説明

下痢の予防又は治療用の医薬組成物

本発明は、病原体阻害性オリゴ糖配列であるか又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物の精製画分を包含する治療用の医薬組成物を提供する。本発明は特に、下痢原性大腸菌及び/又は人畜共通感染性ヘリコバクター属細菌に結合するオリゴ糖含有物質又はオリゴ糖含有レセプター、並びに上記物質やレセプターを用いた、大腸菌及び/又は人畜共通感染性ヘリコバクター属細菌の存在によって生じる病態の予防及び治療用の医薬組成物や栄養補助組成物などに関する。本発明はまた、上記レセプターを用いた、大腸菌及び/又は人畜共通感染性ヘリコバクター属細菌の診断方法にも関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の化合物の精製画分を包含する治療用の医薬組成物であって、該化合物は、下記式(I)及び(II)で表される病原体レセプターからなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列であるか又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物であり、該医薬組成物が下記式(I)で表される病原体レセプターを1種だけ包含する場合にのみ、下記式(II)で表される少なくとも1種のアルファ−ヘキソースレセプターを共に包含することを特徴とする医薬組成物。
[Sacch1]m1Galβx(Fucα4)m2Glc[NAc]m3[β3Gal{β4Glc(NAc)n1}n2]n3[βR2]n4 (I)
(式中、xは3位又は4位の結合位置を表し;
Sacch1はGlcNAcβ3、Galα3、GalNAcβ4、Galα4又はNeu5Xα3/6であり、式中のXはAc又はGcであり;
n1、n2、n3、n4、m1、m2及びm3は各々独立に0又は1であるが、
但し、xが3位、m1が0、且つm3が1の場合にのみ、m2は1でもよく、
Sacch1がNeu5Xα3、Galα3、GalNAcβ4又はGalα4である場合にのみ、m3は0でもよく、
n4が1の場合には、m3とn3は共に0であり、
n4が0の場合には、m1、m2及びn3のいずれかが1であり;
R2は、ヒドロキシ脂肪酸を含むセラミド又はヒドロキシ脂肪酸を含むセラミドの類似体であり;そして
Sacch1がGalα3又はGalNAcβ4であり、該医薬組成物が式(I)で表されるレセプターを少なくとも2種包含する場合には、レセプターは互いに式(I)中のSacch1、x、m2及びn4から選ばれる少なくとも1種が異なり、該医薬組成物は2つのシアル酸レセプター又は2つのネオラクトレセプターを包含しない。)
Hexαp[(Hexαr)]nHex (II)
(式中、HexはGal又はManであり、nは0又は1であり、p及びrはMan残基間の3位又は6位の結合位置を表すが、
但し、HexがManの場合には、pが3位でrが6位であるか、pが6位でrが3位であり、
HexがGalの場合には、pが4位でnは0であるが、この時、式(II)で表されるレセプターが上記式(I)で表されるGalα4Galレセプターと共に該医薬組成物が包含することはない。)
【請求項2】
該病原体阻害性オリゴ糖配列の末端活性化配列がGalα4である場合には、該医薬組成物は部分エピトープであるGalα4Galを包含してもよく、所望により、下記式:
Manα3[(Manα6)]nMan
(式中、nは0又は1である。)
で表されるオリゴ糖配列を含むマンノースレセプターを更に包含することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
該化合物が下記式(Ib)で表される病原体レセプターからなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列であるか又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物であり、少なくとも2種の該化合物の精製画分を包含することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
[A1]m3Galβ4Glc[βA2]n4 (Ib)
(式中、m3及びn4は各々独立に0又は1であり;
A1は、GalNAcβ4、Galα4、Neu5Xα3、Neu5Xα6、GalNAcβ3Galα4、
Galβ3GalNAcβ4、Galβ4GlcNAcβ3、GlcNAcβ3Galβ4GlcNAc、Galβ3GlcNAcβ3、
Neu5Xα3Galβ4GlcNAcβ3、Neu5Xα6Galβ4GlcNAcβ3及びGalβ3(Fucα3)GlcNAcβ3からなる群より選ばれる天然型非還元末端活性化配列であり、式中のXはAc又はGcであり;そして、
A2は、ヒドロキシ脂肪酸を含むセラミド又はヒドロキシ脂肪酸を含むセラミドの類似体である。)
【請求項4】
式(Ib)中のA1が、Galα4、Neu5Xα3、Neu5Xα6、Galβ4GlcNAcβ3及びGalβ3GlcNAcβ3からなる群より選ばれる配列であることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
該化合物が下記式(Ic)で表される病原体レセプターからなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列であるか又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物であり、少なくとも2種の該化合物の精製画分を包含することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
