不可視の識別情報入り印刷物とその印刷方法及びその印刷装置並びに該印刷物の真偽判定方法とその真偽判定装置
【課題】 銀行券、各種有価証券、証明書等の個体識別を必要とする印刷物において、記番号の改ざんや券面そのものの偽造を防止することを目的とするものである。
【解決手段】 文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様とを備え、複数の画線は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が、埋め込まれる不可視情報に対応して設定され、可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、不可視情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有していることを特徴とする不可視情報入り印刷物とその印刷方法及び記番号印刷装置と記番号発給装置並びに該印刷物の真偽判定方法とその真偽判定装置。
【解決手段】 文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様とを備え、複数の画線は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が、埋め込まれる不可視情報に対応して設定され、可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、不可視情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有していることを特徴とする不可視情報入り印刷物とその印刷方法及び記番号印刷装置と記番号発給装置並びに該印刷物の真偽判定方法とその真偽判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、各種有価証券、証明書等の個体識別を必要とする印刷物の改ざん防止及び偽造防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券等、各種有価証券、証明書等は、印刷によって複数枚印刷しているものである。すなわち一つの券種すべてが同じ模様を印刷している。また、それらの印刷物が固有であることを明確にするため、個々の券面には文字、数字、記号等から成る可視情報部(例えば、記番号)が印刷されているのが一般的である。この記番号は、印刷物を個体判別するのに重要であり、仮に同じ模様で記番号が異なる印刷物があると、一方が真正で、他方が偽造又は複製であることが一目瞭然でわかる。
【0003】
当然ながら、製造工程では券面一枚ごとに確実に異なる文字、数字、記号等から成る可視情報部が印刷されていることが重要である。例えば、特開平11−348242のように、模様と文字、数字、記号等から成る可視情報部を含む印刷物の券面を画像入力部によって入力し、得られた画像信号をパターンマッチング回路によって印刷された記番号が適切であるかを判定する装置もあるように、印刷後の管理技術によって今日では同じ記番号の印刷物が市中に出回ることはほとんどない。
【0004】
しかし、記番号は、印刷物中の一部分に印刷されているに過ぎず、不心得者によって簡単に改ざんされてしまうという欠点がある。もちろん、印刷物に改ざん防止及び偽造防止を施すことは言うまでもないが、近年のスキャナ、カラー複写機の普及に伴い、有価証券や証明書の不正な複製が容易となってきた。
【0005】
こうした状況にかんがみ、記番号を機械認証する方法はこれまで数多く検討されている。例えば、特開2002−67555は、機械読み取り要素の変動セキュリティ要素において、一般に視認可能な要素は固定しておき、不可視要素としての機械的な要素のみを変動させるものである。この場合、変動する要素についての真偽判定においては、その変動要素のデータを持つことが必要である。これは、スタンドアローンの装置では困難であるが、ネットワークでこれらの変動要素による情報をデータベース端末に送ることにより真偽判定精度を向上させることができるとしている。つまり、現在のネットワーク技術をセキュリティに活用することにより、従来の手法の弱点を補うことができる。この場合、この変動要素の情報を特定のデータベース端末に集中することにより秘密保持が可能となり、また、偽造犯の分析は不可能となる。
【0006】
また、今日では、有価証券や証明書を取り扱うに場面に際し、ICメモリーカード等の電子媒体を用いた認証技術によって犯罪を防ぐ取組もある。このように印刷物のみならず、ネットワーク技術との併用や電子回路等の電子的な補助媒体を印刷物に設けることによってセキュリティを高めるのに有効である。
【0007】
しかし、ネットワーク技術や印刷物に加味する電子的な補助媒体を用いた認証技術は、優れた方法ではあるものの、一方では認証用端末にかかわるインフラ整備や、電子化された情報そのものを保護するという問題もある。少なくとも真偽判定を電子的な方法のみに任せるのではなく、印刷物の中だけで完結する簡便な方法が求められている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−348242
【特許文献2】特開2002−67555
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
幾何学模様から成る印刷模様の中にも不可視な特徴を設け、更にその不可視な特徴に関連付いた文字、数字、記号等から成る可視情報を印刷することによって、文字、数字、記号等から成る可視情報の改ざんや券面そのものの偽造を防止することを目的とするものである。
【0010】
また、文字、数字、記号等から成る可視情報発給装置によって、光学読み取り部から得た複数の画線から成る模様の幾何学模様中の識別情報を抽出し、多面印刷物乃至の印刷物に設けるための文字、数字、記号等から成る可視情報部のID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をすることを目的とするものである。
【0011】
また、さらに、真偽判定装置によって、画像入力部から得た複数の画線から成る模様中の識別情報を取得し、真偽判定者が手入力した文字、数字、記号等から成る可視情報部と識別情報との関連付けが一致しているか否かを判定することによって、ネットワーク技術や印刷物に加味する電子的な補助媒体に頼ることのない真偽判定を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様とを備え、複数の画線は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が、埋め込まれる識別情報に対応して設定され、可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有していることを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物である。
【0013】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線から成る模様が、複数の画線を構成する細画線が長手方向と直交する方向に延びる分断画線であり、細画線の長手方向に沿って所定の間隔を有するように分断画線が複数配置された第1の模様を有し、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して設定されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線における夫々の画線が、分断画線が等しい間隔で設定され、複数の画線が、二種類以上の間隔の分断画線から成り、種類ごとに異なる分断画線の所定の間隔が、夫々異なる識別情報に基づいて設定されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の分断画線が、互いに隣接する分断画線が成す複数の間隔が夫々埋め込まれる識別情報に対応して設定されたユニットを備え、ユニットが同じ構成によって複数連続的に配置されてユニット画線が構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、第1の模様が、複数の領域に分けられ、複数の領域に分けられた各領域の分断画線の間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して夫々設定されており、各領域に埋め込まれる識別情報は、領域ごとに異なることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線から成る模様が、複数の画線を構成する細画線が法線方向に沿って並列された複数の画線を含むユニット画線によって構成された第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様(nは3以上の整数)のうち少なくとも一つを有し、ユニット画線における複数の画線が成す法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線から成る模様が、第1の模様と、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様のうち少なくとも一つを有し、第1の模様の分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して設定され、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様のユニット画線における複数の画線が成す法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、第1の模様に埋め込まれる識別情報とは異なり、かつ、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明は、基材に、不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様を備えた印刷物に、文字、数字、記号等から成り、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法において、印刷物を光学的に画像を取得するステップと、取得した画像から、印刷物に印刷された複数の画線から成る模様における識別情報を読み取るステップと、ID情報部に識別情報部を付加するステップと、識別情報を関連付けた可視情報部を印刷するステップとを備えたことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法である。
【0020】
