説明

上層膜用組成物及びレジストパターン形成方法

【課題】ウォーターマーク欠陥やBlob欠陥等を抑制することができる上層膜用組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(1)及び(2)で表される単位のいずれか、並びにそれ以外の特定の単位を有する重合体(A)を含む重合体と溶剤とを含有する上層膜用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上層膜用組成物に関し、更に詳しくは、リソグラフィーの微細化のために使用される液浸露光時に、フォトレジスト膜を保護し、フォトレジスト成分の溶出を抑え、投影露光装置のレンズが汚染されることを防止する上層膜を形成するのに有用な上層膜用組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等を製造する際に、フォトマスクとしてのレチクルのパターンを投影光学系を介して、フォトレジストが塗布されたウェハ上の各ショット領域に転写するステッパー型、又はステップアンドスキャン方式の投影露光装置が使用されている。
【0003】
投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い、露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。
【0004】
また、露光を行なう際には、解像度と同様に焦点深度も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の数式で表される。
R=k・λ/NA (i)
δ=k・λ/NA (ii)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k、kはプロセス係数を示す。同じ解像度Rを得る場合、露光波長が短い方が大きな焦点深度δを得ることができる。
【0005】
露光されるウェハ表面にはフォトレジスト膜が形成されており、このフォトレジスト膜にパターンが転写される。従来の投影露光装置では、ウェハが配置される空間は空気又は窒素で満たされている。ウェハと投影露光装置のレンズとの空間が屈折率nの媒体で満たされると、解像度R、焦点深度δは以下の数式で表されるようになる。
R=k・(λ/n)NA (iii)
δ=k・nλ/NA (iv)
【0006】
例えば、露光源としてArFエキシマレーザー(波長193nm)を、媒体として水(屈折率n=1.44)を使用した場合、空気又は窒素を媒体とする露光時と比較し、解像度Rは69.4%、焦点深度は144%となる。
【0007】
このように、ウェハと投影露光装置のレンズとの空間を屈折率nの媒体で満たして露光波長を短波長化し、より微細なパターンを転写する方法を液浸露光といい、リソグラフィーの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィーには、必須の技術と考えられ、その投影露光装置も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
液浸露光においては、ウェハ上に形成されたフォトレジスト膜と投影露光装置のレンズはそれぞれ液浸媒体と接触する。そのため、フォトレジスト膜に液浸媒体が浸透し、解像度が低下する場合がある。また、投影露光装置のレンズは、液浸媒体に溶出されたフォトレジスト膜を構成する成分により汚染される場合もある。
【0009】
この様な問題に対処するため、フォトレジスト膜と液浸媒体(例えば、水)を遮断する目的で、フォトレジスト膜上に上層膜を形成する方法がある。この上層膜は、露光波長に対して十分な透過性を有し、フォトレジスト膜とインターミキシングを起こすことなくフォトレジスト膜上に保護膜を形成することができ、更に液浸露光時に水等の液浸媒体に溶出されることなく安定な被膜を維持し、かつ現像液であるアルカリ液に容易に溶解される必要がある。
【0010】
また、通常の空気又は窒素を媒体とする環境下での使用を前提に設計されたレジストをそのまま液浸露光用のレジストとして使用することができることが求められている。そのためには、空気又は窒素を媒体とする環境下での使用を前提に設計されたレジストの性能を劣化させることなく、フォトレジスト膜を液浸媒体から保護可能な上層膜が必要となる。
【0011】
【特許文献1】特開平11−176727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の上層膜では、撥水性を上げ液浸露光時に介在する水が保護膜上に残留するのを防止し、レジストパターン上に液滴痕が残る欠陥(以下、「ウォーターマーク欠陥」という)を抑制することはできるが、より微小な溶け残り欠陥(以下、「Blob欠陥」という)が発生するという問題がある。Blob欠陥は、保護膜とフォトレジスト膜との界面において両者がインターミキシングを起こすことによって、局所的にフォトレジスト膜の現像液に対する溶解性が低下した結果、フォトレジスト膜が溶け残ることにより発生する。そのため、従来の上層膜ではウォーターマーク欠陥の発生を効果的に抑制することが期待できるものの、Blob欠陥が発生する場合があるという点において、未だ十分に満足できるものではなく、更なる改良が求められている。
【0013】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、短い露光波長(特に、248nm(KrFエキシマレーザー)や193nm(ArFエキシマレーザー))に対する十分な透過性を有しており、フォトレジスト膜と殆どインターミキシングを起こすことなくフォトレジスト膜上に被膜を形成することができ、液浸露光時の水等の液浸媒体に溶出されることなく安定な被膜を維持することができ、ウォーターマーク欠陥等の液浸露光プロセス由来の欠陥発生を効果的に抑制しつつ、高解像度のレジストパターンを形成することができ、Blob欠陥の発生も抑制することができる上層膜を形成することができる上層膜用組成物を提供することにある。
【0014】
また、その課題とするところは、高解像度のレジストパターンを形成することができるレジストパターンの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、上層膜用組成物に、所定の重合体成分と溶剤を含有させることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
また、フォトレジスト膜上に本発明の上層膜用組成物を用いて上層膜を形成することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明によれば、以下に示す上層膜用組成物及びレジストパターンの形成方法が提供される。
【0018】
[1]下記一般式(1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれか、並びに下記一般式(3−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(3−2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(3−3)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種、を有する重合体(A)を含む重合体成分と、溶剤と、を含有する上層膜用組成物。
【0019】
【化1】

【0020】
前記一般式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素置換されていても良い炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rはメチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。Mは、下記一般式(1−1)で表されるスルホニウムカチオンを示す。
【0021】
【化2】

【0022】
前記一般式(2)中、Rは、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の2価のヘテロ環状有機基、或いはR及びRの少なくともいずれかと結合して形成される前記一般式(2)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。但し、前記炭化水素基及び前記アリール基は置換基を有しても良い。R及びRは、相互に独立に、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基、或いはRを含めて何れか2つ又は3つ全てが相互に結合して形成される前記一般式(2)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。但し、前記アルキル基、前記炭化水素基及び前記アリール基は置換基を有しても良い。Mは、下記一般式(2−1)で表されるスルホン酸アニオンを示す。
【0023】
【化3】

【0024】
前記一般式(3−1)〜(3−3)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。また、前記一般式(3−1)及び(3−2)中のR、並びに前記一般式(3−1)中のRは、相互に独立に、メチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。
【0025】
【化4】

【0026】
前記一般式(1−1)中、R10〜R12は、相互に独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜60の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数3〜60の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していても良い炭素数6〜60のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基、或いは何れか2つ又は3つ全てが相互に結合して形成される前記一般式(1−1)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。
【0027】
【化5】

【0028】
前記一般式(2−1)中、R13は置換基を有していても良い炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していても良い炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基を示す。
【0029】
[2]前記重合体成分が、下記一般式(4−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(4−2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(4−3)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種、並びに下記一般式(5)で表される繰り返し単位、を有する重合体(B)を更に含む前記[1]に記載の上層膜用組成物。
【0030】
【化6】

