説明

下方のアッパー領域内にベンチレーションを有する靴と、そのために使用可能な空気透過性のスペーサ形成物

アッパー構造体(12)とソール(14)を有する靴(10)であって、アッパー構造体(12)がアッパー上材料(16)と、アッパー底内に配置された空気透過性の層(40)とを有しており、空気透過性の層(40)がアッパー構造体(12)のソール側の下方の領域内でソール(14)の上方に配置されており、空気透過性の層(40)が、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元の構造を有する。アッパー上材料(16)のソール側の下方の周面領域内に、少なくとも1つの空気通過開口部(20)が配置されており、空気通過開口部が、空気透過性の層(40)を介して周囲と空気透過性の層(40)との間で空気を交換することができるように、空気透過性の層(40)と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足裏の下方にベンチレーションを有し、足の下方の層を通して汗の水分を逃がして空調快適性を向上させる靴に関する。
【背景技術】
【0002】
初期の頃には、靴は、ソール領域において、皮革のようなアウトソール材料を使用することにより、呼吸活動とも称される、ある程度の水蒸気透過性を有し、ソール領域に水がしみこむ欠点を伴うか、あるいは靴は、ソール領域において、ゴムまたはゴムに似たプラスチックのような水密の材料からなるアウトソールを使用することにより、水密ではあるが、水蒸気を通さず、足裏領域に汗の水分が集まる欠点を有している。
【0003】
比較的最近においては、アウトソールに透孔をあけて、その透孔を、アウトソールの内側に配置された水密で水蒸気を通す膜によって覆うことにより、足裏領域が水密であると共に水蒸気を通す靴を形成したので、外部から靴の内部へ水は侵入できないが、足裏領域に生じる汗の水分は、靴の内部から外側へ逃げることができる。その場合に、2つの異なる解決方法が辿られた。アウトソールにその厚みを貫通する透孔を設けて、その透孔を介して汗の水分を靴の内部からアウトソールの接地面へ案内することができるようにするか、あるいはアウトソールに水平の通路を設けて、その通路を介してアウトソールの上方に集まった汗の水分がアウトソールの側周面を介して逃げることができるようにするというものである。
【0004】
アウトソールがその厚みを貫通する垂直の透孔を有する、第1の解決方法の例を示すのは、特許文献1、2および3である。特許文献1に示すアウトソール複合体は、マイクロパーフォレーションを備えた下方のソール部分、同様にパーフォレーションを備えた上方のソール部分、そしてその間に水密の、水蒸気を通す膜を有している。特許文献2に記載の靴においては、アウトソールは、より著しい水蒸気透過性を得るために、比較的大面積の垂直の透孔を有しており、かつ膜を機械的に保護するために、膜とアウトソールとの間に水蒸気を透過する保護層が配置されている。特許文献3に記載の靴においては、アウトソールは、より著しい水蒸気透過性を得るために、比較的大面積の垂直の透孔を有しており、その透孔が、水蒸気を透過する保護層によって閉鎖されている。この種のアウトソールは、水密のアッパー構造体に固定されており、それによって水密の靴が得られる。
【0005】
アウトソールが、その接地面に対して平行に延びる、水平の通気通路を有する、第2の解決方法の例は、たとえば特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7から知られている。
【0006】
特許文献4に示す靴においては、アウトソールの、接地面から離れる方を向いた側において、その外周面に立ち上がるアウトソール端縁が設けられており、そのアウトソール端縁が、水平の、すなわち接地面に対して平行に延びるマイクロパーフォレーションによって貫通されている。アウトソール端縁の内部に形成された空間内に、アウトソールから立ち上がって横方向に延びるウェブを有するスペーサ部材が配置されており、そのスペーサ部材は、アウトソールと一体的に形成することができる。アウトソール端縁の内部かつアウトソールから間隔をおいて、スペーサ部材に属するインナーバンドが配置されており、そのインナーバンドも同様に、水平に延びる透孔によって貫通されている。スペーサ部材の上方に、水蒸気を透過するマウンティングソールまたはインソールが配置されており、その外周領域の下へ、水蒸気を透過する材料からなるアッパーのタックインフラップが打ち込まれており、そのタックインフラップは、スペーサ部材のインナーバンドの内側に位置している。水平のマイクロパーフォレーションを有するアウトソール端縁と水平の透孔を有するインナーバンドとの間に、水密の、水蒸気を透過する膜が配置されており、その膜は、アウトソールの内側からほぼ垂直に高く延びている。この膜によって、一方で、水が、ウェブ間とさらに靴内部空間内へ浸透しないようにされるが、他方では、靴内部空間からウェブ間へ達した汗の水分は、理論的に靴上部構造の外側まで達する。もちろんその場合に、汗の水分は、膜だけでなく、アウトソール端縁のマイクロパーフォレーション、インナーバンドの透孔およびアッパー材料も通過しなければならない。
【0007】
特許文献5の場合においては、アウトソールは、接地面から離れた側において、一方で、外周面に立ち上がる端縁ウェブを有し、その上側に端縁ウェブを貫通する排気通路が形成されており、ソール領域において端縁ウェブの内部に半球状の突出部を有している。アウトソールの上側に、上方のソールエレメントが配置されており、それが、アウトソールの端縁ウェブと突出部の上に載置され、水密で水蒸気を透過する膜によって覆われた、アウトソールの突出部を有する領域の延びとほぼ等しい延びを有する、水蒸気を透過する領域を有している。アウトソールと、アウトソールの突出部が設けられているソールエレメントとの間の空間に集まる汗の水分は、理論的に、アウトソールの端縁ウェブ内の排気通路を介して逃げることができる。
【0008】
特許文献6は、アウトソールの内側から立ち上がる外周端縁を備えたアウトソールを有する靴を示しており、その外周端縁が水平の、従ってアウトソールの接地面に対して水平に延びる排気通路によって貫通されている。アウトソールは、アッパーに固定されており、そのアッパーが、ソール側の下方のアッパー領域を有し、その下方のアッパー領域が、多孔のマウンティングソールの周面領域の下側と結合されたタックインフラップを有している。タックインフラップの内部に形成された空間内で、マウンティングソールの下側に水密の、水蒸気を透過する膜が配置されている。立ち上がる外周端縁の内部に形成されるアウトソール空間内に、空気を透過する、繊維によって構築された、たとえばフェルトからなる材料が配置されている。多孔のマウンティングソールと膜を通して空気を透過する材料内へ達した汗の水分は、アウトソールの外周端縁の水平の排気通路を介して外の環境へ拡散することができる。しかし、通気通路を通って空気を透過する材料内へ達した水分は、マウンティングソールを通して靴の内部空間へ達することを、膜によって阻止される。アウトソールの内側には、釘保護プレートが設けられているので、この靴は、安全靴として適している。
【0009】
特許文献7からは、上述した2つの解決方法を組み合わせた靴が知られている。この靴のソール構造は、多孔のマウンティングソール、靴内部空間へ向いた上側に水平に延びる、アウトソール周面の外側へ向かって開放した水平の溝とこの溝から接地面へ延びる透孔とを備えたアウトソールを有し、かつ、マウンティングソールの下側に配置された水密の、水蒸気を通す膜および膜とアウトソールとの間に配置された、たとえばフェルトからなる保護層を有している。アッパーのソール側の下方の端部領域が、タックインフラップの形式で、マウンティングソールの周端縁領域の下側へ挿入されている。膜は、マウンティングソールと等しい延びを有しているが、保護層は、タックインフラップと同一の平面内に位置し、かつ保護層は、タックインフラップの内側端縁の間だけに延びている。水平に延びる溝は、アウトソールの周面領域において外部環境へ向かって開放している。従って靴内部空間からの汗の水分は、垂直の透孔を介してアウトソールの接地面の外側へも、水平の溝を介して外周側へも拡散することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第号0382904号明細書(EP 0382904 A1)
【特許文献2】欧州特許出願公開第0275644号明細書(EP 0275644 A1)
【特許文献3】独国実用新案第号202007000667明細書(DE 202007000667 UM)
【特許文献4】欧州特許第0479183号明細書(EP 0479183 B1)
【特許文献5】欧州特許第1089642号明細書(EP 1089642 B1)
【特許文献6】欧州特許第1033924号明細書(EP 1033924 B1)
【特許文献7】日本実用新案公報JP16−75205U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特に、そのアウトソールがその厚みを貫通する垂直の透孔を有していないか、あるいは安全上の理由から、たとえば釘保護プレートの必要性によって、有することができない靴において、あるいはまた、そのアウトソールがこの種の垂直の透孔を有している靴においても、足裏の下方の領域内に、足裏領域内の空調快適性を感じられるほど高めることができる、排気システムを設けることが、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この視点において、本発明は、請求項1に記載の靴と、請求項28に記載の、この種の靴に適した空気を透過するスペーサ形成物を提供する。
【0013】
本発明の核心は、層を通して足の下へ達した汗の水分(水蒸気)の効果的な搬出を可能にする、空気を透過するスペーサ形成物によって定められる、足裏下の通気空間である。
【0014】
