説明

上部タイプレート中に取外し可能なデブリシールドを備える核燃料集合体をシールドする方法および装置

【課題】上部タイプレート中に取外し可能なデブリシールドを備える核燃料集合体をシールドする方法および装置を提供する。
【解決手段】燃料集合体の中のデブリシールド102を清掃または交換をする方法において、燃料集合体は、燃料棒のバンドルを含み、上記棒の燃料濃縮部が上部タイプレートの下方にあると共にチャンネルの中に収容される方法であって、デブリシールドを上部タイプレート中に挿入するステップと、燃料集合体が運転中の原子炉炉心の中にある間に、シールドを上部タイプレートの中および燃料棒の燃料濃縮部の上方で保持するステップと、原子炉炉心の運転中に冷却材をバンドルおよびデブリシールドを通して流すステップと、デブリシールドを用いて燃料集合体を通って流れるデブリを捕捉するまたは逸らすステップと、燃料集合体を原子炉炉心から取り除くステップと、デブリシールドを上部タイプレートから取り除くステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年8月31日に出願した係属中の米国特許出願第11/848,414号の一部継続(CIP)であり、本明細書全体は、参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、デブリからシールドする方法、燃料バンドルを含む核燃料集合体、および燃料集合体を支持する上部タイプレートに関し、具体的には、清掃または交換のために、燃料集合体の上部タイプレート(UTP:Upper Tie Plate)から解除可能であるデブリシールドに関する。
【背景技術】
【0003】
核燃料集合体では、液体冷却材/減速材は、通常運転中、底部を通って集合体に流入し、水および水蒸気の混合物として頂部から退出する。核燃料炉の炉心は、垂直な並列関係で配列した複数の燃料集合体を含み、各燃料集合体は、燃料棒のバンドルを含む。燃料集合体は、燃料バンドルと、中空の金属チャンネルによって形成されるハウジングとを含む。燃料バンドルは、平行な燃料棒のアレイと、ウォータロッドと、バンドル中のこれらの棒を支持する1つまたは複数のタイプレート、スペーサおよびフィンガスプリングとを含む。一般に、燃料バンドルは、バンドルの頂部の近くに取り外し可能である上部タイプレートと、バンドルの底部に従来より取外し不可能なユニットである下部タイプレートとを含む。
【0004】
デブリは、従来の上部タイプレートを通って落ち、燃料バンドル内で詰まる可能性があり、そこでデブリは、炉の通常の運転状態中に燃料棒のフレッティングを引き起こす可能性がある。フレッティングは、潜在的に燃料棒に損傷を与えるものであり、典型的には「漏洩」として知られることをもたらす。
【0005】
燃料集合体の中に落下するデブリに対処するための従来の取り組みは、典型的には冷却材の流れが炉心内の燃料集合体に入る前に冷却材自体および冷却材流路内にデブリが入るのを防ぐことに重点を置いている。典型的には、従来の取り組みは、デブリが燃料集合体の通路に入らないように冷却材流路の扱い方および燃料集合体の取扱いに関しての管理統制を含む。これらの統制は、デブリが燃料集合体の中に落下しないようにデブリの源を減少させることを目的とするものである。それにもかかわらず、特に、冷却材の流れが停止し炉心が開いている間に、または保守作業が炉心で行われているときに、デブリが、燃料集合体の中に落下する危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第11/848,414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デブリが、特に、燃料補給作業中、燃料検査中、および冷却材が逆行する冷却材の流れパターンの状態にあるときに、上方から燃料集合体の中に落ちないことを確実にするための措置および特殊な装置が長年切実に求められている。さらに、他の場合には上方から燃料バンドル集合体の中に流れ落ちることになるデブリを捕捉するUTPに関連する装置を挿入し、取り除き、および清掃するための効率的および非侵襲的な方法が長年切実に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上部タイプレートの中に装着されると共に中空の金属チャンネル内に収容される燃料棒のアレイを含む燃料バンドルと、上部タイプレートの中および燃料棒の上方のデブリシールドとを備える原子炉燃料集合体であって、デブリシールドが、上部タイプレートの少なくとも部分的に開いた領域と少なくとも同じ広がりのある面を有する、原子炉燃料集合体。
【0009】
原子炉燃料集合体であって、燃料バンドルの燃料棒を受容および支持するための開口を有する上部タイプレートと、中空の金属チャンネルの壁の中に装着および収容される燃料棒のアレイを含む上記燃料バンドルと、上部タイプレートから取外し可能であり、恒久的な一体構造として上部タイプレートの中に取り付けされ、または上部タイプレートが取り除かれている間にデブリシールドが燃料バンドルを覆って留まるように装着できる多孔性デブリシールドとを含むものであり、このシールドが多孔性である、原子炉燃料集合体が開発されている。
【0010】
上部タイプレートに装着され中空の金属チャンネル内に収容された燃料棒のアレイを含む燃料バンドルと、上部タイプレートから取り除かれ、上部タイプレートに定着され、または上部タイプレートが取り除かれている間に燃料棒の上方に残ることができるデブリシールドとを備え、このデブリシールドは、中空の金属チャンネル内部の燃料バンドルの開いた領域と少なくとも同じ広がりのある面を有する、原子炉燃料集合体が開発されている。
【0011】
上部タイプレート内または下方で装着されると共に中空の金属チャンネルの中に収容される燃料棒のバンドルを含む原子炉燃料集合体の中にデブリが落ちることを防ぐための方法が開発されており、この方法は、取外し可能なユニットであり、恒久的な一体構造として上部タイプレート内で取り付けされ、または上部タイプレートが取り除かれている間に燃料バンドルに取り付けられたままであることができるデブリシールドを挿入するステップと、燃料集合体が運転中の原子炉炉心の中にある間に、上部タイプレート内でまたは燃料棒の上方でシールドを保持するステップと、原子炉炉心の運転中に冷却材をバンドルおよびデブリシールドを通して流すステップとを含み、デブリシールドは、燃料集合体の中に落ちるデブリを捕捉し、スクリーニングにかけ、フィルタにかけ、逸らし、および取り除くための能力を有する。
【0012】
中空の金属チャンネル内に収容される燃料棒のアレイを含む燃料バンドルと、燃料バンドルのタイロッドの上端を受容するためのリブを有する水平の方形のフレームを含む上部タイプレートとを備える原子炉燃料集合体であって、フレームの外面が、中空の金属チャンネル、ならびに上部タイプレートの中および燃料棒の上方のデブリシールドに隣接しており、デブリシールドが、上部タイプレートの少なくとも部分的に開いた領域と少なくとも同じ広がりのある面を有する、原子炉燃料集合体が開示されている。
【0013】
上部タイプレートの下方で装着されると共に中空の金属チャンネルの中に収容される燃料棒のバンドルを含む原子炉燃料バンドル集合体の中に落ちるデブリを捕捉しおよび取り除くための方法が開示されており、この方法は、デブリシールドを上部タイプレートに挿入するステップと、燃料バンドル集合体が運転中の原子炉炉心の中にある間に、シールドを上部タイプレートの中および燃料棒の上方で保持するステップと、原子炉炉心の運転中に冷却材を燃料棒およびデブリシールドを通して流すステップと、燃料集合体の中に落ちデブリシールド上にあるデブリを捕捉するステップと、デブリを捕捉するステップの後に、挿入したデブリシールドと共に燃料バンドル集合体を原子炉炉心から整備/燃料検査プールへ取り除くステップとを含み、その後にデブリシールドを上部タイプレートから取り除くステップと、(a)捕捉したデブリを取り除いたデブリシールドから取り除き、その後にデブリシールドを上部タイプレートの中に戻して再挿入するステップ、および(b)別のデブリシールドを上部タイプレートの中に挿入するステップのうちの少なくとも1つのステップを行うステップと、デブリシールドの再挿入または別のデブリシールドの挿入後に、燃料バンドル集合体を整備/燃料検査プールから原子炉炉心まで再度移動させるステップとを必要としてよい。
【0014】
