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不攪乱大型土壌コア採取装置
説明

不攪乱大型土壌コア採取装置

【課題】接続するトラクターの種類を選ぶことなく、ドリル刃の回転時のブレを最小限にして良好な大型土壌コアを採取することができる。
【解決手段】トラクター後部に接続する仕様を有してサンプル管36の装着時に使用する上下動可能なリフト部3と、前記PTO動力により上下動するリフト部3に、対をなすガイドフレーム9、9を有した枠体7と、油圧シリンダ12を有する上下可動部11と、内部にサンプル管36及び外部にドリル刃40を二重に吊下げて前記上下可動部11に連結した回転動力部20とで構成する。前記リフト部3はトラクターのPTOを動力源とし、上下可動部の油圧シリンダ12及び回転動力部の油圧モータ29はトラクターの油圧システム5を動力源として、下部内側にサンプル管36を吊下げ、下部外側に吊下げたドリル刃40を回転しながら押し下げて土壌コアをサンプル管36内に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,畑土壌における硝酸性窒素など環境影響物質の溶脱量を計測するために、土壌の層位や構造が乱されていない不攪乱状態の大型土壌コアを採取する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土壌の層位や構造が攪乱された土壌、即ち自然状態ではない土壌では、環境影響物質の動態が実際の状態と異なることが知られている。そして、農耕地の地表に植えた植物に上方から散布した肥料や農薬が土壌中を下方に移動するのを測定する場合には土壌の上下方向の長さ、即ち深さは100cm程度のものが要求される。ここで、窒素、リン酸、カリは作物にとって必要な栄養素であり、特に、窒素は作物にとって最も重要な栄養塩である。しかしながら、例えば硝酸性窒素による地下水汚染の原因の一つとして農業活動があげられ、各地の農耕地や畑地帯の地下を流れる地下水はその流線に沿って硝酸性窒素濃度の上昇が報告されている。
【0003】
不攪乱土壌を採取するための既存の装置は、例えば直径が5〜10cm、長さが5〜25cm程度の小型土壌コアを対象としたものであるため、該土壌コア内で作物を栽培することが出来ず、また、該土壌コアの長さも不十分であることから、上記環境影響物質の溶脱量のモニタリングを行うには不向きであった。ここで硝酸性窒素の溶脱とは、根圏土壌に存在する硝酸性窒素が降雨や潅水によって流下して地下水へと移行する過程と定義することができる。
【0004】
近年、スウエーデンにおいて直径30cmの大型土壌コアをトラクターの油圧を利用して採取する装置が開発されたが、該装置は土壌コア採取装置をトラクターのフロントローダに接続する構造である。トラクターのフロントローダの部分は、トラクターメーカーによってそれぞれ形状が相違しているため、固有のトラクターにしか接続することができないという問題点があった。また、採取できる土壌深さが固定されるなど構造上の欠点を有していた。特に土壌を掘削するための初動時にはドリルの回転ブレが大きいため、土壌とサンプル管との間に隙間が生じてしまい良好な土壌サンプルを得られないという問題点があった。
【非特許文献1】ソイル サイエンス ソサイエティー オブ アメリカ ジャーナルボリューム 55、January−February 1991P.285−287
【0005】
また、自然状態のままの土壌の層構造を乱すことなく、比較的多量に採取する技術として特許文献1に示されたものがある。これは採取した土壌をそのままの状態で、水分分析や温度測定などの各種測定を実験するもので、アームを有した大型の油圧シャベル等を必要とした大掛かりな装置であって、小型トラクターに取付けて使用するものではない。
【特許文献1】特開平2001−279655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、接続するトラクターの種類を選ぶことなく、また、本装置をトラックに載せて公道を輸送できる外形寸法にし、直径が30cm程度、深さが100cm程度の長さの土壌コアをサンプリングできるようにし、ドリル刃の回転時のブレを最小限にして良好な土壌コアを採取できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、トラクター後部に設けた3点リンク及びPTOに接続する仕様を有して、輸送及びサンプル管36の装着時に使用する上下動可能なリフト部3と、対をなすガイドフレーム9、9を設