本発明に基づく靴は、アッパー構造とソールとを有し、アッパー構造は、アッパー上材料とアッパー底内に配置された空気透過性の層とを有している。空気透過性の層は、アッパー構造のソール側の下方の領域内でソールの上方に配置されている。空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気の透過を許す3次元の構造を有している。アッパー上材料は、ソール側の下方の周面領域内に、少なくとも1つの空気通過開口部を有しており、それによって空気を透過する層と靴の外環境との間に、外環境と空気透過性の層との間で空気交換を行うことができるように、接続が形成される。このようにして、アッパー構造体の、空気透過層の上に位置する領域から、たとえば空気透過層を通しての対流的な空気交換によって、熱と水蒸気を搬出することができる。
【0015】
本発明に基づく解決においては、空気透過性の層と組み合わせて汗の水分の効果的な除去を可能にする、少なくとも1つの空気通過開口部は、アウトソール安定性の理由から、そして特に美的理由から、薄いアウトソールを有する靴において、特に大きくすることのできない、アウトソール内にではなく、空気通過孔を問題なく比較的大きくすることができる、アッパー上材料のソール側の下方の周領域内に形成されているので、それによって改良された空気交換と、それに伴って、少なくとも1つの空気通過開口部がアウターソールに形成されている靴の場合よりも、高い水蒸気搬出可能性が得られる。
【0016】
空気透過性の層を有するアッパー構造体は、さらに、少なくとも1つの空気通過開口部と靴内部空間との間に位置決めされた空気透過性の層が、直接アッパー上材料の内側まで延びることができ、かつ、特許文献6と特許文献7におけるように、アッパー上材料のタックインフラップ端縁の間に限定されていない、という利点を有している。たとえば、挟み込み接着された靴においては、空気透過性の層は、接着されたタックインフラップの上方に配置されており、従って足裏の水蒸気と熱のためにより大きな交換面積を提供する。従って、本発明に基づく解決においては、空気透過性の層は、既知の解決の場合よりもずっと大きい面積の広がりと、それに応じた、より大きい交換面およびそれに伴う水蒸気搬出容量を有している。
【0017】
本発明に基づく解決とそれによって達成される高い水蒸気透過および空気交換作用は、乾燥した領域内でのみ使用されるために水密である必要のない靴、たとえば組立工場内の作業靴においても、戸外で使用され、従って場合によっては水分にさらされる靴においても、効果的である。
【0018】
後者の場合のために用いられる、本発明の実施形態においては、アッパー構造体の少なくともソールを向いた下方の領域内に、少なくとも水蒸気透過性の機能層が設けられており、その場合に空気透過性の層は、機能層の下方に配置されている。ある実施形態において、空気透過性の層は、水蒸気透過性の機能層のすぐ下に配置されている。本発明の実施形態において、機能層は、水密かつ水蒸気透過性である。
【0019】
本発明の実施形態においては、アッパー機能層もアッパー底機能層も設けられているので、同時に水密である場合において、靴のアッパーのためにも、アッパー底領域のためにも、水蒸気透過性が得られる。
【0020】
本発明の他の実施形態において、アッパー底領域内に、たとえば機能層ラミネートの形式の、水密かつ水蒸気透過性の層が設けられており、その場合に空気透過性の層は、機能層ないし機能層ラミネートのすぐ下方に配置されている。この実施形態に関連して、本発明の利点は特に、空気透過性の層と協働する少なくとも1つの空気透過性の層によって、空気交換とそれに伴って汗の水分および熱の除去が可能になることにある。水蒸気がまず、足の下側から空気透過性の層まで移動しなければならない、効率を制限する拡散距離は、機能層のできるだけ薄い層構造を選択することによって最小化されて、熱伝達が最大化される。水蒸気が空気透過層に達した場合に、水蒸気は付加的に空気の流れを介して対流で搬出され、それによって機能層の両側の間の水蒸気部分圧差が、永続的に高い水準に維持される。水蒸気は、他の層を克服する必要はない。機能層の両側の間の水蒸気部分圧差は、汗の水分を効果的に除去するための促進力である。水蒸気の他に、対流によって熱も搬出される。アッパーが挟み込まれている場合に、空気透過性の層がアッパー上材料のタックインフラップの上方に配置されていることによって、ほぼ全体のソール面が、水蒸気交換のために提供される。
【0021】
アッパー機能層とアッパー底機能層とを有する、本発明の実施形態において、これらは、アッパー領域がアッパー機能層によって形成され、ソール領域がアッパー底機能層によって形成される、ソックス形状の機能層ブーティの部分である。
【0022】
アッパー機能層とアッパー底機能層とを有する、本発明の他の実施形態において、アッパー機能層とアッパー底機能層は、下方のアッパー領域内で互いに結合さ、かつその共通の境界において互いに水密にシールされている。
【0023】
本発明の実施形態において、アッパー機能層および/またはアッパー底機能層の機能層は、機能層に加えて少なくとも1つのテキスタイル層を有する、多層のラミネートの部分である。しばしば使用されるラミネートは、機能層の一方の側にテキスタイル層、ないしは両側にそれぞれテキスタイル層を有する2層、3層または4層で形成されている。
【0024】
本発明の実施形態において、ラミネートによって、アッパー底機能層ラミネートおよび/またはアッパー機能層ラミネートが構成されている。
【0025】
本発明の実施形態において、機能層は、水蒸気透過性の膜を有している。好ましくは膜は、水密かつ水蒸気透過性である。好ましい実施形態において、機能層は、延伸された微孔のポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)によって構成された膜を有している。
【0026】
本発明の実施形態において、空気透過性の層は、アッパー底機能層の下方に配置されている。
【0027】
本発明の実施形態において、空気透過性の層は、アッパー底機能層のすぐ下方に位置しており、それは、アッパー底機能層が機能層ラミネートの一部である場合について、空気透過性の層が機能層ラミネートのすぐ下方に位置していることを含む。
【0028】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部はアッパー上材料内に次のように、すなわち空気通過開口部が少なくとも部分的に空気透過性の層と同じ高さに位置するように、配置されている。
【0029】
本発明の実施形態において、アッパー上材料の下方の領域内に、足横方向または足縦方向に少なくともほぼ対向する、少なくとも2つの空気通過開口部が配置されている。従って、同様に対流的な空気交換が可能になり、あるいは促進される。空気交換は、靴使用者の外気に対する相対運動によって、著しく促進される。風があり、かつ/または歩いたり、走ったりする場合には、空気交換が促進される。
【0030】
本発明の他の実施形態において、アッパー上材料の下方の周面領域は、アッパー構造体の周面に沿って配置された、多数の空気通過開口部を有している。
【0031】
本発明の実施形態において、アッパー上材料の下方の端部は、別体の空気透過性のアッパー材料を有しており、それが、アッパー上材料に固定されており、従ってアッパー上材料の一部となる。アッパー周面の大部分の回りに、あるいは特にアッパー周面全体の回りに延びる、この空気透過性のアッパー材料は、空気透過性の構造であることに基づいて、多数の空気通過開口部を有している。ある実施形態においては、空気透過性のアッパー材料は、ネットの形式で、アッパー上材料の下方の端部に固定されている。他の実施形態においては、空気透過性のアッパー材料は、多孔性の、あるいは格子状の材料から構成することができる。この空気透過性のアッパー材料は、空気通過開口部がほぼまたは完全にアッパー周面の回りに延びているにもかかわらず、アッパーに必要な形状安定性を与えるように、安定的に形成することができる。
【0032】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、少なくとも50mm2、好ましくは少なくとも100mm2の全面積を有している。
【0033】
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、空気通過開口部を通して、たとえばごみや小石のような異物が侵入することを防止するために、空気通過性の保護材料、たとえば金属あるいはプラスチックからなる保護ネットまたは保護格子によって覆われている。空気透過性の保護材料は、アッパー上材料の下方の周面領域の領域内に、空気透過性の層に沿って、かつ特に空気通過開口部の外側か、あるいは空気通過開口部の内側でアッパー上材料と空気透過性の層との間に、位置している。
【0034】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部が、装置によって閉鎖可能である。この装置は、時に外部のエレメントに対し、少なくともしぶきに対して保護するために用いられるので、水は直接空気通過開口部を通って侵入することはできない。この装置は、移動可能な装置の形式で、たとえばスライダとして、形成することができ、靴の外界と空気透過性の層の間の空気交換を絞り、あるいは阻止するために、そのスライダによって、少なくとも1つの空気通過開口部を部分的または完全に閉鎖することができる。これは、特に温度が低い場合(たとえば冬において)、効果的であり得る。というのは、湿り気の搬出およびそれと結びついた、空気透過性の層を介しての空気交換と結びついた冷却作用によって、強すぎる冷却作用が発生し得るからである。移動可能な装置によって空気通過開口部を閉鎖することにより、極めて湿った環境内を歩行する場合に、過度な水の侵入に対抗することができる。
【0035】
本発明の実施形態において、たとえば空気透過性の層に組み込まれた換気装置または送風機によって、周囲との一定の空気交換がもたらされる。その場合に換気装置の出力は、足のための所望の目標温度を維持するために、自動的に調節される。換気装置は、特に靴と周囲空気の間の相対運動が少ない場合、かつ周囲温度が高い場合に、冷却作用を感じることができるようにするために、必要な場合がある。
【0036】
アッパー上材料のソール側のタックインフラップがマウンティングソールまたはインソールの下側の周端縁上に接着される、挟み込み靴(AGOの名称でも知られる)である、本発明の実施形態において、タックインフラップと、タックインフラップが接着されているマウンティングソールは、空気透過性の層の下方に配置されている。
