説明

下半身衣類

【課題】腹部と臀部を強くサポートして体型補整が可能になり、ガードルの着用が不要になると共に、レッグ部に雅趣に富んだ美麗な柄編みを施してファッション性を高めて美脚効果を発揮できる下半身衣類を提供する。
【解決手段】ダブルラッシェル編みによりパンティー部2とレッグ部3とをシームレスで一体に編成し、ウエスト部4からレッグ部3までをフィットして覆う下半身衣類1である。腹部および臀部を緊締力が高い強パワー領域部Aとする。臀部の左右膨出部10,10を緊締力が中の中パワー領域部Bとする。レッグ部3を緊締力が弱い弱パワー領域部Cとすると共に柄編み11を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエスト部からレッグ部までぴったりフィットする下半身衣類に関するもので、さらに詳しくは、ダブルラッシェル編みで編成され、ウエストからヒップにかけての体型補整ができると共に、レッグラインが美麗になるレギンスやタイツなどの下半身衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、薄手の生地などからなる丈の短いスカートやワンピースの下に、伸縮性生地で作られたウエスト部からレッグ部までぴったりフィットする長いレギンス(スパッツともいう)を着用し、スカートの下からレギンスを見せるファッションが若い女性の間で流行っている。
【0003】
パンティー部とレッグ部とが一体となったレギンスは、丸編機により編成されるのが一般的である。例えば、図8,9に示すように、レギンス21は、左右一対の脚部22,22とその脚部22,22と連続編成されるパンティー部23,23とからなり、パンティー部23,23の内側面をU字状に裁断して裁断部24,24を形成し、パンティー部23,23の股上線25に沿って縫着部26として一体化したものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−299401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の丸編機により編成されたレギンス21は、編成、裁断、縫着工程が必要で作業工程が多くなり生産効率が悪くコスト高になると共に、パンティー部23の前後部に、必ず縫着部26が存在することになり、着用した時に、この縫着部26が腹部、股部、臀部の中央部に当たり、局部的な圧迫や苦痛感が必然的に伴い着心地が悪いばかりか、アウターにタイトな衣類を着用すると縫着部26がアウターの表面に現れて不体裁になる問題がある。
【0006】
また、上記のレギンス21は、着用者のボディーラインにおける体型補整効果などの機能は全く考慮されていない。すなわち、ウエストからヒップにかけてのラインを美しく整え、特に腹部の膨らみを押さえ、臀部をヒップアップする機能などを備えていないことから、腹部や臀部に限って強く締め付けて体型をよく見せるためにはガードルを併用しなければならなかった。ガードルを使用すると、重ね着によるごろつき感があり、着用違和感と共に蒸れやすくなり不快感が生じ、着脱にも手間がかかるといった問題点がある。
【0007】
さらに、丸編機ではレッグ部に柄模様が入れられないのでレギンスを着用しても、スカートの下から見えるレッグ部がありきたりの無地で、ファッション性に乏しく、美脚効果も発揮できないといった問題点がある。また、丸編機で編成されたレギンスは、洗濯時や他物と接触したりするとラン(伝線)やホツレが生じやすく、耐久性に問題があり短期間のうちに使用できなくなるといった問題点がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決することを課題として研究開発されたもので、腹部と臀部を強くサポートして体型補整が可能になり、ガードルの着用が不要になると共に、レッグ部に雅趣に富んだ美麗な柄編みを施してファッション性を高めて美脚効果を発揮できる下半身衣類を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、ダブルラッシェル編みによりパンティー部とレッグ部とをシームレスで一体に編成し、ウエスト部からレッグ部までをフィットして覆う下半身衣類であって、腹部および臀部を緊締力が強い強パワー領域部とし、臀部の左右膨出部を緊締力が中の中パワー領域部とし、レッグ部を緊締力が弱い弱パワー領域部とすると共に、柄編みを施したことを特徴とする下半身衣類を開発し、採用した。
【0010】
