説明

上掛け具のずれ防止兼カバー具

【課題】上掛け具の衛生状態を保持しつつ、敷き具に上掛け具を簡単に固定して、敷き具に対する上掛け具の位置ずれを効果的に防止できると共に、上掛け具を簡単にカバーできる、上掛け具のずれ防止兼カバー用具を提供する。
【解決手段】この上掛け具のずれ防止兼カバー具は、敷き具20と上掛け具10の間に配置されて、上掛け具10が敷き具20に対してずれるのを防止すると共に、上掛け具10をカバーして汚れを防止するもので、アッパーシーツ30と、敷き具20の下面又は間に挟み込まれると共に、アッパーシーツ30の下辺部32に着脱可能に取付けられる固定板50とを備え、アッパーシーツ30は、上掛け具10の上辺部で折り返されて、同上掛け具10の外側に被せることが可能な長さとされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時に、掛け布団や毛布等の上掛け具が、敷き布団やベッドのマットレス等の敷き具に対してずれることを防止すると共に、上掛け具をカバーすることができる、上掛け具のずれ防止兼カバー具に関する。
【背景技術】
【0002】
敷き布団やベッドのマットレス等の敷き具と、掛け布団、毛布、タオルケット等の上掛け具とからなる寝具は、就寝時の寝返りや寝相によって、上掛け具が引張られたり、めくれたり、丸まったりして、敷き具に対して上掛け具が位置ずれしてしまうことが多く、寝冷えや安眠の妨げとなるという問題があった。
【0003】
このような上掛け具の位置ずれを防止するために、様々なものが提案されている。例えば、下記特許文献1には、掛布団の上面側に載置される上掛けであって、前記掛布団の首側の下面に折り込まれる首側折込部と、敷布団の足側の下面に折り込まれる足側折込部とを有する、上掛けが記載されている。この上掛けを実際に使用する場合には、掛布団の上面に上掛けを被せた後、首側折折込部を折り返して、掛布団の首側の下面に折り込むと共に、足側折込部を折り返して、敷布団の足側の下面に折込むことで、上掛けを介して、掛布団の位置ずれが抑制されるようになっている。
【0004】
また、下記特許文献2には、掛け布団の足下部から帯状部が延設されると共に、敷き布団の足下部から帯状部が延設され、両帯状部にそれぞれ着脱可能な面ファスナが形成された、就寝中のズレ防止用布団が記載されている。そして、面ファスナで両帯状部を互いに貼着し、両帯状部を一対の押さえ板で挟み込んだ後、接合凸部と接合凹部とを有する複数のフックで押さえ板どうしを固定することで、掛け布団を敷き布団に固定するようになっている。
【0005】
更に下記特許文献3には、掛け布団カバーの両側辺にファスナが取付けられていると共に、敷き布団カバーの両側辺にもファスナが取付けられて、両ファスナを互いに接合することにより、掛け布団カバーの両側が敷き布団カバーに取付けられるように構成された、布団カバーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3053664号公報
【特許文献2】実用新案登録第3153533号公報
【特許文献3】特開2006−198382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の発明では、敷き布団の足側の下面に、上掛けの足側折込部が折り込まれているが、この上掛けは、綿織物や、絹、ウール等の柔軟な素材から形成されているので、就寝時の寝返り等によって、掛け布団が強く引張られたりした場合には、敷き布団の下面から、上掛けの足側折込部が引き抜かれてしまう虞れがあり、掛布団の位置ずれを防止できないことがあった。
【0008】
また、衛生的な観点から、掛け布団には布団カバーが装着され、この布団カバーを定期的に洗濯することが行われている。しかし、前記上掛けは、掛け布団の上面に被せられており、掛け布団の下面を覆うものではないので、カバー代わりとして利用することはできず、また、カバーを掛け布団に装着する必要があり煩雑であった。
【0009】
一方、上記特許文献2に記載の発明では、敷き布団及び掛け布団の各帯状部を、一対の押さえ板で挟み込むことで、敷き布団に掛け布団が固定されるようになっているが、各布団は柔軟で形状が定まりにくく変形しやすいので、就寝時の寝返り等により、掛け布団が引張られたり捲れたりすると、敷き布団も追随して変形し、掛け布団の位置ずれ防止性能が不十分であった。また、帯状部どうし一対の押さえ板で挟み込んで、接合凸部を接合凹部に挿入するように構成されているので、掛け布団の固定作業が煩雑であった。
【0010】
