下層組成物および下層を像形成する方法
【課題】表面極性をリソグラフィ的に変え、自己組織化層によるパターン形成方法の提供。
【解決手段】光酸発生剤を含む感光層の一部分を照射し、発生した酸を隣の下層120aの部分に拡散させる工程。前記下層120aは酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含む。感光層は下層の表面上に配置されており、拡散させる工程は下層120aおよび感光層を加熱することを含み、下層120a中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して下層の表面に極性領域を形成し、前記極性領域はパターンの形状を有する。感光層は除去され、下層の表面上に自己組織化層150bを形成する工程。前記自己組織化層150bは極性領域に対する親和性を有するブロックと、極性領域に対する親和性が低いブロックとを有するブロックコポリマーを含む。第1もしくは第2のドメインのいずれかを除去し下層の部分を露出させる工程。
【解決手段】光酸発生剤を含む感光層の一部分を照射し、発生した酸を隣の下層120aの部分に拡散させる工程。前記下層120aは酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含む。感光層は下層の表面上に配置されており、拡散させる工程は下層120aおよび感光層を加熱することを含み、下層120a中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して下層の表面に極性領域を形成し、前記極性領域はパターンの形状を有する。感光層は除去され、下層の表面上に自己組織化層150bを形成する工程。前記自己組織化層150bは極性領域に対する親和性を有するブロックと、極性領域に対する親和性が低いブロックとを有するブロックコポリマーを含む。第1もしくは第2のドメインのいずれかを除去し下層の部分を露出させる工程。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この出願は2010年10月4日に出願された米国仮出願第61/389,559号のノンプロビジョナルであり、その仮出願の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ブロックコポリマーはフォトリソグラフィプロセスを必要とせずにパターンを形成する誘導自己組織化(directed self−assembly)プロセスに使用されうる。ブロックコポリマーは中性および極性領域を有する中性またはパターン形成された表面上で組織化することによりパターンを形成することができる。このような中性もしくはパターン形成された表面はポリマーブラシ化層の使用によって利用可能にされうる。
【0003】
ポリマーブラシは、例えば、半導体材料から形成された基体の表面に固定されたポリマー鎖である。この表面は望まれる組成を有するポリマーブラシ前駆体を使用して、所望の厚さおよび表面エネルギーに反応的に改変される。ランダムコポリマーブラシ層の組成は所望の中性表面を提供するように変えられる。(異なる重合メカニズムが必要とされる、またはブラシコポリマーの組成ではないなどの)各ブロックの繰り返し単位のランダムコポリマーを合成するのは実現不可能な、自己組織化が可能なブロックコポリマーについては、ブラシコポリマーにおける末端基官能化もしくは反応性基含有モノマーの組み込みが行われてきた(例えば、P.Mansky,Y.Liu,E.Huang,T.P.Russell,C.Hawker,”Controlling polymer surface interaction with random copolymer brushes(ランダムコポリマーブラシとのポリマー表面相互作用の制御)”、Science、275、1458(1997)を参照)。
【0004】
ブラシコポリマーへのこのような組成の改変はグラフト化のための官能性部位を提供するように設計される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】P.Mansky,Y.Liu,E.Huang,T.P.Russell,C.Hawker,”Controlling polymer surface interaction with random copolymer brushes(ランダムコポリマーブラシとのポリマー表面相互作用の制御)”、Science、275、1458(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、表面極性をリソグラフィ的に変え、よってその面上に自己組織化層が形成されうるパターン形成された面を形成するように、ブラシポリマー組成を調節することの当該技術分野における開示はない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態においては、光酸発生剤を含む感光層において当該感光層の一部分を照射することにより発生した酸を、酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含む隣の下層の部分に拡散させる工程、前記アタッチメント基は基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、感光層は下層の表面上に配置されており、拡散させる工程は下層および感光層を加熱することを含み、下層中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して下層の表面に極性領域を形成し、前記極性領域はパターンの形状を有する;
感光層を除去する工程;
下層の表面上に自己組織化層を形成する工程、前記自己組織化層は極性領域に対する親和性を有する第1のブロックと、極性領域に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、第1のブロックは極性領域に対して整列する第1のドメインを形成し、および第2のブロックは第1のドメインの隣に整列する第2のドメインを形成する;並びに
第1のもしくは第2のドメインのいずれかを除去して下にある下層の部分を露出させる工程;
を含むパターンを形成する方法の提供を通じて、先行技術の欠点は克服され、かつ追加の利点が提供される。
【0008】
別の実施形態においては、下層は式:
【化1】
の酸感受性コポリマーを含み、式中、R1はC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7はそれぞれ独立して芳香族基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0〜0.9であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1であり、酸感受性コポリマーはアタッチメント基を介してアルコキシド結合によって基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の親水性表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、並びに前記酸分解可能基はターシャリーアルキルエステル基、アセタール基、ケタール基、カルボナート基または前記酸分解可能基の少なくとも1種を含む組み合わせである。
【0009】
別の実施形態においては、自己組織化多層膜は下層および自己組織化層を含み、前記下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含み、前記下層はアタッチメント基を介して、基体の親水性表面に配置および共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、前記下層の表面の部分は分解した酸分解可能基を有し、下層のパターン形成された表面を形成しており、前記自己組織化層は下層のパターン形成された表面上に配置されており、前記自己組織化層は分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性を有する第1のブロックと、分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、第1のブロックは分解した酸分解可能基を有する下層の部分に整列した第1のドメインを形成しており、並びに第2のブロックは第1のドメインの隣に並んで整列した下層の表面上の第2のドメインを形成している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1B】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1C】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1D】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1E】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1F】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1G】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1H】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1I】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1J】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図2】図2は、円筒形自己組織化ドメインを有するようにパターン形成された下層上の典型的なパターン形成された自己組織化ブロックコポリマー層の原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の上述のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面と共に示される以下の詳細な記載から明らかである。
【0012】
本明細書において開示されるのは新規のコポリマー下層であり、場合によっては本明細書において、ブロックコポリマーの誘導自己組織化のための、単に下層と称される。この下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含むランダムコポリマーを含む。下層の表面上に形成される自己組織化ブロックコポリマーのと適合するように表面エネルギーを調節するようにこれらモノマーの比率は調節可能である。下層コポリマーは半導体基体、例えば、天然酸化物もしくは熱で生じた酸化物を伴うシリコン、二酸化チタン層などをはじめとする基体の親水性表面に結合されてブラシ(brush)層を形成することができ、ポリマー間架橋で架橋されてマット(mat)層を形成することができ、または表面結合および架橋の双方を形成して、架橋した表面結合マット層を提供することができる。
【0013】
光酸発生剤を含むフォトレジストのような感光層を下層に上塗りし、パターンマスクを通して感光層を露光し、加熱して感光層の照射部分で光発生した酸を下にある下層に拡散させ、並びに感光層を除去することにより、下層にパターンが形成される。感光層の露光パターンは接近した(密な、または半密な)間隔の線、破線もしくは点のフィーチャ、間隔の広い線、破線もしくは点のまばらなパターン、または照射されたフィーチャの組み合わせであり得る。
【0014】
本方法はパターン形成された下層をブロックコポリマーで上塗りし、ブロックコポリマーをアニールすることをさらに伴い、その結果、1つのブロック相は酸で分解された官能基を含む下層の脱保護部分上に整列するように分かれる。次いで、ブロックコポリマーのブロックは、例えば、熱、光化学、溶媒、もしくはプラズマ方法を用いて除かれて、パターンを形成する。
【0015】
下層は酸感受性コポリマーを含む。酸感受性コポリマーは構成部分として、酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む。
【0016】
構成基の相対的比率は、表面エネルギーおよび濡れ性をはじめとするこれらの基の特性の望ましいバランスが脱保護前の酸感受性コポリマーについて、よって脱保護の前の下層について、または下層が脱保護されない領域において得られるように選択される。特に、酸感受性コポリマーが脱保護されていない場合には、酸感受性コポリマーを含む下層はブロックコポリマーに基づく自己組織化層に向かう中性表面エネルギーを有する。本明細書において使用される場合、「中性」とは、(脱保護前の、もしくは脱保護が起こらなかった領域における)下層の表面エネルギーがブロックコポリマーの少なくとも1つのブロックのと実質的に同じであることを意味する。さらに、構成基の割合は、脱保護前の下層の層中性度、および脱保護後の酸感受性コポリマーの領域の極性をはじめとする特性の望ましいバランスが達成され、その結果パターン形成された表面上に配置されたブロックコポリマーがその表面の極性領域に対して整列したブロックによって相分離したドメインを形成するであろうように選択される。
【0017】
酸分解可能基は充分な活性の酸と接触することにより化学的に分解されうる基である。ある実施形態においては、酸分解可能基はエステル基、アセタール基、ケタール基、ピロカルボナート基もしくは前記酸分解可能基の少なくとも1種を含む組み合わせを含むC1−30酸分解可能基である。あるいは、酸分解可能基は架橋剤もしくは架橋可能基でありうる。
【0018】
特定の実施形態においては、酸分解可能基はC4−30ターシャリーアルキルエステルである。典型的には、C4−30ターシャリーアルキル基には、2−(2−メチル)プロピル(「t−ブチル」)、2−(2−メチル)ブチル、1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、2−メチルアダマンチル、2−エチルアダマンチル、もしくは上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。特定の実施形態においては、酸分解可能基はt−ブチル基もしくはエチルシクロペンチル基である。
【0019】
アタッチメント基は基体への結合を形成できる反応性官能基を含む基でありうる。この結合は基体へのイオン性、配位(例えば、金属−配位子結合による)または共有結合でありうる。好ましくは、この結合は共有結合である。アタッチメント基はヒドロキシ、チオール、第一級アミンもしくは第二級アミン置換された直鎖もしくは分岐C1−30アルキル、C3−30シクロアルキル、C6−30アリール、C7−30アルカリール、C7−30アルアルキル、C1−30ヘテロアルキル、C3−30ヘテロシクロアルキル、C6−30ヘテロアリール、C7−30ヘテロアルカリール、C7−30ヘテロアルアルキルまたはこれらの基の少なくとも1種を含む組み合わせでありうる。本明細書において使用される場合、接頭辞「ヘテロ」とは、他に特定されない限りは、炭素でなく水素でない原子、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ホウ素、酸素、窒素、ケイ素もしくはリンをいう。典型的なアタッチメント基には、3−アミノプロピル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルまたは4−ヒドロキシフェニルが挙げられる。これらの官能基の代わりに、またはこれらの官能基に加えて、他の反応性官能基が含まれることができ、基体の表面への酸感受性コポリマーの結合を容易にすることができる。典型的なこのようなアタッチメント基には、モノ−、ジ−およびトリアルコキシシラン基、例えば、3−プロピルトリメトキシシラン(トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリラートと他のモノマーとの共重合により得られる)、グリシジル基(グリシジル(メタ)アクリラートとの共重合により得られる)または反応性ストレインド(strained)環、例えば、ベンゾシクロブタン(「BCB」、例えば、ビニルベンゾシクロブタンとの共重合によって得られる)が挙げられ、この反応性ストレインド環は開環して反応性ジエンを形成することができ、この反応性ジエンが基体の表面上のオレフィン基と反応でき、またはポリマー中の他の開環したBCB基と反応してダイマーを形成できる。本明細書において使用される場合、「(メタ)アクリラート」とはアクリラート、メタクリラートもしくはこれらの組み合わせをいう。アタッチメント基は基体の表面にイオン、配位もしくは共有結合することができ、ポリマー間架橋を形成する(架橋した膜もしくはマットを形成する)ことができ、または基体の表面に共有結合しかつポリマー間架橋を形成することができる。
【0020】
酸感受性コポリマーの中性度を調節するために含まれる官能基は、直鎖もしくは分岐C1−30アルキル、C3−30シクロアルキル、C6−30アリール、C7−30アルカリール、C7−30アルアルキル、C1−30ヘテロアルキル、C3−30ヘテロシクロアルキル、C6−30ヘテロアリール、C7−30ヘテロアルカリール、C7−30ヘテロアルアルキル、またはこれらの基の少なくとも1種を含む組み合わせでありうる。特定の実施形態においては、官能基は芳香族である。官能基は非置換であってよく、またはハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素;ヒドロキシ基;構造−N(R’)2(式中、各R’は独立してH、環式もしくは非環式C1−30アルキルもしくはC3−30アリール、または縮合C2−30アルキルもしくはC3−30アリールである)を有するアミノ基;シアノ基;チオール;スルフィド;ケイ素含有基、例えば、C1−30アルキルシランもしくはC6−30アリールシラン;カルボキシル含有基、例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルもしくはアミド;エーテル;または上述の少なくとも1種を含む組み合わせをはじめとするさらなる官能基で置換されていてもよい。典型的な実施形態においては、官能基はフェニル、4−メトキシフェニル、ヒドロキシフェニル、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、もしくは上述の少なくとも1種を含む組み合わせであり得る。酸分解可能基、アタッチメント基および官能基は対応する官能化スチレン、オレフィン、ビニルもしくは(メタ)アクリラートモノマーの共重合により組み込まれうると理解される。
【0021】
ある実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(1):
【化2】