[Sacch1]m1[Galβx(Fucα4)m2GlcNAcβ3]m3Galβ4Glc[βA2]n4 (Ic)
(式中、xは3位又は4位の結合位置を表し;
Sacch1はGlcNAcβ3、Galα3、GalNAcβ4、Galα4又はNeu5Xα3/6であり、式中のXはAc又はGcであり;
n4、m1、m2及びm3は各々独立に0又は1であるが、
但し、xが3位の場合にのみ、m2は1でもよく、
Sacch1がGlcNAcβ3の場合には、m3は1であり、xは4位であり、
m1が1の場合又はn4が1の場合にのみ、m3は0でもよく、
n4が0の場合には、m1又はm3が1であり;そして
A2は、ヒドロキシ脂肪酸を含むセラミド又はヒドロキシ脂肪酸を含むセラミドの類似体であるが;
但し、該医薬組成物が包含する少なくとも2種のレセプターは互いに式(Ic)中のSacch1、x、m2及びn4から選ばれる少なくとも1種が異なり、好ましくは該医薬組成物は2つのシアル酸レセプターを包含しない。)
【請求項6】
該化合物が下記式(Id)で表される病原体レセプターからなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列であるか又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物であり、少なくとも2種の化合物の精製画分を包含することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
[Sacch1]m1[GalβxGlcNAcβ3]m3Galβ4Glc (Id)
(式中、xは3位又は4位の結合位置を表し;
Sacch1はGalα4、Neu5Xα3又はNeu5Xα6であり、式中のXはAc又はGcであり;そして
m1及びm3は各々独立に0又は1であるが、但し、m1又はm3が1であり;
但し、該医薬組成物が包含する少なくとも2種のレセプターは互いに式(Id)中のSacch1及びxから選ばれる少なくとも1種が異なり、好ましくは該医薬組成物は2つのシアル酸レセプターを包含しない。)
【請求項7】
該オリゴ糖配列が、Galα4Galβ4Glc、NeuNAcα3Galβ4Glc、NeuNAcα6Galβ4Glc、
NeuNAcα3Galβ4GlcNAc、NeuNAcα6Galβ4GlcNAc、Galβ4GlcNAcβ3Galβ4Glc及び
Galβ3GlcNAcβ3Galβ4Glcからなる群より選ばれる配列であることを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
NeuNAcα3Galβ4Glc、NeuNAcα6Galβ4Glc又はNeuNAcα6Galβ4GlcNAcなどのシアリル化オリゴ糖を含有するウシ乳の画分を、少なくとも一種の中性オリゴ糖、好ましくは
Galα4Galβ4Glc、Galβ4GlcNAcβ3Galβ4Glc(LNnT)又はGalβ3GlcNAcβ3Galβ4Glc(LNT)と共に用いることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
該病原体阻害性オリゴ糖配列が、グロボオリゴ糖、ネオラクトオリゴ糖及びシアリルオリゴ糖からなる群より選ばれる2種の異なるオリゴ糖、好ましくはGalβ4GlcNAcβ3Galβ4Glc、Galα4Galβ4Glc及びシアリルラクトースからなる群より選ばれる2種の異なるオリゴ糖からなる混合物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
下記式(Id)で表される一価型のオリゴ糖を1つ用いることを特徴とする、毒素非産生性下痢原性大腸菌によって生じるヒト疾患に対する治療用医薬組成物の製造方法。
[Sacch1]m1[GalβxGlcNAcβ3]m3Galβ4Glc (Id)
(式中、xは3位又は4位の結合位置を表し;
Sacch1はGalα4、Neu5Xα3又はNeu5Xα6であり、式中のXはAc又はGcであり;そして
m1及びm3は各々独立に0又は1であるが、但し、m1又はm3は1である。)
【請求項11】
少なくとも2種の化合物の精製画分を包含する治療用の医薬組成物であって、該化合物は病原体阻害性オリゴ糖配列であるか又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物であり、該病原体阻害性オリゴ糖配列は下記(a)〜(h)の病原体レセプターからなる群より選ばれる少なくとも2種であることを特徴とする医薬組成物。
(a) 下記式(X)で表されるラクトシルセラミドレセプター:
R1xGalβ4GlcβR2 (X)
(式中、xは3位又は4位の結合位置を表し;
R2は、ヒドロキシ脂肪酸を含むセラミド又はヒドロキシ脂肪酸を含むセラミドの類似体であり;そして、
R1は、Galα、Galβ、GalNAcβ、GlcNAcβ、還元末端にGalα、Galβ、GalNAcβ又はGlcNAcβを有する更に長いオリゴ糖、あるいはNeu5Xαであり、式中のXはAc又はGcであるが、但し、R1がGlcNAcβ又はNeu5Xαの場合には、xは3位を表す。)
(b) 下記式(XI)で表されるガングリオレセプター:
[Galβ3]n1GalNAc[β4Gal{β4Glc}n2]n3 (XI)
(式中、n1、n2及びn3は各々独立に0又は1であるが、但し、n1又はn3は1であり、且つ、オリゴ糖配列にシアル酸は結合していない。)
(c) 下記式(XII)で表されるGalα4Galレセプター:
[GalNAcβ3]n1Galα4Gal{β4Glc(NAc) n2}n3 (XII)
(式中、n1、n2及びn3は各々独立に0又は1であり;そして
GalNAc残基は、所望により、他の単糖残基により置換されている。)
