説明

下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)の類似体およびその使用方法

本発明は、PACAP/血管作用性腸ペプチド(VIP)受容体:PAC1、VPAC1およびVPAC2受容体に対するアゴニストである、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)の新規類似体に関する。これらのPACAP類似体は、(限定はされないが)癌および自己免疫疾患を含む広範囲の内科的障害に対する予防/治療剤として使用可能である。これらのPACAP類似体は、好適な放射性核種に共役させ、かつ播種性癌および転移性腫瘍の限局化、診断および処置において使用するか、または、小分子治療薬に共役させ、標的化薬剤送達のためのベクターとして使用することが可能である。本発明はまた、本発明の1つまたは複数のPACAP様化合物が、単独使用されるかまたは1つまたは複数の他の予防/治療剤と併用される、医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PACAP/血管作用性腸ペプチド(VIP)受容体:PAC、VPACおよびVPAC受容体に対するアゴニストである、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)の新規類似体に関する。これらのPACAP類似体は、(限定はされないが)加齢関連神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症など)、脳卒中、心臓発作および鈍器損傷(blunt force trauma)(脳震とうおよび脊髄損傷など)によって引き起こされる中枢神経系に対する損傷、ハンチントン病および他のCAGコドンリピート伸長病、網膜疾患(糖尿病性網膜症、黄斑変性および緑内障など)、自己免疫疾患(関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症、シェーグレン病、特発性膜性腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、およびループスエリテマトーデスなど)、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引き起こされる乾性角結膜炎、II型糖尿病、(細菌およびウイルス毒素を含む)細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症、急性および慢性心血管疾患(心筋梗塞、アテローム硬化症および再狭窄など)、急性および慢性腎疾患(虚血/再灌流傷害、腎炎および薬剤誘発性腎毒性など)、急性および慢性肺疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、および肺動脈高血圧症など)、全身性高血圧、血液癌(白血病、リンパ腫およびプラズマ細胞増殖症など)、摂食障害、急性および慢性肝疾患(虚血/再灌流傷害、肝炎および脂肪肝など)、骨粗鬆症、子癇前症、細胞および固形臓器移植、認知障害、AIDS認知症症候群、および中枢神経系の老化、を含む広範囲の内科的障害に対する予防/治療剤として使用可能である。好適な放射性核種に共役されたこれらのPACAP類似体は、播種性癌および転移性腫瘍の限局化、診断および処置において使用可能であり、また、小分子治療薬に共役されたものは、標的化薬剤送達のためのベクターとして使用可能である。本発明はまた、本発明の1つまたは複数のPACAP様化合物が、単独使用されるかまたは1つまたは複数の他の予防/治療剤と併用されるような医薬組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)が、ヒツジ視床下部から、ラット下垂体前葉細胞培養物中でのアデニル酸シクラーゼ活性に対するその刺激能に基づいて単離された(Miyataら、Biochem Biophys Res Commun 164:567−574頁、1989年)。PACAPは、38(PACAP38;配列番号1)または27(PACAP27;配列番号2)アミノ酸による2つのα−アミド化ペプチドとして存在する。両方のペプチドは、同じN末端の27個のアミノ酸を有し、同じプロホルモンから合成される。PACAP38の配列は、すべての哺乳類において同一であり、かつ、鳥類および両生類のオルソログとはわずか1つのアミノ酸だけ異なる(Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。PACAPは、セクレチン/血管作用性腸ペプチド(VIP)/成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)ファミリーのメンバーであり、また、PACAP27は、VIP(配列番号3)と68%の配列同一性を有する。PACAPは、脳および精巣において最も豊富に存在するが、膵臓、副腎、胸腺、脾臓、リンパ節、および十二指腸粘膜を含む他の器官においては有意なレベルで存在する(Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。PACAPは、プレプロホルモンとして合成され、主にプロホルモン転換酵素1、プロホルモン転換酵素2およびプロホルモン転換酵素4によって処理される(Liら、Neuroendocrinology 69:217−226頁、1999年;Liら、Endocrinology 141:3723−3730頁、2000年)。静脈内注射後におけるラットの血流中の[125I]−PACAP38の半減期は、5〜6分である(Banksら、J Pharmacol Exp Ther 267:690−696頁、1993年)。セクレチン/VIP/GHRHファミリーのメンバーは、主にアミノジペプチダーゼ、特にジペプチジルペプチダーゼIVにより、血漿中で分解される。(Zhuら、J Biol Chem 278:22418−2223頁、2003年)。
【0003】
PAC受容体と称される、PACAPに特異的な受容体は、数種の脊椎動物種からクローン化されている(Arimura、Jpn J Physiol 48:301−331頁、1998年;Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。それは、7つの推定上の膜貫通ドメインを有するGタンパク質共役受容体であり、かつ、複数のシグナル伝達経路に共役された糖タンパク質受容体のファミリーに属する(SegreおよびGoldring、Trends Endocrinol Metab 4:309−314頁、1993年)。PACAPは、PAC受容体に高親和性に結合するだけでなく、VIP1(VPAC)およびVIP2(VPAC)受容体に、VIPに匹敵するかまたはそれより大きい親和性で結合する。他方では、VIPは、PAC受容体にPACAPより1,000倍低い親和性で結合する(Arimura、Jpn J Physiol 48:301−331頁、1998年)。ラットPAC受容体の少なくとも10個のスプライス変異体は、クローン化されており、各変異体は、シグナル伝達経路の異なる組み合わせに共役される(Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。「第2の」メッセンジャーは、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼC、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ、およびカルシウムを含む。PACAP/VIP受容体は、異なる種類の細胞内で、Gαsおよび/またはGαiに共役されうる。PACAP/VIP受容体は、多数の異なるタイプの正常および癌細胞、例えば、副腎髄質および交感神経節におけるカテコールアミン含有細胞;中枢神経系におけるミクログリア、星状細胞および数種のニューロン;ならびに、免疫系におけるTおよびBリンパ球、マクロファージ、好中球、および樹状細胞、において発現される(Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。PACAPは、副腎髄質からのカテコールアミン分泌の強力な刺激剤(stimulator)であるが(Watanabeら、Am J Physiol 269:E903−E909、1995年)、活性化マクロファージからの腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン(IL)−6およびIL−12の分泌の強力な阻害剤である(GaneaおよびDelgado、Crit Rev Oral Biol Med13:229−237頁、2002年)。本発明に関してより詳細には、PACAPは、C6膠芽腫細胞(Dufesら、J Mol Neurosci 21:91−102頁、2003年)、AR4−2J膵臓癌細胞(Buscailら、Gastroenterology 103:1002−1008頁、1992年)およびMCF−7乳癌細胞(Leytonら、Breast Cancer Res Treat 56:177−186頁、1999年)の増殖を刺激するが、HEL骨髄性白血病細胞(Hayezら、J Neuroimmunol 149:167−181頁、2004年)、SW403結腸腺癌細胞(Lelievreら、Cell Signal 10:13−26頁、1998年)および多発性骨髄腫細胞(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年;図3および4を参照)の増殖を阻害する。
【0004】
PACAPは、新規の下垂体刺激因子(hypophysiotropic factor)についてのスクリーニングの間に単離されたが、すぐに、それが多面作用性(pleiotropic)ペプチドであることが明らかになった(Arimura、Jpn J Physiol 48:301−331頁、1998年;Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。PACAPの極めて強力な神経保護/神経栄養特性が、その単離後すぐに、いくつかの研究室により検討された。PACAPおよびVIPの細胞保護効果は、神経系においては、身体の任意の他の主要臓器の場合よりもはるかに広範に試験されている。様々なインビトロモデルにおけるPACAPによって保護された細胞種は、小脳顆粒細胞、後根神経節細胞、交感神経節細胞、中脳ドーパミン作動性ニューロン、および基底前脳コリン作動性ニューロンを含む(Arimura、Jpn J Physiol 48:301−331頁、1998年;Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。PACAPはまた、ラット海馬ニューロン/グリア共培養物中で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のエンベロープ糖タンパク質であるgp120によって誘発される神経細胞死を阻止した。用量応答曲線は、二相性であり、10−13Mおよび10−10Mでピークを有した(Arimuraら、Ann NY Acad Sci 739:228−243頁、1994年)。本試験における重要な実験結果は、Kongらによって確認されており(Neuroscience 91:493−500頁、1999年)、彼らは、一次マウス皮質ニューロン/グリア共培養下で、神経毒としてリポ多糖を使用した。10−12Mでの神経保護効果は、培地中での亜硝酸塩の蓄積における有意な低下と相関した。ニューロン/グリア共培養下での「低い」(フェムトモル)用量のPACAPの神経保護効果は、MAPキナーゼ阻害剤のPD98059によって阻害されたが、「高い」(ナノモル)用量のPACAPの神経保護効果は、PD98059による作用を受けなかった(Liら、J Mol Neurosci 27:91−106頁、2005年)。しかし、ナノモル用量のPACAPの神経保護効果は、タンパク質キナーゼA阻害剤のRp−cAMPによって阻害された。
【0005】
脳における神経保護のためにペプチドを使用する場合の欠点として、血液脳関門を通過するその低い輸送能や、全身投与後の循環におけるその短い半減期が挙げられる。しかし、PACAP38は、飽和性機序(saturable mechanism)を介して血液から脳へ輸送されることが示されている(Banksら、J Pharmacol Exp Ther 267:690−696頁、1993年)。したがって、PACAP38は、心臓発作および脳卒中の一般的なインビボでの前臨床モデルにおける神経保護剤として試験された。ラットにおける4つの血管閉塞を用い、心臓発作の脳への影響がモデル化された(広範な一過性前脳虚血(transient global forebrain ischemia))。前脳への血流は、15分間中断された。15分間の閉塞後、媒体注入ラットにおける7日後、海馬のCA1領域内における錐体細胞の数の有意な減少が認められた。閉塞後7日目での錐体細胞の数の減少は、PACAP38が連続的に静脈内注入されたラットにおいて有意に食い止められた(Uchidaら、Brain Res 736:280−286頁、1996年)。ラットにおける中大脳動脈閉塞(MCAO)を用い、脳卒中(一過性局所的脳虚血)がモデル化された。中大脳動脈は、腔内フィラメント技術(intraluminal filament technique)を用いて、2時間閉塞された。PACAP38の連続的静脈内注入を、一過性MCAOの開始から4、8または12時間後に開始した結果、MCAOの開始から48時間後、梗塞容量がそれぞれ、約51%、約22%または約12%低下した(Reglodiら、Stroke 31:1411−1417頁、2000年)。これらの観察によると、脳内でのPACAPの濃度における小さい変化が、損傷に対する神経細胞の脆弱性を改変しうることが示唆される。
【0006】
神経系における低濃度のPACAPの神経保護効果は、間接的なものであり、おそらくは少なくとも4つの異なる機序によって媒介される。(1)PACAPは、強力な抗炎症ペプチドである。それは、活性化マクロファージにおける誘導性の一酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導を阻害し、活性化マクロファージにおける炎症性サイトカインTNF−α、IL−6およびIL−12の産生を阻害し、また、活性化マクロファージにおける抗炎症性サイトカインIL−10の産生を刺激することが示されている(GaneaおよびDelgado、Crit Rev Oral Biol Med 13:229−237頁、2002年)。PACAPは、それが炎症プロセスでの内因性の負の調節因子(counter−regulator)であることから、おそらくは炎症カスケードにおける複数のステップで炎症を阻害する。PACAPはまた、活性化ミクログリア細胞(神経系における常在性マクロファージ様細胞である)の極めて強力な「不活性化剤」である(Kongら、Neuroscience 91:493−500頁、1999年;Delgadoら、Glia 39:148−161頁、2002年)。(2)フェムトモル(10−15M)濃度のPACAPは、マウスニューロン/グリア共培養下での活性依存性神経栄養因子におけるmRNAのレベルを上昇させる(Davidら、「Society for Neuroscience」[33rd Annual Meeting]、New Orleans,Louisiana,#38.1[要約]、2003年)。さらに、「反応性」グリア細胞に対するPAC受容体の数は、損傷後に増加する(Uchidaら、Brain Res 736:280−286頁、1996年)。Brennemanら(Neuropeptides 36:271−280頁、2002年)は、フェムトモル濃度のPACAPが星状細胞培養下でのRANTESの放出を刺激し、かつRANTESの免疫中和がニューロン/グリア共培養下でのPACAPの神経保護効果を低下させることを過去に示していた。(3)Yangら(J Pharmacol Exp Ther 319:595−603頁、2006年)は、フェムトモル濃度のPACAPが、中脳ニューロン/グリア共培養下で、ミクログリアNADPHオキシダーゼ活性および細胞外スーパーオキシドレベルを阻害することを示した。(4)FigielおよびEngele(J Neurosci 20:3596−3605頁、2000年)は、PACAPが、グルタミン酸輸送体GLT−1およびGLASTの発現を増加させ、かつ星状細胞内でのグルタミン酸代謝酵素グルタミンシンテターゼの活性を高めることを報告した。PACAPのこれらの効果の場合、グルタミン酸作動性神経伝達を低下させることが想定されることになる。神経系におけるPACAPの細胞保護特性についての広範囲の試験により、他の臓器におけるPACAPの細胞保護特性を試験するための確固たる枠組みが提供されている。
【0007】
天然PACAPは、少なくとも4つの異なる研究室における治験責任医師により、正常なヒト志願者に(Chioderaら、Neuroendocrinology 64:242−246頁、1996年;Filipssonら、J Clin Endocrinol Metab 82:3093−3098頁、1997年;Dobererら、Eur J Clin Invest 37:665−672頁、2007年;Murckら、Am J Physiol 292:E853−E857、2007年)、また、米国食品医薬品局(FDA)承認のプロトコル下で、多発性骨髄腫を有する患者に(Liら、Peptides 28:1891−1895頁、2007年)、既に投与されている。報告された唯一の有害な効果は、一過性紅潮であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PACAPは、インビトロで極めて強力なペプチドである。しかし、薬剤としてのPACAPの有用性は、腎臓による迅速なタンパク質加水分解および迅速な濾過の双方に起因する、全身投与後の循環におけるその非常に短い半減期によって制限される。したがって、タンパク質加水分解に対して耐性を示し、かつ/または腎臓による濾過の速度を低下させているPACAP類似体に対する需要が存在する。
【0009】
本明細書中の参考文献の引用または考察は、かかる参考文献が本発明に対する先行技術であることの承認として、解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、1つまたは複数のPACAP/VIP受容体でのアゴニストであり、かつ、いくつかの主要な内科的障害に対する前臨床のインビトロおよびインビボモデルにおいて有意な生物学的活性を有する、天然ヒトPACAP38および天然ヒトPACAP27の新規ペプチド類似体を作製した。本発明の新規PACAP類似体は、ペプチド化学の方法によって合成することが可能である。
【0011】
第1の態様では、本発明は、一般式(I)
−A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−A18−A19−A20−A21−A22−A23−A24−A25−A26−A27−A28−A30−A31−A32−A33−A34−A35−A36−A37−A38−R
によって定義することが可能である、下記にさらに詳述される予防/治療および診断目的として使用可能な新規PACAP類似体またはその薬学的に許容できる塩を特徴とし、ここで、
は、His、D−His、Tyr、D−Tyr、Trp、D−Trp、Pal、またはD−Palであり;
は、Ser、D−Ser、hSer、N−Me−Ser、Thr、D−Thr、Ala、D−Ala、Ile、D−Ile、Pro、D−Pro、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
は、Pipであり;
は、Gly、Ala、D−Ala、β−Ala、Gaba、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
は、Ile、Leu、Nle、Val、Nva、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
は、Phe、Tyr、Trp、Cha、Bip、またはNalであり;
は、Thr、Ser、hSer、またはValであり;
は、Asp、Asn、またはGluであり;
は、Ser、hSer、Thr、Asn、Asp、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
10は、Tyr、Phe、Cha、Nal、またはTrpであり;
11は、Ser、hSer、Thr、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
12は、Arg、Lys、Dab、Dap、またはOrnであり;
13は、Tyr、Phe、Cha、Nal、またはTrpであり;
14は、Arg、Lys、Dab、Dap、またはOrnであり;
15は、Lys、Ala、Dab、Dap、Orn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
16は、Gln、Glu、Asn、Asp;Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
17は、Met、Nle、Leu、Ile、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
18は、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
19は、Val、Nva、Ser、Leu、Thr、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
20は、Lys、Ala、Dab、Dap、Orn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
21は、Lys、Ala、Dab、Dap、Orn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
22は、Tyr、Phe、Cha、Nal、Trp、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
23は、Leu、Nle、Ile、Val、Nva、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
24は、Ala、Asn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
25は、Ala、Val、Leu、Met、Nle、Ile、Ser、hSer、Thr、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
26は、Val、Nva、Leu、Met、Nle、Ile、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
27は、Leu、D−Leu、Met、D−Met、Nle、Ile、D−Ile、Val、D−Val、Gaba、Ala、D−Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
28は、Gly、Ala、D−Ala、β−Ala、Gaba、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Asp、D−Asp、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
29は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
30は、Arg、D−Arg、Lys、D−Lys、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
31は、Tyr、D−Tyr、Phe、D−Phe、Trp、D−Trp、Cha、Nalであるか、または除かれ;
32は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
33は、Gln、D−Gln、Glu、D−Glu、Asn、D−Asn、Asp;D−Asp、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
34は、Arg、D−Arg、Lys、D−Lys、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
35は、Val、D−Val、Nva、Ser、D−Ser、Thr;D−Thr、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
36は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
37は、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Asp、D−Asp、Ala、D−Ala、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
38は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
は、H、(C〜C18)アルキルおよびCO(C〜C18)アルキルの群から独立に選択され、
は、OH、NH、(C〜C18)アルコキシル、およびNH(C〜C18)アルキルの群から独立に選択される。
【0012】
他の実施形態では、PACAP様化合物は、配列番号4〜13から選択される配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有するポリペプチド、またはその類似体もしくはペプチド模倣体(peptidomimetic)、およびその薬学的に許容できる塩、である。さらに他の実施形態では、本化合物は、薬学的に許容できる担体を有する組成物中に存在する。さらに他の実施形態では、ポリペプチドは、1つまたは複数の放射性核種(例えば、11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、および99mTc)または小分子(例えば、治療剤または抗癌剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムス)に複合される。
【0013】
第2の態様では、本発明は、加齢関連神経変性疾患、中枢神経系障害、ハンチントン病または他のCAGコドンリピート伸長病、網膜疾患、自己免疫疾患、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引き起こされる乾性角結膜炎、II型糖尿病、細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症、急性または慢性心血管疾患、急性または慢性腎疾患、急性または慢性肺疾患、全身性高血圧、血液癌、摂食障害、急性または慢性肝疾患、骨粗鬆症、子癇前症、細胞および固形臓器移植、認知障害、後天性免疫不全症候群(AIDS)認知症症候群、中枢神経系の老化、および切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドン(premature in−frame stop codon)を原因の一部とする疾患から選択される疾患を処置するか、管理するか、または予防するための方法であって、必要とする対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)に、有効量の1つまたは複数のPACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与するステップを含む、方法を特徴とする。本方法のいくつかの実施形態では、加齢関連神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症から選択されるか;中枢神経系障害は、脳卒中、心臓発作または鈍器損傷によって引き起こされ、ここで好ましくは、鈍器損傷は、脳震とうまたは脊髄損傷であるか;網膜疾患は、糖尿病性網膜症、黄斑変性または緑内障であるか;自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症、シェーグレン病、特発性膜性腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、またはループスエリテマトーデスであるか;セプトシス(septsis)は、細菌またはウイルス毒素によって引き起こされるか;急性または慢性心血管疾患は、心筋梗塞、アテローム硬化症、または再狭窄であるか;急性または慢性腎疾患は、虚血/再灌流傷害、腎炎、または薬剤誘発性腎毒性であるか;急性または慢性肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、または肺動脈高血圧症であるか;血液癌は、リンパ性または骨髄性の造血器癌であり、ここで好ましくは、前記リンパ性または骨髄性の造血器癌は、白血病、リンパ腫、プラズマ細胞増殖症、多発性骨髄腫、または腺癌であるか;急性または慢性肝疾患は、虚血/再灌流傷害、肝炎、および脂肪肝であるか;、あるいは切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドンを原因の一部とする疾患は、嚢胞性線維症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、フルレル症候群、腎障害シスチン症、多発性嚢胞腎疾患、網膜色素変性症、および毛細血管拡張性運動失調症から選択される。
【0014】
本発明の第2の態様の他の実施形態では、対象は、PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤による処置に起因する身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷、外傷、または急性または慢性疾患を有する。他の実施形態では、対象は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン(verdmicin)、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムス、の1つまたは複数から選択される一次治療で処置されている(例えば、対象は、カルムスチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、またはサリドマイドによる処置を含む一次治療で処置されている)。別の実施形態では、対象は、リンパ性癌または骨髄性癌(myeloid cancer)を有する。
【0015】
本発明の第2の態様のさらに他の実施形態では、PACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩は、PACAP/VIP受容体の1つまたは複数に結合し、および/または、PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤による処置に起因する対象の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する1つまたは複数の損傷、外傷、または急性または慢性疾患を低下させる。他の実施形態では、PACAP様化合物は、本発明の第1の態様の化合物またはその薬学的に許容できる塩である。一実施形態では、対象は、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、またはプレドニゾン)による処置に対して耐性を示す。別の実施形態では、対象におけるPACAP様化合物の投与は、対象がCOP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)またはVAD(ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾン)レジメンを用いて処置される場合、プレドニゾンまたはデキサメタゾンから選択されるコルチコステロイドの投与と置き換わる。
【0016】
本発明の第2の態様の他の実施形態では、PACAP様化合物は、約4キロダルトン〜約40キロダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールポリマーに結合される。さらに他の実施形態では、PACAP様化合物は、本発明の第1の態様の化合物の1つまたは複数の非アミド化(unamidated)(遊離酸)形態であり、また化合物は、1つまたは複数のタンパク質分解酵素におけるアミノ酸共通配列によって隣接されうる。本方法はまた、ペプチド模倣体である、本発明の第1の態様のPACAP様化合物の投与を含みうる。
【0017】
本発明の第1の態様のさらに他の実施形態では、PACAP様化合物は、対象の血液中で10−14M〜10−6Mの濃度をもたらす用量で投与される。別の実施形態では、PACAP様化合物は、約1pmol/kg体重/時間〜約20pmol/kg体重/時間の速度での静脈内注入によって投与される。他の実施形態では、本化合物は、約1〜12時間かけて投与される。さらに他の実施形態では、PACAP様化合物は、腹腔内に、皮下に、筋肉内に、鼻腔内に、またはエアロゾルとして、1日、1週、1か月、または1年ごとに1回または複数回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)注射される。他の実施形態では、PACAP様化合物は、時間依存性またはpH依存性の製剤で、1日、1週、1か月、または1年ごとに1回または複数回、経口投与されるか、PACAP様化合物は、制御放出製剤または持続放出製剤として投与されるか、PACAP様化合物は、リポソームまたは微粒子でのカプセル化後に投与されるか、PACAP様化合物は、デンドリマーでのカプセル化後に経皮的に投与されるか、PACAP様化合物は、金属ステントまたは生分解性ステントをコーティングするように使用されるか、またはPACAP様化合物は、1つまたは複数の他の細胞保護アジュバント(cytoprotective adjuvant)、例えば、アミホスチン、デクスラゾキサン、メスナ、パリフェルミン、またはN−アセチルシステインと併せて投与される。
