説明

上塗りフォトレジストと共に使用するためのコーティング組成物

【課題】基体から上塗りフォトレジスト層に戻る露光放射線の反射を低減させる、および/または平滑化、共形もしくはビアフィル層として機能させる有機コーティング組成物の提供。
【解決手段】1以上のパラバン酸部分を含む成分を含む反射防止コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上塗りフォトレジストの下地となるコーティング組成物の成分として特に有用なパラバン酸組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体への像の転写に使用される感光膜である。フォトレジストの塗膜層が基体上に形成され、次いで、そのフォトレジスト層がフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明な領域および活性化放射線に対して透明な他の領域を有する。活性化放射線への露光は、フォトレジスト塗膜の光誘起または化学変換をもたらし、それによって、フォトマスクのパターンをフォトレジストでコーティングされた基体に移す。露光の後で、フォトレジストは現像されて、基体の選択的な処理を可能にするレリーフ像を提供する。
【0003】
フォトレジストの主たる用途は、高度に研磨された半導体切片、例えば、シリコンまたはガリウムヒ素を、回路の機能を果たす電子伝導経路の複雑なマトリックスに変換することを目的とする半導体製造における用途である。適切なフォトレジスト処理が、この目的を達成することの鍵となる。様々なフォトレジスト処理工程の間には強い相互依存性があるが、露光は、高解像フォトレジスト像を達成するのに最も重要な工程の一つであると考えられている。
【0004】
フォトレジストを露光するのに使用される活性化放射線の反射は、多くの場合、フォトレジスト層においてパターン形成される像の解像度に限界をもたらす。基体/フォトレジスト界面からの放射線の反射は、フォトレジスト内の放射線強度の空間的な変動を生じさせる場合があり、結果的に現像における不均一なフォトレジスト線幅をもたらしうる。放射線は基体/フォトレジスト界面から、露光が意図されないフォトレジストの領域に散乱することもあり、この場合も線幅の変動をもたらしうる。
【0005】
反射した放射線の問題を低減するために使用される一つの試みは、基体表面とフォトレジスト塗膜層との間に挿入される放射線吸収層の使用であった。米国特許出願公開第2007026458号および第2010029556号を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007026458号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010029556号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子デバイス製造者は、反射防止塗膜層上にパターン形成されたフォトレジスト像の増大した解像度を継続して求めている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一形態においては、1以上のパラバン酸部分を含む樹脂が提供される。
本発明のコーティング組成物の好ましい樹脂は1以上のポリエステル連鎖を含むことができる。好ましい樹脂はパラバン酸部分に加えて、ウラシル基および/またはシアヌラート基のような基も含むことができる。
さらなる形態においては、1以上のパラバン酸部分を含む成分を含む、下地反射防止組成物をはじめとする下地コーティング組成物が提供される。本発明の好ましい下地コーティング組成物には、1以上のパラバン酸部分を含む樹脂を含むものが挙げられる。下地コーティング組成物の好ましい追加の成分には、架橋性官能基もしくは材料が挙げられる。好ましい下地コーティング組成物は、マイクロエレクトロニクスウェハのような所望の基体へのスピンオン適用のための有機溶媒組成物として配合される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい下地コーティング組成物は水接触角を調節するための処理前に架橋される。この架橋は、硬化および1以上の組成物成分間の共有結合形成反応を含む。
【0010】
反射防止用途のためには、本発明の下地組成物は、上塗りレジスト層を露光するために使用され、反射してレジスト層に戻る望まれない放射線を吸収することができる発色団を含む成分も含む。このような発色団は、樹脂または酸発生剤化合物のような他の組成物成分に存在することができ、または組成物は場合によって置換されたフェニル基、場合によって置換されたアントラセン基もしくは場合によって置換されたナフチル基の1種以上のような、1種以上の発色団部分を含む発色団単位、例えば、低分子(例えば、約1000未満または500未満のMW)を含むことができる別の成分を含むことができる。上塗りフォトレジストと共に193nmで像形成される本発明の下地コーティング組成物については、パラバン酸成分のパラバン酸部分が効果的な露光放射線吸収発色団として機能しうる。
【0011】
本発明のコーティング組成物に含まれる概して好ましい発色団、特に反射防止用途に使用されるものには、単環および複数環双方の芳香族基、例えば、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換されたナフチル、場合によって置換されたアントラセニル、場合によって置換されたフェナントラセニル、場合によって置換されたキノリニルなどが挙げられる。特に好ましい発色団は上塗りレジスト層を露光するのに使用される放射線に応じて変化しうる。より具体的には、248nmでの上塗りレジストの露光については、場合によって置換されたアントラセンおよび場合によって置換されたナフチルが、反射防止組成物の好ましい発色団である。193nmでの上塗りレジストの露光については、場合によって置換されたフェニルおよび場合によって置換されたナフチルが、反射防止組成物の特に好ましい発色団である。好ましくは、このような発色団は反射防止組成物の樹脂成分に結合している(例えば、ペンダント基)。
