説明

不審物の納置検査および移送用装置

危険の可能性がある物体の納置検査および可能な移送のための装置において、開いて前記物体を受け入れ、次いで閉じて前記物体を手動検査するための密封環境を設けることを可能とする検査ユニット(10)であって、前記閉じられた検査ユニット(10)の前記密封環境に対して外部のユーザが前記物体を前記閉じられた検査ユニット(10)内で操作することを可能にする少なくとも1つの手袋部材を含む検査ユニット(10)と、前記検査ユニット(10)全体を受け入れ且つ前記検査ユニット(10)を収納するさらに密封された環境を設ける移送ユニット(80)と、を含み、それによって、前記検査ユニット(10)と前記移送ユニット(80)の複合体が前記物体を可能な移送のために安全に納置する装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険の可能性があると考えられる物体の納置検査(contained inspection)および移送用装置に関し、且つ特に、危険の可能性がある物質を含むと考えられる封筒、郵便物、パッケージ、小包、書状等の納置検査および次いで可能な移送用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アメリカにおける2001年9月11日のテロリスト活動およびそれに次ぐ炭疽菌に汚染された封筒がアメリカの郵便システムへ投函された後には、他の多くの国でも、不審な白い粉末入りの封筒が大量に郵便システムを介して受け取られるという事態が生じている。
【0003】
その白い粉末が危険な物質かどうかを判定するのに先立って、安全上の理由から、対応措置を講じることが要求される。対応措置は、関係する緊急対応当局による全面的有害物質取扱措置を必要とする。影響を受けた区域では、影響を受けた全ての人を含めて、未知の物質の分析結果が通報可能になるときまで、行動の抑制を概ね要求される。そのような偶発事の結果、影響を受けた人々のストレスおよびトラウマ、生産性の相当の損失を招来し、応急サービス人材が対応に忙殺される。
【0004】
敵対者にとっては、封筒、もしくは他に同様のパッケージに或る物質、その多くは無害の白い粉末を入れるのは比較的簡単であることを考えると、影響を受けた人々、生産性および応急サービスに対する衝撃を抑える装置を利用して対応措置を講じる必要がある。
【0005】
研究室用のグローブボックスタイプの製品が知られており、ユーザがその前腕および手を手袋に通し、グローブボックス内の物体を安全に取り扱うことが可能とされる。そのような研究室用のグローブボックスは、嵩張り且つ移送可能に設計されていない。さらに、一般的に比較的高価ともされる。他のタイプのグローブボックスは、プラスチックシート材により製作され、フレームとグローブを膨らませるための不活性ガスを必要とし、危険の可能性がある物体を安全に取り扱うための手順が一層複雑化する。加えて、現在知られているグローブボックスは堅牢性および可搬性がなく、これが重大な欠点とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術についての問題を克服あるいは少なくとも改善する、危険の可能性がある物体の納置検査および可能な移送を行うための装置が明らかに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、危険な可能性のある生物製剤もしくは化学薬品を収納するか、これに汚染された可能性のある不審郵便物等、不審な物体用の検査、隔離および移送するための機器/装置を提供する。この機器/装置は、比較的に軽量、堅牢、使い易く、且つ即座に移送可能とすることが好ましい。この機器/装置は、例えばメールルーム環境、家庭、事業所、法執行機関、政府省庁、軍隊、船舶その他に用途があり、これに限らない。
【0008】
広い形態では、本発明は、危険の可能性がある物体の納置検査および移送を可能にするための装置において、
開いて前記物体を受け入れ、次いで閉じて前記物体を手動検査するための密封環境を設けることを可能とする検査ユニットであって、前記閉じられた検査ユニットの前記密封環境に対して外部のユーザが前記物体を前記閉じられた検査ユニット内で操作することも可能にする少なくとも1つの手袋部材を含む検査ユニットと、
前記検査ユニット全体を受け入れ且つ前記検査ユニットを収納するさらに密封された環境を設ける移送ユニットと、を含み、
それによって、前記検査ユニットと前記移送ユニットの複合体が前記物体を可能な移送のために安全に納置する装置を提供する。
【0009】
検査ユニットの少なくとも一部は、実質的に透明とすることが好ましい。また、検査ユニットのボディ部または基部の少なくとも一部は半透明、好ましくは暗色とすることが好ましい。或る特定用途においては、物体は封筒、郵便物、パッケージ、小包、書状等とされる。
【0010】
