説明

不応性の排尿機能異常を治療するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素を使用する方法

【課題】不応性の排尿機能異常を治療するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素を使用する方法を提供すること。
【解決手段】神経仲介泌尿器疾患、特に不応性の排尿機能異常を治療するための製薬組成物の調製するために、ボツリヌス毒素が使用される。また、患者の膀胱圧の上昇を低減するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型が使用される。更に、患者の膀胱容量を増大させるための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型が使用される。
同組成物は患者の膀胱頸部に注射するのに適した製薬的に許容可能な剤型にて処方化される。同組成物を用いることにより、手術などの外科的処置を行うことなく尿停滞の症状を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経仲介泌尿器疾患及び関連疾患、例えば、良性前立腺過形成(BPH)や前立腺炎の治療方法を提供する。これは、少なくとも一つの神経毒化合物を含有する組成物を投与することによって、又は通常の治療によって達成される。
【背景技術】
【0002】
泌尿器学における多数の医学的疾患は、仙椎反射弓の痙性機能異常に原因がある。このような疾患の例は、下腹部痛(例えば、間質性膀胱炎、子宮内膜症、前立腺痛、尿道不安定性症候群)、下腹部筋膜エレメント(例えば、挙筋括約筋、月経困難症、肛門フィステル、痔核)、尿失禁(例えば、不安定性膀胱、不安定性括約筋)、前立腺疾患(例えば、BPH、前立腺炎、前立腺癌)、再発性感染(括約筋痙性から二次的)、及び尿停滞(括約筋痙性又は肥大化膀胱頸部から二次的)や神経性膀胱機能異常(例えば、パーキンソン病、脊髄傷害、脳卒中、多発性硬化症、攣縮反射)などである。
【0003】
前立腺は、男性(オス)の生殖システムの部分的に腺状、部分的に繊維筋状の腺である。加齢の間に、前立腺は肥大する傾向を有する。この前立腺肥大により、尿道障害や排泄機能不全になりうる。
【0004】
前立腺肥大は老人には普通の症状である。非特許文献1によると、45歳の男性は、70歳までに前立腺手術のリスクが10%あると推定された。米国国勢調査報告によると、現在、65歳以上の人口は3千万である。全人口のこの層は、次の30年で5千万になると予測されている。従って、前立腺肥大の男性の数も増加する。米国腎臓及び泌尿器疾患諮問委員会(the National Kidney and Urologic Disease Advisory Board)の報告草案によれば、1989年に米国で425,000件の前立腺切除が行われた。人口成長推定に基づくと、年間に行われる前立腺切除の数は、2020年までに800,000件/年に増加しよう。
【0005】
尿道が外部尿道開口部まで進むときに、尿道は前立腺(尿道前立腺部)を通過する。前立腺は5個の異なる葉を有し、それらは、ヒト胎児で12週目で明らかである(非特許文献2)。胎児で見出される葉状枝別れは思春期前の前立腺では見えないが、側面中央前葉と側面中央後葉は、肥大前立腺を記載するために用いられる。
【0006】
より最近の観点によれば、前立腺はまた、幾つかの形態的に別個の領域からなる(非特許文献3)。腺体積の大部分は末梢領域(約70−75%)からなる。腺体積の残りは、中央領域(約20−2%)、移行領域(約5−10%)、尿道周辺腺領域(約1%)に分けられる。
【0007】
非特許文献3の報告によると、BPHは移行領域と尿道周辺腺領域で発症する。BPH小結節は、前−前立腺括約筋領域の内部か、又は直近で発生する。移行領域は、近位尿道括約筋と密接に関連する尿道に近い小領域である。移行領域の間質は密でコンパクトであり、通常、成長制御の神経学的誘導撹乱に感受性である。その腺は括約筋に進入し、括約筋繊維は移行領域間質に進入する。尿道周辺腺領域は、移行領域と同様の尿排泄洞起源である。
【0008】
BPHは、上皮に対し間質が増量していることと関連しうる(非特許文献4)。間質のかなりの部分は交換神経制御下にある平滑筋である(非特許文献3)。この平滑筋の収縮性により、BPHにおける障害の動的な因子が説明できよう(非特許文献5;非特許文献6)。
【0009】
前立腺間質の交感神経制御に加えて、前立腺には神経が高度に分布している。前立腺神経繊維は後部側面から前立腺に入り、前立腺と精嚢の間の接合部の近くに神経節が集中している(非特許文献7;非特許文献8)。アセチルコリン(ACH)、ニューロペプチド(NPY)、血管作用性腸ペプチド(VIP)、ノルアドレナリン繊維が前立腺で報告されている。ACH陽性神経細胞体の豊富な叢が前立腺の全ての部分における分泌腺房と連関する。ACH繊維の一部はNPYニューロンも含む。VIP含有ニューロンはACH含有神経細胞体と連関することが知見された。一部のニューロンがACH染色神経繊維中に見出され、NPYニューロンとノルアドレナリン作動性ニューロンの両方が平滑筋に供給されることが示唆される(非特許文献8)。
【0010】
