説明

下部尿路障害を治療するためのキット及び改良された組成物

【課題】下部尿路障害を治療、改善又は予防するための薬剤組成物の提供。
【解決手段】(a)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖と、(b)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の急性作用麻酔薬と、(c)前記急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように前記急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する緩衝液であって、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが0.20Mから0.45Mの濃度で存在する緩衝液を含有する薬剤組成物。該陰イオン性多糖としては、ヒアルロン酸、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ペントサンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、及びケラタン硫酸からなる群から選択されることが好ましい。該急性作用麻酔薬としては、リドカインであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年1月14日に出願され、本明細書に参照によりその全体が組み込まれているSemberらによる「骨盤の障害を治療するためのキット及び改良された組成物(Kits and Improved Compositions for Treating Pelvic Disorders)」という名称の米国仮出願第60/643,885号の優先権を主張する。本出願はさらに、2005年12月19日に出願され、本明細書に参照によりその全体が組み込まれているFlashnerらによる「下部尿路の障害を治療するための製剤(Formulations for Treating Lower Urinary Tract Disorders)」という名称の米国仮出願第60/752,287号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、下部尿路症状及び障害を治療するための優れた緩衝化された製剤及びその優れた緩衝化された製剤を含むキットを対象とする。具体的には、優れた緩衝化された製剤は、膀胱及び下部尿路の関連部分の深刻な疼痛及び/又は尿意促迫を感じる患者の下部尿路症状に関する治療改善を実証している。具体的には、これらの改良された治療法は、疼痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁のうちの1種又は複数の骨盤症状の治療、改善、又は予防のための膀胱注入用の新規な膀胱内(intravesicular)製剤を包含する。
【0003】
多くの疾患及び病状が、下部尿路において起こり、疼痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁のうちの1種又は複数の骨盤症状に関連している。婦人科の患者では、骨盤痛は、慢性骨盤痛と呼ばれ、原因不明のものである可能性があり、或いは細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、子宮内膜症に関係している恐れがある。骨盤痛の知覚起点に関わらず、多くの場合、疼痛の実際の起点は、膀胱及び/又は下部尿路の可能性がある。尿意頻数及び尿意切迫には、ともに過活動膀胱の症状が含まれる。過活動膀胱はまた、失禁、特に急迫性尿失禁に関連している可能性もある。
【0004】
癌を細胞傷害性療法で治療する男性患者と女性患者のどちらでも、これは、疼痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁の下部尿路症状のいずれかの1種又は複数を生じる恐れがある。膀胱、子宮頚部、卵巣、直腸、結腸、膣/外陰、又は前立腺の癌治療のために行われる骨盤への局所的放射線療法は、疼痛、尿意切迫、及び/又は尿意頻数の下部尿路症状の1種又は複数をもたらす膀胱壁上皮の損傷を生じる恐れがある。細胞障害性癌化学療法、最も顕著には、乳癌患者(男性及び女性)へのシクロホスファミド及びイホスファミド治療はまた、同系の症状をまねく恐れがある。
【0005】
男性患者では、骨盤痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁のいずれかの1種又は複数の下部尿路骨盤症状が、前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、尿道症候群、又は過活動膀胱の患者に観察される。
【0006】
下部尿路骨盤痛のための特定の療法は存在せず、その代わり患者は、アスピリンやアセトアミノフェンなどの経口NSAIDSを処方される。激しい慢性疼痛では、ある対象は、一般に症状の不可逆的悪化をもたらす経口及び/又は経皮的麻薬に依拠している。
【0007】
尿意切迫及び尿意頻数、また過活動膀胱とも称される症状では、塩化デトロロキシブチニン(Ditropan XL(登録商標))やトルテロジン(Detrusitol(登録商標)、Detrol LA(登録商標))などの経口抗コリン薬が、膀胱壁の平滑筋収縮を低減する。しかし、これらの薬剤は、問題の根本的な原因を治療してはいない。さらに、これらの薬剤は、約50%に口渇、便秘、頭痛、視力障害、高血圧症、眠気、尿閉などの副作用を生じる恐れがある。これらの薬剤の利益は、こうした危険/損傷を克服するようには思われない。というのは、患者の20%しかこれらの再処方を受けないからである。
【0008】
癌患者のイホスファミド治療に起因する出血性膀胱炎の予防に使用されるMesnex(登録商標)(メスナ)という一薬剤がある。この薬剤は、解毒剤であり、制癌剤と結合し、解毒する。この薬剤は、急性疼痛を治療するものではなく、実際には有害事象を非常に高い頻度で起こす(静脈注入(IV)でのすべてのAE(有害事象)=85%、経口でのすべてのAE=89%)。最も顕著な有害事象は、吐き気、嘔吐、及び便秘である。
【0009】
ヘパリン類似物質系治療(ヘパリン; 経口剤ペントサンポリ硫酸ナトリウム[PPS])は間質性膀胱炎(IC)の有効な治療であるが、患者は、治療に数カ月もかかる可能性があり、或いは彼らが疼痛及び尿意切迫/頻数の軽減を感じるのにより長い期間が必要となる可能性がある。(P.M.Hanno、「間質性膀胱炎への長期的エルミロン治療の分析(Analysis of Long−Term Elmiron Therapy for Interstitial Cystitis)」、Urology、第49巻(補遺5A):93〜99頁(1997年))ヘパリン類似物質は、この疾患の多くの症例に存在する機能障害性上皮を増大させると考えられており、疾患過程を転換させ、それによって症状が軽減される際の十分な有効性の実現に時間を要する。(C.L.Parsons、「間質性膀胱炎治療における上皮被覆技術(Epithelial Coating Techniques in the Treatment of Interstitial Cystitis)」、Urology、第49巻(補遺5A):100〜104頁(1997年))。さらに、特にICが重篤又は長期の場合、膀胱において感覚神経の顕著なアップレギュレーションがある。(T.J.Christmasら、「間質性膀胱炎における神経線維増殖(Nerve Fibre Proliferation in Interstitial Cystitis)」、Virchows Archiv.A Pathol.Anat.、第416巻:447〜451頁(1990年);X.Pangら、「間質性膀胱炎におけるサブスタンスP陽性神経線維数の増加(Increased Number of Substance P Positive Nerve Fibres in Interstitial Cystitis)」、Br.J.Urol.、第75巻:744〜750頁(1995年);C.A.Buffington及びS.A.Wolfe,Jr.、「間質性膀胱炎のネコの膀胱における[H]サブスタンスPに対する高親和性結合部位(High Affinity Binding Sites for[H]Substance P in Urinary Bladders of Cats with Interstitial Cystitis)」、J.Urol.、第160巻:605〜611頁(1998年))。ヘパリン類似物質は、粘液のバリア機能を徐々に回復させ、したがってカリウムなどの尿成分によるさらなる刺激を防ぐことで長期にわたり神経の自然なダウンレギュレーションを可能にする(J.C.Nickelら、「間質性膀胱炎(IC)に関するペントサンポリ硫酸ナトリウム(PPS)の無作為化二重盲検による用量範囲探索試験(Randomized, Double−Blind, Dose−Ranging Study of Pentosan Polysulfate Sodium (PPS) for Interstitial Cystitis (IC))」、J.Urol.、第165巻(補遺5):67頁(2001年);C.L.Parsonsら、「膀胱内カリウム感度に対するペントサンポリ硫酸治療の効果(Effect of Pentosan Polysulfate Therapy on Intravesical Potassium Sensitivity)」、Urology、第59巻:329〜333頁(2002年))。現在利用可能なIC治療では、神経終末を破壊せずに(T.W.Cannon及びM.B.Chancellor、「過活動膀胱の薬物療法及び薬剤送達の進歩(Pharmacotherapy of the Overactive Bladder and Advances in Drug Delivery)」、Clin.Obstet.Gynecol.、第45巻:205〜17頁(2002年);M.B.Chancellor及びN.Yoshimura、「間質性膀胱炎の治療(Treatment of Interstitial Cystitis)」、Urology、第63巻(3号、補遺1):85〜89頁(2004年);M.Lazzeriら、「間質性膀胱炎を治療するための一時的in situ薬剤送達系によるレシニフェラトキシンの膀胱内注入:パイロット研究(Intravesical Infusion of Resiniferatoxin by a Temporary in Situ Drug Delivery System to Treat Interstitial Cystitis: A Pilot Study)」、Eur.Urol.、第45巻:98〜102頁(2004年)、又は麻薬を使用せずに症状の即時軽減は実現されない。したがって、症状の即時軽減をもたらし、いずれのリバウンド効果もなく膀胱感覚神経をダウンレギュレートするように直接機能するIC治療が依然として必要とされている。
【0010】
膀胱内薬剤は、ICに関する経口治療計画の補助剤又は二次治療として長年使用されている。最も広く使用されるものの1つはヘパリンであり、それは治療した患者の約50%に有効である。ヘパリンは、天然の膀胱表面粘液の防護効果を増大させると考えられる硫酸化多糖である。しかし、膀胱内ヘパリン類似物質薬剤は、単独ではIC症状の即時且つ継続した軽減をもたらさない。経口用ヘパリン類似物質と同様に、それらは、症状を緩和するのに数カ月要する。
【0011】
他の治療も試みられているが、限られた成果しかあげられていない。例えば、比較方式でない治験(uncontrolled trial)からのデータに基づいて1977年にICに関して承認されたジメチルスルホキシド(DMSO)による治療は、6〜8週間は毎週、次いで維持するのに3〜12カ月間は2週毎に膀胱内点滴注入することで有用になり得る。しかし、DMSO治療は、治療したIC患者の約50%にしか利益をもたらさず、その治療は、症状を低減させるのに長い時間を要する。さらに、この治療は、局所麻酔薬の膀胱壁への吸収不足のために局所麻酔薬自体では軽減されない疼痛を引き起こす。症状の即時軽減のために麻酔薬が投与されるが、それらには最小の効果しかない。もちろん、麻酔薬の使用は、耐性及び耽溺の著しい危険をもたらす。何人かの患者は、正式な8〜12週間の行動修正の個別(one−on−one)コースから利益を得る。患者らはまた、カリウムの豊富な食物、特に、柑橘類、トマト、チョコレート、及びコーヒーを避けるように助言される。
【0012】
多くの泌尿器科医が、彼ら自身による「自作」の薬剤を膀胱内腔にその薬剤又はその混合物を投与することによって間質性膀胱炎患者を治療する。これらの処置は医院において治療前又は後に初期症状の重さをいずれの定量的評価もせずに通常行われるので、こうした治療の利益を評価する上で科学的な厳密性はない。したがって、患者らは、患者が治療から利益を得るかどうかに関して実際の科学的ガイダンスもない非承認の薬剤を投与される。
【0013】
したがって、下部尿路症状及び障害、特に重症の間質性膀胱炎の人々を治療して即時軽減をもたらす科学的に正当且つ改良された治療が非常に必要とされている。さらに、こうした治療は、定量的に評価されていない泌尿器科医の「自作」治療に基づく希望的観測ではなく、利益に関する正当な定量的評価に基づくべきである。特に、即時軽減をもたらし、患者が軽減を感じるまでに数カ月を必要としないこれらの治療に使用するための改良された治療及び組成物が必要とされている。
【0014】
以前、Parsons(CL.Parsons、「ICを認識且つ処理するためのエビデンスベースの治療方針(Evidence−based strategies for recognizing and managing IC)」、Contemporary Urology、2月号、22〜35頁、2003年)は、未知の病因による有痛性膀胱障害である間質性膀胱炎治療のための3種のFDA承認薬剤成分の処方を公開した。この諸成分は、15mlの総水溶液量において、リドカインが80mg(1%リドカインが8ml)、ヘパリンが40,000単位(10,000単位/mlのヘパリンナトリウムが4ml)、重炭酸塩が252mg(8.4%炭酸水素ナトリウムが3ml)であった。
【0015】
Parsons方法の追加制限は、使用直前にこの諸成分を3個の個々の溶液から測定しなければならないということである。クリニックや診療室など多くの治療施設には、ストック溶液からこれらの諸成分を測定する資格を有する製剤に関する人材もおらず、誤った治療又はリドカイン過剰服用の可能性につながる偶然の測定ミスが起きる可能性もある。さらに、非無菌環境でのこの混合は、易感染性膀胱に直接点滴注入される感染因子又は他の有害な成分によって汚染をもたらす恐れがある。したがって、本発明は、これらの治療時の問題を防止する本発明の製剤の事前測定済みキット及び事前充填済みバイアルを提供する。
【0016】
Parsonsによる先の製剤の態様は、それが多数の成分を含み、多数の変数を有する任意の解又は方程式と共にあるということであり、それにより各成分のどの部分が効果に寄与しているか明らかにはできない。したがって、各成分の効果を最大にする製剤において改良の必要性がある。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、骨盤障害を治療するためのキット及び改良された組成物を具体化する。このキットは、自宅、クリニック、病院、又は医師のオフィスでの使用を容易にするための事前測定済みのバイアル及び/又は事前充填済みのシリンジ/バイアルを含む。骨盤障害のための改良された膀胱内製剤は、疼痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁のいずれか1種又は複数の骨盤症状を治療、改善、又は予防するのに使用可能である。好ましい実施形態では、これらの骨盤障害としては、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、又は尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、又は過活動膀胱が挙げられる。或いは、この障害は診断未確定の可能性があるが、患者は、骨盤痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁の症状のうちの少なくとも1種を示さなければならない。
【0018】
一般に、本発明による組成物は、以下のものを含む;
(1)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖;
(2)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の急性作用麻酔薬;
(3)この急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する緩衝液であって、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20M〜約0.45Mの濃度で存在するような、緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有するような量で存在する緩衝液;
(4)任意に、ヒトの細胞及び血液と合致する等張性又はほぼ同じ等張性の溶液をもたらす浸透性成分;並びに
