説明

不正カードの利用防止システムおよびATM

【課題】 ATMの利用者を、ATMが設置された施設入口において本人認証処理して承認された者に限るようにして、ATMからの不正な預金引き出しを防止するキャッシュカードの不正利用防止方法およびATMを提供する。
【解決手段】 接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなるキャッシュカードと、ATMが備えられた施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタと、キャッシュカードを使用して取り引き処理を行うATMとを備え、ICカードリーダライタは、前記本人認証処理で承認された場合に、キャッシュカードの記憶手段に対してゲート情報を書き込む手段を有し、ATMは、キャッシュカードに記憶されているゲート情報を読み取る手段と、その読み取ったゲート情報と予め登録されているゲート情報とを照合処理する手段と、照合一致した場合にキャッシュカードを利用した取り引き処理を可能な状態に制御する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第三者が不正に他人のキャッシュカードを使用してATMで預金の引き出しなどの取り引き処理を行なうことを防止する不正カードの利用防止システムおよびATMに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他人のキャッシュカードを盗んで、ATMにより他人の口座から不正に預金が引き出されて盗み出されたり、他人のキャッシュカードの偽造カードが作製されて、ATMにより他人の口座から不正に預金が引き出されるという犯罪が多発して問題となっている。
通常、ATMは、誰でも使用できる場所に設置されているので、他人のキャッシュカードを盗んだ者や、偽造カードを作製した者であっても、自由にATMを使用して現金の引き出しを行うことができる。
【0003】
近年、コスト削減や企業間競争の激化などから、ATMだけを設置した無人化店舗が出現したり、金融機関の施設以外のコンビニエンスストアなどにもATMが設置されるなど、従来に比べてATMの使用者に対する管理が手薄となり、犯罪者にとって犯罪行為を行いやすい環境にあるというセキュリティ上の問題がある。
【0004】
従来公知技術としては、カード取引要求時のカード利用場所と、正当なカード利用者が所持する携帯電話などにより、カード利用の正当性を判定する技術がある。(例えば、特許文献1参照)
しかしながら、カード利用者が常に携帯電話を所持しているとは限らず、携帯電話を使用していない場合には、カードの利用の正当性を判定することができない。
また、多数のカード利用者の全てに対して、カード取引要求時毎に携帯電話による現在位置情報を取得することは、処理件数が膨大となり実現性が低いという問題がある。
【特許文献1】特開2002−140646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ATMを使用することができる利用者を、ATMが設置された施設の入口において本人認証処理して承認された者に限るようにすることで、第三者が他人の口座から不正に預金を引き出すことができないようにして、ATMからの不正な預金引き出しを防止することができるキャッシュカードの不正利用防止方法およびATMを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の不正カードの利用防止システムは、ATM(現金自動支払機)が設置された施設の入口に、本人認証処理で承認された場合にだけ前記施設内に入れる状態とする開閉ゲート装置が備えられ、前記承認がされない場合には、前記ATMの使用ができないようにした不正カードの利用防止システムであって、接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなるキャッシュカードと、前記施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタと、前記キャッシュカードを使用して取り引き処理を行うATMとを備え、前記ICカードリーダライタは、前記本人認証処理で承認された場合に、前記キャッシュカードの記憶手段に対してゲート情報を書き込む手段を有し、前記ATMは、前記キャッシュカードに記憶されているゲート情報を読み取る手段と、その読み取ったゲート情報と予め登録されているゲート情報とを照合処理する手段と、前記照合処理の結果が一致した場合に、前記キャッシュカードを利用した取り引き処理を可能な状態に制御する手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の不正カードの利用防止システムは、接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなるキャッシュカードと、前記キャッシュカードを使用して取り引き処理を行うATM(現金自動支払機)と、前記ATMが設置された施設入口のゲート開閉を制御するゲート管理装置と、前記施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタと、前記ATMと、前記ICカードリーダライタと、前記ゲート管理装置と通信可能に接続された管理サーバとからなり、前記キャッシュカードは、予め識別情報が記憶された記憶手段を備え、前記ICカードリーダライタは、前記キャッシュカードに記