上部タイプレートの下方で装着されると共に中空の金属チャンネルの中に収容される燃料棒のバンドルを含む原子炉燃料バンドル集合体の中に落ちるデブリを捕捉しおよび取り除くための方法が開示されており、この方法は、デブリシールドを上部タイプレートに挿入するステップと、燃料バンドル集合体が運転中の原子炉炉心の中にある間に、シールドを上部タイプレートの中および燃料棒の上方で保持するステップと、原子炉炉心の運転中に冷却材を燃料棒およびデブリシールドを通して流すステップと、燃料集合体の中に落ちデブリシールド上にあるデブリを捕捉するステップと、デブリを捕捉するステップの後に、挿入したデブリシールドと共に燃料バンドル集合体を原子炉炉心から整備または燃料検査プールへ取り除くステップとを含み、その後にデブリシールドを上部タイプレートから取り除くステップと、(a)捕捉したデブリを取り除いたデブリシールドから取り除き、その後にデブリシールドを上部タイプレートの中に戻して再挿入するステップ、および(b)別のデブリシールドを上部タイプレートの中に挿入するステップのうちの少なくとも1つのステップを行うステップと、デブリシールドの再挿入または別のデブリシールドの挿入後に、燃料バンドル集合体を整備/燃料検査プールから原子炉炉心まで再度移動させるステップとを必要としてよい。
【0015】
上部タイプレートの下方で装着されると共に中空の金属チャンネルの中に収容される燃料棒のバンドルを含む原子炉用燃料バンドル集合体の中に上部タイプレートを着座するための方法であって、デブリシールドをウォータロッドの上部に取り付けるステップと、デブリシールドを取り付けるステップの後に、上部タイプレートを、デブリシールドを覆って着座するステップと、上部タイプレートを燃料バンドル集合体のタイロッドに固着するステップとを含む方法が開示されている。
【0016】
上部タイプレートの下方に装着される燃料棒のバンドルを含む原子炉用燃料バンドルから燃料棒を取り除くための方法であって、デブリシールドが燃料棒またはウォータロッドのうちの少なくとも1つの上部に取り付けられたままの状態で、上部タイプレートを燃料バンドルから取り除くステップと、上部タイプレートを取り除くステップの後に、デブリシールドが燃料棒またはウォータロッドのうちの少なくとも1つの上部に取り付けられたままの状態で、上記棒を、デブリシールドを通して上に持ち上げることによって燃料棒を取り除くステップとを含む方法が開示されている。
【0017】
複数の燃料棒と、上部タイプレートデブリシールドを受容するための空洞を有する上部タイプレートとを備え、上部タイプレートが燃料棒に直接接続されず、上部タイプレートデブリシールドが、空洞に着座されると共に燃料棒のうちの1つの燃料棒の上端が内部を延在する少なくとも1つの穴を有する燃料バンドルが開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】説明のために、上部タイプレート、下部タイプレート、中空の金属チャンネル、燃料棒およびウォータロッドの一部を切開した、従来の核燃料バンドル集合体の側面を部分的に開いた図である。
【図2】デブリが燃料バンドル集合体の中に落ちるのを防ぐために内部デブリシールドを有する上部タイプレートの第1の実施形態の上面および側面の斜視図であり、このデブリシールドは、取外し可能なユニットであってよく、上部タイプレート内に恒久的な一体構造として取付けでき、または上部タイプレート底面側から荷重を受け、特殊なファスナによって、またはタイロッド自体によって内部に固着され得る。
【図3】図2の線3−3に沿った断面で示される上部タイプレートおよびデブリシールドの第1の実施形態を示す断面図である。図3は、デブリシールドがUTPの下側に据わるための機械加工したポケット、およびデブリシールド内の様々な穴を示しており、このデブリシールドは、燃料棒およびウォータロッドの上部端栓が、デブリシールドおよび上部タイプレートの両方を通り抜けることを可能にし、それにより両構成要素を単一の金属構造集合体の中に共に固着する。
【図3A】ねじ付きウォータロッドと、上部タイプレートの下部空洞に着座されているデブリシールドとの間の連結を示す拡大断面図である。
【図3B】ねじのない燃料棒と、上部タイプレートの下部空洞に着座されているデブリシールドとの間の連結を示す拡大断面図である。
【図4】上部タイプレート、デブリシールド、燃料棒およびウォータロッド、スプリング、ロックタブワッシャ、ならびに六角ナットファスナを垂直方向に分離して示す第1の実施形態の分解組立図である。
【図5】上部タイプレート内の取外し可能なユニットであり得るまたは上部タイプレート内に恒久的な一体構造として取付けできるデブリシールドであり、上部タイプレートから部分的に延在しているシールドが示されている、取外し可能な内部デブリシールドを有する上部タイプレートの第2の実施形態の上面および側面の斜視図である。
【図6】シールドが上部タイプレートの中に完全に挿入されている、取外し可能な内部デブリシールドを有する上部タイプレートの第2の実施形態の上面および側面の斜視図である。デブリシールドが上部タイプレート内に完全に着座されると、燃料棒ピンは、上部タイプレートの上方格子および下方格子と整合するデブリシールド中を通過する。
【図7】側面から完全に挿入された後の上部タイプレートおよびデブリシールドの第2の実施形態を示す側面図である。
【図8】デブリシールドが挿入されていない上部タイプレートの第2の実施形態の上面図である。
【図9】燃料棒およびウォータロッドの上部端栓のための通路を示す上部タイプレートの第2の実施形態に関連するデブリシールドの上面図である。デブリシールドは、冷却材の流れを通過させることができる傾斜した側面を有し、一方、デブリシールドの中実の部分が、デブリシールド内を落ちるデブリをトラップする。上部タイプレートの格子を通り抜けるデブリは、デブリシールドの中実の部分とデブリシールドを通り抜ける上部端栓の間に定着することになる。デブリは、デブリシールドの設計によって生じる圧力勾配(吸引)のために、デブリシールド内で捕集および保持される。
【図10】ウォータロッドピン通路および燃料棒ピン通路を有するデブリシールドが上部タイプレートから離されて示されている、上部タイプレート内の取外し可能なユニットであり得るまたは上部タイプレート内に恒久的な一体構造として取付けできる取外し可能なデブリシールドを有する上部タイプレートの第3の実施形態の上面および側面の斜視図である。矢印は、上部タイプレートの中へのデブリシールドの挿入方向を示す。
【図11】上部タイプレートの空洞内に適切に整合および着座されているシールドが示されている、取外し可能な内部デブリシールドを有する上部タイプレートの第3の実施形態の上面および側面の斜視図である。
【図12】上部タイプレートの格子型構造内に完全に着座および整合されている上部タイプレートおよびデブリシールドの第3の実施形態の側面図である。
【図13】完全に着座され、炉心運転中に上部タイプレート内でデブリシールドを保持するのを助けるウォータロッドおよび燃料棒の上部端栓の挿入に対して適切に整合されているデブリシールドを備える上部タイプレートの第3の実施形態のデブリシールドの上面図である。
【図14】ウォータロッドおよび燃料棒の上部端栓を上部タイプレートの構造のピン支持体内に挿入する前のデブリシールドの適切な整合を示しているデブリシールドを備える上部タイプレートの第3の実施形態のデブリシールドの底面図である。
【図15A】整備および/または保守作業のために炉心から取り除かれた燃料バンドル集合体を受容するための(典型的には炉心近くにある)整備/燃料検査プールを示す概略図である。
【図15B】整備および/または保守作業のために炉心から取り除かれた燃料バンドル集合体を受容するための(典型的には炉心近くにある)整備/燃料検査プールを示す概略図である。
【図15C】整備および/または保守作業のために炉心から取り除かれた燃料バンドル集合体を受容するための(典型的には炉心近くにある)整備/燃料検査プールを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
異物が核燃料バンドル集合体の頂部の中に入ることを抑制するデブリシールドが、本明細書に開示される。デブリシールドは、燃料集合体の頂部の中に取り込まれる微小異物を逸らせ、捕捉し、スクリーニングしおよび保持し、または取り除くのを助ける。微小異物が核燃料バンドル集合体の中に入ることを防ぐことによって、燃料棒のフレッティング破損の可能性は、無くすとまではいかないまでも十分に低減される。デブリシールドは、上部タイプレートから取外し可能なユニット、または上部タイプレート内または下方の恒久的な一体構造であってよいが、燃料棒およびウォータロッドの上方にあってよい。デブリが核燃料バンドル集合体の中に落ちることを防ぐことにより、燃料棒破損の危険性および炉心からの早過ぎる排出を低減することで核燃料バンドル集合体の期待した稼働寿命を確実なものにすることが期待される。
【0020】
図1は、方形の断面を有する垂直柱のように概して成形される従来の核燃料バンドル集合体10の断面で示す側面図である。炉心21は、予め定められた配列で並列に配列した多数の燃料集合体を含む。
