説明

不審者判定装置

【課題】 簡易な構成かつ低コストで施設の監視を行い、施設に侵入する不審者を判別する。
【解決手段】 所定のエリアを撮像して得られた、少なくとも所定のインターバルで前後に隣接する画像の全部または一部の差分をとる差分手段221と、前記差分と所定の閾値とを比較し、前記差分が前記所定の閾値以上である場合に変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさに基づき異常ありと判定し、そうでない場合は異常なしと判定する異常判定手段222と、前記異常ありの判定が、所定の時間内に所定の回数生じた場合、前記所定のエリアには不審者がいると判断する判断手段223とを備えた不審者判定装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば警備や監視に用いられる、不審者判定装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、マンションや施設等の住人や施設利用者、または郵便配達等の業者、すなわち関係者以外の人物が、その施設侵入していないかどうかを調べるためには、当該場所に警備員を常駐させたり、警備会社による管理を行っていた。
【0003】図7に、従来の技術による監視システムの構成を示す。図に示すように、監視室710は監視用端末711を備えており、監視用端末710は、監視の対象となる施設720内の廊下721、第1の部屋722、第2の部屋722bにそれぞれに設けられたモニタカメラ730a、730b、730cと接続されており、モニタカメラ730a、730b、730cが受像した映像を表示する。
【0004】これにより、監視室710内の監視者は、施設720内の各部の人の往来を監視して、不審者や不審物があれば、直ちに警告を発したり、警察に連絡するなど、適切な処置を行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、モニタカメラを用いた監視を行おうとすると、監視室710内の監視者は、監視時間中は常にモニタを注視しなければならない。したがって、監視者は、24時間、もしくは夜間常勤ができる警備会社のような専門の業者である必要があり、結果として監視システムの運営が高コストなものとなっていた。
【0006】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成かつ低コストで施設の監視を行い、施設に侵入する不審者を判別することが可能な不審者判定装置等をを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、第1の本発明(請求項1に対応)は、所定のエリアを撮像して得られた画像の変化を用いて、前記所定のエリアに不審者がいるかどうかを判定する不審者判定装置である。
【0008】また、第2の本発明(請求項2に対応)は、所定のエリアを撮像して得られた、少なくとも所定のインターバルで前後に隣接する画像の全部または一部の差分をとる差分手段と、前記差分と所定の閾値とを比較し、前記差分が前記所定の閾値以上である場合に変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさに基づき異常ありと判定し、そうでない場合は異常なしと判定する異常判定手段と、前記異常ありの判定が、所定の時間内に所定の回数生じた場合、前記所定のエリアには不審者がいると判断する判断手段とを備えた不審者判定装置である。
【0009】また、第3の本発明(請求項3に対応)は、前記異常判定手段は、前記変化発生後の差分の大きさが、所定の期間以上一定である場合、前記異常ありの判定を行う請求項2に記載の不審者判定装置である。
【0010】また、第4の本発明(請求項4に対応)は、前記所定のインターバルは、外部から設定可能な第2の本発明の不審者判定装置である。
【0011】また、第5の本発明(請求項5に対応)は、前記判断手段における所定の時間および/または所定の回数は、外部から設定可能な第2の本発明の不審者判定装置である。
【0012】また、第6の本発明(請求項6に対応)は、前記差分手段における前記差分をとる前記画像の一部の位置および/または大きさは、外部から設定可能な第3の本発明の不審者判定装置である。
【0013】また、第7の本発明(請求項7に対応)は、前記異常判定手段における所定の閾値の大きさは、外部から設定可能な第2の本発明の不審者判定装置である。
【0014】また、第8の本発明(請求項8に対応)は、前記判断手段の判断結果を含む判断情報を生成し、該判断情報を外部へ告知する告知手段をさらに備えた第2の本発明の不審者判定装置である。
【0015】また、第9の本発明(請求項9に対応)は、前記告知手段は、前記判断情報を、外部から設定可能な所定の時間帯に告知する第8の本発明の不審者判定装置である。
【0016】また、第10の本発明(請求項10に対応)は、前記判断情報は、前記判断結果に対応した前記画像の全部または一部を含む第8の本発明の不審者判定装置である。