【0018】
本発明の第2の態様の他の実施形態では、身体の1つまたは複数の主要臓器(例えば、神経系、心臓、肺、腎臓、肝臓、耳、または胃腸管)に対する損傷は、PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤(例えば、抗癌剤、ステロイド、またはアミノグリコシド)によって引き起こされる。予防剤または治療剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418(GENETICIN(商標))、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムスのうちの1つまたは複数であってもよい。さらに他の実施形態では、身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷は、非複合の治療剤または抗癌剤、モノクローナル抗体または生理活性ペプチドに複合された治療剤または抗癌剤、あるいは非複合の生理活性ペプチドによる処置に起因する。他の実施形態では、PACAP様化合物は、治療剤または抗癌剤に複合されるか、あるいはPACAP様化合物は、1つまたは複数の他の抗癌剤(例えば、本明細書中に記載のもの)とともに投与される場合、追加的な抗癌効果を有する。一実施形態では、対象は、造血器癌、骨髄増殖性疾患、または多発性骨髄腫に対して、1つまたは複数の治療剤または抗癌剤で処置されている。他の実施形態では、対象は、アミノグリコシドで処置されており、またPACAP様化合物は、投与することで、前記アミノグリコシド(例えば、アミカシン、アルベカシン、G418、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、トブラマイシン、アストロマイシン、およびアプラマイシン)の投与に起因する副作用が阻害または低減される。他の実施形態では、PACAP様化合物は、アミノグリコシド(例えば、アミカシン、アルベカシン、G418、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、トブラマイシン、アストロマイシン、およびアプラマイシン)、特にゲンタマイシンによって引き起こされるネフォトキシシティ(nephotoxicity)または聴器毒性を阻害または低減する。
【0019】
本発明の第3の態様は、1つまたは複数の放射性核種(例えば、11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、および99mTc)に共役された、1つまたは複数のPACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む有効量の複合体を投与することによる、対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)における播種性癌または転移性腫瘍(例えば、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫、または骨髄腫)の限局化、診断、または処置のための方法に関する。一実施形態では、PACAP様化合物は、播種性癌または転移性腫瘍の1つまたは複数の細胞の表面上の1つまたは複数のPACAP/VIP受容体に結合し、PACAP様化合物は、本発明の第1の態様の1つまたは複数の化合物またはその薬学的に許容できる塩(例えば、配列番号4〜13から選択される配列に対して85%〜100%の配列同一性を有する配列を有するポリペプチド)を含む。他の実施形態では、複合体は、1つまたは複数の病原菌または自己免疫疾患によって引き起こされる肉芽腫の要素である細胞を標的化し、対象は、リンパ性、骨髄性の造血器癌、または多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の複合体で処置されている。
【0020】
本発明の第4の態様は、1つまたは複数の放射性核種(11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、および99mTc)または小分子(例えば、治療剤または抗癌剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムス)を、1つまたは複数のPACAP様化合物に共役することによる、複合体を生成する方法を特徴とする。他の実施形態では、PACAP様化合物は、本発明の第1の態様の1つまたは複数の化合物またはその薬学的に許容できる塩(例えば、配列番号4〜13から選択される配列に対して85%〜100%の配列同一性を有する配列を有するポリペプチド)を含む。
【0021】
本発明の第5の態様は、治療剤または抗癌剤の、対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)の特定の細胞または組織への送達を、1つまたは複数の小分子(例えば、治療剤または抗癌剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムス、または抗炎症剤)に共役された、1つまたは複数のPACAP様化合物(例えば、本発明の第1の態様の1つまたは複数の化合物(例えば、配列番号4〜13から選択される配列に対して85%〜100%の配列同一性を有する配列を有するポリペプチド))、またはその薬学的に許容できる塩、を含む有効量の複合体を対象に投与することにより、標的化するための方法を特徴とする。他の実施形態では、1つまたは複数のPACAP様化合物は、細胞または組織の表面上の1つまたは複数のPACAP/VIP受容体に結合し、また複合体は、受容体介在性エンドサイトーシスにより、細胞または組織の内部に侵入する。
【0022】
本発明の第5の態様の他の実施形態では、対象は、疾患(例えば、加齢関連神経変性疾患、中枢神経系障害、ハンチントン病または他のCAGコドンリピート伸長病、網膜疾患、自己免疫疾患、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引き起こされる乾性角結膜炎、II型糖尿病、細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症、急性または慢性心血管疾患、急性または慢性腎疾患、急性または慢性肺疾患、全身性高血圧、血液癌、摂食障害、急性または慢性肝疾患、骨粗鬆症、子癇前症、細胞および固形臓器移植、認知障害、後天性免疫不全症候群(AIDS)認知症症候群、中枢神経系の老化、または切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドンを原因の一部とする疾患)を有する。本発明の第5の態様の方法のいくつかの実施形態では、加齢関連神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症から選択されるか;中枢神経系障害は、脳卒中、心臓発作または鈍器損傷によって引き起こされ、ここで好ましくは、鈍器損傷は、脳震とうまたは脊髄損傷であるか;網膜疾患は、糖尿病性網膜症、黄斑変性または緑内障であるか;自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症、シェーグレン病、特発性膜性腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、またはループスエリテマトーデスであるか;セプトシス(septsis)は、細菌またはウイルス毒素によって引き起こされるか;急性または慢性心血管疾患は、心筋梗塞、アテローム硬化症、または再狭窄であるか;急性または慢性腎疾患は、虚血/再灌流傷害、腎炎、または薬剤誘発性腎毒性であるか;急性または慢性肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、または肺動脈高血圧症であるか;血液癌は、リンパ性または骨髄性の造血器癌であり、ここで好ましくは、前記リンパ性または骨髄性の造血器癌は、白血病、リンパ腫、プラズマ細胞増殖症、多発性骨髄腫、または腺癌であるか;急性または慢性肝疾患は、虚血/再灌流傷害、肝炎、および脂肪肝であるか;または、切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドンを原因の一部とする疾患は、嚢胞性線維症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、フルレル症候群、腎障害シスチン症、多発性嚢胞腎疾患、網膜色素変性症、および毛細血管拡張性運動失調症から選択される。
【0023】
他の実施形態では、対象は、PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤による処置に起因する、身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷、外傷、または急性または慢性疾患を有する。さらに他の実施形態では、PACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩は、PACAP/VIP受容体の1つまたは複数に結合し、および/または、PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤による処置に起因する対象の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する1つまたは複数の損傷、外傷、または急性または慢性疾患を低減する。
【0024】
さらに他の実施形態では、小分子は、抗炎症剤であり、対象は、関節リウマチに対して処置されており;小分子は、抗癌剤でおり、対象は、多発性骨髄腫に対して処置されており;予防剤または治療剤は、抗癌剤、ステロイド、抗炎症剤、またはアミノグリコシドである。
【0025】
本発明の第6の態様は、対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)に、放射性核種(例えば、11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、または99mTc)に複合された、有効量の本発明の第1の態様のポリペプチド、またはその薬学的に許容できる塩、を投与することにより、対象における肉芽腫を検出するための方法を特徴とする。他の実施形態では、対象は、感染病または自己免疫疾患(例えば、結核またはクローン病)を有し;ポリペプチドは、標的細胞の表面上の1つまたは複数のPACAP/VIP受容体に結合可能なPACAP様化合物であり;対象は、結核に対して処置されており;対象は、結核に対する造影剤を含む、本発明の1つまたは複数の複合体で処置されており;対象は、99mTc−イソニコチニルヒドラジン(INH)で処置されており;対象は、クローン病に対して処置されており;対象は、クローン病に対する造影剤を含む、本発明の1つまたは複数の複合体で処置されている。
【0026】
これらの新規PACAP類似体は、(限定はされないが)加齢関連神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症など)、脳卒中、心臓発作および鈍器損傷(脳震とうおよび脊髄損傷など)によって引き起こされる中枢神経系に対する損傷、ハンチントン病および他のCAGコドンリピート伸長病、網膜疾患(糖尿病性網膜症、黄斑変性および緑内障など)、自己免疫疾患(関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症、シェーグレン病、特発性膜性腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、およびループスエリテマトーデス)、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引き起こされる乾性角結膜炎、II型糖尿病、(細菌およびウイルス毒素を含む)細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症、急性および慢性心血管疾患(心筋梗塞、アテローム硬化症および再狭窄など)、急性および慢性腎疾患(虚血/再灌流傷害、腎炎および薬剤誘発性腎毒性など)、急性および慢性肺疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、および肺動脈高血圧症など)、全身性高血圧、血液癌(白血病、リンパ腫およびプラズマ細胞増殖症など)、摂食障害、急性および慢性肝疾患(虚血/再灌流傷害、肝炎および脂肪肝など)、骨粗鬆症、子癇前症、細胞および固形臓器移植、認知障害、AIDS認知症症候群、および中枢神経系の老化を含む、ヒトまたは他の哺乳類における広範囲の内科的障害に対する予防/治療剤として使用してもよい。これらの種々の医療適用における根拠(rationale)および参照文献(documentation)は、以下に記載され、実証される。
【0027】
平均余命が伸びるにつれて、加齢関連神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症は、より蔓延するようになり、社会に対して多大な負担となっている。公表された文献によると、PACAP様ペプチドが、ニューロン(神経上皮細胞(neuroepithelial cell))を極めて広範囲の損傷に対してインビトロで保護しうることが示されている(Arimura、Jpn J Physiol 48:301−331頁、1998年;Vaudryら、Pharmacol Rev 52:269−324頁、2000年)。一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、アルツハイマー病(Mercerら、J Neurosci Res 76:205−215頁、2004年;Wuら、Neurobiol Aging 27:377−386頁、2006年;Dogrukol−Akら、J Cereb Blood Flow Metab 29:411−422頁、2009年)、パーキンソン病(DelgadoおよびGanea.、FASEB J 17:944−946頁、2003年;Regloediら、Behav Brain Res 151:303−312頁、2004年;Chungら、Hum Mol Genet 14:1709−1725頁、2005年;Deguilら、Neurotox Res.17:142−155頁、2010年)および筋萎縮性側索硬化症(Arimuraら、1994年;Nguyenら、J Neurosci 24:1340−1349頁、2004年;Mardenら、J Clin Invest 117:2913−2919頁、2007年)の処置において有効でなければならないことが示される。
【0028】
一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、(限定はされないが)脳卒中(Reglodiら、Stroke 31:1411−1417頁、2000年;Chenら、Regul Pept 137:4−19頁、2006年)、心臓発作の中枢神経系後遺症(Uchidaら、Brain Res 736:280−286頁、1996年;Lentiら、Brain Res 1283:50−57頁、2009年)、および、脳および脊髄に対する鈍器損傷(Farkasら、Regul Pept 123:69−75頁、2004年;ChenおよびTzeng、Neurosci Lett 384:117−121頁、2005年;Koevesdiら、Neurotox Res 13:71−78頁、2008年)を含む、急性神経疾患の処置に対して有効でなければならないことが示される。
【0029】
ハンチントン病は、進行性の認知および運動機能障害によって特徴づけられる致死的な常染色体優性疾患である。それは、ハンチントンをコードする遺伝子におけるCAGコドン(グルタミン)リピートの伸長によって引き起こされる。神経病理学的特徴は、線条体におけるニューロンの変性である。ハンチントン病または他のCAGコドンリピート疾患(球脊髄性筋萎縮および骨髄小脳失調など)に対する効果的治療は皆無である。一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された臨床実験および実験によると、PACAP様ペプチドが、ハンチントン病または他のCAGコドンリピート疾患の処置にとって有効でなければならないことが示される(Emsonら、Brain Res 173:174−178頁、1979年;Tamasら、Ann N Y Acad Sci 1070:570−574頁、2006年;Fahrenkrugら、J Mol Neurosci 31:139−148頁、2007年)。
【0030】
一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドは、(限定はされないが)糖尿病性網膜症(Szabadfiら、「VIP,PACAP and Related Peptides」[Ninth International Symposium]、Kagoshima、2009年)、黄斑変性(Feretら、Geriatr Nurs 28:387−392頁、2007年;Sekiら、J Mol Neurosci 36:57−60頁、2008年)、および緑内障(Silveiraら、J Biol Chem 277:16075−16080頁、2002年;Osborneら、Prog Retin Eye Res 23:91−147頁、2004年;Atlaszら、Gen Comp Endocrinol 153:108−114頁、2007年;Sekiら、J Mol Neurosci 36:57−60頁、2008年)を含む網膜疾患の処置にとって有効でなければならないことが示される。
【0031】
また、一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、(限定はされないが)関節リウマチ(Abadら、J Immunol 167:3182−3189頁、2001年;Delgadoら、Nat Med 7:563−568頁、2001年)、クローン病(Abadら、Gastroenterology 124:961−971頁、2003年;Arranzら、Neuroimmunomodulation 15:46−53頁、2008年)、潰瘍性大腸炎(Azumaら、J Cell Physiol 216:111−119頁、2008年)、多発性硬化症(Katoら、Mult Scler 10:651−659頁、2004年;Tanら、Proc Natl Acad Sci USA106:2012−2017頁、2009年)、シェーグレン病(Loddeら、Ann Rheum Dis 65:195−200頁、2006年;Nakamachiら、「VIP,PACAP and Related Peptides」[Ninth International Symposium]、Kagoshima、2009年)、およびI型糖尿病(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年)を含む自己免疫疾患の処置にとって有効でなければならないことが示される。さらに、PACAP様ペプチドは、自己免疫疾患の病原性に関与する機序が重なる故、強皮症、特発性膜性腎症、ギラン・バレー症候群、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、およびループスエリテマトーデスの処置にとって有効であることが想定されることになる。
【0032】
乾性角結膜炎(ドライアイ)は、涙液産生の減少または涙の蒸発の亢進(ここでは涙液産生の減少の方がはるかに一般的である)によって引き起こされる眼疾患である。涙液産生の減少の最も一般的な原因は、老化である。涙液産生の減少については、涙腺の、破壊、治療剤(アトロピン、三環系抗鬱剤およびモルヒネなど)または放射線照射後線維症に起因する分泌不全、および、全身性自己免疫疾患(ウェゲナー肉芽腫症、ループスエリテマトーデス、および特にシェーグレン病など)に関連した涙腺の分泌不全、を含む、極めて多くの他の原因が存在する。ドライアイはまた、LASIK手術に共通の副作用である。一般的なインビトロおよびインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引きおこされる乾性角結膜炎(ドライアイ)の処置にとっても有効でなければならないことが示される(Loddeら、Ann Rheum Dis 65:195−200頁、2006年;Fukiageら、Am J Ophthalmol 143:255−262頁、2007年;Gaalら、J Mol Neurosci 36:321−329頁、2008年;Nakamachiら、「VIP,PACAP and Related Peptides」(Ninth International Symposium)、Kagoshima、2009年)。
【0033】
膵臓のβ細胞は、PAC受容体およびVPAC受容体の双方を発現する(Ahren、Ann NY Acad Sci 1144:28−35頁、2008年)。PAC受容体欠損マウスは、野生型マウスに比べ、グルコース刺激性インスリン分泌を低下させ、またグルコース耐性を低下させていた一方(Jamenら、J Clin Invest 105:1307−1315頁、2000年)、PAC受容体に特異的なアゴニストのマキサジランで慢性的に処理されたマウスは、生理食塩水で処理されたマウスに比べ、インスリンの基礎血漿レベルを上昇させ、グルコース耐性を増大させていた(Yuら、Peptides 29:1347−1353頁、2008年)。VPAC受容体選択的アゴニストBAY55−9837を連続注入されたマウスは、生理食塩水で処理されたマウスに比べ、インスリンの基礎血漿レベルを上昇させ、グルコース耐性を増大させていた(Tsutsumiら、Diabetes 51:1453−1460頁、2002年)。これらの公表された記事によると、PACAP様ペプチドが、II型糖尿病の処置にとって有効でなければならないことが示される。
【0034】
一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、細菌およびウイルス毒素を含む、細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症の処置にとって有効でなければならないことが示される(Delgadoら、J Immunol 162:1200−1205頁、1999年;Martinezら、Proc Natl Acad Sci USA99:1053−1058頁、2002年、Martinezら、J Leukoc Biol 77:729−738頁、2005年;ChornyおよびDelgado、Am J Pathol 172:1297−1307頁、2008年;Tangら、Int Immunopharmacol 8:1646−1651頁、2008年)。
【0035】
一般的なインビトロおよびインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験により、PACAP様ペプチドが、(限定はされないが)心筋梗塞(Sanoら、Regul Pept 109:107−113頁、2002年;Dvorakova、Drug News Perspect 18:387−391頁、2005年;Gaszら、Peptides 27:87−94頁、2006年;Rothら、Ann N Y Acad Sci 1163:512−516頁、2009年)、アテローム硬化症(Oisoら、Biochem Cell Biol 71:156−161頁、1993年;Chang、Sheng Li Ke Xue Jin Zhan 28:132−135頁、1997年)、および再狭窄(Oisoら、Biochem Cell Biol 71:156−161頁、1993年;Bruchら、J Vasc Res 34:11−18頁、1997年;Sunら、J Neuroimmunol 107:88−99頁、2000年;Fresonら、J Clin Invest 113:905−912頁、2004年;Zhangら、Curr Eye Res 30:1105−1111頁、2005年;Jonerら、Arterioscler Thromb Vasc Biol 27:182−189頁、2007年;Lvら、Shock 31:185−191頁、2009年)を含む、広範囲の急性および慢性心血管疾患の処置にとっても有効でなければならないことが示される。
【0036】
一般的なインビトロおよびインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、(限定はされないが)虚血/再灌流(Rieraら、Transplantation 72:1217−1223頁、2001年;Szakalyら、J Mol Neurosci 36:89−96頁、2008年;図6および7を参照)、軽鎖免疫グロブリンの過負荷(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年)、ならびに、ゲンタマイシン(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年)、ストレプトゾトシン(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年)、シスプラチン(Liら、Peptides 31:592−602頁、2010年;図5を参照)、およびドキソルビシン(Raczら、J Mol Neurosci 42:419−427頁、2010年;Moruら、Circ J 74:1183−1190頁)などの多数の一般に使用される治療剤によって引き起こされる損傷を含む、広範囲の急性腎損傷の処置にとって有効でなければならないことが示される。
【0037】
一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、(限定はされないが)喘息(Lindenら、Thorax 58:217−221頁、2003年;Onoueら、Peptides 28:1640−1650頁、2007年)、慢性閉塞性肺疾患(Kinhultら、Peptides 22:2151−2154頁、2001年:Onoueら、Eur J Biochem 271:1757−1767頁、2004年;Onoueら、Peptides 28:1640−1650頁、2007年)、嚢胞性線維症(Ameenら、J Cell Sci 112:887−894頁、1999年;Derandら、Br J Pharmacol 141:698−708頁、2004年;Sergejevaら、Regul Pept 117:149−154頁;2004年;Chappeら、J Pharmacol Exp Ther 327:226−238頁、2008年;Raffertyら、J Pharmacol Exp Ther 331:2−13頁、2009年)、および肺動脈高血圧症(Ottoら、Circulation 110:3245−3251頁、2004年;Haberlet al.、Eur J Hum Genet 15:18−22頁、2007年;Saidら、Circulation 115:1260−1268頁、2007年;Szemaら、「VIP,PACAP and Related Peptides」[Ninth International Symposium]、Kagoshima、2009年)を含む、広範囲の急性および慢性肺疾患の処置にとって有効でなければならないことが示される。
【0038】
全身性高血圧は、多遺伝子病である。PACAP遺伝子における多型は、全身性高血圧の発症の素因を示すように見られる(Ratherfoldら、Am J Med Genet A 126:241−247頁、2004年)。したがって、本発明はまた、対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)が全身性高血圧の増大したリスクを有するか否かを判定する方法を特徴とする。特に、本方法は、対象のPACAP遺伝子における1つまたは複数の多型を検出するステップを含み、ここで、多型の存在は、対象における全身性高血圧の増大したリスクを示す。
【0039】
癌は、先進工業国における死亡の主因である。化学療法は、播種性癌および転移性腫瘍に対する好ましい処置である。化学療法はまた、手術または放射線療法が局在化腫瘍を完全に根絶していない場合、あるいは手術または放射線療法を用いる補助治療として、使用されることが多い。一般的なインビトロおよびインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、(限定はされないが)リンパ性および骨髄性白血病などの血液癌、リンパ腫、および形質細胞障害(ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、多発性骨髄腫など)を含む血液癌の処置にとっても有効でなければならないことが示される。公表された文献によると、PACAP様ペプチドが、大部分の正常な造血細胞の増殖を阻害することが示唆される(例えば、OttawayおよびGreenberg、J Immunol 132:417−423頁、1984年;BoudardおよびBastide、J Neurosci Res 29:29−41頁、1991年;Tatsunoら、Endocrinology 128:728−734頁、1991年;Trejterら、Histol Histopathol 16:155−158頁、2001年)。PACAP様ペプチドは、HEL骨髄性白血病細胞の増殖を阻害することが示されている(Hayezら、J Neuroimmunol 149:167−181頁、2004年)。本発明の発明者らのうち2名は、PACAP様ペプチドが、多発性骨髄腫細胞の増殖を強力に阻害することを示した(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年;図3および4を参照)。本発明の発明者らのうち2名はまた、PACAP様ペプチドが、多発性骨髄腫を有する患者において有効であることを示した(Liら、Peptides 28:1891−1895頁、2007年)。本発明の発明者らは最近、PACAP様ペプチドが、一般に使用される抗癌剤のカルムスチン、ビンクリスチンおよびサリドマイドによるリンパ性および骨髄性双方の造血器癌細胞の殺滅を促進することを示した(Liら、PCT/US2009/058445、2009年)。したがって、PACAP様ペプチドは、リンパ性および骨髄性の造血器癌の処置において、単独療法薬(monotherapeutics)および一般に使用される抗癌剤を伴う補助療法薬(adjunctive therapeutics)の双方として有効でなければならない。
【0040】
それに対し、公表された文献によると、PACAP様ペプチドが、(全部ではないが)大部分の上皮癌細胞の増殖および生存を促進することが示唆される。Okaら(Amer J Pathol 155:1893−1900頁、1999年)は、PACAPが、HP75ヒト下垂体腺腫細胞を、形質転換成長因子−β1による処置によって引き起こされるアポトーシス細胞死に対して保護することを報告し、PACAPは、より最近では、PC−3アンドロゲン独立ヒト前立腺癌細胞(Gutierrez−Canasら、Br J Pharmacol 139:1050−1058頁、2003年)およびCRL−2768ラット神経鞘腫細胞(Castorinaら、Brain Res 1241:29−35頁、2008年)を、血清枯渇によって引き起こされるアポトーシス細胞死に対して保護することが示されている。Onoueら(FEBS J 275:5542−5551頁、2008年)は、PACAPが、RIN−m5Fインスリノーマ細胞を、抗癌剤のストレプトゾトシンによって引き起こされるアポトーシス細胞死に対して保護することを示した。さらに、PACAP(6〜38)、PACAP/VIP受容体アンタゴニストは、PC−3ヒト前立腺癌細胞(Leytonら、Cancer Lett 125:131−139頁、1998年)、NCI−H838ヒト非小細胞肺癌細胞(Ziaら、Cancer Res 55:4886−4891頁、1995年)およびMCF−7ヒト乳癌細胞(Leytonら、Breast Cancer Res Treat 56:177−186頁、1999年)の、ヌードマウスの異種移植片の成長を阻害した。したがって、PACAP様ペプチドの非経口投与を用い、(おそらく全部ではないが)大部分の固形上皮腫瘍を有する患者を処置することはできない。しかし、PACAP/VIP受容体アンタゴニストの非経口投与を抗癌剤(その用量制限毒性は骨髄抑制であった)と併用することで、固形上皮腫瘍を有する患者を処置することができた。
【0041】
BおよびTリンパ球の活性を阻害するため、グルココルチコイドが、血液癌および自己免疫疾患を有する患者の処置において使用されることが多い。しかし、グルココルチコイドで処置された有意な患者の一部は、最終的にステロイドに対して耐性を示すようになる(BarnesおよびAdcock、Lancet 373:1905−1917頁、2009年)。本発明の発明者らは、たとえBリンパ球がデキサメタゾンに耐性を示すようになった後であっても、依然として、PACAP様ペプチドが、デキサメタゾム(dexamethasome)を含むレジメンで処置されていた多発性骨髄腫を有する患者に由来するBリンパ球の増殖を阻害しうることを示した(Greensteinら、Exp Hematol 31:271−282頁、2003年)(図8および9を比較すること)。これらの実験によると、患者がグルココルチコイドに対して耐性を示すようになった後であっても、PACAP様ペプチドが、血液癌および自己免疫疾患を有する患者において有効でなければならないことが示される。
