説明

不完全縮合オリゴシルセスキオキサンの製造方法

【課題】
完全縮合型POSSの骨格の再配列により、不完全縮合POSS誘導体を得る新規な製造方法の提供。
【解決手段】
一般式(1)



[式中、Phはフェニル基を表す。]
で示される完全縮合オクタフェニルオクタシルセスキオキサンを、水−アルコール溶媒中、アルカリの共存下、加水分解反応させることを特徴とする不完全縮合POSS誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不完全縮合オリゴシルセスキオキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不完全縮合のオリゴシルセスキオキサン骨格は、シルセスキオキサンを含むポリマー、シリカ担持触媒、ネットワークポリマー等の合成ブロックとして重要な役割をはたしている(例えば、非特許文献1)。不完全縮合ポリヘドラルオリゴシルセスキオキサン(以下、POSSということがある)の合成について、Feherらは完全縮合型POSS骨格の「controlled cleavage」を試みている(例えば、非特許文献2)。
【非特許文献1】マクロモレキュールス(Macromolecules)2007年,40巻,16号,5698−5705頁
【非特許文献2】ジャーナル・オブ・ディ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)1997年,119巻,46号,11323−11324頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、完全縮合型POSSの骨格の再配列(reshuffling process)により、環状四量体、不完全縮合POSS誘導体を得る新規な製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一般式(1)
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、Phはフェニル基を表す。]
で示される完全縮合オクタフェニルオクタシルセスキオキサン(以下、Ph−Tということがある)を、水−アルコール溶媒中、アルカリの共存下、加水分解反応させ、必要により、次いで保護基で保護することを特徴とする一般式(2)
【0007】
【化2】



【0008】
[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状テトラシロキサン、一般式(3)
【化3】


[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状ヘプタシルセスキオキサン及び/又は一般式(4)
【化4】


[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状オクタシルセスキオキサンの製造方法である(請求項1)。
【0009】
また、本発明は、アルコールが、炭素数1から4の分枝されていてもよい脂肪族アルコールから選択される請求項1に記載の製造方法である(請求項2)。
【0010】
更に、本発明は、アルカリが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、炭素数1から4のアルキル置換基をもつ四級アンモニウム塩の水酸化物及び炭素数1から4のアルキル置換基をもつ四級アンモニウム塩のフッ素物から選択される請求項1乃至請求項2の何れかに記載の製造方法である(請求項3)。
【0011】
更にまた、本発明は、反応温度が、室温から溶媒の還流温度の範囲から選択される請求項1乃至請求項3の何れかに記載の製造方法である(請求項4)。
次に、本発明は、一般式(1)
【化5】


[式中、Phはフェニル基を表す。]
で示される完全縮合オクタフェニルオクタシルセスキオキサン(Ph−T)を、水−アルコール溶媒中、アルカリの共存下、加水分解反応させ、次いで保護基(クロロトリメチルシランなどのシランカップリング剤)で保護することを特徴とする一般式(5)
【化6】

[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状1,3,5,7−テトラキス(トリメチルシリル)テトラフェニルテトラシロキサン(TOTMS)、一般式(6)
【化7】

[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状3,7,14−トリス(トリメチルシリル)ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシルセスキオキサン(TOTMS)及び/又は一般式(7)
【化8】

[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状5,11,14,17−テトラキス(トリメチルシリル)オクタフェニルテトラシクロ[7.3.3.33,7]オクタシルセスキオキサン(DDTOTMS)の製造方法である(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、完全縮合型POSSの骨格の再配列により、環状四量体、不完全縮合POSS誘導体を得る新規な製造方法の提供にある。本発明の特徴は、水-アルコール溶媒及びアルカリの仕込みモル比、反応温度などを任意に変化させることで、前記一般式(2)の環状テトラシロキサン(環状四量体骨格)、一般式(3)の環状ヘプタシルセスキオキサン(T骨格)及び一般式(4)の環状オクタシルセスキオキサン(DDT骨格)の不完全縮合POSS誘導体を任意に得る新規な製造方法の提供にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、前述のとおり、一般式(1)
【0014】
【化9】

【0015】
[式中、Phはフェニル基を表す。]
で示される完全縮合オクタフェニルオクタシルセスキオキサン(Ph−T)を、水−アルコール溶媒中、アルカリの共存下、加水分解反応させ、必要により、次いで保護基で保護することを特徴とする一般式(2)
【0016】
【化10】



