手段21aおよび容器保持手段21bに対応して設けられた容器排出手段7aおよび容器排出手段7bの図示しない容器保持手段に受渡され、次いで、該容器排出手段7aおよび容器排出手段7bの図示しない容器保持手段からそれぞれ容器間隔拡大変換装置8aおよび容器間隔拡大変換装置8bの図示しない容器保持手段に受渡されるようになっている。
該容器間隔拡大変換装置8aおよび容器間隔拡大変換装置8bは、前記容器間隔縮小変換装置5aおよび容器間隔縮小変換装置5bと対比して、容器Pをそれぞれ容器間隔L2および容器間隔L3から容器間隔L1へ拡大するか、容器Pを容器間隔L1からそれぞれ容器間隔L2および容器間隔L3へ縮小するかの機能上の差異はあるが、構造は類似しているので、詳細な説明は省略する。
【0041】
前記容器間隔拡大変換装置8aおよび容器間隔拡大変換装置8bで容器間隔を拡大された容器Pは、図1に示すように、それぞれ受渡し位置8paおよび受渡し位置8pbに達すると、容器集合装置9の図示しない容器保持手段に受渡される。
前記容器集合装置9は、前記容器振分け装置4と対比して、2段で搬送されてくる容器Pを1段に集合するか、1段で搬送されてくる容器Pを2段に振分けるかの機能上の差異はあるものの構造は類似しており、容器Pが、前記容器間隔拡大変換装置8aおよび容器間隔拡大変換装置8bから該容器集合装置9の円周等分に設けられた図示しない容器保持手段に交互に受渡され、矢印9fの方向の回転に伴って受渡し容器Pが高さ位置Haのまま、或いは、受渡し容器Pが高さ位置Hbから高さ位置Haへの下降移動が、それぞれ交互に行われて容器Pが同じ高さ位置Haに(1段に)なるようになっており、構造の重複する説明は省略する。
【0042】
容器Pは、図1に示すように、前記容器集合装置9の受渡し位置9pに達すると、スターホイール装置10に受渡され、次いで、キャップ巻き締め装置(容器口封栓装置)11に受渡されて、該キャップ巻き締め装置11で矢印11fの方向に回転されている間に、所定区間で容器口に図示しないキャップを巻き締められた後、出口スターホイール装置12を経由して次工程の矢印hの方向へ排出されていく。
なお、入口スターホイール装置3から出口スターホイール装置12までの各装置はそれぞれ前後の装置と同期して回転するようになっている。
【0043】
次に、本発明の実施の形態に係わる上下2段充填装置1の作用を説明する。
上流から矢印gの方向へ1列(1段)で搬送されてくる容器Pは、入口スターホイール装置3を経由して受渡し位置3pで容器振分け装置4に受渡される際、容器保持手段41aと容器保持手段41bに交互に受渡される。
前記容器保持手段41aに保持された容器Pは、高さ位置Haのまま矢印4fの方向に搬送されて、受渡し位置4paに達すると、容器間隔縮小変換装置5aの容器保持手段51aに受渡されていく。
前記容器保持手段41bに保持された容器Pは、矢印4f方向への搬送中にカムフォロア42cと溝カム44との係合によって高さ位置Haから高さ位置Hbまで上昇して、受渡し位置4pbに達すると、容器間隔縮小変換装置5bの図示しない容器保持手段に受渡されていく。
【0044】
前記容器間隔縮小変換装置5aの容器保持手段51aに受渡された容器Pは、回転体57の回転により、前記容器保持手段51aがカムフォロア51cと溝カム55との係合と、スライダー54のスライド作用によって、容器間隔L1が容器間隔L2に縮小されて、受渡し位置5paで容器供給手段6aの図示しない容器保持手段に受渡され、次いで、受渡し位置6paでフィラー2の容器保持手段21aに受渡されて、フィラー2が矢印2fの方向に回転している間に所定の充填区間で、充填バルブ22aから液体23qが所定量充填され、受渡し位置2paで容器排出手段7aの図示しない容器保持手段に受渡され、次いで、容器間隔拡大変換装置8aの図示しない容器保持手段に受渡されて容器間隔L2から容器間隔L1に拡大され、受渡し位置8paで容器集合装置9の図示しない容器保持手段に受渡される。
【0045】
前記容器間隔縮小変換装置5bの図示しない容器保持手段に受渡された容器Pは、前記容器間隔縮小変換装置5aで容器Pの間隔が縮小される作用と同様に、容器間隔L1から容器間隔L3に縮小されて、受渡し位置5pbで容器供給手段6bの図示しない容器保持手段に受渡され、次いで、受渡し位置6pbでフィラー2の容器保持手段21bに受渡されて、フィラー2が矢印2fの方向に回転している間に所定の充填区間で、充填バルブ22bから液体23qが所定量充填され、受渡し位置2pbで容器排出手段7bの図示しない容器保持手段に受渡され、次いで、容器間隔拡大変換装置8bの図示しない容器保持手段に受渡されて容器間隔L3から容器間隔L1に拡大され、受渡し位置8pbで容器集合装置9の図示しない容器把持手段に受渡される。