(5)任意に、以下の1種又は複数を任意の組合せで含む追加成分:
(a)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量で膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物;
(b)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の抗菌剤;
(c)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の抗真菌剤;及び
(d)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の血管収縮剤。
【0019】
一般に、陰イオン性多糖は、グリコサミノグリカンである。好ましくは、グリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ペントサンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、及びケラタン硫酸からなる群から選択される。特に好ましい陰イオン性多糖としては、ヘパリン、ヘパラン硫酸、及びペントサンポリ硫酸が挙げられる。或いは、グリコサミノグリカンは、デキストラン硫酸でもカラゲナンでもよい。
【0020】
一般に、局所麻酔薬は、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ブピバカイン、コカイン、エチドカイン、フレカイニド、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、クロロプロカイン、オキシプロカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、ジクロニン、ジブカイン、プロポキシカイン、クロロキシレノール、シンコカイン、デキシバカイン、ジアモカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、リソカイン、ロドカイン、並びに薬剤として許容されるそれらの誘導体及び生物学的等価体からなる群から選択される。好ましくは、局所麻酔薬は、リドカイン、ブピバカイン、ベンゾカイン、テトラカイン、エチドカイン、フレカイニド、プリロカイン、及びジブカインからなる群から選択される。より好ましくは、局所麻酔薬は、リドカインである。
【0021】
一般に、緩衝液は、重炭酸緩衝液、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液、MOPS緩衝液(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)緩衝液、ACES(2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)緩衝液、ADA(N−(2−アセトアミド)2−イミノ二酢酸)緩衝液、AMPSO(3−[(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパンスルホン酸)緩衝液、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、Bicine(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルグリシン)緩衝液、Bis−Tris(ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン)緩衝液、CAPS(3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CHES(2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)緩衝液、DIPSO(3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPS(N−(2−ヒドロキシエチルピペラジン)−N’−(3−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、イミダゾール緩衝液、グリシン緩衝液、エタノールアミン緩衝液、リン酸緩衝液、MOPSO(3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)緩衝液、POPSO(ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)緩衝液、TAPSO(3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、トリシン(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン緩衝液)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール緩衝液、及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝液からなる群から選択される。好ましくは、緩衝液は、重炭酸緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝剤、MOPS緩衝液、又はHEPES緩衝液である。より好ましくは、緩衝液は、重炭酸緩衝液であり、最も好ましくは、緩衝液は、炭酸水素ナトリウム緩衝液である。
【0022】
一般に、浸透性成分は、塩化ナトリウムなどの塩、若しくは糖、又はこれらの成分の2種以上の組合せである。この糖は、デキストロースなどの単糖、ショ糖やラクトースなどの二糖、デキストラン40、デキストラン60、デンプンなどの多糖、又はマンニトールなどの糖アルコールとすることができる。組成物のすべての成分が溶液の浸透性に寄与することは当業者にとって明らかなはずであるが、等張又はほぼ等張な溶液を実現するのに、適切な浸透性成分を添加し、高張液を生じるほど過剰には添加しないことを確実にするようにこれらの諸成分の寄与を考慮するべきである。
【0023】
この組成物は、抗菌剤を含むことができる。抗菌剤は、スルホンアミド、ペニシリン、トリメトプリムとスルファメトキサゾールとの組合せ、キノロン、メテナミン、ニトロフラントイン、セファロスポリン、カルバペネム、アミノグリコシド、テトラサイクリン、及びマクロライドからなる群から選択され得る。
【0024】
或いは、組成物は、抗真菌剤を含むことができる。抗真菌剤は、アムホテリシンB、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、及びフルシトシンからなる群から選択され得る。
【0025】
抗菌又は抗真菌剤の使用は、骨盤の病状と一緒に細菌又は真菌による膀胱炎を治療することを意図している。というのは、それらは同時に起こる恐れがあるからである。
【0026】
さらに、この組成物はまた、投与部位又は近傍で最大の効果を有することを確実にするのに、その投与部位又は近傍で血管を局所的に収縮させる血管収縮剤を含むこともできる。特に好ましい血管収縮剤は、エピネフリンである。
【0027】
別の代替法としては、さらに、この組成物はまた、活性化可能なゲル化剤など、膀胱壁表面への組成物の残存を可能にする化合物を含むこともできる。活性化可能なゲル化剤は、一般に熱可逆性ゲル化剤である。熱可逆性ゲル化剤は、Pluronics F127ゲル、Lutrolゲル、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸エチル、N−アクリロキシスクシンイミド、1〜2%のキシログルカンゾル、プルロニックとポリ(アクリル酸)とのグラフトコポリマー、プルロニック−キトサンヒドロゲル、及び[ポリ(エチレングリコール)−ポリ[乳酸−co−グリコール酸]−ポリ(エチレングリコール)](PEG−PLGA−PEG)ポリマーからなる群から選択され得る。
【0028】
下部尿路障害は、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択され得る。一般に、下部尿路障害は、間質性膀胱炎であり、或いは下部尿路障害は、放射線誘発性膀胱炎である。
【0029】
好ましい一代替法では、この組成物は、以下のものを含む:
(1)単位用量当たりリドカイン160mg;
(2)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(3)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(4)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg;
それによって、最終単位用量12mlにおいて、リドカインは46mM、ヘパリンは3333単位/ml、炭酸水素ナトリウムは0.33M、塩化ナトリウムは約28.5mMで存在する。
【0030】
好ましい別の代替法では、この組成物は、以下のものを含む:
(1)単位用量当たりリドカイン200mg;
(2)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(3)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(4)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg;
それによって、最終用量13mlにおいて、リドカインは53mM、ヘパリンは3077単位/ml、炭酸水素ナトリウムは0.305M、塩化ナトリウムは26.3mMで存在する。
【0031】
さらに別の好ましい代替法では、この組成物は、以下のものを含む:
(1)単位用量当たりリドカイン240mg;
(2)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(3)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(4)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg;
それによって、最終用量14mlにおいて、リドカインは64mM、ヘパリンは2857単位/ml、炭酸水素ナトリウムは0.28M、塩化ナトリウムは24.4mMで存在する。
【0032】
さらに別の好ましい代替法では、この組成物は、全流体量15mlにおいてヘパリン40,000単位(4ml)、2%リドカイン8m(160mg)、及び懸濁した8.4%(w/v)炭酸水素ナトリウム3mlを含む。
【0033】
この組成物の別の態様は、以下のものを含む2種以上の別個の事前測定済み成分の複数パートキットである:
(1)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖を含む溶液又は乾燥粉末を構成する薬剤組成物を含む第1成分;
(2)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の、溶液又は乾燥粉末としての急性作用麻酔薬を含む第2成分;並びに
(3)この急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する、溶液又は乾燥粉末としての緩衝液を含む第3成分(この第3成分は、場合によっては、溶液又は乾燥粉末として第2成分と組み合わせることができ、この緩衝液は、複数パートキットを構成するこれらの成分を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20M〜約0.45Mの濃度で存在するようなある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有する);並びに
(4)任意に、第1、第2、及び第3成分がすべて乾燥粉末である場合、事前測定済み液体希釈剤成分を含む第4成分;
(5)任意に、浸透性成分を含む第5の事前測定済み成分(この第5の事前測定済み成分は、任意に、安定であるなら他の成分のいずれかと組み合わせることができる);並びに
(6)任意に、任意の組合せで以下のものの1個又は複数を含む第6の事前測定済み成分:
(a)膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物;
(b)抗菌剤;
(c)抗真菌剤;及び
(d)血管収縮剤
(この第6の事前測定済み成分は、場合によっては、安定であるなら他の成分のいずれかと組み合わせることができる)。
【0034】
これらの成分が安定で互いに反応しない場合のみ、これらの成分をキット中で一緒にすることができることは当業者には明白である。
【0035】
このキットは、2つ以上に別個に仕切られた状態で事前測定済み諸成分から構成され得る。或いは、これらの事前測定済み成分は、1個若しくは複数の事前充填済みバイアルと組み合わせた事前充填済みシリンジ、又は膀胱注入の直前に一緒に混合することができる2つに仕切られた事前充填済みシリンジに詰められ得る。一実施形態では、この諸成分は、一区分中に存在し、別の区分の滅菌水により治療時に溶解される。別の実施形態では、組成物の1個又は複数の成分は、一区分中で水に溶解されており、残りの成分は、別の区分中で乾燥状態にあり、使用前に一緒にされる。一実施形態では、事前充填済みシリンジは、間を非浸透性膜によって2つに仕切られており、それを注入直前に破壊し、それによって諸成分すべてが混合される。使いやすいように、このキットはまた、シリンジ及び/又はカテーテルを有してもよい。溶液状態で又は乾燥成分として安定である成分のみがキット中で互いに組み合わされるべきであることは、当業者には明らかであろう。
【0036】
本発明の別の態様は、骨盤障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、骨盤障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の前述の本発明の組成物を投与するステップを含む骨盤障害の治療、改善、又は予防方法である。
【0037】
本発明の別の態様は、
(1)前述のように本発明によるキットの事前測定済み諸成分を一緒にするステップと、
(2)骨盤障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、骨盤障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量のキットの一緒にした事前測定済み諸成分を投与するステップとを含む骨盤障害の治療、改善、又は予防方法である。
【0038】
この方法はさらに、膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物を同時に各々投与するステップを含むこともできる。膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物は、前述のように熱可逆性ゲル化剤などの活性化可能なゲル化剤とすることができる。組成物及び熱可逆性ゲル化剤は、一般に、2つに仕切られ、間に非浸透性膜を有する事前充填済みシリンジに詰められており、それを注入直前に破壊し、それによって諸成分すべてが混合される。
【0039】
この方法はさらに、膀胱上皮の異常な浸透性を低減させるように作用する別の経口剤の投与を含むことができる。この別の経口剤は、一般にペントサンポリ硫酸である。
以下の発明は、本明細書、添付の特許請求の範囲、及び添付図面を参照するとより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】米国FDAによって経口用Elmiron(登録商標)(ペントサンポリ硫酸ナトリウム)の承認に使用された法的に有効なPORISアンケート「患者の総合的な症状改善(Patient Overall Improvement of Symptoms)」である。この承認及び本発明での研究に関する主要評価項目は、「適度に改善」、すなわち、治療開始時から疼痛及び/又は尿意切迫の複合症状における総合的な改善変化が50%以上とした。
【図2】単位用量当たりリドカイン160mg及び緩衝液として0.33M炭酸水素ナトリウム(「HB−160mg」)による本発明による好ましい組成物、すなわち優れた緩衝化された製剤;対してリドカイン160mgによる低緩衝液製剤(0.2M炭酸水素ナトリウム)(「LB−160mg」)、及びリドカイン80mgによる低緩衝液(「LB−80mg」)に関するPORIS結果を比較したグラフである。26人の患者をHB−160mgで治療し、35人をLB−160mgで治療し、47人をLB−80mgで治療した。肯定的な結果は、患者が疼痛と尿意切迫の複合症状に「適度に改善」を示したかどうかとした−PORIS質問3。さらに、6人の患者は、6カ月超の麻酔薬の慢性使用状態にあり、これらの患者の6人中4人は、PORISスケールに関して100%の軽減を経験し、残りの6人中2人は、PORISスケールに関して75%の軽減を経験した。さらに、HB−160mgで治療された患者は、疼痛及び/又は尿意切迫の症状がかなり重く、26人中15人(58%)が、PUFスコアが>20であった。すべての患者が、PUFスコアが15を超えていた。
