説明

上包み機のサイドシール装置

【課題】上包み品の供給動作の有無に拘わらず、上包み品の左右のサイド折込み面に対するヒートシールを確実且つ綺麗に実施することができる上包み機のサイドシール装置を提供する。
【解決手段】上包み機のサイドシール装置は、上包み機の包装セクションからの供給動作を受けて進入する上包み品(B)を挟み付け、これら上包み品(B)の供給動作とともに走行自在な一対のシールベルト(12)と、供給動作により決定される上包み品(B)の供給速度よりも遅い走行速度にて、シールベルト(12)を走行させるべく駆動力を発生する電動モータ(22)と、電動モータ(22)とシールベルト(12)間に設けられた一方向クラッチ(24)とを備え、一方向クラッチ(24)は電動モータ(22)による走行速度を超えた供給速度でのシールベルト(12)の増速走行を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品の上包み機に係わり、特に、その上包み包装の最終工程を担うサイドシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の上包み包装においては、先ず、ヒートシール可能な包材により物品を包装して上包み品とし、この後、上包み品は搬送経路に沿って搬送される過程にて最終工程を受ける。この最終工程では、上包み品における左右両側の包材のサイド折込み面、即ち、サイド折込み面の一部を形成すべく互いに重ね合わされた上下のサイドフラップがヒートシールにより接着されることで、物品の上包み包装が完了する。
【0003】
このため、上包み機は上述のヒートシールを実施するサイドシール装置を備えており、このサイドシール装置は、互いに搬送経路を挟んで配置された一対の無端状パワーベルト(シールベルト)を有する。搬送経路の上流側からの上包み品の供給動作を受けて、搬送経路内に上包み品が進入したとき、一対のパワーベルトは上包み品をその左右両側のサイド折込み面にて挟み付け、その走行ともに上包み品を搬送させる。この搬送過程にて、サイド折込み面の上下のサイドフラップはパワーベルトを介してベルトガイド(ヒータブロック)からの熱を受け、互いにヒートシールされる(特許文献1、段落0095,図20参照)。
【特許文献1】特開平10-139003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のサイドシール装置はその一対のパワーベルトを走行させる駆動源を備えているが、この駆動源はサイドシール装置の上流側にて上包み品を成形する包装セクションとは独立して作動している。即ち、上包み機の稼働中、一対のパワーベルトは一定の速度にて常時走行している状態にある。
このため、包装セクション側から搬送経路内への上包み品の供給動作がなされているとき、この供給動作での上包み品の供給速度とパワーベルトの走行速度が互いに一致している限り、パワーベルトに対して上包み品のサイド折込み面が擦れてしまうことはない。
【0005】
しかしながら、上包み品の供給速度とパワーベルトの走行速度に差が発生するような状況、具体的には、搬送経路への上包み品の供給速度が変動したり、又、特許文献1の強制排出装置が作動し、搬送経路内からの上包み品の強制排出が実施されたりすると、上包み品のサイド折込み面とパワーベルトとに間に速度差が発生する。
このような速度差はパワーベルトに対するサイド折込み面の擦れをもたらすことから、サイドフラップに歪みが生じ、サイドフラップの良好なヒートシールが確保されなくなる。
【0006】
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、搬送経路に対する上包み品の供給動作の有無に拘わらず、上包み品に対するサイド折込み面、即ち、そのサイドフラップへの良好なヒートシールを実施することができる上包み機のサイドシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、物品の回りにヒートシール可能な包材を胴巻きした後、物品の両側面からそれぞれ突出した包材の筒状部を折込んでサイド折込み面に形成することで、これらサイド折込み面により物品の側面が閉塞された上包み品を成形し、この後、上包み品が搬送経路内を搬送される際、サイド折込み面に対するヒートシールを実施して上包み包装を完成させる上包み機において、本発明のサイドシール装置は、互いに搬送経路を挟んで走行自在に配置され、上流側からの上包み品の供給動作を受けて搬送経路内に進入した上包み品をそのサイド折込み面にて挟持可能な一対の無端状シールベルトと、各シールベルト内に配置され、シールベルトを介して上包み品のサイド折込み面を加熱可能なヒータブロックと、搬送経路に進入した上包み品に所定のヒートシール時間を確保すべく前記各シールベルトを走行させるための駆動力を発生する駆動源と、駆動源と各シールベルトとを接続し、搬送経路内への上包み品の供給動作があるときには駆動源から各シールベルトへの駆動力の伝達を無効にし、これに対し、搬送経路内への上包み品の供給動作が無いときには駆動源から各シールベルトへの駆動力の伝達を有効にする動力伝達手段とを備える(請求項1)。