の構造を有し、式中、R1はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7は独立して芳香族基もしくはエステル基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0から0.9未満であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1である。特定の実施形態においては、モル分率wは0.05〜0.65であり、モル分率xは0.35〜0.95であり、モル分率yおよびzは0〜0.90であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1である。
【0022】
具体的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(2):
【化3】
の構造を有し、式中、R9はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−20酸分解可能基であり、R10はHもしくはC1−30アルキル基であり、R2、R4、およびR6は独立してH、メチル、エチルもしくはフェニルであり、モル分率xは0.05〜0.65であり、モル分率yは0.35〜0.95であり、モル分率zは0〜0.9であり、モル分率x、yおよびzの合計は1である。
【0023】
典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(3):
【化4】
を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.35〜0.95であり、モル分率aおよびbの合計は1である。
【0024】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(4):
【化5】
を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.20〜0.80であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0025】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(5):
【化6】
を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.20〜0.80であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0026】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(6):
【化7】
の構造を有し、式中、R11はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−20酸分解可能基であり、R12はC1−30ヒドロキシ含有基であり、R13はH、C1−10アルキル、もしくはC1−10アルコキシであり、R2、R4、およびR6は独立してH、メチル、エチルもしくはフェニルであり、モル分率xは0.05〜0.65であり、モル分率yは0.35〜0.95であり、モル分率zは0〜0.90であり、モル分率x、yおよびzの合計は1である。
【0027】
典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(7):
【化8】
の構造を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.2〜0.8であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0028】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(8):
【化9】
の構造を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.2〜0.8であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0029】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(9):
【化10】
の構造を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.2〜0.8であり、モル分率dは0.1〜0.6であり、モル分率a、b、cおよびdの合計は1である。
【0030】
酸感受性コポリマー組成物の溶液を基体に接触させることにより下層が形成される。ある実施形態においては、下層は酸感受性コポリマー組成物を基体表面上に直接配置して、基体への結合(例えば、イオン性、配位もしくは共有)をもたらすことにより形成される下層である。あるいは、別の実施形態においては、下層の代わりに、基体に共有結合されているかまたは共有結合されていないマット層が使用されうる。このマット層は、酸感受性コポリマーに加えて、架橋性成分、および必要な場合には触媒を含むことができる。ある実施形態においては、架橋性成分は架橋剤であり得る。典型的な酸触媒架橋剤には、テトラメトキシメチルもしくはテトラブトキシメチルグリコールウリルのようなアルコキシメチルグリコールウリル架橋剤が挙げられる。架橋剤が酸触媒架橋剤である場合には、p−トルエンスルホン酸のような酸もしくはそのアンモニウム塩、または熱酸発生剤、例えば、p−トルエンスルホン酸のp−ニトロフェニルエステルが含まれうる。あるいは、酸感受性コポリマー自体がさらに、それ自体ともしくはそのポリマー中の別のモノマー上の別の官能基、例えば、ヒドロキシもしくはカルボン酸基と架橋を形成することができるモノマーを含むことができる。典型的なこのような架橋性モノマーには、エポキシ含有モノマー、例えば、上述のような、グリシジル(メタ)アクリラート、もしくはトリアルコキシシラン含有モノマー、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリラートが挙げられる。追加の成分を必要とするマット層が使用される場合には、酸感受性コポリマーは50〜100重量%、具体的には60〜99重量%、より具体的には70〜95重量%、さらにより具体的には70〜90重量%の量で存在することができる。マット層においても、架橋剤は0〜50重量%、具体的には1〜40重量%、より具体的には5〜30重量%、さらにより具体的には10〜30重量%の量で存在することができる。触媒は、使用される場合には、0.1〜5重量%の量で含まれうる。全ての量はマット層の全固形分量を基準にしている。
【0031】
下層の接触はスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティングもしくはドクターブレーディングによって行われうる。ある実施形態においては、基体は半導体基体であり、接触はスピンコーティングによる。スピンコーティングは酸感受性ブラシコポリマーの溶液を回転する半導体基体の表面上に分配することを含む。酸感受性コポリマーは膜形成に有用な溶媒中に、スピンコーティングおよび膜形成に有用な濃度で溶解される。典型的な溶媒には、これに限定されないが、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、乳酸エチル、アニソール、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ジアセトンアルコールもしくは上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられうる。酸感受性コポリマーの濃度は40重量%以下であることができ、ある実施形態においては、0.1〜30重量%、具体的には0.5〜20重量%、さらにより具体的には1〜10重量%であることができる。
【0032】
下層特性もしくはコーティング特性をはじめとするさらなる特性を与えもしくは増大させるための添加剤が酸感受性コポリマーの溶液中に含まれることができる。添加剤には、追加のポリマー、光酸発生剤、熱酸発生剤、界面活性剤、例えば、フッ素化界面活性剤、ポリアルキレンオキシ界面活性剤、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびこれらのコポリマー;可塑剤の溶解速度抑制剤(すなわち、水性塩基に不溶性の化合物);溶解速度向上剤(すなわち、水性塩基に可溶性の化合物);架橋剤;触媒;光硬化剤;接着促進剤;アミンクエンチャー添加剤(例えば、拡散を制限するため);または上記添加剤の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられうる。
【0033】
使用される場合には、スピンコーティングは基体直径および他の要因、例えば、膜厚さに応じて変化し、スピンコーティングは500〜4000rpm、具体的には800〜3000rpm、より具体的には1000〜2500rpmの回転速度で行われうる。
【0034】
次いで、下層はホットプレート上でベークされて溶媒を除き、膜内の自由体積を低減させることにより膜を凝結させる。膜のベークは50〜200℃、具体的には60〜175℃、より具体的には70〜150℃の温度で行われうる。このようなベークのための具体的な時間は30秒〜5分間、より具体的には30秒〜3分間、さらにより具体的には30秒〜2分間である。下層は100〜300℃、具体的には125〜275℃、より具体的には150〜250℃の温度でベークすることによってさらにアニールされうる。アニールのための具体的な時間は5分〜10時間、より具体的には10分〜8時間、さらにより具体的には15分〜6時間である。
【0035】
上塗り感光層において発生した酸を隣の下層の部分に移動させることにより下層がパターン形成される。移動は熱プロセスによる拡散によって行われる。ある実施形態においては、本方法は光酸発生剤を含む感光層を下層の表面上に堆積させ、感光層にパターンの化学線を照射して露光領域に酸を発生させ、並びに酸を下にある隣の下層の部分に拡散させることを含む。
【0036】
酸を拡散させることは、感光層の一部分を照射した後で下層および感光層を加熱してパターンを形成することを含む。次いで、下層中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して、パターンの形状および寸法を有する極性領域を下層の表面に形成する。
【0037】
感光層は照射により拡散可能な酸を発生させ、後に除去されうる感光性組成物を含むことができる。ある実施形態においては、感光層は光酸発生剤を含む。
【0038】
感光層の露光部分で光酸発生剤により生じた拡散可能な酸は固有のpKaを有し、および下層の酸感受性基と反応して分解するように拡散するのに充分な(必要な場合には)下層内での移動度(拡散性)を有する限りは、あらゆる好適な光酸発生剤が感光層に含まれうる。
【0039】
よって、光酸発生剤の分解からの光発生酸は3以下、具体的には1以下、さらにより具体的には0以下のpKaを有することができる。光酸発生剤は250℃以下の温度で10分間以下の期間で熱的に安定でもなければならない。
【0040】
感光層に含まれる光酸発生剤は理論的に、副生成物を伴うことなく、好適な波長の光の量子の吸収の際に1当量の酸を発生させることができる。感光層に有用な光酸発生剤にはアリールベースのオニウム塩が挙げられ、例えば、モノ−、ジ−およびトリアリールホスホニウム塩、モノ−およびジアリールヨードニウム塩、スルホナートエステル、例えば、ナジミドスルホナート、芳香族ケトン、例えば、ベンゾイン誘導体、または上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。ある実施形態においては、(例えば、ナジミドスルホナートエステルと比べて)高い熱安定性を有するモノ−、ジ−もしくはトリアリールスルホニウム塩、またはモノ−もしくはジアリールヨードニウム塩のようなアリールベースのオニウム塩が使用される。典型的な光酸発生剤には、メタンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフル酸)、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、ペルフルオロエチルシクロヘキサンスルホン酸、シクロ(1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニウム)イミドのような酸のトリフェニルスルホニウム、n−オクチルフェニル(ジフェニル)スルホニウム、およびジ−t−ブチルフェニルヨードニウム塩、もしくはナジミドスルホナートエステル、または上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0041】
有用な光酸発生剤の具体的な例には、トリフル酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、o−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロベンゼンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、シクロ(1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニウム)イミド酸トリフェニルスルホニウム、トリフル酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、o−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、ペルフルオロベンゼンスルホン酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、または上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0042】
感光層はパターンの化学線で照射される。光酸発生剤による酸を生じさせるのに有用な化学線が使用され、感光層中に使用される光酸発生剤は使用される放射線波長に対して感受性であることが理解されるであろう。化学線は、例えば、10〜400nmの波長を有する紫外(UV)光であることができ、その具体的な例は、365nmのi線放射線、248nm、193nm、157nmでの深紫外(DUV)放射線、および10〜15nmの極UV放射線;x線;または電子ビーム(e−ビーム)である。
【0043】
具体的な実施形態においては、感光層は光酸発生剤を含むフォトレジストである。フォトレジストは、例えば、それぞれ248nmもしくは193nmの波長で照射される、DUVフォトレジストまたは193nmフォトレジストでありうる。
【0044】
照射により感光層上に形成されるパターンは、密なピッチ、すなわち、ライン幅:スペース幅の比率1以上:1(例えば、1.1:1、1.2:1、1.5:1、2:1など)、1未満:1(例えば、1:1.5)の半密(semi−dense)ピッチ、または1以下:2(例えば、1:3、1:4など)のピッチを有するまばらなパターンを有する規則的なパターンを形成するフィーチャを有することができる。
【0045】
切れ目のない線を使用して得られるであろうような連続パターンを使用するのではなく、破線もしくは点のパターンのような低い解像技術を使用して、下層の中性表面上にまばらなパターンが形成されうる。これらのパターン上にドメインを形成する際に、このドメインは線に対してだけでなく、破線および/または点に対しても整列し、並びに断続的なパターン領域上に形成されるドメインに対してドメインがサイズおよび形状の規則性を伴って整列する能力のせいで、整列したドメインは連続パターン上に形成されるものと同等のパターンを形成することができる。
【0046】
有利なことに、高いラインエッジ粗さおよびライン幅粗さを有する線もしくは破線の使用はアニール中に「自己回復」メカニズムでのドメイン整列において、欠陥を修正することができる。さらに、電子ビームリソグラフィを伴う用途においては、破線および/または点線を描くことは、実線を描くよりもより少ない描画時間しか必要としない(および/またはより少ないエネルギー量しか必要としない)。よって、ある実施形態においては、感光層の照射領域は破線および/または点など、非連続であってよい。このような非連続線を伴うまばらな化学パターンを製造するためのコストおよび時間はそれぞれ有利に低減されうる。よって、ある実施形態においては、照射されるパターンは破線および/または点を含む非連続であることができる。この破線および/または点の間隔および配置は、非連続パターン上に形成されるドメインが組織化して、欠陥を最小限にしつつドメインの連続パターンを形成するものである。
【0047】
ある実施形態においては、感光層が使用される場合には、感光層内で発生した酸は、次いで、対応する下にある下層の部分に拡散する。この拡散の工程は横(すなわち、基体の面内)および垂直(すなわち、基体の面に対して垂直)方向の拡散が制御されて、感光層内のパターンを含む照射部分の表面x−y寸法に直接関連する酸の移送をもたらすような時間および温度で熱処理することにより行われる。
【0048】
ある実施形態においては、感光層と下層の間で酸を拡散させる熱処理はホットプレートによって、オーブン/炉によって、または他の加熱方法によって行われうる。好ましくは、熱処理はウェハ処理およびコーティングトラックにおいてホットプレート上で加熱することにより行われる。ホットプレートによる加熱は空気下で、もしくは不活性雰囲気中で、例えば、窒素もしくはヘリウム下で行われうる。熱処理は250℃以下の周囲温度で、温度および拡散要件に応じて数秒〜数時間の期間で行われることができる。具体的な実施形態においては、熱処理がホットプレート上で行われる場合には、基体は70〜250℃、具体的には75〜200℃、より具体的には80〜175℃、さらにより具体的には90〜150℃加熱される。このような熱処理のための時間は、10秒〜10分間、より具体的には20秒〜5分間、さらにより具体的には30秒〜3分間、さらにより具体的には30秒〜2分間でありうる。
【0049】
光発生酸が感光層から拡散した後で、感光層は下層の表面から除去される。このような除去はウェット方法、例えば、ストリッピングもしくは現像、またはドライ方法によって、例えば、酸素、窒素もしくはアルゴンプラズマまたは他のプラズマのようなプラズマを使用する灰化によって、または選択な光分解とその後のウェットもしくはドライ方法によって達成されうる。ある実施形態においては、除去の工程は感光層を有機溶媒、水性塩基溶液、もしくは上述の少なくとも1種の組み合わせを含む剥離剤と接触させることを含む。
【0050】
