説明

不均一触媒およびそれを用いたトリアリールアミン化合物の製造方法

【課題】
工業的に有用なカップリング反応用不均一触媒、および当該不均一触媒を用いたトリアリールアミン化合物および/またはトリアリールアミン重合物の製造方法を提供する。
【解決手段】
担体、パラジウム化合物、およびトリ(tert−ブチル)ホスフィンとからなるカップリング反応用不均一触媒であって、パラジウム化合物の含有量が、担体重量に対して、パラジウム原子換算で、0.03〜0.2倍量であり、且つトリ(tert−ブチル)ホスフィンの含有量が、パラジウム化合物におけるパラジウム原子1モルに対して、0.6〜12倍モルであることを特徴とする不均一触媒を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体、パラジウム化合物および特定のホスフィン化合物を含むカップリング反応に用いられる不均一触媒、およびそれを用いるアリールアミン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子材料に用いられるトリアリールアミン化合物は、対応するアリールハライドとアリールアミン化合物との縮合反応で合成される。例えば、対応するヨウ化ベンゼン類とアリールアミン化合物から、銅触媒を用いて合成する方法(Ullmann反応)が知られているが、これらの反応では、多量の銅触媒の使用と、高い反応温度を要し、反応時間も長いなどの理由から、生成物であるトリアリールアミン化合物の収率が低くなると同時に、目的化合物の特性に悪影響を及ぼす不純物や分解物が副生する。このため、触媒の分離・除去やトリアリールアミン化合物の精製が困難となり、製造コストが高騰するという課題があった。近年、この課題を解決するために、不均一系の触媒の開発が行われている。
【0003】
パラジウムを含有する不均一系の触媒として、炭素に水酸化パラジウムおよび2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(ホスフィン配位子)を担持させた触媒を用いて、脂肪族アミン化合物とアリールハライドとを反応させる製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、パラジウムを担持した炭素とホスフィン配位子(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、またはジシクロヘキシルビフェニルホスフィン)とを組み合わせた不均一触媒によるトリアリールアミン化合物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2及び非特許文献1)。
【0005】
しかしながら、本発明者らの実験の結果、報告されている不均一触媒は、反応活性が低く、高い反応温度と長い反応時間を必要とするため、工業的利用に課題があることが分かった。
【0006】
他方、近年、電子材料部材向けのアリールアミン重合物の合成が盛んに検討されている。アリールアミン重合物の場合、低分子量アリールアミンに比べて、生成物からの触媒除去が困難なため、触媒が容易に除去可能な製造方法が求められている。
【0007】
以上のことから、工業的利用が可能で、反応後の除去が容易な、カップリング反応用不均一触媒、特に好ましくはアリールアミン化合物および/またはアリールアミン重合物製造用不均一触媒、およびそれを用いたアリールアミン化合物および/またはアリールアミン重合物の製造方法の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−336084号公報
【特許文献2】特開2006−335712号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Advanced Synthesis & Catalysis、巻、号、1523−1532頁(2010年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、工業的利用が可能で、反応後の除去が容易な、カップリング反応用不均一触媒、特に好ましくはアリールアミン化合物および/またはアリールアミン重合物製造用不均一触媒、およびそれを用いたアリールアミン化合物および/またはアリールアミン重合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、担体、パラジウム化合物、および特定のホスフィン化合物を含む不均一触媒を用いることによって、高収率でカップリング反応が達成されること、および高収率でアリールアミン化合物が得られることを見出し、さらには従来の不均一触媒では製造が困難であったトリアリールアミン重合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち本発明は、以下に示すとおりの不均一触媒、およびその用途に関するものである。
【0013】
[1]
カップリング反応に用いる不均一触媒であって、担体、パラジウム化合物、およびトリ(tert−ブチル)ホスフィンを含んでなり、パラジウム化合物の含有量が、担体重量に対して、パラジウム原子換算で、0.03〜0.2重量倍であり、且つトリ(tert−ブチル)ホスフィンの含有量が、パラジウム化合物におけるパラジウム原子1モルに対して、0.6〜12倍モルであることを特徴とする不均一触媒。
【0014】
[2]
カップリング反応が、アリールアミン化合物と脱離容易な置換基を有する芳香族化合物のカップリング反応であることを特徴とする[1]に記載の不均一触媒。
【0015】
[3]
担体が炭素であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の不均一触媒。
【0016】
[4]
[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の不均一触媒、溶媒および塩基の存在下、一般式(1)
【0017】
【化1】