また、上記特許文献3に記載の発明では、布団カバーどうしをファスナで接合している。しかし、布団カバーは薄地で伸びやすいため、就寝時の寝返り等により、掛け布団が引張られたりすると、掛け布団及び敷き布団のカバーどうしが伸びるので、掛け布団の位置ずれ防止性能が不十分であった。更に、布団カバーに掛け布団や敷き布団を収納する必要があり、手間がかかっていた。
【0011】
したがって、本発明の目的は、上掛け具の衛生状態を保持しつつ、敷き具に上掛け具を簡単に固定して、敷き具に対する上掛け具の位置ずれを効果的に防止することができると共に、上掛け具を簡単にカバーすることができる、上掛け具のずれ防止兼カバー具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具は、上掛け具が敷き具に対してずれるのを防止すると共に、上掛け具をカバーして汚れを防止するものであって、敷き具と上掛け具の間に配置されるアッパーシーツと、前記敷き具の下面又は間に挟み込まれると共に、このアッパーシーツの下辺部に着脱可能に取付けられる固定板とを備え、前記アッパーシーツは、前記上掛け具の上辺部で折り返されて、前記上掛け具の外側に被せることが可能な長さとされていることを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、アッパーシーツの下辺部に取付けられた固定板を、敷き具の下面又は間に挟み込んで固定し、アッパーシーツを敷き具の上に載せた状態で上掛け具をアッパーシーツの上に載せ、アッパーシーツの上部を上掛け具の上辺部で折り返して上掛け具の外側に被せる。その結果、アッパーシーツの下辺部が固定板を介して敷き具の下辺部に固定され、また、アッパーシーツの下辺部と敷き具との下辺部との間が、密封状態に保持されるので、足元側から上掛け具の内側や上縁部が覆われて、上掛け具の汚れを防ぐことができると共に、寝返り等をうっても、上掛け具が敷き具に対してずれるのを抑制することができる。また、上掛け具が敷き具に対してずれても、アッパーシーツを上辺部側に引っ張ることにより、上掛け具のずれを容易に是正することができる。
【0014】
更に、アッパーシーツの折り返し部が、上掛け具の上辺部で折り返されて、その外側に被せられているだけなので、上掛け具に対するアッパーシーツのセッティング作業が簡単で、アッパーシーツの交換作業も容易に行うことができる。
【0015】
本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具においては、前記アッパーシーツの下辺部に所定の大きさのポケットが形成されており、このポケットに固定板が着脱可能に挿入されて保持されることが好ましい。
【0016】
これによれば、固定板をポケットに挿入しあるいはポケットから取出すだけで、固定板をアッパーシーツに容易に着脱することができ、アッパーシーツの洗濯時等に固定板を容易に取外し、また取付けることができる。
【0017】
本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具においては、前記アッパーシーツの下辺部には、前記固定板が装着された帯状片が着脱手段を介して着脱可能に取付けられていることが好ましい。
【0018】
これによれば、アッパーシーツの下辺部に着脱手段を介して帯状片が取付けられ、この帯状片に固定板が装着されているので、アッパーシーツの洗濯時等に着脱手段によって帯状片及び固定板を容易に着脱することができる。
【0019】
本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具においては、前記着脱手段は、前記アッパーシーツの下辺に沿って取付けられた第1ファスナと、前記帯状片の一側辺に沿って取付けられ、前記第1ファスナに着脱可能に係合する第2ファスナとで構成されるスライドファスナからなることが好ましい。
【0020】
これによれば、着脱手段がスライドファスナからなるので、帯状片の着脱をよりスムーズにかつ迅速に行えると共に、帯状片をアッパーシーツに対して線状に連結して、アッパーシーツの下辺部をしっかりと固定保持させることができ、上掛け具のずれ防止効果を高めることができる。
【0021】
本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具においては、前記着脱手段は、前記アッパーシーツの下辺又は前記帯状片の一側辺に沿って形成された複数のボタン穴と、前記帯状片の一側辺又は前記アッパーシーツの下辺に沿って取付けられ、前記複数のボタン穴に着脱可能に係合する複数のボタンとからなることが好ましい。
【0022】
