説明

不斉炭素原子と酸化還元反応を起こす部位と液晶性置換基とを有する化合物

【課題】新規なカイラル剤を提供し、更には新規の紫外線吸収剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物。一般式(1)中、*は不斉炭素原子を表し、L及びL’は各々独立に2価の連結基を表し、Rdは酸化還元反応を起こす部位を表し、B及びB’は各々独立に液晶性置換基を表し、Dはアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Rは置換基を表し、xは0又は1を表し、zは0〜3の整数を表し、w,nは0又は1を表し、vは0〜5の整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不斉炭素原子と酸化還元反応を起こす部位と液晶性置換基とを有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶は、オパール構造や薄膜干渉構造と同様、構造性発色を示すことが知られており、古くは構造性発色の温度依存性を利用した温度計や、最近では、液晶素子中でプレーナー状態とフォーカルコニック状態とにおいて、メモリ性を有するという特徴を利用した表示材料や、屈折率の周期構造を利用したレーザーなどに利用されている。
また、コレステリック液晶として広義には、一般的なLCDに利用されるツイスト構造をもつネマチック液晶(カイラルネマチック相)も含まれ、コレステリック液晶を用いた表示材料は、ドキュメント情報の表示や、イメージング情報の表示、更には光を電気的に制御する調光用途に用いられる。
【0003】
このようにコレステリック液晶相を利用した表示・調光材料は、従来から多くの検討がなされてきた。このコレステリック液晶相としては、一般にはネマチック液晶にカイラル剤を添加したカイラルネマチック相が利用されている。
【0004】
カイラル剤の検討はLCD用途として極めて多くなされている。一般的にカイラル剤は、液晶分子をらせんに配置させるために、分子内に不斉炭素原子を有し、更に、カイラル剤と液晶との相溶性を高めるために、分子内に液晶性部位を導入することで設計される(例えば特許文献1参照)。
【0005】
コレステリック液晶の選択反射長は、下記式に示されるようにピッチ長と平均屈折率を乗じたもので表される
式: λ=P・n
上記式中、Pはピッチ長を表し、nは液晶の平均屈折率を表す。
【0006】
コレステリック液晶による構造色の調色では、オパール構造体や薄膜干渉構造と異なり、液晶配向方向でのピッチ長の変化を利用する為、体積変化を伴わないという利点がある。外部刺激によってピッチ長を変化させる試みが検討されており、熱や光で変化させる方法が提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO02/06195A1
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Chemistry Letters,199,87-88(1999)
【非特許文献2】Liquid Crystals,27,929-933(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、選択反射を示すコレステリック液晶相に電場をかけ、カイラルドーパントの酸化還元反応を起こすことによって、低い電圧かつ速い応答速度で選択反射波長が変化するという画期的な現象を見出した。
よって、この現象を利用した素子に好適な、酸化還元反応を起こすカイラルドーパントが望まれた。なお、新規なカイラルドーパントは、構造によっては他の機能を奏する場合があり、例えば紫外線吸収などの機能が挙げられる。
【0010】
従って、本発明は、新規なカイラル剤を提供し、更には新規の紫外線吸収剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
更なる鋭意研究によって、本発明者らは上記酸化還元反応を起こすドーパントとして特に有用な新規の化合物を創出した。なお、当該ドーパントは、二色性色素を用いたゲストホスト表示方式(White-Taylor表示方式)などの表示モードにも適用できる。更に、当該ドーパントがアントラキノン構造を有する場合には、紫外線吸収剤として利用することも可能である。
【0012】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物。
【0013】
【化1】



【0014】
一般式(1)中、*は不斉炭素原子を表し、L及びL’は各々独立に2価の連結基を表し、Rdは酸化還元反応を起こす部位を表し、B及びB’は各々独立に液晶性置換基を表し、Dはアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Rは置換基を表し、xは0又は1を表し、zは0〜3の整数を表し、wは0又は1を表し、nは、0又は1を表し、vは0〜5の整数を表す。zが2以上のとき、複数のB'は同一であっても異なっていてもよい。vが2以上のとき、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。
【0015】
[2] 前記一般式(1)における液晶性置換基B及びB’が、各々独立に下記一般式(2)で表される前記[1]に記載の化合物。
【0016】
【化2】



