説明

下向き式弾性波試験のための加振装置及びこれを用いた下向き式弾性波試験方法

【課題】本発明は、地盤に設けられて効率的で、かつ正確な弾性波発現が可能であり、必要によって分離携帯及び現場固定設置が可能な下向き式弾性波試験のための加振装置であって、既存の地下水位観測孔を通じて下向き式弾性波試験を遂行することができるようにするためのものである。
【解決手段】本発明は、加振ハンマーと、一側が上記加振ハンマーに連結され、他側を中心にして上記加振ハンマーを回転させる据置台と、上記据置台の他側を回動可能に上端部に結合させて上記加振ハンマー及び据置台を特定の高さで支持する支持台と、上記支持台を上側面の上で起立させ、回転する上記加振ハンマーにより打撃されて弾性波を発現させる加振源と、を含み、上記支持台の下端部には上記加振源の上側面に形成された支持台用溝に挿脱可能な固定部が形成されて、上記支持台、据置台、及び加振ハンマーと上記加振源との分離が可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下向き式弾性波試験のための加振装置及びこれを用いた下向き式弾性波試験方法に関し、より詳しくは、地盤に設けられて、効率的で、かつ正確な弾性波発現が可能であり、必要によって分離携帯及び現場固定設置が可能な下向き式弾性波試験のための加振装置及びこれを用いた下向き式弾性波試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人類の生存基盤で、かつ国家産業基盤の根本要素である水の効率的管理のために、ダム、貯水池、防潮堤、堤防のような構造物は、鉄筋コンクリートでも造成されることができるが、主に土砂や岩石のような地盤材料の築造により盛土構造物の形態に造成される。
【0003】
地盤材料で造成された該盛土構造物の頂上部は、通行や観光の目的の他にも、侵食、風化、侵入水などのような要因から盛土体を保護するために、単純地盤材料にて放置するよりは、主に一般的なアスファルトやコンクリート、または軟性を有する特殊材料で舗装されるか、多様な形態や大きさのブロック(block)により保護される。治水のための盛土構造物は、その安全性や機能的な面において、内部地下水位の変化と非常に緊密な関係を見せるが、このような理由により頂上部の重要地点に地下水位変化を周期的に確認するための地下水位観測孔を設置して運営するようになる。
【0004】
だけでなく、都心内の大型建築物や構造物の基礎造成、または地下空間造成のための大規模及び大深度掘削が頻繁になされており、掘削時に周辺地盤に対して多くの種類の計測を周期的に遂行して、隣接構造物に対して安定か否かを持続的に分析するようになる。この場合でも既に図示化によって地表面の大部分が舗装されている掘削周辺の地盤に対して位置別に多様な地下水位観測孔の設置運営を遂行するようになる。地下水位変化の定期的な計測を通じて掘削に従う周辺地盤の影響の程度を多様な観点から把握できるので、多くの計測対象の中でも地下水位変化の計測は非常に重要な項目と考慮されて適用されている。
【0005】
一般に、治水関連盛土構造物や地盤掘削に関する設計は、地盤工学や水工学の観点から目的及び性能確保年限を考慮して最も合理的になされる。そうだとしても、対象構造物やその周辺地盤及び構造物の安全性は施工過程や材料、設計考慮要因の異常な変化、内外部の予測できない影響要因などにより時間的流れによって変化される。
【0006】
このような点から盛土構造物や掘削周辺地盤の状態に対する定期的で、かつ持続的な計測は必ず必要である。特に、治水関連盛土構造物や地下水位が掘削底面より高い標高に存在する掘削周辺地盤は地表面の下の地下水変化程度や二次的な誘発影響により内部構成材料である地盤の工学的特性が漸進的に、または急激に変わることができる。地盤材料特性の変化は構造物の局部的または全体的な安全性に直結されるが、その中でも、最近、国内外的に重要に考慮されている材料特性のうちの1つがまさに微小変形率水準での動的剛性である定量的弾性波(elastic wave)特性としての体波速度(body wave velocities)である。
【0007】
地盤材料は、間隙流体の挙動を考慮した有効応力に対する挙動が非常に重要であるので、圧縮波速度(compressional wave velocity:VP)とせん断波速度(shear wave velocity:VS)から構成される体波速度のうち、せん断波速度(VS)が主要因子と考慮されている。このような点からせん断波速度に関する周期的で、かつ持続的な計測を通じた対象地盤材料の安全性評価が有用な地盤工学的技法に体系化されなければならない。