【0008】
請求項1のサイドシール装置によれば、上包み品の供給動作を受けて搬送経路内に上包み品が進入したとき、この上包み品は一対のシールベルト間に挟み込まれる。この際、動力伝達手段による駆動源から一対のシールベルトへの駆動力の伝達が無効にされていても、一対のシールベルトは走行自在な状態にあるので、上述の供給動作により上包み品が進入すれば、押し出されるようにして走行する。即ち、一対のシールベルトは供給動作により決定される搬送経路内への上包み品の供給速度と同一速度で走行する。それ故、上包み品の左右のサイド折込み面は、一対のシールベルトにより擦られることなく、これらシールベルトを介しヒータブロックからの熱を受け、それぞれヒートシールされる。
【0009】
また、特許文献1に記載されているような強制排出装置の作動を受け、上述した包装セクション内の上包み品がサイドシール装置内の搬送経路を通じて高速で排出されるような状況での上包み品の供給動作にあっても、動力伝達手段による駆動源から一対のシールベルトへの動力の伝達が無効にされることで、これらシールベルトは上包み品の供給速度に一致した速度で走行し、この際にも、上包み品の左右のサイド折込み面がシールベルトによって擦られてしまうことはない。
【0010】
一方、搬送経路内への上包み品の供給動作が無くなった場合には、動力伝達手段による駆動源から一対のシールベルトへの駆動力の伝達が有効にされることで、一対のシールベルトは走行し、これにより、搬送経路内に既に進入している上包み品は一対のシールベルトの走行に伴って搬送され、その左右両側のサイド折込み面に対するヒートシールが実施される。
【0011】
ここでの駆動源によるシールベルトの走行速度は上包み品に対して所定のヒートシール時間を確保すべく設定されているで、上包み品のサイド折込み面に対するヒートシールは過不足なく実施される。
好ましくは、駆動源は、上述した上包み品の供給速度の許容範囲よりも遅い走行速度で一対のシールベルトを走行させるべく駆動されており、この場合、動力伝達手段は、駆動源から一対のシールベルトに向けて駆動力を常時伝達するが、上包み品の供給動作があるときには駆動源による走行速度から前記供給速度への一対のシールベルトの増速走行を許容する一方向クラッチを含んでいる(請求項2)。
【0012】
ここで、供給速度の許容範囲とは上包み機、即ち、その包装セクションが正常に運転していると判断される状態において、前記供給動作により達成される上包み品の供給速度の範囲を表し、許容範囲には正常な運転状態での供給速度のばらつきや多少の変動が含まれるものの、包装セクションの運転開始から正常な運転状態に至る過渡期や正常な運転状態から運転停止に至る過渡期における上包み品の供給速度は含まれない。
【0013】
請求項2のサイドシール装置によれば、上包み機の稼働中、一対のシールベルトは駆動源からの駆動力を一方向クラッチを介して常時受けるものの、この駆動力に基づく一対のシールベルトの走行速度は上包み品の供給速度の許容範囲よりも遅いので、上包み品の供給動作があるとき、一方向クラッチの働きにより前記駆動力の伝達が無効となり、一対のシールベルトは駆動源による走行速度よりも増速した供給速度にて走行される。それ故、この場合にも、搬送経路内に進入した上包み品はその左右のサイド折込み面がシールベルトに擦られることなくヒートシールを確実に受けることができ、この後、搬送経路外に排出される。
【0014】
これに対し、上包み品の供給動作が無くなれば、駆動源から一対のシールベルトへの駆動力の伝達が有効になって、これらシールベルトは駆動源による走行速度で走行することから、搬送経路内にある上包み品はその左右のサイド折込み面がシールベルトに擦られることなく、シールベルトの走行とともに搬送経路内を搬送される。