【0012】
上述のように、本発明のコーティング組成物は好ましくは架橋性組成物であり、例えば、熱または活性化放射線処理の際に架橋するかまたは別の方法で硬化する物質を含む。典型的には、この組成物は架橋剤成分、例えば、アミン含有物質、例えば、メラミン、グリコウリルもしくはベンゾグアナミン化合物または樹脂を含むことができる。好ましくは本発明の架橋性組成物は組成物塗膜層の熱処理によって硬化されうる。適切には、コーティング組成物は、架橋反応を促進するために、酸またはより好ましくは酸発生剤化合物、特に熱酸発生剤化合物も含む。
【0013】
反射防止コーティング組成物として、並びに他の用途、例えば、ビアフィルとして使用するために、好ましくは、組成物は、この組成物層上にフォトレジスト組成物層を適用する前に架橋される。
【0014】
様々なフォトレジストが本発明のコーティング組成物と組み合わせて(すなわち、上塗りされて)使用されうる。本発明の反射防止組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは化学増幅型レジスト、特に、1種以上の光酸発生剤化合物と、光により発生した酸の存在下でデブロッキング(deblocking)もしくは開裂反応を受ける単位、例えば、光酸不安定(photoacid−labile)−エステル、アセタール、ケタールまたはエーテル単位を含む樹脂成分とを含むポジ型フォトレジストである。活性化放射線への露光の際に架橋(すなわち、硬化もしくは固化)するレジストのような、ネガ型フォトレジストも本発明のコーティング組成物と共に使用されうる。本発明のコーティング組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは、比較的短い波長の放射線、例えば、300nm未満、もしくは260nm未満、例えば、約248nmの波長を有する放射線、または約200nm未満、例えば、193nmの波長を有する放射線で像形成されうる。EUVおよび他の高エネルギー像形成も好適である。
【0015】
本発明は、フォトレジストレリーフ像を形成する方法、および本発明のコーティング組成物を単独でもしくはフォトレジスト組成物と組み合わせてコーティングした基体(例えば、マイクロエレクトロニクスウェハ基体)を含む新規の製造物品をさらに提供する。
【0016】
本発明の他の形態が以下に開示される。
本発明者は、上塗りフォトレジスト層と併用されるのに特に有用な新規の有機コーティング組成物を提供する。本発明の好ましいコーティング組成物はスピンコーティングにより適用されることができ(スピンオン組成物)、溶媒組成物として配合されうる。本発明のコーティング組成物は、上塗りフォトレジストのための反射防止組成物として、および/または上塗りフォトレジスト組成物塗膜層のための平坦化またはビアフィル組成物として特に有用である。
【0017】
本発明の好ましい下地コーティング組成物は、進歩したリソグラフィ用途のために必要とされうる、速い反応性エッチング速度、並びに高い屈折率(>1.8)、および193nmでの低い吸収を示すことができる。さらに、本発明の好ましいパラバン酸ポリマーは高い熱安定性を示しうる。
【0018】
本発明のパラバン酸成分には、パラバン酸(PBA)含有ポリマー、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、および他のより高次のPBA含有ポリマー、並びにこのポリマーのブレンドが挙げられる。
【0019】
本発明の下地有機コーティング組成物に有用なパラバン酸成分は容易に製造されうる。例えば、パラバン酸ジアセタート化合物は有用な試薬であり、一般的に以下の実施例に記載されたように製造されそして使用される。
【0020】
下地コーティング組成物の樹脂:
上述のように、好ましい樹脂には、1以上のパラバン酸部分を含む樹脂が挙げられる。適切には、この1以上のパラバン酸部分は樹脂骨格に対してペンダントであることができ、あるいは、例えば、パラバン酸基の各環窒素で連結される樹脂骨格連鎖であってもよい。
【0021】
本発明のパラバン酸樹脂は様々な方法によって、例えば、パラバン酸基を含む1種以上のモノマーの重合、例えば、酸性もしくは塩基性縮合反応によって、合成されることができる。特に好ましいパラバン酸樹脂合成は以下の実施例に示される。好ましくは、形成される樹脂の全繰り返し単位の少なくとも約1、2、3、4もしくは5パーセント、より好ましくは形成される樹脂の全繰り返し単位の少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50もしくは55パーセントは1以上のパラバン酸部分を含む。
【0022】
本発明の特に好ましいパラバン酸樹脂はポリエステル連鎖を含み、すなわち、本発明のある形態においてはポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は1種以上のポリオール試薬と1種以上のパラバン酸含有試薬との反応によって容易に製造されうる。好適なポリオール試薬には、ジオール、グリセロールおよびトリオール、例えば、ジオールなどが挙げられ、ジオールは、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、シクロブチルジオール、シクロペンチルジオール、シクロヘキシルジオール、ジメチロールシクロヘキサンであり、およびトリオールは、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどである。特に好ましいポリオール試薬は以下の実施例に示される。
