説明

下痢の処置方法

【課題】下痢症状を治療処置する方法の提供。
【解決手段】Lactobacillus reuteri(ラクトバチルス・ルーテリ)の1つ以上の菌株の液体懸濁液が患者に投与される。好ましくは施療中の動物と同じ種の動物から分離されたL.reuteriが患者に与えられる。消化器の症状に基づき1日当り少なくともおよそ10細胞、好ましくは10細胞のL.reuteriが1日乃至7日間投与され、この効果は他の治療には見られない著効が急速に現れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感染性胃腸疾患の治療にかかる。
【背景技術】
【0002】
正常なマイクロフローラが胃腸器官の伝染病に対するホストの保護に重要である。(非特許文献1;非特許文献2)激しい下痢中に通常の胃腸のマイクロフローラが基本的に変化する。これらの変化はLactobacilli,Bacteroides及びBifidobacteriaの数の減少を含む。(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。
【0003】
Lactobacillus reuteriは最も一般的にLactobacillus spaciesに生じ、これはヒト及び動物のGl tractに見られる。(非特許文献6)。他のLactobacilli,L.と同様、reuteriは酸代謝の最終生産物を生じ(乳酸及び酢酸)これは相当に殺菌性がある(非特許文献7)。プロバイオティック目的以外にreuteri細胞療法を利用すること、即ち固有のマイクロフローラを改良によるホストからの利益を利用すること、或いはアンチバイオティックな目的は未知である。
【0004】
一部の研究では、プロバイオティックな作用剤を投与すると、宿主の菌のバランスを調整することができ、下痢が激しい期間を短縮することができる(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。乳酸菌カゼイン菌株GG(LcGG)は子供のロタウィルス胃腸炎からの臨床回復を促進し、腸の免疫反応を高めるということがわかっている(非特許文献11:非特許文献12;非特許文献13)。L.カゼイン亜種 ラムノーサス(ラクトフィラス)、L.delbruckii亜種 ブルガリカスのような市販されている乳酸菌バクテリアの調合剤は、その効果が正式に証明されてはいないが、激しい下痢の治療に使用されている(非特許文献13)。L.reuteriは健康な人間への外因的投与に使用しても安全であるということが証明されており(非特許文献14)また、大腸炎のねずみのモデルから治療の可能性が示されている。(非特許文献15)。
【0005】
L,reuteriは、ルーテリンと呼ばれる波長の長い殺菌剤を作ることが知られており(非特許文献16)、胃腸の中の病原性微生物を阻止する働きをする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Fuller,R.,Gut 1991;32:439−42
【非特許文献2】Salminen,S.et al.,Dig Dis Sci 1992;10:227−38
【非特許文献3】Tazume S.et al.,Clin Infect Dis 1993;16(2 suppl);77−82S
【非特許文献4】Mitsuoka T.,in Wood BJB,London:Elsevier Applied Science 1992,1;69−114
【非特許文献5】Salminen S.et al.,Chemotherapy,in press,
【非特許文献6】Kandler O.et al.,Zbl Baki Abl Orig 1980;C1;264−9
【非特許文献7】Axelson L.T.et al.,Microb Ecology Health Dis 1982;2:131−6
【非特許文献8】ピース J.L他 J Pediatr 1974;84:261−2
【非特許文献9】ブランサー O他、Acta Paediator Scand 1989;78:259−64
【非特許文献10】ブードラ G他 J Pediatr 胃腸学 Nutr 1990;11:509−12
【非特許文献11】イソロウリ E他、Pediatrics 1991;88:90−7
【非特許文献12】カイラ M他、Int Pediatr Research Foundation.lnc.1992;32;141−4
【非特許文献13】マジャマー H他 J Pediatr Gastroenterol Nutr 1995;20;333−8
