説明

不純物を含む組成物の分析方法

組成物は、不純物を含むとともに、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する。組成物の分析方法は、組成物を、液体状態で容器内に供給するステップを含む。組成物は、液体状態で容器内で組成物の沸点未満の温度で冷却されることにより、組成物は液体状態に維持される。容器内の冷却された組成物は、蒸発組成物と霧状組成物とのうちの少なくとも一方を製造するために変換され、変換された組成物は分析装置に導入される。組成物の不純物の含有量の測定値は、分析装置から得られる。組成物の処理方法は、組成物の分析方法と同一のステップを含むが、さらに組成物の少なくとも一部が供給タンク内に残留することを必要とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年11月17日に出願された米国仮特許出願第61/115451号の優先権および全ての効果を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、不純物を含む組成物の分析方法に関するものである。より詳細には、本発明は、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物を分析する方法に関するものであり、この種の組成物を分析する既存の方法と比較して、最小時間かつ最大精度で、不純物の含有量の測定を可能にする。
【背景技術】
【0003】
半導体、地質学、および環境産業を含む多数の産業において、不純物の含有量を測定するために不純物を含む組成物を分析する必要がある。半導体産業において、特に、結晶シリコンおよび、最終的に半導体ウェハを作成するのに用いる前駆体組成物内の不純物の含有量は、前駆体組成物から製造される半導体のウェハの品質および性能に影響する。このように、前駆体組成物の不純物の含有量の分析は、前駆体組成物が、所定の半導体ウェハの用途に設定される基準を満たすか否かを決定するのに必要であり、この種の分析を実行しないと、品質管理の問題を引き起こし、半導体ウェハの性能が基準を満たさなくなりうる。
【0004】
組成物の不純物の含有量を測定するために、不純物を含む組成物の分析方法として公知のものがある。例えば、グラファイト炉原子吸光分析法(GFAAS)、グロー放電質量分析法(GD−MS)および、ICP質量分析法(MS)、ICP発光分光法(OES)、ICP原子発光分光法(AES)のような誘導結合プラズマ(ICP)分光法は、組成物の元素含有量を測定するための周知の技術である。ICP技術は、アルゴン・イオン・プラズマを利用し、原子またはイオンを蒸発、解離および励起する。プラズマにおいて、分析物種は、較正基準(ICP−AES/OES)からの放出のレベルと比較して、励起原子またはイオンによる発光レベルを検出して、測定することによって定量化される、または、代案として質量によって分離され、そして、較正基準(ICP−MS)の量と比較される。半導体産業において、特に、シリコンベースの半導体特において、前駆体組成物は、典型的には、主成分として、クロロシラン、すなわちモノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランである。前駆体組成物は、周囲温度未満の沸点および/または14.5℃で25kPaから14.5℃で150kPaの蒸気圧を有する。クロロシラン組成物の不純物の含有量を測定するために、不純物を含むクロロシラン組成物を分析する典型的な方法は、クロロシランを蒸発するステップを含み、これにより、クロロシラン組成物に存在していた固体不純物からなる残部を生じる。クロロシランは蒸発し、クロロシランは加水分解の固体の副産物を形成し、ICP技術による分析中にスペクトル干渉を生じるという事実のために、さらにまた、実際にプラズマを消失させている大部分場合、クロロシランの高い蒸気圧は、ICP技術によって得られた測定値に影響を及ぼすという事実のために、その後、試験される組成物から除去される。その後、クロロシランを蒸発させた後に残る残部は、酸性溶液に溶解され、容量分析で希釈され、液相サンプルが製造される。その後、液相サンプルは、霧状にされて、上述したICP−MS、ICP−OESおよびICP−AES技術に従って発生するプラズマに導入される。
【0005】
上述した既存の技術と関連する不利な点が多数存在する。特に、上述した技術は、一般的に、クロロシランの蒸発によって消失する揮発性の不純物の含有量を適切に測定することができない。さらに、上述した技術では、一般的に、分析的結果を得るのに日数が必要であるので、処理効率が低下し、製造遅延を予防するために過剰な用心が必要である。
【0006】
上述したことから、周囲温度未満の沸点および/または高い蒸気圧を有する組成物を分析する方法であって、この種の組成物を分析する既存の方法と比較して、最小時間かつ最大精度で、組成物の不純物の含有量の測定を可能にする方法を提供する可能性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、組成物の分析方法および組成物の処理方法を提供する。組成物は、不純物を含むとともに、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する。組成物の分析方法は、組成物を液体状態で容器内に供給するステップを含む。組成物は、液体状態で容器内で組成物の沸点未満の温度で冷却されることにより、液体状態の組成物を維持する。容器内の冷却された組成物は、蒸発組成物(vaporized composition)および霧状組成物(nebulized composition)のうちの少なくとも一方に変換され、変換された組成物は分析装置内に導入される。組成物の不純物の含有量の測定値は、分析装置から得られる。組成物の処理方法は、組成物の分析方法と同一のステップを含むが、組成物の少なくとも一部が供給タンク内に残留することをさらに必要とする。
