不活性化細菌細胞製剤
本発明は、免疫系をブーストするための乳酸産生細菌の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年4月29日に出願された米国特許出願第61/214,876号および2009年12月10日に出願された米国特許出願第61/285,255号の優先権を主張し、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、免疫系をブーストするための生存可能なおよび生存不能な細菌の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
胃腸の微生物叢は、胃腸管の機能および全身の生理学的健康の維持に極めて重要な多くの役割を果たしている。胃腸管に存在する多くの個々の細菌種の増殖および代謝は、それらに利用可能な基質に主として依存し、これらの大部分は食物に由来する。例えば、Gibson G.R. et al., 1995 Gastroenterology 106: 975-982(非特許文献1);Christl, S.U. et al., 1992 Gut 33: 1234-1238(非特許文献2)を参照のこと。これらの知見は、生きている微生物の栄養補助食品であるプロバイオティクスを主に用いて、食物によって、細菌集団の代謝活性および組成を変えようとする試みをもたらした。
【0004】
プロバイオティック生物は、非病原性・非毒素産生性であり、保存の間生存能力を保持し、典型的に胃および小腸の通過を生き延びる。プロバイオティクスは一般的に永久には宿主にコロニー形成しないため、それらは、健康促進特性が持続するためには定期的に摂取される必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Gibson G.R. et al., 1995 Gastroenterology 106: 975-982
【非特許文献2】Christl, S.U. et al., 1992 Gut 33: 1234-1238
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は、免疫系をブーストするための乳酸産生細菌またはその生存不能な断片もしくは産物の使用を記載する。具体的には、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バシラス・コアギュランスの精製細胞壁成分またはバシラス・コアギュランスの培養上清の投与は、病原体と戦う免疫系の能力を増加させる。細胞壁成分および/または培養上清は、条件が長期間の栄養細胞生存能力にとって最適ではない製品、例えば、貯蔵に安定な飲料または食物組成物において有用である。あるいは、不活性化/死滅バシラス・コアギュランス、例えば、熱殺滅バシラス・コアギュランスが、免疫系をブーストするために投与される。方法は、免疫系をブーストするための精製された生存可能なバシラス・コアギュランス栄養細胞および/または芽胞の投与を任意で含む。
【0007】
従って、微生物病原体に対する免疫応答を増強またはブーストする方法は、微生物病原体に感染した被験体を同定する工程、および生存可能なバシラス・コアギュランス細菌、該細菌の生存不能な断片、または該細菌の生存不能な細胞外産物を含む組成物を、該被験体へ投与する工程によって行われる。細菌、断片、または産物は、被験体に感染する病原体に対する被験体の免疫応答を増強する量で投与される。好ましくは、細菌、断片、または産物は、他の細菌または細菌の他の成分(断片、例えば細胞壁断片、または分泌産物の場合)から精製または分画される。
【0008】
精製されたおよび/または単離されたバシラス・コアギュランスは、本明細書に記載の方法および組成物におけるプロバイオティクスとして特に有用である。「精製された」または「実質的に精製された」によって、汚染微生物または他の高分子、例えば、多糖類、核酸もしくはタンパク質を実質的に含まない、バシラス・コアギュランス細菌、該細菌の生存不能な断片、または該細菌の生存不能な細胞外産物が意味される。精製調製物は、所望の組成物を少なくとも75%、85%、95%または100%含有し、細胞質小器官などの他の細胞内成分を実質的に含まない。例えば、細菌細胞壁フラクションは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%細胞壁断片である。このような調製物は、細胞質細胞内小器官および分泌細菌産物を持続可能に含まない。
【0009】
一局面において、微生物病原体は、細菌またはウイルス、例えば、呼吸器感染症を引き起こす病原体である。例えば、病原体は、インフルエンザウイルス、例えば、ヒト、トリまたはブタインフルエンザウイルス、またはそれらの組み合わせを含む。他のウイルス病原体としては、アデノウイルスが挙げられる。
【0010】
本発明の組成物は、免疫増強量の生存可能なバシラス・コアギュランス細菌、バシラス・コアギュランス細菌の生存不能な断片、またはバシラス・コアギュランス細菌の生存不能な細胞外産物(例えば、バシラス・コアギュランス細菌の上清)を含む。免疫応答の増強は、サイトカイン(例えば、インターロイキン-2(IL-2)、IL-4、IL-6、IL-10、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、およびインターフェロン-γ(IFN-γ)産生の増加、または感染部位への免疫細胞遊走の増加を含む。免疫増強はまた、サイトカイン産生の増加、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面の活性化、免疫細胞走化性の増加、NK細胞の活性化、および/または単球貪食の増加による、免疫系のブーストを含む。具体的には、本発明の組成物は、PMNの走化性能力および貪食能力を増加させる。本発明の組成物はまた、NK細胞上でのCD69の発現を増加させる。
【0011】
一局面において、バシラス・コアギュランス、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分の免疫増強量は、約0.1 mg〜約10 g、例えば、約1 mg〜約10 g、約10 mg〜約5 g;約100 mg〜約1 g;または約200 mg〜約1 gである。
【0012】
ヒト摂取に適した形態の組成物、例えば、バシラス・コアギュランス細菌の精製細胞壁を含む組成物、またはバシラス・コアギュランスの乾燥または凍結乾燥された分泌産物または分泌産物の混合物を含む組成物もまた、本発明の範囲内にある。例示的な製剤としては、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤が挙げられる。
【0013】
本明細書に記載の組成物および方法についての例示的な細菌種としては、バシラス・コアギュランス、例えば、バシラス・コアギュランスhammer、好ましくは、バシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284、またはバシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284に由来する1つまたは複数の株(例えば、ATCC番号:GBI-20(GB-20)、ATCC指定番号PTA-6085;GBI-30(GB-30/Ganeden BC30(商標)/BC30)、ATCC指定番号PTA-6086;およびGBI-40(GB-40)、ATCC指定番号PTA-6087;Farmerの米国特許第6,849,256号を参照のこと)が挙げられる。好ましくは、バシラス・コアギュランスは、GBI-30(BC30)、または参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/706,642号に記載の生物の任意の株を含む。
【0014】
本発明のバシラス・コアギュランスHammer株は、非病原性であり、米国食品医薬品局(Federal Drug Administration)(FDA)および米国農務省(USDA)によって、ならびに当業者によって、ヒトの栄養補給における使用について安全と一般的にみなされている(即ち、GRAS分類)。さらに、本発明のバシラス・コアギュランスHammer株は、ヒトの体温でまたはそれ未満で発芽し、そのためプロバイオティクスとして有用である。Hammer群を除く多くのバシラス・コアギュランス株は、大抵は産業上の適用を有し、栄養上の利点をほとんど有さないかまたは有さず、安全性について評価されていない環境汚染物を有する。さらに、バシラス・コアギュランスの多くの他の非Hammer株は、最適にはヒトの体温を超える温度で増殖し、従って、人体において効率的に発芽しない。このような株は、ヒト消費についてのプロバイオティクスとしてあまり適していないかまたは適していない。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、その好ましい態様の下記の説明、および特許請求の範囲から明らかとなる。特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、好適な方法および材料を以下に説明する。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、Genbank/NCBIアクセッション番号、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および例は、例示的に過ぎず、限定的であるようには意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ベースライン結果と比較しての、バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへの多形核白血球(PMN)曝露後の自発的な活性酸素種(ROS)形成のパーセント阻害を示す折線グラフである。
【図2】ベースライン結果と比較してのH2O2誘導ROS形成のパーセント阻害を示す折線グラフである。
【図3】どのようにPMN遊走が血流中において開始しトランスウェル遊走プレートを介して組織中へ移動するかの略図である。
【図4】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMNの遊走パターンを表すランダム遊走を示す折線グラフである。
【図5】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMSの遊走パターンを表す細菌ペプチド ホルミル-Met-Leu-Phe(f-MLP)指向性遊走を示す折線グラフである。
【図6A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMNの遊走パターンを表すインターロイキン-8(IL-8)指向性遊走を示す折線グラフである。
【図6B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)処理PMN細胞のIL-8指向性遊走を示す折線グラフである。
【図7A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMNの遊走パターンを表すロイコトリエンB4(LTB4)指向性遊走を示す折線グラフである。
【図7B】LTB4指向性遊走を示す一連の棒グラフである。
【図7C】LTB4指向性遊走を示す一連の棒グラフである。
【図8】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的ランダム遊走を示す棒グラフである。
【図9】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的f-MLP指向性遊走を示す棒グラフである。
【図10】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的IL-8指向性遊走を示す棒グラフである。
【図11】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的LTB4指向性遊走を示す棒グラフである。
【図12】どれぐらいよく単球が緑色カルボキシレートフルオルスフェアを取り込み得るかによって測定される単球貪食を示す棒グラフである。
【図13】どれぐらいよく単球が緑色カルボキシレートフルオルスフェアを取り込み得るかによって測定されるPMN貪食を示す棒グラフである。
【図14】ナチュラルキラー(NK)細胞の表面抗原分類69(CD69)発現を示す折線グラフである(CD69の平均蛍光強度(MFI)を測定することによって行った分析)。
【図15】NKT細胞のCD25発現を示す折線グラフである(CD25のMFIを測定することによって行った分析)。
【図16】NK細胞上でのCD107a発現を示す折線グラフである(CD107aのMFIを測定することによって行った分析)。
【図17】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され次いでマイトジェンフィトヘマグルチニン(PHA)へ曝露されたリンパ球の結果を示す折線グラフである。
【図18】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され次いでポークウィードマイトジェン(PWM)へ曝露されたリンパ球の結果を示す折線グラフである。
【図19A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図19B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図20A】バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図20B】バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図21】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-2の相対レベルを示す。未処理(UT)。
【図22】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-4の相対レベルを示す。
【図23】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-6の相対レベルを示す。
【図24】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-10の相対レベルを示す。
【図25A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインTNF-αの相対レベルを示す。
【図25B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインTNF-αの相対レベルを示す。
【図26A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIFN-γの相対レベルを示す。
【図26B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIFN-γの相対レベルを示す。
【図27】どのように天然産物が細胞中へ入るかの、赤血球中における細胞ベースの抗酸化保護(cell-based antioxidant protection in erythrocytes)(CAP-e)表示の略図である。色素は、酸化ストレスを示す蛍光を表すために使用される。
【図28】新鮮な細胞および古い細胞に対して並行して試験されたバシラス・コアギュランス上清についてのCAPe結果を示す折線グラフである。
【図29】新鮮な細胞および古い細胞に対して並行して試験されたバシラス・コアギュランス細胞壁についてのCAPe結果を示す折線グラフである。
【図30】図30Aは、貪食に従事した未処理PMN細胞を示す顕微鏡写真である。緑色ビーズは、細菌粒子を模倣するカルボキシル化フルオロスフェアである。図30Bは、バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)で処理されたPMN細胞を示す顕微鏡写真である。
【図31】典型的なタンパク質ゲル電気泳動法の図示である。
【図32】バシラス・コアギュランス上清および細胞壁フラクションを用いてのゲル電気泳動実験の結果を示す写真である。
【図33】どのようにPMN遊走が血流中において開始しトランスウェル遊走プレートを介して組織中へ移動するかの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本発明は、非病原性乳酸産生細菌(即ち、「乳酸菌」)、例えば、バシラス・コアギュランスが、免疫系のブースト、即ち、免疫細胞の活性化レベルの増加において有用であるという発見に関する。バシラス・コアギュランス栄養細胞および/または芽胞が使用されるか、または不活性化/死滅バシラス・コアギュランス、例えば、熱殺滅バシラス・コアギュランスが使用される。例えば、バシラス・コアギュランスの細胞壁成分または培養上清の投与は、サイトカイン産生の増加、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面の活性化、免疫細胞走化性の増加、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、および単球貪食の増加によって、免疫系をブーストする。
【0018】
プロバイオティック乳酸産生細菌
記載の方法および組成物における使用に好適なプロバイオティック乳酸産生細菌は、酸を産生し、非病原性である。細菌種としては、バシラス・コアギュランス、例えば、バシラス・コアギュランスhammer、好ましくは、バシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284、またはバシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284に由来する1つまたは複数の株(例えば、ATCC番号:GBI-20、ATCC指定番号PTA-6085;GBI-30またはBC30、ATCC指定番号PTA-6086;およびGBI-40、ATCC指定番号PTA-6087;Farmerの米国特許第6,849,256号を参照のこと)が挙げられる。
【0019】
生存可能なバシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分が、本発明において有用である。精製されたおよび/または単離されたバシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分が、本明細書に記載の組成物におけるプロバイオティクスとして特に有用である。「精製された」または「実質的に精製された」によって、汚染微生物または他の高分子、例えば、多糖類、核酸もしくはタンパク質を実質的に含まない、バシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(cell well component)が意味される。精製調製物は、所望の組成物を少なくとも75%、85%、95%または約100%含有し、細胞質小器官などの他の細胞内成分を実質的に含まない。例えば、細菌細胞壁フラクションは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または約100%細胞壁成分である。このような調製物は、細胞質細胞内小器官および分泌細菌産物を持続可能に含まない。
【0020】
組成物は、バシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分を、粉末、乾燥細胞集団、安定化されたペースト、または安定化されたゲルの形態で含む。バシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、免疫系をブーストするために本明細書に記載の方法において使用される。任意で、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、乾燥され、使用前に水または他の水溶液中において再構成される。
【0021】
バシラス芽胞は耐熱性かつ耐圧性であり、乾燥粉末として保存され得るため、それらは、本明細書に記載の種々の組成物のような製品への製剤化および製造に特に有用である。バシラス種、特に、熱および他の条件に比較的耐性である芽胞を形成する能力を有しそのため製剤での保存(貯蔵期間)に理想的である種は、本発明によく適している。
【0022】
任意で、組成物は、バシラス・コアギュランス栄養細胞および/または芽胞を含む。細胞/芽胞は、免疫ブースト組成物における使用に適した種々の組成物に製剤化される。一局面において、細菌は、芽胞および栄養細胞の混合物として存在する。別の局面において、細菌は、少なくとも90%芽胞、例えば、95%、98%、または99%芽胞として存在する。任意で、本発明の組成物への添加の前に、バシラス・コアギュランス細胞は、芽胞形成を誘導するために、食物源の非存在下でまたは制限量の食物源と共に液体中において培養される。別の局面において、本発明の組成物への添加の前に、ヒートガン噴霧乾燥は、約50%、約75%、約90%、約95%、または約99%の栄養細胞を殺滅する。一局面において、組成物中の細菌の少なくとも約5%〜25%は、生存可能であり、例えば、細菌の少なくとも約25%〜50%;少なくとも約50%〜75%;または少なくとも約75%〜99%は、生存可能である。別の局面において、組成物は、少なくとも約1 x 106〜1 x 107;少なくとも約1 x 107〜1 x 108;または少なくとも約1 x 108〜1 x 109個の生存可能な細菌を含む。
【0023】
本発明はまた、免疫系をブーストするための本明細書に記載の方法における使用のためのバシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清を提供する。一局面において、噴霧乾燥粉末の形態の、バシラス・コアギュランス細菌、細胞壁成分、または培養上清が、本明細書に記載の組成物中にまたは組成物の表面上に含まれる。一局面において、単離されたバシラス・コアギュランスは、芽胞の形態である。単離されたバシラス・コアギュランスは、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%純粋な芽胞である。あるいは、単離されたバシラス・コアギュランスは、栄養細胞の形態である。一局面において、単離されたバシラス・コアギュランスは、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%純粋な栄養細胞である。別の局面において、単離されたバシラス・コアギュランスは、栄養細胞および芽胞の混合物の形態である。バシラス・コアギュランス混合物は、90%芽胞、10%栄養細胞;75%芽胞、25%栄養細胞;60%芽胞、40%栄養細胞;50%芽胞、50%栄養細胞;60%栄養細胞、40%芽胞;75%栄養細胞、25%芽胞;または90%栄養細胞、10%芽胞である。
【0024】
バシラス属および/またはバシラス・コアギュランス単離活性薬剤、例えば、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、例えば、粉末の適用、組成物上へのプロバイオティクスの噴霧乾燥、またはプロバイオティクスを含有する溶液中への組成物の浸漬を含む、任意の種々の公知の方法を使用して適用される。任意で、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、乾燥され、使用前に水中において再構成される。別の局面において、噴霧乾燥粉末の形態のバシラス・コアギュランス細菌が、直接投与される。任意で、組成物は、噴霧乾燥粉末の形態で約5 x 107 CFUバシラス・コアギュランス細菌(組成物1グラム当たり)を含む。
【0025】
組成物中へ細菌組成物を置くための任意の種々の方法が使用され得る。しかし、好ましい方法としては、「噴霧乾燥」法が挙げられ、ここで、組成物は、液体組成物を含有する噴霧化ミックスへ低湿度チャンバ中において曝露され、ここで、チャンバは、その後、液体を乾燥するためにおよそ80〜110 oFへ曝露され、それによって組成物の材料に成分を含浸させる。