【0023】
本発明のコーティング組成物の樹脂は様々な追加の基、例えば、米国特許第6852421号に開示されるようなシアヌラート基を含むことができる。追加の好ましい樹脂単位は、米国仮出願第61/428896号に開示されるようなウラシル基である。
【0024】
本発明の特に好ましい樹脂は、1以上のパラバン酸基、1以上のポリエステル連結および場合によっては1以上のシアヌラート基を含むことができる。
【0025】
論じられたように、反射防止用途のためには、反応して樹脂を形成する化合物の1種以上は、適切には、上塗りフォトレジスト塗膜層を露光するのに使用される放射線を吸収する発色団として機能しうる部分を含む。例えば、フタラート化合物(例えば、フタル酸もしくはフタル酸ジアルキル(すなわち、各エステルが1〜6個の炭素原子を有する様なジエステル、好ましくはフタル酸ジメチルもしくはフタル酸ジエチル))が芳香族もしくは非芳香族ポリオールおよび場合によって他の反応性化合物と重合されることができ、サブ200nmの波長、例えば、193nmで像形成されるフォトレジストと共に使用される反射防止組成物において特に有用であるポリエステルを提供できる。同様に、サブ300nmの波長またはサブ200nmの波長、例えば、248nmもしくは193nmで像形成される上塗りフォトレジストと併用の組成物中に使用される樹脂には、ナフチル化合物、例えば、1もしくは2もしくはそれより多いカルボキシル置換基を有するナフチル化合物、例えば、ナフタレンジカルボン酸ジアルキル、特に、ジ−C1−6アルキルが重合されうる。反応性アントラセン化合物、例えば、1以上のカルボキシもしくはエステル基、例えば、1以上のメチルエステルもしくはエチルエステル基を有するアントラセン化合物も好ましい。
【0026】
発色団単位を含む化合物は、1もしくは好ましくは2以上のヒドロキシ基も含むことができ、カルボキシル含有化合物と反応させられうる。例えば、1、2もしくはそれより多いヒドロキシル基を有するフェニル化合物もしくはアントラセン化合物がカルボキシル含有化合物と反応させられうる。
【0027】
さらに、反射防止目的で使用される下地コーティング組成物は、水接触角調節をもたらす樹脂成分とは別に、発色団単位を含む物質を含むことができる(例えば、光酸不安定基および/または塩基反応性基を含む樹脂)。例えば、コーティング組成物は、フェニル、アントラセン、ナフチルなどの単位を含むポリマー化合物もしくは非ポリマー化合物を含むことができる。しかし、多くの場合、水接触角調節および発色団部分を提供する1種以上の樹脂が好ましい。
【0028】
本発明の下地コーティング組成物の樹脂(パラバン酸含有樹脂を含む)は、好ましくは、約1,000〜約10,000,000ダルトン、より典型的には、約2,000〜約100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有し、約500〜約1,000,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMn)はゲル浸透クロマトグラフィーによって適切に決定される。
【0029】
パラバン酸含有成分(例えば、パラバン酸含有樹脂)は多くの好ましい実施形態における下地コーティング組成物の過半量の固体成分である。本明細書において言及される場合、コーティング組成物の固形分とは、溶媒キャリアを除いたこのコーティング組成物の全ての材料をいう。ある形態においては、パラバン酸含有成分はコーティング組成物のマイナー部分(例えば、全固形分の50%未満)であることができ、パラバン酸置換を含まない1種以上の他の樹脂と適切にブレンドされうる。
【0030】
示されるように、本発明の好ましい下地コーティング組成物は、例えば、熱および/または放射線処理によって架橋されうる。例えば、好ましい本発明の下地コーティング組成物は、このコーティング組成物の1種以上の他の成分と架橋することができる別個の架橋剤成分を含むことができる。概して、好ましい架橋性コーティング組成物は別個の架橋剤成分を含む。本発明の特に好ましいコーティング組成物は、別個の成分として、樹脂、架橋剤および酸源、例えば、熱酸発生剤化合物を含む。熱酸発生剤の活性化によるコーティング組成物の熱誘起架橋が概して好ましい。
【0031】
コーティング組成物における使用に適した熱酸発生剤化合物には、反射防止組成物塗膜層の硬化中に架橋を触媒しまたは促進するための、イオン性または実質的に中性の熱酸発生剤、例えば、アンモニウムアレーンスルホナート塩が挙げられる。典型的には、1種以上の熱酸発生剤がコーティング組成物中に、組成物の全乾燥成分(溶媒キャリアを除いた全成分)の約0.1〜10重量パーセント、より好ましくは全乾燥成分の約2重量パーセントの濃度で存在する。
【0032】
本発明の好ましい架橋型コーティング組成物は架橋剤成分も含む。シプレイ(Shipley)欧州特許出願公開第542008号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される架橋剤をはじめとする様々な架橋剤が使用されうる。例えば、好適なコーティング組成物架橋剤には、アミンベースの架橋剤、例えば、メラミン物質、例えば、サイテックインダストリーズ(Cytec Industries)によって製造され、サイメル(Cymel)300、301、303、350、370、380、1116および1130の商品名で販売されているメラミン樹脂が挙げられる。サイテックインダストリーズから入手可能なグリコールウリルをはじめとするグリコールウリルが特に好ましい。サイテックインダストリーズからサイメル1123および1125の名称で入手可能なベンゾグアナミン樹脂、およびサイテックインダストリーズからパウダーリンク(Powderlink)1174および1196の名称で入手可能な尿素樹脂などの樹脂をはじめとする、ベンゾグアナミンおよび尿素ベースの物質も好適であり得る。市販のものに加えて、このようなアミンベースの樹脂は、例えば、アルコール含有溶液中でのアクリルアミドもしくはメタクリルアミドコポリマーとホルムアルデヒドとの反応によって、またはN−アルコキシメチルアクリルアミドもしくはメタクリルアミドと他の好適なモノマーとの共重合によって製造されうる。