これによれば、着脱手段がボタン穴及びこれに係合するボタンからなるので、比較的簡単な構造とすることができる。
【0023】
本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具においては、前記アッパーシーツの上掛け具に接する面であって、折り返される部分の近傍に位置する部分に、前記敷き具に対するアッパーシーツの位置決め、又は、アッパーシーツに対する前記上掛け具の位置決めのためのマーカーが付されていることが好ましい。
【0024】
上記発明によれば、アッパーシーツを敷き具上に載せる際に、アッパーシーツに付されたマーカーを見ながら敷き具に対する位置決めを行うことにより、アッパーシーツの中央が敷き具の中央に位置するようにセットすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、アッパーシーツで足元から上掛け具の内側や上縁部を覆うことで、上掛け具の汚れを防ぐことができ、カバーとして利用することができる。また、アッパーシーツの折り返し部が上掛け具の上辺部で折り返されているだけなので、上掛け具に対するアッパーシーツのセッティング作業が簡単で、アッパーシーツの交換作業も容易に行うことができる。
【0026】
また、アッパーシーツの下辺部が固定板を介して敷き具の下辺部に固定されているので、寝返り等をうっても、上掛け具が敷き具に対してずれるのを抑制することができると共に、アッパーシーツのセッティングやベッドメイキングを容易に行うことができる。更に、上掛け具が敷き具に対してずれても、アッパーシーツを上辺部側に引っ張ることにより、上掛け具のずれを容易に是正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の側面図である。
【図3】同上掛け具のずれ防止兼カバー具において、帯状片に設けられたポケットの一形態を示す説明図である。
【図4】同上掛け具のずれ防止兼カバー具において、帯状片の他形態を示す説明図である。
【図5】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の平面図である。
【図6】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の使用方法を示しており、その第1工程を示す説明図である。
【図7】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の使用方法を示しており、その第2工程を示す説明図である。
【図8】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の使用方法を示しており、その第3工程を示す説明図である。
【図9】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の使用方法を示しており、その第4工程を示す説明図である。
【図10】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の使用方法を示しており、その第5工程を示す説明図である。
【図11】同上掛け具のずれ防止兼カバー具において、帯状片に設けられたポケットの他の形態を示す説明図である。
【図12】同上掛け具のずれ防止兼カバー具において、帯状片に設けられたポケットの更に他の形態を示す説明図である。
【図13】本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具の第2実施形態を示す斜視図である。
【図14】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の側面図である。
【図15】同上掛け具のずれ防止兼カバー具を構成する帯状片の構造を示しており、(a)はその平面図、(b)は側面図である。
【図16】本発明の上掛け具のずれ防止兼カバー具の第3実施形態を示す斜視図である。
【図17】同上掛け具のずれ防止兼カバー具の側面図である。
【図18】同上掛け具のずれ防止兼カバー具を構成する帯状片の構造を示しており、(a)はその平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図1〜12を参照して、本発明における上掛け具のずれ防止兼カバー具の第1実施形態について説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、この上掛け具のずれ防止兼カバー具(以下、「ずれ防止兼カバー具」という)は、敷き具20と上掛け具10との間に配置され、使用者の身体の上に覆い被さる、いわゆるアッパーシーツ30(トップシーツともいう)を利用して、敷き具20に対する上掛け具10の位置ずれを防止すると共に、上掛け具10をカバーして汚れを防止するものである。