【図3】本発明の試験薬を投与した患者間のPORISスコアの相対分布(HB−160mg対LB−160mg)を比較するグラフである。より多くの患者が症状の100%改善を経験(患者の>75%)したのに対して、以前の製剤のLB−160mgでは、疼痛と尿意切迫の複合症状に100%改善を感じたのは約40%の患者しかいなかった。さらに、HB−160mg製剤の患者は疼痛と尿意切迫の症状の改善が>25%であったが、LB−160mgでは、少数のグループの患者がほぼ無反応(症状の改善が0〜25%)であった。したがって、法的に有効なPORISの患者反応は、本発明の製剤がLB−160mgより優れていることを明らかに示しており、統計的に有意なP値は0.009であった。
【図4】本発明による製剤HB−160mgの疼痛と尿意切迫の複合症状の軽減持続時間のグラフである。被験患者は、クリニックでの試験薬による治療後24時間追跡調査され、彼らが受けた治療からどれくらいの期間恩恵を受けたか質問された。リドカイン単独での麻酔効果を使用した場合、その半減期は、1.5時間である。HB−160mg製剤で治療した患者では、時間分布ははるかに長く、平均持続時間は7時間であり、これは予想よりも、リドカインの半減期よりも著しく長いものであった。それに比べて、LB−160mgの利益を受ける平均持続時間は、4時間しかなかった。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の一態様は、下部尿路障害を治療、改善、又は予防するための薬剤組成物である。一般に、本発明による改良された組成物は、そのベースとして以下のものを含む組成物を有する:
(1)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖;
(2)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の急性作用麻酔薬;
(3)急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する緩衝液;及び
(4)任意に、ヒトの細胞及び血液と合致する等張性又はほぼ同じ等張性の溶液をもたらす浸透性成分。
【0042】
本発明の一態様は、以下のものを含有する製剤の著しい改良である:
(1)前述の急性作用麻酔薬;
(2)前述の陰イオン性多糖;
(3)製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20M〜約0.45Mの濃度で存在するような、緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有するような量の前述の緩衝液;及び
(4)場合によっては、前述の浸透性成分。
【0043】
下部尿路障害は、骨盤障害の病因に関わらず、疼痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁症状のうちの1種又は複数の症状の発症を特徴とするいずれかの下部尿路障害であり得る。具体的には、下部尿路障害は、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、又は尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、又は過活動膀胱であり得るが、それらだけに限らない。本発明による組成物の使用によって治療可能な有意な下部尿路障害は、間質性膀胱炎(IC)であり、それは女性において頻繁に診断されるが、現在男性にも同様により頻繁に診断されている。本発明による組成物の使用によって治療可能な別の有意な下部尿路障害は、放射線誘発性膀胱炎である。
【0044】
急性作用麻酔薬は、一般にリドカインである。他の急性作用麻酔薬を以下に説明する。
【0045】
急性作用麻酔薬がリドカインである場合、一般に、組成物中のリドカインの量は、単位用量にリドカインを約120mgから最大安全耐量含むような状態である。好ましくは、組成物中のリドカインの量は、単位用量にリドカインを約160mg〜約240mg含むような状態である。より好ましくは、組成物中のリドカインの量は、単位用量にリドカインを約160mg含むような状態である。或いは、組成物中のリドカインの量は、単位用量にリドカインを約200mg、又はリドカインを約240mg含むような状態である。
【0046】
しかし、組成物が以下のものの1種又は複数、すなわち(1)下部尿路障害を治療、改善、若しくは予防するのに十分な量で膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物;(2)下部尿路障害を治療、改善、若しくは予防するのに十分な量の抗菌剤;(3)下部尿路障害を治療、改善、若しくは予防するのに十分な量の抗真菌剤;又は(4)前述のような下部尿路障害を治療、改善、若しくは予防するのに十分な量の血管収縮剤を含み、急性作用麻酔薬がリドカインである場合、一般に、リドカインの量は、単位用量にリドカインを約80mgから最大安全耐量含むような状態である。この代替法では、1種又は複数の追加成分が含まれている場合、単位用量当たりのリドカインの量は、80mg 120mg 160mg、200mg、又は240mgになり得るが、それだけに限らない。
【0047】
陰イオン性多糖は、一般にヘパリン類似物質である。好ましくは、ヘパリン類似物質は、ヘパリンである。他の陰イオン性多糖を以下に説明する。
【0048】
一般に、緩衝液は、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが少なくとも約0.20Mの濃度で存在するような、緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有するような量で存在する。好ましくは、緩衝液は、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.33Mの濃度で存在するような、緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と同等な緩衝能を有するような量で存在する。
【0049】
一般に、緩衝液は、重炭酸緩衝液であり、好ましくは、重炭酸緩衝剤は炭酸水素ナトリウムであるが、以下に記載するように他の対イオンを使用することもできる。一般に、炭酸水素ナトリウムは、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20M〜約0.45Mの濃度で存在するような量で存在する。好ましくは、炭酸水素ナトリウムは、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.30M〜約0.45Mの濃度で存在するような量で存在する。より好ましくは、炭酸水素ナトリウムは、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.33Mの濃度で存在するような量で存在する。一般に、組成物のpHは、約7.2〜約8.0である。好ましくは、組成物のpHは、約7.3〜約7.7である。より好ましくは、組成物のpHは、約7.4〜約7.5である。
【0050】
一般に、陰イオン性多糖がヘパリンである場合、ヘパリンは、約2500U/ml〜4166U/mlの濃度で存在する。好ましくは、陰イオン性多糖がヘパリンである場合、ヘパリンは、約3000U/ml〜約3666U/mlの濃度で存在する。より好ましくは、陰イオン性多糖がヘパリンである場合、ヘパリンは、約3333U/mlの濃度で存在する。これらの濃度は、単位用量当たり約12mlの量に基づいて決定され、単位用量の量が変更される場合、調整され得る。
【0051】
一般に、急性作用麻酔薬がリドカインである場合、リドカインは、約34.5mM〜約64mMの濃度で存在する。好ましくは、急性作用麻酔薬がリドカインである場合、リドカインは、約41.4mM〜約50.6mMの濃度で存在する。より好ましくは、急性作用麻酔薬がリドカインである場合、リドカインは、約46mMの濃度で存在する。これらの濃度は、単位用量当たり約12mlの量に基づいて決定され、単位用量の量が変更される場合、調整され得る。急性作用麻酔薬がリドカイン以外である場合、それらの適切な濃度は、その別の急性作用麻酔薬の性能に基づいて、適切なリドカイン濃度と同等の効果を有する別の急性作用麻酔薬の濃度を決定することによって当業者なら決定することができる。これらの急性作用麻酔薬の性能は、当技術分野で周知である。
【0052】
一般に、浸透性成分が塩化ナトリウムである場合、塩化ナトリウムは、約21.4mM〜約150.0mMの濃度で存在する。好ましくは、浸透性成分が塩化ナトリウムである場合、塩化ナトリウムは、約25.6mM〜約31.4mMの濃度で存在する。より好ましくは、浸透性成分が塩化ナトリウムである場合、塩化ナトリウムは、約28.5mMの濃度で存在する。これらの濃度は、単位用量当たり約12mlの量に基づいて決定され、単位用量の量が変更される場合、調整され得る。
【0053】
リドカイン、ヘパリン、炭酸水素ナトリウム、及び塩化ナトリウムを含む本発明による特に好ましい一組成物について、特に好ましい量及び濃度、並びに適切な場合には得られたモル濃度を以下の表1に示す。
【表1】

【0054】
リドカイン、ヘパリン、炭酸水素ナトリウム、及び塩化ナトリウムを含む本発明による特に好ましい別の組成物について、特に好ましい量及び濃度、並びに適切な場合には得られたモル濃度を以下の表2に示す。
【表2】

【0055】
リドカイン、ヘパリン、炭酸水素ナトリウム、及び塩化ナトリウムを含む本発明による特に好ましいさらに別の組成物について、特に好ましい量及び濃度、並びに適切な場合には得られたモル濃度を以下の表3に示す。
【表3】

【0056】
下部尿路障害は、骨盤障害の病因に関わらず、疼痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁症状のうちの1種又は複数の症状の発症を特徴とするいずれかの骨盤障害であり得る。具体的には、下部尿路障害は、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、又は尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、又は過活動膀胱であり得るが、それらだけに限らない。本発明による組成物及び方法の使用によって治療可能な有意な下部尿路障害は、間質性膀胱炎(IC)であり、それは女性において頻繁に診断されるが、現在男性にも同様により頻繁に診断されている。本発明による組成物及び方法の使用によって治療可能な別の有意な下部尿路障害は、放射線誘発性膀胱炎である。
【0057】
陰イオン性多糖は、一般にグリコサミノグリカンである。グリコサミノグリカンは、カルボン酸若しくは硫酸基又はその両方に起因する正味の(net)負電荷を有する豊富な天然多糖である。出願人らはこの理論に拘泥されるものではないが、これらの多糖は、上皮への保護効果を有し、この病状の特徴であるカリウムに対する上皮の異常な浸透性を抑制すると考えられる。陰イオン性多糖としては、ヒアルロン酸、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ペントサンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、及びケラタン硫酸が挙げられるが、それらだけに限らない。ヘパリンは、様々な程度の硫酸化を特徴とする種々の形状で存在する。一般に、ヘパリンは、分子量が約2kDa〜約40kDaである。ヘパリンとヘパラン硫酸は共に、N−硫酸化又はN−アセチル化されたウロン酸(グルクロン酸又はイズロン酸)及びグルコサミンを含む二糖の繰返し単位を特徴とする。糖残基はさらに、ウロン酸のC−6及びC−3位並びにC−2位でO−硫酸化され得る。このクラスの化合物には、潜在的で特有な二糖単位が少なくとも32個存在する。ヘパリンに生じる糖の5つの例は、(1)α−L−イズロン酸2−硫酸、(2)2−デオキシ−2−スルファミノ−α−グルコース6−硫酸、(3)β−D−グルクロン酸、(4)2−アセトアミド−2−デオキシ−α−D−グルコース、及び(5)α−L−イズロン酸である。ヘパリンは、その特異的抗凝固活性によって単位で測定される。本明細書では、「単位」という用語は、国際単位(IU)及び/又はアメリカ薬局方(USP)単位における比活性を指す。本明細書では、「USP単位」という用語は、USP標準品と比べたときの、20℃で1%CaClを0.2ml添加した1時間後にクエン酸ヒツジ血漿1.0mlの凝固を防止するヘパリンの量を指す(単位/mlとして定義)。本明細書では、「国際単位」又は「IU」という用語は、未分画ヘパリンに関する第5国際規格(WHO−5)によって確立されるようなアッセイでの活性なヘパリン量を指す(国際単位/mlとして定義)(R.J.Linhardt及びN.S.Gunay、(1999年)Semin Thromb Hemost、第25巻、5〜16頁)。いくつかの実施形態では、ヘパリンは、8,000〜40,000ダルトンに及ぶ高分子量種である。本明細書では、「低分子ヘパリン」は、2,000〜8,000ダルトンに及ぶ低分子量(LMW)種を指す。また、本発明の範囲内のグリコサミノグリカンとしては、4,000〜6,000ダルトンに及ぶ分子量のペントサンポリ硫酸ナトリウム;ダルテパリン、エノキサパリン、及びその他同種のものが挙げられる。LMWヘパリンは、未分画ヘパリンを酵素又は化学的に制御した加水分解によって作製され、酵素又は化学処理のために導入される可能性がある若干の変化を除き、未分画ヘパリンに非常に類似した化学構造を有する。本発明の組成物の作用機序を制限するものではないが、これらの薬剤の作用機序は、完全長ヘパリンのものと類似しているというのが本発明者らの見解である。LMWヘパリンは、通常、嵩高いヘパリンから単離される。その中の硫酸基及び/又はカルボン酸基の存在に起因するこれらの多糖の負電荷のために、それらは、酸性基上の負電荷を中和する適切な陽イオンと共に塩の形で投与される。一般に、陽イオンは、ナトリウムである。しかし、尿路機能障害を誘発しない他の生理学的に許容される対イオン、例えばマグネシウムやアルミニウムなど、並びに生理学的に許容される有機塩基、例えば、これらだけに限らないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジベンジルピペリジン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、N,N’−ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニーネ、キノリン、リシンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸などから作製される塩を使用することができる。或いは、これらの陽イオン性対イオンは、同様に、重炭酸塩などの陰イオン性緩衝液と共に対イオンとして使用され得る。これらの塩は、当業者に周知の方法で調製され得る。しかし、対イオンとしてカリウムを使用することは、一般に、治療する病状及び症候群の病因でのその役割のために望ましくない。必要な活性を有する他の多糖としては、デキストラン硫酸及びカラゲナンが挙げられるが、それらだけに限らない。低分子量(LMW)グリコサミノグリカン、天然由来のグリコサミノグリカン、生物工学的に調製されたグリコサミノグリカン、化学的に改変されたグリコサミノグリカン、及び合成グリコサミノグリカンを含めた他のグリコサミノグリカンを、本発明による方法で使用することができる。
【0058】
一般に、ヘパリンを投与する場合、ヘパリンの量は、組成物において1用量当たり約10,000単位〜約100,000単位である。好ましくは、組成物中のヘパリンの量は、1用量当たり約25,000単位〜約60,000単位である。より好ましくは、組成物中のヘパリンの量は、1用量当たり約40,000単位である。ヘパリンの量は、一般にその活性によって定量化され、精製されたヘパリンでは、約170単位/mgである。したがって、40,000単位の好ましい用量は、ヘパリン約235.3mgである。
【0059】
本発明による組成物での使用に適した他の陰イオン性多糖としては、デキストラン硫酸が挙げられる。本発明による組成物での使用に適したさらに他の陰イオン性多糖は、当技術分野で周知である。
【0060】
さらに以下に記載されるように、他の多糖の量は、当業者によってその活性に従って選択され得る。
【0061】
急性作用麻酔薬は、一般に、これだけに限らないが通常「カイン(caine)」薬剤と呼ばれる薬剤などのナトリウムチャネル遮断薬、並びにその他のナトリウムチャネル遮断薬である。急性作用麻酔薬は、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ブピバカイン、コカイン、エチドカイン、フレカイニド、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、クロロプロカイン、オキシプロカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、ジクロニン、ジブカイン、プロポキシカイン、クロロキシレノール、シンコカイン、デキシバカイン、ジアモカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、リソカイン、ロドカイン、並びに薬剤として許容されるそれらの誘導体及び生物学的等価体のうちの1種とすることができる。一般に、急性作用麻酔薬は、リドカイン、ブピバカイン、ベンゾカイン、テトラカイン、エチドカイン、フレカイニド、プリロカイン、又はジブカインのうちの1種である。特に好ましい急性作用麻酔薬は、リドカインである。他の適切な急性作用麻酔薬は、当技術分野で周知であり、使用され得る。本明細書では、急性作用麻酔薬の列挙には、所望のpH及び存在するいずれの対イオンと適合するその麻酔薬の塩のすべてが含まれ、急性作用麻酔薬の列挙は、使用する塩の形状又は対イオンを限定することを意図するものではない。