更に、サイドシール装置は、上包み品の供給動作の有無を検出する検出手段と、この検出手段での検出結果に基づき、駆動源の駆動を制御する駆動制御手段とを更に備えることができる(請求項3)。この場合、駆動制御手段は上包み品の供給動作があるとき、駆動源の駆動を停止させておき、上包み品の供給動作が無くなったとき駆動源を駆動する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の上包み機のサイドシール装置は、搬送経路内への上包み品の供給動作の有無に拘わらず、搬送経路内での上包み品の搬送速度と一対のシールベルトの走行速度とを一致させることができる。それ故、上包み品における左右のサイド折込み面がシールベルトによって擦られることはないので、サイド折込み面に対するヒートシールを安定且つ確実に実施でき、綺麗なヒートシール済みのサイド折込み面が得られる。
【0016】
また、サイドシール装置は、搬送経路内への上包み品の供給動作が押せ押せ又は間欠の何れの方式であっても対応でき、汎用性にも優れたものとなる。
請求項2のサイドシール装置は、駆動源と一対のシールベルトとの間に一方向クラッチを設けるだけで、一対のシールベルトの走行制御が可能となっており、動力伝達手段の構成を頗る簡単にすることができる。
【0017】
請求項3のサイドシール装置は、上包み品の供給動作があるとき、駆動源の駆動を停止させているので、省電力化に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は上包み機による物品の上包み包装の手順を概略的に示す。
上包み機は直方体形状をなす物品Aの供給経路2を有する。この供給経路2は水平に延び、物品Aを供給経路2の終端に向けて間欠的に供給する。また、供給経路2の上方にはその終端から同一方向に水平に延びる物品Aの包装経路4が配置されており、この包装経路4の始端は供給経路2における終端の直上方に位置付けられている。
【0019】
更に、供給経路2と包装経路4との間には包材経路6が配置され、この包材経路6は包装経路4に沿って延び、その終端が供給経路2の終端と包装経路4の始端との間に位置付けられている。
一方、包材経路6の始端には包材ロールが配置され、この包材ロールから繰り出された包材ウエブは包材経路6に沿って移送される過程にて、所定サイズの開封テープ付き包材Fに形成され、包材経路6の終端に供給される。なお、包材F、即ち、包材ウエブはヒートシール可能なフィルム材である。
【0020】
供給経路2の終端に到達した物品Aは包材Fとともに包装経路4の始端に向けて上昇され、この始端に供給される。この際、包材Fは物品Aの回りにU字状に胴折りされ、その両端は物品Aの下面から垂下する胴フラップfbとして形成される。この後、これら胴フラップfbは物品Aの下面にて、互いに重ね合わされるとともにヒートシールされ、この時点で包材Fの胴巻きが完了する。このような包材Fの胴巻きは、物品Aの左右両側から突出する筒状部tをそれぞれ形成する。
【0021】
この後、胴巻きされた物品Aは包装経路4の始端から終端に向けて移送され、この移送過程にて、その左右の筒状部tは折り込まれ、物品Aの対応した側面を閉塞するサイド折込み面Sにそれぞれ形成される。この時点で、包材Fの折込みは完了して物品Aの上包み品Bが成形され、この上包み品Bは包装経路4の終端に向けて供給される。
筒状部tの折込みに関して詳述すれば、物品Aの移送方向でみて先ず、筒状部tの前後に離間した部位の折込み、所謂、耳折りが実施され、ここで耳折りは筒状部tに上下一対のサイドフラップfsを形成する。次に、上下のサイドフラップfsが物品Aの側面に向けて順次折り込まれ、互いに重ね合われる。
【0022】
包装経路4上を移送される個々の物品Aは上述した上包み包装をそれぞれ受け、これにより、包装経路4の終端から上包み品Bが送出され、これら上包み品Bは包装経路4から搬送経路としてのシール経路8に受け取られる。シール経路8は包装経路4と同一方向に水平に延び、シール経路8内に順次受け取られた上包み品Bはその送出方向、即ち、搬送方向に互いに密着して連なる列を形成し、押せ押せ方式でもってシール経路8上を移送される。
【0023】
このようなシール経路8の途中には一実施例のサイドシール装置10が配置されており、このサイドシール装置10について、図2を参照しながら以下に説明する。
サイドシール装置10は一対のシールベルト12を備え、これらシールベルト12は無端状をなし且つ熱伝導性に優れた材料から形成されている。一対のシールベルト12はそれぞれ駆動プーリ14及び従動プーリ16に掛け回され、これらプーリ14,16間に亘ってシール経路8に沿って水平に延びている。なお、本実施例の場合、シール経路8の経路方向でみて駆動プーリ14は従動プーリ16よりも下流に位置付けられている。
【0024】
駆動及び従動プーリ14,16のプーリ軸はそれぞれ回転自在に支持され、これらプーリ軸が自由状態にあるとき、そのシールベルト12は駆動プーリ14と従動プーリ16との間にて走行自在である。