【0018】
(式中、ArおよびArは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、または水素原子を示す。また、ArおよびArが、直接、または炭素、窒素、および酸素からなる群より選ばれる1〜3原子から構成される架橋構造によって、結合していても良い。但し、ArおよびArが同時に水素原子を示すことはない。)
で示されるアリールアミン化合物と、一般式(2)
【0019】
【化2】

【0020】
(式中、Arは、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基を示す。Xは脱離容易な置換基を示す。nは1〜10の整数を示す。)
で示される芳香族化合物とを反応させることを特徴とするトリアリールアミン化合物の製造方法。
【0021】
[5]
トリアリールアミン化合物が、一般式(3)
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、Arは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリーレン基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリーレン基を示す。Arは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基を示す。mは2以上の整数を示す。)
で示される骨格を有するトリアリールアミン重合物を含むものであることを特徴とする、[4]に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【0024】
[6]
パラジウム化合物の量が、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物1モルに対して、パラジウム原子換算で0.001〜0.2倍モルであることを特徴とする、[4]または[5]に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【0025】
[7]
塩基を、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物1モルに対して、1.0〜20倍モル使用することを特徴とする、[4]乃至[6]のいずれか一項に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【0026】
[8]
塩基が、アルカリ金属アルコキシドから選ばれる一種以上の塩基であることを特徴とする、[4]乃至[7]のいずれか一項に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【0027】
[9]
一般式(2)のXがハロゲン原子またはトリフレート基であることを特徴とする[4]乃至[8]のいずれか一項に記載の製造方法。
【0028】
[10]
反応温度が、60〜200℃であることを特徴とする[4]乃至[9]のいずれか一項に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明の不均一触媒は、従来の不均一触媒に比べて高い活性を示し、トリアリールアミン化合物の反応収率を極めて顕著に改善することができるため、工業的利用に適すると期待される。
【0030】
また、本発明の不均一触媒を用いれば、従来の不均一触媒では困難であったトリアリールアミン重合物の製造が可能となり、且つ触媒除去が著しく簡便で安価な製造プロセスを確立することが可能になる。当該トリアリールアミン重合物については、その化学構造的特性から、有機EL素子材料としての利用が期待される。
【0031】
また、本発明によれば、触媒の除去が容易になる上、触媒の再利用が可能になるため、製造コストを抑えることが出来る。したがって、有機電界発光素子や電子写真感光体等に利用されるトリアリールアミン化合物および/またはトリアリールアミン重合物を効率良く、安価に製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のカップリング反応用不均一触媒は、担体、パラジウム化合物、およびトリ(tert−ブチル)ホスフィンを含む不均一触媒であって、パラジウム化合物の含有量が、担体重量に対して、パラジウム原子換算で、0.03〜0.2重量倍であることを特徴とし、且つトリ(tert−ブチル)ホスフィンの含有量が、パラジウム化合物におけるパラジウム原子1モルに対して、0.6〜12倍モルであることを特徴とする不均一触媒である。
【0033】
ここで、経済性の点から、パラジウム化合物の含有量は、担体重量に対して、パラジウム原子換算で0.05〜0.15重量倍であることが好ましい。また、同様に経済性の点から、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの含有量は、パラジウム化合物におけるパラジウム原子1モルに対して、0.8〜10倍モルであることが好ましい。
【0034】
なお、本発明の不均一触媒は、パラジウム化合物が担持された担体(以下、「パラジウム担持物」とする)およびトリ(tert−ブチル)ホスフィンを含むものであってもよい。
【0035】
本発明の不均一触媒を用いるカップリング反応としては、特に限定するものではないが、例えば、ホウ素化合物と有機ハライド化合物とをクロスカップリングさせる反応(例えば、鈴木―宮浦カップリング反応)、有機マグネシウム試薬とハライド化合物とをクロスカップリングさせる反応(例えば、熊田カップリング反応)、有機亜鉛試薬とハライド化合物とをクロスカップリングさせる反応(例えば、根岸カップリング反応)、脱離容易な置換基を有するアリール化合物とアリールアミン化合物とをクロスカップリングさせる反応(例えば、Buchwald−Hartwig反応)、脱離容易な置換基を有するアリール化合物とアルキニルアリール化合物とをクロスカップリングさせる反応(例えば、薗頭カップリング反応)等をあげることができる。このうち、生成物が高純度、高効率で得られる点で、脱離容易な置換基を有するアリール化合物とアリールアミン化合物とをクロスカップリングさせる反応に用いることが特に好ましい。
