説明

上昇するゼロ次放出パターンを示す持続薬剤放出組成物、そのような組成物を製造する方法

開示されるのは、ポリマーマトリックスおよびマイクロカプセル封入薬剤(ここで、遅延層は非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まない)を含んでなる遅延層;ならびにポリマーマトリックスおよび非マイクロカプセル封入薬剤マトリックスを含む第二の層;(ここで、第二の層は遅延層に隣接して位置する)を含む薬剤の持続放出のための投与形態物および方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期の治療期間にわたって所望の治療薬剤効果を維持するための方法および装置に関する。特に、本発明は長期間にわたって上昇する放出速度で胃腸管内で薬剤放出を与える方法および装置に関する。このように、薬剤は長期の治療期間を通して所望の治療薬剤効果を維持するために十分な薬剤投与期間の一部の間に上昇する速度で放出される。
【背景技術】
【0002】
薬剤は、その薬理効果をもたらすために、体内のその作用部位で適切な濃度において利用できるようにされなければならない。この利用可能性は、投与する薬剤の量、その投与部位からのその吸収の程度および速度、組織内でのその分配、結合もしくは局在化、その生体内転化ならびにその排出を包含する多数の因子により影響される。薬剤利用可能性の1つの一般に用いられる指標は、薬剤の投与後に患者の血液もしくは血漿、または他の適切な体液もしくは組織内で得られる薬剤の濃度である。便宜上、この濃度を以下に「血漿薬剤濃度」と呼ぶことができ、それは任意の適切な体液もしくは組織において測定される薬剤濃度を含めるものとする。血漿薬剤濃度測定は、例えば、異なる薬剤投与形態物および/もしくは異なる薬剤投与経路に関する比較情報を包含する非常に有用な情報を提供する。さらに、多数の薬剤について、所望の薬理効果(すなわち治療薬剤効果)および望ましくない薬理効果(すなわち副作用)の両方を包含する様々な薬剤効果は、特定の血漿薬剤濃度もしくは血漿薬剤濃度の範囲と相関関係が認められている。
【0003】
経口投与した薬剤投与形態物では、吸収は胃腸(「GI」)管内で起こり、そして表面積、血流および膜特性(これらはGI管の異なる部分において著しく異なる)のような局所微小環境の物理化学的性質、薬剤存在の物理化学的性質、薬剤濃度、薬剤特異的輸送機序の存在および活性などを包含する多数の因子により影響される。経口投与形態物として投与する薬剤の吸収の速度における1つの重要な因子は、薬剤が投与形態物から放出される速度である。経口投与形態物の薬剤放出速度は、典型的にインビトロ溶解速度、すなわち単位時間当たり投与形態物から放出される薬剤の量として測定される。
【0004】
通常の経口投与形態物は、一般に、薬剤の本質的に全用量が投与後に非常に短期間、すなわち数分内に投与形態物から放出されるので「即時放出」と表すことができる。放出された薬剤のこのボーラスが吸収されるにつれて、血漿薬剤濃度は典型的に最大もしくはピーク濃度まで急速に上昇し、そして続いて薬剤が組織内で分配され、結合されもしくは局在化され、生体内転化され、そして/もしくは排出されるにつれて減少する。この減少の期間は異なる薬剤について異なり、そして多くの因子によって決まるが、この期間は特定の薬剤に特有である。一般に、血漿薬剤濃度が上昇し、ピークに達し、そして減少する期間のある部分の間に、薬剤はその治療効果を与え、すなわち、血漿薬剤濃度は有効濃度に達するかもしくはそれを越える。さらに、この期間中のある時点で、治療効果は消失する(すなわち、血漿薬剤濃度が有効濃度未満であるレベルまで減少する場合)。さらに、ピーク濃度が得られる時間の周辺のこの期間の部分の間に、すなわち、血漿薬剤濃度がその最高範囲にある場合に、望ましくない副作用が明らかになり得ることが多い。
【0005】
上記のことを考慮して、持続する薬剤効果は、血漿薬剤濃度が有効血漿薬剤濃度範囲内である期間中に生じることが理解される。しかしながら、血漿薬剤濃度は時間とともに減少するので、血漿薬剤濃度が有効濃度範囲のままであるかもしくは再びそれまで上昇することを保証するために即時放出薬剤投与形態物の複数回投与が適切な間隔で投与されなけ
ればならない。しかしながら、同時に、副作用が明らかになる一層高い範囲まで上昇し、そして/もしくはその範囲内にあまりに長くとどまる血漿薬剤濃度を防ぐかもしくは最小限に抑える必要性がある。従って、多くの薬剤について、長期の治療期間にわたって所望の薬理効果と望ましくない薬理効果の満足のいくバランスを維持するために即時放出投与形態物の複数回の別個の投与が適切な間隔で投与されなければならない。
【0006】
薬剤治療を改善する取り組みの1つの焦点は、主として投与形態物からの薬剤の放出速度を改変することにより薬剤の吸収に影響を与える非即時放出経口薬投与形態物を提供することに関してであった。そのような非即時放出送達システムの例には、遅延放出および持続放出システムが包含される。持続放出投与形態物は、一般に、即時放出投与形態物と比較して長期間にわたって薬剤を放出する。当該技術分野において既知である経口投与形態物から薬剤の持続放出を成し遂げる多数の方法がある。これらの異なる方法には、例えば、非特許文献1に記載されているようなリザーバー装置およびマトリックス装置のような拡散システム、カプセル封入溶解システム(例えば「小さいタイムピル(tiny time pills)」を包含する)およびマトリックス溶解システムのような溶解システム、組み合わせ拡散/溶解システム、浸透システムならびにイオン交換樹脂システムが包含される。本明細書に引用される全ての参考文献は、本明細書に複製されるとおりそれらの全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0007】
長期間にわたって実質的に一定の放出速度で薬剤放出を与える持続放出経口投与形態物を提供することは特に望ましいと考えられている。このように、多くの薬剤について、血漿薬剤濃度は薬剤放出が始まるにつれて最初は短期間に上昇し、そして次に薬剤放出が一定速度で続く場合に長期間にわたって実質的に一定のままである。多くの薬剤について、この実質的に一定の血漿薬剤濃度は長期の治療期間にわたる実質的に一定の薬剤効果と相関する。さらに、初期の比較的高いピーク血漿薬剤濃度が回避されるので、副作用はそれほど問題ではない可能性がある。従って、一定放出投与形態物の利点には、経時的に投与する必要がある薬剤の投与回数を減らすことおよび薬剤の所望の薬理効果と望ましくない薬理効果のより良いバランスを与えることが包含される。
【0008】
一定放出投与形態物は多数の異なる薬剤治療に有効であることが判明しているが、これらが完全には十分でない臨床症状がある。ある症状もしくは疾患について一定放出投与形態物で処置されているある患者では、持続する効果を与えると予想される実質的に一定の薬剤放出の維持にもかかわらず所望の治療期間の終了前の期間で薬剤の治療効果が減少することが認められている。従って、様々なパターンの制御送達の代替手段を提供する必要性が依然としてある。
【0009】
長期間にわたって実質的に一定の速度で薬剤を放出する持続放出投与形態物が十分ではない1つのそのような状況は、実質的に一定よりむしろ上昇している放出速度での薬剤の投与であった。長期間にわたって薬剤放出の実質的に一定の速度を与える持続放出経口薬投与形態物での薬剤治療が完全には十分ではなかった臨床症状の例は、注意欠陥障害(ADD)および注意欠陥多動性障害(ADHD)を包含する様々な症状および障害を処置するための中枢神経系(CNS)刺激薬を用いてである。
【0010】
Lam et al.への特許文献1は、そのような症状および障害の処置において有用な上昇する放出速度プロフィールを有する投与形態物を開示する。
【0011】
上昇する放出速度を与えるさらなる投与形態物は、当該技術分野への有用な追加である。従って、そのような投与形態物を製造しそして使用する方法と一緒に、適当な長期間にわたってそのような放出速度を与えるように適合させた持続放出マトリックス経口投与形態物に必要性が生じる。
【特許文献1】公開米国特許出願第20010012847明細書
【非特許文献1】Remington’s Pharmaceutical Sciences,1990 ed.,pp.1682−1685
【発明の開示】
【0012】
[発明の要約]
