説明

上層反射防止膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法

【課題】リソグラフィーにおいて、定在波効果及びブロッブ欠陥を十分に低減することができ、且つアルカリ現像液に対する溶解性に優れた上層反射防止膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法を提供する
【解決手段】本発明の上層反射防止膜形成用組成物は、アルカリ現像液に可溶であり、且つ芳香族基を有する重合体(A)と、感放射線性酸発生剤(B)及びスルホン酸残基を有する化合物(C)のうちの少なくとも一方と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上層反射防止膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法に関する。更に詳しくは、本発明は、リソグラフィー(特に193nmリソグラフィー)において、定在波効果及びブロッブ欠陥を十分に低減することができ、且つアルカリ現像液に対する溶解性に優れた上層反射防止膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、リソグラフィーにおける加工サイズの微細化が進んでおり、最近ではArFエキシマレーザ(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)等を用いた200nm程度以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。このようなエキシマレーザによる照射に適したレジストとして、酸解離性官能基を有する成分と、放射線の照射(以下、「露光」という。)により酸を発生する成分(以下、「酸発生剤」という。)と、による化学増幅効果を利用したレジスト(以下、「化学増幅型レジスト」という。)が数多く提案されている。この化学増幅型レジストとしては、例えば、カルボン酸のt−ブチルエステル基又はフェノールのt−ブチルカーボナート基を有する樹脂と酸発生剤とを含有するレジストが提案されている。このレジストは、露光により発生した酸の作用により、樹脂中に存在するt−ブチルエステル基或いはt−ブチルカーボナート基が解離して、樹脂がカルボキシル基或いはフェノール性水酸基からなる酸性基を有するようになり、その結果、フォトレジスト膜の露光領域がアルカリ現像液に易溶性となる現象を利用したものである。
このようなリソグラフィーにおいて、今後は更に微細なパターン形成が要求されており、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)を用いた微細加工の検討が活発化している。
【0003】
しかしながら、リソグラフィプロセスに通常用いられる放射線は、単一波長であるため、入射放射線とフォトレジスト膜の上下界面で反射した放射線とがフォトレジスト膜内で互いに干渉し、その結果、「定在波効果」或いは「多重干渉効果」と呼ばれる現象、即ち露光量が一定であっても、フォトレジスト膜の厚さが変動すると、膜内における放射線相互の干渉によってフォトレジスト膜に対する実効的な露光量が変動してしまう現象が生じて、レジストパターンの形成に悪影響を及ぼす問題がある。例えば、レジストの組成や粘度、レジストの塗布条件等のわずかな違いにより塗布膜厚が変化したり、或いは基板に段差があるため塗布膜厚の差が生じたりする(凹部の方が凸部より厚くなる)と、それらの膜厚の差によって、フォトレジスト膜に対する実効的な露光量が変化し、パターン寸法が変動したり、レジストパターンの寸法精度が低下したりする。
【0004】
このような定在波効果に関する問題を解決するため、フォトレジスト膜上に上層反射防止膜を形成してフォトレジスト膜表面での反射を抑え、膜内での多重干渉を低減する方法が提案されている。例えば、非特許文献1には、フォトレジスト膜上に、上層反射防止膜としてポリシロキサン、ポリエチルビニルエーテル、ポリビニルアルコール等を積層して、定在波効果を低減させることが記載されている。この場合、フォトレジスト膜表面における反射抑制効果は、主に反射防止膜の屈折率と膜厚とに依存し、理想的な上層反射防止膜の屈折率は√n(nはレジストの屈折率)であり、理想的な上層反射防止膜の膜厚は、λ/4m(λは放射線の波長、mは上層反射防止膜の屈折率)の奇数倍であるとされている。
【0005】
【非特許文献1】J.Eectrochem.Soc.,Vol.137,No.12,p.3900(1990)
【0006】
一般的なレジストの屈折率は1.6〜1.8であるため、定在波効果を十分に抑制するためには屈折率1.4以下の上層反射防止膜が必要となってくる。しかしながら、ポリシロキサン、ポリエチルビニルエーテル或いはポリビニルアルコールからなる上層反射防止膜の屈折率は一般的に1.5以上であり、定在波効果を十分に抑制することができず、今後更にリソグラフィーにおける加工サイズの微細化が進んでパターン線幅の管理が厳しくなると、より屈折率の小さい上層反射防止膜が必要となる。
【0007】
また、上層反射防止膜には屈折率が小さいことだけではなく透過率が高いことも必要である。上層反射防止膜に強い吸収があると、レジスト膜に達する光が弱くなるため、感度が低下してスループットが低下するという問題が生じるからである。従って、上層反射防止膜の吸光係数(k値)は小さい方が好ましく、0.25以下が実用的であると言える。
【0008】
また、近年の集積回路素子の製造におけるリソグラフィプロセスでは、レジスト膜現像時に発生する欠陥が問題となっており、ラインアンドスペースパターンにおけるブリッジ欠陥やスカム欠陥、コンタクトホールパターンにおける開口不良欠陥やスカム欠陥等が挙げられる。これらの欠陥の原因のひとつとしては、現像液に対する難溶物が現像後のリンス時にレジスト上又は基板上に再付着することが挙げられ、この欠陥はブロッブ欠陥と呼ばれている。
【0009】
このブロッブ欠陥を改良することは、集積回路素子の製造における歩留まり向上に繋がるため、これまでも多くの検討がなされてきたが、未だに十分に満足できる解決法は見つかっていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような課題を克服するためになされたものであり、リソグラフィー(特に193nmリソグラフィー)において、定在波効果及びブロッブ欠陥を十分に低減することができ、且つアルカリ現像液に対する溶解性に優れた上層反射防止膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するための手段は以下のとおりである。
[1]アルカリ現像液に可溶であり、且つ芳香族基を有する重合体(A)と、感放射線性酸発生剤(B)及びスルホン酸残基を有する化合物(C)のうちの少なくとも一方と、を含有することを特徴とする上層反射防止膜形成用組成物。
[2]前記スルホン酸残基を有する化合物(C)が、下記式(1)で表される化合物である前記[1]に記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化1】