【0033】
本発明のコーティング組成物の架橋剤成分は、一般に、反射防止組成物の全固形分(溶媒キャリア以外の全成分)の約5〜50重量パーセントの量で、より典型的には、全固形分の約7〜25重量パーセントの量で存在する。
【0034】
本発明のコーティング組成物、特に反射制御用途のコーティング組成物は、上塗りフォトレジスト層を露光するのに使用される放射線を吸収する追加の染料化合物も含むことができる。他の任意の添加剤には、表面平滑剤(surface leveling agent)、例えば、シルウェット(Silwet)7604の商品名で入手可能な平滑剤、または3Mカンパニーから入手可能な界面活性剤FC171またはFC431が挙げられる。
【0035】
本発明の下地コーティング組成物は、上塗りフォトレジスト組成物について使用するために論じられるような光酸発生剤をはじめとする光酸発生剤のような他の物質も含むことができる。反射防止組成物における光酸発生剤のこのような使用の論述については、米国特許第6261743号を参照。
【0036】
本発明の液体コーティング組成物を製造するために、コーティング組成物の成分は適切な溶媒、例えば、1種以上のオキシイソブチル酸エステル、特に、上述のようなメチル−2−ヒドロキシイソブチラート、乳酸エチル、もしくは1種以上のグリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテルおよびヒドロキシ部分双方を有する溶媒、例えば、メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノールおよびエトキシプロパノール;2−ヒドロキシイソブチル酸メチル;エステル、例えば、メチルセロソルブアセタート、エチルセロソルブアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよび他の溶媒、例えば、2塩基エステル、プロピレンカーボナートおよびガンマ−ブチロラクトンなどに溶解される。溶媒中の乾燥成分の濃度は、適用方法のようないくつかの要因に依存しうる。一般に、下地コーティング組成物の固形分量はコーティング組成物の全重量の約0.5〜20重量パーセントで変動し、好ましくはこの固形分量はコーティング組成物の約0.5〜10重量で変動する。
【0037】
典型的なフォトレジストシステム
ポジ型およびネガ型光酸発生組成物のような様々なフォトレジスト組成物が本発明のコーティング組成物と共に使用されうる。本発明の反射防止組成物と共に使用されるフォトレジストは、典型的には、樹脂バインダーおよび光活性成分、典型的には光酸発生剤化合物を含む。好ましくは、フォトレジスト樹脂バインダーは、像形成されるレジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。
【0038】
上述のように、本発明の下地コーティング組成物と共に使用するのに特に好ましいフォトレジストは、化学増幅型レジストであり、特にポジ型化学増幅型レジスト組成物であり、このレジスト層において光活性化された酸は1種以上の組成物成分の脱保護型反応を誘導し、それにより、レジスト塗膜層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差をもたらす。多くの化学増幅型レジスト組成物が、例えば、米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;第4,491,628号および第5,492,793号に記載されている。本発明のコーティング組成物は、光酸の存在下でデブロッキングを受けるアセタール基を有するポジ型化学増幅型フォトレジストと共に、特に適切に使用される。このようなアセタールベースのレジストは、例えば、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている。
【0039】
本発明の下地コーティング組成物は、他のポジ型レジスト、例えば、極性官能基、例えば、ヒドロキシルもしくはカルボキシラートを含む樹脂バインダーを含むレジストと共に使用されることもでき、その樹脂バインダーはアルカリ水溶液でそのレジストを現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物中に使用される。一般に、好ましいレジスト樹脂バインダーはフェノール系樹脂であり、例えば、当該技術分野でノボラック樹脂として知られているフェノールアルデヒド縮合物、アルケニルフェノールのホモおよびコポリマー、並びにN−ヒドロキシフェニル−マレイミドのホモおよびコポリマーが挙げられる。
【0040】
本発明の下地コーティング組成物と共に使用するのに好ましいポジ型フォトレジストは、像形成有効量の光酸発生剤化合物および下記の群から選択される1種以上の樹脂を含む:
1)248nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよびアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマーであって、重合されたアクリル酸アルキル単位が光酸の存在下でデブロッキング反応を受けうるポリマー。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的なアクリル酸アルキルには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートが挙げられ、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが挙げられる;ii)ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含まない、場合によって置換されたビニルフェニル(例えば、スチレン)、ビニルフェノール、および上記ポリマーi)について記載されるデブロッキング基のようなアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号に記載されるポリマー;並びに、iii)光酸と反応できるアセタールまたはケタール部分を含む繰り返し単位を含み、および場合によってフェニルまたはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている:
2)フェニルまたは他の芳香族基を実質的にまたは完全に含まず、サブ200nmの波長、例えば、193nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる樹脂。特に好ましいこの種の樹脂には次のものが挙げられる:i)非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載されたポリマー;ii)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートを含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第6,057,083号;欧州特許出願公開第EP01008913A1号およびEP00930542A1号;および米国特許出願第09/143,462号に記載されている;並びに、iii)重合された酸無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー、例えば、欧州特許出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されるポリマー:
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位(ただし、酸無水物は除く、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含み、かつ望ましくは実質的にまたは完全に芳香族単位を含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位はこの樹脂骨格に縮合されており、さらに好ましいのは、樹脂が、ノルボルネン基の重合により提供されるような縮合炭素脂環式単位、および/または無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の重合により提供されるような酸無水物単位を含むものである。このような樹脂は国際出願第PCT/US01/14914号および米国特許出願番号第09/567,634号に開示されている:
4)フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ素化芳香族群、例えば、フルオロ−スチレン化合物などの重合により提供されうる樹脂。このような樹脂の例は、例えば、国際出願第PCT/US99/21912号に開示されている。
【0041】
本発明のコーティング組成物上に上塗りされるポジ型またはネガ型フォトレジストに使用するのに好適な光酸発生剤には、下記式の化合物のようなイミドスルホナートが挙げられる:
【化1】

式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびフルオロアルキル、例えば、フルオロ(C1−18アルキル)、例えば、RCF−[式中、Rは場合によって置換されたアダマンチルである]である。
【0042】
上記スルホナートアニオン、特にペルフルオロアルキルスルホナート、例えば、ペルフルオロブタンスルホナートのようなアニオンと複合体を形成したトリフェニルスルホニウムPAGも好ましい。
【0043】
他の既知のPAGも本発明のレジストにおいて使用されうる。特に193nmの像形成のためには、向上した透明性を提供するために、上記イミドスルホナートのような、芳香族基を含まないPAGが概して好ましい。
【0044】
本発明の組成物において使用するのに適した他の光酸発生剤には、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されうる。
【0045】
本発明のレジストの好ましい任意成分の添加剤は追加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタートであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、好ましい追加塩基はテトラブチルアンモニウムヒドロキシドの乳酸塩、並びに様々な他のアミン、例えば、トリイソプロパノール、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0046】
本発明の上塗りコーティング組成物と共に使用するのに好適なネガ型レジスト組成物は、酸および光酸発生剤への曝露の際に硬化、架橋または固化する物質の混合物を含む。
【0047】