【0036】
上記した、脱離容易な置換基を有するアリール化合物とアリールアミン化合物とをクロスカップリングさせる反応において、脱離容易な置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基(トリフレート基)、メタンスルホニルオキシ基等のアルカンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。このうち、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子またはトリフレート基である。また、脱離容易な置換基を有する芳香族化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(2)で示される芳香族化合物を挙げることができる。
【0037】
本発明の不均一触媒における担体としては、特に限定するものではないが、炭素、シリカ、アルミナ、ゼオライト、活性白土、樹脂等が挙げられる。このうち、比表面積が大きく、高触媒活性であり、且つ塩基に対して安定である点で、特に炭素が好ましい。
【0038】
パラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、硝酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物、テトラアンミンパラジウム(II)臭化物、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)硫酸塩、塩化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)パラジウム(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)等が挙げられる。
【0039】
パラジウム担持物は市販されているものを用いることができるし、公知の方法により製造したものを用いることもできる。また、含水品を用いても、乾燥品を用いてもよいが、反応活性の観点からは、乾燥品を用いることが好ましい。取り扱い安全面の観点から含水品を使用する場合も、使用直前に、不活性ガス雰囲気下において、アルコールやエーテル等の親水性の有機溶媒で洗浄後、さらにヘキサンやトルエン、キシレン等の非水系有機溶媒で洗浄し、重量減少がなくなるまで、真空乾燥することで、乾燥品と同等の効果を得ることができる。
【0040】
本発明の不均一触媒において、パラジウム化合物の含有量は、担体の重量に対して、パラジウム原子換算で、0.03〜0.2重量倍である。
【0041】
本発明の不均一触媒において、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの含有量はパラジウム化合物中のパラジウム原子1モルに対して、0.6〜12倍モルである。
【0042】
なお、本発明の不均一触媒は、反応の前に別途調整して用いることもできるし、反応において試薬を混合する際、または反応中に調整して用いることもできる。
【0043】
本発明のトリアリールアミン製造方法(以下、「本製造方法」とする)は、上記の不均一触媒を用いてトリアリールアミン化合物および/またはトリアリールアミン重合物を製造することを特徴とする。
【0044】
具体的には、上記の不均一触媒、溶媒、および塩基の存在下、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物と、一般式(2)で示される芳香族化合物とを反応させることによって、トリアリールアミン化合物を製造することができる。このとき製造されるトリアリールアミン化合物としては、一般式(3)で示される骨格を有するトリアリールアミン重合物を含んでもよい。
【0045】
本製造方法において、溶媒としては、通常、反応に不活性な溶媒が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、水、エーテル系有機溶媒、芳香族炭化水素系有機溶媒等が挙げられる。より具体的には、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの溶媒の中で、特にトルエン、キシレン、メシチレンが好ましい。溶媒は脱気処理して使用することが好ましい。
【0046】
本製造方法における塩基としては、特に限定されないが、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムアミド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウム金属、カリウム金属、リチウム金属等の無機塩基、メトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシナトリウム、エトキシカリウム、エトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム等のアルカリ金属アルコキシドからなる群より選ばれる1種以上の塩基を用いることが出来る。
【0047】
また、塩基の使用量としては、特に限定するものではないが、一般式(2)で示される芳香族化合物1モルに対して1.0〜20倍モル使用することが好ましい。1.0倍モル以上であれば反応が十分に進行し、20倍モル以下であれば経済的にも好ましい。
【0048】
本製造方法において、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物は以下のように示される。
【0049】
【化4】

