説明

下肢吐水装置

本発明の下肢吐水装置は、使用者の足の表側を指向して吐水する足表吐水部と、該足表吐水部の吐水の指向先を足の長軸方向に沿って往復移動させる吐水部指向先移動機構とを備え、より好適には、前記足表吐水部は、使用時における足甲幅方向に並列された複数の吐水口を左右の足夫々に対して有し、又は、前記着水点が受ける吐水の圧力を、移動する前記着水点の移動する位置に応じて変動させ、若しくは、吐水量を、移動する前記着水点の移動する位置に応じて変動させるこ
とを特徴とする。上記構成によれば、皮膚に存在する感覚受容器を効果的に刺激して、より大きな快感を得られる下肢吐水装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、下肢を指向して吐水する下肢吐水装置に係り、特に皮膚に存在する感覚受容器を効果的に刺激するように吐水する下肢吐水装置に関する。
【背景技術】
近年、健康に対する人々の関心が高まるにつれ、足を収納する容器と該容器内に収納された足に向かって吐水するノズルとを備える足マッサージ装置等と呼ばれるものが注目されている。
その理由として、このタイプのものは、容器内に溜められた温水に気泡を発生させその温水に足を浸すタイプのものと同様、靴下等を脱ぐだけで手軽に足の汚れを落とせる、温水を使用することから血行増進が図られる等の他に、マッサージ効果を有することから、足の疲労の回復や足のむくみの除去、肌に対する美容効果等も期待できることが挙げられる。
ところで、生理学の分野では、皮膚面には、数種類の感覚受容器が存在し、それぞれの受容器が反応して温・冷・痛・触(圧)といった感覚の様相をもたらすといわれている。これら皮膚感覚を構成する受容器は、感覚様相に応じて大きく三つに分類される。すなわち、触(振動・圧・伸張)に反応する触覚受容器、温・冷(温度の変化)に反応する温度受容器、痛に反応する侵害受容器である。
このうち、特に触覚刺激に反応する受容器には以下の種類が存在する。まず、メルケル盤は、無毛部表皮胚芽層にあるメルケル細胞と、これに接合(シナプス)する神経終末からなる。順応の遅いタイプで、皮膚変位の大きさに比例する応答を示す。受容野が狭く、局所的な持続的接触すなわち圧刺激を検出する。メルケル盤は、おもに軽い触覚に反応する。振動刺激としては、周波数63Hz以下に反応すると考えられている。
ピンカス小体は、有毛部皮膚の毛の根もとにある平滑な円板状の盛り上がりで、この下にある真皮乳頭には1本の有随繊維に支配されるいくつかのメルケル細胞の集合がみられる。毛盤または触覚盤とも呼ばれる。
ルフィニ終末は、真皮下層や皮下細胞にある小胞に包まれた神経終末である。メルケル盤と同じく遅順応型の受容器で、皮膚変位の大きさに比例した応答を示す。メルケル盤と異なり真皮層に存在するため、遠い部位に加わった変位、たとえば皮膚が引っ張られることなどでも興奮する。ルフィニ終末は、通常毛のある皮膚、ない皮膚の両方にみられる。
マイスネル小体は、真皮乳頭の中にある小体で、不規則に分枝して終わる有随神経の終末が卵型の小包に包まれている。速順応型で持続的な皮膚圧迫には急速に順応し応答しなくなる。触刺激による皮膚変位の速さを検出するのに適する。マイスネル小体は、毛のない皮膚、掌や足裏にみられ、皮膚を歪めるような横向きの刺激に敏感である。振動刺激の周波数範囲は16〜31.5Hzに反応すると考えられている。
パチニ小体は、真皮下層や皮下組織にある直径約1mmの大きい層状構造を持つ受容器である。皮膚変位の加速度を検出する。すなわち、非常に順応が速く、200Hz前後の繰り返し刺激を与えたとき閾値が最低となる。非常に感度がよく、接触のときまず興奮するのはパチニ小体と考えられる。パチニ小体は皮下組織のほか、深部組織たとえば骨膜、骨間膜、内臓にも広く分布して伝播してくる振動をとらえる。パチニ小体は、掌や足裏に多く分布し、特に圧の刺激に敏感である。
毛(毛包受容器)は鋭敏な触覚器官である。毛根には神経が豊富に分布し、柵状に巻きついた終末をなしていて、毛幹の傾きの変化をとらえる。順応は速い。(以上、本郷利憲他監修、「標準生理学」第5版、株式会社医学書院、2000年12月、p.211−212、及び、伊藤謙治他編、「人間工学ハンドブック」、株式会社朝倉書店、2001年6月、p.77−78参照)。
以上をまとめたものが第1図である。以上より、皮膚は、指や手の掌面、足底などの無毛部と、そのほかの大部分の体表面を占める有毛部とに分けられるが、無毛部と有毛部とでは受容器の種類や分布様式が多少異なることが分かる。
また、受容器の分布密度は、身体各部位においても異なる。皮膚上で2点に同時に触れた場合、2点の間隔が遠ければ2点であることを感知し、2点の距離が近づくと、1点を刺激されたように感じる。その限界距離を2点識別閾といい、距離が短いほど、触覚に対して敏感であることを示す。2点識別閾値の距離は測定する方向によって異なり、腕や脚では縦方向より横方向で小さく、体幹では逆に横方向で大きい。
身体各部位の2点識別閾を第2図に示す。四肢では、大腿−上腕、下腿−前腕と対応する部位の2点識別閾がほぼ同じであり、末端にいくほど触覚に対して敏感である。この傾向は特に末端部内側で著しい(山崎信寿編、「足の事典」、株式会社朝倉書店、1999年12月、p.72−73参照)。
とすれば、触覚刺激に対して特に敏感な部位である足に対して、これら多種、多数の受容器の特性に応じた刺激を与えれば、より多くの受容器がより大きく興奮し、それにより、より大きな快感を得られるはずである。すなわち、触、圧、変位、変位速度、変位加速度、面内歪み、振動(周期により対応受容器が決定される)の変化に富んだ刺激を与えれば、使用者がより満足度の高い快感を得ることができるはずである。また、同時に、これらの刺激が末梢神経を介して中枢神経に伝播し、それが自立神経に影響を与えて、気分や体のリラックスが得られるはずである。そのためには、例えば、使用中に、異なる種類の受容器に刺激を与える、より受容器が密集した部位を刺激する、刺激の強さに強弱をつける、刺激の方向を変動させる等を行うことが考えられる。
しかしながら、従来の足マッサージ装置は、血流やリンパの流れ等循環系の流れを促進することに主眼を置いており、皮膚表面の受容器から神経を介して感じる快感を高めることに着目したものはなかった。
たとえば、足の裏面(無毛部)及び表面(有毛部)の夫々に対して吐水してマッサージすることによりマッサージ効果を高めようとするものが知られている(例えば、特表平10−510465号公報参照。)。確かに足の裏面と表面とでは受容器の分布も異なり、より複雑な触覚を得ることはできるかもしれないが、吐水先が固定されているため、受容器が遅かれ速かれ順応してしまい、この快感を持続させることはできない。
そして、ウォータージェットの吐水先を任意に変更できるものや(例えば、特開平3−111049号公報参照。)、温水に足を浸すタイプのものではあるが、それに加えて、気泡を混入させた噴射流の強弱を調整可能なものも提案されている(例えば、特開2002−153537号公報参照。)。これらにおいても、使用前に好みの向き、強さに調整できるというだけであって、使用中に自動的に変動するものではなく、したがって、受容器に与える刺激は単調なものにとどまる。
また、足マッサージ装置以外の技術分野では、吐水口を移動式にしたものもあるが(例えば、特開平8−252293号公報参照。)、やはり、受容器を意識したものは見あたらない。或いは、「つぼ」を指向して吐水するという、吐水先を意識したものも提案されているが(例えば、特開昭59−146654号公報参照。)、「つぼ」と受容器とでは性質が異なるために効果も異なり、その目的達成手段も自ずと異なるはずである。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、皮膚に存在する感覚受容器を効果的に刺激して、より大きな快感を得られる下肢吐水装置を提供することを目的とするものである。
【発明の開示】
本発明に係る下肢吐水装置は、上述した課題を解決するために、使用者の足の表側を指向して吐水する足表吐水部と、該足表吐水部の吐水の指向先を足の長軸方向に沿って移動させる吐水部指向先移動機構とを備えるものである。この下肢吐水装置は、さらに使用者の足を収納する容器本体を備えるものであってもよい。
前記足表吐水部は、より好適には、使用時における足幅方向に並列された複数の吐水口を左右の足夫々に対して有するものとすることができる。
次に、上述した課題を解決するために、本発明に係る吐水部指向先移動機構による前記吐水を受ける着水点の移動の経路には、足趾が含まれるものである。
そして、上述した課題を解決するために、本発明に係る足表吐水部は、移動する前記着水点の位置に応じて、該着水点が受ける吐水の圧力を変動させるものであり、より好適には、前記足表吐水部は、さらに、前記着水点が前記足趾にあるときに着水点が受ける吐水の圧力を最も高くするようにしてもよい。
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る足表吐水部は、移動する前記着水点の位置に応じて吐水量を変動させるものであり、より好適には、前記足表吐水部は、さらに、前記着水点が前記足趾にあるときに最も多流量で吐水するようにしてもよい。
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る吐水部指向先移動機構は、使用者の皮膚表面に対する着水の角度が変わるように、前記着水点の移動に応じて、前記足表吐水部を移動させるものである。より好適には、吐水部指向先移動機構は、前記着水点が足の長軸方向に沿って移動するように、前記足表吐水部が回転及び回動のいずれかを行うことを軸支する回転軸を備えるものであり、さらに好適には、この回転軸は、前記容器本体内において、使用時における第五趾の付け根の位置の直上又はそれより趾先側において軸支されるように構成してもよい。
さらにまた、上述した課題を解決するために、本発明に係る吐水部指向先移動機構による前記着水点の移動は、該移動の周期の中に、前記足表吐水部からの吐水が足趾に当たらない期間を有するものである。
またさらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る足表吐水部は、連続して吐水しつつ、前記吐水部指向先移動機構により前記着水点を足の長軸方向に沿って往復移動させるものである。