憶されている識別情報を読み取る手段と、読み取った識別情報と、前記ゲートを特定可能なゲート情報とを管理サーバに送信する手段と、前記管理サーバから認証判定に関する承認情報を受信した場合に、前記キャッシュカードの記憶手段に対して前記ゲート情報を書き込む手段とを有し、前記ATMは、前記キャッシュカードに記憶されている識別情報と、ゲート情報とを読み取る手段と、読み取った識別情報とゲート情報とを管理サーバに送信する手段と、前記管理サーバから取り引きを許可するか停止するかを示す情報を受信する手段とを有し、前記管理サーバは、前記ICカードリーダライタから受信した識別情報とゲート情報とを関係付けてデータベースに登録させる手段と、該識別情報に基づいて認証判定を行う認証判定手段と、前記認証判定手段による認証判定で承認された場合に、前記ゲート管理装置に対して、ゲートを開くことを指示する情報を送信する手段と、前記ATMから受信した識別情報及びゲート情報と、前記データベースに記憶されている識別情報及びゲート情報とを照合して、照合一致する情報があるか否かを判定する手段と、前記判定結果で照合一致する情報があると判定された場合に、前記ATMに対して前記キャッシュカードを使用した取り引きを許可する情報を送信する手段とを有することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明のATMは、ATM(現金自動支払機)が設置された施設に入る際にキャッシュカードに書き込まれたゲート情報を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取ったゲート情報が予め登録されているゲート情報と異なる場合に、前記キャッシュカードを使用した取り引きを行えない状態にする手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の不正カードの利用防止システムは、本人認証処理で承認された場合に、ICカードリーダライタでキャッシュカードの記憶手段にゲート情報を書き込み、更にATMは、キャッシュカードに記憶されているゲート情報が予め登録されているゲート情報と照合一致した場合にだけ、キャッシュカードを使用したATMでの取り引き処理が行えるようにしてあるので、ATMの使用可能な利用者を、ATMが設置された施設の入口での本人認証処理で承認された者に限ることができ、これにより、第三者が他人の口座から預金を不正に引き出すことができず、ATMからの不正な預金引き出しを防止することができるという効果がある。
【0010】
また、本発明の不正カードの利用防止システムは、本人認証処理で承認された場合に、ICカードリーダライタでキャッシュカードの記憶手段にゲート情報を書き込み、更にATMは、キャッシュカードに記憶されているゲート情報が予め登録されているゲート情報と照合一致した場合にだけ、キャッシュカードを利用した取り引き処理を可能な状態にするので、ATMを使用することができる利用者を、ATMが設置された施設の入口での本人認証処理で承認された者に限ることができ、これにより、第三者が他人の口座から預金を不正に引き出すことができないようにして、ATMからの不正な預金引き出しを防止することができるという効果がある。
【0011】
また、本発明のATMは、ATMが設置された施設に入る際にキャッシュカードに書き込まれたゲート情報を読み取り、そのゲート情報が予め登録されているゲート情報と異なる場合に、キャッシュカードを使用した取り引きを行えない状態にするので、ATMを使用することができる利用者を、ATMが設置された施設の入口での本人認証処理で承認された者に限るようにすることができ、これにより、第三者が他人の口座から預金を不正に引き出すことができないようにして、ATMからの不正な預金引き出しを防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムおよびATMについて、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムに関する構成の概要を説明する図、図2は、ICカードからなるキャッシュカードの平面図、図3は、図2のA−A線断面図、図4は、キャッシュカードに内蔵されている非接触IC媒体の平面図、図5は、他の構成を有するICカードからなるキャッシュカードの平面図、図6は、本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムのシステムブロック図、図7及び図8は、本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムの処理手順を説明するフローチャート図である。
【0013】
本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムは、図1に示すように、接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなるキャッシュカード1と、そのキャッシュカード1を使用して取り引き処理を行うATM(現金自動支払機)2と、ATM2が設置された施設入口のゲート6の開閉を制御するゲート管理装置3と、その施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタ4と、前記ATM2と、前記ICカードリーダライタ4と、前記ゲート管理装置3と通信可能に接続された管理サーバ5とからなる。
