説明

不正開封防止ケース

【課題】商品を梱包して配送する際にケースが開封された痕跡をより確実に残すことができる不正開封防止ケースを提供する。
【解決手段】 不正開封防止ケースA1は、四周側板部1〜4と、一対の蓋フラップ5,6及び蓋受けフラップ7,8と、一対の底フラップ9,10及び底受けフラップ11,12と、を備え、底受けフラップ11,12側の側板部から底フラップ9,10の閉じ合わせ縁に沿って接着テープ30で貼着し、蓋受けフラップ7,8側の側板部から蓋フラップ5,6の閉じ合わせ縁に沿って接着テープ30で貼着して封緘するようにし、蓋フラップ5,6に連続して繋がるとともに、少なくとも表面に側縁端に至る切り目が形成されてなる剥離部20を側縁5b,6bに有し、剥離部20は、少なくとも一方の蓋フラップ5の側縁5b及び他方の蓋フラップ6の側縁6bに設けられ、接着テープ30が貼着される位置に剥離部20が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を梱包して配送するための不正開封防止ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールなどのケース内に商品を梱包して輸送途中に、何人かによって不正にケースが開封されて商品が抜き取られ、再封緘して配送されるという問題が発生していた。
【0003】
このような問題を解消すべく、蓋フラップ及び底フラップの閉じ合わせ縁に対して交叉する切り目を設けることにより、第三者によってケースが不正に開封された場合に、ケースを封緘する接着テープを剥がした痕跡を残すことができる不正開封防止ケースが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−5714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蓋フラップ及び底フラップの閉じ合わせ縁に対して交叉する切り目を有する不正開封防止ケースでは、接着テープを剥がしても不正に開封された痕跡が残らない場合があり、不正開封の防止が不十分という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、商品を梱包して配送する際にケースが開封された痕跡をより確実に残すことができる不正開封防止ケースの提供を目的とする。
【0007】
即ち、本発明は下記[1]〜[5]に記載の構成を有する。
【0008】
[1] 四周側板部と、
一方の対向する側板部の上方に延設された一対の蓋フラップと、
他方の対向する側板部の上方に延設された一対の蓋受けフラップと、
一方の対向する側板部の下方に延設された一対の底フラップと、
他方の対向する側板部の下方に延設された一対の底受けフラップと、を備え、
両底受けフラップ上に両底フラップを折り付けて閉じ合わせ、底受けフラップ側の側板部から前記底フラップの閉じ合わせ縁に沿って接着テープで前記底フラップに貼着し、
両蓋受けフラップ上に両蓋フラップを折り付けて閉じ合わせ、蓋受けフラップ側の側板部から前記蓋フラップの閉じ合わせ縁に沿って接着テープで前記蓋フラップに貼着して封緘するようにした不正開封防止ケースであって、
前記蓋フラップに連続して繋がるとともに、前記蓋フラップの少なくとも表面に側縁端に至る切り目が形成されてなる剥離部を前記蓋フラップの側縁に有し、
前記蓋フラップの前記剥離部は、少なくとも一方の蓋フラップの側縁及び他方の蓋フラップの前記側縁と対向する側縁に設けられ、
前記蓋フラップの前記接着テープが貼着される位置に、前記剥離部が形成されることを特徴とする不正開封防止ケース。
【0009】
[2] 前記底フラップに連続して繋がるとともに、前記底フラップの少なくとも表面に側縁端に至る切り目が形成されてなる剥離部を前記底フラップの側縁に有し、
前記底フラップの前記剥離部は、前記接着テープが貼着される位置に形成され、
前記剥離部は、前記蓋フラップの全ての側縁及び前記底フラップの全ての側縁に設けられることを特徴とする前項1に記載の不正開封防止ケース。
【0010】
[3] 前記剥離部は、前記接着テープが貼着される方向に沿って、前記蓋フラップの両側縁間及び前記底フラップの両側縁間にも所定の間隔で複数設けられることを特徴とする前項2に記載の不正開封防止ケース。
【0011】
[4] 前記剥離部は、複数の前記切り目を有し、
前記剥離部は、前記接着テープが貼着された場合に、前記接着テープの端部が前記剥離部の前記切り目の間に挟まれるような位置に設けられることを特徴とする前項1〜3の何れかに記載の不正開封防止ケース。
【0012】
