説明

不純物の含量が極めて低いポリオレフィンの製造方法

少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;ポリマー希薄画分の少なくとも一部を、リサイクルして少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合に戻す前に精製工程にかける工程を含む、ポリオレフィンの製造方法を提供する。得られたポリオレフィンは、特に、揮発性低分子量化合物が低含量であり、低分子量ポリオレフィンワックスが低含量であり、用いられる触媒から誘導される残渣が低含量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物の含量が極めて低いポリオレフィンの製造方法に関する。得られるポリオレフィンは特に、揮発性低分子量化合物が低含量であり、低分子量ポリオレフィンワックスが低含量であり、重合に用いられた触媒に由来する残渣が低含量である。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリオレフィンは、重合プロセスの結果として不純物を含有する。典型的な不純物は、助触媒(単数又は複数)およびスカベンジャー(単数又は複数)を含めた、重合時に採用される触媒からの残渣、オリゴマー、副生成物ならびに種々の揮発性低分子化合物を含む。用途によっては、前記の不純物は、たとえポリマー中に低濃度でしか含まれていなくても悪影響を及ぼす恐れがある。例えば、送水管用に使用されるポリマーはこれらの化合物を含有するべきではなく、なぜなら低分子量揮発性化合物はポリマーから輸送される水の中に移動し、味覚または臭気の不具合を引き起こす恐れがあるからである。さらに、コンデンサ中の絶縁フィルムなどの電気素子に使用されるフィルムを作製するために使用されるポリマーは、フィルムを介した電気漏出(electrical breakthrough)を避けるために金属不純物を含有するべきではない。最後に、自動車用途に使用されるポリマー、特に、自動車の内装品を製造するために使用されるポリプロピレンは、ポリマー中に含有されている揮発性化合物に関して高い品質基準を満たす必要がある。このような内装品を調製するために採用されるポリマー中に含有されている高い量の炭化水素は、このような炭化水素、通常16〜32個の炭素原子を有する炭化水素が内装品から蒸発し、車の窓上に凝結した場合に特に、曇らせる不具合をもたらす恐れがある。同時に、内装品の外観は悪くなる。
【0003】
最近のプロセス開発は、原材料のリサイクル向上および不要な炭化水素成分をポリマーから分離する簡単な処理工程を含めたプロセス経済性の改善に重点が置かれている。
【0004】
液体サイクロン(hydrocyclone)などの分離装置を使用することにより、反応器からポリマーを回収することが提案されてきた。前記の液体サイクロンは、得られたポリマーから流体相の一部を分離することにより濃縮スラリーを作り出す。分離された流体相は、リサイクルされて重合反応器中に直接戻る。これはプロセス経済性の観点では有利であるが、流体中に含有されている全ての不純物もリサイクルされて重合ゾーンに戻るのは不利である。この結果としてこれらの不純物が経時で反応混合物中に蓄積することにより、得られたポリマー中に含有されるそれらの量は増大しよう。言い換えると、追加のポリマー精製工程が必要となり、このことはプロセス経済性全体にとって逆効果である。
【0005】
得られた固体のポリマーから不要な炭化水素を除去する簡単な方法は、炭化水素を蒸発させることである。これは、普通、炭化水素の少なくとも一部を蒸発させるように圧力を下げることによって達成される。さらに、蒸発を促進するために同時に温度を上げてもよい。しかし、重合混合物中に最終的に存在する、より低揮発性の任意の不純物は、それらを有する固体のポリマーから分離され得ずに生成物中に残存する。
【0006】
EP-A-1591459は、ループ型反応器からのポリマーのスラリーが、このスラリー流を2つのストリームに分割する液体サイクロンへ導かれるオレフィンポリマーの製造方法に関する。このオーバーフローは、液体に富み、精製されずにループ型反応器に直接リサイクルされる。ポリマーは、アンダーフロー中に含有されるが、最終生成物を得るようにさらに処理される。
【0007】
EP-A-1118625は、連結されている2つの重合反応器を使用するオレフィンポリマーの製造方法に関する。第1の反応器からのポリマーを含有する反応混合物は、液体サイクロン中で分離され、オーバーフローは第1の反応器中にリサイクルされる。アンダーフローは、ポリマーを含有し、第2の反応器中でさらに反応させられ、次いで第2の液体サイクロン中で分離される。第2の液体サイクロンのオーバーフローは第1の反応器中にリサイクルされ、一方、最終生成物はアンダーフローから得られる。
【0008】
EP-A-1118626は、連結されている2つの反応器を使用する、オレフィンポリマーの製造方法を開示している。第1の反応器の反応混合物は、第1の液体サイクロン中で分離され、オーバーフローは第1の反応器中にリサイクルされる。アンダーフローは、ポリマーを含有し、第2の反応器中でさらに反応させられる。次いで、第2の反応器の反応混合物は、第2の液体サイクロン中で分離される。オーバーフローは蒸留され、一画分は第1の反応物中にリサイクルされるが、第2の画分は第2の反応器中にリサイクルされる。最終生成物はアンダーフローから得られる。
【0009】
WO2004/007566は、高圧フラッシュに、重合の流出物を送る方法を開示しており、この方法では流体成分のほとんどがフラッシュされ、希釈剤および少量のモノマーを含む後流が、フラッシュされた流体成分の大部分から分離される。この出願の方法は、リサイクルの前に生成物流体の圧縮および冷却を最小限にすることにより、触媒マッド(catalyst mud)の調製に使用し得る、モノマーを含まない希釈剤の回収およびリサイクルをさらに可能にすることを目的とする。さらに、WO2004/007566の教示に従って採用されるフラッシュ工程は、EP-A-1591459に開示されている相当する処理工程と同様に、希釈剤および(任意選択で)モノマーを除去することのみを目的とする一方、ポリマーストリーム中の触媒残渣および不純物を含めた全てのその他の成分を残す。
【0010】
しかし、従来技術のプロセスは、オーバーフロー中に含有されている不純物が、反応器中に移し戻されて、反応混合物中に、そして最終的には得られる生成物中に蓄積されるので、不利である。さらに、オーバーフロー全体が蒸留される結果として不純物は最小量に低減されるが、仮にオーバーヘッドの適切な画分のみが蒸留工程を通じて送られるのであれば、プロセス経済性の改善は達成できよう。
【0011】
WO02/34795は、溶液重合法を開示している。同様に、WO2006/009951およびEP0184935は溶液重合法に関する。溶液重合法は、プロセス制御およびプロセス調節に関する特定の側面を有する特定の種類の重合法であるため、上記に示された従来技術の文献中で論じられているスラリー法とは比較しえない。
【0012】
EP184935は、溶媒中のポリマーの溶液からのポリマーの回収方法にも関するが、不純物含量の低減に関するプロセス制御に関連する指針をまったく提示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP-A-1591459
【特許文献2】EP-A-1118625
【特許文献3】EP-A-1118626
【特許文献4】WO2004/007566
【特許文献5】WO02/34795
【特許文献6】WO2006/009951
【特許文献7】EP0184935
【特許文献8】EP688794
【特許文献9】WO91/16361
【特許文献10】WO93/13141
【特許文献11】WO94/14857
【特許文献12】WO99/51646
【特許文献13】WO01/55230
【特許文献14】WO03/000756