【0008】
それにも関わらず、安全性が確保されなければならない大部分の地盤材料では、せん断波速度の周期的で、かつ持続的な計測評価は全く考慮されていない。また、対象構造物に対する全体安全性評価過程で、地表面での非破壊弾性波試験のような制約的条件の現場弾性波試験を先に考慮して非定期的状況の材料に対するせん断波速度の分布を確認する状況が普遍的である。
【0009】
一般に、深度増加に従うせん断波速度分布を決定する技法のうち、地表面でなされる表面波技法に比べて試錐孔(borehole)を造成して遂行される試錐孔弾性波技法(borehole seismic methods)がより信頼度が高く、特に図1の概要図で描写した下向き式弾性波試験(downhole seismic test)は試錐孔間弾性波試験(crosshole seismic test)に比べて経済的で、かつ相対的に効率的であるので、多くの地盤工学関連分野で活発に適用されている。
【0010】
図1を参照すると、このような下向き式弾性波試験は、地表面に六面体形状の丸太のような加振源(source)10を設置し、地表面から深度増加に従う鉛直方向の試錐孔40を形成し、その内部に感振受信機(receiver)50を1つまたは多数個設置して試験準備をする。試験は深さ変化によって受信機50の位置を変化させながら地表面で加振した弾性波信号を獲得する過程であり、現場で試験を遂行する。ここで、加振源10と連結された初動確認装置20から加振を確認した地上の動的信号獲得装置30では、試錐孔40の内の受信機50から弾性波信号を獲得するようになる。
【0011】
現場で獲得した深さ別の弾性波獲得信号をいくつかのステップの過程を通じて分析演算して、深さ増加に従うせん断波速度分布を決定するようになるが(ソン チャン クック、キム ホン ゾン、ジョン ゾン ホン、ジョン キョン ザ、2006、“国内堆積地盤のせん断波速度評価のための弾性波ピエゾコーン貫入試験の総合的活用”、物理探査、第9巻、第3号、pp.207−224)、せん断波速度の時間的及び空間的な差に従う定量的変化に基づいて対象構造物の状態変化及びそれに従う影響要因としての構造物安全性評価を進行することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、分離及び組立が簡便になされて、携帯運搬が容易な下向き式弾性波試験のための加振装置及びこれを用いた下向き式弾性波試験方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、周期的な試験が必要な試験地盤に固定設置が可能であり、持続的な状態評価のために、該当固定位置に設置固定された状態で該当地盤が正常機能を遂行することができるようにする、下向き式弾性波試験のための加振装置及びこれを用いた下向き式弾性波試験方法を提供することにある。特に、原地盤の内に基準溝を設けて加振源の絶対位置を同一に確保できるようにすることをその目的とする。
【0014】
本発明の更に他の目的は、弾性波発現時、弾性波の方向性を確保し、発現エネルギーが極大化できる下向き式弾性波試験のための加振装置及びこれを用いた下向き式弾性波試験方法を提供することにある。また、この発現エネルギーの大きさの多辺化が可能であるので、多目的の試験データを得ることができるようにすることをその目的とする。
【0015】
本発明の更に他の目的は、既存の地下水位観測孔を活用することによって、別途の試験孔造成を必要とせず、閉孔の必要がないし、同一空間位置で地下水位変化と共にせん断波速度及び圧縮波速度の定量的分布変化を複合分析することができるので、対象地盤の安全性評価信頼度を画期的に増進させることができる下向き式弾性波試験のための加振装置及びこれを用いた下向き式弾性波試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前述した課題を解決するために、加振ハンマー、一側が上記加振ハンマーに連結され、他側を中心にして上記加振ハンマーを回転させる据置台と、上記据置台の他側を回動可能に上端部に結合させて上記加振ハンマー及び据置台を特定の高さで支持する支持台と、上記支持台を上側面の上で起立させ、回転する上記加振ハンマーにより打撃されて弾性波を発現させる加振源と、を含み、上記支持台の下端部には上記加振源の上側面に形成された支持台用溝に挿脱可能な固定部が形成されて、上記支持台、据置台、及び加振ハンマーと上記加振源との分離が可能であることを特徴とする加振装置を提供する。