【0017】
一般式(2)中、*1は、一般式(1)中のO(置換基Bの場合)又はRd(置換基B’の場合)と結合する結合位置を示し、D及びDは各々独立にアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、L、L及びLは各々独立に2価の連結基を表し、Tは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。eは1〜3の整数を表し、fは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、kは1又は2を表し、gは0又は1を表し、iは1〜20の整数を表し、tは0〜4を表し、DとDで表される基の総数が2〜5の整数である。e及びkがそれぞれ2以上の時、2以上のD及びDはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。mが2以上の時、2以上の((L−(D)は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。fが2の時、2つのLは異なる連結基を示す。tが2以上の時、2以上の((CH−L)は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0018】
[3] 前記一般式(1)における酸化還元反応を起こす部位Rdの酸化還元電位が、参照電極SCEに対して−2.5V〜+2.5Vである前記[1]又は[2]に記載の化合物。
【0019】
[4] 前記一般式(1)における酸化還元反応を起こす部位Rdが、フェロセン、アントラキノン、又はこれらの誘導体である前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、新規なカイラル剤、更には新規の紫外線吸収剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0022】
本発明の新規な化合物は、下記一般式(1)で表わされる。
【0023】
【化3】



【0024】
一般式(1)中、*は不斉炭素原子を表し、L及びL’は各々独立に2価の連結基を表し、Rdは酸化還元反応を起こす部位を表し、B及びB’は各々独立に液晶性置換基を表し、Dはアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Rは置換基を表し、xは0又は1を表し、zは0〜3の整数を表し、wは0又は1を表し、nは、0又は1を表し、vは0〜5の整数を表す。
zが2以上のとき、複数のB'は同一であっても異なっていてもよい。vが2以上のとき、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。
【0025】
一般式(1)におけるL及びL’は各々独立に2価の連結基を表す。好ましくは、エーテル基、エステル基(−COO−,−OCO−)、カルボニル基であり、より好ましくは、カルボニル基である。
LとL’は同一でも異なってもよいが、wが0の場合には、LとL’は異なる連結基を示す。
【0026】
一般式(1)におけるRdは酸化還元反応をおこす部位を表す。好ましくは、2電子以上の酸化あるいは還元が生じる部位である。具体的には、フェロセン、アントラキノン、ビオロゲン等、及びそれらの誘導体、有機金属錯体(例えば、銅I価錯体、銅II価錯体、ルテニウム錯体など)が挙げられ、フェロセン、アントラキノン、又はこれらの誘導体が好適である。本明細書において「誘導体」とは、フェロセン、アントラキノンの酸化還元電位や液晶に対する溶解性を調節することを目的に置換、付加等がなされている化合物を示す。
このなかでも、Rdはアントラキノン又はアントラキノン誘導体であることが2電子以上の酸化又は還元を起こし、ホスト液晶との相互作用変化が大きくなるという観点から好ましく、またアントラキノン又はアントラキノン誘導体の場合には、一般式(1)で表わされる化合物は、紫外線吸収剤としても用いることができる。
【0027】
Rdがアントラキノン又はアントラキノン誘導体の場合、一般式(1)中の≡C*-CH2-O-(L)x -(D)w-(L’)n-*1(*1はRdとの結合位置を示す)の結合位置は、該アントラキノン又はアントラキノン誘導体の5位、6位、7位、又は8位であることが好ましく、6位又は7位であることがより好ましく、7位であることが更に好ましい。
またRdがアントラキノン又はアントラキノン誘導体の場合、一般式(1)中の−(B’)の結合位置は、該アントラキノン又はアントラキノン誘導体の1位、2位、3位、又は4位であることが好ましく、≡C*-CH2-O-(L)x-(D)w-(L’)n-*1の結合位置が6位の時は、−(B’)の結合位置は2位または3位であることが好ましい。ただし、−(B’)がアリールチオ基である場合、−(B’)の結合位置は1位又は4位が好ましい。
【0028】
したがって、Rdがアントラキノン又はアントラキノン誘導体の場合、下記一般式(1−1)又は(1−2)であることが好適である。
【0029】
【化4】