(d) 下記式(XIII)で表されるラクトレセプター:
Galβ3GlcNAc[β3Gal{β4Glc(NAc)n1}n2]n3 (XIII)
(式中、n1、n2及びn3は各々独立に0又は1である。)
(e) 下記式(XIV)で表されるネオラクトレセプター:
[GlcNAcβ3]n1Galβ4GlcNAc[β3Gal{β4Glc(NAc) n2}n3]n4 (XIV)
(式中、n1、n2、n3及びn4は各々独立に0又は1であり、n1が1の場合には、非還元末端GlcNAcは単糖残基又はオリゴ糖によって置換することができる。)
(f) 下記式(XV)で表されるフコシルレセプター:
Galβ3(Fucα4)GlcNAc[β3Gal{β4Glc(NAc) n1}n2]n3 (XV)
(式中、n1、n2、及びn3は各々独立に0又は1である。)
(g) 下記式(XVI)で表されるシアル酸レセプター:
Neu5XαpGalβr[(Fucαs)]n1Glc(NAc)n2 (XVI)
(式中、XはAc又はGcであり、従ってシアル酸残基はNeu5Ac又はNeu5Gcであり;
n1及びn2は各々独立に0又は1であり;
pは3位又は6位の結合位置を表し;そして
r及びsはいずれも3位又は4位の結合位置を表すが、但し、rが3位である場合にはsは4位であり、rが4位である場合にはsは3位である。)
(h) 下記式(XVII)で表されるマンノースレセプター:
Manαp[(Manαr)]n1Man (XVII)
(式中、n1は0又は1であり;そして
p及びrはMan残基間の3位又は6位の結合位置を表すが、但し、pが3位である場合にはrは6位であり、pが6位である場合にはrは3位である。)
【請求項12】
該ラクトシルセラミドレセプター(a)が、ラクトシルセラミド、ヒドロキシ脂肪酸を含むラクトシルセラミド、3位炭素原子が修飾されたガラクトース残基を有するラクトシルセラミド及びイソグロボトリアオシルセラミドからなるレセプターオリゴ糖配列群より選ばれることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
該ガングリオレセプター(b)が、Galβ3GalNAcβ4Galβ4Glc、Galβ3GalNAcβ4Gal、Galβ3GalNAc、GalNAcβ4Gal及びGalNAcβ4Galβ4Glcからなるレセプターオリゴ糖配列群より選ばれることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
該Galα4Galレセプター(c)が、Galα4Galβ4Glc、Galα4Galβ4GlcNAc及び
Galα4Galからなるレセプターオリゴ糖配列群より選ばれることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
該ラクトレセプター(d)を表す式(XIII)において、n3が1であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
該ラクトレセプター(d)が、Galβ3GlcNAcβ3Gal、Galβ3GlcNAcβ3Galβ4Glc、
Galβ3GlcNAcβ3Galβ4GlcNAc及びGalβ3GlcNAcβ3Galβ3GlcNAcからなるレセプターオリゴ糖配列群より選ばれることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
該ネオラクトレセプター(e)を表す式(XIV)において、還元末端GlcNAcが単糖残基Galβ4又はオリゴ糖GlcNAcβ3Galβ4で置換されているか、あるいはn1又はn4が1であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項18】
該ネオラクトレセプター(e)が、GlcNAcβ3Galβ4GlcNAc、Galβ4GlcNAcβ3Gal、
Galβ4GlcNAcβ3Galβ4Glc、Galβ4GlcNAcβ3Galβ4GlcNAc、
GlcNAcβ3Galβ4GlcNAcβ3Galβ4Glc及びGlcNAcβ3Galβ4GlcNAcβ3Galβ4GlcNAcからなるレセプターオリゴ糖配列群より選ばれることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項19】
該フコシルレセプター(f)を表す式(XV)において、n3が1であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項20】
該フコシルレセプター(f)が、ルイスa構造を有するレセプターオリゴ糖配列であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項21】
該ルイスa構造を有するオリゴ糖配列が、Galβ3(Fucα4)GlcNAcβ3Gal、
Galβ3(Fucα4)GlcNAcβ3Galβ4GlcNAc及びGalβ3(Fucα4)GlcNAcβ3Galβ4Glcからなるオリゴ糖配列群より選ばれることを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
該シアル酸レセプター(g)が、Neu5Xα3Galβ3(Fucα4)GlcNAc構造、
Neu5Xα3Galβ4(Fucα3)GlcNAc構造、Neu5Xα3Galβ4(Fucα3)Glc構造、
Neu5Xα3Galβ3GlcNAc構造、Neu5Xα3Galβ4GlcNAc構造、Neu5Xα3Galβ4Glc構造、
Neu5Xα6Galβ4GlcNAc構造又はNeu5Xα6Galβ4Glc構造を有するオリゴ糖配列であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項23】