【0017】
[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状テトラシロキサン、一般式(3)
【化11】


[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状ヘプタシルセスキオキサン及び/又は一般式(4)
【化12】


[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状オクタシルセスキオキサンの製造方法である。
中でも、本発明は、一般式(1)
【化13】


[式中、Phはフェニル基を表す。]
で示される完全縮合オクタフェニルオクタシルセスキオキサン(Ph−T)を、水−アルコール溶媒中、アルカリの共存下、加水分解反応させ、次いで保護基(クロロトリメチルシランなどのシランカップリング剤)で保護することを特徴とする一般式(5)
【化14】

[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状1,3,5,7−テトラキス(トリメチルシリル)テトラフェニルテトラシロキサン(TOTMS)、一般式(6)
【化15】


[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状3,7,14−トリス(トリメチルシリル)ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシルセスキオキサン(TOTMS)及び/又は一般式(7)
【化16】

[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状5,11,14,17−テトラキス(トリメチルシリル)オクタフェニルテトラシクロ[7.3.3.33,7]オクタシルセスキオキサン(DDTOTMS)の製造方法である。
【0018】
以下、本発明の加水分解反応機構の詳細について更に具体的に説明する。
水-アルコール中、水酸化ナトリウムによる完全縮合型オクタフェニルオクタシルセスキオキサン(Ph−T)の加水分解では、反応温度と出発物質の比率に依存して環状四量体、DDT、T骨格を選択的に得ることができる。合成結果を表1に示す。
【0019】
【表1】



