下駄箱
【課題】履物の取り出しの動作工程が少なく、かつ、設置場所に自由度のある引き出し下駄箱を提供する。
【解決手段】履物S,Sを収納する収納体20を、該収納体20の下部両側部に取り付けられた収納体側レール部材21,21と、前方が開口する箱状の本体10の両側板11,11の下部内面に取り付けられた本体側レール部材15,15との係合を介して、本体10にスライド自在に支持する。その場合、収納体20に、前後に対向して立設された前板23及び引き出し背板24と、該前板23及び引き出し背板24間を連結するパイプ部材26,26と、該前板23及び引き出し背板24間の空間を上下に区画する棚板25とを備え、該棚板25を、パイプ部材26,26の架設位置より若干下方に配設する。
【解決手段】履物S,Sを収納する収納体20を、該収納体20の下部両側部に取り付けられた収納体側レール部材21,21と、前方が開口する箱状の本体10の両側板11,11の下部内面に取り付けられた本体側レール部材15,15との係合を介して、本体10にスライド自在に支持する。その場合、収納体20に、前後に対向して立設された前板23及び引き出し背板24と、該前板23及び引き出し背板24間を連結するパイプ部材26,26と、該前板23及び引き出し背板24間の空間を上下に区画する棚板25とを備え、該棚板25を、パイプ部材26,26の架設位置より若干下方に配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関等に設置される下駄箱に関し、室内家具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、玄関に設置される下駄箱がある。例えば、図5に示すような玄関収納ユニットAに組み込まれた開き戸タイプの下駄箱A10では、体の前に扉A11を開くためのスペースを置いて離れて立って扉A11の前面の取っ手A12を持ち、矢印及び二点鎖線で示すように該扉A11を開いたのち前に踏み出し、下駄箱A10内から履物Sを取り出すことになり、動作工程が多く、面倒であるという問題がある。
【0003】
前記問題を解決することができるものとして、例えば特許文献1に開示の下駄箱がある。図6に示すように、この下駄箱B10は、下部に図示しないキャスタが取り付けられたワゴンタイプのもので、玄関収納ユニットBの一部を構成すると共に該収納ユニットBの一側方の下方に設けられたオープンスペースに引き出し可能に設置されている。
【0004】
この下駄箱B10では、矢印で示す引出方向の側方に立って取っ手B12を持ち、次に矢印及び二点鎖線で示すように下駄箱B10を引き出し、その側方から収納された履物Sを取り出すことができるので、動作工程は少なくなる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−327340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記下駄箱B10は、キャスタを介して引き出すものであるので、例えば設置した土間に凹凸があると、がたつきのためスムーズな引き出しは困難となり、また、収納した履物S…Sが引き出し中に脱落するおそれがある。さらに、キャスタを介して引き出すものであることから、土間とフロアとの段差箇所に跨って設置することができず、設置場所が限定されるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、履物の取り出しの動作工程が少なく、かつ、設置場所に自由度のある引き出し下駄箱の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、請求項1に記載の発明は、履物を収納する収納体を本体から前方へ引き出すように構成された引き出し下駄箱であって、前記本体は、左右一対の側板と該側板の上端部間に架設された天板とを有し、前記収納体は、該収納体の両側部と前記本体の両側板の内面との間に介設されたレール機構を介して該本体にスライド自在に支持されていることを特徴とする。
【0010】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の引き出し下駄箱において、前記収納体は、前後に対向して立設された前板及び背板と、該前板の側部と背板の側部とを連結するパイプ部材と、該前板及び背板間の空間を上下に区画する棚板とを有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の引き出し下駄箱において、前記棚板は、前記前板と背板との間のパイプ部材架設位置より若干下方に配設されていることを特徴とする。
【0012】