【0042】
一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、摂食障害の処置にとって有効でなければならないことが示される(MatsudaおよびMaruyama、Peptides 28:1761−1766頁、2007年;Hawkeら、J Neurosci 29:14828−14835頁、2009年;Mounienら、Neuropsychopharmacology 34:424−435頁、2009年)。
【0043】
一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、(限定はされないが)虚血/再灌流傷害(Leisterら、Digestion 66:186−192頁、2002年;Leisterら、Int J Colorectal Dis 20:42−48頁、2005年)、肝炎(Allam、Immunobiology 212:603−612頁、2007年;Luoら、Eur J Pharmacol 607:226−233頁、2009年)および脂肪肝(Konoら、Am J Physiol 280:G1005−G1012、2001年;Thakurら、J Gastroenterol Hepatol 22[Suppl1]:S53−556、2007年;Cederbaumら、Arch Toxicol 83:519−548頁、2009年)を含む広範囲の急性および慢性肝疾患の処置にとって有効でなければならないことが示される。
【0044】
骨粗鬆症は、骨塩密度の低下、ひいては骨折リスクの増大によって特徴づけられる。それは、男性より女性、特に閉経後女性において、より一般的である。骨粗鬆症はまた、多数のグルココルチコイドを有する抗癌治療レジメンに共通の副作用である。一般的なインビトロでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、骨粗鬆症の処置にとって有効でなければならないことが示される(Windingら、Exp Physiol 82:871−886頁、1997年;Mukohyamaら、Biochem Biophys Res Commun 271:158−163頁、2000年)。
【0045】
子癇前症は、妊娠期間の5〜10%の間、通常は第二期および第三期の間に発症する、生命にかかわる疾患である。子癇前症は、胎盤内皮、腎臓および肝臓に対する障害を含む。主要な症状は、全身性高血圧、炎症および尿中タンパク質のレベルの上昇である。公表された臨床実験および一般的なインビトロおよびインビボでの前臨床モデルを用いる実験によると、PACAP様ペプチドが、子癇前症の処置にとって有効でなければならないことが示される(Holstら、Br J Obstet Gynaecol 98:803−806頁、1991年;Steenstrupら、Regul Pept 61:197−204頁、1996年;Kinhultら、Peptides 22:2151−2154頁、2001年;Leeら、J Hypertens 21:395−402頁、2003年;Raczら、Gen Comp Endocrinol 153:115−123頁、2007年;Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年;Reglodiら、J Endocrinol Invest 33:443−445頁、2010年)。
【0046】
また、一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、細胞(Scharfら、J Mol Neurosci 36:79−88頁、2008年;Kimら、Diabetes58:641−651頁、2009年;Sakumaら、Transplant Proc 41:343−345頁、2009年)および固形臓器移植(Alessandrini、Acta Biomed Ateneo Parmense 65:59−73頁、1994年;Rieraら、2001年;Ferenczら、J Mol Neurosci 37:168−176頁、2008年;Jungraithmayrら、Transplantation 88:478−485頁、2009年;Zhaiら、Transplantation 87:1140−1146頁、2009年;図6を参照)の処置にとって有効でなければならないことが示される。
【0047】
PACAP様ペプチドは、節足動物における学習および記憶において重要な役割を果たす(FeanyおよびQuinn、Science 268:869−873頁、1995年;DeZazzoら、J Neurosci 19:8740−8746頁、1999年)。一般的なインビボでの前臨床モデルを用いる哺乳類における公表された実験によると、PACAP様ペプチドが、正常老化(Ottoら、J Neurosci 21:5520−5527頁、2001年;Sacchettiら、Neurobiol Learn Mem 76:1−6頁、2001年)および病的老化(Deguilら、Neurotox Res.17:142−155頁、2010年)の間における認知障害の処置にとって有効でなければならないことが示される。
【0048】
ヒト免疫不全ウイルスによる脳内のミクログリア細胞の感染によって引き起こされる重度の認知および運動障害であるAIDS認知症症候群(HIV脳症)。病理学的特徴は、ミクログリア活性化、ニューロンアポトーシスおよび脱髄を含む。VPAC受容体の刺激は、ヒト免疫不全ウイルスのゲノムDNAへの組込みを阻害することが示されている(Bokaeiら、Virology 362:38−49頁、2007年)。さらに、PACAPは、皮質ニューロンを、ヒト免疫不全ウイルスgp120のエンベロープ糖タンパク質の毒性効果に対して保護し(Arimuraら、Ann NY Acad Sci 739:228−243頁、1994年;Brennemanら、Neuropeptides 36:271−280頁、2002年)、また活性化されたミクログリア細胞を「失活させる(deactivate)」(Kongら、Neuroscience 91:493−500頁、1999年;Delgadoら、Glia 39:148−161頁、2002年)ことが示されている。
【0049】
中枢神経系の正常老化は、炎症誘発性サイトカインおよびスーパーオキサイドのレベルの上昇、および基底前脳コリン作動性ニューロンの数および歯状回の上衣下領域内での神経先祖細胞の増殖の速度の双方の減少を伴う(YeおよびJohnson、Neuroimmunomodulation 9:183−192頁、2001年;Godboutら、FASEB J 19:1329−1331頁、2005年;Baskervilleら、Neuroreport 17:1819−1823頁、2006年)。細胞外スーパーオキサイドレベルの低下および歯状回の上衣下領域内での神経先祖細胞増殖の刺激は、老化の過程での認知能力を改善する(Sunら、Endocrinology 146:1138−1144頁、2005年;Huら、J Neurosci 26:3933−3941頁、2006年)。PACAPは、基底前脳コリン作動性ニューロンをアポトーシスに対して保護し、炎症を阻害し、細胞外スーパーオキサイドレベルを低下させ、歯状回の上衣下領域内での神経先祖細胞の増殖を刺激し、また学習および記憶を促進することが示されている(Takeiら、Eur J Neurosci 12:2273−2280頁、2000年;Ottoら、J Neurosci 21:5520−5527頁、2001年;Sacchettiら、Neurobiol Learn Mem 76:1−6頁;2001年;Mercerら、J Neurosci Res 76:205−215頁、2004年)。したがって、本発明のPACAP様化合物は、正常老化の過程での認知および運動機能低下を回復させるのに有効でなければならない。
【0050】
本発明のPACAP類似体および化合物は、好適な放射性核種と共役させ、ヒトまたは他の哺乳類における播種性癌および転移性腫瘍の限局化、診断および処置において使用し(Radererら、J Nucl Med 39:1570−1575頁、1998年;Reubi、Endocr Rev 24:389−427頁、2003年;Zhangら、Regul Pept 144:91−100頁、2007年;Bodeiら、J Endocrinol Invest 32:360−369頁、2009年)、および/または、小分子治療薬に共役させ、ヒトまたは他の哺乳類に対する標的化薬剤送達のためのベクターとして使用してもよい(Reubi、2003年;Moodyら、Peptides、28:1883−1890頁、2007年)。本発明のPACAP様化合物(例えば、式(I)の配列(例えば配列番号4〜13の配列)を有する1つまたは複数のPACAP様化合物)に共役可能な、好適な放射性核種の例として、例えば、ガンマ線放射性核種、Auger線放射性核種、ベータ線放射性核種、アルファ線放射性核種、または陽電子放出核種(例えば、11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、および99mTc)が挙げられる。本発明のPACAP類似体および化合物はまた、好適な造影剤と共役させ、様々な感染病または自己免疫疾患を有するヒトまたは他の哺乳類における肉芽腫の限局化において使用してもよい(例えば、Metwaliら、J Immunol 157:265−270頁、1996年)。好適な造影剤の例として、例えば、99mTc、51Cr、67Ga、68Ga、111In、168Yb、140La、90Y、88Y、153Sm、156Ho、165Dy、64Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、および214Biが挙げられる。検出可能な標識として有用な金属成分は、重元素または希土類元素イオン由来の金属イオン、例えば、Gd3+、Fe3+、Mn3+、またはCr2+であってもよい。常磁性または超常磁性金属を含む複合体は、MRIイメージング用途における診断剤として有用である。本発明のPACAP様化合物と併用可能な常磁性金属として、限定はされないが、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジミウム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、およびイッテルビウム(III)が挙げられる。小分子の例として、4,000g/モル未満の分子量を有し、より好ましくは200〜2,000g/モルの範囲内、例えば、2,000g/モル未満、1,000g/モル未満、またはさらに900g/モル未満の分子量を有する化合物が挙げられる。小分子の例として、限定はされないが、カンプトテシン、ホモカンプトテシン、コルヒチン、チオコルヒチン、コンブレタスタチン、ドリスタチン(dolistatin)、ドキソルビシン、メトトレキセート、ポドフィロトキシン、リゾキシン、リゾキシンD、タクソール、パクリタキセル、CC1065、およびメイタンシノイド、ならびに下記の治療剤および抗癌剤、が挙げられる。
【0051】
最も一般に使用される癌治療薬の最大耐用量は、ヒトまたは他の哺乳類の身体の1つまたは複数の主要臓器に対するその毒性効果によって制限を受ける。例えば、シスプラチンでの癌化学療法における用量制限毒性は、腎毒性であり(Kintzel、Drug Saf 24:19−38頁、2001年)、ブレオマイシンでの癌化学療法における用量制限毒性は、肺毒性であり(Chandler、Clin Chest Med 11:21−30頁、1990年)、またドキソルビシンでの癌化学療法における用量制限毒性は、心毒性である(TakemuraおよびFujiwara、Prog Cardiovasc Dis 49:330−352頁、2007年)。いくつかの方法を用い、癌治療薬の最大耐用量が増加し、それ故、その治療有効性が増大した。例えば、抗癌剤を腫瘍細胞の内部に優先的に送達するため、癌治療薬は、腫瘍関連抗原に特異的なモノクローナル抗体(WuおよびSenter、Nat Biotechnol 23:1137−1146頁、2005年)または受容体が選択されたタイプの腫瘍において高度に発現された生理活性ペプチド(Reubi、2003年)に複合されている(例えば、ソマトスタチン、ボンベシン、ガストリン放出ペプチド、コレシストキニン/ガストリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、およびニューロペプチドY)。癌治療薬の有効性を高めるための代替戦略は、正常な組織を抗癌剤の細胞毒性効果に対して選択的に保護することである(Hogle、Semin Oncol Nurs 23:213−224頁、2007年)。
【0052】
米国FDAは、アミホスチン(Ethyol)、デクスラゾキサン(Zinecard)およびメスナ(Mesenex)を含む抗癌剤としての使用において、いくつかの細胞保護剤を承認した。これらの細胞保護剤の中で、Gタンパク質共役受容体を介して作用するものは全くない。
【0053】
したがって、本発明はまた、外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の身体の主要臓器、例えば、脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、および胃腸管に対する損傷の処置、管理、および予防のための方法および組成物に関する。本方法は、外傷、慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤によって引き起こされる病変を阻害するため、1つまたは複数のPACAP/VIP受容体で活性を有する、本発明の1つまたは複数の新規PACAP類似体および化合物を有効量で投与するステップを含む。
【0054】
PACAP様化合物は、ニューロン、心筋細胞、肝細胞、ならびに、肺、腎臓および胃腸上皮細胞を、濃度依存的様式で保護する上で極めて有効である。したがって、本発明は、これらの細胞を約10−13M〜10−6Mの濃度のPACAP様化合物で処理する方法に関する。これらの細胞が培養下にある場合、PACAP様化合物の濃度は、好ましくは培地中で10−13M〜10−6Mの間である。これらの細胞が対象の臓器内に存在する場合、PACAP様化合物の濃度は、間質腔内または血液中で、好ましくは約10−13M〜10−6Mの間である。本発明の組成物の一般に有効な濃度範囲内において、ピーク有効性(peak effectiveness)が存在し、それを下回ると、組成物の有効性は有意な程度まで低下する。好ましい実施形態では、本発明のPACAP組成物の濃度は、約10−13M〜約10−6Mの間であり、それは、対象を、処置からの副作用を最小リスクにして処置することを可能にする(Reglodiら、2000年;Liら、2007年)。好ましい実施形態では、PACAP様化合物の濃度は、約10−9Mである。本発見は、ニューロン、心筋細胞、肝細胞、および肺、腎臓および胃腸上皮細胞の実質的保護をもたらすような低濃度での本発明の組成物の使用を可能にする。特定の実施形態では、本発明の組成物は、これらの細胞を損傷または死滅から保護する。これらの細胞の損傷または死滅は、外傷、慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤に起因しうる。
【0055】
本発明の組成物は、1つまたは複数の抗癌剤による処置によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷の処置、管理または予防に対する最適濃度を得るため、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、またはそうでなければ血流中に投与してもよい。本発明の組成物の静脈内投与は、ボーラス注射として、持続注入として、またはボーラス注射とその直後の持続注入として、行ってもよい。好ましい実施形態では、対象は、血液悪性腫瘍に呈して1つまたは複数の化学療法薬で処置されており、またPACAP様アジュバントは、(任意の血清結合タンパク質を飽和するため)ボーラス注射、その直後の持続注入として投与される。
【0056】
本発明の組成物は、肺(Dobererら、Eur J Clin Invest 37:665−672頁、2007年)または脳(Nonakaら、J Pharmacol Exp Ther 325:513−519頁、2008年)の各々への優先的接近性を有するように、吸入によりまたは鼻腔内に投与してもよい。好ましい実施形態では、対象は、肺動脈高血圧症に対して、1つまたは複数の新規PACAP類似体で、吸入により処置される。別の好ましい実施形態では、対象は、脳震とうに対して、1つまたは複数の新規PACAP類似体で鼻腔内で処置される。
【0057】
本発明の組成物は、異なるレベルの胃腸管または胃腸管の損傷領域の各々への優先的接近性を有するように、時間依存性(Gazzanigaら、Expert Opin Drug Deliv 3:583−597頁、2006年)またはpH依存性(Gallardoら、Pharm Dev Technol 13:413−4232008)製剤で経口投与してもよい。好ましい実施形態では、対象は、クローン病または潰瘍性大腸炎に対して、1つまたは複数の新規PACAP類似体で処置される。
【0058】
本発明の組成物は、制御放出(KostおよびLanger、Adv Drug Deliv Rev 46:125−148頁、2001年)または持続放出(HutchinsonおよびFurr、J Control Release 13:279−294頁、1990年)製剤で投与してもよい。好ましい実施形態では、対象は、血液悪性腫瘍に対して、1つまたは複数の化学療法薬で処置される。
【0059】
本発明の組成物は、リポソーム(Sethiら、Methods Enzymol 391:377−395頁、2005年)または微粒子(AlmeidaおよびSouto、Adv Drug Deliv Rev 59:478−490頁、2007年)のカプセル化後に投与してもよい。
【0060】
本発明の組成物は、デンドリマー(GraysonおよびFrechet、Chem Rev 101:3819−3868頁、2001年)のカプセル化後に経皮的に投与してもよい。好ましい実施形態では、対象は、血液悪性腫瘍に対して、1つまたは複数化学療法薬で処置される。
【0061】
本発明の組成物は、相加または相乗効果を有するように、異なる作用機序を有する他の細胞保護用補助剤(cytoprotective adjunctive agent)、例えば、アミホスチン、デクスラゾキサン、メスナ、パリフェルミン(ヒトケラチノサイト成長因子)、およびN−アセチルシステインと併せて投与してもよい。
【0062】
本発明の組成物を使用し、非複合の抗癌剤と、モノクローナル抗体(WuおよびSenter、Nat Biotechnol 23:1137−1146頁、2005年)または1つまたは複数の生理活性ペプチド、例えば、ソマトスタチン、ボンベシン、ガストリン放出ペプチド、コレシストキニン/ガストリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、およびニューロペプチドY(Reubi、Endocr Rev 24:389−427頁、2003年)に可逆的に複合された抗癌剤との双方によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷を処置、管理または予防することが可能である。
【0063】
本発明の組成物を使用し、一部の癌細胞に対する一部の抗癌剤の有効性、特にリンパ性および骨髄性の造血器癌に対する一部の化学療法薬の抗癌活性、を直接的に促進することが可能である。
【0064】
本発明の組成物を、放射性核種と共役し、播種性癌および転移性腫瘍を限局し、診断し、かつ処置することが可能である。
【0065】
本発明の組成物を、小分子治療薬と共役し、治療薬の特異的な組織または細胞種への優先的送達を標的化することが可能である。
【0066】
本発明の組成物を、好適な造影剤と共役し、様々な感染症または自己免疫疾患を有するヒトまたは他の哺乳類における肉芽腫を限局することが可能である。
【0067】
本発明の組成物を使用し、金属ステントまたは生分解性ステントをコーティングし、冠動脈または他の大動脈の再狭窄を予防することが可能である(Hwangら、Circulation 104:600−605頁、2001年;Buttら、Future Cardiol 5:141−157頁、2009年)。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】PACAP38(配列番号1)、PACAP27(配列番号2)、VIP(配列番号3)、[Pip,Aib16,28,Ala17,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号4)、[Pip,Ala15,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号5)、[Pip,Ala14,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号6)、[Pip,Aib16,28,Ala17,21,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号7)、[Pip,Aib16,28,Ala17,20,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号8)、[Pip,Aib16,Ala17]PACAP27(配列番号9)、N−アセチル[Pip,Aib16,Ala17]PACAP27(配列番号10)、[Ala2,17,Pip,Aib16]PACAP27(配列番号11)、および[Pip]PACAP27(配列番号12)の一次アミノ酸配列を示す表である。これらの化合物のすべては、下掲の図3または図10のいずれかに記載の実験において使用されている。
【図2】Applied Biosystems Voyager DE機を使用するマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析(MS)によって測定された、10の新規PACAP類似体(配列番号4〜13)の分子量を、アミノ酸組成に基づいて計算された分子量と比較した表である。
【図3】PACAP38、PACAP27、VIP、および8つの新規PACAP類似体の、軽鎖免疫グロブリンを分泌する骨髄腫細胞の増殖に対する阻害効果についてのEC50を記載した表である。軽鎖免疫グロブリンを分泌するヒト多発性骨髄腫細胞は、10%非不活性化ウシ胎仔血清および0.05mMの2−メルカプトエタノールが補充されたRPMI1640培地中で培養された。骨髄腫細胞増殖に対するPACAP38、PACAP27、VIP、および8つの新規PACAP類似体の効果は、細胞分裂の間でのブロモデオキシウリジンのDNAへの取り込みを測定することによって評価された。骨髄腫細胞の数は、PACAP様ペプチドによる処置の不在下での24時間のインキュベーション期間中にほぼ2倍になった。10−13M〜10−5Mの範囲の5つの異なる濃度が、PACAP38、PACAP27、VIP、および8つの新規PACAP類似体の各々について試験された。EC50は、ソフトウェアパッケージPrism(GraphPad(San Diego,CA))を使用した濃度応答曲線から計算された。各値は、1実験あたりの4〜6回の測定の平均を示す。PACAP38に対するEC50は、4つの別々の実験の平均に基づく一方、PACAP27および[Pip,Aib16,28,Ala17,Lys34,D−Lys38]PACAP38に対するEC50は、2つの別々の実験の平均に基づく。
【図4】PACAP38および6つのPACAP38類似体の軽鎖免疫グロブリンを分泌するヒト骨髄腫細胞の増殖に対する阻害効果についての単一の実験から得られる代表的な濃度応答曲線を示すグラフである。各値は、4〜6回の測定の平均+/−標準誤差を示す。新規類似体の位置3でのピペコリン酸をニペコチン酸またはイソニペコチン酸のいずれかと置換することにより、阻害効力が4桁超低下した類似体が得られることに注意のこと。
【図5】PACAP38、VIPおよび3つの新規PACAP38類似体の同程度の濃度によって引き起こされる、ラット腎近位尿細管上皮細胞のシスプラチン誘発性アポトーシス細胞死における低下を示すグラフである。腎近位尿細管上皮細胞の初代培養物は、6〜8週齢マウスの腎臓から作製された。腎皮質は、髄質から切断され、刻まれ、濾過された。尿細管細胞は、遠心分離および洗浄を繰り返すことにより、精製された。最終ペレットは、培地中に再懸濁され、尿細管細胞は、コラーゲンでコーティングされたディッシュ内に置かれ、37℃でインキュベートされた。次いで、培地は、細胞がコンフルエントになるまで、2〜3日ごとに変更された。細胞は、腎近位尿細管上皮細胞におけるマーカーの、γ−グルタミルトランスペプチダーゼおよびアルカリホスファターゼの発現について検査された。3つすべてのPACAP38類似体は、インビトロバイオアッセイにおいて、少なくともPACAP38と同程度に強力であるように見られた。VIPは、PACAP38よりも効力が有意に(#p<0.05)低かった。PACAP38、VIPおよび3つのPACAP38類似体のアポトーシス細胞死に対する阻害効果は、シスプラチンに24時間暴露した後の、細胞質ヒストン関連DNA断片化(モノ−およびオリゴヌクレオソーム)の定量測定によって評価された。各値は、8回の測定の平均+/−標準偏差を示す。シスプラチン単独で処置された群と比較して**p<0.01およびp<0.05。シスプラチンおよび10−6MのVIPで処置された群と比較して#p<0.05。
【図6】PACAP38および2つの新規PACAP類似体の、腎臓に対する虚血/再灌流傷害後のマウスにおける、血清クレアチニンレベルに対する効果を示すグラフである。雄C57BL/6マウスにおける腎動脈は、擬似手術(sham−operated)マウスを除くすべてのマウスにおいて、左右対称性に45分間固定された。20μgのPACAP38またはPACAP類似体の1つが、再灌流の開始から1時間後、腹腔内投与され、追加投与が、初期投与の24および48時間後に行われた。マウスの擬似手術群には、PACAP38が、虚血/再灌流を受けたマウスと同じスケジュールで腹腔内に注射された。マウスの対照群には、PACAP38の注射の場合と同容量の生理食塩水が、同じスケジュールで腹腔内に注射された。マウスの全部が、生理食塩水、PACAP38または新規PACAP類似体の1つの最終注射から24時間後、安楽死させられた。各値は、4回の測定の平均+/−標準誤差を示す。生理食塩水で処置された虚血/再灌流群と比較して**p<0.01およびp<0.05。I/Rは虚血/再灌流;shamは擬似手術。
【図7】PACAP38および2つの新規PACAP類似体の、腎臓に対する虚血/再灌流傷害後のマウスの腎臓におけるTNF−αの産生に対する効果を示すグラフである。雄C57BL/6マウスの腎動脈は、擬似手術マウスを除くすべてのマウスにおいて、45分間固定された。20μgのPACAP38またはPACAP類似体の1つが、再灌流の開始から1時間後、腹腔内に投与され、追加投与が、初期投与の24および48時間後に行われた。マウスの擬似手術群には、PACAP38が、虚血/再灌流を受けたマウスと同じスケジュールで腹腔内に注射された。マウスの対照群には、PACAP38の注射の場合と同容量の生理食塩水が、同じスケジュールで腹腔内に注射された。マウスの全部が、生理食塩水、PACAP38またはPACAP類似体の1つの最終注射から24時間後、安楽死させられた。各値は、4回の測定の平均+/−標準誤差を示す。生理食塩水で処置された虚血/再灌流群と比較して**p<0.01。I/Rは虚血/再灌流;shamは擬似手術。
【図8】PACAP38、[Pip,Ala14,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38およびデキサメタゾンの、多発性骨髄腫に対してデキサメタゾム(dexamethasome)を含むレジメンで処置されていた患者から得られた、軽鎖免疫グロブリンを分泌するヒト骨髄腫細胞系(MM.1S)の増殖に対する効果を示すグラフである。軽鎖免疫グロブリンを分泌する多発性骨髄腫細胞は、10%非不活性化ウシ胎仔血清および0.05mMの2−メルカプトエタノールが補充されたRPMI1640培地中で培養された。デキサメタゾン、PACAP38および新規PACAP38類似体の細胞増殖に対する効果は、細胞分裂の間でのブロモデオキシウリジンのDNAへの取り込みを測定することによって評価された。各値は、4〜6回の測定の平均+/−標準誤差を示す。図8および9中の細胞系は、処置の異なるステージでの同じ患者から得られた(Greensteinら、Exp Hematol 31:271−282頁、2003年)。
【図9】PACAP38、[Pip,Ala14,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38およびデキサメタゾンの、多発性骨髄腫に対してデキサメタゾム(dexamethasome)を含むレジメンで処置されていた患者から得られた、軽鎖免疫グロブリンを分泌するヒト骨髄腫細胞系(MM.1R)の増殖に対する効果を示すグラフである。軽鎖免疫グロブリンを分泌する多発性骨髄腫細胞は、10%非不活性化ウシ胎仔血清および0.05mMの2−メルカプトエタノールが補充されたRPMI1640培地中で培養された。デキサメタゾン、PACAP38および新規PACAP38類似体の細胞増殖に対する効果は、細胞分裂の間でのブロモデオキシウリジンのDNAへの取り込みを測定することによって評価された。各値は、4〜6回の測定の平均+/−標準誤差を示す。図8および9中の細胞系は、処置の異なるステージでの同じ患者から得られた(Greensteinら、Exp Hematol 31:271−282頁、2003年)。
【図10】様々な濃度のPACAP38および[Pip]PACAP38によって引き起こされる、ヒト腎近位尿細管上皮細胞のゲンタマイシン誘発性のアポトーシス細胞死における低下を示す。PACAP38および新規PACAP類似体のアポトーシス細胞死に対する阻害効果は、ゲンタマイシンに24時間暴露した後の、細胞質ヒストン関連DNA断片化(モノ−およびオリゴヌクレオソーム)の定量測定によって評価された。アミノグリコシド誘発性の腎近位尿細管上皮細胞損傷のこのインビトロモデルにおいて、PACAP38および[Pip]PACAP38の双方は、用量依存性のアポトーシスの阻害をもたらしたが、新規類似体は、PACAP38よりも効力が低いように見られた。各値は、4回の測定の平均+/−標準偏差を示す。ゲンタマイシン単独で処置された群と比較して**p<0.01およびp<0.05。
【0069】
配列
配列番号1〜3は、ヒト配列である。配列番号4〜13は、対応するヒト配列の修飾したものである。以下は、添付の配列表中に示される配列の概要であり、それは、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0070】
配列番号1は、PACAP38のアミノ酸配列である。
【0071】
配列番号2は、PACAP27のアミノ酸配列である。
【0072】
配列番号3は、VIPのアミノ酸配列である。
【0073】
配列番号4は、[Pip,Aib16,28,Ala17,Lys34,D−Lys38]PACAP38のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0074】
配列番号5は、[Pip,Ala15,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0075】
配列番号6は、[Pip,Ala14,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0076】
配列番号7は、[Pip,Aib16,28,Ala17,21,Lys34,D−Lys38]PACAP38のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0077】
配列番号8は、[Pip,Aib16,28,Ala17,20,Lys34,D−Lys38]PACAP38のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0078】
配列番号9は、[Pip,Aib16,Ala17]PACAP27のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0079】
配列番号10は、N−アセチル[Pip,Aib16,Ala17]PACAP27のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0080】
配列番号11は、[Ala2,17,Pip,Aib16]PACAP27のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0081】
配列番号12は、[Pip]PACAP38のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0082】
配列番号13は、N−アセチル[Pip]PACAP38のアミノ酸配列であり、それは、本発明に記載の目的のために使用可能である。
【0083】
定義
以下の標準的な3文字略号は、アミノ酸残基を同定するため、本明細書中で使用される。