本発明の実施形態の1つの態様によれば、検査ユニットには、互いに挟扼(clamped)または錠止(latched)するように適合した第1部分と第2部分とを含む。本発明の実施形態の別の態様によれば、第1部分および第2部分は、互いに蝶着される。本発明の実施形態のさらに別の態様によれば、第1部分は蓋部とされ、第2部分はボディ部または基部とされる。
【0011】
検査ユニットおよび前記移送ユニットの密封環境は、実質的に気密とすることが好ましい。また、ユーザが検査ユニット内の物体を視認検査可能とすることが好ましい。
【0012】
本発明の具体的実施形態においては、2つの手袋部材が設けられる。本発明のさらに具体的な実施形態においては、移送ユニットには、互いに挟扼するように適合した第1部分と第2部分とを含む。本発明のさらに別の具体的実施形態においては、移送ユニットの第1部分および第2部分が互いに蝶着される。本発明のまたさらに別の具体的実施形態においては、第1部分は蓋部とされ、第2部分はボディ部または基部とされる。或る代替実施形態においては、移送ユニットには、互いにプレスシールするように適合した蓋部およびボディ部または基部を含む。
【0013】
移送ユニットは、外力および衝撃に対して弾性的であることが好ましい。本発明のさらに具体的な実施形態においては、検査ユニットには、一体の拡大覗手段をも含む。本発明のさらに別の具体的実施形態においては、移送ユニットには、当て物または緩衝材を含む。本発明のまたさらに別の具体的実施形態においては、移送ユニットを閉じることによって同内に置かれた検査ユニットが安全に保持される。
【0014】
本発明のさらに広い形態においては、
受け取られた郵便物を納置検査し、且つさらに検査を要する場合に安全に移送するための装置において、
密封環境を設けるのに適合した検査ユニットであって、ユーザが前記検査ユニット内に置かれた受け取り郵便物を視認検査することが可能になり、また、ユーザが前記郵便物を前記検査ユニット内で操作することが可能になる1つまたは複数の手袋部材を含む検査ユニットと、
ユーザによる前記郵便物の検査後、前記検査ユニット全体を受け入れ且つ移送中前記検査ユニットにさらに密封された環境および物理的保護を与える移送ユニットと、を備える装置が提供される。本発明のこの形態の或る特定態様によれば、検査ユニットおよび移送ユニットがそれぞれ実質的に2つの異なった部分により形成され、且つさらに両ユニットを密封する1つまたは複数のクランプが設けられる。
【0015】
本発明は、その好ましい実施形態を添付図面に関して述べる以下の説明から明らかとなろう。但し、説明は例として示すにすぎず、実施形態は本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の実施形態は、本発明の目的物をより正確に理解し得るよう記載するものであって、本発明の範囲を制限するものではないと考えられたい。図では、本発明の特徴を図解するため、全図を通して同様部品には同じ符号を付してある。
【0017】
好ましい実施形態において、ユーザが不審な郵便物等を気密もしくは密封環境において検査し、郵便物およびその内容を気密環境内で視認検査可能とする装置が提供される。郵便物および/またはその内容についてさらに分析を要する場合には、郵便物を気密環境で維持し、且つ第2の気密もしくは密封環境に移送することが可能とされ、例えば生化学もしくは法医学研究室等、専門家分析所への移送中に重要とされる付加的保護が得られる。
【0018】
図1から7に関し、危険の可能性がある物体(図示せず)が受け取られ、危険の可能性があると認知されたときに、物体は検査ユニット10内に置かれる。物体を検査ユニット10内に置くには、蓋部11を取り除くか開くかし、物体を検査ユニット10の基部(あるいはボディ部)12に入れるか載せるかする。蓋部11は、次いで基部12に封止され、物体を収納する密封環境が与えられる。蓋部11もしくは基部12の高さは、可変となるものでもよい。例えば、蓋部11および基部12の形状は、基部12を相当の高さを有するボディ部とみなし得るように、実質的に入れ替え可能とされる。あるいは、蓋部11および基部12を同様の高さとすることもできる。
【0019】
検査ユニット10内の物体の検査の後、ユーザが物体またはその内容をさらに分析する必要ありと考える場合には、検査ユニット10全体が移送ユニット(図8に示す)内に置かれる。検査ユニット10は移送ユニットのボディ部内に置かれた後に、移送ユニットの蓋部がボディ部に封止され、それによって検査ユニット10を完全に収納する付加的密封環境が与えられる。
【0020】
危険の可能性がある物体は、したがって2つ別々の密封環境内に収納され、次いで比較的安全に分析所に移送される。検査ユニットおよび移送ユニットとも、危険の可能性がある物体の分析所への移送が容易な可搬式とされるように、適切な寸法および材料により作られることがとすることが好ましい。
【0021】