【0030】
一般式(1−1)及び(1−2)中、L、L’、R、B、B’、D、x、z、n、w及びvは、一般式(1)におけるL、L’、R、B、B’、D、x、z、n、w及びvとそれぞれ同義である。
【0031】
一般式(1−1)及び(1−2)中、R、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、該置換基としては後述の置換基群Vの置換基を挙げることができる。
好適には、R、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル(―CO−,―OCO−)、アミド(―NHCO−,−CONH−)、アリールチオ基、ハロゲン原子である。
【0032】
また、Rdがフェロセン又はフェロセン誘導体であることが酸化還元に対する耐久性という観点から好ましく、またフェロセン又はフェロセン誘導体の場合には、一般式(1)で表わされる化合物は、紫外線吸収剤としても用いることができる。
【0033】
Rdがフェロセン又はフェロセン誘導体の場合、一般式(1)中の≡C*-CH2-O-(L)x -(D)w-(L’)n-*1(*1はRdとの結合位置を示す)の結合位置は、フェロセン又はフェロセン誘導体のいずれについていてもよい。
またRdがフェロセン又はフェロセン誘導体の場合、一般式(1)中の−(B’)の結合位置は、≡C*-CH2-O-(L)x-(D)w-(L’)n-*1の結合位置に対して、同じシクロペンタジエニル環上にあってもよいし、別のシクロペンタジエニル環上にあってもよい。同一環上の場合、*1の結合位置を1位とすると、−(B’)の結合位置は3位または4位が好ましい。
【0034】
したがって、Rdがフェロセン又はフェロセン誘導体の場合、下記一般式(1−3)又は(1−4)であることが好適である。
【0035】
【化5】



【0036】
一般式(1−3)及び(1−4)中、L、L’、R、B、B’、D、x、z、n、w及びvは、一般式(1)におけるL、L’、R、B、B’、D、x、z、n、w及びvとそれぞれ同義である。
【0037】
一般式(1−3)及び(1−4)中、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、該置換基としては後述の置換基群Vの置換基を挙げることができる。
好適には、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に、水素原子、アルキル基、エステル(―CO−)、アミド(−CONH−)である。
【0038】
一般式(1)で表される化合物をカイラルドーパントとして用いたコレステリック液晶に電場をかけた際、低い電圧かつ速い応答速度で選択反射波長を変化させる観点から、一般式(1)におけるRdの酸化還元電位は、参照電極SCEに対して−2.5V〜0V、0V〜+2.5Vであることが好ましく、−2.2V〜−0.2V、+0.1V〜+1.8Vであることがより好ましく、−1.8V〜−0.4V、+0.3V〜+1.0Vであることが更に好ましい。
なお、ドーパントが2電子酸化及び2電子還元される化合物の場合には、1電子目の酸化還元電位が上記範囲内にあることを意味し、2電子目の酸化還元電位が上記範囲外であってもよい。
【0039】
一般式(1)におけるB及びB’は、各々独立に液晶性置換基を表す。ホスト液晶と相互作用を示し、カイラルドーパントの形状でコレステリック相を発現させられるものであれば限定されないが、シクロヘキサン、ベンゼン環などの環状構造を2個以上有する置換基を意味し、液晶性を示す化合物と類似の骨格を有するものを意味する。
【0040】
液晶性を示す化合物としては、ネマチック相あるいはスメクチック相を示す液晶化合物があげられ、その具体例としては、アゾメチン化合物、シアノビフェニル化合物、シアノフェニルエステル、フッ素置換フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フッ素置換シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、シアノフェニルシクロヘキサン、フッ素置換フェニルシクロヘキサン、シアノ置換フェニルピリミジン、フッ素置換フェニルピリミジン、アルコキシ置換フェニルピリミジン、フッ素置換アルコキシ置換フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン系化合物、フッ素置換トラン系化合物、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリルなどが挙げられる。
日本学術振興会第142委員会編、液晶デバイスハンドブック、日刊工業新聞社、1989年、第154〜192頁ならびに第715〜722頁に詳しい。
【0041】
一般式(1)中、液晶性置換基B及びB’は、各々独立に下記一般式(2)で表されることが好適である。
【0042】
【化6】