【0050】
ArおよびArは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、または水素原子を示す。
【0051】
炭素数1〜18の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロエチル基等のハロゲン化アルキル基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基等のアリール基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2−シアノフェノキシ基、3−シアノフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、4−ビフェニルオキシ基、3−ビフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、2−メチルピリジル基、3−メチルピリジル基、4−メチルピリジル基、2−メトキシピリジル基、3−メトキシピリジル基、4−メトキシピリジル基、2−シアノピリジル基、3−シアノピリジル基、4−シアノピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5−トリアジル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、アクリジニル基、1,10−フェナントロリル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基等のヘテロアリール基、ジフェニルアミノ基、フェニルビフェニルアミノ基等を挙げることができる。
【0052】
ここで、炭素数1〜18の置換基は、炭素数6〜60のアリール基または炭素数4〜20のヘテロアリール基上に複数結合していても良い。複数結合している場合は、炭素数1〜18の置換基の種類が異なっていてもよいし、同一であっても良い。
【0053】
炭素数6〜60のアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、ピレニル基、スピロビフルオレニル基、スチルベニル基等を挙げることができる。
【0054】
炭素数4〜20のヘテロアリール基としては、特に限定するものではないが、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、2−メチルピリジル基、3−メチルピリジル基、4−メチルピリジル基、2−メトキシピリジル基、3−メトキシピリジル基、4−メトキシピリジル基、2−シアノピリジル基、3−シアノピリジル基、4−シアノピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5−トリアジル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、アクリジニル基、1,10−フェナントロリル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基等を挙げることができる。
【0055】
ArおよびArは、同一であっても異なっていても良いが、ArおよびArが同時に水素原子を示すことはない。すなわち、アンモニアであることはない。
【0056】
また、ArおよびArが、直接、または炭素、窒素、および酸素からなる群より選ばれる1〜3の原子から構成される架橋構造によって、結合していても良い。
【0057】
上記の架橋構造としては、特に限定するものではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、オキシビスメチレン基等が挙げられる。
【0058】
この場合、上記の架橋構造、ならびに一般式(1)におけるAr、Arおよび窒素原子を構成要素とする環状骨格が形成される。当該環状骨格としては、特に限定するものではないが、例えば、カルバゾール骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、ジチエノピロール骨格、ジフロピロール骨格等を挙げることができる。
【0059】
なお、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
【0060】
本製造方法において、一般式(2)で示される芳香族化合物は以下のように示される。
【0061】
【化5】

【0062】
Arは、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基を示す。
【0063】
炭素数1〜18の置換基、炭素数6〜60のアリール基、および炭素数4〜20のヘテロアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、ArおよびArで例示した炭素数1〜18の置換基、炭素数6〜60のアリール基、および炭素数4〜20のヘテロアリール基と同じものを挙げることができる。
【0064】
なお、Arにおいて、炭素数1〜18の置換基は、炭素数6〜60のアリール基または炭素数4〜20のヘテロアリール基上に複数結合していても良い。複数結合している場合は、炭素数1〜18の置換基の種類が異なっていてもよいし、同一であっても良い。
【0065】
Xは、脱離容易な置換基を示す。
【0066】
脱離容易な置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基(トリフレート基)、メタンスルホニルオキシ基等のアルカンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。このうち、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子またはトリフレート基である。
【0067】
一般式(2)で示される芳香族化合物において、nは、1〜10の整数を示す。このうち、1〜5の整数が、原料入手性の点で、好ましい。
【0068】
一般式(2)で示される芳香族化合物としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
【0069】
本製造方法において、一般式(3)で示される骨格を有するアリールアミン重合物は以下のように示される。
【0070】
【化6】