a;Ph−T/溶媒=1mmol/6mL
b;Ph−T/溶媒=1mmol/10mL
【0020】
室温下、40時間、2-プロパノール中、水と水酸化ナトリウム(Ph−T:HO:NaOH=1:2:4のモル比)でPh−Tを加水分解し、トリメチルクロロシランで処理すると、全てcis-体の環状四量体(TOTMS)が主生成物として得られた(表1, No.1)。
【0021】
1−[ビス(トリメチルシロキシ)]フェニル−3,5,7−トリス(トリメチルシロキシ)−1,3,5,7−テトラフェニルシクロシロキサンは、Ph−Tの加水分解、続く室温下でのトリメチルシリル(TMS)基保護により得られた。この事実は、Ph−Tの橋かけ部分の開裂、及び環状部分の緩やかな開裂を示唆している。
【0022】
ダブルデッカー型POSSであるDDTOTMSは、2−プロパノール中で還流、もしくは2-メチル−1−プロパノール中、90℃で、24時間加水分解を行うと高収率で得られる(表1、No.2と3)。
【0023】
出発物質のモル比(Ph−T:HO:NaOH)を1:2:4から1:1:2に変えると、3,7,14−トリス(トリメチルシリル)ヘプタフェニルトリシクロ「7.3.3.15,11」ヘプタシルセスキオキサン(TOTMS)が主生成物として得られる(表1、No.4)。
【0024】
以下、本発明の加水分解反応の実際について更に具体的に説明する。
【0025】
本発明の製造方法に用いられる炭素数1から4の分枝されていてもよい脂肪族アルコールとしては、具体的には、エタノール、2−プロパノール、2-メチル−1−プロパノール、n−ブタノールもしくはSec−ブタノールなどが挙げられる。中でも、2−プロパノールもしくは2-メチル−1−プロパノールが好ましくは用いられる。
【0026】
本発明の製造方法に用いられるアルカリとしては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、炭素数1から4のアルキル置換基をもつ四級アンモニウム塩の水酸化物、炭素数1から4のアルキル置換基をもつ四級アンモニウム塩のフッ素物から選択されるが、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。中でも、水酸化ナトリウムが好ましくは用いられる。
【0027】
本発明の製造方法において、反応温度は、室温から水−アルコール溶媒の還流温度の範囲内で選択される。
【0028】
本発明の製造方法において、目的物の取出し、分離方法は、晶析法又は濃縮乾固法による通常の方法によって行われる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例によって本発明の方法を更に具体的に説明する。
【0030】
実施例1
Ph−T(4.14g,4mmol)と水酸化ナトリウム(0.64g,16mmol)の入っている100mLの二口フラスコを窒素置換した。次いで、2−プロパノール(24mL)と水(8mmol)を反応器に加え、室温下で40時間攪拌した。反応終了後、ろ過により白色固体を得、2−プロパノールで洗浄して、真空下、70℃で乾燥させた。生成物を同定しやすくするために、ONa基を以下の実験手順でトリメチルシリル基保護した。
【0031】
100mLの二口フラスコに上記生成物(1.20g)を加えて同様に窒素置換した。氷水浴下、テトラヒドロフラン(THF;10mL)、トリエチルアミン(1.8g,17.8mmol)、クロロトリメチルシラン(2.3g,21.2mmol)を反応器に加え、反応溶液を室温下で3時間攪拌し、氷水浴下で水(10mL)を反応器にゆっくり加えた。攪拌を止めて有機層を分離し、蒸留水を加えて洗浄して中性にし、ヘキサン(10mL)を有機層に加えた。有機溶媒や水に不溶固体が析出したが、これはケイ素核磁気共鳴測定(29Si−NMR;δ=78.31ppm)から未反応のPh−Tと同定した。
【0032】
その結果、Ph−Tの転換率は77%であった。トリメチルシリル保護した生成物として、1,3,5,7−テトラ(トリメチルシロキシ)−1,3,5,7−テトラフェニルシクロシロキサン(TOTMS)を分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により得た。全組成中のTOTMSの重量比は50%であった。
【0033】
1−[ビス(トリメチルシロキシ)]フェニル−3,5,7−トリス(トリメチルシロキシ)−1,3,5,7−テトラフェニルシクロシロキサンをマトリックス支援レーザー脱離方式イオン化-飛行時間型質量分析装置(MALDI−TOF−MS)から得たスペクトルを図1に示す[MALDI−TOF−MS(m/z):1073.84[M+Na], calc.1073.26]。
【0034】
分取前のSECクロマトグラム、Mw/Mn=1940/1860(26.17%); 1090/1080(73.83%)を図2に示す。分取後のSECクロマトグラムは、Mw/Mn=1960/1050。
【0035】
化合物同定データを以下に示す。
元素分析:C% 51.82(found),51.38(calc.); H% 6.53(found),6.71(calc.).
MALDI−TOF−MS(m/z): 863.94([M+Na], calc.863.20) .
29Si−NMR δ(ppm): 10.51(OSiMe),−79.66(OSiPh).
【0036】
実施例2
還流下で24時間攪拌させる以外は、室温で反応させるのと同様の操作手順で行った。反応終了後、ろ過により白色固体を得、2−プロパノールで洗浄して、真空下、70℃で乾燥させた。得られた生成物は、5,11,14,17−テトラ(ソディオ)オクタフェニルテトラシクロ[7.3.3.33,7]オクタシルセスキオキサノレート(DDTONa)であった。収量:4.21g(収率91%)。生成物を同定しやすくするために、ONa基を以下の実験手順で、トリメチルシリル基保護した。100mLの二口フラスコに上記生成物(0.61g,0.53mmol)を加えて同様に窒素置換した。氷水浴下、THF(10mL)、トリエチルアミン(1.8g,17.8mmol)、クロロトリメチルシラン(2.3g,21.2mmol)を反応器に加えた。反応溶液を室温下で3時間攪拌し、氷水浴下で水(10mL)を反応器にゆっくり加えた。攪拌を止めて有機層を分離し、蒸留水を加えて洗浄して中性にし、ヘキサン(10mL)を有機層に加えた。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して白色固体を得た。収量:0.52g(収率72%)。単結晶は、生成物を含むヘキサン溶液中で溶媒をゆっくり蒸発させることにより得、単結晶X−線回折により決定した(図3に示す)。生成物を元素分析、SEC、MALDI−TOF−MS、29Si−NMR、単結晶X−線回折により5,11,14,17−テトラキス(トリメチルシリル)オクタフェニルテトラシクロ[7.3.3.33,7]オクタシルセスキオキサン(DDTOTMS)と同定した。
【0037】
化合物同定データを以下に示す。
元素分析:C% 53.92(found),53.06(calc.);H% 5.83 (found),5.64(calc.).
SEC:Mw/Mn=1240/1230.
MALDI−TOF−MS(m/z):1379.60([M+Na], calc.1379.24).
29Si−NMR δ(ppm): 10.51(OSiMe);−76.10,−78.95(OSiPh).
【0038】
実施例3
溶媒に2−メチル−1−プロパノールを用い、他の条件は実施例2と同様にして90℃で攪拌して反応させると、DDTOTMSが69%収率で得られた。
【0039】
実施例4
Ph−T:HO:NaOHのモル比を1:2:4から1:1:2に変え、Ph−T/2−プロパノールを1mmol/6mLから1mmol/10mLに変え、他の条件は同様で反応させると、3,7,14−トリス(トリメチルシリル)ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.35,11]ヘプタシルセスキオキサン(TOTMS)が主生成物として44%収率で得られた。
【0040】
化合物同定データを以下に示す。
MALDI−TOF−MS (m/z): 1169.55 ([M+Na], calc.1169.18).
29Si−NMR δ (ppm): 10.54(OSiMe);−77.62, −77.99,−78.26(OSiPh).
【産業上の利用可能性】
【0041】
これらのPOSSは、各種レジスト及びパターン形成材料、酸素吸収剤及び酸素吸収樹脂組成物、プラズマディスプレイパネルなどの用途の合成素子として期待される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】トリメチルシリル基保護したPh−Tを室温下、加水分解して得られた生成物のMALDI−TOF−MSを示す。(実施例1)
【図2】トリメチルシリル基保護したPh−Tを室温下、加水分解して得られた生成物のSECを示す。(実施例1)
【図3】トリメチルシリル基保護したPh−Tを還流下、加水分解して得られた生成物を単結晶X−線結晶構造回折を用いて得たORTEP(Oak Ridge Thermal Ellipsoid Plot)プロットを示す。(実施例2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