さらに、検査ユニット10の様々な図と特徴を示す図1から7に関し、蓋部11は、ユーザが危険の可能性がある物体を視認検査可能とする実質的に透明な囲繞アセンブリとすることが好ましい。蓋部11の部品を半透明とするか、あるいは蓋部11のほぼ全体を透明プラスチック等、透明の材料から製作することが可能とされる。基部12の各部位も透明とし得るが、基部12は実質的に半透明、好ましくは黒もしくはダークブルー等の暗色とすることが好ましい。それによって、ユーザが白い粉体を暗い背景で視認するのに役立つ。蓋部11の各部位も所望の場合には同様に暗色とすることができる。検査ユニット10は、実質的に成形プラスチック製とすることが好ましい。
【0022】
蓋部11および基部12は、クランプもしくはラッチ手段を使用して挟扼もしくは閉鎖されるようになされている。好ましい実施形態において、2つのクランク型ヒンジ13aおよび13bが基部12および蓋部11に取り付けられ、両部を継合しながら相互に回転可能とする。ドローラッチ(draw latch)14aおよび14bが同じく蓋部11に設けられ、基部12の一部として設置もしくは基部に取付けの留め金もしくは突起15aおよび15bとそれぞれ連係する。蓋部11が回されて基部12に閉止時に、ラッチ14aおよび14bを留め金15aおよび15bに閉止して検査ユニット10を封止可能とされる。様々な数あるいは各種各様のラッチもしくはクランプ手段が所望により使用可能とされることに留意されたい。例えば、ラッチもしくはクランプは、検査ユニットの諸処に設けることができ、ヒンジ13aおよび13bに代えてクランプもしくはラッチを追加することもできよう。クランプもしくはラッチ手段は、蓋部11を基部12に固定もしくは取り付けて検査ユニット10内部の密封環境造設に役立つあらゆるタイプの装置、あるいは複合装置であってもよい。
【0023】
トレイ16も基部12に設けるか、基部と一体とすることが好ましい。トレイ16は、固定としても可動としてもよい。シールもしくはベースガスケット17を基部12に結合して設け、さらにシールもしくは蓋ガスケット(図示せず)を蓋部11に結合して設けることが好ましい。これらのシールもしくはガスケットは、蓋部11と基部12の間の接合部分もしくはその近傍に設けられ、検査ユニット10の閉鎖時に相互に当接して、検査ユニット10内を気密環境とするのに役立つ。これに代え、蓋部11か基部12いずれかに結合して設けるシールもしくはガスケットを1つのみとすることもできよう。
【0024】
検査ユニット10を閉鎖時に、ユーザは次いで両前腕/手をハンドアクセスオリフィス(hand access orifices)18aおよび18bに通すことによって、ハンドアクセスオリフィス18aおよび18bと検査ユニット10内部に取付けの手袋部材(図示せず)がユーザの両手に嵌る。ユーザは、次いでその両手を使って検査ユニット10内の密封環境内の物体を密封環境を損なうことなく操作することが可能とされる。
【0025】
蓋部11には、上面に拡大覗部をも設けることによって、ユーザが検査ユニット10内の物体を視認検査時に、検査ユニット10の内容がユーザに拡大されて見える。
【0026】
検査ユニット10には、封止可能としながら検査ユニット10内の物体を操作する付加的アクセスポイントとして使用可能な検査ポートアセンブリ21も設けることが可能とされる。手袋部材(図示せず)をアクセス部位18aおよび18b、且つ場合によっては21に取り付けることが好ましいが、他にユーザが検査ユニット10内の物体を密封環境を損なうことなく検査および/または操作可能とするあらゆるタイプの装置も利用できることに留意されたい。さらに、プラグアセンブリもしくはプラグポート22を図示のように設けることが可能とされる。プラグアセンブリ22は、様々な目的に利用できよう。或る特定の実施態様においては、ポート22は約40mm径とされ、これを通して消防および検査当局が化学もしくは放射線プローブにより主シールの開封を要せずにユニット10の内容の見本抽出を可能とする小ポートとなる。本ユニットは、化学製品用のAP2C、PID(光イオン化検出器:Photo Ionisation Detectors)、Bruker raid等、放射線物質用のExploranium GR135およびRotem R200等機器との適合性に対する試験は完了している。本ユニットは、管理区域に持込み可能とされ、同区域で後部ポートを開いて試験を行うことができる。プラグ22が次いで交換され、且つ所要の場合には、ユニット10外部が洗浄されて、漏洩の虞ある汚染物質が除去される。除染フォームもしくは溶液の使用も可能とされる。大ポート21は、100mm径を超えることが好ましく、ユニット10がバイオセイフティ(Biosafety)キャビネット内にあるときは、主シールの開封に代えてポート21を介してアクセスが得られる。ポート21は、手袋を嵌めた手もしくは小型機器をユニット10内に通すのに十分の大きさであり、オペレータに対する被爆リスクも減少する。ポート22の他の使用法としては、例えば、気圧を均等として検査ユニット10の開口を容易にするために、配管等に取り付けし、空気を検査ユニット10から除去して、例えば真空を生成する、適切なガスを検査ユニット10内に導入する等、あるいは汎用の付加的アクセスポイントとして使用する等が可能とされる。検査ポートアセンブリ21およびプラグもしくはポートアセンブリ22とも、必ずしも設ける必要はなく、代替箇所もしくは構成にて設けることも可能とされることに留意されたい。また、蓋部11をほぼ平板状とし、検査ユニット10の高さの大半が基部12にある場合には、アクセスオリフィス18aおよび18bは明らかに基部12の一部として設けられることを理解されたい。