そして、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の引き出し下駄箱において、前記背板の少なくとも一方の側部の小口面に、側方に張り出す張出部材が設けられており、前記パイプ部材は、該張出部材と前記前板の側部との間に架設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
まず、請求項1に記載の発明によれば、収納体をレール機構を介して本体にスライド自在に支持する構成であるので、引出方向の側方に立って本体から収納体を引き出し、収納された履物を側方から取り出すことができるので、動作工程は少ない。しかも、玄関の土間の凹凸状態に拘らず、また、土間とフロアとに跨って設置することもでき、設置場所に自由度のある下駄箱が実現される。
【0014】
なお、本体から履物が収納された収納体を引き出す構成であるため、引き出しの都度、収納した履物を新鮮な外気に触れさせることができるメリットもある。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明によれば、収納体を、前後の前板及び背板と、該前板の側部と背板の側部とを連結するパイプ部材と、該前板及び背板間の空間を上下に区画する棚板とで構成し、収納体から、上下に延びる側板や前後に延びる天板を排除した構成であるので、収納された履物を引出方向の両側方のいずれからでも取り出すことができ、また、最上方の棚板上に収納された履物については上方に取り出すことができる。しかも、側板や天板を用いないので、収納体の軽量化を図ることができることから、収納体の引き出しや押し込み動作が楽になる。
【0016】
なお、背板を板状とすれば、本体に収納体を押し込むときに、上下に延びる背板により本体内の空気が押し出されることになり、本体内を効果的に換気することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、棚板は、前板と背板との間のパイプ部材架設位置より若干下方に配設されているので、引き出し時や押し込み時に振動があっても、棚板上に収納された履物の移動はパイプ部材により規制され、脱落が防止される。
【0018】
そして、請求項4に記載の発明によれば、パイプ部材は、背板の少なくとも一方の側部の小口面に設けられて側方に張り出す張出部材と前板との間に架設されているので、張出部材を用いない場合に比較して背板の幅寸法を小さくすることができ、背板ひいては収納体の軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る玄関収納ユニット1は、壁面Wに吊下げ支持された2つのウォールキャビネット2,2と、該ウォールキャビネット2,2の下方で台輪3に支持された背の高いサイドキャビネット4及び背の低い引き出し下駄箱5,5とを有している。なお、台輪3は、その左側端部はフロアFに、一方、右側端部は前後一対の木脚(手前側のみ図示)3a,3aを介して土間Gにそれぞれ支持されており、また、引き出し下駄箱5,5の上面に、カウンタ6が取り付けられている。
【0021】
図2及び図3に示すように、本発明の特徴部分である引き出し下駄箱5は、箱状の本体10と、該本体10にスライド自在に支持された収納体20とを有している。
【0022】
本体10は、左右一対の側板11,11と、該側板11,11の下端部間及び上端部間に配設された底板12及び天板13と、該底板12及び天板13の後端部間に配設された背板14とを有し、前面が開口されている。そして、前記側板11,11の下部内面に、それぞれ本体側レール部材15,15が取り付けられている。
【0023】
収納体20は、下部側壁を兼ねる左右一対の収納体側レール部材21,21と、該レール部材21,21間に配設された引き出し底板22と、該引き出し底板22の前後端部からそれぞれ上方に延びる幅寸法の幾分大きい前板23及び幅寸法の幾分小さい引き出し背板24とを有している。また、前板23の前面上部には、取っ手23aが取り付けられている。そして、収納体側レール部材21,21は、前記本体側レール部材15,15にスライド自在に係合しており、これらは、本体10から収納体20を引き出すためのレール機構を構成する。レール機構としては、本体10から収納体20を完全に引き出すことができる構成のものも適宜適用される。なお、図面の複雑化を避けるため、図2では、レール機構に備えられたローラ等の記載を省略している。
【0024】