【0062】
急性作用麻酔薬の使用効果は、単に表面麻酔を提供することではない。これらの薬剤を使用すると、その麻酔活性期間を過ぎても神経を知覚鈍麻させると考えられる。知覚鈍麻は、治療している病状に起こる過感作を転換することができる。過感作は、カリウムによる末梢神経刺激、炎症、及び/若しくは損傷;新しい神経線維の神経再生及び成長、並びに/又は仙髄反射弓の中心活性化に起因する可能性がある。さらに、このカスケードは、肥満細胞との相互作用によって促進される可能性がある。
【0063】
適切に機能する急性作用麻酔薬では、それは、一般に、薬剤の化学形を中性にすることができ、それによって分子が膜を通過し、膀胱上皮の根底にあるニューロンに接近することが可能になるpH環境に存在する必要がある。このpHを実現するには、急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするために、pHが選択された麻酔薬の等電点に十分に近づくように緩衝液を提供しなければならない。十分な部分は、非電荷状態において最小で20%、最高で100%とすることができ、当業者は、20%の最小非荷電量を実現するのに、薬剤の等電点及び溶液の最小pHを計算するヘンダーソン−ハッセルバルヒ式を使用することができる。好ましくは、溶液のpHは、急性作用麻酔薬の少なくとも約40%が非荷電状態にあるような状態である。pKaが7.9であるリドカインの場合には、有効な緩衝化pHは、7.4〜8.0の範囲又はわずかにより高くてもよい。リドカインでは、ヘンダーソン−ハッセルバルヒ式を使用すると、pH6.6でリドカインの5%が非荷電、pH7.0でリドカインの10%が非荷電、pH7.2でリドカインの20%が非荷電、pH7.5でリドカインの30%が非荷電、pH7.7でリドカインの40%が非荷電、pH7.9でリドカインの50%が非荷電になる。この緩衝化は、重炭酸緩衝液、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液、MOPS緩衝液(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)緩衝液、ACES(2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)緩衝液、ADA(N−(2−アセトアミド)2−イミノ二酢酸)緩衝液、AMPSO(3−[(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパンスルホン酸)緩衝液、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、Bicine(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルグリシン)緩衝液、Bis−Tris(ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン)緩衝液、CAPS(3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CHES(2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)緩衝液、DIPSO(3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPS(N−(2−ヒドロキシエチルピペラジン)−N’−(3−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、イミダゾール緩衝液、グリシン緩衝液、エタノールアミン緩衝液、リン酸緩衝剤、MOPSO(3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)緩衝液、POPSO(ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)緩衝液、TAPSO(3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、トリシン(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン緩衝液)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝液、又は適切なpH値で投与すべき組成物を緩衝化することができる別の緩衝液を添加することによって実現され得る。局所麻酔薬の等電点に近いpH値で投与すべき組成物を緩衝化するのに、当業者なら選択すべき緩衝液、及び使用すべき緩衝液の濃度を選択することができる。リドカインでは、このpH値は、7.9である。ブピバカインでは、それは8.1である。エチドカインでは、それは7.7である。フレカイニドでは、それは9.3である。一般に、緩衝液を使用して実現されるpHは、約7.0〜約12.0である。より一般には、緩衝液を使用して実現されるpHは、約7.0〜約9.5である。一般に、重炭酸緩衝液が使用される場合、それは炭酸水素ナトリウム緩衝液であるが、前述のように、他の対イオンも使用することができる。
【0064】
尿路上皮の炎症による浸透性のため、好ましい溶液は、等張又はほぼ等張のものである。低張液は特に赤血球の細胞溶解をまねくことが知られているが、その他の細胞もまた、膀胱及び接近可能な根底層において細胞損傷の増加をまねく損傷を受ける恐れがある。高張液は、孔又は他の接合を増大する恐れのある細胞収縮を起こす恐れがあり、それによって尿溶質が根底細胞層により接近して、さらなる損傷、疼痛、及び炎症をまねくようになる。組成物に浸透性成分を添加して等張又はほぼ等張な溶液を形成すると、これら2つの可能性のいずれも起こらないことが確実になる。一般に、浸透性成分は、0.9%塩化ナトリウムであり、又は溶液中の他の成分もまた溶液の浸透性により低いがいくらか寄与し、そのため考慮されるべきである。一般に、浸透性成分は、塩化ナトリウムなどの塩若しくは糖、又はこれらの成分の2種以上の組合せである。糖は、デキストロースなどの単糖、ショ糖やラクトースなどの二糖、デキストラン40、デキストラン60、デンプンなどの多糖、又はマンニトールなどの糖アルコールとすることができる。組成物のすべての成分が溶液の浸透性に寄与することは当業者にとって明らかなはずであるが、等張又はほぼ等張な溶液を実現するのに、適切な浸透性成分を添加し、高張液を生じるほど過剰には添加しないことを確実にするようにこれらの諸成分の寄与を考慮するべきである。
【0065】
したがって、本発明の一態様は、以下のものを含む溶液を含む、下部尿路障害を治療、改善、又は予防するための薬剤組成物である:
(1)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖;
(2)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の急性作用麻酔薬;
(3)急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する緩衝液であって、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20M〜約0.45Mの濃度で存在するような、緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有するような量である緩衝液;
(4)任意に、ヒトの細胞及び血液と合致する等張性又はほぼ同じ等張性の溶液をもたらす浸透性成分;並びに
(5)任意に、以下の1種又は複数を任意の組合せで含む追加成分:
(a)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量で膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物;
(b)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の抗菌剤;
(c)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の抗真菌剤;及び
(d)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の血管収縮剤。
【0066】
上記のように、本発明による組成物は、他の成分を含むことができる。組成物中に膀胱壁表面への組成物の残存を可能にする化合物を含むことは可能である。膀胱壁表面への組成物の残存を可能にする適切な化合物は、活性化可能なゲル化剤である。膀胱上皮表面にゲル形成をもたらす活性化可能なゲル化剤の添加は、最もそれらを必要とする部分への活性薬剤(麻酔薬及び膀胱被覆用陰イオン性多糖)の移動の改善を確実にする。一例では、ゲル化剤は、室温で液体であり、膀胱注入後、体温でゲル化するであろう。言い換えれば、活性化可能なゲル化剤は、熱可逆性ゲル化剤である。熱可逆性ゲル化のこの特徴は、Pluronics F127ゲル、Lutrolゲル(T.Beynonら、「Lutrolゲル:傷における潜在的役割は?(Lutrol Gel:A Potential Role in Wounds?)」)J.Pain Symptom Manage、第26巻:776〜780頁(2003年);NASI含有ポリマー(N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸エチル、N−アクリロキシスクシンイミド)(T.J.Gaoら、「合成熱可逆性ポリマーは組換えヒト骨形成タンパク質2の骨誘導活性に適合する(Synthetic Thermoreversible Polymers Are Compatible with Osteoinductive Activity of Recombinant Human Bone Morphogenetic Protein 2)」、Tissue Enq.、第8巻:429〜440頁(2002年);T.Gao及びU.H.Uludag、「rhBMP−2のin vivo維持に対する熱可逆性ポリマーの分子量の効果(Effect of Molecular Weight of Thermoreversible Polymer on in Vivo Retention of rhBMP−2)」、J.Blamed.Mater.Res.、第57巻:92〜100頁(2001年))、1〜2%のキシログルカンゾル(S.Miyazakiら、「直腸薬剤送達用ビヒクルとしての熱可逆性キシログルカンゲル(Thermally Reversible Xyloglucan Gels as Vehicles for Rectal Drug Delivery)」、J.Control Release、第4巻:75〜83頁(1998年));プルロニックとポリ(アクリル酸)とのグラフトコポリマー、プルロニック−キトサンヒドロゲル、及び[ポリ(エチレングリコール)−ポリ[乳酸−co−グリコール酸]−ポリ(エチレングリコール)](PEG−PLGA−PEG)ポリマー(P.Tyagiら、「温度感受性ヒドロゲルを使用する持続性膀胱内薬剤送達(Sustained Intravesical Drug Delivery Using Thermosensitive Hydrogel)」、Pharm.Res.、第21巻:832〜837頁(2004年))に観察されている。一般に、これらのポリマーは室温でゾルであるが、体温、すなわち約37℃ではゲルを形成する。他の活性化可能なゲル化剤は、当技術分野で周知である。
【0067】
さらに別の代替法では、組成物はさらに、細菌又は真菌による膀胱炎を治療する抗菌剤又は抗真菌剤を含むことができる。適切な抗菌剤としては、(1)スルホンアミド、例えば、スルファニルアミド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメチゾールなど;スルファドキシン、及びスルファセタミド;(2)ペニシリン、例えば、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリンなど;(3)トリメトプリムとスルファメトキサゾールとの組合せ;(4)キノロン、例えば、ナリジクス酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オルフロキサシン、スパルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシンなど;(5)メテナミン;(6)ニトロフラントイン;(7)セファロスポリン、例えば、セファロチン、セファゾリン、セフレキシン、セファドロキシル、セファマンドール、セフォキサチン、セファクロル、セフロキシム、ロラカルベフ、セフォニシド、セフォテタンなど;セフォラニド、セフォタキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、及びセフェピム;(8)カルバペネム、例えば、イミペネム、メロペネム、アズトレオナムなど;(9)アミノグリコシド、例えば、ネチルマイシン、ゲンタミシンなど;(10)テトラサイクリン、例えば、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、クロルテトラサイクリンなど;並びに(11)マクロライド、例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなどが挙げられるが、それらだけに限らない。抗真菌剤としては、アムホテリシンB、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、及びフルシトシンが挙げられる。他の適切な抗菌剤及び抗真菌剤は、当技術分野で周知である。
【0068】
さらに別の代替法では、本発明による組成物は、血管収縮剤を含むことができる。血管収縮剤の目的は、投与部位又は近傍で最大の効果を有することを確実にするのに、その投与部位又は近傍で血管を局所的に収縮させることである。特に好ましい血管収縮剤は、エピネフリンである。一般に、麻酔薬がリドカインである場合、エピネフリンとリドカインの比は、約1:1000〜約1:200,000である。好ましくは、麻酔薬がリドカインである場合、エピネフリンとリドカインの比は、約1:100,000である。
【0069】
好ましい量及び濃度は、前述の通りである。特に好ましい量及び濃度は、表1、表2、及び表3に記載している。
【0070】
したがって、本発明による特に好ましい組成物は、以下のものを含む:
(1)単位用量当たりリドカイン160mg;
(2)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(3)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(4)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg;
それによって、最終用量12mlにおいて、リドカインは46mM、ヘパリンは3333単位/ml、炭酸水素ナトリウムは0.33M、塩化ナトリウムは約28.5mMで存在する。
【0071】
したがって、本発明による別の特に好ましい組成物は、以下のものを含む:
(1)単位用量当たりリドカイン200mg;
(2)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(3)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(4)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg;
それによって、最終用量13mlにおいて、リドカインは53mM、ヘパリンは3077単位/ml、炭酸水素ナトリウムは0.305M、塩化ナトリウムは26.3mMで存在する。
【0072】
したがって、本発明によるさらに別の特に好ましい組成物は、以下のものを含む:
(1)単位用量当たりリドカイン240mg;
(2)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(3)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(4)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg;
それによって、最終用量14mlにおいて、リドカインは64mM、ヘパリンは2857単位/ml、炭酸水素ナトリウムは0.28M、塩化ナトリウムは24.4mMで存在する。
【0073】
一般に、本発明による組成物は、膀胱内投与と呼ばれる投与経路で膀胱に注入される。一般に、これは、カテーテル挿入で実施される。適切なカテーテルと、カテーテルを取り付け、組成物を送達し、カテーテルを取り外す方法は、当技術分野で周知であり、さらにここに記載する必要はない。典型的なカテーテルは、弾性のあるもの、弾性織布、ゴム、ガラス、金属、又はプラスチックで作製されている。
【0074】
