説明

不燃内断熱パネル

【課題】コンクリート造りの外壁と連続する仕切り壁の断熱補強ができ、準不燃材料以上の防火特性を有するとともに、軽量で施工も容易な不燃内断熱パネルを提供すること。
【解決手段】コンクリート造りの仕切り壁を室内側から断熱補強するための不燃内断熱パネルで、発泡断熱材よりなる芯材11の室内側表面から順に、不燃板12、アルミニウム箔13、質量が100g/m2以下の紙面材14を貼り合わせる一方、この芯材11の室外側表面に裏面材15を貼り合わせて構成する。 これにより、最外表面の紙面材14でモルタルとの接着性を確保するとともに、焼失する場合でも発熱量を抑え、アルミニウム箔13による輻射で芯材11への熱負荷を低減して着火を抑えるようにし、さらに、不燃板12で強度および芯材11の保護を図るようにし、これらの組み合わせによって準不燃以上の防火性を確保しながら軽量化を図るとともに、施工性を維持するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不燃内断熱パネルに関し、鉄筋コンクリートなどのコクリート造りの内断熱された建築物の外壁と連続する仕切り壁の断熱を補強するパネルで、建築基準法関連の準不燃および不燃の防火性を確保できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリートなどのコンクリート造りの集合住宅やオフィスビルなどの建築物では、省エネルギーや快適居住のため外気と接する外壁部や屋根部などを断熱材で覆って断熱性を高める断熱施工が普及しつつある。
【0003】
このようなコンクリート建築物の断熱施工には、壁面の内側に断熱材を設ける内断熱工法と、壁面の外側に断熱材を設ける外断熱工法とがあり、これまでは、内断熱工法が主流となっている。
【0004】
この内断熱工法では、外壁の室内側に断熱材を取り付けるようにするが、外壁と連続する仕切り壁、例えば部屋などを仕切る間仕切り壁や上下の途中階を仕切る天井スラブ等があると、これらのところで断熱材がとぎれることになり、断熱欠損による結露などが発生する。
【0005】
そこで、例えば図2に示すように、最近では、外壁1と連続する仕切り壁2の両側にも外壁の室内側3の断熱材4と連続して外壁1の室内側3の表面から600〜2000mm程度の範囲Lに断熱材5を取り付けることで断熱欠損による結露発生などを防止することが行われている。
【0006】
このような内断熱工法における外壁1と連続する仕切り壁2については、防火上の内装制限が及ぶ部位であり、仕切り壁2に取り付ける断熱材5に対しては、準不燃材料以上の防火性が要求され、防火性を有する複合パネルが特許文献1に開示されている。
【0007】
この複合パネルは、表面材と裏面材との間に芯材が介設されて構成され、表面材と裏面材との間に糸密度が縦・横それぞれ1〜20本/25mm、引張り強度が2〜40N/mmの無機繊維メッシュを設けるようにし、表・裏面材としては、これまでの紙などに替え、不燃性の鉄やアルミニウム、銅などの金属薄板を用い、その厚さを0.2〜1mmのものを用いることが好ましいとしている。
【特許文献1】特開2003−96945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、このような紙の表・裏面材に替えて金属薄板などを表・裏面材として用いると、複合パネルの重量が増大し、施工が大変になるとともに、複合パネルの室内側表面を化粧面としてモルタルを塗布することが一般的に行われるが、紙とは異なりモルタルを接着させることができず、モルタルを塗布する前に紙面材などを貼る必要があり、施工に手間がかかるという問題がある。
【0009】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、コンクリート造りの外壁と連続する仕切り壁の断熱補強ができ、準不燃材料以上の防火特性を有するとともに、軽量で施工も容易な不燃内断熱パネルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記従来技術の課題を解決するため、これまでの表裏面材を紙面材とし、芯材を硬質ポリウレタンフォームとしたパネルを出発点として準不燃以上の防火特性を得るために必要な発熱性試験およびガス有害性試験の二つをクリアするための検討を開始した。