[5] 前記剥離部は、両蓋フラップ及び両底フラップを閉じ合わせた際の裏面から前記切り目が形成されてなることを特徴とする前項4に記載の不正開封防止ケース。
【発明の効果】
【0013】
上記[1]に記載の発明によれば、蓋フラップに連続して繋がるとともに、少なくとも蓋フラップの表面に側縁端に至る切り目が形成されてなる剥離部を蓋フラップの側縁に有し、剥離部上に接着テープが貼着されるので、接着テープを端部側から引き剥がすと、接着テープの貼着した剥離部が剥がれる。そのため、ケースが開封された痕跡が、蓋フラップの外装表面が剥がれる形で残るので、第三者によりケースが不正に開封されたことがわかるようになる。
【0014】
また、蓋フラップの剥離部が、少なくとも一方の蓋フラップの側縁及び他方の蓋フラップの前記側縁と対向する側縁に設けられる構成であるので、蓋フラップ側縁の左右何れから開封された場合であっても開封された痕跡を残すことが出来る。
【0015】
上記[2]に記載の発明によれば、蓋フラップの全ての側縁及び底フラップの全ての側縁に剥離部が設けられるので、蓋フラップの何れの側縁から或いは底フラップの何れの側縁から接着テープが引き剥がされた場合であっても、ケースが不正に開封された痕跡がより残り易い。
【0016】
上記[3]に記載の発明によれば、剥離部が、接着テープが貼着される方向に沿って、蓋フラップの両側縁間及び底フラップの両側縁間に所定の間隔で複数設けられるので、接着テープを引き剥がす際に、ケースが不正に開封された痕跡がより残り易い。
【0017】
上記[4]に記載の発明によれば、複数の切り目を有する剥離部は、接着テープが貼着された場合に、接着テープの端部が剥離部の切り目の間に挟まれるような位置に設けられるので、接着テープで貼着されていない一方の切り目により、剥離部に接着テープで貼着されると剥離部の高さが、蓋フラップ或いは底フラップの平面高さよりも沈み、接着テープと剥離部との密着性が高まるので、接着テープを引き剥がす際に接着テープに密着した剥離部がより剥がれ易くなる。また、剥離部とともに剥離部周辺の蓋フラップの外装表面も剥がれ易くなる。
【0018】
上記[5]に記載の発明によれば、剥離部が両蓋フラップ及び両底フラップを閉じ合わせた際の裏面から切り目が形成されてなるので、切り込み加工により外観(表面側)を損なうことがない。
【0019】
また、剥離部が裏面から切り目が形成されてなるので、ケース表面側に剥離部が若干突出して形成され、貼着させる接着テープと剥離部との密着性が高まることにより、接着テープが引き剥がされる際に剥離部がより剥がれ易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る不正開封防止ケースの展開図である。
【図2】図1に係る不正開封防止ケースの封緘状態を示す斜視図である。
【図3】図1に係る不正開封防止ケースの開封状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る不正開封防止ケースの展開図及び封緘状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る不正開封防止ケースの要部の説明図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る不正開封防止ケースの要部の説明図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る不正開封防止ケースの要部の説明図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る不正開封防止ケースの要部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照するなどして、本発明の各実施形態における不正開封防止ケースA1〜A6について説明する。
【0022】
図1は、第1実施形態に係る不正開封防止ケースのシート基材S1の展開図、図2は、図1の不正開封防止ケースA1の封緘状態を示す斜視図、図3は、図1の不正開封防止ケースA1の開封状態を示す斜視図、図4は、第2実施形態に係る不正開封防止ケースA2の展開図及び封緘状態を示す斜視図、図5〜8は、第3〜第6実施形態に係る不正開封防止ケースA3〜A6の要部の説明図である。
【0023】
(第1実施形態)
図1〜3に示す第1実施形態に係る不正開封防止ケースA1は、段ボール紙などの紙製板材からなり、谷折りまたは山折りの折り目線が形成されたシート基材S1からなる。
【0024】