けて前記リフト部3に取付ける枠体7と、前記枠体7の上部両側に掛止する掛止具14、14を設けると共に、伸縮可能なロッド12aを具えた油圧シリンダ12を有して前記ガイドフレーム9,9に上下動可能に取付ける上下可動部11と、油圧モータ29を具えると共に支持軸25及び回転筒軸26を同心状に軸承し、前記油圧シリンダのロッド12aに連結して前記ガイドフレーム9、9に上下動可能に取付ける回転動力部20とからなり、前記リフト部3はトラクターのPTOを動力源とし、上下可動部の油圧シリンダ12および回転動力部の油圧モータ29はトラクターの油圧システム5を動力源として、前記支持軸25にはサンプル管36を着脱可能に吊下げ、前記回転筒軸26には前記サンプル管の外側に着脱可能に吊下げたドリル刃40を前記油圧シリンダ12の作用により押し下げて掘削する土壌コアを前記サンプル管36内に収容することを特徴とする。
【0008】
前記回転動力部20は、サンプル管36を下端に着脱可能に取付ける支持軸25の外側にドリル刃40を下端に着脱可能に取付ける回転筒軸26を同心状に軸承させて該回転筒軸に連動する油圧モータ29を具えると共に、該回転筒軸26の上部に設けた下部クラッチ28と、前記支持軸25に摺動可能に設けた可動スリーブ33cに連結して分離・連結する上部クラッチ33dとを操作する切換ハンドル33aを有するクラッチ33を設けたことを特徴とする。
【0009】
前記支持軸25の下端に取付けたサンプル管36の内径と、該支持軸の外側に同心状に軸承させた回転筒軸26の下端にはスパイラル刃40aを有して下部に複数の切削刃43を装着して取付けた環状刃体42の下端中心に設けた開口部41とを同径に形成し、該環状刃42の開口部41と前記サンプル管の下端とを接近して設けたことを特徴とする。
【0010】
前記上下可動部11は、油圧シリンダのロッド12aを伸縮させて該ロッドの下端に連結した回転動力部20を上下動させて、該回転動力部の下部に取付けて回転するドリル刃40で土壌コアを切削することを特徴とする。
【0011】
前記リフト部3の下部両側に、前記枠体7の両側に具えた掛止受部7a、7aと係脱可能に固定する掛止部片51、51を具えた浮上防止装置50、50を設けたことを特徴とする。
【0012】
対をなす案内ローラ46、46を有した後取付片47と前記案内ローラに対して向かい合わせにした第3の案内ローラ46aを有した前取付片48とからなるガイド装置45を、前記回転動力部20の下部に吊下げたドリル刃40の周面を囲むように前記枠体7に取外可能に取付け、回転軸芯がぶれないように各案内ローラ46、46、46aの先端を該ドリル刃の周面に回転可能に当接させて案内することを特徴とする。
【0013】
本発明は、通常の小型トラクターが後部に有するトップリンクと対をなすロアーリンクとからなる3点リンク及びPTO(外部動力取り出し装置)を利用して装着するため、トラクターの種類を選ぶ必要がなく使用できるという汎用性を有しており、その上、動力はトラクターのPTO及び油圧システムを利用し、他の駆動源を必要としないので取り扱いが便利である。
【0014】
また、回転動力部に設けた油圧モータと連結する回転筒軸に設けたドリル刃を回転しながら押下げることにより切削した土壌コアは該ドリル刃の内部に回転せずに位置し、ドリル管と同時に押下げられるサンプル管の内部に収容される。この支持軸と回転筒軸とは同心状に二重に軸承してあり、該支持軸に設けたクラッチを操作することにより該支持軸をフリー又は固定に切換えることができるため、所定長さの土壌コアをサンプル管の内部に収容した後、切換ハンドルを操作して支持軸を回転筒軸に連結し、該回転筒軸と共に回転させて該土壌コアの底部を下層に連続している土壌からねじ切ることができる。
【0015】
ドリル刃の下端に取付けた環状刃体は、その中心に設けた開口部と前記サンプル管とが同径で、且つ、該サンプル管の下端と環状刃体との間を接近して取付けてあるため、ドリル刃で切削した土壌コアは容易にサンプル管内に収容できる。その上、上下可動部及び回転動力部を有した枠体とトラクターの後部に装着したリフト部との間に設けた浮上防止装置をロックすると、土壌中に穴を掘る場合のドリル反力によって枠体が浮上するのを防止できる。土壌中に穴を掘るドリル刃は、ガイドレールに上下動可能に取付けた上下可動部に連結する回転動力部に吊下げたドリル刃の周面に複数の案内ローラを当接させて回転するため、ドリル刃の回転軸芯がぶれないで円柱状の良好な土壌コアを得ることができる。