【0043】
一般式(2)中*1は、一般式(1)中のO(置換基Bの場合)又はRd(置換基B’の場合)と結合する結合位置を示し、D及びDは各々独立にアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、L、L及びLは各々独立に2価の連結基を表し、Tは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。eは1〜3の整数を表し、fは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、kは1又は2を表し、gは0又は1を表し、iは1〜20の整数を表し、tは0〜4を表し、DとDで表される基の総数が2〜5の整数である。e及びkがそれぞれ2以上の時、2以上のD及びDはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。mが2以上の時、2以上の((L−(D)は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。fが2の時、2つのLは異なる連結基を示す。tが2以上の時、2以上の((CH−L)は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0044】
一般式(2)において、D及びDで表されるアリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基である。好ましいアリーレン基の具体例を挙げると、フェニレン基及びナフタレン基であり、例えば、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基が挙げられる。
【0045】
一般式(2)において、D及びDで表されるヘテロアリーレン基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜9のヘテロアリーレン基である。好ましいヘテロアリーレン基の具体例には、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリミジン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びトリアゾール環からなる基、及びこれらが縮環して形成される縮環の2個の炭素原子から水素をそれぞれ1個ずつ除いて得られるヘテロアリーレン基が含まれる。
【0046】
一般式(2)において、D及びDで表される2価の環状脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数4〜12の2価の環状脂肪族炭化水素基である。好ましい2価の環状脂肪族炭化水素基の具体例は、シクロヘキサンジイル、デカヒドロナフタレンジイル、スピロ[5.5]ウンデシレンであり、より好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、3,9−スピロ[5.5]ウンデシレン基である。
【0047】
一般式(2)において、D及びDの表すアリーレン基、ヘテロアリーレン基及び2価の環状脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても、無置換であってもよい。また、式(2)中、e、m又はkが、2以上の場合、複数のD、Dは、各々独立に置換基を有していてもよく、同一の置換基を有していても、異なる置換基を有していても、或いは、無置換であってもよい。
これらの置換基としては、下記の置換基群Vが挙げられる。
【0048】
(置換基群V)
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカロボニル)、炭素数0〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ピペリジノスルファモイル)、ニトロ基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル、エタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8の置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−エチルフェニルアミノ、3−n−プロピルフェニルアミノ、4−n−プロピルフェニルアミノ、3−n−ブチルフェニルアミノ、4−n−ブチルフェニルアミノ、3−n−ペンチルフェニルアミノ、4−n−ペンチルフェニルアミノ、3−トリフルオロメチルフェニルアミノ、4−トリフルオロメチルフェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3−ピリジルアミノ、2−チアゾリルアミノ、2−オキサゾリルアミノ、N,N−メチルフェニルアミノ、N,N−エチルフェニルアミノ)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム)、炭素数0〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のウレイド基(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基)、炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のイミド基(例えばスクシンイミド基)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)、炭素数6〜80、好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、2−ピリジルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ)、炭素数1〜80、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ、3−ピリジルチオ、4−ピリジルチオ、2−キノリルチオ、2−フリルチオ、2−ピロリルチオ)、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベンジルオキシカルボニル)、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の無置換アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、またここでは脂環式炭化水素(シクロヘキサンなど)も含まれる)、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の置換アルキル基{例えばヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、またここでは炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれる}、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜15、更に好ましくは炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニル)、炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数4〜6の置換又は無置換のヘテロアリール基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)。
【0049】
これら置換基群Vは、ベンゼン環やナフタレン環が縮合した構造であってもよい。さらに、これらの置換基上にさらに此処までに説明したVの説明で示した置換基が置換していてもよい。
【0050】
置換基群Vの中でも、D及びDの表す2価のアリーレン基、2価のヘテロアリーレン基及び2価の環状脂肪族炭化水素基の置換基として、好ましい置換基は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基である。
【0051】
一般式(2)中、Lは2価の連結基を表す。好ましくは、アルカンジイル基、アルケニレン基、アルキニレン基、エーテル基、エステル基(−COO−,−OCO−)、カルボニル基、アゾ基(−CH=N−,−N=CH−)、アゾキシ基、アルキレンオキシ基であり、より好ましくは、アルカンジイル基(例えば、エチレン基)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基)、エステル基、アルキレンオキシ基(例えば、メチレンオキシ基)である。
【0052】
一般式(2)中、Tは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。
