説明

不正車両検出装置及び不正車両検出プログラム及び記録媒体

【課題】従来の有料道路における不正車両検出装置は、主にETC(Electronic Toll Collection System)レーンを対象としており、ETCレーン以外の有人式の出入口ゲートにおいては、不正車を検出することができない。
【解決手段】有料道路の出入口ゲートにおいて、画像処理装置によって通過車両のナンバプレート情報を自動認識し、ナンバプレート情報の検出時間を計測する。通常の車両は料金所ブースで一旦停止後、現金またはカードによる通行料金の支払い処理を行うが、料金未払いで不正に強行突破して通過する車両の場合、ゲート通過時のナンバプレート情報検出時間が短くなるため、ナンバプレート情報検出時間を計測することにより、不正車の検出が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有料道路において、ETC(Electronic Toll Collection System)車載器を搭載していない車両が現金またはカードによる支払いを行う有人式の出入口ゲートにおいて、停止を行わず、強行突破した通過車両の画像を蓄積する不正車両検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の有料道路の不正車両検出装置の実施例によれば、ETCレーンにおいて、進入阻止棒を閉じた状態にして、それにも関わらず進入阻止棒を強行突破して、通過しようとした車両を撮像することによって、不正車両を検出していた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1にある通り、ETCシステムにより通過車両の課金を行うETCレーンの場合、通過車両のETC車載器情報を受信するETC車載器情報受信装置が入力された通過車両の前記ETC車載器情報をもとに正常に課金処理されなかった通過車両を不正車両として検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−234875号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の有料道路における不正車両検出装置は、主にETC(Electronic Toll Collection System)レーンを対象としており、通過車両からのETC車載器情報を受信するETC車載器情報受信装置が、ETC車載器情報をもとに正常に課金処理されない通過車両を不正車両として検出していた。このため、ETC車載器を搭載していない車両が現金またはカードによる支払いを行うETCレーン以外の有人式の出入口ゲートにおいては、不正車を検出することができない。
【0005】
この発明は、ETCレーン以外の有人式あるいは車両の乗員が手動で精算機に支払う方式の出入口ゲートにおいて、不正車を検出する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の不正車両検出装置は、
車両から通行料金を徴収する料金所ブースの周辺に設置されると共に前記車両に取り付けられたナンバプレートを含む前記車両の画像を撮影して前記車両のリアルタイム画像を継続して出力する撮影装置から、前記リアルタイム画像を入力し、所定の画像処理によって前記リアルタイム画像に含まれる前記ナンバプレートに記載されたナンバプレート情報を読み取り、少なくとも読み取った前記ナンバプレート情報を含む情報を読取情報として、前記撮影装置による前記リアルタイム画像の継続出力に対応して継続して出力する認識部と、
前記認識部から継続して出力される読取情報の出力時間を計測し、前記読取情報の出力時間が予め設定された設定時間よりも短いときには、前記読取情報を出力する判定部と、
前記判定部から出力された前記読取情報を蓄積する蓄積部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、ETCレーン以外の有人式あるいは車両の乗員が手動で精算機に支払う方式の出入口ゲートにおいて、不正車を検出する手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1における画像処理装置20の利用形態を示す図。
【図2】実施の形態1における画像処理装置20の構成を示す図。
【図3】実施の形態1における画像処理装置20が処理する撮影画像の例。
【図4】実施の形態1における認識部21のナンバプレートの文字認識の処理フロー。
【図5】実施の形態1における不正検出部22が不正車両を検出する処理フロー。
【図6】実施の形態1における画像処理装置20のハードウェア資源の例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1〜図5を参照して実施の形態1を説明する。図1は、画像処理装置20(不正車両検出装置)の利用形態を示す図である。図1は、料金所ブース30が配置された料金所を示している。車両40は、料金所ブース30の前でいったん停止し、車両40の乗員が料金所ブース30の係員もしくは精算装置に料金を支払う様子を示している。料金所ブース30の周辺、すなわち、車両40の停止位置の前方には、車両40を撮影する車両撮影装置10が設置されている。また、車両撮影装置10の近くには画像処理装置20が配置されている。図1では、車両撮影装置10が料金所ブース30を通過する車両40を撮影してリアルタイムの撮影画像(リアルタイム画像)を継続して出力し、画像処理装置20がこの撮影画像を入力する。画像処理装置20は、入力したリアルタイム画像を継続して処理すると共に、処理時間に基づき、車両40が不正車かどうかを判断する。
【0010】
図2は、画像処理装置20の構成を示す図である。