【特許文献15】WO03/000757
【特許文献16】WO03/000754
【特許文献17】WO92/19653
【特許文献18】WO93/07182
【特許文献19】WO97/36939
【特許文献20】WO99/58584
【特許文献21】WO99/52951
【特許文献22】WO97/27225
【特許文献23】WO95/12622
【特許文献24】WO96/32423
【特許文献25】WO98/32776
【特許文献26】WO00/22011
【特許文献27】WO03/051934
【特許文献28】EP591224
【特許文献29】EP1403292
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の方法の不具合を考慮すると、本発明の目的は、良好な生産経済性も維持しながら、不純物含量が極めて低いポリオレフィンを製造するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
を含むポリオレフィンの製造方法であって、
前記のポリマー希薄画分の少なくとも一部が、リサイクルされて前記の少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合に戻る前に精製工程にかけられる、ポリオレフィンの製造方法によって達成される。
【0016】
上記目的は、
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
前記のポリマー希薄画分を第1および第2のストリームに分割する工程;
前記第1のストリームをオレフィンモノマーの重合にリサイクルする工程;
前記第2のストリームを精製する工程;
前記の精製された第2のストリームの少なくとも一部をリサイクルしてオレフィンモノマーの重合に戻す工程
を含む、ポリオレフィンの製造方法によっても達成される。
【0017】
好ましい実施形態は、下位クレームに記載されている。
【0018】
上記目的は、さらに、
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
前記ポリマー希薄画分の少なくとも一部を精製することにより、前記画分中に含まれている不純物を除去する工程;
前記の精製されたポリマー希薄画分の少なくとも一部を前記の少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合にリサイクルする工程
を含むポリオレフィンの製造方法であって、
前記の少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合工程が、1〜4個の炭素原子を有する少なくとも50モル%の炭化水素の反応混合物中で行われる、ポリオレフィンの製造方法によっても達成される。
【0019】
好ましい実施形態は、ここでも下位クレームに記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による方法のスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上で概説したように、本発明は、上で特定され、以下でさらに例示される請求項1、2および3に記載のポリオレフィンの製造方法を特に提供する。本明細書中に記載されている実施形態は、本明細書中に例示されるようなすべての方法に当てはまる。請求項1に記載されているように、本発明は、特に、得られたポリマー希薄画分の少なくとも一部がリサイクルされてオレフィン重合ゾーンに戻る前に精製工程にかけられることによって、以下の実施例に例示される利点を達成する。この点に関して、本発明は、さらに以下で詳細に論じられる請求項2および3に記載の方法を特に提供する。
【0022】
本発明によるポリオレフィンの好ましい製造方法は、
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
前記のポリマー希薄画分を第1および第2のストリーム(5、6)に分割する工程;
前記第1のストリームを前記のオレフィンモノマーの重合にリサイクルする工程;
前記第2のストリームを精製する工程;
前記の精製された第2のストリームの少なくとも一部をリサイクルして前記のオレフィンモノマーの重合に戻す工程
を含む。
【0023】
本発明によるポリオレフィンのさらに好ましい製造方法は、
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
前記ポリマー希薄画分の少なくとも一部を精製することにより、前記画分中に含まれている不純物を除去する工程;
前記の精製されたポリマー希薄画分の少なくとも一部を前記の少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合にリサイクルする工程
を含み、
前記の少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合工程が、1〜4個の炭素原子を有する炭化水素を少なくとも50モル%含む反応混合物中で行われる、方法である。
【0024】
本明細書に記載の重合は主としてスラリー重合であり、したがって本明細書に記載の反応混合物は主としてかつ好ましくはスラリーである。
【0025】
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合ゾーン中で重合した後、ポリオレフィンを含む、反応混合物の少なくとも一部が分離される。分離される量は、重合ゾーンのサイズおよび重合反応によって決まる。通常、連続プロセスでは、反応混合物から取り除かれるスラリーの量は、分離された反応混合物中に含有されるポリマーの量が反応器中で製造されるポリマーの量に等しいように選択される。例えば、ポリマー製造速度が8トン/時である場合、連続プロセスでは8トン/時のポリマーの量が反応混合物から分離され得る。本発明による典型的な方法では、反応混合物は、特にスラリーの形態で、通常、ポリマーを容積で10〜40%、実施形態では最大50質量%含有する。したがって、工業規模の重合ゾーン、即ち反応器の場合、約1〜20トン/時のポリマーが製造され、相当する量が抜き取られ得る、即ち分離され得る。したがって、重合ゾーンおよび反応器が小さければ小さいほど、結果として材料の抜き取られる速度は小さくなる。ポリオレフィン生成物を含む反応混合物の一部は、重合ゾーンから連続的にまたは断続的に抜き取られ得る。好ましい実施形態では、沈降レッグ(settling leg)などの濃縮装置は、反応器から抜き取られる反応混合物を好ましくはスラリーの形態で濃縮するために使用することができる。
【0026】
既に上で示したように、重合ゾーンから抜き取られる反応混合物、通常スラリーは、ポリマーを容積で10〜40%含む。例えば沈降レッグを使用して濃縮する場合、濃縮スラリーは、容積で30〜55%のポリマー含量を有し得る。別の好ましい実施形態では、反応混合物は、抜き取られた反応混合物の濃度が、重合ゾーン中に含有される反応混合物の濃度と同じであるように連続的に抜き取られる。
【0027】
反応混合物の分離された部分は、ポリマー希薄画分とポリマー濃厚画分とに分割される。ポリマー希薄画分とポリマー濃厚画分との標準的な比率は、約0.01:10、好ましくは0.01:5、より好ましくは0.1:2からである。ポリマー濃厚画分は、反応混合物の分離された部分のポリマーを少なくとも70質量%、好ましくは80質量%超、より好ましくは90質量%超含む。
【0028】
任意の適切な装置または装置の組合せを使用してもよい。液体サイクロン(hydrocyclone)および自浄式スクリーン(self-cleaning screen)などのスクリーン(screen)または遠心分離機が好ましく、液体サイクロンおよびスクリーンが好ましい。液体サイクロンを使用する場合、ポリマーが希薄なストリームは、液体サイクロンの頂部から抜き取られる一方、濃密なポリマー濃厚画分は、液体サイクロンの底部から抜き取られる。
【0029】