【0027】
図8に関し、この図は、移送ユニット80の好ましい実施形態の分解斜視図である。移送ユニット80には、蓋部81と基部またはボディ部82とを含み、これが継合して蓋部81がボディ部82に係合時に気密環境が与えられる。検査ユニット10について述べた通り、蓋部81およびボディまたは基部82の深さまたは高さは可変とされ、例えばボディ部82をほぼ平板状とし蓋部81に相当の高さの壁を設けることができよう。また、検査ユニット10に関する場合と同様に、移送ユニット80には、蓋部81およびボディ部82に固定して蓋部81をボディ部82に対して回転および開閉可能とするヒンジ83aおよび83bを設けることが好ましい。ラッチ84aおよび84bがボディ部82に取り付けられ、蓋部81に取付けもしくは一体のフックもしくは突起85aおよび85b(図12参照)に係着される。また、前述の通り、クランプ、ラッチ、ヒンジその他のタイプ、構成、もしくは組合せは所望により代替もしくは変更可能とされる。
【0028】
図8には、蓋部81に固定されたハンドル86も示す。別のハンドル87を設けて突出部88aおよび/または88bに取り付け、ユーザの移送ユニット80の持上げもしくは運搬に役立てることができる。さらに、移送ユニット80には車輪89aおよび89bを設け、ロッドもしくは車軸90によりボディ部82に固定して、移送ユニット80の移送に役立てることが可能とされる。シールもしくはガスケット91および92を蓋部81およびボディ部82にそれぞれ結合して設け、蓋部81をボディ部82に係合時の気密環境造設に役立てることも可能とされる。移送ユニット80には各種標示93を設け、その内容が化学的もしくは生物学的に有害となる可能性があることを示すことができる。
【0029】
蓋部81をボディ部82に対して封止する各種機構が考えられることを理解されたい。例えば、ヒンジおよびラッチ手段は設けずに、蓋部81がボディ部82に対してプレスシール(press-seal)するように適合させることが可能とされる。蓋部81をボディ部82に取付け、係合、固定、錠止する等、密封環境を得ることを可能とするようなあらゆる機械的構造でも本発明において利用することができる。
【0030】
移送ユニット80は、外力および/または衝撃に耐え得るように弾性プラスチック製とすることが好ましい。さらに、移送ユニット80には、内側当て物および/または緩衝材を設けることができる。これは、危険の可能性がある物体を分析所に移送中に検査ユニット10を損傷から隔離するのに役立つ。さらに、移送ユニット80には、危険の可能性がある物体への無断アクセスを防止する施錠手段を設けられよう。ある特定形態では、移送ユニット80には、2つの独立した気密シールを備え、二重壁を設け且つ隔離される。したがって、検査ユニット10と併せて、本装置により3つの独立気密シールを備える三重壁格納システムが与えられる。
【0031】
以下のさらに別の例により、本発明の実施形態のより詳細な輪郭が得られる。この例は例として示すにすぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0032】
不審物体を納置検査および移送するための本装置により、ある種粉末物質等、有害物質を含むと疑われる郵便物を検査および移送するための軽量、気密且つ耐久性のあるユニットが得られる。本装置は、組込みの手袋にユーザが手を通すための側面入口を設けた桶状の蓋から成る成形プラスチック製とすることが好ましい。装置の基部は、うすい色の粉末物質に対して最善のコントラストが得られる暗色(黒もしくはダークブルー)とすることが好ましい。成形された基部は気密シールを備え、さらに落下その他の衝撃に耐え得る錠止クランプにより蓋に固定される。蓋部は透明とされ、且つ不審な郵便物の拡大覗検査を可能とする組込みの拡大覗部が任意に設けられる。
【0033】
装置内には用具を残置し、ユーザが郵便物の検査時にこれを使用することができる。例えば、端を丸めた平坦な刃のペーパーナイフを置くことができよう。装置の総重量は、密封環境の保全性を損なうリスク無しに容易に取扱い可能な重量とすることが好ましい。本装置の移送ユニットは検査ユニットを受け入れるため、落下もしくは事故発生の際には二重壁の安全性が与えられる。不審郵便物を受け取った際の保安指示書および好ましい取扱手順を用意して装置を補完することが可能とされる。
【0034】