【0017】また、第11の本発明(請求項11に対応)は、前記判断情報は、ネットワークを介して外部へ告知される第8の本発明の不審者判定装置である。
【0018】また、第12の本発明(請求項12に対応)は、前記判断情報は、電子メールとして前記ネットワーク上を配信される第11の本発明の不審者判定装置である。
【0019】また、第13の本発明(請求項13に対応)は、前記判断情報に基づく警告情報を生成し、該警告情報を発信する警報手段を備えた第2の本発明の不審者判定装置である。
【0020】また、第14の本発明(請求項14に対応)は、前記警告情報は、前記所定のエリアに対して発信される第13の本発明の不審者判定装置である。
【0021】また、第15の本発明(請求項15に対応)は、前記警報情報は、所定のインターバルをおいて複数回発信され、発信される毎にその内容が異なる第13または第14の本発明の不審者判定装置である。
【0022】また、第16の本発明(請求項16に対応)は、前記撮像された画像、前記異常判断手段の判断動作の履歴、前記判定手段の判定動作の履歴の全部または一部を記録する履歴記録手段を備えた第2の本発明の不審者判定装置である。
【0023】また、第17の本発明(請求項17に対応)は、前記外部からの設定は、ネットワークを通じて行なうことができる第4から第7、または第9のいずれかの本発明の不審者判定装置である。
【0024】また、第18の本発明(請求項18に対応)は、前記所定のインターバル、前記判断手段における所定の時間および/または所定の回数、前記差分手段における前記差分をとる前記画像の一部の位置および/または大きさ、前記差分手段が差分を得るための条件の全部または一部は、前記撮像が行われている時間帯に応じて変更される第2の本発明の不審者判定装置である。
【0025】また、第19の本発明(請求項19に対応)は、第2の本発明の不審者判定装置の、所定のエリアを撮像して得られた、少なくとも所定のインターバルで前後に隣接する画像の全部または一部の差分をとる差分手段と、前記差分と所定の閾値とを比較し、前記差分が前記所定の閾値以上である場合に変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさに基づき異常ありと判定し、そうでない場合は異常なしと判定する異常判定手段と、前記異常ありの判定が、所定の時間内に所定の回数生じた場合、前記所定のエリアには不審者がいると判断する判断手段との全部または一部としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0026】また、第20の本発明(請求項20に対応)は、第2の本発明の不審者判定装置の、所定のエリアを撮像して得られた、少なくとも所定のインターバルで前後に隣接する画像の全部または一部の差分をとる差分手段と、前記差分と所定の閾値とを比較し、前記差分が前記所定の閾値以上である場合に変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさに基づき異常ありと判定し、そうでない場合は異常なしと判定する異常判定手段と、前記異常ありの判定が、所定の時間内に所定の回数生じた場合、前記所定のエリアには不審者がいると判断する判断手段との全部または一部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを担持した媒体であって、コンピュータにより処理可能なことを特徴とする媒体である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0028】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1による不審者判定装置を中心に構築した監視システムの構成図である。図1において、監視システムは、施設100内の監視場所110に配置されたモニタカメラ111と、モニタカメラ111に、キャプチャ手段210を介して接続された不審者判定装置220が配置された監視室200と、不審者判定装置220とインターネット300を介して通信を行う外部情報端末400とを備えている。
【0029】モニタカメラ111は、例えば家庭用ビデオカメラやパソコン用のCCD小型モニタカメラにて実現され、本発明の所定のエリアに相当する、監視場所110内の所定の撮像範囲を撮像し、映像信号として不審者判定装置に出力する手段である。
【0030】キャプチャ手段210は、モニタカメラ111が撮像した映像を1フレーム毎の静止画としてキャプチャリングして、不審者判定装置220に出力する手段である。