【0031】
前記一般式(4−1)及び(4−3)中、R14は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、前記一般式(4−2)中、R17は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。前記一般式(4−1)〜(4−3)中、R15は単結合、メチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。前記一般式(4−3)中、R16は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数3〜10の脂環式のアルキル基を示す。前記一般式(4−2)中、Aは単結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を示す。
【0032】
【化7】

【0033】
前記一般式(5)中、R18は水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、R19は単結合、メチレン基、又は炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示す。
【0034】
[3]前記重合体(A)の含有割合が、前記重合体成分の合計に対して、5〜70質量%である前記[1]又は[2]に記載の上層膜用組成物。
【0035】
[4]基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程(1)と、前記フォトレジスト膜上に、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の上層膜用組成物を塗布して上層膜を形成する工程(2)と、前記上層膜とレンズとの間に液浸媒体を配設し、前記液浸媒体及びマスクを介して前記上層膜を露光した後、現像してレジストパターンを形成する工程(3)と、を含むレジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0036】
本発明の上層膜用組成物は、短い露光波長に対する十分な透過性を有しており、フォトレジスト膜と殆どインターミキシングを起こすことなくフォトレジスト膜上に被膜を形成することができ、液浸露光時の水等の液浸媒体に溶出されることなく安定な被膜を維持することができ、ウォーターマーク欠陥等の液浸露光プロセス由来の欠陥発生を効果的に抑制しつつ、高解像度のレジストパターンを形成することができ、Blob欠陥の発生も抑制することができる上層膜を形成することができるという効果を奏するものである。
【0037】
また、本発明のレジストパターンの形成方法によれば、高解像度のレジストパターンを形成することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルをいう。
【0039】
1.上層膜用組成物
本発明の上層膜用組成物は、所定の重合体成分と、溶剤とを含有するものである。本発明の上層膜用組成物は、所定の重合体成分を含有するので、短い露光波長(特に、248nm(KrFエキシマレーザー)や193nm(ArFエキシマレーザー))に対して十分な透過性を有し、フォトレジスト膜と殆どインターミキシングを起こすことなくフォトレジスト膜上に被膜を形成でき、液浸露光時の水等の液浸媒体に溶出されることなく安定な被膜を維持でき、ウォーターマーク欠陥等の液浸露光プロセス由来の欠陥発生を効果的に抑制しつつ、高解像度のレジストパターンを形成でき、Blob欠陥の発生も抑制することができる上層膜を形成することができる。
【0040】
1.1 重合体成分
重合体成分は、重合体(A)を含むものであり、重合体(B)を含むものであることが好ましい。また、重合体(A)及び重合体(B)以外の他の重合体(以下、「重合体(C)」という)を含むものであっても良い。重合体成分は重合体(A)を必須成分として含むのでレジストパターンの欠陥を低減させることができる。これは、重合体(A)がフォトレジスト膜と上層膜の界面に局在化し、フォトレジスト層中の脱保護が不十分な重合体の脱保護反応を促進させるからである。
【0041】
また、重合体成分として含まれる各重合体は、露光時に水等の液浸媒体に対して安定な上層膜を形成することが可能であるとともに、レジストパターンを形成するための現像液に溶解し得る重合体である。ここでいう、「液浸媒体に対して安定」とは、以下に示す「安定性評価試験」の結果、測定される膜厚の変化率が初期膜厚の3%以内であることをいう。
【0042】
(安定性評価試験)
(i)先ず、コータ/デベロッパ(1)(商品名:CLEAN TRACK ACT8、東京エレクトロン社製)を用い、8インチシリコンウェハ上に、上層膜用組成物をスピンコートし、90℃×60秒の条件で予備焼成(PB)を行うことにより、膜厚90nmの上層膜を形成する。この上層膜の膜厚(初期膜厚)を、光干渉式膜厚測定装置(商品名「ラムダエースVM−2010」、大日本スクリーン製造社製)を用いて測定する。
【0043】
(ii)次いで、上層膜が形成されたウェハの表面に、コータ/デベロッパ(1)のリンスノズルから超純水を60秒間吐出させた後、回転数4000rpmで15秒間振り切り、スピンドライする。このときの上層膜の膜厚を再度測定し、上層膜の膜厚変化(減少した膜厚)を算出する。初期膜厚に対する、減少した膜厚の比率から膜厚の変化率を算出することができる。
【0044】
また、「現像液に溶解する」とは、アルカリ性水溶液を用いた現像後のレジストパターン上に目視で残渣がなく、上層膜が除去されていることをいう。即ち、本発明の上層膜用組成物に含有される重合体成分は、水等の液浸媒体に対して殆ど溶解することなく、且つ露光後のアルカリ性水溶液を用いる現像時に、アルカリ性水溶液に溶解するアルカリ可溶性の重合体からなる。
【0045】
このような重合体成分を含有する上層膜用組成物により形成される上層膜は、液浸露光時にフォトレジスト膜と水等の液浸媒体とが直接接触することを防ぎ、液浸媒体の浸透によるフォトレジスト膜のリソグラフィー性能を劣化させることがなく、且つフォトレジスト膜から溶出される成分による投影露光装置のレンズの汚染を防止する作用がある。
【0046】
(重合体(A))
重合体(A)は、一般式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」という)及び一般式(2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2)」という)の少なくともいずれか、並びに一般式(3−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3−1)」という)、一般式(3−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3−2)」という)、及び一般式(3−3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3−3)」という)からなる群より選択される少なくとも1種を有するものである。
【0047】
【化8】

【0048】
一般式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素置換されていても良い炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rはメチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。Mは、一般式(1−1)で表されるスルホニウムカチオンを示す。
【0049】
【化9】

【0050】
一般式(2)中、Rは、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の2価のヘテロ環状有機基、或いはR及びRの少なくともいずれかと結合して形成される前記一般式(2)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。但し、炭化水素基及びアリール基は置換基を有しても良い。R及びRは、相互に独立に、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基、或いはRを含めて何れか2つ又は3つ全てが相互に結合して形成される一般式(2)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。但し、アルキル基、炭化水素基及びアリール基は置換基を有しても良い。Mは、下記一般式(2−1)で表されるスルホン酸アニオンを示す。
【0051】
【化10】

【0052】
一般式(3−1)〜(3−3)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。また、一般式(3−1)及び(3−2)中のR、並びに一般式(3−1)中のRは、相互に独立に、メチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。
【0053】
【化11】

【0054】
一般式(1−1)中、R10〜R12は、相互に独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜60の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数3〜60の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していても良い炭素数6〜60のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基、或いは何れか2つ又は3つ全てが相互に結合して形成される一般式(1−1)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。
【0055】
【化12】