本発明は、基材に、少なくとも一つ以上の面版を有し、面版に不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を有する印刷模様を備えた印刷物に対し、文字、数字、記号等から構成された可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に対応した文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する印刷装置であって、識別情報を有する複数の画線から成る模様の画像を取得する光学読み取り部と、光学読み取り部で取得した複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、印刷物に設けるための可視情報部のID情報部に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加するプロセッサ部と、印刷部から搬送された印刷物に、プロセッサ部によって処理された可視情報を印刷する可視情報印刷部とを少なくとも備えたことを特徴とする印刷装置である。
【0021】
本発明は、文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有した不可視の識別情報入り印刷物の真偽判別装置であって、印刷物の複数の画線から成る模様及び可視情報を所得する画像入力(取得)部と、画像入力部により取得した複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、取得した可視情報との関連付けが一致しているか否かを判定するプロセッサ部とを少なくとも有する不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定装置である。
【0022】
本発明は、文字、数字、記号等から成る可視情報と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、可視情報が可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部である識別情報入りの印刷物の真偽判別方法であって、印刷物の複数の画線から成る模様及び可視情報を光学的に読み取って、画像データを取得するステップと、画像データを解析し、印刷物に印刷された複数の画線から成る模様の識別情報を取得するステップと、読み取った可視情報の識別情報部における識別情報が、画像データを解析して得た識別情報と一致しているか否かを判定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定方法である。
【発明の効果】
【0023】
印刷模様の中にも不可視な特徴を設け、更にその不可視な識別情報に関連付いた文字、数字、記号等から成る可視情報部を印刷することによって、文字、数字、記号等から成る可視情報部の改ざんや券面そのものの偽造を防止することができる。
【0024】
文字、数字、記号等から成る可視情報発給装置によって、光学読み取り部から得た複数の画線から成る模様中の識別情報を抽出し、多面印刷物乃至の印刷物に設けるための文字、数字、記号等から成る可視情報部のID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をすることができる。
【0025】
真偽判定装置によって、画像入力部から得た複数の画線から成る模様中の識別情報を取得し、真偽判定者が手入力した文字、数字、記号等から成る可視情報部と識別情報との関連付けが一致しているか否かを判定することによって、ネットワーク技術や印刷物に加味する電子的な補助媒体に頼ることのない真偽判定ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、識別情報を備えた印刷物である。本発明の印刷物を、図面を用いて詳細に説明する。また、本発明を実施するための最良の形態では、文字、数字、記号等から成る可視情報部を記番号の例で説明し、更に、第1の模様を地紋模様、第2の模様を彩紋エレメントの例で説明するが、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲における技術的思想に基づく範囲において実施することが可能である。
【0027】
可視情報である記番号は、基本的に「1、2、3、4・・・・」というように、ID情報の文字列で印刷されることが一般的である。記番号の印刷は、製造段階で行われるものであったり、また、発行段階で行われるものであったりするが、いずれにしてもID情報が重複することなく印刷されることが必要である。これによって、ID情報が施された印刷物は、それが唯一の物であることの証となる。すなわち、印刷物は、印刷された枚数分だけ同じ模様が存在することによって個性がないが故に、記番号によって個性を付与されたものともいえる。
【0028】
そこで、本発明は、印刷模様の中にも不可視な特徴を設け、更にその不可視な特徴に関連付いた識別情報と、印刷物個別のID情報とを合わせた記番号として印刷することによって、記番号の改ざんや券面そのものの偽造を防止することが目的とするものである。
【0029】
図1は、本発明の印刷物の一例を示したものである。印刷物2には第1の模様である地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された識別情報部n2によって構成している。すなわち、図1に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0030】
地紋模様1に施された識別情報Aは、特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、複数本の細画線の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線で構成し、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0031】
一方、図2に示す印刷物2には、図1と同じように地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された識別情報部n2によって構成している。すなわち、図2に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Bを関連付けて印刷したものである。
【0032】
地紋模様1に施された識別情報Bは、特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、複数本の細画線の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線で構成され、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0033】
図1及び図2に示す記番号を施すことによって、不心得者が記番号を改ざんしたとしても、改ざんされた記番号から第3者による真偽判定の際に地紋模様1の識別情報との関連付けを確認できないので、その印刷物は、悪意によって偽造されたものと容易に判断することができる。
【0034】
図3の多面印刷物3は、図1の印刷物2を多面印刷したときの記番号の状態を示したものである。図3の多面印刷物3の例では、印刷面が16面であり、記番号は、「1〜16」あるとする。図示はしていないが、さらに図1で示した地紋模様1に施してある識別情報Aがあることによって、記番号のID情報部n1は、「0001〜0016」であり、識別情報部n2は、「A」として印刷する。これにより、図3の多面印刷物3の記番号は、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0035】
図4の多面印刷物4は、図3の多面印刷物3の例と同様に印刷面が16面であり、図1並びに図2のように異なる識別情報を設けて多面印刷したときの記番号の状態を示したもので、記番号は「1〜16」まであるとする。多面印刷物4の向かって左端の列は図1に示した識別情報Aを備え、左から2列目は図2に示した識別情報Bを備え、他の列においても同様に異なる識別情報を設けている。記番号のID情報部n1は「0001〜0016」であり、識別情報部n2は列に従って「A、B、C、D」として印刷する。これにより、図4の多面印刷物4の記番号は、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報A〜Dを関連付けて印刷したものである。
【0036】
次に、印刷物2に複数の識別情報を設けた例を説明する。図5は、地紋模様1を二つの領域に分け、一方を識別情報A、他方を識別情報Eとし、印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された二つの識別情報部n2とn3によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aに対応した識別情報部n2と、識別情報Eに対応した識別情報部n3を関連付けて印刷したものである。
【0037】
それぞれ識別情報の違いは、図1及び図2で説明した第1の模様と同様に特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線で構成し、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応している。また、図5の例では、地紋模様1を4分割し中心を点対称として交互に異なる識別情報を施している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0038】
また、さらに図6の多面印刷物5は、図3及び図4の例で説明した多面印刷物の例と同様に印刷面が16面であり、図5のような複数の識別情報を設けた印刷物を多面印刷したときの記番号の状態を示したもので、記番号は、「1〜16」あるとする。多面印刷物5に向かって左側の列から異なる識別情報A、B、C、Dを設け、向かって上側の行から異なる識別情報E、F、G、Hを設けている。記番号のID情報部n1は、「0001〜0016」であり、識別情報部n2は、列に従って「A、B、C、D」として印刷し、識別情報部n3は、行に従って「E、F、G、H」として印刷する。これにより、図6の多面印刷物5の記番号は、ID情報に加えて地紋模様1中の16種類の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0039】
図7は、地紋模様1を構成する地紋画線に複数の識別情報を施した例である。印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された二つの識別情報部n2とn3によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aに対応した識別情報部n2と、識別情報Eに対応した識別情報部n3を関連付けて印刷したものである。なお、地紋模様1に2種類の識別情報を備えていることから、図6の多面印刷物5と同様な記番号を設けることができる。
【0040】
特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、地紋模様1の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線のうち、分断する間隔の異なるものを同じ地紋模様1中に設けている。例えば、一方の分断する間隔異なる地紋画線を識別情報Aとし、他方の分断する間隔異なる地紋画線を識別情報Eとすることで、地紋模様1中に2種類の異なる意味を成す識別情報を施している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0041】