【0031】次に、不審者判定装置220において、差分手段221は、モニタカメラ111からの映像を、所定のインターバルをおいて1フレーム毎取得し、各インターバル毎の一フレーム分の画像の差分をとる手段である。また、異常判断手段223は、差分手段221の取得した差分の大きさと、予め設定した所定の閾値とを比較し、差分が閾値以上である場合は変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさを計測することにより異常の有無を判定し、それぞれの判定結果を生成する手段である。また、判断手段223は、異常判断手段223の判定結果を蓄積しておき、タイマ224を参照して、所定時間内に異常ありの判定結果が所定の回数生じた場合、モニタカメラ111に撮像された画像内に不審者が映っていると判断する手段である。また、告知手段225は、判断手段223の判断結果を含む情報を判断情報として生成し、これを出力する手段である。また、表示手段226は、例えばCRTや液晶ディスプレイで実現され、判断情報を表示する手段である。また、通信手段227は、例えばモデムや無線通信端末で実現され、本発明のネットワークの一例であるインターネット300に判断情報を送信する手段である。また、設定インタフェース228は、差分手段221、異常判定手段222、判断手段223の各パラメターを設定するための手段である。
【0032】また、外部情報端末は、例えばインターネット接続可能な携帯電話401や、同様の機能を有するパソコン402によって実現される手段である。なお、インターネット300本発明のネットワークの一例であり、他のネットワークとしては、LANやイントラネットなどのWANであってもよい。
【0033】次に、図2は、本発明の不審者判定装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0034】さらに、図3(a)(b)(c)は、本発明の不審者判定装置の動作を説明するための、モニタカメラ111の撮像した画像を示す図である。
【0035】以上のような構成を有する、本発明の実施の形態における不審者判定装置を用いた監視システムの動作について、図2のフローおよび図3を参照して説明を行うとともに、これにより、本発明の不審者判定方法の動作について説明を行う。ただし、以下の説明においては、監視場所110の一例として、廊下に面した部屋の入口を例に取り、廊下は、郵便配達等の一時的な関係者の出入りをのぞけば、本来無人であることが正常であるものとする。
【0036】はじめに、モニタカメラ111は、連続的に廊下内の映像を撮像する(S1)。
【0037】モニタされた映像信号は、キャプチャ手段210に出力される。キャプチャ手段210は、入力される映像信号を1フレーム毎の画像信号として、不審者判定装置220へ出力する(S2)。
【0038】不審者判定装置220において、差分手段221は、画像信号の入力をうけると、所定のインターバルをおいて、これを取得する。このとき、モニタカメラ111が通常のビデオカメラである場合、1フレームは1/30秒であるので、インターバルを5分と設定すれば、差分手段は60フレーム毎に1フレームの画像を取得する。
【0039】さらに差分手段221は、取得した画像の前後の差分をとり、その大きさを求める(S3)。
【0040】ここで図3(a)は、無人状態の廊下を撮像した画像を説明する図である。(ア)は所定の撮像時の画像であり、(イ)は(ア)から5分を経過した状態の画像であり、(ウ)は(ア)から10分を経過した状態の画像、(エ)は(ア)から15分を経過した状態の画像、である。差分手段221は、この画像(イ)と画像(ア)との差分をとり、次いで画像(ウ)と画像(イ)との差分をとり、画像(エ)と画像(ウ)との差分をとる。
【0041】このとき、差分となるパラメータは、差分をとろうとする2枚の画像を所定数の画素に分解し、対応する個々の画素の情報の違いをとることにより行っている。例えば、画像を構成する画素が1バイトの情報量を有するとすると、二枚の画像のそれぞれの画素は8ビットの情報を有する。差分手段221は、この各ビットの情報(0か1か)が前後の画像で同じかどうかを見ることによって、違いがある場合に差分があるとみなす。差分はビット単位でカウントされ、このカウント値が差分値となる。
【0042】以下、モニタカメラ111の撮像する廊下の状態に応じて説明を行う。
【0043】図3(a)に示す例においては、廊下は無人状態であるから差分は発生しないため、それぞれの差分値はいずれも「0」として異常判定手段222に出力される。
【0044】異常判定手段222は、差分値の入力を受けると、予め設定された閾値と、入力された差分値との比較を行う。今回の場合、差分値は0なので、差分手段221に設定された閾値以上になることはない。そこで異常判定手段は「異常なし」と判定する(S4の「N」)。「異常なし」であれば、S1〜S3の動作が継続される。
【0045】次に、図3(b)は、廊下に不審者が侵入し、その模様が撮像された画像を説明する図である。(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)それぞれの時間経過は、図3(a)と同様であるが、(イ)、(ウ)の各画像にはそれぞれ人影500a、人影500bが映っている。