【非特許文献14】ウルフ B.W他、Micro Ecology Health Dis l995;8:41−50
【非特許文献15】ファビア R他、Scand J Gastroenterol 1993;28:155−62
【非特許文献16】アクセルソン L.T.他 Microb Ecology Health Dis 1989;2:131−6
【発明の概要】
【0007】
本願発明は、医療処置が施される動物と同一種類の動物から分離した1種類以上のLactobacillus reuteri(「L.reuteri」と略記する)を使った下痢の処置方法である。胃腸炎の酷さ次第で、好ましくは、少なくとも約10,000,000のL.reuteriの細胞が、少なくとも1日間投与される。動物の下痢や嘔吐に関しては、以前他の処置では見られなかった、急速で、目覚ましい減少を得る結果となった。
【0008】
本発明の目的は、激しい下痢の処置方法を与えることにあり、当該方法は若い患者の脱水症状を停止するには以前の方法よりも効果的で、早い。
【0009】
本発明の他の特徴及び目的は、下記の開示及び特許請求の範囲からより明瞭となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】L.reuteriまたはプラシーボの投与を受けている患者の24時間周期の水様便の頻度を、下痢便の絶対数(図1a)と入院レベル(図1b)と比較される減少割合として示す。黒塗りの矩形プロットはL.reuteri処置を示し、白抜き矩形プロットはプラシーボを示す。
【図2】L.reuteriまたはプラシーボの投与を受けている患者の24時間周期の嘔吐の頻度を、嘔吐の絶対数(図2a)と入院レベル(図2b)からの減少割合を示す。黒塗りの矩形プロットはL.reuteri処置を示し、白抜き矩形プロットはプラシーボを示す。
【図3】プラシーボにおいて(1対のブロックの第2番目のブロック)と、子どもに投与されたL.reuteriにおいて(1対のブロックの第1番目のブロック) との合計の便のLactobacillusを示す。
【図4】プラシーボにおいて(1対のブロックの第2番目のブロック)と、子どもに投与されたL.reuteriにおいて(1対のブロックの第1番目のブロック) との便のL.reuteri数を示す。
【図5】プラシーボにおいて(1対のブロックの第2番目のブロック)と、子どもに投与されたL.reuteriにおいて(1対のブロックの第1番目のブロック) との合計便のL.reuteri数の割合としてのL.reuteriを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本文の本願発明は、下痢している哺乳動物への治療法を与える方法であって、当該方法は、哺乳動物が下痢しているか或いは直ぐにでも下痢しそうな状態であるかを判断することと、Lactobacillus reuteriの種類を選択することと、哺乳動物への投与のために、10の7乗から10の10乗、好ましくは少なくとも約10の8乗の細胞を含む前記種類の細胞を少なくとも1アリコート準備することと、及び、下痢であると診断された後は出来るだけ早急に動物へ少なくとも1アリコートを経口的に投与することとからなっている。アリコートは凍結乾燥された細胞であり得て、それは、動物への投与のために液体の中で浮遊懸濁される。該液体は、動物に有害とならない水、フルーツジュース、牛乳又はヨーグルトのような乳製品、及びそれに類するものであり得る。凍結乾燥された細胞は、ホイルパッケージのような湿気のある不透水性の包装、または、既知のゼラチンカプセル内に包装される。動物への液体投与の選択肢として、凍結乾燥された細胞は、動物への投与のためにゼラチンカプセル内に配置される。Lactobacillus reuteriの種類は、治療が施されている動物と同種類の動物から分離されたものであることが好ましい。更に本発明は、下痢症状の減少を治療準備からなっていて、それは、動物への投与のためのアリコートにおいて、1種類のL.reuteriの少なくとも約10の7乗の細胞からなっている。
【0012】
本発明は、Lactobacillus reuteriを投与することからなる、人間への急激な下痢の処置方法を与える。処置は、好ましくは下痢症状が診断された後直ぐに、1日に10の7乗から10の10乗の細胞のレベルの投与を伴って、1日乃至7日間続けられることが好ましい。処置の開始が早ければ早いほど、投与されたLactobacillus reuteriの治療は早く下痢症状を止めることが出来る。
【0013】
