説明

下枠が上昇するテント状構造物

【目的】 設置スペースを簡単に開放できるテント状構造物を提供する。
【解決手段】 形状を保つ為の上枠及び下枠と上面及び側面を覆う幕と、
上枠を保持する保持機構と下枠を上下させる上下機構により構成され、使用時には下枠を下降させ、不使用時には下枠を上昇させ設置スペースを開放することを特徴とする
テント状構造物。加えて、下枠の上下動に対し案内機構を持つことにより、安定した上下動と回転方向の振れ防止ができることを特徴とするテント状構造物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設の住居・倉庫・車庫等に使用するテント状構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、仮設の住居・倉庫・車庫等にテントが使用されている。しかし仮設ではあるが、支柱や梁の組立、シートの固定等組立には長時間を要していた。また、分解時にも長時間を要していた。
【0003】
屋外に置いた物、例えば自動車等の防水・防塵目的に専用シートカバーが販売されている。しかし、このカバーの取り付け取り外しには長時間を要する上に一人で作業するには作業がやりにくいと言う欠点があった。このため、専用シートカバーを購入しても使用されない状況が多かった。
【0004】
防雨対策の為に屋根はあるが側面の一部または全部が開放された側面囲いのない建物においては外部の塵が入り込み建物内に置いた物を汚してしまう。この対策として防塵カバーをかける場合がある。しかしこのカバーの取り付け取り外しには長時間を要する上に一人で作業するには作業がやりにくいと言う欠点があった。このため防塵カバーを購入しても使用されない状況が多かった。
【0005】
建物内に特定目的のためにブースを設置する場合があるが、特定目的に使用する時間が短い場合はデッドスペースとなり、建物の使用効率を著しく低下させる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景から、手軽な作業で設置・取り外しが可能なテント状構造物の必要性が高かったが、簡単に安価に短時間で製作及び設置する方法がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、形状を保つための上枠(6)及び下枠(7)の上面及び側面を幕(8)で覆うことによりテント形状が構成される。
前記上枠部を上部支え(3)に固定することによりテント状構造物が設置できる。
また、前記下枠部を引上げ紐(12)滑車ユニット(5)等の組み合わせによる上下機構を用いて、使用時には前記下枠を下降させ、不使用時には前記下枠を上昇させる。
これによりテント状構造物の不使用時には設置スペースを開放し他の用途に使用する
ことができる。
また、前記下枠の上下が簡単に短時間でできるため、頻繁な使用・不使用の変更
に対応できる。
【0008】
請求項2においては、下枠(307)に下枠引上げ用耳兼上下ガイド(314)を取り
付け、上下ガイド軸(315)に通す。この状態で引上げ紐(312)滑車ユニット(305)等の組み合わせによる上下機構を用いて上下させる。上下方向の動作が安定
すると共に回転方向の振れが抑制され使用時の位置安定性が向上する。
【0009】
請求項3においては上枠および下枠の幅方向アーム(502および503)を内側に
折りたたむ機構を有することにより不使用時の体積を縮小できる。これにより高さ方向のスペース開放に対応できる。
【0010】
請求項4においては上面および側面を覆う幕(8および308)に防水性・防塵性を
持たせテントとして使用する。これにより屋外、屋内を問わず簡単に下枠(7及び
307)が上下できるテント状構造物を設置し使用することできる。
【0011】
請求項5においては上面及び側面を覆う幕(8及び308)の一部または全部の材質を
微細な塵をカットできるフィルター材とする。これにより塵を嫌う用途に対し簡易
クリーンブースとして使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による、形状を保つための上枠および下枠と上面及び側面を覆う幕と、上枠を保持する保持機構と下枠を上下させる上下機構により構成されるテント状構造物を設置すれば、使用時には下枠を下降させテント状構造物として使用する。不使用時には下枠を上昇させ設置スペースを開放し他の用途に使用することができる。又、簡単な操作で短時間に下枠を上下させることができるので頻繁な使用・不使用の変更にも対応できる。
【0013】
本発明によれば幕材質を選択することにより多様な用途に使用できる。
防水性や防塵性を持たせれば屋外利用に対応できる。
微細な塵をカットするフィルター材を用いれば簡易クリーンブースとして利用できる。
また本発明によれば形状や大きさも多様な選択肢を持ったテント状構造物を製作することができる。
以上、本発明によれば簡単に使用・不使用に対応でき、用途も多様性に富むテント状構造物が提供できる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の主な構成の一例を示す断面図である
図1において、形状を保つための上枠(6)及び下枠(7)は鉄、アルミニウム、プラスチック等で作られている。上面及び側面を覆う幕は用途に応じて、布、ゴム、プラスチック等の材質で作られている。前記上枠部を上部支え(3)に固定することによりテント状構造物が設置できる。前記上部支えは設置場所により建物の天井梁であったり、車庫の天井であったりする。図1においては前記上枠上面に上枠吊り耳(11)を設け、前期上部支えに固定した上枠保持フック(4)に吊るして前記上枠を固定している。前記上枠の前記上枠支えへの固定は鎖で吊るしたり、アングル材で固定したりする方法もある。
