説明

不純物を含まない非晶質ロスバスタチンカルシウムの調製方法

HPLC面積百分率による測定で99.5%を超す純度、好ましくは99.8%を超す純度、さらに好ましくは99.9%を超す純度を有し、アルカリ金属不純物をなんら含まない、ロスバスタチンカルシウムの純粋な非晶質形態が開示される。ロスバスタチンカルシウムの純粋な非晶質形態の調製方法が開示され、この方法は、ロスバスタチンのC〜Cアルキルエステル、好ましくはロスバスタチンのtert−ブチルエステルの、非プロトン性溶媒を場合により含む水の存在下における、有機窒素塩基、例えばグアニジン、アミジン、アミンおよび水酸化第四級アンモニウムによる加水分解、次にこのようにして得られるロスバスタチン塩の、所望のロスバスタチンカルシウムへのカルシウム源による変換、これを次いで単離することを含む。多くの新規なロスバスタチンのアンモニウム塩、好ましくはロスバスタチンのtert−オクチルアンモニウム塩の、カルシウム源による、所望の市販のロスバスタチンカルシウムへの変換を含む、別の方法が開示される。ロスバスタチンカルシウムは、高脂血症、高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症の治療に有用なHMG CoAレダクターゼである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間体化合物としてロスバスタチンのアンモニウム塩を経由する、実質的にアルカリ金属不純物を含まない非晶質ロスバスタチンカルシウムの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロスバスタチンは、市販薬としてカルシウム塩として治療で投与される(+)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−ジヒドロキシ−(E)−ヘプテン酸の一般名であり、以下、式1に示され、この化合物は、高脂血症、高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症の治療に有用な、酵素3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼ(HMG CoAレダクターゼ)の阻害剤である。ロスバスタチンおよびロスバスタチンカルシウムの合成は、最初に特許EP−B−521 471号に記載された。その全合成の最後の2工程において、極性溶媒、例えばエタノール中で、塩基、例えば水酸化ナトリウムの存在下、ロスバスタチンのメチルエステル(メチルロスバスタチン)を加水分解し、次いでロスバスタチンのナトリウム塩を単離し、水溶性カルシウム塩により、水性条件下、ロスバスタチンのナトリウム塩をロスバスタチンのカルシウム塩に変換する。特許EP−B−521 471号に記載された中間体の調製方法を参照により本明細書に組み込む。
【0003】
WO2005/023778号は、ロスバスタチンのC〜Cアルキルエステル、好ましくはロスバスタチンのtert−ブチルエステルを、C〜Cアルコール、好ましくはエタノールの存在下、塩基、好ましくは水酸化ナトリウムにより、ロスバスタチン塩、例えばそのナトリウム塩の溶液に変換し、カルシウム源を溶液に加えることにより塩をロスバスタチンカルシウムに変換することによる、ロスバスタチンカルシウムの調製方法を記載している。
【0004】
ロスバスタチンカルシウムの新規な結晶形態は、(i)容積比1:1の水およびアセトニトリル;(ii)容積比1:1の水およびアセトン;または容積比1:1:1の水、メタノールおよびメチルtert−ブチルエーテルの混合物から、ロスバスタチンカルシウムの非晶質形態の結晶化により調製され得、これはWO2000/042024号に記載されている。
【0005】
WO01/60804号は、適切なアミンまたは塩基の、ロスバスタチン酸のアセトニトリルまたは酢酸エチル溶液への添加により調製され得る、ロスバスタチンの特定の新規なアミン塩を開示している。ロスバスタチンの特定の新規なアミン塩、好ましくはその結晶性メチルアンモニウム塩は、ロスバスタチンの非晶質カルシウム塩の調製に用いられ得、この方法は、ロスバスタチンの結晶性メチルアンモニウム塩と水酸化ナトリウムとの反応、次いで水性条件下における塩化カルシウムなどの水溶性カルシウム塩との、順次的な反応を含む。1つの方法がWO2005/051921号に開示されており、ここでロスバスタチンカルシウム塩をイソプロピルアンモニウム塩またはシクロヘキシルアンモニウム塩に変換し、カルシウム塩に戻すことにより精製する。
【0006】
【化5】