【0071】
Arは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリーレン基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリーレン基を示す。
【0072】
炭素数1〜18の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、Ar、およびArで示した炭素数1〜18の置換基と同じ置換基を例示することができる。
【0073】
ここで、炭素数1〜18の置換基は、炭素数6〜60のアリーレン基または炭素数4〜20のヘテロアリーレン基上に複数結合していても良い。複数結合している場合は、置換基が異なっていてもよく、同一であっても良い。
【0074】
炭素数6〜60のアリーレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニレン基、トリレン基、メトキシフェニレン基、シアノフェニレン基、ビフェニリレン基、ターフェニリレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、フェナントリレン基、ベンゾフルオレニレン基、ピレニレン基、スピロビフルオレニレン基、スチルベニレン基等を挙げることができる。
【0075】
炭素数4〜20のヘテロアリーレン基としては、特に限定するものではないが、イミダゾールジイル基、ピラゾールジイル基、チアゾールジイル基、イソチアゾールジイル基、オキサゾールジイル基、イソオキサゾールジイル基、ピリジンジイル基、メトキシピリジンジイル基、シアノピリジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピラジンジイル基、1,3,5−トリアジンジイル基、ベンゾイミダゾールジイル基、インダゾールジイル基、ベンゾチアゾールジイル基、ベンゾイソチアゾールジイル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾールジイル基、ベンゾオキサゾールジイル基、ベンゾイソオキサゾールジイル基、2,1,3−ベンゾオキサジアゾールジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、キノキサリンジイル基、キナゾリンジイル基、アクリジニンジイル基、1,10−フェナントロリンジイル基、ピロリンジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基、インドールジイル基、ベンゾチオフェンジイル基、4−カルバゾールジイル基、9−カルバゾールジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基、ジベンゾフランジイル基等を挙げることができる。
【0076】
Arは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基を示す。
【0077】
炭素数1〜18の置換基、炭素数6〜60のアリール基、および炭素数4〜20のヘテロアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、ArおよびArで例示した炭素数1〜18の置換基、炭素数6〜60のアリール基、および炭素数4〜20のヘテロアリール基と同じものを挙げることができる。
【0078】
なお、Arにおいて、炭素数1〜18の置換基は、炭素数6〜60のアリール基または炭素数4〜20のヘテロアリール基上に複数結合していても良い。複数結合している場合は、炭素数1〜18の置換基の種類が異なっていてもよいし、同一であっても良い。
【0079】
mは、2以上の整数を示す。
【0080】
本製造方法における不均一触媒の使用量は、パラジウム化合物の量が、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物1モルに対して、パラジウム原子換算で0.001〜0.20倍モルとなるようにすることが好ましく、0.005〜0.15倍モルとすることがより好ましく、0.001〜0.10倍モルとすることがさらに好ましい。0.001倍モル以上であれば十分に反応が進行し、0.2倍モル以下であれば経済的に好ましく、さらに、パラジウム化合物の反応液への漏出が抑えられる点でも好ましい。
【0081】
本製造方法における一般式(1)で示されるアリールアミン化合物、および一般式(2)で示される芳香族化合物の使用量(例えば、モル比)は、特に限定されるものではなく、任意で設定することができる。このうち、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物の使用量が、一般式(2)で示される芳香族化合物1モルに対して、0.10〜20倍モルであると好ましく、より好ましくは、0.25〜15倍モルである。
【0082】
上記した原料のモル比は、通常、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物のアミン級数、一般式(2)で示される芳香族化合物におけるnの値、および目的とするトリアリールアミン化合物の構造を考慮した上で決められる。
【0083】
本製造方法の反応条件としては、特に限定するものではないが、不活性ガス雰囲気下および/または水素雰囲気下、0.1〜3.0MPaの圧力下、60〜200℃の温度範囲、好適には80〜180℃の温度範囲で実施することができる。
【0084】
本製造方法の反応時間は、反応条件によって変化するため、特に限定するものではないが、例えば、0.5〜72時間で任意に選択することができる。
【実施例】
【0085】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、生成物の分析には次の機器を使用した。
【0086】
ガスクロマトグラフ:キャピラリーカラム(J&W Science社製 商品名「DB−5」)を備えた島津製作所社製 GC−17Aを用い、100℃から300℃まで10℃/分で昇温し、FID(水素炎イオン検出器)で検出した。
【0087】
また、パラジウム担持物として、担体に対するパラジウム化合物の担持量が、パラジウム原子換算で、0.05倍量のPd/C(E101 O/W 5%Pd、Evonik Degussa社製、「パラジウム担持物A」とする)、および0.1倍量のPd/C(CGS−10DR、N.E.CHEMCAT社製、「パラジウム担持物B」とする)を用いた。
(トリ(tert−ブチル)ホスフィンの効果)
【0088】
【化7】