ここでいう土壌コアは口径が略30cm、長さが略100cmで約150kgの重量のある大型の土壌コアを意味する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、小型トラクターが通常有する3点リンク及びPTOを利用して上下動可能に設けたソフト部に取付けた枠体に上下可動部と回転動力部を設け、該回転動力部にサンプル管を固定して吊下げる支持軸とドリル刃を吊下げる回転筒軸とを同心状に軸承し、該支持軸にはクラッチを設けてあり、上下可動部に設けた油圧シリンダのロッドに連結した回転するドリル刃を押し下げて掘削した土壌コアを、該ドリル刃の内側に位置するサンプル管の内部に収容し、クラッチ操作によって土壌コアを収容したサンプル管を回転させて穴の底部に連続する土壌コアの底部をねじ切ることができ、上下可動部に設けた油圧シリンダの作動によりドリル刃と共にサンプル管を引き上げて、大型の土壌コアを土壌の層位や構造を攪乱させることなく採取できる。このドリル刃は周囲に配した3ケの案内ローラで支持させて回転軸心のぶれを防止する作用を有し、また、ドリル刃を具えた回転動力部を上下動可能に係合させたガイドレールによってスムーズに上下動させることにより、ドリル刃の回転軸心のぶれを防止する作用を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面により説明すると、図1において、1はトラクターで、車体の後部には農作業用の各種アタッチメントを連結する3点リンク、即ち、トップリンクと一対のロアーリンクに取付けると共に、PTO(外部動力取り出し装置)動力によって上下動するリフト部3に本発明に係る装置の枠体7を取付けてある。トラクターは走行用の駆動部の他に、トラクターの外部に油圧を供給する油圧システム5を車体の任意個所に具えている。この油圧システム5は、少なくとも上下可動部12に設けた油圧シリンダ12を作動させる系統と、回転動力部20に設けた油圧モータ29を作動させる系統との2系統を有している。
【0018】
トラクターの3点リンクに取付けるリフト部3は、PTO動力に連結して上下に作動するもので、図2−5に示すように、前記リフト部3に取付ける枠体7は、4本のフレーム8、8を前後方向に30cm程度の間隔を配し,左右方向に110cm程度の間隔に配してそれぞれ樹立させ、後フレーム8a、8aの上部、中間部、下部および前フレーム8b、8bの上部を夫々横フレーム8c、8cで連結してある。尚、前記した寸法は例示したもので、その寸法に限るものではない。
【0019】
ついで、前フレーム8b、8bと後フレーム8a、8aの側面部分の上部、中間部、下部を夫々水平方向に側面フレーム8d、8dで連結してある。枠体7を構成する4本のフレーム8、8の下部外方の両側部分には、脚フレーム8e、8eを取付け、さらに、前記側面フレーム8d、8dの横幅より幅広で長く形成した底面板8f、8fを前記フレームの下端に取付け、該枠体7が平坦な地表上に安定して樹立できるようにしてある。
【0020】
後フレーム8a、8aの下端に設けた横フレーム8cと、該後フレームの下端よりやや上方に位置して設けた補強用の横フレーム8jとの間に、前記トラクターのリフト部3に取付けるための補強板8m、8mを取付けてあり、該補強板8mに設けた掛止装置(図示せず)により該枠体7を前記リフト部3に取付けてある。
【0021】
枠体7を構成するフレーム8、8は、その両側部分及び背面部分を補強するため適宜間隔ごとに横フレーム8c及び側面フレーム8dを取付け、さらに該枠体の正面側は広く開口して後記する筒状のドリル刃やサンプル管を前側から出し入れできるようにしてある。9はフレーム8と同じ長さで、断面コ字型をした案内溝を有するガイドフレームで(図8)、該ガイドフレームの開口部分を向かい合せに配して前記前フレーム8b、8bの前面に固定してある。
【0022】
図2において、50は枠体7がリフト部3から浮上するのを防ぐ浮上防止装置であり、リフト部3の両側に設けた掛止部片51、51を回動または進退動させることにより、枠体7の後フレーム8a、8aの側面または後面に設けた掛止片または掛止孔などの掛止受部7a、7aと係脱可能に掛止させて枠体7をトラクターに取付けたリフト部3に固定し、ドリル刃40で土壌中に穴をあける際に土壌からのドリル反力によって枠体7が浮上するのを防止している。この浮上防止装置50は土壌中に穴を掘削する場合に使用するが、運送中に枠体7とリフト部3が可動するのを防ぐため両者を固定しておくストッパー機能も有している。
【0023】