【0056】
一般式(2−1)中、R13は置換基を有していても良い炭素数1〜60の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数3〜60の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していても良い炭素数6〜60のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基を示す。
【0057】
一般式(1)中、Rとして表される基のうち、フッ素置換されていても良い炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等がある。
【0058】
一般式(1)中、Rとして表される基は、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0059】
一般式(1)中、Rとして表される基として、具体的には、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、i−ペンチレン基、1,1−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、n−ヘキシレン基、i−ヘキシレン基等を挙げることができる。これらの中でも、メチルメチレン基が特に好ましい。
【0060】
一般式(2)中、Rとして表される基のうち、フッ素置換されていても良い炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等がある。
【0061】
一般式(2)中、Rとして表される基は、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0062】
一般式(2)中、Rとして表される基のうち、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、i−ペンチレン基、1,1−ジメチルプロピレン基、1−メチルブチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、i−ヘキシレン基、n−オクチレン基、i−オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、4−t−ブチルシクロヘキシレン基等がある。
【0063】
また、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基の置換基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等がある。具体的には、メトキシメチレン基、メチルチオメチレン基、エトキシメチレン基、エチルチオメチレン基、メトキシカルボニルメチレン基、エトキシカルボニルメチレン基、アセチルメチレン基、フルオロメチレン基、トリフルオロメチレン基、クロロメチレン基、トリクロロメチレン基、2−フルオロプロピレン基、(トリフルオロアセチル)メチレン基、(トリクロロアセチル)メチレン基、アミノメチレン基、(トリメチルシリル)メチレン基、2−アミノエチレン基等を挙げることができる。なお、これらの置換基は更に任意の置換基、例えば、直鎖状のアルキル基の置換基を1種以上有することもできる。
【0064】
一般式(2)中、R、Rとして表される基のうち、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基等がある。
【0065】
また、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基の置換基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等がある。具体的には、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロプロピル基、(トリフルオロアセチル)メチル基、(トリクロロアセチル)メチル基、アミノメチル基、(トリメチルシリル)メチル基、2−アミノエチル基等を挙げることができる。なお、これらの置換基は更に任意の置換基、例えば、直鎖状のアルキル基の置換基を1種以上有することもできる。
【0066】
更に、炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、1−フェナントリル基等がある。
【0067】
また、炭素数6〜30のアリール基の置換基としては、例えば、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等がある。なお、これらの置換基は更に任意の置換基を1種以上有することもできる。置換基を有している炭素数6〜30のアリール基として、具体的には、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヨードフェニル基等を挙げることができる。
【0068】
更に、非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピロリル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等がある。
【0069】
一般式(1−1)中、R10〜R12として表される基のうち、非置換(即ち、置換基を有していない)の炭素数1〜60の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基等がある。
【0070】
また、置換基を有している炭素数1〜60の直鎖状又は分岐状のアルキル基の置換基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等がある。具体的には、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロプロピル基、(トリフルオロアセチル)メチル基、(トリクロロアセチル)メチル基、アミノメチル基、(トリメチルシリル)メチル基、2−アミノエチル基等を挙げることができる。なお、これらの置換基は更に任意の置換基、例えば、直鎖状のアルキル基の置換基を1種以上有することもできる。
【0071】
更に、非置換(即ち、置換基を有していない)の炭素数3〜60の環状の1価の炭化水素基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネン骨格を有する基、ノルボルナン骨格を有する基、イソボルニル骨格を有する基、トリシクロデカン骨格を有する基、テトラシクロドデカン骨格を有する基、アダマンタン骨格を有する基等がある。
【0072】
また、置換基を有している炭素数3〜60の環状の1価の炭化水素基の置換基としては、前記炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基の置換基と同様のものを例示することができる。置換基を有している炭素数3〜60の環状の1価の炭化水素基として、具体的には、ベンジル基、フェノキシメチル基、(ペンタフルオロベンゾイル)メチル基、(シクロヘキシルアミノ)メチル基、(ジフェニルホスフィノ)メチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等を挙げることができる。
【0073】
更に、非置換(即ち、置換基を有していない)の炭素数6〜60のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、1−フェナントリル基等がある。
【0074】
また、置換基を有している炭素数6〜60のアリール基の置換基としては、例えば、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等がある。なお、これらの置換基は更に任意の置換基を1種以上有することもできる。置換基を有している炭素数6〜30のアリール基として、具体的には、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヨードフェニル基等を挙げることができる。
【0075】
更に、非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピロリル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等がある。
【0076】
一般式(2−1)中、R13として表される基のうち、非置換(即ち、置換基を有していない)の炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基等がある。
【0077】
また、置換基を有している炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基の置換基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等がある。具体的には、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロプロピル基、(トリフルオロアセチル)メチル基、(トリクロロアセチル)メチル基、アミノメチル基、(トリメチルシリル)メチル基、2−アミノエチル基等を挙げることができる。なお、これらの置換基は更に任意の置換基、例えば、直鎖状のアルキル基の置換基を1種以上有することもできる。
【0078】
更に、非置換(即ち、置換基を有していない)の炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネン骨格を有する基、ノルボルナン骨格を有する基、イソボルニル骨格を有する基、トリシクロデカン骨格を有する基、テトラシクロドデカン骨格を有する基、アダマンタン骨格を有する基等がある。
【0079】
また、置換基を有している炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基の置換基としては、前記炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基の置換基と同様のものを例示することができる。置換基を有している炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基として、具体的には、ベンジル基、フェノキシメチル基、(ペンタフルオロベンゾイル)メチル基、(シクロヘキシルアミノ)メチル基、(ジフェニルホスフィノ)メチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等を挙げることができる。
【0080】
更に、非置換(即ち、置換基を有していない)の炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、1−フェナントリル基等がある。
【0081】
また、置換基を有している炭素数6〜30のアリール基の置換基としては、例えば、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基や、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む原子数1〜30の基等がある。なお、これらの置換基は更に任意の置換基を1種以上有することもできる。置換基を有している炭素数6〜30のアリール基として、具体的には、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヨードフェニル基等を挙げることができる。
【0082】
更に、非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピロリル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等がある。
【0083】
一般式(3−1)及び(3−2)中、Rとして表される基、並びに一般式(3−1)中、Rとして表される基のうち、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、例えば、エチレン基;1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基等のプロピレン基;テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等がある。
【0084】
また、炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基としては、例えば、単環式炭化水素環基、架橋環式炭化水素環基等がある。単環式炭化水素環基として、具体的には、フェニレン基、トリレン基等のアリーレン基、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数4〜12のシクロアルキレン基等を挙げることができる。また、架橋環式炭化水素環基として、具体的には、1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の炭素数4〜12の2〜4環式炭化水素環基等を挙げることができる。
【0085】
繰り返し単位(3−1)を得るための単量体としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸3−メタクリロイルオキシプロピル、ヘキサヒドロフタル酸4−メタクリロイルオキシブチル等がある。また、繰り返し単位(3−2)を得るための単量体としては、例えば、シクロヘキサカルボン酸2−メタクリロイルオキシ、プロピルカルボン酸3−メタクリロイルオキシ等がある。更に、繰り返し単位(3−3)を得るための単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸がある。
【0086】
また、重合体(A)は、一般式(5−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(5−1)」という)、及び一般式(5−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(5−2)」という)のうちの少なくともいずれかを更に有することが好ましい。未露光領域のフォトレジスト膜と上層膜との界面では、現像時に上層膜が現像液に溶解しながら拡散する一方で、フォトレジスト膜は現像液に溶解せずに拡散し、現像後のリンス洗浄プロセスにおいて、現像液に拡散したフォトレジスト膜の成分である重合体がフォトレジスト膜上に再付着するという問題がある。しかし、重合体(A)が強酸性基を有する繰り返し単位(5−1)及び(5−2)のうちの少なくともいずれかを有する重合体である場合、フォトレジスト膜中の重合体が脱保護されて現像液に溶解するため、Blob欠陥(欠陥サイズ0.2μm以上)を防止することができるからである。
【0087】
【化13】