図1に示す第1実施形態のシート基材S1は、四周側板部1,2,3,4と、一方の対向する側板部1,2の上方に延設された一対の蓋フラップ5,6と、他方の対向する側板部3,4の上方に延設された一対の蓋受けフラップ7,8と、一方の対向する側板部1,2の下方に延設された一対の底フラップ9,10と、他方の対向する側板部3,4の下方に延設された一対の底受けフラップ11,12と、を有し、展開状態から図2に示す箱型形状のケースに組み立て可能に形成される。
【0025】
図2に示す組み立て状態において、四周側板部1,2,3,4のうち、前面右側の側板部を前側板部1、前面左側の側板部を左側板部3として定義する。また、前側板部1の対面は後側板部2、左側板部3の対面は右側板部4として定義する。
【0026】
四周側板部1,2,3,4は折り目線111,112,113,114を介して連結されてなり、例えば、後側板部2の側部には、左側板部3と結合させるための結合用フラップ13が連設され、さらに、結合用フラップ13の上端には、結合用折目部132を介して補強部131が連設されている。
【0027】
後側板部2の折り目線111に連設された結合用フラップ13は、左側板部3の端部内側に接着剤などで張りつけられ、結合用折目部132で内側に折り曲げられて、補強部131が左側板部3の上方に連設された蓋受けフラップ7の端部内側に貼り付けられることによって、四角筒形状に形成される。
【0028】
不正開封防止ケースは、商品等を梱包する際に、四角筒形状に形成されて折り畳まれた状態から、以下のようにして図2に示すような箱型形状のケースに組み立てられる。
【0029】
四角筒形状に形成された状態で、両蓋受けフラップ7,8は破線部101,103で内側に折り曲げられ、折り曲げられた両蓋受けフラップ7,8に被せるように蓋フラップ5,6が破線部102,104で折り曲げられる。同様に、両底受けフラップ11,12が破線部105,107で内側に折り曲げられ、折り曲げられた両底受けフラップ11,12に被せるように底フラップ9,10が破線部106,108で折り曲げられる。
【0030】
両底フラップ9,10が、両底受けフラップ11,12上に折り付けて閉じ合わされ、底受けフラップ11(12)側の側板部3(4)から底フラップ9,10の閉じ合わせ縁に沿って対向する側板部4(3)まで接着テープ30で貼着され、両蓋フラップ5,6が、両蓋受けフラップ7,8上に折り付けて閉じ合わされ、蓋受けフラップ7(8)側の側板部3(4)から蓋フラップ5,6の閉じ合わせ縁に沿って対向する側板部4(3)まで接着テープ30で貼着されて封緘される。
【0031】
(剥離部について)
不正開封防止ケースA1には、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10に開封された痕跡を示すための剥離部20が設けられ、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10に形成された剥離部20上に接着テープ30が貼着されて封緘され、蓋フラップ5,6或いは底フラップ9,10から接着テープ30が引き剥がされることにより開封される。
【0032】
剥離部20は、蓋フラップ5,6の閉じ合わせ縁寄りの側縁5b,6b、及び底フラップ9,10の閉じ合わせ縁寄りの側縁9b,10bに設けられ、単数或いは複数の切り目20a,20bを有する。
【0033】
蓋フラップ5,6の剥離部20は、蓋フラップ5,6に連続して繋がるとともに、蓋フラップ5,6の側縁端5b,6bに至る切り目20a,20bにより形成されている。
【0034】
また、底フラップ9,10の剥離部20も同様に、底フラップ9,10に連続して繋がるとともに、底フラップ9,10の側縁端9b,10bに至る切り目20a,20bにより形成されている。
【0035】
剥離部20は、その一部或いは全部に接着テープ30が貼着され、接着テープ30が引き剥がされることによって、不正開封防止ケースA1が開封された痕跡を残すことができる。以降では、剥離部20の一部が接着テープ30に貼着される場合について説明する。
【0036】
剥離部20の切り目20a,20bは、接着テープ30を引き剥がす方向に沿って形成されてなり、剥離部20は、切り目20a,20bによって蓋フラップ5,6或いは底フラップ9,10から切り離された部位を有する。
【0037】
切り離された部位は、貼着された接着テープ30を引き剥がす際に、接着テープ30に密着して各フラップ5,6,9,10から剥がされる部位となり、以降では、この部位を剥離部20の一部分である切離片201と定義する。
【0038】
剥離部20は、接着テープ30を引き剥がす方向に沿って、蓋フラップ5,6の側縁5b,6b及び底フラップ9,10の側縁9b,10bに至る切り目20a,20bが形成されているので、切離片201は、接着テープ30を引き剥がす際に、接着テープ30の引き剥がし方向に合わせて引き剥がしやすい構成となっている。