該マンノースレセプター(h)が、Manα3(Manα6)Man結合体であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項24】
該化合物の少なくとも一種が、一価の型であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項25】
該化合物の少なくとも一種が、多価の担体に結合していることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項26】
一価型の化合物が、グリコシルアミン、グリコシルアミド、メチルグリコシド、並びに他のN−グリコシド、C−グリコシド及びS−グリコシドを含むグリコシド類から選ばれる1種であることを特徴とする、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
該多価の担体が、炭水化物担体又は粒状担体であることを特徴とする、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
該炭水化物担体が可溶性であることを特徴とする、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
該炭水化物担体が、レセプターオリゴ糖配列を含む細菌由来の多糖又はその部分であることを特徴とする、請求項27又は28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
該粒状担体が、炭水化物粒子、合成樹脂粒子又は細胞であることを特徴とする、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
該炭水化物担体が、抗原性又は免疫促進性の炭水化物結合体であることを特徴とする、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項32】
該病原体阻害性オリゴ糖配列が、免疫細胞又は抗体やレクチンなどの免疫防御タンパク質に病原体を結合しうるものであることを特徴とする、請求項1〜31のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項33】
該医薬組成物が、消化器系感染症の予防又は治療用であることを特徴とする、請求項1〜31のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項34】
該消化器系感染症が下痢の病因となることを特徴とする、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
該消化器系感染症が、旅行者下痢、小児下痢、持続性下痢、水様下痢、出血性大腸炎又は溶血性尿毒症症候群の病因となることを特徴とする、請求項33又は34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
該感染症が、EPEC(腸管病原性大腸菌)、ETEC(毒素原性大腸菌)、EHEC(腸管出血性大腸菌)、EIEC(腸管侵入性大腸菌)又はEAEC(腸管凝集性大腸菌)によるものであることを特徴とする、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
該感染症が、Vibrio choleraeを含むビブリオ属細菌、Campylobacter jejuniを含むカンピロバクター属細菌、エントアメーバ属原虫を含む腸内寄生真核生物、Salmonella typhimuriumを含むサルモネラ属細菌、シゲラ属細菌、アエロモナス属細菌、人畜共通感染性ヘリコバクター属細菌、リステリア属細菌又はロタウイルスによるものであることを特徴とする、請求項33〜35のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項38】
該感染症の病因を診断していないことを特徴とする、請求項33〜37のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項39】
請求項1〜38のいずれかにおいて定義されている少なくとも2種の化合物の精製画分を包含する組成物を用いた、消化器系感染症の予防又は治療用薬剤の製造方法。
【請求項40】
該医薬組成物が、肺疾患の予防又は治療用であることを特徴とする、請求項1〜38のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項41】
該医薬組成物をヒトの治療に用いることを特徴とする、請求項1〜38のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項42】
該医薬組成物を動物の治療に用いることを特徴とする、請求項1〜38のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項43】
Fucα2Gal、Fucα3GlcNAc、Fucα3Glc、NeuNAcα8NeuNAc、Fucα2Galβ3/4GlcNAc、
Fucα2Galβ4Glc、Fucα2Galβ4(Fucα3)Glc、Galβ4(Fucα3)GlcNAc、
Fucα2Galβ3/4(Fucα4/3)GlcNAc及びガングリオ系ガングリオシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴ糖配列を含むオリゴ糖を更に包含することを特徴とする、請求項1〜38及び40〜42のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項44】
請求項1〜32のいずれかにおいて定義されている少なくとも2種の化合物の精製画分を包含する、消化器系感染症の予防又は治療用の栄養補助組成物又は栄養補助剤。