【0037】
しかし本発明は、挟み込まれたアッパーを有する靴に限定されておらず、どのようにしてアッパー上材料の下方の領域が、アッパー底側の形状にされたアッパー構造体を得るために加工されているかに関係なく、適用することができる。タック−デザインの他に、それ自体知られた他のデザインも適用可能である。例として挙げられるのは、アッパー上材料の下方の領域が、いわゆるストローベル縫目によってマウンティングソールの周面に縫い付けられる、ストローベル−デザイン;アッパー上材料のソール側の端部領域にたとえば螺旋状の摘み皮縫目の形式のひもトンネルが設けられ、それを通して移動可能な縫付けひもが案内されて、その縫付けひもによってアッパー上材料のソール側の端部領域を引き締めることができる、縫付けデザイン(「ストリング−ラスティング("String-Lasting")」とも称される);およびブレードを除くアッパーとアッパー底が、1片のアッパー上材料、大体は皮革、から一体的に形成される、モカシンデザインである。
【0038】
本発明の実施形態において、靴の呼吸活動に寄与するすべてのコンポーネントは、アッパーとソールの間の境界平面の上方に位置している。従って靴のすべてのコンポーネントは、地面に接触するアウトソールを除いて、アッパー構造体の部分である。このアッパー構造体は、完全に形成しておくことができ、その後に時間的かつ場合によっては空間的にも別の、靴を形成する第2の形成ステップにおいて、さらにアウトソールがアッパー構造体に固定される。アウトソールの取付けは、1回の統一的な靴形成において、アッパー構造体の形成の直後に行うことができ、あるいはアッパー構造体の形成によって、まず、それ自体閉鎖された形成ステップが終了し、その後、このようにして得られたアッパー構造体にアウトソールが設けられる。この形成場所は、アッパー構造体が形成されるのと同じ形成建物内にあってもよい。しかし、アッパー構造体にアウトソールが設けられる形成場所は、アッパー構造体のための形成場所とはまったく異なる場所にあってもよいので、アッパー構造体を形成するステップとアッパー構造体にアウトソールを取り付けるステップの間で、形成工程を中断することができ、その間に、その中断の間にできあがったアッパー構造体が、アッパー構造体にアウトソールを取り付けるための形成場所へ移動される。アウトソールがアッパー構造体に固定される前に(これは、たとえば射出形成または接着によって行うことができる)、アッパー底機能層だけでなく、空気透過性の層もアッパー底に固定され、ないしはアッパー底の一部を形成することによって、アウトソールを別にして靴のすべてのコンポーネントがアッパー構造体内に収容されるので、アッパー構造体へのアウトソールの取り付けを担当する形成場所は、このアウトソールの他に何も取り付ける必要はなく、そのためにまったくノーマルな従来の方法と工具で十分である。靴形成のより困難で、より微妙な部分、すなわち機能層と空気透過性の層の取扱いと取付けは、アッパー構造体の形成に、従ってもともと、アウトソールをアッパー構造体に固定するだけの方法ステップにおけるよりも面倒で複雑な方法ステップを必要とする形成段階に、組み込まれる。
【0039】
本発明の実施形態において、ソールにさらに、その厚みを通して延びる、少なくとも1つのソール透孔が設けられる。この実施形態は、その足裏領域内で、少なくとも1つのソール透孔を介して垂直方向にも、アッパー上材料の空気通過開口部を介して水平方向にも、汗の水分と熱を逃がすことが可能な靴をもたらす。さらに、少なくとも1つのソール透孔は、アウトソールの上方の領域内へ達した水分をさらに良く逃がす補助として用いられる。
【0040】
本発明の実施形態において、安全靴を形成するために、アウトソール内またはその上方に、たとえば釘保護プレートの形式の踏抜き保護部材が配置されている。それによって、アウトソール内へ進入することができる、地面上にある、特に釘のような対象が、このアウトソールとその上にある、ソール構造とアッパー底の他の部材を通して靴の内部へ進入して、靴の使用者の足を傷つけることが、防止される。釘のようなこの種の対象は、たとえば鋼板であり、あるいは適切な踏抜き剛性を有するプラスチックプレートである、踏抜き保護部材によって食い止められる。この種の安全靴においては、アウトソールを貫通する透孔は、意味をなさない。というのは、透孔は釘保護プレートによって初めから覆われてしまうので、この種の靴においては、足裏領域における通気とそれに伴う空調快適性の改良のために残るのは、汗の水分を水平に側方へ搬出することのみである。
【0041】
本発明の実施形態において、空気透過性の層は、空気透過性のスペーサ形成物として形成されており、それは、靴の使用者の足によって負荷がかかった場合でも、空気透過性の層が、その上と下にある層の間に、空気透過性の層の空気透過性が維持されるような間隔を維持するように、形成されている。
【0042】
本発明の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、少なくとも部分的に弾性的に撓むように形成されている。それによって、靴の歩行快適性が向上する。というのは、この種の空気透過性のスペーサ形成物によって、歩行の際の踏み出し緩衝とより軽いローリングプロセスが達成されるからである。
【0043】
本発明の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、それぞれの靴の靴大きさに従って最大予測すべき、靴利用者の重量によって最大の負荷がかかった場合に、最大で、この種の最大の負荷においてもまだ、空気透過性の層を形成するスペーサ形成物の空気透過性のほとんどの部分が維持されるだけ、弾性的に撓むように形成されている。空気透過性のスペーサ形成物のためのこの条件つきで、靴の使用者によって負荷がかかった場合に、空気透過性のスペーサ形成物はその空気透過性を失って完全に圧縮されるのではなく、靴の利用者による負荷がかかった場合でも、スペーサ形成物のスペーサ機能とそれに伴って空気透過性を、通気機能にとって十分な程度に維持することが、保証される。
【0044】
本発明の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、第1の載置面を形成する面形成物と、その面形成物から垂直および/または0°と90°の間の角度で離れるように延びる多数のスペーサ部材とを有している。その場合に、スペーサ部材の、面形成物から離れた端部が一緒になって、面形成物から離れた第2の載置面を形成することができる面を定める。
【0045】
本発明の実施形態において、スペーサ形成物のスペーサ部材は、ネップとして形成されており、その場合にそのネップ自由端部が一緒になって、上述した第2の載置面を形成する。
【0046】
本発明の実施形態において、スペーサ形成物は、互いに対して平行に配置された2つの面形成物を有しており、その場合に2つの面形成物がスペーサ部材によって空気を透過するように互いに結合され、かつ距離をもって保持されている。その場合に面形成物の各々が、スペーサ形成物の2つの載置面の1つを形成している。
【0047】
2つの載置面をスペーサ形成物の全部の平坦な広がりにわたって等間隔にするために、すべてのスペーサ部材が同一の長さを有する必要はない。特殊な適用のためには、たとえば足に合った足床を形成するために、スペーサ形成物を種々のゾーン内で、あるいは種々の箇所において、その平面的な広がりに沿って異なる厚みにすると、効果的な場合もある。
【0048】
スペーサ部材は、別々に形成することができ、すなわち、スペーサ部材は、2つの載置面の間で互いに結合されていない。しかしまた、スペーサ部材を2つの載置面間で接触させ、あるいはそれによって形成される接触箇所の少なくとも一部を、たとえば接着剤によって、あるいはスペーサ部材が、たとえば加熱によって接着可能になる材料のような、溶接可能な材料からなることにより、互いに固定する可能性もある。
【0049】
スペーサ部材は、棒状または糸状の個別部材であっても、あるいは複雑な形成物、たとえば枠組みまたは格子組みの一部であってもよい。スペーサ部材は、ジグザグ形状またはクロス格子の形式で互いに結合することもできる。
【0050】
スペーサ部材の材料の選択により、かつ/またはスペーサ部材の傾斜角度の選択により、かつ/または隣接するスペーサ部材が互いに固定される接触箇所の割合および/または使用される枠組みまたは格子組みの形状の選択によって、負荷のもとでもスペーサ形成物の剛性とそれに伴って形状安定性が、それぞれの要請に適合される。
【0051】
本発明の実施形態において、スペーサ形成物は、波形または鋸歯状に形成されている。その場合に、2つの載置面は、スペーサ形成物の上方と下方の波の山ないし上方と下方の歯の頂点によって定められる。
【0052】
本発明の実施形態において、スペーサ形成物は、硬化されたニットによって構成され、その場合に硬化は、接着により(そのために合成樹脂接着剤を使用することができる)行われ、あるいはスペーサ形成物が熱可塑性の材料によって形成されて、それが硬化のためにこの材料を互いに接着する軟化温度まで加熱されることにより、熱的な作用によって行われる。
【0053】
本発明の実施形態において、スペーサ形成物は、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルの材料グループから選択された材料によって構成されている。
【0054】
本発明の実施形態において、スペーサ形成物は繊維によって構成され、その繊維の少なくとも一部が、スペースホルダとして面形成物の間に垂直に配置されている。
【0055】
本発明の実施形態において、繊維は、フレキシブルな変形可能な材料によって形成されている。
【0056】
本発明の実施形態において、繊維は、ポリオレフィン、ポリエステルまたはポリアミドからなる。
【0057】
本発明の実施形態において、面形成物は、開放孔の織られ、編まれあるいはメリヤス編みされたテキスタイル材料によって形成されている。
【0058】