【0007】
有機酸のアルカリ金属塩が多くの場合、単離時に問題を引き起こす可能性のある吸湿性であることは、よく知られている。実際に、ロスバスタチンカルシウム塩の調製における中間体であり得るロスバスタチンのナトリウム塩の単離は、収率および反応条件および溶媒の蒸発による物理的状態が再現不可能である可能性があり、これは制御困難である。国際公開番号WO2005/23778号は、ロスバスタチンナトリウム塩を単離せずに、その水性溶液から水非混和性の溶媒に不純物を抽出することにより問題の回避を試みたが、C〜Cアルコールを反応媒体として使用することにより、特定の不純物への変換のリスクが依然として存在する。すなわち、アルコール性アルカリ溶液中のβ−ヒドロキシ酸が脱水され、これが再アルコキシル化後に特有の副生成物(スキーム1を参照されたい。ここでRおよびRは独立してC〜Cアルキル基を示す。)、ロスバスタチンのO−アルキル誘導体、例えばO−エチルロスバスタチンの生成をもたらす可能性が知られている。
【0008】
従って、副生成物の顕著な量なしに、およびアルカリ金属カチオンなしに、正確な化学量論量を有して、純粋な非晶質ロスバスタチンカルシウムを調製する効率的な方法の必要性が、依然として存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一般的な態様において、HPLC面積百分率による測定で99.5%を超す純度、好ましくは99.8%を超す純度、さらに好ましくは99.9%を超す純度を有し、アルカリ金属不純物をなんら含まない、式1のロスバスタチンカルシウムの純粋な非晶質形態が提供される。
【0010】
第1の態様において、本発明は、実質的にアルカリ金属不純物、例えばナトリウムカチオン不純物を含まない、ロスバスタチンの純粋な非晶質カルシウム塩の調製方法を提供し、方法は、
a)ロスバスタチンのC〜Cアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトンの、非プロトン性溶媒を場合により含む水の存在下における有機窒素塩基による加水分解、
b)このようにして得られる有機窒素塩基のロスバスタチン塩をカルシウム源により変換し、ロスバスタチンカルシウムを得ること、
c)ロスバスタチンの純粋な非晶質カルシウム塩を単離すること、を含む。
【0011】
出発原料のエステルは、ロスバスタチンのメチルエステル、好ましくはロスバスタチンのtert−ブチルエステル(tert−ブチルロスバスタチン)であり得る。
有機窒素塩基は、グアニジン、アミジン、アミン、水酸化第四級アンモニウム、無置換もしくはC〜Cアルキル置換ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾリジンまたはアダマンタンからなる群から選択される。
【0012】
工程a)において任意の非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフランを使用することができる。
【0013】
任意の適切なカルシウム源、好ましくは塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウムおよびパルミチン酸カルシウムを使用することができる。
【0014】
本発明による方法は、中間体のロスバスタチン塩の溶液中、有機窒素塩基により実施され得る。前記の塩は、従来技術に記載されていない新規の化合物、例えばロスバスタチンのアミン塩である。
【0015】
本発明のもう一つの態様において、有機窒素塩基のロスバスタチン塩は、単離可能であり、場合により、例えば再結晶によって精製され得、および純粋な非晶質ロスバスタチンカルシウム塩の調製における中間体として使用され得る。
【0016】
所望の純粋な非晶質ロスバスタチンカルシウム塩は、従来技術の方法により得られた中間体ロスバスタチンナトリウム塩に含まれる、例えばナトリウムカチオンからの、アルカリ金属塩不純物をなんら実質的に含まない。さらには、C〜Cアルコール性媒体中で行なわれる従来技術の方法により副生成物として得られることがある、ロスバスタチンのO−アルキル誘導体をなんら含まない、例えばロスバスタチンのO−エチル誘導体を含まない、純粋なロスバスタチンカルシウムか望ましい。
【0017】
本発明による方法により調製された非晶質ロスバスタチンカルシウムは、クロマトグラフ純度の少なくとも99.5%を有し、さらに、非常に純粋な原料のC〜Cロスバスタチンエステルを使用する場合は純度99.8%を超し、よりさらに、所望のロスバスタチンカルシウムのクロマトグラフ純度の99.9%を超す場合がある。
【0018】
「クロマトグラフ純度」という用語は、面積百分率HPLC(「高圧液体クロマトグラフィー」)により測定された純度を意味する。
【0019】
本発明のもう一つの態様において、非晶質ロスバスタチンカルシウムは、新規のロスバスタチンのアンモニウム塩中間体の、カルシウム源による変換により調製され得る。ロスバスタチンのアンモニウム塩中間体は、以下を含む手順に従いロスバスタチン遊離酸を適切なアミンと接触させることにより得られる:
a)ロスバスタチンのC〜Cアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトンの、非プロトン性溶媒および水の混合物中における、アルカリ金属水酸化物による加水分解、
b)反応混合物を水非混和性溶媒により洗浄すること、
c)ロスバスタチンアルカリ塩の水性溶液を、酸により酸性化すること、
d)得られたロスバスタチン酸の水性溶液の水非混和性有機溶媒中への抽出、
e)ロスバスタチン酸をロスバスタチンのアンモニウム塩に変換するために、得られたロスバスタチン酸含有抽出物に適切なアミンを加えること、
f)ロスバスタチンカルシウムを得るために、ロスバスタチンのアンモニウム塩をカルシウム源により変換すること、
g)非晶質ロスバスタチンカルシウムの単離。
【0020】
上記工程b)およびd)で使用する水非混和性の溶媒は、C〜Cアルキルエステル、例えば、酢酸エステル、好ましくは、酢酸エチル(AcOEt)、iso−プロピルアセテート(i−Prアセテート)およびiso−ブチルアセテート、エーテル、塩素化炭化水素および環状炭化水素からなる群から選択される。
【0021】
上記処理の工程c)における、ロスバスタチンアルカリ塩の水性溶液を酸性化するための酸として、例えば塩酸またはリン酸が使用され得る。
【0022】
「ロスバスタチン酸」(「ロスバスタチン遊離酸」)という用語は、(+)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−ジヒドロキシ−(E)−6−ヘプテン酸を意味する。
【0023】
原料のロスバスタチンエステルの切断のために、上記手順に従い工程a)においてで水酸化ナトリウムを使用することにより、適切なアミンによる、種々の分離可能な中間体ロスバスタチン塩の精製および単離が実施可能であり、その実施後、例えば工程b)の反応混合物を水非混和性の溶媒により洗浄することによって、ナトリウムカチオン不純物の含有量を減少可能であり、所望のロスバスタチンカルシウム塩において重量でナトリウム0.1%未満まで減少させることができる。
【0024】
ロスバスタチンの新規なアンモニウム塩のいくつかは、明確に定義された形態において、好ましくはロスバスタチンのtert−オクチルアンモニウム塩として調製され、これは非常に純粋な結晶性形態で単離可能であり、ならびにHPLCおよび他の分析用の分析標準物質として有用であり得る。
【0025】
ロスバスタチンC〜Cエステルまたはラクトンの、有機窒素塩基による切断を用いる本発明の第1の態様の上記方法は、当技術分野で公知の他のスタチン、好ましくはアトルバスタチンの調製のために首尾よく適用され得る。
【0026】
本発明の最後の態様において、上述の方法に従って調製されたロスバスタチンカルシウムを含む医薬品製剤、ならびに医薬品製剤を治療を必要とする哺乳動物へ投与する工程を含む、高脂血症、高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症の治療方法を提供する。
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明の目的は、実質的にナトリウムカチオン不純物または同様に他のアルカリ金属カチオン不純物および他の不純物を含まない、純粋な非晶質ロスバスタチンカルシウムの新規な調製方法を見出すことである。これは反応媒体としてのアルコール、例えばC〜Cアルコールの使用、およびアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムの使用を回避するものであり、従って、これによりO−アルキルロスバスタチン不純物(スキーム1を参照されたい)、例えばO−エチルロスバスタチン誘導体を除き、および従来技術の方法に従って調製されるロスバスタチンカルシウムに不純物として存在し得るナトリウムカチオン不純物またはアルカリ金属カチオン不純物をなんら含まないロスバスタチンカルシウムを得る。
【0028】
従って、「実質的に含まない」という用語は、得られた所望の非晶質ロスバスタチンカルシウムが、アルカリ金属不純物、例えばナトリウム金属不純物をなんら含まないことを意味する。
【0029】
さらに本発明の目的は、有機窒素塩基による、新規で高品質なロスバスタチン塩中間体、例えば新規なロスバスタチンアンモニウム塩の簡単および単純な調製、ならびに場合により単離を容易にし、ならびに前記の新規な中間体化合物の、所望の市販の非晶質ロスバスタチンカルシウムへの単純および簡単な変換を可能にする、新規な方法を見出すことである。
【0030】
われわれは予想外におよび驚くべきことに、上記問題が、原料のロスバスタチンのC〜Cアルキルエステル(式2)またはロスバスタチンラクトン(式3)の加水分解により解決されることを見出し、ここでプロトン性溶媒媒体としてC〜Cアルコールを、および従来技術の方法で公知の強アルカリ無機塩基、例えば水酸化ナトリウムを使用する代わりに、加水分解は、有機窒素塩基の水性溶液中で行われる。すなわち、無機強塩基、例えば水酸化ナトリウムの存在下で原料のC〜Cロスバスタチンエステルの従来技術の方法による加水分解は、所望のロスバスタチンカルシウムへの不完全な変換を引き起こすことがある。不完全な変換の結果は、通常、所望の生成物中の残留アルカリ金属、例えばナトリウムカチオンの存在で現れる。無機強塩基としての水酸化ナトリウムの使用後、様々な量の残留ナトリウムが、所望のロスバスタチンカルシウム中に発見される。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
残留ナトリウムカチオンを、特定の方法によりロスバスタチンカルシウムから除去することができ、例えば、ロスバスタチンカルシウム塩は、水性懸濁剤中で激しい攪拌により、好ましくはultraturrax(Ultra−Turrax(登録商標)は高速回転ユニットを備えた分散装置のIKA Werke GmbH&Co., Staufen,Germanyの商標名である。)により再処理され得る。このような方法は大部分のナトリウムを除去するが、所望のロスバスタチンカルシウムからナトリウムを完全に除去する方法はない。
【0034】
本発明は、原料のロスバスタチンのC〜Cアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトンの切断のための有機窒素塩基の水性溶液の使用を提供する。グアニジンおよびアミジンからなる群から選択される有機窒素強塩基は、1つの選択法であり得る。われわれは、驚くべきことに、多くのアミン類などの弱塩基も、水または水および非プロトン性溶媒の混合物に溶解する場合、より高い温度が用いられるならば、原料のロスバスタチンエステルを首尾よく切断することを見出した。さらにわれわれは、温度を100℃まで上昇させることにより、所望の生成物がかなりの程度分解することもなく、またロスバスタチンの対応するアミドの出現を引き起こすこともないことを見出した。
【0035】
本発明の第1の態様によれば、ロスバスタチンのC〜Cアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトン(ここでアルキルは、メチル、エチル、n−proply、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチルtert−ブチル、アミルまたはtert−アミル基、さらに好ましくはtert−アルキルエステル、最も好ましくはロスバスタチンのtert−ブチルエステルを示す。)は、有機非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフランを場合により含む、有機窒素塩基および水の溶液中で切断される。
【0036】
本発明の方法により使用される有機窒素塩基は、以下からなる群から選択される:
a)下記式のグアニジン:
【0037】
【化8】