【0026】
典型的な濃度は、およそ1 x 107〜1 x 1012 CFU;1 x 108〜1 x 1011 CFU;または1 x 109〜1 x 1010 CFUの生存可能な細菌または芽胞/組成物1gである。乾燥後、組成物は、即時の使用または無菌包装中での保存の準備ができている。
【0027】
有効成分(即ち、生きている細菌、細胞外成分、または細胞壁成分)は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%;0.01重量%〜約1重量%;または約0.05重量%〜約0.1重量%を構成する。任意で、単離されたバシラス・コアギュランスは、組成物の重量で約1 mg〜約10 g;約10 mg〜約1 g;または約25 mg〜約75 mgを構成する。最も好ましくは、バシラス・コアギュランス細菌の量は、組成物1グラム当たり約5 x 107コロニー形成単位(CFU)の細菌である。
【0028】
一局面において、細菌の量は、プロバイオティック組成物1グラム当たり約104〜1014コロニー形成単位(CFU)の細菌(即ち、栄養細胞および/または細菌芽胞)、好ましくは105〜1013 CFU/組成物1gである。あるいは、濃度は、108〜1013 CFU/g;109〜1012 CFU/g;または1010〜1011 CFU/組成物1gである。一局面において、細菌の量は、組成物1グラム当たり約1 x 106 CFUである。組成物中の実際の量は、組成物中へ分散される組成物の量および分散経路に応じて変化する。
【0029】
一局面において、本発明は、消費の前に室温において無菌包装中に組成物を保存することを提供する。あるいは、組成物は直ちに使用される。別の局面において、組成物は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%単離されたバシラス・コアギュランス芽胞を含む。
【0030】
限定ではなく、例として、バシラス・コアギュランス混合物の温度が芽胞の発芽に必要な要求熱ショック温度(即ち、5分間80℃)へ上げられる限り、バシラス・コアギュランス芽胞は、熱水に溶解されるかまたは熱水と混合される任意のタイプの乾燥または凍結乾燥プロダクト中へ組み入れられ得る。バシラス・コアギュランス芽胞は、製造業者によって乾燥または凍結乾燥プロダクト中へ組み入れられ得る。
【0031】
一局面において、バシラス・コアギュランス芽胞は、約12日〜約2年;約1ヶ月〜約18ヶ月;約3ヶ月〜約1年;または約6ヶ月〜約9ヶ月、保存(貯蔵期間)を生き延びる、即ち、生存能力または生理学的条件(例えば、摂取)で発芽する能力を保持する。
【0032】
抗微生物剤
任意で、本発明の組成物はまた、公知の抗微生物剤、公知の抗ウイルス剤、公知の抗真菌剤を含む。組成物中の他の薬剤は、相乗剤または活性薬剤のいずれかであり得る。好ましくは、公知の抗微生物剤、抗ウイルス剤および/または抗真菌剤は、バシラス・コアギュランスと適合性のプロバイオティック薬剤である。組成物はまた、公知の抗酸化剤、緩衝剤、および他の薬剤、例えば、着色剤、フレーバリング、ビタミンまたはミネラルを含み得る。ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはカルボキシメチルセルロースなどの増粘剤が、組成物へ添加され得る。
【0033】
一局面において、活性薬剤は、それが投与されるヒトまたは動物の皮膚または上皮組織と生理学的に適合性である担体と混合される。即ち、担体は、有効成分の懸濁液の作製において使用される界面活性剤特性を除いては、好ましくは実質的に不活性である。組成物は、組成物中の活性薬剤の効能を妨げない他の生理学的に活性な成分を含み得る。
【0034】
本発明の製剤化組成物は、任意の種々の担体および/または結合剤を使用して重量の点で完成され得る。一局面において、担体は、錠剤、顆粒剤または粉末形態(powdered form)の製剤については固体ベースの乾燥物質であり、液体またはゲル形態の製剤については液体またはゲルベースの物質であり得る。乾燥製剤についての典型的な担体としては、トレハロース、マルトデキストリン、米粉、微結晶性セルロース(MCC) ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、FOS、グルコオリゴ糖(GOS)、デキストロース、スクロースなどの担体が挙げられる。他の例示的な組成物製剤としては、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤が挙げられる。
【0035】
本組成物において使用される化学物質は、Spectrum Quality Products, Inc (Gardena, CA)、Seltzer Chemicals, Inc., (Carlsbad, CA)、およびJarchem Industries, Inc., (Newark, NJ)を含む、種々の商業的供給源から得ることができる。
【0036】
下記に詳述されるように、本発明のバシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分は、免疫応答の増強において有用である。免疫応答の増強は、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、またはIFN-γ)産生の増加、または感染部位への免疫細胞遊走の増加を含む。免疫増強はまた、サイトカイン産生の増加、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面の活性化、免疫細胞走化性の増加、NK細胞の活性化、および/または単球貪食の増加による、免疫系のブーストを含む。
【実施例】
【0037】
実施例1.バシラス・コアギュランス培養物の調製
30℃で標準のエアリフト発酵槽を使用して、pH 7.0へ調節された、5 gペプトン、3 g肉エキス、10〜30 mg MnSO4、および1000 ml蒸留水を含有するニュートリエントブロス中において、バシラス・コアギュランスHammer細菌(ATCCアクセッション番号31284)を接種し、約108〜109細胞/mlの細胞密度まで増殖させた。芽胞形成について許容可能なMnSO4の範囲は、1 mg/L〜1 g/Lである。栄養細胞は45℃まで活発に繁殖することができ、芽胞は90℃まで安定である。発酵後、B.コアギュランス細菌細胞または芽胞を、標準方法(例えば、濾過、遠心分離)を使用して集め、集めた細胞および芽胞を、凍結乾燥、噴霧乾燥、空気乾燥または凍結することができる。本明細書に記載されるように、細胞培養物由来の上清を集め、B.コアギュランスによって分泌される細胞外薬剤の供給源として使用する。
【0038】
上記培養物からの典型的な収量は、乾燥前の1グラム当たり、約109〜1010個の生存可能な芽胞、より典型的には約1000〜1500億個の細胞/芽胞の範囲内にある。芽胞は、乾燥後に室温で10年間まで保存された場合、少なくとも90%生存能力を維持し、従って、室温でのB.コアギュランスHammer芽胞を含有する組成物の有効な貯蔵期間は、約10年である。
【0039】
実施例2.バシラス・コアギュランス芽胞の調製
乾燥B.コアギュランス芽胞の培養物を以下のように調製した。1000万個の芽胞を、24 gポテトデキストロースブロス、10 gの鳥および魚組織の酵素消化物、5 gのFOSおよび10 g MnSO4を含有する1リットル培養物中へ接種した。培養物を72時間高酸素環境下で37℃に維持し、培養物1グラム当たり約1500億個の細胞を有する培養物が産生された。その後、培養物を濾過し、培養培地液体を除去し、細菌ペレットを水中に再懸濁し、凍結乾燥した。次いで、凍結乾燥粉末を、標準優良医薬品製造基準(GMP)を使用して、微粉末へすりつぶした。
【0040】
実施例3.インビトロでのBC30の免疫調節および抗炎症効果
バシラス・コアギュランス(BC)は、耐熱性・耐酸性の芽胞を形成するグラム陽性桿菌である。芽胞または皮膜に包まれた芽胞の経口消費は、BC培養物での腸の一過性コロニー形成を可能にする。芽胞が発芽し、細菌培養物が増殖し、腸管腔中の食物を発酵させる。
【0041】
a)精製されたバシラス・コアギュランス培養上清(BC1)またはb)精製されたバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)へ曝露されると、ヒト免疫細胞の培養物中において免疫活性化が誘導された。これらの2つのフラクションを利用し、例えば、腸管腔内にある粘膜固有層またはパイエル板などの、インビボでの免疫細胞とバシラス・コアギュランスとの相互作用をキャラクタライズした。バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)を、インビトロで一団の細胞ベースアッセイを使用して並行して試験した。
【0042】
バシラス・コアギュランスは、腸において免疫細胞にプラスに影響することがわかった:1)分泌細菌因子は、免疫細胞機能に影響を与える/免疫細胞機能を調節することがわかった;および2)細菌細胞壁成分とToll様および/または他の免疫細胞表面受容体との相互作用は、免疫細胞機能の調節をもたらした。BC細胞壁は、免疫系を活性化するかまたはブーストするように免疫細胞と相互作用する特有の成分を含有する。BCはまた、BCが小腸環境において増殖する際に産生される代謝産物および/または他の因子を分泌する。このような代謝産物/因子としては、抗酸化性および抗炎症性化合物を含むが、これらに限定されない。
【0043】
細菌細胞分画
バシラス・コアギュランス芽胞のサンプルを、50℃で熱活性化し、液体培地に接種した。サンプルを37℃で24時間インキュベートした。この時間は、死滅および細菌分解が顕著でない対数期細菌培養物の形成を可能にする。インキュベーション後、2つのフラクション(バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2))を調製した。全培養物を50 mLバイアル中へデカンテーションし続いて2400 rpmで遠心分離することによって、最初の分離を行った。これによって、ペレットを形成する細菌が得られた。上清を新しいバイアル中へ徐々にデカンテーションした。このバイアルから、より少量の1 mLサンプルをEppendorfバイアル中へ等分し、高速遠心分離へ供し、続いて0.2 umフィルターを用いての2回の連続濾過を行い、インタクトな細菌およびそのフラクションを除去した。無菌の濾過された上清を等分し、多数のアリコートを凍結し-20℃で保存した。後の生物学的アッセイのために、1つのアリコートを各試験日に解凍した。
【0044】
最初の遠心分離からの最初のペレットを使用し、細胞壁フラクションを調製した。湿ったペレットを数回凍結および解凍し、細菌壁を壊して開け、その結果、細胞内化合物を洗浄によって除去することができた。解凍したスラッシュをEppendorfバイアルへ移し、高速遠心分離を使用して生理食塩水中において2回洗浄した。次いで、ペレットをガラスバイアルへ移し、200マイクロメートルの直径を有する低タンパク質結合性ジルコニウムビーズを使用するビーズミリングへ供した。Vortexミキサーを使用して「パルシング」を繰り返すことによって、ミリングを行った。この方法は、細胞壁を壊すために有効である。ビーズを除去し、破壊された細胞壁断片を含有するスラッシュを、多数のアリコートへ滅菌濾過し、これらを直ちに凍結し、-20℃で保存した。後のアッセイのために、1つのアリコートを各試験日に解凍した。
【0045】
末梢血単核細胞および多形核細胞の精製
20歳〜50歳の健康な人間のボランティアが、Sky Lakes Medical Center Institutional Review Board (FWA 2603)によって承認されたように、インフォームド・コンセントを得て、献血者として役立った。ナトリウムヘパリン中の新たに採血された末梢静脈血サンプルを、Histopaque 1119および1077の二重勾配上へ重ね、2400毎分回転数(rpm)で25分間遠心分離した。上部の末梢血単核細胞(PBMC)リッチな界面および下部の多形核(PMN)界面を、新しいバイアル中へ滅菌トランスファーピペットを使用して採取し、2400 rpmでの10分間の遠心分離によってカルシウムまたはマグネシウムを含まないリン酸緩衝食塩水(PBS)10 mLで2回洗浄した。
【0046】
貪食アッセイ
貪食活性の評価を、ヒトPMN細胞を使用して行った。貪食についての粒子の選択は、カルボキシル化フルオロスフェア(Fluorosphere)(Molecular Probes, Eugene OR)であった。0.05 mLフルオロビーズ(Fluorobead)のアリコートをストックボトルから1.5 mLマイクロ遠心チューブ中へ取り出し、PBS中で2回洗浄した。次いで、フルオロビーズを7.5 mL RPMI 1640中に再懸濁した。PMN細胞を、2 x 106細胞/mLの濃度で、RPMI-1640中の96-ウェルプレート中へ平板培養した。BC1またはBC2の10倍連続希釈物10マイクロリットルを、テストウェルへ四つ組で添加し、PBSをコントロールウェルへ四つ組で添加した。プレートを直ちに遠心分離し、上清を除去した。細胞を、フルオロビーズを含有するRPMI-1640中に再懸濁し、次いで連続的なピペット操作でフルオロスフェアと共に2分インキュベートした。0.02%アジ化ナトリウムを含むPBSを添加することによって、貪食活性を停止させた。細胞をアジ化ナトリウムを含むPBS中で2回洗浄し、細胞によって取り込まれなかったビーズを除去した。アジ化ナトリウムの継続的な存在を確実にしながら、サンプルをフローサイトメトリーのためのバイアル中へ移した。サンプルを直ちにフローサイトメトリー(FacsCalibur, Becton-Dickinson San Jose, CA)によって得た。FlowJoソフトウェア(TreeStar Inc., Ashland OR)を使用して、分析を行った。分析の間、PMN集団についてのエレクトロニックゲーティングを、前方および側方散乱特性を使用して行った。各サンプル中のPMN集団内の貪食の相対量を、緑色蛍光についての平均蛍光強度(MFI)によって評価した。未処理サンプルについてのMFI(緑色)は、BC1およびBC2の非存在下での貪食の相対量を示した。BC1およびBC2処理サンプルについてのMFI(緑色)を、未処理サンプルと比較した。
【0047】
PMN細胞による活性酸素種(ROS)産生
PMN細胞のパラレルなサンプルを、様々な10倍連続希釈(1:10、1:100、1:1000)にわたってテストプロダクトと共にまたは未処理のいずれかで、37℃、5%CO2で20分間インキュベートした。フリーラジカルへ曝露されると鮮やかな緑色蛍光性となる、前駆体色素ジクロロフルオレシンジアセタート(DCF-DA)を、DCF-DAの0.05 mgアリコートへ0.18 mLのDMSOを添加することによって調製した。次いで、0.01 mLストックを10 mL PBSへ添加することによって、DCF-DAのワーキング溶液を調製した。PMN細胞をPBS中で3回洗浄し、次いで、DCF-DAワーキング溶液中に再懸濁し、37℃で1時間インキュベートした。未処理コントロールサンプルを除いて、全てのサンプルを、次いで、167 mM H2O2へ45分間曝露し、ROS産生を誘導した。サンプルをPBS中で2回洗浄し、過酸化物を除去し、フローサイトメトリー用のバイアルへ移した。未処理細胞対H2O2負荷細胞のDCF-DA蛍光強度を、フローサイトメトリーによって分析した。コントロールについては四つ組で、BC1およびBC2の各々の用量については二つ組で、データを集めた。PMN細胞中におけるROS形成の相対量を、緑色蛍光強度によって評価した。
【0048】
PMN細胞ランダム遊走ならびに3つの化学誘引物質:f-MLP、IL-8およびロイコトリエンB4への走化性遊走
PMN細胞は、非常に活動的な遊走性の細胞型である(図3)。細菌ペプチド ホルミル-Met-Leu-Phe(f-MLP)ならびに2つの異なる炎症性化学誘引物質IL-8およびロイコトリエンB4(LTB4)へのPMN細胞遊走に対する示差効果を試験した。データ有意性を得るために、以下の実験モデルを四つ組で行った。平板培養を開始する前に、ポリスチレン丸底チューブ中において10分間、GBI-30(GanedenBC30(商標))上清または細胞壁フラクションの10倍連続希釈物と共に、細胞をインキュベートした。この時間の間、Milliporeトランスウェル(3.0μm細孔サイズ)遊走プレートに50μg/mLフィブロネクチンを30分間コーティングした。次いで、化学誘引物質およびRPMI 1640を、トランスウェル遊走プレートの適切な底部チャンバウェルへ150μLの体積で添加した:f-MLP(10 nM)、インターロイキン-8(10μg/mL)、およびロイコトリエンB4(10 nM)。細胞の平板培養の前に吸引によって上部ウェルからフィブロネクチンを除去した。50マイクロリットルの細胞(1 x 106/mL)を上部チャンバ中に平板培養し、次いで、上部チャンバプレートを下部プレート中へ下げ、37℃で一晩インキュベートした。遊走した細胞の相対量の定量化を、底部チャンバに蓄積した細胞の蛍光CyQuant(登録商標)染色によって行った。蛍光強度をTecan Spectrafluor蛍光プレートリーダーにおいて定量化した。
【0049】
K562腫瘍細胞に応答してのNK細胞上でのCD107aの外在化
RPMI 1640中に再懸濁された新たに精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)をこのアッセイのために使用した。細胞を2 x 105/ウェルで丸底96-ウェルマイクロアッセイプレート中に平板培養し、三つ組でテストプロダクトの連続希釈物で処理した。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにした。さらに、PBMCのみおよびK562細胞のみを含有する3つのウェルは、ベースラインCD107a発現についてのネガティブコントロールとして役立った。NK細胞の細胞傷害性研究において広く使用されるNK細胞感受性腫瘍細胞株である、1 x 106個のK562細胞を、プロダクト共にPBMCを含有するウェルおよび未処理PBMCを含有するウェルへ添加した。2400 rpmでの短時間の30秒遠心分離によって、2つの細胞型を緩くペレット化し、続いて37℃で45分間インキュベーションした。細胞をプロセッシングおよび染色のためにV底マイクロタイタープレートへ移した。細胞をCD3-PerCP、CD56-PEおよびCD107a-FITCで染色した。NK細胞上でのCD107aの発現をフローサイトメトリーによって測定した。CD3陰性・CD56陽性NK細胞を、前方および側方散乱特性に基づいてK562細胞から、およびCD3-・CD56+細胞に対するエレクトロニックゲーティングによって他のリンパ球から識別し、続いてCD107aについて蛍光強度を評価した。
【0050】
ナチュラルキラー細胞活性化マーカーの誘導および免疫染色
新たに単離されたPBMCを無菌U底96-ウェル培養プレート(NUNC, Denmark)中に平板培養し、テストプロダクトの連続希釈物で処理した。ナチュラルキラー(NK)およびナチュラルキラーT(NKT)細胞の活性化について、インキュベーション時間は18時間であった。細胞をV底96-ウェルプレート(NUNC Denmark)へ移し、IFバッファー(1%ウシ血清アルブミンおよび0.02%アジ化ナトリウムを含有するPBS)中で洗浄した。細胞をIFバッファー0.05 mL中に再懸濁し、モノクローナル抗体を以前確立された最適量で添加し(CD3-PerCP、CD56-PE、CD69-FITC、およびCD25-FITC:8μL/サンプル)、暗所において室温で10分間インキュベートした。細胞を、0.02%アジドを含む追加のPBS 0.15 mLで2回洗浄した。遠心分離および上清の吸引後、細胞を、0.02%アジドを含むPBS 0.05 mL中に再懸濁し、1%ホルマリン0.4 mLを各々含有する5 mLポリスチレン丸底チューブへ移した。サンプルを暗所に保存し、FACSCaliburフローサイトメーター(Becton-Dickinson, San Jose CA)を使用して24時間以内にフローサイトメトリーによって得た。FlowJo(Tree Star Inc., Ashland OR)ソフトウェアを使用して分析を行った。
【0051】
PHAおよびPWMに応答しての増殖およびサイトカイン産生の調節
10%ウシ胎仔血清、L-グルタミン(5 mM)、ペニシリン(100 U/mL)およびストレプトマイシン(100 mg/mL)が補われたRPMI 1640中に再懸濁された新たに精製されたPBMCを、1 x 106/mLの濃度で、180μLの体積で、U底細胞培養プレート中に平板培養した。次に、BC1およびBC2の10倍連続希釈物20μLを三つ組で個々のウェルへ添加した。ウェルの並列セットにおいて、BC1およびBC2と公知のマイトジェンとの組み合わせ効果を試験した。マイトジェンを、PWM(200μg/mL)5μLおよびPHA(2μg/mL)4μLの濃度で添加し、増殖を開始させた。プレートをパラフィルムで密封し、37℃、5%CO2で5日間インキュベートした。5日後、細胞を平底ブラック96-ウェルプレートへ移し、各培養ウェル中の相対細胞数をCyQuant(登録商標)染色およびTecan Spectrafluor蛍光プレートリーダーによって定量化した。
【0052】
サイトカインビーズアレイ
第5日リンパ球増殖培養物からの上清を採取し、6つのサイトカイン:IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、およびIFN-γの相対レベルを、フローサイトメトリーベースのビーズアレイキット(CBAヒトTh1/Th2サイトカインキットII、BD Biosciences, San Jose, CA)を使用して測定した。サンプルを製造業者の説明書に従って二つ組で試験し、FacsCaliburフローサイトメーター(Becton-Dickinson San Jose, CA)を使用して、フローサイトメトリーによってデータを直ちに得た。FlowJoソフトウェア(TreeStar Inc., Ashland, OR)を使用して分析を行った。
【0053】
統計分析
統計分析は、2つの平均値間の単純な比較を含み、Microsoft Excelを使用して行った。スチューデントのt検定を使用して統計的有意性を試験し、0.05未満のp値は、2つのデータセット間の統計的有意差を示した。
【0054】
抗細菌防御機構
下記に詳述するように、バシラス・コアギュランス上清は、PMN(多形核−白血球(WBC))細胞および単球の両方において、試験した最も高い用量で貪食を誘導した(図34〜35)。バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は両方とも、ランダムPMN細胞遊走、即ち、侵入細菌についてのそれらの清掃活性(通常の免疫監視の一部)を誘導した。両方のフラクション、しかし特に上清が、細菌ペプチドf-MLPへのPMN細胞遊走を誘導し、このことは、バシラス・コアギュランスGanedenBC30(商標)は、細菌侵入が模倣される場合、PMN「攻撃」を増強することを示している。バシラス・コアギュランスGanedenBC30(商標)フラクションをf-MLPと共に混合した場合、即ち、バシラス・コアギュランスGanedenBC30(商標)が腸管腔中において潜在的に病原性の細菌と共存するインビボ状況をシミュレートした場合、両方のフラクション、しかし特に上清はまた、PMN遊走を増強した。
【0055】
抗ウイルスおよび抗癌防御機構
NK細胞は、癌細胞およびウイルスに対する防御において重要である。バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は両方とも、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化した。その後NK細胞を腫瘍細胞と接触させると、フラクションは両方ともNK細胞からのキラー物質の攻撃的な分泌を増強した。
【0056】
抗炎症効果
バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は、抗炎症効果を有する。バシラス・コアギュランスGBI-30(GanedenBC30(商標))フラクションを、非常に低い用量でPMN細胞へ導入した。次いで、PMN細胞は、炎症メディエーターである、ロイコトリエンB4へ遊走するように指示を与えられた。このアッセイは、炎症カスケードの維持におけるPMN細胞の役割を模倣する。Ganeden BC30(商標)は、PMN細胞が通常の免疫監視に従事するかまたは炎症反応に従事するかに応じて、炎症性PMN細胞の遊走を支援または阻害する。
【0057】
実施例4.貪食細胞の活性化に対するバシラス・コアギュランスの効果
実施例4に記載される図の各々について、X軸上の希釈は、各バシラス・コアギュランス(BC)フラクションの試験した希釈を指す。例えば、1:100希釈は、最初の凍結ストック溶液の100倍希釈である。
【0058】
活性酸素種(ROS)産生
多くの天然産物は、炎症細胞中の活性酸素種(ROS)形成を減少させる。しかし、他の産物は、抗微生物防御機構の誘導を示す、ROS形成を増加させる。ヒト多形核細胞(PMN)をROS産生の試験のために使用した。この細胞型は、ヒトにおいて白血球のおよそ70%を構成する。PMNは、ある炎症刺激で大量のROSを産生する。
【0059】
新たに精製されたPMNを、2つのテストプロダクト、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)の連続希釈へ並行して曝露した。テストプロダクトと一緒のインキュベーションの間、細胞膜を通過することができる抗酸化化合物が、PMN細胞の内部に入り得る。細胞を洗浄し、活性酸素種への曝露で蛍光を発するDCF-DA色素を加えた。H2O2の添加によって酸化を誘発した。PMN細胞の蛍光強度をフローサイトメトリーによって評価した。未処理コントロール細胞の低い蛍光強度は、ベースラインとして役立ち、一方、H2O2のみで処理したPMN細胞は、ポジティブコントロールとして役立った。
【0060】
バシラス・コアギュランスへ曝露され、その後H2O2へ曝露されたPMN細胞の蛍光強度がH2O2のみへの曝露と比較して減少する場合、テストプロダクトは抗炎症効果を有する。対照的に、テストプロダクトへ曝露されたPMN細胞の蛍光強度がH2O2のみへの曝露と比較して増加する場合、テストプロダクトは炎症促進効果を有する。
【0061】
図1に示されるように、PMN細胞は、抗炎症機構および炎症促進機構の両方によってシグナル伝達をすることができ、これは、活性酸素種(ROS)の産生の増強または減少のいずれかをもたらし得る。BC1およびBC2は両方とも、PMN細胞中における活性酸素種の自発的な形成の明らかな阻害を示した。BC2の効果はROS形成の用量依存的阻害を示し、一方、BC1の効果は、試験した最も低い用量でより強い抗炎症効果を示した。BC1およびBC2は、1:1000の最も高い希釈で、ベースラインROS形成のおよそ25%阻害を示した。BC1(1:1000)の存在は、自発的なROS形成を22%減少させた(P<0.003)。BC2(1:1000)は、ROS形成を低下させることに対して同様の効果を示した(P<0.004)。しかし、BC2の1:10希釈で、この効果はさらにより強く、自発的なROS形成が38%減少した(P<0.0002)。BC2の全ての希釈について、およびBC1の1:1000希釈について、阻害は非常に有意であった(P<0.01)。BC1の1:100希釈は、ほぼ非常に有意であった(P=0.0137)。
【0062】
図2に示されるように、細胞をBC1およびBC2で処理し、次いで酸化ストレス(H2O2)へ曝露されると、細胞は、ネガティブコントロールと比較して、ROS産生の減少を示した。阻害は、16〜23%の一定割合のままであった。これらの阻害は、1:1000でのBC2(P=0.0539)を除く全ての希釈での両方のフラクションについて統計的に有意(P<0.05)であった。フラクションは両方とも、1:1000希釈でROS産生の非常に顕著な阻害を示した。BC1(1:100)はROS形成を23%減少させ(P<0.02)、一方、BC2(1:100)はROS形成を21%減少させた(P<0.008)。
【0063】
PMN細胞ランダム遊走ならびに3つの化学誘引物質:f-MLP、IL-8およびロイコトリエンB4(LTB-4)への走化性遊走に対する示差効果
PMN細胞は、免疫監視の主要な役割を果たす非常に活動的な遊走性の細胞型である。PMNの遊走挙動は、少なくとも2つのタイプに分類される:a)ランダム遊走およびb)指向性遊走。ランダム遊走は通常の免疫監視の一部であり、一方、指向性遊走は、特定の化学誘引物質への遊走である。
【0064】
ランダム遊走および指向性遊走を両方とも並行して試験した。以下の3つの明確に異なる走化性化合物への指向性遊走を調べた:i)細菌ペプチド f-Met-Leu-Phe(fMLP);ii)炎症性サイトカイン インターロイキン-8(IL-8);およびiii)ロイコトリエンB4(LTB4)。
【0065】
いくつかのテストプロダクトは、通常の抗細菌免疫防御の一部として細菌ペプチドへのPMN遊走を可能にしながら、炎症メディエーターIL-8および/またはLTB4への指向性PMN遊走を特異的に減少させ得る。いくつかの炎症性化学誘引物質への遊走の試験は、ラット足浮腫炎症インビボモデルを厳密に模倣するこのインビトロシステムにおける選択反応を確認するために役立つ。アッセイは、抗細菌免疫防御機構と炎症反応機構との識別を可能にする。
【0066】
新たに精製されたPMN細胞を、ダブルチャンバ遊走プレート中において培養し、底部チャンバは組織を模倣し、上部チャンバは血流を模倣した(図3)。テストプロダクトを含むまたは含まない上部チャンバ中に細胞を平板培養し、一方、様々な化学誘引物質を底部チャンバ中へ置いた。コントロールウェルについては、テストプロダクトを含まない上部チャンバ中に細胞を置き、化学誘引物質を底部ウェル中に置かなかった。この方法で、ベースラインランダム遊走の評価を測定した。全てのアッセイを三つ組で行い、3人の異なる健康な提供者からの新たに単離された細胞を使用して一貫した結果を伴って少なくとも3回繰り返した。
【0067】
バシラス・コアギュランス上清(BC1)を、バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)と比較して、1つの余分な希釈で試験した。GanedenBC30(商標)(バシラス・コアギュランス)の両方のフラクションが、PMN細胞のランダム遊走を誘導し、このことは、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)の両方がPMN細胞の免疫監視局面を活性化したことを示している(図4)。BC1(1:10)はランダム遊走を300%増加させ(p<0.001)、BC2(1:10)はランダム遊走を200%増加させた(p<0.005)。より高い用量のBC1およびBC2は両方とも、細菌ペプチドf-MLPへの遊走を増加させ、このことは、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)が抗細菌防御機構を誘導することを示している(図5)。
【0068】
驚いたことには、より薄い濃度では、BC1およびBC2は、f-MLP指向性遊走の量を減少させ、このことは、異なるレベルのバシラス・コアギュランスは、腸内の免疫細胞に対して異なる効果を有することを示している。BC1(1:10,000)はf-MLP指向性遊走を11%減少させ;しかし、これは統計的に有意ではなく、BC(1:1000)は、f-MLP指向性遊走を46%減少させた(P<0.005)。
【0069】
より高い用量のBC1およびBC2でのPMN細胞の処理は、IL-8指向性遊走を増強した(図6A)。この増加した遊走は、BC1(P<0.002)およびBC2(P<0.002)の両方について1:10希釈で非常に有意であった。対照的に、より低い用量のBC1およびBC2は、IL-8指向性遊走を減少させた。BC2の1:1000希釈で、遊走の65%減少が見られ、これは非常に統計的に有意であった(P<0.00001)。
【0070】
遥かにより少ない用量のBC1およびBC2の両方を用いてIL-8指向性PMN遊走の用量研究を行った。図6Bに示されるように、IL-8指向性PMN遊走の減少が、BC2の全ての希釈で示された。BC2のこの効果は1010希釈で最も強く、ここで、遊走が63%阻害された(p<0.02)。低用量でのPMN細胞のBC1処理もまた、IL-8指向性遊走を減少させた。IL-8指向性PMN遊走阻害の興味深いパターンが、BC1およびBC2の両方で見られた。いずれのプロダクトも線形用量曲線を示さず、しかしむしろBC1およびBC2の両方の中間用量(104〜108)が、より高いまたはより低い用量と比較して、IL-8指向性遊走のより少ない阻害を示した。これらの結果は、炎症促進性化合物および抗炎症性化合物が、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)の両方の中に恐らく共存することを示している。
【0071】
BC1およびBC2フラクションはまた両方とも、LTB4指向性PMN遊走に対して二重効果を有した。より低い用量で、BC1およびBC2は両方とも、LTB4へのPMN遊走の用量依存的減少を示した(図7)。BC2の1:1000希釈は、遊走を52%阻害した(p<0.002)。BC1の1:1000(p<0.008)および1:10000(p<0.002)希釈で処理された細胞はまた、抗炎症効果を示し、これは非常に統計的に有意であった。逆に、BC1の1:10希釈は、LTB4へのPMN遊走の有意な増加を生じさせた(p<0.003)。
【0072】
PMN細胞遊走に対する化学誘引効果
以下の3つの化学誘引物質の相乗効果を調べた:細菌f-MLP、IL-8、およびロイコトリエンB4(図8)。このアッセイは、上述のものと同一のセットアップを使用して、PMN細胞の遊走特性を試験し;しかし、BCフラクションを、細胞を含む上部チャンバへ適用せず、しかし底部チャンバ中に平板培養し、それよって走化性勾配を提供した。テストプロダクトが化学誘引化合物を含有する場合、上部チャンバから底部チャンバへのPMN細胞遊走が、未処理ウェルと比較して増加した。
【0073】
あるグループにおいて、BCフラクションを底部チャンバへ添加し、BCフラクションの直接的な化学誘引特性を測定した。別のグループにおいて、BCフラクションを、以下の化学誘引物質:細菌f-MLP、IL-8およびロイコトリエンB4の各々と組み合わせて底部チャンバ中に平板培養し、BCフラクションおよび公知の化学誘引物質の両方の存在下でのPMN遊走に対する相乗効果を調べた。
【0074】
2つのバシラス・コアギュランスフラクションは、同一の細菌培養物に由来するにもかからず異なる効果を有する(図8)。より高い用量のバシラス・コアギュランス上清(BC1)は強力な走化性効果を有し、一方、バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は、最も高い用量でさえ、化学誘引効果を示さなかった。対照的に、BC1は遊走の量を減少させ、このことはBC1が抗炎症効果を有することを示している。
【0075】
図9に示されるように、2つのバシラス・コアギュランスフラクションは、f-MLP指向性遊走に対して非常に異なる効果を有した。より高い用量のBC1は、f-MLP指向性遊走活性を増強した。BC1(1:10)の化学誘引効果は、遊走を55%増加させた(P<0.01)。BC2の最も高い用量を除いて、このフラクションは、f-MLPへの遊走を減少させた。PMN細胞とBC2との相互作用は、細胞をf-MLPに対して遙により低い応答性にした。BC2(1:1000)処理細胞は、遊走を52%阻害した(P<0.001)。
【0076】
図10に示されるように、2つのバシラス・コアギュランスフラクションはまた、IL-8指向性遊走に対して非常に異なる効果を有した。全ての用量のBC1は、IL-8指向性遊走活性を増強した。BC1(1:10)の化学誘引効果は、統計的に有意であった(P<0.00001)。BC2は二重効果を有した。より高い用量で、BC2はIL-8誘導遊走を増強した。しかし、試験した最も低い用量で、このフラクションはIL-8への遊走を減少させた。PMN細胞とBC2との相互作用は、細胞をIL-8に対して遙により低い応答性にした。BC2(1:1000)処理細胞は、遊走を49%阻害した(P<0.004)。
【0077】
図11に示されるように、2つのバシラス・コアギュランスフラクションはまた、LTB4指向性遊走に対して非常に異なる効果を有した。全ての用量のBC1は、LTB4指向性遊走活性を増強した。BC1(1:10)の化学誘引効果は、統計的に有意であった(P<0.002)。
【0078】
BC2は二重効果を有した。より高い用量で、それは、LTB4誘導遊走を増強した。しかし、1:100用量で、このフラクションは、LTB4への遊走を減少させた。PMN細胞とBC2との相互作用は、細胞をLTB4に対してより低い応答性にした。BC2(1:100)処理細胞は、遊走を11%阻害した(P<0.01)。
【0079】
マクロファージ貪食活性に対する効果
微生物粒子の貪食は、先天性免疫応答の重要な部分である。それは迅速なプロセスであり、この細胞機能の増強に対するテストプロダクトの効果は、ほぼ即時であり得る。どれぐらいよくPMN細胞が緑色蛍光性カルボキシル化フルオロスフェアを飲み込んだかによって、貪食を測定した。次いで、貪食細胞の平均蛍光強度(MFI)を、フローサイトメトリーによって評価した。新たに精製された末梢血単核細胞を、バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで3分間前処理し、次いで、細菌を模倣する蛍光性マイクロ粒子へ導入した。細胞に粒子を2分間取り込ませ、その後、遊離のマイクロ粒子を遠心分離によって除去した。次いで、貪食細胞の蛍光強度をフローサイトメトリーによって評価した。エレクトロニックゲーティングを単球集団に対して行い、平均蛍光強度(MFI FL3)を測定することによって分析を行った。貪食のより速いまたはより強力な速度は、1細胞あたりの蛍光性マイクロ粒子のより高い数をもたらす。
【0080】
図12に示されるように、1:10の希釈でのBC1は単球貪食を増加させた。28%のこの増加は非常に有意であった(P<0.01)。図13に示されるように、BC1およびBC2は、ネガティブコントロールと比較して、PMN細胞中の貪食を増加させた。1:10希釈のBC1へのPMN細胞の曝露は、貪食を40%増加させた(p<0.02)。1:10希釈のBC2へのPMN細胞の曝露は、貪食を25%増加させた(p<0.008)。両方のプロダクトのさらなる希釈は、PMN貪食を減少させた(p<0.05)。
【0081】
図30Aおよび30B中の画像は、蛍光顕微鏡から撮影された写真を示す。コントロールは、貪食に従事した未処理PMN細胞を示す(図30A)。緑色ビーズは、細菌粒子を模倣するカルボキシル化フルオロスフェアである。図30Bは、BC2で処理されたPMN細胞を示す。この細胞は、図30Aにおける未処理細胞よりも多い多数のフルオロスフェアを取り込んだ。この図は、上記のデータと組み合わせて、バシラス・コアギュランスが、外来物質を飲み込むための貪食細胞の能力を増加させることを示している。
【0082】
実施例5.NK細胞の活性化
ナチュラルキラー(NK)細胞は、形質転換細胞およびウイルスに対する主要な防御機構に関与する。これらの細胞は、休止状態で血流中を移動するが、以下のために直ちに活性化され得る:a)細胞接触またはパーフォリンおよびグランザイムなどの細胞傷害性化合物の分泌のいずれかによって癌細胞を殺滅するため、b)増殖するため、およびc)前記部位中へ他の細胞を誘引する物質を分泌するため。NK細胞活性化に対するBC1およびBC2の可能性のある効果を調べるために、NK活性化細胞表面マーカーCD69の発現の変化を調べた。このマーカーの発現の増加は、NK細胞の細胞傷害活性の増加と関連付けられた(Clausen et al., 2003 Immunobiol, 207(2):85-93)。
【0083】
新たに精製されたヒト末梢血単核細胞をこれらのアッセイのために使用した。細胞を96-ウェルマイクロアッセイプレート中に三つ組で平板培養した。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにした。ポジティブコントロールを100国際単位/mL(IU/mL)の用量にてIL-2で処理した。18時間の培養後、CD3陰性・CD56陽性NK細胞の表面上のおよびCD3陽性・CD56陽性NKTリンパ球上の活性化分子CD69および増殖因子受容体CD25について細胞を染色し、インビトロでNKおよび/またはNKT細胞の活性化を評価した。
【0084】
図14は、バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへのNK細胞の曝露後の、NK活性化マーカーCD69の平均蛍光強度の変化を示す。BC1およびBC2は両方とも、NK細胞上でのCD69の発現の明らかな用量依存的誘導を示した。効果は、1:400希釈でBC1およびBC2の両方について高い統計的有意性に達し、ここで、CD69発現は、BC1については32%(p<0.01)、BC2については36%(p<0.003)増加した。
【0085】
図15は、NKT細胞上でのCD25の発現を示す。BC1およびBC2の両方について、ベースラインレベルと比較して、CD25発現の大きな差異はなかった。BC1の1:100希釈が発現を増加させた一方、この変化は統計的有意性に達しなかった。未処理細胞とBC1またはBC2のいずれかで処理されたものとを比較した場合、T細胞上でのCD25発現の変化は観察されなかった。
【0086】
腫瘍細胞に応答してのNK細胞上でのCD107aの外在化
NK細胞の機能の1つは、細胞間接触によっておよびパーフォリンなどの物質の分泌によって、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞を殺滅することである。このプロセスの間、NK細胞の細胞質中の顆粒の内部上に発現されるCD107a受容体は、細胞表面へ一時的に持ってこられる。従って、NK細胞上でのCD107a発現は、細胞傷害性物質の分泌によるそれらの細胞傷害活性の指標である。
【0087】
新たに精製されたヒト末梢血単核細胞をこのアッセイのために使用した。細胞を丸底96-ウェルマイクロアッセイプレート中に平板培養し、テストプロダクトの連続希釈物にて三つ組で処理した。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにした。全ての他のウェルを、NK細胞の細胞傷害性アッセイにおいて広く使用される、NK細胞感受性K562腫瘍細胞株の添加のために使用した。ポジティブコントロールウェルを、テストプロダクトを添加しないままにした。全ての残りのウェルをテストプロダクトの連続希釈物で処理した。2つの細胞型を短時間の15秒遠心分離によって物理的に一緒にし、37℃で45分間インキュベートした。細胞をプロセッシングおよび染色のためにV底マイクロタイタープレートへ移した。NK細胞上でのCD107aの発現をフローサイトメトリーによって分析し、ここで、NK細胞を、CD3およびCD56についての陽性染色に基づいて他のリンパ球から、およびサイズに基づいてK562細胞から識別した。インビトロでのNK細胞の細胞傷害活性を測定した。このアッセイにおける反応は、非悪性のウイルス感染細胞に対して同様の反応を予想する。
【0088】
図16は、BC1またはBC2の添加有りまたは無しで、腫瘍細胞へ曝露された、ナチュラルキラー細胞上でのCD107a発現の平均蛍光強度(MFI)の変化を示す。BC1およびBC2は両方とも、CD107a細胞表面発現の軽度の増加を示し、BC2は1:200希釈で最も強い効果を有し;効果は統計的有意性に全く達しなかった(p<0.07)。
【0089】
実施例6.適応免疫機能の支援:2つの公知のマイトジェンに応答してのリンパ球増殖およびサイトカイン産生の調節
一連のアッセイを行い、テストプロダクトが大きな免疫応答を誘発するかどうかを測定した。天然産物の標準的な安全性試験の一部分として、テストプロダクトを、細胞分裂促進可能性について、即ち、それらが健康なヒトリンパ球において細胞分裂を誘導するかどうかについて調べた。細胞分裂促進可能性の試験と同時に、テストプロダクトを、適応免疫防御を担う細胞、即ち、TおよびBリンパ球に対するそれらの効果について調べた。リンパ球増殖アッセイは、組成物が公知のシグナルに対するリンパ球応答性を変化させるかどうかを評価するための単純な方法を提供する。組成物の存在下での公知のマイトジェンに対する増殖応答の変化は、TおよびBリンパ球シグナル伝達および活性化などの免疫調節効果を示す。
【0090】
マイトジェンの存在および非存在下で連続希釈物において組成物を試験した。2つのマイトジェンを並行して試験した:T細胞増殖を誘導するT細胞マイトジェンである、フィトヘマグルチニン(PHA)、培養物中におけるT細胞、B細胞および単球の協力を要求するマイトジェンである、ポークウィードマイトジェン(PWM)。PHAはより鮮やかなシグナルであるが、PWMはより生理学的なシグナルである。
【0091】
新たに精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、組成物の連続希釈物の存在下に対して非存在下で培養した。培養物の3つの並列セットを確立し、ここで、1つは、リンパ球増殖に対するテストプロダクトの直接効果を試験し、2つの他のものは、公知のマイトジェンに対する反応への組成物の干渉を調べた。ポジティブコントロールは、テストプロダクトの非存在下でマイトジェンのみで処理された細胞を含んだ。マイトジェン誘導増殖の変化(増加、減少)は、免疫調節化合物の存在の強い表示である。
【0092】
BC1もBC2も、プロダクトおよび培養培地と共の37℃での5日間のインキュベーション後、リンパ球増殖に対して細胞分裂促進効果を有さなかった。
【0093】
BC1およびBC2は両方とも、PHAおよびPWMの存在下でリンパ球増殖の減少を示した(図17および18)。この減少は、PHAおよびPWMの両方の存在下でBC1の全ての用量で有意であり(p<0.02)、BC2の2つの最も高い濃度で有意であった(p<0.02)。さらに、高い統計的有意性が、PHAの存在下でBC1について1:10(p<0.003)および1:100(p<0.002)用量でならびにBC2について1:10(p<0.004)用量で、ならびにPWMの存在下でBC1について1:100(p<0.005)用量でならびにBC2について1:10(p<0.002)および1:100(p<0.006)用量で、達成された。
【0094】
血球計算ビーズアレイ
6つのサイトカイン、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-αおよびINF-γについてのフローサイトメトリーベースのTh1/Th2サイトカインビーズアレイ(CBA)を使用し、5日リンパ球培養物からの上清中に存在するサイトカインのレベルを評価した。図19〜20において、サイトカイン濃度の相対変化が、3つのプロダクト希釈物にわたる6つの全てのサイトカインの変化を示している概観グラフにおいて先ず示されている。BC1およびBC2について別個のグラフがあり、変化が、ベースライン(プロダクト無しで培養されたリンパ球)からの変化の倍率として示されている。
【0095】
リンパ球をまた、2つの異なるマイトジェンの存在下で(プロダクト有りまたは無しで)培養した。フィトヘマグルチニン(PHA)を使用してT細胞増殖を誘導し、ポークウィードマイトジェン(PWM)を使用して、培養物中におけるT細胞、B細胞および単球の協力を要求するプロセスにおいてTおよびBリンパ球増殖を誘導した。プロダクトの非存在下で培養されたリンパ球とBC1またはBC2のいずれかの1:100希釈物の存在下で培養されたリンパ球とを比較した。このデータは、各個々のサイトカインについて別個のグラフにおいて示され、さらに、プロダクト無しまたはBC1およびBC2の1:100希釈物有りのいずれかでマイトジェン無しで培養されたリンパ球中のサイトカインレベルの変化を比較する。
【0096】