本発明の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、互いに対して平行に配置された2つの空気透過性の面形成物によって形成され、その面形成物は、単繊条または多繊条によって空気を透過するように互いに結合されており、かつ同時に離間している。
【0059】
本発明の実施形態において、面形成物は、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルの材料グループから選択された材料によって形成されている。
【0060】
本発明の実施形態において、スペーサ形成物の単繊条または多繊条の少なくとも一部は、スペースホルダとして面形成物の間にほぼ垂直に配置されている。
【0061】
本発明の実施形態において、単繊条または多繊条は、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルおよび/またはポリアミドからなる。
【0062】
靴のアッパー構造体のアッパー底内に空気透過性の層として使用するために形成された、上述した種類の空気透過性のスペーサ形成物は、自立して進歩的な対象である。
【0063】
空気透過性の層ないしそれを形成する空気透過性のスペーサ形成物は、ベンチレーション層の機能を有しており、そのベンチレーション作用は、空気にとって極めて低い流れ抵抗に基づいている。空気交換が、靴内部空間から靴外側へ、水蒸気の形状の汗の水分を効果的な搬出をもたらす。
【0064】
本発明の他の利点は、本発明に基づく空気透過性の層をアッパー構造体のアッパー底領域内に配置することにより、付加的な修正なしで、従来のソールを使用できることにある。特に山靴とトレッキングシューズにおいて、ソールとアッパー構造体の間の境界領域は、靴の周面に沿って外側から、ゴム性の付加的なソールバンドによってシールされている。このバンドは、空気通過開口部の領域内で、同様に穴開けされていなければならない。シェルソールは、本発明に基づく実施形態のために、たとえば、アッパー材料内の空気通過開口部がシェル端縁の上方に配置されている場合、あるいは付加的なソールバンドの、アッパー上材料の少なくとも空気通過開口部の上に位置する箇所に、1つまたは複数の対応する空気通過開口部が設けられている場合に、使用することができる。
【0065】
少なくとも1つの空気通過開口部は、任意の形状を有することができる。本発明の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、丸い形状を有しており、たとえば円形または楕円形である。しかし、少なくとも1つの空気通過開口部の形状は、角張っていてもよく、たとえば方形または細長い矩形の形状を有することができる。
【0066】
定義
水平、垂直:
それぞれ該当する対象、たとえばソールまたはアッパー構造を見る場合に、この対象が平坦な土台上に載置される、規定通りの位置において、該当する。
【0067】
内側、外側:
内側は、靴内部空間を向いた側;外側は、靴外側へ向いた側を意味する。
【0068】
上、下:
上は、靴のソールの接地面から離れる方向を向いた側を意味し、下は、靴のソールの接地面を向いた側ないし、ここでも土台が平坦であると仮定して、靴が載置される土台を向いた側、を意味する。
【0069】
靴:
履き口を備えた、閉鎖された上部分(アッパー構造体)と少なくとも1つのソールまたはソール複合体とを有する足被覆。
【0070】
アッパー構造体:
履き口を残して足を完全に包囲し、アッパーの他にアッパー底も有している。アッパー構造体は、さらに、たとえば裏地および/または水密、水蒸気透過性の機能層および/または1つまたは複数の絶縁層の形式の、1つまたは複数の内張りを有することができる。
【0071】
アッパー上材料:
アッパーとそれに伴ってアッパー構造体の外側を形成し、たとえば皮革、テキスタイル、プラスチックまたは他の既知の材料およびその組合せからなり、あるいはそれによって構成される、材料。一般に、これらの材料および組合せは、水蒸気を透過する。アッパー上材料のソール側の下方の周面領域は、ソールの上端縁に隣接する領域ないしはアッパーとソールの間の境界領域の上方の領域を記述する。
【0072】
アッパー底:
アッパー構造体のソール側の下方の領域であって、その中でアッパー構造体は完全に、あるいは少なくとも部分的に閉鎖されている。アッパー底は、足裏とアウトソールの間に位置している。タックインアッパーまたはストローベルアッパーを有する靴の場合には、アッパー底は、マウンティングソール(インソール)と協働するように形成することができる。アッパー底は、さらに、アッパー底機能層またはアッパー底機能層ラミネートを有することができ、その場合にこのラミネートは、マウンティングソールの機能も引き受けることができる。
【0073】
マウンティングソール(インソール):
マウンティングソールは、アッパー底の一部であって、それにソール側の下方のアッパー領域が固定される。マウンティングソールは、水蒸気を透過し、たとえばマウンティングソールは、水蒸気透過性の材料から形成され、あるいは、マウンティングソールの厚みを通して形成された開口部(孔、パーフォレーション)によって、水蒸気を透過するように形成されている。マウンティングソールは、150m2xPaxW-1未満の水蒸気透過数Retを有している。水蒸気透過性は、ホーエンシュタイン−スキンモデル(Hohenstein-Hautmodell)に従ってテストされる。このテスト方法は、DIN EN31092(02/94)ないしISO11092(1993)に記載されている。
【0074】
ソール:
靴は、少なくとも1つのアウトソールを有するが、互いに重なり合って配置された、複数種類のソールを有することもできる。
【0075】
アウトソール:
アウトソールは、ソール領域の、地面/土台に接触し、ないしは地面/土台に対する主な接触を形成する部分である。アウトソールは、地面に接触する少なくとも1つの接地面を有している。
【0076】
中間ソール:
アウトソールが直接アッパー構造体に取り付けられない場合に、アウトソールとアッパー構造体との間に中間ソールを挿入することができる。中間ソールは、たとえばクッション、緩衝または充填材料として用いることができる。
【0077】
ブーティ:
ブーティと称するのは、アッパー構造体のソックス形状の内張りである。ブーティは、靴の内部を実質的に完全に覆う、アッパー構造体のソックス形状の内張りを形成する。
【0078】
機能層:
たとえば膜または然るべく処理され、あるいは装備された材料、たとえばプラズマ処理を有するテキスタイルの形式の、水蒸気透過性および/または水密の層。機能層は、アッパー底機能層の形式で、アッパー構造体のアッパー底の少なくとも1つの層を形成することができるが、付加的に、アッパーを少なくとも部分的に内張りするアッパー機能層として設けることもできる。アッパー機能層も、アッパー底機能層も設けられる場合には、これらは、多層の、多くは2層、3層または4層のラミネートの一部を形成することができる。機能層ブーティの代わりに、アッパー機能層と別体のアッパー底機能層とが使用される場合には、これらはたとえば、アッパー構造体のソール側の下方領域内で、互いに対して水密に密閉される。アッパー底機能層とアッパー機能層は、1つの材料から形成することもできる。
水密の、水蒸気透過性の機能層に適した材料は、特に、米国特許第7425418号明細書(US-A-7425418)と米国特許第4493870号明細書(US-A-4493870)に記載されているような、ポリウレタン、ポリオレフィンおよび、ポリエーテルエステルを含むポリエステルとそのラミネートである。実施形態において、たとえば米国特許第3953566号明細書(US-A-3953566)と米国特許第4187390号明細書(US-A-4187390)に記載されているような、微孔の、延伸されたポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を有する機能層と、親水性の含浸剤および/または親水性の層を有する、延伸されたポリテトラフルオロエチレンが構築される。たとえば、米国特許第4194041号明細書(US-A-4194041)を参照されたい。微孔の機能層というのは、その平均的な実効孔大きさが、0.1−2μmの間、好ましくは0.2μmと0.3μmの間にある機能層である。
【0079】
ラミネート:
ラミネートは、一般には相互の接着または溶接によって、互いに永続的に結合された、複数の層からなる複合体である。機能層ラミネートにおいては、少なくとも1つのテキスタイル層を有する水密および/または水蒸気透過性の機能層が設けられている。少なくとも1つのテキスタイル層は、主として、機能層をその加工の間保護するために用いられる。ここで言うのは、2層ラミネートである。3層ラミネートは、2つのテキスタイル層内へ埋め込まれた、水密、水蒸気透過性の機能層からなる。機能層と少なくとも1つのテキスタイル層との間の結合は、たとえば、非連続の接着剤層あるいは連続的な水蒸気透過性の接着剤層によって行われる。実施形態において、機能層と1つまたは2つのテキスタイル層との間に、接着剤を点状に塗布することができる。それ自体水蒸気透過性でない接着剤からなる全面の層は、機能層の水蒸気透過性をブロックしてしまうので、接着剤の点状ないし非連続の塗布が行われる。
【0080】
水密:
場合によっては機能層/機能層ラミネートに設けられた縫目を含めて、機能層/機能層ラミネートが、少なくとも1x104Paの浸水圧を保証する場合に、「水密」と見なされる。好ましくは、機能層は、1x105Paを越える浸水圧に耐える。その場合に、浸水圧は、テスト方法に従って測定され、そのテスト方法においては、20±2℃において蒸留水が、機能層の100cm2の検体上に、上昇する圧力をもってもたらされる。水の圧力上昇は、分当たり60±3cm水柱である。その場合に浸水圧は、初めて水が検体の他の側へ現れる圧力に相当する。方法の詳細は、1981年のISO−規格0811に定められている。
【0081】
靴が水密であるかは、たとえば米国特許第5329807号明細書(US-A-5329807)に記載された種類の遠心力配置によってテストすることができる。
【0082】
水蒸気透過性:
機能層/機能層ラミネートは、150m2xPaxW-1を下回る水蒸気透過性数Retを有する場合に、「水蒸気透過性」と見なされる。水蒸気透過性は、ホーエンシュタイン−スキンモデルに従ってテストされる。このテスト方法は、DIN EN31092(02/94)ないしISO11092(1993)に記載されている。
【0083】
空気透過性の層:
空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元構造を有している。この構造は、空気にとって極めて低い流れ抵抗を有する。その場合に、空気透過性の層は、靴内部空間から対流によって熱と水蒸気を吸収して搬出することを許す。空気透過性の層は、少なくとも50%、ある形態においては85%を越える空気体積を含んでいる。空気透過性の層の厚みは、12mmより少なく、その場合に実施形態においては、厚みは8mmよりも少ない。空気透過性の層は、2000g/m3より少ない、好ましくは800g/m3より少ない面重量を有している。空気透過性の層は、アッパー底の足載せ面の少なくとも50%、かつ好ましくは少なくとも70%を覆っている。さらに空気透過性の層は、走行中にユーザーの足によって圧縮されず、あるいは実質的に圧縮されない剛性を備えた構造を有している。
【0084】
空気透過性の層として、たとえば、それ自体、独国特許出願公開10240802号明細書(DE 10240802 A2)から、そこではもちろん衣服片のための赤外線反射材料に関連して、知られているような、スペーサ形成物が適している。
【0085】
空気透過性の層は、たとえばポリマーから成形された構造、3Dスペーサ形成物またはポリマー樹脂で硬化されたテキスタイル構造とすることができる。空気透過性の層は、射出成形方法によって形成することもでき、ある実施形態においては、通路またはパイプの形状の形態を有することができ、あるいはポリマー泡または金属泡から形成することができる。
【0086】
ポリマーから成形された構造は、ポリマー単繊条、織物、フリースまたは、材料の変形と固定によってリブ構造、ネップ構造またはジグザグ構造に成形された不織布に基づいている。この構造は、たとえば波形の、あるいは他の形状によって3D構造にされたフィラメント不織布の形式の、たとえばポリウレタンからなる、3次元の形成物であってもよい。変形と固定は、たとえば加熱された構造ドラムを介して、あるいは熱成形プロセスとして実施することができる。成形された構造は、次元安定性を改良するために、さらに、織物またはフリースによってラミネートすることができる。この種の成形された構造を形成するための可能な方法が、たとえば国際公開第2006/056398号(WO2006/056398)に記載されている。
空気透過性の層は、3Dスペーサ形成物から形成することもできる。この種のスペーサ形成物は、通常、ポリエステル多繊条または単繊条からなる。スペーサ形成物は、スペーサニット、スペーサ編物、スペーサフリース材料またはスペーサ織物とすることができる。編物テクノロジーは、商品面の上側と下側も、スペーサ糸(パイル糸)も、互いに独立して変化させることを許す。すなわち、それぞれ個別の適用の種類に応じて、表面とばね特性曲線を含めた硬度を調節することができる。スペーサ形成物は、負荷を受けても、すべての方向における極めて高い空気循環を特徴としている。たとえばスペーサニットの形式の、スペーサ形成物は、テキスタイル面形成物の含浸を介して形成することもでき、その面形成物は、3次元形成物に変形する前または後に、樹脂を含浸され、それによって所望の剛性を得る。スペーサ形成物のための繊維材料として、同様に、ガラス繊維またはカーボン繊維のような、無機繊維を選択することができる。
【表1】

【0087】
要約すると、空気透過性の層が、足とアウトソールとの間に間隔を維持し、多数のパッセージを形成し、そのパッセージが空気流にできるだけ少ない抵抗を示し、それによって水蒸気を吸収することなしに、水蒸気と熱の移送に寄与する。空気透過性の層は、毛管現象を持たず、あるいは少なくとも実質的に持たない。空気透過性の層は、その底側においては、マウンティングソールおよび/または充填層および/またはアウトソールによって閉鎖され、少なくともその周側において空気透過を許すように開放している。好ましくは、空気透過性の層は、付加的に、その上方の表面において、同様に空気透過を許すように開放している。空気透過性の層の、アッパー内部空間を向いた上方の表面は、実施形態においては、水密かつ場合によっては水蒸気透過性の機能層へ向けられている。
【0088】
スペーサ形成物の空気透過性の決定は、DIN EN ISO9237「テキスタイル面形成物の空気透過性の決定」に従って行われる。DIN EN ISO9237とは異なり、流れ抵抗と差圧は、面に対して垂直にではなく、面に沿って測定される。そのために、閉鎖されたカバー面によって画成される定められたスペーサ通路が構築され、その中へ一方の側から空気流が供給される。通路の流入と流出の間の差圧と空気出口における流れ速度が測定される。0と100Paの間の差圧において、300mmと1300mmの間の長さの通路の端部において、0と1m/sの間の流れ速度が測定された。これは、100Paまでの動圧と300mmの流れ通路長さにおいて、出口において測定可能な流れをもはや発生しないスペーサ形成物は、本発明に適していないことを、意味している。
【0089】
空気通過開口部:
アッパー上材料のソール側の下方の周面領域内に少なくとも1つの開口部を有している。好ましくは、少なくとも2つの、ほぼ対向する空気通過開口部が設けられている。空気通過開口部は、たとえば、打抜き、切抜きまたはパーフォレーションによってアッパー上材料に形成することができる。空気通過開口部の形状は、たとえば丸く、あるいは角張っているように、任意にすることができる。空気通過開口部は、たとえばネットまたは格子の形式の、空気を透過する平面的な保護材料によって異物が侵入しないように保護することができる。保護材料は、疎水性で設けることができる。少なくとも1つの空気通過開口部の面積全体は、少なくとも50mm2であって、好ましくは少なくとも100mm2である。代替的な実施形態において、空気通過開口部は、直接、アッパー上材料として使用することができる、あるいはアッパー上材料の構成要素であり、従って内在的に必要な空気透過性を有する、空気透過性の材料によって形成することもできるので、付加的な開口部を形成する必要はない。
【0090】
本発明を、添付図面に示す実施形態を用いて、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の空気通過開口部を有する靴の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の空気通過開口部を有する靴の第2の実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の、部分的に閉鎖可能な空気通過開口部を有する靴の第3の実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明に基づいて形成された、アッパー上材料の、アッパー周面を一周する空気透過性の格子状の構成部分を有する靴の第4の実施例を示す斜視図である。
【図5】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第1の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図6】図1から3に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第2の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図7】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第3の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図8】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第4の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図9】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第5の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図10】本発明に基づく靴のために使用可能な空気透過性の層の第1の実施形態を示している。
【図11】本発明に基づく靴のために使用可能な空気透過性の層の第2の実施形態を示している。
【図12】本発明に基づく靴のために使用可能な空気透過性の層の第3の実施形態を示している。
【図13】本発明に基づく靴のために使用可能な空気透過性の層の第4の実施形態を示している。
【図14】本発明に基づく靴のために使用可能な空気透過性の層の第5の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図1は、アッパー構造体12とアッパー構造体12の下方の端部領域に取り付けられたソール14とを有する靴10の第1の実施例を示しており、この実施例においてソールはアウトソールである。アッパー構造体12は、通常のように、その上方の端部に履き口12aを有し、その履き口からひも領域12bが、アッパー構造体12の前足領域の方向へ延びている。アッパー構造体12の下方の端部領域内に、アッパー構造体12の周面の一部の周りに配置された多数の空気通過開口部20が見られる。靴の足指領域にほぼ相当する、前足領域の前方部分内には、この実施形態においては、空気通過開口部は設けられていない。空気通過開口部20は、アッパー構造体12の残りの周面領域の周りに互いに対してほぼ等間隔で均一に分配されており、かつ円形に形成されている。さらに、小石などの大きな小片が侵入することを防止するために、空気通過開口部20には空気を透過する保護カバー22が設けられている。保護カバー22は、外側および/または内側から空気通過開口部を覆うことができる。各個々の空気通過開口部20に、それぞれ保護カバー22を対応づけてもよいし、あるいはすべての空気通過開口部にわたって保護カバー全体22が延びていてもよい。保護カバー22は、たとえば格子状またはネット形状に形成することができる。