本文中で報告される主要研究の概要においては、急激な下痢症状(75パーセントロタウィルス)から回復における人間のLactobacillus strainの効果を決定するため、6カ月と36カ月との間の40人の患者が研究された。この種のL.reuteriは、1995年、12月7日のダペスト条約の下に、ATCC No.55730としてのAmerican Type Culture Collectionに寄託され、人間の母乳から分離された。
【0014】
親の了解の後、患者は2グループ中の1グループへとランダムに割り振られ、10の10乗から10の11乗のcfuのL.reuteri SD2112を受けるか、或いは、長期の入院生活の間または5日間までは、そろったプラシーボを受ける。処置は50mlから100mlの液体投与でなされる。医療処置の開始後、水様下痢の平均(SD)期間は、L.reuteriのグループにおいては、1.7[1.6]日であり、プラシーボのグループでは、2.9[2.3]日(p=0.07)であった。処置の2日目では、L.reuteriを受けている26パーセントの患者に水様便があっただけであり、一方、プラシーボを受けている患者では81パーセントの患者に水様便の症状があった(p=0.0005)。便のサンプルからのlactobacilliの培養菌は、合計lactobacilliの75パーセントを越えるL.reuteriの投与が本製品が与えられた子供に発見されたことを実証されている。L.reuteriは、急激な下痢の治療物質として効果的であると結論づけられる。
【0015】
便の分析によって実証された臨床結果は、GI管内のL.reuteriの移植は、急
激な下痢の短期化と改善とに結果することを示している。L.reuteri治療の効能は、処置の開始後24時間以内に観察され、その後は殆どの患者に水様下痢の減少が見られた。処置された患者の74パーセントとプラシーボ患者の19パーセントは処置の開始後2日目には下痢から開放されているということの観察は明確に臨床上の重要性を示している。この結果は、Lactobacillus GG(Isolauri E.et al.,Pediatrics 1991;88:90−7;Majamaa H.et
al.,J Pediatr Gastroenterol Nutr 1995;20:333−8)の先の経験からは好意的に比較され、それは、急激な下痢の処置に置いてはStreptococcus thermophilous and L.delbruckii subsp.Bulgaricus(Yalacta)and L.casei subsp.Rhamnosus(Lactophilus)の組合せよりも臨床的には効果的であることが分かった。本結果は、更に、L.reuteriの早い時期の投与によってより改善されうる。本文において報告された主要な研究においては、L.reuteri治療は、入院を必要とする患者について下痢の比較的遅い段階にてただし水分補給と両親の承諾の後に開始されている。多くの場合、遅延が酷かった。
【0016】
臨床結果は、最近上の発見と共に確証された、それは、プラシーボ受容者においては低いlactobacilliの合計数とlactobacilliのウィルスの不在を示しており、処置されたグループにおいて高い合計lactobacilliとL.reuteriの移植を示している。移植データは、GI管のL.reuteriの存在は、他の利益のある微生物の発育を助けることによって消化管エコロジーを改善し得ることを示唆している(Fuller R.,Gut 1991;32:439−42)。
【0017】
本発明の特徴と利点は、本発明を限定するものでない以下の例を参照することによってより明瞭に理解されるだろう。
【実施例】
【0018】
研究患者
研究は1995年1月29日と1995年7月3日の間にロタウィルスの流行季節に対応して行われた。研究のプロトコルはフィンランドテンプルにあるテンプル大学病院のEthical Review Committeeで認証された。これはランダム且つ二重盲検研究である。研究科目はテンプル大学病院の小児科から許可を得た栄養の良くとれている6箇月から36ケ月で、7日間以内に激しい下痢と前日24時間内に1回以上水便をした41人の患者(61%男児)を含む。子供たちは次の含有除外規範を基本とした研究に登用され、又は除外された。患者は6ヶ月から36ヶ月で急性の下痢が認めら、乳製品(ミルク、ヨーグルト、小児用流動食など)を通常の栄養源の一部として摂取していた過去があり、親又は法的保護者が手術承諾に署名していれば適格者である。また免疫反応抑制治療や免疫不足に苦しんでいる、乳製品に対しアレルギー反応を起こした過去がある、重病であいまいな病気にかかっている、究用の製品を飲んでいる、親又は法的保護者が手術承諾に署名を拒んだ患者は研究から除外された。