マイトジェンの非存在下で、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、未処理PBMCと比較して、IL-2レベルを減少させた(図21)。この減少は、BC1およびBC2について統計的に有意であった(p<0.002)。BC1対BC2処理単独と比較して、いずれかのマイトジェンの存在下でのBC1またはBC2処理で、IL-2レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。
【0097】
マイトジェンの非存在下で、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、未処理PBMCと比較して、IL-4レベルを増加させた(図22)。この増加は、BC1(p<0.002)およびBC2(p<0.01)の両方について統計的に有意であった。BC1対BC2処理単独と比較して、いずれかのマイトジェンの存在下でのBC1またはBC2処理で、IL-4レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。
【0098】
図23に示されるように、マイトジェンの非存在下での、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、IL-6産生の大量の誘導をもたらした。増加は、非常に統計的に有意であった(P<0.00002)。BC1対BC2処理単独と比較して、ポークウィードマイトジェンの存在下でのBC1またはBC2処理で、IL-6レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。BC1(P<0.001)およびBC2(P<0.0009)によるIL-6誘導は両方とも、非常に統計的に有意であるとわかった。
【0099】
図24に示されるように、マイトジェンの非存在下での、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、IL-10産生を誘導した。増加は非常に有意であった(P<0.008)。BC1およびPHAの両方で処理されたPBMCは、細胞がいずれかのプロダクト単独で処理された場合と比べてより高いIL-10産生をもたらした(P<0.0009)。BC1およびPWMでのPBMCの処理もまた、IL-10産生の増加をもたらした;しかし、データは統計的に有意ではないとわかった。BC2処理単独と比較した場合、いずれかのマイトジェンの存在下でのBC2処理で、IL-6レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。
【0100】
マイトジェンの非存在下で、TNF-α産生は、BC1およびBC2の存在下の両方で、未処理PBMCよりも僅かに低かった(図25Aおよび25B)。この軽度の減少は、BC1またはBC2のいずれについても統計的に有意ではなかった。PHAの存在下でのBC1またはBC2のいずれかでのPBMCの処理は、TNF-α発現の2倍減少をもたらし、これは、BC1(P<0.002)およびBC2(P<0.006)の両方について統計的に有意であった。対照的に、PWMの存在下でのBC1およびBC2でのPBMCの処理は、TNF-αレベルの強力な増加をもたらした。PWMの存在下で、BC1処理は11倍増加(P<0.003)をもたらし、BC2処理は22倍増加(P<0.001)をもたらした。
【0101】
マイトジェンの非存在下で、INF-γレベルは、BC1およびBC2での処理の両方に応答して増加した(図26Aおよび26B)。BC1(P<0.001)およびBC2(P<0.0004)の両方について、これらの変化は非常に統計的に有意であった。PHAの存在下でのBC1またはBC2のいずれかでのPBMCの処理は、INF-γ発現の統計的に有意な変化をもたらさなかった。対照的に、PWMの存在下でのBC1およびBC2でのPBMCの処理は、INF-γレベルの3倍(BC1)および4倍(BC2)増加をもたらし、これらは両方とも統計的に有意であった(P<0.0004)。
【0102】
実施例7.抗酸化効果:細胞ベースの抗酸化保護アッセイ
抗酸化剤テストについてのバイオアッセイである、赤血球中における細胞ベースの抗酸化保護(Cell-based Antioxidant Protection in Erythrocytes)(CAP-e)アッセイにおいて、培養上清および細胞壁フラクションを試験した(図27〜29)。このアッセイは、酸素ラジカル吸収能(ORAC)テストと同等の方法で抗酸化可能性の評価を可能にするが、脂質二重層細胞膜を通過することができる抗酸化剤の測定のみを可能にする。モデル細胞型として、赤血球(RBC)を使用した。これは、炎症促進性化合物が反応性酸化性バーストを誘導し得るPMN細胞などの他の細胞型とは対照的に、不活性な細胞型である。このアッセイは、細胞ベースのシステムで複合天然産物由来の抗酸化剤を評価するために特に有用である。
【0103】
新たに精製されたヒトRBCを、生理食塩水中で繰り返し洗浄し、次いでテスト組成物へ曝露した。テストプロダクトと共のインキュベーションの間、細胞膜を通過することができる抗酸化化合物が、RBCの内部に入り得る。次いで、RBCを洗浄し、細胞によって吸収されなかった化合物を除去し、活性酸素種への曝露で蛍光を発するDCF-DA色素を加えた。ペルオキシルフリーラジカルジェネレーターAAPHの添加によって、酸化を誘発した。蛍光強度を評価した。未処理コントロール細胞の低い蛍光強度はベースラインとして役立ち、AAPH単独で処理したRBCは、最大酸化損傷についてのポジティブコントロールとして役立つ。テストプロダクトへ曝露されその後AAPHへ曝露されたRBCの減少した蛍光強度の観察は、テストプロダクトが、細胞中へ浸透しこれらを酸化損傷から保護するために利用可能な抗酸化剤を含有することを示している。
【0104】
BC1およびBC2の試験のために、新たに単離されたRBCおよび45日間保存されたRBCの両方における抗酸化保護能力を試験した。新鮮なRBCは、食物由来の抗酸化剤ならびに酸化還元酵素を含有する。保存によって、抗酸化剤は消耗され、酵素機能は経時的に低下し得る。BC1およびBC2は両方とも、RBC中へ入ることができる化合物を含有した。これらの化合物は、新鮮なRBC中へより効率的に入った。しかし、BC1由来の化合物は、抗酸化能力を有さなかった。対照的に、それらは、RBC内部の抗酸化保護機構を妨害した。非常に軽度の抗酸化保護が、BC2へ曝露された古い細胞において見られる。
【0105】
細胞を含まないBC上清(BC-1)および細胞を含まない細胞壁フラクション(BC-2)による免疫応答の調節
要約すると、BC1およびBC2は両方とも、自発的なROS形成を阻害し、酸化ストレスがPMNへ適用された場合のROS形成を減少させた。より高い濃度では、BC1およびBC2は両方とも、細菌ペプチドへのPMN細胞の遊走を増加させ、このことは、細菌検出におけるPMNの免疫監視機能の増強を示している。逆に、低濃度では、BC1およびBC2は両方とも、細菌ペプチドへのPMN細胞の遊走を減少させ、このことは、低濃度では、バシラス・コアギュランスの上清および細胞壁調製物中に存在する化合物は、細菌ペプチドシグナルへ応答するPMNの能力に対して免疫調節効果を有することを示している。この効果は、どのように免疫系が腸内に存在する(有益な)共生細菌に対する細菌感染に対して応答するかを指示するプロセスの基礎となる。最も高い用量のBC1は単球貪食を増加させた。BC2は単球貪食を増加させなかった。BC1およびBC2は、最も高い用量で、PMN貪食を増加させた。NK発現(CD69)は、試験したBC1およびBC2の全ての希釈において増加した。BC1およびBC2は両方とも、全ての用量でリンパ球増殖を減少させた。バシラス・コアギュランスフラクションは両方とも、IL-2およびTNFを減少させた。これらのサイトカインは、マクロファージ活性化に向けられる、公知のTH1サイトカインである。しかし、軽度の増加が、両方のバシラス・コアギュランスフラクションについてのIFN-γ産生について見られた。バシラス・コアギュランスフラクションは両方とも、IL-4、IL-6、およびIL-10の産生を増加させた。これらのサイトカインは、TH2産生へより直接関連付けられ、これは、適応免疫系についての抗原提示細胞であるB細胞にシグナル伝達しこれをを活性化するのを助けるために使用される。BC1およびBC2は両方とも、公知の化学誘引物質IL-8へ指向される場合のPMN細胞の遊走を妨げることができた。この強力な抗炎症効果は、広範囲の希釈物にわたって有意であった。バシラス・コアギュランス細胞壁は、炎症性化学誘引物質LTB4へ指向される場合のPMN細胞の遊走を阻害した。
【0106】
実施例9:バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の分画
バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分中の異なる分子量化合物を分画/精製し、それらの生物学的効果を評価した。3つの分子範囲フラクションを様々な生物学的活性について調べる。
【0107】
2つのテストフラクション(細胞壁および上清)ならびに芽胞の調製
BC芽胞のサンプルを熱活性化し、液体培養培地に接種した。サンプルを37℃で24時間インキュベートした。この時間は、死滅および細菌分解が顕著でない対数期細菌培養物の形成を可能にする。インキュベーション後、2つのフラクション(細胞壁および上清)を調製する。全培養物を50 mLバイアル中へデカンテーションし2400 rpmで遠心分離することによって、最初の分離を行う。細菌集合体がペレットを形成する。上清を新しいバイアル中へ徐々にデカンテーションする。このバイアルから、より少量の1 mLサンプルをEppendorfバイアル中へ等分し、高速遠心分離へ供し、続いて3回の連続濾過を行い、インタクトな細菌およびそのフラクションを除去する。無菌の濾過された上清を等分し、多数のアリコートを-80℃で直ちに凍結させる。最初の遠心分離からの最初のペレットを使用し、細胞壁フラクションを調製する。湿ったペレットを凍結および解凍する。解凍したスラッシュをEppendorfバイアルへ移し、高速遠心分離を使用して生理食塩水中において2回洗浄する。次いで、ペレットをガラスバイアルへ移し、100マイクロメートルの直径を有する低タンパク質結合性ジルコニウムビーズを使用するビーズミリングへ供する。Vortexミキサーを使用して「パルシング」を繰り返すことによって、ミリングを行う。ビーズを除去し、破壊された細胞壁断片を含有するスラッシュを、多数のアリコートへ滅菌濾過し、これらを-80℃で直ちに凍結する。
【0108】
バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の生物学的活性
BCの上清および細胞壁フラクション中の主なタンパク質/炭水化物化合物の分子量を確認するために、電気泳動を使用し、バシラス・コアギュランスフラクションおよび芽胞を構成するタンパク質および多糖類を理解する。典型的なタンパク質ゲル電気泳動法を図31に示す。このプロセスは、分子量によってタンパク質および多糖類を分離し、BCフラクションの各々についての価値のあるフィンガープリントを提供する。電気泳動分離は、プロダクト中の特定のタンパク質および多糖類の相対量についての情報を提供する。
【0109】
上清および細胞壁フラクションの前記バッチのゲル電気泳動は、関心対象のいくつかの領域を示した。上清は、5〜10 kDa未満の、即ち、SDSゲル電気泳動によって明確に分画することができる範囲未満の化合物を含有する(図32中の語句「BC上清」の下のスミアを参照のこと)。両方のフラクションは、10 kDa範囲に二重のバンドを含有した。上清は、20〜30 kDaおよび50〜150 kDaのいくつかのさらなる顕著なバンドを含有した。上清および細胞壁フラクションの分画を、3つのフラクションまたは精製調製物を得るために行う:A)3 kDa未満、B)3〜30 kDa、および精製C)30〜200 kDa。細胞壁由来の主要な生物活性化合物はフラクションB中にある。製品開発の段階の間の製品一貫性を確実にするためのツールとして、電気泳動を使用する。それはまた、製造の間の定期的な品質管理ツールとして有用である。
【0110】
上清フラクションおよび細胞壁フラクションの両方の分子量(<3、3〜30、30〜200 kDa)によるサイズ分画を行い、3つの主要な確認された生物学的活性をさらにキャラクタライズする:a)炎症メディエーターに応答しての細胞遊走の阻害によって測定される、抗炎症効果;b)NK細胞活性化に対する効果;およびc)サイトカイン産生に対する効果。
【0111】
抗炎症効果:ロイコトリエンB4指向性遊走の阻害
PMN細胞は、非常に活動的な遊走性の細胞型である。バシラス・コアギュランスフラクションは、公知の炎症性サイトカインLTB4へ曝露されると強力な抗炎症効果を有する。粗製BC細胞壁およびBC上清を以下の分子量範囲へ分画する:a)<3 kDa、b)3〜30 kDa、およびc)30〜20OkDa。同様の体積のバシラス・コアギュランス細胞壁および上清を、特定の分子量フラクションを濾過して取り除く遠心分離カラム中へ配置する。遠心分離後、残りの体積を連続希釈し、上部チャンバ中へ平板培養する前にPMNと共に配置する。
【0112】
新たに精製されたPMN細胞培養物をダブルチャンバ遊走プレート中に設定し、ここで、図33に記載されるように、底部チャンバは組織を模倣し、上部チャンバは血流を模倣する。細胞を、テストプロダクト有りまたは無しで上部チャンバ中へ平板培養し、異なる化学誘引物質(LTB4)を底部チャンバ中に存在させる。全てのアッセイを三つ組で行い、一貫した結果を伴って少なくとも3回繰り返す。炎症性化学誘引物質LTB4への遊走の試験は、ラット足浮腫などの炎症のインビボモデルを厳密に模倣するこのインビトロシステムにおける選択反応を確認する。アッセイは、通常のPMN防御機構と炎症に対する応答との識別を可能にする。バシラス・コアギュランス芽胞の抗炎症活性も調べる。これらのアッセイは、どの分子量化合物がBC上清および細胞壁フラクションの抗炎症効果を担うかを確認する。
【0113】
ナチュラルキラー細胞活性化(CD69発現)
粗製BC細胞壁およびBC上清を以下の分子量範囲へ分画する:a)<3 kDa、b)3〜30 kDa、およびc)30〜200k Da。上述のように、両方のBCフラクションがNK細胞を活性化した。NK細胞上でのCD69活性化マーカーの誘導を測定する。新たに精製されたヒト末梢血単核細胞をこれらのアッセイのために使用する。細胞を96-ウェルマイクロアッセイプレート中に三つ組で平板培養する。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにする。ポジティブコントロールを100国際単位/mL(IU/mL)の用量にてIL-2で処理する。18時間の培養後、細胞をCD3陰性・CD56陽性NK細胞の表面上の活性化分子CD69について染色する。
【0114】
バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の生物学的活性もまた、乾燥および再構成の後に評価し、生物活性が乾燥後に保存されるかどうかを測定する。
【0115】
このアッセイは、どの分子量化合物がBC上清および細胞壁フラクションのNK細胞活性化効果を担うかを確認する。NK細胞を活性化するバシラス・コアギュランス芽胞の能力も調べる。
【0116】
サイトカイン産生
粗製BC細胞壁およびBC上清を以下の分子量範囲へ分画する:a)<3 kDa、b)3〜30 kDa、およびc)30〜200 kDa。前述の実験は、BCフラクションがサイトカイン産生の変化を直接誘導することを示した。フラクションを調べ、どの分子量範囲の化合物がBC上清および細胞壁フラクションのこの変化を担うかを確認する。新たに精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、BCフラクションの連続希釈物の存在下に対して非存在下で培養する。バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の生物学的活性もまた、乾燥および再構成の後に評価し、生物活性が乾燥後に保存されるかどうかを測定する。
【0117】
サイトカインIL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、およびIFN-γの産生を誘導するバシラス・コアギュランス芽胞の能力もまた調べる。
【0118】
実施例10:免疫系に対するGBI-30(GanedenBC30)(生存可能な細胞および芽胞)の効果を評価するための対照試験
アデノウイルスおよびインフルエンザがチャレンジされた場合の、健康な個体における免疫系に対するGanedenBC30(バシラス・コアギュランスGBI-30、ATCC指定番号PTA-6086)の有利な効果を評価した。Tリンパ球活性についてのマーカーである%CD3CD69細胞に対する健康な個体中におけるGanedenBC30(バシラス・コアギュランスGBI-30、ATCC指定番号PTA-6086)の有利な効果を測定するために、研究をさらに行った。
【0119】
10人の健康な成人被験体をこの研究のために募集した。同時の病気または最近の予防注射は許容されなかった。血液を第0日にベースラインで採取した。30日間毎日、5億CFUのGanedenBC30を含有する1カプセルを毎日消費するように被験体に指示した。血液を第30日に再び採取した。1人の被験体がベースラインで統計的に異なったために、9人の被験体のみを最終分析において使用した。
【0120】
血液サンプルを採取し、アデノウイルスまたはインフルエンザAのいずれかで刺激し、24時間インキュベートし、次いでボルテックスした。100マイクロリットルのサンプルを抜き取り、そのうちの20マイクロリットルを%CD3CD69試験のために使用した。残りのサンプルからの900マイクロリットルを抜き取り、遠心分離し、血漿を除去した。血漿のサンプルを採用し、サイトカイン試験において使用した。種々のサイトカインを試験し、統計的に変化したものを以下に記載する。
【0121】
5億CFU/日が消費された場合、被験体の免疫系は、アデノウイルスおよびインフルエンザAの両方でチャレンジされるとブーストされた。%CD9CD69細胞が後で増加し、Tリンパ球活性を増加させる能力が示された。統計的に有意な変化が、インフルエンザAへ曝露された場合にIL-8産生(P=0.039)において、およびアデノウイルスへ曝露された場合にINF-γ産生(P=0.039)において見られた。%CD3CD69の統計的に有意な増加(P=0.023)が、アデノウイルスおよびインフルエンザAの両方に対して見られた。
【0122】
これらのデータは、20億CFUのGanedenBC30を含有するプロバイオティック組成物は、毎日消費された場合、免疫系をブーストしたことを示している。5億CFU/日のみで消費された場合、組成物は、免疫系に対して統計的に有意なブーストならびにTリンパ球活性増加を示すことができた。
【0123】
他の態様も本発明の範囲および精神内にある。本明細書に記載の例の様々な成分が、他の例中の様々な成分で交換および/または置換され得ること、および他の修飾が可能であり得ることが、当業者によって認識される。参照により本明細書に組み入れられる材料が本開示の用語と矛盾する程度まで、本開示は支配的であるように意図される。さらに、上記の説明が本発明に言及する一方、説明は2つ以上の発明を含み得る。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年4月29日に出願された米国特許出願第61/214,876号および2009年12月10日に出願された米国特許出願第61/285,255号の優先権を主張し、これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、免疫系をブーストするための生存可能なおよび生存不能な細菌の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
胃腸の微生物叢は、胃腸管の機能および全身の生理学的健康の維持に極めて重要な多くの役割を果たしている。胃腸管に存在する多くの個々の細菌種の増殖および代謝は、それらに利用可能な基質に主として依存し、これらの大部分は食物に由来する。例えば、Gibson G.R. et al., 1995 Gastroenterology 106: 975-982(非特許文献1);Christl, S.U. et al., 1992 Gut 33: 1234-1238(非特許文献2)を参照のこと。これらの知見は、生きている微生物の栄養補助食品であるプロバイオティクスを主に用いて、食物によって、細菌集団の代謝活性および組成を変えようとする試みをもたらした。
【0004】
プロバイオティック生物は、非病原性・非毒素産生性であり、保存の間生存能力を保持し、典型的に胃および小腸の通過を生き延びる。プロバイオティクスは一般的に永久には宿主にコロニー形成しないため、それらは、健康促進特性が持続するためには定期的に摂取される必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Gibson G.R. et al., 1995 Gastroenterology 106: 975-982
【非特許文献2】Christl, S.U. et al., 1992 Gut 33: 1234-1238
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は、免疫系をブーストするための乳酸産生細菌またはその生存不能な断片もしくは産物の使用を記載する。具体的には、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バシラス・コアギュランスの精製細胞壁成分またはバシラス・コアギュランスの培養上清の投与は、病原体と戦う免疫系の能力を増加させる。細胞壁成分および/または培養上清は、条件が長期間の栄養細胞生存能力にとって最適ではない製品、例えば、貯蔵に安定な飲料または食物組成物において有用である。あるいは、不活性化/死滅バシラス・コアギュランス、例えば、熱殺滅バシラス・コアギュランスが、免疫系をブーストするために投与される。方法は、免疫系をブーストするための精製された生存可能なバシラス・コアギュランス栄養細胞および/または芽胞の投与を任意で含む。
【0007】
従って、微生物病原体に対する免疫応答を増強またはブーストする方法は、微生物病原体に感染した被験体を同定する工程、および生存可能なバシラス・コアギュランス細菌、該細菌の生存不能な断片、または該細菌の生存不能な細胞外産物を含む組成物を、該被験体へ投与する工程によって行われる。細菌、断片、または産物は、被験体に感染する病原体に対する被験体の免疫応答を増強する量で投与される。好ましくは、細菌、断片、または産物は、他の細菌または細菌の他の成分(断片、例えば細胞壁断片、または分泌産物の場合)から精製または分画される。
【0008】
精製されたおよび/または単離されたバシラス・コアギュランスは、本明細書に記載の方法および組成物におけるプロバイオティクスとして特に有用である。「精製された」または「実質的に精製された」によって、汚染微生物または他の高分子、例えば、多糖類、核酸もしくはタンパク質を実質的に含まない、バシラス・コアギュランス細菌、該細菌の生存不能な断片、または該細菌の生存不能な細胞外産物が意味される。精製調製物は、所望の組成物を少なくとも75%、85%、95%または100%含有し、細胞質小器官などの他の細胞内成分を実質的に含まない。例えば、細菌細胞壁フラクションは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%細胞壁断片である。このような調製物は、細胞質細胞内小器官および分泌細菌産物を持続可能に含まない。
【0009】
一局面において、微生物病原体は、細菌またはウイルス、例えば、呼吸器感染症を引き起こす病原体である。例えば、病原体は、インフルエンザウイルス、例えば、ヒト、トリまたはブタインフルエンザウイルス、またはそれらの組み合わせを含む。他のウイルス病原体としては、アデノウイルスが挙げられる。
【0010】