【0093】
図2は、靴10の第2の実施例を示しており、この実施例は、図1に示す第1の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20の配置と形状に関して第1の実施例とは異なっている。図2に示す靴の空気通過開口部20は、アッパー構造体12の周方向に細長い矩形形状を有しており、アッパー構造体の下方の端部領域内のアッパー周面の前足領域ないしかかと領域内に位置している。空気通過開口部20は、さらに、格子形状の保護カバー22を有している。
【0094】
図3は、靴10の第3の実施例を示しており、この実施例は、図2に示す第2の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20の配置に関して第2の実施例とは異なっている。第3の実施例においても、空気通過開口部20は、アッパー構造体12の周方向に細長い矩形形状を有している。もちろん、アッパー周面の前足領域内にのみ、空気通過開口部20が設けられており、その空気通過開口部は、足横方向に少なくともほぼ対向している。空気通過開口部20は、格子状の保護カバー22によって覆われている。
図3は、さらに、図1から4のすべての実施形態を代表して、装置45を有しており、その装置によって、必要な場合に空気通過開口部20を閉鎖することができる。図示の移動可能な装置45は、手段を有しており、その手段によって少なくとも水をはじく材料が、時には空気通過開口部20を閉鎖する。図示の実施形態においては、スライダ装置によって、少なくとも撥水性の材料を、アッパー周面に沿って空気通過開口部20の上に、それが閉鎖されるまでスライドさせることができる。スライド装置は、それぞれの空気通過開口部のために、あるいは複数の空気通過開口部のために、設けることができる。移動可能な装置45は、空気通過開口部とそれに伴ってアッパー構造体12の空気透過性の層(図示せず)が、時に、水のような液体の侵入に対して保護されることを、可能にする。空気通過開口部の閉鎖は、冬において、ないしは極めて温度が低い場合に効果的であり得る。というのは、それによって足が著しく冷えることを防止できるからである。空気通過開口部を閉鎖するための装置として、栓、スライダ、フラップ、一周するバンドおよびその他のすべての閉鎖機構を使用することができる。空気通過開口部を閉鎖するための可能な材料は、プラスチック、泡材、コーティングされたテキスタイル、TPU、TPE、シリコン、ポリオレフィン、ポリアミド、加硫ゴムとすることができる。
【0095】
図4は、靴10の第4の実施例を示しており、この実施例は、図1に示す第1の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20が、下方のアッパー領域の周面全体の回りに延びる、空気透過性の材料によって形成されることにより、第1の実施例とは異なっている。それによって、空気透過性の層と靴10の外環境との間で特に高い空気交換が得られ、それに伴って熱と湿気が靴内部空間から靴10の外環境へ効果的に搬出される。空気透過性の材料は、アッパー上材料の構成要素である。その材料は、ある実施形態においては、別体のさん孔材料、格子状の材料またはネット状の材料であることができ、その材料は、アッパー上材料のソール側の下方の周面領域内でアッパー上材料に固定されているか、あるいはアッパー上材料自体が、この下方の周面領域内で、たとえば打抜きまたはさん孔によって、然るべく機械的に加工されている。空気透過性の材料として、ネット、格子、格子状のテキスタイル、開孔の泡材、空気透過性のテキスタイルおよびこれらの材料の組合せを使用することができる。これらの材料は、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、TPE、TPU、加硫ゴムからなることができる。
【0096】
図1から4におけるすべての実施形態に共通に、少なくとも2つの空気通過開口部が足横方向に、あるいは足縦方向に、少なくともほぼ対向している。それによって、靴内部から対流によって水蒸気と熱を逃がす場合に必要とされる、空気透過性の層を通る空気の流れを形成することができる。空気の流れは、組み込まれた通気装置によってアクティブに発生させることもできる。
【0097】
図1から4の実施形態は、互いに組み合わせることもできる。
【0098】
図5から9は、靴10の前足領域の一部を、特に図1の切断線A−Aに沿って、それぞれ断面で示している。この種の断面線が図1にしか示されていない場合でも、図5から9の横断面図は、図2から4に示す実施形態にも、同様に当てはまる。図5から9は、それぞれアッパー構造体12とそれに取り付けられたソール14を示しており、そのソールは、アウトソールの実施形態で示されている。図5から9に示す実施形態は、それぞれのアッパー構造体12に関して異なっている。
図5から9の実施形態のすべてのアッパー構造体12は、アッパー上材料16を有しており、その内側に内張りが配置されており、その内張りは、ブーティ機能層34(図5または9)、アッパー機能層37(図6または7)あるいは機能層なしの裏地層18のみ(図8)を有している。5つの実施形態すべてにおいて、アッパー底15の領域内に、アッパー底機能層が設けられている。アッパー機能層とアッパー底機能層は、機能層ブーティ39の共通の部分であってもよく(図5または9)、あるいは相互に密閉された、別体の機能層部分であってもよい(図6と7)。図8においては、靴底のみが、機能層を有している。これらすべての機能層は、図示の実施形態において多層の機能層ラミネートの、図示の実施形態において、2つの面形成物25と26の間に埋め込まれた、機能層34、37ないし38を有する3層の機能層ラミネート24、27または28の、それぞれ一部である。25と26の面形成物は、通常、それぞれテキスタイル層とすることができる。アッパー機能層37またはアッパー機能層ラミネート27(図6と7)ないし裏地層18(図8)は、ストローベル縫目(Strobelnaht)32によってマウンティングソール30に固定することができる。アッパー底機能層38ないしアッパー底機能層ラミネート28の下方に、それぞれ空気透過性の層40(図5から9)が、特に少なくともほぼ、少なくとも1つの空気通過開口部20の高さに、配置されている。アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域は、タックインフラップ16aとして、(図示されない)タック接着剤によってマウンティングソール30(図5と9)または空気透過性の層40(図6と7)の下側に挟み込み接着されているか、あるいは、アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域は、他のストローベル縫目33によって、他のマウンティングソール30aと結合されている(図8)。
【0099】
図1から9に示すすべての実施形態において、上材料16は、水蒸気透過性の材料によって構成されている。アッパー底機能層ラミネート28の上方に配置されたマウンティングソール30(図6から8)と裏地層18(図8)が、同様に水蒸気透過性の材料によって構成されている。図5のマウンティングソール30、図6と7の充填層31および図8の他のマウンティングソール30aのような、空気透過性の層40の下方に位置する、アッパー底のすべての層は、水蒸気透過性を有する必要はない。
【0100】
図5から9の実施形態において、アッパー上材料16の空気通過開口部20は、アッパー上材料16の挟み込まれた下方の端部領域の屈曲領域のすぐ上に、特に空気通過開口部20が空気透過性の層40の周側面42とほぼ等しい高さにくる高さに、位置している。空気透過性の層40と空気通過開口部20の間で特に効果的な空気通過を達成するために、空気通過開口部20は、好ましくは空気透過性の層40の垂直の厚みにほぼ等しい垂直の延びを有しており、空気通過開口部20と空気透過性の層40は、垂直方向に互いに対して、空気透過性の層40の水平の中心平面とそれぞれの空気通過開口部20の中心軸が少なくともほぼ等しい垂直の高さに位置するように、方向付けされている。
【0101】
5つの実施形態すべてにおいて、ソール14は、アッパー構造体12の下方の領域と次のように、すなわちアッパー上材料16のタックを形成する下方の端部領域16aの下側、およびアッパー底の下側の、このタックに覆われない領域と結合されるようにして、結合されている。特にアッパー上材料16のタックインフラップ16aによってもたらされる、アッパー底の下側の凹凸は、充填層31によって補償することができる。ソール14は、水密の材料によって構成することができ、その材料は、ゴムまたはゴム状のプラスチック、たとえばエラストマーである。しかし、ソール14は、たとえば皮革のような、水蒸気透過性の材料からなることもできる。ソール14は、アッパー構造体12に接着される、前もって形成されたソールであってもよく、あるいはアッパー構造体12に射出形成されたソールであってもよい。このソールの、ソール14の下側に位置する接地面には、通常、この種のソール14を有する靴10の滑り安全性を改良するために、プロフィール突出部を形成する、溝パターンが設けられている。図5から9に示すすべての実施形態において、ソール14の上方の端縁14aは、それぞれの空気通過開口部20の下方の端部の下で終了している。
【0102】
図示されない方法で、特にワンデリングシューズまたはトレッキングシューズの場合において、アッパー上材料16の、ソール14の上方端縁14aのすぐ上に位置する領域に、従って、少なくとも1つの通過開口部20がある所に、主としてゲレル保護として用いられる、たとえばソール14と同じ色を有するゴム端縁を、たとえばアッパー上材料16とソールの上端縁14aに接着することによって、取り付けることができる。空気通過開口部20の空気透過性を妨げないために、ゴム端縁の、空気通過開口部20に対応する箇所に、空気通過開口部が設けられている。
【0103】