特に好ましいネガ型レジスト組成物は、本発明のフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許出願公開第0164248号および第0232972号、並びにThackerayらへの米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに好ましいフェノール系樹脂には、上述のようなノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)類が挙げられる。好ましい架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミンホルムアルデヒド樹脂は概して最も好ましい。このような架橋剤は市販されており、例えば、メラミン樹脂は、サイメル300、301および303の商品名でサイテックインダストリーズによって販売されている。グリコールウリル樹脂はサイメル1170、1171、1172、パウダーリンク1174の商品名でサイテックインダストリーズから販売されており、ベンゾグアナミン樹脂はサイメル1123および1125の商品名で販売されている。
【0048】
本発明のフォトレジストは他の任意物質も含むことができる。例えば、他の任意の添加剤には、ストリエーション防止(anti−striation)剤、可塑剤、速度増強剤、溶解阻止剤などが挙げられる。このような任意の添加剤は、充填剤および染料(これらは比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の全重量の約5〜30重量パーセントの量で存在できる)を除いて、典型的には、フォトレジスト組成物中で低濃度で存在することができる。
【0049】
リソグラフィー処理
使用において、本発明のコーティング組成物は、スピンコーティングのような様々な方法のいずれかによって、コーティング層として基体に適用される。コーティング組成物は一般に、約0.02〜0.5μmの乾燥層厚で、好ましくは、約0.04〜0.20μmの乾燥層厚で基体上に適用される。基体は好適には、フォトレジストに関連する方法において使用されるあらゆる基体である。例えば、基体はケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウェハであることができる。ガリウムヒ素、炭化ケイ素、セラミック、石英または銅基体も使用されうる。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途のための基体、例えば、ガラス基体、インジウムスズ酸化物被覆基体なども好適に使用される。光学デバイスおよび光電子デバイス(例えば、導波路)のための基体も使用されうる。
【0050】
好ましくは、下地コーティング組成物上にフォトレジスト組成物が適用される前に、適用されたコーティング層を硬化させる。硬化条件は下地コーティング組成物の成分によって変動しうる。特に、硬化温度は、コーティング組成物において使用される具体的な酸または(熱)酸発生剤に依存しうる。典型的な硬化条件は約80℃〜225℃で約0.5〜5分である。硬化条件は好ましくは、コーティング組成物塗膜層をフォトレジスト溶媒およびアルカリ現像剤水溶液に対して実質的に不溶性にする。
【0051】
このような硬化後、適用されたコーティング組成物の表面上にフォトレジストが適用される。下部コーティング組成物層の適用に関して、上塗りフォトレジストは、スピニング、ディッピング、メニスカスまたはローラーコーティングのようなあらゆる標準的な手段によって適用されうる。適用の後で、フォトレジスト塗膜層は典型的には加熱によって乾燥させられ、好ましくはレジスト層が粘着性でなくなるまで溶媒を除去する。最適には、下部組成物層と上塗りフォトレジスト層との相互混合が本質的に起こるべきではない。
【0052】
次いで、レジスト層は、従来の方法で、マスクを通した活性化放射線で像形成される。露光エネルギーは、レジスト塗膜層におけるパターン形成された像を生じさせるためにレジストシステムの光活性成分を有効に活性化するのに充分なものである。典型的には、露光エネルギーは、約3〜300mJ/cmの範囲であり、部分的には、露光ツールおよび使用される具体的なレジストおよびレジスト処理に依存する。露光されたレジスト層は、コーティング層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出すかもしくは大きくすることが望まれる場合には、露光後ベークにかけられうる。例えば、ネガ型硬化性フォトレジストは、典型的には、酸促進架橋反応を誘起させるために露光後加熱を必要とし、多くの化学増幅ポジ型レジストは酸促進脱保護反応を誘起するために露光後加熱を必要とする。典型的な露光後ベーク条件には、約50℃以上の温度、より具体的には、約50℃〜約160℃の範囲の温度が挙げられる。
【0053】
フォトレジスト層は液浸リソグラフィーシステム、すなわち、露光ツール(特に、投影レンズ)とフォトレジストでコーティングされた基体との間の空間が液浸流体、例えば、水もしくは、増大した屈折率の流体を提供しうる硫酸セシウムのような1種以上の添加剤と混合された水で占有されている液浸リソグラフィーシステムにおいて露光されてもよい。好ましくは、液浸液体(例えば、水)は気泡を回避するために処理されており、例えば、水はナノバブルを回避するために脱ガスされうる。
【0054】
本明細書において「液浸露光」または他の類似の用語についての言及は、露光が、露光ツールと、塗布されたフォトレジスト組成物層との間に挿入されるこのような流体層(例えば、水もしくは添加剤を含む水)を用いて行われることを示す。
【0055】