一つの態様において、本発明は(i)ポリマーマトリックス、および(ii)マイクロカプセル封入薬剤を含んでなり、非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まない遅延層;ならびに(iii)ポリマーマトリックス、および(iv)非マイクロカプセル封入薬剤マトリックスを含んでなる第二の層;を含んでなり、第二の層が遅延層に隣接して位置する薬剤の持続放出のための投与形態物に関する。
【0013】
別の態様において、本発明は(v)ポリマーマトリックス、および(vi)マイクロカプセル封入薬剤を含んでなり、非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まない遅延層を準備し;そして(vii)ポリマーマトリックス、および(viii)非マイクロカプセル封入薬剤マトリックスを含んでなる第二の層を準備し;そして遅延層に隣接して第二の層を配置することを含んでなる薬剤の持続放出のための投与形態物を製造する方法に関する。
【0014】
[詳細な記述]
本発明者等は、ポリマーマトリックス、非マイクロカプセル封入薬剤およびマイクロカプセル封入薬剤の組み合わせを用いることにより上記のような当該技術分野における問題を克服できることを意外にも見出した。特に、当該技術分野における問題は、ポリマーマトリックスおよびマイクロカプセル封入薬剤を含んでなり、非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まない遅延層;ならびにポリマーマトリックスおよび非マイクロカプセル封入薬剤マトリックスを含んでなる第二の層を含んでなり、第二の層が遅延層に隣接して位置する薬剤の持続放出のための投与形態物を提供することにより克服し得る。1つの態様において、本発明は、遅延層に存在するマイクロカプセル封入薬剤の重量対第二の層に存在する非マイクロカプセル封入薬剤の重量の比が約0.01:1〜約10:1の範囲の、そのような投与形態物に関する。
【0015】
特定の機序によって限定されることを所望しないが、本発明の投与形態物からの薬剤放出は、拡散および浸食の組み合わせによって機能し得るようである。作動中に、ポリマーマトリックスは媒質浸透によって水和しそして膨潤する。これにより、3つの移動フロント:膨潤フロント、侵食フロントおよび拡散フロントをもたらすポリマーマトリックス内部の異なる領域(乾燥コア、ゲル層および非溶解ゲル層)が生じる。水、ポリマー、賦形剤および薬剤間の相互作用は、薬剤放出を決定する主な要因である。マイクロカプセル封入薬剤の添加は、マイクロカプセル封入材料により導入される水和遅延のために非マイクロカプセル封入薬剤よりゆっくりと放出される薬剤のリザーバーを提供する。次に、投与形態物からの任意の薬剤放出は、投与形態物の極めて表面にたまたま存在するごく少数のマイクロカプセル封入および非マイクロカプセル封入薬剤粒子を除いて、ポリマー弛緩、膨潤および溶解ならびにポリマーマトリックスゲル層を横切る薬剤輸送によって決まる。1つの態様において、ポリマーマトリックス材料およびマイクロカプセル封入材料は、ポリマーマトリックスからのマイクロカプセル封入薬剤の放出の速度の比率がポリマーマトリックスからの非マイクロカプセル封入薬剤の放出よりも約0.1〜約3倍、好ましくは約0.5〜約1.0倍遅いように選択される。
【0016】
別の態様において、投与形態物からの薬剤の全体的な放出速度を調整するために副層のような追加の層を本発明の投与形態物に含むことができる。例えば、薬剤(マイクロカプセル封入もしくは非マイクロカプセル封入のいずれか)の特定の量を実質的に含まないか
もしくは含有する層の添加は、投与形態物の作動中の様々な時点で投与形態物からの薬剤の放出の速度を遅らせるかもしくは減少することができる。薬剤放出に影響を与えることができる他の変数(ポリマーマトリックスおよびマイクロカプセル封入材料は同じままであると仮定する)には、薬剤:ポリマー濃度比(より多いポリマーおよびより少ない薬剤は、放出速度を減少する)および投与形態物形状(放出に利用可能なより多い表面積は、放出速度を増加する)が包含される。ポリマー分子量を減少するとともに高分子のエンタングルメント度は減少する。従って、水吸収でのポリマー鎖の移動度は増加する。これは、増加した水および薬剤拡散係数ならびに増加した薬剤放出速度をもたらす。
【0017】
本発明が詳細に記述される前に、他に示されない限り本発明は特定の製薬学的薬剤、賦形剤、ポリマー、塩などに限定されず、そのようなものとして異なり得ることが理解されるべきである。また、本明細書において用いる専門用語は、特定の態様のみを記述する目的のためであり、本発明の範囲を限定するものではないことも理解されるべきである。
【0018】
数値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限の間の、文脈により他に明白に指示されない限り、下限の単位の1/10までの、各々の間の数値、およびその記載範囲における任意の他の記載のもしくは間の数値は本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して包含されることができ、そして記載範囲における任意の特に除かれる境界を条件として、同様に本発明内に包含される。記載範囲が境界の一方もしくは両方を含む場合、それらの含まれる境界のいずれかもしくは両方を除く範囲もまた本発明に包含される。
【0019】
本発明は特定の典型的な薬剤を含有する典型的な投与形態物、そのような投与形態物を製造する方法ならびに所望の治療結果を与えるためにトピラメート、パリペリドンおよびリスペリドン含有投与形態物を使用する方法により本明細書において説明されるが、本発明はこれらの典型的な態様により限定されない。本発明は、本明細書における開示を考慮して当業者に明らかであるように、長期間にわたって上昇する薬剤放出速度を与える経口持続放出投与形態物、そのような投与形態物を製造する方法ならびに任意の適切な薬剤および薬剤治療に関して所望の長期の治療期間にわたって治療効果を維持するためにそのような投与形態物を使用する方法を広く包含する。
【0020】
「上昇する放出速度」という用語は、時間の関数として放出される薬剤の量が、好ましくは継続的にそして徐々に、ある期間にわたって増加する放出速度を意味する。好ましくは、時間の関数として放出される薬剤の速度は、(段階的よりむしろ)徐々に増加する。より好ましくは、上昇する放出速度は、以下のように特性化することができる。投与形態物の時間の関数としての放出速度を測定し、そして時間に対する薬剤放出%としてもしくは時間に対する放出される薬剤のミリグラム/時間としてプロットする。上昇する放出速度は、約2時間〜約12時間、好ましくは約2時間〜約18時間、より好ましくは約4時間〜約12時間、さらにより好ましくは約4時間〜約18時間の期間にわたって、既定の2時間の範囲内の速度が前の2時間の時間範囲と比較した場合に高いような平均速度(時間当たりの薬剤のmg単位で表される)を特徴とする。好ましくは、平均速度の増加は、用量の約30%未満が任意の2時間間隔の間に送達され、より好ましくは、用量の約25%未満が任意の2時間間隔の間に送達されるように徐々にである。好ましくは、上昇する放出速度は、投与形態物における薬剤の少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%が放出されるまで維持される。ある態様において、第二の層に存在する非マイクロカプセル封入薬剤の重量:遅延層に存在するマイクロカプセル封入薬剤の重量の比は、約T25までに総薬剤重量の約10%〜約40%の間の放出、約T50までに総薬剤重量の約40%〜約65%の間の放出、約T75までに総薬剤重量の約65%〜約85%の間の放出および約T90までに総薬剤重量の約85%〜約90%の間の放出を達成するように選択される。
【0021】
測定される定期的放出速度、例えばt=1時間での定期的放出速度は(0に等しくない限り)、前の期間、例えば投与形態物が投与される前の時間の間の放出速度より常に大きく、従って、最初の定期的放出速度は上昇する放出速度の発生を常に構成することが理解される。本明細書の実施例に記載される上昇する放出速度は:薬剤の持続放出を与えるように適合させた投与形態物からの放出速度ならびに持続放出成分にさらに薬剤の初期即時放出成分用量を含んでなる態様の両方をさす。従って、この第二の態様では、初期薬剤ピークの後、次の放出速度測定もまた前の期間中の放出速度より大きい。本発明はまた、基礎をなす投与形態物上にコーティングとして適用する薬剤の即時放出用量をさらに含んでなる投与形態物態様にも当てはまり、t=1時間で測定される薬剤放出は、一般に、即時放出薬剤コーティングから放出される薬剤および基礎をなす投与形態物から放出される任意の薬剤の両方を反映し、しかしながら、薬剤オーバーコートから放出される薬剤の量は、t=2時間での薬剤放出速度がt=1時間での薬剤放出より大きいかどうかを決定することにおいて無視される。