前板23及び引き出し背板24の互いに対向する面の左右側部には、それぞれ対応する位置関係で、上下方向に複数のダボ孔(図2に引き出し背板24側のもののみ図示)24a…24aが設けられており、これらダボ孔24a…24aとダボ24b…24bとの嵌合を介し、前板23及び引き出し背板24間の空間を上下に区画する3枚の棚板25…25が配設されている。その場合、棚板25…25と引き出し背板24とは、略同じ幅寸法とされており、また、上下に隣接する棚板25…25間の間隔より、最下方の棚板25と引き出し底板22との間の間隔の方が大きくなるように構成されている。したがって、3枚の棚板25…25上には高さ寸法の小さい履物S…Sが、引き出し底板22上には高さ寸法の大きい履物S′が収納可能である。その場合、履物S′の取り出し易さの点から、前記収納体側レール部材21,21には、高さ寸法の小さい構成のものが好ましい。
【0025】
棚板25…25の配設高さに略対応する位置関係で、引き出し背板24の側部の小口面に、張出部材26a…26aを備えた連結機構を有するパイプ部材26…26が架設されており、張出部材26a…26aから延びるパイプ部材26…26の前端部は前板23の後面に連結されている。その場合、パイプ部材26…26の架設位置は、棚板25…25より若干上方かつ外方とされる。
【0026】
ここで、引き出し下駄箱5の使用例について説明する。
【0027】
図4に示すように、土間GとフロアFとに跨って設置された方の引き出し下駄箱5を例にとると、矢印aで示す引出方向の側方に立ち、前板23前面の取っ手23aを持って前記引出方向aに引くと、収納体20の下部側部に取り付けられた収納体側レール部材21,21と本体10の両側板11,11の下部内面に取り付けられた本体側レール部材15,15とを介してスライド自在に支持された収納体20は、図例のように引き出される。
【0028】
そして、前板23と引き出し背板24との間に配設された棚板25上において、引出方向aの左右両側の小口面に張出部材26a,26aを介して架設されたパイプ部材26,26に挟まれるように収納された履物S,Sを取り上げることになる。なお、図4に追加して二点鎖線で示すように、この収納体20では、張出部材26a,26aを介してパイプ部材26,26を架設することにより、棚板25の幅寸法を超える長さの履物S″であっても、脱落を防止しつつこれを収納することができる。
【0029】
以上のように構成したことにより、まず、収納体20を収納体側レール部材21…21と本体側レール部材15…15とでなるレール機構を介して本体10にスライド自在に支持する構成であるので、引出方向aの側方に立って本体10から収納体20を引き出し、収納された履物S,S′,S″を側方から取り出すことができるので、動作工程は少ない。しかも、玄関の土間Gの凹凸状態に拘らず、また、土間GとフロアFとに跨って設置することもでき、設置場所に自由度のある下駄箱5が実現される。
【0030】
なお、本体10から履物S,S′,S″が収納された収納体20を引き出す構成であるため、引き出しの都度、収納した履物S,S′,S″を新鮮な外気に触れさせることができるメリットもある。
【0031】
また、収納体10を、前後の前板23及び引き出し背板24と、該前板23の側部と引き出し背板24の側部とを連結するパイプ部材26…26と、該前板23及び引き出し背板24間の空間を上下に区画する棚板25…25とで構成し、収納体20から、上下に延びる側板や前後に延びる天板を排除した構成であるので、収納された履物S,S′,S″を引出方向aの両側方のいずれからでも取り出すことができ、また、最上方の棚板25上に収納された履物Sについては上方に取り出すことができる。しかも、側板や天板を用いないので、収納体20の軽量化を図ることができることから、収納体20の引き出しや押し込み動作が楽になる。
【0032】
なお、引き出し背板24を、板状としているので、本体10に収納体20を押し込むときに、上下に延びる引き出し背板24により本体10内の空気が押し出されることになり、本体10内を効果的に換気することができる。
【0033】
また、棚板25…25は、前板23と引き出し背板24との間のパイプ部材26…26の架設位置より若干下方に配設されているので、引き出し時や押し込み時に振動があっても、棚板25…25上に収納された履物S,S″の移動はパイプ部材26…26により規制され、脱落が防止される。
【0034】
そして、パイプ部材26…26は、引き出し背板24の両側部の小口面に設けられて側方に張り出す張出部材26a…26aと前板23との間に架設されているので、張出部材26a…26aを用いない場合に比較して引き出し背板24の幅寸法を小さくすることができ、引き出し背板24ひいては収納体20の軽量化を図ることができる。
【0035】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。
【0036】