自律神経は前立腺の中央領域と末梢領域に等しく分布している(非特許文献8)。末梢神経制御は同様である。更に、前立腺の上皮エレメント又は間質エレメントのどちらか一方と連関していると見出された神経繊維の型に差異はない。
【0011】
前立腺における神経繊維型の解剖学的研究と、前立腺間質の神経分布の他の研究(非特許文献5;非特許文献9)の組合せの示唆するところによれば、コリン作動性神経分布は上皮挙動に影響を与え、アドレナリン作動性神経分布は間質緊張(興奮性)に影響を及ぼす。これらの観察から、例えば、BPHの治療におけるα−ブロッカーの使用のための理論的解釈が得られる。α−ブロッカーの効果(非特許文献10)は、α−ブロッカーによる機能異常の横紋筋括約筋挙動の低下の結果として、BPHの症状の改善を説明することもできる。
【0012】
研究の更に示すところによれば、平滑筋の緊張に影響を及ぼしうる幾つかのタキキニン(例えば、サブスタンスP[SP]、カルシトニン遺伝子関連ペプチド[CGRP]、ニューロキニンA、ブラジキニン、神経成長因子[NGF])がある(非特許文献11)。神経伝達物質レセプターが前立腺において定量化された(例えば、NPY、VIP、SP、leu−エンケファリン(L−enk)、met−エンケファリン、5−HT、ソマトスタチン、アセチルコリンエステラーゼ陽性繊維(ACTH)、ドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ(DBH))(非特許文献12)。良性前立腺過形成の前立腺の異なる部位でレセプター密度に関しある種の変化がある。
【0013】
電気生理学的に記録された細胞の挙動の変化と脊髄内のニューロペプチドの濃度の変化は、ラットの尾の筋肉の機械的つまみ、尿道後部のカテーテル刺激、及び末梢神経の電気刺激の二次的結果であることが知見された。排尿筋と尿道括約筋の協調運動障害は、前立腺痛の患者における重要な知見である。前立腺の脱神経は前立腺上皮内の劇的変化をもたらすことが知見された。刺激性の挙動を変化させる機械的、電気的、化学的又は熱的(マイクロ波、レーザー)方法により、神経学的影響における実験的に誘導された変化が、仙椎、脊髄、膀胱又は尿道において起りうる証拠がある。しかし、治療のために神経毒を用いる公知の試みは無かった。
【0014】
前立腺肥大の程度と症状の程度の間の関連は小さい。70歳の男性の80%が経直腸超音波走査によってBPHがあるが、20%だけが手術(非特許文献13)、BPHの選択治療(非特許文献14)を受ける。刺激の症状は、前立腺の大きさに基づいて予想される症状をはるかに超えうる。前立腺経尿道的切除術(TURP)(非特許文献15)、バルーン拡張(非特許文献16)、又は前立腺過温法(非特許文献17)などの方法によるBPHの手術的治療後、症状は改善しうる。しかし、BPH患者全ての15%で、症状は存続する(非特許文献17;非特許文献18)。BPH患者の25%までが長期間追跡研究で二次的方法を受ける。このことは、手術的方法は、BPHを起こす基本的機構、即ち、尿管下部の完全性に対する誤った神経的影響(制御機構)に影響を与えないことを示唆する。
【0015】
手術の繰り返しの必要性、TURPと関連する病的状態と致死率、及び手術費用のために、アンドロゲン除去(非特許文献19)や上記のα−ブロッカーの使用などの幾つかの非手術的方法が発展してきた。しかし、現在まで、正常の状態(流速約25mL/秒、排尿体積約400mL)まで排尿を回復させる医学的又は手術的治療はほとんど無かった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Lytton,B.,Emery,J.M. and Harvard,B.M.,99:639−645(1973)
【非特許文献2】Lowsley,O.S.,Am.J.Anat.,13:299−349(1912)
【非特許文献3】McNeal,J.Urol.Clin.North Am.,17(3):477−486(1990)
【非特許文献4】Bartsch,G.,Muller,H.R.,Oberholzer、M.,Rohr,H.P.,J.Urol.,122:487−491(1979)
【非特許文献5】Brusching,H.他,Invest.Urol.,15(4):288−90(1978)
【非特許文献6】Lepor,H.,Urol.Clin.North Am.,17(3):651−658(1990)
【非特許文献7】Maggi,C.A.編,Nervous control of the Urogenital System,Harwood Academic Publishers(1993)
【非特許文献8】Higgins,J.R.A. and Gosling,J.A.,Prostate Suppl.2:5−16(1989)
【非特許文献9】Watanabe,H.,Shima,M.,Kojima.M.,Ohe,H.L.,Pharmacol.Res.21(Suppl 2):85−94(1989)
【非特許文献10】Downie,J.W. and Bialik,G.J.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,246(1):352−358(1988)
【非特許文献11】Hakanson他,Neuroscience,21(3):943−950(1987)