ATM2が設置されている施設は、自動的に開閉する自動ドアなどのゲート6によって入室の管理がされ、このゲート6の開閉はゲート管理装置3によって制御されている。
尚、ATM2が設置されている施設とは、部屋でもよいし、また部屋の一部を囲い込んだ場所など広い意味で管理された場所のことを言う。
【0014】
接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなるキャッシュカード1は、既に知られている構成を有する複数種類のICカードを用いることができる。
図2及び図3に示したキャッシュカード1は、ICカードリーダライタにより情報の読み取りや書込みを行う際に接触方式で行うための接続端子部を有するICモジュール9と、更に電波による通信を利用して情報の読み取りや書込みを非接触方式で行う機能を有する非接触ICタグ8とが備えられている。
ICモジュール9には、メモリやCPUなどのICチップを備えられている。
また、このメモリには、予めカードIDなどの識別情報が記憶され、本人認証処理の際に用いられる。
【0015】
非接触ICタグ8は、図3に示すように、カード基材に内蔵されている。
この非接触ICタグ8は、例えば、非接触データキャリアやRFIDともいわれ、図4に示すように、プラスチック等の基材81にコイルパターンからなる送受信手段88が形成され、当該コイルと容量素子とにより共振回路を形成して一定周波数の電波を受信し送信することができるように構成されている。
また、他の方式として、リーダライタからの搬送波の電磁誘導により電力伝送及びデータ伝送を行うようにしてもよい。
一般的には、135kHz(中波)、13.56MHz、2.45GHz(マイクロ波)の周波数帯が使用される。
【0016】
図示した例の場合、送受信手段であるコイルパターン88は、導通部材84により基材81の裏面でジャンピング回路を形成してコイル接続端子88CによりICチップ82の裏面のバンプに接続している。
ICチップ82には、制御手段であるCPUと、記憶手段であるメモリが備えられている。
【0017】
図示した例では、容量素子はICチップ82に内蔵されている。
このような非接触ICタグ8は、樹脂基材にラミネートしたアルミ箔等の金属箔をフォトエッチングやレジスト印刷後のエッチングによりコイルパターンを形成し、ICチップ82を装着し、保護用の被覆を設けることにより形成することができる。
その大きさも30mm×30mm程度以下のサイズとすることができる。
【0018】
非接触ICタグ8に使用する樹脂基材81としては、PETやポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン等の各種材料を使用することができ、紙であってもよい。
厚みは15〜300μmが使用できるが、強度、加工作業性、コスト等の点から20〜100μmがより好ましい。
金属箔としては銅箔やアルミ箔あるいは鉄箔を使用できるが、コスト、加工性からアルミ箔が好ましく、その厚みは6〜50μm程度が好ましい。
【0019】
これらの非接触ICタグ8に記録した情報の読み取りや情報の書き込みは、ICカードリーダライタ4から非接触ICタグ8に対して共振する呼び出し信号を発信し、数cmから数十cmの距離で非接触ICタグからの応答信号を読み、且つ非接触ICタグ8のICチップ82の記憶手段であるメモリに記録された情報を読み取ったり、情報を書き込んだりすることができる。
また、ICチップ82の記憶手段であるメモリには、本人であることを認証するためのID情報などの識別情報が予め登録されている。
【0020】
そして、ICモジュール9の機能は、ATM2を利用する際に用いられ、また非接触IC媒体8の機能は、利用者7がATM2の設置されている施設の入口から入る時のICカードリーダライタとの通信の際に用いられる。
また、キャッシュカード1の構成は上記の構成に限定されるものではなく、公知の接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードを用いることができるものである。
【0021】
図5には、接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなる他の構成を有するキャッシュカード1aが示されている。
キャッシュカード1aは、アンテナコイル40が内蔵されたカード基材41と、カード基材41の一部に形成された凹部に、埋設された接続端子部42を備えたICモジュール43とを有している。
カード基材41に形成された凹部に埋設されたICモジュール42の各々のアンテナコイル接続端子は、導伝ペーストによりアンテナコイル40の端部とそれぞれ接続状態となっており、ICモジュール43に備えられているICチップに対して、接続端子部を利用する接触方式と、アンテナコイル40を利用する非接触方式との両方の接触方式を兼用してデータの読み取りや書込みを行えるように構成されている。
【0022】
カード基材41は、コアシートと、このコアシートの両面にそれぞれ積層されたオーバーシートとが、接着剤を介してまたは介さずに、プレス機により加圧加熱して一体化されている。
カード基材41に形成されたアンテナコイル40は、塩化ビニール、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のコアシート上に、フォトエッチングや導電性インキ等によるスクリーン印刷により、ループを形成したアンテナコイル40のレイアウトが描かれることで設けられている。
したがって、アンテナコイル40は、カード基材41に内蔵されカード表面に表れない。