【0039】
接着テープ30が引き剥がされると、切離片201(剥離部20)が接着テープ30に付着した状態で、切離片201の側縁端側から接着テープ30の引き剥がし方向に引っ張られることにより、接着テープ30に付着した剥離部20が剥がれ、剥離部20に繋がっている蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の外装表面なども剥がれやすくなる。
【0040】
両蓋フラップ5,6及び両底フラップ9,10の各フラップに少なくとも一つの剥離部20を設けるように構成することで、何れのフラップが開封された場合であっても開封された痕跡を残すことができる。
【0041】
本実施形態では、各蓋フラップ5,6及び各底フラップ9,10に、それぞれ1つずつ剥離部20が設けられる。一方の蓋フラップ5,6の剥離部20は、他方の蓋フラップ5,6の剥離部20と対角をなす位置に設けられる。
【0042】
図2に基づいて本実施形態における剥離部20について詳述すると、一方の蓋フラップ5の側縁5bに剥離部20が設けられ、他方の蓋フラップ6の剥離部20は、両蓋フラップ5,6を閉じ合わせた際に当該側縁5bと対向する側の側縁6bに設けられるように構成される。
【0043】
底フラップ9,10にも剥離部20が設けられており、蓋フラップ5,6の剥離部20と同様に、一方の底フラップ9の剥離部20は、他方の底フラップ10の剥離部20と対角をなす位置に設けられる。
【0044】
剥離部20には、貼着された接着テープ30を引き剥がす方向に所定の長さ(例えば、約15mm)の2本の切り目20a,20bが形成されてなり、2本の切り目20a,20bは、接着テープ30を引き剥がす方向へ向かうに連れて互いに近づくように形成されている。
【0045】
2本の切り目20a,20bは、交わることはなく、蓋フラップ5,6に連続して繋がるとともに、蓋フラップ5,6の側縁端に至るように形成されている。
【0046】
不正開封防止ケースが封緘される際は、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の閉じ合わせ縁に接着テープ30の中心が合わせられ、閉じ合わせ縁に貼着された接着テープ30の両端部が、剥離部20の中央付近に配置されるようにして蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10に貼着される。
【0047】
剥離部20の中心位置は、各フラップ5,6,9,10の閉じ合わせ縁から、貼着する接着テープ30半幅の位置に設定されるように設けられる。
【0048】
第1実施形態においては、特に、接着テープ30の端部が剥離部20の2本の切り目20a,20bの間に挟まれるようにして接着テープ30の貼着がなされることが好ましい。
【0049】
図2の拡大図で示すように、両蓋フラップ5,6を折り付けて閉じ合わせた状態で、蓋フラップ5,6の剥離部20の外側(蓋フラップ5,6の折り目側)の切り目20bが接着テープ30より外側に設けられる、つまり切り目20bが接着テープ30で貼着されず、剥離部20の内側(蓋フラップ5,6の閉じ合わせ縁側)の切り目20aが接着テープ30で貼着されるような位置で接着テープ30を貼着する。
【0050】
剥離部20の2本の切り目20a,20bで接着テープ30の端部が挟まれるように接着テープ30が貼着されることで、接着テープ30で貼着されていない一方の切り目20bによって、剥離部20に接着テープ30が貼着されると剥離部20の高さが蓋フラップ6平面高さよりも沈み、剥離部20の一部(切離片201)では接着テープ30との密着性が高まるので、接着テープ30を引き剥がす際に接着テープ30と密着した切離片201(剥離部20)とともに剥離部20周辺の蓋フラップ6の外装表面も剥がれ易くなる。
【0051】
図3(a)に示すように、剥離部20の一部に密着して貼着された接着テープ30を矢印で示す引き剥がし方向に引き剥がすと、図3(b)に示すように、接着テープ30に付着した剥離部20が接着テープ30とともに引き剥がされるのに伴って、剥離部20周辺の蓋フラップ5,6の外装表面が接着テープ30の引き剥がし方向に剥がされる。
【0052】
ここでは、説明の便宜上、蓋フラップ5,6に設けられた剥離部20に限定して説明したが、底フラップ9,10に設けられた剥離部20についての構成、効果などは、蓋フラップ5,6の剥離部20と全く同様のものである。従って、底フラップ9,10に設けられる剥離部20の構成、効果などについては、「蓋フラップ5,6」を「底フラップ9,10」と読み替えて足るものとして説明は省略する。