(1)画像処理装置20は、認識部21と不正検出部22(判定部)と蓄積部23で構成される。図2に示すように、車両撮影装置10はカメラ部11、照明部12を備えている。カメラ部11は、車両40に取り付けられたナンバプレート及び運転者の顔を含む車両40の画像を撮影して車両40のリアルタイム画像を継続して出力する。なお、カメラ部11は、車両の撮影に際して、ナンバプレート及び運転者の顔が撮影可能な位置に配置される。画像処理装置20の認識部21は、リアルタイム画像を入力し、所定の画像処理によってリアルタイム画像に含まれるナンバプレートに記載されたナンバプレート情報を読み取り、ナンバプレート情報とナンバプレート情報の読み取られたリアルタイム画像とを対応づけて、「読取情報」として不正検出部22に継続出力する。
(2)不正検出部22は、認識部21からリアルタイム画像とナンバプレート情報とを受信し、後述する時間判定によって不正車を検出し、不正車と判定した場合にのみ、その車両の撮影画像(リアルタイム画像)とナンバプレート情報とを蓄積部23に送信する。
(3)蓄積部23は不正検出部22から不正車の撮影画像とナンバプレート情報とを受信し、蓄積する。
【0011】
(カメラ部11の撮影する撮影画像)
図3は、車両撮影装置10のカメラ部11の撮影する撮影画像(車両全体画像110)の一例である。図3の車両全体画像110には、料金所ブース30、車両40、運転者112、ナンバプレート113が撮影されており、また、撮影日時及び撮影地点等のスーパーインポーズ111が挿入されている。
【0012】
(認識部21によるナンバプレートの処理フロー)
図4は、認識部21におけるナンバプレート情報の認識処理のフローを示す。
(S101)〜(S106)は、認識部21の動作を示している。
【0013】
認識部21は、車両撮影装置10で撮影された画像を入力(S101)し、当該入力画像を微分(S102)し、当該微分した画像に基づきランレングス作成(S103)をした後、ナンバプレート画像を切り出す処理(S104)を行い、ナンバプレート画像を二値化(S105)し、当該二値化画像からナンバプレートの文字を認識(S106)する。そして、不正検出部22に、認識したナンバプレート認識結果(ナンバプレート情報)と、その時の撮影画像とを対応付けて送信する。このように、認識部21は、図4に示す処理を行うソフトウェアにより、ナンバプレート部分を切り出し、自動的にナンバプレート情報を読み取る。認識したナンバプレート認識結果と、その時の撮影画像とは、認識部21によって対応付けられ、不正検出部22に送信される。
【0014】
(不正検出部22による不正車の検出処理フロー)
図5は、画像処理装置20の不正検出部22による不正車検出の処理フローを示す。(S201)〜(S205)は、不正検出部22の動作を示している。
【0015】
不正検出部22は、車両の進入があった場合(S201)、認識部21から撮影画像(リアルタイム画像)とその画像に対応付けられたナンバプレート情報とを継続して受信(S202)する。不正検出部22は、認識部21から送信される撮影画像とその画像に対応付けられたナンバプレート情報とを継続受信する時間(T)を計測(S203)する。
【0016】
認識部21から撮影画像とその画像に対応付けられたナンバプレート情報とを継続受信する時間(T)が設定時間より小さい場合、その画像の車両を不正車両と判断(S204)する。
【0017】
不正車両と判断した場合、不正検出部22は、撮影画像とその画像に対応付けられたナンバプレート情報とを蓄積部23に送信(S205)する。
【0018】
(正規な車両の場合)
料金所ブース30において、ETC車載器を搭載していない車両は、料金所ブース30で一旦停止後、現金またはカードにより所定の通行料金の支払い処理を行う。このため、正規に支払い処理を行う車両の場合であれば、不正検出部22は、認識部21より一定時間(設定時間)以上の間、車両40の撮影画像(リアルタイム画像)とナンバプレート情報とを受信し続けることになる。
【0019】
(不正車両)
一方、料金未払いで不正に強行突破して通過する不正な車両は、認識部21から撮影画像(リアルタイム画像)とナンバプレート情報とを受信する時間が、正規に支払を行う車両に比べ短くなる。このため、不正検出部22は、撮影画像(リアルタイム画像)とその画像に対応付けられたナンバプレート情報とを継続受信する時間(T)を計測することで、不正車を検出できる。
【0020】
(蓄積部23)
蓄積部23は、図5の処理フローにより不正検出部22で検出された不正車の「撮影画像とナンバプレート情報」(認識情報)を蓄積する。
【0021】
以上のように、通常の通過車両は、料金所ブースで減速し、一旦停止後、現金またはカードによる通行料金の支払い処理を行うため、ゲート通過時のナンバプレート情報の検出時間が長くなるが、料金未払いで不正に強行突破して通過する車両の場合、ゲート通過時のナンバプレート情報検出時間が短くなる。このため、ナンバプレート情報検出時間を計測することにより、容易に不正車を検出することができる。
【0022】
なお、以上の実施の形態では、画像処理装置20の認識部21は、ナンバプレート情報と撮影画像とを不正検出部22に出力したが、少なくともナンバプレート情報だけを出力しても構わない。ナンバプレート情報を蓄積することで不正車両を特定できる。さらに認識部21が、運転者の撮影された撮影画像をも出力することで、車両に加え、その運転者を特定できる。
【0023】
以上の実施の形態では、
有料道路の出入口ゲートにおいて、車両撮影装置により通過車両の撮影を行い、画像処理装置の認識部によりナンバプレート情報を自動認識し、不正検出部により、各通過車両のナンバプレート情報の検出時間を計測することで不正車を自動検出する不正車両検出装置を説明した。
【0024】
実施の形態2.
