説明

上部パネルユニット及び開閉用金具

【課題】開閉可能な上部パネルを取り付けたドア枠を作業者一人で簡単に設置することができるようにする。
【解決手段】ドア枠に取り付けられるドアの直上部分を仕切る上部パネル20が、左右一対の開閉用金具30を介して、ドア枠を構成している上枠12に予め連結されている。開閉用金具30は、ドア枠を構成している縦枠に取り付けられる縦枠取付部材31と、上部パネル20に取り付けられるパネル取付部材35と、上枠12に取り付けられる上枠取付部材37とを有しており、この上枠取付部材37を上枠12に、パネル取付部材35を上部パネル20にそれぞれビス止めした状態で、上部パネル20が上枠12に対して回動するように、上枠取付部材37の支持片39が縦枠取付部材31の基部32の上端部に回動可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアの上側に上部パネルを開閉可能に取り付ける場合に有利な上部パネルユニット及びその上部パネルユニットに好適な開閉用金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、縦枠が天井面まで立ち上がるドア枠には、ドアの直上部分を仕切る上部パネルを取り付けることになるが、風通しをよくするために、上部パネルを開閉させたい場合があり、その場合は、横滑り出し窓と同様に、「ほいとこ」と呼ばれる左右一対の開閉用金具を介して、上部パネルをドア枠に取り付けることになる。
【0003】
こういった開閉用金具は、縦枠にビス止めする、上下方向に延びるスライドレール及びこのスライドレールに沿って昇降するスライダとを有する縦枠取付部材と、上部パネルの側面にビス止めするパネル取付部材とを備えており、パネル取付部材の上端部が縦枠取付部材のスライダにピン結合されると共に、パネル取付部材の中間部及び縦枠取付部材の下端部が、リンクの両端部にそれぞれピン結合されることで、パネル取付部材が、縦枠取付部材に重なり合った位置と下端部を跳ね上げた位置との間で回動するように、縦枠取付部材に支持されている。
【0004】
従って、こういった開閉用金具を用いて、壁面開口部に設置されたドア枠に上部パネルを開閉可能に取り付けるには、まず、一対の開閉用金具のパネル取付部材を上部パネルの側面にそれぞれビス止めした後、パネル取付部材の下端部を跳ね上げることによって、即ち、上部パネルを開方向に傾けることによって、縦枠取付部材を露出させた状態で、縦枠取付部材をドア枠の縦枠の所定位置にビス止めすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−157679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような方法で上部パネルをドア枠に取り付ける場合、傾けた状態の上部パネルを支えながら、一方の開閉用金具の縦枠取付部材を所定位置に位置決めした状態で一方の縦枠にビス止めし、その後も、傾けた状態の上部パネルを支えながら、他方の開閉用金具の縦枠取付部材を所定位置に位置決めした状態で他方の縦枠にビス止めする必要があるので、作業者が一人で取り付けることは難しく、上部パネルの取り付けに手間と時間がかかるといった問題がある。
【0007】
また、一方の開閉用金具の縦枠取付部材を一方の縦枠にビス止めした後、他方の開閉用金具の縦枠取付部材のビス止め作業に移行する際、手で支えている上部パネルの姿勢を維持することができずに、上部パネルにおける他方の開閉用金具側の端部が上下に動いてしまうと、縦枠にビス止めされている一方の開閉用金具が変形したり、損傷したりするといった問題もある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、開閉可能な上部パネルを取り付けたドア枠を作業者一人で簡単に設置することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ドア枠に取り付けられるドアの直上部分を仕切る上部パネルと、前記上部パネルを、前記ドア枠の上部に開閉可能に取り付ける左右一対の開閉用金具と、前記ドア枠を構成している上枠とを備え、前記開閉用金具は、前記ドア枠を構成している縦枠に取り付けられる縦枠取付部材と、前記上部パネルに取り付けられるパネル取付部材と、前記上枠に取り付けられる上枠取付部材とを有し、前記開閉用金具の前記パネル取付部材を前記上部パネルの側面に取り付けると共に、前記開閉用金具の前記上枠取付部部材を前記上枠の下面に取り付けることで、前記上枠と前記上部パネルとが、前記開閉用金具を介して、予め連結されていることを特徴とする上部パネルユニットを提供するものである。