【0022】
上昇する放出速度が与えられる期間に関連して本明細書において用いる場合、「長期間」は、t=0時間から始まりそして投与形態物の関連するT.sub.90の少なくとも中間点を経てそして好ましくは中間点を越えて続く期間をさす。本発明の投与形態物は薬剤の持続放出を与えることを目的としているので、本発明の目的のための適当なT.sub.90は少なくとも約6時間であり、そしてその結果として、上昇する放出速度が与えられる「長期間」は少なくとも3時間である。
【0023】
「上昇する薬剤血漿濃度」という用語は、初回投与後のほぼ最初の24時間にわたる薬剤血漿濃度プロフィールを意味し、ここで、該プロフィールは最大濃度までの増加を示し、ここで、該最大値は初回投与後約6時間より多く、好ましくは初回投与後約8時間より多く、より好ましくは投与後約12時間より多く経って生じる。
【0024】
「遅延層」という用語は、投与形態物からの薬剤の放出を遅らせるように、少なくともある程度、働く層を意味する。
【0025】
「送達する」および「送達」という用語は、投与形態物からの製薬学的薬剤の分離をさし、ここで、製薬学的薬剤は使用環境の液に溶解することができる。
【0026】
「投与形態物」という用語は、薬剤を含んでなる製薬学的組成物もしくは装置を意味し、該組成物もしくは装置は、薬剤を製造しそして送達するために用いられる薬理学的不活性成分、すなわち、ポリマー、沈殿防止剤、界面活性剤、崩壊剤、溶解調節成分、結合剤、希釈剤、潤滑剤、安定剤、酸化防止剤、浸透圧剤、着色剤、可塑剤、コーティングなどのような製薬学的に許容しうる賦形剤を場合により含有してもよい。
【0027】
「薬剤」という用語は、製薬学的に活性の薬剤もしくはその製薬学的に許容しうる塩を意味する。本発明の実施において有用な薬剤には、以下のものが包含されるが、これらに限定されるものではない:エジシル酸プロクロルペラジン(prochlorperzine edisylate)、硫酸鉄、アミノカプロン酸、塩酸メカミラミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸ベンズアンフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンフォルミン、塩酸メチルフェニデート、テオフィリンコリネート(theophylline cholinate)、塩酸セファレキシン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペラジン(thiethylperzine maleate)、アニシンジオン(anisindone)、ジフェナジオン四硝酸エリトリチル、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾールアミド、メタゾールアミド、ベンドロフルメサイアザイド、クロロプロパミド(chloropromaide)、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキサート、アセチルスルフィソキサゾール、エリスロマイシン、トピラメート、パリペリドン、リスペリドン、オキシブチニン、メチルフェニデート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾンおよびその誘導体、例えばベタメタゾン、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−S−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエーテル、プレドニゾロン、17−変化(17−varies)酢酸ヒドロキシプロゲステロン、19−ノルプロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン(norethiederone)、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラク、乳酸鉄、ビンカミン、ジアゼパム、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、カプトプリル(capropril)、マンドール(mando)、クアンベンズ(quanbenz)、ヒドロクロロサイアザイド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェヌフェン(fenufen)、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナク、メフェナム酸(mefenamic)、フルフェナム酸(flufenamic)、ジフルニサル(difuinal)、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル(tiapamil)、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン(mioflazine)、リシノプリル(lisinolpril)、エナラプリル、エナラプリラト、カプトプリル、ラミプリル、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン(etintidine)、テトラトロール(tetratolol)、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリン、イミプラミンおよびテラゾシンHCl2水和物。さらなる例は、インシュリン、コルヒチン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン、副甲状腺および下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロフィン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシソマトトロピン、ブタソマトトロピン、オキシトシン、バソプレッシン、GRF、プロラクチン、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオチミン、黄体形成ホルモン、LHRH、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト、ロイプロリド、インターフェロン、インターロイキン、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンおよびブタ成長ホルモンのような成長ホルモン、プロスタグランジンのような受精能インヒビター(fertility inhibitors)、受精能プロモーター(fertility promoters)、増殖因子、凝固因子、ヒト膵臓ホルモン放出因子が包含されるがこれらに限定されるものではないタンパク質およびペプチド、これらの化合物のアナログおよび誘導体、ならびにこれらの化合物またはそれらのアナログもしくは誘導体の製薬学的に許容しうる塩、ならびにこれらの化合物の様々な組み合わせ、ならびに上記の化合物の様々な製薬学的に許容しうる塩とこれらの化合物との様々な組み合わせである。
【0028】
「即時放出投与形態物」という用語は、投与後短期間内に、すなわち、一般には数分〜約1時間以内に実質的に完全に薬剤を放出する投与形態物を意味する。
【0029】
「マトリックス」という用語は、特に取り囲んでいるものおよび/もしくは成形という意味で、支持もしくは構造を与える本発明の投与形態物の要素を意味する。
【0030】
「患者」と言う用語は、本明細書において用いる場合、疾患もしくは障害の処置を必要とする動物、典型的には哺乳類、そしてより典型的にはヒトをさす。
【0031】