【0089】
実施例1
冷却管、温度計を装着した50mLの丸底フラスコに、室温下、窒素雰囲気でブロモベンゼン 1.4g(9.0mmol)、3−メチルジフェニルアミン 1.1g(6.0mmol)、パラジウム担持物B 0.13g(パラジウム原子 0.12mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.86g(9.0mmol)およびo−キシレン 6.0gを混合した。窒素を約20分間流通させた後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(以下、「P−(tBu)」と示す場合もある) 36.4mg(0.18mmol)を溶解させたo−キシレン(150μL)溶液を添加し、常圧下、110℃まで加温してから2時間攪拌した。なお、収率はガスクロマトグラフィーを用いて、n−エイコサンを内部標準物質とした内部標準法で算出した。結果を表1に示した。
【0090】
実施例2
パラジウム担持物Bを64mg(パラジウム原子 0.060mmol)に変更、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 18.2mg(0.090mmol)を溶解させたo−キシレン(75μL)溶液を使用した以外は、実施例1と同様に操作した。結果を表1に示した。
【0091】
比較例1〜4
トリ(tert−ブチル)ホスフィン 36.4mg(0.18mmol)の代わりに、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf) 100mg(0.18mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(P(Cy)) 50.5mg(0.18mmol)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP) 112mg(0.18mmol)、またはトリ−o−トリルホスフィン(P(o−Tol)) 55mg(0.18mmol)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様に操作した。結果を表1に示した。
【0092】
なお、表1における触媒量とは下記式により求めた。
触媒量=不均一触媒中パラジウム原子の量(mol)/ブロモベンゼンの量(mol)
【0093】
【表1】

【0094】
(反応温度の効果)
実施例3〜5
反応温度を表2に示した温度に変更した以外は、実施例1と同様に操作した。結果を表2に示した。
【0095】
【表2】

【0096】
(脱離容易な置換基およびアリール基の適用範囲)
実施例6〜13
ブロモベンゼンを表3に示した化合物に変更した以外は、実施例1と同様に操作した。なお、表3で示した化合物の添加量はいずれも9.0mmolである。したがって、触媒量(=不均一触媒中パラジウム原子の量(mol)/ブロモベンゼンの量(mol))はすべて0.02となる。
【0097】
但し、実施例9のみ反応時間を20時間とした。結果を表3に示した。
【0098】
【表3】

【0099】
実施例14
ブロモベンゼンをジヨードビフェニル 1.8g(4.5mmol)に変更した以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、ビス(3−メチルジフェニルアミノ)ビフェニルが収率82%で得られた。
【0100】
実施例15〜16
実施例1で得られた反応液に窒素雰囲気下で脱気処理した水 5.0gとo−キシレン 4.0gを追加し、パラジウム担持物Bおよびトリ(tert−ブチル)ホスフィンを含んでなる不均一触媒をろ過した。ろ別した不均一触媒をo−キシレン 10gで3回洗浄した後、回収した。回収した不均一触媒を全量使用して実施例1と同じ操作を行った(実施例15)。さらに同様にして再回収した不均一触媒を全量使用して、実施例1と同じ操作を行った(実施例16)。以上の結果を表4に示した。
【0101】
この結果、本発明の不均一触媒は、繰返し使用が可能であることが分かった。
【0102】
【表4】