【0046】差分手段221は、この画像(イ)と画像(ア)との差分をとり、次いで画像(ウ)と画像(イ)との差分、さらに画像(エ)と画像(ウ)との差分をとる。画像(イ)と画像(ア)との差分値Aは、人影500aが映っている分だけ大きくなっている。また画像(ウ)と画像(イ)との差分値Bは、人影500bが人影500aとほぼ同様の位置および大きさにあるため0である。さらに画像(エ)と画像(ウ)との差分値Cは、人影500cが人影500bとほぼ同様の位置および大きさにあるため0であり、差分値Cと差分値Bと実質同一値に保たれている。
【0047】異常判定手段222は、差分値の入力を受けると、予め設定された閾値と、入力された差分値との比較を行うが、今回の場合、最初に得られたのは差分値Aであり、これらは差分手段221に設定された閾値以上の値である。そこで異常判定手段222は変化が発生したとみなし(S4の「Y」)、その後の差分の大きさを測定する。次に得られるのは差分値Bであり、次いで差分値Cが得られる。上述したように差分値B、Cは実質同一であり、つまり変化発生後の差分の大きさが一定に保たれていることとなる(S5)。このとき異常判定手段222は「異常あり」と判定し、この判定結果を判断手段223に出力する(S5の「Y」)。
【0048】判断手段223は、判断結果の入力を受けると、タイマ224の計測時を参照して、所定の時間内に「異常あり」の判定結果が何回入力されたかを判定する(S7)。
【0049】所定回数「異常あり」の判定結果の入力をうけた場合、判断手段223は、モニタカメラ111が撮像した廊下に不審者がいると判断する(S8)。
【0050】一方、廊下を郵便配達のような関係者が通過する場合は、扉の前で静止する機会はまれであるか、あっても短時間であるために、差分をとるための画像に映ることは少ない。例えば図3(c)のように、画像(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)において、人影が映っているのは、人影500dを含む画像(イ)だけである。
【0051】この場合、異常判定手段222は、最初には画像(イ)と画像(ア)との差分から差分値Aを得るが、これが仮に差分手段221に設定された閾値以上の値であったとしても、次に得られるのは、画像(ウ)と画像(イ)との差分値Dであり、これは差分値Aとほぼ同一であるのに対し、次に得られる差分値Eは、画像(エ)と画像(ウ)との差分値であり、これは実質0である。すなわち、差分値Eと差分値Dとは大きさが異なり、一定にはならない。つまり変化発生後の差分の大きさが一定に保たれていないこととなる(S5のN)。
【0052】このとき異常判定手段222は「異常なし」と判定し、再びS1に戻って動作をループする。この判定結果を判断手段223に出力する(S5の「Y」)。
【0053】次に、判断手段223は、「不審者あり」の判断結果を告知手段225へ出力する。
【0054】告知手段225は、判断結果の入力を受けると、この内容を含む判断情報を生成し(S9)、通信手段227または表示手段226へ出力する。
【0055】通信手段227は、判断情報の入力をうけると、これをインターネット300を介して外部情報端末400へ送信する。判断情報の内容は、判断結果の他、判断結果が得られた日付、時間等の情報を含んでいてもよい。また、モニタカメラ111が監視している場所に関する情報を含んでいてもよい。このとき判断情報の形態は、外部情報端末400が電子メール対応されていれば、電子メールであってもよいし、WWWブラウザ対応であれば、Webページのコンテンツの形態であってもよい。とくにWebページを用いる場合は、不審者判定装置220と外部情報端末400との間に設けられた、図示しないサーバのCGIを用いて、自動的にコンテンツの内容が書き換えられるようにすればよい。
【0056】ところで、上記の説明においては、告知手段225は、判断手段225の判断結果が「不審者あり」である場合に判断情報を出力しているが、平日昼間のマンションの玄関など、監視場所110の場所や監視の時間帯によっては、異常判定手段222および判断手段223が正常に動作していても、人物の往来が激しいため、「不審者あり」の判断結果が恒常的に出力され、判断情報が常に出力されることがある。
【0057】この場合、判断情報が例えば電子メールで外部情報端末400に送られるような構成であれば、外部情報端末400は判断情報の電子メールを常に受信していることになり、監視システムの実用上不具合がある。
【0058】告知手段225は、このような不具合に対処するため、設定インタフェース228からの入力に基づき、判断情報を出力する時間帯を設定し、この時間帯にのみ判断情報を出力するようにする。