図6、8において、前記枠体7の前フレーム8b、8bの前面に取付けた対をなすコ字型をしたガイドフレーム9,9の案内溝内に、上下可動部11の両側端の上下に設けた案内輪11a,11aを上下動可能に係合してある。上下可動部11の中央上部に樹立して設けた油圧シリンダ12のロッド12aは、該上下可動部11を上方から下方に貫通して回転動力部20の上部に連結している。この油圧シリンダ12は前記油圧システム5の作動により駆動する。
【0024】
上下可動部11の両側部分に設けた係止片11b、11b(図6)と、前記枠体の前フレーム8b、8bの上部内側に設けた保持片8k、8k(図2)とが合致する、係止片11b及び保持片8kに設けた孔部にボルトや掛止具14、14を挿通掛止でき、上下可動部11を枠体7の上方に固定する。この上下可動部11を降下させる場合は、掛止具14、14を前記係止片11b及び保持片8kの孔部から引き抜けば該上下可動部は枠体7から分離し、ガイドフレーム9、9内を下方に移動できる。
【0025】
図6において、空間部22を具えた上部材23及び下部材24を有した回転動力部20は、その両側端の上下に設けた案内輪20a、20aを前記ガイドフレーム9、9の案内溝に係合させて上下動可能に装着してある。さらに、該回転動力部20の両側上下には、それぞれガイドフレームの案内溝の前後面に接して回転動力部が揺動しないように作用する小案内輪20b、20bを設けてある。この小案内輪20bは少なくとも該回転動力部の両側上下で前後に2個ずつ合計8個設け、之により回転動力部20がガイドフレーム9,9内を上下に移動する場合に、該回転動力部ががたついてドリル刃の回転ブレを防止する作用を有している。該回転動力部20の上面中央には、前記上下可動部11に設けた油圧シリンダのロッド12aの下端を連結し、該油圧シリンダの作動により回転動力部20を上下動させる。
【0026】
図12において、上下方向に位置した支持軸25を回転動力部20の上部材23及び下部材24の中間部分に回転可能に軸支し、該支持軸25の外側に同心状に配した回転筒軸26を該下部材24の中間部分に回転可能に軸承してある。この回転筒軸26の上部に大径のスプロケットや歯車などからなる被回転部27及び下部クラッチ28を設けて前記空間部22内に設置させてある。
【0027】
図7、11において、29は油圧モータで回転動力部20の下部材24に連結して適宜個所に取付けてあり、該油圧モータ29と被回転部27とをチエーン等からなる伝達部材30で連結してある。油圧モータ29は前記トラクター1の油圧システム5の作動により駆動する。図中、30aは被回転部27および伝達部材30を内部に収容したカバー体である。
【0028】
図11、12において、支持軸25の下端には、後記する土壌モノリス即ち土壌コアを収容するサンプル管36の上端をボルトなどで着脱可能に取付けるための第1円盤31を軸着してあり、さらに支持軸25の外周に同心状に位置する回転筒軸26の下端には、前記第1円盤31よりやや上方に位置し、且つ、該第1円盤よりやや大径な第2円盤32を軸着してある。
【0029】
図12において、第1円盤31の外径は第2円盤32の外径よりやや小さく形成し、第1円盤31及び第2円盤32にサンプル管36およびドリル刃40の上端をそれぞれ着脱可能に取付けて同心状に二重に吊下げてある。この場合、後記するクラッチ33を操作することにより内側のサンプル管36を回転したり、固定させることができる。そして、外側のドリル管40は油圧モータ29に連動した被回転部27に軸着する回転筒部26と共に回転するため、サンプル管36とドリル刃40との間には多少の隙間Yを設けてある。このサンプル管とドリル刃を吊下げた回転動力部20を具えた枠体7は、上下可動部11と共に係合したガイドフレーム9、9を具えた枠体7を装着するリフト部3をトラクターのPTO(外部動力取出し装置)動力により上下動することができる。
【0030】
図11、12において、33は支持軸25を回転筒軸26と固定又はフリーの状態に切換えできるクラッチで、回転動力部を構成する上部材23の下部に設けた掛止筒33fに枢動可能に設けた操作片33aの下部に連結した作動片33bの先端と掛止して上下方向に摺動する可動スリーブ33cを該支持軸25に挿通し、該可動スリーブ33cに連結した上部クラッチ33dの上部に取付けた掛止ピン33eを、上部材の下部に取付けた掛止筒33fの下面に設けた凹部33gと係脱可能に掛止させて支持軸25を周方向に固定したり、また支持軸25と回転筒軸26を連結してロックする作用を有する。
【0031】