【0030】
この実施形態の場合、前記敷き具20は、畳やフローリング、ベッド等の上に載置されるマットレス22と、このマットレス22の上に載置される敷き布団24とから構成されている。なお、敷き具20としては、これ以外にも、シーツ、パッド等を採用することができる。一方、上掛け具10としては、肌掛け布団、掛け布団、毛布、タオルケット等を採用することができる。なお、図1〜12に示す実施形態における上掛け具10は、肌掛け布団、毛布、タオルケット等である。ただし、これらの上に、厚手の掛け布団等を載せてもよい。
【0031】
そして、このずれ防止兼カバー具は、アッパーシーツ30と、このアッパーシーツ30の下辺部32(足下側)に着脱可能に取付けられると共に、前記敷き具20の下面又は間に挟み込まれる固定板50とを備えている。
【0032】
この実施形態におけるアッパーシーツ30は、その幅が、前記上掛け具10の幅よりも大きく形成されていると共に(図1参照)、その長さが、上掛け具10の長さよりも大きく形成されていて、上辺側(頭部側)の部分が、上掛け具10の上辺部で折り返されて、上掛け具10の外側に被せることが可能な長さとされている(図1及び図2参照)。
【0033】
このアッパーシーツ30の材質としては、前記上掛け具10のずれ防止効果及び汚れ防止効果を果たしうると共に、シーツ形状を形成できるものとして、綿、麻、シルク、ウール等の天然紡織生地や、ポリエステル、T/C(綿とポリエステルの混紡)、アクリル等の合成・混合紡織生地、また、フェルト、不織布とうの繊維の絡み合いや接着等による集合体製品生地、更には、パイル加工、起毛加工、抗菌加工、衛生加工等の加工を施した生地などを採用することができる。また、複数の生地を、キルティング加工、ボンディング加工、コーティング加工等により、強度の向上や風合いの改善を施した、複合加工生地を使用してもよい。
【0034】
アッパーシーツ30の、上掛け具10の上辺部で折り返された部分34(以下、「折り返し部34」という)は、図2に示すように、その長さLが100〜1000mmとされていることが好ましく、200〜600mmであることがより好ましい。折り返し部34の長さLが100mm未満であると、上掛け具10の上辺部から折り返し部34が位置ずれしやすくなると共に、上掛け具10の上辺部の外側が汚れやすくなる。一方、折り返し部34の長さLが1000mmを超えると、無駄な部分が多く製造コストが増大する。
【0035】
更に、折り返し部34の形状安定のため、折り返し部34を、共布や、テープ、リボン、別布、バイアステープ等を使用して、包み込むようにしてバインディング加工を施したり、前記アッパーシーツ30とは異なる材質のもので形成したりしてもよい。
【0036】
また、図5に示すように、アッパーシーツ30の上掛け具10に接する面(上面)であって、折り返し部34の近傍には、その幅方向中央部及び幅方向両側部に、マーカー36及びマーカ−38,38が、アッパーシーツ30の長さ方向に沿って所定長さで設けられていると共に、マーカー39がアッパーシーツ30の幅方向に沿って設けられている。前記マーカー36,38,38は、敷き具20の上にアッパーシーツ30を敷くときの位置決めとなり、前記マーカー39は、アッパーシーツ30の上に上掛け具10を載置するときの位置決めとなる。ただし、前記マーカー36,38,38を省略して、アッパーシーツ30の上面を無地のままとしても、実用上の支障はない。
【0037】
なお、アッパーシーツ30の折り返し部34を上掛け具10に被せたとき(図1及び図2参照)、折り返し部34の外側となる面には、模様や図柄等を施しておくこともできる。
【0038】
また、アッパーシーツ30の下辺部32には、所定幅の帯状片40が取付けられている。図3に示すように、この実施形態における帯状片40は、アッパーシーツ30の下辺部32の幅よりも短い幅とされており、その一側辺が縫合糸により、アッパーシーツ30の下辺部32の、敷き具20に接する面(下面)に縫合されて取付けられている。なお、帯状片40は、接着剤等でアッパーシーツ30の下辺部32に取付けてもよく、取付方法は特に限定されない。また、別体の帯状片40をアッパーシーツ30の下辺部32に取付けるのではなく、図4に示すように、一枚の生地を用いて、アッパーシーツ30の下辺部32に帯状片40を一体的に形成してもよい。
【0039】