として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは炭素数3〜10のアルキル基(例えば、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、またここでは炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜10の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれる)をあげることができる);炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは炭素数3〜10のアルコキシ基(例えば、n−プロピルオキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシロキシ基をあげることができる);ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)である。
【0053】
一般式(2)中のTで表される上記アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基及びアシルオキシ基は、置換基を有していてもいなくてもよく、置換基としては、上記置換基群Vが挙げられる。
で表されるアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基及びアシルオキシ基の置換基としては、置換基群Vのうち、ハロゲン原子(特に塩素原子、フッ素原子)、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアシル基であることが好ましい。
は、Dのいずれの部位に結合してもよいが、Dの4位(パラ位)に結合することが好ましい。
【0054】
一般式(2)中、eは1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2である。eが2又は3を表す場合、複数のDはそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
一般式(2)中、mは1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2である。mが2又は3を表す場合、複数のDはそれぞれ同一であっても、異なっていてもよく、複数のLはそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
一般式(2)中、kは1又は2である。kが2の場合、複数のDはそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
一般式(2)中、fは0〜2の整数であり、0又は1が好ましい。fが2以上の場合、複数のLはそれぞれ異なる連結基を表す。
【0055】
一般式(2)中、DとDで表される基の総数、すなわちe×m+kが2〜5の整数であり、より好ましくは2〜4の整数であり、特に好ましくは2〜3の整数である。e及びkがそれぞれ2以上の時、2以上のD及びDはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、mが2以上の時、2以上の(L−(Dは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
【0056】
特に好ましいe、f、m、kの組み合わせを以下に記す。
(I)e=1、f=0、m=1、k=1
(II)e=1、f=1、m=1、k=1
(III)e=1、f=0、m=2、k=1
(IV)e=2、f=1、m=1、k=1
(V)e=1、f=1、m=1、k=2
(VI)e=1、f=1、m=2、k=1
(VII)e=2、f=1、m=1、k=2
【0057】
一般式(2)中、Lは2価の連結基を表す。好ましくは、エーテル基、エステル基(−COO−,−OCO−)、カルボニル基である。
一般式(2)中、Lは2価の連結基を表す。好ましくは、エーテル基、エステル基(−COO−,−OCO−)、カルボニル基である。
【0058】
一般式(2)中、gは0又は1である。
一般式(2)中、iは1〜20の整数を表し、好ましくは1〜11である。
一般式(2)中、tは0〜4を表し、好ましくは1〜3である。tが2以上の場合、複数の((CH−L)は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、iは同数であっても、異なる数であってもよい。
【0059】
一般式(1)におけるDは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、置換基を有していても、無置換であってもよい。該置換基としては、前述の置換基群Vを挙げることができ、そのなかでも、置換または無置換アルキル基、アリール基、シアノ基、エステル(アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基)、エーテル(アルコキシ基、アリールオキシ基)、アミド(カルバモイル基、アシルアミノ基)、ニトロ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子が好適である。より好適には、Dは無置換であるか、置換または無置換アルキル基、シアノ基、エーテル(アルコキシ基、アリールオキシ基)、ニトロ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を有する場合である。
【0060】
一般式(1)中、Dで表されるアリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基である。好ましいアリーレン基の具体例を挙げると、フェニレン基及びナフタレン基であり、例えば、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基が挙げられる。
【0061】
Dで表されるヘテロアリーレン基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜9のヘテロアリーレン基である。好ましいヘテロアリーレン基の具体例には、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリミジン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環及びトリアゾール環からなる基、及びこれらが縮環して形成される縮環の2個の炭素原子から水素をそれぞれ1個ずつ除いて得られるヘテロアリーレン基が含まれる。
【0062】
Dで表される2価の環状脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数4〜12の2価の環状脂肪族炭化水素基である。好ましい2価の環状脂肪族炭化水素基の具体例は、シクロヘキサンジイル、デカヒドロナフタレンジイル、スピロ[5.5]ウンデシレンであり、より好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、3,9−スピロ[5.5]ウンデシレン基である。
【0063】
一般式(1)中、Rは置換基を表し、前述の置換基群Vの置換基を挙げることができる。このなかでも一般式(1)のRとしては置換または無置換アルキル基(脂環式炭化水素も含まれる)、アリール基、シアノ基、エステル(アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基)、エーテル(アルコキシ基、アリールオキシ基)、アミド(カルバモイル基、アシルアミノ基)、ニトロ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、置換または無置換アルキル基(脂環式炭化水素も含まれる)、アリール基、シアノ基、エステル(アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基)、エーテル(アルコキシ基、アリールオキシ基)、又はハロゲン原子がより好ましい。
【0064】
一般式(1)のRで表されるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数1〜16であり、特に好ましくは炭素数1〜14である。
【0065】
一般式(1)のRで表されるアリール基は、好ましくは炭素数6〜24であり、より好ましくは炭素数6〜20であり、特に好ましくは炭素数6〜18である。
【0066】
一般式(1)におけるxは、0又は1であり、好ましくは1である。
一般式(1)におけるzは、0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、更に好ましくは1である。
一般式(1)におけるnは、0又は1を表す。
一般式(1)におけるwは、0又は1を表す。
一般式(1)におけるvは0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0067】
一般式(1)で表される特に好適な化合物は、下記一般式(3−1)、(3−2)、(3−3)又は(3−4)で表される化合物である。
【0068】
【化7】