【0019】
ランダムスケジュールは入院した患者約50%を各治療グループに振り分けるのに作成された(L.reuteri及びプラヤボ)。ランダムな数字は逐次患者が研究に登録されるたびに割り当てられた。
【0020】
前研究情報収集
入院時、子供たちは体重を量り、診察を受け、脱水度を測定される。急な体重の減少は予測体重(各自の成長チャートによる)と測定体重間の違いによって計算される。液体不足(脱水の割合)は脱水の臨床兆候と低カロリー摂取からくる体重の減少を反映するため最低3日続いた下痢による1日あたり0.5%から1%の急激な体重の減少から定義され
る。ナトリウムとカリウムの血清のレベルは血酸性のベースバランスと同様、入院時に収集された血液見本から決定される。
【0021】
治療
病院に入院後、患者標準の治療法に従わせた。すなわち、まず口から水を与え、次いで完全なfeedingを敏速に行った。(Isolauri E.etal.,J Pediar Gastroneteroi Nutr 1985;4 366−74)、但し瀉止剤を投与しなかった。口からの給水は6時間、Na(60mmol/l)とグルコース(84mmol/l)を含有する溶液を用いて流体不足の2倍の量で最低量30ml/kg(Rautanen T.et al.,Acta Paediatr 1993;82:52−4)で行った。
【0022】
患者を二つの群に同じ人数に分けた。群1(n=19)は1日1回L.reuteri
SD 2112を1010〜1011efuを投与した。群2(n=21)は1日1回プラセボを投与した。プラセボは無脂肪ドライミルク粉から成る。L.reuteriとプラセボは、BioGaia Biologics,Inc(Raleigh,North Carolina,USA)で出荷前に品質をコントロールし量を検査して調整したものである。L.reuteriは1グラム(1010〜1011cfu/g)毎に無脂肪ドライミルク粉をキャリアーとして用い殺菌密封した乾燥させたL.reuteriまたはプラセボを50〜100mlの流体に再調整した。これらの調製剤を混合する前に加熱食品を調質した。同意が得られた直後に調剤の投与を行った患者は5日目または入院期間中L.reuteriまたはプラセボの投与を受けた。
【0023】
患者は毎日体重を測定された。付き添いの看護婦が大便と吐き気の回数と量を調べた。大便は、水状、軟らかい、固い、と記録された。下痢の期間は、水状便の最後の発生から計算した。患者は内科医の臨床判断により退院した。患者はその後1ヶ月の間に下痢を起こした場合は検査官にコンタクトをとるよう求められた。その時点で採血のため再診された。
【0024】
データの収集
血漿ナトリウム、カリウムの濃度と血液酸−塩基分析は標準の方法で病院の実験室で検定された。
【0025】
ロタウィルス抗原は、テンペレ大学医学部ウィルス学科において市販の酵素免疫(Dakopatts,AS.Denmark)を用いて検出された。ロタウィルス血清学用の血液サンプルは投与と同日または1日後に採取され、4週間後にロタウィルス抗体の検定が行われた。ロタウィルスIgAクラスの抗体はELISA方法(Isolauri E.他、ワクチン 1995;13:310−2)を用いて検定された。
【0026】
排泄物は全乳酸菌とL.reuteriの分析毎サブジェクトから集められた。製品投与を試験する前にベースラインで集められたまた、同製品投与を試験した後48時間後と退院時に大便サンプルを集めた。2g以上の排泄物が集められてマイクロバイヤル分析を行った。これらのサンプルを均質化し、0.1%のペプトン水で稀釈し最終的に1:5とした。充分に混合した調整物1.6ml毎に迅速に凍結して−70°で保存した。稀釈してStoolサンプルをBioGaia Biologics,Inc.Releigh,NC USAに従って、全Fecal Lactobacillito L.reuteriを検定した。
【0027】
酵素ウレアーゼ、β−グルクロニダーゼ及びβ−グルコシダーゼの便中活性はClinical Nutrition Department of University of KuopioのClinical Nutrition Department(Ling W.H.etal.,Ann Nutr metab 1992;36:162−6)で検討した。
【0028】
統計方法