図5から9のすべての実施形態において、空気通過開口部20に、空気透過性の保護カバー22が設けられており、その保護カバーは、たとえば金属またはプラスチックからなるネットまたは格子によって、あるいは高い空気透過性を有し、従って高い水蒸気透過性を有するテキスタイル材料によって形成されている。保護カバー22は、それぞれの空気通過開口部20の外側(図5、6、8および9)または内側(図7)に設けることができる。各空気通過開口部20にそれ専用の保護カバー22が対応づけられるか、あるいはそれぞれ空気通過開口部20の一部に、あるいはすべての空気通過開口部20に、然るべき数の空気通過開口部20にわたって延びる、共通の保護カバー細片が対応づけられている。
【0104】
図5から9を、さらに詳細に考察する。
【0105】
図5に示す実施例においては、アッパー上材料16の内側の機能層と空気透過性の層40の上側の機能層は、ソックス形状のブーティ39の2つの部分であって、そのブーティは、履き口12aを別にして、アッパー構造体12全体の内側を覆っている。この種のブーティは、通常、複数の機能層部分から縫い合わされており、その場合に縫目箇所の上に水密の縫目シールバンドが接着されており、このようにして水密にされる。しかしブーティは、1片の材料から形成することもでき、その場合にはもはや縫い合わせてシールする必要が生じることはない。図5に示す実施形態において、ブーティは、すでに説明した機能層ラミネート24によって構成されている。従ってアッパー構造体12は、水密であって、ソール14を接合した後に、水密の靴が生じる。空気透過性の層40は、ブーティ39の機能層ラミネート24のすぐ下に配置されている。その場合に、空気透過性の層40は、アッパー底領域全体にわたって延びており、従って靴底全体の水蒸気および熱交換に供される。空気透過性の層40の下方に、マウンティングソール40が配置されており、その下側に、ソール側の下方の端部領域のタックインフラップ16aが、タック接着剤(図示せず)によって固定されている。別体のマウンティングソールを使用する代わりに、所定の形態においては、空気透過性の層40の下側または下方の載置面を然るべくしっかりと形成することも可能であるので、この下側にタックインフラップを固定することができる。この種の実施形態においては、空気透過性の層が、付加的にマウンティングソールの機能を引き受ける。
【0106】
図6に示す実施形態においては、上材料16の内側とアッパー底15の領域内に、アッパー機能層ラミネート27ないしアッパー底機能層ラミネート28に属する、別々の機能層37ないし38が設けられている。アッパー機能層ラミネート27の、挟み込まれたソール側の下方の端部領域27aは、ストローベル縫目32によってマウンティングソール30に固定的に縫い付けられている。アッパー底機能層ラミネート28は、マウンティングソール30の下方に位置し、アッパー機能層ラミネート27の挟み込まれた端部領域27aの下まで延びており、その端部領域27aと、たとえばシール接着剤の形式の、(図示されない)シール材料を介して、水密に結合されているので、靴内部空間は、靴10の履き口12aとひも領域12bを除いて、相互にシールされた機能層37と38の協働により、機能層ブーティを使用した場合と同様に、ぐるりと水密である。マウンティングソールの上方のアッパー底機能層を、アッパー機能層ラミネートと水密に結合することも、可能である。アッパー底機能層38は、挟み込まれた端部領域27aの下方まで、従ってストローベル縫目32を越えて延びているので、ストローベル縫目32もアッパー底機能層38によってシールされている。アッパー底機能層38のすぐ下に、空気透過性の層40が配置されている。空気透過性の層40の下側または下方の載置面に、上材料16のタックインフラップ16aが(図示されない)タック接着剤によって固定されている。従って、空気透過性の層は、付加的にマウンティングソールの機能も引き受ける。原理的には、別体のマウンティングソールを、空気透過性の層の下方に設けることも、可能である。上材料16のタックインフラップ16aによってもたらされる、アッパー底15の下側の凹凸は、すでに説明したように、充填層31によって補償される。
【0107】
図7に示す実施形態は、図6に示す実施形態から、保護カバー22がアッパー上材料の外側にではなく、内側において、直接透過性の層40の周面42に沿って、かつ空気通過開口部20の内側の前に配置されていることによってのみ、区別される。
【0108】
図8に示す実施形態は、図5から7に示す実施形態から、一方で、上材料16が、アッパー底15の近傍の下方の領域まで裏地層18のみを有するが、アッパー機能層を持たないことによって、他方では、2つのマウンティングソールと2つのストローベル縫目が存在していることによって、区別される。裏地層18は、ソール側の下方の端部に、裏地層折込み18aを有しており、それがストローベル縫目32によってマウンティングソール30と結合されている。アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域16aは、他のストローベル縫目33によって他のマウンティングソール30aと結合されている。アッパー底機能層ラミネートの一部とすることができる、アッパー底機能層38は、その外周面に、上へ立ち上がるカラー38aを有しており、そのカラーは、上材料16と裏地層18の間の間隙内へ突出している。アッパー底機能層38ないしアッパー底機能層ラミネートと他のマウンティングソール30aとの間に、空気透過性の層40が配置されている。アッパー底機能層ラミネートは、マウンティングソールの上方に配置することもできる。
もちろん、図8に示す実施形態においては、上方のアッパー領域は、水密ではない。従って図8に示す靴は特に、上からの湿気も下および側方からの湿気もあまり考慮する必要のない使用に、従って雨が降らない場合、あるいは短い時間だけしか雨の中に留まらない場合に、湿った周囲を歩いたりさまよったりするのに、適している。
【0109】
図9に示す実施形態は、図5に示す実施形態に、実質的に相当する。図5とは異なり、マウンティングソール30は、マウンティングソール30の、空気透過性の層40へ向いた表面が、ある角度で中央が盛りあがって、空気透過性の層40内へ突出するように、形成されている。従って空気透過性の層40の下方の載置面が、マウンティングソール30の角度のある隆起に従って持ち上げられ、あるいは押圧される。その結果、空気透過性の層40の内部に、2つの傾斜した平面が形成され、それらの平面は、中央から始まって周側面42の方向へ下降するように延びて、それによって場合によっては空気透過性の層40内に存在する水分を逃がすことを容易にする。マウンティングソール30のこのような形態は、図5から8の実施形態についても、設けることができる。
【0110】
図10から14には、例として、本発明に基づく空気透過性の層40に適した、スペーサ形成物60の種々の実施形態が示されている。これらすべてのスペーサ形成物に固有なのは、2つの互いに離間した載置面が形成されることであって、その場合にスペーサ形成物の下方の載置面が、それぞれ土台上に載置され、その上方の載置面は、スペーサ形成物の上方に位置する層のための支持面として用いられ、その層は、特に機能層ブーティの底領域(図5または9)であり、あるいはアッパー底機能層ラミネート(図6から8)である。2つの載置面は、両方ともそれぞれ面形成物によって形成され、それらがその間に介在するスペーサ部材によって互いに距離をおいて保持され、且つそのうちの少なくとも上方が、空気透過性である(図11)。あるいは下方の載置面のみが、面形成物によって形成されて、その面形成物からスペーサ部材が立ち上がって、その自由端部が支持点を形成し、その支持点が一緒になって上方の載置面の機能を有する(図10、12および14)。あるいは、下方の面形成物も上方のそれもなく、唯一の面形成物が設けられ、その面形成物が、下方ないし上方の支持面を定める、下方と上方の波形またはジグザグの頂点を備えた波形またはジグザグ形状にされる(図13)。
【0111】
図10から14に示すスペーサ形成物を、さらに詳細に考察する。
【0112】
図10に示す、空気透過性の層40として適したスペーサ形成物60の実施形態において、下方の面形成物64からほぼ半球状の突出部または膨出部65が上方へ膨出し、その上方の頂点が、上方の載置面を定める。このスペーサ形成物60は、ある実施形態においては、最初は平面的なニットから、あるいはしっかりとした材料からなり、それが、たとえば深しぼり工程によって、図示の形状にされた後に、このスペーサ形成物を搭載した靴で歩いた場合にさらされる負荷を受けてもこの形状が維持されるように、硬くなり、あるいは硬化される。深しぼりプロセスの他に、すでに説明した他の措置、すなわち熱成形プロセスによる変形と硬化あるいは所望の形状と強度に硬化可能な樹脂の含浸も、利用することができる。
【0113】
図11は、空気透過性の層40として適したスペーサ形成物60の実施例を示しており、その上方と下方の載置面が、2つの互いに対して平行に配置された空気透過性の面形成物62と64によって形成され、それらはたとえばポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルのグループから選択されており、その場合に面形成物62と64は、キャリア繊維66によって空気を透過するように互いに結合され、同時に離間している。繊維66の少なくとも一部は、スペースホルダとして、面形成物62と64の間に少なくともほぼ垂直に配置されている。繊維66は、たとえばポリエステルまたはポリプロピレンのような、フレキシブルな変形可能な材料からなる。空気は、面形成物62と64を通り、かつ繊維66の間を流れることができる。面形成物62と64は、開放孔の織られ、編まれ、あるいはメリヤス編みのテキスタイル材料である。この種のスペーサ形成物60は、すでに述べた、Tylex社またはMueller Textil社から得られるスペーサニットとすることができる。
【0114】
図12に示すスペーサ形成物60は、図10に示すスペーサ形成物と同様の構造を有しているが、ニット繊維またはニットフィラメントのニットからなり、それがこの形状にされて、たとえば熱プロセスによって、あるいは樹脂の含浸によって、この形状に硬化される。
【0115】
図13は、ジグザグプロフィールまたは鋸歯プロフィールを有するスペーサ形成物60の実施形態を示しており、まず平坦な材料が、上方と下方の頂点60aと60bがこのスペーサ形成物60の上方ないし下方の載置面を定めるようにして、このプロフィールに成形されている。この形状のスペーサ形成物60も、すでに述べた方法で成形して、所望の剛性に硬化することができる。