次いで、ポリマー濃厚画分は、次のフラッシュ工程および/または乾燥工程などの他の従来の処理工程に導かれ得る。最終的に得られるポリマーは、追加の重合、例えば気相重合にも導かれ得る。
【0030】
前記開示に従って本明細書に記載されているポリマー希薄画分は、スラリー重合の反応混合物から得られるポリマー希薄液体画分などの液体または超臨界状態である。本発明によれば、本明細書に記載されているポリマー希薄画分は、通常、オリゴマー、触媒残渣などの上で論じた不純物、即ち、単なるフラッシュ操作によりポリマーから除去できない成分の少なくとも1つを含有する。
【0031】
上記説明は、上述の装置、即ち液体サイクロン、スクリーン、遠心分離機などの、そのような液体またはポリマー希薄超臨界相を生じさせるプロセスによって、かつそのような液体またはポリマー希薄超臨界相を生じさせる適切な装置を使用して、ポリマー希薄画分を反応混合物から分離し、ポリマー濃厚画分も生じさせることを意味する。反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割するこのような方法は、フラッシュ蒸発またはフラッシュ処理とは異なり、後者では反応混合物の一部は気相に変換される(次いで必要な場合にはこの気相を再凝結させる)。本発明によれば、2つの相への分割は、それ自体、液体でまたは超臨界状態で行われる。
【0032】
ポリマー希薄画分は不純物を含む。本発明によれば、不純物は、特に、オレフィンオリゴマー、金属成分、および重合中に形成される副生成物の少なくとも1つから選択される化合物である。前記の副生成物の例には、ケトン、アルデヒド、硫黄含有化合物、およびアルコールが挙げられる。この画分中に含有され得る他の不純物は、重合ゾーン中に導入されるモノマー、コモノマー、または添加剤中に既に含まれている不純物である。ポリマー希薄画分は、未反応モノマー、コモノマー、場合により希釈剤も含む。
【0033】
不都合なことに、ケトンまたはアルデヒドなどの酸素原子または硫黄原子を含むリサイクルされる副生成物は、反応混合物中の触媒と反応することにより触媒を不活性化するため、プロセス効率を低下させる恐れがある。さらに、触媒物質は高価であり、かつそれ自体不純物源である。したがって、触媒の濃度はできる限り低く維持すべきである。さらに、特に硫黄含有不純物は、重合ゾーン中に、したがって得られるポリマー中に蓄積する場合は、結果として臭気の不具合を起こす恐れがある。
【0034】
リサイクルされるオリゴマーは、最終ポリオレフィン中のそれらの存在が、ポリマーの特性に影響を及ぼすことが多い場合、不純物と考えられる。したがって、重合ゾーン中、同様にポリマー中のオリゴマーの蓄積は避けるべきであるが、なぜなら、避けられない場合には追加のポリマー精製工程が必要になってくるからである。オリゴマーは特に、抽出可能物(即ち、ヘキサンなどの適切な抽出剤を使用することによりポリマーから抽出され得る成分)の基準に関して不利となる。上で既に示した抽出可能物は、この量が多いほど、低分子量成分の蒸発が不都合であるとみなされる使用分野では(例えば自動車分野で)不利となる一方、さらなる欠点の例としては、例えば医療用途に必要な、所与のポリマーに対するFDAの認可取得が阻まれることがある。通常、最終生成物中のオリゴマーの存在により味覚および臭気の不具合も生じ、さらに、高いオリゴマー含量によって、高い量のオリゴマーを含むポリマー生成物のさらなる処理にとって明らかな欠点である押出中の過剰なスモークの形成も引き起こされる恐れがある。
【0035】
したがって、重合ゾーン中にリサイクルされる成分から前記の不純物を分離することは、触媒のライフタイム向上およびポリオレフィン生成物の総合品質に寄与する。
【0036】
重合反応が、1〜4個の炭素原子を有する炭化水素を少なくとも50モル%含む反応混合物中で行われることを特徴とする上記の実施形態は、重合反応物から反応混合物の少なくとも一部を抜き取った後に得られるポリマー希薄画分の少なくとも一部が精製されることを必要とする。この実施形態では、重合が、1〜4個の炭素原子を有する炭化水素を少なくとも80モル%含む反応混合物中で行われる場合に、その精製はさらに好ましい。1〜4個の炭素原子を有する炭化水素は、モノマー、コモノマー、および希釈剤から選択することができる。
【0037】
この実施形態では、ポリマー希薄画分全体が精製工程にかけられる可能性も含めて、精製されたポリマー希薄画分の少なくとも一部が本明細書中に例示されるような精製工程のいずれかにかけられることがさらに想定される。適切な精製は、請求項2に記載の方法と関連して以下でさらに論じる。しかし、これらの実施形態は、本発明の本実施形態、即ち、重合中に1〜4個の炭素原子を有する炭化水素を少なくとも50モル%含む反応混合物を使用することを特徴とする実施形態にも当てはまる。
【0038】
この方法のさらに好ましい実施形態は以下の説明から導くことができるが、この説明は、ポリマー希薄画分を第1および第2のストリームに分割する工程を含む本発明の実施形態に焦点を当てている。前記の実施形態を、以下でより詳細に説明する。
【0039】
ポリマー希薄画分は、第1および第2のストリームに分割される。前記の工程は液体サイクロンまたはスクリーン中で行われることも好ましいが、任意の適切な装置または装置の組合せを使用してもよい。好ましくは10〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%、さらにより好ましくは30〜70質量%のポリマー希薄画分が、第2のストリーム中に分割される。以下でさらに概説されるように、経済性の理由のため、約40〜90%のポリマー希薄画分が第2のストリーム中に分割され、これが次いでさらなる処理にかけられれば十分である。
【0040】
5〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%のポリマー希薄画分である第1のストリームは、精製されずにリサイクルされて重合ゾーン中に戻る。第2のストリームは精製され、次いでこの精製ストリームの少なくとも一部はリサイクルされて重合混合物に戻る。好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%が、リサイクルされる。
【0041】
上に概説したように、第2のストリームは適切な精製処理にかけられ、これは単一の精製工程であっても精製工程の組合せであってもよい。精製工程の通常のかつ適切な例は、フラッシング装置内での精製、蒸留による精製、さらに抽出による精製、およびそれらの組合せである。本発明によれば、主として経済性の理由のため、フラッシング工程および蒸留工程であることが好ましい。
【0042】
フラッシングにより除去され得る不純物は、特にオリゴマーおよび触媒残渣である。通常、C5炭化水素より軽い化合物は蒸気としてフラッシュ工程から出る一方、より重い成分は液体として除去され得る。したがって、フラッシング工程は、特に、不純物、特に、上で特定したより重い成分の画分を十分に除去するのに適する。
【0043】
上で概説したように、第2のストリームの精製を行うさらなる可能性は蒸留工程である。実際には、すべての不純物は、いわゆる重質物用カラム(heavies column)を使用する蒸留において除去することができる。通常、このような重質物用カラムの頂部画分は、未反応モノマー、希釈剤などを含めた、重合の中へリサイクルされる生成物ストリームを含有する一方、底部ストリームは、オリゴマー、触媒成分、および結果として生じるそれらの加水分解生成物(即ち、反応混合物の初期の化合物より高い分子量を通常有する生成物)を含有する。重質物用カラムからの頂部ストリームは、いわゆる軽質物用カラム(light column)を使用するさらなる蒸留工程にかけてもよく、プロパンならびにエチレンおよび水素などの軽質成分に富む頂部ストリームが結果として生じる。しかし、この追加の精製工程は、ポリマー特性に対する効果は大きくない。
【0044】