【0008】
組成物の分析方法の他の実施形態では、組成物は、クロロシランを具えるとともに、約58℃未満の沸点および14.5℃で25kPaから14.5℃で150kPaの蒸気圧を有する。組成物は、液体状態で容器内に供給される。その後、組成物は、ガスクロマトグラフに導入される。クロロシランは、ガスクロマトグラフ内の組成物から分離され、クロロシラン部分および残余部分が製造される。残余部分は分析装置に導入され、残余部分内の不純物の含有量の測定値は分析装置から得られる。
【0009】
蒸発組成物および/または霧状組成物に変換されるまで、組成物が液体状態に維持されるという事実のおかげで、または、クロロシランを含む組成物がガスクロマトグラフに導入されるという事実のおかげで、残留物を得るために蒸発に依存し、その残留物を分析するという以前の分析技術に必要だった多くのステップは除去される。本発明の方法に従って、この種のステップを除去することにより、最小時間で組成物の不純物の含有量の測定が可能となる。さらに、本発明の方法では、この種の組成物を分析する既存の方法と比較して、最大精度で組成物の不純物の含有量の測定が可能となる。最大精度は、既存の分析技術の蒸発ステップ中に消失する揮発性の不純物が、分析装置に導入される蒸発組成物および/または霧状組成物の形態で残留し、あるいは、ガスクロマトグラフから残余部分として残留するため、測定に利用可能であるという事実によるものである。さらに、組成物を冷却し、冷却した組成物を制御した方法で、蒸発組成物および/または霧状組成物に変換することによって、またはクロロシラン部分をガスクロマトグラフ内の組成物から分離することによって、(特に組成物がクロロシランを含むときに)組成物の高い蒸気圧による急速な蒸発は回避されるので、分析装置の動作が妨害されずに確実に維持され、プラズマが組成物の速い蒸発によって消失しないことがさらに確実となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、組成物の分析方法および組成物の処理方法を具える。より詳細には、組成物の分析方法は、不純物を含むとともに、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物を対象とし、方法は組成物の不純物の含有量を測定するために実行される。多くの用途にとって、組成物の不純物の含有量は、組成物の品質および、最終的には、組成物から製造される製品の品質を表す。例えば、本発明に従って分析される組成物を処理し、半導体を形成することができる。周知のように、半導体を形成するために処理される組成物のわずかな不純物の含有量さえ、組成物から製造される半導体の品質不良または仕様外になり、組成物の不純物の含有量の測定値と不純物の実際の含有量との軽微な違いさえ、仕様外の半導体になりうる。以下に詳細に説明するように、本発明の分析方法は、既存の方法より、分析される組成物、特に周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物組成物の不純物の実際の含有量をより正確に表す不純物の含有量の測定値を提供する。
【0011】
上述したように、本発明に従って分析される組成物は、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する。例えば、一実施形態では、組成物は、周囲温度未満の沸点を有するが、14.5℃の水より大きい蒸気圧を有さない。他の実施形態では、組成物は、14.5℃の水より大きい蒸気圧を有するが、周囲温度未満の沸点を有さない。さらに他の実施形態では、組成物は、周囲温度未満の沸点および14.5℃の水より大きい蒸気圧を有する。それぞれの実施形態において、分析される組成物に存在する反応体および/または成分の少なくとも一部は、周囲温度未満の沸点および/または14.5℃の水より大きい蒸気圧を有するので、組成物は、全体として、周囲温度未満の沸点および/または14.5℃の水より大きい蒸気圧を有する。本発明に従う、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物の分析方法は、本発明の方法を制限するものと解釈されるべきではなく、本発明が提供する有用な利点を有する組成物のタイプの特徴である。換言すると、本発明の方法は、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物の分析に重要な利点を提供するとともに、本発明の方法は、周囲温度超の沸点と14.5℃の水以下の蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物を分析するためにも利用可能である。
【0012】
本願明細書の用語「周囲温度」とは、分析される組成物を囲む雰囲気の温度を意味する。このように、「周囲温度」が、組成物が分析される特定の状況によって変化しうることを認識されたい。例えば、「周囲温度」は、典型的には、約21℃の通常の室温であるが、周囲温度は、温度が通常の室温を上回ることが公知である出荷時設定のような特定の状況下では、より高くてもよい。実際の周囲温度に関係なく、本発明の方法は分析される組成物が沸騰する(例えば低圧の条件、本発明の方法にとって好ましくない)ことを通常経験する状況の下で実施することを意図する。実際の温度に関して、本発明に従う周囲温度は、約60℃未満とすることができ、典型的には、約15〜45℃である。
【0013】