図1においては前記下枠の引上げは前記上部支えに取り付けられた滑車ユニット(5)と前記下枠に取り付けられた引上げ耳(9)に固定された引上げ紐の組み合わせにより行われる。前記引上げ紐を下方に引き下げることにより、前記下枠は上昇する。前記下枠が上昇した時点で前記引上げ紐を固定する。前記下枠の下降は前記引上げ紐の固定を開放することにより成される。前記下枠の上下にはモーターとボールねじによる直接駆動や油圧シリンダやエアーシリンダーによる直接駆動等の方法を用いても良い。
【0015】
図2は図1の状態から下枠(7)が引上げられた状態を示す断面図である。
【0016】
図3は本発明の別の構成を示す断面図である。
下枠(307)に下枠引上げ用耳兼上下ガイド(314)を取り付ける。前記下枠引上げ耳兼上下ガイドのガイド部分を上下ガイド軸(315)に通す。これにより上下方向の動作が安定すると共に回転方向の振れが抑制され使用時の位置安定性が向上する。
ガイド部の機構として丸棒とブッシュ、リニアガイド等多様な選択がある。
また、上下駆動機構と上下案内機構を合わせた機構も適用できる。
前記下枠引上げ用耳兼上下ガイドにおいて耳部と上下ガイド部は分離してもよい。
【0017】
図4は本発明における上枠及び下枠の基本形状を示す平面図である。
【0018】
図5は本発明の別の構成を示す平面図である。
上枠及び下枠の幅方向アーム(502及び503)を内側に折りたたむ機構を有することにより不使用時の体積を縮小できる。
【0019】
図6は図5における幅方向アーム(502及び503)が内側にたたみこまれた状態を示す平面図である。
【0020】
図7は本発明の別の構成を示す平面図である。
上枠及び下枠の幅方向アームを内側に折りたたむ別の機構の例である。使用時の形状固定の為に変形固定版(704)が取り付けられている。前記変形固定版は軸E(705)を旋回軸として旋回し止めねじ(706)により固定される。
変形固定手段は多様な選択が可能である。
【0021】
図8は図7における幅方向アーム(702)を内側に折りたたんだ状態を示す平面図である。
【実施例】
【0022】
図9は本発明によるテント状構造物の使用例を示す断面図である。
自動車用車庫としてテント状の構造物を利用することは広く知られている。
又、折りたたみ機構を用いて不使用時にたたみ込んでスペースを縮小することも行われている。しかしこれらは縮小状態でも設置床面に残りスペース利用に制限を与えていた。
又、取り扱いも簡単でないなどの課題があった。
本発明によれば下枠(907)を引上げた状態で自動車(915)の乗り入れ・乗り出しを行い、駐車状態では前記下枠を引き下げて雨や塵から前記自動車を保護する。手軽に操作できる上に前記自動車が不在の時には床面を他の用途に使用できる利点がある。
屋外で使用する場合は幕(908)に耐水性を持たせる、屋根のある屋内で使用する場合は前記幕材質を塵よけのシートとしてもよい。
又、本例においては左右の引上げ紐(912)をまとめて上下用モーター(913)に連結し前記下枠を上下させている。
【特許文献1】実開平6−28121
【特許文献2】特開平10−159394
【0023】
図10は本発明によるテント状構造物の別の使用例を示す断面図である。
本発明により、幕(1008)の一部または全部の材質を不織布や活性炭入りの布等、微細な塵をカットできる材質で構成することにより簡易クリーンブースとして使用するものである。ベッド(1016)を前記簡易クリーンブースの中に設置して、喘息患者や花粉症患者等塵を嫌う体質の人が就寝すれば塵や花粉の進入を阻止でき快適な睡眠ができる。
又、本例においては左右の引上げ紐(1012)をまとめて上下用モーター(1013)に連結し下枠(1007)を上下させている。前記ベッドにベッド利用者が横になっていても前記下枠を上下させられるようにリモートコントロール発信機(1015)も装備されている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
多目的に使用するスペースにおいて簡易的にテント状構造物を設置し、不使用時は手軽に床スペースを開放し有効利用する用途に広く利用できる。
【0025】
テント状構造物の上側及び側面を覆う幕の材質を選択することにより屋外倉庫や
室内簡易クリーンブース等多様な用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の主な構成の一例を示す断面図である。 下枠を上昇させる機構として滑車と紐を使用している。
【図2】[図1]の機構において下枠が途中まで引上げられた状態を示す。
【図3】[図1]の機構に上下動案内機構を追加した断面図である。
【図4】[図1]の上枠及び下枠の基本形状を示す平面図である。
【図5】請求項3による上枠及び下枠の形状の一例を示す平面図である。 幅方向を広げ使用する状態を示す。
【図6】[図5]の幅方向を折たたんだ状態を示す。
【図7】請求項3による上枠及び下枠の形状が別の一例を示す平面図である。幅方向を広げ使用する状態を示す。
【図8】〔図7〕の幅方向を折たたんだ状態をしめす。
【図9】本発明の実施例である。 車庫として本特許を利用。
【図10】本特許の実施例である。簡易クリーンブースとして本特許を利用。
【符号の説明】
【0027】
1:床 2:支柱
3:上部支え 4:上枠保持フック
5:滑車ユニット 6:上枠
7:下枠 8:幕
9:引上げ耳 10:紐ガイド
11:上枠吊り耳 12:引上げ紐