【0021】
典型的には、核燃料バンドル集合体は、例えば、平行に配列される全長燃料棒11および部分長燃料棒12のアレイを含む。燃料棒は、上部タイプレート13、下部タイプレート14、核燃料バンドル内で棒を支持するタイプレートの下方格子29によって支持される。1つまたは複数のスペーサ15が、燃料棒の長さに沿った位置で配置される。典型的には、1つまたは複数のウォータロッド23、230が、燃料棒のアレイの中央を通って延在し、上部端栓30によって上部タイプレート13に取り付けられる。典型的な核燃料バンドル集合体10は、燃料棒11、12、ウォータロッド23、230、上部タイプレート13および下部タイプレート14、およびタイロッド24、スペーサ15、フィンガスプリング18、膨張スプリング16、ならびに中空の金属チャンネル20を備える。
【0022】
燃料棒膨張スプリング16は、ウォータロッド23および230、ならびに全長燃料棒11、ならびにタイロッド24それぞれの上部端栓19、30および28から上部タイプレート13の下面まで延在する。六角ナット17を使用してタイロッド24のねじ付き上部端栓28を上部タイプレート13の頂部に固着し、ロックタブワッシャ170(図2)を使用して六角ナット17をタイロッド24に固着された状態に保つ。タイロッド24は、タイプレートの上部タイプレート13を通って延在する。各タイロッドの反対端は、従来の核燃料バンドル集合体10の下部タイプレートの格子29に固着される。下部タイプレート14は、核燃料バンドル集合体10のための中空のハウジングを設ける中空の金属チャンネル20を係合する下部タイプレート14の外側壁上のフィンガスプリング18を含む。
【0023】
典型的には、中空の金属チャンネル20は、細長い中空金属管であり、断面が方形であり、および上部タイプレート13から下部タイプレート14まで延在する長さを有する。中空の金属チャンネル20は、核燃料バンドル集合体10中の燃料棒およびウォータロッドを包む。上部タイプレート13の両対角にあるチャンネルポスト25およびチャンネルポスト26は、チャンネルを燃料バンドル32の上に整合させるために案内を行う。チャンネルファスナクリップ(図示せず)は、中空の金属チャンネル20を、上部タイプレート13の一側のねじ付きチャンネルポスト26に固着する。ねじ付きチャンネルポスト26を用いて、チャンネルの作業中に中空の金属チャンネル20を燃料バンドル32に正確に配置および整合することを保証する。さもなければ、中空の金属チャンネル20は、必要に応じてチャンネルファスナ(図示せず)によって上部タイプレート13にしっかり固定できない。概して、U形持ち上げ用把手22は、上部タイプレート13の一部として取り付けられる。把手22は、核燃料バンドル集合体10を炉心21から引き上げ、および核燃料バンドル集合体10を炉心21の中に降ろすために使用でき、またはさもなければ必要に応じて設備の周りでこの集合体を移動させるために使用できる。
【0024】
デブリは、特に、燃料補給、新しい燃料の受入れ、炉心への搬送および炉心からの搬送、冷却材の流れが炉心を通って上向きに流れるのが止まるとき、ならびに減速材の流れが停滞または逆転され得るときなどの非運転状態中または運転状態中に従来の核燃料バンドル集合体10の頂部に入る可能性がある。燃料バンドル集合体の頂部の中に落ちるデブリは、タイプレートの格子、スペーサブラケット、燃料棒と燃料棒の間、または中空の金属チャンネルの壁と燃料棒の間に詰まる可能性がある。燃料バンドル中の隙間は、燃料バンドル内のデブリをトラップし得る。デブリは、上部タイプレート13を通って落ち、核燃料バンドル集合体10内部の区域内で詰まる可能性があり、そこでデブリが炉の通常の運転状態中に燃料棒のフレッティングを引き起こし得る。
【0025】
図2、図3および図4は、上部タイプレート内の取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であり得る内部デブリシールド102(図2)を有する上部タイプレート集合体100を示す。シールド102は、集合体の水平支持フレーム104に装着されてよく、または集合体の水平支持フレーム104内で一体化してよい。デブリシールド102は、上部タイプレートの水平支持フレーム104によって囲まれる領域を満たす。このデブリシールドは、上部タイプレートの底部または上部タイプレート内の水平スロットに挿入されてよい。デブリシールドは、上部タイプレートのフレーム構造と一体化してよくまたは一体化してなくてもよく、およびフレーム構造から取外し可能であってよくまたは取外し可能でなくてもよい。デブリシールド102は多孔性であり、核燃料バンドル集合体10を通る流体の流れからデブリをスクリーニングにかけるまたはフィルタにかける。冷却材は、デブリシールド102を通って実質的な圧力損失なしにデブリシールドを通って流れることが好ましい。
【0026】
円筒形ピン支持体106のアレイは、燃料棒24の上部端栓28、および燃料棒11の端栓30、加えてウォータロッドの上部端栓19が通過することを可能にするように、デブリシールド102中の穴によって設けられ、デブリシールド102中の穴内に着座される。これら円筒形ピン支持体106は、デブリシールドが、ねじ付きタイロッド24と、ウォータロッド23および230それぞれのねじ付き上部端栓と、ねじのない燃料棒11と、関連する膨張スプリング16とを支持するという点で、燃料棒およびウォータロッドに対する構造的な支持を与える。
【0027】
一実施形態では、円筒形ピン支持体106は、付随する膨張スプリングを有する燃料棒の直径よりわずかに大きい直径を有する。円筒形ピンは、燃料棒および膨張スプリングと共に、デブリシールドを通して円筒形ピン、燃料棒および膨張スプリングを上に滑動することによってデブリシールドから取り除くことができる。上部タイプレートが取り除かれた後、デブリシールドが他の燃料棒およびウォータロッドに留まっている間に、デブリシールド中の穴を通して円筒形ピン、燃料棒および膨張スプリングを上に滑動することにより、燃料棒を取り除くことが可能である。
【0028】
燃料棒11用の上部端栓30、およびねじ付きウォータロッド23、230用の上部端栓19、およびタイロッド24のねじ付き上端28は、デブリシールド102中のピン支持体106を通って延在する。六角ナット17は、ウォータロッドなどの上部端栓のねじ付き端部を固着するために用いられる。ロックタブワッシャが、六角ナット上で用いられてよい。六角ナット17は概して、上部タイプレート13の上面に着座される。膨張スプリング16は、燃料棒およびウォータロッドの上部端栓上を滑動し、上向きの付勢力をデブリシールド102の底面に加える。燃料棒24の上部端栓の延長は、デブリシールド102中のピン支持体106を通り抜ける。
【0029】
デブリシールド102は、六角ナット17によってウォータロッド23および230それぞれのねじ付き上部端栓の頂部に固着される。上部タイプレート集合体100の下部の陥凹は、六角ナット17が、ロックした位置でデブリシールドの頂部におよび上部タイプレートの空洞内で着座されることを可能にする。この空洞は、デブリシールドの頂部を斜めに横切って延在する上部タイプレートの構造リブ内にあってよい。
【0030】
燃料棒11ならびにウォータロッド23および230は、上部タイプレート13の頂部に直接固着されなくてよい。燃料棒11ならびにウォータロッド23および230は、デブリシールドを介して上部タイプレートに間接的に固着される。上部タイプレートは、デブリシールドがウォータロッドの上端に、および適宜、燃料棒の上端に取り付けられたままの状態で取り除くことができる。
【0031】
上部タイプレート集合体100は、内部デブリシールド102がウォータロッド23、230に直接取り付けられたままの状態で、およびデブリシールドが燃料棒11および24を支持する状態で核燃料バンドル集合体から取り除くことができる。デブリシールド102が上部タイプレートの底部空洞109に着座する場合、図4に示すように、上部タイプレートは、デブリシールド102を上部タイプレートから分離するように持ち上げられてよい。上部タイプレートを取り除くために、六角ナット17およびロックタブワッシャ170は、上部タイプレートのフレームを通って延在するタイロッド24から取り除かれる。その後に上部タイプレートは、燃料バンドル集合体から離れて持ち上げることができる。燃料棒11および24が、デブリシールド中のそれらの各円筒形ピン支持体を通って延在することによりそれらの元の位置にしっかり支持および保持されている間、デブリシールド102は、ウォータロッド23、230に取り付けられたままである。燃料棒は、取り除かれた上部タイプレートの助けなしに所定位置に保持される。上部タイプレートが核燃料バンドルから取り除かれ、デブリシールドならびに燃料棒およびウォータロッドから切り離すことができるので、上部タイプレートは交換または修理できる。