【0103】
(アリールアミン重合物の製造)
実施例17
冷却管、温度計を装着した100mLナス型フラスコに、室温下、窒素雰囲気でジヨードビフェニル 2.4g(6.0mmol)、p−ブチルアニリン 0.94g(6.3mmol)、パラジウム担持物A 1.3g(パラジウム原子 0.60mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.4g(14mmol)およびメシチレン 15gを混合した。窒素を約20分間流通させた後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 0.49g(2.4mmol)を溶解させたo−キシレン(1.9mL)溶液を添加し、165℃で24時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却した後、トルエンおよび水を添加し、ろ過により不均一触媒を除去した。ろ液の水層部を分液除去した後、有機層を濃縮して得られた反応濃縮液をアセトン中へ攪拌しながらへゆっくり加えた。アセトン中で固体の析出が確認された。ろ過により固体をろ別回収し、アセトンで洗浄した後、減圧乾燥し、淡黄色粉体0.1gを得た。得られた淡黄色粉体は、THF系GPC(東ソー製:HLC−8220;カラム:TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH1000(いずれも東ソー社製)の組み合わせ)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量2,700、数平均分子量2,300のトリアリールアミン重合物であることが分かった。
【0104】
実施例18 (鈴木―宮浦カップリングへの適用/4−メチル−1,1’−ビフェニルの合成)
冷却管、温度計を装着した100mLナス型フラスコに、室温下、窒素雰囲気でブロモベンゼン 1.00g(6.37mmol)、4−トリルボロン酸 0.91g(6.69mmol)、パラジウム担持物A 34.1mg(パラジウム原子 0.032mmol)、ジメトキシエタン 20mLおよび20wt%炭酸ナトリウム水溶液 10.1g(炭酸ナトリウムとして 19.1mmol)を加えた。窒素を約20分間流通させた後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 9.7mg(0.048mmol)を溶解させたo−キシレン(41μL)溶液を添加し、還流下で6時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、濾過により不均一触媒を回収し、さらに有機層を分液した。有機層をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、92%の収率で4−メチル−1,1’−ビフェニルが得られた。
【0105】
実施例19 (鈴木―宮浦カップリングへの適用/トリアリールアミン誘導体の合成) ブロモベンゼンの代わりに4−ブロモトリフェニルアミン 2.07g(6.37mmol)を使用した以外は、参考例1と同様に操作した結果、4’−メチル−N,N−ジフェニルビフェニル−4−アミンの収率は84%であった。
【0106】
実施例20 (薗頭カップリングへの適用)
冷却管、温度計を装着した100mLナス型フラスコに4−クロロヨードベンゼン 2.38g(0.010mol)、フェニルアセチレン 1.13g(0.011mol)、トリエチルアミン 4.06g(0.040mol)、パラジウム担持物B 0.21g(パラジウム原子 0.20mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド 20mL、脱イオン水20mLを室温下、窒素雰囲気で加え、窒素を約20分間流通させた後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン 61mg(0.30mmol)を溶解させたo−キシレン(71μL)溶液を添加し、100℃で24時間加熱還流した。
【0107】
反応終了後、トルエン100mLおよび5wt%NaCl水溶液 50mLを加えた後、濾過により、不均一触媒を回収し、有機層を分液した。有機層を脱イオン水 50mLで水洗し、さらに硫酸ナトリウムで乾燥した。ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、収率85%で1−クロロ−4−(フェニルエチニル)ベンゼンが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップリング反応に用いる不均一触媒であって、担体、パラジウム化合物、およびトリ(tert−ブチル)ホスフィンを含んでなり、パラジウム化合物の含有量が、担体重量に対して、パラジウム原子換算で、0.03〜0.2重量倍であり、且つトリ(tert−ブチル)ホスフィンの含有量が、パラジウム化合物におけるパラジウム原子1モルに対して、0.6〜12倍モルであることを特徴とする不均一触媒。
【請求項2】
カップリング反応が、アリールアミン化合物と脱離容易な置換基を有する芳香族化合物のカップリング反応であることを特徴とする請求項1に記載の不均一触媒。
【請求項3】
担体が炭素であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の不均一触媒。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の不均一触媒、溶媒および塩基の存在下、一般式(1)
【化1】

(式中、ArおよびArは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基、または水素原子を示す。また、ArおよびArが、直接、または炭素、窒素、および酸素からなる群より選ばれる1〜3原子から構成される架橋構造によって、結合していても良い。但し、ArおよびArが同時に水素原子を示すことはない。)
で示されるアリールアミン化合物と、一般式(2)
【化2】

(式中、Arは、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基を示す。Xは脱離容易な置換基を示す。nは1〜10の整数を示す。)
で示される芳香族化合物とを反応させることを特徴とするトリアリールアミン化合物の製造方法。
【請求項5】
トリアリールアミン化合物が、一般式(3)
【化3】

(式中、Arは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリーレン基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリーレン基を示す。Arは、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜60のアリール基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリール基を示す。mは2以上の整数を示す。)
で示される骨格を有するトリアリールアミン重合物を含むものであることを特徴とする、請求項4に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【請求項6】
パラジウム化合物の量が、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物1モルに対して、パラジウム原子換算で0.001〜0.2倍モルであることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【請求項7】
塩基を、一般式(1)で示されるアリールアミン化合物1モルに対して、1.0〜20倍モル使用することを特徴とする、請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【請求項8】
塩基が、アルカリ金属アルコキシドから選ばれる一種以上の塩基であることを特徴とする、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。
【請求項9】
一般式(2)のXがハロゲン原子またはトリフレート基であることを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
反応温度が、60〜200℃であることを特徴とする請求項4乃至請求項9のいずれか一項に記載のトリアリールアミン化合物製造方法。

【公開番号】特開2013−52384(P2013−52384A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−289306(P2011−289306)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】