【0053】
蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の切り目20a,20bは、両蓋フラップ5,6及び両底フラップ9,10を閉じ合わせた際の裏面から刃を突き刺すなどすることで形成される。
【0054】
このように、剥離部20が両蓋フラップ5,6及び両底フラップ9,10を閉じ合わせた際の裏面から切り目20a,20bが形成されてなるので、切り込み加工により外観(表面側)を損なうことがない上に、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の裏面に刃を突き刺すなどして、剥離部20を容易に形成することが出来る。
【0055】
また、剥離部20が裏面から切り目20a,20bが形成されてなるので、ケース表面側に剥離部20が若干突出して形成され、貼着させる接着テープ30と剥離部20との密着性が高まることにより、接着テープ30が引き剥がされる際に剥離部20がより剥がれ易くなる。
【0056】
上述したように第1実施形態に係る不正開封防止ケースA1によれば、蓋フラップ5,6に連続して繋がるとともに、少なくとも蓋フラップ5,6の表面に側縁5b,6b端に至る切り目が形成されてなる剥離部20を蓋フラップ5,6の側縁5b,6bに有し、剥離部20上に接着テープ30が貼着されるので、接着テープ30を端部側から引き剥がすと、接着テープ30が貼着した剥離部20が剥がれる。ケースが開封された痕跡が、蓋フラップ5,6の外装表面が剥がれる形で残るので、第三者によりケースが不正に開封されたことがわかるようになる。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る不正開封防止ケースA2では、第1実施形態に係る不正開封防止ケースに対して、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10に設ける剥離部20の個数が異なるが、四周側板部1,2,3,4、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10などその他の構造は共通している。
【0058】
従って、第2実施形態の実施形態の説明においては、第1実施形態と共通する部分には同符号を付して説明を省略する。また、以降の実施形態においても同様に、第1実施形態と共通する部分には同符号を付して説明を省略するものとする。
【0059】
図4(a)のシート基材S2の展開図で示すように、第2実施形態では、両蓋フラップ5,6の全ての側縁及び両底フラップ9,10の全ての側縁に剥離部20が設けられる構成が採用される。
【0060】
同一フラップの左右側縁において接着テープ30の引き剥がし方向が異なることに対応するため、第1実施形態と同様にして、第2実施形態の全ての剥離部20の切り目20a,20bが接着テープ30を引き剥がす方向に沿って形成され、各フラップ5,6,9,10の側縁端に剥離部20の一部である切離片201が設けられる。
【0061】
第2実施形態における底フラップ9,10の剥離部20の構成及び効果についても、蓋フラップ5,6の剥離部20の構成及び効果と同様であるため説明を省略する。
【0062】
上述したように、第2実施形態に係る不正開封防止ケースA2であれば、蓋フラップ5,6の全ての側縁及び底フラップ9,10の全ての側縁に剥離部20が設けられるので、蓋フラップ5,6の何れの側縁から或いは底フラップ9,10の何れの側縁から接着テープ30が引き剥がされた場合であっても、ケースが不正に開封された痕跡がより残り易い。
【0063】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る不正開封防止ケースA3では、第2実施形態に係る不正開封防止ケースA2に対して、両蓋フラップ5,6及び両底フラップ9,10に設けた剥離部21の形状が異なるのみでその他の構造は共通している。
【0064】
図5の第3実施形態のシート基材S3の拡大図に示すように、第3実施形態における剥離部21は、例えば、蓋フラップ6の側縁端に略山型形状の切り欠きを有する。
【0065】
略山型の切り欠きの形状は、一方の側縁端から蓋フラップ5,6の他方の側縁端に向かって凹状に切り欠いた2つの凹部212と、一方の側縁端よりも蓋フラップ5,6内側寄り、且つ凹部212よりも浅い切り欠きであり、凹部212間を側縁に平行となるように切り欠いた凸部213と、からなる形状である。
【0066】