【非特許文献12】Crowe,R.,Chapple,C.R.,Burnstock,G. The Human Prostate Gland:A Histochmical and Immunohistochemical Study of Neuropeptides,Serotonins,Dopamines beta−Hydroxylase and Acetylcholinesterase in Autonomic Nerves and Ganglia
【非特許文献13】Coffey,D.S. and Walsa,P.C.,Urol.Clin.North Am.,17(3):461−475(1990)
【非特許文献14】Fowler,F.J.Jr.,Wennberg,J.E.,Timothy,R.P.,J.Amer.Med.Assoc.,259(20):3022−3028(1988)
【非特許文献15】Christensen,Aagaard,M.M.J.,Madsen,P.O.,Urol.Clin.Nprth Am.,17(3):621−629(1990)
【非特許文献16】Dowd,J.B. and Smith,J.J.III.,Urol.Clin.North Am.,17(3):671−677(1990)
【非特許文献17】Baert.L.,Ameye,F.,Willemen,P.他,J.Urol.,144:1383−1386(1990)
【非特許文献18】Wennberg,J.E.,Mullly,A.G.,Hanley,D.,Timothy,R.P.,Fowler,F.J.,Roos,R.P.,Barry,M.J.他,J.Amer.Med.Assoc.,259:3027−3030(1988)
【非特許文献19】McConell,J.D.,Urol.Clin.North Am.,17(3):661−670(1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
泌尿器−神経の機能異常状態又は疾患、例えば前立腺肥大の予防や治療のための安全で、安価で、外来患者用の方法を提供することが本発明の目的である。
この治療目標のための組成物を提供することは、本発明の更なる目的である。神経−泌尿器疾患の予防と治療に有用な組成物の投与量と投与法を提供することは、本発明の更に別の目的である。
【0018】
より詳細には、本発明の目的は不応性の排尿機能異常(recalcitrant voiding dysfunction)を治療するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素を使用する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の更なる目的は、患者の膀胱圧の上昇を低減するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型を使用する方法であって、同組成物は患者の膀胱頸部に注射するのに適した剤型にて提供される、方法を提供することにある。
【0020】
本発明の更なる目的は、患者の膀胱容量を増大させるための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型を使用する方法であって、同組成物は患者の膀胱に注射するのに適した剤型にて提供される、方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、当業者に自明であろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述の目的を解決するために、請求項1に記載の発明は、不応性の排尿機能異常を治療するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素を使用する方法を提供する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の使用方法において、不応性の排尿機能異常は尿失禁であることをその要旨とする。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の使用方法において、組成物は患者の膀胱壁に投与するのに適した剤型にて提供されることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の使用方法において、組成物は液体、粉末、クリーム、エマルション、丸薬、トローチ、座薬、懸濁剤及び溶液からなる群より選択される製薬的に許容可能な製剤に処方化されることをその要旨とする。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の使用方法において、組成物は注射可能な組成物であることをその要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の使用方法において、ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素A型であることをその要旨とする。
【0025】
請求項7に記載の発明は、患者の膀胱圧の上昇を低減するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型を使用する方法において、組成物は患者の膀胱頸部に注射するのに適した剤型にて提供される、使用方法を提供する。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の使用方法において、組成物は、一回の注射に適した剤型にて提供されることをその要旨とする。