【0011】
防火性を得るための発熱性試験およびガス有害性試験のいずれも芯材である硬質ポリウレタンフォームへの熱負荷を低減し、着火を防ぐことが重要であり、特に表面材の損傷を防止し、伝熱量を抑えることができる機能を表面材に持たせる必要がある。一方、パネルの室内側の表面材は化粧面としてモルタルを塗布する必要があり、このためにはモルタルとの接着性も要求される。
【0012】
そこで、鋭意実験を行ったところ、芯材の表面側に薄い不燃板を配置して強度を確保し、不燃板および芯材への熱の伝達をアルミ箔による熱輻射で抑えるようにし、モルタルとの接着性を確保するためアルミ箔の表面に紙面材を配置するようにして、紙面材が熱で焼失しても質量を抑えてその発熱量を抑えることで、準不燃以上の防火特性を確保できることを見出し、この発明を完成したものである。
【0013】
すなわち、この発明の不燃内断熱パネルの具体的な構成は、以下の通りであり、この発明の請求項1記載の不燃内断熱パネルは、コンクリート造りの外壁と連続した間仕切り壁、雁行、天井スラブなどの仕切り壁を室内側から断熱補強するための不燃内断熱パネルであって、発泡断熱材よりなる芯材の室内側表面から順に、不燃板、アルミニウム箔、質量が100g/m2以下の紙面材を貼り合わせる一方、この芯材の室外側表面に裏面材を貼り合わせて構成したことを特徴とするものである。
【0014】
この不燃内断熱パネルによれば、コンクリート造りの外壁と連続した間仕切り壁、雁行、天井スラブなどの仕切り壁を室内側から断熱補強するための不燃内断熱パネルで、発泡断熱材よりなる芯材の室内側表面から順に、不燃板、アルミニウム箔、質量が100g/m2以下の紙面材を貼り合わせる一方、この芯材の室外側表面に裏面材を貼り合わせて構成しており、芯材の表面に不燃板、その上にアルミニウム箔、最外表面を質量が100g/m2以下の紙面材とすることで、最外表面の紙面材でモルタルとの接着性を確保し焼失する場合でも発熱量を抑え、アルミニウム箔による輻射で芯材への熱負荷を低減して着火を抑えるようにし、さらに、不燃板で強度および芯材の保護を図るようにし、これらの組み合わせによって準不燃以上の防火性を確保しながら軽量化を図るとともに、施工性を維持するようにしている。
【0015】
また、この発明の請求項2記載の不燃内断熱パネルは、請求項1記載の構成に加え、前記不燃板を、ケイ酸マグネシウム板、ガラスクロス強化酸化マグネシウム板、火山性ガラス質複合板のいずれかで構成するとともに、その厚さを1〜3mmとしてなることを特徴とするものである。
【0016】
この不燃内断熱パネルによれば、前記不燃板を、ケイ酸マグネシウム板、ガラスクロス強化酸化マグネシウム板、火山性ガラス質複合板のいずれかで構成するとともに、その厚さを1〜3mmとしており、これらいずれかの不燃板で不燃内断熱パネルの強度を確保し、芯材を保護できるようにしている。
【0017】
さらに、この発明の請求項3記載の不燃内断熱パネルは、請求項1または2記載の構成に加え、前記アルミニウム箔を、つやのある鏡面側を室内側に配置してなることを特徴とするものである。
【0018】
この不燃内断熱パネルによれば、前記アルミニウム箔を、つやのある鏡面側を室内側に配置するようにしており、鏡面による輻射効果を最大限利用して不燃板や芯材への熱負荷を低減するようにしている。
【発明の効果】
【0019】
この発明の請求項1記載の不燃内断熱パネルによれば、コンクリート造りの外壁と連続した間仕切り壁、雁行、天井スラブなどの仕切り壁を室内側から断熱補強するための不燃内断熱パネルで、発泡断熱材よりなる芯材の室内側表面から順に、不燃板、アルミニウム箔、質量が100g/m2以下の紙面材を貼り合わせる一方、この芯材の室外側表面に裏面材を貼り合わせて構成したので、芯材の表面に不燃板、その上にアルミニウム箔、最外表面を質量が100g/m2以下の紙面材とすることで、最外表面の紙面材でモルタルとの接着性を確保するとともに、焼失する場合でも発熱量を抑えることができ、アルミニウム箔による輻射で芯材への熱負荷を低減して着火を抑えることができ、さらに、不燃板で強度および芯材の保護を図ることができ、これらの組み合わせによって準不燃以上の防火性を確保しながら軽量化を図るとともに、施工性を維持することができる。