【0023】
上記の構成からなるキャッシュカード1aは、同じICチップのメモリに対して、接触方式と非接触方式との両方の接触方式を利用してデータの読み取りや書込みを行うことができるので、ATM2が備えられた施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタ4により、キャッシュカード1aのICメモリに対して非接触方式でゲート情報の書き込みを行い、更に、ATM2のカード情報読取手段22により、キャッシュカード1aのICメモリから接触方式でゲート情報の読み取りを行うことができるように構成されている。
上記のようにキャッシュカードは、公知の種々の構成からなるICカードを用いることができるものである。
【0024】
次に、図5に基づいて、本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムのシステム構成について説明する。
まず、ATM2が備えられた施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタ4には、ゲート情報書込手段10、送受信手段11、カードID読取手段12、記憶手段13、ゲート情報送信手段14、通信手段15、カードID送信手段16、制御手段17などが備えられている。
記憶手段13には、そのゲートを特定することができる固有のゲート情報が予め記憶されている。
【0025】
カードID読取手段12は、利用者7がキャッシュカード1をICカードリーダライタ4に近づけることで、キャッシュカード1に記憶されているカードIDの読み取りを行う機能を有している。
カードID送信手段16は、通信手段15により通信回線18を介してカードIDを管理サーバ5に送信する機能を有している。
また、ゲート情報書込手段10は、管理サーバ5からカードIDに基づく認証処理で承認された場合に、管理サーバ5から送信された指示情報を受信して、キャッシュカード1にゲート情報を書込む機能を有している。
そして、ゲート情報送信手段14は、キャッシュカード1に書き込んだゲート情報を管理サーバ5に送信する機能を有している。
【0026】
次に、ゲート管理装置3には、ゲート開閉手段19、制御手段20、通信手段21などが備えられている。
ゲート開閉手段19は、通信手段21により管理サーバ5からゲート6を開くことを指示する情報を受信した場合に、ゲート6を開いて、利用者7がATM2の備えられている施設入口から中に入れるようにする。
【0027】
次に、ATM2には、カード情報読取手段22、現金処理手段23、入力手段24、表示手段25、記憶手段26、通信手段27、カード情報照合判定手段28、処理停止手段29、制御手段30などが備えられている。
カード情報読取手段22は、キャッシュカードの構成に対応して、接触方式または非接触方式、接触方式と非接触方式の両方の方式を利用可能に備えられている。
いずれにしても、カード情報読取手段22により、キャッシュカードに記憶されたゲート情報を読み取れる機能を有している。
また、記憶手段26には、予めゲート情報が記憶されている。
カード情報照合判定手段28は、ATM2の利用者7が所持するキャッシュカード1にゲート情報が記憶され、記憶されている場合には予め記憶手段26に記憶されているゲート情報と照合して一致するか否かの判定を行う。
そして、この判定で照合不一致の場合には、処理停止手段29が機能してキャッシュカード1を用いた金融取り引きが行えない状態に制御する。
【0028】
次に、管理サーバ5には、認証判定手段31、通信手段32、ゲート情報登録手段33、ゲート情報データベース34、ゲート情報照合判定手段35、ゲート開閉指示情報送信手段36、取引判定情報送信手段37、制御手段38などが備えられている。
認証判定手段31は、ICカードリーダライタから受信したカードIDに基づいた本人認証処理を行う機能を有している。
ゲート情報登録手段33は、ICカードリーダライタから受信したゲート情報とカードIDとを関係付けてゲート情報データベース24に登録する機能を有している。
ゲート情報照合手段35は、ICカードリーダライタから受信したカードID及びゲート情報を、ゲート情報データベース24に登録されている情報と照合処理する機能を有している。
【0029】
ゲート開閉指示情報送信手段36は、ゲート情報照合手段35の照合処理で照合一致した場合に、ゲート管理装置3に対してゲートを開くことを指示する情報を送信する機能を有している。
また、取引判定情報送信手段37は、ゲート情報照合手段35の照合処理で照合不一致した場合に、ATM2に対して処理停止手段29を機能させてキャッシュカード1を用いた金融取り引きが行えない状態に制御させる。
【0030】
次に本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムの処理手順を、図6のフローチャート図に基づいて説明する。
不正カードの利用防止システムの処理手順としては、2種類の処理手順があり、その1つは、利用者がキャッシュカード1を用いてATM2を使用する場合に、ATM2に記憶されたゲート情報を用いて照合処理を行う処理手順と、他の処理手順として、管理サーバ側に記憶されているゲート情報を用いて照合処理を行う処理手順とがある。
そして、上記2種類の処理手順を選択して利用することができる。
【0031】