(式中、R、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基または環状C〜Cアルキル基を示し、あるいはR、R、R、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。)
b)下記式のアミジン:
【0038】
【化9】

(式中、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基または環状C〜Cアルキル基を示し、あるいはR、R、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。)
c)下記式のアミン:
【0039】
【化10】

(式中、R、RおよびRのそれぞれは、独立して水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基または環状C〜C12アルキル基を示し、アルキル鎖の1つ以上の炭素原子は、無置換もしくはヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ−C〜Cアルキルアミノ、フェニル、ピリジニル、C〜Cアルキルアミノからなる群から選択される遊離基で置換されており、あるいはR、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。);
d)下記式の水酸化第四級アンモニウム:
【0040】
【化11】

(式中、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立して水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基または環状C〜Cアルキル基を示し、あるいはR、R、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。);
e)無置換またはC〜CアルキルN−置換ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾリジンまたはアダマンタン:
からなる群から選択される。
【0041】
ロスバスタチンのC〜Cアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトンの、上記式のアミンによる、水の存在下における加水分解によるロスバスタチンのアンモニウム塩の調製方法を、以下のスキーム2に示す。
【0042】
【化12】

(式中、式2において、RはC〜Cアルキル基を示し、ならびにR、RおよびRは、上記アミンの式で示されるような遊離基を示す。)
【0043】
本発明の方法によれば、使用される好ましい有機窒素塩基は、グアニジンのグループからはN,N,N’,N’−テトラメチルグアニジンであり、アミジンのグループからは1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)であり、アミンのグループからはn−プロピルアミン iso−プロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−iso−プロピルアミン、N,N−ジ−iso−プロピルアミン、tert−ブチルアミン、tert−オクチルアミン(2,4,4−トリメチルペンタ−2−イルアミン),sec−ブチルアミンおよびジエチルアミンである。
【0044】
本発明の第1の態様によれば、原料のロスバスタチンのC〜Cエステルまたはロスバスタチンラクトンは、非プロトン性有機溶媒を場合により含む水(水含有量が容量で50%を超す、好ましくは容量で75%を超す)の存在下、有機窒素塩基により加水分解される。加水分解は、0℃から120℃の温度で実施される。有機窒素強塩基、例えばグアニジンおよびアミジンを用いる加水分解の際、温度は好ましくは20℃から70℃、さらに好ましくは40℃から60℃である。弱塩基、例えばアミンを用いる加水分解の際、温度は好ましくは80℃から110℃、さらに好ましくは95℃から105℃、最も好ましくは98℃から100℃である。揮発性アミン(沸点120℃未満)の使用による、本発明に従った原料のロスバスタチンエステルの加水分解は、加圧下においてしっかりと密閉した容器中で実施される。
【0045】
本発明のもう一つの態様において、新規なロスバスタチンのアンモニウム塩中間体は、加水分解混合物から、留去して乾燥することにより、場合により続いて適切な溶媒を用いて処理し対応する塩を凝固させ、それをさらに、例えば濾過により集めることによって、直接、単離可能である。凝固のための溶媒の選択は、特定の塩の物理化学的性質に依存し、ニトリル、エステル、エーテルまたは炭化水素から選択され得るが、これらに限定されない。例えば、アセトニトリルからのロスバスタチンの固体イソプロピルアンモニウム塩およびtert−ブチルメチルエーテルからのロスバスタチンのN−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩は、この方法により単離される。
【0046】
本発明のもう一つの態様において、ロスバスタチンのアンモニウム塩は、溶液からロスバスタチンの中間体アンモニウム塩を事前に単離をすることなしに、ロスバスタチンカルシウム塩に変換され得る。加水分解工程後に得られた、適切なアミンとのロスバスタチン塩の水性溶液は、水非混和性の溶媒で場合により洗浄し、さらにカルシウム源により変換して、所望の純粋な非晶質ロスバスタチンカルシウムを沈殿させる。
【0047】
水非混和性の溶媒は、エステル、エーテル、塩素化炭化水素または環状炭化水素からなる群から選択され、好ましくはより使いやすい溶媒、例えばC〜C酢酸エステル、例えば酢酸エチルまたは環状炭化水素である。
【0048】
カルシウムイオン源は、カルシウムハロゲン化物、好ましくは塩化カルシウム、およびもう1つのカルシウム源、例えば硝酸カルシウムまたは水酸化カルシウム、C〜C20アルカン酸のカルシウム塩、好ましくはパルミチン酸カルシウム、ピバル酸カルシウムまたは酢酸カルシウムからなる群から選択される。
【0049】
本発明のもう一つの態様において、ロスバスタチン遊離酸から、適切なアミンとの反応により、ロスバスタチンの新規な中間体アンモニウム塩を調製することができる。
【0050】
ロスバスタチン遊離酸は、ロスバスタチンの原料C〜Cエステルまたはロスバスタチンラクトンから、これを適切な塩基、例えば水酸化ナトリウムにより、場合により水で希釈されている非プロトン性溶媒の存在下、反応させ、次いで酸、例えばリン酸または塩酸の、ロスバスタチンナトリウム塩の溶液への添加により調製され、このようにしてロスバスタチン遊離酸を得る。
【0051】