Stidemt’s t−test及び分散分析(Anova)を用いて統計分析を行い実験グループの統計的な相違を検討した。繰り返しの測定数値装置の比較をするときは対のt−testと−Anovaを用いた。
【0029】
結果
はじめ41人の患者が研究対象にされた。ストールサンプルでL.reuteriが発売されたのでプラセボ群の1名の子供が分析から除外された。その子供の姉も実験に参加させたが、L.reuteri群に入れたこれらの子供同士で相互汚染が行われたのは明らかである。残りの40人の子供のうち、19人と21人をL.reuteri群に入れそれぞれプラセボ治療を行った。30人(75%)の患者が酸素免疫分析によるストールサンプルにおいてrotavirus抗体を持ったL.reuteri群において12人(63%)の患者から、またプラセボ群において18人(86%)の患者からrotavirusが発見された。
【0030】
全研究群(N=40)の臨床技術を第1表に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
治療までの下痢の平均継続時間(SD)は3.0(1.7)日であった。大部分の患者が軟度の脱水症状を起こしたとみられたのでその平均値は3.4(1.4)%である。Serum sodiumの投与量は、130〜144mmol/lである。rotavirus陽性の患者は家庭で2.6(1.5)日の下痢をし、これに対してrotavirus陰性の患者は3.1(1.9)日であった。rotavirus陽性患者の脱水度はrotavirus陰性患者よりも激しくはなかったが、non−rotavirus患者(平均塩基欠乏 4.8(3.8)mmol/l)よりも代謝性アシドーシス(塩基欠乏 7.8(4.3)mmol/l)が多かった。
【0033】
L.reuteriまたはプラセボを受けた患者の技術を表2に示す。L.reuteri群においてプラセボ群よりも子供達の脱水症状が大きかった以外は両群ともほぼ同じである正常化した後の重量増は両群ともほぼ同じで、また代謝性アシドーシスの補正もほぼ同じであった。
【0034】
【表2】

【0035】
体重増加、acidosisの補正及び電解液レベルに関しては、2つの治療方法の臨床結果はほぼ同じであった(表3)。
【0036】
【表3】

【0037】
L.reuteri(p=0.07)において水様下痢の期間が短かった。0、1、2、3、4、5及び6日はL.reuteriまたはプラセボ投与の前後24時間の期間として改善した。水様下痢の継続に対するL.reuteriの影響は、表4及び図1a及び1bに示す。
【0038】
【表4】

【0039】
治療の第2日までに水様下痢が継続したのはL.reuteri投与群のわずか26%であるのに対し、プラセボ投与群では81%であって、第2日においてwatery shortsの頻度はL.reuteri群では、減少した。L.reuteri群平均値1.0(SD2.3)、プラセボ群(p=0.05)(Fig.1a):2.5(SD2.3).第3日目では水様便の平均頻度は、L.reuteri群で0.5(SD1.9)、プラセボ群(p=0.12)では1.7(SD2.6)でありプラセボを投与群に対してL.reuteri投与群は治療の第2日目からの吐き度数が少なくなった。
【0040】
プラセボ投与群に比べて、より少数のL.reuteriを投与群の患者で、治療の2日目から嘔吐が始まった。(表5)
【0041】
【表5】

【0042】
Fig 2aと2bは吐き気結果を示す。吐き気はL.reuteri群では治療の第一日後でとまったがプラセボ群では第6日目まで残った、L.reuteriの投与によって良好な胃腸管の定着がもたらされた(図3−5および表6)。
【0043】
【表6】

【0044】
示されているように大便中、L:reuteriの10CFU/gのネットインクリメントはL:reuteri投与48時間後に観察された。総乳酸菌数CFUは初期L:reuteri服用48時間後に大便中10CFU/gのネットインクリメントもしめした(テーブル6)。L:reuteriLは、スツールサンプルから検出したトータル75%以上の乳酸菌を明らかにした。総乳酸菌数はプラセボ治療されている子供においては低くL:reuteriはどのスツールサンプルからも検出されなかった。研究を通してプラセボ治療中の子供からの総大便乳酸菌数は、10から10CFU/gの範囲でした。
【0045】
細胞酵素ウレアーゼ、β−グルクロニダーゼ(β−GLN)、β−グルコシダーゼ(β−GLS)の便中活性はプラセボ群よりL:reuteri群のほうが弱かった(表7)。
【0046】
【表7】

【0047】