検査ユニットは、例えばA4サイズの大型封筒および小包を含む郵便物を全体納置環境において安全に検査可能とするように設計される。郵便物が不審と認知され、ある種粉末物質等の有害物質を含むと考えられると、その郵便物は検査ユニットに入れられ、蓋部が閉じられて錠止される。不審郵便物は、次いで検査ユニット内で開封もしくはさらに検査され、ユーザが蓋部を通してはっきり見ることができる。郵便物が汚染物質を含む場合には、検査ユニット全体が次いで移送ユニット内に置かれ、適切な人員によって適切な検査ラボラトリもしくは分析所に移送される。このプロセスによって不審郵便物を取り扱う人員数も削減され、法医学的証拠(forensic evidence)となり得る物証が保全される。
【0035】
本装置の構成品は、成形プラスチックによる一体品とすることが好ましく、手袋部材は、ビニル手袋もしくは他の適切な材料製とすることができよう。移送ユニットは、生物学的有害物質を収納することを明確に標示することが好ましい。本装置で使用のシールは、軟質ゴムシールとすることができよう。当て物もしくは抑止具を移送ユニット内部に設けて、検査ユニットの物理的保護および/または安定性付与に役立てることが可能とされる。
【0036】
内部検査/納置ユニットは、A4サイズ封筒等、各種サイズの不審郵便物を取り扱うように設計可能とされる。他の寸法のユニットも用意可能とされる。ある特定の好ましい形態においては、手袋は、きわめて耐薬品性および耐摩耗性に優れ、ユーザをラテックス反応(latex reaction)のリスクに晒すことのないニトリル手袋とされる。この好ましい実施形態においては、検査ユニットは重量約3キログラムとし、概ね堅牢とされる。
【0037】
外側の移送ユニットは、高い基準に合わせて製作され、移送中に内側の検査ユニットを収容し、且つ内側検査ユニットとその内容を最大限保護するように設計される。移送ユニットは視感度の高い黄色とし、且つ生物学的もしくは化学的に有害である可能性がある物体を収納していることを明確に標示していよう。この実施形態において、移送ユニットは3メートルまでの高さからの落下に耐えて内容物を損傷することなく、且つ2つのユニットを合わせた重量は約13キログラムとされる。
【0038】
斯くして、本発明により、危険の可能性がある物体を納置検査し、且つ所望の場合には、移送するための装置が提供された。
【0039】
本発明は、広くは本明細書で個々もしくは集合的に言及もしくは指示した部品、要素および特徴、複数の部品、要素もしくは特徴のいずれかもしくは全ての複合にも本来存在するものとされてよく、本発明の係わる技術分野において知られている均等物を有する具体的完成体について本書で述べている場合には、その知られている均等物は個別に規定されたものとして本書に組み込まれたものと見なされる。
【0040】
以上、好ましい実施形態について詳細に説明したが、いうまでもなく、当業者には各種各様の変更、置換、および代替が可能であろうが、それらはいずれも本発明の範囲内に属するものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態による検査ユニットを示す正面斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による検査ユニットを示す背面斜視図である。
【図3】図1に示す検査ユニットの閉鎖時の平面図である。
【図4】図1に示す検査ユニットの閉鎖時の側面図である。
【図5】図1に示す検査ユニットの閉鎖時の正面斜視図である。
【図6】図1に示す検査ユニットの閉鎖時の背面斜視図である。
【図7】図1に示す検査ユニットの閉鎖時の正面図である。
【図8】本発明の実施形態による移送ユニットを示す分解斜視図である。
【図9】本発明の実施形態による移送ユニットの閉鎖時の斜視図である。
【図10】図9に示す移送ユニットの平面図である。
【図11】図9および10に示す移送ユニットのB−B線断面図である。
【図12】図9に示す移送ユニットの側面図である。
【図13】図9および12に示す移送ユニットのA−A線断面図である。
【図14】図9に示す移送ユニットのさらに別の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険の可能性がある物体の納置検査およびその物体の移送を可能にするための装置であって、
開いて前記物体を受け入れて、次いで閉じて前記物体を手動検査するための密封環境を設けることを可能とする検査ユニットであって、前記閉じられた検査ユニットの前記密封環境に対して外部のユーザが前記物体を前記閉じられた検査ユニット内で操作することを可能にする少なくとも1つの手袋部材を含む検査ユニットと、
前記検査ユニット全体を受け入れて且つ前記検査ユニットを収納するさらに密封された環境を設ける移送ユニットと、を含み、
それによって、前記検査ユニットと前記移送ユニットの複合体が前記物体を可能な移送のために安全に納置する装置。
【請求項2】