【0017】
好ましくは、上記加振源の下側面には伝達くさびの脱着のための内込枠が形成され、該当伝達くさびの頭部は上記内込枠に挿入され、先端部は原地盤の内に直接挿入されたり原地盤の内のくさび基準溝に挿入されることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、上記支持台はL字形状に構成されて加振ハンマーの加振源の側面打撃のための回転空間を確保することを特徴とする。
【0019】
好ましくは、上記加振源は木材からなることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、上記内込枠及び伝達くさびは鉄材からなることを特徴とする。
【0021】
好ましくは、上記加振源は直六面体の形状を有し、幅が30cm乃至50cmであり、高さが20cm乃至40cmであり、長さが50cm乃至80cmであることを特徴とする。
【0022】
好ましくは、上記支持台用溝の深さは該当加振源の高さの1/3であることを特徴とする。
【0023】
好ましくは、上記内込枠は該当加振源の端部から加振源の長さの1/4の地点に形成され、内込枠の深さは該当加振源の高さの1/3であることを特徴とする。
【0024】
一方、本発明の他の態様によれば、(a)原地盤の上部と保護層を掘削除去して設置空間を確保するステップと、(b)上記設置空間に前述した特徴のうちのいずれか1つの特徴を有する加振装置を設置するステップと、(c)地下水位観測孔に感振用受信機を設置し、上記加振装置から発生した弾性波信号を獲得して下向き式弾性波試験を遂行するステップと、(d)試験完了後、上記加振装置を回収し、該当設置空間に蓋ブロックを挿入するステップと、を含むことを特徴とする弾性波試験方法を提供する。
【0025】
好ましくは、上記保護層は地表舗装材料を含むことを特徴とする。
【0026】
好ましくは、上記設置空間は地下水位観測孔と直交するように形成されることを特徴とする。
【0027】
好ましくは、上記設置空間の鉛直方向の面には伸縮材質の境界ブロックが設けられることを特徴とする。
【0028】
好ましくは、上記蓋ブロックの上部表面には取っ手が設けられることを特徴とする。
【0029】
好ましくは、上記設置空間の原地盤にはくさび基準溝が形成されることを特徴とする。
【0030】
好ましくは、上記くさび基準溝は木材からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、加振装置の分離及び組立が簡便になされて携帯運搬が容易になる効果がある。
【0032】
また、周期的な試験を必要とする試験地盤に固定設置が可能であるので、持続的な状態評価のために該当固定位置に設置固定された状態で該当地盤が正常機能を遂行することができるようにする効果もある。特に、原地盤内に基準溝を設けて加振源の絶対位置を同一に確保することができるので、試験データの信頼度を高めることができる効果もある。
【0033】
また、弾性波発現時、弾性波の方向性を確保して発現エネルギーを極大化することができ、この発現エネルギーの大きさの多辺化が可能であるので、多目的の試験データを得ることができる効果もある。
【0034】
また、既存の地下水位観測孔を活用することによって、別途の試験孔の造成を必要とせず、閉孔の必要がないし、同一空間位置で地下水位変化と共にせん断波速度及び圧縮波速度の定量的分布変化を複合分析することができるので、対象地盤の安全性評価信頼度を画期的に増進させることができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の技術に係る下向き式弾性波試験方式を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態に従う加振装置を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に従う加振装置の蓋ブロックを説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に従う下向き式弾性波試験方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参照しつつ本発明に係る好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0037】