一方、上述した課題を解決するために、本発明に係る下肢吐水装置は、足の裏側を指向して吐水する足裏吐水部をさらに備えるものである。この場合、より好適には、前記足裏吐水部の吐水量及び吐水圧の少なくとも一方は、周期的に変化するものであってもよい。
そして、足表吐水部及び足裏吐水部の少なくとも一方は、吐水方向を周期的に揺動させるものとしてもよい。
なお、足の「ユビ」を手の「指」と区別するため、特に「趾」と表記する場合がある(例えば、外反母趾等)。本願でもこの表記を採用している。また、本願でいう「足表」は、「足裏」に対応するものであり、足爪、足趾及び足甲を含む部分をいう。そして、本願でいう「第五趾」は、一般的には「足の小指」と言われるものである。
【図面の簡単な説明】
添付図面において、
第1図は、皮膚の感覚受容器の分類をまとめた表である。
第2図は、身体各部位の2点間識別閾をまとめた表である。
第3図は、第1の実施形態に係る下肢吐水装置の全体構成の概要を示す図である。
第4図は、足表ノズルと足裏ノズルを示す平面図である。
第5図は、足表ノズル駆動部のカムとリミットスイッチとの関係を示す説明図である。
第6図は、(A)は、旋回流に適した足裏ノズル横方向断面図、(B)は、(A)におけるG−G矢視図である。
第7図は、電気的な系統を示すブロック図である。
第8図は、足裏ノズルの挙動について説明する図である。
第9図は、足裏ノズルの吐水の様子を説明する図である。
第10図は、下肢吐水装置のマイコンによって実行される足表ノズルの吐水処理を示す概略フローチャートである。
第11図は、吐水部移動先移動機構と使用者の足との位置関係を説明する図である。
第12図は、第1の実施形態に係る吐水部指向先移動機構であるギア駆動機構を模式的に示す図である。
第13図は、吐水部指向先移動機構の変形例を示すものであり、(A)はダイレクト駆動機構、(B)はベルト駆動機構、(C)はリンク機構を示す図である。
第14図は、吐水部指向先移動機構の他の変形例を示すものであり、(A)はスライダークランク機構、(B)はギアスライド機構、(C)はリンク機構を示す図である。
第15図は、吐水部指向先移動機構の電力によらない変形例として水車駆動機構を示す図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
第16図は、第2の実施形態に係る下肢吐水装置の全体構成の概要を示す図である。
第17図は、第2の実施形態に係る吐水部指向先移動機構であるボールネジスライダー機構を模式的に示す図である。
第18図は、第2の実施形態に係る吐水部指向先移動機構の変形例を示すものであり、(A)はベルトスライダー機構、(B)はスライダークランク機構、(C)はギアスライド機構を示す図である。
第19図は、第2の実施形態に係る吐水部指向先移動機構の電力によらない変形例として水車駆動機構を示す図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
第20図は、第2の実施形態に係る吐水部指向先移動機構の電力によらない変形例として水圧駆動機構を説明する図である。
第21図は、浴室内に一体に組み込まれた下肢吐水装置の例を示す図である。
第22図は、本発明に係る下肢吐水装置の第3の実施形態の外観を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は背面図である。
第23図は、第3の実施形態に係る下肢吐水装置の開閉カバーが開いた状態における外観図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
第24図は、本実施形態に係る下肢吐水装置の排水方式を説明する図であり、ワンタッチ継ぎ手を介して、(A)はホースを、(B)はタンクを、それぞれ接続する図である。
第25図は、第3の実施形態に係る下肢吐水装置の操作パネルを示す図である。
第26図は、第22図のA−A断面図である。
第図27図は、第23図のF−F矢視図である。
第28図は、足趾吐水ノズルの詳細を説明する図であり、(A)は第23図の略H−H矢視図、(B)は(A)の略J−J矢視図である。
第図29図は、本実施形態に係る下肢吐水装置の装置主要部を示す図であり、(A)は第22図のB方向矢視図、(B)はC方向矢視図である。
第30図は、水位検知センサの概略構成を説明する図である。
第31図は、第28図のX部拡大図である。
第32図は、第22図のD−D断面の斜視図である。
第33図は、第22図の略D−D断面図である。
第34図は、本実施形態に係る下肢吐水装置のヒータを説明する図であり、(A)はE−E断面の斜視図、(B)はヒータの変形例を示す図である。
第35図は、準備作業の流れを説明するフローチャートである。
第36図は、吐水作業の流れを説明するフローチャートである。
第37図は、足趾ノズルの回動作業の流れを説明するフローチャートである。
第38図は、循環する吐水の水温を維持する作業の流れを示すフローチャートである。
第39図は、第3の実施形態に係る下肢吐水装置のリモートコントローラを示す図である。
第40図は、第3の実施形態に係る下肢吐水装置の変形例として、給水管直結式としたものを示す斜視図である。
第41図は、第3の実施形態の変形例における吐水作業の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明に係る下肢吐水装置の第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。第3図は、本実施形態に係る下肢吐水装置の全体構成の概要を示す図である。この実施形態に示された下肢吐水装置1は、大別して、使用者Pの下肢を収納する容器本体2と、収納された使用者Pの足を載置可能に形成された足置き台5と、容器本体2の内部に収納した下肢を指向して水を吐出する吐水手段と、この吐水手段からの吐水の指向先を移動させる吐水部指向先移動機構20と、斯かる吐水に使用される水を供給する給水手段と、これら各手段を制御する制御部50とを備える。
容器本体2は、合成樹脂等防水性のある材料で形成され、第3図に示したように、略直方体状の箱体を成している。この容器本体2の内部は、隔壁3及び隔床4により、下肢を収納可能な下肢収納空間Qと、上記給水手段、制御部等を収納する装置主要部Mとに隔てられる。
足置き台5は、隔床4上に突設された、左右のつま先を載置するつま先台5aと、左右の踵を載置する踵台5bとから構成される。したがって、つま先台5aと踵台5bとは、2本の平行な棒状体が横設された形状を呈する。これらつま先台5a及び踵台5bは、左右独立した形状としてもよい。
つま先台5aと踵台5bとの略中央、使用者Pの足が載置された場合に土踏まずが位置する付近の装置主要部M内には、左右の足裏それぞれに対して吐水する2つの足裏ノズル40が設けられ、その先端部分は下肢収納空間Qに露出する。また、隔床4の最も低い位置には、吐水に使用された水を外部へ排出するために排水口6が設けられる。
一方、使用者Pの足が載置された場合につま先が位置する付近の直上には、給水手段から供給される水が流通する足表ノズル30が、容器本体2の両側面間に略水平に渡され、この足表ノズル30の経路中には、使用者Pの足表を指向して吐水するノズルユニット34(第4図参照)が適所に設けられる。この足表ノズル30は、吐水部指向先移動機構20により回動自在に制御される。この足表ノズル30と上記足裏ノズル40とが、吐水手段を構成する。
給水手段は、外部の給水設備(図示せず)と接続する接続部10と、吐水に使用される水の温度を調整する温度調整部11と、吐水手段まで吐水用の水を圧送する送水ポンプ12と、吐水手段の流量を調整する流量調整部13と、これらの間を水が流通可能に連結する送水管14とを備える。
温度調整部11は、接続部10により接続された外部の給水管及び外部の給湯管(図示せず)からの給水及び給湯を適度な比率で混合することにより下肢のマッサージに適温の水を供給する。或いは、接続部10により接続された外部の給水管からの給水を加熱することにより適温の水を供給する構成としてもよい。また、外部において適温に調整された水の供給を受けることも可能である。
送水ポンプ12は、こうして適温に調整された水を揚水し、流量調整部13を介して、吐水手段へ向けて圧送する。
流量調整部13は、電磁弁等により構成され、吐水手段からの流量を制御部50からの指示により可変に調整する。供給水は、この流量調整部13を経由した後、足表ノズル30及び足裏ノズル40へと分岐される。
また、足表ノズル30の背面の装置主要部M内には、容器本体2の上面に備えられた操作パネル60を介した使用者Pの指示に基づき、流量調整部13の電磁弁や送水ポンプ12を駆動し、また、吐水部指向先移動機構20を制御する信号を送信する制御部50が水密に取り付けられている。この制御部50は、隔壁3背面や隔床4下部に設置されてもよい。また、操作パネル60は、容器本体2から切り離されたリモートコントローラとして構成してもよい。
なお、本実施形態における足表ノズル30及び足裏ノズル40は、夫々本発明の足表吐水部及び足裏吐水部を構成する。
下肢吐水装置1の全体構成は以上のようであり、次に、吐水手段及び吐水部指向先移動機構20について詳述する。吐水手段には、上述したように、つま先台5aの上部に備えられ、使用者Pのつま先から足首を指向して回動しながら吐水する足表ノズル30と、足置き台5中間に備えられ、使用者Pの左右の足の裏を夫々指向して揺動しながら吐水する足裏ノズル40とがある。
足表ノズル30には、第4図に示すように、内部が中空の円筒に形成され送水管14の役目も果たすシャフト33の、所定の位置に、左右夫々の足に対して3〜4個のノズルユニット34が串刺し状に設けられている。また、足表ノズル30の一端には、この足表ノズルを回動させる吐水部指向先移動機構20が接続される。ノズルユニット34は、シャフト33上で同位相の位置に、互いに平行に取り付けられる。
