Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
不凍液組成物
説明

不凍液組成物

【課題】 良好な安全性と良好なアルミニウム合金表面の黒変防止効果を両立させた不凍液組成物を提供する。
【解決手段】 (A)プロピレングリコールと、(B)無機塩用ポリマー分散剤と、(C)水溶性アルカリ土類金属塩とを必須の成分として含有する不凍液組成物であり、好ましくは、(B)無機塩用ポリマー分散剤は、カルボキシ基を有する化合物を少なくとも1つのモノマーとする重量平均分子量300〜20000のポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不凍液組成物に関するものであり、特に自動車などの内燃機関におけるクーラントに用いるのに適した不凍液組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り自動車などの内燃機関のクーラントには不凍液組成物が用いられ、従来よりグリコール類が凝固点降下剤として用いられているが、特許文献1のように多種のグリコール類のなかでも実質的にエチレングリコールが使用されてきた。
【0003】
しかしながら、特許文献2に記載のように近年の環境問題から毒性の強いエチレングリコールを避けて、食品添加物としても認可されている安全性の高いプロピレングリコールを凝固点降下剤として用いる不凍液組成物が提案されている。
【0004】
一方、内燃機関のクーラント経路にはアルミニウム、鋳鉄、鋼、黄銅、はんだ、銅などの材料が存在することから、クーラントにはこれら材料に対する腐食抑制効果が要求され、種々の腐食抑制剤が使用されている。特に近年、自動車の軽量化の観点からクーラント経路にはアルミニウムの使用量が増大してきており、特にアルミニウムに対する腐食抑制効果が要求されるようになってきている。グリコール類を使用した不凍液組成物にあっては、使用環境下のアルミニウムおよびアルミニウム合金の表面に黒色の酸化被膜が形成する場合があるが、この点については近年除々に解決されるようになってきている。
【0005】
例えば、珪酸ナトリウムやメタ珪酸ナトリウムを使用して伝熱面腐食を抑制する方法(特許文献3)、リチウム化合物を添加して黒変を防止する方法(特許文献4)、C4〜C6不飽和モノエチレンモノカルボン酸またはC4〜C6不飽和モノエチレンジカルボン酸の重合体を添加する方法(特許文献5)、ホスホン酸のような有機リン酸化合物とカルシウム化合物を併用して添加する方法(特許文献6)などが挙げられる。
【特許文献1】特開平8−85782号公報
【特許文献2】特表平9−504812号公報
【特許文献3】特開平8−113771号公報
【特許文献4】特開平9−263976号公報
【特許文献5】特開2001−279235号公報
【特許文献6】特開平10−30086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜6に開示されているようなこれまでの方法は、いずれも凝固点降下剤としてエチレングリコールを対象としたもので、プロピレングリコールを主成分とする不凍液組成物においては効果を発揮しえず、未だプロピレングリコールを主成分とする不凍液組成物に適した黒変防止対策は見あたらないのが現状である。
【0007】
こうした背景から、安全性の高いプロピレングリコールを凝固点降下剤として用い、且つ安全性の高い腐食抑制剤を使用した不凍液組成物が望まれているが、いまだ良好な安全性と良好な腐食抑制効果を両立させた不凍液組成物は見出されていない。
【0008】
そこで本発明の目的は、良好な安全性と良好なアルミニウム合金表面の黒変防止効果を両立させた不凍液組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、以下の構成をとることにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明の不凍液組成物は、(A)プロピレングリコールと、(B)無機塩用ポリマー分散剤と、(C)水溶性アルカリ土類金属塩とを必須の成分として含有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の不凍液組成物においては、好ましくは、(B)無機塩用ポリマー分散剤が、カルボキシ基を有する化合物を少なくとも1つのモノマーとする重量平均分子量300〜20000のポリマーである。
【0012】
また、本発明の不凍液組成物は、好ましくは、(A)プロピレングリコール100質量部に対して、(B)無機塩用ポリマー分散剤0.001〜0.1質量部、および(C)水溶性アルカリ土類金属塩0.001〜0.1質量部、の割合で配合されており、更に、水を含有し、pHが7.0〜9.0であることが好ましく、更にまた、(A)プロピレングリコールの濃度が10〜65質量%であることも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の不凍液組成物により、良好な安全性と良好な腐食抑制効果を両立することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に使用する(A)成分は、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)であって、食品添加物としても認可されている安全性の高い物質であり、本発明の不凍液組成物において不凍液としての低凝固点性を発揮するための主成分である。なお、プロピレングリコールは任意の製法によって得られたものを使用することができ、市販のプロピレングリコールを使用することもできる。
【0015】
本発明に使用する(B)成分は、無機塩用ポリマー分散剤である。(B)成分は無機塩を分散することのできるものであれば特に限定されないが、好ましくは、カルボキシ基を有する化合物を少なくとも1つのモノマーとするポリマー(ポリカルボン酸と言うこともできる)である。
【0016】
また、このようなポリマーの分子量が極端に小さいと十分な黒変防止効果が得られない場合があり、逆に分子量が極端に大きいと吸水性樹脂様のゲル状物質を形成して溶解しにくくなるので、好ましくは重量平均分子量300〜20000、より好ましくは重量平均分子量400〜12000、更に好ましくは重量平均分子1000〜8000のポリマーとする。
【0017】
(B)無機塩用ポリマー分散剤のなかでも、特に好ましいのは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸とマレイン酸の共重合体、あるいはこれら不飽和カルボン酸とエチレン、プロピレン、スチレンなどのカルボキシ基を有さないモノマーとの共重合体などであり、これらは単独であっても混合して用いられてもよく、更にこれらの塩であってもよい。尚、(B)成分としては、これらのポリカルボン酸及びその塩の混合物、即ち、酸性塩であってもよい。
【0018】
また、カルボキシ基を有さないモノマーとの共重合体を使用する場合、全モノマー中における該カルボキシ基を有さないモノマーの割合(モル比)が70%以下とすることが本発明の効果を顕著に得る点で好ましく、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下とする。更に、安全性上はポリアクリル酸共重合体の使用が好ましい。更にまた、これらのポリマーがコポリマーの場合はランダム重合やブロック重合といった共重合状態が好ましい。