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の上部パネルユニットにおいて、前記上枠に前記開閉用金具を介して連結された前記上部パネルが、前記上枠に対して回動するように、前記開閉用金具は、前記上枠取付部材が前記縦枠取付部材に回動可能に支持されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明の上部パネルユニットにおいて、前記上枠の両端部には、前記ドア枠を構成している縦枠に取り付けられた連結ピンに係合することで、前記上枠を前記縦枠に連結する引き独鈷金具が取り付けられていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、請求項1または2に係る発明の上部パネルユニットにおいて、前記上枠の両端部には、前記ドア枠を構成している縦枠に取り付けられた連結ピンに係合することで、前記縦枠を引き付けた状態で、前記上枠を前記縦枠に連結する引き独鈷金具が取り付けられていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、ドア枠に取り付けられるドアの直上部分を仕切る上部パネルを、前記ドア枠の上部に開閉可能に取り付ける開閉用金具であって、前記ドア枠を構成している縦枠に取り付けられる縦枠取付部材と、前記上部パネルに取り付けられる、前記縦枠取付部材に回動可能に支持されたパネル取付部材と、前記上枠に取り付けられる上枠取付部材とを備え、前記縦枠に連結されていない前記上枠に前記上枠取付部材を取り付けると共に、前記上部パネルに前記パネル取付部材を取り付けた状態で、前記上部パネルが前記上枠に対して回動するように、前記上枠取付部材が前記縦枠取付部材に回動可能に支持されていることを特徴とする開閉用金具を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1に係る発明の上部パネルユニットは、開閉用金具のパネル取付部材を上部パネルの側面に取り付けると共に、開閉用金具の上枠取付部材を上枠の下面に取り付けることで、上枠と上部パネルとが、開閉用金具を介して、予め連結されているので、壁面開口部にドア枠を設置した時点で、既に、上部パネルが上枠から吊り下げられた状態になっている。従って、開閉用金具の縦枠取付部材を縦枠に取り付ける際、傾けた上部パネルを支える必要がなく、作業者が一人でも簡単に上部パネルをドア枠に取り付けることができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の上部パネルユニットは、上枠に開閉用金具を介して連結された上部パネルが、上枠に対して回動するように、開閉用金具は、上枠取付部材が縦枠取付部材に回動可能に支持されているので、上枠に開閉用金具を介して連結された上部パネルを上枠に対して回動させることで、上部パネルに上枠を重ね合わせたコンパクトな状態で、上部パネルユニットを保管したり、輸送したりすることができると共に、その状態では、開閉用金具に無理な力がかかることがなく、保管時や輸送時に開閉用金具が変形したり、損傷したりすることもない。
【0016】
また、請求項3、4に係る発明の上部パネルユニットは、上枠の両端部に、ドア枠を構成している縦枠に取り付けられた連結ピンに係合させることで、上枠を縦枠に連結する引き独鈷金具が取り付けられているので、壁面開口部内でドア枠を組み立てる際、縦枠を壁面開口部の両側面に仮固定した後、縦枠に取り付けられた連結ピンを上枠に取り付けられた引き独鈷金具に係合させることで、左右一対の縦枠と上枠とが即座に連結される。従って、縦枠の垂直を調整するだけで、上枠と縦枠との連結部分が直角となり、上枠の固定は目視で水平を確認しながら行えばよく、寸法出しの必要もないので、上枠に開閉用金具を介して上部パネルが連結されていても、簡単にドア枠を組み立てることができる。