加水分解工程で用いられる強無機塩基は、水酸化ナトリウムまたは他のアルカリ金属水酸化物であり得、この反応は、水の存在下、または水およびテトラヒドロフランの混合物などの、非プロトン性溶媒および水の混合物の存在下、場合により加圧下で進められる。ロスバスタチンアルカリ塩の得られた溶液は、エステル、エーテル、塩素化炭化水素または環状炭化水素からなる群から、好ましくは酢酸エステル、環状炭化水素またはアルカンなどのより使いやすい溶媒から、さらに好ましくは酢酸エチルから選択される水非混和性の溶媒によって、場合により洗浄され得る。ロスバスタチンアルカリ塩を含む水相は、次いで、強無機酸により、好ましくはリン酸または塩酸により処理される。
【0052】
得られるロスバスタチン酸(ロスバスタチン遊離酸)は、次に水非混和性の溶媒中に抽出され、得られた有機相は、適切なアミンとの接触によりロスバスタチンのアンモニウム塩に変換される。複数種の水非混和性有機溶媒の一体化のために、溶媒が反応混合物の洗浄のために使用される場合、同じ有機溶媒、例えばエステル、好ましくはiso−プロピルアセテートが、アミンとの反応のために使用され得る。
【0053】
さらなる方法において、有機抽出物(水非混和性の溶媒、例えばイソプロピルアセテート中の上記ロスバスタチン酸の溶液)が、適切なアミンで処理され、ロスバスタチンの対応するアンモニウム塩が得られる。別法として、塩が溶解したままである場合、これを、場合によりその溶液の濃縮後、エステル、エーテルまたは炭化水素などの他の無極性溶媒から選択される貧溶媒を加えることにより沈殿することができる。もう1つの方法において、抽出溶媒を、ロスバスタチンの固体アンモニウム塩を単離のために完全に除去することができ、または、油状の場合、適切な溶媒で処理して対応する塩の凝固を引き起こし、それを、例えば濾過により最終的に収集する。全てのこれら別法における、ロスバスタチンの固体アンモニウム塩を単離するための溶媒は、厳密に特定の塩の溶解性および物理的性質に依存するが、好ましい媒質は、C〜C酢酸エステルおよびエーテル、最も好ましくはiso−プロピルアセテートおよびtert−ブチルメチルエーテルである。
【0054】
この記載した本発明の態様に従って、高品質な、以下のロスバスタチンの固体アンモニウム塩が、単離可能である:
N−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩(HPLCにより99.6面積%)、
シクロヘキシルアンモニウム塩(99.71面積%);ジシクロヘキシルアンモニウム塩(99.82面積%);ピロリジニウム塩(99.71面積%);ピペリジニウム塩(99.77面積%);モルホリニウム塩(99.51面積%);1−アダマンチルアンモニウム塩(99.75面積%);tert−オクチルアンモニウム塩(99.87面積%)。
【0055】
単離されるロスバスタチンの固体アンモニウム塩のいくつかは、良質な結晶性生成物であり、実質的に純粋に単離され得る。特徴的な例はロスバスタチンのtert−オクチルアンモニウム塩であり、これは2つの異なる疑似多型において単離可能であり、その純度ゆえに、分析標準物質として好都合に使用できる。
【0056】
アセトニトリルから、場合によりヘキサンにより洗浄後、粉末X線分析において表3に示される回折角を有する無水結晶性形態が単離される、つまり、本発明は、8.0、15.0、17.7、18.4、18.8、20.3および23.4±0.2°2θに特有のピークがある粉末X線回折パターンおよび/または約121℃の融点を有するロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩に具現化される。
【0057】
アセトニトリルおよび水の混合物から、粉末X線分析で表4に示される回折角を有する結晶性一水和物が単離される。本発明は、8.6、16.5、18.6、19.1、および19.7±0.2°2θに特有のピークがある粉末X線回折パターンを有するロスバスタチンのtert−オクチルアンモニウム塩の結晶性一水和物に具現化される。特に、再結晶化されたロスバスタチンの無水tert−オクチルアンモニウム塩は、安定した明確な構造を有し、そのため、吸湿性を有する非晶質カルシウム塩よりも、分析標準物質としての使用およびカルシウムアッセイ変法により適している。例えばNMRまたは滴定によりロスバスタチンの正確な含有を測定した後、その物質は、ロスバスタチンのHPLC分析において重量標準化合物として使用され得る。
【0058】
形成されたロスバスタチンのアンモニウム塩は、溶媒として水を使用し、カルシウムイオン源、好ましくは酢酸カルシウムまたは水酸化カルシウムを、ロスバスタチンのアンモニウム塩に加えることにより、ロスバスタチンカルシウム塩に変換され得る。
【0059】
以下の実施例は本発明を説明するが、何ら本発明を制限するものではない。
【0060】
実施例の分析データは以下の装置により得られた。
【0061】
融点は、Koflerのホットステージ付き顕微鏡、および示差走査熱量計(differential dynamic calorimeter)Mettler Toledo DSC822eにて測定された。
【0062】
試料の粉末X線回折スペクトルは、Siemens D−5000で、リフレクション方法(reflexion technique)により、CuKα照射、2°から37°2θの範囲、ステップ0.04°2θ、積算時間1秒、と記録された。この回折図(difractogram)における精度は、±0.2、好ましくは、±0.1 2θであると考えられる。
【実施例1】
【0063】
アミン水性溶液中のロスバスタチンのtert−ブチルエステルの加水分解
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:7.5g
脱塩水:38ml
アミンの2〜5当量
この反応物および溶媒としての水を、オートクレーブ中、98℃から100℃で1〜4時間攪拌した。反応混合物試料をし、HPLC(「高圧液体クロマトグラフィー」)により分析して反応の完了を確認した。結果を表1に示す。
【0064】
【表3】

【実施例2】
【0065】
N−メチルシクロヘキシルアミン水性溶液中のロスバスタチンラクトンの加水分解
ロスバスタチンラクトン:0.5g
N−メチルシクロヘキシルアミン:0.5ml
脱塩水:3.0ml
この反応物および溶媒を、90℃で1時間攪拌して透明な溶液を形成し、実施例1に記載のように分析した。HPLC分析は、原料のラクトンの完全な消費を示した。
【実施例3】
【0066】
強有機窒素塩基溶液中のロスバスタチンのtert−ブチルエステルの加水分解
容積比1:6:15の、塩基、テトラヒドロフランおよび水の混合物中のロスバスタチンのtert−ブチルエステルの溶液を、50℃でわずかな時間攪拌した。この反応混合物を試料化し、HPLCにより分析して反応の完了を確認した。結果を表2に示す。
【0067】
【表4】