Abu、α−アミノ酪酸

Acb、1−アミノ−1−シクロブタンカルボン酸

Ach、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸

Acpe、1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸

Acpr、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸

Aib、α−アミノイソ酪酸

Ala、アラニン

Arg、アルギニン

Asn、アスパラギン

Asp、アスパラギン酸

Bip、4−ビフェニルアラニン

Cha、シクロヘキシルアラニン

Cys、システイン

Dab、ジアミノ酪酸

Dap、ジアミノプロピオン酸

Gaba、γ−アミノ−N−酪酸

Gln、グルタミン

Glu、グルタミン酸

Gly、グリシン

His、ヒスチジン

hSer、ホモセリン

Hyp、ヒドロキシプロリン

Ile、イソロイシン

Ini、イソニペコチン酸

Leu、ロイシン

Lys、リジン

N−Me−Asp、N−メチルアスパラギン酸

N−Me−Ser、N−メチルセリン

Met、メチオニン

Nal、2−ナフチルアラニン

Nip、ニペコチン酸

Nle、ノルロイシン

Nva、ノルバリン

Orn、オルニチン

Pal、3−ピリジルアラニン

Phe、フェニルアラニン

Pip、ピペコリン酸

Pro、プロリン

Sar、サルコシン(N−メチルグリシン)