本明細書において用いる場合、他に記載されない限り、「製薬学的に許容しうる塩」という用語は、その陰イオンもしくは陽イオンが該塩の毒性もしくは薬理活性に有意に寄与しない任意の塩を意味するものとし、そしてそのようなものとして、それらは該化合物の酸もしくは塩基の薬理学的同等物である。適当な製薬学的に許容しうる塩には、例えば、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸もしくはリン酸のような適当な製薬学的に許容しうる酸と薬剤化合物を反応させることにより形成することができる酸付加塩;ならびに適当な製薬学的に許容しうる塩基と薬剤化合物を反応させることにより同様に製造することができるアルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムもしくはマグネシウム塩;および適当な有機リガンドと形成される塩、例えば第四級アンモニウム塩を包含する塩基付加塩が包含される。
【0032】
従って、典型的な製薬学的に許容しうる塩には、下記のものが包含されるが、これらに限定されるものではない:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、ブロミド、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、クロリド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨージド、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモン酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオダイド、吉草酸塩およびその組み合わせ。
【0033】
製薬学的に許容しうる塩の製造において使用することができる典型的な酸および塩基には、下記のものが包含される:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルコロン酸、L−グルタミン酸、a−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸およびウンデシレン酸を包含する酸;ならびにアンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミンおよび水酸化亜鉛を包含する塩基、ならびにその組み合わせ。
【0034】
「ポリマー」という用語は、水和の際に、投与形態物からの薬剤放出およびその中心への液浸透性を制御する、粘性のあるそしてゼラチン状の表面バリアもしくはゲル層を生じる天然および合成ポリマーを含んでなる。ある種の態様において、このゲル層のその後の物理化学的特性は、水取り込みおよび投与形態物からの薬剤放出機序を制御する。外層からの可溶性薬剤の迅速なバースト放出が起こり得るが、薬剤放出はゲル層を通した薬剤の拡散によるかもしくは溶解媒質に薬剤を含有する新しい面をさらす、ゲルの徐々の侵食により経時的に制御される。拡散は水溶性の薬剤の放出を制御する主要な機序であり、そしてマトリックスの侵食は、水に不溶の薬剤の放出を制御する主要な機序である。しかしながら、一般に、薬剤の放出は、これら2つの機序の混合によって起こる。
【0035】
ポリマーの適当な例には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースのような親水性セルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド;ならびに多糖が包含されるが、これらに限定されるものではない。好ましいポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびその誘導体である。
【0036】
HPMC誘導体は、低、標準もしくは高粘性グレートで入手可能である。ポリマーの粘性は、製剤からの薬剤の放出速度を制御する。最も適当である特定のHPMCは、Methocel K100M、K15M、F4M、E4M、K4M、K100LV、K3、E15LV、E15LN、E15CLV、E50、E5およびE3(Dow Chemical、Midland MIから入手可能)である。最も好ましいのは、Methocel K100Mである。
【0037】
「ポリマーおよび非マイクロカプセル封入薬剤マトリックス」という用語は、ポリマーおよび非マイクロカプセル封入薬剤を含んでなるマトリックスを意味する。
【0038】
「ポリマーマトリックス」という用語は、ポリマー(1つもしくは複数)を含んでなるマトリックスを意味する。
【0039】
「マイクロカプセル封入薬剤」という用語は、マイクロカプセル封入材料によりカプセル封入される薬剤粒子を意味する。そのような材料には、タンパク質、多糖、澱粉、ろう、脂肪、天然および合成ポリマー、ならびに樹脂ならびに/もしくはその組み合わせが包含されるが、これらに限定されるものではない。好ましい態様において、マイクロカプセル封入材料は合成ポリマーを、より好ましくはアクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマーを含んでなる。マイクロカプセル封入薬剤を製造する適当な方法には、流動床コーティング、噴霧乾燥、噴霧冷却、回転ディスクコーティング、固定ノズル共押し出し、ペレット化、遠心ヘッド共押し出し(centrifugal head coextrusion)、浸漬ノズル共押し出し、パンコーティング、溶媒蒸発、コアセルベーション(単純および複合)および相分離、界面重合、in−situ重合、リポソーム技術ならびにナノカプセル封入が包含されるが、これらに限定されるものではない。好ましい態様は、流動床コーティングである。本発明の実施において有用なさらなる技術および材料には、PJ Watts et al.,Microencapsulation using emulsification/solvent evaporation:an overview of techniques and applications,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1990;7(3):235−59;1994年11月8日に与えられ、そしてMicroencapsulation for controlled oral drug delivery systemという表題のLee,et al.への米国特許5,362,424;1995年4月18日に与えられ、そしてMicroencapsulation process and products therefromという表題のTice,et al.への米国特許5,407,609;1984年5月29日に与えられ、そしてPharmaceutical compositions containing biodegradable polymersという表題のDeibig,et al.への米国特許4,451,452が包含されるが、これらに限定されるものではない。典型的なマイクロカプセル封入薬剤粒子サイズ範囲は以下に記載され;当業者は所望のサイズを得るためにカプセル封入方法を調整することができる。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
「非マイクロカプセル封入薬剤」という用語は、実質的にマイクロカプセル封入薬剤ではない薬剤を意味する。非マイクロカプセル封入薬剤は、本発明の投与形態物の1つの層にもしくは1つより多くの層に位置することができる。非マイクロカプセル封入薬剤が1つより多くの層に存在する態様において、非マイクロカプセル封入薬剤は各層において同じかもしくは異なる濃度で存在することができる。1つのもしくは1つより多くの(すな
わち、異なる、もしくは混合物)非マイクロカプセル封入薬剤は、本発明の投与形態物内に存在することができる。
【0043】
薬剤の「放出の速度」もしくは「放出速度」という用語は、単位時間当たり投与形態物から放出される薬剤の量、例えば、時間当たり放出される薬剤のミリグラム(mg/hr)を意味する。薬剤投与形態物の薬剤放出速度は、典型的にはインビトロ溶解速度、すなわち、適切な条件下でそして適当な液において測定される単位時間当たり投与形態物から放出される薬剤の量として測定される。例えば、溶解試験は、USPタイプVII槽インデクサーに取り付けられそして37℃で恒温水槽において平衡化した約50mlの酸性化した水(pH=3)に浸した金属コイルサンプルホルダー中に置いた投与形態物上で行うことができる。投与形態物から放出される薬剤の量を決定するために放出速度溶液のアリコートを試験し、例えば、試験間隔の間に放出される薬剤の量を定量するために薬剤をアッセイするかもしくはクロマトグラフィーシステムに注入することができる。