対象盛土構造物は、大部分構成材料の侵食や風化を防止するために、頂上部(crest)の表層を舗装したり、保護またはいろいろな観点の性能確保のためのブロック施工をするようになる。更に他の対象である掘削周辺地盤やはり既に表層が舗装されていたり歩道ブロックなどにより地表面が加工処理された状態が一般的である。このような理由により、概して原地盤材料の上には補助基層が存在し、その上に基層が造成され、基層の上にはアスファルトコンクリート舗装、軟性材料舗装、歩道ブロックなどの表層が存在するようになる。地盤材料表面が舗装や加工ブロックを含んだ追加造成材料で処理されている状態で、地盤材料を含んだ対象施設とその周辺の持続的な安定性把握の予測のために、工学的に重要な位置に地表面から所定の深度まで地下水位観測孔を設置し、定期的な地下水位計測を遂行するようになる。
【0038】
本発明では、地盤材料の保護や常用の目的で構成された地盤材料の上部の追加構成部分(表層、基層、補助基層)を貫通し、原地盤に設けられる下向き式弾性波試験用加振装置を図2のように構成する。
【0039】
図2は、本発明の実施形態に係る加振装置を説明するための図である。
【0040】
図2を参照すると、本発明に従う加振装置は、打撃を加えるための加振ハンマー110、上記加振ハンマー110に回転力を提供するための据置台120、上記加振ハンマー110及び据置台120を一定高さで支持する支持台130、上記加振ハンマー110により打撃されて弾性波を発現させる加振源140、及び上記加振源140に一側が挿入され、他側の地盤に挿入されて弾性波を地盤内に伝達する伝達くさび150を含んで構成される。
【0041】
基本的に、図2の(a)は前述した加振ハンマー110、据置台120、及び支持台130の構成及び動作を説明するための側面図であり、図2の(b)は加振源140の構成を説明するための平面図であり、図2の(c)は加振源140及び伝達くさび150の構成を説明するための側断面図であり、図2の(d)は加振源140及び伝達くさび150の構成を説明するための底面図である。
【0042】
図2の(a)を参照すると、まず支持台130は下端部に上記加振源140の支持台用溝141に挿入されて固定できる固定部131を有し、上端部には据置台120の一側が固定設置される。
【0043】
ここで、このような支持台130は上記据置台120及びこれに連結される加振ハンマー110を一定の高さで維持させ、同時に該当加振ハンマー110の打撃回転のための空間を確保するためのものであって、好ましくは該当図2の(a)に図示されたように、全体的にL字形状に構成されることができ、上端部には据置台120の一側が固定設置され、下端部には上記加振源140の支持台用溝141に挿入されて固定できる固定部131が形成される。ここで、このような固定部131は上記支持台用溝141に容易に挿脱可能であり、支持台130、据置台120、及び加振ハンマー110の携帯のために、加振源140と支持台130との分離が容易になされるようになる。
【0044】
一方、上記据置台120は前述したように、一側が上記支持台130の上端部に固定設置され、他側は自由端として上記加振ハンマー110と連結される。したがって、上記据置台120の一側は支持台130と連結された状態で回転軸として作用し、他側は該当回転軸を中心にして自由回転するようになる。
【0045】
この際、上記据置台120の一側は回転軸として作用可能であるようにヒンジ構造で構成され、選択的に据置台120の回動角(即ち、加振ハンマー110の回動角)が測定できる別途の角度計が共に具備される。このような据置台120の回転角度は1゜乃至180゜の範囲内でなされることができる。
【0046】
一方、上記加振ハンマー110は一側が上記据置台120の自由端に連結されて固定され、このような該当据置台120の自由回転に従って他側のハンマー頭部が回動可能に構成される。
【0047】
前述した加振ハンマー110、据置台120、及び支持台130の構成は、一対(2組)からなることができる。
【0048】
次に、図2の(a)、(b)、及び(c)を参照すると、本発明の加振源140は全体的に直六面体の形状を有し、好ましくはその幅を30cm乃至50cm程度に製作し、高さは20cm乃至40cm程度に、そして長さは50cm乃至80cm程度に製作することが試験遂行能力も円満で、かつ携帯運搬性能や製作効率性に有利である。