切り欠きの凹部212からは、蓋フラップ6から凹部212が切り離されるように、接着テープ30を引き剥がす方向に沿って2本の切り目21a,21bがそれぞれ形成されている。
【0067】
凸部に切り目21a,21bが形成されることで、少なくとも切り目21a,21bの長さ分だけ凸部213が蓋フラップ5,6から切り離される切離片211が形成される。
【0068】
このように、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の側縁よりも内側に切離片211が形成されていることで、接着テープ30を引き剥がす際に、より剥離部21が剥がされやすくなる。
【0069】
凹部212が形成されることによって、接着テープ30が貼着された切り目21aと蓋フラップ5,6の閉じ合わせ縁間の部位、及び切り目21aと底フラップ9,10の閉じ合わせ縁間の部位についても、接着テープ30の引き剥がしに伴って剥がされやすくなるため、切離片211と合わせて開封された痕跡がより残りやすくなる。
【0070】
これにより、接着テープ30を引き剥がして不正開封防止ケースA3を開封する際に、接着テープ30に付着した切離片211(剥離部21)とともに蓋フラップ5,6或いは底フラップ9,10の剥離部21周辺の外装表面が剥がれる。
【0071】
第3実施形態における底フラップ9,10の剥離部21の構成及び効果についても、蓋フラップ5,6の剥離部21の構成及び効果と同様であるため説明を省略する。
【0072】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る不正開封防止ケースA4では、第1実施形態及び第2実施形態に係る不正開封防止ケースA2に対して、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の両側縁間にさらに剥離部22を追加した点で異なるが、その他の構造は同一である。
【0073】
第4実施形態では、蓋フラップ5,6の全ての側縁及び底フラップ9,10の全ての側縁に剥離部20が設けられ、更に、前記接着テープ30が貼着される方向に沿って、蓋フラップ5,6の両側縁間及び底フラップ9,10の両側縁間に所定の間隔(例えば、約50〜60mm)で複数の剥離部22が設けられる構成が採用される。
【0074】
尚、剥離部22の間隔は、これに限定されるものではなく、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10のサイズ及び剥離部22のサイズに応じて適宜設定されるとよい。
【0075】
図6に示す第4実施形態のシート基材S4のように、本実施形態では、蓋フラップ5,6の側縁に設けられる剥離部20に加えて、蓋フラップ5,6の側縁に設けられる剥離部20と同様に、切り目22a,22bが形成されることによって一部が蓋フラップ5,6に連続して繋がった状態で、且つ蓋フラップ5,6から切り離されるように切り目22cが形成された剥離部22が蓋フラップ5,6の両側縁間に複数設けられる。
【0076】
蓋フラップ5,6側縁の剥離部20及び両側縁間に複数設けられた剥離部22の何れの剥離部22も、接着テープ30を引き剥がされる方向に合わせて切離片201,221の向きが設定される。本実施形態では、剥離部22は、蓋フラップ5,6のおおよそ中央で180度反転した向きで配置されるように設けられ、例えば、蓋フラップ5,6の半分の位置までに設けた剥離部22の向きが、側縁に設けた剥離部20の向きと同一になるように設けられている。
【0077】
図6の拡大図に示すように、本実施形態の蓋フラップ6の両側縁間の剥離部22は、蓋フラップ6の側縁の剥離部20と同様に、接着テープ30を引き剥がす方向に沿って2本の切り目22a,22bが形成され、且つ2本の切り目22a,22bは接着テープ30を引き剥がす方向へ向かうに連れて互いに近づくように形成されている。
【0078】
剥離部22の蓋フラップ6側縁側には、蓋フラップ6側縁と平行するように形成された切り目22cが設けられる。この切り目22cが設けられることにより、蓋フラップ6の両側縁間に設けられる複数の剥離部22にも、蓋フラップ6から切離された切離片221が形成され、蓋フラップ6側縁の剥離部23と同様に接着テープ30が引き剥がされる際に、接着テープ30に付着した切離片221(剥離部22)とともに剥離部22周辺の蓋フラップ6の外装表面が接着テープ30の引き剥がし方向に引き剥がされる。
【0079】
第4実施形態における蓋フラップ5及び底フラップ9,10の剥離部20,22の構成及び効果についても、蓋フラップ6の剥離部20,22の構成及び効果と同様であるため説明を省略する。
【0080】