また、本発明では、上記のように構成した下半身衣類において、前記腹部の強パワー領域部は、ウエスト部から逆W字状に形成した鼠蹊部までの略全体であり、臀部の強パワー領域部は、左右膨出部を除いたウエスト部から臀部持ち上げ部までの略全体である下半身衣類、および前記鼠蹊部の下方部およびに臀部持ち上げ部の下方部に、緊締力が中の中パワー領域部を設けてある下半身衣類、および前記レッグ部は、膝下から甲までの範囲の所望長さである下半身衣類、およびレッグ部裾口に連設する足部が設けられている下半身衣類を開発し、採用した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の下半身衣類は、ダブルラッシェル編みによりパンティー部とレッグ部とをシームレスで一体に編成されているから、丸編機で編まれた場合に必ず生じる縫着線による着用感の低下がなくなると共に、腹部の膨らみを腹部の略全体の強パワーで押さえて膨らみを抑制することができ、また、臀部の左右膨出部は、中パワーにしてあるから、臀部の丸みをつぶさず、かつ臀部持ち上げ部によりヒップアップしてウエストからヒップにかけてのラインを美しく整えることができる。
【0012】
また、レッグ部にはダブルラッシェル編みによる柄編みが施されており、繊細で緻密な雅趣のある柄模様を表現できファッション性に富み、着用した場合に、スカートの下からでる美脚効果が生じ、柄模様によっては全体的にレッグラインを引き締まったシルエットに見せることができる。
【0013】
さらに、鼠蹊部の下方部および臀部持ち上げ部の下方部に、緊締力が中の中パワー領域部を設けてあるから、太股を締め付けてシェイプアップできると共に、強パワーのパンティー部と弱パワーのレッグ部の間に介在するから、締め付け力が段階的になり、パワーの変り目での伸縮がスムーズになり、緩みや段差が生じることなく、滑らかになってレッグ部およびパンティー部にぴったりフィットする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の背面図である。
【図3】使用状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態の正面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の背面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の正面図である。
【図7】本発明の第4実施形態の正面図である。
【図8】従来例を示す簡略分解図である。
【図9】従来例を示す簡略斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の第1実施の形態を添付の図1〜図3に基づいて説明すれば、1はダブルラッシェル編機で編成された縦横方向に伸縮するレギンスであり、パンティー部2とレッグ部3とをシームレスで一体に編まれており、着用した場合にはウエスト部4からレッグ部3までぴったりとフィットして覆うようになっている。
【0016】
パンティー部2は、腹部を覆う前身頃布5と臀部を覆う後身頃布6とマチ布7とで構成されており、腹部を覆う前身頃布5と臀部を覆う後身頃布6の略全体が緊締力の強い強パワー領域部Aにしてある。すなわち、前身頃布5はウエスト部4からマチ布7を中心として逆W字状に形成してある鼠蹊部8,8までの範囲であり、また、後身頃布6の場合は、ウエスト部4から臀部持ち上げ部9,9までの範囲であり、そのうちの左右縦長楕円形状の膨出部10,10は臀部の膨らみをつぶさない緊締力が中の中パワー領域部Bになっている。
【0017】
ここで言うパワーとは、締め付け力、締め付け圧などを言い、パワーの強弱に
ついては、編密度の変化、編組織の変化、編糸本数の変更、編糸種類を変えたりすることによって可能であり、適宜の手段を採用することによって、強パワー、中パワー、弱パワーを設定する。上記パンティー部2の糸使いとしては、30デニールのポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これに50デニールのナイロン糸をカバーリングしたカバーリング糸を用いてダブルラッシェル編みしたものである。
【0018】
レッグ部3は緊締力の弱い弱パワー領域部Cであり、図示していないが膝上や膝下までの長さの5分丈や6部丈、脹脛までの長さの7分丈や8分丈、足首までの長さのもの、あるいは甲までの長さがあって足かけ帯の付設した爪先部と踵部の見えるトレンカレギンスの場合もある。
【0019】
また、このレッグ部3には、図3に示すように、長さ方向に編柄模様11が施されている。編柄模様11としては、幾何学模様や植物の花柄模様や葉柄模様などがダブルラッシェルで編成されているから、繊細で緻密な雅趣に富んだ柄模様の他、レース模様なども施すことができる。
【0020】