請求項9に記載の発明は、患者の膀胱容量を増大させるための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型を使用する方法において、前記組成物は患者の膀胱に注射するのに適した剤型にて提供される、使用方法を提供する。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項6、7及び9のいずれか一項に記載の使用方法において、ボツリヌス毒素A型は2500ユニットまでの量にて注射されることをその要旨とする。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項6、7及び9のいずれか一項に記載の使用方法において、ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量はボツリヌス毒素A型の1.4IU/kg〜17.1IU/kgであることをその要旨とする。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項6、7及び9のいずれか一項に記載の使用方法において、ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量は200ユニットのボツリヌス毒素A型であることをその要旨とする。
【0030】
請求項13に記載の発明は、請求項6に記載の使用方法において、ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量は400ユニットのボツリヌス毒素A型であることをその要旨とする。
請求項14に記載の発明は、請求項7又は9に記載の使用方法において、ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量は800ユニットのボツリヌス毒素A型であることをその要旨とする。
【0031】
本発明は、神経仲介泌尿器疾患と関連疾患を治療するために、化学的方法と非化学的方法、特に神経毒を用いる。例えば、このような方法を用いて、BPHや、前立腺炎などの関連疾患を治療できる。本発明はまた、生体フィードバックを含む非化学的方法によって、又は、例えば、選択された神経毒などの種々の神経活性を遮断する物質の投与による、BPHや他の泌尿器疾患を治療する化学的方法によって、CNSにおける変化の引き金を取り除きうる。
【0032】
本発明の一態様によって、哺乳動物における泌尿器−神経疾患の治療方法が提供される。該方法は、治療有効量の少なくとも一つの神経毒をこのような哺乳動物に投与する段階を含む。神経毒はシナプス機能を阻害するのが好ましい。このような阻害により、選択的脱神経、及び、例えば、前立腺の萎縮や、前立腺肥大と関連した刺激性症状の逆転が生じる。本発明の一つの実施形態では、神経毒は、筋肉神経接合部における特異的結合とアセチルコリン遊離の遮断によって、前シナプス神経終末の機能不全を誘導する。このような神経毒は例えば、ボツリヌス毒素A型(Botox,Allergen)でありうる。
【0033】
神経毒は、他の治療と併用するときを含めて、安全で、非常に選択的で、送達させるのが容易であるのが好ましい。他の有用な神経毒は、カプサイシン、レシノフェラトキシン、及びα−ブンゴトキシンなどである。神経毒のデリバリィは任意の適切な手段によってでありうる。デリバリィの便利で局所的な方法は注射である。
【0034】
神経毒の治療有効量は、最低1週間、より好ましくは1月、最適には約6−8月以上、神経活性を阻害するために十分な投与量である。投与は、単一投与又は累積的投与(連続的投与)でありえ、当業者によって容易に決定されることができる。治療効果を最適化できるように、神経毒は連続的に投与しうる(即ち、1月1回、6月毎に1回)。このような投与計画は、例えば患者の体格や治療する疾患に基づき、当業者により容易に決定される。このような投与計画は、選択される神経毒、治療する疾患、刺激の程度、及び他の変数を含む多くの因子に依存する。BPHの治療の一つの提案された方法は、3日毎に200ユニットからBotoxのLD50、即ち約2500ユニットまでの間である。
【0035】
上記治療方法は、手術介入の必要性無くして、神経−泌尿器疾患、例えば前立腺肥大の症状の長期間抑制に特に有用であるはずである。更に、本発明の方法は、この治療方法と関連する副作用と治療の失敗の可能性無くして、神経−泌尿器疾患、例えばBPHと関連疾患の抑制を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、不応性の排尿機能異常を治療するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素を使用する方法が提供された。しかも、本発明の方法により得られた製薬組成物により、手術を実施する必要なく、不応性の排尿機能異常の症状が改善されるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