上述したように、第4実施形態に係る不正開封防止ケースA4であれば、剥離部20が、接着テープ30が貼着される方向に沿って、蓋フラップ5,6の両側縁間及び底フラップ9,10の両側縁間に所定の間隔で複数設けられるので、接着テープ30を引き剥がす際に、ケースが不正に開封された痕跡がより残り易い。
【0081】
(その他実施形態)
その他実施形態に係る不正開封防止ケースA5,A6では、上述した実施形態に係る不正開封防止ケースA1〜A4に対して、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10に設ける剥離部23〜25の形状及びその組み合わせが異なるが、その他の構造は同一である。
【0082】
図7,8で示す第5実施形態及び第6実施形態に係る不正開封防止ケースA5,A6のように、蓋フラップ5,6の一方の側縁から他方の側縁にかけて所定の間隔で剥離部を設ける場合に、剥離部の形状が異なるものを組み合わせて設けるのであってもよい。
【0083】
図7で示す第5実施形態に係るシート基材S5のように、例えば、上述の第1実施形態と同形状の剥離部20を蓋フラップ6の側縁に設け、蓋フラップ6側縁間に所定間隔で設けた剥離部23には、2本の切り目23a,23bが交差するように万字形状に形成されるのであってもよい。
【0084】
剥離部23が形成される場合には、2本の切り目23a,23bが交差することで切り離された切離片231が形成され、不正開封防止ケースA5の開封時に接着テープ30の引き剥がし方向と同一方向に切離片231が引き剥がされる。
【0085】
また、図8で示す第6実施形態に係るシート基材S6のように、蓋フラップ6の側縁にY字形状に形成された切り目24a,24b,24cを有する剥離部24を設けるのであってもよいし、図7に示す万字形状の剥離部23を90度回転させた交差する2本の切り目25,25で形成される剥離部25であってもよい。
【0086】
剥離部24が形成される場合には、3つの切り目24a,24b,24cが交わることで切り離された切離片241が形成され、不正開封防止ケースA6の開封時に接着テープ30の引き剥がし方向と同一方向に切離片241が引き剥がされる。
【0087】
また、剥離部25が形成される場合には、2つの切り目25a,25bが交差することで切り離された切離片251が形成され、不正開封防止ケースA6の開封時に接着テープ30の引き剥がし方向と同一方向に切離片251が引き剥がされる。
【0088】
第5,6実施形態における蓋フラップ5及び底フラップ9,10の剥離部23,24,25の構成及び効果についても、蓋フラップ6の剥離部23,24,25の構成及び効果と同様であるため説明を省略する。
【0089】
上述した不正開封防止ケースA1〜A6では、蓋フラップ5,6の側縁及び底フラップ9,10の側縁に剥離部20〜25が形成され、何れのフラップ5,6,9,10が開封された場合であっても開封された痕跡を残すことが出来ると説明したが、この構成に限定されるものではない。
【0090】
少なくとも蓋フラップ5,6の剥離部20〜25が、少なくとも一方の蓋フラップ5の側縁5b及び他方の蓋フラップ6の前記側縁5bに対向する側縁6bに設けられるように構成されていれば、即ち、少なくとも蓋フラップ5,6にそれぞれ一つの剥離部20〜25が設けられた構成であれば、蓋フラップ5,6の左右何れから開封された場合であっても開封された痕跡を残すことが出来るのでよい。
【0091】
上述したように、剥離部20〜25は、第3実施形態のように切り欠きを設ける構成であってもよいが、切り欠きを設けない切り目だけで構成される構成が最も好ましい。剥離部が切り目だけで構成されることで、蓋フラップ5,6および底フラップ9,10に連続して繋がった状態で、蓋フラップ5,6の側縁端および前記底フラップ9,10の側縁端が切り離されて形成される構成であれば、製造する際に切り屑などのゴミが発生せず製造現場環境の向上に繋がる。
【0092】
上述では複数の剥離部20〜25の形状について示したが、封緘時に接着テープ30に付着して剥がれやすいため、剥離部の形状は、切離片の各フラップ5,6,9,10の側縁側の幅が広く設定されている形状が最も好ましい。
【0093】
また、上述したように剥離部20〜25の中心位置が各フラップ5,6,9,10の閉じ合わせ縁から接着テープ30の半幅の位置に設定され、接着テープ30が剥離部20〜25の一部に貼着されて不正開封防止ケースA1〜A6が封緘されることが好適であるが、これに限定されるものではなく、剥離部20〜25全体が接着テープ30で貼着されるように、各フラップ5,6,9,10の閉じ合わせ縁寄りに剥離部20〜25を設けて不正開封防止ケースA1〜A6が構成されるのであってもよい。