このように構成した本発明の第1実施の形態に基づいて、その使用状態を作用、効果と共に説明すると、ウエストゴム(図示せず)を縫い付けた穿口部を広げて足部から差し込み、レギンス1を引き伸ばしていきレッグ部3とパンティー部2を覆っていけば伸縮性によりウエスト部4からレッグ部3までぴったりとフィットする。着用すると腹部の略全体が緊締力の強い強パワー領域部Aになっているから、腹部全体を包み込んで贅肉が無理なく押さえ込まれる。また、臀部については、臀部の左右膨出部10,10が中パワー領域部Bになっているから、臀部の丸みをつぶさず、左右膨出部10,10をくっきりと突出させることができる。しかも、臀部持ち上げ部9,9によりヒップアップしてウエストからヒップにかけてのラインを美しく整えることができる。そして、スカートの下から見えるレッグ部3に編柄模様11が施されていることから、美しいシルエットになると共に、スマートでシャープな美脚を演出することができる。
【0021】
図4、5に示すのは本発明の第2実施の形態を示すものであり、前記第1実施の形態と相違しているのは、鼠蹊部8,8の下方部および臀部持ち上げ部9,9の下方部に、緊締力が中の中パワー領域部B,Bを設けた点のみ異なっているだけであり、同一部分には同一符号を付し説明は省略する。なお、この中パワー領域部Bと左右膨出部10の中パワー領域部Bの強さはB>Bになっている。
これによって、太股部を締め付けてシェイプアップできる。また、強パワーAのパンティー部2と弱パワーCのレッグ部3の間に中パワー領域部Bが介在するから、締め付け力が段階的になり、パワーの変り目での伸縮がスムーズになり、緩みや段差が生じることなく、滑らかになってレッグ部およびパンティー部にぴったりフィットすると共に、太股部を締め付けてシェイプアップすることができる。
【0022】
さらに、図6,7に示すのは本発明の第3,第4実施の形態を示すものであり、前記第1,第2実施の形態では、レッグ部3の裾口が足首までの切り離しのレギンス1であったが、この第3,第4実施の形態は、足部12を有するタイツとした点だけが異なっていることから、同一部分には同一符号を付し説明は省略する。これによって、タイツを着用した時においても、前記第1,第2実施の形態と同様に、腹部の膨らみを抑制できると共に、臀部の丸みをつぶさず、ヒップアップしてウエストからヒップにかけてのラインを美しく整えることができる。
【0023】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は必ずしも、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、ウエスト部からレッグ部までをぴったりフィットする下半身衣類のレギンスやスパッツ、タイツなどに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 レギンス
2 パンティー部
3 レッグ部
4 ウエスト部
5 前身頃布
6 後身頃布
7 マチ布
8 鼠蹊部
9 持ち上げ部
10 膨出部
11 編柄
12 足部
A 強パワー領域部
B 中パワー領域部
C 弱パワー領域部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルラッシェル編みによりパンティー部とレッグ部とをシームレスで一体に編成し、ウエスト部からレッグ部までをフィットして覆う下半身衣類であって、腹部および臀部を緊締力が強い強パワー領域部とし、臀部の左右膨出部を緊締力が中の中パワー領域部とし、レッグ部を緊締力が弱い弱パワー領域部とすると共に、柄編みを施したことを特徴とする下半身衣類。
【請求項2】
前記腹部の強パワー領域部は、ウエスト部から逆W字状に形成した鼠蹊部までの略全体であり、臀部の強パワー領域部は、左右膨出部を除いたウエスト部から臀部持ち上げ部までの略全体である請求項1に記載の下半身衣類。
【請求項3】
前記鼠蹊部の下方部およびに臀部持ち上げ部の下方部に、緊締力が中の中パワー領域部を設けてある請求項1または2に記載の下半身衣類。
【請求項4】
前記レッグ部は、膝下から甲までの長さの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の下半身衣類。
【請求項5】
レッグ部から連続する足部が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の下半身衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−261112(P2010−261112A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110807(P2009−110807)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(502256099)株式会社ルシアン (4)
【Fターム(参考)】