次いで、露光領域において下層に拡散した酸は、その拡散部分の酸感受性コポリマーの酸分解可能基を分解して、パターン形成される下層の極性領域を画定する極性基を形成する。光発生酸に曝露されないパターン形成される下層上の領域(すなわち、酸が拡散されなかった下層の領域)は中性のままである。別の実施形態においては、露光領域において下層に拡散した酸は、例えば、架橋することによって中性領域の形成を触媒するように機能することができ、そして未露光領域は極性であってよい
【0051】
次いで、パターン形成された下層の表面上に自己組織化層が形成される。自己組織化層は下層の極性領域に対する親和性を有する第1のブロック、および下層の極性領域に対する親和性を有しない第2の分散(「中性」とも称される)ブロックを有するブロックコポリマーを含む。本明細書において使用される場合、「に対する親和性を有する」とは第1のブロックが極性領域と適合した表面エネルギーであり、かつキャストおよびアニール中に移動性の第1のブロックが選択的に極性領域上に堆積しかつ極性領域に対して整列するように極性領域に引き付けられる。この方法においては、第1のブロックは下層上に第1のドメインを形成し、それは下層の極性領域に対して整列している(すなわち、酸分解可能基の分解によって形成されるパターンに整列している)。同様に、下層の極性領域に対する親和性がより低いブロックコポリマーの第2の分散ブロックは第1のドメインの隣に整列した下層上の第2のドメインを形成する。本明細書において使用される場合、「ドメイン」とは、ブロックコポリマーの対応するブロックによって形成されるコンパクトな結晶質もしくは半結晶質領域であって、この領域はラメラもしくは円筒形であってよく、かつ下層の表面の面に対して垂直で、かつ下にある下層の表面と少なくとも部分的に接触していることを意味する。ある実施形態においては、このドメインは1〜100nm、具体的には5〜75nm、さらにより具体的には10〜50nmの最も短い平均寸法を有しうる。
【0052】
このブロックは概して、あらゆる好適なドメイン形成性ブロックであることができ、このブロックに別の似ていないブロックが結合されうる。ブロックは様々な重合性モノマーから得られることができ、このブロックには、これに限定されないが、ポリオレフィン、例えば、ポリジエン、ポリエーテル、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、またはこれらのランダムもしくはブロックコポリマー;ポリ((メタ)アクリラート)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノゲルマン、もしくはFe、Sn、AlもしくはTiをベースにした重合性有機金属モノマーから製造される有機金属ポリマー、例えば、ポリ(オルガノフェニルシリルフェロセン)が挙げられうる。
【0053】
ある実施形態においては、ブロックコポリマーのブロックはモノマーとして、C2−30オレフィンモノマー、C1−30アルコールから生じる(メタ)アクリラートモノマー、無機物含有モノマー、例えば、Fe、Si、Ge、Sn、Al、Tiまたは上述の少なくとも1種を含む組み合わせをベースにしたものを含む。具体的な実施形態においては、ブロックに使用するのに典型的なモノマーには、C2−30オレフィンモノマー、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、もしくはα−メチルスチレンが挙げられることができ;並びに、(メタ)アクリラートモノマーとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、または(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルが挙げられうる。これらのモノマーの2種以上の組み合わせが使用されうる。
【0054】
ホモポリマーである典型的なブロックには、スチレンを用いて製造されたブロック(すなわち、ポリスチレンブロック)、もしくは(メタ)アクリラートホモポリマーブロック、例えば、ポリ(メチルメタクリラート)が挙げられることができ;典型的なランダムブロックには、例えば、ランダムに共重合されたスチレンおよびメタクリル酸メチルのブロック(例えば、ポリ(スチレン−co−メタクリル酸メチル))が挙げられ;並びに、典型的な交互コポリマーブロックには、大抵の条件下で無水マレイン酸が単独重合できないせいで、スチレン−無水マレイン酸2分子繰り返し構造を形成することが知られているスチレンおよび無水マレイン酸のブロック(例えば、ポリ(スチレン−alt−無水マレイン酸))が挙げられうる。このようなブロックは例示的なものであり、限定するものとして見なされるべきではないことが理解される。
【0055】
有用なブロックコポリマーは少なくとも2つのブロックを含み、別個のブロックを有するジブロック、トリブロック、テトラブロックなどのコポリマーであってよく、そのそれぞれのブロックはホモポリマー、またはランダムもしくは交互コポリマーであってよい。典型的なブロックコポリマーには、ポリスチレン−b−ポリビニルピリジン、ポリスチレン−b−ポリブタジエン、ポリスチレン−b−ポリイソプレン、ポリスチレン−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン−b−ポリアルケニル芳香族、ポリイソプレン−b−ポリエチレンオキシド、ポリスチレン−b−ポリ(エチレン−プロピレン)、ポリエチレンオキシド−b−ポリカプロラクトン、ポリブタジエン−b−ポリエチレンオキシド、ポリスチレン−b−ポリ((メタ)アクリル酸t−ブチル)、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリ(メタクリル酸t−ブチル)、ポリエチレンオキシド−b−ポリプロピレンオキシド、ポリスチレン−b−ポリテトラヒドロフラン、ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリエチレンオキシド、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メタクリル酸メチル−b−ジメチルシロキサン)、ポリ((メタ)アクリル酸メチル−r−スチレン)−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリ((メタ)アクリル酸メチル−r−スチレン)−b−ポリスチレン、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−r−スチレン)−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−r−スチレン)−b−ポリエチレンオキシド、ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリフェロセニルシラン、または上述のブロックコポリマーの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0056】
ブロックコポリマーは望ましくはさらなる処理を行いやすい全体分子量および多分散度を有する。ある実施形態においては、ブロックコポリマーは10,000〜200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。同様に、ブロックコポリマーは5,000〜200,000の数平均分子量(Mn)を有する。ブロックコポリマーは1.01〜6の多分散度(Mw/Mn)も有しうる。ある実施形態においては、ブロックコポリマーの多分散度は1.01〜1.5、具体的には1.01〜1.2、さらにより具体的には1.01〜1.1である。分子量は、MwおよびMnの両方とも、例えば、ユニバーサルキャリブレーション方法を用いたゲル浸透クロマトグラフィおよびポリスチレン標準に対する較正によって決定されうる。
【0057】
ある実施形態においては、ブロックコポリマーは溶液から下層のパターン形成された表面上にスピンキャストされて、下層のその表面上に自己組織化層を形成する。アニーリングプロセスにおいて、ブロックコポリマーは250℃以下、もしくはそれより高い温度に8時間以上加熱されて溶媒を除去し、かつドメインを形成する。このドメインは、第1のブロックが極性領域に整列した下層上の第1のドメインを形成し、かつ第2のブロックが第1のドメインの隣に整列した下層上の第2のドメインを形成する。下層の照射部分がまばらなパターンを形成し、よって第1および第2のドメインのインターバル間隔よりも大きなインターバルで極性領域の間隔が開けられる場合には、追加の第1のおよび第2のドメインが下層上に形成され、まばらなパターンのインターバル間隔を満たす。追加の第1のドメインは、整列の対象となる極性領域なしでも、その代わりにすでに形成されている第2の(分散)ドメインに対して整列し、かつ追加の第2のドメインは追加の第1のドメインに対して整列する。
【0058】
次いで、第1もしくは第2のドメインのいずれかを除去して、下にある下層の部分を露出させることによりレリーフパターンが形成される。ある実施形態においては、除去工程はウェットエッチング方法、現像もしくはプラズマ、例えば酸素プラズマを使用するドライエッチング方法によって達成される。
【0059】
ある実施形態の典型的な方法が図1A〜1Jに示される。以下に示される実施形態はブラシ層のものであるが、その代わりに、下層は酸感受性コポリマーと架橋剤とを含み、基体に結合されていてもされていなくてもよいマット層であってよいと理解される。図1Aは基体材料101に結合したヒドロキシ基102を有する未改変半導体基体100を示す。ある実施形態においては、ヒドロキシ基102はSi−OH基(この場合、基体はSiO2を含む)もしくはTi−OH基(この場合、基体はTiO2を含む)のような置換可能なヒドロキシ基である。
【0060】
次いで、ポリマーブラシ(すなわち、酸感受性コポリマー)が共有結合によって基体に結合される。図1Bは改変半導体基体110を示し、ここでは、酸感受性基123を有し、かつアルコキシ結合を介して半導体材料111に結合することにより連結されて下層120を形成している酸感受性コポリマー122を含むように半導体材料111は改変されている。酸感受性コポリマーの結合は、例えば、酸感受性基123に加えて、ポリマー骨格の末端基として、もしくは酸感受性ポリマーの側鎖の末端基として、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアタッチメント基(示されていない)を含む酸感受性コポリマー(例えば、酸感受性コポリマーはヒドロキシスチレンモノマー、もしくはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)モノマーを含む)の溶液をスピンキャストすることにより達成される。
【0061】
酸感受性コポリマーは加熱して溶媒を除去し、例えば、ヒドロキシ基(図1Aにおける102)を酸感受性コポリマーのヒドロキシ基で置換することによって結合を生じさせることにより結合される。例えば、形成される結合はSi−O−R結合(Rは酸感受性コポリマーである)であり得る。この方法においては、例えば、形成される結合はSi−O−R結合(Rは酸感受性コポリマーである)であることができる。下層120を結合させるための加熱は、酸感受性ポリマー122を半導体材料111に結合するのに適するあらゆる温度および時間で行われうる。例えば、結合は、70〜250℃の温度で30秒〜2分間の時間でホットプレート上で行われうる。
【0062】
例えば、エポキシ基、エステル基、アミド基、シロキサン基、もしくは(メタ)アクリラート基を介した結合のような、酸感受性ポリマーの結合のための追加のもしくは代替的なモチーフが使用されうることが理解されるであろうし、これらの官能基は酸感受性コポリマー中に存在していてもよいし、または表面処理によって基体の表面に結合されていてもよい。このような典型的な表面処理には、アルファ−オメガ2官能性化合物、例えば、官能性モノ−、ジ−およびトリアルコキシシラン、例えば、メチルジメトキシシリルプロピルアクリラート、トリメトキシシリルプロピルアクリラート、トリメトキシシリルプロピルアクリラート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリラート、グリシジルプロピルトリメトキシシラン、または2,3−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランが挙げられうる。
【0063】
次いで、溶媒での逐次的洗浄によって、基体110に結合していない残留する酸感受性コポリマーが下層120の表面から洗浄される。洗浄のための溶媒には、官能基を損傷しない溶媒が挙げられることができ、またはこれは結合した酸感受性コポリマー122の置き換えを望ましくなくもたらすであろう。典型的な溶媒には、トルエン、アニソール、PGMEA、シクロヘキサノンまたは残留している酸感受性コポリマーを除去できる溶媒が挙げられうる。残留している酸感受性コポリマーが表面上に留まる場合には、この残留している酸感受性コポリマーは後に適用される自己組織化層に取り込まれる場合があり、これは結果的に相分離したドメインの形成を失敗させる場合がある。
【0064】
次いで、下層120は化学線の照射によってパターン形成される。図1Cに示されるように、この実施形態においては、下層120の表面上に感光層130が配置され、レチクルもしくはマスク140を通して照射されて、感光層130に照射のパターンを形成する。感光層130は照射によって酸を形成するように分解しうる光酸発生剤(示されていない)を含む。感光層130は使用される化学線に対して感受性のフォトレジストであり得る。例えば、照射がマスクを通して193nmの波長のUV光で行われる場合には、感光層130はポジ型193nmフォトレジストであり得る。あるいは、照射はe−ビームによるような直接描画方法によってなされることもでき(この場合、感光層130はe−ビーム放射線に対して感受性である)、または、インターフェロメトリー(interferometry)のような他の光学技術によって達成されてもよい。また、図1C(および後の図1D〜1J)においても、dは、照射領域および未照射領域を含む照射パターンの繰り返し部分の照射面にわたるインターバル幅を表す。
【0065】
図1Dは照射後の図1Cの構造を示す。図1Dにおいては、照射された感光層130aは非照射部分132aおよび照射部分131aを含む。照射後、照射部分131aに含まれる光酸発生剤は分解して酸133a(H+)を形成し、次いで、この酸は隣の下層120の領域に拡散し、酸感受性コポリマー122に浸透し、酸感受性基123と相互作用する。拡散は層110、120および130aの照射された構造体を、例えば、ホットプレート上で80〜140℃の温度で、10〜120秒の時間でベークすることにより行われる。オーブンが使用されてもよい。ベーク工程中に酸133aは、下にある隣の下層120の部分をはじめとする全ての方向にランダムに拡散する。拡散のためのベーク工程の温度および時間は照射中に発生した酸によって決定されるであろうことが理解される。例えば、発生した酸が小さな流体力学的体積を有する場合(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸)には、照射中に生じた酸が相対的により大きな流体力学的体積を有する場合(例えば、ペルフルオロブタンスルホン酸)に使用されるよりもベーク温度はより低くてよく、および/またはベーク時間はより短くてもよい。酸133aは下層120全体に完全に拡散する必要はなく、下層120の表面もしくは表面付近の酸感受性基と相互作用するのに充分で、酸133aと接触する下層120の領域の表面エネルギーに影響を及ぼすのに充分な程度に下層に浸透するだけでよいことも認識される。
【0066】
図1Eは、酸の拡散および酸分解可能基123の分解の後で、図1Dに示される上にある照射領域に対応する拡散領域において極性基124を形成している、パターン形成された下層120aを示す。本明細書において使用される場合、「に対応する」とは、パターン形成された下層120aの拡散領域が図1Dにおける感光層130aの照射領域131aと同じ形状およびインターバルdであることを意味する。
【0067】
次いで、図1Fはパターン形成された下層120aの表面上での自己組織化層140の配置を示す。自己組織化層140は異なる表面エネルギーを有するブロックを有するブロックコポリマーを含むことができ、これらブロックは相分離し、かつ少なくとも1つのブロックはパターン、すなわち、パターン形成された下層120aの極性基124を有する領域に対して整列した離散したドメインを形成する。自己組織化層140は溶媒からのスピンキャスティングによって溶液として適用され、キャスティング後にベーキングによって加熱されて残留する溶媒を除去しかつ自己組織化層をコンパクトにしアニールする。ブロックコポリマーのブロックを秩序化するためのポリマー鎖の移動性を必要とするドメイン形成は、加熱中の可塑化溶媒の喪失と同時に起こり、個々のブロックの鎖の秩序化は秩序化された円筒形もしくはラメラ構造を形成すると考えられる。
【0068】
図1Gはパターン形成された下層120aの極性領域(極性基124を有する)に対して整列したドメイン141a、およびパターン形成された下層120aの中性領域(分解されていない酸分解可能基123を有する)に対しておよび極性ドメイン141aに対して整列した中性ドメイン142aを有する、パターン形成された自己組織化層140aを示す。
【0069】
照射領域のインターバルは図1C〜図1Jにおいてdで示され、dは照射領域および未照射領域の双方を含む照射パターンの繰り返し部分の照射表面を横切るインターバル幅を表す。図1Gは、ドメイン141aと142aとを合わせた幅w(示されていない)に対応するインターバルdを有するパターンを例示する。図1Hに示される他の実施形態のパターンにおいては、まばらなパターン、すなわち、合わせたドメインの幅と1:1(d:w)対応するものではなく、元の照射パターン幅dがドメインを合わせた幅wよりも大きいパターン(例えば、1:2(d:w)、1:3(d:w)、1:4(d:w)など)が使用されうる。
よって、インターバルdは合わせたドメインの幅wと一致していてよく、または幅wを超えていてもよい(例えば、図1Hは1:2(d:w)の比率を示す)ことが理解される。
【0070】
図1Hにおいては、まばらなパターンが使用される場合には、自己組織化層140bの極性ドメイン143bはまばらにパターン形成された下層120bの極性領域(極性基124を有する)に対して整列しており、非極性ドメイン141bは極性ドメイン143bに対して整列する。第2の極性ドメイン144bは非極性ドメイン141bに対して整列し、そこではまばらにパターン形成された下層120bの不充分な極性領域が存在し、別の非極性ドメイン142bが第2の極性ドメイン144bに対して整列する。次いで、このパターンがウェハにわたって繰り返される。この方法においては、まばらなパターンは、自己組織化ブロックコポリマーのドメイン形成傾向と組み合わせて、ガイドとして使用され、下層に完全なパターンを照射および転写する必要なしにパターンを増やすことができる。密なライン/スペース解像を照射工程で得るのが困難な場合に、または照射工程が長期にわたりかつ時間を消費する工程である(例えば、e−ビーム直接描画が使用される)場合に、この方法は特に効果的である。