更に前記帯状片40には、固定板50を着脱可能に収容するポケット41が設けられている。この実施形態では図3に示すように、帯状片40の幅方向に沿って、袋状のポケット41が複数(ここでは3つ)設けられている。また、各ポケット41の開口部41aは、アッパーシーツ30の下辺部32側に向けて配置されており、この開口部41aを通して固定板50が挿入され或いは取出されて、ポケット41に固定板50が着脱可能とされてる。
【0040】
なお、ポケットとしては図11及び図12に示す形態であってもよい。図11に示す形態では、帯状片40に一対のポケット43,43が設けられており、各開口部43aは、帯状片40の幅方向両側に向けて配置されている。そして、固定板50は、帯状片40の両側部から開口部43aを通して、ポケット43に着脱可能とされている。
【0041】
図12に示す形態では、図11に示す形態と同様に、帯状片40に一対のポケット45,45が設けられているが、その開口部45aは、帯状片40の幅方向中央部に向けて配置されている。したがって、固定板50は、帯状片40の幅方向中央から開口部45aに斜めに挿入されて、ポケット45に収容されるようになっている(図12参照)。
【0042】
上記固定板50は、例えば、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート等の合成樹脂や、合板(いわゆるベニヤ板)、パーティクルボード、ファイバーボード等の木質ボードや、アルミニウムや、ステンレス等の金属板、更には、厚紙などから形成されており、少なくとも前記上掛け具10よりも剛性が高いものが用いられるようになっている。また、固定板50の厚さとしては、1〜20mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。なお、固定板50の4つの角部は、円弧状に丸みを帯びた形状をなしていることが好ましい。
【0043】
次に、上記実施形態のずれ防止兼カバー具の使用方法について説明する。
【0044】
なお、以下の説明においては、敷き具20は、畳やフローリング等の上に直接敷かれているものとする。
【0045】
まず、折り畳まれたアッパーシーツ30(図6参照)の、下辺部32に取付けられた帯状片40を広げ、開口部41aを通して複数のポケット41に固定板50をそれぞれ収容する。
【0046】
次いで図6に示すように、敷き具20の下面に、帯状片40のポケット41に収容された固定板50を差し込んで、畳やフローリング等と敷き具20との間に、固定板50を挟み込むことにより(図7参照)、アッパーシーツ30の下辺部32が固定板50を介して敷き具20の下辺部に固定される。
【0047】
なお、この実施形態では、敷き具20と畳やフローリング等との間で固定板50を固定するようにしているが、マットレス22と敷き布団24との間に、固定板50を挟み込むようにしてもよく、固定板50をマットレス22の下面に挿入して、敷き具20の下面又は複数の敷き具20の間に挟み込んで、固定板50を固定できればよい。
【0048】
そして、図8に示すように、折り畳まれたアッパーシーツ30を、敷き具20の上面に沿って広げ、その折り返し部34を、敷き具20の上辺部の外方に配置する。このとき、アッパーシーツ30の上面に設けられたマーカー36,38,38を見ながら、敷き具20に対してアッパーシーツ30を正確に位置決めすることができる。
【0049】
また、この実施形態では、帯状片40がアッパーシーツ30の下辺部32の下面側に取付けられていると共に、この帯状片40に設けられたポケット41の開口部41aが、アッパーシーツ30の下辺部32側に向けて配置されている。その結果、図8に示すように、ポケット41の開口部41aをアッパーシーツ30の内周側に配置して、アッパーシーツ30で覆うことにより、固定板50がポケット41から抜け出てしまうことを防止することができる。
【0050】
次いでアッパーシーツ30の下辺部32の上に、折り畳まれた上掛け具10の下辺部を載せて、アッパーシーツ30の上面に設けられたマーカー39を見ながら、アッパーシーツ30を引張る等して、アッパーシーツ30の上辺部に対して、上掛け具10の上辺部が整合するように位置決めし、その後、図8の矢印に示すように、アッパーシーツ30の上辺部に上掛け具10の上辺部を載せる。
【0051】
このように本実施形態では、アッパーシーツ30に位置決め用のマーカー36,38,38,39を設けたので、アッパーシーツ30を、敷き具20や、上掛け具10に対して、位置ずれなく正確に配置することができ、簡単かつ見栄え良く寝具を整えることができる。
【0052】