【0020】
また、この発明の請求項2記載の不燃内断熱パネルによれば、前記不燃板を、ケイ酸マグネシウム板、ガラスクロス強化酸化マグネシウム板、火山性ガラス質複合板のいずれかで構成するとともに、その厚さを1〜3mmとしたので、これらいずれかの不燃板で不燃内断熱パネルの強度を確保することができるとともに、芯材を保護することができる。
【0021】
さらに、この発明の請求項3記載の不燃内断熱パネルによれば、前記アルミニウム箔を、つやのある鏡面側を室内側に配置するようにしたので、鏡面による輻射効果を最大限利用して不燃板や芯材への熱負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の不燃内断熱パネルの一実施の形態にかかる分解した状態で示す部分断面図である。
【0023】
この不燃内断熱パネル10は、既に図2で説明したように、外壁1と連続した仕切り壁2の室内側に取り付けられる内断熱用としての断熱材5に替えて使用されるものであり、外壁1の室内側3の表面から600〜2000mm程度が取付範囲Lとされ、コンクリート造りの建築物の仕様や環境に応じて仕切り壁2である間仕切り壁に断熱欠損による結露の発生が防止できる範囲に取り付けられる。
【0024】
このような外壁1と連続した仕切り壁2を備えるコンクリート造りの建築物としては、鉄筋コンクリート造り(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造り(SRC造)、ガラスファイバー入りの鉄筋コンクリート造り(GRC造)、プレキャストコンクリート造り(PC造、プレハブ))等のいずれであっても良い。また、外壁1に連続する仕切り壁2としては、隣接する部屋同士を仕切る間仕切り壁、外壁が段差状とされて仕切り壁が連続する雁行、上下の部屋を仕切る天井スラブのいずれの場合であっても良い。
【0025】
この不燃内断熱パネル10は、発泡断熱材よりなる芯材11の室内側表面から順に、表面材を構成する不燃板12、アルミニウム箔13、紙面材14を貼り合わせる一方、この芯材11の室外側表面に裏面材15を貼り合わせて構成されている。
【0026】
この不燃内断熱パネル10の発泡断熱材よりなる芯材11は、通常建築物の断熱材として使用されている様々な素材を用いることができ、例えば硬質ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォーム、ゴム発泡体、塩化ビニル発泡体を挙げることができ、その厚さは、必要な断熱性能に応じて定められるが、通常、10〜20mmとする。
【0027】
ここでは、芯材11として、ウレタン変成イソシアヌレートフォームを用い、その組成を例えば、質量%で、イソシアネートを56±5、ポリオールを44±5とし、さらに、発泡剤(ペンタン)を3±2(外割)を加え、厚さが15±1.5mm、質量が0.83±0.17kg/m2、密度を55±6kg/m3として構成される。
【0028】
なお、この不燃内断熱ボード10としては、例えば幅600mm、長さ1800mm、厚さは芯材の厚さに表面材および裏面材を加えた厚さとなり、10数mm〜20数mmのものが用いられる。
【0029】
次に、この不燃内断熱パネル10の表面材を構成する不燃板12は、芯材11の室内側の表面に貼り合わされ、これによって芯材11の強度を確保するとともに、芯材11への熱負荷を低減し着火を防止するためのもので、遮熱性を備えた基材とするものであるが、この不燃内断熱パネル10では、アルミニウム箔13と協働して不燃性を確保するために必要な発熱性試験およびガス有害性試験をクリアできる機能を発揮するものである。
【0030】
この不燃板12としては、通常、不燃材として使用されるものであれば、そのまま使用することができ、例えばケイ酸マグネシウム板、ガラスクロス強化酸化マグネシウム板、火山性ガラス質複合板などの不燃材を挙げることができ、その厚さは1〜3mmとされ、重量と遮音性を考慮すれば、厚さは薄い方が良い。厚さが1mmより薄くなると、強度が低下するとともに、発熱性試験において熱でクラックが生じる場合がある。また、厚さが3mmを超えて厚くなると、遮音性が不利となるとともに、重量の増大を招いてしまう。
【0031】