【0017】
また、請求項5に係る発明の開閉用金具は、横滑り出し窓等に使用される一般的な開閉用金具とは異なり、上枠に取り付けられる上枠取付部材を備えているので、この開閉用金具を用いれば、予め、上部パネルを上枠に連結してなる上部パネルユニットを形成することができ、しかも、縦枠に連結されていない上枠に上枠取付部材を取り付けると共に、上部パネルにパネル取付部材を取り付けた状態で、上部パネルが上枠に対して回動するように、上枠取付部材が縦枠取付部材に回動可能に支持されているので、上部パネルを上枠に対して回動させることで、上枠に上部パネルを重ね合わせたコンパクトな状態で、上部パネルユニットを保管したり、輸送したりすることができると共に、その状態では、開閉用金具に無理な力がかかることがなく、保管時や輸送時に開閉用金具が変形したり、損傷したりすることもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る上部パネルユニットの一実施形態を用いて組み立てたドア枠にドアを取り付けた状態を示す正面図である。
【図2】(a)は図1のX−X線に沿った断面図、(b)は(a)における上部パネルを開いた状態を示す断面図である。
【図3】図1のY−Y線に沿った断面図である。
【図4】同上の上部パネルユニットを示す斜視図である。
【図5】(a)は同上の上部パネルユニットを示す平面図、(b)は同上の上部パネルユニットを示す正面図、(c)は同上の上部パネルユニットを示す底面図である。
【図6】同上の上部パネルユニットを示す側面図である。
【図7】同上の上部パネルユニットにおける上部パネルを開いた状態を示す側面図である。
【図8】同上の上部パネルユニットにおける上部パネルを開いた状態を上から視た斜視図である。
【図9】同上の上部パネルユニットにおける上部パネルを開いた状態を下から視た斜視図である。
【図10】(a)は同上の上部パネルユニットに使用されている開閉用金具を示す側面図、(b)は(a)におけるパネル取付部材を跳ね上げた状態を示す側面図である。
【図11】(a)は同上の上部パネルユニットに使用されている開閉用金具を示す斜視図、(b)は(a)におけるパネル取付部材を跳ね上げた状態を示す斜視図である。
【図12】(a)、(b)は、開閉用金具における縦枠取付部材に対する上枠取付部材の取付状態を説明するための説明図である。
【図13】同上の上部パネルユニットの端部を示す部分拡大斜視図である。
【図14】(a)は縦枠への上枠の取り付け前の状態を示す平面図、(b)は縦枠に上枠を取り付けた状態を示す平面図である。
【図15】(a)、(b)は同上のドア枠の組立・設置工程を説明するための工程図である。
【図16】(a)は同上の上部パネルユニットの輸送・保管時の状態を示す平面図、(b)は同上の上部パネルユニットの保管・輸送時の状態を示す正面図、(c)は同上の上部パネルユニットの輸送・保管時の状態を示す側面図である。
【図17】引き寄せ機能を備えていない引き独鈷金具が取り付けられた上枠の端部を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1、図2(a)、(b)及び図3は、天井面まで立ち上がったドア枠10にドアDを取り付けた状態を示している。このドア枠10は、天井面まで立ち上がる、左右一対の縦枠11、11と、この縦枠11、11をその上端部で連結する上枠12とから構成されており、このドア枠10には、ドアDの上側の空間を仕切る、開閉可能な上部パネル20が取り付けられている。なお、縦枠11、11、上枠12及び上部パネル20は、木質材料によって形成されており、縦枠11、11及び上枠12には、合成樹脂等によって形成された戸当り13が取り付けられている。
【0020】
前記上部パネル20は、図4〜図9に示すように、ドア枠10を構成している上枠12に予め取り付けられた上部パネルユニット1として、一対の縦枠11、11と共に供給されるようになっており、上部パネル20は、開閉用金具30を介して、上枠12の短手方向の一端側における下面に開閉可能に取り付けられている。
【0021】