一対のシールベルト12はシール経路8を挟んで対向するベルト面12aをそれぞれ有し、これらベルト面12a間の距離は前述した上包み品Bの幅寸法(左右のサイド折込み面S間の距離)に実質的に一致する。
【0025】
従って、上包み品Bが押せ押せでもってサイドシール装置10に向けて移送され、そして、サイドシール装置10に到達したとき、これら上包み品Bは一対のシールベルト12の入口(従動プーリ16間)に順次供給され、そして、ベルト面12a間に挟み込まれた状態でシール経路8内を更に搬送される。
ここで、一対のシールベルト12が走行自在な状態にあるとき、これらシールベルト12間への上包み品Bの供給動作はシールベルト12を押し出すようにしてシールベルト12を走行させ、ここでの速度は上包み品Bの供給動作により決定される供給速度に一致する。
【0026】
そして、各シールベルト12内にはヒータブロック18がそれぞれ配置されており、これらヒータブロック18は対応するシールベルト12のベルト面12aに沿って延び、ヒータ(図示しない)をそれぞれ内蔵している。ヒータブロック18はそのシールベルト12のベルト面12aを所定の温度に加熱するのみならず、ベルト面12aに対する支持部材としても機能する。それ故、一対のシールベルト12はこれらの間に上包み品Bをその左右のサイド折込み面Sにてしっかりと挟み込むことができる。
【0027】
従って、上包み品Bが一対のシールベルト12を走行させながらシール経路8に沿い、前記供給速度にて搬送されるとき、上包み品Bの左右のサイド折込み面Sは対応する側のヒータブロック18が発生する熱をシールベルト12のベルト面12aから受けることで、サイド折込み面S、即ち、その上下のサイドフラップfsはヒートシールされ、互いに接着される。それ故、この時点で、物品Aの上包み包装が完了し、一対のシールベルト12の出口(駆動プーリ14間)からヒートシール済みの上包み完成品Cが排出される。
【0028】
一方、各駆動プーリ14のプーリ軸は互いに連動して回転すべく互いに連結され、そして、動力伝達経路20(動力伝達手段)を介して駆動源、具体的には、電動モータ22に接続されている。電動モータ22が駆動されたとき、その駆動力は動力伝達経路20を介して各駆動プーリ14に伝達され、これにより、一対のシールベルト12は連動して走行することができる。具体的には、各シールベルト12はそのベルト面12aが上包み品Bの搬送方向に移動すべる走行する。
【0029】
従って、一対のシールベルト12内への上包み品Bの供給動作が無く、且つ、これらシールベルト12間に上包み品Bが残留している状況にて、電動モータ22の駆動力を受けて一対のシールベルト12が走行されると、シールベルト12の走行は残留した上包み品Bを搬送させることができ、この搬送過程にて、上包み品Bの左右のサイド折込み面Sは前述したヒートシールを同様に受けることができる。
【0030】
本実施例の場合、電動モータ22の駆動力を受けて一対のシールベルト12が走行されるとき、シールベルト12の走行速度は一対のシールベルト12間への前述した上包み品Bの供給速度よりも遅いものの、サイド折込み面Sに対するヒートシール時間が過度に長くならない程度に設定されている。
それ故、前述した動力伝達経路20には一方向クラッチ24が介挿されており、この一方向クラッチ24は電動モータ22から駆動プーリ14に向けて駆動力を伝達するものであるが、電動モータ22による走行速度を超える前記供給速度での増速走行を一対のシールベルト12に許容する。
【0031】
本実施例の場合、電動モータ22は制御装置26に電気的に接続されており、この制御装置26は、サイドシール装置10よりも上流側の上包み機の包装セクション28の作動状態に応じて電動モータ22の駆動をオンオフ制御する。
具体的には、包装セクション28はその作動監視センサ(検出手段)30を含み、この作動監視センサ30は例えば前述した包装経路4の終端に配置され、上包み品Bの通過を検出する度に、通過信号を制御装置26に送信する。制御装置26は、受け取った通過信号の間隔に基づき、包装セクション28側から一対のシールベルト12に対する上包み品Bの供給動作の有無、即ち、一対のシールベルト12間への上包み品Bの前記供給速度が許容範囲内又は許容範囲よりも速いか否かを判別する。
【0032】
ここでの判別結果が真の場合、制御装置26は電動モータ22に停止信号を送信し、電動モータ22の駆動を停止させ、これに対し、その判別結果が偽の場合、即ち、一対のシールベルト12間への上包み品Bの供給速度が前記許容範囲よりも遅い場合、制御装置26は電動モータ22に駆動信号を送信し、電動モータ22を駆動する。
次に、図3〜図5を参照しながらサイドシール装置10の作動をより具体的に説明する。
【0033】