【0049】
ここで、このような加振源140は丸太木材で製作できる。
【0050】
このような加振源140の上側面(図2の(a)及び(b)参照)には上記支持台130の固定部131を挿入させて固定することができる支持台用溝141が両端部側に各々形成される。この際、このような支持台用溝141の深さは該当加振源140の高さの1/3程度に造成する。
【0051】
加振源140の長手方向の両端部側に形成された支持台用溝141は、平常時には同一材質木材で充填して維持し、上記加振ハンマー110、据置台120、及び支持台130は別に保管するようになる。
【0052】
下向き式弾性波試験は、加振源140の長手方向両側面を横方向に打撃したり、加振源140の上側面を上下方向に打撃して各々せん断波(shear wave)や圧縮波(primary wave)が支配的な弾性波(elastic wave)を発生させるようになる。上記支持台130を設置しない場合、加振ハンマー110のみを用いた横方向の人為的打撃及びこれに従うせん断波発現を通じた加振も可能である。
【0053】
一般に、人為的な打撃は各打撃毎にその加振エネルギーの大きさの差が発生することがあり、このような差は位置別弾性波振幅の大きさの差を用いた定量的比較分析の制限要素になることができる。したがって、このような制約的要素の克服のために、加振ハンマー110が連結された支持台130を設置するようになり、支持台130の上部の加振ハンマー110の連結部には各打撃毎に同一なエネルギー確保が可能であるように、加振ハンマー110の打撃前の初期位置の設定が可能な据置台120を設置するようになる。この際、加振エネルギーの大きさの多辺化も考慮するために、前述したように多様な角度の設定が可能な多段階据置台を設置する。
【0054】
また、このような加振源140の下側面(図2の(b)及び(c)参照)には伝達くさび150の脱着のための内込枠142が両側にそれぞれ設けられる。この際、このような内込枠142は加振源140の端部から全体長さの約1/4程度の地点に形成され、そして深さは該当加振源140の高さの1/3程度に造成する。
【0055】
上記内込枠142は木材からなる加振源140の下側面に設けられ、好ましくは鉄材からなることができる。このような内込枠142は大型鑿のような形状の上記伝達くさび150を収納するための部分である。ここで、伝達くさび150も鉄材からなることができる。
【0056】
より詳しくは、伝達くさび150の厚い頭部は加振源140の内の内込枠142に挿入され、伝達くさび150の鋭い先端部は原地盤内に直接または原地盤内に収納部を追加構成して挿入される。したがって、加振源140の内に位置しながら対象地盤材料の内まで到達するようになる伝達くさび150は、下向き式弾性波試験過程の加振時、対象原地盤との一体変形挙動のためのキー(key)として作用するので、弾性波の方向性を確保するだけでなく、発現エネルギーを極大化する役割をするようになる。
【0057】
一方、本発明では原地盤材料の上部が保護層(表層、基層、補助基層)で造成された一般道路役割の頂上部を有する治水構造物、そして掘削背面地盤での周期的な下向き式弾性波試験遂行、及びそれに従う対象地盤の持続的な状態評価のために、加振装置の効率的な定位置設置が可能であり、平常時に道路正常機能の遂行が可能な蓋ブロック200とその適用方法を提示する。
【0058】
図3は、本発明の実施形態に係る加振装置の蓋ブロックを説明するための図である。
【0059】
基本的に、図3の(a)は地表舗装地盤材料体の初期構成と加振装置を設置するための掘削対象領域を説明するための側断面図であり、図3の(b)は掘削対象領域に蓋ブロック200を適用させた状態を説明するための側断面図であり、図3の(c)は蓋ブロック200の開放後の加振装置を設置した状態を説明するための側断面図である。
【0060】
図3の(a)に示すように、加振装置の脱着がなされる空間を造成するために、保護層(表層、基層、補助基層)と原地盤の一部を掘削する作業が必要である。
【0061】
加振装置の脱着空間造成と蓋ブロック200に関する幾何学的概要を説明すると、蓋ブロック200の適用のためには下向き式弾性波試験用加振装置を十分に包括するが、特に空間の長辺方向の長さは下向き式弾性波試験時、加振ハンマー110の自由回転打撃に支障がないように十分に長くなければならないが、脱着空間の幅は加振源の幅に比べて両側境界で各々約10cm程度幅の追加余裕だけ確保すればよい。