【0088】
一般式(5−1)及び(5−2)中、R18は、水素原子又はメチル基を示し、R19は、単結合、メチレン基、又は炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示す。
【0089】
一般式(5−1)及び(5−2)中、R19として表される基のうち、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、前記炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基と同様のものを例示することができる。
【0090】
繰り返し単位(5−1)又は(5−2)を得るための単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、4−ビニル−1−ベンゼンスルホン酸等がある。
【0091】
重合体(A)の含有割合は、重合体成分の合計に対して、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。含有割合が5質量%未満であると、Blob欠陥に対する十分な効果が得られない場合がある。一方、70質量%超であると、高撥水性を有する重合体(B)の高い後退接触角を維持することができなくなる場合がある。なお、本明細書にいう、「後退接触角」とは、各重合体の4−メチル−2−ペンタノール溶液を8インチシリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて、90℃×60秒の条件でPBを行い、膜厚90nmの塗膜を形成した際における、水との後退接触角をいう。
【0092】
後退接触角の測定方法として、具体的には、塗膜が形成されたウェハ上に、水を25μL滴下し、ウェハ上の水を10μL/minの速度で吸引した際の、液面とウェハとの接触角を、例えば、商品名「DSA−10」(KRUS社製)を用いて測定する方法を挙げることができる。
【0093】
(重合体(A)の物性)
重合体(A)は、膜形成した際の、水との後退接触角が、通常、60°未満のものであり、40°未満のものであることが好ましい。
【0094】
また、重合体(A)の重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、2000〜100000であることが好ましく、2500〜50000であることがより好ましく、3000〜20000であることが更に好ましい。Mwが2000未満であると、上層膜としての耐水性及び機械的特性が著しく低くなる場合がある。一方、100000超であると、溶剤に対する溶解性が著しく悪くなる場合がある。また、Mwと数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)との比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましい。なお、本明細書にいう「重量平均分子量」及び「数平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算による値をいう。
【0095】
(重合体(B))
重合体(B)は、一般式(4−1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4−1)」という)、一般式(4−2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4−2)」という)、及び一般式(4−3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4−3)」という)のうちの少なくとも1種、並びに一般式(5)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(5)」という)、を有するものである。
【0096】
【化14】

【0097】
一般式(4−1)及び(4−3)中、R14は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、一般式(4−2)中、R17は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。一般式(4−1)〜(4−3)中、R15は単結合、メチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。一般式(4−3)中、R16は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数3〜10の脂環式のアルキル基を示す。一般式(4−2)中、Aは単結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を示す。
【0098】
【化15】

【0099】
一般式(5)中、R18は水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、R19は単結合、メチレン基、又は炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示す。
【0100】
一般式(4−2)中、R17として表される基のうち、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基における少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたもの等がある。
【0101】
一般式(4−1)〜(4−3)中、R15として表される基のうち、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、及び炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基については、それぞれ、前記炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、及び前記炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基と同様のものを例示することができる。
【0102】
一般式(4−3)中、R16として表される基のうち、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基における少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたもの等がある。
【0103】
また、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数3〜10の脂環式のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等の脂環式アルキル基における少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたもの等がある。
【0104】
繰り返し単位(4−1)を得るための単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−[〔5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル〕ビシクロ[2.2.1]ヘプチル]エステル、(メタ)アクリル酸3−[〔8−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル〕テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル]エステル等がある。
【0105】
また、繰り返し単位(4−2)を得るための単量体としては、例えば、(モノフルオロメチル)アクリル酸、(ジフルオロメチル)アクリル酸、(トリフルオロメチル)アクリル酸、(モノフルオロエチル)アクリル酸、(ジフルオロエチル)アクリル酸、(トリフルオロエチル)アクリル酸、(テトラフルオロエチル)アクリル酸、(ペンタフルオロエチル)アクリル酸等がある。
【0106】
更に、繰り返し単位(4−3)を得るための単量体としては、例えば、[〔(トリフルオロメチル)スルホニル〕アミノ]エチル−1−メタクリレート、2−[〔(トリフルオロメチル)スルホニル〕アミノ]エチル−1−アクリレート、式(6−1)〜(6−6)で表される化合物等がある。
【0107】
【化16】