〔式(1)において、Rは、炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式アルキル基或いはその誘導体、水酸基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアルキルカルボニルオキシ基を表し、Zは炭素数4〜12の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、mは0〜4の整数であり、nは1〜4の整数である。尚、Rが複数存在する場合、相互に同一であっても異なっていてもよい。〕
[3]前記重合体(A)が、下記式(2)で表される繰り返し単位、及び下記式(3)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも一方を含んでおり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量が1000〜100000である前記[1]又は[2]に記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化2】

〔式(2)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、−OH、−COOH、又は−SOHを表す。〕
【化3】

〔式(3)において、R〜R15は、それぞれ、水素原子、−OH、−COOH、又は−SOHを表す。〕
[4]前記重合体(A)が、更に、下記式(4)〜(7)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含む前記[3]に記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化4】

〔式(4)において、R16は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表し、Aは単結合、カルボニル基又はカルボニルオキシ基を表し、Bは単結合又はイミノ基を表し、Dは単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。〕
【化5】

〔式(5)において、R17は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕
【化6】

〔式(6)において、R18は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のフッ素化アルキル基を表す。〕
【化7】

〔式(7)において、R19は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表し、Pは単結合、カルボニル基又はカルボニルオキシ基を表し、Qは単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、R20及びR21は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基を表す。〕
[5]前記重合体(A)は、下記式(8)で表される繰り返し単位、及び下記式(9)で表される繰り返し単位を含む前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化8】

【化9】

[6](1)基板上にフォトレジスト膜を形成する工程と、(2)前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の上層反射防止膜形成用組成物を用いて、前記フォトレジスト膜上に上層反射防止膜を形成する工程と、(3)前記上層反射防止膜が形成された前記フォトレジスト膜の所用領域に放射線を照射し、露光する工程と、(4)現像して前記上層反射防止膜を除去する工程と、を備えることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リソグラフィー(特に193nmリソグラフィー)において、定在波効果及びブロッブ欠陥を十分に低減することができ、且つアルカリ現像液に対する溶解性に優れた上層反射防止膜を形成することが可能である。従って、本発明は、今後更に微細化が進行するとみられるLSIの製造に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[1]上層反射防止膜形成用組成物
本発明の上層反射防止膜形成用組成物は、アルカリ現像液に可溶であり、且つ芳香族基を有する重合体(A)〔以下、単に「重合体(A)」ともいう〕と、感放射線性酸発生剤(B)〔以下、単に「酸発生剤(B)」ともいう〕及びスルホン酸残基を有する化合物(C)〔以下、単に「化合物(C)」ともいう〕のうちの少なくとも一方と、を含有することを特徴とする。
【0014】
本発明の上層反射防止膜形成用組成物における前記「重合体(A)」は、本発明の効果を得られ、アルカリ現像液に可溶であり、且つ芳香族基を有している限り特に限定されない。
前記芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アセナフチル基、チオフェニル基等を挙げることができる。これらのなかでも、特にナフチル基、アセナフチル基が好ましい。
【0015】
前記重合体(A)としては、例えば、下記式(2)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(1)」という〕、及び下記式(3)で表される繰り返し単位〔以下、「繰り返し単位(2)」という〕のうちの少なくとも一方を含んでおり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量が1000〜100000であるものが好ましい。
【0016】
【化10】