【0069】
【化8】

【0070】
一般式(3−1)、(3−2)、(3−3)及び(3−4)中、D、w及びzは、一般式(1)におけるD、w及びzとそれぞれ同義であり、T,D、D、L、L、L、e、f、g、k、m、i及びtは、一般式(2)におけるT,D、D、L、L、L、e、f、g、k、m、i及びtとそれぞれ同義であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、一般式(1−1)、(1−2)、(1−3)及び(1−4)におけるR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16とそれぞれ同義である。
【0071】
以下に本発明における一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化9】



【0072】
【化10】



【0073】
【化11】



【0074】
【化12】



【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明は実施例に限定されるものでない。
【0076】
[合成例1]
本発明にかかる化合物は、以下のように合成することができる。
【0077】
(化合物(3)の合成)
以下のスキームにしたがって、化合物(3)を合成した。
【化13】



【0078】
(化合物3aの合成)
(s)−(+)−フェニルエタン−1,2−ジオール(東京化成製)(11.1g)、ジメチルアミノピリジン(和光純薬製)(10.2g)、t−ブチルジメチルシリルクロリド(東京化成製)(13.3g)の塩化メチレン溶液(200ml)に、氷冷下、トリエチルアミン(8.9g)を滴下し、室温で1時間攪拌した。更に加熱還流下、3時間攪拌した後、反応液を酢酸エチル/1N塩酸水に注加し、有機層を1N塩酸水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮した。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマト精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/7)することにより化合物3a(15.4g)を得た。
【0079】
(化合物3b、3cの合成)
化合物3a(12.0g)、trans−4−ペンチルシクロヘキシル安息香酸(13.0g)およびジメチルアミノピリジン(3.5g)の塩化メチレン溶液(400ml)に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(11.8g)の塩化メチレン溶液(30ml)を滴下し、加熱還流下で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチル/1N塩酸水に注加し、濾過後、有機層を1N塩酸水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮することで、化合物3bの粗生成物を得た。
【0080】
化合物3bの粗生成物のTHF溶液(50ml)に、氷冷下、1M TBAF/THF溶液(48ml)を滴下し、3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル/1N塩酸水に注加し、濾過後、有機層を1N塩酸水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮後、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマト精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/5)することにより、化合物3c(13.1g)を得た。
【0081】
(化合物(3)の合成)
化合物3c(0.5g)、アントラキノン−2−カルボン酸(東京化成製)(0.34g)およびジメチルアミノピリジン(97mg)の塩化メチレン溶液(20ml)に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.32g)の塩化メチレン溶液(5ml)を滴下し、加熱還流下で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチル/1N塩酸水に注加し、濾過後、有機層を1N塩酸水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮した。
濃縮残さをシリカゲルカラムクロマト精製(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)し、得られた粗結晶をイソプロピルアルコールから再結晶することにより化合物(3)(0.62g)を得た。
化合物(3)の同定は元素分析、NMRおよびMASSスペクトルにより行った。外観は薄黄色〜白色固体であった。
【0082】
H−NMR(CDCl
δ:0.82−0.94(3H,t)、0.94−1.14(2H,m)、1.15−1.51(11H,m)、1.78−1.92(4H,d)、2.42−2.56(1H,ddd)、4.705(1H,dd)、4.775(1H,dd)、6.48(1H,dd)、7.23(2H,d)、7.34−7.48(3H,m)、7.53−7.59(2H,m)、7.81−7.88(1H,m)、7.84(1H,d)、7.91(2H,d)、8.30−8.39(2H,m)、8.39(1H,d)、8.47(1H,dd)、9.01(1H,sd)
【0083】
具体例化合物(2)〜(19)も同様にして合成することができる。以下では、具体例化合物(1)(2)(4)(9)(10)(12)(16)(17)(18)のH−NMRのデータを示す。