また、アッパーシーツ30の上に上掛け具10を載せたものの、それらが位置ずれしていた場合には、上掛け具10を持ち上げた後、アッパーシーツ30を引張る等して、アッパーシーツ30と、敷き具20及び上掛け具10との位置ずれを直すことができる。
【0053】
上記のようにアッパーシーツ30の上に上掛け具10をセットした後、アッパーシーツ30の折り返し部34を上掛け具10の上辺部で折り返すことにより、図9に示すように、折り返し部34が上掛け具10の外側に被せられて、寝具のセッティングが完了する。
【0054】
そして、ユーザーは、図10に示すように、下辺部32が固定板50を介して敷き具20の下辺部に固定されたアッパーシーツ30と、敷き具20との間に潜り込んで、眠りに就くことになる。本発明による、ずれ防止兼カバー具を使用しないときは、ユーザーは就寝時に寝返りをうったり、寝相が悪かったりすると、上掛け具10が引張られたり、めくれたりすることがある。
【0055】
これに対して、このずれ防止兼カバー具においては、図1、図2及び図10に示すように、アッパーシーツ30の下辺部32が、固定板50を介して敷き具20の下辺部に固定されることにより、アッパーシーツ30の上に載置された上掛け具10の下辺部が、敷き具20に対して動かないように保持されると共に、アッパーシーツ30の上辺側の折り返し部34が、上掛け具10の上辺部で折り返されて、上掛け具10の外側に所定の長さL(図2参照)で被せられていることにより、上掛け具10の上辺部が、アッパーシーツ30の折り返し部34により保持されて、上掛け具10の下辺部及び上辺部が保持されるようになっているので、上掛け具10の敷き具20に対する位置ずれを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、就寝中に上掛け具10が乱れたり、ずれたりしたことに気付いた場合には、アッパーシーツ30の上辺部を引張ることによって、アッパーシーツ30をピシッと伸ばすことができ、それと共にアッパーシーツ30の上に載置された上掛け具10の乱れやずれを直すことができる。
【0057】
更に、アッパーシーツ30は、敷き具20と上掛け具10との間に配置されているので、上掛け具10の内側を覆って、その部分の汚れを防ぐことができると共に、アッパーシーツ30の折り返し部34が、上掛け具10の上辺部で折り返され、その外側に被せられているので、上掛け具10の上辺部外周を覆って、その部分の汚れを防ぐことができ、アッパーシーツ30を布団カバーの代わりとして利用することができ、その結果、袋状の布団カバー等に上掛け具10を収容する手間が必要なくなり、寝具のセッティングを簡単かつスムーズに行うことができる。
【0058】
また、アッパーシーツ30を交換して洗濯を行いたい場合には、敷き具20と畳やフローリング等との間から帯状片40を引き抜き、この帯状片40に設けられた各ポケット41から固定板50をそれぞれ取出すことで、アッパーシーツ30だけを残すことができるので、洗濯作業を簡単に行うことができる。
【0059】
更にこの実施形態では、帯状片40にポケット41を設けて、このポケット41に固定板50を挿入し或いは取出すことで、アッパーシーツ30に対して固定板50が着脱可能とされているので、ずれ防止を簡単な構造で効果的に行うことができると共に、アッパーシーツ30のセッティング作業及び洗濯作業を容易に行うことができる。特に、毎日大量のアッパーシーツを洗濯したり、アッパーシーツを用いて寝具のセッティングやベッドメーキングを行ったりすることの多い、旅館やホテル等で有効に活用することができる。
【0060】
なお、以上の説明では、シングルサイズの敷き具20に、ずれ防止装置を適用した例について説明したが、このずれ防止装置を、幅の広いダブルサイズの敷き具に適用する場合には、幅広の敷き具の幅に合わせて、アッパーシーツ30や、帯状片40、固定板50を幅広に形成するか、或いは、シングルサイズのものを2つ並べて、敷き具の長さに合わせてもよく、使用態様に応じて適宜用いることができる。
【0061】
図13〜15には、本発明のずれ防止兼カバー具の第2実施形態が示されている。前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0062】
この第2実施形態のずれ防止兼カバー具は、アッパーシーツ30の下辺部32に、固定板50が収容された帯状片40が、着脱手段を介して着脱可能に取付けられた構造をなしている。
【0063】
すなわち、アッパーシーツ30の下辺部32の幅方向周縁に沿って、直線状に配置された複数のエレメントを有する第1ファスナ51が、アッパーシーツ30の幅よりも若干短い長さで取付けられている。
【0064】