【0044】
本明細書において用いる場合、他に特定されない限り、「投与後の」特定の時間で得られる薬剤放出速度は、適切な溶解試験の実施後の特定の時間で得られるインビトロ薬剤放出速度をさす。投与形態物内の薬剤の特定のパーセンテージが放出されている時間は、「Tx」値と記載されることができ、ここで、「x」は放出されている薬剤のパーセントである。例えば、投与形態物からの薬剤放出を評価するための一般に用いられる基準測定は、投与形態物内の薬剤の90%が放出されている時間である。この測定は、投与形態物の「T90」と呼ばれる。本明細書において明確にするためにそして便宜上、ゼロ時間(t=0時間)として薬剤投与の時間をそして適切な時間単位(例えばt=30分もしくはt=2時間など)において投与後の時間を示す慣習を利用する。
【0045】
「実質的に含まない」という用語は、問題になっている投与形態物、層もしくは要素が問題になっている物質を実質的に含まないことを意味する。好ましい態様において、問題になっている投与形態物、層もしくは要素は、問題になっている投与形態物、層もしくは要素の総重量に基づいて、約5wt%未満、より好ましくは約2.5wt%未満、そしてさらにより好ましくは約1wt%未満の問題になっている物質を含んでなる。
【0046】
「持続放出」という用語は、血液(例えば血漿)濃度(レベル)が、約12時間以上の期間にわたって、治療範囲内で維持されるが有毒レベル未満であるような速度で、薬剤が持続放出投与形態物から放出されることを意味する。
【0047】
「持続放出投与形態物」は、薬剤を長時間にわたって放出する投与形態物を意味する。本発明の投与形態物は、毎日1回(qd)の投与について、少なくとも4時間以上の、そして好ましくは約24時間以上までのT90値を示す。投与形態物は、少なくとも約6時間、好ましくは約8時間以上、そして特定の態様において約12時間以上の持続期間にわたって薬剤を継続的に放出する。
【0048】
「ゼロ次血漿プロフィール」もしくは「フラット血漿プロフィール」という用語は、特定の時間間隔にわたる患者の血漿における特定の薬剤の実質的に変化が少ないかもしくは不変の量を意味する。一般に、ゼロ次血漿プロフィールは、1回の間隔からその後の時間間隔まで約10%以下で異なる。
【0049】
「ゼロ次放出速度」という用語は、実質的に一定の速度で薬剤が使用の環境で液に溶解するように、実質的に一定の放出速度を意味する。さらに特に、時間の関数としての薬剤の放出の速度は、約30%未満、好ましくは約20%未満、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満で異なるものとし、ここで、測定は、累積的放出が投与形態物における薬剤の総重量により約25%〜約75%の間、好ましくは約25%〜約90%の間である期間にわたって行われる。
【0050】
「実質的に包囲する」という用語は、問題になっている投与形態物、層もしくは要素が、問題になっている物質を実質的に取り入れるか、コーティングするかもしくは覆うことを意味する。好ましい態様において、問題になっている投与形態物、層もしくは要素は、問題になっている物質の総表面積に基づいて、問題になっている物質の約30%より多く、より好ましくは約50%より多く、さらにより好ましくは約75%より多く、そして最も好ましくは約100%を包囲する。
【0051】
[態様の記述]
図1は、本発明の持続放出投与形態物100を示す。持続放出投与形態物100に含まれるのは、遅延層102、第二の層104、マイクロカプセル封入薬剤110および非マイクロカプセル封入薬剤112である。遅延層102は、第二の層104に隣接して位置する。遅延層102は、ポリマーマトリックス120およびマイクロカプセル封入薬剤110を含んでなる。第二の層104は、ポリマーマトリックス122および非マイクロカプセル封入薬剤112を含んでなる。作動中に、遅延層102は、遅延層102と第二の層104の接触する部分によって特定される界面からの非マイクロカプセル封入薬剤112の放出を遅らせることにより持続放出投与形態物100からの薬剤の放出を遅らせるように働く。これは、遅延層の侵食と遅延層を通した薬剤の拡散の組み合わせによって起こり得る。マイクロカプセル封入薬剤110の放出は、マイクロカプセル封入の効果のためにさらに遅延される。一般に(この機序は本発明の多数の態様の作用を説明し得ることを意味する)、マイクロカプセル封入薬剤110がGI液のような媒質と接触すると(投与形態物100の表面にあること、ポリマーマトリックス120の侵食もしくはポリマーマトリックス120を通した拡散のいずれかを用いて)、マイクロカプセル封入材料は制御された方法でゆっくりと溶解し、コーティング層に細孔を残し、そしてそれによりこれらの細孔を通して薬剤を放出する。遅延層および薬剤のマイクロカプセル封入の効果の和は、上昇する放出速度をもたらす。
【0052】
図2は、本発明の持続放出投与形態物200を示す。持続放出投与形態物200に含まれるのは、遅延層202、第二の層204、第二の遅延層206、マイクロカプセル封入薬剤210、非マイクロカプセル封入薬剤212、第一のポリマーマトリックス220、第二のポリマーマトリックス222および第三のポリマーマトリックス224である。遅延層202は、第二の層204に隣接して位置する。遅延層202は、ポリマーマトリックス220およびマイクロカプセル封入薬剤210を含んでなる。第二の層204は、ポリマーマトリックス222および非マイクロカプセル封入薬剤212を含んでなる。第二の遅延層206は、遅延層202と反対側の投与形態物200の部分上で第二の層204に隣接して位置する。第二の遅延層206は、ポリマーマトリックス224およびマイクロカプセル封入薬剤210を含んでなる。
【0053】
作動中に、投与形態物200がそれを必要とする患者に投与されると、遅延層202および第二の遅延層206は、遅延層202および第二の遅延層206と接触する第二の層204の部分により特定される界面からの非マイクロカプセル封入薬剤212の放出を遅らせることにより投与形態物200からの薬剤の放出を遅らせるように働く。これは、遅延層の侵食と遅延層を通した薬剤の拡散の組み合わせによって起こり得る。マイクロカプセル封入薬剤210の放出は、マイクロカプセル封入の効果のためにさらに遅延される。投与形態物200は、多孔性の性質であるポリマーマトリックス投与形態物を含んでなる。ポリマーマトリックスが水もしくは水性胃腸液と接触すると、ポリマーマトリックス中のポリマーは水もしくは液を吸収し、そして膨潤もしくは水和を受ける。このプロセスはポリマー鎖の弛緩を引き起こし、そして続いて鎖はほぐれ、そして鎖間の分離の増加した距離の結果として、薬剤は拡散する。上記に説明するように、侵食、拡散およびポリマーマトリックスの膨潤の組み合わせに加えてマイクロカプセルからの溶解は、このシステムが薬剤放出を制御する様々な方法である。ポリマーマトリックスおよびマイクロカプセル封入材料の放出影響のバランスをとることにより、上昇する放出プロフィールを得ることができる。
【0054】
投与形態物200としてここに例示するが同様に他の投与形態物に潜在的に適用可能である本発明の投与形態物を典型的なポリマーマトリックス(例えば、比較実施例1)と比較すると、放出プロフィールに3つの非常に独特な成分を認識することができる:(a)減少した初期バーストがある。特定の機序によって拘束されることを所望しないが、この効果は外層に存在するマイクロカプセル封入薬剤とこれらの外層の組成(初期の突然の膨潤および薬剤放出を防ぎ得るより疎水性の性質を遅延層に与える多量のより低い親水性のポリマー)の組み合わせに起因し得ると思われる;(b)「上昇するプロフィール」としてそれを特性化するプロフィールにおけるピークがある。この効果は、侵食および拡散機序によるポリマーマトリックスを通した経時的な非マイクロカプセル封入薬剤とマイクロカプセル封入薬剤の放出の組み合わせによって得られると思われる;そして(c)プロフィールの最後にシャットダウン放出がある。この効果は、マイクロカプセル封入薬剤の放出ならびにポリマー拡散および浸食に起因し得る。
【0055】