【請求項45】
プロバイオティック微生物又はプレバイオティック化合物を更に包含することを特徴とする、請求項44に記載の栄養補助組成物又は栄養補助剤。
【請求項46】
病原体レセプターを包含する請求項1〜30のいずれかの医薬組成物をろ過材の一部として用いる、液状の食物、飲料及び水から病原体をろ過により除去する方法。
【請求項47】
病原体レセプターを包含する請求項1〜30のいずれかの医薬組成物を用いた、請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列の少なくとも3種に結合する病原体の診断方法。
【請求項48】
病原体レセプターを包含する請求項1〜30のいずれかの医薬組成物を用いた、請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列の少なくとも4種に結合する病原体の診断方法。
【請求項49】
該病原体が、EPEC(腸管病原性大腸菌)、ETEC(毒素原性大腸菌)、EHEC(腸管出血性大腸菌)、EIEC(腸管侵入性大腸菌)又はEAEC(腸管凝集性大腸菌)であることを特徴とする、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
該病原体が、請求項39に記載の病原体、Vibrio choleraeを含むビブリオ属細菌、Campylobacter jejuniを含むカンピロバクター属細菌、エントアメーバ属原虫を含む腸内寄生真核生物、Salmonella typhimuriumを含むサルモネラ属細菌、シゲラ属細菌、アエロモナス属細菌、人畜共通感染性ヘリコバクター属細菌、リステリア属細菌及びロタウイルスからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項51】
病原体レセプターを包含する請求項1〜30のいずれかの医薬組成物を用いて食品の表面を被覆することを特徴とする、食品の安全性を向上させるための方法。
【請求項52】
消化器系感染症の治療を必要とする対象生物に薬学的に有効な量の組成物を投与することを特徴とする消化器系感染症の治療方法であって、該組成物は病原体阻害性オリゴ糖配列である化合物及び該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも2種の化合物の精製画分を包含し、該化合物は、それぞれ感染組織に存在する炭水化物レセプターに結合する病原体を阻害することを特徴とする治療方法。
【請求項53】
該組成物が、請求項1〜43のいずれかの医薬組成物であることを特徴とする、請求項52に記載の治療方法。
【請求項54】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されている病原体レセプター(a)、(b)、(d)、(e)及び(f)からなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列である化合物又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物を包含する、患者の胃腸管にEHEC(腸管出血性大腸菌)が存在することによって生じる下痢の予防又は治療用の医薬組成物。
【請求項55】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されている病原体レセプター(a)、(b)、(c)、(e)及び(g)からなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列である化合物又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物を包含する、患者の胃腸管にEPEC(腸管病原性大腸菌)が存在することによって生じる下痢の予防又は治療用の医薬組成物。
【請求項56】
請求項11において定義されている病原体レセプター(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)からなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列である化合物又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物を包含する、患者の胃腸管にETEC(毒素原性大腸菌)が存在することによって生じる下痢の予防又は治療用の医薬組成物。
【請求項57】
請求項11〜23のいずれかにおいて定義されている病原体レセプター(c)、(d)、(e)、(g)及び(h)からなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列である化合物又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物を包含する、患者の胃腸管にEAEC(腸管凝集性大腸菌)が存在することによって生じる下痢の予防又は治療用の医薬組成物。
【請求項58】
請求項11〜23のいずれかにおいて定義されている病原体レセプター(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)からなる群より選ばれる病原体阻害性オリゴ糖配列である化合物又は該病原体阻害性オリゴ糖配列を含有する化合物を包含する、患者の胃腸管にEIEC(腸管侵入性大腸菌)が存在することによって生じる下痢の予防又は治療用の医薬組成物。
【請求項59】
ラクトレセプター、ネオラクトレセプター、フコシルレセプター、マンノースレセプター及びシアル酸レセプターからなる群より選ばれるタンパク質結合レセプターを用いた、病原体の結合を分析又は診断する方法。
【請求項60】