〔式(2)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、−OH、−COOH、又は−SOHを表す。〕
【0017】
【化11】

〔式(3)において、R〜R15は、それぞれ、水素原子、−OH、−COOH、又は−SOHを表す。〕
【0018】
前記重合体(A)に含まれる繰り返し単位(1)及び(2)は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0019】
また、前記重合体(A)には、アルカリ現像液溶解性を促進するために、前記繰り返し単位(1)及び(2)以外に、−OH、−COOH及び−SOHのうちの少なくとも1種を含有する繰り返し単位を含有させることができる。具体的な繰り返し単位としては、下記式(4)、(5)、(6)及び(7)で表される繰り返し単位〔以下、それぞれ、「繰り返し単位(3)」、「繰り返し単位(4)」、「繰り返し単位(5)」及び「繰り返し単位(6)」という。〕等を挙げることができる。本発明においては、これらの繰り返し単位(3)〜(6)のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0020】
【化12】

〔式(4)において、R16は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表し、Aは単結合、カルボニル基又はカルボニルオキシ基を表し、Bは単結合又はイミノ基を表し、Dは単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。〕
【0021】
【化13】

〔式(5)において、R17は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕
【0022】
【化14】

〔式(6)において、R18は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のフッ素化アルキル基を表す。〕
【0023】
【化15】

〔式(7)において、R19は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表し、Pは単結合、カルボニル基又はカルボニルオキシ基を表し、Qは単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、R20及びR21は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基を表す。〕
【0024】
ここで、前記式(4)のDにおける炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基若しくは1,2−プロピレン基等のプロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基若しくは2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基;フェニレン基、トリレン基等のアリレン基、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基等の単環式炭化水素環基;1,4−ノルボルニレン基若しくは2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜20の炭化水素環基等の架橋環式炭化水素環基、置換、非置換フェニレン基等が挙げられる。
【0025】
前記式(4)で表される繰り返し単位(3)を与える好ましい単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸1−スルホキシエチルエステル、4−ビニル−1−ベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0026】
また、前記式(5)で表される繰り返し単位(4)を与える好ましい単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、α―トリフルオロメチルアクリル酸等が挙げられる。
【0027】
前記式(6)のR18における炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル基、アダマンタン−1−イル基、アダマンタン−2−イル基等の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
また、前記R18における炭素数1〜12のフッ素化アルキル基としては、例えば、前記炭素数1〜12のアルキル基の水素原子の一部、若しくは全てをフッ素原子に置換した基を挙げることができる。
【0028】
前記式(7)のQにおける炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有してよい芳香族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基若しくは1,2−プロピレン基等のプロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基若しくは2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基;フェニレン基、トリレン基等のアリレン基、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基等の単環式炭化水素環基;1,4−ノルボルニレン基もしくは2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜20の炭化水素環基等の架橋環式炭化水素環基、置換、非置換フェニレン基等が挙げられる。
【0029】
更に、前記式(7)のR20及びR21における炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、前記R20及びR21における炭素数1〜4のフッ素化アルキル基としては、例えば、前記炭素数1〜4のアルキル基の水素原子の一部、若しくは全てをフッ素原子に置換した基を挙げることができる。
尚、R20及びR21は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
また、前記式(7)で表される繰り返し単位(6)を与える好ましい単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−{[5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル}エステル、(メタ)アクリル酸3−{[8−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル}エステル等が挙げられる。
【0031】
特に、前記重合体(A)は、下記式(8)で表される繰り返し単位、及び下記式(9)で表される繰り返し単位を少なくとも含んでいることが好ましい。この場合、反射防止膜として定在波効果をより低減させることができるとともに、アルカリ現像液に対する溶解性も向上させることができる。
【0032】
【化16】