【0062】
また、掘削深さは原地盤の上部追加造成層と原地盤の極めて一部上層を含むことができるように考慮しなければならない。そして、図3の(b)に示すように、蓋ブロック200は効率的な脱着を図るために軽量材料を適用し、上部表面部には、平常時には表面と同一水準に陥没された後、引揚げ時に表面の上に引くことができる構成の取っ手210が設けられる。
【0063】
掘削後、鉛直方向の4個の面にはゴムなどの伸縮材質の境界ブロック220を構成して設けられる蓋ブロック200と原地盤の上部造成層の伸縮繋ぎの役割をするようにする。また、図3の(b)及び(c)に示すように、加振源140と共に適用される伝達くさび150の形状と位置を反映して原地盤にくさび基準溝(socket)300を造成しなければならず、該当くさび基準溝300を構成する材料は、鉄材と土材料の剛性、軟性、塑性などを考慮して見る時、その間の材料特性である木材が適している。この木材のくさび基準溝300を原地盤の内に挿入して造成することによって、下向き式弾性波試験の都度、加振源の絶対位置を同一に確保することができる。
【0064】
本発明の好ましい実施形態は、上記蓋ブロック200が設置できる設置空間が保護層(表層、基層、補助基層)及び原地盤を掘削して作られて(図3の(a)参照)、この設置空間の下にくさび基準溝300が位置固定されて設けられ、蓋ブロック200が覆われて平時の使用を可能にし(図3の(a)参照)、試験時に定まった位置で蓋開放後に加振装置を設置して、下向き式弾性波試験を実施するようになる方式である。
【0065】
次に、図4を参照して既存の地下水位観測孔を用いた本発明の下向き式弾性波試験方法について説明する。
【0066】
図4は、本発明の実施形態に従う下向き式弾性波試験方法を説明するための図である。
【0067】
下向き式弾性波試験のための加振装置と試験時に受信機(R)を位置させる地下水位観測孔(H)の空間的位置の提示は、図4の通りである。
【0068】
図4の(a)は下向き式弾性波試験状態を説明するために加振装置と地下水位観測孔(H)を上から見た図であり、図4の(b)は下向き式弾性波試験状態を説明するために加振装置と地下水位観測孔(H)を側面から見た断面図である。
【0069】
地下水位観測孔(H)は大慨内部直径が50mm程度であって、一般的に下向き式弾性波試験の遂行のために適用される60mm乃至70mm程度の試験孔に比べて非常に小さいので、地下水位観測孔(H)を下向き式弾性波試験孔に使用するためには、既存の一般的な直径60mm内外の感振用受信機(R)とは異なり、直径45mm程度の小さな感振用受信機(R)を利用しなければならない。このような小口径の感振用受信機(R)は常用小型速度計3個の3方向適用構成により簡便に製作することができ、既存の常用の小型受信機(Geostuff, 2010, Geostuff Wall-Lock Borehole Geophones, http://www.Geostuff.com/geophone.htm、Accessed 11 November 2010)の導入及び利用も可能である。
【0070】
併せて、この下向き式弾性波試験加振源の設置活用のための地表舗装代替の蓋ブロック200を上記地下水位観測孔(H)と直交するように方向を設定(即ち、掘削された設置空間が地下水位観測孔と直交するように方向を設定)し、2m乃至3m程度離隔させて設置することによって、追加的な試錐を通じた下向き式弾性波試験孔の造成を必要とせず、地下水位観測孔(H)の多目的活用性を確保するようにした。だけでなく、常時観測用地下水位観測孔(H)であるので、弾性波試験後、閉孔の必要がなく、同一空間位置で地下水位変化と共にせん断波速度及び圧縮波速度の定量的分布変化を複合分析することができるので、これを通じた対象地盤の安全性評価信頼度を画期的に増進させることができる。
【0071】
以上のように、図面及び明細書で最適の実施形態が開示された。ここで、特定の用語が使われたが、これは単に本発明を説明するために使われたものであり、意味の限定や特許請求範囲に記載された本発明の範囲を制限するために使われたものではない。したがって、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるということを理解することができる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付した特許請求範囲の技術的事象に定まるべきである。