このように、複数のノズルを並列させることにより、より広い範囲に同時に吐水され、より多くの受容器を反応させることができる。特に、足のような末端部では、受容器は縦方向よりも横方向に密に存在するので、横方向に着水点を並べることにより、吐水領域内に生じた刺激の差を受容器に効率的に感知させることができる。さらに、ノズルユニット34を、シャフト33上で位相を異ならせて配置して、各ノズルユニット34の着水点において、足表ノズル30との距離や吐水の皮膚に対する角度を相互に相違させ、吐水の当たる方向や強弱が異なった、より複雑な刺激を与えるように構成することも可能である。
足は、手と同様に受容器が密集する部位であり、ここに対して吐水することは、受容器の反応も大きく、快感が得られ易い。特に、足表は、足裏に比べて角質が厚くなく、足表に吐水すれば、それだけ低エネルギで、直接的に受容器を刺激することができる。
足表ノズル30を駆動する吐水部指向先移動機構20は、足表ノズル30を回動させるムーブ用モータ21を備え、このムーブ用モータ21は、ギアシャーシ22に内蔵され、このモータの回転速度を減速させる減速ギア群及びカム23(図示せず)を介して、シャフト33に連結される。シャフト33は、ムーブ用モータ21の回転軸であると同時に、足表ノズル30に送水する送水管14の役目も果たす。
このカム23近傍には、第5図に示すように、足表ノズル30の回転位置を検出する2個のスイッチ24,25と、これらの中間にあって、吐水量変更の信号を発信するスイッチ26とを備える。なお、このムーブ用モータ21は、ステッピングモータ、サーボモータ、リバーサブルモータ等の正逆両方向の回転可能なモータである。また、スイッチ24〜26は、近接センサ、光電センサ、リミットスイッチ等である。
カム23は、シャフト33の回転に連動して回転し、各スイッチ24,25を交互にON又はOFFする。減速ギア群は、入力段にあるギアを介してムーブ用モータ21から印加された回転駆動力を、所定の回転速度に減速して出力段にあるギアに伝達する。ムーブ用モータ21は、制御部50の制御下で、正逆方向に所定回転速度で回転し、その回転駆動力を上記入力段にあるギアに伝達する。
スイッチ24,25は、ON状態となることにより回転軸の現在角度を示す電気信号を制御部50のマイコン52に出力するようになっている。第5図は、足表ノズル30が最も高い角度にある状態(使用者Pの足首付近を指向する状態)でのカム23の位置を示しているが、この状態ではスイッチ64がON、スイッチ65がOFFとなっている。この位置から矢印方向にカム63が回転していくと、足表ノズル30が最も低い角度にある状態(使用者のつま先付近を指向する状態)でのカム23の位置となり、スイッチ24がOFF、スイッチ25がONとなる。
このように、スイッチ24がONになると、ムーブ用モータ21の回転が足首方向からつま先方向へと反転される。この状態からスイッチ25がONになると、ムーブ用モータ21の回転がつま先方向から足首方向へと反転される。したがって、足表ノズル30は、使用者Pのつま先から足趾、趾の付け根、甲を通って足首方向へ、また、足首から甲、趾の付け根、足趾を通ってつま先方向へと回動しながら吐水を継続する。これにより、足表に存在する各々の受容器は、間欠的に刺激を受けるので、順応による感度の低下が起こり難くなる。また、皮膚表面に対して斜めの方向からも吐水されることになるので、特に変位や面内歪み方向が異なった刺激を与えることができる。
この場合、足表ノズル30の吐水をスイッチのON・OFFに連動させて、つま先から足首、足首からつま先へのいずれか一方向への回転時においてのみ吐水するように制御してもよい。或いは、スイッチのON・OFFに関らず足表ノズル30を一定方向、例えばスイッチ25からリミットスイッチ24へ回転する方向、にのみ回転させ続け、スイッチ25がONになれば、足表ノズル30に吐水させ、スイッチ24がONになれば吐水を遮断する構成とし、足表ノズル30がつま先から足首の間を指向する場合のみ吐水させる構成としてもよい。
一方、スイッチ26は、カム23上の点Rが近傍を通過したことを検出すると、ON信号を制御部50へと送信する。このとき、足表ノズル30の着水点は、足表上の第五趾付け根近傍にある。
このON信号を受けた制御部50は、足表ノズル30が足首側からつま先側へと回転するときは、流量調整部13に対して、流量増加の指示を出し、逆に、足表ノズル30がつま先側から足首側へと回転するときにこれを検出すると、流量調整部13に対して、流量減少の指示を出す。このように、制御部50は、スイッチ26からのON信号を受信する毎に流量の増加・減少の指示を交互に流量調整部13に送信する。これにより、受容器が密集するつま先では、流量増加により受容器に対する刺激が強くなって、より多くの受容器を反応させることができる。
有毛部である足表に対して、足裏は無毛部に属するので、足表とは異なった種類の受容器が存在する。したがって、足裏に吐水することにより、足表に吐水する場合とは異なった反応を得ることができる。特に、足表と足裏とを同時に刺激すれば、より複雑な反応を得ることができる。
この足裏に対する足裏ノズル40は、足表ノズル30が電気的に制御されて回動するのに対し、送水管14からの水圧で回転する。第6図(A)は、送水管14からの旋回流に適した足裏ノズル40横方向断面図であり、同図(B))は、(A)におけるG−G矢視図である。
図示するように、この足裏ノズル40は、水が流入する流入室として円筒状に形成された旋回室404を備え、この旋回室404に、送水管14と旋回室流入路403を経て水を供給する。旋回室流入路403は、ノズル管路であり、送水管14よりも通水断面積が小さく構成されており、旋回室404の中心軸に対して偏心して当該旋回室に接続されている。よって、旋回室流入路403からの水は、旋回室404に対してその接線方向から流入し、図中に矢印で示したように、旋回する旋回流を生成する。この場合、旋回室流入路403の通水断面積は送水管14より小さいことから、旋回室404に流入する水の流速を高めることができる。
この旋回室404に、吐水体410が組み込まれている。吐水体410は、水を吐出する吐水口411を備えた小径円柱の吐水部位410aと、この吐水部位に連続した大径円柱の受力部位412とを有する。この受力部位412は、旋回室404内に位置して上記の旋回流から後述の種々の力を受け、吐水体410の後述する首振り公転駆動等に関与する。受力部位412は、横方向に貫通する給水管路413を備え、この給水管路413から、旋回室404内の水を吐水口411に導く。給水管路413は、受力部位412に十字に交差して開けられており、この給水管路413の通路断面積の総和は、吐水口411より広い。よって、給水管路413から吐水口411に水が導かれる際には、面積の大小により、水の整流がなされるので、吐水口411からの吐水は安定する。
吐水体410は、旋回室404の開口上部に設けられたシール部416に吐水部位410aを内接させた状態で挿入・支持されており、受力部位412を旋回室404内のほぼ中央に垂下させている。したがって、旋回室流入路403から旋回室404に水が流入すると、この水は、旋回室404の内周壁面に沿った受力部位412周りの旋回流を引き起こす。
円筒状の旋回室404の内径に対して、受力部位412の外径は、例えば、約40%とすることができる。また、受力部位412の外径を旋回室404の内径の約35〜80%、好ましくは約40〜70%とすることができる。
吐水体410を上記のように支持するシール部416は、Oリングやシールリング等の弾性体で構成されており、図示するように、吐水口411を旋回室404の外部に臨ませた状態で、吐水体410を支持する。しかも、このシール部416は、弾性体であることから、吐水体410を支持した上で、受力部位412を旋回室404内において各方向に傾斜可能とすると共に、この受力部位412を傾斜した姿勢で首振り可能とする。また、シール部416が弾性体であることから、吐水体410は、旋回室404内部で吐水体410自身が中心軸を中心に回転する自転や、シール部416による支持箇所を頂点として円錐状に回転を行なう公転等が自在に行なえるようになっている。これら自転や公転は、受力部位412と上記の旋回流で引き起こされる。
旋回室404の上壁は、図示するように吐水体410の吐水部位410aの側で小径とされたテーパガイド部415とされている。このテーパガイド部415は、受力部位412、延いては吐水体410の最大傾斜角度を規制する。
さらに、第3図に示したように、足表ノズル30の背面の装置主要部M内には、水から遮断された状態で制御部50が設けられている。この制御部50には、下肢吐水装置1の制御の中枢を担う制御回路の電子部品が実装されている。
この制御部50は、第7図に示すように、マイコン(マイクロコンピュータ)52を備え、このマイコン52に下肢吐水装置1の駆動・制御に関する処理を実行させる手順を記載したプログラムを与えることで、かかる駆動・制御を実現するための手段の一部が機能的に実現されるようになっている。このマイコン52のメモリ(図示せず)には、かかるプログラムが予め格納されている。
また、制御部50には、マイコン52の周辺回路及びインターフェースとして各種の回路が同一の制御基板上に実装されている。この回路には、A/Dコンバータ53、及び駆動回路54〜56が含まれる。この各種の回路は、下肢吐水装置1内の各種の検出手段及び駆動手段と電気的に繋がっており、検出手段で検出された信号を受信・変換してマイコン52に送るとともに、マイコン52の処理により出力された制御信号を受信・変換して駆動手段に出力するようになっている。
これを具体的に説明すると、温度調整部11には、給湯温度を検出する検出手段としての給湯サーミスタ(図示せず)が設けられており、この給湯サーミスタの検出信号がA/Dコンバータ53に送られる。
また、吐水部指向先移動機構20にはスイッチ24〜26が設けられ、これらスイッチ24〜26のON・OFF信号が直接マイコン52に送られる。
一方、マイコン52から制御指令を受ける駆動回路54〜56は、夫々その駆動信号を送水ポンプ12、流量調整部13の電磁弁、吐水部指向先移動機構20のムーブ用モータ21に出力するようになっている。
また、制御部50には、操作パネル60が接続されており、これにより、使用者Pが行なった操作パネル60に対する操作情報がマイコン52に送信されるようになっている。
使用者Pが、操作パネル60上の「スタート/ストップ」ボタンを押すと、この指示によりマイコン52は、送水ポンプ12を作動させる。これにより、温度調整部11内の水は送水管14へと送水され、送水管14の分岐部分に至ると足裏ノズル40と足表ノズル30とに分岐され、夫々の吐水ノズルから吐水される。