次に識別情報の冗長度を高めた地紋模様1の例を説明する。図8の印刷物2は、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された識別情報部n4によって構成している。すなわち、図8に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Code1を関連付けて印刷したものである。
【0042】
地紋模様1に施された識別情報Code1は、特願2002−50606に示された画線構成を成すもので、地紋模様1の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線が、識別情報の冗長度を高めるために、隣接する分断線がなす複数の間隔をそれぞれ埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0043】
また、さらに図9は地紋模様1を二つの領域に分け、一方を識別情報Code1、他方を識別情報Code2とし、印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された二つの識別情報部n4とn5によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Code1に対応した識別情報部n4と、識別情報Code2に対応した識別情報部n5を関連付けて印刷したものである。
【0044】
それぞれ識別情報の違いは、図8で説明した第1の模様と同様に特願2002−50606に示された画線構成を成すもので、地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線が、識別情報の冗長度を高めたるために、隣接する分断線が成す複数の間隔を夫々埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。また、図9の例では、地紋模様1を4分割し中心を点対称として交互に異なる識別情報を施している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0045】
図10は、第2の模様である幾何学模様を成す彩紋エレメント6と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と彩紋エレメント6に施された識別情報部n6によって構成している。識別情報Code3は、幾何学模様の意匠の中に含まれてしまうため、不可視な情報として彩紋エレメント6中に設けることができる。すなわち、図10に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3を関連付けて印刷したものである。
【0046】
彩紋エレメント6に施された識別情報Code3は、特願2005−96758に示された画線構成を成すもので、彩紋エレメント6を構成する画線の一部に、並列された複数の画線が成す法線方向の夫々の間隔を、埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。
【0047】
さらに、図11は、彩紋エレメント6を二つ設け、一方を識別情報Code3、他方を識別情報Code4とし、識別情報Code3及び識別情報Code4は幾何学模様の意匠の中に含まれてしまうため、不可視な情報として彩紋エレメント6中に設けることができる。印刷物2には、彩紋エレメント6と記番号Nが印刷されている。記番号Nは英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と彩紋エレメント6に施された二つの識別情報部n6とn7によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えては、彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4に対応した識別情報部n7を関連付けて印刷したものである。
【0048】
それぞれ識別情報の違いは、図10で説明した彩紋エレメント6と同様に、特願2005−96758に示された画線構成を成すもので、彩紋エレメント6を構成する画線の一部に、並列された複数の画線が成す法線方向の夫々の間隔を、埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。
【0049】
図12は、図11で説明したものと同様の彩紋エレメント6を二つ設け、一方を識別情報Code3、他方を識別情報Code4とし、さらに図1で説明した識別情報Aを有する地紋模様1を背景に設けている。印刷物2には、彩紋エレメント6と地紋模様1と記番号Nとが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と彩紋エレメント6に施された二つの識別情報部n6とn7と地紋模様1の識別情報部n2によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4に対応した識別情報部n7と、地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0050】
以上のように、印刷物上の地紋模様1及び彩紋エレメント6に施された情報が記番号Nと関連付けされることによって、記番号Nの改ざんや券面そのものの偽造を困難にさせることができる。また、地紋模様1及び彩紋エレメント6に施された情報の組合せは、本願実施例に限るものではなく、バーコード、二次元コード等の光学的に識別情報を識別できる模様を含めて様々な組合せをもって記番号Nと関連付けすることができる。またさらに、記番号Nに施された情報の関連付けを容易に判読することができなくするように、所定の乱数等によって暗号化すると一層偽造防止策として有効である。
【0051】
次に本発明の記番号を印刷する方法について説明する。図13は、記番号を印刷するまでの基本的なフローを示したものである。
【0052】
先ず、ステップf1では、印刷物2又は多面印刷物3乃至5の光学式読み取りを行う。次にステップf2では、地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6の識別情報を取得する。この識別情報の取得については、後述の光学式読み取り部8を用いる。次にステップ3では、後述のプロセッサ部10の処理にて記番号NのID情報に識別情報部を付加する。次にステップ4では、識別情報を関連付けた記番号Nを印刷するものである。
【0053】
次に本発明の記番号を印刷する装置について説明する。
【0054】
図14は、多面印刷物又は単面印刷物にて本発明の記番号を印刷する記番号印刷装置を示すものである。本発明の記番号を付与装置は、図14に示されたように、印刷部7、光学読み取り部8、記番号印刷部9、プロセッサ部10を備えている。
【0055】
印刷部7は、印刷物2を多面印刷するものである。多面印刷物の形態は、図3、4及び6で示した多面印刷物3乃至5である。印刷方式は、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷等、印刷方式を何ら限定するものではない。
【0056】
光学読み取り部8は、CCDカメラ又はCCDラインセンサ等の光学式画像読み取り装置を備えている。光学読み取り部8にて、印刷部7から印刷されたのち搬送された多面印刷物3乃至5上の印刷物2の地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6が画像入力される。
【0057】
プロセッサ部10は、光学読み取り部8から得た地紋模様1及びまたは彩紋エレメント6中の識別情報を抽出し、多面印刷物3乃至5の印刷物2に設けるための記番号NのID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をする。
【0058】
記番号印刷部9は、プロセッサ部10によって処理された記番号Nを、搬送された多面印刷物3乃至5上の印刷物2において、地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6の識別情報との関連する面上に印刷する。
【0059】
図15は、地紋模様1及び/又は第2の模様が印刷済みの単面印刷物にて本発明の記番号発給装置を示すものである。本発明の記番号を付与装置は、図15に示されたような記番号発給装置11であり、光学読み取り部8、記番号印刷部9、プロセッサ部を備え、併せて、給紙部12、搬送部13、排紙部14を備えている。
【0060】
給紙部12は、単面の印刷物2を記番号発給装置11内に給紙し、光学読み取り部8に印刷物2を送る。
【0061】
光学読み取り部8は、CCDカメラ又はCCDラインセンサ等の光学式画像読み取り装置を備えている。光学読み取り部8にて、給紙部12にて給紙された単面の印刷物2の地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6が画像入力される。
【0062】
プロセッサ部10は、光学読み取り部8から得た地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6中の識別情報を抽出し、単面の印刷物2に設けるための記番号NのID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をする。
【0063】
搬送部13は、光学読み取り部8で画像入力した単面の印刷物2を記番号印刷部9に搬送する。
【0064】
記番号印刷部9は、プロセッサ部10によって処理された記番号Nを、搬送部13から搬送された単面の印刷物2に印刷する。
【0065】
排紙部14は、記番号印刷部9によって記番号Nが印刷された単面の印刷物2を記番号発給装置11から排紙する。
【0066】
次に本発明の印刷物2を真偽判定する装置ついて説明する。図16は、真偽判定装置とそれを用いて真偽判定を行っている状態を示したものである。
【0067】
図16に示すように真偽判定装置15は、画像入力部16、ディスプレイ17、キーボード18、プロセッサ部19とを備えている。
【0068】
画像入力部16は、CCDカメラ又はCCDラインセンサ等の光学式画像読み取り装置を備えている。画像入力部16にて、印刷物2の地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6が画像入力される。
【0069】
ディスプレイ17は、画像入力部16で得た画像情報が表示及び真偽判定結果が表示される。
【0070】
キーボード18は、印刷物2上の記番号Nを真偽判定者が手入力を行うものである。
【0071】
プロセッサ部19は、画像入力部16から得た地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6中の識別情報を抽出し、キーボード18にて手入力された記番号Nとの関連付けが一致しているか否かを判定し、その結果をディスプレイ17に送る。
【0072】
次に本発明の印刷物2を真偽判定する方法について説明する。図17は、印刷物2を真偽判定する方法の基本的なフローを示したものである。