【0116】
図14は、本発明に基づく空気透過性の層50として適した、スペーサ形成物60の他の実施例を示している。この実施形態においては、唯一の下方の面形成物68から、スペーサ部材が、突出または膨出によってではなく、繊維房70によって形成され、その繊維房が面形成物68から立ち上がっており、その上方の自由端部が一緒になって上方の載置面を定める。繊維房70を設けることは、下方の面形成物68を繊維塊にすることによって行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アッパー構造体(12)とソール(14)とを有し、
b)アッパー構造体(12)が、
b1)アッパー上材料(16)と、
b2)アッパー底(15)内に配置された空気透過性の層(40)とを有し、
c)空気透過性の層(40)が、アッパー構造体(12)のソール側の下方領域内で、ソール(14)の上方に配置されており、
d)空気透過性の層(40)が、少なくとも水平の方向に空気通過を許す3次元の構造を有し、且つ
e)アッパー上材料(16)が、ソール側の下方の周面領域内に、少なくとも1つの空気通過開口部(20)を有し、前記空気通過開口部が外環境と空気透過性の層(40)との間で空気を交換することができるように空気透過性の層(40)を外環境と接続する、靴(10)。
【請求項2】
前記アッパー構造体(12)の、少なくともソール(14)へ向いた下方の領域内に、水蒸気透過性の機能層(34、38)を有し、空気透過性の層(40)が、機能層(34、38)の下方に配置されている、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記機能層(34、38)が、水密である、請求項2に記載の靴(10)。
【請求項4】
アッパー機能層(37)とアッパー底機能層(38)を有する、請求項2または3に記載の靴(10)。
【請求項5】
ソックス形状の機能層ブーティ(39)を有し、アッパー領域が少なくとも部分的にアッパー機能層(37)によって形成され、アッパー底領域(15)がアッパー底機能層(38)によって形成されている、請求項2から4のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項6】
アッパー機能層(37)および/またはアッパー底機能層(38)の機能層が、少なくとも2層のラミネート(24)の一部である、請求項2から5のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項7】
前記ラミネート(24)が、アッパー底機能層ラミネート(28)および/またはアッパー機能層ラミネート(27)である、請求項6に記載の靴(10)。
【請求項8】
前記機能層(34、38)が、水蒸気透過性の膜を有している、請求項2から7のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項9】
前記機能層(34、38)が、延伸された微孔のポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)によって構成された膜を有している、請求項2から8のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項10】
前記空気透過性の層(40)が、アッパー底機能層(38)の下方に配置されている、請求項2から9のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項11】
前記空気透過性の層(40)が、アッパー底機能層(38)のすぐ下に配置されている、請求項10に記載の靴(10)。
【請求項12】
前記空気透過性の層(40)が、機能層(34)の方向に少なくとも水蒸気を透過するように形成されている、請求項2から11のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項13】
少なくとも1つの空気通過開口部(20)が、アッパー上材料(16)内において、前記空気通過開口部が少なくとも部分的に空気透過性の層(40)と同じ高さに位置するように配置されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項14】
少なくとも1つの空気通過開口部(20)が、少なくとも50mm2の全面積を有している、請求項1から13のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項15】
前記アッパー上材料(16)が、足横方向または足縦方向に少なくともほぼ対向する、少なくとも2つの空気通過開口部(20)を有している、請求項1から14のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項16】
前記アッパー上材料(16)のソール側の下方の領域(16a)が、タックインフラップを形成し、かつ空気透過性の層(40)が、アッパー上材料(16)のタックインフラップの上方に配置されている、請求項1から15のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項17】
前記空気透過性の層(40)の下方に、他のマウンティングソール(30a)が配置されている、請求項1から16のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項18】
前記ソール(14)内あるいはその上に、踏抜き保護部材が配置されている、請求項1から17のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項19】
前記空気透過性の層(40)が、空気透過性のスペーサ形成物(60)として形成されている、請求項1から18のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項20】
空気透過性のスペーサ形成物(60)が、面形成物(62)と、前記面形成物(62)から垂直および/または0°と90°の間の角度で離れるように延びる多数のスペーサ部材(65、66)とを有している、請求項18に記載の靴(10)。
【請求項21】
前記スペーサ形成物(60)において、スペーサ部材(65)がネップとして形成されている、請求項20に記載の靴(10)。
【請求項22】
前記空気透過性のスペーサ形成物(60)が、互いに対して平行に配置された2つの面形成物(62、64)によって構成されており、2つの面形成物(62、64)が、スペーサ部材(66)によって互いに空気を透過するように結合され、かつ距離をおいて保持されている、請求項20に記載の靴(10)。
【請求項23】
前記スペーサ形成物(60)が、硬化されたニットによって構成されている、請求項19から22のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項24】
前記スペーサ形成物(60)が、波形または鋸歯状に構成されている、請求項19から23のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項25】
少なくとも1つの空気通過開口部(20)が、任意の形状を有し、たとえば丸であり、あるいは角張っている、請求項1から24のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項26】
少なくとも1つの空気通過開口部(20)が、たとえばネットまたは格子の形状の、空気透過性の保護材料(22)によって覆われている、請求項1から24のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項27】
少なくとも1つの空気通過開口部(20)が、装置によって閉鎖可能である、請求項1から26のいずれか1項に記載の靴(10)。
【請求項28】
靴のアッパー構造体(12)のアッパー底内の空気透過性の層(40)として使用するために形成された、空気透過性のスペーサ形成物(60)であって、空気透過性のスペーサ形成物(60)が、面形成物(62)と、該面形成物(62)から垂直および/または0°と90°の間の角度で離れるように延びる多数のスペーサ部材(65、66)とを有している、空気透過性のスペーサ形成物。
【請求項29】
前記スペーサ部材が、ネップ(65)として形成されている、請求項28に記載の空気透過性のスペーサ形成物(60)。
【請求項30】
2つの互いに対して平行に配置された面形成物(62、64)によって構成されており、前記面形成物がスペーサ部材(66)によって互いに空気を透過するように結合され、かつ距離をおいて保持されている、請求項28に記載の空気透過性のスペーサ形成物(60)。
【請求項31】
硬化されたニットによって構成されている、請求項28から30のいずれか1項に記載の空気透過性のスペーサ形成物(60)。
【請求項32】
波形または鋸歯状に形成されている、請求項28から31のいずれか1項に記載の空気透過性のスペーサ形成物(60)。
【請求項33】
当該スペーサ形成物(60)が、少なくとも部分的に単繊条および/または多繊条糸(66)によって構成されており、かつ単繊条および/または多繊条糸(66)の少なくとも一部が、スペースホルダとして垂直および/または面形成物(62、64)に対して角度をもってそれらの間に配置されている、請求項28から32のいずれか1項に記載の空気透過性のスペーサ形成物(60)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−522647(P2011−522647A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512883(P2011−512883)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004109
【国際公開番号】WO2009/149887
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】