本発明の組成物は、免疫増強量の生存可能なバシラス・コアギュランス細菌、バシラス・コアギュランス細菌の生存不能な断片、またはバシラス・コアギュランス細菌の生存不能な細胞外産物(例えば、バシラス・コアギュランス細菌の上清)を含む。免疫応答の増強は、サイトカイン(例えば、インターロイキン-2(IL-2)、IL-4、IL-6、IL-10、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、およびインターフェロン-γ(IFN-γ)産生の増加、または感染部位への免疫細胞遊走の増加を含む。免疫増強はまた、サイトカイン産生の増加、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面の活性化、免疫細胞走化性の増加、NK細胞の活性化、および/または単球貪食の増加による、免疫系のブーストを含む。具体的には、本発明の組成物は、PMNの走化性能力および貪食能力を増加させる。本発明の組成物はまた、NK細胞上でのCD69の発現を増加させる。
【0011】
一局面において、バシラス・コアギュランス、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分の免疫増強量は、約0.1 mg〜約10 g、例えば、約1 mg〜約10 g、約10 mg〜約5 g;約100 mg〜約1 g;または約200 mg〜約1 gである。
【0012】
ヒト摂取に適した形態の組成物、例えば、バシラス・コアギュランス細菌の精製細胞壁を含む組成物、またはバシラス・コアギュランスの乾燥または凍結乾燥された分泌産物または分泌産物の混合物を含む組成物もまた、本発明の範囲内にある。例示的な製剤としては、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤が挙げられる。
【0013】
本明細書に記載の組成物および方法についての例示的な細菌種としては、バシラス・コアギュランス、例えば、バシラス・コアギュランスhammer、好ましくは、バシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284、またはバシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284に由来する1つまたは複数の株(例えば、ATCC番号:GBI-20(GB-20)、ATCC指定番号PTA-6085;GBI-30(GB-30/Ganeden BC30(商標)/BC30)、ATCC指定番号PTA-6086;およびGBI-40(GB-40)、ATCC指定番号PTA-6087;Farmerの米国特許第6,849,256号を参照のこと)が挙げられる。好ましくは、バシラス・コアギュランスは、GBI-30(BC30)、または参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/706,642号に記載の生物の任意の株を含む。
【0014】
本発明のバシラス・コアギュランスHammer株は、非病原性であり、米国食品医薬品局(Federal Drug Administration)(FDA)および米国農務省(USDA)によって、ならびに当業者によって、ヒトの栄養補給における使用について安全と一般的にみなされている(即ち、GRAS分類)。さらに、本発明のバシラス・コアギュランスHammer株は、ヒトの体温でまたはそれ未満で発芽し、そのためプロバイオティクスとして有用である。Hammer群を除く多くのバシラス・コアギュランス株は、大抵は産業上の適用を有し、栄養上の利点をほとんど有さないかまたは有さず、安全性について評価されていない環境汚染物を有する。さらに、バシラス・コアギュランスの多くの他の非Hammer株は、最適にはヒトの体温を超える温度で増殖し、従って、人体において効率的に発芽しない。このような株は、ヒト消費についてのプロバイオティクスとしてあまり適していないかまたは適していない。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、その好ましい態様の下記の説明、および特許請求の範囲から明らかとなる。特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、好適な方法および材料を以下に説明する。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、Genbank/NCBIアクセッション番号、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および例は、例示的に過ぎず、限定的であるようには意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ベースライン結果と比較しての、バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへの多形核白血球(PMN)曝露後の自発的な活性酸素種(ROS)形成のパーセント阻害を示す折線グラフである。
【図2】ベースライン結果と比較してのH2O2誘導ROS形成のパーセント阻害を示す折線グラフである。
【図3】どのようにPMN遊走が血流中において開始しトランスウェル遊走プレートを介して組織中へ移動するかの略図である。
【図4】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMNの遊走パターンを表すランダム遊走を示す折線グラフである。
【図5】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMSの遊走パターンを表す細菌ペプチド ホルミル-Met-Leu-Phe(f-MLP)指向性遊走を示す折線グラフである。
【図6A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMNの遊走パターンを表すインターロイキン-8(IL-8)指向性遊走を示す折線グラフである。
【図6B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)処理PMN細胞のIL-8指向性遊走を示す折線グラフである。
【図7A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで処理されたPMNの遊走パターンを表すロイコトリエンB4(LTB4)指向性遊走を示す折線グラフである。
【図7B】LTB4指向性遊走を示す一連の棒グラフである。
【図7C】LTB4指向性遊走を示す一連の棒グラフである。
【図8】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的ランダム遊走を示す棒グラフである。
【図9】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的f-MLP指向性遊走を示す棒グラフである。
【図10】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的IL-8指向性遊走を示す棒グラフである。
【図11】トランスウェル遊走プレートの底部チャンバ中において化学誘引物質として作用するバシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへ曝露されたPMNの遊走パターンを表す相乗的LTB4指向性遊走を示す棒グラフである。
【図12】どれぐらいよく単球が緑色カルボキシレートフルオルスフェアを取り込み得るかによって測定される単球貪食を示す棒グラフである。
【図13】どれぐらいよく単球が緑色カルボキシレートフルオルスフェアを取り込み得るかによって測定されるPMN貪食を示す棒グラフである。
【図14】ナチュラルキラー(NK)細胞の表面抗原分類69(CD69)発現を示す折線グラフである(CD69の平均蛍光強度(MFI)を測定することによって行った分析)。
【図15】NKT細胞のCD25発現を示す折線グラフである(CD25のMFIを測定することによって行った分析)。
【図16】NK細胞上でのCD107a発現を示す折線グラフである(CD107aのMFIを測定することによって行った分析)。
【図17】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され次いでマイトジェンフィトヘマグルチニン(PHA)へ曝露されたリンパ球の結果を示す折線グラフである。
【図18】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され次いでポークウィードマイトジェン(PWM)へ曝露されたリンパ球の結果を示す折線グラフである。
【図19A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図19B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図20A】バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図20B】バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)で前処理されたリンパ球のサイトカイン産生を示す折線グラフである。
【図21】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-2の相対レベルを示す。未処理(UT)。
【図22】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-4の相対レベルを示す。
【図23】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-6の相対レベルを示す。
【図24】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す棒グラフである。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIL-10の相対レベルを示す。
【図25A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインTNF-αの相対レベルを示す。
【図25B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインTNF-αの相対レベルを示す。
【図26A】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIFN-γの相対レベルを示す。
【図26B】バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで前処理され、次いでマイトジェン無し、PHAまたはPWMへ曝露されたリンパ球の結果を示す一連の棒グラフを示す。このグラフは、5日リンパ球培養物の上清中に存在するサイトカインIFN-γの相対レベルを示す。
【図27】どのように天然産物が細胞中へ入るかの、赤血球中における細胞ベースの抗酸化保護(cell-based antioxidant protection in erythrocytes)(CAP-e)表示の略図である。色素は、酸化ストレスを示す蛍光を表すために使用される。
【図28】新鮮な細胞および古い細胞に対して並行して試験されたバシラス・コアギュランス上清についてのCAPe結果を示す折線グラフである。
【図29】新鮮な細胞および古い細胞に対して並行して試験されたバシラス・コアギュランス細胞壁についてのCAPe結果を示す折線グラフである。
【図30】図30Aは、貪食に従事した未処理PMN細胞を示す顕微鏡写真である。緑色ビーズは、細菌粒子を模倣するカルボキシル化フルオロスフェアである。図30Bは、バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)で処理されたPMN細胞を示す顕微鏡写真である。
【図31】典型的なタンパク質ゲル電気泳動法の図示である。
【図32】バシラス・コアギュランス上清および細胞壁フラクションを用いてのゲル電気泳動実験の結果を示す写真である。
【図33】どのようにPMN遊走が血流中において開始しトランスウェル遊走プレートを介して組織中へ移動するかの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本発明は、非病原性乳酸産生細菌(即ち、「乳酸菌」)、例えば、バシラス・コアギュランスが、免疫系のブースト、即ち、免疫細胞の活性化レベルの増加において有用であるという発見に関する。バシラス・コアギュランス栄養細胞および/または芽胞が使用されるか、または不活性化/死滅バシラス・コアギュランス、例えば、熱殺滅バシラス・コアギュランスが使用される。例えば、バシラス・コアギュランスの細胞壁成分または培養上清の投与は、サイトカイン産生の増加、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面の活性化、免疫細胞走化性の増加、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、および単球貪食の増加によって、免疫系をブーストする。
【0018】
プロバイオティック乳酸産生細菌
記載の方法および組成物における使用に好適なプロバイオティック乳酸産生細菌は、酸を産生し、非病原性である。細菌種としては、バシラス・コアギュランス、例えば、バシラス・コアギュランスhammer、好ましくは、バシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284、またはバシラス・コアギュランスhammer株 アクセッション番号ATCC 31284に由来する1つまたは複数の株(例えば、ATCC番号:GBI-20、ATCC指定番号PTA-6085;GBI-30またはBC30、ATCC指定番号PTA-6086;およびGBI-40、ATCC指定番号PTA-6087;Farmerの米国特許第6,849,256号を参照のこと)が挙げられる。
【0019】
生存可能なバシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分が、本発明において有用である。精製されたおよび/または単離されたバシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分が、本明細書に記載の組成物におけるプロバイオティクスとして特に有用である。「精製された」または「実質的に精製された」によって、汚染微生物または他の高分子、例えば、多糖類、核酸もしくはタンパク質を実質的に含まない、バシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(cell well component)が意味される。精製調製物は、所望の組成物を少なくとも75%、85%、95%または約100%含有し、細胞質小器官などの他の細胞内成分を実質的に含まない。例えば、細菌細胞壁フラクションは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または約100%細胞壁成分である。このような調製物は、細胞質細胞内小器官および分泌細菌産物を持続可能に含まない。
【0020】
組成物は、バシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分を、粉末、乾燥細胞集団、安定化されたペースト、または安定化されたゲルの形態で含む。バシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、免疫系をブーストするために本明細書に記載の方法において使用される。任意で、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、乾燥され、使用前に水または他の水溶液中において再構成される。
【0021】
バシラス芽胞は耐熱性かつ耐圧性であり、乾燥粉末として保存され得るため、それらは、本明細書に記載の種々の組成物のような製品への製剤化および製造に特に有用である。バシラス種、特に、熱および他の条件に比較的耐性である芽胞を形成する能力を有しそのため製剤での保存(貯蔵期間)に理想的である種は、本発明によく適している。
【0022】
任意で、組成物は、バシラス・コアギュランス栄養細胞および/または芽胞を含む。細胞/芽胞は、免疫ブースト組成物における使用に適した種々の組成物に製剤化される。一局面において、細菌は、芽胞および栄養細胞の混合物として存在する。別の局面において、細菌は、少なくとも90%芽胞、例えば、95%、98%、または99%芽胞として存在する。任意で、本発明の組成物への添加の前に、バシラス・コアギュランス細胞は、芽胞形成を誘導するために、食物源の非存在下でまたは制限量の食物源と共に液体中において培養される。別の局面において、本発明の組成物への添加の前に、ヒートガン噴霧乾燥は、約50%、約75%、約90%、約95%、または約99%の栄養細胞を殺滅する。一局面において、組成物中の細菌の少なくとも約5%〜25%は、生存可能であり、例えば、細菌の少なくとも約25%〜50%;少なくとも約50%〜75%;または少なくとも約75%〜99%は、生存可能である。別の局面において、組成物は、少なくとも約1 x 106〜1 x 107;少なくとも約1 x 107〜1 x 108;または少なくとも約1 x 108〜1 x 109個の生存可能な細菌を含む。
【0023】
本発明はまた、免疫系をブーストするための本明細書に記載の方法における使用のためのバシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清を提供する。一局面において、噴霧乾燥粉末の形態の、バシラス・コアギュランス細菌、細胞壁成分、または培養上清が、本明細書に記載の組成物中にまたは組成物の表面上に含まれる。一局面において、単離されたバシラス・コアギュランスは、芽胞の形態である。単離されたバシラス・コアギュランスは、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%純粋な芽胞である。あるいは、単離されたバシラス・コアギュランスは、栄養細胞の形態である。一局面において、単離されたバシラス・コアギュランスは、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%純粋な栄養細胞である。別の局面において、単離されたバシラス・コアギュランスは、栄養細胞および芽胞の混合物の形態である。バシラス・コアギュランス混合物は、90%芽胞、10%栄養細胞;75%芽胞、25%栄養細胞;60%芽胞、40%栄養細胞;50%芽胞、50%栄養細胞;60%栄養細胞、40%芽胞;75%栄養細胞、25%芽胞;または90%栄養細胞、10%芽胞である。
【0024】
バシラス属および/またはバシラス・コアギュランス単離活性薬剤、例えば、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、例えば、粉末の適用、組成物上へのプロバイオティクスの噴霧乾燥、またはプロバイオティクスを含有する溶液中への組成物の浸漬を含む、任意の種々の公知の方法を使用して適用される。任意で、バシラス・コアギュランス細胞壁および/またはバシラス・コアギュランス培養上清は、乾燥され、使用前に水中において再構成される。別の局面において、噴霧乾燥粉末の形態のバシラス・コアギュランス細菌が、直接投与される。任意で、組成物は、噴霧乾燥粉末の形態で約5 x 107 CFUバシラス・コアギュランス細菌(組成物1グラム当たり)を含む。
【0025】
組成物中へ細菌組成物を置くための任意の種々の方法が使用され得る。しかし、好ましい方法としては、「噴霧乾燥」法が挙げられ、ここで、組成物は、液体組成物を含有する噴霧化ミックスへ低湿度チャンバ中において曝露され、ここで、チャンバは、その後、液体を乾燥するためにおよそ80〜110 oFへ曝露され、それによって組成物の材料に成分を含浸させる。
【0026】
典型的な濃度は、およそ1 x 107〜1 x 1012 CFU;1 x 108〜1 x 1011 CFU;または1 x 109〜1 x 1010 CFUの生存可能な細菌または芽胞/組成物1gである。乾燥後、組成物は、即時の使用または無菌包装中での保存の準備ができている。
【0027】
有効成分(即ち、生きている細菌、細胞外成分、または細胞壁成分)は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%;0.01重量%〜約1重量%;または約0.05重量%〜約0.1重量%を構成する。任意で、単離されたバシラス・コアギュランスは、組成物の重量で約1 mg〜約10 g;約10 mg〜約1 g;または約25 mg〜約75 mgを構成する。最も好ましくは、バシラス・コアギュランス細菌の量は、組成物1グラム当たり約5 x 107コロニー形成単位(CFU)の細菌である。
【0028】
一局面において、細菌の量は、プロバイオティック組成物1グラム当たり約104〜1014コロニー形成単位(CFU)の細菌(即ち、栄養細胞および/または細菌芽胞)、好ましくは105〜1013 CFU/組成物1gである。あるいは、濃度は、108〜1013 CFU/g;109〜1012 CFU/g;または1010〜1011 CFU/組成物1gである。一局面において、細菌の量は、組成物1グラム当たり約1 x 106 CFUである。組成物中の実際の量は、組成物中へ分散される組成物の量および分散経路に応じて変化する。
【0029】
一局面において、本発明は、消費の前に室温において無菌包装中に組成物を保存することを提供する。あるいは、組成物は直ちに使用される。別の局面において、組成物は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%単離されたバシラス・コアギュランス芽胞を含む。
【0030】
限定ではなく、例として、バシラス・コアギュランス混合物の温度が芽胞の発芽に必要な要求熱ショック温度(即ち、5分間80℃)へ上げられる限り、バシラス・コアギュランス芽胞は、熱水に溶解されるかまたは熱水と混合される任意のタイプの乾燥または凍結乾燥プロダクト中へ組み入れられ得る。バシラス・コアギュランス芽胞は、製造業者によって乾燥または凍結乾燥プロダクト中へ組み入れられ得る。
【0031】
一局面において、バシラス・コアギュランス芽胞は、約12日〜約2年;約1ヶ月〜約18ヶ月;約3ヶ月〜約1年;または約6ヶ月〜約9ヶ月、保存(貯蔵期間)を生き延びる、即ち、生存能力または生理学的条件(例えば、摂取)で発芽する能力を保持する。
【0032】
抗微生物剤
任意で、本発明の組成物はまた、公知の抗微生物剤、公知の抗ウイルス剤、公知の抗真菌剤を含む。組成物中の他の薬剤は、相乗剤または活性薬剤のいずれかであり得る。好ましくは、公知の抗微生物剤、抗ウイルス剤および/または抗真菌剤は、バシラス・コアギュランスと適合性のプロバイオティック薬剤である。組成物はまた、公知の抗酸化剤、緩衝剤、および他の薬剤、例えば、着色剤、フレーバリング、ビタミンまたはミネラルを含み得る。ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはカルボキシメチルセルロースなどの増粘剤が、組成物へ添加され得る。
【0033】
一局面において、活性薬剤は、それが投与されるヒトまたは動物の皮膚または上皮組織と生理学的に適合性である担体と混合される。即ち、担体は、有効成分の懸濁液の作製において使用される界面活性剤特性を除いては、好ましくは実質的に不活性である。組成物は、組成物中の活性薬剤の効能を妨げない他の生理学的に活性な成分を含み得る。
【0034】
本発明の製剤化組成物は、任意の種々の担体および/または結合剤を使用して重量の点で完成され得る。一局面において、担体は、錠剤、顆粒剤または粉末形態(powdered form)の製剤については固体ベースの乾燥物質であり、液体またはゲル形態の製剤については液体またはゲルベースの物質であり得る。乾燥製剤についての典型的な担体としては、トレハロース、マルトデキストリン、米粉、微結晶性セルロース(MCC) ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、FOS、グルコオリゴ糖(GOS)、デキストロース、スクロースなどの担体が挙げられる。他の例示的な組成物製剤としては、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤が挙げられる。