ロタウィルスIgAクラス(回転)抗体は、二つのグループの研究において似通っていた。L.reuteriグループでは手段ロタウィルスIgA抗体の量は、22.5(SD39.8)酵素免疫(EIU)であり、プラシーボグループでは7.99(SD21.8)EIU(p=0.163)であった。4週間後、手段ロタウィルスIgA抗体の量は、L.reuteriグループとプラシーボグループではそれぞれ74.2(SD33.9)、66.3(SD31.9)(p=0.4705)となり、このことは、Lactobacillus GG.に見られる結果に反して、下痢の症状がIgA量の明白な増加なしで軽減されたことを示唆する。
【0048】
初期投与
本発明によるL.reuteriの投与は、下痢の症状が見られたらすぐにするのが最も良い。下痢の症状が見られた初日に、上述の発明にしたがって治療が施されると、照査基準と比較して水気の多い下痢や吐き気が実質的に軽減される。この違いはロタウィルスの胃腸炎において最も顕著である。
【0049】
少量の投薬
患者は一日に10から1010までの様々な量のL.reuteriを投与され、その治療は同じように下痢の症状を軽減し、多量の投与によって回復は早くなる。
【0050】
L.reuteriによる治療の形態
L.reuteri、つまり新しく生成した細胞か、選ばれた細胞の中に再懸濁された凍結乾燥した細胞のどちらかの懸濁液の使用に加え、患者は一日に一回ゼラチンカプセルに入った同数のL.reuteriの細胞を与えられる。特にペースト状の栄養補給剤をすでに補給している哺乳動物にとって、L.reuteri療法は、下痢を感じたり下痢になりやすい状態のとき(例えば離乳時)などの少なくとも日常において哺乳動物が与えられるペーストに含まれるだろう。下痢の症状を軽減した同様の結果は、このような形の公式化それぞれに見られる。
【0051】
複数の日常的な投与
本発明による療法の初期段階において、下痢の症状が特に著しい場合は、複数のアリコートのL.reuteriを投与することによって、効果が出る前にその療法が体から排泄されるという問題が解決される。これは重症の幼児や子供にもあてはまる。
【0052】
他の哺乳動物の治療
本発明の療法によって、他の哺乳動物のシステムにおいても下痢の症状の同様の軽減が見られる。離乳前と離乳時、または離乳前か離乳時に子豚に1日におよそ10から1010の細胞を投与すると、豚のロタウィルスに起因する下痢の発生が減少する。
【0053】
好ましい発明の実施例
好ましくは、激しい下痢、たとえばその治療方法が若い患者や他の哺乳動物の脱水症状を効果的かつ急速に止めるロタウィルス感染による下痢の治療に関する発明の方法は、患者が下痢をおこしているか、または今にもおこそうとしているかを判断したり、Lactobacillus reuteriの菌株を選択したり、患者への投与のためおよそ10乃至1010の細胞を含む凍結乾燥した細胞の少なくともひとつのアリコートを用意したり、下痢の診断を下してからできるだけすぐに患者へ少なくともひとつのアリコートを経口投与したりすることを含み、最も好ましくは、さらに液体中に凍結乾燥した細胞を保留することや、凍結乾燥細胞をゼラチンカプセルのなかに入れること、患者に投与するまでとっておくための水分不浸透性容器に凍結乾燥した細胞を入れることから成る群から選択された一つの段階を含む。細胞は哺乳動物に投与されるまでとっておくために水分不浸透性の容器に入れても良い。この細胞は水や乳製品、フルーツジュースなどの液体の中に保留しても良い。また、哺乳動物に投与するためのゼラチンカプセルの中に置いても良い。
【0054】
産業上の適応性
本発明は、若い患者の脱水症状を従来の方法よりも効果的で急速に止める激しい下痢の治療方法を提供し、この方法によって健康管理システムにおいてコストと時間を節約することができる。
【0055】
特定の実施例を参照して本発明を説明してきたが、たくさんの変形や修正、実施例が可能であり、したがってすべてのこのような変形や修正、実施例は発明の趣旨と範囲を越えないものとみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
若年患者の脱水を効果的にかつ急速にとめる激しい下痢の処置方法であって:
a)患者が下痢をおこしているか、今にもおこそうとしているかを決定し、
b)lactobacillus reuteriの菌株を選定し、
c)患者への投与のためおよそ10の7乗乃至10の10乗の細胞を含む上記菌株の少なくとも1分与量を用意し、そして
d)下痢診断後直ちに上記患者へ少なくとも1分与量を経口投与することを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