“泌尿器−神経疾患”は、仙椎反射弓の痙性機能異常及び/又は変性に基づく泌尿器における多数の医学的疾患を含む。このような疾患の例は、下腹部痛(例えば、間質性膀胱炎、子宮内膜症、前立腺痛、尿道不安定性症候群)、下腹部筋膜エレメント(例えば、挙筋括約筋、月経困難症、肛門フィステル、痔核)、尿失禁(例えば、運動性もしくは感覚性、不安定性膀胱、不安定性括約筋)、前立腺疾患(例えば、BPH、前立腺癌)、再発性感染(括約筋痙性から二次的)、及び尿停滞(括約筋痙性又は肥大化膀胱頸部から二次的)や神経性膀胱機能異常(例えば、パーキンソン病、脊髄傷害、脳卒中、多発性硬化症、攣縮反射)並びに神経原因の他のこのような泌尿器疾患などである。
【0038】
本発明の方法により治療できる前立腺肥大はどのような原因でもありうる。本発明は、前立腺過形成、特に良性前立腺過形成の治療に特に適する。本発明はまた、炎症(前立腺炎)、特に非細菌性前立腺炎による前立腺肥大の治療のために使用できる。更に、本発明の方法は、前立腺痛の治療のために使用できる。
【0039】
理論に縛られないが、本発明の神経−泌尿器疾患の治療の基礎は、病気の組織の機能異常の調節の神経的基礎の除去又は調節である。例えば、前立腺機能異常の神経的基礎の調節は、当業界公知の非手術的手段により達成されることができる。このような手段は、例えば、生体フィードバック、α−ブロッカー、薬理的方法、及び、病気の前立腺におけるシナプス機能を阻害するための一つ以上の神経毒の使用を含みうる。神経毒は、シナプス機能の長期間続く阻害、好ましくは1週間以上、より好ましくは1月以上、最適には6−8月以上、を引き起こすのが好ましい。このような神経毒は、例えば、カプサイシン、レシノフェラトキシン、α−ブンゴトキシン、テロドトキシン及びボツリヌス毒素を含みうる。ボツリヌス毒素、特にボツリヌス毒素A、より好ましくはBotox(Allergen)は、本発明にとって好適な神経毒である。
【0040】
毒素は、任意の医薬として許容できる形態の任意の医薬として許容できる製剤に製剤化できる。このような形態及び製剤は、液体、粉末、クリーム、エマルション、丸薬、トローチ、座薬、懸濁剤、溶液などである。毒素はまた、製薬業者により供給される任意の医薬として許容できる形態で使用できる。
【0041】
本発明の方法の一つの好適な実施形態では、神経毒はボツリヌス毒素A型である。ボツリヌス毒素の治療有効量は、毒性のある投与量よりも小さい量即ち投与量でありうる。例えば、約3000IU/70kg男性(オス)未満、好ましくは100IU/70kg〜1200IU/70kgである。単一投与量、又は分割投与量として、例えば4週間に渡って分割して投与できる。
【0042】
本発明の神経毒は、適切な手段によって投与できる。本発明の好適な実施形態では、ボツリヌス毒素は注射によって投与される。このような注射は、病気の部位へ投与されることができる。例えば、神経毒は、単一投与又は連続投与で、200IUを前立腺に尿道鏡により注射できる。好ましくは、神経毒は、治療効果が達成されるまで、又は約2500ユニットまで、3日毎に注射される。
【0043】
以下の技術を本発明で用いる。
光学顕微鏡のための組織調製
組織を、0.1Mリン酸緩衝液pH7.2中の6%パラホルムアルデヒドで24時間固定し、等級の高いアルコールとキシレン中で脱水し、パラフィン中に包埋する。切片を切断して取り、ヘマトキシリン/エオシンなどの適切な染色剤で染色する。
【0044】
電子顕微鏡のための組織調製
組織を集め、0.1Mリン酸緩衝液pH7.2中の2.5%グルタルアルデヒド中で、4℃、1時間固定し、次いで、0.1%四酸化オスミニウムで1時間インキュベートし、EPON中に包埋する。超薄片(80nm)を調製し、クエン酸鉛/酢酸ウラニルで染色し、電子顕微鏡(Philips,モデル201)で検査する。
アポトーシスのためのTunel染色
組織を、上記のように固定し、包埋する。組織を脱パラフィンし、プロテイナーゼK(Boehringer)と反応させる。それらを更に、ペルオキシダーゼとTDT酵素で処理し、37℃にセットされた加湿器中に1時間入れる。切片を洗浄し、抗ジゴキシゲニン−ペルオキシダーゼを30分間加え、次いで、ニッケル−DAB(ジアミノベンゼン)で染色を行う。
【0045】
免疫組織化学的研究
神経ペプチドであるVIP、SP、NPY、L−Enk、及びカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の存在、並びにトランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、トランスフォーミング成長因子α(TGF−α)、上皮成長因子(EGF)及び塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)の発現を、適切なモノクローナル抗体を用いて、前立腺組織で測定する。神経毒の使用により前立腺が萎縮し、それは、処理された前立腺組織における低レベルの成長因子によってリネクトされる(renected)はずである。
【0046】