【0108】
一般式(5)中、R19として表される基のうち、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、前記炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基と同様のものを例示することができる。
【0109】
繰り返し単位(5)を得るための単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、4−ビニル−1−ベンゼンスルホン酸等がある。
【0110】
重合体(B)の含有割合は、重合体成分の合計に対して、20〜95質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることが更に好ましい。含有割合が20質量%未満であると、後退接触角を69°以上に維持することができない場合がある。一方、95質量%超であると、Blob欠陥を軽減することができない場合がある。
【0111】
また、重合体(A)と重合体(B)の質量比(重合体(A)/重合体(B))は、0.05以上であることが好ましく、0.05〜2.33であることがより好ましく、0.10〜1.00であることが更に好ましい。質量比が0.05未満であると、Blob欠陥に対する十分な効果が得られない場合がある。一方、2.33超であると、高撥水性を有する重合体(B)の後退接触角が維持できなくなり、高速のスキャンスピードに対応できなくなる場合がある。
【0112】
(重合体(B)の物性)
重合体(B)は、後退接触角が65°以上のものであることが好ましく、69°以上のものであることが更に好ましい。重合体(A)の後退接触角は、重合体(B)に比べ低い。そのため、重合体(A)と重合体(B)とをブレンドした場合、重合体(B)を重合体(A)の上に偏在化させることができ、その偏在化により機能を分担させることができる。即ち、上層膜上部に偏在する高撥水性を有する重合体(B)は、後退接触角が低下せず液滴残りに伴うウォーターマーク欠陥を防止し、重合体(A)は上層膜下部(レジスト膜と上層膜との界面)に偏在することでインターミキシングによる溶解性の低下を抑制し、Blob欠陥を低減させることができる。そのため従来のウォーターマーク欠陥に加え、Blob欠陥も防止することができる。
【0113】
また、重合体(B)のMwは、2000〜100000であることが好ましく、2500〜50000であることがより好ましく、3000〜20000であることが更に好ましい。Mwが2000未満であると、上層膜としての耐水性及び機械的特性が著しく低くなる場合がある。一方、100000超であると、溶媒に対する溶解性が著しく悪くなる場合がある。また、MwとMnとの比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
【0114】
(重合体(C))
重合体(C)を重合体成分として更に含む場合、Blob欠陥をより低減化することができるとともに、後退接触角が72°以上という高撥水性を実現することができる。
【0115】
重合体(C)としては、例えば、メタクリル酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)エステル・メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル共重合体、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)エステル・メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル共重合体等がある。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0116】
重合体(C)の含有割合は、重合体成分の合計に対して、3〜50質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることが更に好ましい。含有割合がこの範囲にあることで、後退接触角を72°以上に維持することができる。
【0117】
(重合体(C)の物性)
重合体(C)は、後退接触角が75°以上のものであることが好ましく、80°以上のものであることが更に好ましい。
【0118】
また、重合体(C)のMwは、2000〜100000であることが好ましく、2500〜50000であることがより好ましく、3000〜20000であることが更に好ましい。Mwが2000未満であると、上層膜としての耐水性及び機械的特性が著しく低くなる場合がある。一方、100000超であると、溶媒に対する溶解性が著しく悪くなる場合がある。また、MwとMnとの比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
【0119】
(重合体成分の調製方法)
重合体成分の調製方法は特に限定されないが、例えば、適宜選択された重合開始剤や連鎖移動剤の存在下、重合溶媒中で、対応するラジカル重合性単量体をラジカル重合させることによって調製することができる。
【0120】
重合溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等のエステル類がある。これらの中でも、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類等が好ましい。なお、これらの重合溶媒は、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0121】
また、重合体成分は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど好ましい。不純物を少なくすることにより、上層膜としての塗布性とアルカリ現像液への均一な溶解性を更に改善することができる。重合体成分を精製する方法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外濾過、遠心分離等の物理的精製法を組み合わせる等の方法がある。
【0122】
1.2 溶剤
本発明の上層膜用組成物には、重合体成分を溶解させることを目的として溶剤が含有される。溶剤は、フォトレジスト膜上に塗布する際に、フォトレジスト膜とインターミキシングを発生する等の、リソグラフィー性能を劣化させることが殆どないものを好適に使用することができる。
【0123】
溶剤としては、例えば、1価アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、環状エーテル類、高級炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、水等がある。
【0124】
より具体的には、1価アルコール類としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール等の炭素数4〜10の1価アルコールを挙げることができる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることができる。
【0125】
多価アルコールのアルキルエーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。
【0126】
多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類としては、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。エーテル類としては、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテルを挙げることができる。
【0127】
環状エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができる。高級炭化水素類としては、デカン、ドデカン、ウンデカン等を挙げることができる。芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等を挙げることができる。
【0128】
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等を挙げることができる。
【0129】
これらの中でも、1価アルコール類、エーテル類、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、高級炭化水素類が好ましく、炭素数4〜10のアルコール及び炭素数4〜10のアルキル鎖を有するアルキルエーテルの少なくともいずれかが更に好ましい。
【0130】
1.3 添加剤
本発明の上層膜用組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させる目的で界面活性剤等の添加剤を更に含有させることもできる。
【0131】
界面活性剤としては、例えば、全て商品名で、BM−1000、同1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子社製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)、エマルゲンA−60、104P、306P(以上、花王社製)等がある。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0132】
界面活性剤の配合量は、重合体成分の合計量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。
【0133】
2.レジストパターンの形成方法
本発明のレジストパターンの形成方法は、基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」という)と、形成したフォトレジスト膜に、上層膜用組成物を塗布して上層膜を形成する工程(以下「工程(2)」という)と、形成した上層膜とレンズとの間に液浸媒体を配設し、液浸媒体と所定のパターンを有するマスクとを介してフォトレジスト膜及び上層膜を露光し、次いで、現像することによってフォトレジストパターンを形成する工程(以下、「工程(3)」という)と、を含む方法である。このような方法によれば、短い露光波長(特に、248nm(KrFエキシマレーザー)や193nm(ArFエキシマレーザー))に対する十分な透過性を有し、フォトレジスト膜と殆どインターミキシングを起こすことのない上層膜をフォトレジスト膜上に形成することができる。更には、液浸露光の際に、水等の液浸媒体に極めて溶出し難く安定な被膜を維持することができ、高解像度のレジストパターンを形成することができる。
【0134】
2.1 工程(1)
工程(1)は、基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程である。基板としては、通常、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆したシリコンウェハ等が用いられる。この基板の表面には、フォトレジスト膜の特性を最大限に引き出すため、予め、例えば、特公平6−12452号公報に記載されている有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくことも好ましい。
【0135】
フォトレジスト組成物の種類は、特に制限されるものではなく、従来、フォトレジスト膜を形成するために用いられていた中から、レジストの使用目的に応じて適宜選択して使用すれば良い。但し、感放射線性酸発生剤を含有する化学増幅型のレジスト組成物、特に、ポジ型レジスト組成物を用いることが好ましい。
【0136】
化学増幅型のポジ型レジスト組成物としては、例えば、酸解離性基修飾重合体と、感放射線性酸発生剤とを必須成分として含有する感放射線性の重合体組成物等がある。このような重合体組成物は、露光により感放射線性酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸の作用によって、重合体の酸性基(例えば、カルボキシル基)を保護していた酸解離性基が解離して、酸性基が露出する。酸性基が露出することにより、フォトレジスト膜の露光部のアルカリ溶解性が高くなり、その露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。
【0137】
酸解離性基修飾重合体としては、例えば、(i)繰り返し単位(M−1)、繰り返し単位(M−2)、及び繰り返し単位(M−3)を含有する重合体、(ii)繰り返し単位(M−1)、繰り返し単位(M−2)、及び繰り返し単位(M−4)を含有する重合体、並びに(iii)繰り返し単位(M−1)、繰り返し単位(M−3)、及び繰り返し単位(M−5)を含有する重合体等がある。
【0138】
【化17】