【実施例4】
【0068】
ロスバスタチンのiso−プロピルアンモニウム塩の調製
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:7.2g
脱塩水:35ml
iso−プロピルアミン:4.5ml
反応物および溶媒としての水を、オートクレーブ中、98℃から100℃で2時間攪拌した。次いで、生成された溶液を放置して室温に冷却し、固体不純物の微量を濾過して除去した。濾液をiso−プロピルアセテート20mlにより2回洗浄し、次いで水相を、減圧下、70℃および15ミリバールで留去して、溶媒およびiso−プロピルアミンを除去した。ロスバスタチンiso−プロピルアンモニウム塩の白色固体残渣の7.15gが集められた。
【0069】
この全量を70mlのアセトニトリルに加え、生成された懸濁液を1時間加熱して還流した(80℃)。次いで、これを0℃で2時間放置した。続いて生成物を濾過により分離した。収量:純粋な生成物の白色結晶の6.7g(>99.9面積%,HPLC)。
H−NMR:(CDOD):1.29(12H,d,J=7Hz),1.48−1.56(1H,m),1.62−1.72(1H,m),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2.34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),3.39(1H,h,J=7Hz),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.53(3H,s),3.92−4.00(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.57(1H.dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H.dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(1H,m),7.69−7.75(1H,m).
同様に、ロスバスタチンのtert−ブチルアンモニウム塩を、基本的に同じ収率で調製した:
H−NMR:(CDOD):1.29.(6H,d,J=7Hz),1.35.(9H,s),1.48−1.56.(1H,m),1.62−1.72.(1H.m),2.25.(1H,dd,J=15Hz,J=7.6Hz),2.34.(1H,dd,J=15Hz,J=4.9Hz),3.51.(1H,h,J=7Hz),3.52.(3H.s),3.53.(3H,s),3.92−4.00.(1H,m),4.33−4.40.(1H,m),5.57.(1H.dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62.(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22.(1H,m),7.69−7.75.(1H.m).
【実施例5】
【0070】
ロスバスタチンのN−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩の調製
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:50g
脱塩水:225ml
N−メチルシクロヘキシルアミン:25ml
反応物および溶媒としての水を、オートクレーブ中、98℃から100℃で3時間攪拌した。次いで、生成された溶液を放置して室温に冷却し、150mlの追加の脱塩水およびテトラヒドロフラン20mlを加え、固体不純物の微量を濾過して除去した。次いで、得られた溶液をメチルシクロヘキサン200ml×2により洗浄し、水相を、減圧下、70℃および15ミリバールで留去して、溶媒およびN−メチルシクロヘキシルアミンを除去した。トルエン50mlおよび酢酸エチル70mlを加え、できるだけ多くの水を除去するために再び留去した。油状残渣にtert−ブチルメチルエーテル250mlを加え、混合物を温浸し白色懸濁液を形成した。それを0℃で12時間冷却した後、懸濁液を濾過し、tert−ブチルメチルエーテル60mlにより洗浄し、濾紙上で乾燥した。収量:ロスバスタチンのN−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩の白色固体の50.8g。
【実施例6】
【0071】
ロスバスタチンのN,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン塩からのロスバスタチンのN−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩の調製
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:5.0g
N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン:1.4ml
脱塩水:25ml
テトラヒドロフラン:10ml
反応物および溶媒を、50℃で2時間攪拌した。次いで、生成した溶液を放置して室温に冷却し、メチルシクロヘキサン40mlにより2回洗浄した。残渣の総重量が25gになるまで水相を一部留去した。炭の0.1gを水相に加え、得られた懸濁液を30分間攪拌した。炭およびいくらかの固体不純物を濾過して除去し、濾液を総容量の30mlまで希釈した。
【0072】
得られた溶液の30mlに、tert−ブチルメチルエーテル40mlを加え、水5ml中の85%リン酸の1.3mlおよび得られた混合物を、15分間攪拌した。二相系が形成された。有機層を分離し、水5mlにより洗浄し、無水硫酸マグネシウム5gにより2時間乾燥した。次いで、硫酸マグネシウムを濾過により分離した。
【0073】
次いで、N−メチルシクロヘキシルアミン1.5mlを濾液に加え、反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、それを0℃で12時間静置した。ロスバスタチンのN−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩の白色沈殿物を濾過し、5mlのtert−ブチルメチルエーテルにより洗浄し、濾紙上で2時間乾燥した。収量:表題生成物の4.04g(99.6面積%,HPLC)
H−NMR:(CDOD):1.10−1.45(12H,m),1.31(d,J=7Hz),1.48−1.56(1H,m),1.62−1.72(1H,m),1.82−1.90(2H,m),2.03−2.10(2H,m),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2,34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),2,62(3H,s),2.85−2.97(1H,m),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.54(3H,s),3.92−3.97(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.56(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(1H,m),7,69−7,75(1H,m).
【実施例7】
【0074】
ロスバスタチンの単離アンモニウム塩の調製のための一般的手順
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:5g
8M NaOH:1.75ml
脱塩水:25ml
テトラヒドロフラン:10ml
反応物および溶媒を、50℃から55℃で1時間攪拌した。次いで、生成された溶液を放置して室温に冷却し、メチルシクロヘキサン50mlにより洗浄し、ロスバスタチンのナトリウム塩の水性溶液33mlを得た。
【0075】
上記実験で調製した33mlのロスバスタチン酸ナトリウム(sodium rosuvastatinate)溶液に、前もって水の5mlに溶解した85%リン酸1.3mlを加えた。反応混合物を、iso−ブチルアセテートの40mlにより抽出し、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムの5gにより乾燥した。乾燥剤を濾過して除去し、iso−ブチルアセテート10mlにより洗浄し、ロスバスタチン酸を含む濾液52mlを得て、これを、種々のアンモニウム塩の調製のためにより少量に分けた。
【0076】
得られた溶液の5mlに、適切なアミンの1.5当量およびtert−ブチルメチルエーテル5mlを加えた。ロスバスタチン置換アンモニウム塩を濾過し、濾紙上で乾燥した。以下の固体塩を調製した:
− ロスバスタチンのシクロヘキシルアンモニウム塩:0.45g,HPLCにより99.71面積%;