【0046】
前記説明のように、容器Pは、前記容器間隔縮小変換装置5a以降、容器供給手段6a、フィラー2、容器排出手段7a、容器間隔拡大変換装置8a、容器集合装置9に受渡されるまでの間は、高さ位置Ha(下段の位置)で搬送され、前記容器間隔縮小変換装置5b以降、容器供給手段6b、フィラー2、容器排出手段7b、容器間隔拡大変換装置8b、容器集合装置9に受渡されるまでの間は、高さ位置Hb(上段の位置)で搬送される。
【0047】
前記容器集合装置9では、前記受渡し位置8paで受渡される容器Pと前記受渡し位置8pbで受渡される容器Pが交互に受渡されて、前記受渡し位置8paで受渡された容器Pは、高さ位置Haのままで搬送され、前記受渡し位置8pbで受渡された容器Pは、高さ位置Hbから高さ位置Haまで下降しながら搬送されて、受渡し位置9pに達すると、容器Pはスターホイール装置10へ受渡される。
次いで、スターホイール装置10からキャップ巻き締め装置(容器口封栓装置)11に受渡されて、該キャップ巻き締め装置11で容器口にキャップを巻き締められた後、出口スターホイール装置12を経由して次工程の矢印hの方向へ排出されていく。
【0048】
なお、前記フィラー2の上段の充填バルブ22a群と前記下段の充填バルブ22b群の配置を平面上で位置をずらして、充填バルブ22aと充填バルブ22bの高さ位置が、図2に示すように、一部ラップさせてあることにより、フィラー2の高さが低くなる。
また、漏れ防止ガード29により、前記上段の充填バルブ22bまたはそれに対応する容器から液体が漏れた場合に、漏れた液体が下段の充填バルブ22aまたは容器を汚さないようになる。
【0049】
上記説明のように、本発明による上下2段式充填装置は、上流から1列で搬送されてきた容器Pを容器振分け装置4により上下2段に振分けて搬送し、以降フィラー2において上下2段の充填バルブ22aと充填バルブ22bで液体を充填した後、容器集合装置9により2段から1段に集合するようにしたことにより、高能力で、コンパクトにすることができる。
また、容器振分け装置4の後に容器間隔縮小変換装置5aおよび容器間隔縮小変換装置5bを設けて容器Pの搬送間隔を縮小するようにしたことにより、フィラー2をコンパクトにすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 上下2段式充填装置
2 フィラー
3 入口スターホイール装置
4 容器振分け装置
5 容器間隔縮小変換装置
6 容器供給手段
7 容器排出手段
8 容器間隔拡大変換装置
9 容器集合装置
10 スターホイール装置
11 キャップ巻き締め装置(容器口封栓装置)
12 出口スターホイール装置
21a、21b (フィラーの)容器保持手段
22a、22b 充填バルブ
29 漏れ防止ガード
41a、41b (容器振分け装置の)容器保持手段
42c カムフォロア
44 溝カム
51a (容器間隔縮小変換装置の)容器保持手段
51c カムフォロア
54 スライダー
55 溝カム
Ha 高さ位置(下段)
Hb 高さ位置(上段)
P 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、該回転体の外周部に所定間隔で設けられ、前記回転体の回転の間に所定の充填区間で容器に液体を充填する複数の充填バルブと、前記回転体に前記充填バルブのそれぞれに対応して設けられた前記容器を保持する複数の容器保持手段と、該容器保持手段に空容器を供給する容器供給手段と、該容器保持手段から前記充填バルブにより充填された充填済容器を排出する容器排出手段とを上下2段に設けた回転式の上下2段充填装置において、前記上段の充填バルブ群と前記下段の充填バルブ群の配置を平面上で位置をずらした構成としたことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載する上下2段充填装置において、前記上下2段の充填バルブの内上段の充填バルブの下部または側方近辺に、前記上段の充填バルブまたは容器から液体が漏れた場合に、漏れた液体が下段の充填バルブまたは容器を汚さないように漏れた液体を受ける漏れ防止ガードを設けるように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載する上下2段充填装置において、上流から1列で搬送されてくる容器を、前記上下2段の容器供給手段に対応するように振分ける容器振分け装置を設ける構成としたことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載する上下2段充填装置において、前記容器振分け装置を、上流から搬送されてくる容器の内、先行の容器と後続の容器の何れか一方が前記上段の容器供給手段に、他方が前記下段の容器供給手段に対応するように交互に振分けられる構成としたことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項5】