一般に、本発明による組成物は、3週間以上にわたり週に3〜7回、又は下部尿路の疼痛及び尿意切迫の急性症状を制御するのに「必要に応じた」基準で投与される。治療する医師は、患者の反応、症状の重さ、患者が主観的に感じる疼痛及び不快の程度、並びに組織試験の結果などのその他の因子に従って治療の頻度及び期間を調整することができる。
【0075】
その上、さらに他の成分を本発明による組成物に含めることができる。こうした成分としては、例えば、着色剤、保存剤、抗酸化剤、キレート剤、及び医薬製剤中に一般に使用される他の成分を挙げることができる。例えば、無毒で非アレルギー性の非感作性着色剤を、組成物を調合及び投与する際に便宜上添加することができる。こうした着色剤は、当技術分野で周知であり、多くの液体薬剤組成物において使用される。保存剤の適切な例としては、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、又はチメロサールが挙げられる。
【0076】
組成物の滅菌が必要な場合、それは、一般にろ過によって行われる。他の滅菌法は、当技術分野で周知である。
【0077】
正確な製剤及び投与用量は、患者の病態を鑑み個々の医師によって選択され得る(例えば、Finglら、The Pharmacological Basis of Therapeutics、1975年、第1章、1頁)。主治医が、毒性又は臓器不全のために投与を終了、中断、又は調整する方法及び時期を知っていることに留意されたい。これに対して、臨床的反応が適当でない場合(毒性を除く)、主治医はまた、治療を高レベルに調整することも知っているであろう。問題の障害の処置における投与量は、治療すべき病態の重さ、膀胱及び尿道を含めた尿路の一般状態、並びに感染症、炎症、アレルギー反応など尿路に影響を及ぼす他の病態の存在によって変わる。病態の重さは、例えば、以下に記載するものを含めた標準的な予後評価法によって評価され得る。さらに、用量及び恐らく投与回数はまた、個々の患者の年齢、体重、及び応答に応じても変わる。前述に相当する計画を獣医学において使用してもよい。
【0078】
予後評価法の1つは、骨盤痛及び尿意切迫/尿意頻数患者の症状スケール(PUFスケール)である(Parsonsら、Urology、第60巻:573〜578頁(2002年))。PUFスケールは、患者が5分未満で完了することができる自己記入質問書である。それには、尿意頻数及び/若しくは尿意切迫(もしあれば)、骨盤痛、並びに/又は性活動に関連する疼痛を答えさせ数量化する質問が含まれている。結果は、0〜35の単一数値スコアである。PUFスコアが高いほど、個人が前記病態の1つである間質性膀胱炎を有する可能性は大きく(Parsonsら、Urology、第60巻:573〜578頁(2002年);この理由から、PUFは、診断プロセス中に間質性膀胱炎と他の障害を区別するのに有用になり得る。
【0079】
有用な別の予後試験は、カリウム感受性試験(PST)である。膀胱上皮の浸透性及び尿のカリウムは、その疾患の多くの症例の発症に重要な役割を果たすように見える[Parsonsら、J.Urol、第159巻:1862〜1867頁(1998年)]。健全な膀胱では、グリコサミノグリカン(GAG)を含有する粘液層は、尿及びその内容物が尿路上皮を介して漏出し、根底にある神経及び筋肉を損傷するのを阻止する障壁を形成する[Lilly及びParsons、Surg Gynecol Obstet、第171巻:493〜496頁(1990年)]。ICのほとんどの個体は、尿路上皮を異常な浸透性状態にする上皮機能障害を有する。その結果、尿中の潜在的有害物質が、上皮を介して漏出され、膀胱筋肉に浸透する。正常な尿に高濃度で生じるカリウムは、尿路上皮を損傷又は浸透しないが、膀胱筋系などの組織に非常に有毒である。カリウムによる膀胱筋肉内の感覚神経の脱分極は、ICの症状をもたらし、その進行を引き起こす可能性がある。この仮説を立証するデータが増えつつある。IC発病のこのモデルに基づき、カリウム感受性試験(PST)は、異常な膀胱上皮浸透性の存在を試験するのに開発された。PSTの使用は、例えば、Parsonsら、Urology、第57巻;428〜33頁(2001年);Parsons及びAlbo、J.Urol、第168巻:1054〜1057頁(2002年);Koziol、Urol Clin North Am、第21巻:7〜71頁(1994年)に記載されている。PSTは、試験されたこれらのIC患者の78%で陽性であり、ほとんどのIC患者が尿路上皮浸透性欠陥を有し、したがって陽性PSTがICの存在の有効な指標であるという重要な証拠を示している[Parsonsら、Urology、第57巻:428〜33頁(2001年);Parsons及びAlba、J.Ural、第168巻:1054〜1057頁(2002年)]。
【0080】
その他の予後試験は、前述の病態の存在及び重さを決定するのに使用され得る。これらの試験は、臨床医及び当業者に周知である。
【0081】
この組成物の別の態様は、以下のものを含む2種以上の別個の事前測定済み成分の複数パートキットである:
(1)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖を含む溶液又は乾燥粉末を含む薬剤組成物を含む第1成分;
(2)下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量の溶液又は乾燥粉末として急性作用麻酔薬を含む第2成分;並びに
(3)急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する溶液又は乾燥粉末としての緩衝液を含む第3成分(この第3成分は、場合によっては、溶液又は乾燥粉末として第2成分と組み合わせることができ、この緩衝液は、複数パートキットを構成するこれらの成分を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20M〜約0.45Mの濃度で存在するようなある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有する);並びに
(4)任意に、第1、第2、及び第3成分がすべて乾燥粉末である場合、事前測定済み液体希釈剤成分を含む第4成分;
(5)任意に、浸透性成分を含む第5の事前測定済み成分(この第5の事前測定済み成分は、任意に、安定であるなら他の成分のいずれかと組み合わせることができる);
(6)任意に、任意の組合せで以下のものの1個又は複数を含む第6の事前測定済み成分:
(a)膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物;
(b)抗菌剤;
(c)抗真菌剤;及び
(d)血管収縮剤
(この第6の事前測定済み成分は、任意に、安定であるなら他の成分のいずれかと組み合わせることができる)。
【0082】
第3成分はまた、溶液又は乾燥粉末として第2成分と組み合わせることができる。すべての成分が乾燥粉末である場合、別の事前測定済み成分の液体希釈液(例えば滅菌水)によって、治療時に即時に溶解(reconstitution)される。
【0083】
第5成分(浸透性成分)はまた、溶液又は乾燥粉末として第1、第2、又は第3成分と組み合わせることができる。すべての成分が乾燥粉末である場合、別の事前測定済み成分の液体希釈液(例えば滅菌水)によって、治療時に即時に溶解される。
【0084】
同様に、第6成分が存在する場合、溶液又は乾燥粉末として第1、第2、又は第3成分と組み合わせることができる。すべての成分が乾燥粉末である場合、別の事前測定済み成分の液体希釈液(例えば滅菌水)によって、治療時に即時に溶解される。
【0085】
本発明の別の態様では、複数パートキットは、新たな別個の成分として、又は既存の成分と組み合わせて前述の製剤の成分を含む。これらの成分が安定で互いに反応しない場合のみ、これらの成分をキット中で一緒にすることができることは当業者には明白である。
【0086】
複数パートキットの諸成分の濃度及び量は、複数パートキットを構成するその諸成分を投与のために水又は別の水性液体に溶解する場合、前述の通りである。また、単位用量中に存在するリドカインなどの急性作用麻酔薬の量は、前述の通りである。同様に、単位用量中に存在するヘパリンなどの陰イオン性多糖の量は、前述の通りである。また同様に、単位用量中に存在する炭酸水素ナトリウム緩衝液などの緩衝液の量は、前述の通りである。浸透性成分が存在する場合、単位用量中に存在する塩化ナトリウムなどの浸透性成分の量は、前述の通りである。
【0087】
本発明によるキットでは、これらの成分は、その諸成分が塩である場合、一般に、ヘパリンナトリウム、塩化ナトリウムのような浸透性成分など、ナトリウム又はカルシウムの塩として供給される。ナトリウムは、組織と適合するものであり、平滑筋収縮を引き起こす組織に対して、且つ根底にある膀胱組織に接近すると疼痛及び尿意切迫の感覚を引き起こすトリガーニューロンに対して非常に有害である結合したカリウムと置き換わる又は部分的に置き換わるように働く。理論にも関わらず、諸成分のカリウム塩は、損傷した膀胱組織及び副(subsidiary)層に対するカリウムの有害性のために本発明と対立する。
【0088】
このキットは、2個以上の個別のバイアルにおいて事前測定済み諸成分から構成され得る。或いは、これらの事前測定済み成分は、1個若しくは複数の事前充填済みバイアルと組み合わせた事前充填済みシリンジ、又は膀胱注入の直前に一緒に混合することができる2つに仕切られた事前充填済みシリンジに詰められ得る。一実施形態では、この諸成分は、一区分中に存在し、別の区分の滅菌水により治療時に溶解される。別の実施形態では、組成物の1個又は複数の成分は、一区分中で水に溶解されており、残りの成分は、別の区分中で乾燥状態にあり、使用前に一緒にされる。一実施形態では、事前充填済みシリンジは、間を非浸透性膜によって2つに仕切られており、それを注入直前に破壊し、それによって諸成分すべてが混合される。使いやすいように、このキットはまた、シリンジ及び/又はカテーテルを有してもよい。溶液状態で又は乾燥成分として安定である成分のみがキット中で互いに組み合わされるべきであることは、当業者には明らかであろう。
【0089】
このキットでは、膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物は、一般に活性化可能なゲル化剤である。活性化可能なゲル化剤は、前述の通りである。特に好ましい活性化可能なゲル化剤は、熱可逆性ゲル化剤である。これらには、Pluronics F127ゲル、Lutrolゲル、NASI含有ポリマー(N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸エチル、N−アクリロキシスクシンイミド)、1〜2%のキシログルカンゾル、プルロニックとポリ(アクリル酸)とのグラフトコポリマー、プルロニック−キトサンヒドロゲル、及び[ポリ(エチレングリコール)−ポリ[乳酸−co−グリコール酸]−ポリ(エチレングリコール)](PEG−PLGA−PEG)ポリマーがある。
【0090】
同様に、抗菌剤、抗真菌剤、及び血管収縮剤は、前述の通りである。
【0091】
このキットは、2個以上の個別のバイアルにおいて事前測定済み諸成分から構成され得る。或いは、これらの事前測定済み成分は、1個若しくは複数の事前充填済みバイアルと組み合わせた事前充填済みシリンジ、又は膀胱注入の直前に一緒に混合することができる2つに仕切られた事前充填済みシリンジに詰められ得る。一実施形態では、この諸成分は、一区分中に存在し、別の区分の滅菌水により治療時に溶解される。別の実施形態では、組成物の1個又は複数の成分は、一区分中で水に溶解されており、残りの成分は、別の区分中で乾燥状態にあり、使用前に一緒にされる。一実施形態では、事前充填済みシリンジは、間を非浸透性膜によって2つに仕切られており、それを注入直前に破壊し、それによって諸成分すべてが混合される。使いやすいように、このキットはまた、シリンジ及び/又はカテーテルを有してもよい。溶液状態で又は乾燥成分として安定である成分のみがキット中で互いに組み合わされるべきであることは、当業者には明らかであろう。
【0092】
本発明のさらに別の態様は、下部尿路障害を治療、改善、又は予防する方法である。下部尿路障害は、前述のように、下部尿路障害の病因に関わらず、疼痛、尿意切迫、尿意頻数、又は失禁症状のうちの1種又は複数の症状の発症を特徴とするいずれかの下部尿路障害であり得る。
【0093】
本発明による一方法は、下部尿路障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量で前述のように組成物を投与するステップを含む。
【0094】
本明細書では、「治療、改善、又は予防する」という用語は、主観的であろうと客観的であろうと、組成物が投与される対象の下部尿路障害における任意の検出可能な改善を指す。例えば、「治療、改善、又は予防する」という用語は、PORISスケール、PUFスケール、若しくはこれらのスケールの任意の要素;疼痛の低下;尿意頻数の低下;尿意切迫の低下;麻酔薬投与の必要性の低下;失禁の低下;カリウムに対する尿路上皮の異常な浸透性の低下;又はこれらのパラメータの複数における改善によって決定されるような改善を指すことができる。「治療、改善、又は予防する」という用語は、根底にある下部尿路病態の治癒を言明又は暗示するものではない。
【0095】
一般に、本発明による組成物が治療法において使用される場合、この方法は、下部尿路障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、下部尿路障害を治療、改善、又は予防するのに十分な量で本発明による組成物を投与するステップを含む。
【0096】
一般に、本発明による複数パートキットが治療法において使用される場合、下部尿路障害を治療、改善、又は予防する方法は、キットの事前測定済み成分を組み合わせるステップと、次いで下部尿路障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、前記キットの事前測定済み成分を組み合わせるステップによって製造された組成物を下部尿路障害を治療、改善、又は治療するのに十分な量投与するステップとを含む。事前測定済みキット及びその成分並びにそれらの組成物は、前述の通りである。
【0097】
前述のように、この方法はさらに、膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物の投与を含むことができる。この追加化合物は、単一成分として前述の組成物と一緒に投与され得る。或いは、好ましくは、この追加化合物は、別個に投与され得る。その場合、この方法はさらに、膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物を同時に各々投与するステップを含む。膀胱上皮表面への薬剤の残存を可能にする化合物のクラスの一例は、活性化可能なゲル化剤である。膀胱上皮表面にゲル形成をもたらす活性化可能なゲル化剤の添加は、最もそれらを必要とする部分への活性薬剤(麻酔薬及び膀胱被覆用陰イオン性多糖)の移動の改善を確実にする。適切な活性化可能なゲル化剤は、熱可逆性ポリマーである。活性化可能なゲル化剤の適切な例は、上に記載されている。
【0098】
この方法はさらに、膀胱上皮の異常な浸透性を低下させるように働く別の経口剤の投与を含むことができ、それによって対象を数週間にわたり膀胱内治療から解放することができる。適切な経口剤は、ペントサンポリ硫酸である。一般に、ペントサンポリ硫酸を投与する場合、使用量は、1日当たり約100mg〜約600mgであり、より一般には、使用量は、1日当たり約100mg〜約300mgである。
【0099】
別の代替法としては、この方法はさらに、ステロイド系抗炎症剤など別の薬剤の投与を含むことができる。ステロイド系抗炎症剤としては、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロベタゾール、クロコルトロン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオロメトロン、フルランドレノリド、ハルシノニド、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、及びトリアムシノロン、並びにこれらの塩形態が挙げられるが、それらだけに限らない。
【0100】
別の代替法としては、この方法はさらに、ニューロンティン(ギャバペンチン)及びプレガバリンを含むがそれらだけに限らないカルシウムT型チャネル遮断薬;ケトプロフェン、イブプロフェン、及びケトロラックを含むがそれらだけに限らない非ステロイド系抗炎症剤(NSAID);又はケタミンを含むがそれだけに限らないNMDA拮抗剤など、リドカインの代わりに又はリドカインに加えてその他の疼痛剤の投与を含むことができる。
【0101】
本発明による方法は、ヒトの患者、又は類似の症状若しくは病態を患うヒト以外の動物種での使用に適している。例えば、間質性膀胱炎のネコモデルが存在する。こうした方法は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタなど、社会的又は経済的に重要な動物において使用され得る。本発明による方法、並びにこうした方法の実行に適した組成物及びキットは、ヒトの治療に限定されるものではない。
【0102】