前記検査ユニットの少なくとも一部が実質的に透明である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検査ユニットのボディ部または基部の少なくとも一部が半透明、好ましくは暗色である請求項1または請求項2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記物体が封筒、郵便物、パッケージ、小包、書状等である請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記検査ユニットに、互いに挟扼または錠止するように適合した第1部分と第2部分とを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1部分および第2部分が互いに蝶着される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1部分が蓋部であり、前記第2部分がボディ部または基部である請求項5または請求項6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記検査ユニットおよび前記移送ユニットの前記密封環境が実質的に気密である請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ユーザが前記検査ユニット内の前記物体を視認検査することが可能である請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
2つの手袋部材が設けられる請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記移送ユニットに、互いに挟扼するように適合した第1部分と第2部分とを含む請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記移送ユニットの前記第1部分および第2部分が互いに蝶着される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1部分が蓋部であり、前記第2部分がボディ部または基部である請求項11または請求項12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記移送ユニットに、互いにプレスシールするように適合した蓋部およびボディ部または基部を含む請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記移送ユニットを外力および衝撃に対して弾性的である請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記検査ユニットに一体の拡大覗手段をも含む請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記移送ユニットに当て物または緩衝材を含む請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記移送ユニットを閉じることによって同内に置かれた前記検査ユニットが安全に保持される請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
受け取られた郵便物を納置検査し、且つさらに検査を要する場合に安全に移送するための装置において、
密封環境を設けるのに適合した検査ユニットであって、ユーザが前記検査ユニット内に置かれた受け取り郵便物を視認検査することが可能になり、また、ユーザが前記郵便物を前記検査ユニット内で操作することが可能になる1つまたは複数の手袋部材を含む検査ユニットと、
ユーザによる前記郵便物の検査後、前記検査ユニット全体を受け入れ且つ移送中前記検査ユニットにさらに密封された環境および物理的保護を与える移送ユニットとを備える装置。
【請求項20】
前記検査ユニットおよび前記移送ユニットがそれぞれ実質的に2つの異なった部分により形成され、且つさらに両ユニットを密封する1つまたは複数のクランプが設けられる請求項19に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険の可能性がある物体の納置検査およびその物体の移送を可能にするための装置であって、
開いて前記物体を受け入れ可能とし、閉じて前記物体を手動検査するための密封された気密状態の環境を設けることを可能とする少なくとも第1部分と第2部分とを含む検査ユニットであって、第1部分と第2部分とは実質的には剛体であって、前記閉じられた検査ユニットの前記密封環境に対して外部のユーザが前記物体を前記閉じられた検査ユニット内で操作することを可能にする少なくとも1つの手袋部材を含む検査ユニットと、
開いて前記検査ユニット全体を受け入れ可能とし、閉じて前記検査ユニットを収納する密封された気密状態の環境をさらに設けることを可能とする少なくとも第1部分と第2部分とを含む移送ユニットであって、該移送ユニットの前記第1部分と第2部分が実質的に剛体である移送ユニットと、
を備えた装置。
【請求項2】