こうして吐水が開始された足裏ノズル40における吐水の様子と、その挙動について説明する。第8図は、旋回室404に水が流入してからの受力部位412の挙動とこの受力部位412にかかる力の様子を時間経過に沿って説明する説明図である。同図において、旋回室流入路403の連通部での流速をUin、旋回室流入路403の開口の延長線上にある周壁部位404aでの流速をUa、当該部位に対向する周壁部位404bにおける流速をUb、受力部位412に作用する揚力をFL、抗力をFDとそれぞれ表した。
これらの作用関係から分かるように、受力部位412は、旋回室404における水の旋回流に応じて、傾斜姿勢のままで首振り公転する。
第9図は、受力部位412がこうした挙動を採ることで得られる吐水の様子を説明する図である。同図に表したように、吐水体410が首振り公転を起こすと、吐水口411は、吐水体410の首振り公転に伴い吐水方向を変えながら公転する。よって、吐水口411は、螺旋状に拡大した軌道を描きながら水を吐水し、その結果として、円錐状の公転吐水を実現する。したがって、吐水軌跡を、吐水口411の軌跡よりはるかに大きい軌跡の円錐状の公転吐水の軌跡とし、広範囲に亘って水を吐出できる。
したがって、この足裏ノズル40によれば、ノズル自体をモータなどにより駆動させることなく円錐状の公転吐水を実現でき、これにより、広範囲にわたる着水が得られる。着水点が広範囲に亘って変化することにより、各受容器は間欠的な吐水を受けるため、刺激に対する順応を防止でき、高いマッサージ効果が得られる。特に、足趾裏、湧泉(足の裏の中央から少しつま先側に寄った窪みの部分)、土踏まずは、足裏において比較的角質が薄い部位であり、吐水の範囲にこれらを含めれば、効果的に受容器を反応させることができる。
また、この足裏ノズル40の構成を、足表ノズル30の各ノズルユニット34に採用すれば、吐水部指向先移動機構20によるつま先から足首にかけての着水点の長軸方向での大きな移動に加え、足幅方向の移動及びより細かな揺動が得られ、より複雑微妙な刺激を得ることができる。
この足裏ノズル40の回転は、本実施形態では、水流により機械的に駆動されるので、吐水される期間中自動的に継続して行われるが、これを電磁気的に操作することにより、回転、停止を選択できるように構成することも可能である。
次に、足表ノズル30の動作について、第10図に示すフローチャートを参照して説明する。使用者Pにより、操作パネル60の「スタート/ストップ」ボタンが最初に押されると(ステップS101)、マイコン52は、足表ノズル30を初期位置、例えば最下端を指向する向き、言い換えれば、足表ノズル30が使用者Pのつま先を指向する位置、に移動させるとともに(ステップS102)、送水ポンプ12を作動させる(ステップS103)。
それとともに、マイコン52は制御部50のメモリから、足表ノズル30の動作を制御するためのムーブ・モードのプログラムを読み出す(ステップS104)。このムーブ・モード・プログラムは、ムーブ用モータ21に指示を出して、足表ノズル30を一定の速度で駆動させる(ステップS105)。
このムーブにより、足表ノズル30は、プログラムの指示に従って、吐水しながら、シャフト33の回動に伴いその吐水先を移動させていく。初期位置がつま先側に設定されている場合は、流量調整部13の電磁弁は全開状態にあり、最大の流量で吐水される。
このように、つま先から足首へと吐水の指向先を移動させて、シャフト33がスイッチ26をONにする位置に至達すると(ステップS106)、スイッチ24から信号を受けたマイコン52は、流量調整部13に指示を送出して電磁弁を絞らせる(ステップS107)。これにより、足首近傍においては、つま先とは異なった強さの刺激が与えられ、したがって使用者Pは、異なった快感を得ることができる。
足表ノズル30が回転を続け、シャフト33がスイッチ24をONにする位置に到達すると(ステップS108)、マイコン52は、シャフト33の回転の向きを変えるようムーブ用モータ21に信号を送出し(ステップS109)、吐水を継続する。
シャフト33が、再度スイッチ26をONにする位置に到達すると(ステップS110)、スイッチ26から信号を受けたマイコン52は、流量調整部13に指示を送出して電磁弁を全開させる(ステップS111)。これにより、受容器が足首側よりも密集するつま先側では、より高密度の吐水を行うことができる。
そして、シャフト33がスイッチ25をオンにする位置に至ると(ステップS112)、回転の向きを再度逆転させる(ステップS113)。
足表ノズル30は、この動作を操作パネル60の「スタート/ストップ」ボタンが再度押されて終了の指示が出されるまで繰り返し行う(ステップS114:No)。この動作により、つま先から足首に至るまでの受容器を網羅することができ、より広い範囲の受容器を刺激することができる。また、各受容器は間欠的な刺激を受けるので順応により反応が鈍くなることを防止することができる。
メモリに記憶されたプログラムが異なれば、この動作も異なったものとなる。例えば、足首側からつま先側へと回動する間には吐水を停止させることも可能であり、或る特定の位置で停止し、一定の時間その部位に集中的に吐水を行った後、回動を再開するように指示するプログラムを搭載してもよい。また、つま先から第五趾の付け根の間を往復し、両端で吐水を止めるようにすることも可能である。さらに、足表ノズル30の回転速度を変化させるようにすることもできるし、複数のプログラムの中から選択できるようにすることも可能である。
さらに本実施形態においては、足表ノズル30がつま先側に吐水する場合と、足首側に吐水する場合とで流量を変化させたが、吐水先に拘わらずに流量を周期的に、或いはランダムに変動する構成とすることも可能である。或いは、吐水量が多い領域、少ない領域を交互に設けるなど、着水点の位置に応じて吐水量を変動させることもできる。このような吐水形態の変化によっても、複雑な皮膚感覚を実現し、順応を防止することができる。また、足裏ノズル40も、足表ノズル30と共通の流量調節部13を用いているため、足表側と同時に足裏側の流量も変動し、足裏に対しても変化に富んだ刺激を付与することができる。
そして、使用者Pが、「スタート/ストップ」ボタンを押すと(ステップS114:Yes)、マイコン112は、送水ポンプ12を停止させて、吐水を終了させる(ステップS115)。なお、以上の工程は、マイコン52によらず、シーケンサによって制御することも可能である。
第11図に示すように、足表ノズル30は、吐水部指向先移動機構20を介して、使用者Pのつま先直上の比較的近い位置に設置される。これにより、つま先側に吐水するときは、近い位置から、且つ皮膚表面に対して直角に近い角度αで吐水されるので、つま先の受容器に与える圧力すなわち刺激も比較的大きいものとなる。これに対し、足首側に吐水するときは、遠い位置から、且つ皮膚表面に対して小さい角度βで吐水されるので、足首の受容器に与える圧力も比較的小さい。これにより、受容器の密集する部分では大きな刺激を与えてより大きな快感を得られるとともに、その他の部分に吐水するときはこの刺激を弱めて順応を防止することができる。
本実施形態においては、吐水部指向先移動機構20として、足表ノズル30を回動させるムーブ用モータ21を備え、このムーブ用モータ21は、このモータ21の回転速度を減速させる減速ギア71群及びカム23を介して、シャフト33に連結されるギア駆動機構によるものを用いて説明した。これを模式的に図示したものが第12図である。この機構によれば、ステッピングモータ、サーボモータ、リバーサブルモータ等の正逆両方向の回転可能なモータと、スイッチを組み合わせることにより、任意の区間で足表ノズル30を回動させることができる。
もっとも、吐水部指向先移動機構20は、このギア駆動機構に限られず、種々の機構で構成することが可能である。以下に幾つかの変形例について説明する。
第13図(A)に示すのは、足表ノズル30のシャフト33の一端にムーブ用モータ21を直結させたダイレクト駆動機構によるものである。この機構ではモータ21とシャフト33の間に仲介物がなく、シンプルな構成とすることができる。スイッチ用のカム23は、モータ21とシャフト33との間に挿入される。
第13図(B)に示すのは、本実施形態におけるギア71に替えて、ベルト72を用いたベルト駆動機構である。この場合、カム23は、モータ21側のドラム73又はシャフト33側の何れに設けてもよい。同様に、第13図(C)に示すのは、本実施形態におけるギア71に替えて、リンク74を用いたリンク駆動機構である。これら第13図(A)〜(C)の機構で用いられるムーブ用モータ21は、ステッピングモータ、サーボモータ、リバーサブルモータ等の正逆両方向の回転可能なモータである。
第14図では、ムーブ用モータ21として、逆回転ができないDCブラシレスモータ等を使用する場合の例を示す。第13図(A)に示すのは、スライダークランク機構であり、モータ21の回動に伴ってクランク75がガイド76に沿って前進後退し、足表ノズル30は支点ガイド77を支点として首振り動作を行う。
第14図(B)には、ギアスライド機構を示す。ギア71の一部に設けられた歯と、スライドバーの一部に設けられた歯とが歯合している間は、スライドバー78はギア71の回転に伴って上方へと摺動し、足表ノズル30は支点ガイド77を支点として下方へと首振り動作を行う。一方、スライドバー78が上昇しきって、ギアの歯とスライドバーの歯とが歯合しなくなると、スライドバー78は自重によりガイド76に沿って滑り落ち、足表ノズル30は支点ガイド77を支点として上方へと首振り動作を行う。
第14図(C)には、リンク機構を示す。リンク79の足表ノズル30側の端部にはルーズホール80が穿設され、一方、シャフト33の端部には、このルーズホール80に嵌合された突起81が凸設される。そして、モータ21の回転に伴い、この突起81がルーズホール80の端から端へと摺動し、足表ノズル30はこの区間内において首振り動作を行う。
これら第14図に示した場合では、足表ノズル30の回動動作が純粋に機械的に行われ、スイッチ等が不要となる。ただし、回動の過程において、流量を変化させるものにあっては、位置検出用のスイッチが必要となる。