【0073】
まず、ステップf5では、真偽判定装置15の画像入力部16が印刷物2の光学式読み取りを行う。例えば、図10の印刷物2の彩紋エレメント6を、図16で示されたような真偽判定装置15の構成を有する、例えば、カメラ付携帯電話機のような装置を用い、識別情報を含むとされる印刷部位を撮影する。次にステップf6では、画像入力部16から得た画像データをプロセッサ部19が解析し、地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6の識別情報を取得する。
【0074】
次にステップ7では、真偽判定者が印刷物2上の記番号Nを参照し、キーボード18にて手入力を行う。ステップf8では、プロセッサ部19がキーボード18にて手入力された記番号Nとの関連付けが一致しているか否かを判定する。この判定により、印刷物2が真正物であると判定した場合は、ステップf9に進み、真正物であることをディスプレイ17に表示し、印刷物2が真正物ではないと判定した場合は、ステップf10に進み、真正物ではないことをディスプレイ17に表示する。
【0075】
本発明の真偽判定装置15では、図10に示した彩紋エレメント6から識別情報を得ているが、これ以外の構成の印刷物でも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】地紋模様1と識別情報Aを関連付けた記番号Nが印刷された全体図である。
【図2】地紋模様1と識別情報Bを関連付けた記番号Nが印刷された全体図である。
【図3】図1の印刷物2を多面印刷したときの記番号の状態を示した全体図である。
【図4】図1及び図2のように異なる識別情報を設けて多面印刷した全体図である。
【図5】地紋模様1を二つの領域に分け、一方を識別情報A、他方を識別情報Eとし、印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷された全体図である。
【図6】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の16種類の識別情報Aを関連付けて印刷した全体図である。
【図7】地紋模様1を構成する地紋画線に複数の識別情報を施した全体図である。
【図8】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の識別情報Code1を関連付けて印刷した全体図である。
【図9】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の識別情報Code1に対応した識別情報部n4と、識別情報Code2に対応した識別情報部n5を関連付けて印刷した全体図である。
【図10】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の識別情報Code3を関連付けて印刷した全体図である。
【図11】ID情報の記番号に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4に対応した識別情報部n7を関連付けて印刷した全体図である。
【図12】ID情報の記番号に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4対応した識別情報部n7と、地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷した全体図である。
【図13】記番号を印刷するまでの基本的なフローを示した図である。
【図14】多面印刷物又は単面印刷物にて本発明の記番号を印刷する記番号印刷装置を示した図である。
【図15】地紋模様1及び/又は第2の模様が印刷済みの単面印刷物にて本発明の記番号発給装置を示した図である。
【図16】真偽判定装置とそれを用いて真偽判定を行っている状態を示した図である。
【図17】印刷物2を真偽判定する方法の基本的なフローを示した図である。
【符号の説明】
【0077】
1 第1の模様
2 印刷物
3、4、5 多面印刷物
6 第2の模様
7 印刷部
8 光学式読み取り部
9 記番号印刷部
10 プロセッサ部
11 記番号発給装置
12 給紙部
13 搬送部
14 排紙部
15 真偽判定装置
16 画像入力部
17 ディスプレイ
18 キーボード
19 プロセッサ部
A、B、E 識別情報
Code1、Code2、Code3、Code4 識別情報
N 記番号
n1 ID情報部
n2、n3、n4、n5、n6、n7 識別情報部
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、各種有価証券、証明書等の個体識別を必要とする印刷物の改ざん防止及び偽造防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券等、各種有価証券、証明書等は、印刷によって複数枚印刷しているものである。すなわち一つの券種すべてが同じ模様を印刷している。また、それらの印刷物が固有であることを明確にするため、個々の券面には文字、数字、記号等から成る可視情報部(例えば、記番号)が印刷されているのが一般的である。この記番号は、印刷物を個体判別するのに重要であり、仮に同じ模様で記番号が異なる印刷物があると、一方が真正で、他方が偽造又は複製であることが一目瞭然でわかる。
【0003】
当然ながら、製造工程では券面一枚ごとに確実に異なる文字、数字、記号等から成る可視情報部が印刷されていることが重要である。例えば、特開平11−348242のように、模様と文字、数字、記号等から成る可視情報部を含む印刷物の券面を画像入力部によって入力し、得られた画像信号をパターンマッチング回路によって印刷された記番号が適切であるかを判定する装置もあるように、印刷後の管理技術によって今日では同じ記番号の印刷物が市中に出回ることはほとんどない。
【0004】
しかし、記番号は、印刷物中の一部分に印刷されているに過ぎず、不心得者によって簡単に改ざんされてしまうという欠点がある。もちろん、印刷物に改ざん防止及び偽造防止を施すことは言うまでもないが、近年のスキャナ、カラー複写機の普及に伴い、有価証券や証明書の不正な複製が容易となってきた。
【0005】
こうした状況にかんがみ、記番号を機械認証する方法はこれまで数多く検討されている。例えば、特開2002−67555は、機械読み取り要素の変動セキュリティ要素において、一般に視認可能な要素は固定しておき、不可視要素としての機械的な要素のみを変動させるものである。この場合、変動する要素についての真偽判定においては、その変動要素のデータを持つことが必要である。これは、スタンドアローンの装置では困難であるが、ネットワークでこれらの変動要素による情報をデータベース端末に送ることにより真偽判定精度を向上させることができるとしている。つまり、現在のネットワーク技術をセキュリティに活用することにより、従来の手法の弱点を補うことができる。この場合、この変動要素の情報を特定のデータベース端末に集中することにより秘密保持が可能となり、また、偽造犯の分析は不可能となる。
【0006】
また、今日では、有価証券や証明書を取り扱うに場面に際し、ICメモリーカード等の電子媒体を用いた認証技術によって犯罪を防ぐ取組もある。このように印刷物のみならず、ネットワーク技術との併用や電子回路等の電子的な補助媒体を印刷物に設けることによってセキュリティを高めるのに有効である。
【0007】
しかし、ネットワーク技術や印刷物に加味する電子的な補助媒体を用いた認証技術は、優れた方法ではあるものの、一方では認証用端末にかかわるインフラ整備や、電子化された情報そのものを保護するという問題もある。少なくとも真偽判定を電子的な方法のみに任せるのではなく、印刷物の中だけで完結する簡便な方法が求められている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−348242
【特許文献2】特開2002−67555
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
幾何学模様から成る印刷模様の中にも不可視な特徴を設け、更にその不可視な特徴に関連付いた文字、数字、記号等から成る可視情報を印刷することによって、文字、数字、記号等から成る可視情報の改ざんや券面そのものの偽造を防止することを目的とするものである。
【0010】
また、文字、数字、記号等から成る可視情報発給装置によって、光学読み取り部から得た複数の画線から成る模様の幾何学模様中の識別情報を抽出し、多面印刷物乃至の印刷物に設けるための文字、数字、記号等から成る可視情報部のID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をすることを目的とするものである。
【0011】
また、さらに、真偽判定装置によって、画像入力部から得た複数の画線から成る模様中の識別情報を取得し、真偽判定者が手入力した文字、数字、記号等から成る可視情報部と識別情報との関連付けが一致しているか否かを判定することによって、ネットワーク技術や印刷物に加味する電子的な補助媒体に頼ることのない真偽判定を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様とを備え、複数の画線は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が、埋め込まれる識別情報に対応して設定され、可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有していることを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物である。