【0032】
デブリシールド102を通る流路108は、好ましくは核燃料バンドル集合体10の垂直軸以外の方向である1つまたは複数の軸を有する。これら真っ直ぐでない流路が、上方から落ちてくるデブリ物質を止める、トラップする、および捕らえる。一例としては、デブリシールド102を通る通路は、デブリシールドの上半分で第1の方向に傾斜し、デブリシールドの下半分で第2の方向に傾斜しており、コーナー116が2つの半分の間で形成される。デブリシールド102の傾斜している通路は、デブリシールドを垂直に通り抜ける光を遮る。デブリシールド102中の流路108が傾斜していることにより、デブリシールド102を直接見通すことは不可能である。視界は、流路108が真っ直ぐでなく、コーナー116を有するので遮られる。視界が遮られるのと同様に、デブリは、流路108内が直線でないことによってコーナー116で、およびデブリシールドの2つの半分の間で遮られ、トラップされる。
【0033】
図2〜図4に示される例では、デブリシールド102は、燃料バンドル集合体10に対してほぼ垂直である、断面が山形模様112を形成するように並列に配列されるアングルのある金属ストリップの配列である。通路108は、並列のストリップ同士の間に形成される。代替として、デブリシールド102は、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは他のマトリックス材などの多孔性の材料で形成されてよい。デブリシールド102は、上部タイプレート集合体100のフレーム104の内面に下方から当接する周縁110を有する概して多孔性の平板である。
【0034】
好ましくは、デブリシールド102は、原子炉炉心21の運転中に核燃料バンドル集合体10の中に留まる。デブリシールド102は、冷却材、特に非常用冷却材が、流動抵抗を実質的に生じさせることなくデブリシールドを通って流れ落ちることを可能にする多孔性構造、目の粗いメッシュ構造またはマトリックス構造を有してよい。デブリシールド102の多孔性構造、山形構造、メッシュ構造またはマトリックス構造は、全体的な流れを実質的に切迫(impend)することなくデブリの通過を阻止する。デブリシールドは、冷却材などの流体が通過することを可能にし、微粒子異物の通過を阻止するフィルタまたはスクリーニング装置として働く。好ましくは、デブリシールド102は、デブリシールド102の両端間でかなり大きい流体の圧力低下を強いることなく任意のほとんどのデブリ異物の通過を最小にする細孔径を有するべきである。
【0035】
デブリシールド102は、冷却材の流れの中のデブリ、特に燃料バンドル集合体10の上方からおよび上部タイプレート集合体100へ下向きに流れるデブリをフィルタにかけ、捕捉する。デブリシールド102の通路108はとても狭くてより大きいデブリの小片が通路に入る、または全部通り抜けることができない。より大きいデブリの小片は、デブリシールド102の上面114で捕捉される。より小さいデブリの小片は、デブリシールド102の流路108に入ることができ、より小さいデブリの小片が、上部タイプレート集合体100の下方におよび核燃料バンドル集合体10の中に流れ落ちないようにデブリシールドのコーナーおよび隙間116内で詰まり得る。
【0036】
好ましくは、水平支持フレーム104は、強固な構造フレームである。フレーム104は多孔性であってよく、例えば、フレーム104は、流体がフレームを通り抜けることを可能にするための小さい垂直な穴31を有してよい。これら穴31は、デブリが燃料バンドルに入らないようにその通過を阻止するのを助けるために小さい直径を有する。水平支持フレーム104の構造中の複数の穴31により、上部タイプレート集合体100を通る通路の有効流路面積を増大させて、デブリシールド152による任意の流量制限を補償またはオフセットする。基準点117、例えばフレームの外壁上の垂直リブは、水平支持フレーム104内に取り付けられ、または水平支持フレーム104内で一体化している。基準点は、上部タイプレート13に関して中空の金属チャンネル20を中心に位置決めするのに役立つ。基準点は、核燃料バンドル集合体10の製造中に、上部タイプレート集合体100を全長燃料棒11、部分長燃料棒12、タイロッド24、ならびにウォータロッド23および230に一致させるために使用されてもよい。
【0037】
図3Aは、ウォータロッド23または230と、上部タイプレート102の空洞に着座されているデブリシールド102との間の連結を示す拡大断面図である。ウォータロッドは、六角ナット17を受容するねじ付き上端を有する。円筒形ピン支持体106は、デブリシールドの垂直な穴101に着座されている。円筒形ピン支持体は、ウォータロッドの上端を受容するために中空である。円筒形ピン支持体106は、例えばワッシャの形状を有する上部フランジ107を含んでよく、上部フランジ107は、デブリシールドの上面に対する当接部をもたらすと共に、フランジの反対側で六角ナット17に対する当接をもたらす。上部タイプレートは、六角ナット17およびウォータロッドの上部先端を受容するための凹所105を有する。凹所105は、六角ナットが凹所に着座している間回転できないように成形されてよい。さらに、円筒形ピン支持体106の底縁は、膨張スプリング16の上端に取り付けられてよい。
【0038】
図3Bは、燃料棒11のねじの付いていない上部端栓30と上部タイプレート100の下部空洞に着座されているデブリシールド102との間の連結を示す拡大断面図である。膨張スプリング16aは、円筒形ピン支持体106aを通って延在し、上部タイプレート100中の燃料棒11用の凹所の上部環状出張り111に対して当接し、またはこの上部環状出張り111に接続される。ねじの付いていない燃料棒上の膨張スプリングは、上向きベースの力(upward basis force)を上部タイプレートの底面に加えることができる。
【0039】
円筒形ピン支持体106aは中空であり、膨張スプリングを受容するためにより大きい直径を有する開口を形成する。したがって、円筒形ピン支持体106aおよびデブリシールド中の対応する穴101は、ウォータロッド用の円筒形ピン支持体106(図3A)およびピン支持体106用の対応する穴101が有するより大きい直径を有してよい。上部タイプレート100が取り除かれると、膨張スプリング116は、もはや上部タイプレートの出張りに当接せずまたは上部タイプレートの出張りからの接続が解除される。燃料棒および膨張スプリングは、デブリシールドを通して上に持ち上げて、燃料集合体から取り除くことができる。
【0040】
図5および図6は、上部タイプレート内の取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であり得るデブリシールド136を受容するための水平スロット134を備える水平支持フレーム132を有する代替の上部タイプレート集合体130の側面および上面の斜視図である。図5に示すデブリシールドは、取外し可能なデブリシールドであり、図5には水平支持フレーム132から部分的に取り除かれたデブリシールドが示されている。運転中は、図6に示すように、デブリシールド136は、スロット134の中に完全に挿入され、水平支持フレーム132によって囲まれる。
【0041】
上部タイプレート集合体130は、水平支持フレームに取り付けられ、または水平支持フレームと一体化している上部タイプレートの把手22を含む。水平支持フレーム132は、中空リブ138を有する方形の外側支持壁構造を含んでよく、中空リブ138は、タイロッド端部カップリング、例えば、タイロッド24のねじ付きピンを受容し、タイロッドの膨張スプリング16に対してバッキングを与えることができる。水平支持フレームは、多孔性であってよく、例えば、流体が水平支持フレームを通り抜けることを可能にし、デブリ異物が通過するのを阻止するための小さい垂直な穴131を有してよい。水平支持フレーム中の穴により上部タイプレート130を通る通路の有効流路面積が増大し、それによりデブリシールド136による任意の流量制限を補償またはオフセットする。上部タイプレートと共に中空の金属チャンネル20を中心に位置決めし、水平支持フレーム132に取り付けられる基準点117は、製造中に上部タイプレート130を全長燃料棒11、部分長燃料棒12、タイロッド24、ならびにウォータロッド23および230に対して一致させるために使用される。
【0042】