本発明を以下の実施例によって例示する。これらの実施例は、例示目的でのみ添付されており、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
2種の試験を骨盤痛及び尿意切迫の症状を有する患者に試みた。患者の症状の重さは、PUFアンケート、骨盤痛、尿意切迫/尿意頻数アンケートによって決定された。患者は、以下に記載の製剤の膀胱内点滴注入によって治療され、次いで治療効果を、図1の患者の総合的な症状改善評価(Patient Overall Rating of Improvement of Symptoms)に示すようなPORISアンケートによって30分〜1時間以内に評価した。患者は、治療後24時間追跡調査され、治療の利益を受けられた場合はその持続期間について質問された。
【0104】
製剤の組成物を以下の表4に示す。HB−160mg及びLB−160mg製剤を、本発明の一部として示す。
【表4】


** 塩化ナトリウムは別個の成分として提供されるが、重炭酸塩とヘパリンのナトリウム塩によって別のナトリウムイオンもまた供給され、リドカインの陰イオン塩によって別の塩化物イオンが提供され、この別の「塩化ナトリウム」は表中で訂正されてはいないことに留意されたい。
【0105】
第1の研究では、2グループの患者を、2種の異なる製剤で治療した。一方は、リドカイン80mgによる低緩衝液、すなわちLB−80mgを指定し、もう一方は、リドカイン160mgによる低緩衝液、すなわち本発明によって提供されるLB−160mgである。LB−80mgの1回の点滴注入後、47人中35人の患者、すなわち75%が、PORISスケールで50%以上の改善「適度に改善」と定義されるような疼痛と尿意切迫の両方の著しい即時軽減を感じた。この研究のもう一方では、35人中33人の患者、すなわち94%が、PORISスケールで50%以上の改善「適度に改善」と定義されるような疼痛と尿意切迫の両方の著しい即時軽減を感じた。電話での追跡調査を使用して、LB−160mgの点滴注入を1回受けた患者の効果持続期間を監視した。これらの患者の50%が、症状の軽減を少なくとも4時間感じた。
【0106】
第2の研究では、本発明によって提供される製剤のHB−160mgを、26人の患者に対して試験した。HB−160mgで治療した患者のほとんどは、疼痛及び/又は尿意切迫がかなり重症であり、26人中15人(58%)がPUFスコアが>20であり、すべての患者が、PUFスコアが15を超えていた。図2に示すように、患者の100%が、PORISスケールで50%以上の改善「適度に改善」と定義されるような疼痛と尿意切迫の両方の著しい即時軽減を感じた。特に、6人の患者は、6カ月を超える麻酔薬の慢性使用状態にあり、これらの患者の6人中4人は、PORISスケールで100%の軽減を感じ、残りの6人中2人は、PORISスケールで75%の軽減を感じた。一方、LB−160mg製剤は、この重症クラスのひどい慢性骨盤痛、尿意切迫、及び尿意頻数を感じる患者にほとんど利益をもたらさなかった。
【0107】
一見、LB−160mg製剤によって「適度に改善」を感じた患者の94%とHB−160mgによって「適度に改善」を感じた患者の100%との間の違いは、効果のわずかな増加であるように見ることができる。しかし、図3に示すように、PORISスコアの分布は、有意に右に移動し、統計的に有意なP値が0.009であり、HB−160mgで治療された患者のほぼ80%が、これらの症状が消えたことを意味する症状の100%改善を感じている。一方、LB−160mgで治療された患者の40%をわずかに上回る患者のみが、これらの「症状の消失」を示しており、これによってHB−160mgでは100%改善の症状クラスにおける患者の割合が2倍になることが実証された。さらに、症状の「より悪い」、「良くない」、又は「わずかに改善」クラスの患者がいないように、治療されたすべての患者は、重い間質性膀胱炎(IC)患者ですらいくらかの利益を受けており、「わずかに改善」とは、疼痛と尿意切迫の複合症状が最高25%改善したことと等しい。
【0108】
HB−160mgとLB−160mgの間の別の有意な違いは、患者が経験した軽減持続期間にあった。患者を治療後24〜48時間追跡調査し、疼痛及び/又は尿意切迫症状の軽減持続期間について質問した。先に言及したように、LB−160mgで治療された患者の平均軽減持続期間は、4時間であった。しかし、患者の軽減分布を図3に示すが、LB−160mgで治療された患者の約50%が、1〜4時間しか軽減を感じず、これは、半減期が1.5時間の麻酔成分リドカインの半減期より劇的に長いものではない。一方、HB−160mgで治療された患者は、7時間という有意なより長い平均持続期間の利益を経験した。これらの患者の少数だけ、すなわち約15%が、1〜4時間の軽減を感じ、これは、LB−160mgで治療された患者の50%とはかなり異なっている。
【0109】
(実施例2)
HB−200mgと称する製剤の別の改変形態について小規模な研究を試みた。治療1回当たりの合計リドカイン用量を200mgに増加し、他の成分の総量を、以下の表5に示すように変更した。骨盤痛及び尿意切迫の症状が顕著なことが分かっている合計15人の患者に、膀胱内点滴注入によってHB−200mg溶液を投与した。15人の患者すべてが疼痛及び尿意切迫の症状の有意な軽減を経験したが、1人の患者は、リドカインの高い全身レベルの副作用である軽い頭痛を経験した。これは、重篤なものではなく、リドカイン投与用量を低下させることによって容易に元に戻った。
【表5】

【0110】
発明の利点
本発明によるキット及び改良した組成物並びに方法は、多数の人々に影響を及ぼし、その多くが適切に診断されていない多くの慢性的で治療困難な下部尿路病態を治療する改良された手段を提供する。これらのキット、改良した組成物、及び方法は、膀胱上皮の異常な浸透性を低下させ、またその病態に関与する神経活性を減感させることによってその病態の病態生理的根拠を解決することに向けられている。これらは、疼痛などの症状に他の治療と一緒に使用することができ、所望により、顕著な副作用を引き起こさず、十分に許容される。
【0111】
さらに、本発明のキット及び改良した組成物並びに方法を使用すると、迅速な軽減がもたらされ、軽減に数カ月などの長期間は必要ない。これは、特に重要であり、以前の治療法よりも明瞭な利点をもたらす。
【0112】
本明細書に例示的に記載する発明は、適切に、本明細書に具体的に開示していない任意の1つ又は複数の要素、1つ又は複数の制約なしで実施され得る。したがって、例えば、「含む(comprising、including、containingなど)」という用語は、広範に制限なしで解釈されるべきである。さらに、本明細書に使用する用語及び表現は、説明の用語として使用されており、限定するものではなく、こうした用語及び表現の使用において、表示及び説明された特徴又はそのいずれの一部のいかなる同等物も除外する意図はなく、請求する本発明の範囲内で様々な改変が可能であることが理解されよう。したがって、本発明は好ましい実施形態及び任意に選択される特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される発明の改変形態及び変更形態は当業者によって実施され得、こうした改変形態及び変更形態は本明細書に開示される本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。本明細書では、本発明を幅広く一般的に説明している。この一般的な開示の範囲内にあるより狭い種類及び亜属的分類群の各々もまた、本発明の一部を形成する。これには、削除された材料が、具体的にそこに存在する、しないに関わらず、その種類(genus)から全ての対象を排除するという条件又は否定的な制限付きで、各発明の一般的な説明が含まれる。
【0113】
さらに、発明の特徴又は態様をマーカッシュグループによって記述する場合、それによって本発明はまた、マーカッシュグループの個々のメンバー又はメンバーのサブグループのいずれかによって記述されることを当業者なら理解されよう。また、前述の説明が例示であり限定するためのものではないことも理解されよう。多くの実施形態が、前述の説明を再検討することによって当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、前述の説明に関して決定されるべきではないが、その代わり添付の特許請求の範囲に関して、こうした特許請求の範囲が有効と認められる均等の全範囲と共に決定されるべきである。特許公表を含めたすべての条項及び参照の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部尿路障害を治療、改善又は予防するための薬剤組成物であって、
(a)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖と、
(b)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の急性作用麻酔薬と、
(c)前記急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように前記急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する緩衝液であって、製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20Mから約0.45Mの濃度で存在するような、前記緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有するような量で存在する緩衝液と、
(d)任意に、ヒトの細胞及び血液と合致する等張性又はほぼ同じ等張性の溶液をもたらす浸透性成分と、
(e)任意に、
(i)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量で膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物;
(ii)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の抗菌剤;
(iii)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の抗真菌剤;及び
(iv)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の血管収縮剤
のうちの1種又は複数を任意の組合せで含む追加成分と
を含む上記薬剤組成物。
【請求項2】
前記陰イオン性多糖が、グリコサミノグリカンである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記グリコサミノグリカンが、ヒアルロン酸、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ペントサンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、及びケラタン硫酸からなる群から選択される、請求項2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記グリコサミノグリカンが、ヘパリンである、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記ヘパリンが、分子量が約8,000ダルトンから約40,000ダルトンである、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
前記ヘパリンが、分子量が約2,000ダルトンから約8,000ダルトンである、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
ヘパリンを単位用量当たり約10,000から約100,000単位含む、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
ヘパリンを単位用量当たり約25,000から約60,000単位含む、請求項7に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
ヘパリンを単位用量当たり約40,000単位含む、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記グリコサミノグリカンが、ペントサンポリ硫酸である、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
前記グリコサミノグリカンが、ヘパラン硫酸である、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記急性作用麻酔薬が、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ブピバカイン、コカイン、エチドカイン、フレカイニド、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、クロロプロカイン、オキシプロカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、ジクロニン、ジブカイン、プロポキシカイン、クロロキシレノール、シンコカイン、デキシバカイン、ジアモカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、リソカイン、ロドカイン、並びに薬剤として許容されるそれらの誘導体及び生物学的等価体からなる群から選択される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記急性作用麻酔薬が、リドカイン、ブピバカイン、ベンゾカイン、テトラカイン、エチドカイン、フレカイニド、プリロカイン、及びジブカインからなる群から選択される、請求項12に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
前記急性作用麻酔薬が、リドカインである、請求項13に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記緩衝液が、重炭酸緩衝液、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液、MOPS緩衝液(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)緩衝液、ACES(2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)緩衝液、ADA(N−(2−アセトアミド)2−イミノ二酢酸)緩衝液、AMPSO(3−[(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパンスルホン酸)緩衝液、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、Bicine(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルグリシン)緩衝液、Bis−Tris(ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン緩衝液、CAPS(3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CHES(2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)緩衝液、DIPSO(3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPS(N−(2−ヒドロキシエチルピペラジン)−N’−(3−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、イミダゾール緩衝液、グリシン緩衝液、エタノールアミン緩衝液、リン酸緩衝液、MOPSO(3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸))緩衝液、POPSO(ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))緩衝液、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)緩衝液、TAPSO(3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、トリシン(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン緩衝液)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール緩衝液、及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝液からなる群から選択される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
前記緩衝液が、重炭酸緩衝液である、請求項15に記載の薬剤組成物。
【請求項17】
前記重炭酸緩衝液が、炭酸水素ナトリウムである、請求項16に記載の薬剤組成物。
【請求項18】
前記緩衝液が、Tris緩衝液である、請求項15に記載の薬剤組成物。
【請求項19】
前記緩衝液が、リン酸緩衝液、MOPS緩衝液、及びHEPES緩衝液からなる群から選択される、請求項15に記載の薬剤組成物。