請求項59において定義されているタンパク質結合レセプターを用いた、プロバイオティックな細菌又は微生物の結合を分析又は診断する方法。
【請求項61】
請求項59において定義されているタンパク質結合レセプターを用いた、類似オリゴ糖物質を探索又は設計する方法。
【請求項62】
該タンパク質結合レセプターが、請求項59において定義されているレセプターのO−グリカンコア構造又はN−グリカンコア構造の少なくとも一部を含むことを特徴とする、請求項59〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
該タンパク質結合レセプターが、ヒトの腸、胃又は喉頭の上皮に存在する非還元末端オリゴ糖配列を含むことを特徴とする、請求項59〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列からなる群より選ばれる少なくとも2種の異なる種類のオリゴ糖配列を含有する可溶性多価物質。
【請求項65】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列からなる群より選ばれる少なくとも2種の異なる種類のオリゴ糖配列を含有する乳児用ミルク。
【請求項66】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列からなる群より選ばれる少なくとも2種の異なる種類のオリゴ糖配列を含有する食品保存剤。
【請求項67】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列を少なくとも1種含有する口腔衛生製品。
【請求項68】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列を少なくとも2種含有する口腔衛生製品。
【請求項69】
該製品が、練り歯磨、洗口液、タブレット及びチューイングガムからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項67又は68に記載の口腔衛生製品。
【請求項70】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列を少なくとも1種含有する局所用製品、洗剤又は化粧品。
【請求項71】
請求項1〜23のいずれかにおいて定義されているオリゴ糖配列からなる群より選ばれる少なくとも2種の異なる種類のオリゴ糖配列を含有する局所用製品、洗剤又は化粧品。
【請求項72】
練り歯磨き、洗口液、タブレット及びチューインガムからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項67又は68に記載の局所用製品、洗剤又は化粧品。
【請求項73】
請求項1〜23のいずれかの医薬組成物を、生体外における病原体の非診断的な阻害又は凝集に用いる方法。
【請求項74】
該病原体が大腸菌であることを特徴とする、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
該医薬組成物の包含するオリゴ糖配列の1つが、Manα、NeuNAcα、Galβ、Galα、Fucα及びGlcNAcβからなる群より選ばれる非還元ピラノース型単糖残基を含み、且つ、該オリゴ糖配列に対応する部分オリゴ糖配列で置換されていることを特徴とする、請求項1〜38及び40〜46のいずれかに記載の治療用の医薬組成物。
【請求項76】
シアル酸オリゴ糖を包含する治療用のポリシアル酸組成物であって、該シアル酸オリゴ糖の少なくとも95%が10シアル酸残基未満のオリゴ糖であることを特徴とするポリシアル酸組成物。
【請求項77】
請求項76に記載のポリシアル酸組成物を用いた、消化器系感染症の予防又は治療用の薬剤の製造方法。
【請求項78】
該感染症が、病原性大腸菌及び人畜共通感染性ヘリコバクター属細菌からなる群より選ばれる細菌によるものであることを特徴とする、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項79】
下記式(SP1)で表される下痢原性大腸菌阻害物質。
[OS-(y)p-(S)q-(z)r-]nPO (SP1)
(式中、POはオリゴマー状又はポリマー状の担体構造であり;
OSは本発明によるオリゴ糖配列であり;
nは1以上の整数であって、担体POに共有結合しているオリゴ糖残基の数を表し、
Sはスペーサー基であり;
p、q及びrは、各々独立に0又は1であるが、但し、pとrの少なくとも一方が0ではなく;
y及びzは結合基であり、yとzの少なくとも一方はO−ヒドロキシルアミン残基(-O-NH- 又は -O-N=)であって、yがO−ヒドロキシルアミン残基の場合には、その窒素原子がOSに結合し、zがO−ヒドロキシルアミン残基の場合には、その窒素原子がPOに結合し、O−ヒドロキシルアミン残基ではないy又はzが存在する場合には、それは化学的に選択される結合基である。)

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−506329(P2006−506329A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−516828(P2004−516828)
【出願日】平成15年6月30日(2003.6.30)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000528
【国際公開番号】WO2004/002495
【国際公開日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(504472695)
【氏名又は名称原語表記】GLYKOS FINLAND OY
【Fターム(参考)】