請求項4に記載する上下2段充填装置において、前記容器振分け装置を、回転体に円周等分に設けた複数の容器保持手段が昇降用と非昇降用に交互に配置されて、前記回転体の回転に伴って、前記昇降用と非昇降用の何れか一方が前記上段の容器供給手段に対応するように、他方が前記下段の容器供給手段に対応するように容器が振分けられる構成としたことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載する上下2段充填装置において、前記容器振分け装置から搬送されてきた容器の容器間隔を縮小変換する容器間隔縮小変換装置を前記上下2段の容器供給手段に対応して設けて、縮小された容器間隔で容器がそれぞれ前記上下2段の容器供給手段へ供給されるように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項7】
請求項6に記載する上下2段充填装置において、前記容器間隔縮小変換装置を、回転体の外周部に設けた複数の容器保持手段が回転体の回転中心に対してそれぞれ前後進できるように前記回転体に設けられたスライダーに取付けられるとともに、前記それぞれの容器保持手段に取付けられたカムフォロアが固定のカムと係合するようにして、前記容器保持手段が前記回転体の回転に伴って前記容器間隔を縮小変換するように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載する上下2段充填装置において、前記上下2段の容器排出手段から排出搬送されてきた容器を1段に集合する容器集合装置を設けるように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項9】
請求項8に記載する上下2段充填装置において、前記容器集合装置を、前記上段の容器排出手段から搬送されてきた容器と、前記下段の容器排出手段から搬送されてきた容器が交互に集合され、前記上段の容器排出手段から搬送されてきた容器と、前記下段の容器排出手段から搬送されてきた容器の高さ位置を同じにして1段となるように構成されたことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項10】
請求項9に記載する上下2段充填装置において、前記容器集合装置を、回転体に円周等分に設けた複数の容器保持手段が昇降用と非昇降用に交互に配置されて、前記回転体の回転に伴って、前記昇降用と非昇降用の何れか一方が前記上段の容器排出手段に対応するように、他方が前記下段の容器排出手段に対応するように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項11】
請求項8から10のうちいずれか一項に記載する上下2段充填装置において、前記容器集合装置の前工程に前記上下2段の容器排出手段から搬送されてきた容器の容器間隔を拡大変換する容器間隔拡大変換装置を、前記上下2段の容器排出手段に対応して設けるように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項12】
請求項11に記載する上下2段充填装置において、前記容器間隔拡大変換装置を、回転体に設けた複数の容器保持手段が回転体の回転中心に対してそれぞれ前後進できるように前記回転体に設けられたスライダーに取付けられるとともに、前記それぞれの容器保持手段に取付けられたカムフォロアが固定のカムと係合するようにして、前記容器保持手段が前記回転体の回転に伴って前記容器間隔を拡大変換するように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。
【請求項13】
請求項8に記載する上下2段充填装置において、前記容器集合装置の後工程に、1台のキャップ巻き締め等の容器口封栓装置を配置するように構成したことを特徴とする上下2段充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−41054(P2012−41054A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181622(P2010−181622)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】