さらに、吐水部指向先移動機構20として電力を使用しない例を、第15図に示す。この例では、送水管14内の一部を膨出させ、そこに側面にギア83を有する水車82を設け、このギア83と、クランク84が接続されたギア85とを噛み合わせて、モータ21に代えて水流によりクランク84を摺動させるものである。
また、本実施形態においては、流量の調整に、電磁弁の開度を調整する方法を用いたが、流量調整はこれに限られず、例えば、揚水ポンプの電圧や巻線タップを切り替えることによっても行うことができる。或いは、全てのノズルユニット34から吐水する場合と幾つかのノズルユニット34を閉止する場合とを切り替えることによって行うように構成することも可能である。このようにポンプの吐水圧を切り替えることにより、足裏、足表ノズルの吐水圧を同時に変化させることができる。
次に、本発明に係る下肢吐水装置の第2の実施形態について、図を参照して説明する。本実施形態の下肢吐水装置1Aは、第16図に示すように、吐水部指向先移動機構20としてスライド方式を採用する点で、回動方式を採用する第1の実施形態におけるものと相違し、他の構成は第1の実施形態と実質的に同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る吐水部指向先移動機構20は、第17図に模式的に示すように、足表ノズル30を上下にスライドさせるムーブ用モータ21と、このモータ21の回転軸に直結されたボールネジ27と、ボールネジ27に摺動自在に外挿された足表ノズル30と、このボールネジ27の他端を固定するストッパ28と、モータ21及びストッパ28を接続するガイド29とを備えるボールネジスライダー機構として構成される。
ムーブ用モータ21は、ステッピングモータ、サーボモータ、リバーサブルモータ等の正逆両方向の回転可能なモータである。
足表ノズル30は、ノズルユニット34を備えるシャフト33の背面に、吐水部指向先移動機構20Aとの接合部30aが取り付けられる。この接合部30aには、雌ねじが刻まれた孔が穿設され、この孔がボールネジ27に外挿螺合される。また、ガイド29は、この足表ノズル30がボールネジ27回りに回転するのを防止する役目も果たしている。
ボールネジスライダー機構には、さらに、モータ21側端部及びストッパ28端部に、足表ノズル30に対向してスイッチ24A,25Aが備えられる。スイッチ24A,25Aは、ON状態になることにより足表ノズル30の現在位置を示す電気信号を制御部50のマイコン52に出力するようになっている。このON信号を受けたマイコン52は、モータ21に対して回転を逆にするよう指示を出す。これにより、足表ノズル30はモータ21とストッパ28との間の往復運動を繰り返す。
また、ボールネジスライダー機構は、ガイド29の所定の位置に、足表ノズル30に対向してスイッチ26Aが備えられる。スイッチ26Aは、足表ノズル30がこの近傍を通過したことを検出すると、ON信号を制御部50のマイコン52へと送信する。
このON信号を受けたマイコン52は、足表ノズル30が足首側からつま先側へとスライドするときは、流量調整部13に対して、流量増加の指示を出し、逆に、足表ノズル30がつま先側から足首側へとスライドするときにこれを検出すると、流量調整部13に対して、流量減少の指示を出す。このように、マイコン52は、スイッチ26AからのON信号を受信する毎に流量の増加・減少の指示を交互に流量調整部に送信する。これにより、受容器が密集するつま先では、流量増加により受容器に対する刺激が強くなって、より多くの受容器を反応させることができる。
本実施形態に係る下肢吐水装置1Aにおいても、マイコン52のメモリに記憶されたプログラムを変更すれば、異なった動作を行わせることができる。例えば、足首側からつま先側へと移動する間には吐水を停止させることも可能であり、或る特定の位置で停止し、一定の時間その部位に集中的に吐水を行った後、移動を再開するように指示するプログラムを搭載してもよい。また、つま先から第五趾の付け根の間を往復移動し、両端で吐水を止めるようにすることも可能である。さらに、足表ノズル30の移動速度を変化させるようにすることもできるし、複数のプログラムの中から選択できるようにすることも可能である。
さらに本実施形態においては、足表ノズル30がつま先側に吐水する場合と、足首側に吐水する場合とで流量を変化させたが、吐水先に拘わらずに流量を周期的に、或いはランダムに変動する構成とすることも可能である。或いは、吐水量が多い領域、少ない領域を交互に設けるなど、着水点の位置に応じて吐水量を変動させることもできる。このような吐水形態の変化によっても、複雑な皮膚感覚を実現し、順応を防止することができる。また、足裏ノズル40も、足表ノズル30と共通の流量調節部13を用いているため、足表側と同時に足裏側の流量も変動し、足裏に対しても変化に富んだ刺激を付与することができる。
なお、このスイッチ26Aは、例えば近接センサ、光線センサ、リミットスイッチ等である。また、本実施形態では、マイコン52による制御を示したが、この他にシーケンサによる制御とすることもできる。
このボールネジスライダー機構は、第17図に示したように、つま先付近におけるノズルユニット34の先端から着水点までの距離d1が、足首付近における距離d2から徐々に小さくなるような傾斜をつけて容器本体2に設置される。したがって、つま先側に吐水するときは、近い位置から吐水されるので、つま先の受容器に与える圧力すなわち刺激も比較的大きいものとなる。これに対し、足首側に吐水するときは、遠い位置から吐水されるので、足首の受容器に与える圧力も比較的小さい。これにより、受容器の密集する部分では大きな刺激を与えてより大きな快感を得られるとともに、その他の部分に吐水するときはこの刺激を弱めて順応を防止することができる。
もっとも、吐水部指向先移動機構20Aは、このボールネジスライダー機構に限られず、種々の機構で構成することが可能である。以下に幾つかの変形例について説明する。
第18図(A)に示すのは、本実施形態のボールネジ27に替えてベルト83を用いたものである。これにより、ベルト83に固設された足表ノズル30は、モータ21とストッパ28との間を往復運動することができる。
第18図(B)に示すのは、本実施形態におけるボールネジ27に替えて、クランクを用いたスライダークランク機構である。クランク75がガイド76に案内されて伸縮し、足表ノズル30は、ドラム73の直径分だけスライドすることができる。この場合、カム23は、モータ21側のドラム73又はシャフト33側の何れに設けてもよい。
第18図(C)には、ギアスライド機構を示す。ギア71の一部に設けられた歯と、スライドバー78の一部に設けられた歯とが歯合している間は、スライドバーはギア71の回転に伴って上方へと摺動し、これに伴って足表ノズル30も上方へと移動する。一方、スライドバー78が上昇しきって、ギア71の歯とスライドバー78の歯とが歯合しなくなると、スライドバー78は自重によりガイド76に沿って滑り落ち、足表ノズル30も下方へと移動する。
第18図(B)及び(C)では、ムーブ用モータ21として、逆回転ができないDCブラシレスモータ等を使用することができる。これらの場合、足表ノズル30のスライド動作が純粋に機械的に行われ、スイッチ等が不要となる。ただし、回動の過程において、流量を変化させるものにあっては、位置検出用のスイッチが必要となる。
さらに、この吐水部指向先移動機構20Aとして電力を使用しない一例を、第19図に示す。この例は、送水管14内の一部を膨出させ、そこに側面にギア83を有する水車82を設け、このギア83と、クランク84が接続されたギア85とを噛み合わせて、モータ21に代えて水流によりクランク84を摺動させるものである。
水力を使用する吐水部指向先移動機構20Aの他の例として、水圧駆動機構を第20図に模式的に示す。この例では、足表ノズル30は伸縮自在な多段のシリンダ85により支持され、このシリンダ85内には、電磁式三方弁86を介して、送水管14からの水が充填される。この電磁三方弁86は、送水側弁86a、シリンダ側弁86b、及び排水側弁86cを有している。
足表ノズル30を上昇させるときは、マイコン52の指示により、送水側弁86a及びシリンダ側弁86bは開かれ、排水側弁86cは閉じられる。このとき足表ノズル30は、シリンダ86内に充填された水の圧力により押し上げられる。逆に、足表ノズル30を下降させるときは、マイコン52の指示により、排水側弁86c及びシリンダ側弁86bは開かれ、送水側弁86aは閉じられる。このときシリンダ85内の水は足表ノズル30の自重に押されて排水されて、足表ノズル30は下降する。
次に、本発明に係る下肢吐水装置の第3の実施形態について、添付図面を参照して説明する。上述の2つの実施形態が、本発明の要部を概念的に説明するものであるのに対し、本実施形態は、上記実施形態では捨象された要素も含むより具体的なものである。
本実施形態に係る下肢吐水装置1Bは、第22図及び第23図に示すように、正面側へ約10度傾斜した円柱型の外観を呈する。ここでは、使用者が足を挿入した場合において、使用者の踵がくる方向を「正面」といい、使用者のつま先がくる方向を「背面」という。
下肢吐水装置1Bは、上面及び正面を形成する容器本体100に、その背面側において、取り外し可能な後部カバー101が取り付けられ、内部の点検が行えるようになっている。この後部カバー101背面中央下部には、略正方形の開口が欠成され、容器本体100に固設された背面プレート110が露出する。この背面プレート110は、排水口111,電源コード112、電源スイッチ113を備える。
排水口111には、使用された水を外部に放出する際に、第24図(A)に示すような排水ホース180、又は第24図(B)に示すような排水タンク181が接続される。
この接続は、排水ホース180又は排水タンク181を引き抜き不能に接続するロック機構と、このロック機構によるロックを解除するロック解除機構と、ロック解除機構作動時に排水口111からの漏水を防止する止水機構とを有するワンタッチ継手182を介して行われる。これにより、排水ホース180又は排水タンク181が外されても排水口111から漏水することはないので、排水時に下肢吐水装置1Bを移動させたり、持ち上げたりする必要がなく、また、排水時以外は、目障りな排水ホース180等を取り外しておくことができる。なお、排水タンク181は、排水時のみならず、下肢吐水装置1Bへの給水にも使用することが可能である。