例えば、前記実施の形態では、引き出し背板24に板状のものを用いたが、枠状や網状のものを用いてもよい。その場合には、板状のものに比較して軽量化を図ることができる。
【0037】
また、前記実施の形態では、収納体20において、引き出し背板24と棚板25とを略同じ幅寸法としたが、パイプ部材26…26を架設する場合には、棚板25の幅寸法を小さくすることができ、軽量化を図ることができる。
【0038】
また、前記実施の形態では、棚板25ごとに一対のパイプ部材26,26を架設したが、本数も含め、配設箇所を適宜省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、履物の取り出しの動作工程が少なく、かつ、設置場所に自由度のある下駄箱が提供される。すなわち、本発明は、室内家具の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る玄関収納ユニットの正面図である。
【図2】引き出し下駄箱の一部を破断した正面図である。
【図3】図2のII−II線による断面図である。
【図4】本体から収納体を引き出した状態を示す平面図である。
【図5】従来の下駄箱の平面図である。
【図6】従来の別なる下駄箱の平面図である。
【符号の説明】
【0041】
5 引き出し下駄箱
10 本体
11 側板
13 天板
15 本体側レール部材(レール機構)
20 収納体
21 収納体側レール部材(レール機構)
23 前板
24 引き出し背板(背板)
25 棚板
26 パイプ部材
26a 張出部材
S,S′,S″ 履物
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関等に設置される下駄箱に関し、室内家具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、玄関に設置される下駄箱がある。例えば、図5に示すような玄関収納ユニットAに組み込まれた開き戸タイプの下駄箱A10では、体の前に扉A11を開くためのスペースを置いて離れて立って扉A11の前面の取っ手A12を持ち、矢印及び二点鎖線で示すように該扉A11を開いたのち前に踏み出し、下駄箱A10内から履物Sを取り出すことになり、動作工程が多く、面倒であるという問題がある。
【0003】
前記問題を解決することができるものとして、例えば特許文献1に開示の下駄箱がある。図6に示すように、この下駄箱B10は、下部に図示しないキャスタが取り付けられたワゴンタイプのもので、玄関収納ユニットBの一部を構成すると共に該収納ユニットBの一側方の下方に設けられたオープンスペースに引き出し可能に設置されている。
【0004】
この下駄箱B10では、矢印で示す引出方向の側方に立って取っ手B12を持ち、次に矢印及び二点鎖線で示すように下駄箱B10を引き出し、その側方から収納された履物Sを取り出すことができるので、動作工程は少なくなる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−327340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記下駄箱B10は、キャスタを介して引き出すものであるので、例えば設置した土間に凹凸があると、がたつきのためスムーズな引き出しは困難となり、また、収納した履物S…Sが引き出し中に脱落するおそれがある。さらに、キャスタを介して引き出すものであることから、土間とフロアとの段差箇所に跨って設置することができず、設置場所が限定されるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、履物の取り出しの動作工程が少なく、かつ、設置場所に自由度のある引き出し下駄箱の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、請求項1に記載の発明は、履物を収納する収納体を本体から前方へ引き出すように構成された引き出し下駄箱であって、前記本体は、左右一対の側板と該側板の上端部間に架設された天板とを有し、前記収納体は、該収納体の両側部と前記本体の両側板の内面との間に介設されたレール機構を介して該本体にスライド自在に支持されていることを特徴とする。
【0010】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の引き出し下駄箱において、前記収納体は、前後に対向して立設された前板及び背板と、該前板の側部と背板の側部とを連結するパイプ部材と、該前板及び背板間の空間を上下に区画する棚板とを有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の引き出し下駄箱において、前記棚板は、前記前板と背板との間のパイプ部材架設位置より若干下方に配設されていることを特徴とする。