蒸気圧に関して、周囲温度(すなわち、上述した周囲温度)未満の沸点を有する組成物は、一般的に、14.5℃の水の蒸気圧より大きい蒸気圧を有する。しかしながら、組成物の蒸気圧が、必ずしも組成物の沸点に依存するわけではない。組成物の蒸気圧は、一般的に、14.5℃で約1.6kPa(すなわち、水の蒸気圧に近似している)から14.5℃で約150kPaであり、ある場合では、14.5℃で25kPaから125kPaである。この種の組成物の蒸発は、極端に急速で、しばしばプラズマを消失させるという事実のため、この種の高い蒸気圧を有する組成物は、プラズマを使用する分析装置に問題を生ずる(以下に詳述する)。
【0014】
一実施形態では、本発明の方法に従って分析される組成物は、空気と水分とのうちの少なくとも一方に敏感である。本願明細書の用語「空気と水分とのうちの少なくとも一方に敏感である」とは、空気および/または水分が、組成物の化学的性質を変更するように組成物に作用することを意味する。後述する理由により、この種の組成物を分析する既存の方法は、組成物の不純物の含有量を正確に測定することができないという事実のため、本発明の分析方法は、空気と水分とのうちの少なくとも一方に敏感な組成物に特に有利といえる。空気と水分とのうちの少なくとも一方に敏感な組成物の一実施例形態は、クロロシランを具える。クロロシランは、公式SiHによって表される(X:ハロゲン原子、a:0〜3の整数、b:1〜4の整数、a+b=4)。クロロシランは、典型的には、トリクロロシランの形で組成物内に存在する(X:塩素アニオン、a:1、b:3)。しかしながら、クロロシランが、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシランおよび/またはテトラクロロシランの形で存在することもできると理解されたい。クロロシランは、加水分解(ゲル類)の固体の副産物を形成するので、スペクトル干渉を引き起こし、または、一般的に不純物の含有量のために組成物を分析するのに用いられる分析装置(後述する)のサンプル導入システムのプラギングさえ引き起こし、不純物の含有量の正確な測定を妨げる。
【0015】
クロロシランは、組成物に存在するクロロシランの総重量に基づいて、典型的には少なくとも99.7重量パーセントの量で、より典型的には約99.4重量パーセントから約99.9重量パーセントの量で組成物中に存在する。さらに、トリクロロシランは、組成物の総重量に基づいて、典型的には、少なくとも99.7重量パーセントの量で、より典型的には約99.8重量パーセントから約99.9重量パーセントの量で組成物中に存在する。したがって、クロロシランを含む組成物は、典型的には−112℃から57.57℃の範囲の、より典型的には約5℃から約50℃の範囲の、最も典型的には約33℃の沸点を有する。しかしながら、実施形態によっては、例えば、多量のジクロロシランが組成物内に存在するとき、クロロシランを含む組成物は10℃以下の沸点を有する。ある特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも99.9重量パーセントのトリクロロシランを具え、約32℃から約33℃の沸点を有する。
【0016】
本発明の方法に従って分析される組成物が、クロロシランに加えて、または、クロロシランに代わるものとして、他の成分を含むことができることを理解されたい。一般的に、組成物は、半導体の製造に用いられる成分を具える。例えば、本発明の各種実施形態では、分析される組成物は、様々なジシランおよび様々なジシロキサンを具えることができるが、これらに限定されるものではない。組成物は、典型的には、ほぼ純粋である、すなわち、組成物は、典型的には、クロロシランあるいは上述した成分の1つを含むのみであり、典型的には、組成物の総重量に基づいて、少なくとも99重量パーセントの量で存在する。
【0017】
上述したように、組成物もまた不純物を含む。本願明細書の用語「不純物」とは、組成物内に存在することを意図されない成分を意味する。不純物は、一般的に、組成物から製造される製品の性能または品質に悪影響を及ぼす。組成物から全ての不純物を完全に除去することは理論的には可能であるが、そうすることは不経済であり、多くの用途では、組成物から製造される製品の最終用途によって、組成物の不純物の特定の含有量を許容することができる。
【0018】
少なくとも、組成物の購入者、組成物から製造された製品の購入者に、組成物について正確に説明するために、本発明に従って分析される組成物の不純物の含有量を測定することが望ましい。以下に詳述するように、不純物の含有量の測定はまた、組成物の処理方法に有利な点を提供することができる。
【0019】
本発明の方法に従って測定される不純物は、金属または特定の非金属に基づくものであってもよい。不純物は、化学種の様々な形態で組成物内に存在してもよい。組成物内の不純物の形態は、可溶性、揮発性および組成物に含まれる不純物の他の特性を制御することができる。特に、組成物内の特定の揮発性の不純物の存在、および、既存のテスト方法中に生ずる組成物の蒸発の間のこの種の揮発性の不純物の消失は、以下に詳述する理由のために、本発明に従う分析方法を、この種の既存の分析方法より優れたものとする。
【0020】
不純物は、アルミニウム、クロミウム、銅、ガリウム、鉄、ニッケル、鉛、亜鉛およびこれらの組合せを含む金属に基づくものとすることができるが、これらに限定されるものではない。金属ベースの不純物は、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属カルボニル、金属水酸化物およびこれらの組合せの形態で組成物内に存在することができる。あるいは、不純物は、ヒ素、硼素、リンおよびこれらの組合せを含む非金属に基づくものとすることができるが、これらに限定されるものではない。非金属ベースの不純物は、ハロゲン化合物、酸化物、多種多様なリガンドによる合成物、これらの様々な組合せの形態で組成物内に存在することができる。