図11に実線で示すように、操作片33aを反矢印方向に傾斜させると作動片33bは上昇し、支持軸25に摺動可能に挿通した可動スリーブ33c(図12)と連結している上部クラッチ33dが下部クラッチ28から離れて上方に移動し、掛止筒33fの下部に設けた凹部に掛止した掛止ピン33eを介して支持軸25を上部材23に固定するため、支持軸25に軸着させたサンプル管36は回転せずに固定している。
【0032】
図11に鎖線で示すように、操作片33aを矢印方向に回動させると作動片33bの先端は降下し、該作動片と掛止している掛止ピン33e(図12)が下降して掛止筒33fの下部に設けた凹部33gから外れ、支持軸25の固定は解除してフリーとなる。該操作片33aをさらに直立するように回動させると、前記可動スリーブ33bに連結する上部クラッチ33dは下方に移動し、該上部クラッチ33dと下部クラッチ28とが係合して回転方向に連結すると、支持軸25と回転筒軸26は連結して一体に回転する。これによりドリル刃40とサンプル管36を一体に回転させて、該サンプル管内に収容した土壌サンプルの下端を穴底に連続している土壌からねじ切って土壌コアを分離することができる。この場合、油圧モータ29を逆方向に回転させると、支持軸25と回転筒軸26を逆方向に回転させることができる。
【0033】
図14において、36は塩化ビニールなどの合成樹脂材からなるサンプル管で、例えば口径は30〜40cm程度、長さは100〜120cm程度であり、該サンプル管の上部を前記支持軸25の下端に連結した第1円盤31の周面にピン、ボルト等で取外可能に取付ける。36aは同じく塩化ビニールなどの合成樹脂材からなる短い第2のサンプル管で、該サンプル管の上部にはダミー管37を連結片38を用いて連結し、所定長さのドリル刃40と内外二重に組合わせて使用する。例えば、30cm、50cm、70cmなど所望の長さをした土壌サンプルを得る場合、不足の長さをしたダミー管を夫々連結することにより、長さの異なる高価なドリル刃をいちいち製作することなく、一定の長さをしたドリル刃を用いて長さの異なる土壌コアを得ることもできる。採取しようとする土壌が小石などを含んでいて崩れやすい場合は、穴の中から引き上げる前にドリル刃の下部外側にワイヤーなど用いて底蓋カバー57(図6)を装着すれば、該サンプル管を移動させる場合などに土壌コアが崩れないようにすることができる。
【0034】
図6、7において、金属製のドリル刃40は外側にはスパイラル刃40aを有し、下端
部分を中心方向に折り曲げて内径を前記サンプル管36の内径と同径に形成してあり、該環状底部40bの底面に環状刃体42を取付けてある。図9、10に示すように、環状刃体42は下部に複数の切削刃43を有しており、ドリル刃の環状底部40bに設けた複数のボルト孔42aに下方からボルトを挿通して取付けてある。この切削刃43は、該切削刃に設けてある取付用の長穴43aにボルト43bで固定する仕様となっているので、刃の先端が摩耗した場合などには、刃の先端が前記サンプル管36の内径と同一になるように前後位置を調整することができるように構成してある。
【0035】
この刃体42の下端中心に設けた開口部41は、前記サンプル管36の内径と同径に形成してあり、しかもサンプル管36の下端と環状刃体の開口部41の上面との間は、図6に示すように接近して設けてあるため、ドリル刃40の回転により土壌中に環状に切り込んで切り取った円柱状の土壌サンプルは、該刃体42の下端に設けた開口部41からサンプル管36の内部にスムーズに進入するので、該土壌コアの周面が崩れることが少ない。ドリル刃40は回転しながら土壌中に穴を掘っていくが、該ドリル刃の内部に位置するサンプル管36は回転せずに固定し、上方から吊下げられているので土壌サンプルの周面が崩れることなくサンプル管内に収容できる。
【0036】
図7、13において、45はドリル刃40をスムーズに回転させるガイド装置で、ドリル刃の周面に夫々案内ローラを当接させてドリル刃40がブレないように回転する3ケの案内ローラを有しており、各案内ローラはドリル刃の周面に設けてあるスパイラル刃40aの外周面に当接している。この場合、スパイラル刃の上下に隣接する刃の間隔は約10cmであるから、隣接する2つの刃の周面から該案内ローラが外れないよう前記間隔より多少長く、例えば約22〜25cmに形成し、常に2つのスパイラル刃に当接するように構成してある。このように薄い肉厚のスパイラル刃を1つではなく、少なくとも隣接する2つ以上のスパイラル刃に当接するためドリル刃の回転を安定させて回転ブレを防止することができる。
【0037】