【0033】
【化17】

【0034】
また、前記重合体(A)において、前記繰り返し単位(1)及び(2)の含有率の合計は特に限定されないが、この重合体(A)における全繰り返し単位を100モル%とした場合に、20〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは30〜70モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。この含有割合が20〜80モル%である場合には、反射防止膜としての定在波効果を十分に低減させることができ、且つ波長193nmにおいて十分な透過率を有しており、良好なパターンを得ることができるとともに感度の増大を抑制することができる。
また、前記アルカリ現像液溶解性を促進する繰り返し単位(3)〜(6)の含有率の合計は特に限定されないが、この重合体(A)における全繰り返し単位を100モル%とした場合に、20〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは30〜70モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。この含有割合が20〜80モル%である場合には、現像液に対する十分な溶解性を得ることができ、現像の際に溶け残りやスカムの発生を抑制することができる。
【0035】
前記重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、1000〜100000であり、好ましくは1500〜10000、より好ましくは2000〜7000である。このMwが1000未満である場合には、膜形成能が不十分である可能性があり、一方、100000を超える場合には、現像液に対する十分な溶解速度が得られず、溶け残りやスカムが発生する可能性がある。
【0036】
また、前記重合体(A)は、例えば、その各繰り返し単位に対応する重合性不飽和単量体を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造することができる。
前記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記重合における反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜100℃であり、反応時間は、通常、1〜24時間、好ましくは3〜12時間である。
【0037】
また、本発明の上層反射防止膜形成用組成物における前記「酸発生剤(B)」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線による露光により酸を発生する物質である。この酸発生剤(B)としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物等を挙げることができる。
【0038】
具体的な酸発生剤(B)としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、
【0039】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、
【0040】
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、
【0041】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート、
【0042】
1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレンー1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、
【0043】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、
【0044】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、
【0045】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0046】
前記酸発生剤(B)は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、この酸発生剤(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。この含有量が0.1〜15質量部である場合、ブロッブ欠陥を低減するとともに、良好なレジストパターン形状を得ることができる。また、酸発生剤(B)の含有量が0.1質量部未満の場合、ブロッブ欠陥を低減する効果が不十分となるおそれがある。一方、15質量部を超える場合、現像後のレジストパターンのトップロスが著しく増加し、矩形のレジストパターンが得られ難くなるおそれがある。
【0047】
また、本発明の上層反射防止膜形成用組成物における前記「化合物(C)」は、スルホン酸残基を有する化合物である。この化合物(C)は特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0048】
【化18】