【0019】
本発明に使用する(B)成分が極端に少ないとアルミニウム伝熱面の黒変防止効果が不十分となり、逆に極端に多いと不凍液組成物に濁りやゲル状物が発生しやすく、また一般的な腐食抑制効果も不十分となる場合が起こりやすくなるので、好ましくは(A)成分100質量部に対して、0.001〜0.1質量部、より好ましくは0.02〜0.06質量部用いる。
【0020】
本発明に使用する(C)成分は、水溶性のアルカリ土類金属塩であり本発明の不凍液組成物に対して溶解性であればよく、特に限定されないが、例えば、アルカリ土類金属の硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物塩を挙げることができる。より具体的には、例えば、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウムやそれらの水和物が挙げられる。
【0021】
これら(C)成分の水溶性アルカリ土類金属塩は1種でも2種以上であってもよい。本発明の効果をより顕著に得るためには、添加量として、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.1質量部、より好ましくは0.02〜0.06質量部用いる。
【0022】
本発明の不凍液組成物は、上記(A)、(B)及び(C)成分を必須とする不凍液組成物をそのまま使用することもできるが、水で希釈して使用することもでき、この場合、確実な腐食抑制効果発現の観点から、好ましくはpHを7.0〜9.0、より好ましくはpH7.4〜8.4とする。
【0023】
本発明の不凍液組成物は、水を含有する場合、不凍液組成物を使用する環境温度にも依存するが、不凍液性を十分に発揮するためには(A)成分の濃度として10質量%以上とすることがよい。また、(A)成分の濃度が65質量%を超えても有意な差はないので経済性等の観点から希釈する場合は65質量%以下とすることがよい。
【0024】
本発明の不凍液組成物は、不凍液組成物に配合可能なことが知られている添加剤を任意に使用することができる。例えば、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、オレイン酸、ラウリン酸などの脂肪族モノカルボン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、ウンデカニ酸、ドデカンニ酸などの脂肪族ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、p−tert−ブチル安息香酸、アミノ安息香酸、モノヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、桂皮酸などの芳香族カルボン酸、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールナトリウム塩などのトリアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール、ジチオメルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩などのベンゾチアゾール類、硝酸、亜硝酸、リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、モリブデン酸、珪酸などの酸及びそのアルカリ金属塩やアミン塩、などの腐食抑制剤を挙げることができ、さらに食用色素や消泡剤などを含んでいてもよい。
【0025】
これら腐食抑制剤は本発明の効果を阻害しない範囲内で任意に使用することができるが、極端に少ないと用いる有意性が不十分であり、極端に多いと産業上の適正を欠き、また、液の安定性が低下することがあるため、好ましくは不凍液組成物中の濃度として0.1〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。なお、その他の任意成分は通常不凍液に用いられる程度の量で添加されればよい。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げさらに本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜20、比較例1〜6
以下の試料1〜16を配合して下記表1〜4に示す組成(特に記載のないものは質量部である)の不凍液組成物を調製した。これら不凍液組成物をイオン交換水にて、下記の表に示す(A)成分濃度に希釈したものを試験液として、JIS K2234アルミニウム伝熱面腐食性試験(135℃、190kPa、166時間)に従ってアルミニウム鋳物試験片の外観変化を測定した。結果を表1〜4に示す。
試料1:プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)
試料2:ポリアクリル酸ナトリウム塩(Mw1000)
試料3:ポリアクリル酸ナトリウム塩(Mw7500)
試料4:ポリアクリル酸(Mw5000)
試料5:アクリル酸−マレイン酸(モル比1:1)共重合体ナトリウム塩(Mw5000)
試料6:硝酸カルシウム4水塩
試料7:炭酸カルシウム
試料8:塩化カルシウム6水塩
試料9:硝酸ストロンチウム
試料10:セバシン酸
試料11:安息香酸
試料12:1,2,3−ベンゾトリアゾール
試料13:60質量%硝酸水溶液
試料14:85質量%リン酸水溶液
試料15:水酸化カリウム
試料16:イオン交換水
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、不凍液組成物として有用であり、特に自動車などの内燃機関におけるクーラントに用いる不凍液組成物として有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)プロピレングリコールと、(B)無機塩用ポリマー分散剤と、(C)水溶性アルカリ土類金属塩とを必須の成分として含有することを特徴とする不凍液組成物。
【請求項2】
(B)無機塩用ポリマー分散剤が、カルボキシ基を有する化合物を少なくとも1つのモノマーとする重量平均分子量300〜20000のポリマーである請求項1に記載の不凍液組成物。
【請求項3】
(A)プロピレングリコール100質量部に対して、(B)無機塩用ポリマー分散剤0.001〜0.1質量部、および(C)水溶性アルカリ土類金属塩0.001〜0.1質量部、の割合で配合されている請求項1または請求項2に記載の不凍液組成物。
【請求項4】
水を含有し、pHが7.0〜9.0である請求項1〜3のうち何れか一項に記載の不凍液組成物。
【請求項5】
(A)プロピレングリコールの濃度が10〜65質量%である請求項1〜4のうち何れか一項に記載の不凍液組成物。


【公開番号】特開2006−45345(P2006−45345A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228002(P2004−228002)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000000387)旭電化工業株式会社 (987)
【Fターム(参考)】