【0013】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線から成る模様が、複数の画線を構成する細画線が長手方向と直交する方向に延びる分断画線であり、細画線の長手方向に沿って所定の間隔を有するように分断画線が複数配置された第1の模様を有し、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して設定されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線における夫々の画線が、分断画線が等しい間隔で設定され、複数の画線が、二種類以上の間隔の分断画線から成り、種類ごとに異なる分断画線の所定の間隔が、夫々異なる識別情報に基づいて設定されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の分断画線が、互いに隣接する分断画線が成す複数の間隔が夫々埋め込まれる識別情報に対応して設定されたユニットを備え、ユニットが同じ構成によって複数連続的に配置されてユニット画線が構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、第1の模様が、複数の領域に分けられ、複数の領域に分けられた各領域の分断画線の間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して夫々設定されており、各領域に埋め込まれる識別情報は、領域ごとに異なることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線から成る模様が、複数の画線を構成する細画線が法線方向に沿って並列された複数の画線を含むユニット画線によって構成された第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様(nは3以上の整数)のうち少なくとも一つを有し、ユニット画線における複数の画線が成す法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の不可視の識別情報入り印刷物は、複数の画線から成る模様が、第1の模様と、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様のうち少なくとも一つを有し、第1の模様の分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して設定され、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様のユニット画線における複数の画線が成す法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、第1の模様に埋め込まれる識別情報とは異なり、かつ、第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明は、基材に、不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様を備えた印刷物に、文字、数字、記号等から成り、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法において、印刷物を光学的に画像を取得するステップと、取得した画像から、印刷物に印刷された複数の画線から成る模様における識別情報を読み取るステップと、ID情報部に識別情報部を付加するステップと、識別情報を関連付けた可視情報部を印刷するステップとを備えたことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法である。
【0020】
本発明は、基材に、少なくとも一つ以上の面版を有し、面版に不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を有する印刷模様を備えた印刷物に対し、文字、数字、記号等から構成された可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に対応した文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する印刷装置であって、識別情報を有する複数の画線から成る模様の画像を取得する光学読み取り部と、光学読み取り部で取得した複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、印刷物に設けるための可視情報部のID情報部に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加するプロセッサ部と、印刷部から搬送された印刷物に、プロセッサ部によって処理された可視情報を印刷する可視情報印刷部とを少なくとも備えたことを特徴とする印刷装置である。
【0021】
本発明は、文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有した不可視の識別情報入り印刷物の真偽判別装置であって、印刷物の複数の画線から成る模様及び可視情報を所得する画像入力(取得)部と、画像入力部により取得した複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、取得した可視情報との関連付けが一致しているか否かを判定するプロセッサ部とを少なくとも有する不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定装置である。
【0022】
本発明は、文字、数字、記号等から成る可視情報と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、可視情報が可視情報単独の文字列から成るID情報部と、識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部である識別情報入りの印刷物の真偽判別方法であって、印刷物の複数の画線から成る模様及び可視情報を光学的に読み取って、画像データを取得するステップと、画像データを解析し、印刷物に印刷された複数の画線から成る模様の識別情報を取得するステップと、読み取った可視情報の識別情報部における識別情報が、画像データを解析して得た識別情報と一致しているか否かを判定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定方法である。
【発明の効果】
【0023】
印刷模様の中にも不可視な特徴を設け、更にその不可視な識別情報に関連付いた文字、数字、記号等から成る可視情報部を印刷することによって、文字、数字、記号等から成る可視情報部の改ざんや券面そのものの偽造を防止することができる。
【0024】
文字、数字、記号等から成る可視情報発給装置によって、光学読み取り部から得た複数の画線から成る模様中の識別情報を抽出し、多面印刷物乃至の印刷物に設けるための文字、数字、記号等から成る可視情報部のID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をすることができる。
【0025】
真偽判定装置によって、画像入力部から得た複数の画線から成る模様中の識別情報を取得し、真偽判定者が手入力した文字、数字、記号等から成る可視情報部と識別情報との関連付けが一致しているか否かを判定することによって、ネットワーク技術や印刷物に加味する電子的な補助媒体に頼ることのない真偽判定ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、識別情報を備えた印刷物である。本発明の印刷物を、図面を用いて詳細に説明する。また、本発明を実施するための最良の形態では、文字、数字、記号等から成る可視情報部を記番号の例で説明し、更に、第1の模様を地紋模様、第2の模様を彩紋エレメントの例で説明するが、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲における技術的思想に基づく範囲において実施することが可能である。
【0027】
可視情報である記番号は、基本的に「1、2、3、4・・・・」というように、ID情報の文字列で印刷されることが一般的である。記番号の印刷は、製造段階で行われるものであったり、また、発行段階で行われるものであったりするが、いずれにしてもID情報が重複することなく印刷されることが必要である。これによって、ID情報が施された印刷物は、それが唯一の物であることの証となる。すなわち、印刷物は、印刷された枚数分だけ同じ模様が存在することによって個性がないが故に、記番号によって個性を付与されたものともいえる。
【0028】
そこで、本発明は、印刷模様の中にも不可視な特徴を設け、更にその不可視な特徴に関連付いた識別情報と、印刷物個別のID情報とを合わせた記番号として印刷することによって、記番号の改ざんや券面そのものの偽造を防止することが目的とするものである。
【0029】
図1は、本発明の印刷物の一例を示したものである。印刷物2には第1の模様である地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された識別情報部n2によって構成している。すなわち、図1に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0030】
地紋模様1に施された識別情報Aは、特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、複数本の細画線の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線で構成し、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0031】
一方、図2に示す印刷物2には、図1と同じように地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された識別情報部n2によって構成している。すなわち、図2に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Bを関連付けて印刷したものである。
【0032】
地紋模様1に施された識別情報Bは、特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、複数本の細画線の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線で構成され、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0033】
図1及び図2に示す記番号を施すことによって、不心得者が記番号を改ざんしたとしても、改ざんされた記番号から第3者による真偽判定の際に地紋模様1の識別情報との関連付けを確認できないので、その印刷物は、悪意によって偽造されたものと容易に判断することができる。
【0034】
図3の多面印刷物3は、図1の印刷物2を多面印刷したときの記番号の状態を示したものである。図3の多面印刷物3の例では、印刷面が16面であり、記番号は、「1〜16」あるとする。図示はしていないが、さらに図1で示した地紋模様1に施してある識別情報Aがあることによって、記番号のID情報部n1は、「0001〜0016」であり、識別情報部n2は、「A」として印刷する。これにより、図3の多面印刷物3の記番号は、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0035】
図4の多面印刷物4は、図3の多面印刷物3の例と同様に印刷面が16面であり、図1並びに図2のように異なる識別情報を設けて多面印刷したときの記番号の状態を示したもので、記番号は「1〜16」まであるとする。多面印刷物4の向かって左端の列は図1に示した識別情報Aを備え、左から2列目は図2に示した識別情報Bを備え、他の列においても同様に異なる識別情報を設けている。記番号のID情報部n1は「0001〜0016」であり、識別情報部n2は列に従って「A、B、C、D」として印刷する。これにより、図4の多面印刷物4の記番号は、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報A〜Dを関連付けて印刷したものである。
【0036】
次に、印刷物2に複数の識別情報を設けた例を説明する。図5は、地紋模様1を二つの領域に分け、一方を識別情報A、他方を識別情報Eとし、印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された二つの識別情報部n2とn3によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aに対応した識別情報部n2と、識別情報Eに対応した識別情報部n3を関連付けて印刷したものである。