また、帯状片40の一側辺に沿って、前記第1ファスナ51に着脱可能に係合する第2ファスナ52が取付けられている。この第2ファスナ52は、前記第1ファスナ51と同様に、複数のエレメントが直線状に設けられていると共に、スライダ53がスライド可能に装着されている(図15(a)参照)。
【0065】
そして、上記の第1ファスナ51と第2ファスナ52とが、アッパーシーツ30の下辺部32に帯状片40を着脱可能に取付けるための着脱手段である、スライドファスナをなしている。
【0066】
なお、このスライドファスナの構造としては特に限定されるものではなく、例えば、引き手がスライダ53の表裏両側に反転移動するものや、スライダ53の表裏両側にそれぞれ引き手を備えたもの等の、表裏両側からスライダ53を操作可能なものであってもよい。また、スライダ53が第1ファスナ51側に装着されていてもよい。
【0067】
更に、この第2実施形態における帯状片40には、その内部に複数の固定板50が収容されていると共に、固定板50の周囲が縫合されており、固定板50が帯状片40内で大きく動かないように構成されている。
【0068】
そして、この第2実施形態のずれ防止兼カバー具を使用する際には、図15(a)に示すように、第1ファスナ51と第2ファスナ52とを整合させると共に、スライダ53をスライド操作することで、第1ファスナ51及び第2ファスナ52のエレメントどうしが互いに係合し又は分離して、アッパーシーツ30の下辺部32に帯状片40に着脱可能に取付けることができる(図15(b)参照)。その後、上記第1実施形態のずれ防止装置と同様の作業を行うことで、図13及び図14に示すように寝具がセッティングされ、アッパーシーツを利用して、上掛け具10の敷き具20に対する位置ずれを防止することができる。
【0069】
なお、図14に示すように、この第2実施形態においては、上掛け具10の上に、掛け布団等の厚手の上掛け具12が載置され、アッパーシーツ30の折り返し部34が、上掛け具10と上掛け具12とで挟み込まれるようになっている。
【0070】
また、この第2実施形態では、第1ファスナ51及び第2ファスナ52どうしが線状に連結されていて、アッパーシーツ30の下辺部32を、固定板50を介して敷き具20にしっかりと固定することができるので、上掛け具10が引張られたり、めくれたりして、就寝前の初期位置から位置ずれしそうになっても、敷き具20に対する上掛け具10の保持効果が、固定板50を通じて上掛け具10の全体に面状に広がり、上掛け具10の位置ずれを効果的に防止することができる。
【0071】
更に、アッパーシーツ30の下辺部32に、固定板50が収容された帯状片40を着脱させるための着脱手段として、第1ファスナ51及び第2ファスナ52からなるスライドファスナを採用したので、両ファスナ51,52をスライダ53で係合させ又は分離させるだけの簡単な作業で、アッパーシーツ30の下辺部32に固定板50をスムーズにかつ迅速に着脱させることができる。
【0072】
図16〜18には、本発明のずれ防止兼カバー具の第3実施形態が示されている。前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0073】
この第3実施形態のずれ防止兼カバー具は、前記第2実施形態と同様に、アッパーシーツ30の下辺部32に帯状片40が着脱手段を介して着脱可能とされているが、第2実施形態とは着脱手段が異なっている。
【0074】
すなわち、この第3実施形態における着脱手段は、図18(a)に示すように、アッパーシーツ30の下辺部32の幅方向周縁に沿って、所定間隔をあけて形成された複数のボタン穴55と、帯状片40の一側辺に沿って形成され、前記複数のボタン穴55に着脱可能に係合する複数のボタン56とから構成されている。
【0075】
また、図18(a)に示すように、ボタン穴55は略楕円形状をなしているが、その長軸方向がアッパーシーツ30の長手方向に沿って平行となるように、アッパーシーツ30にボタン穴が形成されている。
【0076】
なお、前記ボタン穴55を帯状片40側に形成し、前記ボタン56をアッパーシーツ30の下辺部32側に形成してもよいが、図18(a)に示すように、アッパーシーツ30の下辺部32側にボタン穴55を形成し、帯状片40側にボタン56を形成することが好ましい。
【0077】
更に、前記ボタン穴55及び前記ボタン56は、ずれ防止装置を、幅が1000mm程度のシングルサイズの寝具に用いる場合には、4〜7個であることが好ましく、同ずれ防止装置を、幅が1200mm程度のセミダブルサイズの寝具に用いる場合には、6〜10個であることが好ましい。なお、幅が2000mm程度のダブルサイズの寝具に、ずれ防止装置を適用する場合には、シングルサイズのものを2つ並べて利用することが好ましい。