【0035】
本組成物において使用される化学物質は、Spectrum Quality Products, Inc (Gardena, CA)、Seltzer Chemicals, Inc., (Carlsbad, CA)、およびJarchem Industries, Inc., (Newark, NJ)を含む、種々の商業的供給源から得ることができる。
【0036】
下記に詳述されるように、本発明のバシラス・コアギュランス栄養細胞または芽胞、バシラス・コアギュランス上清、およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分は、免疫応答の増強において有用である。免疫応答の増強は、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、またはIFN-γ)産生の増加、または感染部位への免疫細胞遊走の増加を含む。免疫増強はまた、サイトカイン産生の増加、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面の活性化、免疫細胞走化性の増加、NK細胞の活性化、および/または単球貪食の増加による、免疫系のブーストを含む。
【実施例】
【0037】
実施例1.バシラス・コアギュランス培養物の調製
30℃で標準のエアリフト発酵槽を使用して、pH 7.0へ調節された、5 gペプトン、3 g肉エキス、10〜30 mg MnSO4、および1000 ml蒸留水を含有するニュートリエントブロス中において、バシラス・コアギュランスHammer細菌(ATCCアクセッション番号31284)を接種し、約108〜109細胞/mlの細胞密度まで増殖させた。芽胞形成について許容可能なMnSO4の範囲は、1 mg/L〜1 g/Lである。栄養細胞は45℃まで活発に繁殖することができ、芽胞は90℃まで安定である。発酵後、B.コアギュランス細菌細胞または芽胞を、標準方法(例えば、濾過、遠心分離)を使用して集め、集めた細胞および芽胞を、凍結乾燥、噴霧乾燥、空気乾燥または凍結することができる。本明細書に記載されるように、細胞培養物由来の上清を集め、B.コアギュランスによって分泌される細胞外薬剤の供給源として使用する。
【0038】
上記培養物からの典型的な収量は、乾燥前の1グラム当たり、約109〜1010個の生存可能な芽胞、より典型的には約1000〜1500億個の細胞/芽胞の範囲内にある。芽胞は、乾燥後に室温で10年間まで保存された場合、少なくとも90%生存能力を維持し、従って、室温でのB.コアギュランスHammer芽胞を含有する組成物の有効な貯蔵期間は、約10年である。
【0039】
実施例2.バシラス・コアギュランス芽胞の調製
乾燥B.コアギュランス芽胞の培養物を以下のように調製した。1000万個の芽胞を、24 gポテトデキストロースブロス、10 gの鳥および魚組織の酵素消化物、5 gのFOSおよび10 g MnSO4を含有する1リットル培養物中へ接種した。培養物を72時間高酸素環境下で37℃に維持し、培養物1グラム当たり約1500億個の細胞を有する培養物が産生された。その後、培養物を濾過し、培養培地液体を除去し、細菌ペレットを水中に再懸濁し、凍結乾燥した。次いで、凍結乾燥粉末を、標準優良医薬品製造基準(GMP)を使用して、微粉末へすりつぶした。
【0040】
実施例3.インビトロでのBC30の免疫調節および抗炎症効果
バシラス・コアギュランス(BC)は、耐熱性・耐酸性の芽胞を形成するグラム陽性桿菌である。芽胞または皮膜に包まれた芽胞の経口消費は、BC培養物での腸の一過性コロニー形成を可能にする。芽胞が発芽し、細菌培養物が増殖し、腸管腔中の食物を発酵させる。
【0041】
a)精製されたバシラス・コアギュランス培養上清(BC1)またはb)精製されたバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)へ曝露されると、ヒト免疫細胞の培養物中において免疫活性化が誘導された。これらの2つのフラクションを利用し、例えば、腸管腔内にある粘膜固有層またはパイエル板などの、インビボでの免疫細胞とバシラス・コアギュランスとの相互作用をキャラクタライズした。バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)を、インビトロで一団の細胞ベースアッセイを使用して並行して試験した。
【0042】
バシラス・コアギュランスは、腸において免疫細胞にプラスに影響することがわかった:1)分泌細菌因子は、免疫細胞機能に影響を与える/免疫細胞機能を調節することがわかった;および2)細菌細胞壁成分とToll様および/または他の免疫細胞表面受容体との相互作用は、免疫細胞機能の調節をもたらした。BC細胞壁は、免疫系を活性化するかまたはブーストするように免疫細胞と相互作用する特有の成分を含有する。BCはまた、BCが小腸環境において増殖する際に産生される代謝産物および/または他の因子を分泌する。このような代謝産物/因子としては、抗酸化性および抗炎症性化合物を含むが、これらに限定されない。
【0043】
細菌細胞分画
バシラス・コアギュランス芽胞のサンプルを、50℃で熱活性化し、液体培地に接種した。サンプルを37℃で24時間インキュベートした。この時間は、死滅および細菌分解が顕著でない対数期細菌培養物の形成を可能にする。インキュベーション後、2つのフラクション(バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2))を調製した。全培養物を50 mLバイアル中へデカンテーションし続いて2400 rpmで遠心分離することによって、最初の分離を行った。これによって、ペレットを形成する細菌が得られた。上清を新しいバイアル中へ徐々にデカンテーションした。このバイアルから、より少量の1 mLサンプルをEppendorfバイアル中へ等分し、高速遠心分離へ供し、続いて0.2 umフィルターを用いての2回の連続濾過を行い、インタクトな細菌およびそのフラクションを除去した。無菌の濾過された上清を等分し、多数のアリコートを凍結し-20℃で保存した。後の生物学的アッセイのために、1つのアリコートを各試験日に解凍した。
【0044】
最初の遠心分離からの最初のペレットを使用し、細胞壁フラクションを調製した。湿ったペレットを数回凍結および解凍し、細菌壁を壊して開け、その結果、細胞内化合物を洗浄によって除去することができた。解凍したスラッシュをEppendorfバイアルへ移し、高速遠心分離を使用して生理食塩水中において2回洗浄した。次いで、ペレットをガラスバイアルへ移し、200マイクロメートルの直径を有する低タンパク質結合性ジルコニウムビーズを使用するビーズミリングへ供した。Vortexミキサーを使用して「パルシング」を繰り返すことによって、ミリングを行った。この方法は、細胞壁を壊すために有効である。ビーズを除去し、破壊された細胞壁断片を含有するスラッシュを、多数のアリコートへ滅菌濾過し、これらを直ちに凍結し、-20℃で保存した。後のアッセイのために、1つのアリコートを各試験日に解凍した。
【0045】
末梢血単核細胞および多形核細胞の精製
20歳〜50歳の健康な人間のボランティアが、Sky Lakes Medical Center Institutional Review Board (FWA 2603)によって承認されたように、インフォームド・コンセントを得て、献血者として役立った。ナトリウムヘパリン中の新たに採血された末梢静脈血サンプルを、Histopaque 1119および1077の二重勾配上へ重ね、2400毎分回転数(rpm)で25分間遠心分離した。上部の末梢血単核細胞(PBMC)リッチな界面および下部の多形核(PMN)界面を、新しいバイアル中へ滅菌トランスファーピペットを使用して採取し、2400 rpmでの10分間の遠心分離によってカルシウムまたはマグネシウムを含まないリン酸緩衝食塩水(PBS)10 mLで2回洗浄した。
【0046】
貪食アッセイ
貪食活性の評価を、ヒトPMN細胞を使用して行った。貪食についての粒子の選択は、カルボキシル化フルオロスフェア(Fluorosphere)(Molecular Probes, Eugene OR)であった。0.05 mLフルオロビーズ(Fluorobead)のアリコートをストックボトルから1.5 mLマイクロ遠心チューブ中へ取り出し、PBS中で2回洗浄した。次いで、フルオロビーズを7.5 mL RPMI 1640中に再懸濁した。PMN細胞を、2 x 106細胞/mLの濃度で、RPMI-1640中の96-ウェルプレート中へ平板培養した。BC1またはBC2の10倍連続希釈物10マイクロリットルを、テストウェルへ四つ組で添加し、PBSをコントロールウェルへ四つ組で添加した。プレートを直ちに遠心分離し、上清を除去した。細胞を、フルオロビーズを含有するRPMI-1640中に再懸濁し、次いで連続的なピペット操作でフルオロスフェアと共に2分インキュベートした。0.02%アジ化ナトリウムを含むPBSを添加することによって、貪食活性を停止させた。細胞をアジ化ナトリウムを含むPBS中で2回洗浄し、細胞によって取り込まれなかったビーズを除去した。アジ化ナトリウムの継続的な存在を確実にしながら、サンプルをフローサイトメトリーのためのバイアル中へ移した。サンプルを直ちにフローサイトメトリー(FacsCalibur, Becton-Dickinson San Jose, CA)によって得た。FlowJoソフトウェア(TreeStar Inc., Ashland OR)を使用して、分析を行った。分析の間、PMN集団についてのエレクトロニックゲーティングを、前方および側方散乱特性を使用して行った。各サンプル中のPMN集団内の貪食の相対量を、緑色蛍光についての平均蛍光強度(MFI)によって評価した。未処理サンプルについてのMFI(緑色)は、BC1およびBC2の非存在下での貪食の相対量を示した。BC1およびBC2処理サンプルについてのMFI(緑色)を、未処理サンプルと比較した。
【0047】
PMN細胞による活性酸素種(ROS)産生
PMN細胞のパラレルなサンプルを、様々な10倍連続希釈(1:10、1:100、1:1000)にわたってテストプロダクトと共にまたは未処理のいずれかで、37℃、5%CO2で20分間インキュベートした。フリーラジカルへ曝露されると鮮やかな緑色蛍光性となる、前駆体色素ジクロロフルオレシンジアセタート(DCF-DA)を、DCF-DAの0.05 mgアリコートへ0.18 mLのDMSOを添加することによって調製した。次いで、0.01 mLストックを10 mL PBSへ添加することによって、DCF-DAのワーキング溶液を調製した。PMN細胞をPBS中で3回洗浄し、次いで、DCF-DAワーキング溶液中に再懸濁し、37℃で1時間インキュベートした。未処理コントロールサンプルを除いて、全てのサンプルを、次いで、167 mM H2O2へ45分間曝露し、ROS産生を誘導した。サンプルをPBS中で2回洗浄し、過酸化物を除去し、フローサイトメトリー用のバイアルへ移した。未処理細胞対H2O2負荷細胞のDCF-DA蛍光強度を、フローサイトメトリーによって分析した。コントロールについては四つ組で、BC1およびBC2の各々の用量については二つ組で、データを集めた。PMN細胞中におけるROS形成の相対量を、緑色蛍光強度によって評価した。
【0048】
PMN細胞ランダム遊走ならびに3つの化学誘引物質:f-MLP、IL-8およびロイコトリエンB4への走化性遊走
PMN細胞は、非常に活動的な遊走性の細胞型である(図3)。細菌ペプチド ホルミル-Met-Leu-Phe(f-MLP)ならびに2つの異なる炎症性化学誘引物質IL-8およびロイコトリエンB4(LTB4)へのPMN細胞遊走に対する示差効果を試験した。データ有意性を得るために、以下の実験モデルを四つ組で行った。平板培養を開始する前に、ポリスチレン丸底チューブ中において10分間、GBI-30(GanedenBC30(商標))上清または細胞壁フラクションの10倍連続希釈物と共に、細胞をインキュベートした。この時間の間、Milliporeトランスウェル(3.0μm細孔サイズ)遊走プレートに50μg/mLフィブロネクチンを30分間コーティングした。次いで、化学誘引物質およびRPMI 1640を、トランスウェル遊走プレートの適切な底部チャンバウェルへ150μLの体積で添加した:f-MLP(10 nM)、インターロイキン-8(10μg/mL)、およびロイコトリエンB4(10 nM)。細胞の平板培養の前に吸引によって上部ウェルからフィブロネクチンを除去した。50マイクロリットルの細胞(1 x 106/mL)を上部チャンバ中に平板培養し、次いで、上部チャンバプレートを下部プレート中へ下げ、37℃で一晩インキュベートした。遊走した細胞の相対量の定量化を、底部チャンバに蓄積した細胞の蛍光CyQuant(登録商標)染色によって行った。蛍光強度をTecan Spectrafluor蛍光プレートリーダーにおいて定量化した。
【0049】
K562腫瘍細胞に応答してのNK細胞上でのCD107aの外在化
RPMI 1640中に再懸濁された新たに精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)をこのアッセイのために使用した。細胞を2 x 105/ウェルで丸底96-ウェルマイクロアッセイプレート中に平板培養し、三つ組でテストプロダクトの連続希釈物で処理した。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにした。さらに、PBMCのみおよびK562細胞のみを含有する3つのウェルは、ベースラインCD107a発現についてのネガティブコントロールとして役立った。NK細胞の細胞傷害性研究において広く使用されるNK細胞感受性腫瘍細胞株である、1 x 106個のK562細胞を、プロダクト共にPBMCを含有するウェルおよび未処理PBMCを含有するウェルへ添加した。2400 rpmでの短時間の30秒遠心分離によって、2つの細胞型を緩くペレット化し、続いて37℃で45分間インキュベーションした。細胞をプロセッシングおよび染色のためにV底マイクロタイタープレートへ移した。細胞をCD3-PerCP、CD56-PEおよびCD107a-FITCで染色した。NK細胞上でのCD107aの発現をフローサイトメトリーによって測定した。CD3陰性・CD56陽性NK細胞を、前方および側方散乱特性に基づいてK562細胞から、およびCD3-・CD56+細胞に対するエレクトロニックゲーティングによって他のリンパ球から識別し、続いてCD107aについて蛍光強度を評価した。
【0050】
ナチュラルキラー細胞活性化マーカーの誘導および免疫染色
新たに単離されたPBMCを無菌U底96-ウェル培養プレート(NUNC, Denmark)中に平板培養し、テストプロダクトの連続希釈物で処理した。ナチュラルキラー(NK)およびナチュラルキラーT(NKT)細胞の活性化について、インキュベーション時間は18時間であった。細胞をV底96-ウェルプレート(NUNC Denmark)へ移し、IFバッファー(1%ウシ血清アルブミンおよび0.02%アジ化ナトリウムを含有するPBS)中で洗浄した。細胞をIFバッファー0.05 mL中に再懸濁し、モノクローナル抗体を以前確立された最適量で添加し(CD3-PerCP、CD56-PE、CD69-FITC、およびCD25-FITC:8μL/サンプル)、暗所において室温で10分間インキュベートした。細胞を、0.02%アジドを含む追加のPBS 0.15 mLで2回洗浄した。遠心分離および上清の吸引後、細胞を、0.02%アジドを含むPBS 0.05 mL中に再懸濁し、1%ホルマリン0.4 mLを各々含有する5 mLポリスチレン丸底チューブへ移した。サンプルを暗所に保存し、FACSCaliburフローサイトメーター(Becton-Dickinson, San Jose CA)を使用して24時間以内にフローサイトメトリーによって得た。FlowJo(Tree Star Inc., Ashland OR)ソフトウェアを使用して分析を行った。
【0051】
PHAおよびPWMに応答しての増殖およびサイトカイン産生の調節
10%ウシ胎仔血清、L-グルタミン(5 mM)、ペニシリン(100 U/mL)およびストレプトマイシン(100 mg/mL)が補われたRPMI 1640中に再懸濁された新たに精製されたPBMCを、1 x 106/mLの濃度で、180μLの体積で、U底細胞培養プレート中に平板培養した。次に、BC1およびBC2の10倍連続希釈物20μLを三つ組で個々のウェルへ添加した。ウェルの並列セットにおいて、BC1およびBC2と公知のマイトジェンとの組み合わせ効果を試験した。マイトジェンを、PWM(200μg/mL)5μLおよびPHA(2μg/mL)4μLの濃度で添加し、増殖を開始させた。プレートをパラフィルムで密封し、37℃、5%CO2で5日間インキュベートした。5日後、細胞を平底ブラック96-ウェルプレートへ移し、各培養ウェル中の相対細胞数をCyQuant(登録商標)染色およびTecan Spectrafluor蛍光プレートリーダーによって定量化した。
【0052】
サイトカインビーズアレイ
第5日リンパ球増殖培養物からの上清を採取し、6つのサイトカイン:IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、およびIFN-γの相対レベルを、フローサイトメトリーベースのビーズアレイキット(CBAヒトTh1/Th2サイトカインキットII、BD Biosciences, San Jose, CA)を使用して測定した。サンプルを製造業者の説明書に従って二つ組で試験し、FacsCaliburフローサイトメーター(Becton-Dickinson San Jose, CA)を使用して、フローサイトメトリーによってデータを直ちに得た。FlowJoソフトウェア(TreeStar Inc., Ashland, OR)を使用して分析を行った。
【0053】
統計分析
統計分析は、2つの平均値間の単純な比較を含み、Microsoft Excelを使用して行った。スチューデントのt検定を使用して統計的有意性を試験し、0.05未満のp値は、2つのデータセット間の統計的有意差を示した。
【0054】
抗細菌防御機構
下記に詳述するように、バシラス・コアギュランス上清は、PMN(多形核−白血球(WBC))細胞および単球の両方において、試験した最も高い用量で貪食を誘導した(図34〜35)。バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は両方とも、ランダムPMN細胞遊走、即ち、侵入細菌についてのそれらの清掃活性(通常の免疫監視の一部)を誘導した。両方のフラクション、しかし特に上清が、細菌ペプチドf-MLPへのPMN細胞遊走を誘導し、このことは、バシラス・コアギュランスGanedenBC30(商標)は、細菌侵入が模倣される場合、PMN「攻撃」を増強することを示している。バシラス・コアギュランスGanedenBC30(商標)フラクションをf-MLPと共に混合した場合、即ち、バシラス・コアギュランスGanedenBC30(商標)が腸管腔中において潜在的に病原性の細菌と共存するインビボ状況をシミュレートした場合、両方のフラクション、しかし特に上清はまた、PMN遊走を増強した。
【0055】
抗ウイルスおよび抗癌防御機構
NK細胞は、癌細胞およびウイルスに対する防御において重要である。バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は両方とも、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化した。その後NK細胞を腫瘍細胞と接触させると、フラクションは両方ともNK細胞からのキラー物質の攻撃的な分泌を増強した。
【0056】
抗炎症効果
バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は、抗炎症効果を有する。バシラス・コアギュランスGBI-30(GanedenBC30(商標))フラクションを、非常に低い用量でPMN細胞へ導入した。次いで、PMN細胞は、炎症メディエーターである、ロイコトリエンB4へ遊走するように指示を与えられた。このアッセイは、炎症カスケードの維持におけるPMN細胞の役割を模倣する。Ganeden BC30(商標)は、PMN細胞が通常の免疫監視に従事するかまたは炎症反応に従事するかに応じて、炎症性PMN細胞の遊走を支援または阻害する。
【0057】
実施例4.貪食細胞の活性化に対するバシラス・コアギュランスの効果
実施例4に記載される図の各々について、X軸上の希釈は、各バシラス・コアギュランス(BC)フラクションの試験した希釈を指す。例えば、1:100希釈は、最初の凍結ストック溶液の100倍希釈である。
【0058】
活性酸素種(ROS)産生
多くの天然産物は、炎症細胞中の活性酸素種(ROS)形成を減少させる。しかし、他の産物は、抗微生物防御機構の誘導を示す、ROS形成を増加させる。ヒト多形核細胞(PMN)をROS産生の試験のために使用した。この細胞型は、ヒトにおいて白血球のおよそ70%を構成する。PMNは、ある炎症刺激で大量のROSを産生する。
【0059】
新たに精製されたPMNを、2つのテストプロダクト、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)の連続希釈へ並行して曝露した。テストプロダクトと一緒のインキュベーションの間、細胞膜を通過することができる抗酸化化合物が、PMN細胞の内部に入り得る。細胞を洗浄し、活性酸素種への曝露で蛍光を発するDCF-DA色素を加えた。H2O2の添加によって酸化を誘発した。PMN細胞の蛍光強度をフローサイトメトリーによって評価した。未処理コントロール細胞の低い蛍光強度は、ベースラインとして役立ち、一方、H2O2のみで処理したPMN細胞は、ポジティブコントロールとして役立った。
【0060】
バシラス・コアギュランスへ曝露され、その後H2O2へ曝露されたPMN細胞の蛍光強度がH2O2のみへの曝露と比較して減少する場合、テストプロダクトは抗炎症効果を有する。対照的に、テストプロダクトへ曝露されたPMN細胞の蛍光強度がH2O2のみへの曝露と比較して増加する場合、テストプロダクトは炎症促進効果を有する。
【0061】
図1に示されるように、PMN細胞は、抗炎症機構および炎症促進機構の両方によってシグナル伝達をすることができ、これは、活性酸素種(ROS)の産生の増強または減少のいずれかをもたらし得る。BC1およびBC2は両方とも、PMN細胞中における活性酸素種の自発的な形成の明らかな阻害を示した。BC2の効果はROS形成の用量依存的阻害を示し、一方、BC1の効果は、試験した最も低い用量でより強い抗炎症効果を示した。BC1およびBC2は、1:1000の最も高い希釈で、ベースラインROS形成のおよそ25%阻害を示した。BC1(1:1000)の存在は、自発的なROS形成を22%減少させた(P<0.003)。BC2(1:1000)は、ROS形成を低下させることに対して同様の効果を示した(P<0.004)。しかし、BC2の1:10希釈で、この効果はさらにより強く、自発的なROS形成が38%減少した(P<0.0002)。BC2の全ての希釈について、およびBC1の1:1000希釈について、阻害は非常に有意であった(P<0.01)。BC1の1:100希釈は、ほぼ非常に有意であった(P=0.0137)。
【0062】
図2に示されるように、細胞をBC1およびBC2で処理し、次いで酸化ストレス(H2O2)へ曝露されると、細胞は、ネガティブコントロールと比較して、ROS産生の減少を示した。阻害は、16〜23%の一定割合のままであった。これらの阻害は、1:1000でのBC2(P=0.0539)を除く全ての希釈での両方のフラクションについて統計的に有意(P<0.05)であった。フラクションは両方とも、1:1000希釈でROS産生の非常に顕著な阻害を示した。BC1(1:100)はROS形成を23%減少させ(P<0.02)、一方、BC2(1:100)はROS形成を21%減少させた(P<0.008)。
【0063】
PMN細胞ランダム遊走ならびに3つの化学誘引物質:f-MLP、IL-8およびロイコトリエンB4(LTB-4)への走化性遊走に対する示差効果
PMN細胞は、免疫監視の主要な役割を果たす非常に活動的な遊走性の細胞型である。PMNの遊走挙動は、少なくとも2つのタイプに分類される:a)ランダム遊走およびb)指向性遊走。ランダム遊走は通常の免疫監視の一部であり、一方、指向性遊走は、特定の化学誘引物質への遊走である。