【請求項20】
浸透性成分を含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項21】
前記浸透性成分が、塩化ナトリウム、デキストロース、デキストラン40、デキストラン60、デンプン、及びマンニトールからなる群から選択される、請求項20に記載の薬剤組成物。
【請求項22】
前記浸透性成分が、塩化ナトリウムである、請求項21に記載の薬剤組成物。
【請求項23】
前記緩衝液が、前記製剤を下部尿路中に投与又は分散させるために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20Mから約0.45Mの濃度で存在するような、前記緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有するような量で存在する、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項24】
前記緩衝液が、前記製剤を下部尿路中に投与又は分散させるために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.33Mの濃度で存在するような、前記緩衝液がある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と同等な緩衝能を有するような量で存在する、請求項23に記載の薬剤組成物。
【請求項25】
前記炭酸水素ナトリウムが、前記製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、前記炭酸水素ナトリウムが約0.30Mから約0.45Mの濃度で存在するような量で存在する、請求項17に記載の薬剤組成物。
【請求項26】
前記炭酸水素ナトリウムが、前記製剤を投与のために水性液体に溶解したとき、前記炭酸水素ナトリウムが約0.33Mの濃度で存在するような量で存在する、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項27】
pHが、約7.2から約8.0である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項28】
pHが、約7.3から約7.7である、請求項27に記載の薬剤組成物。
【請求項29】
pHが、約7.4から約7.5である、請求項28に記載の薬剤組成物。
【請求項30】
前記組成物中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約120mgから最大安全耐量含むような量である、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項31】
前記組成物中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約160mgから約240mg含むような量である、請求項30に記載の薬剤組成物。
【請求項32】
前記組成物中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約160mg含むような量である、請求項31に記載の薬剤組成物。
【請求項33】
前記組成物中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約200mg含むような量である、請求項31に記載の薬剤組成物。
【請求項34】
前記組成物中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約240mg含むような量である、請求項31に記載の薬剤組成物。
【請求項35】
前記緩衝液が、前記急性作用麻酔薬の少なくとも約40%が非荷電であるpHをもたらす、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項36】
前記緩衝液が、前記リドカインの少なくとも約40%が非荷電であるpHをもたらす、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項37】
前記ヘパリンが、約2500U/mlから4166U/mlの濃度で存在する、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項38】
前記ヘパリンが、約3000U/mlから3666U/mlの濃度で存在する、請求項37に記載の薬剤組成物。
【請求項39】
前記ヘパリンが、約3333U/mlの濃度で存在する、請求項38に記載の薬剤組成物。
【請求項40】
前記リドカインが、約34.5mMから約57.5mMの濃度で存在する、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項41】
前記リドカインが、約41.4mMから約50.6mMの濃度で存在する、請求項40に記載の薬剤組成物。
【請求項42】
前記リドカインが、約46mMの濃度で存在する、請求項41に記載の薬剤組成物。
【請求項43】
前記塩化ナトリウムが、約21.4mMから約150mMの濃度で存在する、請求項22に記載の薬剤組成物。
【請求項44】
前記塩化ナトリウムが、約25.6mMから約31.4mMの濃度で存在する、請求項43に記載の薬剤組成物。
【請求項45】
前記塩化ナトリウムが、約28.5mMの濃度で存在する、請求項44に記載の薬剤組成物。
【請求項46】
前記追加成分が、膀胱壁表面への前記組成物の残存を可能にする化合物を含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項47】
膀胱壁表面への前記組成物の残存を可能にする前記化合物が、活性化可能なゲル化剤である、請求項46に記載の薬剤組成物。
【請求項48】
前記活性化可能なゲル化剤が、Pluronics F127ゲル、Lutrolゲル、NASI含有ポリマー(N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸エチル、N−アクリロキシスクシンイミド)、1〜2%のキシログルカンゾル、プルロニックとポリ(アクリル酸)とのグラフトコポリマー、プルロニック−キトサンヒドロゲル、及び[ポリ(エチレングリコール)−ポリ[乳酸−co−グリコール酸]−ポリ(エチレングリコール)](PEG−PLGA−PEG)ポリマーからなる群から選択される、請求項47に記載の薬剤組成物。
【請求項49】
前記追加成分が、抗菌剤を含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項50】
前記抗菌剤が、スルホンアミド、ペニシリン、トリメトプリムとスルファメトキサゾールの組合せ、キノロン、メテナミン、ニトロフラントイン、セファロスポリン、カルバペネム、アミノグリコシド、テトラサイクリン、及びマクロライドからなる群から選択される、請求項49に記載の薬剤組成物。
【請求項51】
前記追加成分が、抗真菌剤を含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項52】
前記抗真菌剤が、アムホテリシンB、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、及びフルシトシンからなる群から選択される、請求項51に記載の薬剤組成物。
【請求項53】
前記追加成分が、血管収縮剤を含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項54】
前記血管収縮剤が、エピネフリンである、請求項53に記載の薬剤組成物。
【請求項55】
前記追加成分が血管収縮剤を含み、前記血管収縮剤がエピネフリンである、請求項14に記載の薬剤組成物。
【請求項56】
エピネフリンとリドカインの比が、約1:1000から約1:200,000である、請求項55に記載の薬剤組成物。
【請求項57】
前記エピネフリンとリドカインの比が、約1:100,000である、請求項56に記載の薬剤組成物。
【請求項58】
前記組成物がさらに、着色剤、保存剤、抗酸化剤、及びキレート剤からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項59】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項60】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項59に記載の薬剤組成物。
【請求項61】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項59に記載の薬剤組成物。
【請求項62】
(a)単位用量当たりリドカイン160mg;
(b)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(c)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(d)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg
を含み、それによって、最終単位用量12mlにおいて、リドカインが46mM、ヘパリンが3333単位/ml、炭酸水素ナトリウムが0.33M、塩化ナトリウムが約28.5mMで存在する、下部尿路障害を治療、改善又は予防するための薬剤組成物。
【請求項63】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項62に記載の薬剤組成物。
【請求項64】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項63に記載の薬剤組成物。
【請求項65】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項63に記載の薬剤組成物。
【請求項66】
(a)単位用量当たりリドカイン200mg;
(b)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(c)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(d)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg
を含み、それによって、最終用量13mlにおいて、リドカインが53mM、ヘパリンが3077単位/ml、炭酸水素ナトリウムが0.305M、塩化ナトリウムが26.3mMで存在する、下部尿路障害を治療、改善又は予防するための薬剤組成物。
【請求項67】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項66に記載の薬剤組成物。
【請求項68】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項67に記載の薬剤組成物。
【請求項69】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項67に記載の薬剤組成物。
【請求項70】
(a)単位用量当たりリドカイン240mg;
(b)単位用量当たりヘパリン40,000単位;
(c)単位用量当たり炭酸水素ナトリウム336mg;及び
(d)単位用量当たり塩化ナトリウム20mg
を含み、それによって、最終用量14mlにおいて、リドカインが64mM、ヘパリンが2857単位/ml、炭酸水素ナトリウムが0.28M、塩化ナトリウムが24.4mMで存在する、下部尿路障害を治療、改善又は予防するための薬剤組成物。
【請求項71】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項70に記載の薬剤組成物。
【請求項72】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項71に記載の薬剤組成物。
【請求項73】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項71に記載の薬剤組成物。
【請求項74】
2個以上の別個の事前測定済み成分の複数パートキットであって、
(a)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の陰イオン性多糖を含む溶液又は乾燥粉末を構成する薬剤組成物を含む第1成分と、
(b)下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の溶液又は乾燥粉末として急性作用麻酔薬を含む第2成分と、
(c)急性作用麻酔薬が細胞膜を通過できるように急性作用麻酔薬の十分な部分が非荷電状態にあることを確実にするpHに溶液を緩衝化する溶液又は乾燥粉末としての緩衝液を含む第3成分(前記第3成分は、場合によっては、溶液又は乾燥粉末として前記第2成分と組み合わせることができ、前記緩衝液は、複数パートキットを構成する前記諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20M〜約0.45Mの濃度で存在するようなある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有する)と、
(d)任意に、第1、第2、及び第3成分がすべて乾燥粉末である場合、事前測定済み液体希釈剤成分を含む第4成分と、
(e)任意に、浸透性成分を含む第5の事前測定済み成分(前記第5の事前測定済み成分は、任意に、安定であるなら他の成分のいずれかと組み合わせることができる)と、
(f)任意に、
(i)膀胱上皮表面への組成物の残存を可能にする化合物;
(ii)抗菌剤;
(iii)抗真菌剤;及び
(iv)血管収縮剤
のうちの1個又は複数を任意の組合せで含む第6の事前測定済み成分(前記第6の事前測定済み成分は、任意に、安定であるなら他の成分のいずれかと組み合わせることができる)と
を含む上記複数パートキット。
【請求項75】
前記陰イオン性多糖が、グリコサミノグリカンである、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項76】
前記グリコサミノグリカンが、ヒアルロン酸、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ペントサンポリ硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、及びケラタン硫酸からなる群から選択される、請求項75に記載の複数パートキット。
【請求項77】
前記グリコサミノグリカンが、ヘパリンである、請求項75に記載の複数パートキット。
【請求項78】
前記ヘパリンが、分子量が約8,000ダルトンから約40,000ダルトンである、請求項77に記載の複数パートキット。
【請求項79】
前記ヘパリンが、分子量が約2,000ダルトンから約8,000ダルトンである、請求項77に記載の複数パートキット。
【請求項80】
前記薬剤組成物が、ヘパリンを1用量当たり約10,000から約100,000単位含む請求項77に記載の複数パートキット。
【請求項81】
前記薬剤組成物が、ヘパリンを1用量当たり約25,000から約60,000単位含む請求項80に記載の複数パートキット。
【請求項82】
前記薬剤組成物が、ヘパリンを1用量当たり約40,000単位含む、請求項81に記載の複数パートキット。
【請求項83】
前記グリコサミノグリカンが、ペントサンポリ硫酸である、請求項75に記載の複数パートキット。
【請求項84】
前記グリコサミノグリカンが、ヘパラン硫酸である、請求項75に記載の複数パートキット。
【請求項85】
前記急性作用麻酔薬が、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ブピバカイン、コカイン、エチドカイン、フレカイニド、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、クロロプロカイン、オキシプロカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、ジクロニン、ジブカイン、プロポキシカイン、クロロキシレノール、シンコカイン、デキシバカイン、ジアモカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、リソカイン、ロドカイン、並びに薬剤として許容されるそれらの誘導体及び生物学的等価体からなる群から選択される、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項86】
前記急性作用麻酔薬が、リドカイン、ブピバカイン、ベンゾカイン、テトラカイン、エチドカイン、フレカイニド、プリロカイン、及びジブカインからなる群から選択される、請求項85に記載の複数パートキット。
【請求項87】
前記急性作用麻酔薬が、リドカインである、請求項86に記載の複数パートキット。
【請求項88】