前記開閉用金具30は、図10(a)、(b)及び図11(a)、(b)に示すように、ドア枠10の縦枠11に取り付けられる縦枠取付部材31と、上部パネル20の側面に取り付けられる、フラットバーからなるパネル取付部材35と、上枠12の下面に取り付けられる鉤形の上枠取付部材37とから構成されており、パネル取付部材35及び上枠取付部材37は、縦枠取付部材31に支持されている。
【0022】
前記縦枠取付部材31は、幅広の外側板32Aと幅狭の内側板32Bとが一方の側縁で連結板32Cによって相互に連結された基部32と、この基部32における外側板32Aと内側板32Bとの間に設けられた上下方向に延びるスライドレール33と、このスライドレール33に沿って昇降するスライダ34とから構成されており、外側板32Aには、縦枠11にビス止めするための複数のビス孔32Aaが形成されている。
【0023】
前記パネル取付部材35は、その上端部が縦枠取付部材31のスライダ34にピン結合されていると共に、その中間部が、一端を基部32の下端部にピン結合してなるリンク36の他端にピン結合されることで、スライダ34と共に昇降する上端部を支点として回動するようになっており、スライドレール33に対するスライダ34のスライド抵抗によって、取り付けた上部パネル20の自重に打ち勝って、回動範囲内の任意の位置で停止するようになっている。
【0024】
また、このパネル取付部材35にも複数のビス孔35aが形成されており、パネル取付部材35が上部パネル20の側面から突出しないように、上部パネル20の側面に形成された彫込凹部21に嵌め込んだ状態でビス止めされている。
【0025】
前記上枠取付部材37は、上枠12の下面にビス止めするための2個のビス孔38aが形成されたビス止め片38と、このビス止め片38に連設された支持片39とから構成されており、図12(a)、(b)に示すように、この上枠取付部材37を上枠12に、パネル取付部材35を上部パネル20にそれぞれビス止めした状態で、上部パネル20が上枠12に対して回動するように、支持片39が縦枠取付部材31における内側板32Bの上端部に回動可能に支持されている。
【0026】
前記上枠12は、図13に示すように、上面側の長手方向の両端角部が切除されており、この切除部の側端面12aに、図14(a)、(b)に示すように、縦枠11に取り付けられた2本の連結ピン41、41の大径の頭部41a、41aに係合することで、縦枠11を引き付けた状態で、上枠12を縦枠11に連結する引き独鈷金具42が取り付けられており、上枠12の下面には、戸当り13を取り付けるための2本の溝12b、12bが形成されている(図5(c)参照)。
【0027】
前記引き独鈷金具42は、連結ピン41、41の大径の頭部41a、41aに係合する面が、連結ピン41、41の進入方向に向かって金具の取付面側に徐々に接近するように、係合部42a、42aを傾斜させてあり、連結ピン41、41を係合部42a、42aに進入させるに従って、縦枠11が上枠12側に引き付けられるようになっている。
【0028】
以上のように構成されたドア枠10は、以下のようにして組み立てられる。まず、図15(a)に示すように、左右一対の縦枠11、11を、壁面開口部を形成している縦桟木51、51に木ねじによって仮止めした後、図14(a)、(b)に示すように、縦枠11に取り付けられた2本の連結ピン41、41を、上部パネル20の上枠12に取り付けられた引き独鈷金具42に係合させることで、図15(b)に示すように、左右一対の縦枠11、11の上端部同士を、上部パネルユニット1(上枠12)によって相互に連結する。
【0029】
次に、上枠12の水平を目視で確認しながら、壁面開口部を構成している横桟木52と上枠12との間に隙間調整部材を適宜挿入することによって、上枠12の位置調整を行い、横桟木52に上枠12を釘や木ねじによって固定する。
【0030】
続いて、開閉用金具30の縦枠取付部材31を縦枠11に取り付けることになるが、その際は、上部パネル20を開く(傾ける)ことによって、外側板32Aに形成されたビス孔32Aaを露出させた状態で、外側板32Aを縦枠11にビス止めする。なお、縦枠11には、予め、所定位置に下孔が形成されており、この下孔と外側板32Aのビス孔32Aaとを一致させることによって、縦枠取付部材31の位置決めを行う。
【0031】