図6のフローチャート図は、その1つ目である、利用者がキャッシュカード1を用いてATM2を使用する場合に、ATM2に記憶されたゲート情報を用いて照合処理を行う処理手順を示してあり、最初にこの処理手順について説明する。
まず、利用者7が、キャッシュカード1を用いてATM2で預金引き出しなどの取り引きを行う場合には、ATM2が備えられた施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタ4にキャッシュカード1を近づけて、キャッシュカード1に記憶されているカードIDを読み取らせる。(ステップ1)
ICカードリーダライタ4から管理サーバ5にカードIDが送信される。(ステップ2)
管理サーバ5において、カードIDの認証判定処理が行なわれる。(ステップ3)
【0032】
カードIDの認証判定処理で承認された場合には、管理サーバ5からICカードリーダライタ4に対して、キャッシュカード1にゲート情報を書き込むことを指示する情報が送信される。(ステップ4)
そして、ICカードリーダライタ4からキャッシュカード1に対してゲート情報の書き込みが行われる。(ステップ5)
更に、カードIDの認証判定処理で承認された場合には、管理サーバ5からゲート管理装置3に対して、ゲート6を開くことを指示する情報が送信される。(ステップ6)
これにより、利用者7は、開かれた入口から入室してATM2の近くに行くことが可能になる。
【0033】
次に、利用者7がATM2のカード挿入口39からキャッシュカード1を挿入してセットすると、キャッシュカード1に記憶されているゲート情報の読み取りが行われる。(ステップ7)
そして、ATM2において、読み取ったゲート情報と、ATM2の記憶手段26に記憶されているゲート情報との照合処理が行われる。(ステップ8)
この照合処理で、照合不一致の場合にATM2の処理を停止させる。(ステップ9)
また、この照合処理で、照合一致の場合にATM2の処理が行える状態のまま維持させて、そのキャッシュカード1を利用した預金の引き出しなどの金融取り引きが行えるようにする。(ステップ10)
上記の処理手順は、ATM2の記憶手段26に記憶されているゲート情報との照合処理を行なうことで、入口において正規の認証処理で承認された利用者だけがATM2の利用を行えるようにしたものである。
【0034】
次に、図7に基づいて、管理サーバ側に記憶されているゲート情報を用いて照合処理を行う処理手順について説明する。
まず、利用者7が、キャッシュカード1を用いてATM2で預金引き出しなどの取り引きを行う場合には、ATM2が備えられた施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタ4にキャッシュカード1を近づけて、キャッシュカード1に記憶されているカードIDを読み取らせる。(ステップ11)
ICカードリーダライタ4から管理サーバ5にカードIDとゲート情報とが送信される。(ステップ12)
管理サーバ5において、カードIDの認証判定処理が行なわれる。(ステップ13)
【0035】
カードIDの認証判定処理で承認された場合には、管理サーバ5からICカードリーダライタ4に対して、キャッシュカード1にゲート情報を書き込むことを指示する情報が送信される。(ステップ14)
そして、ICカードリーダライタ4からキャッシュカード1に対してゲート情報の書き込みが行われる。(ステップ15)
更に、カードIDの認証判定処理で承認された場合には、管理サーバ5からゲート管理装置3に対して、ゲート6を開くことを指示する情報が送信される。(ステップ16)
これにより、利用者7は、開かれた入口から入室してATM2の近くに行くことが可能になる。
【0036】
管理サーバ5のゲート情報データベース34にカードIDとゲート情報とを関係付けて登録させる。(ステップ17)
次に、利用者7がATM2のカード挿入口39からキャッシュカード1を挿入してセットすると、キャッシュカード1に記憶されているカードID及びゲート情報の読み取りが行われる。(ステップ18)
ATM2から管理サーバ5に対して、カードID及びゲート情報が送信される。(ステップ19)
管理サーバ5において、受信したカードID及びゲート情報と、ゲート情報データベース34に登録されているカードID及びゲート情報とを照合処理する。(ステップ20)
【0037】
この照合処理で、照合不一致の場合には、管理サーバ5からATM2に対して、ATM2の処理を停止させることを指示する情報を送信する。(ステップ21)
ATM2は、管理サーバ5からATM2の処理を停止させることを指示する情報を受信すると、キャッシュカード1を利用した処理が行えない状態に停止させる。(ステップ22)
また、この照合処理で、照合一致の場合にATM2の処理が行える状態のまま維持させて、そのキャッシュカード1を利用した預金の引き出しなどの金融取り引きが行えるようにする。(ステップ23)
以上の処理により、ATMを使用することができる利用者を、ATMが設置された施設の入口において本人認証処理して承認された者に限るようにすることが可能となり、第三者が他人の口座から不正に預金を引き出すなどのATMからの不正な預金引き出しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムに関する構成の概要を説明する図である。
【図2】ICカードからなるキャッシュカードの平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】キャッシュカードに内蔵されている非接触IC媒体の平面図である。