【0059】例えば、異常判定手段222および判断手段223は午前0時から午後11時59分まで24時間動作を続ける一方、告知手段225が動作するのは、監視場所110における人物の往来が少なくなると考えられる、午後10時から午前6時までの間と設定する。この場合、判断手段223は24時間中判断結果を出力するが、告知手段225が判断情報を生成するのは、午後10時から午前6時までの間であるから、この間に得られた判断結果のみが、判断情報として外部へ出力されることになる。
【0060】これにより、判断情報の内容をより確かなものに絞り込みに、有益な判断情報だけを告知することが可能となる。
【0061】なお、告知手段225の時間帯設定としては、平日の場合だと上記のような深夜時間帯にし、週末や休日の場合は24時間にするなど、監視場所110の往来の状況に応じて任意に設定してよい。
【0062】また、このとき、電子メール他の告知情報には、「不審者がいる」の判断結果の基となった画像を画像ファイルとして添付するようにしてもよい。さらにこのとき画像は、判断手段223の判断結果の基となった、異常判定手段222が「異常あり」の判定を与える静止画を送付してもよい。このとき静止画は、異常ありの判定を与える差分値を有する全ての画像であってもよいし、その一部の単数または複数の画像であってもよい。
【0063】一方、表示手段226は、判断情報を表示する。このとき、「異常あり」の判断結果の基となった画像を同時に表示するようにしてもよい。
【0064】このように、本実施の形態による不審者判定装置を用いた監視システムによれば、監視の対象となるエリアを撮像して得られた画像の差分に基づき不審者の有無を判定し、不審者があると判断された場合にのみ、その判断結果を判断情報として外部へ告知することができる。これにより、監視者が常時モニタカメラをチェックすることなく、監視場所に不審者がいないかどうかを管理することが可能となる。
【0065】なお、上記の説明においては、差分手段221は、キャプチャ手段210から得られた画像の全領域の差分をとるとしたが、差分手段221は、得られた画像の一部を選択し、この選択領域のみ差分をとるようにしてもよい。
【0066】すなわち、図4の画像(ア)(イ)に示すように、画像(ア)(イ)それぞれ全体のなかから、図中点線で囲んだ選択領域600a、600bのみを抽出し、隣接する画像のそれぞれについて、選択領域600a、600bだけで差分値を得るようにする。
【0067】このような構成においては、撮像された画像全体の中で、かならず差分が発生することが期待され、監視が必要となる選択領域600a、600bと、差分が発生しないと考えられ、監視が不要と考えられる残りの領域610a、610bとを予め区別することができる。これにより、残りの領域610a、610bに関しては差分をとる処理が省略されるため、監視の精度を上げたり、差分手段221の処理の付加を軽減することが可能となる。
【0068】(実施の形態2)図5は、本発明の実施の形態2による不審者判定装置を中心に構築した監視システムの構成図である。図5において、図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また、不審者判定装置220′において、警報手段620は、判断情報に基づき警告情報を生成する手段である。また、スピーカ621は監視場所110に設置された手段であり、警告情報を音声信号として出力する手段である。
【0069】このような構成を有する本実施の形態における不審者判定装置は、実施の形態1と同様の動作を行うものであるが、判断手段223が「不審者あり」の判断を行った場合、直接監視場所110に対して警報を発するものである。
【0070】すなわち、警報手段620は、告知手段225が生成した判断情報を取得して、警告情報を生成する。警告情報は、監視場所110に滞在すると考えられる不審者に対して警告となるものであればブザー音、サイレン音などの機械音であってもよいし、音声合成によって得られるか、または予め外部の図示しない記録手段に記録された音声データ(例えば「警告!警告!」等の人語)であってもよい。
【0071】また、警報手段620は、判断手段223が「不審者あり」の判断を行っている間、所定のインターバルをおいて連続的に警告情報を発信するが、その内容は、発信のインターバル毎に異なるものであってもよい。例えば、一回目の警報情報は人語の音声データであって、2回目は内容の異なる音声データとし、3回目以降の警報情報はサイレン音であるとする。これにより、監視場所110に滞在すると考えられる不審者に対して、速やかに監視場所110からの退去を促すことが可能となる。
【0072】なお、警報情報は、監視場所110に設置されたスピーカ621によって直接出力されるものとしたが、判断情報と同様jに、インターネット300を介して外部情報端末400へ出力されるものとしてもよいし、電話や他の公衆通信回線を用いて、警察や警備会社へ発信されるものであってもよい。
【0073】また、上記の各実施の形態において、差分手段221は、所定のインターバルとして、5分ごとに得られた画像について差分をとるものとして説明を行ったが、このインターバルは、監視場所110の状態に応じた時間帯によって変更されるものとしてもよい。