【0071】
図1Iはパターンの形成を示す。図1Gからの自己組織化層140a(または、同様に、図1Hからの140b)のドメインは選択的に除去されて、ポジ型領域151aおよびスペース152aを有するパターン層150aを形成する。
【0072】
図1Iもしくは1Jのいずれにおいても、ブラシコポリマー層120aの下層非極性領域(図1I)もしくは極性領域(図1J)は除去されることもできる。除去はウェット化学処理、例えば、ブロックの溶解、ウェットエッチング、または酸もしくは塩基現像剤を用いた現像によるものであってよく、または選択的ドライエッチングプロセスにより達成されうる。
【0073】
上記方法および構造は、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)のような密なライン/スペースパターンまたはハードドライブにおけるようなデータ記憶のための密なフィーチャを必要とするメモリ素子をはじめとする半導体素子の製造に使用されうる。このような素子は例示であり、これに限定されると解釈されるべきではないことが理解される。
本発明は以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0074】
Maruzen Corporationから得られた10,000〜25,000のMw、2未満の多分散度(Mw/Mn)を有するポリヒドロキシスチレン(PHS)以外は、下層として評価される全てのポリマー組成物は以下に記載されるように製造された。ポリマー組成物は、13C核磁気共鳴(NMR)分析によっておよびゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特徴付けられた。NMRスペクトルは緩和剤として0.9%のアセチルアセトン酸クロム(III)を含むクロロホルム−dもしくはアセトン−d6中に溶解したサンプルを使用して集められ、1Hスペクトルデータは10秒のパルスディレイでの400MHz Varian INOVAスペクトロメーターを用いて得られ、13Cスペクトルデータはクリオプローブおよび5秒のパルスディレイを用いて300MHz Varian INOVAもしくは400MHz Bruker AVANCE 400NMRスペクトロメーターを用いて得られた。
【0075】
スチレン、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)およびアクリル酸tert−ブチル(tBA)のランダムコポリマーがテトラヒドロフラン(THF)中で30重量%固形分でフリーラジカル重合により合成された。全てのコポリマーは以下の手順を使用して製造された。モノマーはチャージされ、反応混合物は30分間脱ガスされ、次いで、50℃で平衡化された。平衡化の後で、ターゲットの1.50モル%のVAZO52開始剤の80%が添加された。反応は67℃で1時間加熱され、その後で開始剤の残りの20%が添加された。還流下で一晩温度が維持された。次いで、96:4(w/w)比のヘプタン/イソプロパノール(IPA)溶液中に沈殿させることによりポリマーが単離され、そのポリマーは濾過により集められ、重量が一定になるまで乾燥させられた。ポリマーのtBA含量が12モル%より多い場合には、ヘプタン/IPA混合物は沈殿前に少なくとも1時間ドライアイスで冷却された。
【0076】
ポリスチレン標準品で較正された架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを用い、1mg/mlのサンプル濃度、溶離液としてTHFを1ml/分の流速で35℃で使用するゲル浸透クロマトグラフィによって、ポリマーの数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)が決定された。
【0077】
自己組織化コポリマーとしての検討に使用されるポリスチレン−b−ポリ(メタクリル酸メチル)(PS−b−PMMA)コポリマーはアニオン重合によって以下のように合成された。オーブン乾燥された1リットル3つ口丸底フラスコが脱気、窒素パージされ、磁気攪拌バー、窒素/真空入口、サーモウェルおよび隔壁ポートを取り付けた。このフラスコに、乾燥THF(400mL)および精製スチレン(27.8g、0.27モル)をカニューレを介して添加し、この混合物を−70℃に冷却した。sec−ブチルリチウム(0.71gの0.47mモル/g溶液)をカニューレを介して素早く添加し、直ちに−40℃まで発熱した。反応混合物は橙/赤色になった。反応を30分間継続させて、次いで、5mLの乾燥THFに溶解したジフェニルエチレン(0.21g、1.22mモル)がこの反応物に添加され、その際に反応物は直ちに暗赤色に変わった。30分後、20mLの乾燥THF中のメタクリル酸メチル(12.79g、0.13モル)の溶液が−70℃の反応混合物に添加され、その後暗赤色から淡黄色への色の変化を伴って−62℃まで発熱した。30分後、2mLの無水メタノールが添加されて反応をクエンチした。ポリマー溶液は周囲温度まで温められ、反応混合物を1400mLの攪拌メタノールに注いだ。沈殿した固体が濾過により単離され、真空オーブンで60℃で16時間、重量が一定になるまで乾燥させられ、白色ポリマーとしてのポリマーを23g(57%収率)得た。
【0078】
(メタ)アクリラートポリマーは2−ヘプタノンに溶解され(全溶液重量を基準にして2重量%)、前処理されていない30cmシリコンウェハ上に、1500rpmで30秒間でキャストされ、次いで、150℃で60秒間ソフトベークされ、溶媒を除去し、膜を凝結させた。下層はアニール工程において、ホットプレート上での160℃、4時間のベークによってさらに処理され、酸分解可能(メタ)アクリラートポリマーを下層に共有結合させた。次いで、下層は2−ヘプタノンで2回すすがれて、結合していない酸分解可能(メタ)アクリラートポリマーを除去した。原子間力顕微鏡(AFM)による、生じた下層の厚さの測定は6〜7nmの膜厚さを示した。
【0079】
接触角はクラウス(KRUSS)DSA測定ツールで、Sessile Drop法によって水(18オームの脱イオン水)およびヨウ化メチレン(CH2I2)の双方を用いて測定された。極性成分および分散成分の双方を含む表面エネルギーは、Fowkeの方法(Owens−Wendt法の変法)を用いてこれらの溶媒のそれぞれの接触角から計算された。表面エネルギーの結果はミリジュール/平方メートル(mJ/m2)の単位で報告される。
【0080】
実施例1〜4の典型的な酸感受性(メタ)アクリラートコポリマーおよび比較例3の比較コポリマーは、表1におけるモル比のスチレン、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸t−ブチルから上記方法に従ってラジカル重合によって製造された。比較例1については市販のポリヒドロキシスチレン(PHS)が使用され、そして比較例2のポリスチレン−b−ポリ(メタクリル酸メチル)ジブロックコポリマーは上述の方法によって製造されたことに留意されたい。
【0081】
【表1】
aポリ(スチレン−b−メタクリル酸メチル)コポリマー
【0082】
ブラシ層は表1におけるポリマーについて上述のように製造された。表1に認められるように、100%ポリヒドロキシスチレンの組成を有し、酸分解可能基を含まないポリマー(比較例1)は、自己組織化層に使用されるポリスチレン−b−ポリ(メタクリル酸メチル)の典型的なジブロックコポリマー(比較例2)のと同等の極性比率(polarity ratio)、ならびに分散および極性表面エネルギーを示す。実施例1〜4はそれぞれ、酸分解可能基(t−BA)、分散性官能基(スチレン、略してSTY)、およびヒドロキシ官能化反応性基(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、略してHEMA)を含み、並びに実施例1および2はそれぞれフィラーモノマー(メタクリル酸メチル、略してMMA)をさらに含む。比較例6はSTY、HEMAおよびMMAを含むがt−BAを含まない。実施例1、2および4に認められうるように、より多くの量(10モル%以上)のHEMAを含むことは表面エネルギーの極性成分を増大させ、結果的に分散および極性表面エネルギー、並びに得られる極性比率について比較例2との緊密な適合からはずれるこれらのコポリマーを生じさせ、よって実施例1、2および4は非中性であり、対照の比較例2に対して非中性の表面を形成する。
【0083】
しかし、実施例3の組成は同じ分散表面エネルギー(36mJ/m2)および類似の極性表面エネルギー(実施例3については7mJ/m2、これに対して比較例2については6mJ/m2)および極性比率(実施例3については0.16、これに対して比較例2については0.14)を有しており、よって比較例2と実施例3とは非常に適合し互いに中性である。
【0084】
下記構造:
【化11】
を有する実施例3のターポリマーが2−ヘプタノン(全溶液重量を基準にして2重量%)中に溶解され、上述のようにコーティングされてブラシ層を形成した。下層を酸処理するために、193nmフォトレジストが使用された。下層の上にフォトレジスト(EPIC商標2340フォトレジスト、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズから入手可能)が180nmの膜厚さで適用されて、110℃で60秒間ベークされた。次いでウェハは、6.6mm×6.6mmフィールドサイズにわたって360nmピッチで180nmのコンタクトホールのアレイからなるバイナリーレチクルを用いて露光された。コンタクトホール露光は露光ツール(ASML PAS 5500/1100 193nmスキャナー、ASMLにより製造)について0.75の最大開口数(NA)での環状照明を用いた。露光後、フォトレジストは120℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド中で60秒間で現像された。次いで、フォトレジストは2−ヘプタノンを用いて除去された。
【0085】
次いで、一般構造:
【化12】
を有する比較例2のブロックコポリマーが2−ヘプタノン(全溶液重量を基準にして2重量%)に溶解され、すでに実施例3のポリマーを含む下層でコーティングされ、上記方法によって像形成された30cmウェハ上に約100nmの厚さにスピンキャストされ、そして250℃で30分間ベークされ、自己組織化層をアニールし、円筒としての相分離ドメインを提供した。
【0086】
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、タッピングモードで0.5Hzの走査速度で、〜270Hzのドライブ周波数でPS−b−PMMAコポリマー構造が分析された。検出されたフィーチャのd−間隔はパワースペクトル密度(PSD)プロファイルから決定された。
【0087】
サンプル上に円筒形ドメインを有するサンプルは、次いで、AFMによって画像化された。図2は、1μm×1μmスキャン領域におけるウェハのAFM像を示す。円筒形ドメインが図中に認められることができる。それぞれの円筒形ドメインは直径約0.06μm(60nm)、ドメイン間の全間隔0.12μmで、1:1ピッチであった。よって、図2Aおよび2Bには、ほぼ同じ極性比率を有し、かつ互いに中性であるように適合した酸感受性メタクリラートコポリマー組成物は、露光された上塗りフォトレジスト中のコンタクトホールパターンに発生した酸が下層に拡散することにより画定された極性領域に対して整列した相分離したドメインを提供することができることが認められうる。
【0088】
本明細書において開示される全ての範囲は端点を含み、その端点は互いに独立に組み合わせ可能である。本明細書において使用される場合、「組み合わせ」はブレンド、混合物、合金もしくは反応生成物を含む。
【0089】
さらに、本明細書における用語「第1」、「第2」などは順序、品質もしくは重要性を示すものではなく、1つの要素を他のものと区別するために使用されることにさらに留意すべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 未改変半導体基体
101 基体材料
102 ヒドロキシ基
110 改変半導体基体
111 半導体材料
120 下層
120a 下層
122 酸感受性コポリマー
122a 未反応の酸感受性コポリマー
123 酸感受性基
130 感光層
130a 照射された感光層
131a 照射部分
132a 非照射部分
133a 酸
124 極性基
225 光酸発生剤
226 酸
140 レチクルもしくはマスク、自己組織化層
140a、b 自己組織化層
141a 極性ドメイン
141b 非極性ドメイン
142a 中性ドメイン
142b 非極性ドメイン
143b 極性ドメイン
144b 極性ドメイン
150a パターン層
151a ポジ型領域
152a スペース
【背景技術】
【0001】
この出願は2010年10月4日に出願された米国仮出願第61/389,559号のノンプロビジョナルであり、その仮出願の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ブロックコポリマーはフォトリソグラフィプロセスを必要とせずにパターンを形成する誘導自己組織化(directed self−assembly)プロセスに使用されうる。ブロックコポリマーは中性および極性領域を有する中性またはパターン形成された表面上で組織化することによりパターンを形成することができる。このような中性もしくはパターン形成された表面はポリマーブラシ化層の使用によって利用可能にされうる。
【0003】
ポリマーブラシは、例えば、半導体材料から形成された基体の表面に固定されたポリマー鎖である。この表面は望まれる組成を有するポリマーブラシ前駆体を使用して、所望の厚さおよび表面エネルギーに反応的に改変される。ランダムコポリマーブラシ層の組成は所望の中性表面を提供するように変えられる。(異なる重合メカニズムが必要とされる、またはブラシコポリマーの組成ではないなどの)各ブロックの繰り返し単位のランダムコポリマーを合成するのは実現不可能な、自己組織化が可能なブロックコポリマーについては、ブラシコポリマーにおける末端基官能化もしくは反応性基含有モノマーの組み込みが行われてきた(例えば、P.Mansky,Y.Liu,E.Huang,T.P.Russell,C.Hawker,”Controlling polymer surface interaction with random copolymer brushes(ランダムコポリマーブラシとのポリマー表面相互作用の制御)”、Science、275、1458(1997)を参照)。
【0004】
ブラシコポリマーへのこのような組成の改変はグラフト化のための官能性部位を提供するように設計される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】P.Mansky,Y.Liu,E.Huang,T.P.Russell,C.Hawker,”Controlling polymer surface interaction with random copolymer brushes(ランダムコポリマーブラシとのポリマー表面相互作用の制御)”、Science、275、1458(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、表面極性をリソグラフィ的に変え、よってその面上に自己組織化層が形成されうるパターン形成された面を形成するように、ブラシポリマー組成を調節することの当該技術分野における開示はない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態においては、光酸発生剤を含む感光層において当該感光層の一部分を照射することにより発生した酸を、酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含む隣の下層の部分に拡散させる工程、前記アタッチメント基は基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、感光層は下層の表面上に配置されており、拡散させる工程は下層および感光層を加熱することを含み、下層中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して下層の表面に極性領域を形成し、前記極性領域はパターンの形状を有する;
感光層を除去する工程;
下層の表面上に自己組織化層を形成する工程、前記自己組織化層は極性領域に対する親和性を有する第1のブロックと、極性領域に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、第1のブロックは極性領域に対して整列する第1のドメインを形成し、および第2のブロックは第1のドメインの隣に整列する第2のドメインを形成する;並びに
第1のもしくは第2のドメインのいずれかを除去して下にある下層の部分を露出させる工程;
を含むパターンを形成する方法の提供を通じて、先行技術の欠点は克服され、かつ追加の利点が提供される。
【0008】
別の実施形態においては、下層は式:
【化1】
の酸感受性コポリマーを含み、式中、R1はC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7はそれぞれ独立して芳香族基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0〜0.9であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1であり、酸感受性コポリマーはアタッチメント基を介してアルコキシド結合によって基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の親水性表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、並びに前記酸分解可能基はターシャリーアルキルエステル基、アセタール基、ケタール基、カルボナート基または前記酸分解可能基の少なくとも1種を含む組み合わせである。
【0009】