第1、2の案内ローラ46、46を支持する後取付片47は、前記枠体の後部側のいずれかの横フレーム8cに水平に取付け、また、ドリル刃40の後側に位置させた第1、2の案内ローラ46、46と対をなして前記ドリル刃の前側に位置させた第3の案内ローラ46aを有する前取付片48は、前記枠体の例えば脚フレーム8e、8eに取外可能に取付けてあるため、サンプル管36およびドリル刃40を回転動力部20の下部に脱着させる際に支障となるので簡単に取り外せるように取付けてある。
【0038】
次に、本装置で土壌コアのサンプリングを行う場合について説明すると、本装置を農耕地のサンプル採取地点まで通常トラックなどで搬送する。サンプル採取地点が近い場合には、トラクターに本装置を取付けた状態で移動してもよい。本装置を搬送又は移送する場合には、コンパクトにするため枠体7に装着した回転動力部20を下方に移動させ、また、回転動力部の上部に連結している上下可動部11も下方に移動させ、該上下可動部に設けた油圧シリンダ12のロッドも縮めて短くする(図16)。この状態で、トラックの荷台に載せて公道を搬送できるよう本装置全体の高さは240cm程度に構成にしてある。
【0039】
サンプル採取地点において、トラクターの後部に設けた3点リンク及びPTO動力にリフト部3を装着し、枠体7に取付けたガイドフレーム9、9に係合した上下可動部11に設けた油圧シリンダ12のロッド12aを伸ばして上昇させた上下可動部11の両側に設けた係止片11b、11b(図6)を、枠体7の上部両側に設けた作動片8k、8k(図2)と合致させて掛止具14、14で上下可動部12を枠体7の上部に固定し、回転動力部20の下方にスペースを作る。上下可動部のロッド12aの下端には回転動力部20を連結してあり、油圧シリンダ12を作動させて回転動力部20を降下させて高さを調整し、支持軸25の下端に取付けた第1円盤31に土壌コアを収容するサンプル管36の上部を取付けてある(図17)。
【0040】
他方、例えば土壌表面に載置してあるドリル刃40の下部に刃体42を取付け、該ドリル刃の上部を前記上下可動部11に連結してあるチエーン55、55(図6)の端部に連結し、リフト部3をPTO動力により上昇させた上下可動部11に連結した回転動力部20の支持軸25に吊下げたサンプル管36の下方にスペースを作り、該サンプル管36の下方にドリル刃40を吊下げる(図18)。この場合、ドリル刃40を吊下げてから刃体42を該ドリル刃の下部に取付けても良いことは勿論である。
【0041】
ついで、油圧シリンダ12を作動させて上下可動部12のロッドを下方に伸ばし、サンプル管36をドリル刃40内に挿入して同心状に二重にし、さらに、PTO動力によりリフト部3を降下させて該ドリル刃の上部を回転筒軸26の下端に設けた第2円盤32の周囲にボルトで固着する。この状態で、操作片33aを傾斜させてクラッチ33をフリーにし、即ち、支持軸25を回転動力部の上部材23に固定すると油圧モータ29の回転は回転筒軸26には伝わるが、該支持軸25には伝わらない。
【0042】
リフト部3の両側に設けた浮上防止装置50、50の掛止部片51、51を手動等により枠体7の両側に設けた掛止受部7a、7aと掛止し、枠体7とリフト部3とを固定してドリル刃40で土壌中に穴を堀削する際にドリル反力により回転動力部20を備えた枠体7が浮上するのを防止する。さらに、3点リンクを調整して枠体7の左右のバランスを調整することにより土壌表面に枠体7を樹立させ、土壌コアのサンプリングの準備は完了する(図19)。
【0043】
土壌コアのサンプリングの準備が整い、図1に示すトラクター1のリフト部3に枠体7を取付けた状態で、油圧システム5の作動により回転動力部20に設けた油圧モータ29を回転させると、内部のサンプル管36は回転せず固定しているが、その外側に位置するドリル刃40は回転する。この状態で、枠体7に固定した上下可動部11に設けた油圧シリンダ12を作動してロッド12aを下方に伸ばし、該ロッドに連結した回転筒軸26を介してドリル刃40を回転させながら回転動力部20を下方に押し下げる。
【0044】
回転動力部の両側に設けた案内輪20a、20aおよび小案内輪20b、20bは、ガイドレール9、9に案内されながら下降し、回転するドリル刃の下部に取付けた環状刃体42によって任意の深さまで円柱状をした土壌コアを掘削する。ドリル刃40によって掘削された土壌コアは、ドリル刃40の内側に同心状に位置して該ドリル刃と同時に押し下げられるサンプル管36内に収容される。この場合、サンプル管36は回転せずに固定しており、サンプル管36の内径とドリル刃の下部に装着した環状刃体42の下端中心に設けた開口部41と同径で、且つ、接近して設けてあるため、土壌コアの周面は殆ど形を崩さずにサンプル管36内に進入する。
【0045】