露光されたレジスト塗膜層は、次いで、現像され、好ましくは、水性現像剤、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、水性アンモニアなどによって例示されるようなアルカリで現像される。あるいは、有機現像剤が使用されうる。一般に、現像は、認識された手順に従う。現像の後で、酸硬化性フォトレジストの最終ベークが、多くの場合、約100℃〜約150℃の温度で数分間行われ、現像された露光塗膜層領域をさらに硬化させる。
【0056】
現像された基体については、次いで、フォトレジストが除かれたこれら基体領域上が選択的に処理されることができ、例えば、当該技術分野で周知の手順に従ってフォトレジストが除かれた基体領域を化学的にエッチングまたはめっきすることができる。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液、およびプラズマガスエッチング、例えば、酸素プラズマエッチングなどが挙げられる。プラズマガスエッチングは下地塗膜層を除去する。
【0057】
プラズマエッチングは次のプロトコルによって行われた:コーティングされた基体(例えば、本発明に従って、下地コーティング組成物およびレジストでコーティングされた基体)は、25mTの圧力、600ワットのトップパワー(top power)、33CHF(Sccm)、7O(Sccm)および80Ar(Sccm)でプラズマエッチングチャンバーに配置される。
【0058】
次の非限定的な実施例は本発明の例示である。本明細書において言及される全ての文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0059】
実施例1:パラバン酸樹脂合成
パート1:
パラバン酸(20g、0.175mol)がテトラヒドロフランに7%の全固形分濃度で溶かされた。均質な溶液が得られたら、ブロモt−ブチルアセタート(102.5g、0.525mol)が反応フラスコに添加され、次いでDBU(79.8g、0.525mol)がゆっくりと添加された。この内容物は室温で冷却された。平衡温度に到達した後で、内容物が67℃で還流された。この内容物はこの温度で一晩攪拌された。次の日の朝、DBU−臭化物スラート(slats)の重い沈殿物がろ別され、このように得られた透明溶液が酢酸エチルで希釈された。この有機相は0.1N HCl溶液で洗浄され、未反応DBUを除いた。この有機相はさらにDI水で洗浄され、そしてこの有機物が硫酸ナトリウムで乾燥させられた。この酢酸エチル画分が真空下で乾燥させられて、40gの所望の生成物を得た。このように得られたモノマーIIIは13C NMRで分析された。得られた生成物は純度>99%であった。
【0060】
パート2:オーバーヘッドスターラー、ディーンスターク装置および熱電対が取り付けられた100mlの三ツ口丸底フラスコに、上記パート1において製造されたパラバン酸ジアセタート(PBA)(10g、0.029mol)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート(THEIC)(7.6g、0.029mol)、p−TSA(0.17g)、ブタノール(10g)およびアニソール(13g)が入れられた。内容物は攪拌され、150℃の反応温度が達成された。全部で11gの蒸留物が集められ、室温まで冷却することによりこの反応がクエンチされた。このように形成されたポリマーはNMPに溶かされ、20%溶液を生じさせた。このポリマーはイソ−プロパノール/メチルt−ブチルエーテル(50/50)で沈殿させられ、白色粉体(I)を生じさせた。得られたポリマーは真空オーブン内で一晩乾燥させられ、10gのポリマーサンプルを得た。このポリマーは分子量、組成、光学特性、TGAおよびDSC分析およびエッチ速度について分析された。このデータは表1に示される。13C NMRによって決定された組成は6/41/53(Bu−PBA/PBA/THEIC)。
【0061】
実施例2:さらなるパラバン酸樹脂合成
オーバーヘッドスターラー、ディーンスターク装置および熱電対が取り付けられた100mlの三ツ口丸底フラスコに、上記実施例1のパート1において製造されたパラバン酸ジアセタート(PBA)(10g、0.029mol)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート(THEIC)(7.6g、0.029mol)、p−TSA(0.17g)およびアニソール(13g)が入れられた。内容物は攪拌され、150℃の反応温度が達成された。全部で11gの蒸留物が集められ、室温まで冷却することによりこの反応がクエンチされた。このように形成されたポリマーはNMPに溶かされ、20%溶液を生じさせた。このポリマーはイソ−プロパノール/メチルt−ブチルエーテル(50/50)で沈殿させられ、白色粉体(II)を生じさせた。得られたポリマーは真空オーブン内で一晩乾燥させられ、9.5gのポリマーサンプルを得た。このポリマーは分子量、組成、光学特性、TGAおよびDSC分析およびエッチ速度について分析された。このデータは表1に示される。13C NMRによって決定された組成は49/51(PBA/THEIC)。
【0062】
実施例3:さらなるパラバン酸樹脂合成
オーバーヘッドスターラー、ディーンスターク装置および熱電対が取り付けられた100mlの三ツ口丸底フラスコに、上記実施例1のパート1において製造されたパラバン酸ジアセタート(PBA)(14.26g、0.042mol)、トリス(ヒドロキシメチル)エタン(THME)(7.5g、0.063mol)、p−TSA(0.21g)およびアニソール(15g)が入れられた。内容物は攪拌され、150℃の反応温度が達成された。全部で15gの蒸留物が集められ、室温まで冷却することによりこの反応がクエンチされた。このように形成されたポリマーはTHFに溶かされ、20%溶液を生じさせた。このポリマーはイソ−プロパノール/メチルt−ブチルエーテル(50/50)で沈殿させられ、白色粉体(III)を生じさせた。得られたポリマーは真空オーブン内で一晩乾燥させられ、12gのポリマーサンプルを得た。このポリマーは分子量、組成、光学特性、TGAおよびDSC分析およびエッチ速度について分析された。このデータは表1に示される。13C NMRによって決定された組成は48/52(PBA/THME)。