切片を一晩室温で一次抗体とインキュベートし、次いで、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ(Vectastain Elite ABC,Vector Labs,USA)による免疫染色を行う。神経伝達物質であるVIP、CGRP、SP、NPY、L−Enk(Peninsula Labs,USA)に対するウサギポリクローナル抗血清を、これらの調製物(切片)中で、1:8000〜1:12,000の希釈で用いる。免疫組織化学対照は、適当な抗原により一次抗血清を前吸収し、又は正常血清によりそれらの置換物を前吸収することからなる(Blasi,J.,Chapman,E.R.,Yamaskai,S.,Binz,T.,Niemann,H. and Jahn,R.,The EMBO Journal 12:4821−4828(1993);Black,J.D. and Dolly,J.O.,J.Cell Biol.,103;535−544(1986);Linial,M.,Is.J.Med.Sci.,31:591−595(1995))。スライド上に載せた後、切片をエオシンで逆染色し、脱水し、カバーで覆う。
【0047】
成長因子発現のウエスタンブロット分析
処理した、及び未処理の前立腺細胞ホモジネートの成長因子発現を、ウエスタンブロット分析によって試験する。細胞ホモジネートタンパク質をSDS−PAGE(7%)の電気泳動で分離し、次いで、電気泳動で一晩、ニトロセルロースペーパーに移す(Towbin,H.,ら,Proc.Nat.Acad.Sci.,76(9):4350−4379(1979))。ニトロセルロースペーパーを、リン酸緩衝化生理食塩水中に溶解した0.5%無脂肪乾燥ミルク中に1時間、室温で浸し、更にブッロキング溶液(10mM Tris/0.15M NaCl/0.1%アジ化ナトリウム,pH7.4中2%ウシ血清アルブミン)中で一晩、4℃で浸す。ニトロセルロース膜をブッロキング緩衝液中で1時間、プロテインAで精製した抗体(抗TGF−β、抗TGF−α、抗EGF、抗bFGFのIgG分画)(1×10cpm/mL)とインキュベートする。膜をインキュベーションの間に、Nonidet P−40を含有するPBSで洗浄する。X−O−mat AR2 フィルム(Kodak)を−70℃で膜に曝し、フィルムを現像し、成長因子の発現を試験する。
【0048】
c−fos及びc−myc発現の測定
処理した、及び未処理の前立腺組織のc−fosとc−mycの発現を以下のようにノーザンブロット分析で測定する。組織を、15秒間又は組織がホモゲナイズされるまで、溶解緩衝液中でホモゲナイズする。酢酸ナトリウムを加え、溶液に渦巻きを起こさせて混合する。等量の水飽和フェノールを加え、逆さにして混合し、次いでクロロホルム/イソアミルアルコールを加える。溶液に30秒間激しく渦を巻かせ、15分間氷上に放置する。溶液を4℃で10−20分間遠心する。遠心後、水相を注意深く吸引し、新しいポリプロピレンチューブに入れる。一体積のイソプロパノールを加え、溶液を渦巻きによって混合する。溶液を最低60分間−20℃フリーザーに入れ、RNAを沈殿させる。沈殿後、チューブを10分間遠心し、上清をデカントで捨て、RNAペレットを残す。1mLのエタノールを加え、チューブを更に10分間遠心する。水相を捨て、ペレットを渦巻きによって100%エタノールで洗浄する。RNAペレットを溶解緩衝液0.4mLで再溶解する。RNAに100%エタノールを添加し、最低60分間−20℃フリーザーでインキュベーションすることにより再沈殿させる。溶液を遠心し、上清を捨てる。サンプル5μLをDEPC水995μL中に希釈し、260/280nmでの吸光度の比を測定することにより、RNA濃度を測定する。
【0049】
以下の実施例によって特定の実施形態を説明するが、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0050】
前立腺の脱神経
前立腺の片側性脱神経は、ラットの前立腺に重層する骨盤神経節の除去によって行う。この方法により、膀胱と尿道後部の機能的完全性は保存され、血流又は放尿における、主要な乱れから起るアーティファクトの可能性が除かれる。対照動物は、同時の前立腺脱神経無くして偽の手術を受ける。脱神経後、動物を回復させ、維持し、次いで前立腺を集める。前立腺を保存し、光学顕微鏡用に調製し、組織学的に検査する。主要な知見は以下のようである。(1)主に鮮明な核上帯の減少による上皮細胞高さの減少(先端槽(apical cisternae)と小胞体の量と大きさの減少によって)、(2)SDSゲル電気泳動でのタンパク質発現の主要な変化(小胞体はタンパク質合成において重要である)、(3)分泌顆粒の数の中程度の減少、(4)細胞内液胞、細胞内空空間の増加と、細胞表面の微絨毛の減少、(5)対照群に対し脱神経と同側の神経成長因子(NGF)含量の顕著な増加(188±10対46±20対29±16pg/g湿組織(±SD))。NGFは、交感神経と感覚神経のみに影響を与えることが知られている。対照群と実験群の両方でN=15。
【実施例2】
【0051】
正常前立腺:ラット前立腺に対する神経毒注射の効果
ラットを無作為に3群に割り振った。第1群は、ボツリヌス毒素A型(Botox,Allergen)5、10、又は15IUの単一急性投与を受けた。これらの動物を注射の1週間後に殺した。第2群は、一連の週毎のボツリヌス毒素5IUの4週間投与を受け、5週目で殺した。対照ラットは生理食塩水注射を受けた。注射は、前立腺の左及び/右腹部葉中への単一又は連続注射として行った。ラット前立腺の一葉中へのメチレンブルーの注射は反対側の葉中への即時の拡散を示したことに注意せよ。即ち、前立腺葉間の伝達があり、従って、反対側の側面葉は、真の比較対照として使用できなかった。