【0037】
それぞれ識別情報の違いは、図1及び図2で説明した第1の模様と同様に特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線で構成し、分断画線における間隔は、埋め込まれる識別情報に対応している。また、図5の例では、地紋模様1を4分割し中心を点対称として交互に異なる識別情報を施している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0038】
また、さらに図6の多面印刷物5は、図3及び図4の例で説明した多面印刷物の例と同様に印刷面が16面であり、図5のような複数の識別情報を設けた印刷物を多面印刷したときの記番号の状態を示したもので、記番号は、「1〜16」あるとする。多面印刷物5に向かって左側の列から異なる識別情報A、B、C、Dを設け、向かって上側の行から異なる識別情報E、F、G、Hを設けている。記番号のID情報部n1は、「0001〜0016」であり、識別情報部n2は、列に従って「A、B、C、D」として印刷し、識別情報部n3は、行に従って「E、F、G、H」として印刷する。これにより、図6の多面印刷物5の記番号は、ID情報に加えて地紋模様1中の16種類の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0039】
図7は、地紋模様1を構成する地紋画線に複数の識別情報を施した例である。印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された二つの識別情報部n2とn3によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Aに対応した識別情報部n2と、識別情報Eに対応した識別情報部n3を関連付けて印刷したものである。なお、地紋模様1に2種類の識別情報を備えていることから、図6の多面印刷物5と同様な記番号を設けることができる。
【0040】
特願2002−1519に示された画線構成を成すもので、地紋模様1の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線のうち、分断する間隔の異なるものを同じ地紋模様1中に設けている。例えば、一方の分断する間隔異なる地紋画線を識別情報Aとし、他方の分断する間隔異なる地紋画線を識別情報Eとすることで、地紋模様1中に2種類の異なる意味を成す識別情報を施している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0041】
次に識別情報の冗長度を高めた地紋模様1の例を説明する。図8の印刷物2は、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された識別情報部n4によって構成している。すなわち、図8に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Code1を関連付けて印刷したものである。
【0042】
地紋模様1に施された識別情報Code1は、特願2002−50606に示された画線構成を成すもので、地紋模様1の地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線が、識別情報の冗長度を高めるために、隣接する分断線がなす複数の間隔をそれぞれ埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0043】
また、さらに図9は地紋模様1を二つの領域に分け、一方を識別情報Code1、他方を識別情報Code2とし、印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と地紋模様1に施された二つの識別情報部n4とn5によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて地紋模様1中の識別情報Code1に対応した識別情報部n4と、識別情報Code2に対応した識別情報部n5を関連付けて印刷したものである。
【0044】
それぞれ識別情報の違いは、図8で説明した第1の模様と同様に特願2002−50606に示された画線構成を成すもので、地紋画線を長手方向に沿って所定の間隔をもって分断した分断画線が、識別情報の冗長度を高めたるために、隣接する分断線が成す複数の間隔を夫々埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。また、図9の例では、地紋模様1を4分割し中心を点対称として交互に異なる識別情報を施している。分断する間隔が微細であるが故に、肉眼視で識別することができず、不可視な情報として地紋模様1中に設けることができる。
【0045】
図10は、第2の模様である幾何学模様を成す彩紋エレメント6と記番号Nが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と彩紋エレメント6に施された識別情報部n6によって構成している。識別情報Code3は、幾何学模様の意匠の中に含まれてしまうため、不可視な情報として彩紋エレメント6中に設けることができる。すなわち、図10に示す印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3を関連付けて印刷したものである。
【0046】
彩紋エレメント6に施された識別情報Code3は、特願2005−96758に示された画線構成を成すもので、彩紋エレメント6を構成する画線の一部に、並列された複数の画線が成す法線方向の夫々の間隔を、埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。
【0047】
さらに、図11は、彩紋エレメント6を二つ設け、一方を識別情報Code3、他方を識別情報Code4とし、識別情報Code3及び識別情報Code4は幾何学模様の意匠の中に含まれてしまうため、不可視な情報として彩紋エレメント6中に設けることができる。印刷物2には、彩紋エレメント6と記番号Nが印刷されている。記番号Nは英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と彩紋エレメント6に施された二つの識別情報部n6とn7によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えては、彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4に対応した識別情報部n7を関連付けて印刷したものである。
【0048】
それぞれ識別情報の違いは、図10で説明した彩紋エレメント6と同様に、特願2005−96758に示された画線構成を成すもので、彩紋エレメント6を構成する画線の一部に、並列された複数の画線が成す法線方向の夫々の間隔を、埋め込まれる情報に対応して設定することによって特定の符号を奏している。
【0049】
図12は、図11で説明したものと同様の彩紋エレメント6を二つ設け、一方を識別情報Code3、他方を識別情報Code4とし、さらに図1で説明した識別情報Aを有する地紋模様1を背景に設けている。印刷物2には、彩紋エレメント6と地紋模様1と記番号Nとが印刷されている。記番号Nは、英数字の文字列から成り、文字列中には、印刷物2のID情報部n1と彩紋エレメント6に施された二つの識別情報部n6とn7と地紋模様1の識別情報部n2によって構成している。すなわち、印刷物2の記番号Nは、ID情報に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4に対応した識別情報部n7と、地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷したものである。
【0050】
以上のように、印刷物上の地紋模様1及び彩紋エレメント6に施された情報が記番号Nと関連付けされることによって、記番号Nの改ざんや券面そのものの偽造を困難にさせることができる。また、地紋模様1及び彩紋エレメント6に施された情報の組合せは、本願実施例に限るものではなく、バーコード、二次元コード等の光学的に識別情報を識別できる模様を含めて様々な組合せをもって記番号Nと関連付けすることができる。またさらに、記番号Nに施された情報の関連付けを容易に判読することができなくするように、所定の乱数等によって暗号化すると一層偽造防止策として有効である。
【0051】
次に本発明の記番号を印刷する方法について説明する。図13は、記番号を印刷するまでの基本的なフローを示したものである。
【0052】
先ず、ステップf1では、印刷物2又は多面印刷物3乃至5の光学式読み取りを行う。次にステップf2では、地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6の識別情報を取得する。この識別情報の取得については、後述の光学式読み取り部8を用いる。次にステップ3では、後述のプロセッサ部10の処理にて記番号NのID情報に識別情報部を付加する。次にステップ4では、識別情報を関連付けた記番号Nを印刷するものである。
【0053】
次に本発明の記番号を印刷する装置について説明する。
【0054】
図14は、多面印刷物又は単面印刷物にて本発明の記番号を印刷する記番号印刷装置を示すものである。本発明の記番号を付与装置は、図14に示されたように、印刷部7、光学読み取り部8、記番号印刷部9、プロセッサ部10を備えている。
【0055】
印刷部7は、印刷物2を多面印刷するものである。多面印刷物の形態は、図3、4及び6で示した多面印刷物3乃至5である。印刷方式は、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷等、印刷方式を何ら限定するものではない。
【0056】
光学読み取り部8は、CCDカメラ又はCCDラインセンサ等の光学式画像読み取り装置を備えている。光学読み取り部8にて、印刷部7から印刷されたのち搬送された多面印刷物3乃至5上の印刷物2の地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6が画像入力される。
【0057】
プロセッサ部10は、光学読み取り部8から得た地紋模様1及びまたは彩紋エレメント6中の識別情報を抽出し、多面印刷物3乃至5の印刷物2に設けるための記番号NのID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をする。
【0058】
記番号印刷部9は、プロセッサ部10によって処理された記番号Nを、搬送された多面印刷物3乃至5上の印刷物2において、地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6の識別情報との関連する面上に印刷する。
【0059】