Ser、セリン

Thr、トレオニン

Trp、トリプトファン

Tyr、チロシン

Val、バリン
【0084】
本明細書で使用される用語「PACAP」は、ヒトPACAP27(配列番号2)および/またはヒトPACAP38(配列番号1)を示す。
【0085】
本明細書で使用される用語「PACAP/VIPアゴニスト」は、1つまたは複数のPACAP/VIP受容体に結合し、それらを刺激する、タンパク質、天然的または合成的に翻訳後修飾されたタンパク質、ポリペプチド、天然的または合成的に修飾されたポリペプチド、ペプチド、天然的または合成的に修飾されたペプチド、および大きいまたは小さい非ペプチド分子を含む、任意の分子を示す。
【0086】
本明細書で使用される用語「類似体」は、立体配座の配列類似体および直鎖の配列類似体の双方を示す。マキサジラン、すなわち、吸血性サンドフライ、ルツォーミアロンギパルピス(Lutzomyia longipalpis)の唾液腺において天然に合成される、2つのジスルフィド橋を有する61−アミノ酸ペプチドは、PACAPの立体配座の類似体の一例である。それが有するPACAPとの直鎖アミノ酸の配列同一性は全く明らかでないが、それはPAC受容体と高親和性に優先的に結合する(Tatsunoら、Brain Res 889:138−148頁、2001年;Lernerら、Peptides 28:1651−1654頁、2007年)。中央および南アメリカの異なる領域に由来するサンドフライによって作製されるマキサジランのアミノ酸配列は、20%を超えて異なりうる。しかし、これらの生理活性オルソログにおけるシステイン残基の相対位置は、不変であり、これらの生理活性オルソログの全部が、類似の予測される二次構造を有する。一部の天然マキサジランのアミノ酸配列は、Lanzaroらによって記載がなされている(Insect Mol Biol 8:267−275頁、1999年)。したがって、PACAPの立体配座類似体の直鎖類似体、例えばマキサジランの直鎖類似体(Reddyら、J Biol Chem 281:16197−16201頁、2006年)であれば、PACAP/VIP受容体に結合し、かつそれを刺激することが想定されることになる。当業者は、PACAPの追加的な立体配座類似体が、合成コンビナトリアル化学またはファージディスプレイ技術によって作製できることを理解するであろう。ペプチド類似体は、哺乳類細胞内に天然に存在するが、哺乳類ペプチド中に天然に存在しない、1つまたは複数のアミノ酸を含みうる。例えば(限定はされないが)、ペプチド類似体は、γ−アミノ−N−酪酸(GABA)、β−アラニン、オルニチン、およびシトルリンを含みうる。ペプチドの類似体はまた、哺乳類細胞内に天然に存在しない、1つまたは複数の非天然アミノ酸を含みうる。例えば(限定はされないが)、ペプチドの類似体はまた、D−アラニン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、およびノルロイシンを含みうる。類似体は、そのアミノ末端および/またはそのカルボキシル末端に、1つまたは複数の天然および/または非天然アミノ酸の延長部(extension)を含みうる。アミノ末端および/またはカルボキシル末端の延長部は、同じペプチドおよび/または他の生理活性ペプチド(例えば、ガストリン放出ペプチド、コレシストキニン/ガストリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、およびニューロペプチドY)の1つまたは複数の追加的なコピーを含みうる。アミノ末端および/またはカルボキシル末端の延長部は、延長されたペプチドを生理活性ペプチドにおける前駆体(プロドラッグ)として機能させるため、タンパク質分解処理のための1つまたは複数の部位を含みうる。例えば、PACAP様化合物は、次のタンパク質分解酵素、すなわち、トリプシン、キモトリプシン、プロホルモン転換酵素(例えば、プロホルモン転換酵素1、2、4、5、または7)、フリン(furin)、キマーゼ、トロンビン、カルパイン、カテプシン(例えば、カテプシンA、B、D、G、H、またはL)、パパイン、因子Xa、因子IXa、因子XIa、レニン、キモシン(レンニン)、サーモリシン、カリクレイン、エラスターゼ、およびマトリックスメタロプロテアーゼの1つまたは複数におけるアミノ末端および/またはカルボキシル末端に切断部位を含みうる。
【0087】
本明細書で使用される用語「PACAP様化合物」は、ヒトPACAP27(配列番号2)、ヒトPACAP38(配列番号1)、ヒトVIP(配列番号3)、トカゲPACAP38(Valianteら、Brain Res 1127:66−75頁、2007年)、カエルPACAP38(Chartrelら、Endocrinology 129:3367−3371頁、1991年)、およびサンドフライのマキサジラン(Lanzaroら、Insect Mol Biol 8:267−275頁、1999年)、ならびに、これらの天然ペプチドのオルソログ、パラログ、類似体、断片、または誘導体でありかつ1つまたは複数のPACAP/VIP受容体にアゴニスト活性を有するペプチドまたはペプチド模倣化合物を示す。本発明のPACAP様化合物は、配列番号4〜13で示される配列を有するもの、および配列番号4〜13の配列に対して少なくとも75、80、85、90、95、97、95、もしくは99%またはそれより大きい配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0088】
本明細書で使用される用語「ペプチド模倣の」は、対応するペプチドに対して機能的に等価な、三次元方向に重要な官能基を有する、ハイブリッドペプチド/有機分子および非ペプチド有機分子の双方を示す(Marshall、Tetrahedron 49:3547−3558頁、1993年)。本発明のPACAP様化合物に対して機能的に等価なペプチド模倣化合物は、公表された構造−活性試験に基づき、当業者により、合理的に設計することが可能である(例えば、Igarashiら、J Pharmacol Exp Ther 301:37−50頁、2002年;Igarashiら、J Pharmacol Exp Ther 303:445−460頁、2002年;Bourgaultら、Peptides 29:919−932頁、2008年;Bourgaultら、J Med Chem 52:3308−3316頁、2009年)。
【0089】
用語「パーセント同一性」および「パーセント類似性」は、2つのペプチドのアミノ酸配列を比較するために使用してもよい。2つのアミノ酸配列のパーセント同一性を決定するため、配列は、最適な比較を目的として整列される(例えば、第2のアミノ酸配列との最適な整列のため、ギャップが第1のアミノ酸配列の配列内に導入してもよい)。次いで、対応するアミノ酸位置でのアミノ酸残基が比較される。第1の配列内の位置が、第2の配列内の対応する位置で同じアミノ酸残基によって占められる場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の重複位置の数/位置の総数×100%)。最も一般的な実施形態では、2つのアミノ酸配列は、長さが同じである。2つのアミノ酸配列のパーセント類似性を決定するため、配列はまた、最適な比較を目的として整列される。第1の配列内の位置が、第2の配列内の対応する位置で同じアミノ酸残基または「保存された」アミノ酸のいずれかによって占められる場合、分子はその位置で類似している。2つの配列間のパーセント類似性は、アミノ酸が同一であるかまたは異なるアミノ酸が保存された置換基である場合の、アミノ酸配列内の対応する位置の数の関数である(すなわち、%類似性=同一のまたは保存された重複位置の数/位置の総数×100%)。保存的置換は、1つのアミノ酸の、類似の側鎖を有するもう1つのアミノ酸による置換である。保存的置換は、同様の物理的および生物学的特性を有する類似体をもたらすことが多い。次は、哺乳類ペプチド中に天然に存在する「類似」アミノ酸の一般に定義されたクラスのリストである。
芳香族側鎖:フェニルアラニン≒チロシン≒トリプトファン≒ヒスチジン
酸性側鎖:アスパラギン酸≒グルタミン酸
塩基性側鎖:アルギニン≒リジン≒ヒスチジン
β分岐側鎖:トレオニン≒バリン≒イソロイシン
非極性側鎖:アラニン≒バリン≒ロイシン≒プロリン≒メチオニン≒フェニルアラニン≒トリプトファン
非荷電極性側鎖:グリシン≒アスパラギン≒グルタミン≒セリン≒トレオニン≒システイン≒チロシン
【0090】
当業者は、哺乳類細胞内に天然に存在するが、哺乳類ペプチド中に天然に存在しない多数のアミノ酸および哺乳類細胞内に天然に存在しない多数の非天然アミノ酸が、哺乳類ペプチド中に天然に存在する1つまたは複数のアミノ酸と保存的に置換されうることを理解するであろう。例えば(限定はされないが)、ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリンおよびN−アルキルアミノ酸であれば、プロリンと保存的に置換され、サルコシン、ジアルキルグリシンおよびα−アミノシクロアルカンカルボン酸であれば、グリシンと保存的に置換され、また、α−アミノイソ酪酸、ナフチルアラニンおよびピリジルアラニンであれば、アラニンと保存的に置換されうる。「パーセント同一性」および「パーセント類似性」は、1つまたは複数のギャップの一方または双方のアミノ酸配列への導入の無しまたは無しにかかわらず(without or without)、2つの配列の最適な整列後に決定される。最適な整列を判定するのに使用可能な、当業者に周知の多数のアルゴリズムが存在する。最も一般的な実施形態では、2つのアミノ酸配列は、長さが同じである。
【0091】
PACAP様またはVIP様ペプチドとの関連での、本明細書で使用される用語「断片」は、PACAP様またはVIP様ペプチドより少ないアミノ酸を有し、かつ、PACAP様またはVIP様ペプチドに対する配列類似性を有する少なくとも5つのアミノ酸を有する、ペプチドを示す。
【0092】
本明細書で使用される用語「誘導体」は、別の分子および/または官能基のペプチド鎖への共有結合によって修飾されているペプチドを示す。例えば(限定はされないが)、ペプチドの誘導体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、アシル化、アルキル化、酸化、リン酸化、硫酸化、ホルミル化、メチル化、脱メチル化、アミド化、γ−カルボキシル化、環化、ラクタム化、プレニル化、ミリストイル化、ヨード化、セレノイル化、リボシル化、ユビキチン化、または水酸化によって生成することが可能である。誘導体化ペプチドは、ペプチド類似体であってもよい。ペプチドの誘導体は、当業者に既知の標準的技術によって容易に作製可能である。ペプチドの誘導体は、親ペプチドに対して同一の機能を有しうる。ペプチドの誘導体はまた、親ペプチドの機能に加えて、1つまたは複数の他の機能を有しうる。例えば(限定はされないが)、ペプチドの誘導体は、親ペプチドより長い半減期を有し、および/または、親ペプチドによって保有されない細胞保護または細胞毒性特性を有しうる。
【0093】
本明細書で使用される用語「対象」は、非霊長動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)または霊長動物(例えば、サルまたはヒト)、最も好ましくはヒト、のいずれかを示す。特定の実施形態では、対象は、家畜(例えば、ウマ、ブタ、ヒツジまたはウシ)またはペット(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、またはサル)である。別の実施形態では、対象は、家畜またはペット以外の動物(例えば、マウス、ラットまたはモルモット)である。好ましい実施形態では、対象は、正常なヒトである。別の好ましい実施形態では、対象は、未処置のまたは処置された癌を有するヒトである。
【0094】
本明細書で使用される用語「と併せて」は、2つ以上の治療剤または細胞保護剤の使用を示す。用語「と併せて」の使用は、治療剤または細胞保護剤が対象に投与される順序を制限しない。一方の治療剤または細胞保護剤は、他方の治療剤または細胞保護剤の投与の前か、それと同時にか、またはその後に投与してもよい。治療剤は、対象に、本発明のPACAP様化合物が他方の作用剤と一緒に作用して、それらを別のやり方で投与した場合に対し、対象から異なる応答を、好ましくはより大きな治療剤または細胞保護剤の利益をもたらしうるように、ある順序で、ある時間間隔以内に投与される。
【0095】
本明細書で使用される用語「神経系」は、中枢神経系(脳および脊髄)、交感神経系、副交感神経系、および腸神経系を示す。
【0096】
本明細書で使用される用語「胃腸管」は、咽頭、食道、胃、小腸、膵臓、および大腸を示す。
【0097】
本明細書で使用される用語「血液悪性腫瘍」は、(限定はされないが)白血病、リンパ腫およびプラズマ細胞増殖症を含む、血球、骨髄細胞またはリンパ節の細胞の癌を示す。
【0098】
本明細書で使用される用語「プラズマ細胞増殖症」は、(限定はされないが)多発性骨髄腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、POEMS症候群、セリグマン病、およびフランクリン病を含む、Bリンパ球系のモノクローナル腫瘍を示す。
【0099】
本明細書で使用される形容詞「造血の」は、造血幹細胞に由来する(癌細胞を含む)細胞を示す。造血幹細胞に由来する身体の正常細胞は、(限定はされないが)赤血球、顆粒球(好塩基球、好酸球および好中球)、リンパ球、単球(マクロファージ、ミクログリア、脾細胞、および樹状細胞)、および血小板を含む。
【0100】
本明細書で使用される用語「約」は、列挙された値の±10%の値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
本特許出願の発明者らは、天然ヒトPACAP27またはPACAP38の位置3のアスパラギン酸をピペコリン酸と置換する結果、固有の薬理学的特性を有する一連の新規PACAP類似体(配列番号4〜13、図1および図2)が得られることを発見した。さらに、タンパク質加水分解および/または腎クリアランスを遮断し、合成のコストを低減し、かつ組織分布および/または受容体特異性を改変するため、PACAP類似体の位置3以外の他の位置でのアミノ酸置換を行ってもよい。
【0102】
本特許出願の発明者らは、これらの新規PACAP類似体の1つまたは複数が、インビトロでのヒト多発性骨髄腫細胞の増殖に対する極めて強力な阻害剤であることを発見した(図3および4)。
【0103】
本特許出願の発明者らは、ラット腎尿細管上皮細胞の初代培養下でシスプラチンによって引き起こされる腎毒性が、これらの新規PACAP類似体によって劇的に低下されうることを発見した(図5)。
【0104】
本特許出願の発明者らは、腎臓に対する虚血/再灌流傷害によって引き起こされる血清クレアチニンの増加が、これらの新規PACAP類似体によって劇的に低下されうることを発見した(図6)。
【0105】
本特許出願の発明者らは、腎臓に対する虚血/再灌流傷害によって引き起こされる腎臓における腫瘍壊死因子αのレベルの増加が、これらの新規PACAP類似体によって劇的に低下されうることを発見した(図7)。
【0106】
本特許出願の発明者らは、これらの新規PACAP類似体が、コルチコステロイドに対して耐性を示すようになっているリンパ球において依然として極めて有効であることを発見した(図8および9)。
【0107】
本特許出願の発明者らは、培養されたヒト腎近位尿細管上皮細胞内でゲンタマイシンによって引き起こされる腎毒性が、PACAP38および新規PACAP類似体によって劇的に低下されうることを発見した(図10)。
【0108】
本特許出願の発明者らは、これらの新規PACAP類似体が、(限定はされないが)加齢関連神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症など)、脳卒中、心臓発作および鈍器損傷によって引き起こされる中枢神経系に対する損傷(脳震とうおよび脊髄損傷など)、ハンチントン病および他のCAGコドンリピート伸長病、網膜疾患(糖尿病性網膜症、黄斑変性および緑内障など)、自己免疫疾患(関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症、シェーグレン病、特発性膜性腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、およびループスエリテマトーデスなど)、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引き起こされる乾性角結膜炎、II型糖尿病、(細菌およびウイルス毒素を含む)細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症、急性および慢性心血管疾患(心筋梗塞、アテローム硬化症および再狭窄など)、急性および慢性腎疾患(虚血/再灌流傷害、腎炎および薬剤誘発性腎毒性など)、急性および慢性肺疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、および肺動脈高血圧症など)、全身性高血圧、血液癌(白血病、リンパ腫およびプラズマ細胞増殖症など)、摂食障害、急性および慢性肝疾患(虚血/再灌流傷害、肝炎および脂肪肝など)、骨粗鬆症、子癇前症、細胞および固形臓器移植、認知障害、AIDS認知症症候群、および中枢神経系の老化を含む、広範囲の内科的障害における予防/治療剤として使用可能であることを発見した。
【0109】
本特許出願の発明者らは、好適な放射性核種に共役されたこれらのPACAP類似体が、播種性癌および転移性腫瘍の限局化、診断および処置において使用可能であり、また小分子治療薬に共役されたものが、標的化薬剤送達のためのベクターとして使用可能であることを発見した。本特許出願の発明者らは、好適な造影剤に共役されたこれらの新規PACAP類似体が、様々な感染病または自己免疫疾患を有するヒトまたは他の哺乳類における肉芽腫の限局化においても使用可能であることを発見した。
【0110】
PACAP様化合物の同定
本発明は、PACAP様活性について、化合物を、1つまたは複数のPACAP/VIP受容体を有する上皮細胞、例えば、腎、肺または肝上皮細胞、および多発性骨髄腫細胞とともにインキュベートし、次いで病理学的要因の細胞表現型の低下および多発性骨髄腫細胞増殖の阻害をそれぞれアッセイすることにより、アッセイし、スクリーニングするための方法を提供する(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年)。例えば、PACAP様ペプチドまたはペプチド模倣体は、シスプラチンで処理された腎上皮細胞の生存度を高め、多発性骨髄腫細胞の増殖の速度を低下させるはずである。さらに、3つのPACAP/VIP受容体の各々における任意のPACAP様化合物の固有の活性は、これらの受容体の1つのみを発現する安定的に形質移入された細胞系において、サイクリックAMPの細胞内蓄積を測定することにより、測定可能である(Tatsunoら、Brain Res 889:138−148頁、2001年)。放射性リガンド受容体結合アッセイを用い、化合物のPACAP/VIP受容体の各々に対する親和性を測定することが可能である。しかし、放射性リガンド受容体結合アッセイでは、受容体アゴニストと受容体アンタゴニストとが識別されない。したがって、当業者に周知の他のタイプのアッセイを用い、PACAP/VIP受容体アゴニストとPACAP/VIP受容体アンタゴニストとを識別する必要がある。
【0111】
腎、肺、肝、および神経上皮細胞の生存度は、(限定はされないが)核DNAの断片化またはカスパーゼ3活性の定量、アネキシンV結合の定量、アポトーシス(核濃縮)細胞の計数およびトリパンブルー陽性細胞の計数を含む、当業者に周知の種々の技術により、測定することが可能である。好ましい実施形態では、核DNAの断片化またはカスパーゼ3活性が測定される。
【0112】
造血および上皮細胞の細胞増殖は、(限定はされないが)ブロモデオキシウリジンまたは[H]チミジンの核DNAへの取り込みの定量、増殖型細胞核抗原を発現する細胞の数の計数、および有糸分裂像の計数を含む、当業者に周知の種々の技術により、測定することが可能である。好ましい実施形態では、ブロモデオキシウリジンまたは[H]チミジンの核DNAへの取り込みが測定される。
【0113】
これらの受容体の1つのみを発現する安定的に形質移入された細胞系におけるサイクリックAMPの細胞内蓄積は、(限定はされないが)ラジオイムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着アッセイを含む、当業者に周知の種々の技術により、PACAP様化合物による刺激後に測定することが可能である。刺激は、氷冷した20%トリフルオロ酢酸の添加によって停止される。cAMPは細胞から抽出され、抽出物は遠心分離され、上清は小型のプラスチック製バイアルに入れられ、上清は、cAMPのレベルのアッセイのため、凍結乾燥される。好ましい実施形態では、cAMPの細胞内レベルは、酵素結合免疫吸着アッセイで定量される。
【0114】
患者集団
本発明は、ヒトまたは他の哺乳類の身体の1つまたは複数の主要臓器、特に、神経系、心臓、肺、腎臓、肝臓、および胃腸管に対して、外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤によって引き起こされる障害を、本発明の有効量の1つまたは複数の組成物の治療的または予防的投与により、処置、予防および管理するための方法を提供する。別の実施形態では、本発明の組成物は、1つまたは複数の他の細胞保護剤と併せて投与してもよい。
【0115】
本発明の方法および組成物は、外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤によって引き起こされる損傷を有する対象であって、1つまたは複数の予防/治療剤(例えば、抗癌剤、ステロイド(例えば、コルチコステロイドまたはグルココルチコイド)、抗炎症剤、またはアミノグリコシド)の副作用を患ってきたか、患っているか、または患うことが予想される、対象への本発明の1つまたは複数の組成物の投与からなる。好ましい実施形態では、対象は、血液悪性腫瘍に対して、1つまたは複数の癌化学療法薬が、投与されてきたか、投与されているか、または投与されることが予想される。最も好ましい実施形態では、血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である。
【0116】
対象は、外傷損傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤の副作用に対する1つまたは複数の症例に対して、過去に処置されていてもいなくてもよい。対象は、1つまたは複数の予防/治療剤(例えば、癌化学療法薬)に対して、過去に難治性を示していてもいなくてもよい。本発明の方法および組成物は、外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤の副作用に対する、第一、第二、または非標準的な処置レジメンに対するアジュバントとして使用してもよい。本発明の方法および組成物は、任意の外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤の副作用が観察される前か、あるいは、任意の外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤の副作用の当初またはその後の観察後に、使用してもよい。
【0117】
他の治療剤/予防剤
一部の実施形態では、本発明は、外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の1つまたは複数の身体の主要臓器に対する損傷を、本発明の1つまたは複数の組成物を1つまたは複数の他の細胞保護剤と併せて投与することにより、処置、管理または予防するための方法を提供する。これらの他の細胞保護剤として、(限定はされないが)アミホスチン、デクスラゾキサン、メスナ、パリフェルミン、およびN−アセチルシステインが挙げられる。列挙される細胞保護剤の中で、Gタンパク質共役受容体を刺激するものは全くなく、これらの細胞保護剤の全部が、PACAP様ペプチドの推定される細胞保護の作用機序とはかけ離れた作用機序を有する。したがって、これらの細胞保護剤の1つまたは複数は、PACAP様ペプチドと併せて投与される場合、相加効果にとどまらず相乗効果を有しうる。
【0118】
新規PACAP類似体の合成
ペプチドは、CEM製マイクロ波支援(microwave−Assisted)自動ペプチドシンセサイザー(Matthews,NC)上でのFmoc化学、その後のトリフルオロ酢酸(TFA)樹脂切断を用いる、改良された固相法により、調製された。要するに、標準のRinkアミド樹脂(Advanced CheTech(Louisville,KY))を使用し、TFA切断直後、ペプチドアミドが得られた。0.2Mの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)酸を含有するジメチルホルムアミド溶液中、20%ピペリジンによる処理(70℃で2分間)が、Fmoc基除去のために使用され、アミノ酸共役が、70℃のジメチルホルムアミド溶液中、4Mの過剰な保護された各アミノ酸および1当量のPyClocK試薬(Peptides International(Louisville,KY))および2当量の0.2Mディイソプルプロピエチアミン(diisoprpropyethyamine)を使用して行われるとともに、Fmoc−His(Trt)を除いてマイクロ波照射が行われ、50℃で15分間共役がなされた。一般に使用されるFmocアミノ酸側鎖保護基は、Asp、Glu、Ser、Thr、およびTyr:tBu;Arg:Pbf;Lys、Orn、Dab、およびDap:Boc;およびHis:Trtであった。
【0119】
ペプチドは、同時に脱保護され、1%水および1%トリイソプロピルシランを含有するTFAの混合物とともに室温で4時間振とうすることにより、樹脂担体から切断される。次いで、樹脂および溶液は、大過剰の冷却ジエチルエーテル(diethylether)に注がれ、沈殿物および樹脂は、微細なフリットガラス(glass frit)を通して濾過された。エーテルで冷却し、沈殿物および樹脂を乾燥させた後、切断されたペプチドが、希釈した酢酸/水混合物を使用し、樹脂から抽出された。得られた溶液が、300オングストロームの孔サイズ(粒子サイズ10μm)のVydac C−l8シリカを有する分取クロマトグラフィーシステム(l.5または2.5×25cmのカラム)に直接適用された。2つの完全揮発性の溶媒溶出系では、これらのペプチドの全部に対する使用が奏功していた(約8〜20ml/分の流速での0.l%TFA中アセトニトリルまたは20%酢酸中アセトニトリル(それは不溶性ペプチドに適していた)の直線勾配)。許容純度(>95%)で所望されるペプチドを含有する画分が、分析高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)およびMALDI MSを使用し、同定され、次いで凍結乾燥された。
【0120】
長鎖飽和脂肪酸であれば、PACAP38のC末端近傍の4つのLys残基の1つの遊離イプシロン−アミノ基に、[Pip]PACAP38(配列番号12)またはN−アセチル[Pip]PACAP38(配列番号13)のC末端近傍の4つのLys残基の1つに、他の5つの新規PACAP38類似体(配列番号4〜8)の1つのC末端近傍の5つのLys残基の1つに、あるいはC末端近傍のOrn、DabおよびDapなど、類似の遊離アミノ基含有アミノ酸を有するPACAP38類似体に、共有結合されうる。PACAP27およびPACAP38は、PAC、VPACおよびVPAC受容体に対して同様の親和性を有し、これは追加的な11のアミノ酸が高親和性受容体結合に必須でないことを示唆する。脂肪酸結合は、複合体の血清アルブミン(血清中で明らかに最も豊富なタンパク質)への高親和性結合を促進し(Kurtzhalsら、J Pharm Sci 85:304−308頁、1996年)、また腎臓による濾過の速度を劇的に低下させることになる。この方法を用い、セクレチン/VIP/PACAPファミリーのメンバーであるGLP−1の長時間作用性の類似体が作製されている(Knudsenら、J Med Chem 43:1664−1669頁、2000年)。
【0121】
各精製化合物の純度は、分析HPLCおよびMALDI MSによって確認された。
【0122】
本発明のPACAP化合物とともに投与されるかまたはそれと共役された治療剤または抗癌剤
本発明のPACAP類似体(例えば、式(I)の構造を有するPACAP様化合物、例えば、配列番号4〜13の配列を有するPACAP様化合物)は、治療剤または抗癌剤とともに投与または調合するか、またはそれと共役してもよい。治療剤および抗癌剤の例として、例えば、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アドリアマイシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(Ambomycin);酢酸ア.メタントロン(A.metantrone);アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カンプトテシン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼルシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;コンブレテスタチン(Combretestatin)A−4;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;DACA(N−[2−(ジメチル−アミノ)エチル]アクリジン−4−カルボキサミド);ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;ダウノマイシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン(Dezaguanine);メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドラサチン(Dolasatin);ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン(Droloxifen);クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン(Dromostanolone Propionate);ジュアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エリプチシン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;ヨード化ケシ油エチルエステル(Ethiodized Oil)I131;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;5−FdUMP;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;金(Au198);ホモカンプトテシン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−nl;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−Ia;インターフェロンガンマ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;マイコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン(Peploycin Sulfate);ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リゾキシン;リゾキシンD;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウムSr89;スロフェヌル;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チミタク;チアゾフリン;チラパザミン;トミュデックス;TOP53;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン;硫酸ビンブラスチン;ビンクリスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン;2−クロロデオキシアデノシン;2’デオキシホルマイシン;9−アミノカンプトテシン;ラルチトレキセド;N−プロパルギル−5,8−ジデアザ葉酸;2クロロ−2’−アラビノ−フルオロ−2’−デオキシアデノシン;2−クロロ−2’−デオキシアデノシン;アニソマイシン;トリコスタチンA;hPRL−G129R;CEP−751;リノミド;硫黄マスタード;窒素マスタード(メクロレタミン);シクロホスファミド;メルファラン;クロラムブシル;イホスファミド;ブスルファン;N−メチル−Nニトロソウレア(MNU);N,N’−ビス(2−クロロエチル)−N−ニトロソウレア(BCNU);N−(2−クロロエチル)−N’シクロヘキシル−N−ニトロソウレア(CCNU);N−(2−クロロエチル)−N’−(トランス−4−メチルシクロヘキシル−N−ニトロソウレア(MeCCNU);N−(2−クロロエチル)−N’−(ジエチル)エチルホスホネート−N−ニトロソウレア(フォテムスチン);ストレプトゾトシン;ジアカルバジン(DTIC);ミトゾロミド;テモゾロミド;チオテパ;マイトマイシンC;AZQ;アドゼレシン;シスプラチン;カルボプラチン;オルマプラチン;オキサリプラチン;C1−973;DWA2114R;JM216;JM335;ビス(白金);トミュデックス;アザシチジン;シタラビン;ゲムシタビン;6−メルカプトプリン;6−チオグアニン;ヒポキサンチン;テニポシド9−アミノカンプトテシン;トポテカン;CPT−11;ドキソルビシン;ダウノマイシン;エピルビシン;ダルビシン(darubicin);ミトキサントロン;ロソキサントロン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD);アムサクリン;ピラゾロアクリジン;全トランスレチノール;14−ヒドロキシ−レトロ−レチノール;全トランスレチノイン酸;N−(4−ヒドロキシフェニル)レチナミド;13−シスレチノイン酸;3−メチルTTNEB;9−シスレチノイン酸;フルダラビン(2−F−アラ−AMP);または2−クロロデオキシアデノシン(2−Cda)などの抗新生物剤が挙げられる。例えば、式(I)の構造を有するPACAP様化合物(例えば、配列番号4〜13の配列を有するPACAP様化合物)の投与またはそれとの調合、またはそれとの共役にとって好ましい抗癌剤として、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル(STA−4783)、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、およびドセタキセル、が挙げられる。
【0123】