〔式(1)において、Rは、炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式アルキル基或いはその誘導体、水酸基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアルキルカルボニルオキシ基を表し、Zは炭素数4〜12の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、mは0〜4の整数であり、nは1〜4の整数である。尚、Rが複数存在する場合、相互に同一であっても異なっていてもよい。〕
【0049】
前記式(1)におけるRの炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0050】
また、前記式(1)におけるRの炭素数3〜20の脂環式アルキル基或いはその誘導体としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタンや、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類等に由来する脂環族環からなる基、これらの脂環族環からなる基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基等で1個以上置換した基等が挙げられる。
【0051】
更に、前記式(1)のZにおける炭素数4〜12の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基としては、例えば、例えば、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,1−ジメチル−1,4−ブチレン基、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン基、1,2−ジメチル−1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基;1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の単環式炭化水素環基;1,4−ノルボルニレン基若しくは2,5−ノルボルニレン基などのノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基などのアダマンチレン基等の架橋環式炭化水素環基等が挙げられる。
【0052】
また、前記式(1)のZにおける置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、チオフェニル基等が挙げられる。
【0053】
具体的な前記化合物(C)としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、へプタフルオロプロパンンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ドデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸、ペンタデカフルオロヘプタンスルホン酸、へプタデカフルオロオクタンスルホン酸、オクタデカフルオロノナンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、1,1−ジフルオロエタンスルホン酸、2,2,2‐トリフルオロエタンスルホン酸、1,1−ジフルオロプロパンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロプロパンンスルホン酸、3,3,3−トリフルオロプロパンスルホン酸、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブタンスルホン酸、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタンスルホン酸等のフルオロアルキルスルホン酸類、
【0054】
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、イソブタンスルホン酸、1,1−ジメチルエタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、1−メチルブタンスルホン酸、2−メチルブタンスルホン酸、3−メチルブタンスルホン酸、ネオペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、へブタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸等のアルキルスルホン酸類、ベンゼンスルホン酸、2−トルエンスルホン酸、3−トルエンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、4−プロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−(t−ブチル)ベンゼンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、4−フルオロベンゼンスルホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、3−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、3−スルホサリチル酸、4−スルホサリチル酸、5−スルホサリチル酸、1−ナフチルスルホン酸、2−ナフチルスルホン酸、シクロヘキシルスルホン酸、2−ヒドロキシシクロヘキシルスルホン酸、3−ヒドロキシシクロヘキシルスルホン酸、4−スルホ安息香酸、4−スルホアニリン等のアリールスルホン酸類、
【0055】
ベンジルスルホン酸、フェネチルスルホン酸等のアラルキルスルホン酸類、カンファースルホン酸等の環式スルホン酸類、ベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、3−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、3−スルホサリチル酸、4−スルホサリチル酸、5−スルホサリチル酸、1−ナフチルスルホン酸、2−ナフチルスルホン酸、シクロヘキシルスルホン酸、2−ヒドロキシシクロヘキシルスルホン酸、3−ヒドロキシシクロヘキシルスルホン酸、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリビニルナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0056】
前記化合物(C)は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記化合物(C)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。この含有量が0.1〜15質量部である場合、ブロッブ欠陥を低減するとともに、良好なレジストパターン形状を得ることができる。また、この含有量が0.1質量部未満の場合、ブロッブ欠陥を低減する効果が不十分となるおそれがある。一方、15質量部を超える場合、現像後のレジストパターンのトップロスが著しく増加し、矩形のレジストパターンが得られ難くなるおそれがある。
【0057】
また、本発明の上層反射防止膜形成用組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させる目的で界面活性剤を含有させてもよい。
前記界面活性剤としては、例えば、BM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183〔以上、大日本インキ化学工業(株)製〕、フロラードFC−135、同FC170C、同FC−430、FC−431〔以上、住友スリーエム(株)製〕、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141〔以上、旭硝子(株)製〕、SH−28PA、同−190、同―193、SZ−6032、SF8428〔以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製〕、エマルゲンA−60、104P、306P〔以上、花王(株)製〕等の商品名で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。尚、これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0058】
前記界面活性剤の含有量は、前記重合体(A)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。
【0059】
また、本発明の上層反射防止膜形成用組成物は、通常、その使用に際して、全固形分濃度が、通常、0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%となるように、溶剤に溶解したのち、例えば孔径20nm程度のフィルターでろ過して調製したものを用いることが好ましい。
【0060】
前記溶剤としては、本発明の上層反射防止膜形成用組成物をフォトレジスト膜上に塗布した際に、フォトレジスト膜とインターミキシングを起こすなどしてリソグラフィー性能を劣化させることが殆どないものが用いられる。
このような溶剤としては、例えば、一価アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、環状エーテル類、高級炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、水等が挙げられる。