別の実施形態においては、自己組織化多層膜は下層および自己組織化層を含み、前記下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含み、前記下層はアタッチメント基を介して、基体の親水性表面に配置および共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、前記下層の表面の部分は分解した酸分解可能基を有し、下層のパターン形成された表面を形成しており、前記自己組織化層は下層のパターン形成された表面上に配置されており、前記自己組織化層は分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性を有する第1のブロックと、分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、第1のブロックは分解した酸分解可能基を有する下層の部分に整列した第1のドメインを形成しており、並びに第2のブロックは第1のドメインの隣に並んで整列した下層の表面上の第2のドメインを形成している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1B】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1C】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1D】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1E】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1F】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1G】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1H】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1I】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図1J】図1A〜1Jは上塗りされた感光層から下層に酸が拡散される一実施形態における、下層上にパターンを形成する典型的な方法を示す。
【図2】図2は、円筒形自己組織化ドメインを有するようにパターン形成された下層上の典型的なパターン形成された自己組織化ブロックコポリマー層の原子間力顕微鏡(AFM)像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の上述のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面と共に示される以下の詳細な記載から明らかである。
【0012】
本明細書において開示されるのは新規のコポリマー下層であり、場合によっては本明細書において、ブロックコポリマーの誘導自己組織化のための、単に下層と称される。この下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含むランダムコポリマーを含む。下層の表面上に形成される自己組織化ブロックコポリマーのと適合するように表面エネルギーを調節するようにこれらモノマーの比率は調節可能である。下層コポリマーは半導体基体、例えば、天然酸化物もしくは熱で生じた酸化物を伴うシリコン、二酸化チタン層などをはじめとする基体の親水性表面に結合されてブラシ(brush)層を形成することができ、ポリマー間架橋で架橋されてマット(mat)層を形成することができ、または表面結合および架橋の双方を形成して、架橋した表面結合マット層を提供することができる。
【0013】
光酸発生剤を含むフォトレジストのような感光層を下層に上塗りし、パターンマスクを通して感光層を露光し、加熱して感光層の照射部分で光発生した酸を下にある下層に拡散させ、並びに感光層を除去することにより、下層にパターンが形成される。感光層の露光パターンは接近した(密な、または半密な)間隔の線、破線もしくは点のフィーチャ、間隔の広い線、破線もしくは点のまばらなパターン、または照射されたフィーチャの組み合わせであり得る。
【0014】
本方法はパターン形成された下層をブロックコポリマーで上塗りし、ブロックコポリマーをアニールすることをさらに伴い、その結果、1つのブロック相は酸で分解された官能基を含む下層の脱保護部分上に整列するように分かれる。次いで、ブロックコポリマーのブロックは、例えば、熱、光化学、溶媒、もしくはプラズマ方法を用いて除かれて、パターンを形成する。
【0015】
下層は酸感受性コポリマーを含む。酸感受性コポリマーは構成部分として、酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む。
【0016】
構成基の相対的比率は、表面エネルギーおよび濡れ性をはじめとするこれらの基の特性の望ましいバランスが脱保護前の酸感受性コポリマーについて、よって脱保護の前の下層について、または下層が脱保護されない領域において得られるように選択される。特に、酸感受性コポリマーが脱保護されていない場合には、酸感受性コポリマーを含む下層はブロックコポリマーに基づく自己組織化層に向かう中性表面エネルギーを有する。本明細書において使用される場合、「中性」とは、(脱保護前の、もしくは脱保護が起こらなかった領域における)下層の表面エネルギーがブロックコポリマーの少なくとも1つのブロックのと実質的に同じであることを意味する。さらに、構成基の割合は、脱保護前の下層の層中性度、および脱保護後の酸感受性コポリマーの領域の極性をはじめとする特性の望ましいバランスが達成され、その結果パターン形成された表面上に配置されたブロックコポリマーがその表面の極性領域に対して整列したブロックによって相分離したドメインを形成するであろうように選択される。
【0017】
酸分解可能基は充分な活性の酸と接触することにより化学的に分解されうる基である。ある実施形態においては、酸分解可能基はエステル基、アセタール基、ケタール基、ピロカルボナート基もしくは前記酸分解可能基の少なくとも1種を含む組み合わせを含むC1−30酸分解可能基である。あるいは、酸分解可能基は架橋剤もしくは架橋可能基でありうる。
【0018】
特定の実施形態においては、酸分解可能基はC4−30ターシャリーアルキルエステルである。典型的には、C4−30ターシャリーアルキル基には、2−(2−メチル)プロピル(「t−ブチル」)、2−(2−メチル)ブチル、1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、2−メチルアダマンチル、2−エチルアダマンチル、もしくは上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。特定の実施形態においては、酸分解可能基はt−ブチル基もしくはエチルシクロペンチル基である。
【0019】
アタッチメント基は基体への結合を形成できる反応性官能基を含む基でありうる。この結合は基体へのイオン性、配位(例えば、金属−配位子結合による)または共有結合でありうる。好ましくは、この結合は共有結合である。アタッチメント基はヒドロキシ、チオール、第一級アミンもしくは第二級アミン置換された直鎖もしくは分岐C1−30アルキル、C3−30シクロアルキル、C6−30アリール、C7−30アルカリール、C7−30アルアルキル、C1−30ヘテロアルキル、C3−30ヘテロシクロアルキル、C6−30ヘテロアリール、C7−30ヘテロアルカリール、C7−30ヘテロアルアルキルまたはこれらの基の少なくとも1種を含む組み合わせでありうる。本明細書において使用される場合、接頭辞「ヘテロ」とは、他に特定されない限りは、炭素でなく水素でない原子、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ホウ素、酸素、窒素、ケイ素もしくはリンをいう。典型的なアタッチメント基には、3−アミノプロピル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルまたは4−ヒドロキシフェニルが挙げられる。これらの官能基の代わりに、またはこれらの官能基に加えて、他の反応性官能基が含まれることができ、基体の表面への酸感受性コポリマーの結合を容易にすることができる。典型的なこのようなアタッチメント基には、モノ−、ジ−およびトリアルコキシシラン基、例えば、3−プロピルトリメトキシシラン(トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリラートと他のモノマーとの共重合により得られる)、グリシジル基(グリシジル(メタ)アクリラートとの共重合により得られる)または反応性ストレインド(strained)環、例えば、ベンゾシクロブタン(「BCB」、例えば、ビニルベンゾシクロブタンとの共重合によって得られる)が挙げられ、この反応性ストレインド環は開環して反応性ジエンを形成することができ、この反応性ジエンが基体の表面上のオレフィン基と反応でき、またはポリマー中の他の開環したBCB基と反応してダイマーを形成できる。本明細書において使用される場合、「(メタ)アクリラート」とはアクリラート、メタクリラートもしくはこれらの組み合わせをいう。アタッチメント基は基体の表面にイオン、配位もしくは共有結合することができ、ポリマー間架橋を形成する(架橋した膜もしくはマットを形成する)ことができ、または基体の表面に共有結合しかつポリマー間架橋を形成することができる。
【0020】
酸感受性コポリマーの中性度を調節するために含まれる官能基は、直鎖もしくは分岐C1−30アルキル、C3−30シクロアルキル、C6−30アリール、C7−30アルカリール、C7−30アルアルキル、C1−30ヘテロアルキル、C3−30ヘテロシクロアルキル、C6−30ヘテロアリール、C7−30ヘテロアルカリール、C7−30ヘテロアルアルキル、またはこれらの基の少なくとも1種を含む組み合わせでありうる。特定の実施形態においては、官能基は芳香族である。官能基は非置換であってよく、またはハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素;ヒドロキシ基;構造−N(R’)2(式中、各R’は独立してH、環式もしくは非環式C1−30アルキルもしくはC3−30アリール、または縮合C2−30アルキルもしくはC3−30アリールである)を有するアミノ基;シアノ基;チオール;スルフィド;ケイ素含有基、例えば、C1−30アルキルシランもしくはC6−30アリールシラン;カルボキシル含有基、例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルもしくはアミド;エーテル;または上述の少なくとも1種を含む組み合わせをはじめとするさらなる官能基で置換されていてもよい。典型的な実施形態においては、官能基はフェニル、4−メトキシフェニル、ヒドロキシフェニル、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、もしくは上述の少なくとも1種を含む組み合わせであり得る。酸分解可能基、アタッチメント基および官能基は対応する官能化スチレン、オレフィン、ビニルもしくは(メタ)アクリラートモノマーの共重合により組み込まれうると理解される。
【0021】
ある実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(1):
【化2】
の構造を有し、式中、R1はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7は独立して芳香族基もしくはエステル基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0から0.9未満であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1である。特定の実施形態においては、モル分率wは0.05〜0.65であり、モル分率xは0.35〜0.95であり、モル分率yおよびzは0〜0.90であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1である。
【0022】
具体的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(2):
【化3】
の構造を有し、式中、R9はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−20酸分解可能基であり、R10はHもしくはC1−30アルキル基であり、R2、R4、およびR6は独立してH、メチル、エチルもしくはフェニルであり、モル分率xは0.05〜0.65であり、モル分率yは0.35〜0.95であり、モル分率zは0〜0.9であり、モル分率x、yおよびzの合計は1である。
【0023】
典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(3):
【化4】
を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.35〜0.95であり、モル分率aおよびbの合計は1である。
【0024】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(4):
【化5】
を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.20〜0.80であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0025】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(5):
【化6】
を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.20〜0.80であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0026】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(6):
【化7】
の構造を有し、式中、R11はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−20酸分解可能基であり、R12はC1−30ヒドロキシ含有基であり、R13はH、C1−10アルキル、もしくはC1−10アルコキシであり、R2、R4、およびR6は独立してH、メチル、エチルもしくはフェニルであり、モル分率xは0.05〜0.65であり、モル分率yは0.35〜0.95であり、モル分率zは0〜0.90であり、モル分率x、yおよびzの合計は1である。
【0027】
典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(7):
【化8】
の構造を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.2〜0.8であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0028】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(8):
【化9】
の構造を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.2〜0.8であり、モル分率a、bおよびcの合計は1である。
【0029】
別の典型的な実施形態においては、酸感受性コポリマーは式(9):
【化10】
の構造を有し、式中、モル分率aは0.05〜0.65であり、モル分率bは0.15〜0.75であり、モル分率cは0.2〜0.8であり、モル分率dは0.1〜0.6であり、モル分率a、b、cおよびdの合計は1である。
【0030】
酸感受性コポリマー組成物の溶液を基体に接触させることにより下層が形成される。ある実施形態においては、下層は酸感受性コポリマー組成物を基体表面上に直接配置して、基体への結合(例えば、イオン性、配位もしくは共有)をもたらすことにより形成される下層である。あるいは、別の実施形態においては、下層の代わりに、基体に共有結合されているかまたは共有結合されていないマット層が使用されうる。このマット層は、酸感受性コポリマーに加えて、架橋性成分、および必要な場合には触媒を含むことができる。ある実施形態においては、架橋性成分は架橋剤であり得る。典型的な酸触媒架橋剤には、テトラメトキシメチルもしくはテトラブトキシメチルグリコールウリルのようなアルコキシメチルグリコールウリル架橋剤が挙げられる。架橋剤が酸触媒架橋剤である場合には、p−トルエンスルホン酸のような酸もしくはそのアンモニウム塩、または熱酸発生剤、例えば、p−トルエンスルホン酸のp−ニトロフェニルエステルが含まれうる。あるいは、酸感受性コポリマー自体がさらに、それ自体ともしくはそのポリマー中の別のモノマー上の別の官能基、例えば、ヒドロキシもしくはカルボン酸基と架橋を形成することができるモノマーを含むことができる。典型的なこのような架橋性モノマーには、エポキシ含有モノマー、例えば、上述のような、グリシジル(メタ)アクリラート、もしくはトリアルコキシシラン含有モノマー、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリラートが挙げられる。追加の成分を必要とするマット層が使用される場合には、酸感受性コポリマーは50〜100重量%、具体的には60〜99重量%、より具体的には70〜95重量%、さらにより具体的には70〜90重量%の量で存在することができる。マット層においても、架橋剤は0〜50重量%、具体的には1〜40重量%、より具体的には5〜30重量%、さらにより具体的には10〜30重量%の量で存在することができる。触媒は、使用される場合には、0.1〜5重量%の量で含まれうる。全ての量はマット層の全固形分量を基準にしている。
【0031】
下層の接触はスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティングもしくはドクターブレーディングによって行われうる。ある実施形態においては、基体は半導体基体であり、接触はスピンコーティングによる。スピンコーティングは酸感受性ブラシコポリマーの溶液を回転する半導体基体の表面上に分配することを含む。酸感受性コポリマーは膜形成に有用な溶媒中に、スピンコーティングおよび膜形成に有用な濃度で溶解される。典型的な溶媒には、これに限定されないが、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、乳酸エチル、アニソール、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ジアセトンアルコールもしくは上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられうる。酸感受性コポリマーの濃度は40重量%以下であることができ、ある実施形態においては、0.1〜30重量%、具体的には0.5〜20重量%、さらにより具体的には1〜10重量%であることができる。