【0052】
健康動物から集めた各前立腺腹部葉の重量は約0.50gであった。毒素処置動物の全ては、第1に、注射した葉において前立腺体積の収縮を示したが、次以降の注射で、全体の体積の減少を示した。4回の連続注射後、左前立腺葉の重量は0.12−0.17gであり、右葉の重量は0.10−0.14gであった。これは、元の大きさの2/3以上の減少を示した。
【実施例3】
【0053】
泌尿器機能異常に対する神経毒素注射の効果:ヒトデータ
不応性の排尿機能異常の3人の患者は、次のようにボツリヌス毒素(Botox)の注射によって処置した。患者1は47歳の男性であり、頚椎の傷害(レベルC6−C7)から二次的に尿意を抑制できなく、以前に14月を耐えた。示された尿力学によると、膀胱容量は30mLで、括約筋は弱かった(ピークの尿道圧は3.9kPa(40cm水)であった)。該患者は複数の薬理的治療法に失敗し、ペニスクランプ/コンドームデバイスに耐えられなかった。
【0054】
該患者は、膀胱頸部中に週毎の200IUのボツリヌス毒素注射を4週受けた。総投与量は800IUであった。注射後、彼の膀胱容量は、オキシブチニンと共にの場合300−400mLであり、オキシブチニン無しで150−200mLであった。注射前のピーク膀胱圧は19.6kPa(200cm水)であり、比較して注射後の膀胱圧は3.9kPa(40cm水)であった。ボツリヌス毒素による処置後、患者はペニスクランプで尿意を抑えることができた。更に、膀胱痙性の減少のために、歩行と勃起は改善された。
【0055】
患者2は、14年前の外傷から二次的なT12不全対麻痺の55歳の女性であった。その患者は緊急の尿意を抑えられない症状を示し、日中2時間毎に、夜間は2回、自己カテーテルを行っていた。その患者は膀胱側壁に週当たり200IUを2週、合計400IUのボツリヌス毒素の注射を受けた。該患者の排尿の日誌データは、注射前の容量は150−200mLであることを示した。注射後、日誌データは、膀胱容量は300−400mLに増加したことを示した。更に、該患者はもはや煩わしい不断の緊急型機能異常を有せず、夜間ずっと眠れ、4時間毎の自己カテーテルで尿意を抑制できた。
【0056】
患者3は、前立腺癌の放射線治療後の不能性会陰部疼痛を有する65歳の男性であった。該患者は医学治療に失敗した。該患者は、外部尿道括約筋へのボツリヌス毒素200IUの1回の注射の治療を受けた。該患者は睾丸痛から劇的に解放され、ペニス軸の痛みははるかに小さくなった。勃起は影響されなかった。
【実施例4】
【0057】
最小有効投与量の決定
ラットの前立腺腹部葉にボツリヌス毒素(Botox)の単一又は連続投与を行う。異なる時間間隔で前立腺を取得し、最小有効投与量と、時間と共に起る形態的及び生理的変化を測定する。最小有効投与量は、前立腺体積の減少を示す投与量と定義する。
【0058】
電場刺激への応答を評価するために、器官浴中に入れた2つの白金電極の間に調製物を載置する。該調製物の張力を調整する。単一方形波パルスを送るDanted Neuromatic 2000 Stimulatorを用いて、振動数0.5−80ヘルツ、持続時間0.8ミリ秒、最大電圧以上で、神経の経壁刺激を行う。電極の極性は、極性変更ユニットによって各パルス後変化させる。トレイン持続時間は5秒で、トレイン間隔は120秒である。等尺性張力を、Gould thermo−array 8チャンネル記録計を用いて記録する。最適応答を生じる前負荷張力を測定するために別々の実験を行う。更に、個々の神経ペプチドの異なる濃度の存在下での電場刺激の効果を測定する。これらの神経ペプチドは、10−20μMアドレナリン、10μMクロニジン、5−50mMレジチン、10nM−0.1μMアセチルコリン、1−3μMアトロピン、1nM−10μMニフェジピン、1−10nM VIP、1−250nM NPYである。電場刺激から生じる前立腺の状態と収縮に対するニトロプルシド(一酸化窒素遊離物質)とメチレンブルー(グアニレートシクラーゼ阻害剤)の効果もこれらの組織で試験する。
【実施例5】
【0059】
ラット前立腺組織に対するボツリヌス毒素の効果:ホルモン的に完全なラットのホルモン欠乏ラットに対する比較
神経毒と精巣由来ホルモンとに相互作用があるかどうかを決定するために、神経毒とホルモン性成分との相互作用を試験する研究を行う。睾丸切除術を受けたラット(ホルモン枯渇ラット)から得られたボツリヌス毒素処理前立腺組織と、睾丸切除術を受けなかったボツリヌス毒素処理ラットからの前立腺組織をこれらの研究で比較する。52匹の齢の同じラットを下記のように処理する。4匹の健康ラットは、麻酔誘導、前立腺露出、前立腺の左腹部葉中への0.2mL生理食塩水の注射からなる偽手術を受ける。3匹のラットは、前立腺への注射無しに両側の睾丸切除術を受ける(ホルモン枯渇対照)。5匹のラットは、睾丸切除術を受け、左腹部葉中に0.2mL生理食塩水の注射を受ける(ホルモン枯渇+手術ストレス対照)。4群のラットは、0.5IU、1.0IU、1.5IU、2.5IUのボツリヌス毒素注射のみを受ける(ホルモン完全性実験ラット)。16匹のラットは両側の睾丸切除術を受ける。これらのラットの8匹は、手術後5週で左腹部葉中に2.5IUのボツリヌス毒素の1回の注射で処理される。全てのラットを6週後殺し、取得した前立腺を、上記のように試験のために調製する。腺上皮に対する同様の萎縮効果が期待される。