なお、開発途中の実験によれば、不燃板12としてケイ酸カルシウム板を芯材11の表面に貼り付けただけでは、不燃板12の厚さが1mmの場合も、4mmと厚くした場合のいずれも発熱性試験において熱でクラックが生じるなどで強度が低下し、芯材の着火が起こってしまい、必要な防火特性を得ることができなかった。
【0032】
そこで、この不燃内断熱パネル10では、表面材として、不燃板12の表面にアルミニウム箔13が貼り合わされる。
【0033】
このアルミニウム箔13は、熱輻射によって不燃板12および芯材11への熱の伝導を極力抑え、不燃板12および芯材11への熱負荷を低減して熱により不燃板12にクラックが生じるなどの強度低下を防止するとともに、芯材11の着火や有害ガスの発生を防止する。
【0034】
したがって、アルミニウム箔13はつやのある鏡面側を室内側に配置して不燃板12の表面に貼り合わせることで、熱輻射による遮熱効果を高めることができる。
【0035】
この熱輻射による遮熱性を有するアルミニウム箔13は、その厚さは薄くても良く、通常、アルミ箔とし用いられている厚さが15〜20μm、質量が41〜54g/m2のものが使用される。なお、アルミニウム箔としてこれ以上薄いものができれば、それを用いることもできる。
【0036】
さらに、この不燃内断熱パネル10では、室内側の表面をアルミニウム箔13のままとしておくと、例えば鉄筋コンクリート造りの断熱補強用として、躯体に打ち込んで使用し、室内側の表面である化粧面をモルタルで補修して対応する主たる使用方法においては、モルタルを塗布する場合の接着性が劣り、そのまま塗布することができないことから、これまでと同様、最外表面に紙面材14が貼り合わせてある。
【0037】
この紙面材14は、モルタルとの接着性を確保できるとともに、焼失してもその熱量による影響が少なく準不燃性以上の防火特性を不燃内断熱パネル10全体として確保できるものであれば良く、例えば水酸化アルミニウム紙、炭酸カルシウム紙、晒しクラフト紙、薄葉紙、クラフト紙、クラフトライナー紙などを挙げることができる。この紙面材14は、その質量が100g/m2以下のものが用いられる。紙面材14の質量が大きくなると、発熱性試験において消失する場合の熱量が大きくなり、防火特性が悪化する。ここでは、紙面材14として薄葉紙を用い、厚さが36〜38μm、質量が23〜27g/m2のものを使用した。
【0038】
このような不燃内断熱パネル10の表面材を構成する不燃板12、アルミニウム箔13、紙面材14は、予め接着剤で貼り合せた後、例えば不燃板12のこれら表面材と反対側の表面に芯材11となる発泡断熱材の原液を直接供給し、発泡させて接着される。
【0039】
不燃板12とアルミニウム箔13との接着には、接着剤として、例えばポリエチレン樹脂フィルム、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤、EVAエマルジョン系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、クロロピレンラテックス系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル溶剤系接着剤が用いられる。また、アルミニウム箔13と紙面材14との接着には、接着剤として、例えばポリエチレン樹脂フィルム、ウレタン系接着剤が用いられる。
【0040】
また、上記接着剤の代わりに樹脂フィルムを、不燃板12、アルミニウム箔13、紙面材14のそれぞれの間に設けて、熱融着させることにより不燃板12とアルミニウム箔13、アルミニウム箔13と紙面材14とを貼り合わせても良い。
【0041】
さらに、この不燃内断熱パネル10では、芯材11の室外側に裏面材15が貼り付けてある。この裏面材15は、コンクリート造りの建築物のコンクリートと接することになり、防火特性への影響はないことから、これまでの断熱パネルと同様に、紙面材が用いられ、例えば炭酸カルシウム紙とクラフトライナー紙を貼り合わせたもの、あるいは炭酸カルシウム紙とクラフト紙を貼り合わせたものが使用され、接着には、例えばポリエチレン樹脂フィルムが用いられ、熱融着させることで貼り合わせる。
【0042】
そして、芯材11の裏面(室外側の表面)と裏面材15との接着は、例えば裏面材15上に芯材11にとなる発泡断熱材の原液を直接供給し、発泡させて接着したり、表面材上に直接供給し発泡される発泡断熱材の原液を表面材とともに、挟むように裏面材15を配置して接着するようにする。