前記緩衝液が、重炭酸緩衝液、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液、MOPS緩衝液(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)緩衝液、ACES(2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)緩衝液、ADA(N−(2−アセトアミド)2−イミノ二酢酸)緩衝液、AMPSO(3−[(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパンスルホン酸)緩衝液、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、Bicine(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルグリシン)緩衝液、Bis−Tris(ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン)緩衝液、CAPS(3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)緩衝液、CHES(2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)緩衝液、DIPSO(3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPS(N−(2−ヒドロキシエチルピペラジン)−N’−(3−プロパンスルホン酸)緩衝液、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、イミダゾール緩衝液、グリシン緩衝液、エタノールアミン緩衝液、リン酸緩衝液、MOPSO(3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)緩衝液、POPSO(ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)緩衝液、TAPSO(3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)緩衝液、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、トリシン(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン緩衝液)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール緩衝液、及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝液からなる群から選択される、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項89】
前記緩衝液が、重炭酸緩衝液である、請求項88に記載の複数パートキット。
【請求項90】
前記重炭酸緩衝液が、炭酸水素ナトリウムである、請求項89に記載の複数パートキット。
【請求項91】
前記緩衝液が、Tris緩衝液である、請求項88に記載の複数パートキット。
【請求項92】
前記緩衝液が、リン酸緩衝液、MOPS緩衝液、及びHEPES緩衝液からなる群から選択される、請求項88に記載の複数パートキット。
【請求項93】
前記複数パートキットが、浸透性成分を含む、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項94】
前記浸透性成分が、塩化ナトリウム、デキストロース、デキストラン40、デキストラン60、デンプン、及びマンニトールからなる群から選択される、請求項93に記載の複数パートキット。
【請求項95】
前記浸透性成分が、塩化ナトリウムである、請求項94に記載の複数パートキット。
【請求項96】
前記緩衝液が、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.20Mから約0.45Mの濃度で存在するようなある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と少なくとも同等な緩衝能を有するような量で存在する、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項97】
前記緩衝液が、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、炭酸水素ナトリウムが約0.33Mの濃度で存在するようなある量の炭酸水素ナトリウムの緩衝能と同等な緩衝能を有するような量で存在する、請求項96に記載の複数パートキット。
【請求項98】
前記炭酸水素ナトリウムが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、前記炭酸水素ナトリウムが約0.20Mから約0.45Mの濃度で存在するような量で存在する、請求項90に記載の複数パートキット。
【請求項99】
前記炭酸水素ナトリウムが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、前記炭酸水素ナトリウムが約0.33Mの濃度で存在するような量で存在する、請求項98に記載の複数パートキット。
【請求項100】
前記複数パートキット中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約120mgから最大安全耐量含むような量である、請求項87に記載の複数パートキット。
【請求項101】
前記複数パートキット中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約160mgから約240mg含むような量である、請求項100に記載の複数パートキット。
【請求項102】
前記複数パートキット中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約160mg含むような量である、請求項101に記載の複数パートキット。
【請求項103】
前記複数パートキット中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約200mg含むような量である、請求項101に記載の複数パートキット。
【請求項104】
前記複数パートキット中のリドカインの量が、単位用量にリドカインを約240mg含むような量である、請求項101に記載の複数パートキット。
【請求項105】
前記緩衝液が、前記急性作用麻酔薬の少なくとも約40%が非荷電であるpHをもたらす、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項106】
前記緩衝液が、前記リドカインの少なくとも約40%が非荷電であるpHをもたらす、請求項87に記載の複数パートキット。
【請求項107】
前記ヘパリンが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約2500U/mlから4166U/mlの濃度で存在する、請求項77に記載の複数パートキット。
【請求項108】
前記ヘパリンが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約3000U/mlから約3666U/mlの濃度で存在する、請求項107に記載の複数パートキット。
【請求項109】
前記ヘパリンが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約3333U/mlの濃度で存在する、請求項108に記載の複数パートキット。
【請求項110】
前記リドカインが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約34.5mMから約57.5mMの濃度で存在する、請求項87に記載の複数パートキット。
【請求項111】
前記リドカインが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約41.4mMから約50.6mMの濃度で存在する、請求項110に記載の複数パートキット。
【請求項112】
前記リドカインが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約46mMの濃度で存在する、請求項111に記載の複数パートキット。
【請求項113】
前記塩化ナトリウムが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約21.4mMから約150.0mMの濃度で存在する、請求項95に記載の複数パートキット。
【請求項114】
前記塩化ナトリウムが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約25.6mMから約31.4mMの濃度で存在する、請求項113に記載の複数パートキット。
【請求項115】
前記塩化ナトリウムが、前記複数パートキットを構成する諸成分を投与のために水性液体に溶解したとき、約28.5mMの濃度で存在する、請求項114に記載の複数パートキット。
【請求項116】
前記第6の事前測定済み成分を有し、前記第6の事前測定済み成分が、膀胱壁表面への前記組成物の残存を可能にする化合物を含む、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項117】
膀胱壁表面への前記組成物の残存を可能にする前記化合物が、活性化可能なゲル化剤である、請求項116に記載の複数パートキット。
【請求項118】
前記活性化可能なゲル化剤が、Pluronics F127ゲル、Lutrolゲル、NASI含有ポリマー(N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸エチル、N−アクリロキシスクシンイミド)、1〜2%のキシログルカンゾル、プルロニックとポリ(アクリル酸)とのグラフトコポリマー、プルロニック−キトサンヒドロゲル、及び[ポリ(エチレングリコール)−ポリ[乳酸−co−グリコール酸]−ポリ(エチレングリコール)](PEG−PLGA−PEG)ポリマーからなる群から選択される、請求項117に記載の複数パートキット。
【請求項119】
前記第6の事前測定済み成分を有し、前記第6の事前測定済み成分が、抗菌剤を含む、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項120】
前記抗菌剤が、スルホンアミド、ペニシリン、トリメトプリムとスルファメトキサゾールの組合せ、キノロン、メテナミン、ニトロフラントイン、セファロスポリン、カルバペネム、アミノグリコシド、テトラサイクリン、及びマクロライドからなる群から選択される、請求項119に記載の複数パートキット。
【請求項121】
前記第6の事前測定済み成分を有し、前記第6の事前測定済み成分が、抗真菌剤を含む、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項122】
前記抗真菌剤が、アムホテリシンB、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、及びフルシトシンからなる群から選択される、請求項121に記載の複数パートキット。
【請求項123】
前記第6の事前測定済み成分を有し、前記第6の事前測定済み成分が、血管収縮剤を含む、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項124】
前記血管収縮剤が、エピネフリンである、請求項123に記載の複数パートキット。
【請求項125】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項126】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項125に記載の複数パートキット。
【請求項127】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項125に記載の複数パートキット。
【請求項128】
2つ以上に仕切られてパッケージされている、請求項74に記載の複数パートキット。
【請求項129】
前記仕切りが、2個以上のバイアル、1個若しくは複数のバイアル及び事前充填済みシリンジ、又は2つに仕切られ、注入直前に破壊/移動され、それによって前記成分すべてを混合することができる非浸透性膜/ストッパーを間に有する事前充填済みシリンジである、請求項128に記載の複数パートキット。
【請求項130】
請求項1に記載の組成物を、下部尿路障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量で投与するステップを含む、下部尿路障害を治療、改善又は予防する方法。
【請求項131】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項131に記載の方法。
【請求項134】
請求項62に記載の組成物を、下部尿路障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量で投与するステップを含む、下部尿路障害を治療、改善又は予防する方法。
【請求項135】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項135に記載の方法。
【請求項138】
請求項66に記載の組成物を、下部尿路障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量で投与するステップを含む、下部尿路障害を治療、改善又は予防する方法。
【請求項139】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
請求項70に記載の組成物を、下部尿路障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、下部尿路障害を治療、改善又は予防するのに十分な量で投与するステップを含む、下部尿路障害を治療、改善又は予防する方法。
【請求項143】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項143に記載の方法。
【請求項146】
骨盤障害を治療、改善又は予防する方法であって、
(a)請求項74に記載のキットの前記事前測定済み成分を一緒にするステップと、
(b)骨盤障害と診断された対象、又は疼痛、尿意切迫、尿意頻数、若しくは失禁のうちの1種若しくは複数の症状を有する対象に、骨盤障害を治療、改善又は予防するのに十分な量の前記キットの一緒にした事前測定済み成分を投与するステップと
を含む上記方法。
【請求項147】
前記下部尿路障害が、女性では細菌性膀胱炎、真菌/酵母性膀胱炎、膣前庭炎、外陰部痛、性交疼痛症、及び子宮内膜症;男性では前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、及び尿道症候群;並びに男性又は女性では放射線誘発性膀胱炎、化学療法誘発性膀胱炎、間質性膀胱炎、及び過活動膀胱からなる群から選択される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記下部尿路障害が、間質性膀胱炎である、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記下部尿路障害が、放射線誘発性膀胱炎である、請求項147に記載の方法。
【請求項150】
膀胱上皮の異常な浸透性を低下させるように働く追加経口剤の投与をさらに含む、請求項130に記載の方法。
【請求項151】
前記追加経口剤が、ペントサンポリ硫酸である、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
膀胱上皮の異常な浸透性を低下させるように働く追加経口剤の投与をさらに含む、請求項134に記載の方法。
【請求項153】
前記追加経口剤が、ペントサンポリ硫酸である、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
膀胱上皮の異常な浸透性を低下させるように働く追加経口剤の投与をさらに含む、請求項138に記載の方法。
【請求項155】
前記追加経口剤が、ペントサンポリ硫酸である、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
膀胱上皮の異常な浸透性を低下させるように働く追加経口剤の投与をさらに含む、請求項142に記載の方法。
【請求項157】
前記追加経口剤が、ペントサンポリ硫酸である、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
膀胱上皮の異常な浸透性を低下させるように働く追加経口剤の投与をさらに含む、請求項146に記載の方法。
【請求項159】
前記追加経口剤が、ペントサンポリ硫酸である、請求項158に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−28625(P2013−28625A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−204288(P2012−204288)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2007−551439(P2007−551439)の分割
【原出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(507239352)ウーリゲン、インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】