【図5】他の構成を有するICカードからなるキャッシュカードの平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムのシステムブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムの処理手順を説明するフローチャート図である。
【図8】本発明の実施形態に係る不正カードの利用防止システムの処理手順を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0039】
1 キャッシュカード
2 ATM(現金自動支払機)
3 ゲート管理装置
4 ICカードリーダライタ
5 管理サーバ
6 ゲート
8 非接触ICタグ
9 ICモジュール
10 ゲート情報書込手段
11 送受信手段
12 カードID読取手段
13,26 記憶手段
14 ゲート情報送信手段
15,21,27,32 通信手段
16 カードID送信手段
17,20,30,38 制御手段
18 通信回線
22 カード情報読取手段
23 現金処理手段
24 入力手段
25 表示手段
26 記憶手段
27 通信手段
28 カード情報照合判定手段
29 処理停止手段
31 認証判定手段
32 通信手段
33 ゲート情報登録手段
34 ゲート情報データベース
35 ゲート情報照合判定手段
36 ゲート開閉指示情報送信手段
37 取引判定情報送信手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATM(現金自動支払機)が設置された施設の入口に、本人認証処理で承認された場合にだけ前記施設内に入れる状態とする開閉ゲート装置が備えられ、前記承認がされない場合には、前記ATMの使用ができないようにした不正カードの利用防止システムであって、
接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなるキャッシュカードと、前記施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタと、前記キャッシュカードを使用して取り引き処理を行うATMとを備え、
前記ICカードリーダライタは、前記本人認証処理で承認された場合に、前記キャッシュカードの記憶手段に対してゲート情報を書き込む手段を有し、
前記ATMは、前記キャッシュカードに記憶されているゲート情報を読み取る手段と、その読み取ったゲート情報と予め登録されているゲート情報とを照合処理する手段と、前記照合処理の結果が一致した場合に、前記キャッシュカードを利用した取り引き処理を可能な状態に制御する手段とを有することを特徴とする不正カードの利用防止システム。
【請求項2】
接触方式と非接触方式とを兼ね備えたICカードからなるキャッシュカードと、
前記キャッシュカードを使用して取り引き処理を行うATM(現金自動支払機)と、
前記ATMが設置された施設入口のゲート開閉を制御するゲート管理装置と、
前記施設入口の近傍に備えられた非接触方式のICカードリーダライタと、
前記ATMと、前記ICカードリーダライタと、前記ゲート管理装置と通信可能に接続された管理サーバとからなり、
前記キャッシュカードは、予め識別情報が記憶された記憶手段を備え、
前記ICカードリーダライタは、前記キャッシュカードに記憶されている識別情報を読み取る手段と、読み取った識別情報と、前記ゲートを特定可能なゲート情報とを管理サーバに送信する手段と、前記管理サーバから認証判定に関する承認情報を受信した場合に、前記キャッシュカードの記憶手段に対して前記ゲート情報を書き込む手段とを有し、
前記ATMは、前記キャッシュカードに記憶されている識別情報と、ゲート情報とを読み取る手段と、読み取った識別情報とゲート情報とを管理サーバに送信する手段と、前記管理サーバから取り引きを許可するか停止するかを示す情報を受信する手段とを有し、
前記管理サーバは、前記ICカードリーダライタから受信した識別情報とゲート情報とを関係付けてデータベースに登録させる手段と、該識別情報に基づいて認証判定を行う認証判定手段と、前記認証判定手段による認証判定で承認された場合に、前記ゲート管理装置に対して、ゲートを開くことを指示する情報を送信する手段と、前記ATMから受信した識別情報及びゲート情報と、前記データベースに記憶されている識別情報及びゲート情報とを照合して、照合一致する情報があるか否かを判定する手段と、前記判定結果で照合一致する情報があると判定された場合に、前記ATMに対して前記キャッシュカードを使用した取り引きを許可する情報を送信する手段とを有することを特徴とする不正カードの利用防止システム。
【請求項3】
ATM(現金自動支払機)が設置された施設に入る際にキャッシュカードに書き込まれたゲート情報を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取ったゲート情報が予め登録されているゲート情報と異なる場合に、前記キャッシュカードを使用した取り引きを行えない状態にする手段とを備えていることを特徴とするATM。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−26138(P2007−26138A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208073(P2005−208073)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】