先ず、図3は包装セクション28が正常に作動しており、一対のシールベルト12間に前述の供給動作に基づき、上包み品Bが押せ押せの供給速度で供給されている状況を示す。このような状況では、電動モータ22は制御装置26からの停止信号を受け、その駆動を停止した状態にあり、電動モータ22から一対のシールベルト12に駆動力が伝達されることはない。
【0034】
この場合、前述したように一対のシールベルト12は前述した一方向クラッチ24の働きにより、上包み品Bにより押し出されるようにして上包み品Bの供給速度に一致した速度にて走行する。それ故、上包み品Bはその左右のサイド折込み面Sがシールベルト12のベルト面12aに密着した状態で搬送されるから、これらサイド折込み面Sはシールベルト12により擦られることなく円滑且つ綺麗にヒートシールされ、この後、上包み品Bは一対のシールベルト12の出口から上包み完成品Cとして抜け出す。
【0035】
なお、一対のシールベルト12間への上包み品Bの供給速度にばらつきや変動が発生しても、これらばらつきや変動が前記許容範囲内にある限り、一対のシールベルト12は上包み品Bの押せ押せ搬送に連動して走行し、上包み品Bの左右のサイド折込み面Sがシールベルト12により擦られることはない。
この後、図4(a)に示す状態にて、包装セクション28の作動が停止され、一対のシールベルト12間への上包み品Bの供給動作が無くなった場合、制御装置26は電動モータ22に駆動信号を出力し、電動モータ22を駆動させる。従って、この時点から電動モータ22の駆動力が一対のシールベルト12の駆動プーリ14に一方向クラッチ24を介してそれぞれ伝達され、これらシールベルト12は連動し、電動モータ22の駆動力により決定される走行速度で走行する。
【0036】
この結果、シールベルト12間に既に進入している上包み品Bは図4(b)から明らかなようにシールベルト12の走行に伴って走行し、この場合にも、上包み品Bはその左右のサイド折込み面Sがシールベルト12のベルト面12aに密着した状態で搬送される。従って、左右のサイド折込み面Sはシールベルト12により擦られることなく円滑且つ綺麗にヒートシールされ、そして、上包み品Bは一対のシールベルト12間から上包み完成品Cとして抜け出す。
【0037】
なお、一実施例の上包み機に特許文献1に記載されているような強制排出装置(図示しない)が備えられていれば、上包み機の作動停止後、強制排出装置を作動させることで、包装経路4にて滞留した上包み品Bは包装経路4からシール経路、即ち、一対のシールベルト12に供給される。
このような強制排出時での供給動作時あっても、電動モータ22から一対のシールベルト12への駆動力の伝達は停止されており、それ故、上包み品Bはその排出速度(供給速度)にて一対のシールベルト12を走行させることとなり、ここでも、上包み品Bはその左右のサイド折込み面Sがシールベルト12のベルト面12aに密着した状態で搬送され、これらサイド折込み面Sがシールベルト12により擦られてしまうことはない。
【0038】
この際の強制排出時、その排出速度がサイド折込み面Sに対して必要最低限のヒートシール時間を確保すべく設定されていれば、強制排出される上包み品Bに対してもヒートシールが良好に実施され、これら上包み品Bを上包み完成品Cとして排出可能となる。
上述したように電動モータ22は、包装セクション28の作動停止時にのみ駆動されるだけであるから、サイドシール装置10の省電力化に大きく寄与する。
【0039】
また、一方向クラッチ24の存在は制御装置26による一対のシールベルト12の走行制御を容易にする。即ち、一対のシールベルト12の走行がオンオフ制御されるにあたり、その制御の開始タイミングが所望の時期に対して前後しても、電動モータ22によるシールベルト12の走行速度が上包み品Bにおける供給速度(搬送速度)の許容範囲よりも低く設定されている限り、何ら悪影響を及ぼすことはない。
【0040】
本発明は上述の一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、本発明のサイドシール装置10は、一対のシールベルト12間に上包み品Bが押せ押せで供給されるものに限らず、図5に示されるように上包み品Bの間欠的な供給動作を受けても対応することができ、汎用性に優れたものとなっている。
この場合、包装経路4は上包み品Bを所定の間隔を存してサイドシール装置10に向けて移送する移送コンベア(図示しない)を備え、この移送コンベアの終端は一対のシールベルト12の入口に位置付けられている。それ故、包装経路4上の上包み品Bは一対のシールベルト12間に間欠的に供給され、そして、これらシールベルト12は電動モータ22から駆動力を一方向クラッチ24を介して常時受け得る状態にある。