【0084】
化合物(1)
H−NMR(CDCl
δ:0.89(3H,t)、0.93−1.13(2H,m)、1.15−1.52(7H,m)、1.80−1.91(4H,d)、2.50(1H,ddd)、4.705(1H,dd)、4.775(1H,dd)、6.48(1H,dd)、7.23(2H,d)、7.35−7.47(3H,m)、7.53−7.59(2H,m)、7.82−7.88(2H,m)、7.92(2H,d)、8.31−8.39(2H,m)、8.39(1H,d)、8.47(1H,dd)、9.01(1H,sd)
【0085】
化合物(2)
H−NMR(CDCl
δ:0.90(3H,t)、0.94−1.13(2H,m)、1.13−1.52(9H,m)、1.80−1.91(4H,d)、2.49(1H,ddd)、4.705(1H,dd)、4.775(1H,dd)、6.48(1H,dd)、7.23(2H,d)、7.35−7.48(3H,m)、7.53−7.59(2H,m)、7.81−7.88(2H,m)、7.91(2H,d)、8.30−8.39(2H,m)、8.39(1H,d)、8.47(1H,dd)、9.01(1H,sd)
【0086】
化合物(4)
H−NMR(CDCl
δ:0.72−1.43(21H,m)、1.52−1.80(7H,m)、1.85−2.00(2H,m)、2.21(1H,ddd)、4.475(1H,dd)、4.54(1H,dd)、6.33(1H,dd)、7.35−7.45(3H,m)、7.47−7.53(2H,m)、7.82−7.89(2H,m)、8.32−8.39(2H,m)、8.41(1H,d)、8.47(1H,dd)、9.00(1H,sd)
【0087】
化合物(9)
H−NMR(CDCl
δ:0.82−0.94(3H,t)、0.94−1.14(2H,m)、1.15−1.53(11H,m)、1.80−1.92(4H,d)、2.50(1H,ddd)、4.67(1H,dd)、4.76(1H,dd)、6.41(1H,dd)、7.26(2H,d)、7.33−7.46(5H,m)、7.50−7.57(2H,m)、7.83−7.90(2H,m)、7.92(2H,d)、8.22(2H,d)、8.33−8.43(2H,m)、8.48(1H,d)、8.59(1H,dd)、9.13(1H,sd)
【0088】
化合物(10)
H−NMR(CDCl
δ:0.73−1.45(21H,m)、1.50−1.82(7H,m)、1.86−2.01(2H,m)、2.21(1H,ddd)、4.405(1H,dd)、4.55(1H,dd)、6.27(1H,dd)、7.32−7.50(7H,m)、7.83−7.91(2H,m)、8.21(2H,d)、8.33−8.42(2H,m)、8.48(1H,d)、8.59(1H,dd)、9.14(1H,sd)
【0089】
化合物(12)
H−NMR(CDCl
δ:0.82−0.93(3H,t)、0.93−1.13(2H,m)、1.15−1.61(11H,m)、1.78−1.90(4H,d)、2.40−2.54(1H,ddd)、4.04(5H,s)、4.37−4.42(2H,dd)、4.54−4.62(1H,dd)、4.68−4.78(1H,dd)、4.82−4.87(2H,ddd)、6.26−6.32(1H,dd)、7.21−7.29(2H,d)、7.32−7.46(3H,m)、7.50−7.57(2H,d)、7.92−7.98(2H,d)
【0090】
化合物(16)
H−NMR(CDCl
δ:0.82−0.94(3H,t)、0.94−1.14(2H,m)、1.15−1.57(11H,m)、1.80−1.94(4H,d)、2.42−2.56(1H,ddd)、4.30(5H,s)、4.51(2H,dd)、4.60−4.78(2H,m)、4.96(2H,ddd)、6.35−6.42(1H,dd)、7.20−7.30(5H,dd)、7.32−7.45(3H,m)、7.48−7.57(2H,d)、7.86−7.98(2H,d)、8.15−8.21(2H,d)
【0091】
化合物(17)
H−NMR(CDCl
δ:0.82−0.94(3H,t)、0.94−1.14(2H,m)、1.15−1.53(9H,m)、1.80−1.92(4H,d)、2.50(1H,ddd)、4.67(1H,dd)、4.76(1H,dd)、6.41(1H,dd)、7.26(2H,d)、7.33−7.46(5H,m)、7.50−7.57(2H,m)、7.83−7.90(2H,m)、7.92(2H,d)、8.22(2H,d)、8.33−8.43(2H,m)、8.48(1H,d)、8.59(1H,dd)、9.13(1H,sd)
【0092】
化合物(18)
H−NMR(CDCl
δ:0.90(3H,t)、0.93−1.12(2H,m)、1.13−1.53(17H,m)、1.80−1.91(4H,d)、2.49(1H,ddd)、4.705(1H,dd)、4.775(1H,dd)、6.48(1H,dd)、7.23(2H,d)、7.35−7.47(3H,m)、7.53−7.59(2H,m)、7.81−7.88(2H,m)、7.91(2H,d)、8.30−8.39(2H,m)、8.39(1H,d)、8.47(1H,dd)、9.01(1H,sd)
【0093】
[実施例1]
(酸化還元電位測定)
上記具体例化合物1mM、支持電解質としてテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェイト0.1MのNMP溶液を5分間Arバブリングをおこなった後、ポテンシオスタット(BAS製660C)にて、サイクリックボルタンメトリー測定をおこなった。作用極Pt、対極Pt、参照電極SCEを用いたときの酸化還元電位1及び2の結果を下記表に示す。
【0094】
【表1】