【0012】
そして、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の引き出し下駄箱において、前記背板の少なくとも一方の側部の小口面に、側方に張り出す張出部材が設けられており、前記パイプ部材は、該張出部材と前記前板の側部との間に架設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
まず、請求項1に記載の発明によれば、収納体をレール機構を介して本体にスライド自在に支持する構成であるので、引出方向の側方に立って本体から収納体を引き出し、収納された履物を側方から取り出すことができるので、動作工程は少ない。しかも、玄関の土間の凹凸状態に拘らず、また、土間とフロアとに跨って設置することもでき、設置場所に自由度のある下駄箱が実現される。
【0014】
なお、本体から履物が収納された収納体を引き出す構成であるため、引き出しの都度、収納した履物を新鮮な外気に触れさせることができるメリットもある。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明によれば、収納体を、前後の前板及び背板と、該前板の側部と背板の側部とを連結するパイプ部材と、該前板及び背板間の空間を上下に区画する棚板とで構成し、収納体から、上下に延びる側板や前後に延びる天板を排除した構成であるので、収納された履物を引出方向の両側方のいずれからでも取り出すことができ、また、最上方の棚板上に収納された履物については上方に取り出すことができる。しかも、側板や天板を用いないので、収納体の軽量化を図ることができることから、収納体の引き出しや押し込み動作が楽になる。
【0016】
なお、背板を板状とすれば、本体に収納体を押し込むときに、上下に延びる背板により本体内の空気が押し出されることになり、本体内を効果的に換気することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、棚板は、前板と背板との間のパイプ部材架設位置より若干下方に配設されているので、引き出し時や押し込み時に振動があっても、棚板上に収納された履物の移動はパイプ部材により規制され、脱落が防止される。
【0018】
そして、請求項4に記載の発明によれば、パイプ部材は、背板の少なくとも一方の側部の小口面に設けられて側方に張り出す張出部材と前板との間に架設されているので、張出部材を用いない場合に比較して背板の幅寸法を小さくすることができ、背板ひいては収納体の軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る玄関収納ユニット1は、壁面Wに吊下げ支持された2つのウォールキャビネット2,2と、該ウォールキャビネット2,2の下方で台輪3に支持された背の高いサイドキャビネット4及び背の低い引き出し下駄箱5,5とを有している。なお、台輪3は、その左側端部はフロアFに、一方、右側端部は前後一対の木脚(手前側のみ図示)3a,3aを介して土間Gにそれぞれ支持されており、また、引き出し下駄箱5,5の上面に、カウンタ6が取り付けられている。
【0021】
図2及び図3に示すように、本発明の特徴部分である引き出し下駄箱5は、箱状の本体10と、該本体10にスライド自在に支持された収納体20とを有している。
【0022】
本体10は、左右一対の側板11,11と、該側板11,11の下端部間及び上端部間に配設された底板12及び天板13と、該底板12及び天板13の後端部間に配設された背板14とを有し、前面が開口されている。そして、前記側板11,11の下部内面に、それぞれ本体側レール部材15,15が取り付けられている。
【0023】
収納体20は、下部側壁を兼ねる左右一対の収納体側レール部材21,21と、該レール部材21,21間に配設された引き出し底板22と、該引き出し底板22の前後端部からそれぞれ上方に延びる幅寸法の幾分大きい前板23及び幅寸法の幾分小さい引き出し背板24とを有している。また、前板23の前面上部には、取っ手23aが取り付けられている。そして、収納体側レール部材21,21は、前記本体側レール部材15,15にスライド自在に係合しており、これらは、本体10から収納体20を引き出すためのレール機構を構成する。レール機構としては、本体10から収納体20を完全に引き出すことができる構成のものも適宜適用される。なお、図面の複雑化を避けるため、図2では、レール機構に備えられたローラ等の記載を省略している。
【0024】