【符号の説明】
【0072】
110 加振ハンマー
120 据置台
130 支持台
131 固定部
140 加振源
141 支持台用溝
142 内込枠
150 伝達くさび
200 蓋ブロック
210 取っ手
220 境界ブロック
300 くさび基準溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振ハンマーと、
一側が前記加振ハンマーに連結され、他側を中心にして前記加振ハンマーを回転させる据置台と、
前記据置台の他側を回動可能に上端部に結合させて前記加振ハンマー及び据置台を特定の高さで支持する支持台と、
前記支持台を上側面の上で起立させ、回転する前記加振ハンマーにより打撃されて弾性波を発現させる加振源と
を含み、
前記支持台の下端部には前記加振源の上側面に形成された支持台用溝に挿脱可能な固定部が形成されて、前記支持台、据置台、及び加振ハンマーと前記加振源との分離が可能であることを特徴とする、加振装置。
【請求項2】
前記加振源の下側面には伝達くさびの脱着のための内込枠が形成され、該当伝達くさびの頭部は前記内込枠に挿入され、先端部は原地盤の内に直接挿入されたり、原地盤の内のくさび基準溝に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の加振装置。
【請求項3】
前記支持台はL字形状に構成されて加振ハンマーの加振源の側面打撃のための回転空間を確保することを特徴とする、請求項1に記載の加振装置。
【請求項4】
前記加振源は木材からなることを特徴とする、請求項1に記載の加振装置。
【請求項5】
前記内込枠及び伝達くさびは鉄材からなることを特徴とする、請求項2に記載の加振装置。
【請求項6】
前記加振源は直六面体形状を有し、幅が30cm乃至50cmであり、高さが20cm乃至40cmであり、長さが50cm乃至80cmであることを特徴とする、請求項1に記載の加振装置。
【請求項7】
前記支持台用溝の深さは該当加振源の高さの1/3であることを特徴とする、請求項1に記載の加振装置。
【請求項8】
前記内込枠は該当加振源の端部から加振源の長さの1/4の地点に形成され、内込枠の深さは該当加振源の高さの1/3であることを特徴とする、請求項2に記載の加振装置。
【請求項9】
(a)原地盤の上部と保護層を掘削除去して設置空間を確保するステップと、
(b)前記設置空間に請求項1乃至請求項8のうちのいずれか1項の加振装置を設置するステップと、
(c)地下水位観測孔に感振用受信機を設置し、前記加振装置から発生した弾性波信号を獲得して下向き式弾性波試験を遂行するステップと、
(d)試験完了後、前記加振装置を回収し、該当設置空間に蓋ブロックを挿入するステップと、
を含むことを特徴とする、弾性波試験方法。
【請求項10】
前記保護層は地表舗装材料を含むことを特徴とする、請求項9に記載の弾性波試験方法。
【請求項11】
前記設置空間は地下水位観測孔と直交するように形成されることを特徴とする、請求項9に記載の弾性波試験方法。
【請求項12】
前記設置空間の鉛直方向の面には伸縮材質の境界ブロックが設けられることを特徴とする、請求項9に記載の弾性波試験方法。
【請求項13】
前記蓋ブロックの上部表面には取っ手が設けられることを特徴とする、請求項9に記載の弾性波試験方法。
【請求項14】
前記設置空間の原地盤にはくさび基準溝が形成されることを特徴とする、請求項9に記載の弾性波試験方法。
【請求項15】
前記くさび基準溝は木材からなることを特徴とする、請求項14に記載の弾性波試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−247408(P2012−247408A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150633(P2011−150633)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510230311)コリア・インスティテュート・オヴ・ジオサイエンス・アンド・ミネラル・リソーシズ (4)
【氏名又は名称原語表記】Korea Institute of Geoscience & Mineral Resources
【住所又は居所原語表記】30, Gajeong−don, Yuseong−gu, Daejeon, 305−350, Republic of Korea
【Fターム(参考)】