上面の背面側には下肢吐水装置1Bに所望の動作を指示するための操作パネル170が固設され、上面の大部分を占める残余の部分は、使用者の足を収納するための開口として形成される。この開口には、使用時において湯水の飛散を防止する上面カバー102及び水飛散防止部105が備えられる。
操作パネル170は、第25図に示すように、吐水に必要な水量に達したことを知らせるスタンバイLED171、吐水の開始・停止を指示するスタート/ストップ・スイッチ172、後述する足趾吐水ノズルユニット130の回動の開始・停止を指示する足趾ノズルムーブ・スイッチ173、及び吐水の水温を調節するためのヒータON/OFFスイッチ174を備える。
ここで、第22図及び第23図に示すように、上面カバー102は、開口の略三分の二以上を覆い、ヒンジ104を介して、容器本体100の背面側に回動自在に軸支される。この上面カバー102は、飛散する吐水により浮き上がらないようある程度の重量を有し、また、足収納部内の様子が外から見えるように有色又は無色透明な材料、例えば厚みのあるアクリル板等で形成される。この上面カバー102の外縁下面には、第26図に示すように、水返し103が突設され、水の外部への飛散防止をより確実にしている。
上面の正面側を覆う水飛散防止部105は、上面カバー102に付設され、二つの足挿入部106,106を有する。足挿入部106は、使用者が下肢を挿入すると押し広げられ、挿入された下肢に密着するように、例えばゴムやスポンジ等柔軟性に富んだ材質で成形される。肌触り等を考慮すれば、潜水時に使用されるウエットスーツの素材等が好適である。
開口の底面は、使用者が足を載せる足載台120の役割を果たし、第23図(A)に示すように、前後方向中央には左右対称に二つの足載台開口121,121が穿設され、正面側中央には左右の足の位置決めを案内する足位置ガイド122が立設される。また、足位置ガイド122の左右には、吐水を後述する循環ポンプ134に送り返す第1ストレーナ123,123が設けられる。この第1ストレーナ123は、下肢収納空間Qに紛れ込んだ小さなゴミや糸屑等が循環ポンプを経由して吐水ノズルに目詰まりを起こさせないように、例えば、吐水ノズルの直径が1.5mmの場合、1mmのメッシュに形成される。
足載台開口121の下部には、足裏から一定の距離をおいて、足裏吐水ノズル131,131及び第2ストレーナ124が設けられる。本実施形態では、左右それぞれの足裏に対し2個の足裏吐水ノズルが設けられるが、これは1個であってもよい。第2ストレーナ124は、第1ストレーナ123と同様のメッシュに形成され、足載台開口121から流れ落ちた吐水を、ゴミや糸屑等を除去しつつ循環ポンプ134に送り返す。
操作パネル170の直下には、第27図に示すように、足趾吐水ノズルユニット130が、立設された略三角柱状の支持台160,160間に水平に架設される。足趾吐水ノズルユニット130の一端には、支持台160内に設置された駆動用モータに接続され、足趾吐水ノズルユニット130を電動により回動可能とされる。
また、この足趾吐水ノズルユニット130に水を供給する足趾吐水ノズルユニット配管146は、一方の支持台160内で足載台120側面から取り出され、足趾吐水ノズルユニット130の中央に給水アダプタ146aを介して接続される。なお、足趾吐水ノズルユニット配管146の少なくとも足載台120上に露出する部分は、足趾吐水ノズルユニット130の回動に追従できるように、柔軟な材質、たとえばシリコンホース等で作成される。このように、足趾吐水ノズルユニット130の中央に接続して分岐させることにより、左右のノズルから吐出される水圧を均等にすることができる。
足趾吐水ノズルユニット130の内部を第28図に示す。足趾吐水ノズルユニット130は、左右それぞれに2個ずつのノズル130aと、これらを連接する送水管130cを備える。これらのノズル130aは、ノズルキャップ130bにより施蓋されて、旋回室404内に遊挿される。そして、送水管130cとは旋回室流入路403を介して接続される。各々のノズル130aは、第1の実施形態における足裏ノズル40と同様に構成されており、同じ符号を付して詳細説明は省略する。
したがって、循環ポンプ134によって引き起こされる水流によってノズル130aは回転し、円錐状の公転吐水の奇跡となって、広範囲に亘って吐水することができる。そのため、左右それぞれ2個のノズル130aであっても、第1の実施形態に係る足表ノズル30のように4個のノズルを有するものと同等の範囲に吐水することが可能である。また、吐水先が、足の前後方向に回動するだけでなく、左右方向にも揺動するので、より複雑な触覚を得ることができ、順応も防止される。さらに、ノズル130aの個数が増えれば、1個当たりの水圧が低下して、十分な満足感を得られなくなる虞が生じるという問題も解消される。
本実施形態に係る下肢吐水装置1Bの外観及び下肢収納空間Q、すなわち、通常使用者の目に触れる部分は、以上のようであり、続いて、通常は見えない装置主要部について説明する。第29図は、後部カバー101を取り外して装置主要部を見た図である。
足載台120の下には、吐水用の水を貯留するタンク132が設けられる。このタンク132は、循環ポンプ134が空気を噛まないように、十分な高さを確保している。ここに蓄えられた水は、ポンプ吸水管142を経由して循環ポンプ134に吸引される。一方排水時には、排水管147の勾配を下降して排水口111へと送水される。このとき排水ホース180等が接続されていなければ、ワンタッチ継ぎ手182の止水機構により排水口111から漏水することはない。
タンク132の側面には、足裏吐水ノズル131が配置されるとともに、下水位検知センサ135及び上水位検知センサ136が設置される。下水位検知センサ135及び上水位検知センサ136は、第30図に概略を示すように、天板の高さが異なるボックスに形成される。これらは、タンク132と連通されており、したがって、タンク132と同じ水位が保たれる。
下水位検知センサ135及び上水位検知センサ136内には、同じ高さの2つのフロート、下水位フロート137及び上水位フロート138がそれぞれ浮かべられる。この下水位フロート137は、その頂部が天板に当接したとき、吐水の循環に必要な最小限の水量が溜まる高さに設定されている。また、上水位フロート138は、その頂部が天板に当接したとき、使用開始に必要な水量が確保できる高さに設定される。
このような2段の水位検知が行われるのは以下の理由による。すなわち、最初の貯水時には、循環ポンプ134が始動していないので循環ポンプ134や吐水ノズル内には水は行き渡っていない。しかし、使用が開始されると、それらの部分にも水が行き渡るため、タンク132内の水位が低下する。この状態で空気を噛むことなく水の循環を継続させられるのが、「吐水の循環に必要な最小限の水量が溜まる」水位であり、タンク132内の水位が低下する前の水位が「使用開始に必要な水量が確保できる」水位である。
下水位検知センサ135及び上水位検知センサ136の天板下面と、下水位フロート137及び上水位フロート138とには、対向して電極139が設けられる。
タンク132に給水があって、水位が一定の高さまで上がると、下水位スイッチ137及び上水位スイッチ138の電極139が、下水位検知センサ135及び上水位検知センサ136の天板側の電極139と接触し、検出信号がスイッチドライバ基板153へと送信される。
このように、水位の測定をタンク132内ではなく、別途設けられた下水位検知センサ135及び上水位検知センサ136で行うので、例えば、給水時や、吐水された水が第1ストレーナ123及び第2ストレーナ124からタンク132に戻ってくる時の水勢により、タンク132内の水面が波立っても、その影響による誤差を極力小さくすることができる。
底板107に載置された循環ポンプ135は、その送水側において分岐ユニット133に接続され、タンクから吸引された水は、左側の足裏吐水ノズルへ送水する左足裏吐水ノズル配管144、右側の足裏吐水ノズルへ送水する右足裏吐水ノズル配管145、及び足趾吐水ノズルユニット配管146へと分岐される。
操作パネル170一方の端部下の足載台外側面には、第29図(B)に示すように、足趾吐水ノズルユニット130を回動させる駆動用モータ150が取り付けられ、操作パネル170他方の端部下の足載台外側面には、第29図(A)のX部及び第31図に示すように、足趾吐水ノズルユニット130を軸支するベアリング軸受け151が取り付けられる。
駆動用モータ150は、本実施形態では、ステッピングモータ、サーボモータ、リバーサブルモータ等の正逆両方向の回転可能なモータを足趾吐水ノズルユニット130に直結させているが、第1の実施形態等と同様にギアを介して接続させてもよい。
ベアリング軸受け151近傍には、位置検出センサ152が設けられる。この位置検出センサ152は、第1の実施形態におけるスイッチ及びカムと同様に構成されるので、説明を省略する。位置検出センサ152で得られた信号は、通信線159を経由して駆動モータの動静を制御するモータドライバ基板153に送信される。
続いて、第32図を参照して、本実施形態に係る下肢吐水装置1B内における水の循環について説明する。使用者はまず、洗面器やペットボトルを用いて下肢収納空間Q内に必要量の水を供給する。或いは、上述した排水タンク181を用いてもよい。循環に必要な水量は大凡1.5リットル程度で足りるので、この給水が使用者とって大きな負担となることはない。
下肢収納空間Qに供給された水は、足載台120最低部にある第1ストレーナ123及び足載台開口121下の第2ストレーナ124を経由してタンク132に貯留される。ここで循環ポンプ134が駆動されると、タンク132内の水は循環ポンプ134に吸飲されて、循環ポンプ134の出口側に設けられた分岐ユニット133へと送水され、ここで、左足裏吐水ノズル配管144、右側の足裏吐水ノズルへ送水する右足裏吐水ノズル配管145、及び足趾吐水ノズルユニット配管146へと分岐される。