【0139】
感放射線性酸発生剤は、放射線照射(露光)により酸を発生し、その発生した酸の作用によって、重合体の酸性基(例えば、カルボキシル基)を保護していた酸解離性基を解離させて、酸性基を露出させるものである。具体的には、トリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニル・ジフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート等を挙げることができる。なお、これらの感放射線性酸発生剤は、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0140】
フォトレジスト組成物が、酸解離性基修飾重合体と感放射線性酸発生剤とを含有するものである場合、酸解離性基修飾重合体中の酸解離性基を有する繰り返し単位の含有割合は、酸解離性基修飾重合体の全繰り返し単位に対して、40〜60mol%であることが好ましい。含有割合が40mol%未満であると、レジストとしての解像度が低下する場合がある。一方、60mol%超であると、上層膜剥離後のレジスト膜厚が極度に減少する場合がある。
【0141】
フォトレジスト組成物は、例えば、組成物溶液を調製して基板上に塗布する。組成物溶液は、全固形分濃度が0.2〜20質量%となるように調整されたフォトレジスト組成物の溶液を、孔径30nm程度のフィルターで濾過することにより調製することができる。なお、この組成物溶液は、自ら調製しても良く、市販の調製された組成物溶液を使用しても良い。
【0142】
組成物溶液を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の従来公知の方法を用いることができる。なお、フォトレジスト膜を形成する際、溶媒を揮発させるために予備焼成(以下、「PB」という)を行っても良い。
【0143】
2.2 工程(2)
工程(2)は、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜の表面上に、本発明の上層膜用組成物を塗布し、好ましくは再度焼成することにより上層膜を形成する工程である。
【0144】
上層膜用組成物を塗布する方法は特に制限されるものではなく、例えば、工程(1)で行ったフォトレジスト組成物を塗布する方法と同様にして行うことができる。
【0145】
上層膜を形成することによって、露光の際に液浸媒体がフォトレジスト膜と直接接触することが防止され、液浸媒体の浸透によってフォトレジスト膜のリソグラフィー性能が低下したり、フォトレジスト膜から溶出される成分により投影露光装置のレンズが汚染されたりする事態を効果的に防止することができる。
【0146】
上層膜の厚さは、フォトレジスト膜の上側界面における反射抑制効果が大きくするため、λ/4m(但し、λ:放射線の波長、m:上層膜の屈折率)の奇数倍にできる限り近づけることが好ましい。
【0147】
2.3 工程(3)
工程(3)は、上層膜とレンズとの間に液浸媒体を配設し、この液浸媒体と所定のパターンを有するマスクとを介してフォトレジスト膜及び上層膜を露光し、次いで現像することによってレジストパターンを形成する工程である。液浸媒体としては、通常、空気より屈折率の高い液体が使用される。具体的には、水を用いることが好ましく、純水を用いることが更に好ましい。なお、必要に応じて液浸媒体のpHを調整しても良い。
【0148】
露光の際には、液浸媒体を介在させた状態で(即ち、露光装置のレンズとフォトレジスト膜との間に液浸媒体を満たした状態で)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、フォトレジスト膜を露光する。液浸露光の際に使用することができる放射線は、使用されるフォトレジスト膜や上層膜の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザー等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線等の各種放射線を用いることができる。これらの中でも、ArFエキシマレーザー(波長193nm)又はKrFエキシマレーザー(波長248nm)を用いることが好ましい。なお、放射線量等の露光条件は、フォトレジスト組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0149】
フォトレジスト膜の解像度、パターン形状、及び現像性等を向上させるために、露光後に焼成(PEB)を行うことが好ましい。その焼成温度は、使用されるフォトレジスト組成物の種類等によって適宜調節されるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
【0150】
露光後又はPEB後に現像を行い、必要に応じて洗浄すれば、所望のフォトレジストパターンを形成することができる。上層膜は、本発明の上層膜用組成物を用いて形成されている。従って、この上層膜は、別途の剥離工程によって除去する必要はなく、現像中又は現像後の洗浄中に容易に除去することができる。なお、現像に際しては、通常、アルカリ性の現像液が使用される。
【0151】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類;ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液を使用することが好ましい。これらの中でも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液を好適に用いることができる。
【0152】
また、現像液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類をはじめとする水溶性有機溶媒や、界面活性剤を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液を用いて現像した場合には、通常、現像後に水洗する。また、現像又は必要に応じて行う水洗した後に適宜乾燥すれば、目的とするフォトレジストパターンを形成することができる。
【実施例】
【0153】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。尚、実施例の記載における「部」は、特記しない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
【0154】
[重合体溶液の固形分濃度(%)]:重合体溶液0.3gをアルミ皿に計量し、ホットプレート上で140℃で1時間加熱した後、重合体溶液の加熱前の質量と残渣(加熱後)の質量により算出した。
【0155】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]:東ソー社製の高速GPC装置(型式「HLC−8120」)に、東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」;2本、「G3000HXL」;1本、「G4000HXL」;1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0156】
[Mw/Mn]:測定したMwとMnの値から算出した。
【0157】
[繰り返し単位の含有率(%)]:日本電子社製「JNM−EX270」を用い、H−NMRの測定結果から算出した。
【0158】
[重合体を用いて形成した膜と水との後退接触角(°)]:上層膜が形成されたウェハ上に、水を25μL滴下し、ウェハ上の水を10μL/minの速度で吸引した際の、液面とウェハとの接触角を、商品名「DSA−10」(KRUS社製)を用いて測定した。
【0159】
[Blob欠陥の評価]:現像後、上層膜の溶け残りの程度を、商品名「KLA2351」(KLAテンコール社製)を用いてBlob欠陥を測定した。Blob欠陥の評価は、検出された現像剥離欠陥(Blob欠陥)が200個以下の場合を「○」と評価し、200個を超えた場合を「×」と評価した。
【0160】
(フォトレジスト組成物の調製)
1.酸解離性基修飾重合体の調製
(合成例1)
繰り返し単位(M−1)を構成するための化合物53.93g(50mol%)、繰り返し単位(M−2)を構成するための化合物35.38g(40mol%)、繰り返し単位(M−3)を構成するための化合物10.69g(10mol%)を、200gの2−ブタノンに溶解させ、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.58gを投入して単量体溶液(1)を調製した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三つ口フラスコに100gの2−ブタノンを投入し、30分窒素パージした。窒素パージ後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱し、滴下漏斗を用い、予め調製しておいた単量体溶液(1)を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入し、析出した白色粉末を濾別した。濾別した白色粉末を、400gのメタノールにて2度洗浄した。その後、再度濾別し、50℃にて17時間乾燥させて、白色粉末の酸解離性基修飾重合体(1)を得た(74g、収率74%)。
【0161】
得られた酸解離性基修飾重合体(1)は、Mwが6900であり、Mw/Mnが1.70であり、13C−NMR分析の結果、繰り返し単位(M−1)、(M−2)及び(M−3)の含有率は、それぞれ、53.0:37.2:9.8(mol%)であった。なお、酸解離性基を含む繰り返し単位の含有量は37.2mol%であった。
【0162】
【化18】

【0163】
(合成例2)
繰り返し単位(M−1)を構成するための化合物47.54g(46mol%)、繰り返し単位(M−2)を構成するための化合物12.53g(15mol%)、繰り返し単位(M−4)を構成するための化合物39.93g(39mol%)を200gの2−ブタノンに溶解させ、更に2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4.08gを投入して単量体溶液(2)を調製した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた1000mLの三つ口フラスコに100gの2−ブタノンを投入して、30分窒素パージした。窒素パージ後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱し、滴下漏斗を用い、予め調製しておいた単量体溶液(2)を3時間かけて滴下した。滴下開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入し、析出した白色粉末を濾別した。濾別した白色粉末を、400gのメタノールにて2度洗浄した。その後、再度濾別し、50℃にて17時間乾燥させて、白色粉末の酸解離性基修飾重合体(2)を得た(73g、収率73%)。
【0164】
得られた酸解離性基修飾重合体(2)は、Mwが5700であり、Mw/Mnが1.70であり、13C−NMR分析の結果、繰り返し単位(M−1)、(M−2)及び(M−4)の含有率は、それぞれ、51.4:14.6:34.0(mol%)であった。なお、酸解離性基を含む繰り返し単位の合計の含有量は48.6mol%であった。
【0165】
【化19】

【0166】
2.フォトレジスト組成物の組成物溶液の調製
得られた酸解離性基修飾重合体(1)及び(2)、感放射線性酸発生剤(E)、酸拡散制御剤(F)及び溶剤(G)を表1に示す配合量で混合して、その全固形分濃度を0.2〜20%に調整した。その後、得られた溶液を、孔径30nm程度のフィルターで濾過することにより、フォトレジスト組成物の組成物溶液を調製した。
【0167】
【表1】