【0095】
表1の結果から、一般式(1)に該当する具体例化合物(1)(2)(3)(4)(9)(10)(12)(16)(18)は、酸化還元反応を起こすことが明らかとなった。
【0096】
[実施例2]
(ねじれ力(HTP値)測定)
本発明の具体例化合物(2mg)をホスト液晶ZLI−2806(98mg)(Merck社製)と混合し、160℃のホットプレート上で2時間加熱したあと、室温にまで冷却させ、1晩放置してカイラルネマチック液晶組成物を作製した。
得られた液晶組成物をくさび形液晶セル(Gap1.1mm、EHC社製)に注入し、偏光顕微鏡にて観察し、ピッチ長を測定し、HTP値(Helical Twisting Power)を算出した。結果を下記表2に示す。
なお、HTP値は、下記式によって算出される、カイラル剤のホスト液晶に対するねじれ力(旋回能)を表す。
【0097】
HTP=1/(P×C)
(P:ピッチ長、C:カイラル剤の含率)
【0098】
【表2】



【0099】
表2から明らかなように、一般式(1)に該当する具体例化合物(1)(2)(3)(4)(9)(10)(12)(16)(17)(18)はカイラル剤としての機能を有することがわかる。
【0100】
[実施例3]
(極大吸収波長、及びモル吸収係数測定)
本発明の具体例化合物2.5mgをクロロホルム25mlに溶解して試料溶液を調製した。
試料溶液はそれぞれ1cm石英セルにて島津製作所製分光光度計UV−2400(商品名)を用いてUVスペクトルを測定した。得られたスペクトルチャートから極大吸収波長と、モル吸収係数を求めた。結果を下記表3に示す。
【0101】
【表3】

【0102】
表3から明らかなように、一般式(1)に該当する具体例化合物(3)(4)(10)(17)は紫外線吸収剤としての機能を有することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物。
【化1】



〔一般式(1)中、*は不斉炭素原子を表し、L及びL’は各々独立に2価の連結基を表し、Rdは酸化還元反応を起こす部位を表し、B及びB’は各々独立に液晶性置換基を表し、Dはアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、Rは置換基を表し、xは0又は1を表し、zは0〜3の整数を表し、wは0又は1を表し、nは、0又は1を表し、vは0〜5の整数を表す。zが2以上のとき、複数のB'は同一であっても異なっていてもよい。vが2以上のとき、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。〕
【請求項2】
前記一般式(1)における液晶性置換基B及びB’が、各々独立に下記一般式(2)で表される請求項1に記載の化合物。
【化2】



〔一般式(2)中、*1は、一般式(1)中のO(置換基Bの場合)又はRd(置換基B’の場合)と結合する結合位置を示し、D及びDは各々独立にアリーレン基、ヘテロアリーレン基又は2価の環状脂肪族炭化水素基を表し、L、L及びLは各々独立に2価の連結基を表し、Tは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。eは1〜3の整数を表し、fは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、kは1又は2を表し、gは0又は1を表し、iは1〜20の整数を表し、tは0〜4を表し、DとDで表される基の総数が2〜5の整数である。e及びkがそれぞれ2以上の時、2以上のD及びDはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。mが2以上の時、2以上の((L−(D)は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。fが2の時、2つのLは異なる連結基を示す。tが2以上の時、2以上の((CH−L)は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
【請求項3】
前記一般式(1)における酸化還元反応を起こす部位Rdの酸化還元電位が、参照電極SCEに対して−2.5V〜+2.5Vである請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(1)における酸化還元反応を起こす部位Rdが、フェロセン、アントラキノン、又はこれらの誘導体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の化合物。

【公開番号】特開2010−132650(P2010−132650A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248228(P2009−248228)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】