図7は、水平支持スロット134を有する上部タイプレート集合体130、およびスロット中のデブリシールド板136の側面図である。デブリシールド136は、核燃料バンドル集合体10の垂直軸に対して傾斜するデブリシールド中の穴143をもたらす波状の断面形状を有する孔の開いた平板であってよい。孔は、機械加工、例えば、放電加工、パンチ穴開け、ドリル穴開け、または鋳造で形成されてよい。孔143は、デブリ異物の通過を防ぐために小さい。孔143は、デブリシールド136の波状の断面形状により傾斜される。傾斜した孔143は、デブリ、具体的には燃料バンドル集合体10に対して軸方向に流れるデブリを捕捉、阻止、逸らすのに役立つ。
【0043】
デブリシールド136の波状の形状は、デブリシールドが上部タイプレートの空洞内の位置にあるときには、デブリシールド136の上部の稜線および下部の溝133をスロット134の上面および下面に対して付勢させることによってデブリシールドをスロット134に固着することを助けもする。さらに、上部の稜線および下部の溝133は、それらの上頂部および下頂部で中実であり、孔がなくてよい。この稜線および溝133は、デブリ異物の小片を通過させる傾向にあり得る垂直に配向した孔を避けるように冷却材が流れる穴を欠いてよく、デブリ異物の小片は、上部の稜線および下部の溝133の斜面137上の傾斜した穴143によって阻止されることになる。さらに、中実の溝は、デブリ異物を捕捉および保持するためのV形チャンネル139を形成する。デブリは、デブリシールド136が上部タイプレート130から取り除かれるまで、V形チャンネルの中に留まることができる。微粒子異物は、燃料棒およびウォータロッドの上部端栓19、24および30がデブリシールド136上のV形の溝および稜線133の中実の部分を通って突き刺さるので、デブリシールド136内で詰まり得る、またはデブリシールド136内でトラップされ得る。下方から穴を通って、およびデブリシールド136の斜面137上の傾斜した穴143を通って流れる冷却材によって低い圧力勾配が生じる。まず、上部端栓は、上部タイプレートの下部マトリックス158を通り抜け、次いでチャンネル139内に中実のV形の溝および稜線があるデブリシールド136を通り抜ける。次に、上部端栓は、上部タイプレートの上部マトリックス156を通り抜けることが許され、そこで上部端栓は、終端となり得る。デブリシールドが取り除かれると、V形のチャンネル内に捕捉されたデブリは、洗浄され、吸引され、および/または振動してデブリシールドから落とされてよく、その後にデブリシールド136は、上部タイプレート内に再度戻るように再挿入される。代替として、デブリを捕捉したデブリシールド136は、廃棄され、新しいデブリシールドが上部タイプレートの中に再挿入されてよい。
【0044】
図8および図9は、上部タイプレート集合体130の上面図である。水平支持フレーム132をマトリックスに対して接続するピン支持体およびリブ144を相互接続するピン支持体141およびリブ142の金属マトリックス140が、図8に明確に示されている。マトリックス140は、ピン支持体および相互接続リブの上部平坦マトリックス156と、ピン支持体および相互接続リブの下部平坦マトリックス158とを含んでよい。上部平坦マトリックスおよび下部平坦マトリックスは、ピン支持体およびリブが同じパターンであってよい。上部平坦マトリックス156および下部平坦マトリックス158は、デブリシールド136を受容するスロット134の上下面を画定する。代替として、マトリックス140は、デブリシールド136の直上または直下に配列した単一の平坦マトリックスであってもよい。
【0045】
金属マトリックス140は、水平支持フレーム132に装着され、水平支持フレームの内側の開いた領域にわたって延在する。金属マトリックス140は、上部タイプレート集合体を鋳金の機械加工、鋳造、または完全加工することによって形成されてよい。マトリックス140は、スポーク、棒またはマトリックス構造(一括してマトリックス構造)によって水平支持フレームにおよび互いに取り付けられてよい。金属マトリックス140中のピン支持体141は、燃料棒端部カップリング、例えばタイロッド24のねじ付きピン、燃料棒11の膨張スプリング16、ならびにウォータロッド23および230の上部端栓を受容するための円筒形支持体141を含む。マトリックス140は、特にコーナーの近くおよび把手22用の支持体の下方に固体金属の補強材(solid metal braces)145を含んでよい。
【0046】
図9は、デブリシールド板136の上面図である。タイロッドのねじ付き端部28と、燃料棒11ならびにウォータロッド23および230用の上部端栓とのためのピン支持体135は、上部タイプレート集合体130の上部マトリックス156および下部マトリックス158の中のピン支持体の円筒141と整合するように配置される。このピン支持体は、デブリシールド136を通る流路より実質的に大きい。ピン支持体は、ウォータロッド23、230および燃料棒11および24の端部に取り付けられる上部端栓19、30および28で満たされ、それら自体によっては、ピン支持体141の周囲を流体が通過することをほとんど制限しない。しかし、デブリシールド136が、上部タイプレート130の空洞内に設置されてしまうと、流体の漏出については、各マトリックスを通じての流体の漏出が、各ピン支持体の周囲で規制される。
【0047】
上部の稜線および下部の溝133の斜面137は、タイロッド24のねじ付き端部28、燃料棒11、ウォータロッド23、230および各種のピン設計についての上部端栓を受容するためのデブリシールド136中のピン支持体135を含む。これらピン支持体135は、棒の上部端栓で満たされることになり、この上部端栓によりそうでなければピン支持体を通って流れ得る可能性のあるデブリ異物および流体を阻止する。
【0048】
図10は、上部タイプレート集合体150の上部平坦部分156と下部平坦部分158の間の水平スロット154の中で滑動する取外し可能なデブリシールド152を有するハニカム設計としての上部タイプレート集合体150の第3の実施形態を示す。デブリシールド152は、上部タイプレートの中の取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であってよい。図10において、上部タイプレートのスロット154の中に挿入されるデブリシールド152を示す。図11は、上部タイプレート集合体150内に完全に挿入され、上部タイプレート集合体150内で固着されたデブリシールド152を示す。図12は、上部タイプレートの空洞154の中に完全に挿入されているデブリフィルタ152の側面図である。図13および図14は、上部タイプレート集合体150の上面図および底面図をそれぞれ示す。
【0049】
上部タイプレート集合体150の3つの側面があるフレーム160は、上部平坦部分156および下部平坦部分158を共に保持する。このフレームは、その4つの側面のうちの3つの側面に側壁を有する。第4の側面は、開いており、デブリシールド152のためのスロットまたは空洞154を形成する。フレームは、多孔性であってよく、例えば、流体がフレームを通り抜けることを可能にし、デブリ異物の通過を阻止するための小さい垂直な穴131を有してよい。デブリシールドが上部タイプレートのスロットまたは空洞154内に配置されると、フレーム中の穴により上部タイプレート集合体150を通る通路の有効流路面積が増大し、それによりデブリシールド152による任意の流量制限を補償またはオフセットする。3つの側面がある水平支持フレーム160に取り付けられる例えば垂直外側リブなどの基準点117は、上部タイプレートと共に中空の金属チャンネル20を中心に位置決めし、および製造中に上部タイプレート集合体150を燃料棒およびウォータロッドに対して一致させるために使用される。上部タイプレートの水平支持フレーム160は、持ち上げ用把手22ならびにチャンネルポスト25および26を支持する。チャンネルファスナクリップ(図示せず)を使用して中空の金属チャンネル20をねじ付きチャンネルポスト26に固着する。
【0050】
水平支持フレーム160は、上部タイプレート150の耐力構造であると共にデブリシールド152、中空の金属チャンネル20、タイロッド24、および核燃料バンドル集合体10の他の構成要素に対する構造的な支持を与える上部平坦部分156および下部平坦部分158を含む。適宜、構造的に強いデブリシールド152は、耐力構造として働き、上部平坦部分156および下部平坦部分158ならびに水平支持フレーム160の一部または全部の1つまたは複数を置き換えることができる。デブリシールド152は、燃料棒30および24、ならびにウォータロッドの上部端栓19を受容するためのピン支持体開口161を含み、例えば、ピン支持体開口161は、上部タイプレート集合体150の上部平坦部分156および下部平坦部分158のピン支持体141と整合される。