【0074】例えば、マンションなどの場合、昼間に監視を行うと、監視場所110の人の往来は夜間より激しいと考えられるため、差分手段221のインターバルが短い場合は、異常判定手段222が「異常あり」の判定を行い、判断手段223が「不審者あり」の判断を行う頻度が、必要以上に多くなる恐れがある。
【0075】これに対し、タイマ224により計時される時間帯に基づき、差分手段221の動作インターバルを、昼間の場合は夜間の場合より大きくとるようにすれば、必要以上に「不審者あり」の判断が行われる機会を減少させ、より精度の高い監視が行えるようになる。
【0076】このとき、インターバルの変更は、昼間と夜間との2つに限らず、3つ以上の細かい時間帯に渡って行うようにしてもよい。また、差分手段221の動作インターバルに限らず、図4(a)(b)に示すような、選択領域600の大きさも、時間帯に応じて変更するようにしてもよい。
【0077】また、実施の形態1において、差分を与えるパラメータは、画像の有する情報の違いをビット単位で比較することによるとして得るとしたが、同一の差分値が得られない場合がある。これは、同一場所が撮像されている2つの画像において、画像を形成する画素は同一の情報を与えなければならないにも関わらず、モニタカメラ111の精度により、画像の情報に撮像毎に差異が生じ、これが差分としてカウントされるからである。
【0078】このとき、差分をとった後の画像のコントラストを高めると、画像の階調の濃淡のうち、淡い(明るい)部分をより強調して、モニタカメラの精度に基づく情報の差異を補償することができる。
【0079】しかし、同様の条件で夜間に差分を得ようとする、濃い(暗い)部はより強調されるため、差分を得るのに必要な画像の情報が失われてしまう。
【0080】このような場合には、昼間の場合とは逆に、差分をとった後の画像のコントラストを低めにすることにより、差分を得るための情報を残すようにする。
【0081】すなわち、差分手段221は、時間帯に応じて、差分値を得るための条件を変更することにようにする。これにより、昼夜によらず、同一の2つの画像の比較から、常に同一の差分が得ることができ、判断や判定に必要な情報を正確に得ることができる。
【0082】さらに、異常判定手段222が差分値との比較に用いる所定の閾値の大きさも、時間帯に応じて変更するようにしてもよい。また、判断手段223の判断基準となる「異常あり」が生じる時間および回数も、時間帯に応じて変更するようにしてもよい。
【0083】これにより、監視精度をさらにきめ細かく向上させることができる。
【0084】さらに、差分手段221における差分をとるインターバル、選択領域の位置やその大小、差分を得るための条件、異常判定手段222における閾値、判断手段223における判断基準となる時間および回数、告知手段225の動作時間帯の設定、上記の各手段のパラメータを変更するための時間帯の設定は、それぞれ個別に設定インタフェース228を介して外部から任意に設定するようにしてもよい。
【0085】このとき、設定インタフェース228と、通信手段227と接続することにより、インターネット300を介した外部情報端末400によって、電子メールや他の手段によって、設定インタフェース228で可能なパラメータの入力を行うようにしてもよい。
【0086】これにより、監視室200に常駐することなく監視条件を変更することができる。
【0087】さらに、図6に示すように、不審者判定手段220″として、履歴記録手段630を設けて、差分手段221が差分をとるために用いた画像、異常判定手段222における判定結果、判断手段223における判断結果を、各手段が動作した時間とともに動作履歴として記録しておくようにしてもよい。このとき判定結果や判断結果は、「異常なし」「不審者なし」の場合を含んでおいてもよい。また、動作履歴は、判断情報とともに表示手段226にて表示したり、通信手段227として外部情報端末400へ出力するようにしてもよい。
【0088】また、上記の各実施の形態は、単一のモニタカメラ111を接続して用いるものとして説明を行ったが、複数のモニタカメラを接続して、複数の監視場所を一台の不審者判定装置によって監視するようにしてもよい。
【0089】また、差分手段221は、モニタカメラ111から得られた動画像を、キャプチャ手段210によってキャプチャされた1フレーム毎の静止画から差分を得るようにしたが、差分手段221に入力される画像は、少なくとも差分をとることができる所定のインターバルで前後に隣接する静止画であればよい。したがって、差分手段211は、スチルカメラによって所定のインターバルで撮像された画像を断続的に取得するようにしてもよい。すなわち、監視場所110には、モニタカメラとして、動画用のビデオカメラの他、デジタルスチルカメラを設置し、キャプチャ手段210は省いた構成とすることができる。