【0021】
本発明の方法は、分析される組成物の不純物の特定の含有量に限定されるものではない。以下にさらに詳細に説明するように、本発明の分析方法に従って利用される分析装置および技術は、1兆分の1(ppt)レベルで、不純物の含有量を検出することができる。不純物の含有量は、一般的には、0より大きく約100mg/Lまでであり、より一般的には、0より大きく約0.010ng/Lまでである。
【0022】
本発明の分析方法に従って、組成物は、液体状態で容器内に供給される。一実施形態では、本発明に従う分析方法を実行するために、組成物を容器に供給し、液体状態の組成物を容器内に保つ。代案として、例えば、液体状態の組成物を含む供給タンクから、組成物を液体状態で容器内に導入してもよい。組成物は、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有するので、組成物は、液体状態の組成物を維持するために、容器内で十分な圧力下にあってもよいし、または、組成物は、液体状態の組成物を維持するために、容器内で十分に冷却してもよい。組成物が、高圧で液体状態に維持される場合、供給タンクは典型的には圧力下にあり、組成物が液体状態から気体状態に変化しないことを確実にしながら、組成物は液体状態で容器内に導入される。特に、大気圧で実行される、本発明の分析方法におけるさらなるステップが実行可能にするために、組成物は、一般的に、大気圧で容器内に提供および/または導入される。
【0023】
クロロシランを含む組成物のような、空気および/または水分に敏感な組成物の実施形態では、組成物は、一般的には、空気および/または水分が組成物を加水分解するのを防止するために、または、組成物と反応して、分析結果が悪化するのを防止するために、組成物を供給するステップの間、不活性無水雰囲気内に維持される。用語「不活性無水雰囲気」とは、100ppm未満の酸素および0.5重量パーセントの含水率を有する雰囲気を意味する。ある具体例では、組成物を不活性無水雰囲気中に維持しながら、組成物は供給タンクから容器内に導入される。この実施例では、組成物は、ホースまたはチューブにより、容器内に導入される。組成物が供給タンクから導入される容器は、一般的に、大気圧に保たれる密封容器である。組成物はこの容器からネブライザ、または、組成物が蒸発可能な他の容器に導入される。この種の容器は、Hoke社、Swagelok社またはWhitey社から市販されている。
【0024】
一実施形態では、組成物を容器に導入後、組成物の少なくとも一部は供給タンク内に残留している。以下に詳述するように、本発明の処理方法と関連して、供給タンクから容器内に導入される組成物が、その不純物の含有量を測定するために分析されると同時に、供給タンク内に残留している組成物は、半導体のような製品を製造するために、さらに処理される。
【0025】
容器内で液体状態の組成物は、一般的に冷却装置を使用して、組成物の沸点未満の温度で冷却される。容器に供給されるとき、組成物がすでに液体状態であることを認識されたい。このように、容器内の組成物を冷却するステップは、組成物を液体状態で容器内で維持するように機能する。重要なことに、「冷却」のステップは、組成物の冷却の動作を意味し、組成物の温度が低下することを必ずしも意味するというわけではない。例えば、組成物がすでに冷却ステップの開始時に液体状態にあるので、また、組成物が周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有するので、自然の傾向では、組成物の温度は、周囲温度からの影響により上昇する。このような状況では、組成物を冷却するステップは、組成物を組成物の沸点未満の特定の温度に維持し、組成物の蒸気圧を低減するように機能しうる。したがって、組成物の冷却の動作が組成物の温度を低下させる場合もあるが、組成物の温度を低下させることが必ずしも必要であるというわけではない。
【0026】
組成物の沸点未満の温度で容器内の組成物を冷却することによって、周囲温度による組成物の早期の気化(vaporization)および/または蒸発(evaporation)は最小化される。組成物が供給タンクから容器内に導入されるとき、容器内の組成物の含有量は、容器内の組成物を冷却し、組成物を液体状態に維持することにより、供給タンク内に残留している組成物と実質的に同一に保たれる。容器内の組成物と供給タンク内の組成物との間の含有量を、実質的に同一に維持することは、容器内の組成物の不純物の含有量を正確に測定するために望ましく、ひいては、容器内の組成物の不純物の含有量を、供給タンク内に残留している組成物の不純物の含有量に関連させるために、望ましい。
【0027】
一実施形態では、容器自体を冷却することによって、組成物を容器内で冷却することができる。本実施形態では、容器は、容器の外面と熱連通に配置されている外部の冷却装置によって冷却されうる。上述したように、容器はネブライザとすることができる。ある特定の実施形態では、ネブライザは、ネブライザを被覆している冷却装置を含む冷却同心ネブライザである。適切な冷却同心ネブライザは、PerkinElmer社またはElemental Scientific社から市販されている代案として、容器内に含まれる組成物に冷却素子を浸漬することによって、組成物を冷却してもよい。
【0028】