【0043】
このように構成した不燃内断熱パネル10について、2000年6月改正の建築基準法関連法規に規定された不燃材料、準不燃材料の試験方法として決められている発熱性試験(ISO5660準拠 コーンカロリーメーター)とガス有害性試験を満たすべく試験・検討を行ったところ、発熱性試験であるコーンカロリーメーターに対しては、準不燃材料および不燃材料としての基準を満たすものであった。なお、実施例において基準を満たすものを〇、満たさないものを×として、表1、表2に示した。
【0044】
このコーンカロリーメーター試験では、室内側の最外表面の紙面材14が加熱により焼失するが、その下にあるアルミニウム箔13が露出することになり、その鏡面による熱輻射で不燃板12および芯材11への熱負荷を低減し、不燃板12の損傷を防止して芯材11の着火を防ぐことができ、加熱開始後10分間(準不燃材料)および加熱開始後20分間(不燃材料)として必要な非燃焼性、非損傷性、(非発煙性)の全ての性能を満たした。
【0045】
また、ガス有害性試験に対しては、次ぎのような試験を行い判断した。不燃内断熱パネル10から220×220mmで、厚さが10mmのサンプルを作製し、質量を測定する。そして、得られたサンプルをマウスを用いるガス有害性試験用の試験装置(旧建設省告示昭和51年第1231号第4に定める)を用いて所定の排気温度なるように6分間加熱する。その後、装置からサンプルを取り出し、質量を測定する。
【0046】
これら加熱前後のサンプルの質量の変化から、減少量が30g未満のものと、減少量が30g以上のものとで区別し、質量の減少量が30g未満であれば、ガスの発生量も少なくマウスを用いるガス有害性試験を十分クリアできると判断することとした結果、この不燃内断熱パネル10はガス有害性試験をクリアできる性能を備えるものであった。なお、実施例において、ガス有害性試験をクリアできるものを〇、ガス有害性試験をクリアできないものを×として、表1、表2に示した。
【0047】
さらに、強度について、JISA 14082準拠する試験を行い、パネル表面が凹んだり破壊されることがなく、十分な強度があるものとなった。なお、実施例において、パネル表面が凹んだり破壊されていないものを〇、パネル表面が凹んだり破壊されたものを×として、表1、表2に示した。
【0048】
また、モルタルとの接着性については、不燃内断熱パネル10の表面に塗布したモルタルが剥がれ落ちないものであることを確認した。なお、実施例において、モルタルが剥がれ落ちないものを〇、モルタルが剥がれ落ちたものを×として、表1、表2に示した。
【0049】
また、この不燃内断熱パネル10では、表面材を構成する不燃板12、アルミニウム箔13、紙面材14の厚さが薄く、重量も軽いので、不燃内断熱パネル10の重量を極力抑えることができ、従来の無機繊維メシュで補強し、表裏面材を金属薄板で構成した複合パネルに比べ大幅に軽量化を図ることができる。
これにより、施工もやり易く、運搬なども容易に行うことができる。
【実施例】
【0050】
以下、この発明の実施例について、比較例とともに説明するが、本発明は、この実施例に限定するものでない。
【0051】
実施例および比較例の共通条件
不燃内断熱パネルの芯材として、ウレタン変成イソシアヌレートフォームを用い、その組成を質量%で、イソシアネートを56、ポリオールを44とし、さらに、発泡剤(ペンタン)を3(外割)を加えて発泡させた、厚さが15mm、質量が0.83kg/m2、密度が55kg/m3のものを用いた。
裏面材として炭酸カルシウム紙とクラフトライナー紙を貼り合わせたものを用いた。
【0052】
(実施例1)
紙面材として厚み38μm、質量27g/m2、の薄葉紙を用い、アルミニウム箔として厚みが15μmのものを用い、不燃板として厚み1mm、のケイ酸マグネシウム板を用い、これら紙面材、アルミニウム箔および不燃板を予め接着した。その全厚みは、約1.1mmであった。
この表面材の不燃板上に芯材の原液を供給し発泡させるとともに、裏面材で挟むようにして不燃内断熱パネルを得た。
得られた不燃内断熱パネルを用い、すでに上記実施の形態中に説明した方法で、防火性(ISO 5660に準拠)を確認するための不燃試験としての発熱性試験およびガス有害性試験を行った。