H−NMR:(CDOD):1.10−1.45(12H,m),1.31(6H,d,J=7Hz),1.48−1.56(1H,m),1.62−1.72(1H,m),1.80−1.87(2H,m),1.97−2,03(2H,m),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2.34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),2.98−3.09(1H,m),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.54(3H,s),3.92−3.97(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.56(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(2H,m),7.69−7.75(1H,m);
− ロスバスタチンのジシクロヘキシルアンモニウム塩:0.35g,99.82面積%;
H−NMR:(CDOD):1.12−1.76(20H,m),1.29(d,J=7Hz),1.48−1.56(1H,m),1.62−1.72(1H,m),1.83−1.92(4H,m),2.01−2.09(4H,m),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2.34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),3.07−3.17(2H,m),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.54(3H,s),3.92−3.97(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.56(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(2H,m),7.69−7,75(2H,m);
− ロスバスタチンのピロリジニウム塩:0.28g,99.71面積%,
H−NMR:(CDOD):1.29(6H,d,J=7Hz),1.48−1.56(1H,m),1.62−1.72(1H,m),1.96−2.01(4H,m),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2.34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),3.20−3.25(4H,m),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.54(3H,s),3.92−3.97(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.56(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(2H,m),7.69−7.75(2H,m);
− ロスバスタチンのピペリジニウム塩:0.28g,99.77面積%;
H−NMR:(CDOD):1.29(6H,d,J=7Hz),1.48−1.56(1H,m),1.62−1.81(7H,m),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2.34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),3.09−3.13(4H,m),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.54(3H,s),3.92−3.97(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.56(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(1H,m),7.69−7.75(2H,m);
− ロスバスタチンのモルホリニウム塩:0.30g,99.51面積%;
H−NMR:(CDOD):1.29(6H,d,J=7Hz),1.49−1.57(1H,m),1.62−1.72(1H,m),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2.34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),3.12−3.16(4H,m),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.53(3H,s),3.81−3.85(4H,m),3.92−4.00(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.57(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(2H,m),7.69−7.75(1H,m);
− ロスバスタチンの1−アダマンチルアンモニウム塩:0.66g,99.75面積%;
H−NMR:(CDOD):1.29(6H.d,J=7Hz),1.48−1.56(1H,m),1.62−1.85(16H,m),2.15(3H,s(broad)),2.25(1H,dd,J=14Hz,J=7.6Hz),2.34(1H,dd,J=14Hz,J=4.9Hz),3.51(1H,h,J=7Hz),3.52(3H,s),3.54(3H,s),3.92−3.97(1H,m),4.33−4.40(1H,m),5.56(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz),6.62(1H,dd,J=16Hz,J=1.2Hz),7.14−7.22(2H,m),7.69−7.75(1H,m).
【実施例8】
【0077】
ロスバスタチンのN−シクロヘキシルアンモニウム塩の調製
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:10g
8M NaOH:3.5ml
脱塩水:50ml
テトラヒドロフラン:20ml
反応物および溶媒を、50℃から55℃で1時間攪拌した。次いで生成した溶液を放置して室温に冷却し、メチルシクロヘキサン100mlにより洗浄し、ロスバスタチン酸ナトリウムの水性溶液66mlを得た。
【0078】
得られた溶液の33mlに、脱塩水5ml中の85%リン酸1.3mlを加えた。ロスバスタチン酸をiso−プロピルアセテート40mlにより抽出した。無水硫酸マグネシウムの4.7gおよび炭0.5gを有機相に加え、懸濁液を45分間攪拌した。硫酸マグネシウムおよび炭を濾過して除去し、濾液の41mlを得た。
【0079】
濾液の16mlを分離し、iso−プロピルアセテートの8ml中のシクロヘキシルアミンの0.5mlを攪拌しながら添加して処理すると、ロスバスタチンシクロヘキシルアンモニウム塩が白色固体として即座に沈殿した。それを濾過により分離し、沈殿物を濾紙上でiso−プロピルアセテートの10mlにより洗浄し、濾紙上で乾燥して所望の生成物の1.34g(99.52面積%,HPLC)を得た。
【実施例9】
【0080】
結晶性ロスバスタチンtert−オクチルアンモニウム塩の調製
ロスバスタチンtert−ブチルエステル(27.0g,50.2mmol)を、容積比4:1の、テトラヒドロフランおよび水の混合物の225mlに溶解した。この透明な溶液を30℃に温め、8.0M NaOH(6.75ml,54.0mmol)を分けて加えた。反応混合物を30℃で2時間攪拌し、透明な黄色溶液を得た。次いでテトラヒドロフランを、減圧下(20ミリバール)40℃で完全に除去した。残った水性溶液を水により225mlに希釈し、酢酸エチル(3×90ml)により洗浄した。激しく撹拌したロスバスタチン酸ナトリウムの溶液に、37%HCl(4.2ml,50.2mmol)を周囲温度で滴下した。
【0081】
得られたロスバスタチン遊離酸の白色乳濁液を、酢酸エチル(150ml)により抽出した。有機層から分離した後、水相をさらに酢酸エチル(2×50ml)により抽出した。有機層を合わせて水(3×30ml)により洗浄した。次いで酢酸エチルを減圧下(20ミリバール)40℃で除去した。残渣を、必要最低限量のアセトニトリルに溶解し、溶媒を減圧下(20ミリバール)40℃で速やかに留去し、固体残渣の25.48gを得た。次いで、この固体をアセトニトリル(100ml)に溶解し、透明な溶液を得た。激しく撹拌したロスバスタチン遊離酸の溶液に、tert−オクチルアミン(6.83g,50.2mmol)を周囲温度で1分間かけて滴下した。10分間経たないうちに、白色固体が溶液から大量に沈殿し、これにより混合物の凝固が引き起こされた。次いで、この固体を容積比1:2混合のヘキサンおよびアセトニトリルの混合物の75mlにより処理し、濃い懸濁液を得た。その白色沈殿物を濾過し、減圧下40℃で乾燥し、白色粉末の27.6gを得た。この粉末をヘキサン(100ml)に懸濁し、周囲温度で1時間激しく撹拌した。不溶の沈殿物を濾過により集め、ヘキサン(50ml)により洗浄し、減圧下40℃で乾燥し、ロスバスタチンtert−オクチルアンモニウム塩の27.4g(89.4%)を白色結晶粉末として得た。
融点:121℃(DSC,onset)
粉末X線分析−回折角(2θ)−図1:
【0082】
【表5】