【0090】また、本発明は、上述した本発明の不審者判定装置の全部または一部の手段(または、装置、素子、回路、部等)の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0091】本発明は、上述した本発明の不審者判定装置の全部または一部の手段の全部または一部の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムを担持した媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協動して前記機能を実行する媒体である。
【0092】なお本発明の一部の手段(又は、装置、素子、回路、部等)とは、それらの複数の手段の内の、幾つかの手段を意味し、あるいは、一つの手段の内の、一部の機能を意味するものである。
【0093】また、本発明の一部の装置(又は、素子、回路、部等)とは、それらの複数の装置の内の、幾つかの装置を意味し、あるいは、一つの装置の内の、一部の手段(又は、素子、回路、部等)を意味し、あるいは、一つの手段の内の、一部の機能を意味するものである。
【0094】また、本発明のプログラムを記録した、コンピュータに読みとり可能な記録媒体も本発明に含まれる。
【0095】また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0096】また、本発明のプログラムの一利用形態は、伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0097】また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0098】記録媒体としては、ROM等が含まれ、伝送媒体としては、光ファイバやインターネット等の伝送機構、光・電波・音波等が含まれる。
【0099】したがって、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【0100】
【発明の効果】以上、説明したことから明らかなように、本発明によれば、簡易な構成かつ低コストで不審者を判別することが可能な不審者判定装置等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における不審者判定装置による監視システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における不審者判定装置の動作のフローチャートを示す図である。
【図3】(a)本発明の実施の形態1における不審者判定装置の動作を説明するための図である。
(b)本発明の実施の形態1における不審者判定装置の動作を説明するための図である。
(c)本発明の実施の形態1における不審者判定装置の動作を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態1における不審者判定装置の、他の動作例を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態2における不審者判定装置による監視システムの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2における不審者判定装置による監視システムの、他の構成例を示す図である。
【図7】従来の技術による監視システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
100 施設
110 監視場所
111 モニタカメラ
200 監視室
210 キャプチャ手段
220 不審者判定装置
221 差分手段
222 異常判定手段
223 判断手段
224 タイマ
225 告知手段
226 表示手段
227 通信手段
228 設定インタフェース
300 インターネット
400 外部情報端末
401 携帯電話
402 パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定のエリアを撮像して得られた画像の変化を用いて、前記所定のエリアに不審者がいるかどうかを判定する不審者判定装置。
【請求項2】 所定のエリアを撮像して得られた、少なくとも所定のインターバルで前後に隣接する画像の全部または一部の差分をとる差分手段と、前記差分と所定の閾値とを比較し、前記差分が前記所定の閾値以上である場合に変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさに基づき異常ありと判定し、そうでない場合は異常なしと判定する異常判定手段と、前記異常ありの判定が、所定の時間内に所定の回数生じた場合、前記所定のエリアには不審者がいると判断する判断手段とを備えた不審者判定装置。