さらに、得られた不燃内断熱パネルを用い、強度試験およびモルタルとの接着性を評価した。
これら試験の結果は、表1に示すように、不燃性試験において、不燃材料としての基準を満たすもの(合格)であり、強度、モルタルとの接着性においても十分なもの(いずれも○)であった。
【0053】
(実施例2)
表面材を構成する不燃板を、厚み2.9mmのガラスクロス強化酸化マグネシウム板とした以外、実施例1と同一にして不燃内断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約3mmとなった。
その結果は、表1に示すように、不燃性試験において、不燃材料としての基準を満たすもの(合格)であり、強度、モルタルとの接着性においても十分なもの(いずれも○)であった。
【0054】
(実施例3)
表面材を構成する不燃板を、厚み2.9mmの火山性ガラス質複合板とした以外、実施例1と同一にして不燃内断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約3mmとなった。
その結果は、表1に示すように、不燃性試験において、不燃材料としての基準を満たすもの(合格)であり、強度、モルタルとの接着性においても十分なもの(いずれも○)であった。
【0055】
(実施例4)
表面材を構成する紙面材として薄葉紙に替え、厚み38μm、質量27g/m2水酸化アルミニウム紙を用い、不燃板としてのケイ酸マグネシウム板の厚みを2.9mmとした以外、実施例1と同一にして不燃内断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約3mmとなった。
その結果は、表1に示すように、不燃性試験において、不燃材料としての基準を満たすもの(合格)であり、強度、モルタルとの接着性においても十分なもの(いずれも○)であった。
【0056】
(実施例5)
表面材を構成する紙面材として薄葉紙に替え、厚み180μm、質量100g/m2の炭酸カルシウム紙を用い、不燃板としてのケイ酸マグネシウム板の厚みを2.9mmとした以外、実施例1と同一にして不燃内断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約3mmとなった。
その結果は、表1に示すように、不燃性試験において、不燃材料としての基準を満たすもの(合格)であり、強度、モルタルとの接着性においても十分なもの(いずれも○)であった。
【0057】
(比較例1)
表面材を構成するアルミニウム箔に替えて厚み15μmの亜鉛箔を用いた以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約1.1mmとなった。
【0058】
その結果は、表2に示すように、不燃性試験において、亜鉛箔が熱輻射作用を示さず、芯材が発火し、芯材の端部より煙が発生した(不合格)。なお、強度、モルタルとの接着性においては十分なもの(いずれも○)であった。
【0059】
(比較例2)
表面材を構成するアルミニウム箔を取り除いた以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約1.1mmとなった。
その結果は、表2に示すように、不燃性試験において、表面材は熱輻射作用を示さず、不燃板にクラックが発生し、そこから芯材に着火した(不合格)。なお、強度、モルタルとの接着性においては十分なもの(いずれも○)であった。
【0060】
(比較例3)
表面材を構成する不燃板を取り除いた以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約0.1mmとなった。
その結果は、表2に示すように、不燃性試験において、芯材に着火し、芯材から有害なガスが発生した(不合格)。また、強度が不足し、表面に凹みが発生した。なお、モルタルとの接着性においては十分なもの(いずれも○)であった。
【0061】
(比較例4)
表面材を構成する紙面材として薄葉紙に替え、厚み220μm、質量180g/m2のクラフト紙を用いた以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約1.1mmとなった。