ポリマー希薄画分の第2のストリームの精製は、少なくとも1つのフラッシング工程を実施することによって行われることが好ましい。そのように分離された画分は、未反応モノマーおよび採用される場合は希釈剤を含み、リサイクルされて反応混合物中に戻る。
【0045】
酸素含有化合物および/または硫黄含有化合物を含む追加の画分は、さらに精製されるかまたは処分される。オリゴマーおよび触媒残渣を含む画分も、さらに精製されるかまたは処分される。
【0046】
第2のストリームが少なくとも1つの蒸留工程を実施することにより精製されることも好ましい。未反応モノマー及びもし用いる場合には希釈剤を含む蒸留画分(1又は複数)はリサイクルされて反応混合物中に戻る一方で、分離されたオリゴマーおよび触媒残渣を含む画分はさらに精製されるかまたは処分される。
【0047】
精製工程は、複数のフラッシング工程および/または複数の蒸留工程を任意の適切な順序および組合せで含むことができる。
【0048】
ストリームがリサイクルされて重合混合物中に戻る前に不純物が分離されるので、前記不純物は、重合ゾーン中に、言い換えるとポリマー生成物中に蓄積しない。このことによって、用いた活性触媒の活性および生成物の品質が改善されることは有利である。
【0049】
図1は、本発明による方法を例示する。未使用のモノマーおよび触媒などの成分は、フィード1を介して反応器、この場合ループ型反応器中に送られる。反応混合物の少なくとも一部は、管2を介して分離され液体サイクロンに導かれることにより、分離された反応混合物はポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割され得る。ポリマー希薄画分は、管3を介して第2の液体サイクロン中に導かれる。ポリマー濃厚画分は、管4を介して液体サイクロンの底部から抜き取られることにより生成物が抜き取られるが、これは、本明細書に記載したように、未使用モノマーとの混合、重合、コンパウンド化などのさらなる処理工程にかけてもよい。
【0050】
第2の液体サイクロンの底部から抜き取られた第1のストリームは、さらに精製せず管5を介して反応混合物中にリサイクルされる。管6を介して液体サイクロンの頂部から抜き取られた第2のストリームは、蒸留によって精製される。未反応モノマー(および任意選択のコモノマー)を含み、場合により希釈剤を含む画分(1又は複数)は、管7を介してリサイクルされて反応器中に戻る一方、上述の不純物を含む画分は、管8を介して抜き取られ、さらに精製されてもよいし処分されてもよい。
【0051】
本発明の方法の好ましい実施形態では、ポリマー濃厚画分は、分離後、追加の工程中で、未使用のオレフィンモノマーまたは未使用の希釈剤と混合され、次いでこの混合物を第2のポリマー濃厚画分およびモノマー濃厚画分に分割される。本発明の好ましい本実施形態で得られる場合の第2のポリマー濃厚画分とモノマー濃厚画分との比率は、重合反応などの種類に応じて広範囲にわたって変化し得る。しかし、本発明では70:30〜30:70の比率を想定している。ポリマー濃厚画分を分割する前記の追加の工程は、上述したような任意の適切な装置または装置の組合せの中で行うことができる。液体サイクロンまたはスクリーンが使用されることは好ましい。モノマー濃厚画分がオレフィンモノマーの重合にリサイクルされることはさらに好ましい。
【0052】
本発明のさらにより好ましい実施形態によれば、反応混合物の一部は、重合ゾーンから抜き取られ、第1のスクリーンまたは液体サイクロンに導かれる。
【0053】
第1のスクリーンまたは液体サイクロンから抜き取られたポリマー希薄画分は、第2のスクリーンまたは液体サイクロンに導かれる。そこから抜き取られた濃密な第1のストリームは、以下に説明されるような第3のスクリーンまたは液体サイクロンから抜き取られたモノマー濃厚画分と混合され、重合ゾーン中にリサイクルされることが好ましいが、もちろん個別にリサイクルされてもよい。第2のスクリーンまたは液体サイクロンから抜き取られた第2の希薄ストリームは、上記のような次の精製、好ましくは少なくとも1つの蒸留工程に導かれる。精製されたストリームは、リサイクルされて重合に戻る一方、分離された不純物はさらに精製されるかまたは処分される。
【0054】
第1のスクリーンまたは液体サイクロンから抜き取られたポリマー濃厚画分は、未使用希釈剤または未使用液体モノマーのストリームと混合される。次いで、この混合ストリームは第3のスクリーンまたは液体サイクロンに導かれる。
【0055】
第3のスクリーンまたは液体サイクロンから抜き取られたポリマー希薄画分は、第2のスクリーンまたは液体サイクロンの第1のストリームと混合されて重合ゾーンにリサイクルされるが、もちろん個別にリサイクルされてもよい。第3のスクリーンまたは液体サイクロンから抜き取られた第2のポリマー濃厚画分は、さらなる重合工程、フラッシング、乾燥、触媒不活性化処理、および押出などの続いての従来の処理工程に導かれ得る。
【0056】
本発明の方法では、重合ゾーン中にリサイクルされる内容物の割合によって、重合ゾーン中に導かれる未使用内容物の割合が決定される。より具体的には、リサイクルされる流体の割合を決定する際には、(1)反応器中への全液体フィード、(2)ポリマーの純度の必要条件、および(3)生産の経済性、を考慮しなければならない。
【0057】
1つのスクリーンまたは液体サイクロンが使用される場合、リサイクルされるポリマー希薄画分の第1のストリームおよび第2のストリームの比率は、所望の純度と生産の経済性とのバランスを考慮して選択することができる。2つ以上のスクリーンまたは液体サイクロンを使用する場合は、反応器中への全液体フィードを考慮する必要がある。第2のスクリーン液体サイクロンからのモノマー濃厚画分、即ち精製せずに重合ゾーン中にリサイクルされる第1のストリームが、全液体フィードに対して50〜95質量%、好ましくは60〜90%、より好ましくは70〜80%の重合ゾーン中への未使用の全液体フィードとなるように、第2のスクリーン液体サイクロン中への未使用の液体ストリームを選択することが有利である。
【0058】
上記のような本発明の方法を使用することによってポリオレフィンが得られる。通常、ポリオレフィンを得るための任意の適切な重合方法を採用してもよい。以下では、オレフィンモノマーの重合反応をより詳細に説明する。
【0059】
任意の適切なオレフィンモノマーを使用できる。しかし、2〜12個の炭素原子を有するα-オレフィンが好ましい。エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび4-メチル-1-ペンテンの群から選択されるモノマーは、より好ましい。
【0060】
重合は、少なくとも1種のコモノマーの存在下でも行うことができる。モノマーとして使用できるものと同じ化合物は、コモノマーとしても使用できる。さらに、ジエンまたはトリエンなどのポリエン、およびスチレンまたはノルボルネンなどの環式オレフィンも使用できる。重合は、1種のコモノマーまたは2種以上のコモノマーの混合物の存在下で行うことができる。コモノマー(1種又は複数種)を使用することにより、ポリマーの密度および/または結晶化度を制御することができる。
【0061】
重合は、触媒の存在下で行うことができる。触媒は、オレフィン重合に適する当技術分野で知られる任意の触媒であってもよい。触媒は、遷移金属触媒であることが好ましい。遷移金属触媒は、その粒子が1〜1000μmの平均粒度を有する粒子状固体であることがより好ましい。
【0062】
本発明に適する触媒の例には、例えば、EP688794、WO91/16361、WO93/13141、WO94/14857、WO99/51646およびWO01/55230に開示されているような、無機酸化物担体上に担持されているマグネシウム化合物およびチタン化合物を含有する遷移金属触媒が挙げられる。しかし、触媒は、WO03/000756、WO03/000757、WO03/000754、WO92/19653、WO93/07182、WO97/36939およびWO99/58584に開示されているような、ハロゲン化マグネシウム上に担持されているチタン化合物も含有してもよい。触媒は、さらに非担持型であって、固体の三塩化チタンの粒子を含み、三塩化アルミニウムなどの追加の成分を任意選択で含有していることもできる。