【0064】
ランダム遊走および指向性遊走を両方とも並行して試験した。以下の3つの明確に異なる走化性化合物への指向性遊走を調べた:i)細菌ペプチド f-Met-Leu-Phe(fMLP);ii)炎症性サイトカイン インターロイキン-8(IL-8);およびiii)ロイコトリエンB4(LTB4)。
【0065】
いくつかのテストプロダクトは、通常の抗細菌免疫防御の一部として細菌ペプチドへのPMN遊走を可能にしながら、炎症メディエーターIL-8および/またはLTB4への指向性PMN遊走を特異的に減少させ得る。いくつかの炎症性化学誘引物質への遊走の試験は、ラット足浮腫炎症インビボモデルを厳密に模倣するこのインビトロシステムにおける選択反応を確認するために役立つ。アッセイは、抗細菌免疫防御機構と炎症反応機構との識別を可能にする。
【0066】
新たに精製されたPMN細胞を、ダブルチャンバ遊走プレート中において培養し、底部チャンバは組織を模倣し、上部チャンバは血流を模倣した(図3)。テストプロダクトを含むまたは含まない上部チャンバ中に細胞を平板培養し、一方、様々な化学誘引物質を底部チャンバ中へ置いた。コントロールウェルについては、テストプロダクトを含まない上部チャンバ中に細胞を置き、化学誘引物質を底部ウェル中に置かなかった。この方法で、ベースラインランダム遊走の評価を測定した。全てのアッセイを三つ組で行い、3人の異なる健康な提供者からの新たに単離された細胞を使用して一貫した結果を伴って少なくとも3回繰り返した。
【0067】
バシラス・コアギュランス上清(BC1)を、バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)と比較して、1つの余分な希釈で試験した。GanedenBC30(商標)(バシラス・コアギュランス)の両方のフラクションが、PMN細胞のランダム遊走を誘導し、このことは、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)の両方がPMN細胞の免疫監視局面を活性化したことを示している(図4)。BC1(1:10)はランダム遊走を300%増加させ(p<0.001)、BC2(1:10)はランダム遊走を200%増加させた(p<0.005)。より高い用量のBC1およびBC2は両方とも、細菌ペプチドf-MLPへの遊走を増加させ、このことは、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)が抗細菌防御機構を誘導することを示している(図5)。
【0068】
驚いたことには、より薄い濃度では、BC1およびBC2は、f-MLP指向性遊走の量を減少させ、このことは、異なるレベルのバシラス・コアギュランスは、腸内の免疫細胞に対して異なる効果を有することを示している。BC1(1:10,000)はf-MLP指向性遊走を11%減少させ;しかし、これは統計的に有意ではなく、BC(1:1000)は、f-MLP指向性遊走を46%減少させた(P<0.005)。
【0069】
より高い用量のBC1およびBC2でのPMN細胞の処理は、IL-8指向性遊走を増強した(図6A)。この増加した遊走は、BC1(P<0.002)およびBC2(P<0.002)の両方について1:10希釈で非常に有意であった。対照的に、より低い用量のBC1およびBC2は、IL-8指向性遊走を減少させた。BC2の1:1000希釈で、遊走の65%減少が見られ、これは非常に統計的に有意であった(P<0.00001)。
【0070】
遥かにより少ない用量のBC1およびBC2の両方を用いてIL-8指向性PMN遊走の用量研究を行った。図6Bに示されるように、IL-8指向性PMN遊走の減少が、BC2の全ての希釈で示された。BC2のこの効果は1010希釈で最も強く、ここで、遊走が63%阻害された(p<0.02)。低用量でのPMN細胞のBC1処理もまた、IL-8指向性遊走を減少させた。IL-8指向性PMN遊走阻害の興味深いパターンが、BC1およびBC2の両方で見られた。いずれのプロダクトも線形用量曲線を示さず、しかしむしろBC1およびBC2の両方の中間用量(104〜108)が、より高いまたはより低い用量と比較して、IL-8指向性遊走のより少ない阻害を示した。これらの結果は、炎症促進性化合物および抗炎症性化合物が、バシラス・コアギュランス上清(BC1)およびバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)の両方の中に恐らく共存することを示している。
【0071】
BC1およびBC2フラクションはまた両方とも、LTB4指向性PMN遊走に対して二重効果を有した。より低い用量で、BC1およびBC2は両方とも、LTB4へのPMN遊走の用量依存的減少を示した(図7)。BC2の1:1000希釈は、遊走を52%阻害した(p<0.002)。BC1の1:1000(p<0.008)および1:10000(p<0.002)希釈で処理された細胞はまた、抗炎症効果を示し、これは非常に統計的に有意であった。逆に、BC1の1:10希釈は、LTB4へのPMN遊走の有意な増加を生じさせた(p<0.003)。
【0072】
PMN細胞遊走に対する化学誘引効果
以下の3つの化学誘引物質の相乗効果を調べた:細菌f-MLP、IL-8、およびロイコトリエンB4(図8)。このアッセイは、上述のものと同一のセットアップを使用して、PMN細胞の遊走特性を試験し;しかし、BCフラクションを、細胞を含む上部チャンバへ適用せず、しかし底部チャンバ中に平板培養し、それよって走化性勾配を提供した。テストプロダクトが化学誘引化合物を含有する場合、上部チャンバから底部チャンバへのPMN細胞遊走が、未処理ウェルと比較して増加した。
【0073】
あるグループにおいて、BCフラクションを底部チャンバへ添加し、BCフラクションの直接的な化学誘引特性を測定した。別のグループにおいて、BCフラクションを、以下の化学誘引物質:細菌f-MLP、IL-8およびロイコトリエンB4の各々と組み合わせて底部チャンバ中に平板培養し、BCフラクションおよび公知の化学誘引物質の両方の存在下でのPMN遊走に対する相乗効果を調べた。
【0074】
2つのバシラス・コアギュランスフラクションは、同一の細菌培養物に由来するにもかからず異なる効果を有する(図8)。より高い用量のバシラス・コアギュランス上清(BC1)は強力な走化性効果を有し、一方、バシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)は、最も高い用量でさえ、化学誘引効果を示さなかった。対照的に、BC1は遊走の量を減少させ、このことはBC1が抗炎症効果を有することを示している。
【0075】
図9に示されるように、2つのバシラス・コアギュランスフラクションは、f-MLP指向性遊走に対して非常に異なる効果を有した。より高い用量のBC1は、f-MLP指向性遊走活性を増強した。BC1(1:10)の化学誘引効果は、遊走を55%増加させた(P<0.01)。BC2の最も高い用量を除いて、このフラクションは、f-MLPへの遊走を減少させた。PMN細胞とBC2との相互作用は、細胞をf-MLPに対して遙により低い応答性にした。BC2(1:1000)処理細胞は、遊走を52%阻害した(P<0.001)。
【0076】
図10に示されるように、2つのバシラス・コアギュランスフラクションはまた、IL-8指向性遊走に対して非常に異なる効果を有した。全ての用量のBC1は、IL-8指向性遊走活性を増強した。BC1(1:10)の化学誘引効果は、統計的に有意であった(P<0.00001)。BC2は二重効果を有した。より高い用量で、BC2はIL-8誘導遊走を増強した。しかし、試験した最も低い用量で、このフラクションはIL-8への遊走を減少させた。PMN細胞とBC2との相互作用は、細胞をIL-8に対して遙により低い応答性にした。BC2(1:1000)処理細胞は、遊走を49%阻害した(P<0.004)。
【0077】
図11に示されるように、2つのバシラス・コアギュランスフラクションはまた、LTB4指向性遊走に対して非常に異なる効果を有した。全ての用量のBC1は、LTB4指向性遊走活性を増強した。BC1(1:10)の化学誘引効果は、統計的に有意であった(P<0.002)。
【0078】
BC2は二重効果を有した。より高い用量で、それは、LTB4誘導遊走を増強した。しかし、1:100用量で、このフラクションは、LTB4への遊走を減少させた。PMN細胞とBC2との相互作用は、細胞をLTB4に対してより低い応答性にした。BC2(1:100)処理細胞は、遊走を11%阻害した(P<0.01)。
【0079】
マクロファージ貪食活性に対する効果
微生物粒子の貪食は、先天性免疫応答の重要な部分である。それは迅速なプロセスであり、この細胞機能の増強に対するテストプロダクトの効果は、ほぼ即時であり得る。どれぐらいよくPMN細胞が緑色蛍光性カルボキシル化フルオロスフェアを飲み込んだかによって、貪食を測定した。次いで、貪食細胞の平均蛍光強度(MFI)を、フローサイトメトリーによって評価した。新たに精製された末梢血単核細胞を、バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかで3分間前処理し、次いで、細菌を模倣する蛍光性マイクロ粒子へ導入した。細胞に粒子を2分間取り込ませ、その後、遊離のマイクロ粒子を遠心分離によって除去した。次いで、貪食細胞の蛍光強度をフローサイトメトリーによって評価した。エレクトロニックゲーティングを単球集団に対して行い、平均蛍光強度(MFI FL3)を測定することによって分析を行った。貪食のより速いまたはより強力な速度は、1細胞あたりの蛍光性マイクロ粒子のより高い数をもたらす。
【0080】
図12に示されるように、1:10の希釈でのBC1は単球貪食を増加させた。28%のこの増加は非常に有意であった(P<0.01)。図13に示されるように、BC1およびBC2は、ネガティブコントロールと比較して、PMN細胞中の貪食を増加させた。1:10希釈のBC1へのPMN細胞の曝露は、貪食を40%増加させた(p<0.02)。1:10希釈のBC2へのPMN細胞の曝露は、貪食を25%増加させた(p<0.008)。両方のプロダクトのさらなる希釈は、PMN貪食を減少させた(p<0.05)。
【0081】
図30Aおよび30B中の画像は、蛍光顕微鏡から撮影された写真を示す。コントロールは、貪食に従事した未処理PMN細胞を示す(図30A)。緑色ビーズは、細菌粒子を模倣するカルボキシル化フルオロスフェアである。図30Bは、BC2で処理されたPMN細胞を示す。この細胞は、図30Aにおける未処理細胞よりも多い多数のフルオロスフェアを取り込んだ。この図は、上記のデータと組み合わせて、バシラス・コアギュランスが、外来物質を飲み込むための貪食細胞の能力を増加させることを示している。
【0082】
実施例5.NK細胞の活性化
ナチュラルキラー(NK)細胞は、形質転換細胞およびウイルスに対する主要な防御機構に関与する。これらの細胞は、休止状態で血流中を移動するが、以下のために直ちに活性化され得る:a)細胞接触またはパーフォリンおよびグランザイムなどの細胞傷害性化合物の分泌のいずれかによって癌細胞を殺滅するため、b)増殖するため、およびc)前記部位中へ他の細胞を誘引する物質を分泌するため。NK細胞活性化に対するBC1およびBC2の可能性のある効果を調べるために、NK活性化細胞表面マーカーCD69の発現の変化を調べた。このマーカーの発現の増加は、NK細胞の細胞傷害活性の増加と関連付けられた(Clausen et al., 2003 Immunobiol, 207(2):85-93)。
【0083】
新たに精製されたヒト末梢血単核細胞をこれらのアッセイのために使用した。細胞を96-ウェルマイクロアッセイプレート中に三つ組で平板培養した。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにした。ポジティブコントロールを100国際単位/mL(IU/mL)の用量にてIL-2で処理した。18時間の培養後、CD3陰性・CD56陽性NK細胞の表面上のおよびCD3陽性・CD56陽性NKTリンパ球上の活性化分子CD69および増殖因子受容体CD25について細胞を染色し、インビトロでNKおよび/またはNKT細胞の活性化を評価した。
【0084】
図14は、バシラス・コアギュランス上清(BC1)またはバシラス・コアギュランス細胞壁成分(BC2)のいずれかへのNK細胞の曝露後の、NK活性化マーカーCD69の平均蛍光強度の変化を示す。BC1およびBC2は両方とも、NK細胞上でのCD69の発現の明らかな用量依存的誘導を示した。効果は、1:400希釈でBC1およびBC2の両方について高い統計的有意性に達し、ここで、CD69発現は、BC1については32%(p<0.01)、BC2については36%(p<0.003)増加した。
【0085】
図15は、NKT細胞上でのCD25の発現を示す。BC1およびBC2の両方について、ベースラインレベルと比較して、CD25発現の大きな差異はなかった。BC1の1:100希釈が発現を増加させた一方、この変化は統計的有意性に達しなかった。未処理細胞とBC1またはBC2のいずれかで処理されたものとを比較した場合、T細胞上でのCD25発現の変化は観察されなかった。
【0086】
腫瘍細胞に応答してのNK細胞上でのCD107aの外在化
NK細胞の機能の1つは、細胞間接触によっておよびパーフォリンなどの物質の分泌によって、腫瘍細胞およびウイルス感染細胞を殺滅することである。このプロセスの間、NK細胞の細胞質中の顆粒の内部上に発現されるCD107a受容体は、細胞表面へ一時的に持ってこられる。従って、NK細胞上でのCD107a発現は、細胞傷害性物質の分泌によるそれらの細胞傷害活性の指標である。
【0087】
新たに精製されたヒト末梢血単核細胞をこのアッセイのために使用した。細胞を丸底96-ウェルマイクロアッセイプレート中に平板培養し、テストプロダクトの連続希釈物にて三つ組で処理した。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにした。全ての他のウェルを、NK細胞の細胞傷害性アッセイにおいて広く使用される、NK細胞感受性K562腫瘍細胞株の添加のために使用した。ポジティブコントロールウェルを、テストプロダクトを添加しないままにした。全ての残りのウェルをテストプロダクトの連続希釈物で処理した。2つの細胞型を短時間の15秒遠心分離によって物理的に一緒にし、37℃で45分間インキュベートした。細胞をプロセッシングおよび染色のためにV底マイクロタイタープレートへ移した。NK細胞上でのCD107aの発現をフローサイトメトリーによって分析し、ここで、NK細胞を、CD3およびCD56についての陽性染色に基づいて他のリンパ球から、およびサイズに基づいてK562細胞から識別した。インビトロでのNK細胞の細胞傷害活性を測定した。このアッセイにおける反応は、非悪性のウイルス感染細胞に対して同様の反応を予想する。
【0088】
図16は、BC1またはBC2の添加有りまたは無しで、腫瘍細胞へ曝露された、ナチュラルキラー細胞上でのCD107a発現の平均蛍光強度(MFI)の変化を示す。BC1およびBC2は両方とも、CD107a細胞表面発現の軽度の増加を示し、BC2は1:200希釈で最も強い効果を有し;効果は統計的有意性に全く達しなかった(p<0.07)。
【0089】
実施例6.適応免疫機能の支援:2つの公知のマイトジェンに応答してのリンパ球増殖およびサイトカイン産生の調節
一連のアッセイを行い、テストプロダクトが大きな免疫応答を誘発するかどうかを測定した。天然産物の標準的な安全性試験の一部分として、テストプロダクトを、細胞分裂促進可能性について、即ち、それらが健康なヒトリンパ球において細胞分裂を誘導するかどうかについて調べた。細胞分裂促進可能性の試験と同時に、テストプロダクトを、適応免疫防御を担う細胞、即ち、TおよびBリンパ球に対するそれらの効果について調べた。リンパ球増殖アッセイは、組成物が公知のシグナルに対するリンパ球応答性を変化させるかどうかを評価するための単純な方法を提供する。組成物の存在下での公知のマイトジェンに対する増殖応答の変化は、TおよびBリンパ球シグナル伝達および活性化などの免疫調節効果を示す。
【0090】
マイトジェンの存在および非存在下で連続希釈物において組成物を試験した。2つのマイトジェンを並行して試験した:T細胞増殖を誘導するT細胞マイトジェンである、フィトヘマグルチニン(PHA)、培養物中におけるT細胞、B細胞および単球の協力を要求するマイトジェンである、ポークウィードマイトジェン(PWM)。PHAはより鮮やかなシグナルであるが、PWMはより生理学的なシグナルである。
【0091】
新たに精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、組成物の連続希釈物の存在下に対して非存在下で培養した。培養物の3つの並列セットを確立し、ここで、1つは、リンパ球増殖に対するテストプロダクトの直接効果を試験し、2つの他のものは、公知のマイトジェンに対する反応への組成物の干渉を調べた。ポジティブコントロールは、テストプロダクトの非存在下でマイトジェンのみで処理された細胞を含んだ。マイトジェン誘導増殖の変化(増加、減少)は、免疫調節化合物の存在の強い表示である。
【0092】
BC1もBC2も、プロダクトおよび培養培地と共の37℃での5日間のインキュベーション後、リンパ球増殖に対して細胞分裂促進効果を有さなかった。
【0093】
BC1およびBC2は両方とも、PHAおよびPWMの存在下でリンパ球増殖の減少を示した(図17および18)。この減少は、PHAおよびPWMの両方の存在下でBC1の全ての用量で有意であり(p<0.02)、BC2の2つの最も高い濃度で有意であった(p<0.02)。さらに、高い統計的有意性が、PHAの存在下でBC1について1:10(p<0.003)および1:100(p<0.002)用量でならびにBC2について1:10(p<0.004)用量で、ならびにPWMの存在下でBC1について1:100(p<0.005)用量でならびにBC2について1:10(p<0.002)および1:100(p<0.006)用量で、達成された。
【0094】
血球計算ビーズアレイ
6つのサイトカイン、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-αおよびINF-γについてのフローサイトメトリーベースのTh1/Th2サイトカインビーズアレイ(CBA)を使用し、5日リンパ球培養物からの上清中に存在するサイトカインのレベルを評価した。図19〜20において、サイトカイン濃度の相対変化が、3つのプロダクト希釈物にわたる6つの全てのサイトカインの変化を示している概観グラフにおいて先ず示されている。BC1およびBC2について別個のグラフがあり、変化が、ベースライン(プロダクト無しで培養されたリンパ球)からの変化の倍率として示されている。
【0095】
リンパ球をまた、2つの異なるマイトジェンの存在下で(プロダクト有りまたは無しで)培養した。フィトヘマグルチニン(PHA)を使用してT細胞増殖を誘導し、ポークウィードマイトジェン(PWM)を使用して、培養物中におけるT細胞、B細胞および単球の協力を要求するプロセスにおいてTおよびBリンパ球増殖を誘導した。プロダクトの非存在下で培養されたリンパ球とBC1またはBC2のいずれかの1:100希釈物の存在下で培養されたリンパ球とを比較した。このデータは、各個々のサイトカインについて別個のグラフにおいて示され、さらに、プロダクト無しまたはBC1およびBC2の1:100希釈物有りのいずれかでマイトジェン無しで培養されたリンパ球中のサイトカインレベルの変化を比較する。
【0096】
マイトジェンの非存在下で、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、未処理PBMCと比較して、IL-2レベルを減少させた(図21)。この減少は、BC1およびBC2について統計的に有意であった(p<0.002)。BC1対BC2処理単独と比較して、いずれかのマイトジェンの存在下でのBC1またはBC2処理で、IL-2レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。
【0097】
マイトジェンの非存在下で、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、未処理PBMCと比較して、IL-4レベルを増加させた(図22)。この増加は、BC1(p<0.002)およびBC2(p<0.01)の両方について統計的に有意であった。BC1対BC2処理単独と比較して、いずれかのマイトジェンの存在下でのBC1またはBC2処理で、IL-4レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。
【0098】
図23に示されるように、マイトジェンの非存在下での、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、IL-6産生の大量の誘導をもたらした。増加は、非常に統計的に有意であった(P<0.00002)。BC1対BC2処理単独と比較して、ポークウィードマイトジェンの存在下でのBC1またはBC2処理で、IL-6レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。BC1(P<0.001)およびBC2(P<0.0009)によるIL-6誘導は両方とも、非常に統計的に有意であるとわかった。
【0099】
図24に示されるように、マイトジェンの非存在下での、PBMCのBC1およびBC2処理は両方とも、IL-10産生を誘導した。増加は非常に有意であった(P<0.008)。BC1およびPHAの両方で処理されたPBMCは、細胞がいずれかのプロダクト単独で処理された場合と比べてより高いIL-10産生をもたらした(P<0.0009)。BC1およびPWMでのPBMCの処理もまた、IL-10産生の増加をもたらした;しかし、データは統計的に有意ではないとわかった。BC2処理単独と比較した場合、いずれかのマイトジェンの存在下でのBC2処理で、IL-6レベルの統計的に有意な変化は観察されなかった。
【0100】
マイトジェンの非存在下で、TNF-α産生は、BC1およびBC2の存在下の両方で、未処理PBMCよりも僅かに低かった(図25Aおよび25B)。この軽度の減少は、BC1またはBC2のいずれについても統計的に有意ではなかった。PHAの存在下でのBC1またはBC2のいずれかでのPBMCの処理は、TNF-α発現の2倍減少をもたらし、これは、BC1(P<0.002)およびBC2(P<0.006)の両方について統計的に有意であった。対照的に、PWMの存在下でのBC1およびBC2でのPBMCの処理は、TNF-αレベルの強力な増加をもたらした。PWMの存在下で、BC1処理は11倍増加(P<0.003)をもたらし、BC2処理は22倍増加(P<0.001)をもたらした。
【0101】
マイトジェンの非存在下で、INF-γレベルは、BC1およびBC2での処理の両方に応答して増加した(図26Aおよび26B)。BC1(P<0.001)およびBC2(P<0.0004)の両方について、これらの変化は非常に統計的に有意であった。PHAの存在下でのBC1またはBC2のいずれかでのPBMCの処理は、INF-γ発現の統計的に有意な変化をもたらさなかった。対照的に、PWMの存在下でのBC1およびBC2でのPBMCの処理は、INF-γレベルの3倍(BC1)および4倍(BC2)増加をもたらし、これらは両方とも統計的に有意であった(P<0.0004)。
【0102】
実施例7.抗酸化効果:細胞ベースの抗酸化保護アッセイ
抗酸化剤テストについてのバイオアッセイである、赤血球中における細胞ベースの抗酸化保護(Cell-based Antioxidant Protection in Erythrocytes)(CAP-e)アッセイにおいて、培養上清および細胞壁フラクションを試験した(図27〜29)。このアッセイは、酸素ラジカル吸収能(ORAC)テストと同等の方法で抗酸化可能性の評価を可能にするが、脂質二重層細胞膜を通過することができる抗酸化剤の測定のみを可能にする。モデル細胞型として、赤血球(RBC)を使用した。これは、炎症促進性化合物が反応性酸化性バーストを誘導し得るPMN細胞などの他の細胞型とは対照的に、不活性な細胞型である。このアッセイは、細胞ベースのシステムで複合天然産物由来の抗酸化剤を評価するために特に有用である。