それぞれの配管から給水された左側の足裏吐水ノズル131、右側の足裏吐水ノズル131、及び足趾吐水ノズルユニット130は、下肢収納空間Q内に吐水を開始する。この吐水のメカニズムは、第1の実施形態に係る下肢吐水装置1のものと同様であり、説明を省略する。
そして、この吐出された水は、最初の給水時と同じように、第1ストレーナ123及び第2ストレーナ124を経由してタンク132に回収され、以後この循環が繰り返される。
第33図は、下肢吐水装置1Bの各構成部品の配置関係を説明するものである。足載台120は、背面側から正面側へと下る勾配θ1を持って横設される。これは、足載台120に注がれた水を第1ストレーナ123に効率良く集水するためである。この勾配θ1は、10度程度が好適である。
足趾吐水ノズルユニット130は、足載台120と平行になる位置から足載台120と垂直になる位置までの90度の範囲で回動する。足載台120と平行になる位置以上に向けて吐水すると外部に漏水する可能性が高くなり、足趾吐水ノズルユニット130の背面直後には足載台120の側面があって、足載台120と垂直になる位置より背面側に足趾が置かれることはないからである。
したがって、足趾から足首までの範囲に吐水するためには、足趾吐水ノズルユニット130と足載台120との間のクリアランスh1は、85mm以上あることが望ましい。
足裏吐水ノズル131先端と足載台開口121との間にも、クリアランスh2が採られる。これは、足裏吐水ノズル131の回転運動による吐水範囲の拡大を有効に受けるためであり、クリアランスh2は30mm以上あることが望ましい。
タンク132の底面は、足載台120とは逆向きに、すなわち、正面側から背面側へと下る勾配θ2を持っている。これにより、タンク132の正面側下端に接続されるポンプ吸水管142及び排水管147に効率良く集水し、使用後に内部に水を残さないようにするためである。この勾配θ2は、5度程度が好適である。
また、排水管147も、タンク132側から排水口111へと下る同様の勾配がつけられて配管される。これにより、排水口111に排水ホース180が接続されて止水機構が解除されれば、外部から強制力を加えることなく自然排水が行われる。
下肢吐水装置1Bには、使用中の水温を維持するために加熱装置も備えられる。第34図(A)は、この加熱装置の一例を示すものである。この例では、タンク132内にシーズヒータ155と水温を検知するサーミスタ157とが備えられ、ヒータコントローラ158により、サーミスタ157が検知した水温に応じてシーズヒータ155のON/OFFが制御される。
加熱装置は、第34図(B)に示すように、タンク132の底面及び/又は外周にヒータ線156をアルミテープ等で接着する構成の簡易なものとすることも可能である。この例によれば、ヒータコントローラやサーミスタ等を必要としないので、低コストで加熱装置を設けることができる。この場合、ヒータON/OFFスイッチ174がON状態中は加熱が継続されるので、加熱能力が高すぎて過加熱とならないように、予めヒータ線の長さ等を調整しておく必要がある。
本実施の形態に係る下肢吐水装置1Bは上記のように構成されており、以下その使用方法について説明する。
第35図は、使用に際しての準備作業の流れを説明するフローチャートである。使用者が電源コード112をコンセントに接続し、電源スイッチ113をONにすると(ステップS101)、モータドライバ基板154の指示により、足趾吐水ノズルユニット130が原点位置に復帰する(ステップS102)。原点位置は、通常足趾ノズル130aが最下端を指向する位置に設定されるが、これに拘泥するものではない。
続いて使用者は、下肢収納空間Q内に洗面器等を用いて給水を開始する。その水がタンク132内に流入し、タンク132内の水位が、使用開始に必要な水量が確保できる高さまで上昇すると、上水位フロート138が電極139に到達して上水位検知センサ136がONとなる(ステップS103:Yes)。
ここで、下水位検知センサ135は、上水位検知センサ136がONになるより前、すなわち、上水位検知センサ136がONになる水位より低い水位のときに既にON状態になっている。何らかの原因で、タンク132内の水位が、吐水の循環に必要な最小限の水量が溜まる高さより低くなると、下水位検知センサ135はON状態からOFFとなり、その信号をスイッチドライバ基板153に送信する。これを受けたスイッチドライバ基板153は、循環ポンプ134に停止信号を送出してポンプ134を停止させて、水量不足による循環ポンプ134の空運転を防止する。
上水位検知センサ136からの信号はスイッチドライバ基板153に送信され、スイッチドライバ基板153は操作パネル170のスタンバイLED171を点灯させて、準備が整ったことを使用者に知らせる(ステップS104)。
給水準備が完了すると、吐水が可能となる。第36図は、吐水作業の流れを説明するフローチャートである。使用者が、スタート/ストップ・スイッチ172を押し下げると(ステップS201)、その信号はスイッチドライバ基板153に送信され、スイッチドライバ基板153が循環ポンプ134に駆動開始信号を送出する(ステップS202)。これにより、吐水が開始される。このとき、下水位検知センサがOFFであれば、上述のように吐水は開始されない。
スイッチドライバ基板153は、それとともに、スタンバイLED171を消灯させ、且つスタート/ストップ・スイッチ172のLED(例えば、第25図の円周部分)を点灯させる(ステップS203)。
ここで、再度スタート/ストップ・スイッチ172が押し下げられると(ステップS204)、その信号はスイッチドライバ基板153に送信され、スイッチドライバ基板153が循環ポンプ134に対して駆動停止信号を送出して循環ポンプ134に動作を停止させる(ステップS205)。それとともに、スイッチドライバ基板153は、スタンバイLED171を点灯させ、且つスタート/ストップ・スイッチ172のLEDを消灯させる(ステップS206)。これにより、吐水作業は終了する。
このように、スタート/ストップ・スイッチ172が押し下げられる毎に、スイッチドライバ基板153は、循環ポンプ134に対して動作の開始と停止とをトグル的に指示する。
足趾吐水ノズルユニット130を回動させる流れを、第37図のフローチャートに示す。使用者により足趾ノズルムーブ・スイッチ173が押し下げられると(ステップS301)、その信号はモータドライバ基板154に送信され、モータドライバ基板154が駆動用モータ150に対して動作開始信号を送出して駆動用モータ150に動作を開始させるとともに、モータドライバ基板154は、足趾ノズルムーブ・スイッチ173のLED(例えば、第25図のノズル部分)を点灯させる(ステップS302)。これにより、足趾吐水ノズルユニット130は回動を開始する。
ここで、再度足趾ノズルムーブ・スイッチ173が押し下げられると(ステップS303)、その信号はモータドライバ基板154に送信され、モータドライバ基板154が駆動用モータ150に対して動作停止信号を送出して駆動用モータ150に動作を停止させるとともに、モータドライバ基板154は、足趾ノズルムーブ・スイッチ173のLEDを点灯させる(ステップS304)。これにより、足趾吐水ノズルユニット130は回動作業を終了する。
このように、足趾ノズルムーブ・スイッチ173が押し下げられる毎に、モータドライバ基板154は、駆動用モータ150に対して動作の開始と停止とをトグル的に指示する。
第38図は、循環する吐水の水温を維持する作業の流れを示すフローチャートである。使用者によりヒータON/OFFスイッチ174が押し下げられると(ステップS401)、その信号はヒータコントローラ158に送信され、ヒータコントローラ158がシーズヒータ155に対して動作開始信号を送出してシーズヒータ155に動作を開始させるとともに、ヒータコントローラ158は、ヒータON/OFFスイッチ174のLED(例えば、第25図の波線部分)を点灯させる(ステップS402)。これにより、シーズヒータ155は発熱を開始する。
ここで、再度ヒータON/OFFスイッチ174が押し下げられると(ステップS403)、その信号はヒータコントローラ158に送信され、ヒータコントローラ158がシーズヒータ155に対して動作停止信号を送出してシーズヒータ155に動作を停止させるとともに、ヒータコントローラ158は、足ヒータON/OFFスイッチ174のLEDを点灯させる(ステップS404)。これにより、シーズヒータ155は発熱作業を終了する。
このように、ヒータON/OFFスイッチ174が押し下げられる毎に、ヒータコントローラ158は、シーズヒータ155に対して発熱の開始と停止とをトグル的に指示する。
なお、このフローチャートでは、使用者によりヒータON/OFFスイッチ174がON/OFFされる場合について説明したが、タンク132内に設置されたサーミスタ157が、タンク132内の水温が所定の温度より低くなった場合にその信号をヒータコントローラ158に送信し、この信号を受けたヒータコントローラ158が、シーズヒータ155に対して信号を送出して発熱を開始させるようにしてもよい。
さらに、サーミスタ157が、タンク132内の水温が所定の温度より高くなったときにその信号をヒータコントローラ158に送信し、この信号を受けたヒータコントローラ158が、シーズヒータ155に対して信号を送出して発熱を停止させるようにすることも可能である。これにより、自動的に水温を一定範囲内に保つことができる。
以下、斯かる下肢吐水装置1Bの変形例について説明する。第39図は、本変形例に係る下肢吐水装置の操作を行うリモートコントローラ175を示すものである。このリモートコントローラ175は、上述の操作パネル170に替えて、或いは操作パネル170に追加して設けられる。
リモートコントローラ175は、操作パネル170が備えるスタンバイLED171、スタート/ストップ・スイッチ172、足趾ノズルムーブ・スイッチ173、及びヒータON/OFFスイッチ174を備える外、タイマボタン176、デジタル表示177、アップボタン178、及びダウンボタン179を備える。ここで、操作パネル170が備えるスイッチ等と同じスイッチ等については説明を省略する。
タイマボタン176は、このリモートコントローラ175にタイマ機能を与えるものであり、連続使用時間を1分刻みで設定できるようになっている。工場出荷時には、デフォルト値として、例えば15分が設定されている。