前板23及び引き出し背板24の互いに対向する面の左右側部には、それぞれ対応する位置関係で、上下方向に複数のダボ孔(図2に引き出し背板24側のもののみ図示)24a…24aが設けられており、これらダボ孔24a…24aとダボ24b…24bとの嵌合を介し、前板23及び引き出し背板24間の空間を上下に区画する3枚の棚板25…25が配設されている。その場合、棚板25…25と引き出し背板24とは、略同じ幅寸法とされており、また、上下に隣接する棚板25…25間の間隔より、最下方の棚板25と引き出し底板22との間の間隔の方が大きくなるように構成されている。したがって、3枚の棚板25…25上には高さ寸法の小さい履物S…Sが、引き出し底板22上には高さ寸法の大きい履物S′が収納可能である。その場合、履物S′の取り出し易さの点から、前記収納体側レール部材21,21には、高さ寸法の小さい構成のものが好ましい。
【0025】
棚板25…25の配設高さに略対応する位置関係で、引き出し背板24の側部の小口面に、張出部材26a…26aを備えた連結機構を有するパイプ部材26…26が架設されており、張出部材26a…26aから延びるパイプ部材26…26の前端部は前板23の後面に連結されている。その場合、パイプ部材26…26の架設位置は、棚板25…25より若干上方かつ外方とされる。
【0026】
ここで、引き出し下駄箱5の使用例について説明する。
【0027】
図4に示すように、土間GとフロアFとに跨って設置された方の引き出し下駄箱5を例にとると、矢印aで示す引出方向の側方に立ち、前板23前面の取っ手23aを持って前記引出方向aに引くと、収納体20の下部側部に取り付けられた収納体側レール部材21,21と本体10の両側板11,11の下部内面に取り付けられた本体側レール部材15,15とを介してスライド自在に支持された収納体20は、図例のように引き出される。
【0028】
そして、前板23と引き出し背板24との間に配設された棚板25上において、引出方向aの左右両側の小口面に張出部材26a,26aを介して架設されたパイプ部材26,26に挟まれるように収納された履物S,Sを取り上げることになる。なお、図4に追加して二点鎖線で示すように、この収納体20では、張出部材26a,26aを介してパイプ部材26,26を架設することにより、棚板25の幅寸法を超える長さの履物S″であっても、脱落を防止しつつこれを収納することができる。
【0029】
以上のように構成したことにより、まず、収納体20を収納体側レール部材21…21と本体側レール部材15…15とでなるレール機構を介して本体10にスライド自在に支持する構成であるので、引出方向aの側方に立って本体10から収納体20を引き出し、収納された履物S,S′,S″を側方から取り出すことができるので、動作工程は少ない。しかも、玄関の土間Gの凹凸状態に拘らず、また、土間GとフロアFとに跨って設置することもでき、設置場所に自由度のある下駄箱5が実現される。
【0030】
なお、本体10から履物S,S′,S″が収納された収納体20を引き出す構成であるため、引き出しの都度、収納した履物S,S′,S″を新鮮な外気に触れさせることができるメリットもある。
【0031】
また、収納体10を、前後の前板23及び引き出し背板24と、該前板23の側部と引き出し背板24の側部とを連結するパイプ部材26…26と、該前板23及び引き出し背板24間の空間を上下に区画する棚板25…25とで構成し、収納体20から、上下に延びる側板や前後に延びる天板を排除した構成であるので、収納された履物S,S′,S″を引出方向aの両側方のいずれからでも取り出すことができ、また、最上方の棚板25上に収納された履物Sについては上方に取り出すことができる。しかも、側板や天板を用いないので、収納体20の軽量化を図ることができることから、収納体20の引き出しや押し込み動作が楽になる。
【0032】
なお、引き出し背板24を、板状としているので、本体10に収納体20を押し込むときに、上下に延びる引き出し背板24により本体10内の空気が押し出されることになり、本体10内を効果的に換気することができる。
【0033】
また、棚板25…25は、前板23と引き出し背板24との間のパイプ部材26…26の架設位置より若干下方に配設されているので、引き出し時や押し込み時に振動があっても、棚板25…25上に収納された履物S,S″の移動はパイプ部材26…26により規制され、脱落が防止される。
【0034】
そして、パイプ部材26…26は、引き出し背板24の両側部の小口面に設けられて側方に張り出す張出部材26a…26aと前板23との間に架設されているので、張出部材26a…26aを用いない場合に比較して引き出し背板24の幅寸法を小さくすることができ、引き出し背板24ひいては収納体20の軽量化を図ることができる。