図6を参照して画像処理装置20(不正車両検出装置)のハードウェア構成を説明する。図6は、コンピュータで実現される画像処理装置20のハードウェア資源の一例を示す図である。図6において、画像処理装置20は、プログラムを実行するCPU810(Central Processing Unit)を備えている。CPU810は、バス825を介してROM(Read Only Memory)811、RAM(Random Access Memory)812、表示装置813、操作キー814、通信ボード816、磁気ディスク装置820と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置820の代わりに、光ディスク装置、フラッシュメモリなどの記憶装置でもよい。
【0025】
RAM812は、揮発性メモリの一例である。ROM811、磁気ディスク装置820等の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは蓄積部、記憶部、格納部、記録部の一例である。通信ボード816は、入力部、入力装置、通信部の一例である。また、通信ボード816、表示装置813などは、出力部、出力装置の一例である。
【0026】
通信ボード816は、撮影装置10及び図示していないネットワークに接続されている。
【0027】
磁気ディスク装置820には、オペレーティングシステム821(OS)、プログラム群823、ファイル群824が記憶されている。プログラム群823のプログラムは、CPU810、オペレーティングシステム821により実行される。
【0028】
上記プログラム群823には、以上に述べた実施の形態の説明において「〜部」として説明した機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU810により読み出され実行される。
【0029】
ファイル群824には、以上に述べた実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の算出結果」、「〜の抽出結果」、「〜の生成結果」、「〜の処理結果」として説明した情報や、データや信号値や変数値やパラメータなどが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU810によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0030】
また、以上に述べた実施の形態の説明においては、データや信号値は、RAM812のメモリ、磁気ディスク装置820の磁気ディスク、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス825や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0031】
また、以上に述べた実施の形態の説明において、「〜部」として説明したものは、「手段」、「〜回路」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明したものは、ROM811に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、光ディスク、コンパクトディスク等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU810により読み出され、CPU810により実行される。すなわち、プログラムは、以上に述べた「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以上に述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【符号の説明】
【0032】
10 車両撮影装置、11 カメラ部、12 照明部、20 画像処理装置、21 認識部、22 不正検出部、23 蓄積部、30 料金所ブース、40 車両、110 車両全体画像、111 スーパーインポーズ、112 運転者、113 ナンバプレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から通行料金を徴収する料金所ブースの周辺に設置されると共に前記車両に取り付けられたナンバプレートを含む前記車両の画像を撮影して前記車両のリアルタイム画像を継続して出力する撮影装置から、前記リアルタイム画像を入力し、所定の画像処理によって前記リアルタイム画像に含まれる前記ナンバプレートに記載されたナンバプレート情報を読み取り、少なくとも読み取った前記ナンバプレート情報を含む情報を読取情報として、前記撮影装置による前記リアルタイム画像の継続出力に対応して継続して出力する認識部と、
前記認識部から継続して出力される読取情報の出力時間を計測し、前記読取情報の出力時間が予め設定された設定時間よりも短いときには、前記読取情報を出力する判定部と、
前記判定部から出力された前記読取情報を蓄積する蓄積部と
を備えたことを特徴とする不正車両検出装置。
【請求項2】
前記認識部は、
前記ナンバプレート情報と、前記ナンバプレート情報の読み取られた前記リアルタイム画像とを対応づけて、前記読取情報として継続出力することを特徴とする請求項1記載の不正車両検出装置。
【請求項3】
前記撮影装置は、
前記車両を運転する運転者の顔を撮影可能な位置に配置されると共に、前記リアルタイム画像として、前記車両を運転する運転者の顔を含む画像を継続出力することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の不正車両検出装置。
【請求項4】
コンピュータを、
車両から通行料金を徴収する料金所ブースの周辺に設置されると共に前記車両に取り付けられたナンバプレートを含む前記車両の画像を撮影して前記車両のリアルタイム画像を継続して出力する撮影装置から、前記リアルタイム画像を入力し、所定の画像処理によって前記リアルタイム画像に含まれる前記ナンバプレートに記載されたナンバプレート情報を読み取り、少なくとも読み取った前記ナンバプレート情報を含む情報を読取情報として、前記撮影装置による前記リアルタイム画像の継続出力に対応して継続して出力する認識部、
前記認識部から継続して出力される読取情報の出力時間を計測し、前記読取情報の出力時間が予め設定された設定時間よりも短いときには、前記読取情報を出力する判定部、
前記判定部から出力された前記読取情報を蓄積する蓄積部、
として機能させるための不正車両検出プログラム。
【請求項5】
請求項4記載の不正車両検出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−218482(P2010−218482A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67300(P2009−67300)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】