本発明のPACAP様化合物(例えば、式(I)の構造を有するPACAP様化合物;例えば、配列番号4〜13の配列を有するPACAP様化合物)の投与またはそれとの調合、またはそれとの共役が可能な他の抗新生物化合物は、限定はされないが、20−pI−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側化形態形成タンパク質−1(anti−dorsalizing morphogenetic protein−1);抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子調節剤;アポトーシス調節剤;アブリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ(argininedeaminase);アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;βアレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート;ブレオマイシンA2;ブレオマイシンB2;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体(例えば、10−ヒドロキシ−カンプトテシン);カナリア痘IL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼルシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペントアントラキノン;シクロプラタム;サイペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;2’デオキシコホルマイシン(DCF);デスロレリン;デクシフォスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール、9−;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ディスコデルモリド;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エポチロン(A,R=H;B,R=Me);エピチロン(epithilone);エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;エレスクロモル;エトポシド;エトポシド4’−リン酸(エトポホス(etopofos));エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride);ホルフェニメックス;ホルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ホモハリントニン(HHT);ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激剤ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イリノテカン;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソベンガゾールB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナンサルフェート;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖のポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメテレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;メイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;イフェプリストン(ifepristone);ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトラシン;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+マイコバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍抑制因子1に基づく治療;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン(nisamycin);一酸化窒素調節因子;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);06−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン(oracin);経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサン多硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);パーフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金−トリアミン複合体;ポドフィロトキシン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫調節因子;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシル・タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;エチドロン酸レニウムRe186;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;ザルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1ミメティクス;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイトナトリウム;ナトリウム酢酸フェニル;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオダイド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;サリドマイド;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチンミメティック;チマルファシン;サイモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンすず;チラパザミン;チタノセンジクロリド;トポテカン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子(urogenital sinus−derived growth inhibitory factor);ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療剤;ベラレソール;ベラミン(veramine);ベルジン(verdin);ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;バイタクシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマーの投与またはこれらとの調合、またはこれらとの共役が可能で、これらを含む。
【0124】
本発明のPACAP様化合物はまた、抗増殖剤、例えばピリトレキシムイセチオナート、抗前立腺肥大剤、例えばシトグルシドなど、良性前立腺肥大症治療剤、例えば塩酸タムスロシンなど、または前立腺成長阻害剤、例えばペントモンなどとともに投与するかまたはそれと調合するか、またはそれに共役させてもよい。
【0125】
本発明のPACAP様化合物はまた、限定はされないが、フィブリノーゲン125I;フルデオキシグルコース18F;フルオロドーパ18F;インスリン125I;インスリン131I;ヨーベングアン123I;ヨージパミドナトリウム131I;ヨードアンチピリン131I;ヨードコレステロール131I;ヨード馬尿酸ナトリウム123I;ヨード馬尿酸ナトリウム125I;ヨード馬尿酸ナトリウム131I;ヨードピラセット125I;ヨードピラセット131I;塩酸イオフェタミン123I;ヨーメチン125I;ヨーメチン131I;ヨータラム酸ナトリウム125I;ヨータラム酸ナトリウム131I;チロシン131I;リオチロニン125I;リオチロニン131I;酢酸メリソプロール197Hg;酢酸メリソプロール203Hg;メリソプロール197Hg;セレノメチオニン75Se;テクネチウム99mTc三硫化アンチモンコロイド;テクネチウム99mTcビシサート(Bicisate);テクネチウム99mTcジソフェニン;テクネチウム99mTcエチドロネート;テクネチウム99mTcエキサメタジム;テクネチウム99mTcフリホスミン(Furifosmin);テクネチウム99mTcグルセプテート;テクネチウム99mTcリドフェニン;テクネチウム99mTcメブロフェニン;テクネチウム99mTcメドロン酸;テクネチウム99mTcメドロン酸二ナトリウム;テクネチウム99mTcメルチアチド(Mertiatide);テクネチウム99mTcオキシドロネート(Oxidronate);テクネチウム99mTcペンテテート;テクネチウム99mTcペンテテート三ナトリウムカルシウム;テクネチウム99mTcセスタミビ;テクネチウム99mTcシボロキシム(Siboroxime);テクネチウム99mTc;サクシマー;テクネチウム99mTc硫黄コロイド;テクネチウム99mTcテボロキシム;テクネチウム99mTcテトロホスミン;テクネチウム99mTcチアチド(Tiatide);チロキシン125I;チロキシン131I;トルポビドン(Tolpovidone)131I;トリオレイン125I;またはトリオレイン131I、を含む、放射性物質(radioactive agent)とともに投与するかまたはそれと調合するか、またはそれに共役させてもよい。
【0126】
本発明のPACAP様化合物はまた、限定はされないが、三環系抗うつ薬(例えば、イミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン(amitryptyline)、クロミプラミン、トリミプラミン、ドキセピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、およびマプロチリン);非三環系抗うつ薬(例えば、セルトラリン、トラゾドン、およびシタロプラム);Ca++アンタゴニスト(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニトレンジピン、およびカロベリン);カルモデュリン阻害剤(例えば、プレニラミン、トリフルオペラジン、およびクロミプラミン);アンフォテリシンB;トリパラノール類似体(例えば、タモキシフェン);抗不整脈薬(例えば、キニジン);抗高血圧薬(例えば、レセルピン);チオール枯渇剤(例えば、ブチオニンおよびスルホキシミン)、ならびに、クレモホールELなどの多剤耐性還元剤を含む、抗癌補充性増強剤(antI−cancer Supplementary Potentiating Agent)とともに投与するかまたはそれと調合するか、またはそれに共役させてもよい。
【0127】
治療剤またはサイトキシック剤(cytoxic agent)に共役された本発明のPACAP様化合物はまた、抗癌カクテルとともに投与するか、またはそれと調合してもよい。抗癌カクテル中で使用される好ましい抗癌剤は、ゲムシタビン(1000mg/m);メトトレキセート(15gm/m静脈内+ロイコボリン(leuco.)<500mg/m静脈内w/oロイコボリン);5−FU(500mg/m/日×5日);FUDR(特に、マウスにおいて100mg/kg×5、ヒトにおいて0.6mg/kg/日);FdUMP;ヒドロキシウレア(ヒトにおいて35mg/kg/日);ドセタキセル(60〜100mg/m);ディスコデルモリド;エポチロン;ビンクリスチン(1.4mg/m);ビンブラスチン(増大:3.3〜11.1mg/m、またはまれに18.5mg/mまで);ビノレルビン(30mg/m/週);meta−pac;イリノテカン(患者応答に応じて50〜150mg/m、1×/週);SN−38(効力がイリノテカンより100倍強力);10−OHカンプト;トポテカン(ヒトにおいて1.5mg/m/日、1×静脈内LDlOマウス=75mg/m);エトポシド(ヒトにおいて100mg/m);アドリアマイシン;フラボピリドール;シス−Pt(ヒトにおいて100mg/m);カルボ−Pt(ヒトにおいて360mg/m);ブレオマイシン(20mg/m);マイトマイシンC(20mg/m);ミトラマイシン(30ug/kg);カペシタビン(2.5g/m経口);シタラビン(100mg/m/日);2−Cl−2’デオキシアデノシン;フルダラビン−P04(25mg/m/日、×5日);ミトキサントロン(12〜14mg/m);ミトゾロミド(>400mg/m);ペントスタチン;またはトミュデックスを含む(一部、括弧内にそれらのMTDが示される)。
【0128】
本発明のPACAP様化合物はまた、サイトカイン(例えば、顆粒球コロニー刺激因子)とともに投与するかまたはそれと調合するか、またはそれに共役してもよい。あるいは、本発明のPACAP様化合物は、1つまたは複数の免疫調節分子、例えば、分子からなる群から選択される抗体、サイトカイン(例えば、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF))、ケモカイン、補体成分、補体成分受容体、免疫系アクセサリー分子、接着分子、および接着分子受容体、とともに投与するかまたはそれと調合するか、またはそれに共役してもよい。
【0129】
本発明のPACAP様化合物はまた、代謝拮抗剤または新生物剤(neoplastic agent)のアントラサイクリンファミリーのメンバーとともに投与するかまたはそれと調合するか、またはそれに共役してもよい。代謝拮抗剤として、限定はされないが、次の化合物およびそれらの誘導体、すなわち、アザチオプリン、クラドリビン、シタラビン、ダカルバジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、ゲンシタビンクロルヒドレート(gencitabine chlorhydrate)、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトブロニトール、ミトタン、プログアニルクロロヒドレート(proguanil chlorohydrate)、ピリメタミン、ラルチトレキセド、グルクロン酸トリメトレキサート、ウレタン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチンなどが挙げられる。より好ましくは、代謝拮抗剤は、葉酸型抗代謝物質(foric aciD−type antimetabolite)、例えば、メトトレキセート、プログアニルクロルヒドレート(proguanil chlorhydrate)、ピリメタニム(pyrimethanime)、トリメトプリム(trimethoprime)、またはグルクロン酸トリメトレキサート、またはこれらの化合物の誘導体を含む作用剤のクラスである。新生物剤のアントラサイクリンファミリーの範囲内の作用剤として、限定はされないが、アクラルビシンクロルヒドレート(aclarubicine chlorhydrate)、ダウノルビシンクロルヒドレート(daunorubicine chlorhydrate)、ドキソルビシンクロルヒドレート(doxorubicinechlorhydrate)、エピルビシンクロルヒドレート(epirubicinechlorhydrate)、イダルビシンクロルヒドレート(idarubicine chlorhydrate)、ピラルビシン(pirarubicine)、またはゾルビシンクロルヒドレート(zorubicine chlorhydrate);カンプトテシン、またはその誘導体もしくは関連化合物、例えば、10,11メチレンジオキシカンプトテシン;または、種々の構造的に関連した化合物、例えば、アンサミトシンP3、メイタンシン、2’−N−デメチルメイタンブチン、およびメイタンビシクリノールを含む、化合物のメイタンシノイドファミリーのメンバー、が挙げられる。
【0130】
本発明のPACAP様化合物は、既知の化学的方法を用い、治療剤または抗癌剤に直接共役してもよい。あるいは、PACAP様化合物は、間接的結合を介して抗癌剤または治療剤に共役してもよい。例えば、PACAP様化合物は、抗癌剤または治療剤に結合されたキレート基に結合させてもよい。キレート基は、限定はされないが、イミノカルボキシルおよびポリアミノポリカルボキシル反応基、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、および1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(DOTA)を含む。一般的方法については、例えば、Liuら、Bioconjugate Chem.12(4):653頁、2001年;Chengら、国際公開第89/12631号パンフレット;Kiefferら、国際公開第93/12112号パンフレット;Albertら、米国特許第5,753,627号明細書;および国際公開第91/01144号パンフレット(これらの各々は、参照により本明細書中に援用される)を参照のこと。治療剤または抗癌剤に共役される場合、本発明のPACAP様化合物による特異的標的化は、例えば、副腎髄質および交感神経節におけるカテコールアミン含有細胞;中枢神経系におけるミクログリア、星状細胞および数種のニューロン;および、免疫系におけるTおよびBリンパ球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、ならびに癌細胞(例えば、白血病、リンパ腫、および骨髄性癌細胞;特に肉芽腫細胞)を含む、PACAP/VIP受容体を発現する細胞の選択的破壊を可能にする。本発明のPACAP様化合物は、本明細書中でより詳細に考察されるように、哺乳類対象、例えばヒトに、直接に、または当該技術分野で既知の任意の薬学的に許容できる担体、賦形剤、または塩と併せて投与してもよい。
【0131】
本発明のPACAP様化合物に共役された診断剤
本発明のPACAP様化合物は、修飾または標識し、診断的または治療的使用を促進してもよい。検出可能な標識、例えば、放射性剤、蛍光剤、重金属剤、または他の作用剤は、本発明のPACAP様化合物に(イオン的または共有的に)結合させてもよい。本発明のPACAP様化合物の一重、二重、または多重標識化は、有利でありうる。例えば、例えば90Yのアミン含有側基または反応基へのキレート基を介した追加的な共役で結合された、1つまたは複数の残基の放射性ヨウ素化(radioactive iodination)による二重標識化であれば、組み合わせ標識化(combination labeling)が可能となる。これは、専門的診断の需要、例えば広く分散した小さい腫瘍性細胞塊(neoplastic cell mass)の同定にとって有用でありうる。本発明のPACAP様化合物はまた、例えばハロゲン化により、修飾してもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、およびアスタチンを含む。かかるハロゲン化化合物は、例えば、ハロゲンが、放射性同位体、例えば、18F、75Br、77Br、122I、123I、124I、125I、129I、131I、または211Atなどである場合、検出可能に標識されうる。他の好適な検出可能な修飾は、他の化合物(例えば、蛍光色素、例えば、フルオレセイン)の本発明のPACAP様化合物への結合を含む。
【0132】
本発明のPACAP様化合物を放射性標識するための放射性同位体は、β線またはγ線のいずれかを放射する放射性同位体から選択してもよい。あるいは、本発明のPACAP様化合物は、キレート基を有するように修飾してもよい。次いで、キレート基は、種々の放射性同位体、例えば、ガリウム、インジウム、テクネチウム、イッテルビウム、レニウム、またはタリウム(例えば、125I、67Ga、111In、99mTc、169Yb、186Re)のいずれかを有するように修飾してもよい。放射性金属を含む本発明のPACAP様化合物は、放射線イメージング(radiographic imaging)または放射線療法において有用である。好ましい放射性同位体はまた、99mTc、51Cr、67Ga、68Ga、111In、168Yb、140La、90Y、88Y、153Sm、156Ho、165Dy、64Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、および214Biを含む。金属の選択は、所望される治療的または診断的用途に基づいて決定される。金属成分を含む本発明のPACAP様化合物は、診断剤および/または治療剤として有用である。検出可能な標識は、重元素または希土類元素イオン、例えば、Gd3+、Fe3+、Mn3+、またはCr2+由来の金属イオンであってもよい。常磁性または超常磁性金属を含む複合体は、MRIイメージング用途における診断剤として有用である。本発明のPACAP様化合物と併用可能な常磁性金属として、限定はされないが、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジミウム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、およびイッテルビウム(III)、が挙げられる。好ましくは、PACAP様化合物は、少なくとも10、12、15、または20mM−1sec−1−1(ここでZは、常磁性金属の濃度である)の緩和度(relaxtivity)を有する。
【0133】
本発明のPACAP様化合物は、キレート剤と共役させ、本発明の診断複合体を形成してもよい。キレート基を使用し、本発明のPACAP様化合物の検出可能な標識または他の分子に間接的に共役させてもよい。キレート基を使用し、放射性標識を本発明のPACAP様化合物に結合させてもよい。当該技術分野で既知のキレート剤の例として、例えば、イミノカルボキシルおよびポリアミノポリカルボキシル反応基、イニノカルボキシル(ininocarboxylic)およびポリアミノポリカルボキシル反応基、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、および1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(DOTA)、が挙げられる。診断複合体は、選択されるキレート剤に応じ、様々な方法により、調製してもよい。複合体のPACAP様化合物部分は、当該技術分野で既知の技術、また本明細書中に記載の技術により、調製してもよい。
【0134】
治療有用性の実証
本発明のプロトコルおよび組成物は、ヒトでの使用に先立ち、所望される治療または予防活性について、好ましくはインビトロで、次いでインビボでの前臨床モデルで試験される。例えば、特定の治療プロトコルの管理が明らかになるか否かを判定するのに使用可能なインビトロアッセイは、適切な細胞系または患者の組織試料を、培養下で成長させ、プロトコルに暴露させるかまたはそれ以外ではプロトコルを管理し、またかかるプロトコルの組織試料に対する効果が観察される、インビトロ細胞培養アッセイを含む。例えば(限定はされないが)、感覚ニューロン、腎または肺上皮細胞、肝細胞、または心筋細胞の救済;低下したNFκB活性化;BまたはTリンパ球の生存または増殖の低下;あるいはTNF−αおよびIL−6の生成の低下、が挙げられる。暴露された細胞の上記特性の1つまたは複数の実証によると、治療剤が、患者における症状を処置するのに有効であることが示される。当該技術分野で標準の多くのアッセイを使用し、ニューロン、上皮細胞、肝細胞、および/または、BまたはTリンパ球のかかる生存および/または成長を評価することが可能である。さらに、当業者に既知のアッセイのいずれかを使用し、外傷、疾患または他の予防剤もしくは治療剤によって引き起こされる、身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷の処置、管理または予防を目的とする、本明細書で開示される治療法の予防および/または治療有用性を評価してもよい。
【0135】
外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤(例えば、1つまたは複数の抗癌剤)によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷は、対象において、一般に使用されるバイオマーカーを用いてモニタリングすることが可能である。例えば(限定はされないが)、腎臓への損傷は、尿中のタンパク質の濃度、または血流中のクレアチニンまたは尿素窒素の濃度を測定することにより、モニタリングすることが可能である。肝臓への損傷は、血流中のアラニンアミノトランスフェラーゼの酵素活性または濃度、または尿中の抱合型ビリルビンの濃度を測定することにより、モニタリングすることが可能である。心臓への損傷は、血流中のトロポニンIまたはクレアチニンキナーゼのMBイソ酵素の濃度を測定することにより、モニタリングすることが可能である。膵臓のβ細胞への損傷は、血流中のグルタミン酸デカルボキシラーゼの活性または濃度を測定することにより、モニタリングすることが可能であり、また神経系への損傷は、血流中のニューロン特異的エノラーゼの活性または濃度を測定することにより、モニタリングすることが可能である。
【0136】
外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤(例えば、1つまたは複数の抗癌剤)によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷はまた、対象において、一般に使用されるイメージング技術を用いてモニタリングすることが可能である。例えば(限定はされないが)、心臓への損傷は、心電図検査法または連続心エコー図法により、モニタリングすることが可能である。
【0137】
外傷、急性または慢性疾患、または1つまたは複数の予防/治療剤(例えば、1つまたは複数の抗癌剤)によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷はまた、対象において、一般に使用される機能試験を用いてモニタリングすることが可能である。例えば(限定はされないが)、腎臓への損傷は、シスタチンCまたは125I−ヨータラム酸ナトリウムのクリアランスを用い、糸球体濾過速度を測定することにより、モニタリングすることが可能である。末梢神経への損傷は、神経伝達速度または体性感覚認知を測定することにより、モニタリングすることが可能である。心臓への損傷は、種々の運動試験を用いてモニタリングすることが可能である。
【0138】
現在利用できるデータに基づき、PACAP様化合物による一部の癌細胞の増殖の速度における低下と、PACAP様化合物による抗癌剤の治療有効性の促進との間には相関がある。癌細胞は、マルチウェルプレート内で培養された、ヒトおよび他の哺乳類に由来する生検試料から入手可能であり、また、PACAP様化合物が、癌細胞を癌化学療法薬から保護するかまたは癌化学療法薬の有効性を促進することになるかを判定するため、PACAP様ペプチドのそれらの増殖の速度に対する効果を定量してもよい。
【0139】
多発性骨髄腫の確定診断は、骨髄穿刺または骨髄生検後に、患者の約95%において行うことができる。その他の患者においては、骨髄障害は、おそらく拡散性ではなく限局性である。PACAP様ペプチドによる補助治療の有効性は、症状、例えば、骨痛、疲労、および健康全般の改善を訴える患者により、主観的に判定することが可能である。PACAP様ペプチドによる補助治療の有効性は、全体的な外観および筋力における改善を示す身体検査により、貧血の軽減(ヘモグロビンおよびヘマトクリットの上昇)、モノクローナルパラプロテイン(ベンス−ジョンズタンパク質)の血清および尿中レベル、および血清および尿中β−2ミクログロブリンを示す実験室試験により、また腎機能(血液クレアチニン、尿素窒素およびシスタチンC)の改善を示す実験室試験により、客観的に判定することが可能である。好ましい実施形態では、無モノクローナル(monoclonal free)軽鎖免疫グロブリン(ベンス−ジョンズタンパク質)の血清および尿中レベルは、PACAP様細胞保護用補助剤による処置の経過中での高感度の比濁分析アッセイにより、モニタリングされる。
【0140】
当業者は、医学文献の定期的探索を行うだけで、適切な患者集団を選択し、本発明の組成物の、加齢関連神経変性疾患;脳卒中、心臓発作および鈍器損傷によって引き起こされる中枢神経系に対する損傷;ハンチントン病および他のCAGコドンリピート伸長病;網膜疾患;自己免疫疾患;乾性角結膜炎;II型糖尿病;敗血症;急性および慢性心血管疾患;急性および慢性腎疾患;急性および慢性肺疾患;全身性高血圧;血液癌;摂食障害;急性および慢性肝疾患;骨粗鬆症;子癇前症;細胞および固形臓器移植;認知障害;AIDS認知症症候群;および中枢神経系の老化、に対する効果について試験するための、類似した標準的方法が存在することを理解するか、または確認できるであろう。
【0141】
医薬組成物
本発明の組成物は、単位剤形の調製において使用可能な、医薬組成物(例えば、純粋でない組成物または非滅菌組成物)および非経口医薬組成物(すなわち、対象または患者への投与に適した組成物)の製造において有用なバルク薬剤組成物を含む。かかる組成物は、予防的または治療的に有効量の、本明細書で開示される予防剤および/または治療剤、あるいはそれらの作用剤と薬学的に許容できる担体との組み合わせ、を含む。好ましくは、本発明の組成物は、予防的または治療的に有効量の、本発明の方法において有用な1つまたは複数のPACAP様化合物、および薬学的に許容できる担体を含む。さらなる実施形態では、本発明の組成物は、上で考察された追加的な治療剤をさらに含む。
【0142】
特定の実施形態では、用語「薬学的に許容できる」は、連邦政府の規制機関によって承認されるかまたは動物での使用、特にヒトでの使用について、米国薬局方または他の一般に認められた薬局方において列挙されることを意味する。用語「担体」は、治療剤とともに投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロインドアジュバント、またはより好ましくは、MF59C.Iアジュバント)、賦形剤、または媒体を示す。医薬担体は、滅菌液、例えば、水およびオイルであってもよく、それは、石油、動物、植物または合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油を含む。水は、医薬組成物が静脈内に投与される場合、好ましい担体である。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、液体担体として、特に注射可能溶液において使用してもよい。好適な医薬賦形剤として、(限定はされないが)デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、およびエタノール、が挙げられる。組成物は、望ましい場合、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤も含有しうる。これらの組成物は、(限定はされないが)懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、および持続放出製剤を含む多くの形態を取りうる。
【0143】
一般に、本発明の組成物の成分は、別々に供給されるか、あるいは、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封容器内で、単位剤形で、例えば、凍結乾燥粉末または水を含有しない濃縮物として、一緒に混合される。組成物が注入によって投与されるべきである場合、それは、滅菌製薬等級純水または生理食塩水を有する注入ボトルを省いてもよい。組成物が注入によって投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを、成分が投与前に混合されるように提供してもよい。
【0144】
本発明の組成物は、中性または塩形態として調合してもよい。薬学的に許容できる塩として、(限定はされないが)アニオン、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、および酒石酸に由来するもので形成されたものや、カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、およびプロカインに由来するもので形成されたものが挙げられる。
【0145】
必要に応じて、溶解助剤(dissolution aid)(例えば、サリチル酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム)、緩衝液(例えば、クエン酸ナトリウムまたはグリセリン)、等張化剤(例えば、グルコースまたは転化糖)、安定化剤(例えば、ヒト血清アルブミンまたはポリエチレングリコール)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコールまたはフェノール)、または鎮痛剤(例えば、塩化ベンザルコニウムまたは塩酸プロカイン)などの添加剤を添加してもよい。
【0146】
1つまたは複数の抗癌剤によって引き起こされる、ヒトまたは他の哺乳類の1つまたは複数の身体の主要臓器に対する損傷を処置、管理または予防するため、PACAP様化合物、または他の細胞保護剤と組み合わせたPACAP様化合物を投与するのに使用可能な、当業者に既知の多くの送達方法が認められる。例えば(限定はされないが)、リポソーム内カプセル化、微粒子またはマイクロカプセル、1つまたは複数のPACAP様ペプチドを合成するように遺伝子操作された哺乳類細胞からの分泌、あるいは様々な組換えウイルスベクターによる合成、が挙げられる。本発明のPACAP様化合物の投与の経路として、(限定はされないが)非経口(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、および皮下)、膣、直腸、硬膜外、および粘膜(例えば、鼻腔内、吸入、および経口経路)、が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の予防剤または治療剤は、筋肉内、静脈内、骨内、または皮下に投与される。予防剤または治療剤は、任意の便利な経路またはレジメンにより、例えば注入またはボーラス注射により、上皮または皮膚粘膜内壁(linings)(例えば、口腔粘膜、直腸、局所(口腔および舌下を含む)、および腸粘膜など)を通じた吸収により、投与してもよく、また他の生理活性物質と併せて投与してもよい。投与は、全身的であっても、局所的であってもよい。
【0147】
特定の実施形態では、本発明の予防剤または治療剤を、治療を必要とする領域に局所的に投与することが望ましい場合があり、これは、例えば、限定はされないが、局所注入により、注射により、またはインプラントを用い、行ってもよく、前記インプラントは、膜、例えば、シラスティック(Silastic)膜、または繊維を含む、多孔質、無孔質、またはゼラチン様物質からなる。