【0063】
触媒は、さらにクロム触媒であってもよく、これは通常、シリカ上に担持されている。このような触媒は、とりわけWO99/52951およびWO97/27225に開示されている。触媒は、メタロセン触媒であってもよい。WO95/12622、WO96/32423、WO98/32776およびWO00/22011に開示されているように、多くの場合、前記の触媒は無機酸化物担体上に担持されていることが好ましい。このような担持型メタロセン触媒は、同じ触媒粒子上に担持されているアルモキサン(alumoxane)などの活性化剤も含有してもよい。しかし、その代わりに、アルモキサンによる担体を形成してそのアルモキサン上にメタロセン化合物を組み込むことによって触媒を調製してもよい。固体のメタロセン触媒成分を調製するこのような方法は、WO03/051934に開示されている。
【0064】
固体の触媒成分は、ポリマーも含んでもよい。したがって、プレポリマー化したポリマーを少量、例えば固体の触媒成分1g当たりポリマー0.01〜50gを、固体の触媒成分上に含有させてもよい。プレポリマー化に使用されるモノマーは、上記のものと同じであっても異なっていてもよい。
【0065】
活性化剤は、当技術分野で知られる任意の適切な活性化剤であってよい。活性化剤は、反応媒体中に溶解されていることが好ましい。適切な活性化剤の例には、有機アルミニウム化合物、即ちアルキルアルミニウムなどの有機金属化合物が挙げられ、好ましい活性化剤は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-イソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムおよびイソプレニルアルミニウムである。他の適切な活性化剤化合物には、メチルアルモキサン、トリ-イソブチルアルモキサン、ヘキサ-イソブチルアルモキサン、および他のアルモキサン;塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチル亜鉛、およびトリエチルボロンが挙げられる。
【0066】
活性化剤は、任意選択で電子供与体と組み合わせてもよい。電子供与体は、触媒の選択性を制御するのに適した、当技術分野で知られている任意の化合物であり得る。その例には、エーテル、エステル、ケトン、アルコール、カルボン酸、シリコンエーテル、イミド、アミド、およびアミンが挙げられる。
【0067】
重合は、所望する場合には、追加成分の存在下で行ってもよい。例えば、少なくとも1種の希釈剤を重合プロセスに使用してもよい。適切な希釈剤は、反応原料、即ちモノマー、任意選択のコモノマーおよび任意選択の添加剤を溶解する化合物である。希釈剤は、重合触媒との不要な副反応を避けるようにその触媒に対して不活性でなければならない。適切な希釈剤は、脂肪族炭化水素である。1〜15個の炭素原子を有する直鎖脂肪族炭化水素が、好ましい。希釈剤は、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、またはヘキサンなどの1〜6個の炭素原子を含有する低沸点炭化水素であることがより好ましい。前述した化合物の混合物も、使用してもよい。本発明のある実施形態では、希釈剤はC1〜C4炭化水素(もしくはそれらの混合物)であり、または希釈剤は、少なくとも50%超、好ましくは80%超(モルで)の上述のC1〜C4炭化水素を含む混合物である。
【0068】
水素を重合に使用することによって、ポリマーの分子量を制御することができる。水素の量は、使用される触媒の種類、モノマーおよびコモノマーの濃度、重合温度、ならびにポリマーの所望のメルトインデックスによって決まる。
【0069】
さらに、帯電防止剤およびスカベンジャーなどの他の適切な添加剤を重合ゾーン中に導入してもよい。
【0070】
重合反応は、任意の種類の適切な反応器の中で行うことができる。垂直ループ型反応器または水平ループ型反応器などの連続攪拌タンク型反応器およびループ型反応器が好ましい。
【0071】
温度は、20〜150℃、好ましくは50〜110℃、より好ましくは70〜100℃の範囲内にあるように選択される。温度は、所望の重合速度が達成されるように十分高くあるべきだが、かなりの量のポリマーが反応混合物中に溶解する温度より高く設定されるべきではない。
【0072】
重合ゾーン内の圧力は、10〜100バール、好ましくは30〜80バールの範囲であってよい。重合が液体スラリー中で実施される場合、圧力は、反応混合物を液体状態に維持するように十分高くあるべきである。反応流体の臨界温度を超える温度で重合が実施される場合、好ましくは、反応ゾーン内の圧力は反応流体の臨界圧を超えるべきである。
【0073】
重合は、希釈剤を使用せずに液体モノマー中で実施してもよい。希釈剤が存在する場合は、モノマー濃度は1〜99モル%の範囲であってよい。エチレンの重合の場合、濃度は、通常2〜50モル%、好ましくは3〜30%である。プロピレンの重合の場合、反応は、通常、液体プロピレン中で実施され、プロピレンの濃度は、通常50〜99.9モル%、好ましくは60〜99モル%、特に70〜98モル%である。
【0074】
通常、反応混合物中のポリマーの濃度は、スラリーの30〜60質量%、好ましくは35〜55%である。
【0075】
これから、本発明を実施例によって例示するが、それに限定しようとするものではない。
【0076】
(実施例)
〔定量法〕
[メルトフローレート]
メルトフローレートは、ISO1133に準拠して測定した。荷重を下付き数字として示す。ポリプロピレンの場合、測定温度は230℃であり、ポリエチレンの場合、温度は190℃である。
【0077】
[揮発性成分]
揮発性成分(さらに軽質成分、軽質化合物;これらは、主として、6〜20個の炭素原子、特に8〜12個の炭素原子を含有する炭化水素およびケトン、アルデヒド、アルコールなどの炭化水素誘導体)は、ガスクロマトグラフおよびヘッドスペース法を使用することによって測定した。装置は、DB-wax(100%ポリエチレングリコール)で充填された30m×0.25mm×0.25μmのカラムを有するパーキンエルマーガスクロマトグラフであった。燃料ガスとして水素を用いる水素炎イオン化検出器(FID)を使用した。18psiのヘリウムをキャリヤガスとして使用した。試料を注入した後、オーブン温度を、50℃で3分間維持し、次いで200℃に到達するまで12℃/分の速度で上げた。次いで、オーブンをその温度で4分間維持した後、分析を完了した。
【0078】
検量を、次のように行った: 1リットルのn-ブタノール中に溶解している0.1〜100gのアセトンを含有する5〜10の基準溶液を調製した。4μlの各溶液を、20mlの射出形成フラスコ中に注入し、60分間120℃に温度自動調節して分析した。したがって、n-ブタノール中のアセトンの濃度に対するアセトンピーク下の面積についての検量線を得た。
【0079】
分析を、次のように実施した: ポリマー試料(2グラム)を、20mlの射出形成フラスコの中に入れ、5時間120℃に温度自動調節した。次いで、射出形成フラスコからのガス試料を、GC中に注入した。分析前にブラインドラン(blind run)を実施し、この場合、空のフラスコからの注入を行った。次いで、炭化水素放出量Eを次のように算出した:
E=(A-B)/k・2・0.6204
式中、Eは、試料1g当たりの炭素μgとしての炭化水素放出量であり、
Aは、試料ピーク下の全面積であり、
Bは、ブラインドランピーク下の全面積であり、
Kは、検量線の勾配である。
【0080】
[灰分含量]
ポリマーの全灰分含量を、750℃のオーブン中でポリマーを燃焼させることによって測定した。ポリマー試料(約20グラム)を、白金製燃焼皿の中で秤量した。次いで、試料を含有する皿を、オーブン中に入れ、750℃で15分間そこに維持した。皿を秤量し、皿の中の灰分の量を測定した。灰分含量を、ポリマー全量に対する残留物質の比率として示した。