【0078】
そして、この第3実施形態のずれ防止兼カバー具を使用する際には、複数のボタン穴55に複数のボタン56をそれぞれ係合させ又は取外すことで、アッパーシーツ30の下辺部32に帯状片40に着脱可能に取付けることができる(図18参照)。その後、上記第1実施形態のずれ防止兼カバー具と同様の作業を行うことで、図16及び図17に示すように寝具がセッティングされ、アッパーシーツ30を利用して、上掛け具10の敷き具20に対する位置ずれを防止することができる。
【0079】
この第3実施形態では、アッパーシーツ30の下辺部32に、固定板50が収容された帯状片40を着脱させるために、ボタン穴55及びこれに係合するボタン56からなる着脱手段を用いたので、第1実施形態及び第2実施形態に比べて、簡単な構造とすることができる。
【0080】
また、図18(a)に示すように、剛性の高い固定板50が収容された帯状片40にボタン56が形成されているので、アッパーシーツ30を強く引張った場合でも、ボタン56とボタン56との間の部分S(図16参照)が変形しにくくなり、アッパーシーツ30の下辺部32を敷き具20に強固に固定することができる。なお、アッパーシーツ30の下辺部32にボタン56が形成されている場合にも、アッパーシーツ30を強く引張った際に、ボタン56とボタン56との間の部分が変形しにくくなる。
【0081】
更に、この実施形態では、交換の必要性のあるアッパーシーツ30の下辺部32に、ボタン56が取付けられておらず、ボタン穴55が形成されているだけなので、洗濯や折り畳み、アイロン掛け等を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
10 上掛け具(薄地のもの)
12 上掛け具(厚手のもの)
20 敷き具
22 マットレス
24 敷き布団
30 アッパーシーツ
32 下辺部
34 折り返し部
36,38,39 マーカー
40 帯状片
41,43,45 ポケット
41a,43a,45a 開口部
50 固定板
51 第1ファスナ
52 第2ファスナ
53 スライダ
55 ボタン穴
56 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上掛け具が敷き具に対してずれるのを防止すると共に、上掛け具をカバーして汚れを防止する、上掛け具のずれ防止兼カバー具であって、
敷き具と上掛け具の間に配置されるアッパーシーツと、 前記敷き具の下面又は間に挟み込まれると共に、このアッパーシーツの下辺部に着脱可能に取付けられる固定板とを備え、
前記アッパーシーツは、前記上掛け具の上辺部で折り返されて、前記上掛け具の外側に被せることが可能な長さとされていることを特徴とする上掛け具のずれ防止兼カバー具。
【請求項2】
前記アッパーシーツの下辺部に所定の大きさのポケットが形成されており、このポケットに固定板が着脱可能に挿入されて保持される請求項1記載の上掛け具のずれ防止兼カバー具。
【請求項3】
前記アッパーシーツの下辺部には、前記固定板が装着された帯状片が着脱手段を介して着脱可能に取付けられている請求項1記載の上掛け具のずれ防止兼カバー具。
【請求項4】
前記着脱手段は、前記アッパーシーツの下辺に沿って取付けられた第1ファスナと、前記帯状片の一側辺に沿って取付けられ、前記第1ファスナに着脱可能に係合する第2ファスナとで構成されるスライドファスナからなる請求項3記載の上掛け具のずれ防止兼カバー具。
【請求項5】
前記着脱手段は、前記アッパーシーツの下辺又は前記帯状片の一側辺に沿って形成された複数のボタン穴と、前記帯状片の一側辺又は前記アッパーシーツの下辺に沿って取付けられ、前記複数のボタン穴に着脱可能に係合する複数のボタンとからなる請求項3記載の上掛け具のずれ防止兼カバー具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−94332(P2013−94332A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238470(P2011−238470)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【特許番号】特許第4981987号(P4981987)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(511131871)すみだライフ開発株式会社 (2)
【Fターム(参考)】