図3は、本発明の持続放出投与形態物300を示す。持続放出投与形態物300に含まれるのは、遅延層302、第二の層204、マイクロカプセル封入薬剤310、非マイクロカプセル封入薬剤312、第一のポリマーマトリックス320および第二のポリマーマトリックス322である。遅延層302は、第二の層304を実質的に包囲する。遅延層302は、ポリマーマトリックス320およびマイクロカプセル封入薬剤310を含んでなる。第二の層304は、ポリマーマトリックス322および非マイクロカプセル封入薬剤312を含んでなる。作動中に、投与形態物300をそれを必要とする患者に投与すると、遅延層302は、第二の層306からの非マイクロカプセル封入薬剤312の放出を遅らせることにより投与形態物300からの薬剤の放出を遅らせるように働く。これは、遅延層の侵食と遅延層を通した薬剤の拡散の組み合わせによって起こり得る。投与形態物300に適用可能な放出機序は、投与形態物200の説明において上記に説明されている。
【0056】
図4は、本発明の持続放出投与形態物400を示す。持続放出投与形態物400に含まれるのは、遅延層402、第二の層404、第二の遅延層406、マイクロカプセル封入薬剤410、非マイクロカプセル封入薬剤412、第一のポリマーマトリックス420、第二のポリマーマトリックス422および第三のポリマーマトリックス424である。遅延層402は、第二の層404に隣接して位置する。遅延層402は、ポリマーマトリックス420およびマイクロカプセル封入薬剤410を含んでなる。第二の層404は、ポリマーマトリックス422、マイクロカプセル封入薬剤410および非マイクロカプセル封入薬剤412を含んでなる。第二の遅延層406は、遅延層402の反対側の投与形態物400の部分上で第二の層404に隣接して位置する。第二の遅延層406は、ポリマーマトリックス424およびマイクロカプセル封入薬剤410を含んでなる。作動中に、投与形態物400をそれを必要とする患者に投与すると、遅延層402および第二の遅延層406は、遅延層402および第二の遅延層406と接触する第二の層404の部分によって特定される界面からの非マイクロカプセル封入薬剤412の放出を遅らせることにより投与形態物400からの薬剤の放出を遅らせるように働く。これは、遅延層の侵食と遅延層を通した薬剤の拡散の組み合わせによって起こり得る。投与形態物400に適用可能な放出機序は、投与形態物200の説明において上記に説明されている。
【0057】
図5は、本発明の持続放出投与形態物500を示す。持続放出投与形態物500に含まれるのは、遅延層502、第二の層504、外側遅延層508、マイクロカプセル封入薬
剤510、非マイクロカプセル封入薬剤512、第一のポリマーマトリックス520、第二のポリマーマトリックス522および第三のポリマーマトリックス524である。外側遅延層508は、遅延層502を実質的に包囲する。遅延層502は、第二の層504を実質的に包囲する。外側遅延層508は、ポリマーマトリックス524を含んでなる。遅延層502は、第一のポリマーマトリックス520およびマイクロカプセル封入薬剤510を含んでなる。第二の層504は、ポリマーマトリックス522および非マイクロカプセル封入薬剤512を含んでなる。作動中に、投与形態物500をそれを必要とする患者に投与すると、遅延層502は、第二の層504からの非マイクロカプセル封入薬剤512の放出を遅らせることにより投与形態物500からの薬剤の放出を遅らせるように働く。これは、遅延層の侵食と遅延層を通した薬剤の拡散の組み合わせによって起こり得る。外側遅延層508は放出をさらに遅らせ、そして投与形態物500からの薬剤の任意の初期バーストもしくは初期制御下放出を減らすことを助ける。投与形態物500に適用可能な放出機序は、投与形態物200の説明において上記に説明されている。
【0058】
図6は、本発明の持続放出投与形態物600を示す。持続放出投与形態物600に含まれるのは、遅延層602、第二の層604、第二の遅延層606、第三の遅延層608、第四の遅延層609、マイクロカプセル封入薬剤610、非マイクロカプセル封入薬剤612、第一のポリマーマトリックス620、第二のポリマーマトリックス622、第三のポリマーマトリックス624、第四のポリマーマトリックス626および第五のポリマーマトリックス628である。遅延層602は、第三の遅延層608に隣接して位置する。遅延層602は、第一のポリマーマトリックス620およびマイクロカプセル封入薬剤610を含んでなる。第三の遅延層608は、第二の層604に隣接して位置する。第三の遅延層608は、ポリマーマトリックス622を含んでなる。第二の層604は、第三のポリマーマトリックス624および非マイクロカプセル封入薬剤612を含んでなる。第四の遅延層609は、遅延層602の反対側の投与形態物600の部分上で第二の層604に隣接して位置する。第四の遅延層606は、第四のポリマーマトリックス626を含んでなる。第二の遅延層606は、第二の層604の反対側の第四の遅延層609の側上で第四の遅延層609に隣接して位置する。第二の遅延層606は、第五のポリマーマトリックス628およびマイクロカプセル封入薬剤610を含んでなる。作動中に、投与形態物600をそれを必要とする患者に投与すると、遅延層602、第二の遅延層606、第三の遅延層608および第四の遅延層609は、非マイクロカプセル封入薬剤612の放出を遅らせることにより投与形態物600からの薬剤の放出を遅らせるように働く。これは、遅延層の侵食と遅延層を通した薬剤の拡散の組み合わせによって起こり得る。特に、第三の遅延層608および第四の遅延層609の組成および厚さは、投与形態物600からの非マイクロカプセル封入薬剤612の任意の初期放出もしくはバーストを減らすように選択することができる。投与形態物600に適用可能な放出機序は、投与形態物200の説明において上記に説明されている。
【0059】
本発明の投与形態物は、当業者に既知である通常の技術を用いて製造することができる。そのような技術には、Katzhendler et al.への米国特許5,980,942に開示されるものが包含されるが、これらに限定されるものではない。本発明の投与形態物を製造することに関するさらなる情報は、とりわけ、Development of a Controlled Release Matrix Tablet Containing a Water−Soluble Drug Utilizing Hypromellose and Ethylcellulose.Tina Dasbach,Pushpa Inbasekaran,and Karen Balwinski.The Dow Chemical Company,Midland,MI 48674;The Effect of Proces Conditions on Various Sustained Release Formulations During Wet Granulation.Pushpa Inbasekaran and Karen Balwinski.The Dow Chemical Company,Midland,MI 48674;Direct Compression of Sustained−Release Hydrophilic Matrix Tablets Containing Hypromellose and MCC:Effects of a Lubricant T.D.Cabelka Technical Service and Development for METHOCEL Cellulose Ethers Larkin Laboratory,The Dow Chemical Company,Midland,MI 48674 USA;Lab−Scale to Full Production Scale Evaluation of a Controlled−Release Formulation Based on Hypromellose and Manufactured Using Roll Compaction Technology Paul Sheskey1 Kerry Pacholke1,Gary Sackett2,and Larry Maher,1 The Dow Chemical Company Larkin Laboratory Midland,MI 48674.2 The Vector Corporation Marion,IA 52302;The Utility of Hydroxypropyl Methylcellulose as a Porosity Modifier in an Ethylcellulose Compression Coating Douglas K.Pollock and Karen M.Balwinski Presented at the 27th International Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials Paris,France,July 7−13,2000 The Dow Chemical Company Larkin Laboratory,Midland,MI 48674 USAに見出すことができる。