【0041】
上述のサイドシール装置によれば、上包み品Bの供給動作がある毎に一対のシールベルト12は供給動作自体により走行され、そして、上包み品Bの供給動作が無いとき、一対のシールベルト12は電動モータ22からの駆動力を受けて走行される。即ち、一対のシールベルト12は上包み品Bの供給動作により決定される供給速度と電動モータ22の駆動力により決定される走行速度とで交互に走行し、何れの走行状態にあっても、一対のシールベルト12は上包み品Bの左右のサイド折込み面Sを擦ることなく、これらサイド折込み面Sへの良好なヒートシールを可能にする。
【0042】
なお、本発明のサイドシール装置は一方向クラッチ24に代えて電磁クラッチを使用することもでき、そして、電動モータ22の駆動力により決定される一対のシールベルト12の走行速度を上包み品Bの供給速度よりも高速にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】上包み機による上包み包装の手順を概略的に示す斜視図である。
【図2】一実施例のサイドシール装置を示した概略図である。
【図3】図2のサイドシール装置に上包み品が押せ押せ式の供給動作にて供給されている状態を示した図である。
【図4】上包み機の作動が停止された後の図2のサイドシール装置を示し、(a)はサイドシール装置への上包み品の供給動作が停止された直後の状態、(b)はサイドシール装置内の上包み品に対するヒートシールが継続される状態をそれぞれ示す。
【図5】図2のサイドシール装置に上包み品が間欠的に供給される状態を示した図である。
【符号の説明】
【0044】
8 シール経路(搬送経路)
10 サイドシール装置
12 シールベルト
14 駆動プーリ
16 従動プーリ
18 ヒータブロック
20 動力伝達経路(動力伝達手段)
22 電動モータ(駆動源)
24 一方向クラッチ
26 制御装置
28 包装セクション
30 作動監視センサ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の回りにヒートシール可能な包材を胴巻きした後、前記物品の両側面からそれぞれ突出した包材の筒状部を折込んでサイド折込み面に形成することで、これらサイド折込み面により前記物品の側面が閉塞された上包み品を成形し、この後、前記上包み品が搬送経路内に供給される際、前記サイド折込み面に対するヒートシールを実施して上包み包装を完成させる上包み機において、
互いに前記搬送経路を挟んで走行自在に配置され、上流側からの前記上包み品の供給動作を受けて前記搬送経路内に進入した前記上包み品をそのサイド折込み面にて挟持可能な一対の無端状シールベルトと、
前記各シールベルト内に配置され、前記シールベルトを介して前記上包み品の前記サイド折込み面を加熱可能なヒータブロックと、
前記搬送経路に進入した前記上包み品に所定のヒートシール時間を確保すべく前記各シールベルトを走行させるための駆動力を発生する駆動源と、
前記駆動源と前記各シールベルトとを接続し、前記搬送経路内への前記上包み品の供給動作があるときには前記駆動源から前記各シールベルトへの駆動力の伝達を無効にし、これに対し、前記搬送経路内への前記上包み品の供給動作が無いときには前記駆動源から前記各シールベルトへの駆動力の伝達を有効にする動力伝達手段と
を具備したことを特徴とする上包み機のサイドシール装置。
【請求項2】
前記駆動源は、前記供給動作での前記上包み品の供給速度の許容範囲よりも遅い走行速度で前記一対のシールベルトを走行させるべく駆動され、
前記動力伝達手段は、前記駆動源から前記一対のシールベルトに向けて前記駆動力を常時伝達するが、前記上包み品の前記供給動作があるときには前記走行速度から前記供給速度への前記一対のシールベルトの増速走行を許容する一方向クラッチを含むことを特徴とする請求項1に記載の上包み機のサイドシール装置。
【請求項3】
前記上包み品における前記供給動作の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段での検出結果に基づき、前記駆動源の駆動を制御する駆動制御手段と
を更に具備したことを特徴とする請求項1又は2に記載の上包み機のサイドシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−265817(P2008−265817A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111655(P2007−111655)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】