その結果は、表2に示すように、不燃性試験において、紙面材の燃えない部分がアルミニウム箔上に点在し、アルミニウム箔が本来の熱輻射作用を示さず、不燃板にクラックが生じて、そこから芯材に着火が起こった(不合格)。なお、強度、モルタルとの接着性においても十分なもの(いずれも○)であった。
【0062】
(比較例5)
表面材を構成する紙面材としての薄葉紙に替え、厚み38μmのPEフィルム(ポリエチレンフィルム)を用いた以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約1.1mmとなった。
その結果は、表2に示すように、不燃性試験においては、不燃材料としての基準を満たすもの(合格)となったが、モルタルとの接着性において劣るもの(×)となった。なお、強度においては十分なもの(いずれも○)であった。
【0063】
(比較例6)
表面材を構成する紙面材を取り除いた以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約1.1mmとなった。
その結果は、表2に示すように、不燃性試験においては、不燃材料としての基準を満たすもの(合格)となったが、モルタルとの接着性において劣るもの(×)となった。なお、強度においては十分なもの(いずれも○)であった。
【0064】
(比較例7)
紙面材として薄葉紙に替え、厚み180μm、質量100g/m2、の炭酸カルシウム紙を用い、アルミニウム箔に替え、厚みが260μmのクラフトライナー紙を用い、不燃板としてのケイ酸マグネシウム板に替え、厚み260μmのクラフトライナー紙を用いた以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約0.7mmとなった。
その結果は、表2に示すように、不燃性試験において、表面材が熱輻射作用を示さず、芯材に着火した(不合格)。なお、強度、モルタルとの接着性においては十分なもの(いずれも○)であった。
【0065】
(比較例8)
表面材としてのアルミニウム箔と不燃板の配置を逆にした以外、実施例1と同一にして断熱パネルを得た。なお、表面材の全厚みは、約1.1mmとなった。
その結果は、表2に示すように、不燃性試験において、不燃板にクラックが生じ、そのクラックが生じた部位のアルミニウム箔が露出したが、アルミニウム箔が熱輻射作用を示さず、不燃板に生じたクラックから芯材に着火した(不合格)。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の不燃内断熱パネルの一実施の形態にかかる分解した状態で示す部分断面図である。
【図2】この発明の不燃内断熱パネルが適用される内断熱の補強が必要とされる部分の説明断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 不燃内断熱パネル
11 芯材(発泡断熱材)
12 不燃板
13 アルミニウム箔
14 紙面材
15 裏面材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート造りの外壁と連続した間仕切り壁、雁行、天井スラブなどの仕切り壁を室内側から断熱補強するための不燃内断熱パネルであって、
発泡断熱材よりなる芯材の室内側表面から順に、不燃板、アルミニウム箔、質量が100g/m2以下の紙面材を貼り合わせる一方、この芯材の室外側表面に裏面材を貼り合わせて構成したことを特徴とする不燃内断熱パネル。
【請求項2】
前記不燃板を、ケイ酸マグネシウム板、ガラスクロス強化酸化マグネシウム板、火山性ガラス質複合板のいずれかで構成するとともに、その厚さを1〜3mmとしてなることを特徴とする請求項1記載の不燃内断熱パネル。
【請求項3】
前記アルミニウム箔を、つやのある鏡面側を室内側に配置してなることを特徴とする請求項1または2記載の不燃内断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−2038(P2009−2038A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163623(P2007−163623)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】