【0168】
なお、表1に示すフォトレジスト組成物に含有される酸解離性基修飾重合体(1)及び(2)以外の成分の詳細を以下に示す。
【0169】
[感放射線性酸発生剤(E)]
(E−1):トリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(E−2):1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
【0170】
[酸拡散制御剤(F)]
(F−1):R−(+)−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジンメタノール
【0171】
[溶剤(G)]
(G−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(G−2):シクロヘキサノン
【0172】
(上層膜用組成物の調製)
(合成例3)
窒素雰囲気下の2Lの反応器に、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブタン−1−オール151g(0.67mol)、アセトニトリル600mL、水600mL、炭酸水素ナトリウム112g(1.33mol/2.0当量)、亜ジチオン酸ナトリウム235g(1.35mol/2.0当量)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液をアセトニトリル500mLで4回抽出し、得られた有機層を留去することによって、化合物(i)を得た。
【0173】
得られた化合物(i)を120g(0.52mol)、水650mL、30%過酸化水素水74g(0.65mol/1.26当量)、タングステン酸二ナトリウム0.171g(0.00058mol/0.0011当量)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧下で加温して、揮発成分を留去させた後、乾固させて化合物(ii)を得た。
【0174】
得られた化合物(ii)121g(純度78%、0.38mol)をジクロロメタン560gを用いて懸濁させ、トリフェニルスルホニウムクロリドの水溶液(トリフェニルスルホニウムクロリド115g(0.385mol/1.01当量)及び水450gを室温で滴下した。この二層に分離した反応液を室温で激しく90分攪拌した後、有機層を分離し、得られた有機層を水250mLで4回洗浄した。有機層から揮発成分を留去し、乾固させて化合物(iii)を得た。
【0175】
得られた化合物(iii)451g(0.92mol)、クロロホルム1.92kg、メタクリル酸無水物177g(1.15mol/1.24当量)、メタンスルホン酸53.7g(0.00056mol/0.00061当量)、及び商品名「ノンフレックスMBP」(精工化学社製)(2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)0.65gを加え、45℃で6時間加熱攪拌した。反応液を冷却後、水1.5kgで7回洗浄した。有機層から揮発成分を減圧下で加熱して留去して液体を得、得られた液体をジイソプロピルエーテル250gで3回洗浄した後、乾燥させて化合物(iv)を得た。
【0176】
得られた化合物(iv)89.68g(85mol%)、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル46.95g(85mol%)、及び開始剤(2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル))6.91gをイソプロパノール50gに溶解させて単量体溶液(3)を調製した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三つ口フラスコにイソプロパノール100gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージ後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱し、滴下漏斗を用い、予め調製しておいた単量体溶液(3)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を行った後、30℃以下に冷却して、重合液を得た。得られた重合液を水2400gに投入して生じた析出物を回収し、室温・減圧条件下にて24時間乾燥させて樹脂粉末を得た。得られた樹脂粉末をメタノール1000gに溶解させて分液漏斗に移し、n−ヘキサン2000gと水400gを加えて分離させた後、下層を回収した。その後、下層を濃縮して100gとし、4−メチル−2−ペンタノールに置換して上層膜用組成物の溶液(A−1)を得た。なお、上層膜用組成物の溶液(A−1)に含まれる上層膜用組成物(a−1)は式(7)で表される繰り返し単位を有している。
【0177】
【化20】

【0178】
(合成例4)
上層膜用組成物の溶液(A−2)を以下の方法で製造した。合成過程を以下に示す。
【0179】
【化21】

【0180】
窒素雰囲気下の三口フラスコ(スターラーチップ・滴下ロート装備)に20.9g(200mmol)の化合物(m−1)及びジクロロメタン160mLを投入した。このジクロロメタン溶液を0℃に冷却し、30.4g(300mmol)のトリエチルアミンを入れて攪拌した後、37.8g(220mmol)の2−ヨウ化エタノールを30分かけて滴下した。反応溶液を室温まで昇温して2時間攪拌した後、反応溶液を300mLの飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタン層を分液ロートで抽出した。残った水層をジクロロメタン200mLで2回抽出した。抽出したジクロロメタン層を合わせて留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより分離精製して、化合物(m−2)を得た。
【0181】
化合物(m−3)5.0g、化合物(m−4)4.9g、イオン交換水30mL、及びクロロホルム40mLを三口フラスコに入れ1時間攪拌した。反応溶液から有機層を抽出し、イオン交換水で3回洗浄した後、有機溶媒を留去して化合物(m−5)を得た。
【0182】
窒素雰囲気下の三口フラスコ(スターラーチップ・滴下ロート装備)に、化合物(m−5)9.3g、炭酸カリウム3.3g、及びジメチルホルムアミド50mLを入れて30分攪拌した。化合物(m−2)4.2gを入れた後、反応溶液を80℃で5時間攪拌した。反応溶液を150mLのイオン交換水に注ぎ、有機層を酢酸エチルで3回抽出した。抽出した有機層を3度イオン交換水で洗浄した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーにより分離精製して、化合物(m−6)を得た。
【0183】
得られた化合物(m−6)89.68g、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル46.95g、及び開始剤(2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル))6.91gをイソプロパノール50gに溶解させて単量体溶液(4)を調製した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三つ口フラスコにイソプロパノール100gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージ後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め調製しておいた単量体溶液(4)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を行った後、30℃以下に冷却して重合液を得た。得られた重合液を水2400gに投入して生じた析出物を回収し、室温・減圧条件下にて24時間乾燥させて樹脂粉末を得た。得られた樹脂粉末をメタノール1000gに溶解させた後、分液漏斗に移し、n−ヘキサン2000gと水400gを加えて精製を行い、下層を回収した。その後、下層を濃縮して100gとし、4−メチル−2−ペンタノールに置換して上層膜用組成物の溶液(A−2)を得た。なお、上層膜用組成物の溶液(A−2)に含まれる上層膜用組成物(a−2)は式(8)で表される繰り返し単位を有している。
【0184】
【化22】

【0185】
(合成例5)
メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル46.95g(85mol%)、及び開始剤(2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル))6.91gをイソプロパノール100gに溶解させて単量体溶液(5)を調製した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージ後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め調製しておいた単量体溶液(5)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を行い、ビニルスルホン酸3.05g(15mol%)のイソプロパノール溶液10gを30分かけて滴下した。その後、更に1時間反応を行った後、30℃以下に冷却して、共重合液を得た。得られた共重合液を150gに濃縮した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール50gとn−ヘキサン600gを投入して分離させた後、下層液を回収した。この下層液をイソプロパノールで希釈して100gとし、再度、分液漏斗に移した。メタノール50gとn−ヘキサン600gを分液漏斗に投入して、分離させた後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、全量を250gに調整した。調整後、水250gを加えて分離させた後、上層液を回収した。次いで、回収した上層液を、4−メチル−2−ペンタノールに置換して上層膜用組成物の溶液(B−1)を得た。なお、上層膜用組成物の溶液(B−1)に含まれる上層膜用組成物(b−1)は式(9)で表される繰り返し単位を有している。
【0186】
【化23】