【0148】
別の実施形態では、本発明の組成物は、制御放出または持続放出の様式で送達してもよい。一実施形態では、ポンプを使用し、制御放出または持続放出を行ってもよい。別の実施形態では、ポリマー材料を使用し、制御放出または持続放出を行ってもよい。制御放出製剤または持続放出製剤に適したポリマーとして、(限定はされないが)ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ酸無水物、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、およびポリオルトエステル、が挙げられる。好ましい実施形態では、制御放出製剤または持続放出製剤中で使用されるポリマーは、不活性であり、溶出不純物を含まず、貯蔵に対して安定であり、無菌であり、かつ生分解性を示す。特定の実施形態では、制御放出または持続放出デバイスまたは製剤は、予防または治療標的の近傍に置くことにより、必要量のPACAP様化合物を全身用量のごく一部まで低減することが可能である。当業者に既知の多くの他の技術を用い、本発明の1つまたは複数の治療剤を含む、制御放出製剤または持続放出製剤を製造することが可能である。
【0149】
PACAP様化合物を投与するための組成物として、(限定はされないが)経口、直腸、鼻、局所(口腔および舌下を含む)、膣、または非経口(皮下、経皮、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)投与に適したものが挙げられる。製剤は、便宜上、単位剤形で提供されてもよく、薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製してもよい。したがって、本発明のPACAP様化合物およびその生理学的に許容できる塩および溶媒和物は、吸入または通気(insufflation)(口または鼻のいずれかを通じて)による、あるいは経口、非経口または粘膜(口腔、膣、直腸、および舌下など)経路による投与のために調合してもよい。好ましい実施形態では、非経口投与が用いられる。
【0150】
経口投与においては、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、予備糊化したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または浸潤剤(例えば、硫酸ドデシルナトリウム)などの薬学的に許容できる賦形剤を有する、従来の手段によって調製された錠剤またはカプセルの形態をとってもよい。錠剤は、当該技術分野で周知の方法により、コーティングしてもよい。経口投与における液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとってもよく、またはそれらは、使用に先立ち、水または他の好適な媒体で再構成するための乾燥製品として提供されてもよい。かかる液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性媒体(例えば、扁桃油、油性エステル(oily ester)、エチルアルコール、または分画された植物油);および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)などの薬学的に許容できる添加剤を用い、従来の手段により、調製してもよい。製剤はまた、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤を含有してもよい。経口投与における製剤は、活性化合物の制御放出または持続放出をもたらすように、好適に調合してもよい。
【0151】
口腔内投与においては、本発明の組成物は、従来のように、錠剤またはロゼンジとして、調合してもよい。
【0152】
吸入による投与においては、本発明に従って使用される予防剤または治療剤は、好適なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体の使用を伴う、加圧パック(pressurized pack)またはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で簡便に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、計られた量を送達するためのバルブを提供することにより、測定してもよい。吸入器(inhaler)または注入器(insufflator)に使用するための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物およびラクトースまたはデンプンなどの好適な原料粉末(powder base)の粉末混合物を含有するように調合してもよい。
【0153】
予防剤または治療剤は、注射による、例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与のために調合してもよい。注射用製剤は、防腐剤が添加された、単位剤形で、例えばアンプルまたは複数回投与容器内で提供してもよい。本組成物は、油性または水性媒体中の、懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤(formulatory agent)を含有してもよい。あるいは、活性成分は、使用に先立ち、好適な媒体、例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水で再構成するための粉末形態であってもよい。
【0154】
前述の製剤に加え、予防剤または治療剤はまた、デボー製剤として調合してもよい。かかる長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)により、または筋肉内注射により、投与してもよい。したがって、例えば、予防剤または治療剤は、好適な高分子または疎水性材料(例えば好ましい油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と、あるいは難溶性の誘導体として、例えば難溶性の塩として調合してもよい。
【0155】
皮膚への局所投与に適した組成物は、化合物および薬学的に許容できる担体を含む、軟膏、クリーム、ゲル、およびペーストとして提供してもよい。例えば(限定はされないが)、好適な局所送達システムは、投与されるべきPACAP様化合物を含有する経皮パッチである。
【0156】
舌下錠は、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはポリエチレングリコール)、崩壊剤(例えば、デンプンまたはカルボキシメチルセルロースカルシウム)、および/または潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはタルク)を使用することにより、調製してもよい。
【0157】
担体が固体である、経鼻投与に適した製剤は、例えば、20〜500ミクロン(μm)の範囲内の粒子サイズを有する粗粉末を含む。担体が液体(例えば、鼻腔用スプレーまたは点鼻剤)である、経鼻投与に適した製剤は、活性成分の水性または油性溶液を含む。
【0158】
非経口投与に適した組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図する対象となるレシピエントの血液で等張にする溶質を含んでもよい水性および非水性滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤および濃化剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液を含む。製剤は、単回用量または複数回用量容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで提供してもよく、滅菌液体担体、例えば注射用水を使用直前に添加するだけでよい凍結乾燥状態で保存してもよい。即時調合注射溶液および懸濁液は、既に記述した種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製してもよい。本発明の製剤が、上に詳述された成分に加え、問題となる製剤のタイプに応じて当該技術分野で一般に使用される他の作用剤を含んでもよいことは、理解されるべきである。例えば(限定はされないが)、経口投与に適した組成物は、香味剤を含んでもよい。
【実施例】
【0159】
本発明の使用をより明確にするため、以下の実施例が示される。これらの実施例は、あくまで例示目的であり、決して本発明の使用において限定するものとして解釈されるべきではない。
【0160】
実施例1 新規PACAP類似体
ペプチドは、その同種受容体に対して極めて高い親和性を有しうる。治療剤として天然ペプチドを使用する場合の主な欠点は、主に腎臓による迅速なタンパク質加水分解および迅速な濾過に起因する、非経口投与後の循環におけるその短い半減期である。したがって、PACAPの類似体は、タンパク質加水分解および/または腎クリアランスの速度を低減するように作製した。さらに、PACAP27およびPACAP38の天然アミノ酸配列においては、合成のコストを削減し、かつ組織分布および/または受容体特異性を改変するため、他の変更を行った。
【0161】
PACAP27またはPACAP38の10の新規ペプチド類似体を、上に概説した手順を用いた固相合成により、作製した(配列番号4〜13;図1および図2)。
【0162】
これら10のうちの9つのPACAP類似体の生物学的特性の一部を以下に例示し(図3〜10)、かつ、これらの例示によって示唆されるこれらの新規PACAP類似体の潜在的な医学的応用について簡潔に概説する。
【0163】
実施例2 PACAP38、PACAP27、VIP、および新規PACAP類似体による多発性骨髄腫細胞の増殖の阻害
形質細胞の悪性癌である多発性骨髄腫は、米国において6番目に有名な癌である。それは、米国において診断された血液悪性腫瘍の約10%を占める。多発性骨髄腫は、女性よりもやや男性に好発する。同疾患は、骨吸収(骨溶解)、過カルシウム血症、貧血、血小板減少症、および腎不全を含む、重篤な内科的合併症を引き起こしうる。腎臓の炎症は、2番目に好発する合併症であり、多発性骨髄腫を有する患者の約半分に発症する。この炎症の原因は、軽鎖免疫グロブリン(ベンス−ジョンズタンパク質)の形質細胞による過剰生成であり、それは凝集し、腎臓の遠位尿細管および集合管において円柱を形成する。形質細胞は、クローン性増殖により、活性化Bリンパ球から誘導される。単一の形質細胞クローンの増殖に対する通常の制限は、多発性骨髄腫を有する患者において失われ、その結果、単一タイプの軽鎖免疫グロブリンの過剰な生成をもたらす。
【0164】
骨髄腫細胞増殖に対するPACAP38、PACAP27、VIP、およびPACAP類似体の効果を、細胞分裂の間でのブロモデオキシウリジンのDNAへの取り込みを測定することによって評価した。骨髄腫細胞の数は、PACAP様ペプチドによる処置の不在下での24時間のインキュベーション期間中に約2倍になった。PACAP38を培地に添加した結果、約250ピコモルの濃度で、軽鎖免疫グロブリンを分泌するヒト骨髄腫細胞の増殖の速度が50%阻害された(図3)。5つのうち4つの新規PACAP38類似体は、実質的に1ナノモル未満の濃度で、軽鎖免疫グロブリンを分泌するヒト骨髄腫細胞の増殖の速度の50%阻害を引き起こした(図3)。PACAP27、VIPおよび新規PACAP27類似体は、造血器癌細胞増殖のこのインビトロモデルにおいて、PACAP38または新規PACAP38類似体のいずれかよりも効力が有意に低下した。これらの結果は、このヒト多発性骨髄腫細胞系の増殖の阻害が、主にPAC受容体およびホスホリパーゼC媒介性のシグナル伝達経路の刺激によって介在されることを示唆している(Spenglerら、Nature 365:170−175頁、1993年)。位置3にニペコチン酸またはイソニペコチン酸のいずれかを有するPACAP38類似体は、多発性骨髄腫細胞増殖の阻害剤として、位置3にピペコリン酸を有する対応する類似体より効力が10,000倍超弱かった(図4)。
【0165】
PACAPおよびPACAP類似体はまた、骨髄性の造血器癌細胞の増殖を阻害し(Hayezら、J Neuroimmunol 149:167−181頁、2004年)、かつ、カルムスチン、ビンクリスチンおよびサリドマイドなどの一般に使用される抗癌剤により、リンパ性および骨髄性双方の造血器癌細胞の死滅を促進することが示されている(PCT/US2009/058445)。PACAP38はまた、軽鎖免疫グロブリンの過負荷に対して腎臓を直接的に保護することができ、そうであれば、多発性骨髄腫を有する患者における骨吸収を阻害することが予想されることになる(Liら、Regul Pept 145:24−32頁、2008年)。PACAPは、腎臓、肺、膵臓および神経上皮細胞を、シスプラチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、およびストレプトゾトシンなどの一般に使用される抗癌剤に対して保護する(Aubertら、Neurobiol Dis 32:66−80頁、2008年;Onoueら、FEBS J 275:5542−5551頁、2008年;PCT/US2009/058445;図5)。これらの結果は、これらの新規PACAP38類似体であれば、リンパ性および骨髄性双方の造血器癌、特に多発性骨髄腫における単独療法薬または補助療法薬として使用可能であることを示す。
【0166】
実施例3 PACAP38、PACAP27および新規PACAP類似体によるシスプラチン誘発性の細胞毒性の低下
シスプラチン(シス−ジアンミンジクロル白金(cis−diamminedichloridoplatinum)(II)、プラチノール)は、ファーストインクラス(first−in−class)の白金を基材とするDNA架橋性の抗癌治療薬である。それは、米国FDAにより1978年、臨床使用として承認された。ここで、「アルキル化様」の白金を基材とする抗癌剤のこのクラスの他のメンバーとして、(限定はされないが)カルボプラチン、オキサリプラチンおよびサトラプラチンが挙げられる。シスプラチンは、最も広く使用される癌化学療法薬の1つであり、多数の多剤抗癌レジメンの基盤である。腎毒性は通常、癌化学療法におけるシスプラチンの使用における「用量制限」毒性であるが、感覚性ニューロパチーは、場合により、一部の患者を処置するのに使用可能な用量を制限しうる。
【0167】
ラット腎近位尿細管上皮細胞のシスプラチンによる処置により、アポトーシス細胞死の極めて有意な増大がもたらされた(図5)。PACAP38の10−6Mの濃度での培地への添加により、これらの近位尿細管上皮細胞のシスプラチン誘発性アポトーシス細胞死の有意な低下がもたらされた。VIPもまた、ヒト腎近位尿細管上皮細胞のシスプラチン誘発性アポトーシス細胞死を低下させたが、VIPは、PACAP38より効力が有意に低かった。3つの新規PACAP38類似体(配列番号4、5および6)は、急性腎近位尿細管細胞損傷のこのインビトロモデルにおける細胞保護剤として、有効なものか、またはPACAP38より有効なものであった(図5)。
【0168】
これらの実験によると、PACAP38および3つの新規PACAP38類似体が、シスプラチンによる癌化学療法における「用量制限」毒性である、シスプラチン誘発性の腎臓への損傷に対する強力な細胞保護剤であることが示される。したがって、薬用量のこれらの新規PACAP38類似体によるシスプラチンに基づく癌化学療法を受けている対象の処置前および/または処置後では、結果的に、シスプラチンの最大耐用量が高まり、部分的な臨床応答の頻度が増加し、および/または、完全寛解数が増加するはずである。発明者らは、PACAP38が、腎臓を、軽鎖免疫グロブリンの過負荷、ゲンタマイシン、ストレプトゾトシン、およびドキソルビシンに起因する急性損傷に対して保護することを以前に示した(Liら、Regul Pept145:24−32頁、2008年;Maderdrutら、「VIP,PACAP and Related Peptides」[Ninth International Symposium]、Kagoshima、2009年)。したがって、これらの新規PACAP38類似体はまた、同様に広範囲の潜在的な腎毒素に対して腎臓を保護するはずである。
【0169】
実施例4 PACAP38および新規PACAP類似体による虚血/再灌流傷害の低下
身体の1つまたは複数の主要臓器に対する虚血/再灌流傷害は、鈍器損傷、一過性の動脈狭窄、出血性ショック、重症敗血症、固形臓器移植により、また一部の一般的な外科手術の間に意図的に引き起こされうる。
【0170】
45分間にわたる腎動脈の一時的クランピング(clamping)により、72時間後、血清クレアチニンの極めて有意な上昇が得られた。PACAP38、[Pip,Ala15,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号5)または[Pip,Ala14,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号6)の投与により、虚血/再灌流によって引き起こされた血清クレアチニンの上昇がほぼ完全に食い止められた(図6)。両方の新規PACAP38類似体は、このインビボモデルにおいて、天然PACAP38よりやや強力であるように見られる。
【0171】
これらの実験によると、PACAP38および2つの新規PACAP38類似体が、虚血/再灌流によって引き起こされる腎臓への損傷に対する強力な細胞保護剤であることが示される。PACAP様ペプチドは、既に、脳、心臓、肺、膵臓、および腸を、虚血/再灌流によって引き起こされる損傷に対して保護することが示されている。したがって、これらの新規PACAP38類似体はまた、ヒトおよび他の哺乳類の同様に広範囲の身体の主要臓器を、虚血/再灌流によって引き起こされる損傷に対して保護するはずである。これらの新規PACAP類似体は、鈍器損傷、一過性の動脈狭窄、出血性ショック、重症敗血症、固形臓器移植、および一部の一般的な外科手術の副作用によって引き起こされる損傷に対する有用な治療薬でなければならない。これらの新規PACAP類似体であれば、臓器移植プロセスの1つまたは複数の段階で、すなわち、脳死臓器ドナーの灌流において、臓器保存溶液中の添加剤として、または移植後の臓器レシピエントの処置において、使用してもよい。
【0172】
実施例5 PACAP38および新規PACAP類似体による、デキサメタゾン感受性およびデキサメタゾン耐性Bリンパ球の阻害
グルココルチコイドは、BおよびTリンパ球の活性を阻害するため、血液癌および自己免疫疾患を有する患者の処置において使用されることが多い。しかし、グルココルチコイドで処置された有意な患者の一部は、最終的にステロイド耐性を示すようになる(BarnesおよびAdcock、Lancet 373:1905−1917頁、2009年)。
【0173】
図8および9は、多発性骨髄腫に対してデキサメタゾム(dexamethasome)を含むレジメンで処置されていた同じ患者から得られた、2つの異なる軽鎖免疫グロブリンを分泌するヒト骨髄腫細胞系の増殖に対する、PACAP38、[Pip,Ala14,17,Aib16,28,Lys34,D−Lys38]PACAP38(配列番号6)およびデキサメタゾンの効果を示す(Greensteinら、Exp Hematol 31:271−282頁、2003年)。図8中の細胞系(MM.1S)が、PACAP38に対するように、デキサメタゾンに対して感受性を示すように見られる一方、図9中の細胞系(MM.1R)は、デキサメタゾンに対してほぼ完全に感受性を示さないが、PACAP38および新規PACAP38類似体の双方に対し、依然として感受性を示す。
【0174】
これらの観察によると、PACAP様ペプチドが、血液癌および自己免疫疾患を有する患者において、たとえ患者がグルココルチコイドに対して耐性を示すようになってからであっても、有効でなければならないことが示される。したがって、これらの新規PACAP類似体であれば、患者がステロイドに対して感受性を示さなくなるとすぐに、グルココルチコイドを、一般の多剤レジメン、例えば、COP(シクロホスファミド、ONCOVIN(商標)(ビンクリスチン)およびプレドニゾン)およびVAD(ビンクリスチン、ADRIAMYCIN(商標)(ドキソルビシン)およびデキサメタゾン)で置き換えるように使用してもよい。また、これらの観察によると、これらの新規PACAP類似体であれば、全身性ループスエリテマトーデスおよび関節リウマチなどの疾患に対して一般に使用されるグルココルチコイドを置き換えるような単剤療法として使用できることが示される。さらに、これらの観察によると、PACAP様ペプチドであれば、嚢胞性線維症および間質性肺線維症など、通常はグルココルチコイドによる処置に対して感受性を示さない、炎症性疾患を有する患者において有効でありうることが示される。
【0175】
上記実施例は、これらの新規PACAP類似体(配列番号4〜13)が、極めて広範囲の主要な内科的障害に対して有効な、単独療法薬および/または補助療法薬でなければならないことを示す。上記実施例によると、これらの新規PACAP38類似体が、リンパ性および骨髄性双方の造血器癌、急性および慢性薬剤誘発性腎症、および鈍器損傷、一過性の動脈狭窄、出血性ショック、重症敗血症、固形臓器移植、および一部の一般的な外科手術の副作用によって引き起こされる損傷に対する単独療法薬および/または補助療法薬のいずれかとして使用できることが示される。さらに、これらの新規PACAP類似体は、天然PACAP27、天然PACAP38および天然VIPについて既に示されている(発明の概要を参照)、極めて広範囲の他の主要な内科的障害に対して有効な単独療法薬および/または補助療法薬でなければならない。
【0176】
実施例6 PACAP38および新規PACAP類似体によるゲンタマイシン誘発性の細胞毒性の低下
アミノグリコシドは、グラム陰性細菌感染の処置のための抗生物質として一般に使用される。アミノグリコシドの使用は、その腎毒性(Mingeot−LeclercqおよびTulkens、Antimicrob Agents Chemother 43:1003−1012頁、1999年)および耳毒性(SelimoGlu、Curr Pharm Des 13:119−126頁)の副作用によって制限を受ける。腎臓の近位尿細管上皮細胞は、ゲンタマイシンで処置された動物およびヒトにおいて、アポトーシスを受ける。
【0177】
ゲンタマイシンによるヒト腎近位尿細管上皮細胞の処置(図10)により、アポトーシス細胞死の極めて有意な増大がもたらされた。PACAP38または[Pip]PACAP38(配列番号12)の培地への添加により、これらの近位尿細管上皮細胞のゲンタマイシン誘発性のアポトーシス細胞死における有意な用量依存性の低下がもたらされた。PACAP38は、アミノグリコシド誘発性の腎近位尿細管上皮細胞損傷のこのインビトロモデルにおける細胞保護剤として、新規PACAP38類似体よりも有効であった(図10)。
【0178】
これらの観察によると、PACAP様ペプチドが、細菌感染、特にグラム陰性細菌感染の処置において、アミノグリコシドと組み合わされた補助剤として有用でなければならないことが示される。
【0179】
切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドンを原因の一部とするヒト遺伝性疾患は1,000を超える。BurkeおよびMogg(Nucleic Acids Res 13:6265−6272頁、1985年)は、アミノグリコシドが、哺乳類細胞内の未成熟終止コドンの認識を害する可能性があることを発見した。アミノグリコシドは、いまでは、嚢胞性線維症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、フルレル症候群、腎障害シスチン症、多発性嚢胞腎疾患、網膜色素変性症、および毛細血管拡張性運動失調症を含む極めて多くの遺伝性疾患において、インビトロでおよび/または動物モデルにおけるインビボで、未成熟終止コドンの認識を害することが示されている。ゲンタマイシンは、嚢胞性線維症(Wilschanskiら、N Engl J Med 349:1433−1441頁、2003年)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(Politanoら、Acta Myol 22:15−21頁、2003年)に対するヒト臨床試験において、少量の完全長の機能性タンパク質の合成を促進することが示されている。しかし、未成熟終止コドンの認識を害し、完全長の機能性タンパク質の合成を促進するためのアミノグリコシドの使用は、その腎毒性(Mingeot−LeclercqおよびTulkens、Antimicrob Agents Chemother 43:1003−1012頁、1999年)および耳毒性(SelimoGlu、Curr Pharm Des 13:119−126頁)の副作用による制限を受ける。これらの副作用は、生涯にわたる疾患の処置にとっては極めて重大な制限でなければならない。PACAP様ペプチドは、インフレーム未成熟終止コドンによって引き起こされる遺伝性疾患の処置において、アミノグリコシド誘発性の腎近位尿細管上皮細胞損傷に対するその細胞保護効果故に、アミノグリコシドと組み合わせた補助剤として有用でなければならない。嚢胞性線維症は、白色人種の中で最も一般的な遺伝性疾患の一つである。それは、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子における遺伝子の両対立遺伝子における突然変異によって引き起こされる常染色体劣性疾患である。1,000を超える異なる突然変異では、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子遺伝子についての記載がなされている。これらの突然変異の約10%が、インフレーム未成熟終止コドンである。公表された記事が、PACAPが、嚢胞性線維症を有する一部の患者において、単独療法薬としてであっても適度に有効でなければならないことを示すことから、アミノグリコシドおよびPACAP様ペプチドの組み合わせは、嚢胞性線維症を有する有意な患者の一部において特に有効でなければならない。PACAPは、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子の活性を刺激し(Derandら、Br J Pharmacol 141:698−708頁、2004年)、その場合、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子の膜への挿入を促進することになる(Ameenら、J Cell Sci 112:887−894頁、1999年;Chappeら、J Pharmacol Exp Ther 327:226−238頁、2008年)。さらに、PACAPは、肺への好中球浸潤を刺激する(Kinhultら、Peptides 22:2151−2154頁、2001年;Sergejevaら、Regul Pept 117:149−154頁、2004年)。さらに、嚢胞性線維症を有する人々における肺炎症は通常、コルチコステロイドに感受性を示さない(上記参照)。アミノグリコシドおよびPACAP様ペプチドの組み合わせはまた、(限定はされないが)デュシェンヌ筋ジストロフィー、ネフトパシック(nephtopathic)シスチン蓄積症(nephropathic cystinosis)および多発性嚢胞腎疾患を含む、有意な他の劣性疾患の一部において、特に有効であるはずであり、この場合、PACAP様ペプチドは、単独療法薬として適度の有効性を有することが想定されることになる。
【0180】
均等物
当業者は、本明細書中に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、理解するか、または通常の実験以上のものを用いることなく確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。
【0181】
本明細書中に記載されるすべての出版物、特許および特許出願は、各個別の出版物、特許および特許出願が、参照により本明細書中に援用されることが明記された場合と同程度までに、参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
−A−A−A−A−A−A−A−A−A−A10−A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−A18−A19−A20−A21−A22−A23−A24−A25−A26−A27−A28−A30−A31−A32−A33−A34−A35−A36−A37−A38−R
を有する単離化合物であって、ここで、
は、His、D−His、Tyr、D−Tyr、Trp、D−Trp、Pal、またはD−Palであり;
は、Ser、D−Ser、hSer、N−Me−Ser、Thr、D−Thr、Ala、D−Ala、Ile、D−Ile、Pro、D−Pro、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
は、Pipであり;
は、Gly、Ala、D−Ala、β−Ala、Gaba、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
は、Ile、Leu、Nle、Val、Nva、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
は、Phe、Tyr、Trp、Cha、Bip、またはNalであり;
は、Thr、Ser、hSer、またはValであり;
は、Asp、Asn、またはGluであり;
は、Ser、hSer、Thr、Asn、Asp、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
10は、Tyr、Phe、Cha、Nal、またはTrpであり;
11は、Ser、hSer、Thr、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
12は、Arg、Lys、Dab、Dap、またはOrnであり;
13は、Tyr、Phe、Cha、Nal、またはTrpであり;
14は、Arg、Lys、Dab、Dap、またはOrnであり;
15は、Lys、Ala、Dab、Dap、Orn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
16は、Gln、Glu、Asn、Asp;Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
17は、Met、Nle、Leu、Ile、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
18は、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
19は、Val、Nva、Ser、Leu、Thr、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
20は、Lys、Ala、Dab、Dap、Orn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
21は、Lys、Ala、Dab、Dap、Orn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
22は、Tyr、Phe、Cha、Nal、Trp、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
23は、Leu、Nle、Ile、Val、Nva、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
24は、Ala、Asn、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、またはAcprであり;
25は、Ala、Val、Leu、Met、Nle、Ile、Ser、hSer、Thr、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
26は、Val、Nva、Leu、Met、Nle、Ile、Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
27は、Leu、D−Leu、Met、D−Met、Nle、Ile、D−Ile、Val、D−Val、Gaba、Ala、D−Ala、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
28は、Gly、Ala、D−Ala、β−Ala、Gaba、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Asp、D−Asp、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
29は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
30は、Arg、D−Arg、Lys、D−Lys、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
31は、Tyr、D−Tyr、Phe、D−Phe、Trp、D−Trp、Cha、Nalであるか、または除かれ;
32は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
33は、Gln、D−Gln、Glu、D−Glu、Asn、D−Asn、Asp;D−Asp、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
34は、Arg、D−Arg、Lys、D−Lys、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
35は、Val、D−Val、Nva、Ser、D−Ser、Thr;D−Thr、Abu、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
36は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
37は、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Asp、D−Asp、Ala、D−Ala、Aib、Acb、Ach、Acpe、Acprであるか、または除かれ;
38は、Lys、D−Lys、Arg、D−Arg、Dab、D−Dab、Dap、D−Dap、Orn、D−Ornであるか、または除かれ;
は、H、(C〜C18)アルキル、およびCO(C〜C18)アルキルから独立に選択されるか、または除かれ;および
は、OH、NH、(C〜C18)アルコキシル、およびNH(C〜C18)アルキルから独立に選択されるか、または除かれる、
単離化合物、またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
His−Ser−Pip−Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号4)、