【0081】
[金属含量]
アルミニウムおよびマグネシウムの含量は、灰分から測定した。上記の燃焼から得られた灰分を、灰分試料が溶解するように加熱下で硝酸5ml中に溶解した。次いで、この溶液を、蒸留水を使用して100mlに希釈し、0.45μmフィルターを通して濾過した。ICP(誘電結合プラズマ)によって、濾過溶液から金属含量を測定した。
【0082】
(参照例1)
EP591224の実施例3に従って調製された固体成分、トリエチルアルミニウム助触媒および電子供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを含む触媒系の存在下、プロピレンを150dm3ループ型反応器中で重合させた。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比および助触媒中のアルミニウムと電子供与体とのモル比は、それぞれ200および10であった。反応器を85℃の温度および54bar gの圧力で作動させた。さらに、プロピレンフィード中の水素の濃度がプロピレン1kmol当たり24molであるように水素を導入した。プロピレンフィードは140kg/時であり、触媒フィード速度は、重合速度が40kg/時であるような速度であった。ポリマーは、230℃で測定される130g/10分のメルトフローレートMFR2を有していた。
【0083】
ポリマースラリーを、反応器から断続的に抜き取った。このポリマースラリーを、濃縮工程中に送り、そこにおいてスクリーンを使用することによって流体相の一部をスラリーから分離した。入ってくるスラリーのポリマー含量は45質量%であり、濃密なポリマー濃厚画分のポリマー含量は最大65質量%であった。ポリマー希薄画分は、<0.1%のポリマーを含有した。
【0084】
濃縮工程から回収されるポリマースラリーを、フラッシュに導き、そこで炭化水素をポリマーから除去した。フラッシュおよび濃縮工程から回収される炭化水素は燃やした。
【0085】
軽質化合物の含量をポリマーから決定した。この含量は130ppm(百万分率)であることが判明した。
【0086】
[比較例1]
濃縮工程がプロセス中に存在しないことを除き、参照例1の手順を繰り返した。ポリマーから測定される軽質化合物の含量は、270ppmであった。
【0087】
【表1】

【0088】
(参照例2)
EP591224の実施例3に従って調製された固体成分、トリエチルアルミニウム助触媒および電子供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを含む触媒系の存在下、プロピレンを150dm3ループ型反応器中で重合させた。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比および助触媒中のアルミニウムと電子供与体とのモル比は、それぞれ380および5であった。反応器を、85℃の温度および55bar gの圧力で作動させた。さらに、プロピレンフィード中の水素の濃度がプロピレン1kmol当たり27.5molであるように水素を導入した。プロピレンフィードは135kg/時であり、触媒フィード速度は、重合速度が43kg/時であるような速度であった。ポリマーは、230℃で測定して110g/10分のメルトフローレートMFR2を有していた。
【0089】
ポリマースラリーを、反応器から断続的に抜き取った。ポリマースラリーを、濃縮工程中に送り、そこにおいてスクリーンを使用することによって流体相の一部をスラリーから分離した。入ってくるスラリーのポリマー含量は46質量%であり、濃密な相のポリマー含量は最大65質量%であった。希薄相は、<0.1%のポリマーを含有していた。
【0090】
軽質化合物の含量をポリマーから測定した。この含量は140ppmであることが判明した。
【0091】
(比較例2)
濃縮工程がプロセス中に存在しないことを除き、参照例2の手順を繰り返した。ポリマーから測定される軽質化合物の含量は230ppmであった。
【0092】
【表2】

【0093】
(参照例3)
EP591224の実施例3に従って調製した固体成分、トリエチルアルミニウム助触媒、および電子供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを含む触媒系の存在下で、プロピレンを150dm3のループ型反応器中で重合した。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比および助触媒中のアルミニウムと電子供与体とのモル比は、それぞれ420および5であった。反応器を85℃の温度および55bar gの圧力で運転した。さらに、プロピレンフィード中の水素の濃度がプロピレン1kmol当たり27molであるように水素を導入した。プロピレンフィードは135kg/時であり、触媒フィード速度は、重合速度が45kg/時となる速度であった。ポリマーは、230℃で測定して100g/10分のメルトフローレートMFR2を有していた。
【0094】
ポリマースラリーを反応器から断続的に抜き取った。ポリマースラリーを、第1の濃縮工程中に送り、そこではスクリーンを使用することにより流体相の一部をスラリーから分離した。入ってくるスラリーのポリマー含量は45質量%であり、濃密な相のポリマー含量は最大65質量%であった。希薄相は、<0.1%のポリマーを含有していた。ポリマーを、ポリマー1kg当たりプロパン3kgの液体流と混合し、第1の濃縮工程と同様に操作する第2の濃縮工程に送った。
【0095】
軽質化合物の含量をポリマーから測定した。この含量は40ppmであることが判明した。
【0096】
(比較例3)
2つの濃縮工程がプロセス中に存在しないことを除き、参照例3の手順を繰り返した。ポリマーから測定される軽質化合物の含量は260ppmであった。
【0097】
【表3】

【0098】
(参照例4)
EP1403292の実施例8に従って調製した固体成分、トリエチルアルミニウム助触媒、および電子供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを含む触媒系の存在下で、プロピレンを150dm3のループ型反応器中で重合した。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比および助触媒中のアルミニウムと電子供与体とのモル比は、それぞれ100および5であった。反応器を85℃の温度および55bar gの圧力で運転した。さらに、プロピレンフィード中の水素の濃度がプロピレン1kmol当たり20molであるように水素を導入した。プロピレンフィードは136kg/時であり、触媒フィード速度は、重合速度が約43.6kg/時となる速度であった。ポリマーは、230℃で測定して110g/10分のメルトフローレートMFR2を有していた。
【0099】
ポリマースラリーを反応器から断続的に抜き取った。ポリマースラリーを第1の濃縮工程中に送り、そこではスクリーンを使用することにより流体相の一部をスラリーから分離した。入ってくるスラリーのポリマー含量は45質量%であり、濃密な相のポリマー含量は最大65質量%であった。希薄相は、<0.1%のポリマーを含有した。ポリマーを、ポリマー1kg当たりプロパン2kgの液体流と混合し、第1の濃縮工程と同様に操作する第2の濃縮工程に送った。
【0100】
軽質化合物の含量をポリマーから測定した。この含量は20ppmであることが判明した。
【0101】
(比較例4)
2つの濃縮工程がプロセス中に存在しないことを除き、参照例4の手順を繰り返した。ポリマーから測定される軽質化合物の含量は170ppmであった。
【0102】
【表4】

【0103】
(参照例5)