図15は、地紋模様1及び/又は第2の模様が印刷済みの単面印刷物にて本発明の記番号発給装置を示すものである。本発明の記番号を付与装置は、図15に示されたような記番号発給装置11であり、光学読み取り部8、記番号印刷部9、プロセッサ部を備え、併せて、給紙部12、搬送部13、排紙部14を備えている。
【0060】
給紙部12は、単面の印刷物2を記番号発給装置11内に給紙し、光学読み取り部8に印刷物2を送る。
【0061】
光学読み取り部8は、CCDカメラ又はCCDラインセンサ等の光学式画像読み取り装置を備えている。光学読み取り部8にて、給紙部12にて給紙された単面の印刷物2の地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6が画像入力される。
【0062】
プロセッサ部10は、光学読み取り部8から得た地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6中の識別情報を抽出し、単面の印刷物2に設けるための記番号NのID情報に、抽出した識別情報に対応した識別情報部を付加する処理をする。
【0063】
搬送部13は、光学読み取り部8で画像入力した単面の印刷物2を記番号印刷部9に搬送する。
【0064】
記番号印刷部9は、プロセッサ部10によって処理された記番号Nを、搬送部13から搬送された単面の印刷物2に印刷する。
【0065】
排紙部14は、記番号印刷部9によって記番号Nが印刷された単面の印刷物2を記番号発給装置11から排紙する。
【0066】
次に本発明の印刷物2を真偽判定する装置ついて説明する。図16は、真偽判定装置とそれを用いて真偽判定を行っている状態を示したものである。
【0067】
図16に示すように真偽判定装置15は、画像入力部16、ディスプレイ17、キーボード18、プロセッサ部19とを備えている。
【0068】
画像入力部16は、CCDカメラ又はCCDラインセンサ等の光学式画像読み取り装置を備えている。画像入力部16にて、印刷物2の地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6が画像入力される。
【0069】
ディスプレイ17は、画像入力部16で得た画像情報が表示及び真偽判定結果が表示される。
【0070】
キーボード18は、印刷物2上の記番号Nを真偽判定者が手入力を行うものである。
【0071】
プロセッサ部19は、画像入力部16から得た地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6中の識別情報を抽出し、キーボード18にて手入力された記番号Nとの関連付けが一致しているか否かを判定し、その結果をディスプレイ17に送る。
【0072】
次に本発明の印刷物2を真偽判定する方法について説明する。図17は、印刷物2を真偽判定する方法の基本的なフローを示したものである。
【0073】
まず、ステップf5では、真偽判定装置15の画像入力部16が印刷物2の光学式読み取りを行う。例えば、図10の印刷物2の彩紋エレメント6を、図16で示されたような真偽判定装置15の構成を有する、例えば、カメラ付携帯電話機のような装置を用い、識別情報を含むとされる印刷部位を撮影する。次にステップf6では、画像入力部16から得た画像データをプロセッサ部19が解析し、地紋模様1及び/又は彩紋エレメント6の識別情報を取得する。
【0074】
次にステップ7では、真偽判定者が印刷物2上の記番号Nを参照し、キーボード18にて手入力を行う。ステップf8では、プロセッサ部19がキーボード18にて手入力された記番号Nとの関連付けが一致しているか否かを判定する。この判定により、印刷物2が真正物であると判定した場合は、ステップf9に進み、真正物であることをディスプレイ17に表示し、印刷物2が真正物ではないと判定した場合は、ステップf10に進み、真正物ではないことをディスプレイ17に表示する。
【0075】
本発明の真偽判定装置15では、図10に示した彩紋エレメント6から識別情報を得ているが、これ以外の構成の印刷物でも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】地紋模様1と識別情報Aを関連付けた記番号Nが印刷された全体図である。
【図2】地紋模様1と識別情報Bを関連付けた記番号Nが印刷された全体図である。
【図3】図1の印刷物2を多面印刷したときの記番号の状態を示した全体図である。
【図4】図1及び図2のように異なる識別情報を設けて多面印刷した全体図である。
【図5】地紋模様1を二つの領域に分け、一方を識別情報A、他方を識別情報Eとし、印刷物2には、地紋模様1と記番号Nが印刷された全体図である。
【図6】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の16種類の識別情報Aを関連付けて印刷した全体図である。
【図7】地紋模様1を構成する地紋画線に複数の識別情報を施した全体図である。
【図8】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の識別情報Code1を関連付けて印刷した全体図である。
【図9】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の識別情報Code1に対応した識別情報部n4と、識別情報Code2に対応した識別情報部n5を関連付けて印刷した全体図である。
【図10】ID情報の記番号に加えて地紋模様1中の識別情報Code3を関連付けて印刷した全体図である。
【図11】ID情報の記番号に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4に対応した識別情報部n7を関連付けて印刷した全体図である。
【図12】ID情報の記番号に加えて彩紋エレメント6の識別情報Code3に対応した識別情報部n6と、識別情報Code4対応した識別情報部n7と、地紋模様1中の識別情報Aを関連付けて印刷した全体図である。
【図13】記番号を印刷するまでの基本的なフローを示した図である。
【図14】多面印刷物又は単面印刷物にて本発明の記番号を印刷する記番号印刷装置を示した図である。
【図15】地紋模様1及び/又は第2の模様が印刷済みの単面印刷物にて本発明の記番号発給装置を示した図である。
【図16】真偽判定装置とそれを用いて真偽判定を行っている状態を示した図である。
【図17】印刷物2を真偽判定する方法の基本的なフローを示した図である。
【符号の説明】
【0077】
1 第1の模様
2 印刷物
3、4、5 多面印刷物
6 第2の模様
7 印刷部
8 光学式読み取り部
9 記番号印刷部
10 プロセッサ部
11 記番号発給装置
12 給紙部
13 搬送部
14 排紙部
15 真偽判定装置
16 画像入力部
17 ディスプレイ
18 キーボード
19 プロセッサ部
A、B、E 識別情報
Code1、Code2、Code3、Code4 識別情報
N 記番号
n1 ID情報部
n2、n3、n4、n5、n6、n7 識別情報部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様とを備え、前記複数の画線は、複数の細画線から成り、前記細画線の隣り合う画線の間隔が、埋め込まれる識別情報に対応して設定され、前記可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有していることを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項2】
前記複数の画線から成る模様は、前記複数の画線を構成する前記細画線が長手方向と直交する方向に延びる分断画線であり、前記細画線の長手方向に沿って所定の間隔を有するように前記分断画線が複数配置された第1の模様を有し、前記分断画線における間隔は、前記埋め込まれる識別情報に対応して設定されていることを特徴とする請求項1記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項3】
前記複数の画線における夫々の画線は、前記分断画線が等しい間隔で設定され、前記複数の画線が、二種類以上の間隔の分断画線から成り、前記種類ごとに異なる分断画線の所定の間隔が、夫々異なる前記識別情報に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項4】
前記複数の分断画線は、互いに隣接する前記分断画線が成す複数の間隔が夫々埋め込まれる識別情報に対応して設定されたユニットを備え、前記ユニットが同じ構成によって複数連続的に配置されてユニット画線が構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項5】
前記第1の模様は、複数の領域に分けられ、前記複数の領域に分けられた各領域の前記分断画線の間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して夫々設定されており、前記各領域に埋め込まれる前記識別情報は、領域ごとに異なることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項6】
前記複数の画線から成る模様は、前記複数の画線を構成する前記細画線が法線方向に沿って並列した複数の画線を含むユニット画線によって構成された第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様(nは3以上の整数)のうち少なくとも一つを有し、前記ユニット画線における前記複数の画線が成す前記法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項7】
前記複数の画線から成る模様は、第1の模様と、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様のうち少なくとも一つを有し、前記第1の模様の分断画線における間隔は、埋め込まれる不可視情報に対応して設定され、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様のユニット画線における複数の画線が成す法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、前記第1の模様に埋め込まれる識別情報とは異なり、かつ、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項8】
基材に、不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様を備えた印刷物に、文字、数字、記号等から構成された可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法において、前記印刷物を光学的に画像を取得するステップと、前記取得した画像から、前記印刷物に印刷された複数の画線から成る模様における識別情報を読み取るステップと、前記ID情報部に前記識別情報部を付加するステップと、前記識別情報を関連付けた前記可視情報部を印刷するステップとを備えたことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法。
【請求項9】