【0061】
前記一価アルコール類としては、炭素数4〜8の1価アルコールが好ましい。具体的には、例えば、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール等が挙げられる。
【0062】
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
前記多価アルコールのアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
前記多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類としては、例えば、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0063】
前記エーテル類としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル等が挙げられる。
前記環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
【0064】
前記高級炭化水素類としては、例えば、デカン、ドデカン、ウンデカン等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
前記エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等が挙げられる。
【0065】
これらのなかでも、一価アルコール類、エーテル類、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、高級炭化水素類が好ましい。
尚、これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
また、本発明の上層反射防止膜形成用組成物を用いて形成される膜の波長193nmにおける屈折率(n値)は、1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.25〜1.45であり、更に好ましくは1.25〜1.4である。この屈折率が1.5以下である場合、積層体中での光の反射が抑制され、低在波効果が低減できるため好ましい。
尚、この屈折率は、上層反射防止膜形成用組成物を直径8インチのシリコンウエハー上に塗膜した後、エリプソメーターで測定することができる。
【0067】
[2]レジストパターンの形成方法
本発明のレジストパターン形成方法は、
(1)基板上にフォトレジスト膜を形成する工程〔以下、「工程(1)」という〕と、
(2)上層反射防止膜形成用組成物を用いて、前記フォトレジスト膜上に上層反射防止膜を形成する工程〔以下、「工程(2)」という〕と、
(3)前記上層反射防止膜が形成された前記フォトレジスト膜の所用領域に放射線を照射し、露光する工程〔以下、「工程(3)」という〕と、
(4)現像して前記上層反射防止膜を除去する工程〔以下、「工程(4)」という〕と、を備えることを特徴とする。
【0068】
前記工程(1)では、基板上にフォトレジスト膜が形成される。
具体的には、得られるフォトレジスト膜が所定の膜厚となるようにレジスト組成物溶液を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布方法により基板上に塗布した後、予備焼成(以下、「プレベーク(PB)」という。)し、塗膜中の溶剤を揮発させることで、フォトレジスト膜が形成される。
【0069】
前記基板としては、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆したウエハー等を用いることができる。尚、形成されるフォトレジスト膜の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に、有機系或いは無機系の反射防止膜を予め形成しておいてもよい。
【0070】
前記レジスト組成物溶液は特に限定されるものではなく、フォトレジストの使用目的に応じて適宜選択することができる。具体的なレジスト組成物溶液としては、例えば、酸発生剤等を含有する化学増幅型のレジスト組成物等を、適当な溶媒中に、例えば0.1〜20質量%の固形分濃度となるように溶解したのち、例えば孔径30nm程度のフィルターでろ過して調製されたレジスト組成物溶液を使用することができる。尚、市販のレジスト溶液をそのまま使用することもできる。
また、前記レジスト組成物溶液は、ポジ型であってもよいし、ネガ型であってもよいが、ポジ型のレジスト組成物溶液であることが好ましい。化学増幅型のポジ型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、重合体中の酸解離性有機基が解離して、例えば、カルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
【0071】
前記工程(2)では、上層反射防止膜形成用組成物を用いて、前記フォトレジスト膜上に上層反射防止膜が形成される。尚、上層反射防止膜形成用組成物については、前述の説明をそのまま適用することができる。
具体的には、得られる上層反射防止膜が所定の膜厚となるように上層反射防止膜形成用組成物を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布方法によりフォトレジスト膜上に塗布した後、焼成することにより、上層反射防止膜が形成される。
前記上層反射防止膜の厚さは、λ/4m(λは放射線の波長、mは上層反射防止膜の屈折率)の奇数倍に近いほど、フォトレジスト膜の上側界面における反射抑制効果が大きくなる。このため、上層反射防止膜の厚さをこの値に近づけることが好ましい。
尚、本発明においては、前記工程(1)におけるレジスト組成物溶液塗布後のプレベーク、及びこの工程(2)における上層膜形成組成物塗布後の焼成のいずれかの処理は、工程簡略化のため省略することができる。
【0072】
前記工程(3)では、上層反射防止膜が形成されたフォトレジスト膜の所用領域に放射線が照射され、露光が行われる。
前記放射線は、前記フォトレジスト膜を構成している成分や、フォトレジスト膜と上層反射防止膜との組み合わせに応じて適宜選択される。例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線の如き各種放射線を選択使用することができる。これらのなかでも、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)が好ましく、特にArFエキシマレーザが好ましい。
また、フォトレジスト膜の解像度、パターン形状、現像性等を向上させるために、露光後に焼成(以下、「PEB」という。)を行なうことが好ましい。その焼成温度は、使用されるレジスト組成物等によって適宜調整されるが、通常、30〜200℃程度であり、好ましくは50〜150℃である。
【0073】
前記工程(4)では、現像により、フォトレジスト膜と上層反射防止膜の除去が同時に行われる。
具体的には、フォトレジスト膜が現像液によって現像され、洗浄された後、所望のレジストパターンが形成されると共に、前記現像中或いは現像後の洗浄中に、前記上層反射防止膜は別途の剥離工程を経る必要なく、完全に除去される。
【0074】
前記現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4,3,0]−5−ノナン等を溶解したアルカリ性水溶液を挙げることができる。
また、これらの現像液には、メタノール、エタノール等のアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤等を適量添加することもできる。
尚、アルカリ性水溶液を用いて現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、この実施例の記載における「部」及び「%」の記載は、特記しない限り質量基準である。
【0076】
[1]重合体(A)の合成
以下、各重合体〔重合体(A−1)〜(A−3)〕の合成例について説明する。尚、各合成例で得られた各重合体の物性評価は、次の要領で行った。
【0077】
(1)Mw
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、G4000HXL:1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した。
(2)共重合割合
H−NMR及び13C−NMRによる吸収スペクトルの各単量体の側鎖基に由来するピークの面積比により、各単量体の共重合割合を決定した。
【0078】
<合成例1>
攪拌機、温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(以下、「THF」という)30gを仕込み、15分間窒素ガスをバブリングしたのち、2−ビニルナフタレン10.4809g、α−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチル9.5891g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸ジメチル)1.8779gを添加して、内温を45℃に昇温した。1時間後、内温を昇温して約70℃で還流させ8時間反応させたのち、25℃に冷却した。次いで、真空乾燥して溶剤を除去することにより、共重合体を得た。
この共重合体は、Mwが3.5×10であり、2−ビニルナフタレン/α−トリフルオロメチルアクリル酸の共重合割合(モル%)が50/50であった。この共重合体を「重合体(A−1)」とする。
【化19】