【0051】
デブリシールド152は、概して平坦であってよく、および水平支持フレーム160の内壁に当接する縁部162(図10)と、上部タイプレートの上部平坦部分156および下部平坦部分158の内面に隣接する上部デブリシールド面164および下面166とを有してよい。デブリシールドは、スロット154の中に水平方向に滑動できる。デブリシールド152の厚さがスロット154の幅とほとんど同じなので、デブリシールドを上部タイプレート集合体150の空洞154内に完全に設置するために、ちょっとした力が必要とされ得る。デブリシールドは、スロット154の中に滑動され、デブリシールド152のピン支持体161は、水平支持フレーム160の上部平坦部分156および下部平坦部分158の中のピン支持体161と整合される。デブリシールド152がスロット154内に完全に挿入された後、タイロッド24、ウォータロッド23および230、ならびに全長燃料棒11の上部端栓は、フレームおよびデブリシールド152の整合したピン支持体の中に挿入される。
【0052】
代替として、デブリシールド152は、上部タイプレートの水平支持フレーム160が下部平坦部分158を欠く場合には、上部タイプレート150の底部空洞に着座されてよい。代替の上部タイプレートについては、タイロッドおよび端栓は、上部タイプレートが燃料バンドル32上に設置される前にデブリシールド152のピン支持体161に挿入されてよい。さらに、上部タイプレートは、燃料棒11、ウォータロッド23および230、ならびにタイロッド24がデブリシールド152に取り付けられたまま、またはデブリシールド152に固着された状態で、燃料バンドル32から取り除くことができる。
【0053】
デブリシールド152は、ハニカム状金属構造、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは多孔性である他のマトリックスであってよい。シールドを形成する材料は、原子炉炉心の中での使用に耐えるべきである。好ましくは、デブリシールドを通る通路は、完全に直線というわけでなく、少なくとも1つの屈曲または湾曲を含む。デブリシールドの通路中の屈曲および湾曲は、デブリ、特にチップ、ワイヤおよび棒のストランドをトラップする傾向がある。デブリシールド152を通る通路は、デブリシールドのデブリをスクリーニングにかけ、またはフィルタリングする機能を保持しながらデブリシールドの両端間で任意の流体の圧力低下を最小にするために多数あってよい。流体は、ばらばらの通路を通って流れるが、デブリは、デブリシールドによって流体からフィルタにかけられる。デブリシールドの特徴は、通路中の屈曲および湾曲のために光がデブリシールドを通って輝かないというものであり得る。
【0054】
デブリシールド152の流路159中の屈曲および湾曲(図12参照)は、各層の中の通路が一列になされないように、例えばハニカム状金属層のデブリシールド材料の2つ以上の層168を積層することによって形成されてよい。一例としては、各層の中の通路は、燃料バンドル集合体10の軸に対して例えば5度〜45度の角度が付けられてよい。各層164、166中の通路の角度の向きまたは傾きは、層が、積層したデブリシールド152を通るばらばらの通路159を形成するように異なってよい。代替として、デブリシールドの各層を通るデブリの通路は、隣接する層の通路、および層と層の間の間隙に対してオフセットされてよく、それにより流体が、比較的小さい流体抵抗でデブリシールドを通り抜けることを可能にする。
【0055】
デブリシールド102、136および152は、原子炉炉心の運転中に燃料バンドル集合体10の中に留まってよい。好ましくは、デブリシールドは、冷却材、特に非常用冷却材が、実質的に流動抵抗がない状態でデブリシールドを通って下向きに流れることを可能にする多孔性を有する。デブリシールドの多孔性およびばらばらの流体通路は、デブリの通過を阻止する。デブリシールドは、冷却用流体などの流体が通過することを可能にし、微粒子の通過を阻止するスクリーニング装置またはフィルタとして働く。好ましくは、冷却材の最適な流れを保持しながらデブリの大きさを最小にする細孔径を有するデブリシールドが、デブリ物質の小片の通過を阻止すべきである。
【0056】
本明細書に示すデブリシールド102、136および152は、典型的なシールドである。デブリシールド102は、断面が山形の多孔性構造を有し、および上部タイプレートに一体化している板として構成されてよい。デブリシールド102は、燃料バンドル集合体10のタイロッド、燃料棒および上部端栓を受容および支持するための開口を含む耐力構造である。耐力デブリシールド102のため、上部平坦支持構造および下部平坦支持構造は、必要とされない。デブリシールド136は、多孔性金属層からなる1つまたは複数の層で形成されてよい。層は、波状の断面形状を有してよく、この波状の断面形状は、シールド中の通路に対して傾斜を付与し、それによってシールドのフィルタリング機能を向上できる。示すようにデブリシールド136は、耐力ではなく、上部タイプレートの耐力フレームのスロットに挿入される。デブリシールド152は、層168および流路159を有する積層板であってよく、層168および流路159は、ばらばらであり、デブリをトラップするための屈曲および湾曲を有する。デブリシールド152は、非耐力性であってよく、上部タイプレートの上部平坦部分および下部平坦部分の中の穴に取り付けられるタイロッド、燃料棒および上部端栓が貫通する開口を有する。代替として、デブリシールド152は、図2、図3および図4に示されるように、ピン支持体開口を有する耐力性であってよく、ピン支持体およびリブの(下部ではなく)上部平坦マトリックスを有する上部タイプレートのフレーム160の底部空洞に着座する。
【0057】
デブリシールド102、136および152は、下向きに流れるデブリを阻止し、非常冷却用の流れに対して比較的小さい抵抗面積を有し、非常用炉心冷却システムの使用中にシールドを通っておよびシールドの周りを回ってバンドルの頂部へ流れる流体の再循環を可能にする。燃料バンドル集合体10の頂部の他の形状、構成要素および配置を有するデブリシールドは、冷却材を通過させながらバンドルの中に下向きに落ちるデブリが通過するのを阻止するのと実質的に同じように、デブリがバンドルの中に落ちるのを防ぐ役割を果たすように作製されてよく、それによって上部タイプレートを通り過ぎて落下するデブリによるバンドルの中に取り込まれるデブリが実質的にないという結果を実現する。
【0058】
デブリシールド102、136および152の3つの実施形態それぞれは、上部タイプレートを通り抜ける冷却材の流れからデブリを阻止し、スクリーニングにかけ、およびフィルタにかけるのに適している。デブリシールド102(第1の実施形態)は、例えば、1つまたは複数の以下の方法、すなわち、(i)タイロッド24のねじ付き上部端栓28、(ii)ウォータロッド23、230の上部端栓19、(iii)燃料バンドル集合体10内の全長燃料棒11の上部端栓30、および(iv)デブリシールド用の上部タイプレートに開いている空洞とデブリシールド自体の間で及ぼされる拘束力によって所定位置に保持できる。さらに、デブリシールド102は、上部タイプレート内に装着される取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であってよい。加えて、デブリシールド102は、デブリシールドが、中空の金属チャンネル20内部の燃料バンドルの開いた領域と少なくとも同じ広がりのある面を有する、上部タイプレートの中および燃料棒の上方の取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であってよい。
【0059】
デブリシールド102、136および152は、上部タイプレートの下方で装着されると共に中空の金属チャンネル20の中に収容される燃料棒のバンドルを含む原子炉燃料バンドル集合体10の中にデブリが落ちることを防ぐための方法の中で使用でき、この方法は、上部タイプレート内の取外し可能なユニットであり得るまたは上部タイプレート内に恒久的な一体構造として取付けできるデブリシールドを挿入するステップを含む。同様に、燃料バンドル集合体10が運転中の原子炉炉心の中にある間に、デブリシールドを上部タイプレートの中および燃料棒の上方で保持するステップと、原子炉炉心の運転中に冷却材をバンドルおよびデブリシールドを通して流すステップと、デブリシールドを用いて燃料バンドル集合体に落ちるデブリを捕捉する、スクリーニングにかける、または逸らすステップと、およびデブリを取り除くこととからなる方法が開発されている。デブリシールド102、136および152は、燃料集合体の頂部の中に潜在的に取り込まれる異物を逸らし、捕らえ、または取り除く。
【0060】