枠体7の上部に固定した上下可動部に設けた油圧シリンダのロッド12aの下端に連結する回転動力部20は、その下部に吊下げたドリル刃40を回転させながら、両側に設けた案内輪20a、20a及び小案内輪20b、20bはガイドレール9、9に案内され、前記上下可動部の油圧シリンダを作動させてロッドを下方に伸ばして回転しているドリル刃を押し下げるが、ガイドレール9、9による案内だけではドリル刃40は回転ムラが生じて回転軸芯がぶれてしまい土壌サンプルの周面が崩れることがある。
【0046】
そのため、図13に示す如く、ドリル刃の周面に3ケの案内ローラ46,46,46aを配して該ドリル刃40の回転軸心がぶれないように案内している。この3ケの案内ローラによるドリル刃の回転にムラが生じないように案内することは、該ドリル刃が土壌に穴を掘り始めの頃に特に必要であり、土壌中にある程度の深さまで穴を掘った後は、土壌に掘削した穴自体の有する案内機能を利用できる。
【0047】
ドリル刃40が所定の深さに到達したら、図11に示した操作片33aを鎖線で示すように直立するように回動させると、作動片33bが降下して支持軸25をフリーにすると共に上部クラッチ33を降下させて下部クラッチ28と連結し、該支持軸25と回転筒軸26とを連結させて約1回転させることにより、サンプル管36内に収容した土壌サンプルの下端を、土壌中に穿った穴のそれ以深の土壌と切断する。ついで、油圧システム5の作動により油圧モータ29を停止した後、逆回転させる。
【0048】
油圧シリンダ12のロッド12aを縮めることにより、ドリル刃40及びサンプル管36を同時に上昇して穴の外に引き上げる。この場合、サンプリングした土壌コアが低粘性土壌の場合には、ドリル刃及びサンプル管を穴の中から上昇させる前に、作業員によって土壌コアの落下防止用の底蓋カバー57をドリル刃40の下端外側に公知の手段,例えばワイヤー等を用いて固着してから引き上げれば、土壌コアの下部が崩れるのを防止できる。ついで、ドリル刃40及びサンプル管36を回転動力部20から取外して該サンプル管内の土壌コアを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本装置を利用することで、直径約30cm深さ約100cmまで任意の不攪乱土壌コアを採取することができる。土壌の層位や構造が乱されていない土壌を用いることで、作物を栽培しながら硝酸性窒素などの環境影響物質の実態に即した溶脱量を計測することが可能となる。また大型不攪乱土壌コアは、土壌の透水性試験、作物栽培試験、根圏環境試験などにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】トラクターの後部に設けた3点リンク及びPTOに連結したリフト部に本装置を装着した側面図である。
【図2】本装置を構成する枠体の正面図である。
【図3】同枠体の平面図である。
【図4】同枠体の側面図である。
【図5】図4のX−X線方向断面図である。
【図6】枠体に取付けたガイドフレームに上下可動部と回転動力部を上下動可能に取付けて一部省略した全体の正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】本装置の拡大した平面図である。
【図9】環状刃体の側面図である。
【図10】環状刃体の底面図である。
【図11】回転動力部の要部を示す側面図である。
【図12】回転動力部の支持軸と回転筒軸の軸承部分の要部を示す断面図である。
【図13】枠体のフレームに向かい合わせに取付けた3ケの案内ローラとドリル刃との関係を示した説明図である。
【図14】サンプル管の一部破断した正面図である。
【図15】ダミー管を連結した第2サンプル管の正面図である。
【図16】油圧シリンダを縮めた上下可動部と回転動力部をガイドフレームの下方に位置した状態の略図である。
【図17】枠体の上部に固定した上下可動部の油圧シリンダを縮めて回転動力部を上昇させ、回転動力部の下部にサンプル管を取付けた状態の略図である。
【図18】トラクターのPTOに接続したリフト部を上昇させてサンプル管を取付けた回転動力部を有する枠体を上昇させた状態の略図である。
【図19】トラクターのPTO或は3点リンクを操作・調整して土壌表面に設置させた枠体とリフト部とを浮上防止装置で固定してサンプル管とドリル刃を同心状に二重に吊下げた状態の略図である。
【図20】ドリル刃を回転しながら油圧シリンダのロッドを降下させて回転動力部を押し下げ、土壌中に穴をあける状態の略図である。
【符号の説明】
【0051】
1 トラクター
3 リフト部
5 油圧システム
7 枠体
7a 掛止受部