[式中、Phはフェニル基を表す。]
で示される完全縮合オクタフェニルオクタシルセスキオキサン(Ph−T)を、水−アルコール溶媒中、アルカリの共存下、加水分解反応させ、必要により、次いで保護基で保護することを特徴とする一般式(2)
【化2】


[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状テトラシロキサン、一般式(3)
【化3】


[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状ヘプタシルセスキオキサン及び/又は一般式(4)
【化4】


[式中、R’はフェニル基を表し、R’’はナトリウム(Na)又はSi(R’’’)を表し、R’’’は水素、炭素数1から4の脂肪族炭化水素基又は更に置換基を有することもあるフェニル基を表す。]
で示される環状オクタシルセスキオキサンの製造方法。
【請求項2】
アルコールが、炭素数1から4の分枝されていてもよい脂肪族アルコールから選択される請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
アルカリが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、炭素数1から4のアルキル置換基をもつ四級アンモニウム塩の水酸化物及び炭素数1から4のアルキル置換基をもつ四級アンモニウム塩のフッ素物から選択される請求項1乃至請求項2の何れかに記載の製造方法。
【請求項4】
反応温度が、室温から溶媒の還流温度の範囲から選択される請求項1乃至請求項3の何れかに記載の製造方法。
【請求項5】
一般式(1)
【化5】


[式中、Phはフェニル基を表す。]
で示される完全縮合オクタフェニルオクタシルセスキオキサン(Ph−T)を、水−アルコール溶媒中、アルカリの共存下、加水分解反応させ、次いで保護基(クロロトリメチルシランなどのシランカップリング剤)で保護することを特徴とする一般式(5)
【化6】

[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状1,3,5,7−テトラキス(トリメチルシリル)テトラフェニルテトラシロキサン(TOTMS)、一般式(6)
【化7】

[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状3,7,14−トリス(トリメチルシリル)ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシルセスキオキサン(TOTMS)及び/又は一般式(7)
【化8】


[式中、R’はフェニル(Ph)を表す。]
で示される環状5,11,14,17−テトラキス(トリメチルシリル)オクタフェニルテトラシクロ[7.3.3.33,7]オクタシルセスキオキサン(DDTOTMS)の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−263316(P2009−263316A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118083(P2008−118083)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼「有機合成化学協会誌」 第66巻 第2号 ▲2▼発行日 平成20年2月1日 ▲3▼発行所 社団法人有機合成化学協会 ▲4▼該当ページ 第148頁〜第157頁
【出願人】(391010895)小西化学工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】