【実施例10】
【0083】
結晶性ロスバスタチンtert−オクチルアンモニウム塩一水和物の調製
実施例9からのロスバスタチンtert−オクチルアンモニウム塩を、容積比10:1のアセトニトリルおよび水の混合物の429mlに、周囲温度で溶解した。その溶液を6℃で数日間放置した。混合物から晶出した白色針状晶を濾過により集め、減圧下、50℃で乾燥し、結晶性ロスバスタチンtert−オクチルアンモニウム塩一水和物の10.48g(53.7%)を白色針状晶として得た。
融点:129℃(DSC,オンセット),脱水85℃〜105℃
粉末X線分析−回折角(2θ)−図2:
【0084】
【表6】

【実施例11】
【0085】
DBU塩によるロスバスタチンのtert−ブチルエステルからのロスバスタチンカルシウムの調製
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:1.0g
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU):0.32ml
脱塩水:5ml
テトラヒドロフラン:2ml
反応物および溶媒を、50℃で2時間攪拌した。次いで、生成した溶液を放置して室温に冷却し、脱塩水2mlを加えた。反応混合物をメチルシクロヘキサン10mlにより2回洗浄した。合わせた有機相を脱塩水2mlにより洗浄した。合わせた水相を一部留去し、元の重量を、3.7gまで減少させた。残った溶液に、4M塩化カルシウムの0.25mlを、15分間氷浴で冷やしつつ攪拌しながら加えた。ロスバスタチンカルシウムの白色沈殿物を濾過し、脱塩水1mlにより洗浄した。減圧デシケーター中、室温で12時間乾燥した後、所望の非晶質生成物の0.64gを集めた。
【実施例12】
【0086】
DBU塩によるロスバスタチンラクトンからのロスバスタチンカルシウムの調製
ロスバスタチンラクトン:0.5g
DBU:0.20ml
水:3.0ml
反応物および溶媒を、90℃で1時間攪拌して透明な溶液を形成した。HPLCは、原料のラクトンの完全な消費を示した。
【0087】
次いで、水の2ml中の酢酸カルシウム一水和物の0.16gを加え、生成された懸濁液をultraturraxにより、15000rpmで5分間処理した。ロスバスタチンカルシウムの白色沈殿物を濾過により分離した。収量:非晶質生成物の0.42g。
【実施例13】
【0088】
ロスバスタチンのiso−プロピルアンモニウム塩からのロスバスタチンカルシウムの調製
ロスバスタチンのtert−ブチルエステル:7.5g
水:37ml
iso−プロピルアミン:3.5ml
水酸化カルシウム
反応物および溶媒を、オートクレーブ中、95℃から100℃で2時間攪拌した。反応混合物を放置して室温に冷却し、続いて脱塩水の20mlを加えた。反応混合物を37mlのメチルシクロヘキサンにより2回洗浄した。水相に炭0.08gを加え、得られた懸濁液を45分間攪拌した。炭および固体不純物の微量を濾過して除去した。得られた透明溶液(ロスバスタチンiso−プロピルアンモニウム塩を含む)を減圧下留去し油状残渣を得て、これを水により総容量が70mlになるまで希釈した。得られたロスバスタチンiso−プロピルアンモニウム塩の溶液に、湿った水酸化カルシウムペースト(含有量約50%)の2.0gを加え、得られた懸濁液を、1時間室温で、窒素雰囲気下、攪拌し、さらに15分間、氷浴上で攪拌した。次いで、白色沈殿物を濾過し、氷冷した脱塩水の8mlにより洗浄した。生成物を60℃で真空下、3時間乾燥した。収量:非晶質ロスバスタチンカルシウムの6.15g。
【実施例14】
【0089】
ロスバスタチンのiso−プロピルアンモニウム塩からのロスバスタチンカルシウムの調製
ロスバスタチンiso−プロピルアンモニウム塩:2.0g
脱塩水:13ml
1M 酢酸カルシウム:2.0ml
反応物および溶媒を、ultraturraxにより、10000rpmで2分間、窒素雰囲気下、温浸し、次いでマグネティックバーで10分間、10℃で攪拌した。白色沈殿物を濾過し、脱塩水2mlにより洗浄した。それを濾紙上で1時間、50℃〜60℃、10ミリバールで2時間乾燥した。収量:非晶質ロスバスタチンカルシウムの1.67g(>99.8面積%,HPLC,カルシウムの含有量に基づいて算出されたナトリウム<0.1%)。
【実施例15】
【0090】
ロスバスタチンのN−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩からのロスバスタチンカルシウムの調製
ロスバスタチンN−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩:1.0g
パルミチン酸カルシウム:0.48g
iso−ブチルアセテート:5.0ml
反応物および溶媒を、5分間80℃で攪拌した。メチルシクロヘキサンの6mlを、80℃で5分以内に少しずつ加えた。次いで、反応混合物を室温で20分間攪拌した。得られた沈殿物を濾過により分離し、濾紙上でメチルシクロヘキサン5mlにより洗浄した。非晶質ロスバスタチンカルシウムの0.40gを集めた(99.26面積%,HPLC)。
【実施例16】
【0091】
ロスバスタチンラクトンの調製
ロスバスタチンtert−ブチルエステル:20.0g
8M KOH:6.5ml
テトラヒドロフラン:40ml
脱塩水:100ml
反応物および溶媒を、1.5時間、40℃から45℃で攪拌し、原料のロスバスタチンエステルをそのカリウム塩に加水分解した。生成した透明溶液を、メチルシクロヘキサン50mlにより2回洗浄し、次いで濾過し、固体不純物の少量を除去した。次に、濾液を酢酸エチル100mlおよび85%リン酸の4.3mlにより処理し、2つの層を形成させた。上層を分離し、水の20mlにより洗浄した。次いで、有機相に85%リン酸の1.0mlを加え、反応混合物をrotavaporのウォーターバス上で、常圧、50℃で5分間加熱した。次に、溶媒を減圧下、留去した。シロップ状の残渣に、さらに酢酸エチルの100mlを加え、加熱、留去および酢酸エチルの添加の工程を3回繰り返した。最後に、ロスバスタチンラクトンの酢酸エチル溶液を、重炭酸ナトリウムの5%溶液の20mlにより洗浄し、および水30mlにより2回洗浄した。溶媒を減圧下留去し、シロップ状の残渣の17.0gを得、これを放置して結晶化した(HPLCにより91面積%)。
【0092】
tert−ブチルメチルエーテルの80ml中、ultraturraxによる15000rpmでの処置、濾過およびiso−プロピルアセテート/ジイソプロピルエーテルからの再結晶化を連続して行うことにより、その純度は95面積%まで上げられる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1−1】本発明の調整方法スキーム1
【図1−2】実施例9.粉末X線分析−回折角(2θ)
【図2】実施例10.粉末X線分析−回折角(2θ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純粋な非晶質ロスバスタチンカルシウムの調製方法であり、
a)ロスバスタチンのCからCアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトンの、非プロトン性溶媒を場合により含む水の存在下における有機窒素塩基による加水分解、
b)ロスバスタチンカルシウムを得るために、このようにして得られる有機窒素塩基のロスバスタチン塩をカルシウム源により変換すること、
c)純粋な非晶質ロスバスタチンカルシウムを単離すること、
を含む、方法。
【請求項2】
ロスバスタチンのCからCアルキルエステルが、tert−ブチルロスバスタチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機窒素塩基が、
a)下記式のグアニジン:
【化1】