デブリシールド102、136および152はそれら自体、バンドルに対する構造的な支持を与え、それによって上部タイプレート中のピン支持体の別個のアレイを不要にすることができる。したがって、上部タイプレートは、燃料棒、ウォータロッド、および適切なタイロッドが取り付けられる硬質のデブリシールドを備えてよく、ここで、上部タイプレートは、従来のピン支持体アレイを含まない。
【0061】
デブリシールド102、136および152を通る冷却材の流れは、デブリシールドの両端間で実質的に圧力損失がないことが好ましい。デブリシールドの流動抵抗を低減するために、流路は、比較的広くてよいが傾斜される。デブリシールド中の通路を傾斜させることにより、デブリをトラップする、スクリーニングにかけ、またはフィルタにかけるためのシールドの能力を強化する。傾斜していることにより、小さいデブリの小片は、シールドをまっすぐに通って流れることができず、シールド内でトラップされ、または詰まる傾向になる。デブリシールド中の見通しのない通路が上部タイプレート集合体を通じての上から下への視線の視界を妨げるため、デブリシールドを通じての視界は遮られる。
【0062】
デブリシールド102、136および152は、冷却材などの流体が通過することを可能にし、微粒子の通過を阻止するスクリーンまたはフィルタとして働く。好ましくは、デブリシールドは、冷却材、特に非常用冷却材が、実質的に流動抵抗がない状態でデブリシールドを通って下向きに流れることを可能にする多孔性を有する。好ましくは、デブリシールドは、デブリシールドの両端間でかなり大きい流体の圧力低下を強いることなくデブリの大きさを最小にする細孔径を有するべきである。デブリシールド102、136および152は、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは他のマトリックス材などの多孔性の材料で形成されてよい。デブリシールドの通路は、とても狭くてより大きいデブリの小片が通路に入ることができないことが好ましい。さらに、上部タイプレートのフレームは、多孔性であってよく、例えば、流体がフレームを通り抜けることを可能にし、デブリの通過を阻止するための小さい垂直な穴を有してよい。フレーム中の穴により上部タイプレートを通る通路の有効流路面積が増大し、それによりデブリシールドによる任意の流量制限を補償またはオフセットする。
【0063】
デブリシールド136は、燃料バンドル集合体10の垂直軸に対して傾斜するシールド中の穴をもたらす波状の断面形状を有してよい。穴の傾斜は、デブリを阻止およびトラップする際に有利である。デブリシールド136の波状の形状は、デブリシールドの上部の稜線および下部の溝をスロットの上面および下面に対して付勢させることによってデブリシールドをスロットに固着するのを助ける。デブリシールドの上部の稜線および下部の溝133は、タイロッド、燃料棒、ウォータロッドおよび各種の上部端栓のねじ付き端部を受容するための開口を含む。好ましくは、デブリシールド136は、燃料バンドル集合体10の上方から落ちたものである捕捉したデブリを保持しながら、冷却材、特に非常用冷却材が燃料バンドル集合体を通って下向きに流れることを可能にする、溝および稜線の上部の大部分と下部の大部分の間の側面での多孔性を有する。
【0064】
構造的に強いデブリシールド152は、耐力構造として働き、フレームの上部部分および下部部分のうちの1つまたは複数の部分を置き換えることができる。デブリシールド152は、ハニカム状金属構造、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは多孔性である他のマトリックスであってよい。デブリシールドを通る通路は、デブリシールドのデブリをスクリーニングにかける機能およびフィルタにかける機能を保持しながらデブリシールドの両端間で任意の流体の圧力低下を最小にするために多数あってよい。
【0065】
図15a、図15bおよび図15cは、整備および保守のために炉心21から取り除かれた燃料バンドル集合体10を受容するための整備または燃料検査プール180を示す概略図である。概して、冷却材/減速材182は、炉心、および整備または燃料検査プール中で燃料バンドル集合体を覆う。
【0066】
図15aに示すように、クレーン184は、燃料バンドル把手の把手をつかみ、燃料バンドル集合体10を炉心から持ち上げる。クレーン184は、燃料バンドル集合体をオーバーヘッド梁186などに沿って整備または燃料検査プール180まで移動させる。クレーンは、燃料バンドル集合体を整備または燃料検査プールの中に降ろす。
【0067】
図15bに示すように、中空の金属チャンネル20は、取り除かれており、燃料バンドル32は、整備または燃料検査プール180中で検査および保守を受ける準備が整っている。上部タイプレート中のスロットまたは空洞154からデブリシールドを取り除くために、デブリシールド152は、デブリシールドを水平方向に滑動することによって上部タイプレートから取り除くことができる。取り除いたら、デブリシールドは、清掃および検査されてよく、上部タイプレートのスロットの中に再挿入される。代替として、デブリシールドは、新しいデブリシールドと交換されてよく、この新しいデブリシールドは上部タイプレートのスロットの中に挿入される。
【0068】
図15Cに示すように、上部タイプレートは、デブリシールド102が燃料バンドル32の上部に取り付けられたままであり、チャンネルが取り除かれた状態で燃料バンドル集合体から取り除くことができる。上部タイプレートは、交換または保守され、次いでデブリシールドの上におよび燃料バンドル32の上へ再設置されてよい。
【0069】
上部タイプレートが取り除かれた後、次いでデブリシールドは、ウォータロッド23および230のねじ付き上部端栓をデブリシールドに固着する六角ナットを取り除くことによって燃料バンドル32から取り外されてよい。燃料バンドルから取り除かれると、デブリシールドは、シールド中にトラップしたデブリを取り除くために清掃されてよい。代替として、デブリシールドは、新しいデブリシールドと交換されてよい。
【0070】
さらに、上部タイプレートが取り除かれた後、デブリシールド102が燃料バンドル32のウォータロッド23および230に取り付けられたままの状態で、1つまたは複数の燃料棒11、12が、デブリシールド中の穴を通じて取り除かれてよい。具体的には、燃料棒の上端が、デブリシールドの穴に着座されている円筒形ピン支持体106(図3)に挿入される。デブリシールド中の穴は、燃料棒および膨張スプリングを通過させるのに十分広い。円筒形ピン支持体106は、上部タイプレート中のピン支持体の上方格子マトリックスによって、あるいはロックワッシャ、六角ナット17、または円筒形ピン支持体をデブリシールドの上面に解除可能に固着する他の固着機構によってデブリシールドにしっかり着座されてよい。円筒形ピン支持体は、燃料棒の上端が支持体を通って延在することを可能にし、燃料棒上の膨張スプリング用の上部端止めを与え得る。
【0071】
燃料棒11、12を取り除くために、燃料棒の上端をつかんで上向きに引張り、それにより燃料棒、円筒形ピン支持体、および膨張スプリングが集合体としてデブリシールド102中の穴を通って上に移動する。上部タイプレートが取り除かれると、デブリシールドが燃料バンドルを覆い、支持している状態で、単一の燃料棒を燃料バンドルから取り除くことができる。同様に、燃料棒、膨張スプリング、および円筒形ピン支持体の集合体は、円筒形ピン支持体がデブリシールドの穴に着座するように集合体をデブリシールド中の穴を通じて降ろすことによって燃料バンドルに挿入されてよい。
【0072】
デブリシールドによって捕集されたデブリは、原子炉炉心21内の潜在的な問題を検出するために検査されてよい。デブリシールドによって捕捉されたデブリは、ことによると、原子炉炉心からの構成要素の破片、緩んだ構成要素、構成要素と他の断片が擦れることによって生じる金属の削りくずであり得る。デブリシールドからのデブリを作業者が検査することにより、原子炉炉心内の問題が示され得る。作業者は、検査に基づいて、原子炉炉心の構成要素が修理、交換または少なくともさらなる検査を必要とし得るか判定し、または少なくともそのことを疑うことができる。したがって、デブリシールドからのデブリの検査は、デブリシールドが上部タイプレートおよび燃料バンドル32から取り外されている間に、または取り外された後に行われ得る。
【0073】