本発明に従う分析方法は、容器内の冷却された組成物を、蒸発組成物および霧状組成物のうちの少なくとも一方に変換するステップをさらに含む。このように、冷却された組成物を変換するステップは、組成物が液体状態である間に行われ、不純物の蒸発を最小化する。「変換」とは、組成物が、蒸発組成物と霧状組成物とのうちの少なくとも一方に物理的に変換することを意味する。「蒸発組成物」とは、組成物が蒸気に変換されることを意味する。「霧状組成物」とは、組成物が液滴の霧状ミストに変換されることを意味する。変換された組成物は、供給タンク内の組成物と実質的に同一の含有量を維持する。上述したように、容器は冷却同心ネブライザとすることができ、冷却同心ネブライザとは、生来その中に含まれる組成物を霧状にするように構成されている。周知のように、霧状にすることは組成物をネブライザ中の気体の流れに負荷することにより達成され、その結果、エアゾルを形成する。典型的には、気体は不活性ガスである。不活性ガスは、希ガス(例えばヘリウムまたはアルゴン)または窒素の群から選択されうる。組成物は、典型的には約20〜500μl/minで、より典型的には50〜100μl/minで変換される。
【0029】
組成物を容器内に供給するステップと同様に、組成物が空気および水分の少なくとも一方に敏感であるとき、組成物は、一般的には、組成物を変換するステップの間不活性無水雰囲気内に維持され、水分が組成物を加水分解するのを防止し、組成物と反応して分析結果を悪化するのを防止する。
【0030】
本発明に従う分析方法は、変換された組成物を分析装置に導入するステップをさらに含む。組成物は、典型的には、ベポライザまたはネブライザから直接分析装置に導入される。より詳細には、典型的には、容器は、組成物を変換するステップの間、容器内の組成物より上に位置する放出口を密閉される。変換された組成物は組成物より上に収集され、変換された組成物は放出口を通り、容器を分析装置に接続する管に導入される。このように、変換された組成物は、典型的には雰囲気から分離され、蒸発組成物が周囲の雰囲気によって汚染されるのを防ぐとともに、空気または水分と反応するのを防ぐ。容器内の組成物を変換するステップから発生する圧力は、変換された組成物を管を通り分析装置へ移動させるのに十分である。典型的には、変換された組成物は、組成物が蒸発組成物および/または霧状組成物に変換されるのと同じ速度で、分析装置に導入される。
【0031】
上述したように、組成物が空気および水分の少なくとも一方に敏感な実施形態では、組成物は、組成物を容器内に供給するステップから変換された組成物を分析装置に導入するステップまでの間、不活性無水雰囲気下で維持される。組成物を含む容器を囲む周囲の雰囲気の水分を十分に低いレベルを維持することは通常困難であるので、組成物は、組成物を容器内に供給するステップから変換された組成物を分析装置に導入するステップまでの間、典型的には、周囲の雰囲気から分離される。容器を周囲の雰囲気から分離する方法は、上述の通りである。
【0032】
典型的には、変換された組成物が導入される分析装置は、分光計である。ある特定の実施形態では、分析装置は、誘導結合プラズマ(ICP)分光装置(spectroscopy device)である。ICP分光装置で実行される技術の実施例は、ICP質量分析法(MS)、ICP発光分光法(OES)、ICP原子発光分光法(AES)を含み、これらは、組成物の元素含有量を測定する周知技術である。ICP−MSは、無機元素、特に金属を分析するのに使用される技術であり、本発明に従って分析される組成物の不純物の含有量を測定するのに特に適している。ICP−MSは、周期表の大部分に対して基本的に同時多元素分析を提供し、単純な質量スペクトルを生じ、優れた感度を呈し、1兆分の1(ppt)レベルで、元素濃度を測定することができる。ICP−MS計測器が動的反応セル(dynamic reaction cell)または様々な磁場型装置(magnetic sector device)に付けられる場合、1000兆分の1(ppt)レベルで、元素濃度を測定することができる。
【0033】
変換された組成物は、典型的には、分析装置においてイオン化される。より詳細には、分析装置がICP分光装置であるとき、変換された組成物は分析装置に導入される際にイオン化される。ICP−MS技術では、ICP分光装置は、不活性ガス(例えばアルゴン)を利用する誘導結合プラズマを使用して、プラズマを生成する。プラズマは、変換された組成物を、脱溶媒和し(de-solvate)、原子化し、イオン化する。ICP分光装置は、質量分析計をさらに含み、この質量分析計は、典型的には四重極質量分析計であり、変換された組成物のイオン化の結果として形成される分析イオン(analyte ion)を分離して、測定するのに利用される。結果として生じるイオンは、その後、プラズマから大気圧で質量分析計に移送される。質量分析計は真空チャンバ内に位置し、イオンは差動排気されるインタフェースを経て真空チャンバに移送される。イオンは、インタフェース内の2つの開口部(サンプリングコーンおよびスキマーコーンとして公知である)を通過し、四重極質量分析計に収束する。電子増倍管検出システムによる測定の前に、分析計は、イオンの質量/電荷比に基づいてイオンを分離する。最終的に、組成物の不純物の含有量の測定値は、分析装置から得られる。具体的には、各々の基本的な同位元素は、異なる質量で、サンプル中のその同位元素の初期濃度に比例するピーク強度を表す。このように、サンプル中の元素濃度は測定され、分析装置から得られる。具体的には、本発明の分析方法は、約±0.010ng/Lの精度まで不純物の含有量を検出し、約±0.001ng/Lの精度まで不純物の含有量を検出することができる場合もある。
【0034】