【0060】
本発明の投与形態物に導入する薬剤の量は、特定の薬剤、治療適応症および所望の投与期間、例えば12時間ごと、24時間ごとなどによって異なる。投与することが所望される薬剤の用量により、投与形態物の1つもしくはそれ以上を投与することができる。
【0061】
長期間にわたって持続および上昇する放出速度を与える投与形態物を用いて改善し得る多数の臨床症状および薬剤治療がある。本明細書に開示されるような、典型的な投与形態物は、CNS作用薬および心臓血管作用薬を含んでなる。本発明は多数の他のタイプの薬剤および薬剤治療に適用可能であることが当業者により理解される。薬剤の適当なタイプの例には、抗感染薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、下痢止め薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗片頭痛薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン薬、かゆみ止め、抗精神病薬、解熱剤、鎮痙薬、抗コリン作用薬、交感神経様作用薬、カルシウムチャンネル遮断薬、ベータ遮断薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、ACEインヒビター、利尿薬、血管拡張剤、うっ血除去薬、ホルモン、睡眠薬、免疫抑制剤、副交感神経様作用薬、プロスタグランジン、タンパク質、ペプチド、鎮静剤および精神安定剤が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明の投与形態物は、CNSおよび心臓血管適応症が包含されるがこれらに限定されるものではない多数の適応症の処置のために投与することができる。
【0063】
以下の実施例は本発明を例証し、そしてこれらの実施例およびその他の同等物は本開示および添付の請求項を考慮して当業者に明らかになるので、これらの実施例は決して本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
[実施例]
【実施例1】
【0064】
表示量(label claim)の約5パーセントは投与形態物の遅延層におけるマイクロカプセル封入薬剤として投与形態物において存在し、そして表示量の約95%は第二の層における遊離薬剤として存在した。この配置は、上昇する放出速度を与えることを目標とした。
【0065】
トピラメートのマイクロカプセル封入:50グラムのトピラメートを秤量し、そしてビーカーに移した。6グラムのKollicoat 30DEMMをトピラメートに滴下して加え、そしてスパチュラで5分間混合した。湿塊を8メッシュスクリーンに通し、そして72時間風乾させた。乾燥塊を12メッシュスクリーンに通した。造粒をトレー上に置き、そして6gのKollidon 30DEMMを顆粒上に噴霧し、そして28℃、周囲湿度でオーブン中に置いた。コーティング工程を再び2回繰り返し、毎回約6gのKollidon 30DEMMを加えた。第三のコーティング後に、顆粒をオーブン中に一晩放置し、そして乾燥顆粒を8メッシュスクリーンに通した。
【0066】
遅延層の製造:上記のような230.8mgのマイクロカプセル封入トピラメートを1.3gのHPMC K100M Prem CRおよび1.3gのエチルセルロースと混合した。材料をローラーミキサー(U.S.Stoneware Jar Mill(モデル764 AVM)において30分間混合した。
【0067】
第二の層の製造:2.8gのトピラメートを1.9gのHPMC K15M Prem
CRおよび1.7gのエチルセルロースと混合し、そしてローラーミキサー(U.S.Stoneware Jar Mill(モデル764 AVM)において30分間混合した。3.4gのPEG3350および30mgの黒色酸化鉄を加え、そしてローラーミルにおいて20分間混合した。30mgのステアリン酸マグネシウムを加え、そして30秒間混合した。
【0068】
錠剤の圧縮:32.5mgの遅延層組成物を秤量し、そして3/8”円形凹形パンチセットの金型キャビティに加えた。遅延層を軽く詰めた。詰めた遅延層に335mgの第二の層組成物を加え、そして軽く詰めた。32.5mgの遅延層組成物を加え、そしてCarverプレス機において2トンの圧縮力を用いて錠剤を圧縮した。
【0069】
薬剤放出の決定:圧縮した薬剤をUSPタイプ2装置を用いて水における薬剤放出について分析した。結果を図7に示す。
【実施例2】
【0070】
表示量の約5パーセントは投与形態物の遅延層におけるマイクロカプセル封入薬剤として存在し、そして表示量の約95%は42.5%の非マイクロカプセル封入薬剤および42.5%のマイクロカプセル封入薬剤として第二の層2に存在した。この配置は、上昇する放出速度を与えることを目標とした。
【0071】
マイクロカプセル封入したトピラメートは、実施例1に記載のとおり製造した。遅延層組成物は、実施例1に記載のとおり製造した。
【0072】
第二の層の製造:1.4gのトピラメートを1.4gのマイクロカプセル封入トピラメート(実施例1に記載のとおり製造する)、1.9gのHPMC K15M Prem CRおよび1.7gのエチルセルロースと混合し、そしてローラーミキサー(U.S.Stoneware Jar Mill(モデル764 AVM)において30分間混合した。3.4gのPEG3350および30mgの黒色酸化鉄を加え、そしてローラーミルにおいて20分間混合した。30mgのステアリン酸マグネシウムを加え、そして30秒間混合した。
【0073】
圧縮した錠剤は、実施例1における方法に従って、そして実施例1からの遅延組成物および上記に製造する第二の層組成物を用いて製造した。
【0074】
結果を図8に示す。
【実施例3】
【0075】
表示量の67%は内部コアにおいてマイクロカプセル封入薬剤として存在し、そして表示量の33%は内層においてマイクロカプセル封入薬剤として存在する。外端キャップは、薬剤を含まない。この配置は、上昇する放出プロフィールを与える。
段階1:パリペリドンのマイクロカプセル封入
バッチ#1
1gmのパリペリドンを2gmのHPMC K100 Premと一緒にビーカーに秤量した。約1.4gmのエタノール/Kollicoat EMM 30D(83/17wt./wt.)混合物を加えて混合物を粒状にした。
【0076】
バッチ#2
6gmのパリペリドンを2gmのHPMC K100 Premと一緒にビーカーに秤量した。約1.8gmのエタノール/Kollicoat EMM 30D(75/25wt./wt.)混合物を加えて混合物を粒状にした。
【0077】
バッチ#3
約4.8gmのKollicoat EMM 30Dを1.35gmのバッチ#2に加えて混合物を粒状にした。
段階2:外層、内部薬剤層および内部コアの製造
【0078】
【表3】

【0079】
段階3:コア圧縮
30mgの内部コア層を秤量し、そして5/32”円形凹形パンチセットの金型キャビティに加える。Carverプレス機上で1トンの圧縮力をかけて単層内部コアを生成せしめる。
【0080】
80mgの外層を秤量し、そして3/8”円形凹形パンチセットの金型キャビティに加える。層を軽く詰める。329mgの内層を秤量する。詰めた外層に内部薬剤層の一部を加え、そして内部圧縮コアを金型キャビティの中心に置く。残りの内部薬剤層造粒を金型
キャビティに加え、そして軽く詰める。80mgの外層を秤量し、金型キャビティに加え、そしてカプセル封入内部コアを有する三層コアをCarverプレス機上で2トンの圧縮力を用いて圧縮する。コアレイアウトを図9において説明する。
段階4:薬剤放出の決定
段階3からの圧縮コアをUSPタイプII装置を用いてAGFにおける薬剤放出について分析する(UV分析)。結果を図10に示す。
【実施例4】
【0081】