【0103】
新たに精製されたヒトRBCを、生理食塩水中で繰り返し洗浄し、次いでテスト組成物へ曝露した。テストプロダクトと共のインキュベーションの間、細胞膜を通過することができる抗酸化化合物が、RBCの内部に入り得る。次いで、RBCを洗浄し、細胞によって吸収されなかった化合物を除去し、活性酸素種への曝露で蛍光を発するDCF-DA色素を加えた。ペルオキシルフリーラジカルジェネレーターAAPHの添加によって、酸化を誘発した。蛍光強度を評価した。未処理コントロール細胞の低い蛍光強度はベースラインとして役立ち、AAPH単独で処理したRBCは、最大酸化損傷についてのポジティブコントロールとして役立つ。テストプロダクトへ曝露されその後AAPHへ曝露されたRBCの減少した蛍光強度の観察は、テストプロダクトが、細胞中へ浸透しこれらを酸化損傷から保護するために利用可能な抗酸化剤を含有することを示している。
【0104】
BC1およびBC2の試験のために、新たに単離されたRBCおよび45日間保存されたRBCの両方における抗酸化保護能力を試験した。新鮮なRBCは、食物由来の抗酸化剤ならびに酸化還元酵素を含有する。保存によって、抗酸化剤は消耗され、酵素機能は経時的に低下し得る。BC1およびBC2は両方とも、RBC中へ入ることができる化合物を含有した。これらの化合物は、新鮮なRBC中へより効率的に入った。しかし、BC1由来の化合物は、抗酸化能力を有さなかった。対照的に、それらは、RBC内部の抗酸化保護機構を妨害した。非常に軽度の抗酸化保護が、BC2へ曝露された古い細胞において見られる。
【0105】
細胞を含まないBC上清(BC-1)および細胞を含まない細胞壁フラクション(BC-2)による免疫応答の調節
要約すると、BC1およびBC2は両方とも、自発的なROS形成を阻害し、酸化ストレスがPMNへ適用された場合のROS形成を減少させた。より高い濃度では、BC1およびBC2は両方とも、細菌ペプチドへのPMN細胞の遊走を増加させ、このことは、細菌検出におけるPMNの免疫監視機能の増強を示している。逆に、低濃度では、BC1およびBC2は両方とも、細菌ペプチドへのPMN細胞の遊走を減少させ、このことは、低濃度では、バシラス・コアギュランスの上清および細胞壁調製物中に存在する化合物は、細菌ペプチドシグナルへ応答するPMNの能力に対して免疫調節効果を有することを示している。この効果は、どのように免疫系が腸内に存在する(有益な)共生細菌に対する細菌感染に対して応答するかを指示するプロセスの基礎となる。最も高い用量のBC1は単球貪食を増加させた。BC2は単球貪食を増加させなかった。BC1およびBC2は、最も高い用量で、PMN貪食を増加させた。NK発現(CD69)は、試験したBC1およびBC2の全ての希釈において増加した。BC1およびBC2は両方とも、全ての用量でリンパ球増殖を減少させた。バシラス・コアギュランスフラクションは両方とも、IL-2およびTNFを減少させた。これらのサイトカインは、マクロファージ活性化に向けられる、公知のTH1サイトカインである。しかし、軽度の増加が、両方のバシラス・コアギュランスフラクションについてのIFN-γ産生について見られた。バシラス・コアギュランスフラクションは両方とも、IL-4、IL-6、およびIL-10の産生を増加させた。これらのサイトカインは、TH2産生へより直接関連付けられ、これは、適応免疫系についての抗原提示細胞であるB細胞にシグナル伝達しこれをを活性化するのを助けるために使用される。BC1およびBC2は両方とも、公知の化学誘引物質IL-8へ指向される場合のPMN細胞の遊走を妨げることができた。この強力な抗炎症効果は、広範囲の希釈物にわたって有意であった。バシラス・コアギュランス細胞壁は、炎症性化学誘引物質LTB4へ指向される場合のPMN細胞の遊走を阻害した。
【0106】
実施例9:バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の分画
バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分中の異なる分子量化合物を分画/精製し、それらの生物学的効果を評価した。3つの分子範囲フラクションを様々な生物学的活性について調べる。
【0107】
2つのテストフラクション(細胞壁および上清)ならびに芽胞の調製
BC芽胞のサンプルを熱活性化し、液体培養培地に接種した。サンプルを37℃で24時間インキュベートした。この時間は、死滅および細菌分解が顕著でない対数期細菌培養物の形成を可能にする。インキュベーション後、2つのフラクション(細胞壁および上清)を調製する。全培養物を50 mLバイアル中へデカンテーションし2400 rpmで遠心分離することによって、最初の分離を行う。細菌集合体がペレットを形成する。上清を新しいバイアル中へ徐々にデカンテーションする。このバイアルから、より少量の1 mLサンプルをEppendorfバイアル中へ等分し、高速遠心分離へ供し、続いて3回の連続濾過を行い、インタクトな細菌およびそのフラクションを除去する。無菌の濾過された上清を等分し、多数のアリコートを-80℃で直ちに凍結させる。最初の遠心分離からの最初のペレットを使用し、細胞壁フラクションを調製する。湿ったペレットを凍結および解凍する。解凍したスラッシュをEppendorfバイアルへ移し、高速遠心分離を使用して生理食塩水中において2回洗浄する。次いで、ペレットをガラスバイアルへ移し、100マイクロメートルの直径を有する低タンパク質結合性ジルコニウムビーズを使用するビーズミリングへ供する。Vortexミキサーを使用して「パルシング」を繰り返すことによって、ミリングを行う。ビーズを除去し、破壊された細胞壁断片を含有するスラッシュを、多数のアリコートへ滅菌濾過し、これらを-80℃で直ちに凍結する。
【0108】
バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の生物学的活性
BCの上清および細胞壁フラクション中の主なタンパク質/炭水化物化合物の分子量を確認するために、電気泳動を使用し、バシラス・コアギュランスフラクションおよび芽胞を構成するタンパク質および多糖類を理解する。典型的なタンパク質ゲル電気泳動法を図31に示す。このプロセスは、分子量によってタンパク質および多糖類を分離し、BCフラクションの各々についての価値のあるフィンガープリントを提供する。電気泳動分離は、プロダクト中の特定のタンパク質および多糖類の相対量についての情報を提供する。
【0109】
上清および細胞壁フラクションの前記バッチのゲル電気泳動は、関心対象のいくつかの領域を示した。上清は、5〜10 kDa未満の、即ち、SDSゲル電気泳動によって明確に分画することができる範囲未満の化合物を含有する(図32中の語句「BC上清」の下のスミアを参照のこと)。両方のフラクションは、10 kDa範囲に二重のバンドを含有した。上清は、20〜30 kDaおよび50〜150 kDaのいくつかのさらなる顕著なバンドを含有した。上清および細胞壁フラクションの分画を、3つのフラクションまたは精製調製物を得るために行う:A)3 kDa未満、B)3〜30 kDa、および精製C)30〜200 kDa。細胞壁由来の主要な生物活性化合物はフラクションB中にある。製品開発の段階の間の製品一貫性を確実にするためのツールとして、電気泳動を使用する。それはまた、製造の間の定期的な品質管理ツールとして有用である。
【0110】
上清フラクションおよび細胞壁フラクションの両方の分子量(<3、3〜30、30〜200 kDa)によるサイズ分画を行い、3つの主要な確認された生物学的活性をさらにキャラクタライズする:a)炎症メディエーターに応答しての細胞遊走の阻害によって測定される、抗炎症効果;b)NK細胞活性化に対する効果;およびc)サイトカイン産生に対する効果。
【0111】
抗炎症効果:ロイコトリエンB4指向性遊走の阻害
PMN細胞は、非常に活動的な遊走性の細胞型である。バシラス・コアギュランスフラクションは、公知の炎症性サイトカインLTB4へ曝露されると強力な抗炎症効果を有する。粗製BC細胞壁およびBC上清を以下の分子量範囲へ分画する:a)<3 kDa、b)3〜30 kDa、およびc)30〜20OkDa。同様の体積のバシラス・コアギュランス細胞壁および上清を、特定の分子量フラクションを濾過して取り除く遠心分離カラム中へ配置する。遠心分離後、残りの体積を連続希釈し、上部チャンバ中へ平板培養する前にPMNと共に配置する。
【0112】
新たに精製されたPMN細胞培養物をダブルチャンバ遊走プレート中に設定し、ここで、図33に記載されるように、底部チャンバは組織を模倣し、上部チャンバは血流を模倣する。細胞を、テストプロダクト有りまたは無しで上部チャンバ中へ平板培養し、異なる化学誘引物質(LTB4)を底部チャンバ中に存在させる。全てのアッセイを三つ組で行い、一貫した結果を伴って少なくとも3回繰り返す。炎症性化学誘引物質LTB4への遊走の試験は、ラット足浮腫などの炎症のインビボモデルを厳密に模倣するこのインビトロシステムにおける選択反応を確認する。アッセイは、通常のPMN防御機構と炎症に対する応答との識別を可能にする。バシラス・コアギュランス芽胞の抗炎症活性も調べる。これらのアッセイは、どの分子量化合物がBC上清および細胞壁フラクションの抗炎症効果を担うかを確認する。
【0113】
ナチュラルキラー細胞活性化(CD69発現)
粗製BC細胞壁およびBC上清を以下の分子量範囲へ分画する:a)<3 kDa、b)3〜30 kDa、およびc)30〜200k Da。上述のように、両方のBCフラクションがNK細胞を活性化した。NK細胞上でのCD69活性化マーカーの誘導を測定する。新たに精製されたヒト末梢血単核細胞をこれらのアッセイのために使用する。細胞を96-ウェルマイクロアッセイプレート中に三つ組で平板培養する。ネガティブコントロールウェルを三つ組で未処理のままにする。ポジティブコントロールを100国際単位/mL(IU/mL)の用量にてIL-2で処理する。18時間の培養後、細胞をCD3陰性・CD56陽性NK細胞の表面上の活性化分子CD69について染色する。
【0114】
バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の生物学的活性もまた、乾燥および再構成の後に評価し、生物活性が乾燥後に保存されるかどうかを測定する。
【0115】
このアッセイは、どの分子量化合物がBC上清および細胞壁フラクションのNK細胞活性化効果を担うかを確認する。NK細胞を活性化するバシラス・コアギュランス芽胞の能力も調べる。
【0116】
サイトカイン産生
粗製BC細胞壁およびBC上清を以下の分子量範囲へ分画する:a)<3 kDa、b)3〜30 kDa、およびc)30〜200 kDa。前述の実験は、BCフラクションがサイトカイン産生の変化を直接誘導することを示した。フラクションを調べ、どの分子量範囲の化合物がBC上清および細胞壁フラクションのこの変化を担うかを確認する。新たに精製されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、BCフラクションの連続希釈物の存在下に対して非存在下で培養する。バシラス・コアギュランス上清および細胞壁成分の生物学的活性もまた、乾燥および再構成の後に評価し、生物活性が乾燥後に保存されるかどうかを測定する。
【0117】
サイトカインIL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、およびIFN-γの産生を誘導するバシラス・コアギュランス芽胞の能力もまた調べる。
【0118】
実施例10:免疫系に対するGBI-30(GanedenBC30)(生存可能な細胞および芽胞)の効果を評価するための対照試験
アデノウイルスおよびインフルエンザがチャレンジされた場合の、健康な個体における免疫系に対するGanedenBC30(バシラス・コアギュランスGBI-30、ATCC指定番号PTA-6086)の有利な効果を評価した。Tリンパ球活性についてのマーカーである%CD3CD69細胞に対する健康な個体中におけるGanedenBC30(バシラス・コアギュランスGBI-30、ATCC指定番号PTA-6086)の有利な効果を測定するために、研究をさらに行った。
【0119】
10人の健康な成人被験体をこの研究のために募集した。同時の病気または最近の予防注射は許容されなかった。血液を第0日にベースラインで採取した。30日間毎日、5億CFUのGanedenBC30を含有する1カプセルを毎日消費するように被験体に指示した。血液を第30日に再び採取した。1人の被験体がベースラインで統計的に異なったために、9人の被験体のみを最終分析において使用した。
【0120】
血液サンプルを採取し、アデノウイルスまたはインフルエンザAのいずれかで刺激し、24時間インキュベートし、次いでボルテックスした。100マイクロリットルのサンプルを抜き取り、そのうちの20マイクロリットルを%CD3CD69試験のために使用した。残りのサンプルからの900マイクロリットルを抜き取り、遠心分離し、血漿を除去した。血漿のサンプルを採用し、サイトカイン試験において使用した。種々のサイトカインを試験し、統計的に変化したものを以下に記載する。
【0121】
5億CFU/日が消費された場合、被験体の免疫系は、アデノウイルスおよびインフルエンザAの両方でチャレンジされるとブーストされた。%CD9CD69細胞が後で増加し、Tリンパ球活性を増加させる能力が示された。統計的に有意な変化が、インフルエンザAへ曝露された場合にIL-8産生(P=0.039)において、およびアデノウイルスへ曝露された場合にINF-γ産生(P=0.039)において見られた。%CD3CD69の統計的に有意な増加(P=0.023)が、アデノウイルスおよびインフルエンザAの両方に対して見られた。
【0122】
これらのデータは、20億CFUのGanedenBC30を含有するプロバイオティック組成物は、毎日消費された場合、免疫系をブーストしたことを示している。5億CFU/日のみで消費された場合、組成物は、免疫系に対して統計的に有意なブーストならびにTリンパ球活性増加を示すことができた。
【0123】
他の態様も本発明の範囲および精神内にある。本明細書に記載の例の様々な成分が、他の例中の様々な成分で交換および/または置換され得ること、および他の修飾が可能であり得ることが、当業者によって認識される。参照により本明細書に組み入れられる材料が本開示の用語と矛盾する程度まで、本開示は支配的であるように意図される。さらに、上記の説明が本発明に言及する一方、説明は2つ以上の発明を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において微生物病原体に対する免疫応答を増強する方法であって:
該微生物病原体に感染した被験体を同定する工程;および
該免疫応答を増強する量の、生存可能なバシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)細菌、該細菌の生存不能な断片、または該細菌の生存不能な細胞外産物を含む組成物を、該被験体へ投与する工程
を含む、方法。
【請求項2】
バシラス・コアギュランス細胞壁成分またはバシラス・コアギュランス上清を前記被験体へ投与する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記微生物病原体が細菌またはウイルスである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記病原体がウイルス性呼吸器感染症を引き起こす、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記病原体がインフルエンザウイルスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記病原体が、ヒト、トリまたはブタインフルエンザウイルス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記病原体がアデノウイルスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記免疫応答の増強が、サイトカイン産生の増加または感染部位への免疫細胞遊走の増加を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記サイトカインが、インターロイキン-2(IL-2)、IL-4、IL-6、IL-10、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、またはインターフェロン-γ(IFN-γ)を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記免疫応答の増強が、サイトカイン産生を増加させること、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面を活性化すること、免疫細胞走化性を増加させること、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化すること、または単球貪食を増加させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記免疫応答の増強が、前記PMNによる貪食または走化性の増加を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記免疫応答の増強が、前記NK細胞上でのCD69の発現の増加を含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記バシラス・コアギュランスが、バシラス・コアギュランスhammer株アクセッション番号ATCC 31284である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記バシラス・コアギュランスが、GBI-30株(ATCC指定番号PTA-6086)、GBI-20株(ATCC指定番号PTA-6085)、およびGBI-40株(ATCC指定番号PTA-6087)からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ヒト摂取に適した形態の、バシラス・コアギュランス細菌の精製細胞壁を含む組成物であって、該細胞壁が免疫増強量で存在する、組成物。
【請求項16】
前記形態が、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
ヒト摂取に適した形態の、バシラス・コアギュランスの乾燥または凍結乾燥された分泌産物または分泌産物の混合物を含む組成物であって、該産物が免疫増強量で存在する、組成物。
【請求項18】
前記形態が、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤である、請求項17記載の組成物。
【請求項1】
被験体において微生物病原体に対する免疫応答を増強する方法であって:
該微生物病原体に感染した被験体を同定する工程;および
該免疫応答を増強する量の、生存可能なバシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)細菌、該細菌の生存不能な断片、または該細菌の生存不能な細胞外産物を含む組成物を、該被験体へ投与する工程
を含む、方法。
【請求項2】
バシラス・コアギュランス細胞壁成分またはバシラス・コアギュランス上清を前記被験体へ投与する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記微生物病原体が細菌またはウイルスである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記病原体がウイルス性呼吸器感染症を引き起こす、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記病原体がインフルエンザウイルスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記病原体が、ヒト、トリまたはブタインフルエンザウイルス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記病原体がアデノウイルスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記免疫応答の増強が、サイトカイン産生の増加または感染部位への免疫細胞遊走の増加を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記サイトカインが、インターロイキン-2(IL-2)、IL-4、IL-6、IL-10、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、またはインターフェロン-γ(IFN-γ)を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記免疫応答の増強が、サイトカイン産生を増加させること、多形核白血球(PMN)の免疫監視局面を活性化すること、免疫細胞走化性を増加させること、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化すること、または単球貪食を増加させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記免疫応答の増強が、前記PMNによる貪食または走化性の増加を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記免疫応答の増強が、前記NK細胞上でのCD69の発現の増加を含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記バシラス・コアギュランスが、バシラス・コアギュランスhammer株アクセッション番号ATCC 31284である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記バシラス・コアギュランスが、GBI-30株(ATCC指定番号PTA-6086)、GBI-20株(ATCC指定番号PTA-6085)、およびGBI-40株(ATCC指定番号PTA-6087)からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ヒト摂取に適した形態の、バシラス・コアギュランス細菌の精製細胞壁を含む組成物であって、該細胞壁が免疫増強量で存在する、組成物。
【請求項16】
前記形態が、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
ヒト摂取に適した形態の、バシラス・コアギュランスの乾燥または凍結乾燥された分泌産物または分泌産物の混合物を含む組成物であって、該産物が免疫増強量で存在する、組成物。
【請求項18】
前記形態が、丸剤、カプセル剤、または懸濁剤である、請求項17記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公表番号】特表2012−525428(P2012−525428A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508737(P2012−508737)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032993
【国際公開番号】WO2010/127132
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507132374)ガネーデン バイオテック インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032993
【国際公開番号】WO2010/127132
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507132374)ガネーデン バイオテック インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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