タイマボタン176を押すと、設定時間を表示するデジタル表示177が点滅する。そこで、連続使用時間を表示のものより長くしたいときは、アップボタンを押し下げ、短くしたいときはダウンボタンを押し下げて、デジタル表示177に所望の時間を表示させる。所望の時間が表示されて、再度タイマボタン176を押し下げれば、デジタル表示177の表示が点滅から点灯へと変化して、新しい連続使時間の設定が完了する。なお、このタイマ機能を、操作パネル170に持たせることも勿論可能である。
第3の実施形態に係る下肢吐水装置1Bが、使用者により手動で給水されて、その水が容器本体内で循環するのに対し、第40図に示す変形例は、給水管190及び排水管192に直接接続され、吐出された水は循環することなく逐次排出される点で基本的に相違し、他の構成は第3の実施形態と実質的に同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
水を循環させず、給水管からの水圧により直接吐水ノズルまで送水され、吐水されるので、本変形例に係る下肢吐水装置1Cは、循環ポンプが不要となり、替わって、給水管190の開閉を制御する給水電磁弁191が備えられる。給水電磁弁191は、電源切り状態で常時閉のノーマルクローズタイプが用いられる。
そして、給水管190及び排水管192は、それぞれワンタッチ継ぎ手を用いて背面プレート110に接続される。或いは恒常的に接続される場合は、ワンタッチ継ぎ手なしで接続するように構成してもよい。
また、連続して給水され、直接各吐水ノズルに送水されることから、タンク132内の貯水量を気にする必要もなく、したがって、水位検出センサも不要となる。
さらに、使用される水は次々に入れ替わるので、水温の維持は意味を成さなくなってヒータ機能も不要となる外、操作パネル170のヒータON/OFFスイッチ174も不要となる。このため、一定以上の水温で使用したい場合は、適温の給湯が可能な給水管に接続する必要がある。
加えて、給水管190は、給水電磁弁192を介して各吐水ノズル配管へと直結されるので、タンク132も、実質的な意味はなく、排水管192が詰まった場合等不測の事態に備えるものにすぎない。このように、本変形例に係る下肢吐水装置1Cは、第3の実施形態に係るものと比較してシンプルな構成となり、製造コストの低減を図ることができる。
本変形例の下肢吐水装置1Cは、上述のように第3の実施形態に係る下肢吐水装置1Bと異なるので、その使用も自ずと異なる部分が生じる。
まず、タンク132に水を溜める準備作業がなく、使用者が電源コード112をコンセントに接続し、電源スイッチ113をONにすると、スイッチドライバ基板153の指示により、スタンバイLED171が点灯する。本変形例では、スタンバイLED171は、このように電源ON状態を表示するものとなる。
第41図は、本変形例における吐水作業の流れを説明するフローチャートである。使用者が、スタート/ストップ・スイッチ172を押し下げると(ステップS501)、その信号はスイッチドライバ基板153に送信され、スイッチドライバ基板153が給水電磁弁192に開信号を送出する(ステップS502)。これにより、給水管190から水の流入が開始され、その水圧により直接各ノズルへと送水されうる。
スイッチドライバ基板153は、それとともに、スタンバイLED171を消灯させ、且つスタート/ストップ・スイッチ172のLEDを点灯させる(ステップS503)。
ここで、再度スタート/ストップ・スイッチ172が押し下げられると(ステップS504)、その信号はスイッチドライバ基板153に送信され、スイッチドライバ基板153が給水電磁弁192に対して閉信号を送出して給水電磁弁192を閉止させる(ステップS505)。それとともに、スイッチドライバ基板153は、スタンバイLED171を点灯させ、且つスタート/ストップ・スイッチ172のLEDを消灯させる(ステップS506)。これにより、吐水作業は終了する。
このように、スタート/ストップ・スイッチ172が押し下げられる毎に、スイッチドライバ基板153は、給水電磁弁192に対して開と閉とをトグル的に指示する。
これに対し、足趾吐水ノズルユニット130を回動させる流れは、第3の実施形態に係るものと全く同じであり、逆に、吐水の水温を維持する作業は行われない。
以上に説明した実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
上記の実施形態においては、使用者の足を収納する容器本体2を備え、使用者Pはこの容器本体2内部に足を収納して吐水を受ける例を用いて説明した。しかし、この容器本体2を備えず、足表ノズル吐水部30が吐水部指向先移動機構20を介して、例えば第21図に示すように、浴室等の内部に設けられたカウンタ90の下に、浴室と一体に組み込まれた構成とすることもできる。この例では、足表ノズル30及び吐水部指向先移動機構20は、カウンタ90下面に吊設された2つの挟持具91,91に両端を挟時されて取り付けられる。
【産業上の利用可能性】
以上述べたように、本発明に係る下肢吐水装置によれば、皮膚に存在する感覚受容器を効果的に刺激して、より大きな快感を得ることが可能となる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】

【図38】

【図39】

【図40】

【図41】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の足の表側を指向して吐水する足表吐水部と、該足表吐水部の吐水の指向先を足の長軸方向に沿って移動させる吐水部指向先移動機構とを備えることを特徴とする下肢吐水装置。
【請求項2】
使用者の足を収納する容器本体と、該容器本体内部に収納された足の表側を指向して吐水する足表吐水部と、該足表吐水部の吐水の指向先を足の長軸方向に沿って移動させる吐水部指向先移動機構とを備えることを特徴とする下肢吐水装置。
【請求項3】
前記足表吐水部は、使用時における足幅方向に並列された複数の吐水口を左右の足夫々に対して有することを特徴とする請求の範囲第1項及び第2項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項4】
前記吐水部指向先移動機構による前記吐水を受ける着水点の移動の経路には、足趾が含まれることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項5】
前記足表吐水部は、移動する前記着水点の位置に応じて、該着水点が受ける吐水の圧力を変動させることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項6】
前記足表吐水部は、前記着水点が前記足趾にあるときに該着水点が受ける吐水の圧力を最も高くすることを特徴とする請求の範囲第4項及び第5項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項7】
前記足表吐水部は、移動する前記着水点の位置に応じて吐水量を変動させることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項8】
前記足表吐水部は、前記着水点が前記足趾にあるときに最も多流量で吐水することを特徴とする請求の範囲第7項記載の下肢吐水装置。
【請求項9】
前記吐水部指向先移動機構は、使用者の皮膚表面に対する着水の角度が変わるように、前記着水点の移動に応じて、前記足表吐水部を移動させることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第8項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項10】
前記吐水部指向先移動機構は、前記着水点が足の長軸方向に沿って移動するように、前記足表吐水部が回転及び回動のいずれかを行うことを軸支する回転軸を備えることを特徴とする請求の範囲第9項記載の下肢吐水装置。
【請求項11】
前記回転軸は、前記容器本体内において、使用時における第五趾の付け根の位置の直上又はそれより趾先側において軸支されることを特徴とする請求の範囲第10項記載の下肢吐水装置。
【請求項12】
前記吐水部指向先移動機構による前記着水点の移動は、該移動の周期の中に、前記足表吐水部からの吐水が足趾に当たらない期間を有することを特徴とする請求の範囲第1項ないし第4項及び第9項ないし第11項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項13】
前記足表吐水部は、連続して吐水しつつ、前記吐水部指向先移動機構により前記着水点を足の長軸方向に沿って往復移動させることを特徴とする請求の範囲第1,2,3,5,7,8,9項及び第11項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項14】
前記下肢吐水装置は、足の裏側を指向して吐水する足裏吐水部をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第13項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項15】
前記足裏吐水部の吐水量及び吐水圧の少なくとも一方は、周期的に変化することを特徴とする請求の範囲第項14記載の下肢吐水装置。
【請求項16】
前記足表吐水部は、吐水方向を周期的に揺動させることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第15項のいずれかに記載の下肢吐水装置。
【請求項17】
前記足裏吐水部は、吐水方向を周期的に揺動させることを特徴とする請求の範囲第14項ないし第16項のいずれかに記載の下肢吐水装置。

【国際公開番号】WO2005/072673
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517371(P2005−517371)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004050
【国際出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】