【0032】
下層特性もしくはコーティング特性をはじめとするさらなる特性を与えもしくは増大させるための添加剤が酸感受性コポリマーの溶液中に含まれることができる。添加剤には、追加のポリマー、光酸発生剤、熱酸発生剤、界面活性剤、例えば、フッ素化界面活性剤、ポリアルキレンオキシ界面活性剤、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびこれらのコポリマー;可塑剤の溶解速度抑制剤(すなわち、水性塩基に不溶性の化合物);溶解速度向上剤(すなわち、水性塩基に可溶性の化合物);架橋剤;触媒;光硬化剤;接着促進剤;アミンクエンチャー添加剤(例えば、拡散を制限するため);または上記添加剤の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられうる。
【0033】
使用される場合には、スピンコーティングは基体直径および他の要因、例えば、膜厚さに応じて変化し、スピンコーティングは500〜4000rpm、具体的には800〜3000rpm、より具体的には1000〜2500rpmの回転速度で行われうる。
【0034】
次いで、下層はホットプレート上でベークされて溶媒を除き、膜内の自由体積を低減させることにより膜を凝結させる。膜のベークは50〜200℃、具体的には60〜175℃、より具体的には70〜150℃の温度で行われうる。このようなベークのための具体的な時間は30秒〜5分間、より具体的には30秒〜3分間、さらにより具体的には30秒〜2分間である。下層は100〜300℃、具体的には125〜275℃、より具体的には150〜250℃の温度でベークすることによってさらにアニールされうる。アニールのための具体的な時間は5分〜10時間、より具体的には10分〜8時間、さらにより具体的には15分〜6時間である。
【0035】
上塗り感光層において発生した酸を隣の下層の部分に移動させることにより下層がパターン形成される。移動は熱プロセスによる拡散によって行われる。ある実施形態においては、本方法は光酸発生剤を含む感光層を下層の表面上に堆積させ、感光層にパターンの化学線を照射して露光領域に酸を発生させ、並びに酸を下にある隣の下層の部分に拡散させることを含む。
【0036】
酸を拡散させることは、感光層の一部分を照射した後で下層および感光層を加熱してパターンを形成することを含む。次いで、下層中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して、パターンの形状および寸法を有する極性領域を下層の表面に形成する。
【0037】
感光層は照射により拡散可能な酸を発生させ、後に除去されうる感光性組成物を含むことができる。ある実施形態においては、感光層は光酸発生剤を含む。
【0038】
感光層の露光部分で光酸発生剤により生じた拡散可能な酸は固有のpKaを有し、および下層の酸感受性基と反応して分解するように拡散するのに充分な(必要な場合には)下層内での移動度(拡散性)を有する限りは、あらゆる好適な光酸発生剤が感光層に含まれうる。
【0039】
よって、光酸発生剤の分解からの光発生酸は3以下、具体的には1以下、さらにより具体的には0以下のpKaを有することができる。光酸発生剤は250℃以下の温度で10分間以下の期間で熱的に安定でもなければならない。
【0040】
感光層に含まれる光酸発生剤は理論的に、副生成物を伴うことなく、好適な波長の光の量子の吸収の際に1当量の酸を発生させることができる。感光層に有用な光酸発生剤にはアリールベースのオニウム塩が挙げられ、例えば、モノ−、ジ−およびトリアリールホスホニウム塩、モノ−およびジアリールヨードニウム塩、スルホナートエステル、例えば、ナジミドスルホナート、芳香族ケトン、例えば、ベンゾイン誘導体、または上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。ある実施形態においては、(例えば、ナジミドスルホナートエステルと比べて)高い熱安定性を有するモノ−、ジ−もしくはトリアリールスルホニウム塩、またはモノ−もしくはジアリールヨードニウム塩のようなアリールベースのオニウム塩が使用される。典型的な光酸発生剤には、メタンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフル酸)、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、ペルフルオロエチルシクロヘキサンスルホン酸、シクロ(1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニウム)イミドのような酸のトリフェニルスルホニウム、n−オクチルフェニル(ジフェニル)スルホニウム、およびジ−t−ブチルフェニルヨードニウム塩、もしくはナジミドスルホナートエステル、または上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0041】
有用な光酸発生剤の具体的な例には、トリフル酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、o−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ペルフルオロベンゼンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、シクロ(1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニウム)イミド酸トリフェニルスルホニウム、トリフル酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、ペルフルオロブタンスルホン酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、o−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、ペルフルオロベンゼンスルホン酸ジ−t−ブチルフェニルヨードニウム、または上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0042】
感光層はパターンの化学線で照射される。光酸発生剤による酸を生じさせるのに有用な化学線が使用され、感光層中に使用される光酸発生剤は使用される放射線波長に対して感受性であることが理解されるであろう。化学線は、例えば、10〜400nmの波長を有する紫外(UV)光であることができ、その具体的な例は、365nmのi線放射線、248nm、193nm、157nmでの深紫外(DUV)放射線、および10〜15nmの極UV放射線;x線;または電子ビーム(e−ビーム)である。
【0043】
具体的な実施形態においては、感光層は光酸発生剤を含むフォトレジストである。フォトレジストは、例えば、それぞれ248nmもしくは193nmの波長で照射される、DUVフォトレジストまたは193nmフォトレジストでありうる。
【0044】
照射により感光層上に形成されるパターンは、密なピッチ、すなわち、ライン幅:スペース幅の比率1以上:1(例えば、1.1:1、1.2:1、1.5:1、2:1など)、1未満:1(例えば、1:1.5)の半密(semi−dense)ピッチ、または1以下:2(例えば、1:3、1:4など)のピッチを有するまばらなパターンを有する規則的なパターンを形成するフィーチャを有することができる。
【0045】
切れ目のない線を使用して得られるであろうような連続パターンを使用するのではなく、破線もしくは点のパターンのような低い解像技術を使用して、下層の中性表面上にまばらなパターンが形成されうる。これらのパターン上にドメインを形成する際に、このドメインは線に対してだけでなく、破線および/または点に対しても整列し、並びに断続的なパターン領域上に形成されるドメインに対してドメインがサイズおよび形状の規則性を伴って整列する能力のせいで、整列したドメインは連続パターン上に形成されるものと同等のパターンを形成することができる。
【0046】
有利なことに、高いラインエッジ粗さおよびライン幅粗さを有する線もしくは破線の使用はアニール中に「自己回復」メカニズムでのドメイン整列において、欠陥を修正することができる。さらに、電子ビームリソグラフィを伴う用途においては、破線および/または点線を描くことは、実線を描くよりもより少ない描画時間しか必要としない(および/またはより少ないエネルギー量しか必要としない)。よって、ある実施形態においては、感光層の照射領域は破線および/または点など、非連続であってよい。このような非連続線を伴うまばらな化学パターンを製造するためのコストおよび時間はそれぞれ有利に低減されうる。よって、ある実施形態においては、照射されるパターンは破線および/または点を含む非連続であることができる。この破線および/または点の間隔および配置は、非連続パターン上に形成されるドメインが組織化して、欠陥を最小限にしつつドメインの連続パターンを形成するものである。
【0047】
ある実施形態においては、感光層が使用される場合には、感光層内で発生した酸は、次いで、対応する下にある下層の部分に拡散する。この拡散の工程は横(すなわち、基体の面内)および垂直(すなわち、基体の面に対して垂直)方向の拡散が制御されて、感光層内のパターンを含む照射部分の表面x−y寸法に直接関連する酸の移送をもたらすような時間および温度で熱処理することにより行われる。
【0048】
ある実施形態においては、感光層と下層の間で酸を拡散させる熱処理はホットプレートによって、オーブン/炉によって、または他の加熱方法によって行われうる。好ましくは、熱処理はウェハ処理およびコーティングトラックにおいてホットプレート上で加熱することにより行われる。ホットプレートによる加熱は空気下で、もしくは不活性雰囲気中で、例えば、窒素もしくはヘリウム下で行われうる。熱処理は250℃以下の周囲温度で、温度および拡散要件に応じて数秒〜数時間の期間で行われることができる。具体的な実施形態においては、熱処理がホットプレート上で行われる場合には、基体は70〜250℃、具体的には75〜200℃、より具体的には80〜175℃、さらにより具体的には90〜150℃加熱される。このような熱処理のための時間は、10秒〜10分間、より具体的には20秒〜5分間、さらにより具体的には30秒〜3分間、さらにより具体的には30秒〜2分間でありうる。
【0049】
光発生酸が感光層から拡散した後で、感光層は下層の表面から除去される。このような除去はウェット方法、例えば、ストリッピングもしくは現像、またはドライ方法によって、例えば、酸素、窒素もしくはアルゴンプラズマまたは他のプラズマのようなプラズマを使用する灰化によって、または選択な光分解とその後のウェットもしくはドライ方法によって達成されうる。ある実施形態においては、除去の工程は感光層を有機溶媒、水性塩基溶液、もしくは上述の少なくとも1種の組み合わせを含む剥離剤と接触させることを含む。
【0050】
次いで、露光領域において下層に拡散した酸は、その拡散部分の酸感受性コポリマーの酸分解可能基を分解して、パターン形成される下層の極性領域を画定する極性基を形成する。光発生酸に曝露されないパターン形成される下層上の領域(すなわち、酸が拡散されなかった下層の領域)は中性のままである。別の実施形態においては、露光領域において下層に拡散した酸は、例えば、架橋することによって中性領域の形成を触媒するように機能することができ、そして未露光領域は極性であってよい
【0051】
次いで、パターン形成された下層の表面上に自己組織化層が形成される。自己組織化層は下層の極性領域に対する親和性を有する第1のブロック、および下層の極性領域に対する親和性を有しない第2の分散(「中性」とも称される)ブロックを有するブロックコポリマーを含む。本明細書において使用される場合、「に対する親和性を有する」とは第1のブロックが極性領域と適合した表面エネルギーであり、かつキャストおよびアニール中に移動性の第1のブロックが選択的に極性領域上に堆積しかつ極性領域に対して整列するように極性領域に引き付けられる。この方法においては、第1のブロックは下層上に第1のドメインを形成し、それは下層の極性領域に対して整列している(すなわち、酸分解可能基の分解によって形成されるパターンに整列している)。同様に、下層の極性領域に対する親和性がより低いブロックコポリマーの第2の分散ブロックは第1のドメインの隣に整列した下層上の第2のドメインを形成する。本明細書において使用される場合、「ドメイン」とは、ブロックコポリマーの対応するブロックによって形成されるコンパクトな結晶質もしくは半結晶質領域であって、この領域はラメラもしくは円筒形であってよく、かつ下層の表面の面に対して垂直で、かつ下にある下層の表面と少なくとも部分的に接触していることを意味する。ある実施形態においては、このドメインは1〜100nm、具体的には5〜75nm、さらにより具体的には10〜50nmの最も短い平均寸法を有しうる。
【0052】
このブロックは概して、あらゆる好適なドメイン形成性ブロックであることができ、このブロックに別の似ていないブロックが結合されうる。ブロックは様々な重合性モノマーから得られることができ、このブロックには、これに限定されないが、ポリオレフィン、例えば、ポリジエン、ポリエーテル、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、またはこれらのランダムもしくはブロックコポリマー;ポリ((メタ)アクリラート)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノゲルマン、もしくはFe、Sn、AlもしくはTiをベースにした重合性有機金属モノマーから製造される有機金属ポリマー、例えば、ポリ(オルガノフェニルシリルフェロセン)が挙げられうる。
【0053】
ある実施形態においては、ブロックコポリマーのブロックはモノマーとして、C2−30オレフィンモノマー、C1−30アルコールから生じる(メタ)アクリラートモノマー、無機物含有モノマー、例えば、Fe、Si、Ge、Sn、Al、Tiまたは上述の少なくとも1種を含む組み合わせをベースにしたものを含む。具体的な実施形態においては、ブロックに使用するのに典型的なモノマーには、C2−30オレフィンモノマー、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、もしくはα−メチルスチレンが挙げられることができ;並びに、(メタ)アクリラートモノマーとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、または(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルが挙げられうる。これらのモノマーの2種以上の組み合わせが使用されうる。
【0054】
ホモポリマーである典型的なブロックには、スチレンを用いて製造されたブロック(すなわち、ポリスチレンブロック)、もしくは(メタ)アクリラートホモポリマーブロック、例えば、ポリ(メチルメタクリラート)が挙げられることができ;典型的なランダムブロックには、例えば、ランダムに共重合されたスチレンおよびメタクリル酸メチルのブロック(例えば、ポリ(スチレン−co−メタクリル酸メチル))が挙げられ;並びに、典型的な交互コポリマーブロックには、大抵の条件下で無水マレイン酸が単独重合できないせいで、スチレン−無水マレイン酸2分子繰り返し構造を形成することが知られているスチレンおよび無水マレイン酸のブロック(例えば、ポリ(スチレン−alt−無水マレイン酸))が挙げられうる。このようなブロックは例示的なものであり、限定するものとして見なされるべきではないことが理解される。
【0055】
有用なブロックコポリマーは少なくとも2つのブロックを含み、別個のブロックを有するジブロック、トリブロック、テトラブロックなどのコポリマーであってよく、そのそれぞれのブロックはホモポリマー、またはランダムもしくは交互コポリマーであってよい。典型的なブロックコポリマーには、ポリスチレン−b−ポリビニルピリジン、ポリスチレン−b−ポリブタジエン、ポリスチレン−b−ポリイソプレン、ポリスチレン−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン−b−ポリアルケニル芳香族、ポリイソプレン−b−ポリエチレンオキシド、ポリスチレン−b−ポリ(エチレン−プロピレン)、ポリエチレンオキシド−b−ポリカプロラクトン、ポリブタジエン−b−ポリエチレンオキシド、ポリスチレン−b−ポリ((メタ)アクリル酸t−ブチル)、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリ(メタクリル酸t−ブチル)、ポリエチレンオキシド−b−ポリプロピレンオキシド、ポリスチレン−b−ポリテトラヒドロフラン、ポリスチレン−b−ポリイソプレン−b−ポリエチレンオキシド、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メタクリル酸メチル−b−ジメチルシロキサン)、ポリ((メタ)アクリル酸メチル−r−スチレン)−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリ((メタ)アクリル酸メチル−r−スチレン)−b−ポリスチレン、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−r−スチレン)−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−r−スチレン)−b−ポリエチレンオキシド、ポリイソプレン−b−ポリスチレン−b−ポリフェロセニルシラン、または上述のブロックコポリマーの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0056】
ブロックコポリマーは望ましくはさらなる処理を行いやすい全体分子量および多分散度を有する。ある実施形態においては、ブロックコポリマーは10,000〜200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。同様に、ブロックコポリマーは5,000〜200,000の数平均分子量(Mn)を有する。ブロックコポリマーは1.01〜6の多分散度(Mw/Mn)も有しうる。ある実施形態においては、ブロックコポリマーの多分散度は1.01〜1.5、具体的には1.01〜1.2、さらにより具体的には1.01〜1.1である。分子量は、MwおよびMnの両方とも、例えば、ユニバーサルキャリブレーション方法を用いたゲル浸透クロマトグラフィおよびポリスチレン標準に対する較正によって決定されうる。
【0057】