組成物(特に、組成物の残部のみが組成物の不純物の含有量を決定するために測定されるクロロシラン組成物)を分析する既存の方法と異なり、本発明の分析方法では、変換された組成物を分析装置に導入する前に、組成物からクロロシランを除去する必要がなくなる。特に、組成物を冷却することによって、組成物の蒸発は回避される。さらに、組成物が、組成物を容器内に導入するステップから変換された組成物を分析装置に導入するステップまでの間、不活性無水雰囲気下で維持されるとき、空気および/または水分による組成物への悪影響は回避される。ICP分光装置によって実行される技術でスペクトル干渉を生ずる、あるいは、プラズマ自体を消失させさえするのは、組成物、特にクロロシランを含む組成物の蒸発および組成物上の空気および/または水分の悪影響である。従来は、組成物の蒸発後の残部に依存して、不純物の含有量を測定するという他の分析方法を利用することを余儀なくさせていたが、本発明の方法は、組成物を冷却し、冷却した組成物を蒸発組成物および/または霧状組成物に変換することによって、必要に応じて組成物を不活性無水雰囲気内で維持することによって、組成物の蒸発に対する解決策を提供する。
【0035】
本発明の分析方法には、多数の有利な点がある。特に、以下に詳述するように、本発明の方法は組成物を処理する他の方法と統合することができる。さらに、本発明の分析方法を実行すると、組成物の蒸発を必要とする既存の分析方法より、実質的に迅速に、不純物の含有量の測定値を得ることができる。特に、分析装置からの不純物の含有量の測定値は、容器内で液体状態の組成物を提供するステップの、典型的には1時間以内で、ある状況下では、数分以内で得られる。さらに、本発明の方法は、成分が分析装置内で分析されている組成物でコーティングされるのを防止する。例えば、分析装置内の成分をクロロシランでコーティングすると、分析装置が故障しうる。
【0036】
以下に詳述するように、組成物の不純物の含有量の測定値が分析装置から得られる時間が短縮されると、組成物の処理方法と関連して、多くの処理効果を提供する。さらに、本発明の方法に従って測定される不純物の含有量の精度は、多くの揮発性の不純物が組成物を冷却することによって測定用の組成物内に保持されるという事実のために最大になる。
【0037】
本発明の他の実施形態では、組成物の不純物の含有量を分析する方法は、ガスクロマトグラフを利用する。本実施形態では、この方法は、クロロシランを具えるとともに、約58℃未満の沸点および14.5℃で25kPaから14.5℃で150kPaの蒸気圧を有する組成物(例えば、クロロシランを具える上述した特定の組成物)に特に好適である。また、組成物は容器内で液体状態で提供される。しかしながら、組成物の沸点未満の温度で冷却された容器内で組成物を冷却する代わりに、組成物は、ガスクロマトグラフに導入される。ガスクロマトグラフィを実行するために、組成物は、キャリアガスに同伴され、ガスクロマトグラフに移送される。上述したように、適切なキャリアガスは、希ガスおよび窒素を含む。ガスクロマトグラフは、カラムを利用し、カラムを通じてキャリアガス中の組成物の異なる部分は、化学成分の様々な化学的および物理的な特性、および、その部分とカラムの固定相との相互作用に応じて、異なる速度で通過する。本発明の目的のために、固定相は、典型的には、Restek Rtx-200のカラムにおいて利用できる「クロスボンド(crossbond)」トリフルオロプロピルメチル・ポリシロキサン(triflouropropylmethyl polysiloxane)である。カラムの固定相の機能は、組成物の異なる部分を分離することにより、その部分を異なる時間にカラムから出させることである。保持の順序または時間を変更するのに用いられる他のパラメータは、キャリアガス流量および温度である。本発明に従って利用される適切なガスクロマトグラフの1つの実施例は、PerkinElmer社から市販されているCLARUS 600 Gas Chromatographである。
【0038】
クロロシランは、ガスクロマトグラフ内の組成物から分離され、クロロシラン部分および残余部分を製造する。クロロシラン部分を残余部分から分離することによって、組成物内のクロロシランは組成物から効果的に除去され、したがって、クロロシランがICP技術によって得られた測定値に影響を及ぼすのを回避し、組成物がプラズマを消失するのを防止する。残余部分は、上述した任意のICP分光装置である分析装置に導入される。ある特定の実施形態では、残余部分は、残余部分を分析装置に導入するステップの前に、例えば、上述した冷却された容器において、冷却され、分析前にサンプルを再濃縮する。典型的には、分析装置は、誘導結合プラズマ質量分析装置である。残余部分内の不純物の含有量の測定値は、分析装置から得られる。
【0039】
本発明に従う組成物の処理方法は、上述した分析方法のステップを含むことができる。例えば、組成物の処理方法は、組成物を含む供給タンクを提供するステップを含むことができ、供給タンク内の組成物の一部を容器に移し、組成物を容器に導入した後に供給タンク内に残留する組成物の少なくとも一部とともに、本発明の分析方法を実行する。供給タンク内に残留する組成物は、製品を製造するのに用いられる。一実施形態では、本発明に従って処理される組成物は、上述した分析方法に従って測定され、品質管理目的のために使われる不純物の含有量とともに、製品を形成するために反応を起こす。本実施形態では、処理方法は、供給タンク内に残留する組成物の部分を原子炉に導入するステップをさらに含む。組成物がクロロシランおよび、特に、トリクロロシランを具えるとき、組成物は多結晶シリコンを生成するために原子炉に導入される。他の実施形態では、組成物は、他の成分と混合され、組成物内の成分と他の成分との混合物を具える製品を形成する。例えば、分析装置から得られる不純物の測定された含有量に基づき、第2の組成物を、供給タンク内に残留している組成物の部分と混合することができる。第2の組成物は、分析される組成物と典型的には類似しているが、不純物の異なる含有量を有し、組成物および第2の組成物の不純物の含有量の間に位置する不純物の含有量を有する製品を生産する。例示のために、分析方法によって測定されるように、組成物の不純物の含有量に基づき、組成物の不純物の含有量が高すぎると決定すると、不純物の過剰な含有量を有する組成物と不純物の低い含有量を有する第2の組成物とを混合することができ、これにより、組成物の不純物の全体の含有量を、所定の用途で許容可能なレベル以下に低下させることができる。本実施形態では、組成物および他の組成物の混合物を、上述したように原子炉に導入することができる。代案として、混合物をさらなる処理のための顧客に販売してもよい。