EP1403292の実施例8に従って調製した固体成分、トリエチルアルミニウム助触媒、および電子供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを含む触媒系の存在下、プロピレンを150dm3のループ型反応器中で重合した。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比および助触媒中のアルミニウムと電子供与体とのモル比は、それぞれ90および5であった。反応器を85℃の温度および55bar gの圧力で運転した。さらに、プロピレンフィード中の水素の濃度がプロピレン1kmol当たり20molであるように水素を導入した。プロピレンフィードは135kg/時であり、触媒フィード速度は重合速度が45kg/時となる速度であった。ポリマーは、230℃で測定して110g/10分のメルトフローレートMFR2を有していた。
【0104】
ポリマースラリーを反応器から断続的に抜き取った。ポリマースラリーを、第1の濃縮工程中に送り、そこではスクリーンを使用することにより流体相の一部をスラリーから分離した。入ってくるスラリーのポリマー含量は45質量%であり、濃密な相のポリマー含量は最大65質量%であった。希薄相は、<0.1%のポリマーを含有した。ポリマーを、ポリマー1kg当たりプロパン0.5kgの液体流と混合し、第1の濃縮工程と同様に操作する第2の濃縮工程に送った。
【0105】
軽質化合物の含量をポリマーから測定した。この含量は、50ppmであることが判明した。
【0106】
(比較例5)
2つの濃縮工程がプロセス中に存在しないことを除き、参照例5の手順を繰り返した。ポリマーから測定される軽質化合物の含量は190ppmであった。
【0107】
【表5】

【0108】
(参照例6)
EP1403292の実施例8に従って調製した固体成分、トリエチルアルミニウム助触媒、および電子供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを含む触媒系の存在下、プロピレンを150dm3のループ型反応器中で重合した。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比および助触媒中のアルミニウムと電子供与体とのモル比は、それぞれ90および50であった。反応器を85℃の温度および55bar gの圧力で運転した。さらに、プロピレンフィード中の水素の濃度がプロピレン1kmol当たり14molであるように水素を導入した。プロピレンフィードは135kg/時であり、触媒フィード速度は、重合速度が45kg/時となる速度であった。ポリマーは、230℃で測定して130g/10分のメルトフローレートMFR2を有した。
【0109】
ポリマースラリーを反応器から断続的に抜き取った。ポリマースラリーを、第1の濃縮工程中に送り、そこではスクリーンを使用することにより流体相の一部をスラリーから分離した。入ってくるスラリーのポリマー含量は45質量%であり、濃密な相のポリマー含量は最大65質量%であった。希薄相は、<0.1%のポリマーを含有した。
【0110】
ポリマーを、ポリマー1kg当たりプロパン5kgの液体流と混合し、第1の濃縮工程と同様に操作する第2の濃縮工程に送った。
【0111】
軽質化合物の含量をポリマーから測定した。この含量は30ppmであることが判明した。
【0112】
(比較例6)
2つの濃縮工程がプロセス中に存在しないことを除き、参照例6の手順を繰り返した。ポリマーから測定される軽質化合物の含量は290ppmであった。
【0113】
【表6】

【0114】
(参照例7)
EP591224の実施例3に従って調製した固体成分、トリエチルアルミニウム助触媒、および電子供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを含む触媒系の存在下で、プロピレンを5dm3のバッチ反応器に入った液体モノマー中で30分間重合した。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比および助触媒中のアルミニウムと電子供与体とのモル比は、それぞれ250および10であった。反応器を80℃の温度で運転した。さらに1molの水素を導入した。
【0115】
液体プロピレンを反応器から抜き出した。スラリー中のポリマー含量は35質量%であり、液体プロピレンの除去後、スラリー中のポリマー含量は60%質量%であった。残りのプロピレンをフラッシュした。
【0116】
濃縮工程からの濃密な相を、85℃の温度および20バールの圧力で運転する気相反応器中に導入した。追加のプロピレン、350mmolの水素、およびトリエチルアルミニウム助触媒を、気相反応器中に導入した。追加の助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比は125であった。重合を60分間続けた。ポリマー混合物のメルトインデックスMFR2は50g/10分であった。
【0117】
軽質化合物の含量を気相反応器の後のポリマーから測定した。この含量は150ppmであることが判明した。
【0118】
(比較例7)
バルク相およびスラリー相の重合の間で除去された液体プロピレンはなく、すべての液体プロピレンをフラッシュし、添加した追加の助触媒はないことを除いて、参照例7の手順を繰り返した。気相反応器の後のポリマーから測定した軽質化合物の含量は230ppmであった。
【0119】
【表7】

【0120】
(参照例8)
Ti、ClおよびMgを必須成分として有する担持型高活性Ziegler-Natta触媒でありかつLynx 200の商標でEngelhardにより販売されている固体成分とトリエチルアルミニウム助触媒とを含む触媒系の存在下で、エチレンを450dm3のスラリーループ型反応器中で重合した。助触媒中のアルミニウムと固体成分中のチタンとのモル比は120であった。反応器を、プロパンスラリー中で95℃の温度および58bar gの圧力で運転した。さらに、エチレンフィード中の水素の濃度が450mol/kmolとなるように水素を導入した。ループ型反応器中のエチレン濃度は4mol%であった。エチレンフィードおよびプロパンフィードは、それぞれ40kg/時および70kg/時であった。触媒フィード速度は、重合速度が38kg/時となる速度であった。ポリマーは、190℃で測定して400g/10分のメルトフローレートMFR2を有していた。
【0121】
ポリマースラリーを反応器から断続的に抜き取った。ポリマースラリーを、第1の濃縮工程中に送り、そこではスクリーンを使用することにより流体相の一部をスラリーから分離した。入ってくるスラリーのポリマー含量は45質量%であり、濃密な相のポリマー含量は最大65質量%であった。希薄相は、<0.1%のポリマーを含有した。ポリマーを、ポリマー1kg当たりプロパン6kgの液体流と混合し、第1の濃縮工程と同様に作動する第2の濃縮工程に送った。濃縮工程から回収した希釈剤は燃やした。
【0122】
軽質化合物画分C8〜C12の含量を、ポリマーから測定した。この含量は60ppm(百万分率)であることが判明した。
【0123】
(比較例8)
2つの濃縮工程がプロセス中に存在しないことを除き、参照例8の手順を繰り返した。ポリマーから測定された軽質化合物画分C8〜C12の含量は160ppmであった。
【0124】
【表8】

【実施例1】
【0125】
(実施例1)
10.9トン/時のエチレン、15トン/時のプロパン希釈剤、重合触媒、および水素を反応器中に送る、温度95℃および圧力60バールで運転されるループ型反応器中で、エチレンを重合した。ポリマー製造速度は10トン/時であった。さらに、約2kg/時の低分子量オリゴマーが生成した。したがって、反応器から出るスラリー流は、898kg/時のエチレン、10000kg/時のポリマー、15000kg/時のプロパン、および2kg/時のオリゴマーを含有していた。このスラリーストリームを液体サイクロンに導いた。この結果を表9に示す。
【0126】