【0094】
更に、蓋フラップ5,6側縁或いは底フラップ9,10の側縁に形成される剥離部20〜25の個数についても限定されるものではなく、例えば、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の各側縁における接着テープ30が貼着される範囲内に、複数の剥離部20〜25が形成されるのであってもよい。
【0095】
上述した剥離部20〜25は、蓋フラップ5,6及び底フラップ9,10の表面及び裏面ともに切り目が入れられて形成されるように説明したが、各フラップ5,6,9,10の少なくとも表面側だけに切り目が形成されるものであってもよい。
【0096】
上述の説明中の数値については、いずれも設計事項であり、実施例に限定されるものではない。
【0097】
以上説明した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において具体的構成などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0098】
1〜4…側板部
5,6…蓋フラップ
7,8…蓋受けフラップ
9,10…底フラップ
11,12…底受けフラップ
20〜25…剥離部
30…接着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四周側板部と、
一方の対向する側板部の上方に延設された一対の蓋フラップと、
他方の対向する側板部の上方に延設された一対の蓋受けフラップと、
一方の対向する側板部の下方に延設された一対の底フラップと、
他方の対向する側板部の下方に延設された一対の底受けフラップと、を備え、
両底受けフラップ上に両底フラップを折り付けて閉じ合わせ、底受けフラップ側の側板部から前記底フラップの閉じ合わせ縁に沿って接着テープで前記底フラップに貼着し、
両蓋受けフラップ上に両蓋フラップを折り付けて閉じ合わせ、蓋受けフラップ側の側板部から前記蓋フラップの閉じ合わせ縁に沿って接着テープで前記蓋フラップに貼着して封緘するようにした不正開封防止ケースであって、
前記蓋フラップに連続して繋がるとともに、前記蓋フラップの少なくとも表面に側縁端に至る切り目が形成されてなる剥離部を前記蓋フラップの側縁に有し、
前記蓋フラップの前記剥離部は、少なくとも一方の蓋フラップの側縁及び他方の蓋フラップの前記側縁と対向する側縁に設けられ、
前記蓋フラップの前記接着テープが貼着される位置に、前記剥離部が形成されることを特徴とする不正開封防止ケース。
【請求項2】
前記底フラップに連続して繋がるとともに、前記底フラップの少なくとも表面に側縁端に至る切り目が形成されてなる剥離部を前記底フラップの側縁に有し、
前記底フラップの前記剥離部は、前記接着テープが貼着される位置に形成され、
前記剥離部は、前記蓋フラップの全ての側縁及び前記底フラップの全ての側縁に設けられることを特徴とする請求項1に記載の不正開封防止ケース。
【請求項3】
前記剥離部は、前記接着テープが貼着される方向に沿って、前記蓋フラップの両側縁間及び前記底フラップの両側縁間にも所定の間隔で複数設けられることを特徴とする請求項2に記載の不正開封防止ケース。
【請求項4】
前記剥離部は、複数の前記切り目を有し、
前記剥離部は、前記接着テープが貼着された場合に、前記接着テープの端部が前記剥離部の前記切り目の間に挟まれるような位置に設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の不正開封防止ケース。
【請求項5】
前記剥離部は、両蓋フラップ及び両底フラップを閉じ合わせた際の裏面から前記切り目が形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の不正開封防止ケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112393(P2013−112393A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261876(P2011−261876)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(511290880)三洋エナジー東浦株式会社 (1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000106715)ザ・パック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】