【0040】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、いかなる形であっても本発明の範囲に制限するものとして解釈してはいけない。
【実施例】
【0041】
組成物は、本発明の分析方法に従って分析される。(実施例1〜4に対応する)4つの異なる組成物は、本発明に従って分析された。組成物は、クロロシランを含み、組成物の不純物の含有量を測定するために分析される。組成物の各々は、14.5℃の水より大きい蒸気圧を有し、実行される分析のために、14.5℃で約53.33kPaの蒸気圧を有した。
【0042】
組成物は、Hoke社、Swagelok社またはWhitey社から市販されている300ミリリットルの供給タンク内に供給され、組成物は、供給タンク内の組成物の蒸気圧によって、液体状態で供給タンク内に維持された。100mLの組成物は、供給タンクから容器内に導入された。容器は、150mLの冷却された3ポートが密封された蒸発皿である。PerkinElmer社またはElemental Scientific社から市販されている冷却された同心のネブライザは、冷却した容器から組成物を霧状組成物に変換する。組成物は、周囲の雰囲気から分離した状態で、冷却された同心のネブライザに導入された。特に、冷却された容器は、冷却された容器からネブライザに延在するサンプリング・チューブとともに、不活性無水分離されたチャンバ内に含まれる。組成物をネブライザに導入する前、冷却装置は、容器を−78.5℃の温度まで冷却するように設定された。組成物をネブライザに導入すると、組成物は、ネブライザ上の冷却装置の動作により液体状態に維持された。冷却された容器を含む不活性無水分離されたチャンバは、分析装置(PerkinElmer社から市販されているICP分光装置)に直接隣接して配置された。霧状組成物はICP分光装置に導入され、霧状組成物はプラズマに露出され、イオン化された。その後、イオン化組成物は、誘導結合プラズマ分光法を実行され、その含有量が測定された。
【0043】
比較のため、上述したのと同様の方法であるが、霧状化の間組成物を冷却する効果を示すために、不活発な冷却された同心のネブライザ内の冷却装置を用いて組成物を分析することは望ましい。残念なことに、上述したように、サンプルの高い蒸気圧によってプラズマを消失させ、分析を不可能にするので、これは不可能である。
【0044】
比較のため、組成物は、1994年のIEEE/SEMI アドバンスト・セミコンダクター・コンファレンスの212ページの「Residue Sampling」という表題の、Wong氏等による「Determination of Metals Impurity Concentrations in Semiconductor Gases」に記載の方法で分析される。
【0045】
本発明の方法に従って測定される不純物の含有量は、不純物の含有量に関して、より正確な結果を提供し、結果を得るのに要する時間は、比較例の結果を得るのに要する時間と比較して減少する。
【0046】
明らかに、本発明の多くの修正変更が上述した教示を考慮して可能であり、本発明は添付の請求の範囲で特に記載されている以外にも実現可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含むとともに、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物を分析する方法であって、該方法は、
前記組成物を、液体状態で容器内に供給するステップと、
前記容器内の液体状態の前記組成物を、前記組成物の沸点未満の温度で冷却するステップと、
前記容器内の前記冷却された組成物を、蒸発組成物と霧状組成物とのうちの少なくとも一方に変換するステップと、
前記変換された組成物を、分析装置に導入するステップと、
前記分析装置から、前記組成物内の前記不純物の含有量の測定値を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記冷却された組成物を変換するステップは、前記容器内の前記組成物を霧状にするものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物を冷却するステップは、液体状態の前記組成物を含む前記容器を冷却するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記容器は、前記容器の外面と熱連通に配置されている外部の冷却装置によって冷却されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物を液体状態で供給するステップは、液体状態の前記組成物を前記容器内に導入するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
液体状態の前記組成物は、液体状態の前記組成物を含む供給タンクから、前記容器内に導入され、前記組成物の少なくとも一部は、前記供給タンク内に残留することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物は、空気と水分とのうちの少なくとも一方に敏感であり、