【0079】
<合成例2>
攪拌機、温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、メチルエチルケトン30gを仕込み、15分間窒素ガスをバブリングしたのち、2−ビニルナフタレン8.9840g、α−トリフルオロメチルアクリル酸8.1596g、無水マレイン酸2.8600g2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオン酸ジメチル)2.0122gを添加して、内温を45℃に昇温した。1時間後、内温を昇温して70℃で8時間反応させたのち、25℃に冷却した。次いで、1%シュウ酸水溶液3gをゆっくりと滴下し、内温を70℃に昇温して2時間反応させた。その後反応液を水50gで3回洗浄し、真空乾燥して溶剤を除去することにより、共重合体を得た。
この共重合体は、Mwが3.8×10であり、2−ビニルナフタレン/α−トリフルオロメチルアクリル酸/マレイン酸の共重合割合(モル%)が40/40/20であった。この共重合体を「重合体(A−2)」とする。
【化20】

【0080】
<合成例3>
攪拌機、温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、THF30gを仕込み、15分間窒素ガスをバブリングしたのち、2−ビニルナフタレン9.3063g、α−トリフルオロメチルアクリル酸9.3915g、2−スルホエチルメタクリレート1.3000g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸ジメチル)1.8528gを添加して、内温を45℃に昇温した。1時間後、内温を昇温して約70℃で還流させ8時間反応させたのち、25℃に冷却した。次いで、真空乾燥して溶剤を除去することにより、共重合体を得た。
この共重合体は、Mwが3.7×10であり、2−ビニルナフタレン/α−トリフルオロメチルアクリル酸/2−スルホエチルメタクリレートの共重合割合(モル%)が45/50/5であった。この共重合体を「重合体(A−3)」とする。
【化21】

【0081】
[2]上層反射防止膜形成用組成物の調製
<実施例1〜9>
表1に示す各重合体(A)100部に、表1に示す酸発生剤(B)及び化合物(C)を配合した後、4−メチル−2−ペンタノールを加えて、固形分濃度1%とした。その後、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、実施例1〜9の各上層反射防止膜形成用組成物を得た。
<比較例1〜3>
表1に示す各重合体(A)100部に、4−メチル−2−ペンタノールを加えて、固形分濃度1%としたのち、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、比較例1〜3の各上層反射防止膜形成用組成物を得た。
【0082】
【表1】

【0083】
尚、表1における各実施例及び比較例に用いた成分の詳細を以下に示す。
<酸発生剤(B)>
(B−1):トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
(B−2):トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
<化合物(C)>
(C−1):5−スルホサリチル酸
(C−2):カンファースルホン酸
【0084】
[3]屈折率の測定
実施例及び比較例における各上層反射防止膜形成用組成物を用いて形成される膜の屈折率(波長193nm)を下記のように測定した。その結果を表1に併記する。
<屈折率の測定方法>
直径8インチのシリコンウエハー上に、形成される反射防止膜の膜厚が26〜33nmの範囲となるように上層反射防止膜形成用組成物を回転塗布した。その後、J.A.Woollam Co.,Inc.製エリプソメーター「VUV−VASE」を使用して膜の屈折率を測定した。
【0085】
[4]性能評価
実施例及び比較例における各上層反射防止膜形成用組成物について、レジストパターンを形成して反射防止膜としての性能評価を行った。その評価結果を表2に示す。
【0086】
(1)レジストパターンの形成
直径8インチのシリコンウエハー上に、ArFエキシマレーザ用化学増幅型ポジ型レジスト〔JSR(株)製、商品名「ARX1682J」〕を回転塗布したのち、110℃のホットプレート上で60秒間プレベークして、厚さ0.19μmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、該フォトレジスト膜上に、形成される反射防止膜の膜厚が26〜33nmの範囲となるように、実施例及び比較例の各上層反射防止膜形成用組成物溶液を回転塗布した。次いで、(株)ニコン製スキャナー「NSRS306C」(波長193nm)を使用して、所定時間露光を行い、露光後直ちに、115℃のホットプレート上で60秒間露光後ベーク(PEB)を行った。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液を用いて、25℃で1分間現像し、水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
【0087】
(2)上層反射防止膜の性能評価
<現像性>
上層反射防止膜或いはフォトレジスト膜の残渣によるスカムや現像残りの程度を走査型電子顕微鏡で調べ、スカムや現像残りが認められない場合を、現像性が良好とした。
【0088】
<パターン形状>
160nm−1L/1Sパターンにおけるレジストの断面形状を走査型電子顕微鏡で観察し、図1に示す断面形状(a)〜(f)のうち、形状(b)、(c)及び(d)の場合を良好とした。
【0089】
<定在波効果>
直径8インチのシリコンウエハー上に、膜厚が0.18〜0.24μmの範囲で0.01μmずつ異なるようにフォトレジスト膜を形成したのち、前述したようにして上層反射防止膜を形成した。次いで、前記縮小投影露光機を用いて、各ウエハーに対して露光量を変えて露光を行った。その後、前述したように露光後ベーク及び現像を行って、レジストパターンを形成した。
次いで、フォトレジスト膜厚が0.19umのウエハーを走査型電子顕微鏡で観察し、マスクが160nm−1L/1Sで160nm−1L/1Sのパターンが得られる露光量を測定した。その後、得られた露光量にて、それぞれの膜厚におけるウエハーの観察を行い、マスクが160nm−1L/1Sにおけるパターンの寸法を測定した。そして、求めたパターン寸法の最大値をEmax、最小値をEminとし、下式のS値(膜厚変化に伴う寸法変動)を定在波効果の指標とし、そのS値が35より小さい場合に、定在波効果が良好とした。
S=(Emax−Emin
【0090】
<ブロッブ欠陥>
直径8インチのシリコンウエハー上に、ArFエキシマレーザ用化学増幅型ポジ型レジスト〔JSR(株)製、商品名「ARX1682J」〕を回転塗布したのち、110℃のホットプレート上で60秒間プレベークして、厚さ0.19μmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、該フォトレジスト膜上に、各反射防止膜形成用組成物溶液を、形成される各反射防止膜の膜厚が26〜33nmの範囲となるように回転塗布した。次いで、(株)ニコン製スキャナーNSRS306C(波長193nm)を使用して、ブロッブ欠陥検査用の露光を所定時間行い、露光後直ちに、115℃のホットプレート上で60秒間露光後ベークを行った。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液を用いて、25℃で1分間現像し、水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
次いで、KLA2351(KLAテンコール)にて欠陥測定を行い、検出された現像剥離欠陥が500個以下の場合は良好、500個を超えたときは不十分とした。
【0091】
【表2】