最後に、上部パネル20を閉じて、上部パネル20と縦枠11との隙間に隙間埋め具を仮挿入した状態で、縦枠11、11が垂直になるように、壁面開口部を構成している縦桟木51、51と縦枠11、11との間に隙間調整部材を適宜挿入しながら、縦枠11、11の位置調整を行い、縦桟木51、51に縦枠11、11を釘や木ねじによって本固定する。
【0032】
以上のように、この上部パネルユニット1は、開閉用金具30のパネル取付部材35を上部パネル20の側面に取り付けると共に、開閉用金具30の上枠取付部材37を上枠12の下面に取り付けることで、上枠12と上部パネル20とが、開閉用金具30を介して、予め連結されているので、壁面開口部にドア枠10を設置した時点で、既に、上部パネル20が上枠12から吊り下げられた状態になっている。従って、開閉用金具30の縦枠取付部材31を縦枠11に取り付ける際、傾けた上部パネル20を支える必要がなく、作業者が一人でも簡単に上部パネル20をドア枠10に取り付けることができる。
【0033】
また、従来の方法では、一方の開閉用金具の縦枠取付部材を一方の縦枠にビス止めした後、他方の開閉用金具の縦枠取付部材のビス止め作業に移行する際、手で支えている上部パネルの姿勢を維持することができずに、上部パネルにおける他方の開閉用金具側の端部が上下に動いてしまうと、縦枠にビス止めされている一方の開閉用金具が変形したり、損傷したりすることがあるが、この上部パネルユニット1を使用すると、そういった問題が発生することもない。
【0034】
また、この上部パネルユニット1は、上枠12に開閉用金具30を介して連結された上部パネル20が、上枠12に対して回動するように、開閉用金具30は、上枠取付部材37が縦枠取付部材31に回動可能に支持されているので、上枠12に開閉用金具30を介して連結された上部パネル20を上枠12に対して回動させることで、図16(a)〜(c)に示すように、上部パネル20に上枠12を重ね合わせたコンパクトな状態で、上部パネルユニット1を保管したり、輸送したりすることができると共に、その状態では、開閉用金具30に無理な力がかかることがなく、保管時や輸送時に開閉用金具30が変形したり、損傷したりすることもない。
【0035】
また、この上部パネルユニット1は、上枠12の両端部に、ドア枠10を構成している縦枠11に取り付けられた連結ピン41に係合させることで、上枠12を縦枠11に連結する引き独鈷金具42が取り付けられているので、壁面開口部内でドア枠10を組み立てる際、縦枠11を壁面開口部の両側面に仮固定した後、縦枠11に取り付けられた連結ピン41を上枠12に取り付けられた引き独鈷金具42に係合させることで、左右一対の縦枠11、11と上枠12とが即座に連結される。従って、縦枠11の垂直を調整するだけで、上枠12と縦枠11との連結部分が直角となり、上枠12の固定は目視で水平を確認しながら行えばよく、寸法出しの必要もないので、上枠12に開閉用金具30を介して上部パネル20が連結されていても、簡単にドア枠10を組み立てることができる。
【0036】
なお、上述した実施形態では、縦枠11の引付機能を有する引き独鈷金具42を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図17に示すように、係合部42Aa、42Aaが傾斜しておらず、縦枠11の引付機能を有していない引き独鈷金具42Aを採用することも可能である。
【0037】
また、上述した実施形態では、上枠12の両端部に引き独鈷金具42を取り付けているが、これに限定されるものではなく、引き独鈷金具を省略することも可能である。ただし、引き独鈷金具を上枠に取り付けない上部パネルユニットを使用する場合は、上枠12に引き独鈷金具42を取り付けている上部パネルユニット1を使用する場合とは、ドア枠の組立・設置方法が異なる。以下、引き独鈷金具を上枠に取り付けない上部パネルユニットを使用する場合のドア枠の組立・設置方法について簡単に説明する。
【0038】
まず、左右一対の縦枠を、壁面開口部を形成している縦桟木に仮止めした後、上枠を位置決めしながら、壁面開口部を形成している横桟木に上部パネルユニットを固定設置し、それぞれの縦枠を上部パネルユニットの両端部に連結した後、開閉用金具の縦枠取付部材を縦枠に取り付け、上部パネルと縦枠との隙間に隙間埋め具を仮挿入した状態で、縦枠が垂直になるように調整しながら、縦枠を壁面開口部の縦桟木に固定設置することになる。