【0035】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。
【0036】
例えば、前記実施の形態では、引き出し背板24に板状のものを用いたが、枠状や網状のものを用いてもよい。その場合には、板状のものに比較して軽量化を図ることができる。
【0037】
また、前記実施の形態では、収納体20において、引き出し背板24と棚板25とを略同じ幅寸法としたが、パイプ部材26…26を架設する場合には、棚板25の幅寸法を小さくすることができ、軽量化を図ることができる。
【0038】
また、前記実施の形態では、棚板25ごとに一対のパイプ部材26,26を架設したが、本数も含め、配設箇所を適宜省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、履物の取り出しの動作工程が少なく、かつ、設置場所に自由度のある下駄箱が提供される。すなわち、本発明は、室内家具の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る玄関収納ユニットの正面図である。
【図2】引き出し下駄箱の一部を破断した正面図である。
【図3】図2のII−II線による断面図である。
【図4】本体から収納体を引き出した状態を示す平面図である。
【図5】従来の下駄箱の平面図である。
【図6】従来の別なる下駄箱の平面図である。
【符号の説明】
【0041】
5 引き出し下駄箱
10 本体
11 側板
13 天板
15 本体側レール部材(レール機構)
20 収納体
21 収納体側レール部材(レール機構)
23 前板
24 引き出し背板(背板)
25 棚板
26 パイプ部材
26a 張出部材
S,S′,S″ 履物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物を収納する収納体を本体から前方へ引き出すように構成された引き出し下駄箱であって、
前記本体は、左右一対の側板と該側板の上端部間に架設された天板とを有し、
前記収納体は、該収納体の両側部と前記本体の両側板の内面との間に介設されたレール機構を介して該本体にスライド自在に支持されていることを特徴とする引き出し下駄箱。
【請求項2】
前記請求項1に記載の引き出し下駄箱において、
前記収納体は、前後に対向して立設された前板及び背板と、該前板の側部と背板の側部とを連結するパイプ部材と、該前板及び背板間の空間を上下に区画する棚板とを有することを特徴とする引き出し下駄箱。
【請求項3】
前記請求項2に記載の引き出し下駄箱において、
前記棚板は、前記前板と背板との間のパイプ部材架設位置より若干下方に配設されていることを特徴とする引き出し下駄箱。
【請求項4】
前記請求項3に記載の引き出し下駄箱において、
前記背板の少なくとも一方の側部の小口面に、側方に張り出す張出部材が設けられており、
前記パイプ部材は、該張出部材と前記前板の側部との間に架設されていることを特徴とする引き出し下駄箱。
【請求項1】
履物を収納する収納体を本体から前方へ引き出すように構成された引き出し下駄箱であって、
前記本体は、左右一対の側板と該側板の上端部間に架設された天板とを有し、
前記収納体は、該収納体の両側部と前記本体の両側板の内面との間に介設されたレール機構を介して該本体にスライド自在に支持されていることを特徴とする引き出し下駄箱。
【請求項2】
前記請求項1に記載の引き出し下駄箱において、
前記収納体は、前後に対向して立設された前板及び背板と、該前板の側部と背板の側部とを連結するパイプ部材と、該前板及び背板間の空間を上下に区画する棚板とを有することを特徴とする引き出し下駄箱。
【請求項3】
前記請求項2に記載の引き出し下駄箱において、
前記棚板は、前記前板と背板との間のパイプ部材架設位置より若干下方に配設されていることを特徴とする引き出し下駄箱。
【請求項4】
前記請求項3に記載の引き出し下駄箱において、
前記背板の少なくとも一方の側部の小口面に、側方に張り出す張出部材が設けられており、
前記パイプ部材は、該張出部材と前記前板の側部との間に架設されていることを特徴とする引き出し下駄箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2007−319587(P2007−319587A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155873(P2006−155873)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
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