ある実施形態においては、ブロックコポリマーは溶液から下層のパターン形成された表面上にスピンキャストされて、下層のその表面上に自己組織化層を形成する。アニーリングプロセスにおいて、ブロックコポリマーは250℃以下、もしくはそれより高い温度に8時間以上加熱されて溶媒を除去し、かつドメインを形成する。このドメインは、第1のブロックが極性領域に整列した下層上の第1のドメインを形成し、かつ第2のブロックが第1のドメインの隣に整列した下層上の第2のドメインを形成する。下層の照射部分がまばらなパターンを形成し、よって第1および第2のドメインのインターバル間隔よりも大きなインターバルで極性領域の間隔が開けられる場合には、追加の第1のおよび第2のドメインが下層上に形成され、まばらなパターンのインターバル間隔を満たす。追加の第1のドメインは、整列の対象となる極性領域なしでも、その代わりにすでに形成されている第2の(分散)ドメインに対して整列し、かつ追加の第2のドメインは追加の第1のドメインに対して整列する。
【0058】
次いで、第1もしくは第2のドメインのいずれかを除去して、下にある下層の部分を露出させることによりレリーフパターンが形成される。ある実施形態においては、除去工程はウェットエッチング方法、現像もしくはプラズマ、例えば酸素プラズマを使用するドライエッチング方法によって達成される。
【0059】
ある実施形態の典型的な方法が図1A〜1Jに示される。以下に示される実施形態はブラシ層のものであるが、その代わりに、下層は酸感受性コポリマーと架橋剤とを含み、基体に結合されていてもされていなくてもよいマット層であってよいと理解される。図1Aは基体材料101に結合したヒドロキシ基102を有する未改変半導体基体100を示す。ある実施形態においては、ヒドロキシ基102はSi−OH基(この場合、基体はSiO2を含む)もしくはTi−OH基(この場合、基体はTiO2を含む)のような置換可能なヒドロキシ基である。
【0060】
次いで、ポリマーブラシ(すなわち、酸感受性コポリマー)が共有結合によって基体に結合される。図1Bは改変半導体基体110を示し、ここでは、酸感受性基123を有し、かつアルコキシ結合を介して半導体材料111に結合することにより連結されて下層120を形成している酸感受性コポリマー122を含むように半導体材料111は改変されている。酸感受性コポリマーの結合は、例えば、酸感受性基123に加えて、ポリマー骨格の末端基として、もしくは酸感受性ポリマーの側鎖の末端基として、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアタッチメント基(示されていない)を含む酸感受性コポリマー(例えば、酸感受性コポリマーはヒドロキシスチレンモノマー、もしくはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)モノマーを含む)の溶液をスピンキャストすることにより達成される。
【0061】
酸感受性コポリマーは加熱して溶媒を除去し、例えば、ヒドロキシ基(図1Aにおける102)を酸感受性コポリマーのヒドロキシ基で置換することによって結合を生じさせることにより結合される。例えば、形成される結合はSi−O−R結合(Rは酸感受性コポリマーである)であり得る。この方法においては、例えば、形成される結合はSi−O−R結合(Rは酸感受性コポリマーである)であることができる。下層120を結合させるための加熱は、酸感受性ポリマー122を半導体材料111に結合するのに適するあらゆる温度および時間で行われうる。例えば、結合は、70〜250℃の温度で30秒〜2分間の時間でホットプレート上で行われうる。
【0062】
例えば、エポキシ基、エステル基、アミド基、シロキサン基、もしくは(メタ)アクリラート基を介した結合のような、酸感受性ポリマーの結合のための追加のもしくは代替的なモチーフが使用されうることが理解されるであろうし、これらの官能基は酸感受性コポリマー中に存在していてもよいし、または表面処理によって基体の表面に結合されていてもよい。このような典型的な表面処理には、アルファ−オメガ2官能性化合物、例えば、官能性モノ−、ジ−およびトリアルコキシシラン、例えば、メチルジメトキシシリルプロピルアクリラート、トリメトキシシリルプロピルアクリラート、トリメトキシシリルプロピルアクリラート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリラート、グリシジルプロピルトリメトキシシラン、または2,3−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランが挙げられうる。
【0063】
次いで、溶媒での逐次的洗浄によって、基体110に結合していない残留する酸感受性コポリマーが下層120の表面から洗浄される。洗浄のための溶媒には、官能基を損傷しない溶媒が挙げられることができ、またはこれは結合した酸感受性コポリマー122の置き換えを望ましくなくもたらすであろう。典型的な溶媒には、トルエン、アニソール、PGMEA、シクロヘキサノンまたは残留している酸感受性コポリマーを除去できる溶媒が挙げられうる。残留している酸感受性コポリマーが表面上に留まる場合には、この残留している酸感受性コポリマーは後に適用される自己組織化層に取り込まれる場合があり、これは結果的に相分離したドメインの形成を失敗させる場合がある。
【0064】
次いで、下層120は化学線の照射によってパターン形成される。図1Cに示されるように、この実施形態においては、下層120の表面上に感光層130が配置され、レチクルもしくはマスク140を通して照射されて、感光層130に照射のパターンを形成する。感光層130は照射によって酸を形成するように分解しうる光酸発生剤(示されていない)を含む。感光層130は使用される化学線に対して感受性のフォトレジストであり得る。例えば、照射がマスクを通して193nmの波長のUV光で行われる場合には、感光層130はポジ型193nmフォトレジストであり得る。あるいは、照射はe−ビームによるような直接描画方法によってなされることもでき(この場合、感光層130はe−ビーム放射線に対して感受性である)、または、インターフェロメトリー(interferometry)のような他の光学技術によって達成されてもよい。また、図1C(および後の図1D〜1J)においても、dは、照射領域および未照射領域を含む照射パターンの繰り返し部分の照射面にわたるインターバル幅を表す。
【0065】
図1Dは照射後の図1Cの構造を示す。図1Dにおいては、照射された感光層130aは非照射部分132aおよび照射部分131aを含む。照射後、照射部分131aに含まれる光酸発生剤は分解して酸133a(H+)を形成し、次いで、この酸は隣の下層120の領域に拡散し、酸感受性コポリマー122に浸透し、酸感受性基123と相互作用する。拡散は層110、120および130aの照射された構造体を、例えば、ホットプレート上で80〜140℃の温度で、10〜120秒の時間でベークすることにより行われる。オーブンが使用されてもよい。ベーク工程中に酸133aは、下にある隣の下層120の部分をはじめとする全ての方向にランダムに拡散する。拡散のためのベーク工程の温度および時間は照射中に発生した酸によって決定されるであろうことが理解される。例えば、発生した酸が小さな流体力学的体積を有する場合(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸)には、照射中に生じた酸が相対的により大きな流体力学的体積を有する場合(例えば、ペルフルオロブタンスルホン酸)に使用されるよりもベーク温度はより低くてよく、および/またはベーク時間はより短くてもよい。酸133aは下層120全体に完全に拡散する必要はなく、下層120の表面もしくは表面付近の酸感受性基と相互作用するのに充分で、酸133aと接触する下層120の領域の表面エネルギーに影響を及ぼすのに充分な程度に下層に浸透するだけでよいことも認識される。
【0066】
図1Eは、酸の拡散および酸分解可能基123の分解の後で、図1Dに示される上にある照射領域に対応する拡散領域において極性基124を形成している、パターン形成された下層120aを示す。本明細書において使用される場合、「に対応する」とは、パターン形成された下層120aの拡散領域が図1Dにおける感光層130aの照射領域131aと同じ形状およびインターバルdであることを意味する。
【0067】
次いで、図1Fはパターン形成された下層120aの表面上での自己組織化層140の配置を示す。自己組織化層140は異なる表面エネルギーを有するブロックを有するブロックコポリマーを含むことができ、これらブロックは相分離し、かつ少なくとも1つのブロックはパターン、すなわち、パターン形成された下層120aの極性基124を有する領域に対して整列した離散したドメインを形成する。自己組織化層140は溶媒からのスピンキャスティングによって溶液として適用され、キャスティング後にベーキングによって加熱されて残留する溶媒を除去しかつ自己組織化層をコンパクトにしアニールする。ブロックコポリマーのブロックを秩序化するためのポリマー鎖の移動性を必要とするドメイン形成は、加熱中の可塑化溶媒の喪失と同時に起こり、個々のブロックの鎖の秩序化は秩序化された円筒形もしくはラメラ構造を形成すると考えられる。
【0068】
図1Gはパターン形成された下層120aの極性領域(極性基124を有する)に対して整列したドメイン141a、およびパターン形成された下層120aの中性領域(分解されていない酸分解可能基123を有する)に対しておよび極性ドメイン141aに対して整列した中性ドメイン142aを有する、パターン形成された自己組織化層140aを示す。
【0069】
照射領域のインターバルは図1C〜図1Jにおいてdで示され、dは照射領域および未照射領域の双方を含む照射パターンの繰り返し部分の照射表面を横切るインターバル幅を表す。図1Gは、ドメイン141aと142aとを合わせた幅w(示されていない)に対応するインターバルdを有するパターンを例示する。図1Hに示される他の実施形態のパターンにおいては、まばらなパターン、すなわち、合わせたドメインの幅と1:1(d:w)対応するものではなく、元の照射パターン幅dがドメインを合わせた幅wよりも大きいパターン(例えば、1:2(d:w)、1:3(d:w)、1:4(d:w)など)が使用されうる。
よって、インターバルdは合わせたドメインの幅wと一致していてよく、または幅wを超えていてもよい(例えば、図1Hは1:2(d:w)の比率を示す)ことが理解される。
【0070】
図1Hにおいては、まばらなパターンが使用される場合には、自己組織化層140bの極性ドメイン143bはまばらにパターン形成された下層120bの極性領域(極性基124を有する)に対して整列しており、非極性ドメイン141bは極性ドメイン143bに対して整列する。第2の極性ドメイン144bは非極性ドメイン141bに対して整列し、そこではまばらにパターン形成された下層120bの不充分な極性領域が存在し、別の非極性ドメイン142bが第2の極性ドメイン144bに対して整列する。次いで、このパターンがウェハにわたって繰り返される。この方法においては、まばらなパターンは、自己組織化ブロックコポリマーのドメイン形成傾向と組み合わせて、ガイドとして使用され、下層に完全なパターンを照射および転写する必要なしにパターンを増やすことができる。密なライン/スペース解像を照射工程で得るのが困難な場合に、または照射工程が長期にわたりかつ時間を消費する工程である(例えば、e−ビーム直接描画が使用される)場合に、この方法は特に効果的である。
【0071】
図1Iはパターンの形成を示す。図1Gからの自己組織化層140a(または、同様に、図1Hからの140b)のドメインは選択的に除去されて、ポジ型領域151aおよびスペース152aを有するパターン層150aを形成する。
【0072】
図1Iもしくは1Jのいずれにおいても、ブラシコポリマー層120aの下層非極性領域(図1I)もしくは極性領域(図1J)は除去されることもできる。除去はウェット化学処理、例えば、ブロックの溶解、ウェットエッチング、または酸もしくは塩基現像剤を用いた現像によるものであってよく、または選択的ドライエッチングプロセスにより達成されうる。
【0073】
上記方法および構造は、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)のような密なライン/スペースパターンまたはハードドライブにおけるようなデータ記憶のための密なフィーチャを必要とするメモリ素子をはじめとする半導体素子の製造に使用されうる。このような素子は例示であり、これに限定されると解釈されるべきではないことが理解される。
本発明は以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0074】
Maruzen Corporationから得られた10,000〜25,000のMw、2未満の多分散度(Mw/Mn)を有するポリヒドロキシスチレン(PHS)以外は、下層として評価される全てのポリマー組成物は以下に記載されるように製造された。ポリマー組成物は、13C核磁気共鳴(NMR)分析によっておよびゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって特徴付けられた。NMRスペクトルは緩和剤として0.9%のアセチルアセトン酸クロム(III)を含むクロロホルム−dもしくはアセトン−d6中に溶解したサンプルを使用して集められ、1Hスペクトルデータは10秒のパルスディレイでの400MHz Varian INOVAスペクトロメーターを用いて得られ、13Cスペクトルデータはクリオプローブおよび5秒のパルスディレイを用いて300MHz Varian INOVAもしくは400MHz Bruker AVANCE 400NMRスペクトロメーターを用いて得られた。
【0075】
スチレン、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)およびアクリル酸tert−ブチル(tBA)のランダムコポリマーがテトラヒドロフラン(THF)中で30重量%固形分でフリーラジカル重合により合成された。全てのコポリマーは以下の手順を使用して製造された。モノマーはチャージされ、反応混合物は30分間脱ガスされ、次いで、50℃で平衡化された。平衡化の後で、ターゲットの1.50モル%のVAZO52開始剤の80%が添加された。反応は67℃で1時間加熱され、その後で開始剤の残りの20%が添加された。還流下で一晩温度が維持された。次いで、96:4(w/w)比のヘプタン/イソプロパノール(IPA)溶液中に沈殿させることによりポリマーが単離され、そのポリマーは濾過により集められ、重量が一定になるまで乾燥させられた。ポリマーのtBA含量が12モル%より多い場合には、ヘプタン/IPA混合物は沈殿前に少なくとも1時間ドライアイスで冷却された。
【0076】
ポリスチレン標準品で較正された架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを用い、1mg/mlのサンプル濃度、溶離液としてTHFを1ml/分の流速で35℃で使用するゲル浸透クロマトグラフィによって、ポリマーの数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)が決定された。
【0077】
自己組織化コポリマーとしての検討に使用されるポリスチレン−b−ポリ(メタクリル酸メチル)(PS−b−PMMA)コポリマーはアニオン重合によって以下のように合成された。オーブン乾燥された1リットル3つ口丸底フラスコが脱気、窒素パージされ、磁気攪拌バー、窒素/真空入口、サーモウェルおよび隔壁ポートを取り付けた。このフラスコに、乾燥THF(400mL)および精製スチレン(27.8g、0.27モル)をカニューレを介して添加し、この混合物を−70℃に冷却した。sec−ブチルリチウム(0.71gの0.47mモル/g溶液)をカニューレを介して素早く添加し、直ちに−40℃まで発熱した。反応混合物は橙/赤色になった。反応を30分間継続させて、次いで、5mLの乾燥THFに溶解したジフェニルエチレン(0.21g、1.22mモル)がこの反応物に添加され、その際に反応物は直ちに暗赤色に変わった。30分後、20mLの乾燥THF中のメタクリル酸メチル(12.79g、0.13モル)の溶液が−70℃の反応混合物に添加され、その後暗赤色から淡黄色への色の変化を伴って−62℃まで発熱した。30分後、2mLの無水メタノールが添加されて反応をクエンチした。ポリマー溶液は周囲温度まで温められ、反応混合物を1400mLの攪拌メタノールに注いだ。沈殿した固体が濾過により単離され、真空オーブンで60℃で16時間、重量が一定になるまで乾燥させられ、白色ポリマーとしてのポリマーを23g(57%収率)得た。
【0078】
(メタ)アクリラートポリマーは2−ヘプタノンに溶解され(全溶液重量を基準にして2重量%)、前処理されていない30cmシリコンウェハ上に、1500rpmで30秒間でキャストされ、次いで、150℃で60秒間ソフトベークされ、溶媒を除去し、膜を凝結させた。下層はアニール工程において、ホットプレート上での160℃、4時間のベークによってさらに処理され、酸分解可能(メタ)アクリラートポリマーを下層に共有結合させた。次いで、下層は2−ヘプタノンで2回すすがれて、結合していない酸分解可能(メタ)アクリラートポリマーを除去した。原子間力顕微鏡(AFM)による、生じた下層の厚さの測定は6〜7nmの膜厚さを示した。
【0079】
接触角はクラウス(KRUSS)DSA測定ツールで、Sessile Drop法によって水(18オームの脱イオン水)およびヨウ化メチレン(CH2I2)の双方を用いて測定された。極性成分および分散成分の双方を含む表面エネルギーは、Fowkeの方法(Owens−Wendt法の変法)を用いてこれらの溶媒のそれぞれの接触角から計算された。表面エネルギーの結果はミリジュール/平方メートル(mJ/m2)の単位で報告される。
【0080】
実施例1〜4の典型的な酸感受性(メタ)アクリラートコポリマーおよび比較例3の比較コポリマーは、表1におけるモル比のスチレン、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸t−ブチルから上記方法に従ってラジカル重合によって製造された。比較例1については市販のポリヒドロキシスチレン(PHS)が使用され、そして比較例2のポリスチレン−b−ポリ(メタクリル酸メチル)ジブロックコポリマーは上述の方法によって製造されたことに留意されたい。
【0081】
【表1】
aポリ(スチレン−b−メタクリル酸メチル)コポリマー
【0082】
