説明

下水汚泥を殺菌するための方法

本発明は、有機ミネラル肥料の主成分として用いられる生活および産業排水を殺菌するための技術に関するものである。提案される殺菌方法は、要求される殺菌度を達成するまで、1.0秒以下のパルス持続時間、20mmHg以下の圧力で、リザーバおよび高速作用バルブを用いて、下水汚泥への高速パルス減圧効果を及ぼすことによって行われる。本発明の使用の技術的結果は、殺菌工程の速度を上げること、およびその方法を簡略化することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用有機ミネラル肥料のための主成分として用いられる、生活および産業排水の汚泥を殺菌するための技術に関するものである。
【0002】
現在用いられている下水汚泥の殺菌方法は、汚泥の予備脱水、その粒状化、および熱処理を含む。熱処理は、煙道ガスを200〜400℃の温度で供給される加熱媒体として用いるときには、流動床において2段階で行われ、第1段階では、床温度が60〜80℃で、燃料ガスの流速が5〜12m/sで維持され、第2段階では、床温度が120〜140℃で維持され、それに続いて顆粒が冷却され、温度を調整および維持するために、床において精製された排ガスが用いられる[RF第2075198号 CO2F 1/50の特許]。
【0003】
この方法の欠点は、高い加熱媒体流速、および複雑な工程フローシートを含む。
【0004】
好気性安定化の手段による、寄生虫疾患の原因菌に対する下水汚泥殺菌方法が、現在用いられている。94〜95%の湿度汚泥を含む好気性安定化剤に殺卵剤溶液を添加し、それは0.001〜0.1g/mの汚泥の乾燥剤消費率で、挽き割り乾燥ジャガイモ苗で作られ、好気性安定化および製剤による寄生蠕虫卵への複合効果の時間は、少なくとも8時間である[RF第2120421号 CO2F 11/00の特許]。
【0005】
しかしながら、この方法はかなりの時間を要し、十分に効率的ではない。
【0006】
下水汚泥殺菌方法が現在用いられている一方で、この方法は、予備設置タンクからの汚泥および予備脱水に続く活性汚泥が添加材料、砂および殺菌剤(チアジンまたはアンモニア水)と混合されて、湿度60%の生成物になるまで追加で脱水されて、肥料として処分されることが認識されている(ソビエト連邦発明者証第842057号 CO2F 11/00)。
【0007】
この方法の欠点は、殺菌剤としてチアジンまたはアンモニア水を用いることで、それは、運用コストを増加させ、処分生成物を環境面で危険にする。
【0008】
本発明にもっとも近い類似物は、次の下水汚泥殺菌(廃棄)方法である[RF第2031086号 CO2F 11/18の特許]。
【0009】
殺菌すべき廃棄物は、粉砕され、混合され、チャンバに投入されて、1〜5分間、0.4〜1.0MPaの圧力下で空気が供給されるピストンとバルブとの間に密閉された容積が形成され、次いで1〜6分間、0.01〜0.03MPaの減圧を生じる。
【0010】
この方法の欠点は、殺菌工程の持続時間である。
【0011】
該方法はまた、圧力を用いること、ならびにチャンバ内に交番圧力および減圧を生じる必要性を伴う、装置および自動制御システムに対して、より高い要求を出す。
【0012】
加えて、殺菌工程は、減圧処理操作の前に、まず圧力下で抽気することが必要であるという事実によって遅延する。
【0013】
本発明の目的は、生活および産業排水の汚泥殺菌工程を加速すること、ならびに低強度および低金属消費の装置を用いることに関する方法の簡略化である。
【0014】
解決すべき課題は、下水汚泥の殺菌方法が減圧を経ることによって達成され、減圧は、1.0秒未満のパルス持続時間、20mmHg以下の減圧システムの残圧下で、レシーバ、高速応答バルブ、およびパイプラインを通じた高速減圧インパルス作用の手段によって引き起こされて、要求される殺菌度を達成する。
【0015】
提案されたチャンバを殺菌する方法では、下水汚泥は高速減圧インパルスへ露出され、それらの崩壊および死につながる悪性バクテリアの厳しい減圧をもたらす。これは、従来技術と比較して所要時間が短縮された殺菌工程を生じることができるようにする。さらにまた、チャンバ内の過剰な(高い)圧力をなくすことは、低強度および低金属消費の装置を用いることを可能にする。また、圧力下での「抽気」の必要性もなくなる。
【0016】
本発明者らは、請求された体制での下水汚泥殺菌工程の実施のみが本発明の課題を解決できるようにすることを実験的に示してきた。
【0017】
下水汚泥殺菌体制の選択は、農業生物学的基準の要件にしたがって、現在の装置の能力を考慮して、殺菌に必要な深さを供給するために実験的に決定される。
【0018】
提案された下水汚泥殺菌の方法は、次の方法で実施される。
【0019】
下水汚泥は殺菌チャンバ内に置かれ、それはレシーバを持つ高速応答バルブを持つパイプラインよって接続され、1.0未満のパルス持続時間、20mmHg以下の殺菌チャンバの残圧下で、高速減圧パルスへの露出が実施される。
【0020】
実験によって示されるように、要求される下水汚泥の殺菌度は、10〜15秒以内で達成される。
【0021】
請求された方法は、実験データによって確認される。
【0022】
事前殺菌なしの下水汚泥の研究結果(表1参照)は、次の点を示した:
【表1】

【0023】
本方法(パルス持続時間1.0秒、チャンバ内の残圧15〜20mmHg)によって殺菌された、下水汚泥の研究結果(表2参照)である:
【表2】

【0024】
表のデータの比較から分かるように、殺菌度は10より高い。
【0025】
よって、本方法は、工程を加速することを可能にし、時間の節約になり、下水汚泥の殺菌の質について信頼性があり、追加の装置の必要性をなくし、および使用が簡単である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水汚泥の減圧が、1.0秒以下のインパルス持続時間、20mmHg以下の残圧で、高速減圧インパルス作用によって引き起こされる、下水汚泥を減圧することによる下水汚泥の殺菌方法。
【請求項2】
高速減圧インパルス作用が、レシーバ、高速応答バルブ、およびパイプラインを通じて引き起こされる、請求項2の下水汚泥の殺菌方法。

【公表番号】特表2013−515597(P2013−515597A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545896(P2012−545896)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000763
【国際公開番号】WO2011/078742
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511154319)ザクルイトエ・アクツィオネルノエ・オブスチェストヴォ“ツイン・トレーディング・カンパニー” (8)
【氏名又は名称原語表記】ZAKRYTOE AKCIONERNOE OBSCHESTVO ‘TWIN TRADING COMPANY’
【Fターム(参考)】