【0063】
実施例4:ジおよびトリ−官能性アルコール
【化2】

上記ポリオールがポリマー(ポリエステルを含む)合成のために有用である。
【0064】
実施例5:反射防止組成物製造
3.237gの実施例3からのポリマー、5.768gのテトラメトキシメチルグリコールウリル、0.371gのアンモニア化されたパラ−トルエンスルホン酸、および490.624gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートを含む反射防止キャスティング溶液が混合され、0.2μテフロン(登録商標)フィルタでろ過される。
【0065】
実施例6:リソグラフィ処理
この配合されたパラバン酸樹脂コーティング組成物がシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、そして210℃で60秒間真空ホットプレート上で硬化させられて、硬化塗膜層を提供する。
【0066】
次いで、市販の193nmポジ型フォトレジストがこの硬化したコーティング組成物層上にスピンコートされる。適用されたレジスト層は100℃で60秒間真空ホットプレート上でソフトベークされ、パターン化された193nm放射線に、フォトマスクを通して露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26N水性アルカリ現像剤で現像され、このときフォトレジスト層と下地コーティング組成物との双方がフォトマスクによって画定された領域内で除去される。
【0067】
実施例7:ポリマー分析
ストリップデータは3種の別個の有機コーティング組成物をコーティングすることにより行われた:これら組成物はそれぞれ以下のものを含んでいた:1)それぞれ実施例1、2および3のパラバン酸樹脂、2)熱酸発生剤(1%)、並びに3)グリコウリルベースの架橋剤(10〜15%)。塗膜は200〜500Åであったと認められた。架橋は、この膜を150℃〜250℃でベーキングすることによって効果的に行われた。架橋したものは所望の溶媒に60秒間浸され、次いでその膜から振り落とされた。膜厚さ損失が以下の表1に示される。架橋した塗膜層のそれぞれについて測定され、以下の表1に示される光学パラメータはウーラムベース(Woolam vase)エリプソメータを持ちて得られた。ほぼ5mgの材料が秤量され、熱分析にかけられた。TGAについては、等温保持が150℃で行われ、次いでサンプルが10℃/分の加熱割合で500℃に加熱された。DSCについては、標準二重加熱方法が行われた。表1に示されるTgの数値は2回の試験の平均である。以下の表1におけるコントロール組成物はパラバン酸単位を含まないポリエステル樹脂を含む比較組成物である。
【0068】
【表1】

表1:パラバン酸含有ポリエステルについての分析データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1以上のパラバン酸部分を含む成分をコーティング組成物が含む、基体上の前記コーティング組成物の層、および
(b)前記コーティング組成物層上のフォトレジスト層、
を含むコーティングされた基体。
【請求項2】
1以上のパラバン酸部分を含む成分が樹脂である請求項1に記載の基体。
【請求項3】
前記樹脂がポリエステル連鎖を含む請求項2に記載の基体。
【請求項4】
前記樹脂が1以上のシアヌラートおよび/またはウラシル基をさらに含む請求項2または3に記載の基体。
【請求項5】
(a)1以上のパラバン酸部分を含む成分を含むコーティング組成物を基体上に適用し;
(b)前記コーティング組成物層上にフォトレジスト組成物を適用し;並びに
(c)前記フォトレジスト層を露光し、現像して、レジストレリーフ像を提供する;
ことを含む、フォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項6】
1以上のパラバン酸部分を含む成分が樹脂である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂がポリエステル連鎖を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
フェニルもしくはアントラセン基を含む成分を前記コーティング組成物が含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
フォトレジストが193nm放射線で露光される、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
適用された前記コーティング組成物が、フォトレジスト組成物を適用する前に架橋される、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
上塗りフォトレジスト組成物と共に使用するための反射防止組成物であって、1以上のパラバン酸部分を含む樹脂を含む反射防止組成物。
【請求項12】
前記樹脂がポリエステル連鎖を含む請求項13に記載の反射防止組成物。
【請求項13】
前記樹脂がフェニル基を含む、請求項11または12に記載の反射防止組成物。
【請求項14】
組成物が架橋剤成分を含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の反射防止組成物。