【請求項3】 前記異常判定手段は、前記変化発生後の差分の大きさが、所定の期間以上一定である場合、前記異常ありの判定を行う請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項4】 前記所定のインターバルは、外部から設定可能な請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項5】 前記判断手段における所定の時間および/または所定の回数は、外部から設定可能な請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項6】 前記差分手段における前記差分をとる前記画像の一部の位置および/または大きさは、外部から設定可能な請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項7】 前記異常判定手段における所定の閾値の大きさは、外部から設定可能な請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項8】 前記判断手段の判断結果を含む判断情報を生成し、該判断情報を外部へ告知する告知手段をさらに備えた請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項9】 前記告知手段は、前記判断情報を、外部から設定可能な所定の時間帯に告知する請求項8に記載の不審者判定装置。
【請求項10】 前記判断情報は、前記判断結果に対応した前記画像の全部または一部を含む請求項8に記載の不審者判定装置。
【請求項11】 前記判断情報は、ネットワークを介して外部へ告知される請求項8に記載の不審者判定装置。
【請求項12】 前記判断情報は、電子メールとして前記ネットワーク上を配信される請求項11に記載の不審者判定装置。
【請求項13】 前記判断情報に基づく警告情報を生成し、該警告情報を発信する警報手段を備えた請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項14】 前記警告情報は、前記所定のエリアに対して発信される請求項13に記載の不審者判定装置。
【請求項15】 前記警報情報は、所定のインターバルをおいて複数回発信され、発信される毎にその内容が異なる請求項13または14に記載の不審者判定装置。
【請求項16】 前記撮像された画像、前記異常判断手段の判断動作の履歴、前記判定手段の判定動作の履歴の全部または一部を記録する履歴記録手段を備えた請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項17】 前記外部からの設定は、ネットワークを通じて行なうことができる請求項3から6、または9のいずれかに記載の不審者判定装置。
【請求項18】 前記所定のインターバル、前記判断手段における所定の時間および/または所定の回数、前記差分手段における前記差分をとる前記画像の一部の位置および/または大きさ、前記差分手段が差分を得るための条件の全部または一部は、前記撮像が行われている時間帯に応じて変更される請求項2に記載の不審者判定装置。
【請求項19】 請求項2に記載の不審者判定装置の、所定のエリアを撮像して得られた、少なくとも所定のインターバルで前後に隣接する画像の全部または一部の差分をとる差分手段と、前記差分と所定の閾値とを比較し、前記差分が前記所定の閾値以上である場合に変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさに基づき異常ありと判定し、そうでない場合は異常なしと判定する異常判定手段と、前記異常ありの判定が、所定の時間内に所定の回数生じた場合、前記所定のエリアには不審者がいると判断する判断手段との全部または一部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項20】 請求項2に記載の不審者判定装置の、所定のエリアを撮像して得られた、少なくとも所定のインターバルで前後に隣接する画像の全部または一部の差分をとる差分手段と、前記差分と所定の閾値とを比較し、前記差分が前記所定の閾値以上である場合に変化が発生したとみなし、その変化発生後の差分の大きさに基づき異常ありと判定し、そうでない場合は異常なしと判定する異常判定手段と、前記異常ありの判定が、所定の時間内に所定の回数生じた場合、前記所定のエリアには不審者がいると判断する判断手段との全部または一部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを担持した媒体であって、コンピュータにより処理可能なことを特徴とする媒体。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2003−51075(P2003−51075A)
【公開日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−218133(P2001−218133)
【出願日】平成13年7月18日(2001.7.18)
【出願人】(501286509)日本アドバンテージ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】