前記検査ユニットの少なくとも一部が実質的に透明である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検査ユニットのボディ部または基部の少なくとも一部が半透明、好ましくは暗色である請求項1または請求項2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記物体が封筒、郵便物、パッケージ、小包、書状等である請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記検査ユニットの前記第1部分と前記第2部分とは、互いに挟扼または錠止するように適合している請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記検査ユニットの前記第1部分および前記第2部分が互いに蝶着される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記検査ユニットの前記第1部分が蓋部であり、前記検査ユニットの前記第2部分がボディ部または基部である請求項5または請求項6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記移送ユニットは、一般的に一人の人間によって持ち上げ及び移動が可能である請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ユーザが前記検査ユニット内の前記物体を視認検査することが可能である請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
2つの手袋部材が設けられる請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記移送ユニットの前記第1の部分と前記第2の部分とが、互いに挟扼するように適合している請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記移送ユニットの前記第1部分および第2部分が互いに蝶着される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記移送ユニットの前記第1部分が蓋部であり、前記移送ユニットの前記第2部分がボディ部または基部である請求項11または請求項12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記移送ユニットの前記蓋部及びボディ部は、互いにプレスシールするように適合されている請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記移送ユニットは、外力および衝撃に対して弾性的である請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記検査ユニットに一体の拡大覗手段をも含む請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記移送ユニットに当て物または緩衝材を含む請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記移送ユニットを閉じることによって同内に置かれた前記検査ユニットが安全に保持される請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
受け取られた郵便物を納置検査し、且つ、さらに検査を要する場合に安全に移送するための装置において、
密封された気密状態の環境を設けるのに適合した実質的に剛体の検査ユニットであって、ユーザが前記検査ユニット内に置かれた受け取り郵便物を視認検査することが可能になり、また、ユーザが前記郵便物を前記検査ユニット内で操作することが可能になる1つまたは複数の手袋部材を含む検査ユニットと、
ユーザによる前記郵便物の検査後、前記検査ユニット全体を受け入れ且つ固定し、移送中前記検査ユニットにさらに密封された気密状態の環境および物理的保護を与える実質的に剛体の移送ユニットと、を備える装置。
【請求項20】
前記検査ユニットおよび前記移送ユニットがそれぞれ実質的に2つの異なった部分により形成され、且つさらに両ユニットを密封する1つまたは複数のクランプが設けられる請求項19に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−509696(P2006−509696A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557669(P2004−557669)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001653
【国際公開番号】WO2004/052748
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505219853)
【出願人】(505219864)
【Fターム(参考)】