9 ガイドフレーム
11 上下可動体
12 油圧シリンダ
12a ロッド
14 掛止具
20 回転動力部
25 支持軸
26 回転筒軸
28 下部クラッチ
29 油圧モータ
33 切換ハンドル
33b 作動片
33c 可動スリーブ
33d 上部クラッチ
36 サンプル管
40 ドリル管
40a スパイラル刃
41 開口部
42 環状刃体
43 切削刃
45 ガイド装置
46 案内ローラ
46a 案内ローラ
47 後取付片
48 前取付片
50 浮上防止装置
51 掛止部片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクター後部に設けた3点リンク及びPTOに接続する仕様を有して、輸送及びサンプル管(36)の装着時に使用する上下動可能なリフト部(3)と、
対をなすガイドフレーム(9、9)を設けて前記リフト部(3)に取付ける枠体(7)と、
前記枠体(7)の上部両側に掛止する掛止具(14,14)を設けると共に、伸縮可能なロッド(12a)を具えた油圧シリンダ(12)を有して前記ガイドフレーム(9,9)に上下動可能に取付ける上下可動部(11)と、
油圧モータ(29)を具えると共に支持軸(25)及び回転筒軸(26)を同心状に軸承し、前記油圧シリンダのロッド(12a)に連結して前記ガイドフレーム(9,9)に上下動可能に取付ける回転動力部(20)とからなり、
前記リフト部(3)はトラクターのPTOを動力源とし、上下可動部の油圧シリンダ(12)および回転動力部の油圧モータ(29)はトラクターの油圧システム(5)を動力源として、前記支持軸(25)にはサンプル管(36)を着脱可能に吊下げ、前記回転筒軸(26)には前記サンプル管の外側に着脱可能に吊下げたドリル刃(40)を前記油圧シリンダ(12)の作用により押し下げて掘削する土壌コアを前記サンプル管(36)内に収容することを特徴とする不攪乱大型土壌コア採取装置。
【請求項2】
前記回転動力部(20)は、サンプル管(36)を下端に着脱可能に取付ける支持軸(25)の外側にドリル刃(40)を下端に着脱可能に取付ける回転筒軸(26)を同心状に軸承させて該回転筒軸(26)と前記油圧モータ(29)とを連動し、該回転筒軸(26)の上部に設けた下部クラッチ(28)と、前記支持軸(25)に上下動可能に設けた可動スリーブ(33c)に連結して前記下部クラッチと分離・連結する上部クラッチ(33d)を操作する切換ハンドル(33a)を有するクラッチ(33)を設けたことを特徴とする請求項1記載の不攪乱大型土壌コア採取装置。
【請求項3】
前記支持軸(25)の下端に取付けたサンプル管(36)の内径と、該支持軸の外側に同心状に軸承した回転筒軸(26)の下端にスパイラル刃(40a)を有して下部に複数の堀削刃(43)を装着して取付けた環状刃体(42)の下端中心に設けた開口部(41)とを同径に形成し、該環状刃体(42)と前記サンプル管の下端とを接近して設けることを特徴とする請求項1記載の不攪乱大型土壌コア採取装置。
【請求項4】
前記上下可動部(11)は、油圧シリンダのロッド(12a)を伸縮させて該ロッドの下端に連結した回転動力部(20)を上下動させて、該回転動力部の下部に取付けて回転するドリル刃40で土壌コアを切削することを特徴とする請求項1記載の不攪乱大型土壌コア採取装置。
【請求項5】
前記リフト部(3)の下部両側には、前記枠体(7)の両側に具えた掛止受部(7a,7a)と係脱可能に固定する掛止部片(51,51)を具えた浮上防止装置(50,50)を設けたことを特徴とする請求項1記載の不攪乱大型土壌コア採取装置。
【請求項6】
対をなす案内ローラ(46、46)を有した後取付片(47)と前記案内ローラに対して向かい合わせにした第3の案内ローラ(46a)を有した前取付片(48)とからなるガイド装置(45)を、前記回転動力部(20)の下部に吊下げたドリル刃(40)の周面を囲むように前記枠体(7)に取外可能に取付け、回転軸芯がぶれないよう各案内ローラ(46,46,46a)の先端を該ドリル刃の周面に回転可能に当接させて案内することを特徴とする請求項1記載の不攪乱大型土壌コア採取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−105730(P2006−105730A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291434(P2004−291434)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 (827)
【Fターム(参考)】