【0092】
[5]実施例の効果
表2から明らかなように、本実施例1〜9の各上層反射防止膜形成用組成物を用いた場合、定在波効果及びブロッブ欠陥を十分に低減させることができることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】パターンの断面形状を説明する模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ現像液に可溶であり、且つ芳香族基を有する重合体(A)と、
感放射線性酸発生剤(B)及びスルホン酸残基を有する化合物(C)のうちの少なくとも一方と、を含有することを特徴とする上層反射防止膜形成用組成物。
【請求項2】
前記スルホン酸残基を有する化合物(C)が、下記式(1)で表される化合物である請求項1に記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化1】

〔式(1)において、Rは、炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式アルキル基或いはその誘導体、水酸基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアルキルカルボニルオキシ基を表し、Zは炭素数4〜12の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、mは0〜4の整数であり、nは1〜4の整数である。尚、Rが複数存在する場合、相互に同一であっても異なっていてもよい。〕
【請求項3】
前記重合体(A)が、下記式(2)で表される繰り返し単位、及び下記式(3)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも一方を含んでおり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定される重量平均分子量が1000〜100000である請求項1又は2に記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化2】

〔式(2)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、−OH、−COOH、又は−SOHを表す。〕
【化3】

〔式(3)において、R〜R15は、それぞれ、水素原子、−OH、−COOH、又は−SOHを表す。〕
【請求項4】
前記重合体(A)が、更に、下記式(4)〜(7)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種を含む請求項3に記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化4】

〔式(4)において、R16は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表し、Aは単結合、カルボニル基又はカルボニルオキシ基を表し、Bは単結合又はイミノ基を表し、Dは単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。〕
【化5】

〔式(5)において、R17は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。〕
【化6】

〔式(6)において、R18は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のフッ素化アルキル基を表す。〕
【化7】

〔式(7)において、R19は水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表し、Pは単結合、カルボニル基又はカルボニルオキシ基を表し、Qは単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、脂環式の炭化水素基或いは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、R20及びR21は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基を表す。〕
【請求項5】
前記重合体(A)は、下記式(8)で表される繰り返し単位、及び下記式(9)で表される繰り返し単位を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の上層反射防止膜形成用組成物。
【化8】

【化9】

【請求項6】
(1)基板上にフォトレジスト膜を形成する工程と、
(2)請求項1乃至5のいずれかに記載の上層反射防止膜形成用組成物を用いて、前記フォトレジスト膜上に上層反射防止膜を形成する工程と、
(3)前記上層反射防止膜が形成された前記フォトレジスト膜の所用領域に放射線を照射し、露光する工程と、
(4)現像して前記上層反射防止膜を除去する工程と、を備えることを特徴とするレジストパターン形成方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−242303(P2008−242303A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85726(P2007−85726)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】