前記組成物を前記容器内に供給する前記ステップから前記変換された組成物を前記分析装置に導入する前記ステップまでの間、前記組成物は、不活性無水雰囲気下で維持される、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記組成物を前記容器内に供給する前記ステップから前記変換された組成物を前記分析装置に導入する前記ステップまでの間、前記組成物は、周囲の雰囲気から分離されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、クロロシランを具えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
クロロシランは、公式SiHによって表される(X:ハロゲン原子、a:0〜3の整数、b:1〜4の整数、a+b=4)ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物は、58℃以下の沸点を有することを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物は、10℃以下の沸点および14.5℃で25〜150kPzの蒸気圧を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも99.7重量パーセントのクロロシランを具えることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記変換された組成物は、前記分析装置においてイオン化されることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記分析装置は、誘導結合プラズマ分光装置であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記分析装置からの前記組成物内の不純物の含有量の測定値は、前記組成物を液体状態で前記容器内に供給する前記ステップの0.5時間以内で得られることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項6に従い、不純物を含むとともに、周囲温度未満の沸点と14.5℃の水より大きい蒸気圧とのうちの少なくとも一方を有する組成物を処理する方法であって、該方法は、
前記供給タンク内に残留している前記組成物の部分を、原子炉に導入するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記組成物を前記容器内に供給する前記ステップから前記変換された組成物を前記分析装置に導入する前記ステップまでの間、前記組成物は、不活性無水雰囲気下で維持されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分析装置から得られる前記不純物の前記測定された含有量に基づき、第2の組成物を、前記供給タンク内に残留している前記組成物の部分に混合するステップをさらに含むことを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物は、10℃以下の沸点および14.5℃で25〜150kPzの蒸気圧を有することを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて、少なくとも99.7重量パーセントのクロロシランを具えることを特徴とする請求項17〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記変換された組成物は、前記分析装置においてイオン化されることを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記分析装置は、誘導結合プラズマ分光装置であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記分析装置からの前記組成物内の不純物の含有量の測定値は、前記組成物を液体状態で前記容器内に供給する前記ステップの0.5時間以内で得られることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
クロロシランを具えるとともに、約58℃未満の沸点および14.5℃で25kPaから14.5℃で150kPaの蒸気圧を有する組成物の不純物の含有量を分析する方法であって、該方法は、
前記組成物を、液体状態で容器内に供給するステップと、
前記組成物を、ガスクロマトグラフに導入するステップと、
クロロシラン部分および残余部分を製造するために、前記ガスクロマトグラフ内の前記組成物からクロロシランを分離するステップと、
前記残余部分を、分析装置に導入するステップと、
前記分析装置から、前記残余部分内の前記不純物の含有量の測定値を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記残余部分を前記分析装置に導入する前記ステップの前に、前記残余部分を冷却するステップをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記残余部分を前記分析装置に導入する前記ステップは、前記残余部分を誘導結合プラズマ質量分析装置に導入するステップであることを特徴とする請求項25または26に記載の方法。

【公表番号】特表2012−509462(P2012−509462A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536551(P2011−536551)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/064533
【国際公開番号】WO2010/057072
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(503060684)ヘムロック・セミコンダクター・コーポレーション (17)
【Fターム(参考)】