表示量の67%は内部コアにおけるマイクロカプセル封入薬剤として存在し、そして表示量の33%は内層におけるマイクロカプセル封入薬剤として存在する。外端キャップは、薬剤を含まない。この配置は、上昇する放出プロフィールを与える。
【0082】
段階1:リスペリドンのマイクロカプセル封入
バッチ#1
1gmのリスペリドンを2gmのHPMC K100 Premと一緒にビーカーに秤量した。約1.4gmのエタノール/Kollicoat EMM 30D(83/17wt./wt.)混合物を加えて混合物を粒状にした。
【0083】
バッチ#2
6gmのリスペリドンを2gmのHPMC K100 Premと一緒にビーカーに秤量した。約1.8gmのエタノール/Kollicoat EMM 30D(75/25wt./wt.)混合物を加えて混合物を粒状にした。
【0084】
バッチ#3
約4.8gmのKollicoat EMM 30Dを1.35gmのバッチ#2に加えて混合物を粒状にした。
段階2:外層、内部薬剤層および内部コアの製造
【0085】
【表4】

【0086】
段階3:コア圧縮
圧縮した錠剤は、実施例3における方法に従って、そして実施例3からのコア層組成物を用いて製造した。
【比較実施例1】
【0087】
薬剤の表示量の100パーセントはマトリックスコアに存在した。この配置は、下記のように、ほぼゼロ次放出速度を与えることが見出された。
【0088】
28.6gのトピラメートを21.5gのHPMC K100M Premおよび14.3gのエチルセルロースおよび35.14gのポリエチレングリコール3350と混合した。成分をローラーミキサー(U.S.Stoneware Jar Mill(モデル764 AVM)において30分間混合した。0.5gのステアリン酸Mgを加え、そして30秒間混合した。
【0089】
この混合物の350mgをCarverプレス機上で3/8”金型セットを用いて2トンで圧縮した。
【0090】
圧縮した錠剤をUSPタイプ2装置を用いて水における薬剤放出について分析した。
【0091】
結果を図11に示す。
【比較実施例2】
【0092】
表示量の100パーセントは内層におけるマイクロカプセル封入薬剤として存在する。外端キャップは、薬剤を含まない。この配置は、ゼロ次放出プロフィールを与える。
段階1:外層および内部薬剤層の製造
【0093】
【表5】

【0094】
段階2:コア圧縮
75mgの外層を秤量し、そして3/8”円形凹形パンチセットの金型キャビティに加える。層を軽く詰める。300mgの内層を秤量し、そして詰めた外層に加える。造粒を軽く詰める。75mgの外層を秤量し、金型キャビティに加え、そしてCarverプレス機上で3トンの圧縮力を用いて3層コアを圧縮する。コアレイアウトを図12に示す。
【0095】
段階3:薬剤放出の決定
段階2からの圧縮コアをUSPタイプII装置を用いてAGFにおける薬剤放出について分析する(UV分析)。結果を図13に示す。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の投与形態物を示す。
【図2】本発明の投与形態物を示す。
【図3】本発明の投与形態物を示す。
【図4】本発明の投与形態物を示す。
【図5】本発明の投与形態物を示す。
【図6】本発明の投与形態物を示す。
【図7】放出速度データを示す。
【図8】放出速度データを示す。
【図9】本発明の投与形態物を示す。
【図10】放出速度データを示す。
【図11】放出速度データを示す。
【図12】投与形態物のレイアウトを示す。
【図13】放出速度データを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ポリマーマトリックス、および
(ii)マイクロカプセル封入薬剤
を含んでなり、非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まない遅延層;ならびに
(iii)ポリマーマトリックス、および
(iv)非マイクロカプセル封入薬剤マトリックス
を含んでなる第二の層
を含んでなり、第二の層が遅延層に隣接して位置する薬剤の持続放出のための投与形態物。
【請求項2】
遅延層に存在するマイクロカプセル封入薬剤の重量対第二の層に存在する非マイクロカプセル封入薬剤の重量の比が約0.01:1〜約10:1の範囲である請求項1の投与形態物。
【請求項3】
第二の層がマイクロカプセル封入薬剤をさらに含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項4】
遅延層と第二の層との間に配置された副層をさらに含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項5】
ポリマーマトリックス材料およびマイクロカプセル封入薬剤を含んでなる第二の遅延層をさらに含んでなり、第二の遅延層が非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まず;且つ、第二の遅延層が遅延層と反対側の投与形態物の部分上で第二の層に隣接して位置する請求項1の投与形態物。
【請求項6】
遅延層が第二の層を実質的に包囲する請求項1の投与形態物。
【請求項7】
薬剤がトピラメート、リスペリドンもしくはパリペリドンを含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項8】
トピラメートが約10〜約1000mgの範囲の量で存在する請求項7の投与形態物。
【請求項9】
リスペリドンが約1〜約15mgの範囲の量で存在する請求項7の投与形態物。
【請求項10】
パリペリドンが約1〜約15mgの範囲の量で存在する請求項7の投与形態物。
【請求項11】
マイクロカプセル封入薬剤が、タンパク質、多糖類、澱粉、ろう、脂肪、天然および合成ポリマー、樹脂もしくはその組み合わせを含んでなるマイクロカプセル封入材料によりカプセル封入される請求項1の投与形態物。
【請求項12】
(v)ポリマーマトリックス、および
(vi)マイクロカプセル封入薬剤
を含んでなり、非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まない遅延層を準備し;
(vii)ポリマーマトリックス、および
(viii)非マイクロカプセル封入薬剤マトリックス
を含んでなる第二の層を準備し;そして
遅延層に隣接して第二の層を配置する
ことを含んでなる薬剤の持続放出のための投与形態物の製造方法。
【請求項13】
遅延層に存在するマイクロカプセル封入薬剤の重量対第二の層に存在する非マイクロカプセル封入薬剤の重量の比が約0.01:1〜約10:1の範囲である請求項12の方法

【請求項14】
第二の層がマイクロカプセル封入薬剤をさらに含んでなる請求項12の方法。
【請求項15】
遅延層と第二の層との間に配置された副層を準備することをさらに含んでなる請求項12の方法。
【請求項16】
ポリマーマトリックス材料およびマイクロカプセル封入薬剤を含んでなり、非マイクロカプセル封入薬剤を実質的に含まない第二の遅延層を準備し;そして
遅延層と反対側の投与形態物の部分上で第二の層に隣接して第二の遅延層を配置する
ことをさらに含んでなる請求項12の方法。
【請求項17】
遅延層が第二の層を実質的に包囲する請求項12の方法。
【請求項18】
薬剤がトピラメート、リスペリドンもしくはパリペリドンを含んでなる請求項12の方法。
【請求項19】
トピラメートが約10〜約1000mgの範囲の量で存在する請求項18の方法。
【請求項20】
リスペリドンが約1〜約15mgの範囲の量で存在する請求項18の方法。
【請求項21】
パリペリドンが約1〜約15mgの範囲の量で存在する請求項18の方法。
【請求項22】
マイクロカプセル封入薬剤をタンパク質、多糖類、澱粉、ろう、脂肪、天然および合成ポリマー、樹脂もしくはその組み合わせを含んでなるマイクロカプセル封入材料によりカプセル封入する請求項12の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−509144(P2008−509144A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524929(P2007−524929)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/027490
【国際公開番号】WO2006/017537
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】