細胞を凍結乾燥した少なくとも1分与量を用意し、更に凍結乾燥した細胞を液体中に懸濁すること、該凍結乾燥した細胞をゼラチンカプ細胞内に封じること、及び、上記凍結乾燥した細胞を患者投与まで水分不浸透性の容器内へ貯蔵密封しておくことよりなる群から選ばれたステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
下痢をおこしている哺乳動物を施療する方法であって、
a)患者が下痢をおこしているか、今にもおこそうとしているかを決定し、
b)lactobacillus reuteriの菌株を選定し、
c)哺乳動物への投与のためおよそ10の7乗乃至10の10乗の細胞を含む上記菌株の少なくとも1分与量を用意し、そして
d)下痢診断後直ちに上記患者へ少なくとも1分与量を経口投与することを特徴とする哺乳動物を施療する、上記方法。
【請求項4】
下痢がなくなるまでおよそ10の8乗の細胞を哺乳動物へ1日当たり投与する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記凍結乾燥した細胞をよりなる少なくとも1分与量を用意することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
投与前に凍結乾燥した細胞を液体に懸濁することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記液体がジュウス、乳製品及び水よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
哺乳動物への投与のため上記凍結乾燥した細胞がゼラチンカプセル内に封じこめられていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
上記凍結乾燥した細胞を哺乳動物投与まで水分不浸透性の容器内へ貯蔵密封しておくことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項10】
上記下痢がロタウイルス感染に関係する場合であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項11】
上記哺乳動物がヒトであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項12】
施療中の哺乳動物と同じ形式の哺乳動物から上記菌株が単離されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項13】
上記菌株がヒトから単離されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項14】
上記菌株がヒト母乳から単離されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項15】
哺乳動物への投与のためlactobacillus reuteri菌株の少なくともおよそ10の7乗の生きた細胞を有することを特徴とする下痢症状緩和用治療薬。
【請求項16】
上記細胞が凍結乾燥され、水分不浸透性の容器に包装されることを特徴とする請求項15に記載の治療薬。
【請求項17】
上記細胞が液体中に懸濁されることを特徴とする請求項15に記載の治療薬。
【請求項18】
上記液体が果物ジュウス、乳製品及び水よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項17に記載の治療薬。
【請求項19】
哺乳動物への投与のため上記凍結乾燥した細胞がゼラチンカプセル内に置かれていることを特徴とする請求項15に記載の治療薬。
【請求項20】
上記菌株がヒトから単離され、上記治療薬がヒト用であることを特徴とする請求項15に記載の治療薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−265303(P2010−265303A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160577(P2010−160577)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【分割の表示】特願平10−500810の分割
【原出願日】平成9年6月3日(1997.6.3)
【出願人】(500155578)バイオガイア・エイビー (13)
【氏名又は名称原語表記】Biogaia AB
【Fターム(参考)】