基材に、少なくとも一つ以上の面版を有し、前記面版に不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を有する印刷模様を備えた印刷物に対し、文字、数字、記号等から構成された可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に対応した文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する印刷装置であって、
前記識別情報を有する複数の画線から成る模様の画像を取得する光学読み取り部と、前記光学読み取り部で取得した前記複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、前記印刷物に設けるための可視情報部の前記ID情報部に、抽出した前記識別情報に対応した前記識別情報部を付加するプロセッサ部と、前記印刷部から搬送された前記印刷物に、前記プロセッサ部によって処理された前記可視情報を印刷する可視情報印刷部とを少なくとも備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、前記複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、前記細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、前記可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有した不可視の識別情報入り印刷物の真偽判別装置であって、
前記印刷物の複数の画線から成る模様及び前記可視情報を所得する画像入力(取得)部と、前記画像入力部により取得した前記複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、前記取得した可視情報との関連付けが一致しているか否かを判定するプロセッサ部とを少なくとも有する不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定装置。
【請求項11】
文字、数字、記号等から成る可視情報と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、前記複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、前記細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、前記可視情報が可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部である識別情報入りの印刷物の真偽判別方法であって、
前記印刷物の複数の画線から成る模様及び前記可視情報を光学的に読み取って、画像データを取得するステップと、前記画像データを解析し、前記印刷物に印刷された複数の画線から成る模様の識別情報を取得するステップと、前記読み取った可視情報の前記識別情報部における識別情報が、前記画像データを解析して得た識別情報と一致しているか否かを判定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定方法。
【請求項1】
文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様とを備え、前記複数の画線は、複数の細画線から成り、前記細画線の隣り合う画線の間隔が、埋め込まれる識別情報に対応して設定され、前記可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有していることを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項2】
前記複数の画線から成る模様は、前記複数の画線を構成する前記細画線が長手方向と直交する方向に延びる分断画線であり、前記細画線の長手方向に沿って所定の間隔を有するように前記分断画線が複数配置された第1の模様を有し、前記分断画線における間隔は、前記埋め込まれる識別情報に対応して設定されていることを特徴とする請求項1記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項3】
前記複数の画線における夫々の画線は、前記分断画線が等しい間隔で設定され、前記複数の画線が、二種類以上の間隔の分断画線から成り、前記種類ごとに異なる分断画線の所定の間隔が、夫々異なる前記識別情報に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項4】
前記複数の分断画線は、互いに隣接する前記分断画線が成す複数の間隔が夫々埋め込まれる識別情報に対応して設定されたユニットを備え、前記ユニットが同じ構成によって複数連続的に配置されてユニット画線が構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項5】
前記第1の模様は、複数の領域に分けられ、前記複数の領域に分けられた各領域の前記分断画線の間隔は、埋め込まれる識別情報に対応して夫々設定されており、前記各領域に埋め込まれる前記識別情報は、領域ごとに異なることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項6】
前記複数の画線から成る模様は、前記複数の画線を構成する前記細画線が法線方向に沿って並列した複数の画線を含むユニット画線によって構成された第2の模様、第3の模様、・・・、第n−1の模様及び第nの模様(nは3以上の整数)のうち少なくとも一つを有し、前記ユニット画線における前記複数の画線が成す前記法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項7】
前記複数の画線から成る模様は、第1の模様と、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様のうち少なくとも一つを有し、前記第1の模様の分断画線における間隔は、埋め込まれる不可視情報に対応して設定され、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様のユニット画線における複数の画線が成す法線方向の各線の中心間の距離及び/又は余白の間隔は、前記第1の模様に埋め込まれる識別情報とは異なり、かつ、前記第2の模様、前記第3の模様、・・・、前記第n−1の模様及び前記第nの模様ごとに埋め込まれる識別情報に対応して同じように、又は異なるように設定されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の不可視の識別情報入り印刷物。
【請求項8】
基材に、不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を少なくとも一つ有する印刷模様を備えた印刷物に、文字、数字、記号等から構成された可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法において、前記印刷物を光学的に画像を取得するステップと、前記取得した画像から、前記印刷物に印刷された複数の画線から成る模様における識別情報を読み取るステップと、前記ID情報部に前記識別情報部を付加するステップと、前記識別情報を関連付けた前記可視情報部を印刷するステップとを備えたことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の印刷方法。
【請求項9】
基材に、少なくとも一つ以上の面版を有し、前記面版に不可視の識別情報を有する複数の画線から成る模様を有する印刷模様を備えた印刷物に対し、文字、数字、記号等から構成された可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に対応した文字列から成る識別情報部を有する可視情報部を印刷する印刷装置であって、
前記識別情報を有する複数の画線から成る模様の画像を取得する光学読み取り部と、前記光学読み取り部で取得した前記複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、前記印刷物に設けるための可視情報部の前記ID情報部に、抽出した前記識別情報に対応した前記識別情報部を付加するプロセッサ部と、前記印刷部から搬送された前記印刷物に、前記プロセッサ部によって処理された前記可視情報を印刷する可視情報印刷部とを少なくとも備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
文字、数字、記号等から成る可視情報部と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、前記複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、前記細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、前記可視情報部は、可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部を有した不可視の識別情報入り印刷物の真偽判別装置であって、
前記印刷物の複数の画線から成る模様及び前記可視情報を所得する画像入力(取得)部と、前記画像入力部により取得した前記複数の画線から成る模様の識別情報を抽出し、前記取得した可視情報との関連付けが一致しているか否かを判定するプロセッサ部とを少なくとも有する不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定装置。
【請求項11】
文字、数字、記号等から成る可視情報と、複数の画線から成る模様を有する印刷模様とを備え、前記複数の画線から成る模様は、複数の細画線から成り、前記細画線の隣り合う画線の間隔が識別情報に対応して設定され、前記可視情報が可視情報単独の文字列から成るID情報部と、前記識別情報に関連付いた文字列から成る識別情報部である識別情報入りの印刷物の真偽判別方法であって、
前記印刷物の複数の画線から成る模様及び前記可視情報を光学的に読み取って、画像データを取得するステップと、前記画像データを解析し、前記印刷物に印刷された複数の画線から成る模様の識別情報を取得するステップと、前記読み取った可視情報の前記識別情報部における識別情報が、前記画像データを解析して得た識別情報と一致しているか否かを判定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする不可視の識別情報入り印刷物の真偽判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−184134(P2009−184134A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23634(P2008−23634)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
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