ブラシ層は表1におけるポリマーについて上述のように製造された。表1に認められるように、100%ポリヒドロキシスチレンの組成を有し、酸分解可能基を含まないポリマー(比較例1)は、自己組織化層に使用されるポリスチレン−b−ポリ(メタクリル酸メチル)の典型的なジブロックコポリマー(比較例2)のと同等の極性比率(polarity ratio)、ならびに分散および極性表面エネルギーを示す。実施例1〜4はそれぞれ、酸分解可能基(t−BA)、分散性官能基(スチレン、略してSTY)、およびヒドロキシ官能化反応性基(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、略してHEMA)を含み、並びに実施例1および2はそれぞれフィラーモノマー(メタクリル酸メチル、略してMMA)をさらに含む。比較例6はSTY、HEMAおよびMMAを含むがt−BAを含まない。実施例1、2および4に認められうるように、より多くの量(10モル%以上)のHEMAを含むことは表面エネルギーの極性成分を増大させ、結果的に分散および極性表面エネルギー、並びに得られる極性比率について比較例2との緊密な適合からはずれるこれらのコポリマーを生じさせ、よって実施例1、2および4は非中性であり、対照の比較例2に対して非中性の表面を形成する。
【0083】
しかし、実施例3の組成は同じ分散表面エネルギー(36mJ/m2)および類似の極性表面エネルギー(実施例3については7mJ/m2、これに対して比較例2については6mJ/m2)および極性比率(実施例3については0.16、これに対して比較例2については0.14)を有しており、よって比較例2と実施例3とは非常に適合し互いに中性である。
【0084】
下記構造:
【化11】
を有する実施例3のターポリマーが2−ヘプタノン(全溶液重量を基準にして2重量%)中に溶解され、上述のようにコーティングされてブラシ層を形成した。下層を酸処理するために、193nmフォトレジストが使用された。下層の上にフォトレジスト(EPIC商標2340フォトレジスト、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズから入手可能)が180nmの膜厚さで適用されて、110℃で60秒間ベークされた。次いでウェハは、6.6mm×6.6mmフィールドサイズにわたって360nmピッチで180nmのコンタクトホールのアレイからなるバイナリーレチクルを用いて露光された。コンタクトホール露光は露光ツール(ASML PAS 5500/1100 193nmスキャナー、ASMLにより製造)について0.75の最大開口数(NA)での環状照明を用いた。露光後、フォトレジストは120℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド中で60秒間で現像された。次いで、フォトレジストは2−ヘプタノンを用いて除去された。
【0085】
次いで、一般構造:
【化12】
を有する比較例2のブロックコポリマーが2−ヘプタノン(全溶液重量を基準にして2重量%)に溶解され、すでに実施例3のポリマーを含む下層でコーティングされ、上記方法によって像形成された30cmウェハ上に約100nmの厚さにスピンキャストされ、そして250℃で30分間ベークされ、自己組織化層をアニールし、円筒としての相分離ドメインを提供した。
【0086】
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、タッピングモードで0.5Hzの走査速度で、〜270Hzのドライブ周波数でPS−b−PMMAコポリマー構造が分析された。検出されたフィーチャのd−間隔はパワースペクトル密度(PSD)プロファイルから決定された。
【0087】
サンプル上に円筒形ドメインを有するサンプルは、次いで、AFMによって画像化された。図2は、1μm×1μmスキャン領域におけるウェハのAFM像を示す。円筒形ドメインが図中に認められることができる。それぞれの円筒形ドメインは直径約0.06μm(60nm)、ドメイン間の全間隔0.12μmで、1:1ピッチであった。よって、図2Aおよび2Bには、ほぼ同じ極性比率を有し、かつ互いに中性であるように適合した酸感受性メタクリラートコポリマー組成物は、露光された上塗りフォトレジスト中のコンタクトホールパターンに発生した酸が下層に拡散することにより画定された極性領域に対して整列した相分離したドメインを提供することができることが認められうる。
【0088】
本明細書において開示される全ての範囲は端点を含み、その端点は互いに独立に組み合わせ可能である。本明細書において使用される場合、「組み合わせ」はブレンド、混合物、合金もしくは反応生成物を含む。
【0089】
さらに、本明細書における用語「第1」、「第2」などは順序、品質もしくは重要性を示すものではなく、1つの要素を他のものと区別するために使用されることにさらに留意すべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 未改変半導体基体
101 基体材料
102 ヒドロキシ基
110 改変半導体基体
111 半導体材料
120 下層
120a 下層
122 酸感受性コポリマー
122a 未反応の酸感受性コポリマー
123 酸感受性基
130 感光層
130a 照射された感光層
131a 照射部分
132a 非照射部分
133a 酸
124 極性基
225 光酸発生剤
226 酸
140 レチクルもしくはマスク、自己組織化層
140a、b 自己組織化層
141a 極性ドメイン
141b 非極性ドメイン
142a 中性ドメイン
142b 非極性ドメイン
143b 極性ドメイン
144b 極性ドメイン
150a パターン層
151a ポジ型領域
152a スペース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光酸発生剤を含む感光層において当該感光層の一部分を照射することにより発生した酸を隣の下層の部分に拡散させる工程、
前記下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含み、
前記アタッチメント基は基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、感光層は下層の表面上に配置されており、拡散させる工程は下層および感光層を加熱することを含み、下層中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して下層の表面に極性領域を形成し、前記極性領域はパターンの形状を有する;
感光層を除去する工程;
下層の表面上に自己組織化層を形成する工程、
前記自己組織化層は極性領域に対する親和性を有する第1のブロックと、極性領域に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、
第1のブロックは極性領域に対して整列する第1のドメインを形成し、および第2のブロックは第1のドメインの隣に整列する第2のドメインを形成する;並びに
第1のもしくは第2のドメインのいずれかを除去して下にある下層の部分を露出させる工程;
を含むパターンを形成する方法。
【請求項2】
感光層がポジ型フォトレジストである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸感受性コポリマーの溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、もしくはドクターブレーディングによって基体の表面に接触させる工程、
加熱して溶媒を除去し、かつ酸感受性コポリマーのアタッチメント基と親水性表面との間に共有結合を形成する工程、並びに
下層の表面を溶媒で洗浄して、結合していないブラシコポリマーを除去する工程、
を含む工程により下層が形成される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
自己組織化層を形成する工程が、ブロックコポリマーの溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、もしくはドクターブレーディングによって下層の表面に接触させる工程、およびアニールして溶媒を除去し、かつ第1のドメインおよび第2のドメインを形成する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
選択的な照射が、レチクルを通した化学線に感光層を露光することによって、または感光層上へのe−ビーム照射によるパターンの直接描画によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
下層の照射される部分が、第1のドメインおよび第2のドメインのインターバル間隔よりも大きなインターバルを有するまばらなパターンを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記まばらなパターンのインターバル間隔を満たすように下層上に形成される追加の第1のドメインおよび第2のドメインであって、極性領域に対してではなく第2のドメインに対して整列する前記追加の第1のドメイン、および前記追加の第1のドメインに対して整列する前記追加の第2のドメインをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸感受性コポリマーが式:
【化1】
を有し、式中、R1はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7は独立して芳香族基もしくはエステル基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0〜0.9であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式:
【化2】
の酸感受性コポリマーを含む下層であって、
式中、R1はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7は独立して芳香族基もしくはエステル基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0〜0.9であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1であり、
前記酸感受性コポリマーはアタッチメント基を介してアルコキシド結合によって基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の親水性表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、並びに
前記酸分解可能基はターシャリーアルキルエステル基、アセタール基、ケタール基、カルボナート基または前記酸分解可能基の少なくとも1種を含む組み合わせである
下層。
【請求項10】
下層および自己組織化層を含む自己組織化多層膜であって、
下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含み、
下層はアタッチメント基を介して、基体の親水性表面に配置および共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、
下層の表面の部分は分解した酸分解可能基を有し、下層のパターン形成された表面を形成しており、
自己組織化層は下層のパターン形成された表面上に配置されており、
自己組織化層は分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性を有する第1のブロックと、分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、
第1のブロックは分解した酸分解可能基を有する下層の部分に整列した第1のドメインを形成しており、並びに第2のブロックは第1のドメインの隣に並んで整列した下層の表面上の第2のドメインを形成している、
自己組織化多層膜。
【請求項1】
光酸発生剤を含む感光層において当該感光層の一部分を照射することにより発生した酸を隣の下層の部分に拡散させる工程、
前記下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含み、
前記アタッチメント基は基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、感光層は下層の表面上に配置されており、拡散させる工程は下層および感光層を加熱することを含み、下層中の酸感受性コポリマーの酸感受性基は拡散した酸と反応して下層の表面に極性領域を形成し、前記極性領域はパターンの形状を有する;
感光層を除去する工程;
下層の表面上に自己組織化層を形成する工程、
前記自己組織化層は極性領域に対する親和性を有する第1のブロックと、極性領域に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、
第1のブロックは極性領域に対して整列する第1のドメインを形成し、および第2のブロックは第1のドメインの隣に整列する第2のドメインを形成する;並びに
第1のもしくは第2のドメインのいずれかを除去して下にある下層の部分を露出させる工程;
を含むパターンを形成する方法。
【請求項2】
感光層がポジ型フォトレジストである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸感受性コポリマーの溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、もしくはドクターブレーディングによって基体の表面に接触させる工程、
加熱して溶媒を除去し、かつ酸感受性コポリマーのアタッチメント基と親水性表面との間に共有結合を形成する工程、並びに
下層の表面を溶媒で洗浄して、結合していないブラシコポリマーを除去する工程、
を含む工程により下層が形成される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
自己組織化層を形成する工程が、ブロックコポリマーの溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、もしくはドクターブレーディングによって下層の表面に接触させる工程、およびアニールして溶媒を除去し、かつ第1のドメインおよび第2のドメインを形成する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
選択的な照射が、レチクルを通した化学線に感光層を露光することによって、または感光層上へのe−ビーム照射によるパターンの直接描画によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
下層の照射される部分が、第1のドメインおよび第2のドメインのインターバル間隔よりも大きなインターバルを有するまばらなパターンを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記まばらなパターンのインターバル間隔を満たすように下層上に形成される追加の第1のドメインおよび第2のドメインであって、極性領域に対してではなく第2のドメインに対して整列する前記追加の第1のドメイン、および前記追加の第1のドメインに対して整列する前記追加の第2のドメインをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸感受性コポリマーが式:
【化1】
を有し、式中、R1はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7は独立して芳香族基もしくはエステル基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0〜0.9であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式:
【化2】
の酸感受性コポリマーを含む下層であって、
式中、R1はターシャリーアルキルエステル基を含むC1−30酸分解可能基であり、R3はヒドロキシ基を含むC1−30アタッチメント基であり、R5およびR7は独立して芳香族基もしくはエステル基を含むC1−30官能基であり、R2、R4、R6およびR8は独立してHもしくはC1−10有機基であり、モル分率wおよびxは0.001〜0.999であり、モル分率yおよびzは0〜0.9であり、モル分率w、x、yおよびzの合計は1であり、
前記酸感受性コポリマーはアタッチメント基を介してアルコキシド結合によって基体の親水性表面に共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の親水性表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、並びに
前記酸分解可能基はターシャリーアルキルエステル基、アセタール基、ケタール基、カルボナート基または前記酸分解可能基の少なくとも1種を含む組み合わせである
下層。
【請求項10】
下層および自己組織化層を含む自己組織化多層膜であって、
下層は酸分解可能基、アタッチメント基および官能基を含む酸感受性コポリマーを含み、
下層はアタッチメント基を介して、基体の親水性表面に配置および共有結合されているか、架橋されてポリマー間架橋を形成しているか、または基体の表面に共有結合されかつ架橋されてポリマー間架橋を形成しており、
下層の表面の部分は分解した酸分解可能基を有し、下層のパターン形成された表面を形成しており、
自己組織化層は下層のパターン形成された表面上に配置されており、
自己組織化層は分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性を有する第1のブロックと、分解した酸分解可能基を有する下層の表面の部分に対する親和性が第1のブロックよりも低い第2のブロックとを有するブロックコポリマーを含み、
第1のブロックは分解した酸分解可能基を有する下層の部分に整列した第1のドメインを形成しており、並びに第2のブロックは第1のドメインの隣に並んで整列した下層の表面上の第2のドメインを形成している、
自己組織化多層膜。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図2】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図2】
【公開番号】特開2012−78828(P2012−78828A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−211852(P2011−211852)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211852(P2011−211852)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】
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