301:床 302:支柱
303:上部支え 304:上枠保持フック
305:滑車ユニット 306:上枠
307:下枠 308:幕
309:引上げ耳 310:紐ガイド
311:上枠吊り耳 312:引上げ紐
313:紐通し兼回転止め 314:下枠引上げ耳兼上下ガイド
315:上下ガイド軸

401:上枠及び下枠の基本形

501:奥方向保持板 502:アームA
503:アームB 504:軸A
505:軸B 506:軸C

701:奥方向保持板 702:アーム
703;軸D 704:変形防止板
705:軸E 706:止めねじ

901:床 902:支柱
903:上部支え 904:上枠保持フック
905:滑車ユニット 906:上枠
907:下枠 908:幕
909:引上げ耳 910:紐ガイド
911:上枠吊り耳 912:引上げ紐
913:上下用モーター 914:モーター制御ボックス
915:自動車

1001:床 1002:支柱
1003:上部支え 1004:上枠保持フック
1005:滑車ユニット 1006:上枠
1007:下枠 1008:幕
1009:引上げ耳 1010:紐ガイド
1011:上枠吊り耳 1012:引上げ紐
1013:上下用モーター 1014:モーター制御ボックス
1015:モーターリモートコントロール発信機
1016;ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状を保つための上枠及び下枠と上面及び側面を覆う幕と、上枠を保持する保持機構と、下枠を上下させる上下機構により構成され、使用時には下枠を下降させ、不使用時には下枠を上昇させ設置スペースを開放することを特徴とするテント状構造物。
【請求項2】
下枠の上下動に対し案内機構を持つことにより、安定した上下動と回転方向の振れを防止できることを特徴とする請求項1によるテント状構造物。
【請求項3】
上枠および下枠の幅方向アーム(502及び503)を内側に折たたむ機構を有することにより不使用時の体積を縮小できることを特徴とする請求項1、請求項2によるテント状構造物。
【請求項4】
上面および側面を覆う幕に防水性および防塵性を持たせテントとして使用する請求項1、請求項2、請求項3によるテント状構造物。
【請求項5】
上面及び側面を覆う幕の一部または全部の材質を微細な塵をカットできるフィルター材とし簡易クリーンブースとする請求項1、請求項2、請求項3によるテント状構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−314976(P2007−314976A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143736(P2006−143736)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(301052700)株式会社埼玉富士 (7)
【Fターム(参考)】