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Ala Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号5)、

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Ala Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号6)、

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Ala Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH2(配列番号7)、

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Ala Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号8)、

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号9)、

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号10)、

His Ala Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号11)、

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号12)、および

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号13)

またはその薬学的に許容できる塩、から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
配列番号4〜13から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド。
【請求項4】
配列番号4〜13から選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号4〜13から選択される配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有する、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項6】
薬学的に許容できる担体をさらに含む、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項7】
1つまたは複数の放射性核種または小分子に複合される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記放射性核種は、11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、または99mTcである、請求項7に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記小分子は、治療剤または抗癌剤である、請求項7に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記治療剤または抗癌剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムスである、請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項11】
加齢関連神経変性疾患、中枢神経系障害、ハンチントン病または他のCAGコドンリピート伸長病、網膜疾患、自己免疫疾患、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引き起こされる乾性角結膜炎、II型糖尿病、細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症、急性または慢性心血管疾患、急性または慢性腎疾患、急性または慢性肺疾患、全身性高血圧、血液癌、摂食障害、急性または慢性肝疾患、骨粗鬆症、子癇前症、細胞および固形臓器移植、認知障害、後天性免疫不全症候群(AIDS)認知症症候群、中枢神経系の老化、および、切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドン(premature in−frame stop codon)を原因の一部とする疾患、から選択される疾患を、処置、管理、または予防するための方法であって、必要とする対象に、有効量の1つまたは複数のPACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与するステップを含む、方法。
【請求項12】
i)前記加齢関連神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症から選択されるか、
ii)前記中枢神経系障害は、脳卒中、心臓発作または鈍器損傷によって引き起こされ、ここで好ましくは、前記鈍器損傷は、脳震とうまたは脊髄損傷であるか、
iii)前記網膜疾患は、糖尿病性網膜症、黄斑変性または緑内障であるか、
iv)前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症、シェーグレン病、特発性膜性腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、またはループスエリテマトーデスであるか、
v)前記セプトシス(septsis)は、細菌またはウイルス毒素によって引き起こされるか、
vi)前記急性または慢性心血管疾患は、心筋梗塞、アテローム硬化症、または再狭窄であるか、
vii)前記急性または慢性腎疾患は、虚血/再灌流傷害、腎炎、または薬剤誘発性腎毒性であるか、
viii)前記急性または慢性肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、または肺動脈高血圧症であるか、
ix)前記血液癌は、リンパ性または骨髄性の造血器癌であり、好ましくは前記リンパ性または骨髄性の造血器癌は、白血病、リンパ腫、プラズマ細胞増殖症、または腺癌であるか、
x)前記急性または慢性肝疾患は、虚血/再灌流傷害、肝炎、および脂肪肝であるか、または
xi)切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドンを原因の一部とする前記疾患は、嚢胞性線維症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、フルレル症候群、腎障害シスチン症、多発性嚢胞腎疾患、網膜色素変性症、および毛細血管拡張性運動失調症から選択される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象は、前記PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤による処置に起因する身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷、外傷、または急性または慢性疾患を有する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記PACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩は、前記PACAP/VIP受容体の1つまたは複数に結合し、および/または、前記PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤による処置に起因する前記対象の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する1つまたは複数の損傷、外傷、または急性または慢性疾患を低下させる、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記PACAP様化合物は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記PACAP様化合物は、

His−Ser−Pip−Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号4);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Ala Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号5);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Ala Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号6);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Ala Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号7);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Ala Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号8);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号9);

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号10);

His Ala Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号11);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号12);および

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号13)

の1つまたは複数から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記PACAP様化合物は、請求項1に記載の化合物の1つまたは複数、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患は、血液癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患は、自己免疫疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記対象は、グルココルチコイドによる処置に対して耐性がある、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記グルココルチコイドは、デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、またはプレドニゾンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記血液癌は、多発性骨髄腫である、請求項18、20、または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記PACAP様化合物は、配列番号4〜13の配列を有する、請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記PACAP様化合物は、配列番号12の配列を有する、請求項18または20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象における前記PACAP様化合物の前記投与は、COP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)またはVAD(ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾン)レジメンを使用して、プレドニゾンまたはデキサメタゾンから選択される前記コルチコステロイドを置き換える、請求項18または19に記載の方法。
【請求項26】
前記PACAP様化合物は、約4キロダルトン〜約40キロダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールポリマーに結合された、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物の1つまたは複数、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項27】
前記PACAP様化合物は、1つまたは複数のタンパク質分解酵素におけるアミノ酸共通配列によって隣接された、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物の1つまたは複数の非アミド化(unamidated)(遊離酸)形態である、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
前記PACAP様化合物は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物の1つまたは複数の1つまたは複数のペプチド模倣体、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項29】
前記PACAP様化合物は、前記対象の血液中で10−14M〜10−6Mの濃度をもたらす用量で投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項30】
前記PACAP様化合物は、約1pmol/kg体重/時間〜約20pmol/kg体重/時間の速度での静脈内注入によって投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項31】
前記静脈内注入による投与は、約1〜12時間かかる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムスのうちの1つまたは複数による処置に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項33】
前記損傷は、神経系、心臓、肺、腎臓、肝臓、耳、または胃腸管に対するものである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記PACAP様化合物は、1日に1回または複数回、腹腔内に注射される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記PACAP様化合物は、1週間に1回または複数回、皮下に注射される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記PACAP様化合物は、1週間に1回または複数回、筋肉内に注射される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記PACAP様化合物は、1週間に1回または複数回、鼻腔内に投与される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記PACAP様化合物は、1日に1回または複数回、エアロゾルとして投与される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記PACAP様化合物は、時間依存性製剤またはpH依存性製剤で、1日に1回または複数回、経口投与される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記PACAP様化合物は、制御放出製剤または持続放出製剤として投与される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記PACAP様化合物は、リポソームまたは微粒子へのカプセル化後に投与される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記PACAP様化合物は、デンドリマーへのカプセル化後に経皮的に投与される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記PACAP様化合物は、金属ステントまたは生分解性ステントをコーティングするために使用される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記PACAP様化合物は、1つまたは複数の他の細胞保護アジュバント(cytoprotective adjuvant)と併せて投与される、請求項11〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞保護アジュバントは、アミホスチン、デクスラゾキサン、メスナ、パリフェルミン、またはN−アセチルシステインである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷は、非複合の治療剤または抗癌剤、モノクローナル抗体または生理活性ペプチドに複合された治療剤または抗癌剤、または非複合の生理活性ペプチドでの処置に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項47】
前記PACAP様化合物は、治療剤または抗癌剤に複合された、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物の1つまたは複数またはその薬学的に許容できる塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項48】
前記PACAP様化合物は、1つまたは複数の他の抗癌剤との相加的な抗癌効果を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項49】
前記対象は、造血器癌に対して1つまたは複数の抗癌剤で処置されている、請求項11に記載の方法。
【請求項50】
前記対象は、骨髄増殖性疾患に対して1つまたは複数の治療剤または抗癌剤で処置されている、請求項11に記載の方法。
【請求項51】
前記対象は、多発性骨髄腫に対して1つまたは複数の治療剤または抗癌剤で処置されている、請求項11に記載の方法。
【請求項52】
前記対象は、アミノグリコシドで処置されており、ここで前記PACAP様化合物は、前記アミノグリコシドの投与に起因する副作用を阻害または低減するように投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項53】
前記アミノグリコシドは、アミカシン、アルベカシン、G418、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、トブラマイシン、アストロマイシン、およびアプラマイシンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記PACAP様化合物は、前記アミノグリコシドによって引き起こされるネフォトキシシティ(nephotoxicity)または聴器毒性を阻害または低減する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記予防剤または治療剤は、抗癌剤、ステロイド、抗炎症剤、またはアミノグリコシドである、請求項13または14に記載の方法。
【請求項56】
前記対象は、哺乳動物である、請求項11〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記哺乳動物は、ヒトである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記対象は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムスの1つまたは複数から選択される一次治療で処置されている、請求項49に記載の方法。
【請求項59】
前記対象は、カルムスチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、またはサリドマイドによる処置を含む一次治療で処置されている、請求項49に記載の方法。
【請求項60】
前記対象は、リンパ性癌または骨髄性癌(myeloid cancer)を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
対象における播種性癌または転移性腫瘍の限局化、診断、または処置のための方法であって、1つまたは複数の放射性核種に共役された、1つまたは複数のPACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む有効量の複合体を投与するステップを含む、方法。
【請求項62】
前記1つまたは複数のPACAP様化合物は、前記播種性癌または転移性腫瘍の1つまたは複数の細胞の表面上の1つまたは複数のPACAP/VIP受容体に結合する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記PACAP様化合物は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記PACAP様化合物は、

His−Ser−Pip−Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号4);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Ala Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号5);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Ala Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号6);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Ala Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH2(配列番号7);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Ala Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号8);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号9);

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号10);

His Ala Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号11);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号12);および

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号13)

の1つまたは複数から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記播種性癌または転移性腫瘍は、血液癌である、請求項61〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記血液癌は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記複合体は、1つまたは複数の病原菌または自己免疫疾患によって引き起こされる肉芽腫の要素である細胞を標的にする、請求項61〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象は、リンパ性または骨髄性の造血器癌に対して、前記複合体の1つまたは複数によって処置されている、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記対象は、多発性骨髄腫に対して、前記複合体の1つまたは複数によって処置されている、請求項61に記載の方法。
【請求項70】
前記対象は、哺乳動物である、請求項61〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記哺乳動物は、ヒトである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
複合体を生成する方法であって、1つまたは複数の放射性核種または小分子を1つまたは複数のPACAP様化合物に共役するステップを含む、方法。
【請求項73】
前記PACAP様化合物は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記PACAP様化合物は、

His−Ser−Pip−Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号4);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Ala Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号5);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Ala Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号6);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Ala Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号7);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Ala Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH2(配列番号8);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号9);

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号10);

His Ala Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号11);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号12);および

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号13)

の1つまたは複数またはその薬学的に許容できる塩から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記放射性核種は、11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、および99mTcから選択される、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記小分子は、治療剤または抗癌剤である、請求項73または74に記載の方法。
【請求項77】
前記治療剤または抗癌剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムスまたはバイオリムスである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
治療剤または抗癌剤の、対象の特異的な細胞または組織への送達を標的化するための方法であって、前記対象に、1つまたは複数の小分子に共役された、1つまたは複数のPACAP様化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む有効量の複合体を投与するステップを含む、方法。
【請求項79】
前記1つまたは複数のPACAP様化合物は、前記細胞または組織の表面上の1つまたは複数のPACAP/VIP受容体に結合し、また前記複合体は、受容体介在性エンドサイトーシスにより、前記細胞または組織の内部に侵入する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記PACAP様化合物は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
前記PACAP様化合物は、

His−Ser−Pip−Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号4);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Ala Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号5);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Ala Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号6);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Ala Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH2(配列番号7);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Ala Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Aib Lys Arg Tyr Lys Gln Lys Val Lys Asn D−Lys−NH(配列番号8);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号9);

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val−Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号10);

His Ala Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Aib Ala Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu−NH(配列番号11);

His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号12);および

N−アセチル−His Ser Pip Gly Ile Phe Thr Asp Ser Tyr Ser Arg Tyr Arg Lys Gln Met Ala Val Lys Lys Tyr Leu Ala Ala Val Leu Gly Lys Arg Tyr Lys Gln Arg Val Lys Asn Lys−NH(配列番号13)

の1つまたは複数またはその薬学的に許容できる塩から選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記対象は、疾患を有する、請求項78〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記疾患は、加齢関連神経変性疾患、中枢神経系障害、ハンチントン病または他のCAGコドンリピート伸長病、網膜疾患、自己免疫疾患、自己免疫疾患またはLASIK手術によって引き起こされる乾性角結膜炎、II型糖尿病、細菌および/またはウイルスによって引き起こされる敗血症、急性または慢性心血管疾患、急性または慢性腎疾患、急性または慢性肺疾患、全身性高血圧、血液癌、摂食障害、急性または慢性肝疾患、骨粗鬆症、子癇前症、細胞および固形臓器移植、認知障害、後天性免疫不全症候群(AIDS)認知症症候群、中枢神経系の老化、および切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドンを原因の一部とする疾患から選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
i)前記加齢関連神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症から選択されるか、
ii)前記中枢神経系障害は、脳卒中、心臓発作または鈍器損傷によって引き起こされ、ここで好ましくは、前記鈍器損傷は、脳震とうまたは脊髄損傷であるか、
iii)前記網膜疾患は、糖尿病性網膜症、黄斑変性または緑内障であるか、
iv)前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症、シェーグレン病、特発性膜性腎症、グッドパスチャー病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、尋常性天疱瘡、またはループスエリテマトーデスであるか、
v)前記セプトシス(septsis)は、細菌またはウイルス毒素によって引き起こされるか、
vi)前記急性または慢性心血管疾患は、心筋梗塞、アテローム硬化症、または再狭窄であるか、
vii)前記急性または慢性腎疾患は、虚血/再灌流傷害、腎炎、または薬剤誘発性腎毒性であるか、
viii)前記急性または慢性肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、または肺動脈高血圧症であるか、
ix)前記血液癌は、リンパ性または骨髄性の造血器癌であり、ここで好ましくは、前記リンパ性または骨髄性の造血器癌は、白血病、リンパ腫、プラズマ細胞増殖症、または腺癌であるか、
x)前記急性または慢性肝疾患は、虚血/再灌流傷害、肝炎、および脂肪肝であるか、または
xi)切断された非機能性タンパク質の合成をもたらす未成熟インフレーム終止コドンを原因の一部とする前記疾患は、嚢胞性線維症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、フルレル症候群、腎障害シスチン症、多発性嚢胞腎疾患、網膜色素変性症、および毛細血管拡張性運動失調症から選択される、
請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記疾患は、前記PACAP様化合物以外の治療剤または抗癌剤による処置に起因する前記対象の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する損傷、外傷、または急性または慢性疾患を引き起こす、請求項83または84に記載の方法。
【請求項86】
前記複合体またはその薬学的に許容できる塩は、前記PACAP/VIP受容体の1つまたは複数に結合しおよび/または前記PACAP様化合物以外の予防剤または治療剤による処置に起因する前記対象の身体の1つまたは複数の主要臓器に対する1つまたは複数の損傷、外傷、または急性または慢性疾患を低下させる、請求項78〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記疾患は、癌または自己免疫疾患である、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記小分子は、治療剤または抗癌剤である、請求項78〜87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記治療剤または抗癌剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ゲルダナマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブスルファン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、サリドマイド、レナリドマイド、メトトレキセート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、フルダラビン、5−アザシチジン、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、エレスクロモル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ボルテゾミブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリンA、G418、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、リボスタマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、硫酸パラオモマイシン(paraomomycin)、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、アストロマイシン、アプラマイシン、アンフォテリシンB、リファンピシン、ペンタミジン、シクロスポリンA、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、またはバイオリムスである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記小分子は、抗炎症剤であり、かつ、前記対象は、関節リウマチに対して処置されている、請求項78〜88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記小分子は、抗癌剤であり、かつ、前記対象は、多発性骨髄腫に対して処置されている、請求項78〜88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記予防剤または治療剤は、抗癌剤、ステロイド、抗炎症剤、またはアミノグリコシドである、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
前記対象は、哺乳動物である、請求項82または92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記哺乳動物は、ヒトである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
対象における肉芽腫を検出するための方法であって、前記対象に、放射性核種に複合された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の有効量のポリペプチドまたはその薬学的に許容できる塩を投与するステップを含む、方法。
【請求項96】
前記放射性核種は、11C、13N、15O、18F、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、62Zn、63Zn、70As、71As、74As、76Br、79Br、82Rb、86Y、89Zr、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、122Xe、175Lu、154Gd、155Gd、156Gd、157Gd、158Gd、94mTc、94Tc、または99mTcである、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記対象は、感染病または自己免疫疾患を有する、請求項95または96に記載の方法。
【請求項98】
前記ポリペプチドは、標的細胞の表面上の前記PACAP/VIP受容体の1つまたは複数に結合可能であるPACAP様化合物である、請求項95〜97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記対象は、結核に対して処置されている、請求項95または96に記載の方法。
【請求項100】
前記対象は、結核に対して、造影剤を含む前記複合体の1つまたは複数で処置されている、請求項95〜99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記対象は、99mTc−イソニコチニルヒドラジン(INH)で処置されている、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記対象は、クローン病に対して処置されている、請求項95または98に記載の方法。
【請求項103】
前記対象は、クローン病に対して、造影剤を含む前記複合体の1つまたは複数で処置されている、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記対象は、哺乳動物である、請求項95〜103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記対象は、ヒトである、請求項104に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−509450(P2013−509450A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537199(P2012−537199)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/055164
【国際公開番号】WO2011/054001
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(507186366)
【Fターム(参考)】