液体サイクロンから抜き取った底部の流れを、ポリマー回収に導いた。液体サイクロンから抜き取られた頂部の流れを精製工程に導き、希釈剤からオリゴマーを除去した。これらの精製工程は2つの蒸留カラムからなるが、これらは、C4炭化水素より重い成分を除去する1つの重質物用カラム、および水素などの軽質成分を除去する軽質物用カラムであった。
【0127】
ポリマーのオリゴマー含量は、スラリー反応器の後に1つの液体サイクロンを導入することにより200ppmから72ppmに低減したことが理解できる。一方では、10515kg/時の全ストリームを希釈剤精製工程に導く。
【0128】
【表9】

【実施例2】
【0129】
(実施例2)
液体サイクロンの底部から抜き取られたスラリーを14250kg/時の未使用プロパンと混合し、第2の液体サイクロンに導くことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。第1の液体サイクロンの頂部から集めたストリームを希釈剤精製に導き、一方、第2の液体サイクロンの頂部から抜き取られたストリームを、スラリー重合反応器に直接戻した。液体サイクロンを表10に示すように運転した。
【0130】
希釈剤精製に導いた全希釈剤ストリームは実施例1の場合と同じ、即ち10515kg/時であったが、最終ポリマー生成物中に存在するオリゴマーの量は、72ppmから27ppmに低減したことが理解できる。
【0131】
【表10】

【0132】
本発明の方法を使用して得られるポリオレフィン生成物は、比較的低い分子量を有する臭気発生化合物およびオリゴマーなどの不純物を、より低い量でしか含まないことが有利である。前記の不純物は、濃縮ゾーン中でポリマーから効率的に除去され、第2のストリームを精製することによってプロセスから除去される。部分的な分離によって、ポリマー希薄画分を精製せずに完全にリサイクルする場合に生じる反応混合物中の蓄積が抑えられる。
【0133】
さらに、生じたポリマーは、低減された量の触媒残渣(特に、反応混合物中に溶けるような触媒残渣、例えばアルキルアルミニウム)しか含まない。
【0134】
さらに、ポリマー希薄画分の部分的精製によって、望ましくない不純物のかなりの部分が、精製工程に全画分を送る必要なくプロセスから除去される。したがって、精製ゾーンは、より小さいストリーム用に寸法決定でき、これは経済的により有利であり、費用対効果に優れる。
【符号の説明】
【0135】
1・・・フィード
2・・・管
4・・・管
5・・・管
6・・・管
7・・・管
8・・・管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
を含むポリオレフィンの製造方法であって、
前記のポリマー希薄画分の少なくとも一部が、リサイクルされて少なくとも1種の前記オレフィンモノマーの重合に戻る前に精製工程にかけられ;かつ
前記重合はスラリー重合であり、さらに前記のポリマー希薄画分が液体または超臨界状態である、
ポリオレフィンの製造方法。
【請求項2】
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
前記のポリマー希薄画分を第1および第2のストリームに分割する工程;
前記第1のストリームを前記オレフィンモノマーの重合にリサイクルする工程;
前記第2のストリームを精製する工程;
前記の精製された第2のストリームの少なくとも一部をリサイクルして前記オレフィンモノマーの重合に戻す工程
を含む、請求項1に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項3】
少なくとも1種のオレフィンモノマーを重合する工程;
前記の反応混合物の少なくとも一部を分離する工程;
前記の分離された反応混合物をポリマー希薄画分およびポリマー濃厚画分に分割する工程;
前記ポリマー希薄画分の少なくとも一部を精製することにより、前記画分中に含まれる不純物を除去する工程;
前記の精製されたポリマー希薄画分の少なくとも一部を前記の少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合にリサイクルする工程
を含む方法であって、
前記の少なくとも1種のオレフィンモノマーの重合工程が、1〜4個の炭素原子を有する炭化水素を少なくとも50モル%含む反応混合物中で行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記精製が、少なくとも1つのフラッシング工程を実施することにより行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記精製が、少なくとも1つの蒸留工程を実施することにより行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記の分離された反応混合物を分割する工程が液体サイクロンまたはスクリーン中で行われる、請求項1から5のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項7】
前記のポリマー希薄画分を分割する工程が液体サイクロンまたはスクリーン中で行われる、請求項2または4から6のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項8】
前記のポリマー希薄画分が、オレフィンオリゴマー、金属成分、未反応モノマーおよび重合時に形成される副生成物の少なくとも1つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記副生成物が、ケトン、アルデヒド、硫黄含有化合物、およびアルコールの少なくとも1種を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記のポリマー濃厚画分が未使用のオレフィンモノマーと混合され、次いで混合物が第2のポリマー濃厚画分およびモノマー濃厚画分に分割される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記のモノマー濃厚画分が前記オレフィンモノマーの重合にリサイクルされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
10〜95質量%のポリマー希薄画分が第2のストリーム中に分割される、請求項2または4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記の反応混合物の分離が連続的に行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記の反応混合物の分離が断続的に行われる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記の反応混合物中のポリマーが、反応混合物の分離の前に濃縮される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
濃縮が沈降レッグにより行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記の反応混合物中のポリマーの濃度が30〜60質量%である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記重合が攪拌タンク型反応器またはループ型反応器中で行われる、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−537674(P2009−537674A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511395(P2009−511395)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004530
【国際公開番号】WO2007/134837
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(500224380)ボレアリス テクノロジー オイ (39)
【Fターム(参考)】