清掃したデブリシールドまたは新しいデブリシールドは、デブリシールドを取り除いたのとほとんど同じやり方で燃料バンドルに適用される。中空の金属チャンネル20が、燃料バンドル32に再び取り付けられる。完成した燃料バンドル集合体は、クレーンによって整備または燃料検査プール180から持ち上げられ、炉心内の燃料バンドル集合体のアレイ中のその適当な位置に設置される。燃料バンドル集合体は、その元の位置に戻されてなくてよい。むしろ、燃料バンドル集合体10は、炉心内の異なる位置に戻されてよく、この位置は原子炉性能に基づいて決定されるものである。上記の通り、単一の燃料棒を取り除くことは、上部タイプレートを除いて、デブリシールドまたは燃料バンドルの他の構成要素を取り除くことなく1つまたは複数の燃料棒を燃料バンドルから取り除く能力を与える。上部タイプレートおよび個々の燃料棒は、燃料バンドルを完全に分解することなく修理または交換できる。したがって、上部タイプレートおよび個々の燃料棒の修理および交換は、燃料バンドルが整備/検査プール中にある間に行うことができる。整備/検査プール中でこれらの修理および交換を行い、燃料バンドル全体を分解しないことにより、上部タイプレートの保守または個々の燃料棒の交換に必要な仕事量を減少させることで時間と費用が節約される。
【0074】
本発明を最も実用的で好ましい実施形態であると現在みなされるものと共に説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されることはなく、しかし一方、添付した特許請求の範囲の精神および範囲の中に含まれるさまざまな修正形態および均等な構成を包含するように意図されることが理解されよう。
【符号の説明】
【0075】
10 従来の/核燃料バンドル集合体
11 全長燃料棒
12 部分長燃料棒
13 上部タイプレート
14 下部タイプレート
15 スペーサ
16、16a 膨張スプリング
17 六角ナット
18 フィンガスプリング
19 ウォータロッドの上部端栓
20 中空の金属チャンネル
21 炉心
22 把手
23/230 ウォータロッド
24 タイロッド(ねじ付き端部28付き)
25 チャンネルポスト(ねじのない)
26 チャンネルポスト/ねじ付き
28 ねじ付き端部
29 下部タイプレートの「格子」
30 燃料棒の上部端栓
31 UTPのフレームワーク内の小さい垂直な穴
32 燃料バンドル(チャンネルまたは他の燃料構成要素のない集合体)
100 上部タイプレート集合体(図2)
101 デブリシールド中の垂直な穴
102 内部デブリシールド
104 水平支持フレーム
105 凹所
106、106a 円筒形ピン支持体
107 円筒形ピン支持体の上部フランジ
108 デブリシールドを通る流路
109 上部タイプレートの底部空洞(図3)
110 デブリシールドの周縁
111 出張り
112 山形模様
114 デブリシールドの上面
116 デブリシールドを通る流路中のコーナー
117 支持フレームの基準点
130 上部タイプレート集合体(図5および図6)
131 フレーム中の穴
132 水平支持フレーム
133 上部の稜線および下部の溝(中実の材料領域)
134 水平スロット
135 デブリシールド136中のピン支持体
136 デブリシールド
137 斜面
138 中空リブ
139 V形チャンネル
140 ピン支持体のマトリックス
141 ピン支持体
142 リブ
143 デブリシールド中の傾斜した穴、孔
144 マトリックスを支持フレームに接続するリブ
145 固体金属の補強材
150 上部タイプレート集合体(図10〜図14)/(第3の実施形態)
152 デブリシールド
154 上部タイプレートのスロット/空洞
156 上部マトリックス、上部平坦マトリックス、上部平坦部分
158 下部マトリックス、下部平坦マトリックス、下部平坦部分
159 流路
160 3つの側面があるフレーム
161 ピン支持体開口、ピン支持体(図12および図13)
162 デブリシールドの縁部
164 上面、層
166 下面、層
168 デブリシールドの層、デブリシールド
170 ナット、ロックタブワッシャ
180 整備/燃料検査プール(図15)
182 冷却材/減速材
184 クレーン
186 オーバーヘッド梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉燃料バンドル集合体(10)の中のデブリシールドを清掃または交換をする方法において、前記燃料バンドル集合体は、燃料棒(11、12)のバンドルを含み、前記棒の燃料濃縮部が上部タイプレート(13、100、130、150)の下方にあると共にチャンネル(20)の中に収容される方法であって、
(a)デブリシールド(102、136、152、168)を前記上部タイプレートに挿入するステップと、
(b)前記燃料集合体が運転中の原子炉炉心(21)の中にある間に、前記シールドを前記上部タイプレートの中および前記燃料棒の前記燃料濃縮部の上方で保持するステップと、
(c)前記原子炉炉心の運転中に冷却材をバンドルおよび前記デブリシールドを通して流すステップと、
(d)前記デブリシールドを用いて前記燃料バンドル集合体を通って流れるデブリを捕捉するまたは逸らすステップと、
(e)ステップa〜dの後に、前記燃料バンドル集合体を前記原子炉炉心から取り除くステップと、
(f)ステップ(e)の後に、前記デブリシールドを前記上部タイプレートから取り除くステップとを含む方法。
【請求項2】
ステップ(f)の後に、前記デブリシールド(102、136、152、168)または別のデブリシールドのうちの少なくとも1つのデブリシールドを前記上部タイプレートに挿入するステップと、前記燃料バンドル集合体を前記原子炉炉心の中に配置するステップとをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップ(e)の後に、前記燃料バンドル集合体が整備または燃料検査プール(180)へ移動され、ステップ(f)が、前記燃料バンドル集合体が前記整備プールの中にある間に行われる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ステップ(f)の後であり、前記燃料バンドル集合体が前記整備または燃料検査プール(180)の中にある間に、前記デブリシールドまたは別のデブリシールドのうちの少なくとも1つのデブリシールドを前記上部タイプレートに挿入するステップ、および前記燃料バンドル集合体を前記原子炉炉心の中に配置するステップ、ならびにステップ(f)の後に、前記燃料バンドル集合体を前記整備または燃料検査プールから前記原子炉炉心へ移動するステップをさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
ステップ(f)が、前記上部タイプレートを、前記デブリシールドが前記燃料棒に取り付けられたままの状態で取り除くステップと、その後に前記デブリシールドを取り除くステップとをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
タイロッド(24)を前記上部タイプレートの方形のフレームの中で支持するステップをさらに含み、前記フレームが概して水平の開いた領域を画定し、前記デブリシールドが前記開いた領域をカバーする、請求項1記載の方法。
【請求項7】
複数の燃料棒(11、12)と、
上部タイプレートデブリシールド(102、136、152、168)を受容するための空洞(109)を有する上部タイプレート(13、100、130、150)とを備え、前記上部タイプレートが、前記燃料棒に直接接続されず、
前記上部タイプレートデブリシールド(102、136、152、168)が、前記空洞に着座されると共に前記燃料棒のうちの1つの燃料棒の上端が内部を延在する少なくとも1つの穴を有する燃料バンドル(10)。
【請求項8】
膨張スプリング(16)を前記燃料棒のうちの少なくとも1つの前記燃料棒にさらに備え、前記膨張スプリングが、前記デブリシールド中の前記穴を通って延在すると共に前記上部タイプレートに当接する、請求項7記載の燃料バンドル。
【請求項9】
前記燃料棒と平行に配列した少なくとも1つのウォータロッド(19、23、230)をさらに備え、前記ウォータロッドが、前記デブリシールド中の穴を通って延在する上端を有し、前記ウォータロッドの前記上端は、前記デブリシールドの上面に固着される、請求項7記載の燃料バンドル。
【請求項10】
ナット(170)が、前記ウォータロッドを前記デブリシールドの前記上面に固着するために、前記ウォータロッドの前記上端のねじ山に取り付けられる、請求項9記載の燃料バンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公開番号】特開2010−127937(P2010−127937A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266908(P2009−266908)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)