(式中、R、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立して水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基または環状C〜Cアルキル基を示し、あるいはR、R、R、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。)
b)下記式のアミジン:
【化2】

(式中、R、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基または環状C〜Cアルキル基を示し、あるいはR、R、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。)
b)下記式のアミン:
【化3】

(式中、R、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基または環状C〜C12アルキル基を示し、アルキル鎖の1つ以上の炭素原子は、無置換もしくはヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ−C〜Cアルキルアミノ、フェニル、ピリジニル、C〜Cアルキルアミノからなる群から選択される遊離基で置換されており、あるいはR、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。)
d)下記式の水酸化第四級アンモニウム:
【化4】

(式中、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素原子または鎖状、分枝鎖状もしくは環状C〜Cアルキル基を示し、あるいはR、R、RおよびRのそれぞれの対は、独立して、環を形成するC〜Cアルキレン基結合を示す。)
e)無置換またはC〜CアルキルN−置換ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾリジンまたはアダマンタン:
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
有機窒素塩基が、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジンである、請求項1および3a)に記載の方法。
【請求項5】
有機窒素塩基が、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)からなる群から選択される、請求項1および3b)に記載の方法。
【請求項6】
有機窒素塩基が、iso−プロピルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジエチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、N−メチル−イソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミンからなる群から選択される、請求項1および3c)に記載の方法。
【請求項7】
カルシウム源が、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウムおよびC〜C20アルカン酸のカルシウム塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
〜C20アルカン酸のカルシウム塩が、パルミチン酸カルシウム、ピバル酸カルシウムおよび酢酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1および7に記載の方法。
【請求項9】
非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アミンと、ロスバスタチンのCからCアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトンとのモル比が、1から30である、請求項1および3c)に記載の方法。
【請求項11】
アミンと、ロスバスタチンのCからCエステルとのモル比が、2から5である、請求項1および3c)に記載の方法。
【請求項12】
実質的にアルカリ金属不純物を含まない、ロスバスタチンカルシウム。
【請求項13】
実質的にナトリウム金属不純物を含まない、請求項12に記載のロスバスタチンカルシウム。
【請求項14】
非晶質ロスバスタチンカルシウムの調製方法であり、
a)ロスバスタチンのCからCアルキルエステルまたはロスバスタチンラクトンの、非プロトン性溶媒および水の混合物中における、アルカリ金属水酸化物による加水分解、
b)反応混合物を水非混和性有機溶媒により洗浄すること、
c)ロスバスタチンアルカリ塩の水性溶液を、酸により酸性化すること、
d)得られたロスバスタチン酸(rosuvastatinic acid)水性溶液の水非混和性有機溶媒への抽出、
e)ロスバスタチン酸をロスバスタチンのアンモニウム塩に変換するために、得られたロスバスタチン酸含有抽出物に適切なアミンを加えること、
f)ロスバスタチンカルシウムを得るために、ロスバスタチンのアンモニウム塩をカルシウム源により変換すること、
g)非晶質ロスバスタチンカルシウムの単離、
を含む、方法。
【請求項15】
ロスバスタチンのCからCアルキルエステルが、tert−ブチルロスバスタチンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
水非混和性有機溶媒が、C〜Cアルキルアセテートからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
からCアルキルアセテートが、酢酸エチル、iso−プロピルアセテートおよびiso−ブチルアセテートからなる群から選択される、請求項14および18に記載の方法。
【請求項20】
水非混和性有機溶媒が、メチルシクロヘキサンである、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
酸が、リン酸および塩酸からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
ロスバスタチン酸を適切なアミンと接触させることを含む、請求項14に記載のロスバスタチンのアンモニウム塩の調製方法。
【請求項23】
適切なアミンが、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1−アダマンタン、シクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、iso−プロピルアミン、tert−オクチルアミンからなる群から選択される、請求項14および22に記載のロスバスタチンのアンモニウム塩の調製方法。
【請求項24】
カルシウム源が、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、CからC20アルカン酸のカルシウム塩からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
からC20アルカン酸のカルシウム塩が、パルミチン酸カルシウム、ピバル酸カルシウムおよび酢酸カルシウムからなる群から選択される、請求項14および24に記載の方法。
【請求項26】
水非混和性の溶媒中のロスバスタチンアンモニウム塩溶液を、カルシウム源によりロスバスタチンカルシウムに変換する、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
ロスバスタチンのアンモニウム塩を抽出物から単離し、さらにカルシウム源によりロスバスタチンカルシウムに変換する、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
単離したロスバスタチンのアンモニウム塩が、ロスバスタチンカルシウムへの変換前に再結晶により精製される、請求項14および27に記載の方法。
【請求項29】
ロスバスタチンの固体ピロリジニウム塩。
【請求項30】
ロスバスタチンの固体ピペリジニウム塩。
【請求項31】
ロスバスタチンの固体モルホリニウム塩。
【請求項32】
ロスバスタチンの固体1−アダマンチルアンモニウム塩。
【請求項33】
ロスバスタチンの固体N,N−ジシクロヘキシルアンモニウム塩。
【請求項34】
ロスバスタチンの固体N−メチルシクロヘキシルアンモニウム塩。
【請求項35】
ロスバスタチンの固体tert−オクチルアンモニウム塩。
【請求項36】
ロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩。
【請求項37】
8.0、15.0、17.7、18.4、18.8、20.3、および23.4±0.2(°2θ)に特有のピークがある粉末X線回折パターンを有する、請求項36に記載のロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩。
【請求項38】
下記のピークがある粉末X線回折パターンを有する、請求項37に記載のロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩。
【表1】

【請求項39】
一水和物である、ロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩。
【請求項40】
8.6、16.5、18.6、19.1および19.7±0.2(°2θ)に特有のピークがある粉末X線回折パターンを有する、請求項39に記載の一水和物であるロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩。
【請求項41】
下記のピークがある粉末X線回折パターンを有する、請求項40に記載の一水和物であるロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩。
【表2】

【請求項42】
ロスバスタチンの結晶性tert−オクチルアンモニウム塩の分析標準物質としての使用。
【請求項43】
0.1%未満のアルカリ金属カチオン不純物を含む、請求項14に従って調製されるロスバスタチンカルシウム。
【請求項44】
血中コレステロール値を減少させることが必要な哺乳動物へ投与するための、請求項1から請求項43のいずれかに従って調製されるロスバスタチンカルシウムを含む医薬品製剤。
【請求項45】
請求項44の医薬品製剤をそれを必要とする哺乳動物へ投与する段階を含む、血中コレステロール値を減少させることが必要な哺乳動物の治療方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−546730(P2008−546730A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517413(P2008−517413)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006007
【国際公開番号】WO2006/136407
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】