【実施例6】
【0060】
患者に対するボツリヌス毒素の効果
良性前立腺過形成、非細菌性前立腺炎、前立腺痛の患者を、ボツリヌス毒素処置の前と後の両方で研究する。患者が年齢40−80歳でBPHであるか、又は25−60歳で、非細菌性前立腺炎か前立腺痛と診断されているならば、その患者は本研究に含めるのに適格である。好適な患者は、良き手術候補者ではない患者である。処置前に、患者を、前立腺特異的抗原(PSA)レベルの測定、尿力学パラメーターの評価(膀胱内圧測定図、尿道圧プロフィール、流量測定)、American Urological Association(AUA)症状スコア(Barry,M.J.,ら,J.Urol.,148:1549−1557(1992))の測定、排尿日誌の維持、バイオプシィと共に経直腸超音波による前立腺の検査(BPH患者のみ)によって評価する。最初の評価の完了1週間後、患者に尿道鏡でボツリヌス毒素200IUを、単一片側注射、連続片側注射、又は両側注射として注射する。BPH患者は、単一注射7日後、又は連続注射5週後、TURPで処置されるか、対照TURP−バイオプシィを受ける。取得した前立腺組織を、実施例1、2、3、7−10に記載の試験のために調製する。最初の評価で試験された同一のパラメーターを用いて、患者を注射後、再評価する。
【0061】
上述の本発明の記載は、実例と説明のための典型例である。本発明の思想と範囲を逸脱することなしに、改変や修正が可能であることは当業者に明白であろう。本明細書で引用した全ての文献は引用により本明細書に含まれるものとする。請求の範囲は、このような全ての改変や修正も包含するように解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不応性の排尿機能異常を治療するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素を使用する方法。
【請求項2】
前記不応性の排尿機能異常は尿失禁である、請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
前記組成物は患者の膀胱壁に投与するのに適した剤型にて提供される請求項1に記載の使用方法。
【請求項4】
前記組成物は液体、粉末、クリーム、エマルション、丸薬、トローチ、座薬、懸濁剤及び溶液からなる群より選択される製薬的に許容可能な製剤に処方化される請求項1又は2に記載の使用方法。
【請求項5】
前記組成物は注射可能な組成物である請求項1又は2に記載の使用方法。
【請求項6】
前記ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素A型である請求項1又は2に記載の使用方法。
【請求項7】
患者の膀胱圧の上昇を低減するための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型を使用する方法において、前記組成物は患者の膀胱頸部に注射するのに適した剤型にて提供される、使用方法。
【請求項8】
前記組成物は、一回の注射に適した剤型にて提供される、請求項7に記載の使用方法。
【請求項9】
患者の膀胱容量を増大させるための製薬組成物の調製においてボツリヌス毒素A型を使用する方法において、前記組成物は患者の膀胱に注射するのに適した剤型にて提供される、使用方法。
【請求項10】
前記ボツリヌス毒素A型は、2500ユニットまでの量にて注射される、請求項6、7及び9のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項11】
前記ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量は、ボツリヌス毒素A型の1.4IU/kg〜17.1IU/kgである、請求項6、7及び9のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項12】
前記ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量は200ユニットのボツリヌス毒素A型である、請求項6、7及び9のいずれか一項に記載の使用方法。
【請求項13】
前記ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量は400ユニットのボツリヌス毒素A型である、請求項6に記載の使用方法。
【請求項14】
前記ボツリヌス毒素A型の治療上有効な量は800ユニットのボツリヌス毒素A型である、請求項7又は9に記載の使用方法。

【公開番号】特開2010−43127(P2010−43127A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264712(P2009−264712)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【分割の表示】特願2006−2227(P2006−2227)の分割
【原出願日】平成10年7月15日(1998.7.15)
【出願人】(308032460)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド (25)
【Fターム(参考)】