【0187】
上層膜用組成物(b−1)のMwは9760であり、Mw/Mnは1.51であり、収率は65%であった。また、この上層膜用組成物(b−1)の、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステルに由来する繰り返し単位の含有率は95mol%であり、ビニルスルホン酸に由来する繰り返し単位の含有率は5mol%であった。なお、上層膜用組成物の溶液(B−1)を用いて膜を形成した際における水との後退接触角は69.0°であった。
【0188】
(合成例6)
2,2−アゾビス(2−メチルイソプロピオン酸メチル)25.0gをメチルエチルケトン25.0gに溶解させて単量体溶液(6)を調製した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた2000mLの三つ口フラスコに、メタクリル酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)エステル104.6g、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル195.4g、及びメチルエチルケトン575.0gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージ後、フラスコ内をマグネティックスターラーで撹拌しながら80℃になるように加熱した。滴下漏斗を用い、予め調製しておいた単量体溶液(6)を5分かけて滴下し、6時間攪拌した。その後、30℃以下に冷却して共重合液を得た。得られた共重合液を600gに濃縮し、分液漏斗に移した。この分液漏斗に、メタノール193g及びn−ヘキサン1542gを投入して分離させた後、下層液を回収した。回収した下層液にメチルエチルケトン117g及びn−ヘキサン1870gを投入して分離させた後、下層液を回収した。更に回収した下層液にメタノール93g、メチルエチルケトン77g、及びn−ヘキサン1238gを投入して分離させた後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、この溶液を蒸留水にて洗浄して再度4−メチル−2−ペンタノールに置換することで、上層膜用組成物の溶液(C−1)を得た。なお、上層膜用組成物の溶液(C−1)に含まれる上層膜用組成物(c−1)は式(10)で表される繰り返し単位を有している。
【0189】
【化24】

【0190】
上層膜用組成物(c−1)のMwは10200であり、Mw/Mnは1.65であり、収率は65%であった。また、この上層膜用組成物(c−1)の、メタクリル酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)エステルに由来する繰り返し単位の含有率は39.5mol%であり、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステルに由来する繰り返し単位の含有率は60.5mol%であった。なお、組成物溶液(C−1)を用いて膜を形成した際における水との後退接触角は82.0°であった。
【0191】
(実施例1)
重合体成分として上層膜用組成物の溶液(A−1)20部、上層膜用組成物の溶液(B−1)80部、溶剤(D)として4−メチル−2−ペンタノール2800部を混合し、2時間撹拌した後、孔径200nmのフィルターで濾過することにより、固形分濃度4%の上層膜用組成物の組成物溶液(1)を調製した。
【0192】
予め「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン社製)を用いて、100℃×60秒の処理条件でヘキサメチルジシラザン処理を行った8インチシリコンウェハを用意した。この8インチシリコンウェハ上に、フォトレジスト組成物の組成物溶液をスピンコートし、ホットプレート上で90℃×60秒の条件でPBを行い、膜厚120nmのフォトレジスト膜を形成した。このフォトレジスト膜上に、上層膜用組成物の組成物溶液(1)をスピンコートし、PB(90℃×60秒の条件)を行って膜厚90nmの上層膜を形成した。その後、パターンが形成されていない擦りガラスを介して露光を行った。その後、8インチシリコンウェハの上層膜上に商品名「CLEAN TRACK ACT8」のリンスノズルから超純水を60秒間吐出させ、4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライを行った。次に、商品名「CLEAN TRACK ACT8」のLDノズルによってパドル現像を60秒間行い、上層膜を除去した。なお、このパドル現像では、現像液として2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を使用した。上層膜用組成物の組成物溶液(1)を用いて形成した上層膜のBloB欠陥の評価は「○」であった。
【0193】
(実施例2〜4、及び比較例1)
重合体成分及び溶剤(D)の配合処方を、表2に示すこととしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4、及び比較例1の上層膜用組成物の組成物溶液を調製し、それらを用いて形成した上層膜のBloB欠陥の評価を行った。結果を表2に示す。
【0194】
【表2】

【0195】
表2から明らかなように、実施例1〜4の上層膜用組成物の組成物溶液を用いて形成された上層膜は、Blob欠陥の評価は「○」であり、比較例1の上層膜用組成物の組成物溶液を用いて形成された上層膜に比べ、Blob欠陥が改良されていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明の上層膜用組成物は、重合体成分として重合体(A)を含有するものであるため、液浸露光時にフォトレジスト膜を保護し、水等の液浸媒体に溶出することなく安定な被膜を維持し、ウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥等の欠陥の発生を効果的に抑制し、高解像度のレジストパターンを形成可能であり、かつ、十分に高い後退接触角を有する上層膜を形成することができる。そのため、今後、高速のスキャンスピードによるレジストパターン形成においても、ウォーターマーク欠陥等の欠陥の発生を効果的に抑制することができる。従って、本発明の上層膜用組成物は、液浸露光に好適に使用可能な上層膜を形成することができ、今後、更に微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造工程において極めて好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれか、並びに
下記一般式(3−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(3−2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(3−3)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種、を有する重合体(A)、を含む重合体成分と、
溶剤と、を含有する上層膜用組成物。
【化1】

(前記一般式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素置換されていても良い炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rはメチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。Mは、下記一般式(1−1)で表されるスルホニウムカチオンを示す。)
【化2】

(前記一般式(2)中、Rは、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の2価のヘテロ環状有機基、或いはR及びRの少なくともいずれかと結合して形成される前記一般式(2)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。但し、前記炭化水素基及び前記アリール基は置換基を有しても良い。R及びRは、相互に独立に、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基、或いはRを含めて何れか2つ又は3つ全てが相互に結合して形成される前記一般式(2)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。但し、前記アルキル基、前記炭化水素基及び前記アリール基は置換基を有しても良い。Mは、下記一般式(2−1)で表されるスルホン酸アニオンを示す。)
【化3】

(前記一般式(3−1)〜(3−3)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。また、前記一般式(3−1)及び(3−2)中のR、並びに前記一般式(3−1)中のRは、相互に独立に、メチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。)
【化4】

(前記一般式(1−1)中、R10〜R12は、相互に独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜60の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数3〜60の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していても良い炭素数6〜60のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基、或いは何れか2つ又は3つ全てが相互に結合して形成される前記一般式(1−1)中のイオウカチオンを含む環状の基を示す。)
【化5】

(前記一般式(2−1)中、R13は置換基を有していても良い炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数3〜30の環状の1価の炭化水素基、置換基を有していても良い炭素数6〜30のアリール基、又は非置換の原子数4〜30の1価のヘテロ環状有機基を示す。)
【請求項2】
前記重合体成分が、
下記一般式(4−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(4−2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(4−3)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種、並びに
下記一般式(5)で表される繰り返し単位、を有する重合体(B)を更に含む請求項1に記載の上層膜用組成物。
【化6】

(前記一般式(4−1)及び(4−3)中、R14は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、前記一般式(4−2)中、R17は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。前記一般式(4−1)〜(4−3)中、R15は単結合、メチレン基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基を示す。前記一般式(4−3)中、R16は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数3〜10の脂環式のアルキル基を示す。前記一般式(4−2)中、Aは単結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を示す。)
【化7】

(前記一般式(5)中、R18は水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、R19は単結合、メチレン基、又は炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示す。)
【請求項3】
前記重合体(A)の含有割合が、
前記重合体成分の合計に対して、5〜70質量%である請求項1又は2に記載の上層膜用組成物。
【請求項4】
基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程(1)と、
前記フォトレジスト膜上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の上層膜用組成物を塗布して上層膜を形成する工程(2)と、
前記上層膜とレンズとの間に液浸媒体を配設し、前記液浸媒体及びマスクを介して前記上層膜を露光した後、現像してレジストパターンを形成する工程(3)と、を含むレジストパターン形成方法。

【公開番号】特開2009−275155(P2009−275155A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128928(P2008−128928)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】