【0039】
また、上述した実施形態では、パネル取付部材35の上端部が縦枠取付部材31のスライダ34にピン結合されていると共に、パネル取付部材35の中間部が、一端を基部32の下端部にピン結合してなるリンク36の他端にピン結合されることで、スライダ34と共に昇降する上端部を支点として回動するタイプの開閉用金具30を使用しているが、これに限定されるものではなく、上部パネルに取り付けられるパネル取付部材がドア枠の縦枠に取り付けられる縦枠取付部材に回動可能に支持されており、取り付けた上部パネルの自重に打ち勝って、パネル取付部材が回動範囲内の任意の位置で停止するのであれば、例えば、ダンパ等を取り付けた開閉用金具等、種々のタイプの開閉用金具を使用することができる。ただし、いずれのタイプの開閉用金具を採用する場合も、上枠に取り付けるための上枠取付部材を備えていなければならないことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の上部パネルユニットは、ドアの上側に上部パネルを開閉可能に取り付ける場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 上部パネルユニット
10 ドア枠
11 縦枠
12 上枠
12a 側端面
12b 溝
13 戸当り
20 上部パネル
21 彫込凹部
30 開閉用金具
31 縦枠取付部材
32 基部
33 スライドレール
34 スライダ
35 パネル取付部材
36 リンク
37 上枠取付部材
38 ビス止め片
39 支持片
41 連結ピン
41a 頭部
42、42A 引き独鈷金具
42a、42Aa 係合部
51 縦桟木
52 横桟木
D ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア枠に取り付けられるドアの直上部分を仕切る上部パネルと、
前記上部パネルを、前記ドア枠の上部に開閉可能に取り付ける左右一対の開閉用金具と、
前記ドア枠を構成している上枠と
を備え、
前記開閉用金具は、
前記ドア枠を構成している縦枠に取り付けられる縦枠取付部材と、
前記上部パネルに取り付けられるパネル取付部材と、
前記上枠に取り付けられる上枠取付部材と
を有し、
前記開閉用金具の前記パネル取付部材を前記上部パネルの側面に取り付けると共に、前記開閉用金具の前記上枠取付部部材を前記上枠の下面に取り付けることで、前記上枠と前記上部パネルとが、前記開閉用金具を介して、予め連結されていることを特徴とする上部パネルユニット。
【請求項2】
前記上枠に前記開閉用金具を介して連結された前記上部パネルが、前記上枠に対して回動するように、前記開閉用金具は、前記上枠取付部材が前記縦枠取付部材に回動可能に支持されている請求項1に記載の上部パネルユニット。
【請求項3】
前記上枠の両端部には、前記縦枠に取り付けられた連結ピンに係合することで、前記上枠を前記縦枠に連結する引き独鈷金具が取り付けられている請求項1または2に記載の上部パネルユニット。
【請求項4】
前記上枠の両端部には、前記縦枠に取り付けられた連結ピンに係合することで、前記縦枠を引き付けた状態で、前記上枠を前記縦枠に連結する引き独鈷金具が取り付けられている請求項1または2に記載の上部パネルユニット。
【請求項5】
ドア枠に取り付けられるドアの直上部分を仕切る上部パネルを、前記ドア枠の上部に開閉可能に取り付ける開閉用金具であって、
前記ドア枠を構成している縦枠に取り付けられる縦枠取付部材と、
前記上部パネルに取り付けられる、前記縦枠取付部材に回動可能に支持されたパネル取付部材と、
前記上枠に取り付けられる上枠取付部材と
を備え、
前記縦枠に連結されていない前記上枠に前記上枠取付部材を取り付けると共に、前記上部パネルに前記パネル取付部材を取り付けた状態で、前記上部パネルが前記上枠に対して回動するように、前記上枠取付部材が前記縦枠取付部材に回動可能に支持されていることを特徴とする開閉用金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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